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1977-09-22 第81回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年九月二十二日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  九月八日     選任          田代由紀男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 初村滝一郎君                 川村 清一君     委 員                 北  修二君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        国土庁長官官房        防災企画課長   柳   晃君        外務省欧亜局長  宮澤  泰君        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林大臣官房審        議官       犬伏 孝治君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       森  整治君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君        食糧庁長官   大河原太一郎君        林野庁長官    藍原 義邦君        水産庁長官    岡安  誠君        海上保安庁警備        救難監      山本 了三君        建設省都市局街        路課長      渡部与四郎君        建設省河川局砂        防課長      大工原 潮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (派遣委員報告)  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告をいたします。  本委員会委員が一名欠員でございましたが、去る八日、今回新たに当選されました田代由紀男君が本委員会委員に選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農林水産政策に関する調査議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました農林水産業実情調査のための委員派遣につきまして、各班から派遣委員報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。村沢君。
  4. 村沢牧

    村沢牧君 第一班の団長鈴木委員長でございましたが、委員長席に着いておりますので、私の方から調査報告をいたします。  本調査団は、鈴木省吾委員長田原武雄委員下田京子委員、主治重信委員、そして私、村沢牧の五人で編成されまして、九月五日から八日までの四日間、宮城県、山形県及び福島県における農林水産業実情調査してまいりました。  なお、宮城県内調査日程では、藤原房雄委員大石武一議員現地参加をいたしました。  本調査団の主な調査事項は、米の生産流通、二百海里時代を迎えた漁業及び水産加工業実情桜桃、ブドウ、桃等果樹農業実情、そして農用地開発公団が施行しておる畜産基地建設事業並びに農林省福島種畜牧場でありますが、詳細は文書報告に譲り、要点だけ御報告いたします。  まず、東北農政局からは、東北地方わが国の主要な食糧供給基地として位置づけ、その役割りを一層高めるために、需要の増加が期待される作目生産増大、米の需給均衡の達成に配慮しつつ、その生産性を高める必要性のあることが指摘をされました。  三県からは、農林漁業全般にわたる広範な要望がございましたが、農業生産地域分担農政に反映すべきこと、五十二年産米にかかるいわゆる余り米対策等について強い要望がございました。  次に、本年の稲作は三県とも平年作を上回ると見られておりますが、宮城県大和町では圃場整備事業の進展と、昨年の冷害の反省から早生、中生品種への切りかえが進み、病害虫防除が適切に行われるなど、農業者行政当局の慎重な対応とが相まって、八月の長雨にもかかわらず非常によい結果を生んでおりました。  山形県米沢市農協では、現代稲作の象徴とも言うべきカントリーエレベーター運営状況調査いたしましたが、建設費の上昇によって、減価償却費では施設の更新が不可能な実態指摘され、さらにバラ出荷施設に対する助成等要請がありました。  次に、漁業関係では、遠洋漁業基地を抱える宮城県、福島県の漁業問題はまことに深刻なものがありました。  塩釜において、漁業関係者が切々と訴えたところによりますと、北転船を初め減船を余儀なくされる漁業者を初め、かまぼこ等水産加工業者も、将来の展望はもとより、現在の経営を継続する見通しさえも立てがたい状況に置かれております。  水産団体からは、減船問題について、年収の二分の一を共補償し、それで不足する分は国が助成するということになっているが、だれが減船に応ずるか、残った漁業者に果たして従来程度の漁獲が期待できるのか全く見通しがつけがたい実情報告され、加工業者からは、原料確保困難性緊急融資条件に格差が設けられていることなどの問題か提起されました。  果樹につきましては、桜桃の輸入問題について、主産県の山形県を初め各県から、国内生産を破滅に追い込むばかりか、夏果実全体に甚大な影響を及ぼすとして、輸入を阻止してほしい旨の強い要請がありました。  また、福島湯野農協では、八月の長雨によって、昨年に引き続き桃にせん孔細菌病が多発し、裂果、腐敗被害が著しく、これに対する救済措置特に果樹共済制度改善と数年前から進められているせん孔細菌病防除技術の早急な研究開発が望まれております。  次に、農用地開発公団が施行しております麓山地区畜産基地建設事業は、昭和五十四年度の完了を目標に進められており、一部入植も行われております。  この事業は、畜産公害の発生を防止するとともに、中小家畜の排せつ物を草地に還元し、その生産力を高めるという構想に立って、未開発山林原野開発し、畜産物濃密生産団地を建設しようとするもので、畜産物需給動向畜産業をめぐる環境の変化等を考えますと、きわめて時宜を得たものと考えられるのでありますが、導入畜種によりましては、個別経営の安定を基本とした特段の配慮が望まれるところであります。  福島種畜牧場におきましては、いわゆる蹄耕法による草地造成技術体系検定済み種雄牛選抜システム等に関する説明を聴取するとともに、牧場内施設等について調査を行ってまいりました。  最後に、今回の調査に当たって非常な御配慮をいただきました方々に対し、深甚の謝意を申し述べまして報告を終わります。
  5. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 次に、第二班の報告を願います。青井君。
  6. 青井政美

    青井政美君 第二班は九月六日から九日までの四日間、福岡県及び長崎県に派遣されました。派遣委員は、初村滝一郎理事団長といたしまして、山内一郎理事川村清一理事相沢武彦理事、それに私、理事青井政美の五名であります。  調査した主な事項は、両県及び九州の農林漁業概況、北九州の海上保安概況対馬に設置された海上保安庁電波標識概況、同じ対馬航空自衛隊レーダー基地及び海上自衛隊防備隊概況、そして西日本漁業概況等であります。  私たちは、特に、二百海里時代を迎え、さまざまな問題に直面するに至った、西日本漁業実態調査に重点を置きました。その際、地元から受けた要望は、当面する問題そのものでありますので、ここではこれらの要望を中心に御報告いたします。なお、その他の事項については、別途提出する文書報告に譲らせていただきます。  まず、第一に、地元方々が最も強く訴えていたのは、頻発するソ連監視船罰金徴収に対する対策の確立であります。  日ソ漁業暫定協定発効後、ソ連の二百海里内で操業するわが国イカ釣り漁船などに対し、ソ連監視体制を強化して、きわめて厳しい取り締まりを実施しております。操業日誌のとじ方や記載法等、ささいな違反でも容赦なく罰金を取り立てております。その上、罰金基準監視船によって異なり、徴収の仕方も、拳銃で脅したりするなど強引さが目立っております。そこでやむを得ず、イカ釣り船などは、五十万円ないし百万円くらいを各自用意して行き、罰金の額が所持金を上回る場合は、僚船が急遽持ち寄るなどの対策を、自主的に講じております。  地元では、このような現状なので、罰金基準外交ルートなどを通じ早急に明確化すること、罰金請求については、海上保安庁等関係係官の立ち会いによる調整措置を講ずるとともに、不当な請求については、政府において補償すること等を強く望んでおりました。  第二に、北朝鮮の二百海里内での安全操業と、漁業実績確保についても強い希望が出ておりました。  北朝鮮を訪問していた日朝友好議員連盟に対して、北朝鮮当局は、来年六月末まで、軍事境界線外経済水域で、入漁料を支払わずに、日本漁船操業することを認めました。逆に言えば、軍事境界線内での操業は禁止されたわけであります。このため、フグはえなわ、イカ釣り、以西底びき網などは、大きな打撃を受けることになったのであります。  地元では、早急に民間協定を締結して軍事境界線の中にも入れるようにしてほしい、また、それまでは出漁不能となるので、政府において補償をしてもらいたいと訴えておりました。  第三に、最近特に悪質化が目立ってきた韓国漁船による対馬周辺海域の侵犯については、警備体制を飛躍的に充実してほしいという強い要望がありました。  第四に、中国、韓国の二百海里水域についての動向が注目されるところでありますが、地元では、強力な漁業外交によって従来通り操業できるよう努力してほしい、補償よりは、まず操業をと強く訴えておりました。  このほか、沿岸漁場整備開発事業事業量拡大国庫補助率の引き上げ、漁港整備の促進、二百海里内での拿捕等に対処するための特殊保険新設等要望もありました。  最後に、御協力いただきました関係各位に心からお礼を申し上げまして、この報告を終わります。
  7. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 以上をもって派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいま御報告がございました各班から、別途詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  9. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 次に、本調査のうち、当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 川村清一

    川村清一君 私は、日ソ漁業暫定協定並びにソ日漁業暫定協定に関連して質問しますが、割り当てられた質問時間がごくわずかでございますので、問題を三点ほどにしぼって質問いたしますので、御答弁もぜひ簡明に、結論だけで結構ですからお答えをいただきたいと思います。  第一問は、貝殻周辺コンブ漁業についてお尋ねしますが、日ソ漁業暫定協定を本委員会においていろいろ審議した際に、鈴木農林大臣は私の質問に対して、貝殻周辺コンブ漁業については従来のように何とか民間協定を行って操業ができるような、そういう形にしたいということを表明されたわけでございます。しかし御案内のように、ついにそれが実現しないまま、ことしの漁期はもう失してしまったわけです。  そこで私がお伺いしたいのは、第一には、この問題についてソ連当局と何らか交渉したのかどうかということ。それから第二点は、今後この貝殻周辺コンブ漁業についての見通し、どのような見通しを持っていらっしゃるかということ。第三点には、ポリャンスキー駐日大使の話によれば、政府間協定には応ずる意思があるというようなことを言っている模様、これは新聞報道でございますから真為のほどはわかりませんが、そういうようなことを言っている模様でございますが、日本政府としてはこれを政府間協定でもっていくように話し合いをする用意があるのかどうか、そういう意思はないのか、あくまでも民間協定でこれを実施しようということなのか、この辺を明らかにしていただきたい。  もう一点は、これは貝殻周辺コンブ漁は困難である。したがって、それにかわる人工礁をつくる。人為的にコンブ採集ができるようなそういう島をつくる。これは北海道新聞によりますというと、この九月の二十何日かに開かれる北海道議会北海道知事はこの件についての補正予算を提案するというようなことが出ておるわけであります。北海道知事がそういうような措置をするということは、これはもう国が了承しておらなければできないわけであります、国の負担分もあるわけですから、これらについて政府としてはどのような考え方を持っているかということと、この問題につきましては、私もかつて道議会におったときに、高碕達之助先生などのお力によって民間協定ができる前に、あそこで操業しておる漁船が非常に拿捕されて大変な問題が毎年起きておった。そこで人工礁をつくるということで、こういう工事をやったこともあるわけであります。その後情勢がすっかり変わったんですが、この人工礁によって貝殻周辺生産しておるそれくらいの量が水揚げできるという、資源をそこにつくることができるという、そういう見通し、確信を持っておるのかどうか。そういう考え方のもとに行政を進めているのかどうか。  時間がないので全部並べて質問したわけですが、これに対してお答えをいただきたいと思います。
  11. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 貝殻周辺におけるコンブ採集の問題でございますが、この問題につきましては、日ソ交渉ソ日交渉、そしてこれから基本的な長期協定締結交渉、こういう段階にございますので、政府としては、十二海里の領海の問題もございますので、いまのところこれを差し控えておるところでございます。しかし、民間協定で今日まで採集がなされておりました経過にかんがみまして、今月の下旬ないし十月の上旬には、大日本水産会の会長を長とする民間使節団が訪ソいたしまして民間協定再開継続につきまして交渉する、また政府におきましても、そのことにつきましてできるだけのこれが成果を上げるように支援協力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。  なお、そういう経過で今年度におけるコンブ採集ができなかったわけでございますので、関係漁民に対しましてはその救済措置をやったところでございます。  なお、人工礁の築造の問題。つまり第二貝殻島の造成の問題につきましては、国と道が一体になりまして地元負担をかけないで第二貝殻島を築造する、こういう基本的な方針で、政府におきましても今度の臨時国会に提案をいたします補正予算に所要の予算要求をいたしておるところでございます。  なお、この事業は、継続事業といたしまして三年ぐらいでこれを完成をしたい、こういう考えでございまして、大体現在の貝殻島で採集しております量の七〇%を下らない生産確保できるように、そういう計画のもとに進めておるところでございます。
  12. 川村清一

    川村清一君 次に、先ほど青井理事から御報告のあった件でございますが、ソ連の二百海里水域においてわが国イカ釣り漁船あるいはカニ漁船、三十トン未満の小型漁船操業違反行為をしておるということで、ソ連監視船によって次々と罰金を科せられておるということは、大臣すでに御承知のとおりであります。これは北海道東北だけではなくて、先ほどの御報告にもありましたように、先般われわれが当委員会から派遣されて長崎県あるいは山口県、この方を調査し、この県の漁民方々からいろいろ陳情を承ったわけでありますが、特にイカ釣り漁船ソ連の二百海里内において操業中向こうの監視船に臨検を受けて、そうして操業日誌であるとかあるいは積載しておるその漁獲量、こういうようなものを調べられて罰金を取られておる。大変困っておるわけであります。  これについてお尋ねするわけでありますが、政府は、ソ連二百海里内の操業について操業上どのような取り決め、これはわれわれは協定文以外は知らないわけでありまして、いろいろ細かい取り決めがなされておったと思うんでありますが、そういう取り決めの中でこの問題についてはどのようなことが決められておったのかどうか。聞くところによれば、あるいは新聞等報道によれば、まことにささいなつまらないこと、たとえば操業日誌はペンかボールペンで書くことになっておったものを鉛筆で書いておったとか、あるいは小さな漁船計量器なんかあるはずがないのでそこに魚の実際のトン数というものが記載されておらなかった、あるいは記載されておったトン数と実際とが合わなかったとか、あるいは本当にこれはこっけいな話ですが、イカというのは御案内のように生態としてつり上げられるというと墨を噴くわけですね。イカが墨を出しておる、それが海上に出た、いわゆるこれは海上を汚染しておるというようなことでイカの墨と油と間違っておった、そういったようなことで罰金を科せられておる。  したがいまして、先ほどのお話にもありましたように、こういう漁船操業するにつきましては、何百万というお金を用意してキャッシュを持っていかなければならない。そうでなければ船もろとも乗組員まで連行されていってしまう、こういうような事態が発生して困っている。一体政府はどのような取り決めをしておったのかどうか、これを明らかにしていただきたいし、ひとつ、取り決めたそういう細かい事柄を書いたものを、その資料を当委員会に提出していただきたい、提出できるかどうか、そういうものをもあわせて、これは大臣でなく水産庁長官で結構ですが、御答弁をいただきたいと思います。
  13. 岡安誠

    説明員岡安誠君) ソ連の二百海里水域内で操業するに当たりましては、先生指摘のとおり、日ソ暫定協定を結びまして、それに基づきまして操業をいたしておるわけでございますが、それに関しましては協定のほかに付属書というのがございまして、付属書許可証の発行並びに形態その他の細かいことが決められているわけでございます。残余の具体的な操業につきましては、先生指摘のような文書その他による協定といいますか、そういうものはございません。ただ、協定を結び、また付属書について調印をするに当たりまして、私どもの疑問とする点等につきましては若干質問をし回答を得ておりますが、今回のトラブルの最大の原因は日ソ双方非常に慣習が違うというようなこと、これが一番大きかったのではなかろうかというふうに思います。私ども理解ソ連側理解というのが、慣習の違いから相違してきたという点、それからやはりこういう事態日本側ソ連側も新しい事態でございますので、規制の実施にふなれであったというようなこと等によりまして非常にトラブルがあったというふうに考えております。  で、私どもは、今後いままで発生いたしましたトラブルを検討をいたしまして、先般日ソ両国専門家会議をいたしたわけでございまして、私どもの疑問とする点、相手方が不当である点、その他指摘をいたしまして、大部分につきましては合意ができたわけでございますけれども、なお残った点につきましては引き続き外交ルートを通じまして問題を明らかにいたしまして、今後無用なトラブルが発生することのないように措置をいたしたいというふうに考えております。  先ほど申し上げました合意に達した点等につきましては、すでにそれぞれの団体等を経由いたしまして内容を詳細に伝達をいたしております。したがって、今後はこのようなトラブルが大幅に減少するものというふうに期待をいたしておる次第でございます。
  14. 川村清一

    川村清一君 その点につきましては、長官いま自信を持って御答弁されましたので、今後こういうトラブルが発生しないように、発生しますというと困るのはこれは漁業者なんでありますから、どうもこういう問題、またまさか政治折衝として大臣が出かけてやるような性質のものでもございませんので、これは出先におけるトラブルでございますから、もう少しソ連当局に対しまして、出先に対して取り決めを徹底させ、そういう行政措置についての指導が間違いないようにされますようしっかりやっていただきたいということを強く要望しておきますから、よろしくお願いいたします。  質問の第三点でございますが、これは日ソ漁業暫定協定によって北洋漁業出漁漁船が昨年に比べてずいぶんたくさん減船、あるいは休漁措置をとらざるを得ないことになったわけでございます。そこでこれらの点につきましては、あの協定を審議する際に私はこの減船される船に対する政府補償、あるいは乗組員に対する生活保障、こういう点について抜かりなくやっていただきたいことを要望いたしまして、政府の方も必ずやるということを御答弁されておったわけであります。  そこで、これについて若干お尋ねしますが、なるほど船体については、スクラップする船などについては政府補償する。それから営業をやめたという、言うならばのれん代といいますか、営業権といいますか、これについての補償は残存する経営者が共補償ということで補償すると、こういうようなことになった模様でございます。そのよしあしをいまここで言うのではない、それはまたいつかやりますけれども、その補償された補償金、この補償金がいまの税制によればいわゆる法人の所得税としてこれが課税の対象になる、半分ぐらい税金として持っていかれる、これが実態らしいんです。この減船に応じた経営者たちは非常に現在困っておる。もちろん、水産庁の方にも陳情が行ってあなた方はこれは御承知のことと思うんですが、こういうようなあり方はどうも私は納得いかないんです。補償されたお金税金対象になって半分ぐらい持っていかれる、それじゃこれはやりきれないではございませんか。何とかその税制を変えて、大蔵当局がどういうようなことを言っているのか、農林省として大蔵に対してそういうようなことについて話し合いをしたのかしないのかわかりませんが、これは今度の日ソ暫定協定というこの措置によって心ならずも減船をしたんです。漁をやめたんですから、この補償金は当然経営者にいくべきである。税金対象になるというのはちょっとこれは筋が違うのではないかと思うが、このことに対する御見解をお伺いいたしたいし、農林省としては大蔵省に対して何らかの話し合いを持っていっているのかどうか、この点を明らかにしていただきたいことが一点であります。  それからもう一つは、のれん代の共補償の問題でございますが、残留者補償する、その場合に残る方が一千万なり二千万あるいは三千万補償金を出すんですが、その金がいまない人がたくさんあるわけです。金融機関にそれを借りなければならない。ところが、金融機関がよう貸してくれない。残る者全部が連帯保証するなら出すがそうでなければ出せないというようなことで、共補償する立場の人がその補償金の融資がつかないで困っておる実態があるわけです。ですから、この減船の問題はいまだに解決しないでいる。こういうことなんですが、もちろん御承知のことと思うんです。どういうような対策、処置をとっていらっしゃるのか、これを明らかにしていただきたい。
  15. 岡安誠

    説明員岡安誠君) まず、政府救済措置に対します税金の問題でございます。私どもは、やはり今回の減船によりまして減船者が受け取る政府救済金につきましては、これを一定期間内に転業するという場合に、新しく資産等を取得する場合には法人の場合には圧縮記帳その他ができるように、個人の場合にもその新しく取得した部分につきましては課税対象から除外をするというような措置を、従来もございましたけれども、そういう措置を今回も適用いたしたいということで、大蔵省といろいろ折衝いたしているわけでございます。もちろん、転廃業につきましては相当幅広く解釈いたしまして、漁業以外の事業、たとえばアパートその他を経営する、そのための不動産を取得するというような場合にもこの圧縮記帳の対象になり得るように、そういう方向で現在検討いたしております。  なお、御承知のとおりの現在の不況でございますので、直ちに新しい資産を取得して転業をするという場合も困難かと思われますので、転廃業をする猶予期間でございますが、その猶予期間をできるだけこれを延長するように、現在は大体二年ということが考えられておりますけれども、できるだけこれを延長するように、現在大蔵省と折衝をいたしておるわけでございます。  なお、そのような措置をとりません場合でも、これは一時金というような、一時所得というようなかっこうになりまして、一定の控除をした残額の半分について課税をするというようなことになっておりますので、非常に大幅な税負担がかかることのないように私どもはできるだけ配慮をいたしたい、今後とも大蔵省と話し合いを進めてまいりたいというふうに考えておるのでございます。  それから、共補償関係の融資の問題でございますけれども、私ども、今回廃業に当たりましてのれん代等について共補償をする、それに要する資金につきましては、まず一年分の収益等に関する部分は政府救済金で見るということにいたしておりますし、残額につきましても、私どもが考えております要共補償額については、農林漁業金融公庫の整備資金から融通をするということにいたしておりますので、先生の御指摘のように、金が渡らないというようなことは万々あるまいというふうに思っております。万一そのようなことがございますれば、ひとつケース・バイ・ケースで御相談をいただければ私どもは対処いたしたいと思っております。  なお、問題は、今回の減船に当たりまして、私どもが考えておりまして措置をいたしました共補償金額、いわば収益の一年分は政府救済金、残額は農林漁業金融公庫の整備資金ということ等を考えておりますが、それにさらに上積みをいたしまして、お互いに共補償の金額を増額をしようというような相談がなされているというように聞いております。それらにつきましては、私ども当然に金融機関からという措置をいたしておりません。したがって、そういうような上積み共補償部分につきましては、しかるべき金融機関から借り入れるという問題が起きるかとも思いますけれども、それにつきましては、やはり私ども、余り無理な共補償金額の上積みということは問題があるというふうに考えておりますけれども実情によりましてやむなく上積みをするという場合につきまして、お話があればできるだけのごあっせんはしたいと思っております。ただ、非常な無理な共補償負担する場合には、金融機関の方といたしましても問題とするというケースがあるやに聞いておりますが、これはよく実態に応じまして判断をいたしたいというふうに考えております。
  16. 川村清一

    川村清一君 この日ソ漁業の問題につきましては、またこの長期協定交渉が始まるわけですから、そうすると明年度においてはどうなるのか、われわれとしては、当然政府もそうですが、できるだけ遠洋漁業における既得権を維持するために努力するわけですが、先の見通しを持った場合に、減ってもふえていくということはあり得ない、こう考えるわけでございます。したがいまして、この問題は今後とも、いまは日ソの問題ですが、今度は日米の問題あるいは中国、韓国、これらの国が皆二百海里を宣言するというようなことになりますれば、問題はさらに大きくなっていくわけで、こういう事例がたくさん出てくるわけです。  そこで、日ソ漁業の問題のときも国会におきましては、これは与野党を問わず全会派とも減船の船に対しましては政府が責任を持って措置すべきである、乗組員の生活はこれまた政府が責任を持って保障すべきであるということを言っているわけですから、したがってその政府の言ったことと逆行するような、お金大蔵省に税金として持っていかれたり、こういうようなことをぜひできるだけなくするように、それからいまのお話でわかりましたが、共補償の場合も政府が大体計算したものについてはこれは農林漁業金融公庫が融資をする。私のさっき言った話は、これは業者同士がそういうように上積みをするというお金らしいのでこれまた私一つ勉強しましたが、そういう話を聞かないものですから、私の話したようなことだけ聞いておったものですからああいう質問をしたんですが、それならばそのようにもっと行政指導をしっかりしていただきたい、こう思うわけですね。これからもあることですから、この点は本当にしっかりやっていただきたいということと、いまの御答弁になかったですが、乗組員生活保障ということにつきましてはどういうことになっておりますか、これは海員組合からもいろいろ陳情等が出てきていると思いますが、これについてひとつお答えをいただきたい。
  17. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 乗組員の問題につきましては、二つに分かれると思います。  四月一日からほぼ六月ぐらいまで休漁をお願いをしたわけでございまして、この間の乗組員の給料等必要な経費につきましては、すでにつなぎ融資の措置をいたしておりますので、そのつなぎ融資の中から船主の方から渡るように措置をいたしておるつもりでございます。  なお、減船等によりまして退職を余儀なくされるという方々につきましては、私どもまず政府救済金の中で退職金その他の措置もいたしております。さらに、転業するような場合には雇用対策法、漁業再建整備法等によりまして円滑にこれが転職ができるように、その間の救済措置につきましてもできるだけ必要な金額が渡るように、現在労働省、運輸省とも相談をいたしておりまして、できるだけ早くその対策を明らかにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 川村清一

    川村清一君 時間がないからこれでやめます。  そこで大臣、一言だけお答えいただきたい。それは北海道の有珠の噴火に対する農地被害の問題です。災害対策委員会でいろいろと農業問題について質問しておりますが、農政の最高責任者の農林大臣にお話ししたことがないので、いままで災害対策委員会などでいろいろ質問してそうして担当係官が答弁したことは、大臣が責任を持ってこれを実施するということだけ、ここで一言大臣お約束願います。
  19. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 有珠山の噴火に伴う農林漁業に対する被害は相当大きなものがあるわけでございまして、ただいま鋭意最終的な被害の額の把握等に努めております。  政府としては、これらの農林水産物等に対する被害対策としまして、天災融資法の適用をすでに方針として立てまして、十月中にでもこの天災融資法を適用するような閣議決定をいたしたい、このように考えております。  なお、農用地並びに農業施設等の復旧の問題につきましても、今後これを災害復旧対策として実施してまいる、また、それらに対する所要の助成並びに融資の措置も講じてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  20. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は、先般本委員会実情調査の第二班の一員として西日本関係、山口、佐賀、福岡、長崎、各県の漁連代表及び日本底びき網漁業、並びに日本遠洋まき網漁業関係者からその実情を聴取して、特に長崎県の対馬漁業者等の強い要望に基づいて政府関係者に質問をいたしますから、率直な誠意ある答弁を簡明にお願いしたいと思います。  まず、先ほど第二班の口頭報告にもありましたように、現在西日本の漁業者が一番困っている問題は、ソ連罰金狩りと称しておりますが、罰金の攻勢であります。私たちが現地で聞いた中に、対馬の若宮丸という例があります。これはイカ釣り船でございますが、その若宮丸のビルジポンプからの排水は当然イカの墨、俗に言うクロミとまじって排水されるわけであります。これを臨検に来たソ連監視船の係官が見まして、海洋汚染防止法違反だということで二百万の罰金を申し渡したわけなんですね。そこで、船長を初め船員が、これは油じゃないとしきりに説明をしますけれどもソ連の係官はこれを納得しない。それで拳銃でおどしてやるものですから、言われたとおり、二百万僚船から借り集めて支払ったということなんです。こういう例が非常に多い。現在水産庁の統計によると、ソ連水域内でいろいろされた件数が八十四件もある。そして、その金額が七千五百万にも上っておるというようなことでございます。  先般、ナホトカで開かれた日ソ専門家会議では、取り締まりの基準について話し合いが行われて、その結果、八月の二十三日付で水産庁から各県及び各団体に通達を出しているわけですね。しかし、その合意事項も、ソ連監視船には徹底しないようである。それでまた、ソ連の金で一万ルーブル、日本の金で四百万まではその監視船の船長の裁量によってとってよろしいというふうなことであるものですから、罰金基準がばらばらにとられて、最高二百万から十数万という格差でとられているんですね。そこで、現地の漁民罰金徴収される場合に、海上保安庁の係官がせめて立ち会ってもらえないものかどうかという要望があったわけです。これはなかなかむずかしいと思います。思いますけれども、係官が立ち会ってそれで調整をしてもらいたいという希望意見がありました。また、政府罰金について有効な対策を講じることがなくして事態がこのまま続いたならば、不当な罰金がまたとられる。そういう場合に、政府はその責任において補償すべきではないかというような意見があるわけなんです。これについて、当局の御答弁をお願いしたい。
  21. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 先生指摘のとおり、日ソ間に協定が発効いたしましてから九月の下旬までに罰金を科された船は八十四件ございます。その金額も七千五百万円を超えるということになって、はなはだ遺憾に思っているわけでございます。  このようなトラブルが起きました原因を考えてまいりますと、やはり私どもは、まず日ソ間におきましてこういう二百海里時代に入りましたのは初めての経験でございまして、両国間非常にまあ慣習が違っていたということで、思わざる点を指摘をされ、罰金を科せられるというような事態があったこと、それからやはりお互いにふなれであったというようなことが原因であろうというふうに思っております。  そこで、先生も御指摘いただきましたように、先般専門家をナホトカに派遣をいたしまして、われわれの言うべきこと、不当であること等を指摘すると同時に、われわれが理解できない点につきましてもただしまして、相当多くの点につきまして合意をいたしたのでございますが、たとえば先生指摘の若宮丸の件等につきましては、私ども不当であるということを指摘いたしましたけれども、先方はこれはモスクワでよく協議しなければ返答ができないということで保留になっておる事項、その他ほかにもございます。そういうような保留等の事項につきましては、今後外交ルートを通じまして精力的に問題の解決をいたしてまいりたいというふうに思っております。  それにいたしましても、今後絶対にトラブルが起きないという保証はございませんので、御指摘のように、もし問題が起きた場合には現地に指導船を派遣をして、政府の係官が立ち会って問題を処理したらどうかという御指摘でございます。私どももできるだけそういうふうにいたしたいというふうに思っておりますけれども、何分対象水域が広範でございますし、私どもの取締船にも限りがございますが、これはできる限り、可能な限りは御連絡をいただければ、現場でソ連の監督官と立ち会いを政府係官にいたさせまして、円満な折衝をし、円満な解決をしてまいりたいというふうに思っております。  なお、最後に、従来の罰金等について政府補償するつもりはないかという御指摘でございますけれども、私ども罰金を科せられた船につきましては、やはりある事項につきましては、確かに相手方の言うことが無理な点もございましたけれども、その他数々、相当複数の違反事項指摘をされました上で罰金を科せられているというのが実態でもございますので、直ちに政府が肩がわりをするということは問題があるというふうに考えております。要は、今後そういうようなトラブルをできるだけ軽減をするということではなかろうか、こういうふうに思っておりますので、そういう方向で措置をさせていただきたいというふうに思っております。
  22. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま長官から当局の考えを申し上げたところでございますが、この点につきましては、今後の基本協定交渉におきましても取り締まりの実施問題等につきまして相互の間の理解を深め、トラブルが余り頻発しないように双方において十分配慮し、協力していくように話し合いをいたしたい、このように考えております。  なお、罰金をとられた者に対する救済の問題につきましては、政府としてはこれはできないことでございますが、そこで民間の機関を何らかつくりまして、そうしてこれらの不当なと考えられる案件の処理等につきまして所要の対策を講じていきたい、いまそういう方向で検討中でございます。
  23. 宮澤泰

    説明員(宮澤泰君) ただいまお尋ねの若宮丸の件につきまして、多少補足的に御説明をいたします。  水産庁長官から御説明ございましたように、若宮丸の事件が発生いたしましたのは八月十一日でございますが、その後その直後に、八月十六日からナホトカで日ソ漁業関係官の会議がございましたので、日本側からこの問題を提起いたしましてソ連側がいかなる根拠で罰金徴収したか、それから排出した油というのは果たしてどのくらいの量があるかということの説明を求めまして、ソ連側はこれの調査、回答を約束した次第でございます。その後、外務省におきましてさらに実情水産庁等から伺いまして、ソ連側の申しております海洋汚染防止法その他何らか法的根拠があるものかどうかを検討いたしました結果、いかなる意味におきましてもソ連側の主張に根拠がないという結論に達しましたので、在ソ大使館に対しまして、日本側の立場を述べてソ連側交渉方訓令いたしまして、それに基づきまして、この九月十三日でございますが、大使館の勝間田参事官がソ連側漁業省の関係課長に面会をいたしまして、このナホトカ会議のことに言及し、さらにソ側の説明を求めたわけでございますが、ソ連側は、なお調査中であるのでいましばらく待ってもらいたい、こういう回答がございました。  外務省といたしましては、ソ連側のその回答を待ちまして、場合によりその次第により抗議し罰金の返還を求めると、このようなつもりでおります。外務省といたしましては、このようなケースが今後とも発生いたします場合には、水産庁の御意見も伺いまして、いかなる意味でも不当であり、あるいは間違っている場合には抗議をし、罰金の返還を請求すると。何よりもその前に、このような不祥な事件が起こらないようにソ連側行政指導を求めると、今後ともそのような方針でおります。  以上、追加的にお答えいたしました。
  24. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、韓国漁船による対馬周辺の海域の侵犯についてお尋ねいたしますが、私はこの前も対馬の西沖を韓国漁船が侵犯してしようがないというような質問をしたんですが、その後も事態改善されておらない。年間の統計からいっても、すでにもう一年分以上を超している。そこで厳原海上保安部は他の部署からも応援をしていただいて、そして水産庁とも連携を密にして、昼夜問わず警戒、監視に当たっておりますね。ところが、現在の海上保安庁の力、整備では私は不十分だと思う。そこで地元漁民は巡視船、監視船の増強を強く要請しておる。このことについて、海上保安庁並びに水産庁のお考えをお聞きしたい。
  25. 山本了三

    説明員(山本了三君) ただいま先生指摘のとおり、韓国漁船対馬周辺海域といいますか専管水域におきまして多数不法操業をいたしておるというのはそのとおりであります。この不法操業の隻数がすでに五十二年では五十一年の一年分を上回ったという実績がありますけれども、こういう実情となりましたので、海上保安庁は現地に巡視船艇を増強いたしまして、厳重な監視、取り締まりに当たっておるわけであります。  七月一日以降、いわゆる領海の拡幅に伴います以降、韓国漁船が侵犯いたしました隻数は減っておりまして、七月三十隻、八月は五隻、九月は十隻と、合計しまして三カ月の間に四十五隻という実績になっております。すなわち、二日に一隻の割合で侵犯が行われておるという実情であります。こういう実情でありまして、きわめて減ってはきておりますけれども海上保安庁としては現地の要望もあり、また当然の業務として、船艇を常時主ないし四隻は現場に常駐、警戒に当たらしておるという実情であります。  厳原におきますこういった事態改善するための船艇の増強、航空機の増強につきましては、厳原に三十メートル、三十ノットという新しい規格の高速の大型巡視艇を増強いたしたいということで、五十二年度の、本年度の予算でございますが、これが一隻認められて、現在建造にかかっております。また、この二百海里あるいは領海十二海里の発効に伴いまして、さらに厳原周辺の巡視船艇の増強を図る必要があるということを考えまして、新たに五十三年度からの三カ年計画を計画いたしまして、三十メートル、三十ノットの巡視船を最小限七隻は現場に増強いたしたい、そういう計画を持っておりますけれども、その一部として暫定予算では一隻認められそうであると、そういうような情勢であります。なお、航空機につきましても福岡の航空基地にビーチクラフトの飛行機一機、ヘリコプター一機がございまして、これを活用するという方針でありますけれども、ここの基地につきましてもさらに航空機を増強したい、そういう計画でいま鋭意整備計画を関係官庁と協議しておると、そういう段階でございます。こういった計画が実現されますと、現地の要望にも十分応じ得ると、そのように現在考えておるところであります。
  26. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 対馬周辺海域の取り締まりは主として保安庁にお願いしておりますが、私どももこの周辺につきましては取り締まり体制を厳にするということで、現在艦船、白鴎丸でございますが、一隻のほか、四隻の用船をいたしまして、常時三隻は一線に配置できるように対処いたしております。また、航空機もセスナ機を一機雇いまして、できるだけ取り締まりをするように私ども努力をいたしておりますが、今後とも取り締まりの強化につきましては、保安庁とも御相談いたしましてできるだけ充実してまいりたい、このように考えております。
  27. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、韓国、中国の将来の動き、これについてお尋ねしたいと思います。  私ども地元に行ってみますと、必ず早晩、韓国にしても中国にしても二百海里水域を設定するであろう、こういうふうに考えておるわけなんです。その際に、厳しい漁獲割り当てが日ソのように来るんじゃなかろうか。そしてまた、現在日韓漁業協定、日中漁業協定があるわけですが、これを生かしてぜひともその実績を確保してもらいたい、また、政府においては外交努力を大いにやってもらわなければいかぬという期待がありますね。特に、この日中の平和条約の早期締結を急いでもらいたいという要請があったわけであります。大臣も御承知のとおりに、西日本の業界は、終戦後中国、韓国による拿捕、抑留、銃撃などを経験して、ようやく現在の経営状態を維持しておるわけなんです。ここに至るまでには、業界自体が友好促進のための交流をやる、あるいはまた資源保護のための減船など多くの努力をし、しかも犠牲を払っておるわけなんですね。こういう実態にあるので、将来韓国、中国が二百海里宣言をした場合の処置についての考え方、外務省あるいは大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  28. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 現在、日韓の間には日韓漁業協定がございますし、日中の間には日中漁業協定ができておりまして、この両協定によりまして、西日本の韓国並びに中国に接続いたします海域におけるわが国漁船操業は、きわめて安定的に、余り紛争も起こさないような状況下に操業がなされておるわけでありまして、政府としては、この日韓漁業協定、日中漁業協定の現在の秩序、現在の漁船操業隻数並びに漁獲量確保というものを今後もこの両協定の存続によって確保してまいりたい、こういうような基本的な考え方に立ちまして、先般わが国漁業水域に関する暫定措置法の実施に当たりましても、韓国並びに中国に対しましてはこの適用の除外の措置をとり、わが方から先んじてこの二百海里を実施するというようなことを差し控えておるところでございます。  したがいまして、そういう方針に基づいて、韓国政府並びに中国政府とは、水産省からも係官を派遣し、また外交チャンネルを通じまして絶えず意思の疎通を図り、情報の交換等もいたしておるところでございまして、韓国も中国も早い機会にいわゆる二百海里を実施するという考えをいまのところ持っていない、海洋法会議動向その他を慎重に見守っておると、こういうような状況下にございます。今後におきましても、政府としては、韓国並びに中国とはさらに一層緊密な連携をとり、外交的な努力をいたしまして、この現在あります西日本の海域における漁業秩序が安定的に確保されるように一層の努力を払ってまいりたい、このように考えております。
  29. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 外務省の日中平和条約の考え方
  30. 宮澤泰

    説明員(宮澤泰君) 私、主管でございませんので、お答えを控えたいと思います。御要求があれば主管を呼びますが……。
  31. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 大臣は、現段階では韓国並びに中国は二百海里をする気持ちはないように解釈しているようでありますけれども、私はある問題が起きた場合に必ずやると思う。そういう点については、いま大臣答弁によって十分対処していきたいということでありますから、十分業界の声を聞いていただいて、万遺漏のないような処置をしていただきたいと思います。  次に、金融対策についてお伺いをいたしたい。  これはもう西日本の漁業界は言うに及ばず、日ソ交渉の難航によって出漁がおくれたり、あるいは異常低水温によって水揚げが寡少しておる。一そう当たりの漁獲割り当てが非常に厳しい規制を受けておる。盛漁期に北朝鮮海域での操業禁止などによって不振な経営が続出しておる。この対策として、地元は緊急特別融資、漁業経営維持安定資金の増枠を含む融資の拡充、それから国による原資の供給ですね、これがない。この原資の供給、それから農林漁業金融公庫その他制度資金の償還延期などの条件緩和をしていただいて、あわせて利子補給をしてもらいたいという地元要望があるわけです。これについて、ひとつ長官考え方をお尋ねしたいと思います。
  32. 岡安誠

    説明員岡安誠君) いま御指摘のとおり、西日本の漁業、特にイカ釣り漁業につきましては、日ソ交渉の遅延もございましたし、北朝鮮の二百海里経済水域の設定等もございます。さらには、イカ釣り漁業が本年特に不漁であったというようなことも加わりまして、経営に相当な影響があるということは私ども承知いたしているわけでございます。ただ問題は、イカ釣り漁業は、先生承知のとおり、これから盛漁期に入るわけでございますので、今後の事態の推移は見守ってまいりたいというふうに考えておりますが、経営が非常に困難を来しているというような業者につきましては、私ども既存のいろいろ制度資金がございますので、それらを活用いたしまして対処をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、御指摘のすでに農林漁業金融公庫等から借りている資金につきまして、返済がむずかしいというような事態になった場合には、ケース・バイ・ケースでございますけれども、御相談があれば条件の緩和その他の措置はいたしたいというふうに思っておりますし、また、既存の制度金融等によりまして原資が不足するというような事態がございますれば、これは農林中金等とも私どもごあっせん等をいたす所存でございますので、これはケース・バイ・ケースで解決し、処理をいたしたい、かように考えております。
  33. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、水産物の輸入対策についてお伺いいたしたい。  現在、商社が水産物の大量輸入をやっていることは、これは事実なんですね。そこで、外国による漁獲規制が強化され、漁業者経営が苦しくなっているときに、秩序なく、制限なく輸入をされては、漁業者はこれは困るわけであります。特にフグ、イカなど零細な漁業者漁獲する特定の魚種の輸入対策として、商社による輸入を規制してはどうかと、そうして生産者の代表の加わった輸入機関をつくって、秩序のある水産物の輸入をしてもらいたい。先日大臣は、水産物の輸入を図りたいという新聞記事を見たわけですが、やっぱりこういうことは業界の立場、そういうものを十分考慮してやってもらわなきゃいかぬと思いますし、また、自由化品目の再検討、規制の強化をする必要がありはしないかと、こう思いますので、率直な大臣の御意見を承りたいと思います。
  34. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 二百海里時代を迎えまして、海外におけるわが国漁船による漁獲がこれは削減の方向にありますことは、残念ながら認めざるを得ないところでございます。そこで、国内におきまして水産物の価格が急激に高騰する、品不足を来す、いろいろの消費者の方面から御要望があるわけでございますが、しかし水産物につきましては、初村先生承知のように、イカ等のように輸入割り当て制——IQ品として取り扱っておるものもございますし、フグのように自由化されておるものもあるわけでございます。  そこで、このIQ品目につきましては、国内の生産並びに需要の動向を十分見きわめながら、生産者の立場並びに一般消費者の家庭生活に及ぼす影響等々を十分勘案をしながら、輸入割り当ての量の問題につきましては、今後慎重に取り扱っていく考えでございます。  自由化品目につきましては、これは政府として直接手をつけるわけにはまいりませんが、私は基本的に、将来二百海里時代になり、沿岸国がいろいろ漁業の振興なり漁獲努力をする。そういたしますと、開発途上国の場合等におきましては、主として沿岸の漁獲物が多く漁獲をされ、それが輸出されるという形になるわけであります。そういたしますと、国内の沿岸漁業者漁獲いたします魚種と競合するものがふえてくる可能性がございます。こういう点につきましては、将来各国の動向その他を見きわめまして、いま初村先生がおっしゃったように、国内の生産団体等を含めたところの一つの輸入の秩序ある機構なり体制というようなものも、将来に向かって検討を要する事項ではないかと、このように考えております。
  35. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 これは、私が地元という立場で、はなはだここで言いにくいのだけれども、これは陳情を受けたことですからね。  実は、今回の小型イカ釣り漁船で、ソ連水域に実績がありながら長崎県のイカ釣り船が一隻も入漁できないという結果が生まれている。なぜかというと、これは県で調査した時点において、各漁協と県との連絡指導が十分でなかったということが第一点。もう一つは、日ソの境界ラインについて漁民理解が十分でなかったという二つの理由からであります。年々歳々毎年七月下旬から十月下旬にかけて大和堆周辺、鬱陵島、竹島周辺漁業した実績があるわけですが、それが現在、さっき言うた二つの点で入漁許可を受けていない。そういうことをイカ釣り漁業者の立場から、現地でしみじみと私は訴えられたわけです。ことしはもうしようないと思う。ことしはしようないと思いますが、ぜひ何らかの方法で来年の入漁ができるようにお取り計らいをしてもらいたいということを長官にお願いするわけですが、答弁がしにくければせぬでもいいですが、お考えがあれば一言御答弁をいただきたいと思います。
  36. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 私も、実績がありながら今回出漁できないイカ釣り船があるということを聞きまして、実はびっくりいたしたわけでございます。今回の日ソ交渉によりましてクォータは大削減をこうむったわけでございますけれどもイカにつきましては実績をほぼ確保し得たわけでございますし、出漁する船も減船なしで済ますことができたというふうに喜んでいたのでございます。私どもそういうお話を伺いましたので、できるだけ早く実態調査いたしまして、来年の交渉に当たりまして、なかなかむずかしいとは思っておりますけれども、私どもそういう方々が入漁できるように、交渉を通じまして努力をいたしたいというふうに思っております。
  37. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、現在起きておる拿捕、これに拿捕保険が適用されていないわけですね。そうすると、この種の拿捕がこれはもうずっと続くこと、これでやまるということはないわけです。そこで私が考えるのは、拿捕保険を、特殊な保険をつくる考えがないかどうか。これは地元で非常に要望があったものですからお尋ねするわけですが、私どもやっぱり拿捕保険、新しい制度をつくって漁民救済する必要があると思いますが、これについて長官のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  38. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 御指摘のとおり、現在の拿捕保険の適用ということになりますと、日ソの間で協定を結んで、その協定違反をしたということで科された罰金についてこの拿捕保険を適用するわけにはまいらないわけでございます。  そこで、大臣先ほどお答えいたしたわけでございますけれども、別途何らかの救済措置はなかろうかということで現在検討いたしておりまして、できれば関係漁業者によります互助的な活動によってこれが救済できないかということを実は考えているわけでございます。たとえば漁業者が相寄りまして一つの団体をつくり、負担金を納めて、一定のケースの場合に、まあ見舞い金といいますか、そういうものをもらうというような組織はできないか、それに対して政府が何らかの形でもって援助することはできないだろうかということを現在検討いたしまして、できればこれを来年度予算において実現をするように、現在検討をいたしているわけでございます。
  39. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 現在、対馬に短波無線局が三つあるのです。ところが、今後国際間のトラブル防止、それから漁業関係の、漁船の動静を掌握するためとか、あるいはまたいろいろ事故防止のために中短波漁業用の海岸局をぜひつくってもらいたいという希望があるわけです。どのくらいかかるのだと聞きましたら、五千万ぐらいかかるという話でした。それでどうしても地元でこれをつくることはできない。何とかして国において設置できぬものかどうかという陳情があったわけですが、これについてよく調査してみますと、なかなかむずかしいようですが、長官はどうでしょうか。こういうことはやった方がいいと思いますか、御答弁をお願いします。
  40. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 先生十分御承知と思いますけれども、現在漁業用の海岸局は、大体漁業協同組合等の漁業団体が運営をいたしているわけでございます。現在、全国で百三十七の無線局がございます。ところが、最近なかなか物価の値上がり等によりましてその運営が非常にむずかしくといいますか、経費が増高をいたしまして、運営が非常にむずかしくなってきている現状でございますので、私どもはできればこれをもう少し合理化をするというような方法で、現在今後のあるべき姿等についての検討を進めているところでございます。  で、いま御指摘対馬に新しく中短波の漁業無線局を設けたいという御要望でございますが、建設にも相当多額の費用がかかるのみならず、運営につきましても相当な費用がかかります。私どもはやはり漁業無線の重要性、さらにソ連の二百海里その他の出漁漁船との連絡は密にする必要がございますが、その解決策といたしましては、近くの既存の無線局、これを利用していただきまして、その無線局と船主との間の連絡は、最近非常にテレファックス——電話等を利用いたしますテレファックスが整備されてまいりましたので、それを利用いたしますと、地元に無線局をつくるのとほとんど時間的にも大差なく利用ができるというような実例も多々ございます。私ども、御相談がございますれば、そういうような方向で御要望にこたえたらいかがかというふうに考えているわけでございます。
  41. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、私は竹島と尖閣列島の問題についてお伺いいたします。  御承知のとおり、竹島、尖閣列島周辺は優秀な漁場であることは間違いない。そこで、その帰属は日本の漁業に重大な影響を持っておる。漁民から見ますと、どうも今日の政府の主張は弱腰だというようなきらいがあるわけですが、私どもはそうは思っておらないけれども、やっぱり国民の中にはそう思う人がおるわけですよ。二百海里時代を迎え、その帰属はいまや漁業だけでなく、大きく国家利益の観点からも論ずる時代が来たのじゃないかと考えておるわけであります。  そこで、今後わが国固有の領土に対しては、従来よりもさらに強い姿勢で対処すべきである。北方四島のようなことじゃなくして強い姿勢でやってもらいたいということを、大臣の決意をひとつお伺いしておきたいと思います。
  42. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この問題は、農林大臣よりは外務大臣が出席の上で御答弁申し上げるのが適当と思いますが、しかし、竹島にしても尖閣列島にしても、初村先生指摘のように、二百海里時代を迎えて漁業の面からいたしましても直接関連のある問題でございますから、私からも所見を申し上げたいと思います。  竹島にいたしましても尖閣列島にいたしましても、これは本来わが国固有の領土でございまして、わが方としては、あくまでこの領有権を貫くという考え方には微動だもしない不動の方針を堅持しておるわけでございます。ただ、この問題の解決につきましてはあくまでこれを平和的手段、話し合いなりいろいろの方法を通じまして相手国との間に平和的にこれを処理したいというのが政府の方針でございます。  なお、漁業の関連の問題につきましては、相手国の二百海里等を実施いたします場合におきましては、相互の間で現状に大きな変更を来さないように話し合いによってこれを解決をし、わが国漁船操業の実績というものを確保することに最善を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
  43. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 北朝鮮問題についてお尋ねをしますが、先般、日朝議員連盟が行かれて、できれば民間漁業協定でもできやしないかというようなことでやったようでありますが、その結果はああいう形になったわけですが、やはり私ども政府間の交渉ができないわけですから、できれば民間協定をしてもらいたい。それにはやはり向こうさんが言う政府の保証的な問題、こういうものが万一できぬものかということも痛感するわけですが、やっぱりこの民間漁業協定のできるように、前向きの姿勢で政府としても後ろ盾をする気持ちがあるか、その点をお伺いしたいと思います。
  44. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 朝鮮民主主義人民共和国が、先般二百海里の宣言をいたしたわけでございます。これに対する対応につきましては、不幸にしていまだ日朝間には国交の正常化がなされておりません関係から、日朝友好議員連盟方々が訪朝をされました際におきましていろいろ御努力を願ったところでございます。ただ、その際遺憾なことは、国際慣例にもない、絶対に容認できないことは、軍事境界ラインの設定の問題でございます。私どもは、このような不当不法な一方的な軍事境界ラインの設定ということにつきましては、今後においても認めるわけにはまいらないわけでございます。しかし現実の問題として、向こうが一方的ではあるが軍事境界ラインを設定をして、それに入域をわが国漁船がした場合におきましては拿捕その他の不祥事態が発生をすると、こういうことに相なることが憂慮されますので、関係漁民に対しましては軍事境界ラインの中に入らないように、自粛するようにということで指導をいたしておるところでございます。  軍事境界ラインの外につきましては、御承知のように、明年の六月末まで、排水量二百トン以下の中小漁船につきましてはいままでどおり操業を認める、こういうことに相なっておりますが、明年の七月一日以前におきまして日朝間において民間漁業協定ができまするように、民間団体並びに関係者の御努力をさらにお願いを申し上げると同時に、政府としてもあとう限りのそれに対する力添えをいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。  なお、北朝鮮側がその際政府の保証を求めておるやに聞いておるわけでありますが、その政府の保証ということの具体的な内容がいまだはっきりいたしておりません。私どもはそういう状況も十分把握をした上で慎重に対処してまいりたいと、このように考えております。
  45. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 最後に私は大臣にお尋ねをしますが、大臣は今回政府行政改革問題に関連して、二百海里時代に対応して農林省を農林水産省あるいはまた農林漁業省に改めたいと発言をされたわけです。業界としては、これはもう十数年前からその声はあったわけです。水産省を設置してくれ、これじゃ困るじゃないかというような声はあったわけですが、特に最近、強力な漁業外交を期待している漁民は、大臣の発言を本当に時宜を得た発言と受けとめて、これの実現を強力に応援しておるわけなんです。どうか大臣のその発言を実現できるように強い姿勢で、ぜひ、今回やらなければ当分はできない、かように考えますので、大臣の決意のほどをお聞きしまして、私の質問を終わります。
  46. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま初村委員から力強い御鞭撻をいただいたわけでございますが、私も水産業界全体に水産省あるいは漁業省をつくるべきだ、世界一の水産国をもって任じておる日本に漁業省なり水産省がないという、そのこと自体がおかしいのではないか、こういう強い御要望のありますことを十分承知をいたしておるところでございます。  政府におきましては、今回福田総理が経済社会の動向その他を勘案をされて行政の抜本的な改正をやるべきときである、こういうことを国民の皆さんに明らかにいたしておるところでございますが、中央省庁の問題についてはいまいろいろの角度から検討を進めておるところでございます。ただ、農林省の問題につきましては、すでに私の考えを総理にも、また西村行管長官にも申し上げ、また与党の自民党の方にもお話しを申し上げて御理解をいただいておるところでございまして、独立した水産省なり漁業省というようなことは、私は総合食糧政策を今後進めるという観点からいかがかと考えまして、農林水産省ないしは農林漁業省ということにいたしまして、そして二百海里時代等に対応するために現在の水産庁の機構並びに陣容を拡充強化をして、そして二百海里時代に対応する万全の行政の体制を確立をしたい、こういう考えで今後とも努力をしてまいるつもりでございます。御協力を切にお願いする次第であります。
  47. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時十七分開会
  48. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、当面の農林水産行政に関する件を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  49. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 米のいわゆる余り米の問題について、大臣に所見をお伺いいたしたいと思います。  八月十五日の政府発表によりますと、本年度の産米予想高が一〇四%というように言われております。九月に入りましてから大きな災害等もございませんので、おおよそそれを下回ることはないだろうというふうに予見されます。この点について、二十九日までに正確な数字を取りまとめ三十日の閣議で農林大臣が発表するというふうな話を事務当局から聞いておりますが、それは正確な数字でということでございましょうけれど、現在予見される本年度の産米の予想、これはおおよそ八月段階の政府発表に近いものになるかどうか、そういう点についての大臣としての予想が立っておりましたら、正確な数字でなくても結構でございますから、まずお示しをいただきたいと思います。
  50. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今年の稲作の作況指数につきましては、八月十五日現在で全国平均一〇四という調査結果がまとまりまして、発表しておるところでございます。その後、関東等におきまして長雨等の影響等もあるようではございますけれども、全国的に見ますれば、この一〇四という指数を下回るような状況にはないように推定をいたしておるところでございます。したがいまして、相当の予約限度数量を上回るいわゆる余り米が発生するであろうということを私ども考えておるところでございます。
  51. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 実は一昨日、秋田でツツガムシ病で死亡者が出ております。それの理由として、新潟医大の発表によりますと、おおよそ農薬に対する自主規制が進んできた反面で、この四、五年ツツガムシ病がまたぶり返してきていると、こういうようなことを報告しております。農薬を農民自体が、自分たちに対する被害も非常に多いということで自粛を始めた。そうすると、その反面でツツガムシなどというような命にかかわる問題が一方で出てくる。さらにまた、五十年度だけをとってみましても、農薬を使用した農民の中で、散布中に六名も死亡者が出ているというふうな実況でございます。そうしますと、これは農薬を使っても、あるいはまた自主規制をするようになってきても、どちらにしても、いまの農業というのは命にかかわるような大変な場において農民が本当に努力をしておるということが言えるのでなかろうかと思います。  そういう中で、ことし多くの予約米限度数量を突破するであろう余り米、これは事務当局によりますと、いまのところ現行の制度の上では買えないというように、各地の農民が農林省陳情しても、そういう答えよりどうも返ってきてないようでございます。一つには、前例がないというふうなことを食糧庁長官からも言われておるというふうに伝え聞いております。これは前例があるかないか、もともと前例というものは最初は何もなかったんですから、みんな一つ一つ新しい前例をつくっていったのだと思います。ことしのいわゆる余り米、これはもう北海道だけでも八万トンから十万トンと言われておりますから、全国的に見ると百万トンくらいにはなるのではなかろうかという予測も立てられております。恐らくそうしますと、話半分にしても五十万トン。従来はそれらについても、いわゆる消費県では自主流通米その他というふうな形で、これが何となく消化されるというふうなことも行われているやに聞いておりますが、特に生産県である北海道とかあるいは九州というふうなところ、さらにまた、本日先ほど御報告がありました農林水産委員会調査等においては、東北等においてもきわめて深刻に農民がこの問題を受けとめておる。そういう実態については、大臣もいろいろな機会を通じて御承知になっておると思います。しかし、現行の制度の中でなかなかできないということにつきまして、北海道では与野党ともにこの問題については一致して、何とかひとつ全量政府買い上げをしてもらいたいというような陳情道議会からも出てきております。  そういうことでございますから、大臣が腹を決めて、政治的にこの問題を解決しようとするならば、恐らく与野党を通じて協力態勢ができて、全量政府買い上げの方向に進むことができるんではないかと、かようにも考えますので、これらについてのひとつ大臣の腹蔵のない御意見を承りたいと思います。
  52. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ことしの作柄は先ほど申し上げたとおりでございまして、相当量の予約限度数量を超過するお米が発生をするということでございますが、御高承のとおりに、昭和五十年には大変な豊作でございまして、全国平均の作柄は一〇七と、今年度を相当大幅に上回る大豊作であったわけでございます。  その際におきまして、政府といたしましては、予約限度数量ということで、その分につきましては全量お約束のとおりやったわけでありますが、限度数量を超過した分につきましては、自主流通米のルートを通じまして、つまり、集荷につきましては農協その他の指定団体、また、販売の面におきましては全糧連の傘下の方々、そういう自主流通米のルートを活用いたしまして、そしてこの作況指数一〇七という大豊作の際におきましてもこの余り米を処理いたしたわけでございます。私どもは、現在でも一政府の手持ち米が相当大量になっておりますし、予約限度量を政府で買い上げましてもこの出来秋には三百三十万トン程度になるであろうと、こういうような状況下にございますので、五十年と同様に、自主流通米のルートを通じてこの超過米の処分はやっていただくように、関係団体にその御協力方を要請をしておるということでございます。  ただ、北海道につきましては、五十年には水害その他の悪条件がございまして、全国平均は一〇七でございましたけれども北海道はわりあいに生産は伸びなかった、平年作よりも下回ったという状況下でございまして、北海道の農民の方々にとっては、ことしが初体験というようなことで御心配があるようでございますけれども、全国的には農業団体にしてもあるいは流通関係の業者の方々にしても十分経験を持っておりますので、今年度の余り米はそういう方向で処理をしていただきたい、そのように考えておるところでございます。
  53. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 北海道の各町村に参りますと、町村長あるいは協同組合長、みんな頭を痛くしております。政府の方針に従ってことしの減反政策を忠実に守った、そういう点での減反の問題について一〇〇%協力をしたならば、豊作のときの余り米については十分考慮してもらえるというふうなつもりで一生懸命やったと、こういうことでございます。ですから、私はこれは北海道にとっては大変に困った問題だと思いますが、さらに本日も村沢委員からも御指摘のありましたように、東北あるいは九州と、必ずしも北海道だけの問題でなくて、米の生産県についてはそれぞれ同様な悩みを持っておる全国的なことしの重要な課題だろうと、かように考えます。そうして、そのときに、いわゆる何らかの方法でそれらは農家から売られていく、そういう手だてを五十年のときにもしたので、そういうことで事は処理できるというふうないま大臣のお考えでございますが、これは食糧庁の長官にお伺いいたします。  実は、五十年のときにもそうだと思いますが、本来米は正当のルートを通じて、それぞれ自主流通米あるいは銘柄米等においても売られるべきものでございます。しかし、巷間伝うるところによりますと、いわゆる余り米等のものが銘柄米等にブレンドされて量がふえていっている、こういう話も伺っておりますが、実態としてそういうことはいままでお聞きになったことはございませんでしょうか。
  54. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 問題を分けて申し上げますと、御案内のとおり、消費者の購入していただきます米につきましては、政府がこれを売却いたします銘柄米あるいは非銘柄米というものが原料玄米になる面と、あとは、これも国の管理のもとにございますが、農協が集荷をいたしまして、自主流通計画という国の承認を得た計画で集荷したものが卸売販売業者等に販売されて、それが配給計画に組み入れられて配給される、そういう原料玄米、これが通常上米と言われている米でございますが、しばしば指摘されてわれわれも指導監督を厳にしておりますのは、政府の原料玄米のうちの非銘柄米というようなものとそれから銘柄米と、消費者が喜ぶ品質の高い米というものをブレンドいたしまして、格上げ混米をいたすというような事例等はあるわけでございますが、事配給制度にのっとります卸、小売等のルートにおきまして、先生の余り米というお話はどういうものを指しておるかと思いますけれども、自由米等を混米した格上げ混米というようなものについては、われわれとしてもその事例を聞いておらないわけでございます。
  55. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 そこで、長官に特にお願いいたしたいんですが、——お願いというより聞いていただきたいんですが、結局、国内で消費される米の量、そしてそれの余る量というふうなものも、国内においては限られていると思うんです。ですから、自主流通米がふえれば政府の買い上げた米が余る。というのは、こういうことになりませんか。余剰米が出ますわね、買い上げ限度数量以上に。これらが、先ほど大臣の言われたような何らかの形で市場に出ていけば、その分だけ政府の米の配給を受ける量が減りますわね。ですから、結局どっちにしても政府はそれだけのものを、余剰米があるから、そして余剰米がふえていくから、そういうものをさらに限度数量以上買うことができないのだというお考えのようですけれども、どちらにしても出る余剰米は、どういう流れ方をしても出るのじゃないんですか。  そうしますと、これは一生懸命がんばって、それこそ冒頭申し上げましたように、ときには命がけで生産に努めておる農民が、豊作を喜べないようないまの政府の姿勢といいますか、それじゃあんまり農民がかわいそうじゃないかという気もいたしますし、どちらにしても余るものであれば、金額的に見てもそうびっくりするほどの、二兆円の今度の補正予算の規模の中から言いますとそれほどの数じゃなくて、全国の米をつくっている農民が安心して営農、来年度の大計も立てられる——私たちのいろいろ押さえている状況によりますと、もうことし豊作で余った米を国が買ってくれなけりゃ、どうしても安売りしなきゃならぬと。そうしますと、もう営農意欲をなくして息子たちがやめたいと、もう農業はだめだと、農業の崩壊にもつながりかねないような実は状況というようなものが御承知のように各地で出てきておる。そういう中で、先ほど鈴木農林大臣は、漁業罰金の問題についても、できないけれども何らかの方法をと言っておりましたが、いまの食管制度の中でこれはできないかもしれませんけれど、もっとこう大きな政治的判断の中で、余り米は全量国が買い入れするんだというふうなことを大臣が胸を張って言えるような、ひとついい案を事務当局でお考えをいただくわけにいきませんでしょうか、いますぐとは申しませんが。
  56. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 丸谷先生の御質問は何点かあるようでございますが、第一点の問題すなわち予約限度数量というのは、需給上必要な米につきまして政府が買い入れ管理する必要がある数量について定めまして、末端の生産者の方々までそれぞれの段階を経て示されておる。これは政府が買い入れるか、あるいは正規の自主流通でこれを流通する、いずれにしても限度の中の米でございますし、また配給計画の中に入っております。  で、超過米は、その年によって発生するときもございますし、また五十年あるいは本年も相当量の発生がある。その場合においては、食糧管理制度の上で流通秩序を維持するという問題もございますので、先ほども大臣もお話がございましたように、全農等の指定法人、末端の系統を通じましてこれを生産者から集荷をいたし、これを卸売業者に販売をいたして、これは配給計画の中に入る米でございます。したがって、そういう意味では、先生がお話しのように政府の操作、政府売却米等の操作がそれだけの影響を受けるという点は確かでございますが、しかしながらやはりわれわれとしては、先ほど大臣のお話にもございましたように、米の需給均衡というものを確保することが当面引き続いて緊急の課題でございまして、やはり需給上必要な限度内の米とそうでない米との扱いというものについては、それなりの食管制度上の扱いをいたさなければならないと。  実は最近におきまして、この過剰基調は一段と強まっておるわけでございまして、これには諸般の理由もございましょうが、農家の方々稲作への志向が非常に強い。したがって、自己開田その他いろいろな理由からその供給力が高まり、限度を超える米の発生があり、その過剰自体が食管制度の運用自体を危うくするというような事態になっておりますので、その点につきましては、予約限度制を導入して以来、これをルール化しております。繰り返すようでございますが、自主流通米の流通ルートを活用して、全量発生した超過米は処理するという方法で臨むことがしかるべきだというふうに考えております。  なお、ちなみに申し上げますが、先ほど大臣もお触れになりました五十年におきましても、当時の生産調整数量は百万トンでございました。百万トンでございまして、おしなべて各県ともその目標を達成していただきまして、たしか百八万トン、国全体の生産調整を農家の御協力でやり遂げたという点もございましたが、豊作で大幅な超過米が出た。しかし、この米の取り扱いいかんが米の需給均衡を図る上において非常に慎重を要するというようなことで、先ほどのような処理をいたしたというような経緯もあることを、御了承願いたいと思うわけでございます。
  57. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 米の問題、食糧政策全体のいまの方向というものは、二十一世紀に向けて大変な食糧難の時代が来ると言われておる世界の状況の中では、真剣に日本としても見直しをし、長期の大きな展望を立てて農民を安心させられる、そういう農業政策の確立が必要だと思いますが、本日はそれらの問題に言及する時間的な余裕もございませんので、差し迫った余り米の問題だけに限定をいたしましたけれど、実はこれらの点につきましては、実際に数字の上では農家の保有を北海道で百二十八キロというふうな計算をしております。しかし、これはいまの農村の実態では百二十八キロということでなくて、恐らく実際に使われているのは九十キロ前後じゃないかというふうに私たちは想像いたします。これも農林統計を云々するわけでございませんが、その月々の、八月、九月、十二月、いろいろ数字が総体として変わってきているのが毎年の例のように伺っております。そして、そういう中で一体米の消費をふやすということに対する努力、どうも農林省がこのことについては余り腰を入れてないような私たちは気がするんです。  最近、魚のことにつきましては、イワシやサバ、サンマを食べましょうということで何かえらいPR用の予算を持ったように承っておりますが、そういう点で、米の消費を拡大するために農林省が持っておるいわゆるPR用の予算というのはどの程度あるんですか。
  58. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 米の需要拡大につきましての御指摘でございますが、われわれとしては、特に反省させられた四十七年の穀物ショック以来の総合食糧自給力の強化、さらに食生活における見直しという点から、わが国の基本的な農産物であり主食でございます米を中心とした食生活というものを軸に置きまして、その消費の拡大を図るという基本方針を取り上げたわけでございます。  御案内のとおり、戦後、三十年代中ごろから以降の高度成長期に、生活様式なり食生活の大きな変化によりましてでん粉質食糧が大きく減って、特に米を中心として減ったというような食生活のパターンが大きく変化をした、その中で現在に至っておりますので、この本格的な米の消費拡大と、わが国の食生活に定着した消費拡大については、相当息の長い施策が必要だろうというようなことで諸般の対策を取り上げておるところでございますが、特に長期にわたる米の消費に最も影響したと考えられます学校給食、パン給食を基本食として戦後三十年近くの長きにわたって行われました学校給食における米飯給食の導入というような点を中心といたしまして、長期にわたる施策を行っておるわけでございますが、直接的な需要拡大というような点の予算については、学校給食についての三五%の値引きというようなことによる財政負担というようなものが五十二年度予算では十七億、そのほか消費拡大等の各種の需要拡大予算としては、テレビ予算の二億七千万あるいはその他宣伝といたしまして各種の消費拡大事業として一億三千万というような経費を行うほかに、米の新規用途の開発というようなことを行いまして、予算としては、五十二年度予算では二十六億というような予算を計上しておるわけであります。
  59. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私は簡潔にいまの最後のことだけ聞いているのに、長々と質問しないことを前段でやられますと、ただでさえ少ない時間がなくなっちゃうわけなんですよ。そういう点は、ひとつ委員長の方において十分答弁する方に御注意をいただきたいということをまずお願いいたします。  それで、いまお伺いしましたようなことでも、実際には学校給食その他いろんなものに十七億というふうな話でありますけれど、米の消費拡大ということで一般消費者に対するPR用の金額というのは、きわめていまお伺いすると少ないような気がするんです。本当に農林省は、米の消費を拡大していくということについての熱意があるのかどうか。特に食糧庁の事務当局としてはどういうふうにしてそれに対応しているのかということと、もう一つ、まさか外国から米を輸入しているというようなことはないんでしょうね。この二点をひとつお伺いしたい。
  60. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  米は、主食用のウルチ米等については、かつて四十年当初までは八十万トンから百万トン輸入しておりますが、現在は一切輸入しておらないわけでございます。
  61. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 ちょっと質問をはき違えているんですがね。私はウルチ米と言って聞いているのじゃないんですよ。米と言って聞いたんだから、米について答弁してください。
  62. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  モチ米につきましては、これは毎年需給変動が非常にございますので、四十九年、五十年は非常に豊作で次の年に十万トン以上の持ち越しをしたというような事態がございましたが、その後五十年、五十一年が非常に不作だというようなことで、二万トンないし三万トンのタイのモチ米等を需給操作として例外的な輸入をしている例はございます。
  63. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 それでは、米としてでなくて、米の製品を輸入している数字は押さえてございますか。米を米として輸入するのでなくて、たとえばモチにするとかいうふうな、昔よくありましたね、米はやみだけれど、モチにするとしょって歩けるというやつが。ああいう調子で外国から入ってきているのはどうなんですか。
  64. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 関税分類上いろいろございますが、米の加工品ということで明瞭なものにつきましてはIQ制を実施しておりまして、この輸入はいたしておりません。ただ、わずかに繊維用、織物用ののり用の外米が、工業用としてこれが用途上の特殊性があるために二、三千トンの割り当てを行っておる、これは米粉としてやっておるというような例がございます。
  65. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 わずかということでございますけれど、モチ米の輸入は現に行われているというふうに理解してよろしいと思いますが、それで実は米の全体的な政策の中で、最近モチ米を農家がつくることを喜ばないというふうな実態が各所に出ております。ただでさえ余る米の中で加工用、菓子原料等になるモチ米をつくらない、非常に基準も厳しいようでございますし、中にはウルチの含有している。パーセントの取り方とか、いろんなそういう問題もございまして、なかなか農家がいま喜んでつくらない。ここいら辺にも、ひとつこれからの米の政策で農林省として考えていただかなきゃならない問題があるんじゃないか。  それと消費拡大については、これはもう皆さんがよく言われていることですが、一人年間十キロに満たないくらいの消費が拡大すれば米は余らないんだというふうな中で米の消費拡大を図ることと、それからそういう作物の転換、それからもう一つは、いま明らかになりましたように、結局余り米という形の自主流通米というふうなものがふえていけば、何のことはない政府の手持ちが同じようにふえるんですから、政府が買い上げても買い上げなくても、全体としての在庫数量がふえていくという現況に変わりがないと思います。これらを踏まえてひとつ本年度の予約米につきまして、これは大臣にお願いいたしますが、何らかの方法で農民が安心できるような政治的な配慮を特にお願いをいたしたいと思います。これはとても現状を改善できないんだということでなくて、この問題まだ先がございますので、それらについてのひとつ大臣の見解を最後にお聞きいたしたいと思います。
  66. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 米の需給均衡を図っていくということは、食管制度を健全に運営し、また制度そのものを今後も堅持していくと、こういう観点から非常に重要な問題でございます。私は、現在の食管制度が生産者並びに消費者に対して大きな役割りを果たしておるということでこの食管制度はあくまで堅持していきたいと、そういうような観点に立ちまして、この余り米等の処理につきましては、政府が前から堅持してまいりましたところの方針で処理してまいるという考え方には変わりがございません。  そこで、米の需給均衡を図りますためには、丸谷さん御指摘のように、一方において自給度の低い麦でありますとか、飼料作物でありますとか、あるいは大豆でありますとか、そういう重要な農産物もあるわけでございますから、総合的な重要な作目の自給力を高めるというようなことで、ただびほう的な米の生産を減らすのだということでなしに、総合的な食糧の自給力を向上せしむるという政策と、一方におきまして米の消費の拡大、この両方から私どもは米の需給均衡を図ることに最善を尽くしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 私は、先ほど報告いたしましたように、農林水産委員の一員として東北地方も視察を二してまいったわけでありますが、それらに関連をして当面する問題、また基本的な問題について質問いたしたいというふうに思います。時間も限られておりますし質問したいこともたくさんありますから、最初に要望しておきますか、答弁も簡潔にお願いしたいというふうに思います。  まず最初に、米に関連をする問題でありますけれども、ただいま同僚丸谷委員からも質問のあったところであります。非常に重要な問題でありますので、重複を避けて重ねてお伺いいたします。  まず、大臣は、本年度の作況指数について八月十五日に農林省が発表した指数、数量よりも相当量上回る予想であるというふうにお話があったところであります。食糧庁長官にお伺いいたしますけれども、九月段階において集計はできないとしても、八月段階から想定をして一体ことしの予想収穫量、あるいはまた出回り見込み量、それから予約数量を引いて超過米はどのくらいになるのか、八月時点と変わっておらないのかどうか、その点について数字をもって示してください。
  68. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、八月十五日の作況はあくまでも作況指数でございまして、作付面積その他収穫量を予想するデータは、九月十五日現在の今月末発表される数字から出てくるわけでございます。したがいまして、収穫量自体が、作柄が動いているとか作付面積が確保されないというようなことで、全体の収穫量自体をまだ的確に把握することはできないわけでございまして、したがって、超過米の数量等についてもお示しのような数字としてお答えできる段階ではないのでございますが、諸般の情勢から相当量の超過米の発生が予想されるというようなことで、われわれとしても種々のこれに対する対策の検討をしておるというのが、ありのままの姿でございます。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 すでに農業団体やそれから新聞等によれば、この収穫予想量等もかなり数字が示されておるわけですね。ですから、この委員会の場で正式に言えないとすれば結構です。それはこれからの今後の発表を待っておりますが、そこで、予約限度超過米の取り扱いについて、食糧庁は本年七月三十日付をもって食糧事務所長あて、九月末までに集荷をされ十月末までに販売をする早場米についての取り扱いを指示しているわけですね。その後の取り扱いについて、追って通知をするということですね。十月も近づいてまいりましたけれども、十月以降に集荷をされるいわゆる予約限度超過米の取り扱いについてはどのような通達をされるのか、その点について、時期も迫っていますから。
  70. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 本年度発生を予想される予約限度超過米につきましては、十一月から始まります五十三米穀年度の需給計画に入るわけでございます。したがって、九月、十月、まあ十月に入りますと本格的な集荷が始まりますが、その際におきましては、本来の限度内の米はもちろん、超過米につきましても、先ほどもお話し申し上げましたように、全農等を中心とする系統団体の集荷というものを全量集荷を急がしておりまして、その数字を見た上で十一月からの配給計画にこれを組み入れていくということになっておるわけでございます。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 その正式な通達というのは、いつごろ出すんですか。
  72. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) これは、十一月からの米穀年度開始前にまず集荷はしておけということは当然でございますが、これの配給計画への組み入れ等につきましては、十月中にしかるべきそのゆとりを持ちました時期において取り扱いを決めるということにしておるわけであります。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、この際大臣にお伺いをしたいんですけれども、丸谷委員質問に答えて大臣は、あくまで超過米については自主流通ルートで対処するという姿勢を示しておったわけでありますけれども、私は重ねて大臣に、ことしの米については政府で買い上げるべきだと、そのことを要請をしたいと思うんです。  私がそのことを取り上げるのは幾つかの根拠があるわけでありますけれども、御承知のように、農家は今日まで生産調整に協力をして減反目標もほぼ達成してきたというふうに思うんです。そうしてまた農民の技術の向上と相まって、天候も支配をした、自然現象によってこうして米がたくさんとれるようになって超過米が出てきたんです。したがって、この農家の努力に報いるべきだ、そのことが一つであります。  それからまた、ことしの生産者米価を決定する際に大臣も大変苦労したようですけれども、物価の値上がりにも及ばないような低米価で決定をされたんです。農民は、価格は低米価、しかもつくったものが売れないということであって、これでは余りひどいと思うんですよ。  それからもう一つは、超過米をこのまま放置しておいたのでは、なるほど自主流通ルートでもって販売をするというようにおっしゃっておりますけれども、余り放置しておけば米穀の流通が極度に混乱をしてくる。これから、ないかもしれませんけれども、商社の買い占め等があったり、さらに消費者に対しても多くの不安を与えるわけであります。そのことも一つの理由です。  加えて、後ほど質疑いたしますけれども、来年度政府は思い切った減反政策を打ち出そうとしているわけです。こういう政策を出す手前、ひとつことしの分については買い上げるんだと、そうして食管制度を守っていくんだということの、五十年度こういうふうにやったからできるんだという、ことしもやってくれるだろうということじゃなくて、時代も変わっていますし情勢も変わっていますから、その点について大臣の決意というか意見というか、考え方要請をし質問するんです。
  74. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今年度の作柄等につきましては先ほど来申し上げたとおりでございまして、私は五十年の経験からいたしまして、十分自主流通のルートによりまして超過米は処分できると、こういうことで関係団体に御協力を申し上げておるところでございます。  いま私どもが最大の関心事としてやっておりますことは、米の需給均衡を図り、そして足らない重要な他の作目の自給力を向上させる、こういうことでございまして、この需給均衡を保持いたしますためには、政府がはっきり生産農民の皆さんにお約束をしたところの予約限度数量、これを守っていくということでございます。天候等の関係で豊作になったと、これは農家にとりましては予約限度数量は政府で買い上げる、その上に豊作によるその分につきましては、これはひとつ系統団体等のルートによって処理をすると。これは、何といっても農民の方々にとりましては経済的にはプラスになる、もうけの部分になるわけでございまして、私は決して農民諸君がそのために生産意欲を減退するものと、このようには受け取っておりませんし、過去においてもそういうことが十分みごとに達成をされておるということで、そういうことで今後やっていきたいと、こう考えております。  なお、米価の問題に触れましたけれども、これは御承知のように生産費所得補償方式、これが食管法によって明示されておりますので、生産費並びに物財費等の値上がり等につきましては、的確にこれを調査把握をして反映さしたところでございます。ただ、農業団体が示しましたところの八〇%がバルクラインであるとか、あるいは地代を実納小作料で評価をするとか、あるいは家族労賃を政府の方ではこれを全国の製造業の五人以上千人未満でとっておりますが、それを青天井にせよと、そういう物差しが違います関係で、いろいろ農民諸君は不満を述べておられたところでありますけれども政府としては食管法の命ずるところによって生産費並びに所得補償と、こういうことで米価を決定したものでございまして、決して恣意的に低米価を決めたものではない、この点は明確にこの機会に申し上げておきたいと思います。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 超過米に対する考え方大臣答弁ですね、私は若干意見を異にするものでありますし満足しませんが、この問題は論議をすればかなり長く時間もかかりますし、私たちの党においても、また私も委員会においてさらに要求してまいりたいというように思います。  先ほど来、農業団体の協力によって自主流通でもって超過米も対処していきたいという答弁が何回か繰り返されておったわけであります。もちろん、米の管理だとかあるいは消費については政府の責任であるというふうに思いますけれども政府はこれを備蓄する責任がある、あるいは流通を図る責任があるし、先ほど丸谷委員からも指摘をされたように、消費を拡大する責任等米についてはあるわけなんです。しかし、政府だけにすべて任しておくわけではなくって、お話がありましたように、農業団体も販売促進だとかあるいは消費拡大だとか、一緒になって協力して取り組んでおるわけなんです。したがって、そういう取り組んでおる自主流通米、その超過米ですね、これについては、やっぱり政府も農業団体等に対してそれなりの、誠意も示さなければならないというふうに思うんです。つまり自主流通米としては販売促進費が出されていることは承知しておりますけれども、自主流通ルートで販売される超過米について、もし農業団体等に対して協力を要請するんだったらば、政府が金利だとか、保管料だとか、これを当然支払うべきだというふうに思いますけれども長官はどのように考えておるかどうか。  あるいはまた、農業団体等が集荷をするについては、集荷をするための奨励金というか、促進費というか、さらにはまた、米がたくさんとれるといまの農業倉庫だけでは間に合わないかもしれない。そうすれば、臨時農業倉庫も指定をしなければなりませんけれども、それらに対しての措置も、自主流通米でもって消化をするということを強調される政策ならば、そうした措置も同時に考えてやらなければ不公平になりはしないかというように思うんですが、その点はどうですか。
  76. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 過去においてもそうでございますが、超過米は自主流通米の流通ルートで処理いたしました。その場合に集荷、販売等について、集荷団体等が円滑にその業務が処理し得るような国としての援助、助成というものについては、その年々の状況によりましてしかるべく措置してまいったわけでございます。本年につきましても現在農業団体等とこれらの円滑な集荷、販売というものについていろいろ要望を聞いて検討しておるというのが現段階でございますが、なお、その中身等については現在検討中でございますので、具体的な数字をお示しできないのは残念であると思いますが、できるだけ早く、すでに出回りも始まっておりますので、早急に決めたいというふうに考えております。  なお、倉庫問題等も御指摘のとおりでございまして、臨時倉庫なりあるいは特別輸送あるいは特別指定倉庫というような倉庫問題についても検討いたしておりまして、同じく生産者団体の協力を得まして、国としてもなすべきことをなすという姿勢で、とりあえずその措置を進めたいというふうに考えております。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 いま長官から、自主流通ルートで販売をする超過米について、政府はそれなりの対処をするという答弁があったわけですけれども、これは検討しているだけじゃなくて、実行してくれますね。
  78. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 申すまでもなく、本年の事情に踏んまえたそれなりの措置をいたさなければならないというふうに考えております。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 米に関連をいたしまして、私は明年度の、五十三年度米の生産調整についてこの際伺っておきたいというふうに思います。  従来の水田総合利用対府を今度改めて、明年度の生産調整はかなり思い切った調整をする、つまり水田利用再編成対策——どういうものか知りませんけれども、新聞によるとそういうふうになっておりますけれども、という名称をもって、その減産目標数量は本年度の約二倍の百七十万トンともあるいは百八十万トンとも言われ、水田面積の約一四%の四十万ヘクタールを凍結して畑作に転換をしていく、このようなことがたびたびマスコミを通じて報道され、ただマスコミだけでなくて、聞くところによると、農林省は都道府県の担当部長会議を開いてその要綱を話をしたり、さらにまた知事会等にもそうした考え方を諮っておるというふうに言われておるわけでありますけれども、私は新聞で見る限りでありますので、ひとつこの国会の場で、この委員会の場で、水田利用再編成対策、この言われるもののねらいと骨子とその要綱、さらにまた、五十三年度の予算編成に向けて概算要求もされているということでありますので、まずその基本的なものについてお尋ねをしたい。
  80. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 米の需給均衡をできるだけ早く回復をすると。また、あわせて重要な需要に見合ったところの麦であるとか、大豆であるとか、あるいは家畜の飼料であるとか、そういう重要作物を総合的な自給力を高めていくと、こういう基本的な方針に基づきまして、今年度は九十万トンの米からの転作、水田総合利用対策として農民の方々の御協力を願ったわけでございます。しかるところ、なお稲作に対する志向はきわめて根強いものがあり、またいろんな水田総合利用対策等、努力をしておりますが、麦、大豆、飼料作物等に対する生産の向上というのがどうしても停滞的な状況にあるわけでございます。そういうような観点からいたしまして、私どもは水田総合利用対策をさらに一歩を前進さして、水田利用再編対策としまして抜本的な個々に総合自給力を高めるという施策を展開をしていきたい、このように考えております。  端的に申し上げますと、単に米の生産を低位に抑えるというような、そういうびほう的な、あるいは一時的な対策としてでなしに、長期的な食糧政策の観点に立ってこれを進めていきたい。したがいまして、今後の水田利用再編対策は十年ぐらいの長期の計画で、しかしその十年の中で三年ぐらいずつにこれを見直すようにいたしまして、そして農産物の価格の面におきましても、米価と他作物との価格の均衡をできるだけ早く見出すように、また土地改良事業、その他奨励金の問題等を総合的に、生産対策、構造対策あわせましていまのような政策を進めてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。このことは、一方におきまして、現在の食管制度をあくまで農林省としては堅持してまいりますためにもこういう政策をとっていこうという考えでございまして、農業団体その他にもよくこの点の御理解を願い、積極的な御協力をいただけるようにお願いを申し上げておる段階でございます。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 水田利用再編成対策のねらいはわかったわけでありますが、私は農家が何でもかんでも米をつくれという主張をするわけではないんです。転換も必要でありましょうし、減反も必要でありましょうけれども、思い切ったそのような施策を行うについては、その前提条件や、あるいは内容、方法が整っておらなければならないと思うんです。時間がありませんから、一つ一つ一問一答できませんけれども、私は以下の点について骨子だけ申し上げますから、どのように考えておられるか、大臣でなくても結構ですから答弁願いたいと思うんです。  まず、価格の保障ですけれども、休耕でなくて畑作に転換をしていく、麦、大豆、飼料作物等の生産に切りかえていく、その場合にはやはり転換作物の価格保障がなくちゃならないというふうに思うんです。つまり米をつくっても同じような形の価格、米の価格にアップしてそれらの価格があるような方法、そのことがなくてはならない。  次には、かなり思い切って転換等の目標数量を示すようでありますけれども、この配分と、いわゆる地域分担、適地適産との関係をどうするのか。一律に配分をするのか、傾斜配分するのか。三全総も農業の地域分担なんかも打ち出しておるようですけれども一体何を基準にしてそのことをやるのか。つまり、上からの押しつけであってはならないということをいろいろな形で言っておるわけです。農民の意向や農業団体の意向をどのように反映をしていくのか。  さらには限度数量、この限度数量を配分するに当たっては、一体限度数量がその目標を達しない場合においてはどのような形で将来持っていくのかというようなこと、あるいは裏作の作物はそれを固定化していくのか。麦だとか大豆だとか飼料作物を挙げているようでありますけれども、それだけに限るのかどうか、それらの基本的な問題について簡単に答弁願いたい。
  82. 澤邊守

    説明員(澤邊守君) まず、第一点の転作作物の価格対策の問題でございます。価格保障の問題でございますけれども、現在の転作作物でございましても、反当収益性におきまして米以上のものもございます、野菜等の一部に。しかし、一般的に重点作物として考えておりますような麦とか大豆とか、それらの作物につきましては、反当で見る限りは稲作収入に劣るわけでございます。したがいまして、大臣から先ほどお答えいたしましたように、時間をかげながら米価と他の転作作物、畑作物との相対価格関係の是正を図ってまいりたいと思っております。ただ、これは一気にできませんので、時間がかかりますので、その間は転作奨励金という措置で補てんをしていくということで、転作奨励金につきましても従来より引き上げていきたいというように考えて検討をいたしております。  それから、第二番目に地域分担でございますが、これは率直に申し上げまして、現在の九十万トンの転作の配分におきましても地域分担的な要素はすでに入っておりますが、私どもといたしましては、今後転作作物の定着を図りますためには、一層地域分担的な考え方を推し進めていきたいと思っております。ただ、これは率直に申し上げまして、生産者団体あるいは地方行政機関等におきましても、総論的には皆さん賛成されますけれども、各論ということになりますとなかなか一致しない面がございますけれども、われわれとしては御理解を得ながら、そのような方向で進めていきたいというように思います。  それから、第三番目の限度数量の配分に関連いたしまして、達成しなかった場合の措置でございますが、私どもといたしましては、転作を達成をしていただくためには、足並みをそろえてやっていただくためには、達成をされた方と達成にまで至らなかった方のやはり公平確保のための事後措置というものが必要であると思いますので、転作の目標数量を達成できなかった農家につきましては、あるいは県なり町村なり農家につきましては、何らかの方法で次年度において調整をするということを、公平確保という観点からやりたいということで検討をいたしております。  それから裏作作物につきましては、やはり転作作物として従来以上に重視をしていきたいと思いますので、たとえば麦作等につきましては、従来は一部の地域しか裏作の麦作による転作を認めておりませんでしたけれども、広く認めるように検討しておるところでございます。
  83. 村沢牧

    村沢牧君 いまの内容についても、これまた私もどうも納得がいかないところがたくさんありますが、時間がありませんのでそれ以上申し上げませんが、この際大臣にお伺いしたいんですが、これは思い切ってこうした転作をするということは、ただ単に余り米対策でやるんだ、食管会計の赤字をなくすためにやるんだということでなくて、これだけおやりになるんだったら、日本の農業を再編成をしていくんだというような気持ちで取り組む決意が必要ではないかと思うわけです。  そこで、まず食管制度の堅持ですけれども、これは大臣が先ほどから弁明しておりますからこのことはそのように私どもも了解をし、さらにその大臣の言う食管制度を堅持していく、この気持ちを守ってもらいたいと思う。  それから、こうすることによって日本の食糧自給度の向上をしなければいけないと思うんです。いま、御承知のとおり、カロリー計算でいって四〇%、これだけ水田を他の作物に転換した場合に、食糧自給度の向上になってくることにつながってこなきゃいけないし、あるいはそのためには外国の食糧を輸入することも減らしていかなければいけないと、こういう決意がなくてはいけないし、先ほど申しましたように、価格の保障がなくてはならないと思うんです。先ほど米価の問題について大臣は触れておったわけでありますが、ことしの米価決定の際、大臣は、今後の米価決定については今秋何らかの方向を出して再検討をいたしたいということも言われているわけですけれども、あわせてそれらの問題を含めて、大臣がこれだけのことをやるのだったら日本の農業を再編成をしていくという決意のほどを、私の指摘した点を含めて御答弁願いたいと思います。
  84. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いま村沢さん御指摘になりましたように、単にお米の生産を抑えるというような観点でなしに、総合的に必要な需要に見合ったところの農産物の自給度を高める。つまり、日本の農業を、稲作重点偏重よりもこれを総合的な観点で再編成をする。また、この転作につきましても、一時的なものでなしにこれを定着をさせていきたい、そして総合的な自給度の向上を図りたい、こういう決意で、しかもそれをやりますためには十年ぐらいの一つの期間の中で計画的にこれを推進していく必要がある、このように考えておりますし、それを達成するためには生産対策、構造対策、価格対策、あらゆる面を総合勘案をしましてその政策を円滑に進めるように環境条件を整備していきたい、このように考えておるところでございます。  なお、米価の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、農業団体と政府が考えております米価の決定の方式、あるいは算定の要素のとり方、そういう面において考え方の違いがございますし、私はそういう意味でホットな米価シーズン等の時期でなしに、冷静な客観的な立場でこの問題につきましても生産団体その他との間でコンセンサスを得るようにいたしたいということで、先般米審で懇談会を開催を願って、米をめぐる、またその他の食糧全体についての問題を御論議を願い、共通の認識の上に立ってこれから米価その他の価格をどうするかという問題についても、引き続き御検討を願っておる段階でございます。
  85. 村沢牧

    村沢牧君 米の問題はそのぐらいにいたしましてもう一つの問題について質問いたしますが、各地を視察して歩いて特に要望が強く、また私も問題点であったと思われるものに農業基盤整備事業の問題があります。  申すまでもありませんが、農業の振興を図るためには農道の改良だとか、あるいは用排水の整備等いろいろ必要でありますけれども、これにこたえて各地でいろいろな事業を行っているわけでありますけれども、計画したときの工期より大変におくれているのが現状なんです。こうした結果、おくれることによってその地域の農民に与える利益には格差が出てくるし、あるいはまた費用の負担も高まってくるし、このまま推移していけば事業が内部から崩壊してくるようなおそれまでもあるんです。  四十八年に、農林省は土地改良長期計画を立てて閣議決定をして、その骨子を見れば、四十八年から十年間に予備費も含めて十三兆円でもってこれらの事業をするということを明らかにし、種別々に取り組んでおるところでありますけれども、四十八年といえばことし五十二年ですから、五年目になった今日、この計画でいえば五〇%ぐらいやっていなければいけないんですけれども、とてもそこまでいってないというふうに思いますが、この進捗率だとかあるいは実績、なぜそれができないのか、これについてお尋ねをしたいのですが、一問一問尋ねていけばいいのですけれども、時間がありませんからまとめて質問いたしますから、一括答弁してください。  なるほど、これはオイルショック等いろいろな原因はあったと言われる向きもあるんですけれども、それでは建設省のいわゆる道路整備計画、御承知のように建設省には第七次の道路整備計画、これは四十八年から五十二年ですね。この進捗率を見れば、八一%くらいいっているのです。一般公共事業の伸び率と農業基盤整備の比較をしてみますると、四十年代前半にわたるほど農業が上回っているけれども、その後はだんだん農業の方が低下をしている。一般公共事業に占める農業の基盤整備の事業はシェアも低下している。いま政府は、景気を回復するためにと言って公共事業をたくさん発注しようとしている。公共事業の発注も景気回復の一助にはなるというふうに思いますけれども、私が主張したいのはこういう農業基盤整備、これらに思い切って金を出せば、その地域もよくなるでしょうし、食糧の自給率も高まってくるでありましょうし、転換もできるんです。そうしたことが大変におくれていること、このことは農林省の力が足らないのか、それとも政府そのものが農業を軽視をしておるのか。一体、こんなことで長期計画が達成できるのかどうか。この辺についてお尋ねをしたいんです。  もう一つは、これは私が先ほど申しました長期の土地改良十カ年計画と、いま農林省の中には新たな農業構造改善対策というふうな構想が出されまして、その動きも出ているというふうに聞いているんです。つまり五十年、五十一年、二カ年にわたって東畑四郎さんを座長として新農業構造改善対策研究会なるものができて、この八月十日に新たな農業構造改善対策というものが農林省に出され、報告された。これを受けて五十三年度予算に農林省が反映をしようということも、これはつまびらかでありませんが、私の聞いておる範囲ではそういうことも承っているわけなんです。そうすると、この新たな農業構造改善計画にも土地改良に関するものがかなりあるわけなんです。一体、これと長期計画との関係はどうなるのか。いわゆるいままで進めてきた長期計画はそのまま進めていくのか、どういうふうに一体達成していくのか。ここらで切りかえていくのか。そこらの問題について一括答弁をお願いしたい。
  86. 森整治

    説明員(森整治君) 御指摘のように、農業基盤整備事業につきまして工期がおくれておるということにつきましては、大変各方面に御迷惑をかけております。しかし、五十一年以降、五十一、五十二年、五十一年の補正も含めまして鋭意工期のおくれの取り戻しに努力をいたしておるわけでございまして、土地改良長期計画から申しますと、五十二年で一応三分の一ということでございます。しかしながら、最近の伸び率で伸ばしてまいりますと、たとえて申しますと、ことしが約一二二%公共事業の伸びが農業基盤整備ということでございますから、今後この五十二年の段階でも一五%ずついけばほぼ達成は可能である、それにことしの補正でまだ数字は明らかにできませんがいろいろ努力をいたしておりまして、当初の見込みに対しましては、五十二年全体としては相当な規模が確保できるのではないかろうかというふうに考えておるわけでございます。  さような関係で、ともかく、一応その予算の確保につきましては努力をいたしておるわけでございまして、先ほど先生指摘の、公共事業の中に占めます農業基盤整備費の割合は約一三%をたしか切ったこともございます。ちょっと前は一四%までまいりまして、それから落ちまして、最近は一三・九、徐々に毎年そのシェアを伸ばしてきておるわけであります。  それから全体的に申しますと、大体、治水と公共の中のシェアというのは、当初予算では常に治水との関係では農業基盤整備が常に上回っておる。ただ、いろいろ災害等がございまして、その補正段階でいろいろ数字が変わってくることがございます。全体の公共の伸びをふやしていくということが一つ。その中で農業基盤整備というものは、決してわれわれはおくれてきておるとは考えておりません。シェアは毎年伸ばしてきておるというふうに考えておる次第でございます。また、今後そういうふうに努力していきたいと思います。
  87. 村沢牧

    村沢牧君 これで終わりますけれども、構造改善局長から答弁いただいたのですけれども、その程度の認識では、認識というか、それではまだ伸びないのは無理はないと思うのです。私は、いっぱい各地区の資料を持っているんですよ。これで満足しておってはだめだと思うんです。それはまた後日質問します。  そこで最後大臣、東畑四郎会長が座長になって、新たな農業構造改善対策について答申をされ、報告されています。これをどのように受けとめてそれからどのように日本農政に、予算に反映していかれようとしているのか。一言だけで結構です。
  88. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 東畑審議会の御答申は、私ども非常にりっぱな御答申であり、今後これを尊重して進めてまいりたいと考えておりますが、つまり私益と公益、これを両方よく勘案をしながら、農業の構造改善その他は農民の立場だけでなしにもっと広い観点で国益並びに地方全体の発展、繁栄につながるようなそういう観点で進むべきであると、こういうことでございまして、今後の構造改善事業はそういう精神を踏まえまして進めてまいりたい、こう考えております。
  89. 北修二

    ○北修二君 それでは、前者お二人から米の問題についてお話がございましたが、私もひとつ米の問題について、当面する問題について農林大臣並びに農林省当局考え方をお伺いをいたしたい、かように存ずる次第でございます。  先ほどからのお話によりますと、いろいろ論議がございましたが、予想される、これは私の見解でございますが、大体九十万トン前後は余り米として出てくるであろう。それに対して農林大臣初め大河原食糧庁長官は、自主流通米で対応するんだ、こういうようなお話のようにお聞きをしておりますが、再度お伺いいたしますが、本当に血のにじむような思いで生産をいたしておるわけでございます。私も米をつくっておる一農家でございます。酪農と両方やっていますが、政府は全量買い上げをする意思があるかないか、この点について大臣にひとつお伺いをいたしたいと思います。
  90. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは先ほど来申し上げておりますように、政府としては予約限度数量、これをお米の需給上必要な限度数量として、また、食管の健全な運営の観点からも、これは政府においてやってまいる。しかし、いまの限度数量をオーバーしたいわゆる余り米につきましては、自主流通ルート、つまり指定の集荷団体、あるいは配給団体、このルートを通じまして五十年の場合と同じように処理を願う、政府としてもできるだけそれが円滑に進むように手当てをしてそれを実行してまいりたい、こういうのが基本的な考え方でございます。
  91. 北修二

    ○北修二君 大臣から御答弁がございましたが、特に日本全体の中で自主流通米に流すという中で、条件がついた非常に厳しい地帯があるわけであります。それは北海道であります。  御承知のように、七十七万トンという限度数量でございますが、約十万トンぐらいことしは限度数量をオーバーするであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。これは、本州は自県でおのおのある程度対応ができるかと思いますが、北海道の米につきましては、ことしの米価は一万七千二百三十二円、政府払い下げ価格が一万三千九百円、こういうことでございます。それに、北海道の米がもし自主流通米で流れるとするならば、それで処理をしなさいということであるならば、御案内のように輸送料がかかるのであります。そういうものを勘案いたしますと、農家の手取りは一万二千円を下回ってしまう、こういう厳しい情勢に相なるのです。昨年は北海道は冷害、その前の年は水害、いずれも七万トン前後、十四万トンぐらい政府にこれを返しております。そういう、ようやくその災害を経てことしは豊作だと喜んだら、それは余ったやつだから、よけいもうかるのだから農業団体を通じてやりなさいと、こういうのは少し酷でないだろうか。いわゆる本当に働いておる気持ちを御存じないのでないだろうか、こういうように思いますが、前二年返しておるわけですが、バランスをとるならばそのぐらいお買いいただいても何も問題はないのではないか、かように思いますが、その点いかがでございましょうか、お伺いいたします。
  92. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 諸点についての御指摘でございますが、限度枠の問題で最終の県間調整においてこれを返したというような御立論からのお話もございますけれども、私どもとしては出来秋については限度枠を余した県から返していただいて、超過米がその県として発生している県に対しては、県間調整としてやらしていただいておるわけでございまして、お言葉を返すようでございますが、四十九年は県間調整が約七万トンを北海道に差し上げたというようなことがございまして、年々の作況によってその点はやらしていただきたいということでございます。  前段の自主流通米の流通ルートによる操作という場合に、なかなか米の産地品種銘柄等から流通の難易があるではないか、したがってその点についての配慮は十分いたせということでございますが、私どもも五十年、五十万トンを超える大超過米が出ましたときにおきましても、それぞれ県内操作なりあるいはブロックの流通の調整とかそれぞれの操作をいたしまして、でき得る限り流通経費がかさまないような措置を需給操作上いたしまして、これは政府売却米の操作等によって相当できるわけでございますので、それらの措置によって、流通経費がいたずらにかさんで農家手取りが少なくなるというようなことがないような措置をとったつもりでございまして、本年につきましても北海道からの御指摘でございますが、それぞれの地域地域についてもそのような事情もございますので、その点については十分配慮をした措置をとっていきたいというように考えております。
  93. 北修二

    ○北修二君 いまの食糧庁長官の御答弁は、こういうように解釈していいですか。  いろいろ対策をする、たとえば倉敷は、金倉は払いましょう、あるいは集荷手数料も払いましょう、あるいはマル特という、それらも支払いをしましょう、五十年ですね、あれ千三百円か何かの、そういうような方法で処置をする、こういうお考えでいまおっしゃったのですか、その点はどうですか、お伺いいたします。
  94. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、先ほどの先生の御質問は、北海道米固有の流通事情というものがあり、県内の需給操作によって困難なので、道外搬出等もあるから、それについての配慮というようにお聞き取りをさしていただいたわけでございますが、それらにつきましては、需給操作によってあとうる限り流通経費のかさまない需給操作をやりたいというふうに申し上げて、その点については万全を期したいということでございまして、改めての御指摘の、超過米については本年もこれを指定法人に全量集荷販売させることになっておりまして、このような措置に、要する助成の内容という点については、本年の特殊事情等を見まして、先ほど村沢先生お答え申し上げましたように、具体的な本年の実情に即した助成について検討をいたしたいということでございまして、特にいまそれぞれの項目についてお答えするような時期になっておらないわけでございます。
  95. 北修二

    ○北修二君 いろいろの角度からお伺いをいたしたいわけでございますが、たとえばことしは十万トン近く、全国では九十万トン近くだろうと推定をいたしておるわけですが、道内においては十万トン近く、一遍に云々というわけにいかぬが、これはたとえばの話ですが、三年ぐらいでひとつことしの買ってもらったやつは調整するからことし全量買ったらどうだと、こういう政治的な配慮は、その点についてはもしそういう例が出たらおやりになるつもりがあるかどうか、この点お伺いいたします。
  96. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 本年の超過米についての基本方針は先ほど大臣も申し上げましたような方針でございまして、四十六年度以来この予約限度制を入れ、したがって超過米の発生というものは制度としても、可能性が出てくる場合における処理方法、自主流通米の流通ルートによって所要の助成をした上で処理するという方針でございまして、特に本年度異なった取り上げ方ということについてのわれわれは検討をいたしておらないわけでございます。
  97. 北修二

    ○北修二君 いまのお答えですと血も涙もないというような感じがするわけでございまして、やはり食糧庁は、あなた方の限度数量、日本の食糧確保という上で御指示に従ってやっておるんですから、できたものについてはもう少し寛大な気持ちでひとつ対応してもらいたい。希望をいたす次第であります。  さて、引き続きまして、五十二年度の米の、いわゆる水田の転作でございますが、これは北海道の場合一〇〇%実はいたしたわけでございます。これにはずいぶん苦労したわけですね。転作目標を達していただければ、その中において、天候によってとれたりとれない場合もあり得るであろう、そういうときには全量買ってやるからみんな転作をしてもらいたい、ただし転作目標に達しない人についてはちょっとそういうことは容易でないぞと、だからぜひ転作をしなさい、こう言って実は半強制的にこの転作をやらして、日本全体の三分の一、六万三千ヘクタールを実は実行いたしておるわけでございます。  そういうことからいたしますと、まあこれは知事もはっきり言っておるんですね、北海道知事は。あなた方はぜひ生産調整に協力をしてもらいたい、これはこっちの方へ来て言わぬだろうが農民に向かって言っておるわけです。ぜひ転作の達成をしてもらいたい、それにはただいま申し上げたようなことも含めて話をいたしておるわけでございまして、これはだまされたということになりゃせぬか。また、今後来年以降の転作は大幅に、いま百七十万トン、三十九万ヘクタールと言われておるわけでございますが、この実施もなかなか容易でないのじゃないでしょうか。ぜひひとつ、政府の言われるとおり達成した、天候だからこれは農民の責任でない、気の毒だ、よし買ってやろうと、こういう気持ちになりませんか。再度お伺いをいたします。
  98. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 先ほどの御質問にもお答え申し上げましたとおりでございますが、五十年、一昨年大農作でございまして予約限度超過米が大量に発生いたしましたが、その際におきましても、ほとんど全国の四分の三以上の県が、御協力によってその生産調整の目標を達成していただきました。しかもその県でも相当超過米が発生したわけでございますが、それぞれやはりこの限度を設ける意味、米の需給均衡を図って食管制度の運営を健全化していく、確保していくというような点に踏んまえまして御協力を願いまして、自主流通米のルートによるただいま申し上げました措置によって全量措置されたわけでございます。  したがいまして、そういう意味で、本年についてもその視点からいろいろお考えを願ったらと思うわけでございます。ただ、本年は各県ともに作況がいいものでございますので、いわゆる限度枠を余す余地がいろいろ少ないかとも思うわけでございますが、出来秋の調整等におきましては、われわれは本年冒頭に各県にお示ししたように、生産調整に協力していただきました県については、県間調整等については優先的にこれを取り扱っていくというようなことでこれを処理いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 北修二

    ○北修二君 ことしの超過米の対策がおくれますと、不正規に大量に米が流通することも予想されますが、もう収穫期に来てすでに北海道内には出荷をいたしております。一部出荷が始まっております。指定集荷業者に対する指導が、集荷の方法、いろいろ、それらについて何らかの措置をする考えがあるのかどうか、指導しておるのか、そうしてどういう方法でやるのか、その措置を指導しましたかどうか、この点についてお伺いをいたしたい、かように存じます。
  100. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  本年は、その最終数量はともかくといたしまして、大幅な超過米の発生が見込まれております。われわれも五十年の経験を踏んまえておりますので、全農等の指定法人、全国集荷団体に対してその超過米の全量集荷販売ということについていろいろ御相談を申し上げまして、またこれを引き取る全国の卸売販売業者の団体につきましても、円滑な引き取りという点についてすでに指導は終わっておるわけでございまして、全国の全農等におきましても各県段階に末端にまで達するような指示、指導を現在行っておるわけでございまして、一昨年に比べますと相当早目にその集荷販売体制というものをスタートしておりまして、これに円滑化のためのいろいろな措置を国としてもどうするかという問題についても早急に結論を出しまして、先生指摘のような不正規流通という点は、過剰と同じように食管制度の運営の最も問題の点でございますので、不正規流通の防止という点について努力をしていきたいというのが現状でございます。
  101. 北修二

    ○北修二君 それでは、次に水田総合利用対策についてちょっとお聞かせ願いたい。  この総合利用対策を今後長期にわたって、農林大臣は十年間ぐらい三年ごとに見直し云々というお話をいたしておりましたが、明年以降の転作目標の都道府県別の配分に当たって基本的な考え方を、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  102. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 来年以降の水田利用再編対策におきまして、転作の目標面積の配分をどうするかという具体的な問題につきましては、これまでの米の生産調整施策あるいは水田の総合利用対策の経緯をも十分踏まえましていろいろな要素を勘案をいたしまして、一つには全国的にこれが達成が確保されるという要素と、それから過去の経緯等いろいろございますが、公平性の要素についての要望が強いわけでございますので、それらの点を十分勘案をいたしまして、さっき官房長からお話もございましたが、恐らく地域分担の思想も組み入れることになりましょうが、その他いろいろの諸要素をかみ合わせまして適切な配分をやるように努めてまいりたい。目下、その中身等については検討中でございます。
  103. 北修二

    ○北修二君 また、具体的な政府の方針はいつごろを目途に明らかにする考えか、これをお聞かせを願いたい。特にいま話によると、新聞その他によると、農家も心構えもございますから、少なくても十一月ごろまでには来年の営農の方針もございますので末端に行くようにしてもらいたい、こういうように考えますが、そこらあたりはどうでございますか。
  104. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) お話しのように、来年以降は非常に大幅な転作をしなければならないという情勢でもございますし、新たに、たとえば麦につきまして従来の扱いを改めて転作の重点的作目としてこれを取り扱うということも考えておりますので、さようなことを考えますと、できるだけ本年中の早目の時期にこれを方針として明らかにする必要があるというふうに考えておりまして、予算との関係もございますから、基本的な進め方それから奨励金の水準等、農家の方が転作をする計画を立てる上において重要な関係のある項目について、できるだけ早期にその姿を明らかにするよう目下努力中でございます。
  105. 北修二

    ○北修二君 いろいろなるべく早く対応してもらいたい。  先ほどちょっとお話もございましたが、地域分担あるいは公平にという意味がありましたが、ある一定地域に傾斜配分する考え方は恐らくないと思うが、その点についてどうですか。
  106. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 地域分担は全省的な検討をしておるわけでございまして、最後の大詰めに入っておるわけでございますが、地域分担の姿が出てまいりましたときに、それだけで転作目標の配分をするということはこれは私はむずかしかろうと思います。したがいまして、その他の要素、これまでの経緯もございますし、実行の難易性その他いろいろの要素がございますから、そういう点を十分勘案して適正な配分をするようにいたします。
  107. 北修二

    ○北修二君 転作の奨励金は今後相当期間交付をするのか、あるいは三年程度を一期間として見直すのか、将来この転作をどう位置づけていくのか、いつまでもずうっと、まあ十年とおっしゃっていましたが、三年ごとに見直しをする、これをどういうように将来片づけようという考え方なのか、その点をひとつお伺いいたしたいのと、いま一つは、二千億大蔵に要求しておるようでございますが、奨励金の内容、来年はどのぐらい払う予定なのか、その点お伺いをいたします。
  108. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) まず第一点でございますが、これは大臣からお答えをいたしておりますように、相当大幅な転作を、単に米の生産を抑制するという考え方でなしに、水田の高度な生産力を活用して不足する農産物の生産を安定的に定着するような形で伸ばしたいと、こういう発想でやるわけでございますから、直接的なこの水田再編利用にかかわります施策のほか、一般のそのための環境づくりの生産施策や価格政策の運用ということが必要になってまいるわけでありまして、そういう意味で長期的視点からの取り組みが必要であるというふうに考えておりますが、しかし、その中でも状況の変化ということが出てまいりますので、さりとて年々に、たとえば転作の目標数量をアップ・アンド・ダウンさせて変動するというようなことになりますと、県庁以下最後には末端の農家の取り組みもなかなか困難になるという事情もございまして、三年ぐらいはひとつ転作の目標数量も府県別に見ればそれを一応原則として固定をして進むと。ただ、これに目標未達成とかそういう問題が出てまいりますれば別でございますが、基本的な考え方としてはそういう取り組みでいくということでございますから、まあ仮に一期三年ということに決めますれば、それが終わった時点では、再びその時点の状況を考えてみて次の三年なり適当な期間についての進め方ということをまた決めましてやってまいると。しかし、そういったそれぞれ数期に分かれた期間を通ずる物の考え方、施策の進め方全体は一貫したものにしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  109. 北修二

    ○北修二君 もう一つ聞いてあるんですが、二千億の内容について。
  110. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 私ども大蔵省に直接的に生産奨励金関係の予算として要求しましたのは、一応二千億ということに相なっておるわけでございます。前年度これに相応する経費の額といたしましては九百八十二億、まあ千億近いものということに相なっておりまして、二千億の内容は一応私どもとしてはいろいろ考えておるわけでございまするが、まだその方向をぴしっと内容に至るまで詰めておりません。目下詰めつつあるわけでございますので、どの作目についてどういう奨励金をということをこの段階で申し上げるわけにはまいりませんが、いろいろの作目を考えておりますけれども、たとえば作目で考えてみれば、先ほど来お話の出ております麦でございますとか飼料作物、大豆と、こういったようなものにつきましては、重点作目としてそれなりの奨励金の交付単価あるいは交付の方法等を考えてまいりたいというふうに思っております。
  111. 北修二

    ○北修二君 後継者という立場から、いま若い人が将来日本のというか、水田農家としてりっぱな農家になりたいと、こういう希望で一生懸命やっておるわけでございますが、この転作に対して非常な不安を持っておるんです。重大な問題であります。また御承知かと思いますが、農家は住宅からあるいはあらゆる施設、農機具、もう全般が稲をつくる態勢にあるんですね。そういう体質にあります。  いま一つは、稲作地帯というのは経営面積が非常に小さい。畑作に変われと言っても実は一年間の所得が非常に低いということに相なってまいります。将来、恒久的に変えてしまうということになれば、畑作ですと少なくとも三十ヘクタール以上なければ相ならぬ。水田ですとその十分の一、三ヘクタール程度。これでは畑作に変われと言っても実は変わることができないわけであります。そこにむずかしさがある。そういう点も十分考えてもらわなければならぬ。ただ奨励金を出して変われ変われと言ったって、そんな簡単なものでない。  いま一つ、農林省も視野が少し小さいんじゃないですか。大きな視野で、日本の将来の稲作のいわゆる生産調整はどうするかという、御承知のように市街化区域に十七万七千ヘクタールもいわゆる耕作しておる水田がある。これを宅化にするなり、あるいはその他工場団地等に転換させる。そうするならば景気の問題にもなりますし、大きな役割りが果たせると思うが、そういう点についてそういう英断を持っておるかどうか、この点についてお伺いをいたします。
  112. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 稲作から他作物に転換をしていく、あるいは先生のお話ですと、市街化区域等はむしろ住宅等都市施設に転用をするということも含めての長期展望を持つべきではないかというお話だろうと思います。特に市街化区域におきましては、これは農業上の土地利用と土地の都市的利用との調整を図った都市計画法並びにこれに関連をいたします私どもの方の法律の農振法その他の関連する法体系があるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、市街化区域内の農地は転用上の扱いも農地法上異にしておるわけでもございまするし、近い将来のうちには都市的な利用をするべき土地ということで利用がぴしっと決められておるというふうに、性格づけはそういうふうになっていると思っておりますので、この辺の要素は今後水田利用再編対策を考えていく上において、どういったやり方が適当であるかなかなかむずかしい問題がございますが、そういう要素を勘案した進め方というものをいま考えておるわけでございます。
  113. 北修二

    ○北修二君 時間があと十分ぐらいしかありませんので、今度は有珠の問題について一括御質問をさせていただきますので、一回しか質問しませんので、答弁される方はひとつよろしくお願いをいたしたい、かように存じます。  有珠の噴火関係でございますが、まず第一に、激甚災害指定についてであります。災害による被害が著しい地域については、局地激甚災害として指定願いたいと考えておるわけでございますが、どのように考えておられるか、指定をいつされるか、ちょっと先ほどもお話がありましたが、もう少し具体的に申し上げます。  激甚災害の指定をしなければならぬであろう。数回、私は現地に行ってあの噴煙の中に巻き込まれて調査をしてきた一人でありますが、大変激しいものであります。虻田、それから伊達、壮瞥、洞爺、この四つは恐らく指定されるであろう。しかし、留寿都、真狩についてはいろいろ疑問があるようでございますが、しかしあの灰をかぶった、セメントの練ったようなものになりましたから、作物は全滅でございますし、相当量の、目で見る以上の災害であります。この点についていつごろされるか。私の言ったやつは大体心配ないと、まだ発表していませんからここで発表するわけにいかぬと思いますが、私の申し上げたこの六町村については可能であるかないか、ニュアンスだけでもひとつお聞かせ願いたい、こういうように思います。  それから次に、これを速やかに指定を受けて、地域の住民の安心するようにしてもらいたい、このスケジュールについては若干話ありましたが、これをお聞かせ願いたいと思います。  次に、天災融資法の発動についてでございますが、今回の災害については、農林省は八月三十一日、天災融資法の適用方針を決定されましたが、この発動時期についてどう考えているか。いつごろか。  それから、天災資金の農漁家に対する融資枠はおのおの現地の要望に照らして十分なるものか否か、これを伺いたい。不足するたとえば農家や漁家があるとすれば、希望額を満度に融資できるよう、必要な法改正を含めて早急に対応願いたいと思いますが、どうか。道の調査では、被害農家は二千百戸、そのうちすでにこの枠をオーバーしたのが百六十戸もある、こういう事態もありますので、その点もお含みの上、対応していただくことをお願い申し上げる次第であります。  次に、資金の中で自作農資金でございます。  自作農維持資金の特例貸し付け限度設定について、これはどう考えておられるか。まだ枠が非常に小さい、百万や二百万の小さなお金では、とうていこれらの災害復旧には相ならないわけであります。これを特例貸し付け限度額について特段の配慮を願いたい、これはどうか。  それから倒伏した造林木の倒木起こし、噴火の影響により倒伏した造林木の倒木起こしについて、激甚災害の適用の見通しはどうか。これについてお伺いをいたしたい。まあ木はほとんど全部倒れていまして、何といいますか、草が台風の後に倒れたようにずっと倒れておるわけでございます。話によると、一世紀かかるであろうというような地帯もあるんです。そういう大きな災害でございます。これらについて、できるだけ倒伏したものを起こす、こういう点についてどうか、この点についてお伺いをしたい。  次に、ホタテガイの養殖の沖合いの代替養殖漁場の造成でございます。場所がえでございますが、これらについて、比較的海水汚濁のない、影響の少ない沖合いに持っていく、こういうことでございますが、代替養殖漁場造成による特別の措置を講ぜられたいと思うが、この点についてどうか。  漁業影響調査でございますが、これらの噴火の諸般の情勢をいま見ておりますと、重大な問題に相なっておるわけでございますが、これらの調査を万全を期していただくよう強く要望いたしたい、かように考えるわけでございます。  いろいろございますが、以上と、漁業の問題でもう一つ質問をさせていただきます。  この間羅臼に参りましたところ、羅臼の漁民の皆さんがおっしゃるのには、日ソ漁業協定、ソ日協定、いろいろございますが、従来三海里まで魚をとりにいっておった。九月の七日に底刺し網の漁船ソ連監視船に臨検を受けた、胸ぐらをつかまれてうんと言わされた、こういうお話を聞いております。従来、三海里まで行っておったのがもう中間線でなければならぬ、こういうことに相なった。そうしますと、羅臼の皆さんは、何と申しますか、四割ぐらい収穫が減ってしまう、漁獲量が減ってしまう。漁業だけでなく、漁業の町でございますから、全体に影響を及ぼす。これらの対策について政府はどう処置をしようと考えておるのか、この点をお伺いをいたしたい、かように考えます。  まことに一遍に雑駁に申し上げましたが、ぜひひとつ御答弁を願いたいと思います。
  114. 柳晃

    説明員(柳晃君) まず最初の、激甚災の指定の見通しとか、時期につきましてお答え申し上げます。  激甚災害の指定は、災害復旧の事業費の査定とか、あるいは標準税収入とか、農業所得の推定額、そういったものを関係省庁が調査したものを待ちまして、適用の見通しを得て指定を行っております。従来の風水害の場合ですと、そういうものをことしの一月から十二月までのいろいろな災害分をまとめまして翌年の二月ごろに一括して指定しているのが通常でございますが、今回地元初めいろいろな方向で早くに指定しろというようなお話もございますが、現在関係省庁の調査の結果を待って、地元要望等もしんしゃくしながら考えてまいりたい、かように考えております。  そして時期につきましては、地元要望に実質的に沿えるような措置を考えていきたい、かように考えております。
  115. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) 農地、農業用施設についての局地激甚が対象に、適用になる市町村名についてのお尋ねでございますが、ただいま国土庁から答弁されましたように、この指定につきましては、御案内のとおり、農地、農業用施設の査定事業費とそれぞれの市町村の本年におきます農業所得推定額との関係によりまして決まる。具体的に申しますと、その比率が一〇%以上ということになっておる次第でございます。現在査定につきましては、現地に査定官が入りまして鋭意災害復旧事業費の査定を行っております。これがおおむね十月中に完了することを目途に実行をいたしております。  それから、市町村ごとの農業所得推定額につきましては、これは農林省の統計情報部におきまして算出をするわけでございますが、これにつきましても十月中に取りまとめを完了する予定にいたしております。取りまとめが完了いたしますれば、国土庁の方に御相談を申し上げて具体的な指定ということに相なるわけでございまして、まだ具体的な市町村名を、現在進行中でございますので、申し上げる段階に至っておらないのでございます。
  116. 北修二

    ○北修二君 時間ですから簡潔に言ってください。
  117. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 天災融資法の発動の時期でございますが、さきに天災融資法を発動するという方針を決定して発表したところでございますので、私たちは事務的に関係省庁と現在鋭意検討中でございます。十月に入りますれば、できるだけ早い時期にこれが適用できるように措置をいたしたいと思っております。  第二の限度額の引き上げの問題でございますが、現行の限度融資額は一昨年現金経営費等を勘案をしまして約二倍に引き上げたところでございますので、農業経営の現状から見て、この限度額でおおむね妥当な水準ではないかというふうに思っております。  第三番目の自作農資金の特例を設けるべきではないかということでございますが、私たちとしましては、道庁とも協議しながらその特例措置の設定に努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  118. 岡安誠

    説明員岡安誠君) まず、有珠山対策のホタテの問題でございますが、沖出しについて助成をすることはどうかということでございます。沖出しにつきましては、これは養殖の管理上非常に問題点もございます。そこで私ども影響調査等を十分いたしまして、また沖出しの場合にどういう利害といいますか、利点、難点があるか検討いたしまして、もし必要があるならば助成等につきましても検討をいたしたいというふうに思っております。調査等につきましては、北海道が現在通期調査も十分やっておりますし、基本的には科学技術庁中心の調査も行っておるわけでございます。  最後に、羅臼の問題でございます。羅臼につきましては、先生指摘のとおり、先般、羅臼の底刺し網の漁船ソ連監視船の臨検を受けたという事態が発生したことは、私ども承知いたしておるわけでございます。これにつきましては、現在地元の羅臼におきまして漁協がいろいろ対策を検討いたしておるようでございますし、また北海道庁も羅臼の漁協等と相談の上、対策検討というふうに聞いておりますので、私ども十分北海道庁それから関係団体とも相談をいたしまして、今後こういう事態に対しましては善処をいたしたいというふうに思っております。
  119. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 造林木の倒れたものにつきましては、ただいま現地で調査いたしております。その調査結果に基づきまして、造林補助要綱に激甚災に指定された造林につきましては倒木起こしについて補助を出せることになっておりますので、その調査結果を見まして対応してまいりたいというふうに考えております。
  120. 北修二

    ○北修二君 どうもありがとうございました。
  121. 藤原房雄

    藤原房雄君 過日、災害対策特別委員会がございまして、そのときただいま何点かお話ございました点についてもお話があったわけでありますが、何せ国土庁が中心になってやります災害対策委員会でございますので、農林水産関係の問題については、私ども最も信頼いたしますやっぱり大臣がいらっしゃいませんとどうにもこう安心できないということで、再度質問させていただくような形になるわけですが、当面する問題として、もう北海道はやがて冬将軍がやってくる、こんな時期でもございますので、早急にやっていただかなきゃならぬ問題もございますから、そういう点も勘案いたしまして、二、三点御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、いろいろ細かいことを言うとあるんですが、一番問題なのは、現在農地や山林全域にわたりまして降りました灰をどう処理するかということが一番当面する問題だろうと思うのです。まず、この降りました灰の除去に対しまして、農地それから林地、それぞれどういう制度によって、どのような仕組みでなさるのかということを御説明いただくのですが、最初にひとつ農地はどうですか。
  122. 森整治

    説明員(森整治君) 御指摘の灰の除去、降灰の除去につきましては、八月の十五日から現地において復旧の方針と復旧工法の指導を行って、現に査定を行っております。  復旧の工法といたしましては、降灰が弱アルカリ性であるということから、いろいろ北海道と農業試験場と打ち合わせました結果、降灰の深さが比較的浅い場合には反転すき込みを行うということ、それから深い場合には排土反転すき込みを行う、あるいは反転埋め込み法による工法を標準とした、簡単に、簡単と言いますか、降った厚いやつを全部下へ入れまして、耕土をどけてまた耕土をかぶせる、こういう非常に金がかかりますが、そういうことが考えられておるわけであります。   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕  そのほかに、これは土捨て場がある場合は土捨て場に捨てた方がいいという、これはもちろんその方が安上がりになるわけですから、そういうこともあわせ考えて、捨て場所についてもいろいろ協議をしておるということでございまして、現在までに約五百ヘクタールの農地復旧を、十九日現在まで農地復旧を行ったということを道から報告を受けておるわけでございます。今後につきましては全体で約七百八十ヘクタール、秋作に間に合うもの、希望のございますものについてはそれに間に合うように至急復旧工事を行いたいというふうに考えておるわけでございます。
  123. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 林地につきましては、特に造林地につきましては、いまのところ降りました灰をどう除去するか、非常にむずかしい問題でございまして、いまのところは手はついてはおらない状況でございますが、逆に災害の面からの灰の対応につきましては必要な施設等を施しまして、雨が降りました結果、それに基づきます二次災害が起きませんような治山事業を施行する対応をいたしております。
  124. 藤原房雄

    藤原房雄君 この農地の除灰事業については、農地農業用施設災害復旧事業、とにかく灰を除去するのはするとして、非常に弱小な市町村でもあり、農家も畑地が多いということで、所得や何か境ましてもいろいろな補助事業でやってもらいたいというのが地元要望であることは御存じだと思うんですけれども、そういうことで地元負担のなるべくかからないような事業でやってもらいたい、これに対してはどういうふうに考えていますか。
  125. 森整治

    説明員(森整治君) これは災害復旧事業でございまして、補助率につきましても高率な補助がとられておるわけでございます。現在、これは具体的な災害それ自体によりましていろいろ違いますが、相当大きな幅が、平均補助率、現在でも九〇%以上上回るということになっておるわけでございまして、今後もちろん地元負担が軽減されていくように、われわれも十分配慮をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  126. 藤原房雄

    藤原房雄君 ぜひひとつ、そういうことで前向きに検討を、あらゆる制度を使ってやっていただきたいと思います。  それから林地について、いま灰の除去については考えてないということですが、これは場所にもよるわけですが、大きい石の堆積しているところ、それから先ほど来いろんな話がありますように、粉じんのようなやつが、雨が降りましてコンクリートのように固まっている。体重の軽い方ですとへこみもしないような、こういう状態で置いておいて、果たしてこの林木がそのままでいいかどうかという、この林道とそれから林地全体、こういうことで、これは場所にもよるんでしょうけれども、また、そういう被害全体から見まして大きな面積でないかもしれませんが、もう少しきめ細かく、これもあらゆる制度を便ってやはりやっていただきませんと、緑を守ろうとか国土保全だとか、こんなことを言いましても、いま非常に林業関係については経費がかかるということや、これの重要性が説かれている反面では、非常に意欲を失うようなこんなことになってはならぬ。こういうことから、地元からは特殊林地改良事業、これでやってもらうようにできないかという強い要望もあるんですけれども、その辺はどうですか。
  127. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先ほど私申し上げましたのは、全般的な傾向を御説明したわけでございますが、確かにいま先生指摘のように、個所によりましては人手によりまして枝に積もりました灰を落とすとか、いろいろな方法をとっているところもございます。そこで今後こういうものにつきましては十分調査いたしまして、御指摘のように特殊林地改良という仕事がございまして、そういう事業によりまして、対応できるものにつきましては対応してまいりたいというふうに考えております。
  128. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、倒木した造林木のことについては先ほどもお話しございましたが、また森林国営保険のことについても通常国会で変えるということのようですが、実は林業関係につきましては被害総額の半分、二百五十億のうち百十億、百億を超す被害ということで、また国土保全、緑を守ろうということの上から非常に重要なことなんで、具体的なことを時間がありませんから私申し上げられませんけれども、ぜひひとつ真剣に取り組んでいただきたい。雪と違って、降ったものならば落ちてきて溶けていくということもありますけれど、今回はもうコンクリート、生コンをかけたようなものですから、そのまま付着し、枝葉について落ちませんから、そしてそれが強い雨風で落ちたとすると、また二次災害を起こすというこういうことになりますので、林地についての降灰についてまだ考えてないなんというこういうことですと、ちょっと手遅れになるといいますか、今後の二次災害の大きな原因になる可能性というのは十分にありますので、ぜひひとつ早急に御調査いただいて、そうして保安林並みの対策といいますか、これからの造林につきましても相当な補助率で、緑を失わない、こういう施策をいろんな制度を使ってやっていただきたいと、こう要望するんです。これはぜひひとつ林野庁長官、また大臣もいらっしゃいますので、この点ひとつよろしくお願いします。  それから、除灰作業で忘れてはならないのは、この委員会ではどうかと思いますが、市街化区域内の灰の問題でございますが、これについては、道路と民家、これがあるわけですけれども、御存じのとおり災害救助法によりまして避難命令が出され、そしてこのままでは大変だということで民家の灰も除去したわけですけれども、これについては、建設省ですね、この道路とそれから民家の除灰作業についてはどういうふうに考えているか、ちょっと御説明いただきたいと思うんですが。
  129. 渡部与四郎

    説明員渡部与四郎君) 市街地に降りました降灰の除去につきましては、都市災害復旧事業費国庫補助に関する基本方針に基づきまして、堆積土砂排除事業というので補助をして行うことにしております。
  130. 藤原房雄

    藤原房雄君 この公共施設であります道路とか、こういうものについては公共土木災害復旧事業でなさるわけでしょうけれども、市街化区域の中で家屋の屋根に積もった土砂というか灰ですね、これは雪ですと自然に溶けるわけですけれども、そうはいかないし、また避難命令でみんな避難しているわけです。そのまま積もってだまっておくと家が崩壊する、こういうことで除灰したわけですね。これには相当な問題があろうかと思いますけれども、これは避難命令を出していらっしゃらない、そして危険なところについて業者で地元ではやったわけですからね。相当都市災害復旧事業並みの事業をしていただきませんと、措置をしていただきませんと、また弱小、財政力のない町村では、全部業者にやらせたわ、あと自分のところで全部かぶらなければならないということだと大変なことになりますので、これは大蔵省とひとつ積極的に交渉していただきまして、公衆衛生の上からも、民心安定という上からも、これはぜひひとつ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  131. 渡部与四郎

    説明員渡部与四郎君) おっしゃるように、公益上重大な支障があるような場合は市町村長が排除をすることができまして、そういう点で、いまのおっしゃるようなことについても直接排除にならぬかということで大蔵省といま折衝をしております。この直接排除の採択は、実は現地査定で決断することになっておりまして、近く現地査定に入りますので、その際、先生の御趣旨を生かしてできるだけ排除をしたいと考えております。
  132. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣、建設省の話だからちょっとほかの方を見ているようですが、これは実はもう業者に頼んで全部除灰してしまっているんですよ。これは国のいまの規定の中ではこれしかできないとかなんとかということになりますと、財政力のない虻田町なんかではとても賄い切れない現状ですから、これから現地の査定と大蔵省との折衝ということで最終的には決まるんだろうと思います。国務大臣という立場で、農林大臣だから農業のことは責任持つけれどもと、そういう顔をしないで、信頼申し上げる鈴木大臣ですから、ぜひひとつこの点も国土庁、建設省、この問題についていろいろ御討議なさるそういう閣議の席では、強くひとつこの問題真剣に御発言いただきたいと思うんです。  この除灰作業をひとつ積極的にやっていただくとして、地元で一番心配しておりました二次災害ですが、これが過日九日、十日、ついに心配しておったことが起きたわけです。まずこれは虻田町の泉、それから入江地区に起きたわけなんですが、この沢の上部の方については、砂防対策として建設省、林野庁ですか、それぞれ担当していらっしゃって、恐らく査定も終わってこの仕事が進んでいるんだろうと思うんですけれども、現在どこまでいっているか、ちょっと現状を御報告いただきたいと思うんです。
  133. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 二次災害を防止いたしますために、緊急治山事業で現在泉地区につきましては谷どめ工三基、床固め工一基、土どめ工三基、合計事業費で約一億円になりますけれども、そういうものをすでに県の方に連絡をとりまして着工いたしております。
  134. 藤原房雄

    藤原房雄君 着工している……。
  135. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) はい。
  136. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 建設省所管の緊急砂防事業といたしまして、危険と判断される八渓流でございますが、緊急砂防事業といたしまして大蔵省とすでに予算的には措置済みでございますが、八渓流につきまして、そのうち三渓流につきましてはすでに発注済みでございます。なお、一渓流は本日発注するということになっておりまして、引き続きあと四渓流につきましては近々発注するということで、内容といたしましては、砂防堰堤を実施するわけでございますが、ただ積雪期までの短期でございますので、応急的に実施する工法といたしましては綱製あるいはコンクリート枠製等の、枠ダム工法と称しておりますが、そういった枠ダムによります防災措置をとるように、これを促進する予定でやっております。
  137. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは査定が終わって発注間際に、九日、十日ですから、そこらあたりで起きたのかもしれませんけれども、これは一時間八ミリかそこらの雨で、三十分足らずでこれは来たんですね。現況はものすごいやつ、写真をごらんになったかどうか、これは本当に想像を絶するようなものすごい石が、私も大きいけれども、私以上のでっかいやつがころがってきて畑地から何からめちゃめちゃにしたということですから、いろいろな最近は工法も新しいのができて、早急にできる工法もあるだろうと思うので、いま建設省からもお話ございましたけれども、早急にひとつ発注していただいて、また雨の多い、そしてやがて雪が降る、こういうときでもございますので、二次災害防止のためにはひとつ最善を尽くしていただきたい。どちらかというと、この泉地区の方は余り被害というか、降灰は洞爺側の方だったものですから、私ども余り気にとめておりませんでしたけれども、一時間八ミリ足らずの雨でこういうことになったということになると、これから積雪を迎えるようなことになると一体どうなるのか、また融雪期にはどうなるかという非常な不安を感ずるわけで、そこで林野庁にも先ほど除灰の問題について、そのままにしていいのか、二次災害だけを防ぐというこんな考え方でいいのかどうか非常に不安を感じますので、いままでは立ち入り禁止区域ということで中に入って実態調査というのはできない、そういういろんな問題があったことは私どもわかるわけですが、ぜひひとつできる範囲内での対策を講じていただきたい、こう思うんです。  今度の泥流によって、虻田町の泉地区で牧草地がおよそ六ヘクタール、ブドウ畑が六ヘクタール、それから水稲が二・五ヘクタール、小豆が一ヘクタール、スイカ、メロン二ヘクタール、こういう大変な被害を受けたわけです。これは、先ほど農地の除灰についてはお話ございましたけれども、二次災害につきましても農地ということでそれ相応の災害復旧の制度があろうかと思いますけれども、これはどういう制度で、どういうふうになさるんですか。
  138. 森整治

    説明員(森整治君) 十四日にもうすでに災害査定官を派遣いたしまして、復旧と、農地がさらにやられるということの防止に努力をいたしておりまして、具体的には埋没いたしました入江川の上流部に、応急工事としまして土砂どめ工を七百メートル設置する。それから埋没いたしました個所の排水路を開削工事千六百メートル、これを直ちに実施するように指示いたしております。それから、あと農地の泥流被害防止といたしまして、一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢のこの下の部分に捷水路四百メートルを新設をして、そこで受けとめて、あと先ほどの開削をいたしましたところから流していくということで対応をしてまいるということを、農業施設災害復旧事業として着工いたしまして、農地の復旧と合わせまして早期に完了をするよう指導してまいりたいというふうに考えております。もちろん、林野庁なり建設省それぞれと関連いたしますので、十分連絡調整をしながら処置をしてまいりたいと存じます。
  139. 藤原房雄

    藤原房雄君 それでこの土石流の除去、これも大体九割を超す補助率でやっていただけるんですね。それから時期ですね、いつまでにできるのかという、これはどうでしょう。
  140. 森整治

    説明員(森整治君) これにつきまして、先ほど私、農地の全体の復旧の概要を申し上げましたけれども、秋作を希望するものをとりあえずやって、来年の五月までに全部を完了する。その一環としてこれも処置いたしたい、こういうふうに考えております。
  141. 藤原房雄

    藤原房雄君 相当なこれは費用がかかり、また土石流も相当大きい石がごろごろしているということと、それから相当な量でございますので、早急にやっていただきませんと、年内にできるだけやりませんと、ことしはもちろんのこと、来年の営農にも大きな支障を来しますので、ひとつ精力的に取り組んでいただきたいと思うんです。  それで、こういうことで、今回の建設省とそれから林野庁、砂防関係の方、これも実際に余り人家のないところに一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢までのやつが土石流が来たんで、案外ラッキーだったんですけれども、これは人家があったらもう一遍に被害が出たろうと思います。噴火自体が、起きた時点が非常にラッキーだったということ、こういうことで、非常に人的被害がなかったということで安易な考え方をしておりますと、思わぬところで大きな被害が起きるんだということを、この前も国土庁長官にも厳しく言っておいたんですが、また、いままでの豪雪とか台風とか暴風とかという、こういうものと違って、いままで余り私どもが経験したことのない噴火、降灰による被害ということで、とかく災害というと物が壊れるとか、それから押し流されて田畑がめちゃめちゃになるとか、橋が壊れる、道路がめちゃめちゃになる、施設が壊れるという、こういうことに対しては非常に寛大な災害対策が講じられるようになっているんですけれども、ところが、実際、今回の降灰というものも、噴火による被害というものも、目に見えない大きな問題がある。そういう点にぜひひとつ意を注いで、きめ細かにやってもらいたい。このことを、この前災害対策委員会のときにも声を大にして叫んだんですけれども、そういう点で大臣初め担当の方々、ぜひひとつ御検討いただきたいと思う。  それで、ホタテのことについても先ほどお話ございました。私も、この前災害対策のときにも申し上げたんですけれども地元では、もう春先、増水時期に川の近くでいつも被害を受けるのではたまらぬということで、構造改善といいますか、沖合いに出したい、三千メートルぐらいのところにしたいという強い要望のようでございますので、ぜひひとつ同じことを繰り返すことのないような施策をひとつ講じていただきたいと、こう思います。  一貫しまして、農地、それから農業、漁業、林業、これらの有珠山の噴火によります被害について、大臣、ひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  142. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 有珠山の噴火に伴う災害、これは特異な性格を持った災害であり、また、二次災害、三次災害等も心配をされるという状況にございます。そこで、関係各省庁で被害調査を踏まえましてそれぞれ対策を進めておるわけでありますが、政府におきましても有珠山災害対策閣僚会議、こういうものを設置しまして基本的な方針、対策を協議をいたしておりますので、農林関係はもとよりでありますが、全体の災害対策を総合的にきめ細かく行われるように、私としても最善の努力をいたしたいと、このように考えております。
  143. 藤原房雄

    藤原房雄君 先ほど借り入れ制限の問題がずいぶん各委員からお話がございましたが、今回の被害を受けた有珠の周辺は畑作でして、畑作の場合はこの共済制度はまだできておらぬ。畑作共済についていま試験的にやっておるわけですけれども、まだ試験的な地域にも該当していないわけなんで、ここの救済というのは、非常に水稲なんかから比べますと畑作の場合は不利な立場に立たされておる。この前もいろいろ申し上げて規格外農産物の特例措置、これで豆とかジャガイモ等についていままでの例もあるからひとつ救済してもらいたい、こういうことを申し上げたんですが、畑作共済の現在のこの作業の進みぐあいと、また将来、これからいつをめどにしてどうするかという、この点のことについてちょっと御説明願いたい。
  144. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) 畑作につきましては現在研究会等で鋭意検討中でございますが、私たちのもくろみといたしましては、今度の通常国会に法案を提出をいたしたいと思っております。幸いにして法律が通過いたしましたならば、これにつきましてのやはりPRなり制度の末端への普及ということに時間を要しますが、実際上そういうことをやりまして、五十四年から本格的実施に入りたいというもくろみでございます。
  145. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは国営森林保険のこともこの前申し上げたんですが、たとえば入っている人が多いとか少ないとかじゃなくて、現在ある制度がいまのこの災害に適用にならないというのが多いわけですね。畑作につきましてもこれからということで、そういう点でこの前の災害のときにも申し上げたんですが、要するに特別立法のような形でひとつ今回、この先になると法律ができるんだけれども現在は当たらないという、こういうものが非常に多いので、きめ細かにひとつやってもらいたいということを申し上げたんです。これはぜひ国務大臣という立場で、大局的な見地の上に立ってひとつ御推進をいただきたいと思います。  この問題は以上で終わりまして、時間がございませんから、過日視察にまいりまして地元でございました問題で二、三点申し上げたいと思います。  それは、宮城県の塩釜における水産加工団地の問題でございますが、これはもう私も四十五、六年ごろ当委員会で何度かこの加工団地の汚水処理の問題等について御質問申し上げてまいったのでございますが、それが二百海里、このような問題にぶつかりまして、さらにまた新しい局面にいま至っておる、こういうことでぜひひとつ、二百海里対策については何項目かに分けて政府としても対策は講じてきておるという、こういう政府の一貫した主張でございますが、しかし、まだまだ問題が山積しておる。一つの具体例として、この問題は私どもは深刻に受けとめなきゃならないんじゃないかと思います。  この塩釜の加工団地については、すでに御案内と思いますけれども、塩釜市内に散在します二百七十社の水産加工工場のうち練り製品をつくっているのが百三十三社、これらの方々を一つの団地をつくってそこにお入りいただいて、汚水の処理についてはちゃんと基準を守るようにということで、九十四業者の方々がこの団地にお入りになっておる。生のスケトウを処理するということで高濃度の汚水が出る、その浄化をする目的で浄化槽をつくる、これは四十三年に公害防止事業団の仕事で四億七千万でつくったわけですけれども、そしてそのほかに用地代とか、移転費用とか、こういうものを合わせますと数十億円の投資をして今日まで来たわけであります。  この間いろんなことがあったわけですけれども、何といっても加工団地の全体の中心は一日六千トン処理する排水浄化施設、これが一番大事なことだと思います。この政府の規制を守るために、早晩——あの松島湾を汚染するようなことがあってはならぬ、また政府の厳しい規制、また県の条例等の中で排水浄化施設をつくらなきゃならぬということで、全国的には先駆的な役割りを果たしてこの加工団地がつくられて施設がつくられ、数十億という投資がなされてきたわけでありますが、この総排水処理量が年間およそ百万トンという見込みで、一日に六千トンで年間八カ月稼働するという、こういうことで試算をいたしまして、排水処理を一トン当たり百二十円、これを組合員から徴収することによってこの加工団地の運営はなされるだろう、こういうことで来たわけでありますが、昨年生スケトウが非常に減りまして、排水実績がおよそ百万トンというこういう計画だったんですけれども、実際は六十万トン、こういうことになりますと、百万トンの計画で百二十円という、こういうことですから、六十万トンということになりますと、油とかたん白の回収物を処理してもトン当たり二百十円という、こういうことになる。こういうことで、排水部門だけでも単年度で四千万の赤字を生むことになり、また工業用水の使用量についても試算しておったわけですから、これが大きな見込み違いといいますか、こういうことになりますと三千四百万、合計七千四百万の赤字という、また過去に累積したものと合わせますと赤字の累積が二億一千万という、この塩釜の加工団地の排水処理、国の基準を守るために先駆的な役割りを担って積極的にやったこの加工団地が、いろんな経過もあり、そしてまた二百海里の問題も出、当初の計画が大幅に狂って二億一千万、こういう大きな累積赤字を生ずるようになった。  こういうことをひとつ念頭に置いていただきたいと思うんですが、こういうことで、この塩釜加工団地では、当初計画したものが十分に稼働しないということであるならば、これはもう過剰投資、過剰設備ということになりまして、これは大変なことだということで、過日私どもが行ったときに本当に深刻な陳情があったわけであります。この問題、いろいろな問題があろうかと思いますけれども、何といいましても原料が予定どおり入ってくれば問題はないわけなんですね。ここの塩釜の加工団地が当初計画しただけの原料が入れば問題がないわけですけれども、ところがこれから予測し得ないこういう状況の中にあると、ここに一つのまた大きな不安があるわけです。  そこで大臣にお聞きするわけでありますが、練り製品の加工原料魚でありますスケトウダラ、これをソ連との間でバーターによって安定した原料を確保するというようなこともおっしゃって、そのための施策もいま講じておるというようなことも言われておったわけでありますけれども、こういう加工原料魚の確保ということについて、当初閣議の上でもこれはしっかりひとつ確保しようじゃないかということをお決めになっておるわけですけれども、現状はどうなっていますか。
  146. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) スケトウダラのすり身の原料としてのウエートは相当大きいわけでありまして、当初わが方が領海を十二海里に広げる、その場合に、ソ連漁船が三海里と十二海里の間でイワシ、サバ等を漁獲をしておった、これを十二海里の外に退去を願わなければいけないという際に、十二海里の外でも十分わが方としてはとれるということを見越しておったのでありますが、ソ連側は三−十二海里の中で主として操業しておったということで、大変な不安を持っておりました。そこで、関心魚種のイワシ等が十二海里の実施によりまして漁獲量が減った場合には、わが国漁船がとったイワシとバーターをしよう、こういうことでバーターの問題が日ソの間で検討されたわけでございます。しかるところ、十二海里が実施され、今年に入りましてから比較的十二海里の外の北方海域でイワシの漁等も好調でございまして、ソ連側としてはいま直ちにイワシとのバーターというようなことを向こうは言ってきておりません。これはやめたわけではございませんが、そう差し迫った状況にないというようなことで、今後とも引き続き協議を進めていくということでございます。  しかし、いま御指摘がございましたように、加工業者等のスケトウを原魚とするところのすり身業者等におきましては、原料不足という状況にも相なっております。これをいままでどおり、二百海里時代を迎えない前のとおり、必要量を確保するということはなかなか困難ではございますけれども、しかし、可能な限度で加工原料も確保してあげなければいけない、このように考えまして、バーターの問題とは切り離しまして、漁業団体あるいは加工業界その他実際にこのスケトウを使っておりますところの実需者の協議会をつくりまして、そして協議会で輸入量、また各加工団体等に対する割り当て量、そういうものをこの協議会で御検討願って、それを政府が受けて輸入割り当て制による輸入を認めてやる、こういうぐあいにひとつ制度をきちっとつくりまして、無秩序な輸入、また商社等の思惑、そういうものが介入しないように、そういう仕組みをつくって加工業者に対する原魚の供給、これを図ってまいりたいということで、すでに関係団体にその構想を示しまして、ただいまそういう協議会等を設置することについて関係者の間で話し合いを進めておる、準備が進んでおる、こういう段階でございます。今後とも私ども加工業者に対する原料の確保につきましては、十分な配慮をしてまいる考えでございます。   〔理事青井政美君退席、委員長着席〕
  147. 藤原房雄

    藤原房雄君 原料の確保を私ども急務だと思います。一道二県については暫定基準の延長というような、こういう形になったんですが、この水質汚濁防止法を厳守しておる、そのために先駆的な役割りを担っていろいろ悪戦苦闘をしながらきた塩釜の水産加工団地というのは、やっぱりそのともしびを消してはならぬと思いますし、それは何らかの形でやっぱり評価しなければならぬだろうと思います。まじめな者がばかを見るようなことがあってはこれはならぬと思うんです。まあいまの制度の中でどれだけのことができるかわかりませんが、そこで地元としましては輸入港の指定ですね。こういう加工原料魚の輸入という、バーターなりいろんな関係で入るということになりますと、そういう施設があるわけですから、加工場のたくさんあるところを何港か指定になるんだろうと思いますけれども、その中にぜひ加えてもらいたいというのが強い要望であります。  この塩釜には、横浜税関塩釜支署、横浜植物防疫所塩釜支所、東京検疫所塩釜出張所、こういうものがございまして、各種加工原料等の輸入の受け入れ体制というのはこういう点では非常に満たされておるということと、それから十分な加工施設を、水質汚濁防止法の基準値を守るだけの処理能力を持っておる。こういう点から原料の確保、この塩釜の加工団地については特段のひとつ御配慮をしてもらいたいということが地元の大きな要望であります。どうでしょうか。
  148. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 東北におきましては、加工の面では塩釜の加工業界、これが相当大きなシェアを持っておるわけでございますから、ただいま申し上げたような体制のもとにスケトウダラの輸入をいたしました際における配分におきましては、十分過去の実績を勘案してこれに配分をする、こういうことにいたしたいと考えております。
  149. 藤原房雄

    藤原房雄君 ぜひひとつ、こういういままでの経過等を勘案しまして御配慮いただきたいと思います。  それから、これからどれだけのものが輸入になるかということはこれは定かではございませんで、今後のいろんな推移を見なければならないことだと思います。つい最近もまた増設をして、現在の処理能力を保持することになったわけですけれども、やはりこれからどうしても塩釜だけに原料魚が全部来るわけじゃございませんから、当然輸入枠——ある程度のものが定まるでありましょう。そうしますと、輸入枠の中で排水処理施設規模が見合わないということになってやっぱり施設の遊休化、こういうものがどうも誘発するといいますか、考えられるということになりますと、団地経営というのは当初の計画が大幅に狂って、現在でも二億数千万の累積赤字に悩んでおるわけでありますから、これが施設の遊休化ということになりますと、さらに経営の悪化というのはどうしようもないものにのめり込んでいくという、こういうことで、これからいま大臣がおっしゃいましたような加工原料魚の輸入、それの量というものが大体どのぐらいになるか、それが定かになった時点で遊休施設というものがどうしても考えられるということであるならば、補償等適切な処置を講じなければならぬじゃないか、こんなことは私どもは考えたくないんですけれども、現在の状況の中ではやはり二重、三重に物事を考えておかなければならぬ、このように老婆心ながら考えるわけでありますけれども、これは当然今日までいろんな制度がございますから、それらの制度の中で当然処置していただけるものだと思います。  今日までも北洋漁業関連融資に関するいろんな処置がございますので、それらのものが当然当たるんではないかと思いますけれども、これは当面、現在交渉のために中断しておるものと恒久的なものと、そういう様相がだんだん複雑化してきておるという、そういう中で塩釜のこの施設というものは一体どういうふうな処置をしてもらえるのか、余り先走って先のことを考え過ぎると、加工原料魚がどれだけ入るかということも定かでないときに、余り後退するような物の考え方はどうかと思うんですけれども、いまの制度の中でやっぱり当てはまるいろんな処置があろうかと思いますが、こういうのはどうでしょう。
  150. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 塩釜は、私も隣県の岩手でございますから、塩釜の加工団地のことは創設当時から状況をよく知っておるわけでございます。藤原さんも御視察なさってよく御承知と思うのでありますが、塩釜の加工業者が全部が全部加工団地に入っているわけではございません。入っていないものも相当あります。これらの諸君も施設に相当の余裕が——余裕といいますか、いまのような事情で出てきておるということでございますれば、新たにそれに参入をするという問題もございます。と同時に、スケトウのすり身だけに依存しておるわけではございませんで、いろんな魚種のものをあそこで頭をとったり内臓をとったりそういう内処理をやっておる、こういう状況でございます。私どもは今後多獲性のサバ、イワシ、そういうものの高度利用というような技術開発等も進めておりますので、総合的にあの施設が十分活用できるように、また活用されることによってあそこの運営の経費も賄えるように、そういう指導をしてまいりたい、このように考えております。  なお、一般的な問題として、加工業に対する北洋の救済対策につきましては、すでに御承知と思うのでありますが、四月の十五日に閣議了解のもとに八十億の緊急融資を行いました。また、中小の加工業者に対しましては通産省におきまして、中小企業公庫その他から四十億の緊急融資をやったことは御承知のとおりであります。また越えて六月二十一日に、これも閣議に私から諮りまして二百八十億のこの加工業に対する救済対策としまして五年間の融資、そして金利は四%または六・五%という中期低利の資金を融資をするというような救済対策も手を打ってあるわけでございます。  なお、原料魚の不足等によって工場が、設備が過剰になっておるというようなところにおきましては、これをスクラップをするということに対しまして政府として助成の措置を講ずる、こういう対策もとっておるということを、あわせて御報告を申し上げておく次第であります。
  151. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間がありませんのでもうこれで終わらなきゃならないんですが、近いと言えば大臣より私の方が近くにおるんで、距離の問題じゃなくて、実際零細な方々が多いという特殊事情もあり、そしてまた、いままでの経過の中で非常にこの加工団地の運営というのはいままでいろいろ問題が、加工団地といいますか、浄化槽の問題でも経過があり、やっぱりあそこに入る人たちは二の足を踏んでおるということで、また将来に対する不安等、こういうこともございまして、過剰投資にならないような形で物事が進めば一番いいんですけれども、現状としてはそんな生ぬるい状況ではないということを踏まえて、私は申し上げておるわけです。  水産庁長官も、ぜひひとつ、いろんな経緯はございますが、とにかく水質の基準を守るために先駆的な役割りを果たして今日まできた、塩釜だけのことじゃないのですけれども、特に各地の加工団地の中で非常に悪戦苦闘してきた加工団地でもございますので、十分にひとつ御配慮をいただいて対処していただきたい、このことを強く要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 下田京子

    下田京子君 大臣にお尋ねしますが、昭和四十九年の石油危機以来、食糧を第二の石油にするなという共通の理解が得られている中で、しかし実際には現在食糧が海外依存というふうな中で、国民が大変な不安を抱いていると思うんです。こういう状況の中で、私も農林水産委員といたしまして各地域の農家の皆さんと懇談をしてまいりましたので、その二、三の農家の皆さんの生の声を聞いていただいて、大臣がこの現地の農家の皆さんの声をどういうふうに認識し、そしてどう対処していこうとしているのか、農政の基本についてお尋ねしたいわけです。  現地の農家の皆さん、特に米どころの福島県の会津地方とかあるいは宮城県だとか、こういったところでは特に粘土質のところはいい米がとれる、そういう中で米をつくる以外に生きる道はないんだ、多額の借金をして機械を購入して、それでいままで営々として米づくりに励んできた、こういう中でやれ小麦をつくれ、大豆をつくれと言っても、価格体系あるいは技術体系等から見てもとうてい受け入れられないというふうな声、さらに先ほど質問等あったと思いますけれども山形県のサクランボ農民に至りましては、サクランボだけが生活のよりどころで自家飯米すらつくっていないという状況、そういう中でサクランボが来年アメリカから輸入ということを現在政府が認めていったならば、サクランボ農民は一体何をつくって暮らしていけばいいのか、これはまさにサクランボを守るというだけじゃなくて、日本の農業を守るということなんだというふうな声を言っていました。  それからさらには、加工トマトだとかキュウリだとかジャガイモだとか、いろいろ工夫して野菜をつくったり、あるいは工芸作物のたばこ、コンニャク等をつくられている農家の皆さん方が口をそろえて言われていることは、ことしあたりは価格の暴落がひどい、箱代も出ない、さらにはたばこやコンニャク等の特用作物も生産調整というものが出されてきている中で、一体政府は農業についてどう考えているのかというふうなことでの不安と不信と怒りの声を上げているわけなんです。こういったことについて大臣はどう御認識されて、そして基本的な農政考え方がどうなのか、簡潔に要点だけお答えいただきたいと思います。
  153. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 農政の基本につきましては、私が就任当初当委員会におきましても所信表明の形で明らかにしておるところでございます。  端的に申し上げますれば、農林漁業、これは何といっても国民に対して食糧を初め重要な農林水産物を供給する仕事に従事しておられるわけでございますから、これは重要な国政の基本として私ども農業の振興、農林漁業者の生活の安定、これを図るようにしていかなければいけない。  もう一つは、世界の食糧事情を見ておりまして、現在は小康状態を保っておりますけれども、長期的な展望に立ちます場合におきましては、何といっても食糧の問題は重大な問題でございます。そういうようなことから、できるだけ国内で自給できるものはこれを極力自給をしていく、そして足らざるところはこれは消費者である国民の皆さんに食糧等を安定的に供給する使命を担っておるわけでございますから、安定輸入を心がけていく、こういう基本的な立場で取り組んでおるところでございます。  食糧の自給の問題を達成いたしますためには、何といってもその基盤であります農業基盤の整備の問題であるとか、あるいは農業の担い手の確保の問題であるとか、諸般の政策を総合的にやってまいらなければいけない、こういうことに考えております。  繰り返してはっきり申し上げますが、私は外国からの農産物等の輸入につきましては、国内の食糧の自給力向上という政策に水をかけるようなことは断じていたさない、こういう考え方で、国内の生産と見合って、そして国民に安定的に食糧を供給するという限度におきましてこの輸入という問題は考えていきたい、このように考えております。  具体的な問題を二、三挙げられましたけれども、たとえばサクランボの問題にしても、これは御承知のようにすでに自由化されておるわけであります。コドリンガという害虫がそこについてくるというようなことで、この防除の問題で技術的にいろいろやっておったわけでありますが、それが解明をされたということになりますれば、これを阻止する道はないわけでございますけれども、しかし、サクランボをつくっておられる農民たちも考えまして、輸入の時期が国内の出荷の最盛期等に重ならないように、また量等につきましても一遍に入ってこないように、あらゆる配慮を払いながらやってまいる考えでございます。
  154. 下田京子

    下田京子君 大臣答弁が非常にりっぱな答弁で、そのとおりに進展することを私も心から願っているわけですが、現実的にいまの農家の実態を見ますと、非常に深刻になってきているわけです。いま大臣が農業の振興、それから自給率の向上というお話をなさいましたけれども、現実的に昭和三十五年から昭和五十年、この十五年間の自給率の推移等見ましても、穀物は八三%から四三%に下がっている、あるいは小麦につきましては、三九%から四%になっている。また大豆は二八%から四%、しかも、これをここ過去三年間の状況を見てみますれば、事大豆に至っては、年々下がっているわけです。大臣御存じだと思いますけれども、四十九年には九万二千八百ヘクタールの作付がありました。しかし、翌五十年になりますと、八万六千九百ヘクタール、そして昨年は八万二千九百ヘクタールと、どんどんと耕作面積すら落ち込んできているというのが実態であります。しかも農地壊廃につきましても、過去昭和三十五年から同じく五十年のこの十五年間の間に百十万ヘクタール以上の農地がつぶされていますし、しかも造成分を差し引いても農地だけで五十四万ヘクタール、こういうふうな形で、大臣が繰り返し答弁されているということですけれども事態はそうではなくて、より深刻な方向に来ているわけなんです。  そういうふうな状況について、やはり大臣自身の考え方を改めていただく、政府が本当にこの自給率を高めていくための具体的な問題の取り組みということを、いままでやってきた形とは違った形での、本当に農林水産業を、農業を国の基幹産業にきちんと据えていくというふうな立場からいろいろと計画を立て、物事を考えられる必要があるんではないか、こういうふうに思うわけなんです。特にその中では、何といっても農家の皆さん方の営農意欲を摘んできているというところが一番大きな原因だと思うんです。農家の皆さんがいろんな形で、こんなひどい農業の中でももう営農意欲を持ち続けながらがんばっているというのが、一方であるわけです。たとえば、先ほどから何人かの先輩議員さんお話になっておりましたけれども北海道のあの有珠の災害において農家の皆さん方が、本当にみずからおの荒廃の中で灰の除去をしながら幾らかでも作物を育てようとなって必死になっています。私も一緒になってやってまいりましたけれども、あるいは山形福島におきましても、委員会調査で行ってあのブドウだとかあるいは桃なんかにおきましても、本当に三十五度あるいは四十度までの傾斜地農業と言われるぐらい、非常に高度な土地利用をして苦労なさってやっているわけなんです。こういう農民の意欲を本当に育てていくという姿勢が、私は大事だと思うんです。その上に、さらに多面的に見てみますと、その可能性は大いにあると思うんです。  その可能性の第一は、何といっても農業の担い手である農家の皆さん方の教育や技術水準が非常に高くなってきているということが第一。それから第二番目に、機械、肥料、農薬などさらに開発し得る日本の高い工業力、技術、科学水準、こういったところをいかに利用するかといって、すべてやっぱり政府の姿勢にかかわってくるんじゃないか。それから第三番目には、気候や地理的条件からいってもやはりこう言える。  問題は、繰り返し申しますけれども政府が農業を国の基幹産業に据えて、いかにして営農意欲を育てていくかというところにあるというふうに思うわけなんです。その点から見ますと、米の過剰問題というもの、これを米生産の抑制ということでもってやられてきている現在のやり方、あるいは大臣が食管制度を守るためにだとか言われておりますけれども、守ると言いながら現実的には買い入れ制限をやっている、あるいは大量の超過米を出してそしてもう政府は買わない、このこと自体がやっぱりもう農民の意欲を損なうことでありますし、さらには食管法を崩していくことになるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。そこで、この営農意欲を育てていく上でどういう方向でこのお米の処理問題、超過米問題を処理なさるおつもりなのか、基本的な点何度かお話あるようですけれども、再度私の方からもお尋ねしたいと思います。
  155. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 総合的な食糧の自給力を向上させる、これが農政上の非常に重要な方針でございます。  先ほど来、麦だとか、あるいは大豆の自給率がむしろ下がったと、こういう御指摘がありましたが、これは確かに数字の上でそういう傾向にございました。しかし、政府としては、御承知のように長期の食糧の需要と生産対策、これを確立をしまして、その目標に向かって努力をしてまいりました関係で、これらの減産傾向にありましたものに歯どめがかかっておる。しかし、何といってもこの稻作志向というものが、御承知のように非常に強いわけでございます。この点につきましても、私どもは水田総合利用対策を進めてきたわけでございますけれども、さらに情勢がなかなか思うように進まないということも勘案をいたしまして、今回一歩踏み込んで、水田利用再編対策というものを十年ぐらいの長期の計画でこれを進めてまいりたいと、そのためには、先ほど来申し上げるように、価格政策の問題で米と他の主要作物との相対価格の是正、収益性もできるだけ米作をする場合でもその他の主要作物をつくる場合でも収入が均衡するようにと、そういう方向でいま努力をいたしておるところでございます。  畜産の肉等につきましては、御承知のように着実に伸びておりまして、七五%から八〇%ぐらいの自給率になっております。また、ブロイラーでありますとか、卵でありますとか、あるいは牛乳でありますとか、そういうものは一〇〇%の自給になっておる。また温州ミカンその他の柑橘類につきましては、御承知のように、これもむしろ過剰基調にありますので、計画的摘果その他を踏まえまして生産調整もやっておる。  穀物の自給率が四十数%であるというのは、一番大きな原因は国土資源の関係から家畜の飼料、これが大量に輸入をされざるを得ない、こういうような状況下にございまして、実際に国民の皆さんに食べていただいておるところの穀物につきましては七〇%台の自給率を確保しており、これを今後も総合的に進めてまいりたい、こう考えておるところでございます。  なお、この米の需給の均衡を保持するということは、まあいろいろ御批判はあろうけれども、やはり食管制度の健全な運営、食管制度を維持してまいりますためには、何といっても米の需給の均衡というものを図らなければいけない、こういう考え方で取り組んでおるということを御理解を願いたいと思うわけであります。
  156. 下田京子

    下田京子君 大臣がいろいろ言われまして、努力しているとおっしゃいましたけれども、現実として、しかし価格の問題や何かでは折り合いがつかないということでもって、お米に頼らざるを得ないというのが実態だと思うんです。  その点から、具体的にことしの超過米の問題について私もお伺いしたいわけですけれども、いろいろいままで何度か先輩議員さんたちお答えになっておるようですが、今年度超過米、はっきり数字はまだわからないと、こうおっしゃっておりますけれども、いろんな資料等見ますと、九十万トンから百万トン出るだろう、あるいは一%作況指数が上がるごとに十三万トンからになるだろうと、こんなことが言われているわけですね。こういった形で大量の超過米が出たということについての原因ですね、どうしてなのか。先ほどからは平年作を上回る作況指数だということでお話しになっていますけれども、それだけではない、いろんな問題があるのじゃないか、こう思うわけなんです。その点で、政府の需給計画そのものに見通しの誤りがあったんではないか、ここにも大きな原因があるだろうというふうに思うわけなんです。その点でお尋ねしたいのですけれども、五十一年、五十二年とも、潜在生産量を一千三百万トンに見込んでおりますね。その根拠になる面積は、計画作付ですか、これは水稲作付可能面積を二百八十七万ヘクタールというふうに見込んでおいたのかどうか、この点を一つお尋ねします。
  157. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 千三百万トンの基礎でございますが、五十二年度の水稲の潜在作付面積といたしましては、二百八十七万二千ヘクタールと見込んだわけでございます。
  158. 下田京子

    下田京子君 そうすると、この二百八十七万二千ヘクタールというのは五十一年度と全く同じものですね。その五十一年度の実際に作付された面積について、転作、通年施行分と合わせてどのくらいになるか、お尋ねします。
  159. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 五十一年でございますが、五十一年は実績でございますが、二百七十四万一千ヘクタールということに相なっております。
  160. 下田京子

    下田京子君 まだ答えてないです、転作、通年施行分含めて合計額。
  161. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 転作が十九万五千ヘクタール、通年施行は二万ヘクタールの予定でございます。
  162. 下田京子

    下田京子君 質問に答えてないですよね。五十一年度の実際に作付された面積と、それから転作、通年施行分それぞれ幾らで、合計幾らになっていますかという質問です。
  163. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 転作の方はいまの目標に対しまして十七万七千ヘクタール、九一%でございます。それから通年施行は目標の一割減、一万八千ヘクタールでございます。
  164. 下田京子

    下田京子君 といいますと、実際に、当初二百八十七万ヘクタール五十一年度では見込んでいて、いまの答弁にもありましたように、実際に作付された面積と転作分と通年施行分合わせれば、去年五十一年、二百九十三万六千ヘクタールになるわけですね。実際に昨年それだけ作付されていたということは、作付可能面積がこれだけだというにもかかわらず、機械的に五十一年度の作付可能面積を今年度の需給計画、水稲作付可能面積に横すべりさせてきたということになるんじゃないか。こういう点で、政府の需給計画そのものの見通しに大きな超過米を生み出した原因の一つがあるんではないかということを大臣にお尋ねしたいわけです。
  165. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いろいろ見方があるわけでございますが、生産につきましては昨年の冷害等も勘案をしまして大事をとって下限をとったと、それから需要の面につきましてはこれは上限をとったと、こういうようなことで、その間において若干のギャップがあることは、事実上私も認めるところでございます。
  166. 下田京子

    下田京子君 いま若干の誤りは認めるというお話でしたが、若干だけじゃなくって、やっぱりその面積が大きいことと、それから実際にそのことを認めている発言をなさっているわけですね。これは福島県の農政部の園芸農産課の方からいただいた資料なんですけれども、七月の二十一日、農林省の地域農業生産対策基本調査説明会の中で下農蚕企画室長さんがあいさつされているわけですよ。その中でこう言っているわけですね。五十年度の需給見込みは、調整後の生産量を千二百十万トンと見込んだが、実質的には平年作で千二百五十万トンになると。理由として新規開田が多い云々と挙げていますけれども、十アール当たり収量を四百五十キロと見たが実質的には四百五十五キロ程度になる云々と、こう言われているわけなんです。そうしますと、このことは、この数字を見ていっただけでも、平年作でも四十万トンの超過米が出るということを数字が現実として物語っているのじゃないかと、こう思うわけなんです。そういう点から見ますと、二重にも三重にも今度の超過米の問題については農民には責任がない。さっき大臣が、努力したけれども若干の見誤りはと言いましたけれども、若干だけでない見誤りもあり、しかも、下限をとった云々と言われますけれども、実際に一〇〇%の生産調整に協力しろうということで、そのことに必死になって農家はこたえていったわけです。そして作況指数が四%から五%上回ったからと言っても、これは農民の責任じゃないと思うんですね。その点を明らかにしていただけませんか。
  167. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほども申し上げましたように、昨年の北海道東北その他の冷害、これによりまして四十万トンぐらいの減収になっておるわけでございます。そういうような考え方もございまして、先ほど申し上げたように、生産目標というものを大事をとっていま申し上げたように下限をとったと、そういうことで四、五十万トンというものがそこに狂いが来ておるということを、私は率直に申し上げておるわけでございます。
  168. 下田京子

    下田京子君 率直に認められることはよろしいんですけれども、そうなれば、政府ははっきり言っていませんけれども、九十万トンとも百万トンともなる超過米の全量買い上げについては、政府がやっぱり責任をとって対処していただかなければならないと、こういうふうに思うわけなんです。そういう点で何度もお話しになっているようですけれども、そうはいっても食管を守るどうのこうの理由をつけられて、自主流通米ルートでもって販売をやっていきたい、こんなふうに言われています。しかし、現実として、たとえば福島県の経済連では何と言っているかといいますと、半分しか恐らくこのままいっても処理できないだろう、こういうふうに言われていますし、それから福島県の福浦農協というところに行きましたら、ここでは何とか九月、十月の来年度米穀年度に入る前のうちに処理したいということでやっている、ということは三回検査をしなけりゃならない、超過米、そして自主流通米、政府米と、そういう大変なこと、現にそうなっていると言うんですね。そういう苦労までなさっているわけなんです。となれば、政府が、幾ら大臣が自主流通ルートで流れると言っても、現に流れる見通しがないと現地の人たちは困っているわけなんです。  ですから、となれば、具体的な対策として流通の問題について二点特段にお願いしたいことなんですけれども、その一つは、かつて五十年度でやられたように、配給米をストップして自主流通米をまずばっとはけるような措置がとれないかどうか、この点。それから第二点目には、倉庫の問題で検討するというお話でしたけれども、具体的に指定倉庫をふやすことと、低温倉庫の指定がやられてない、一般に比べて四円高だということで政府がそれを渋っているということなんですが、具体的にこれに対処される用意があるかどうか、政府の態度を明らかにしていただきたいと思います。
  169. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 具体的な事例についてお答え申し上げますが、先ほども丸谷先生その他から御質問の際に申し上げましたように、政府は自主流通ルートで指定法人等の集荷をいたしました数量につきまして、これを配給計画に繰り入れて、これを需要者団体が取り扱うわけでございますので、その際は政府売却を勘案いたしまして、全量は配給としてとられるというような操作をするわけでございます。しかし、一切政府売却を一時ストップして云々というようなお言葉がございましたが、これは年間、五十三米穀年度の全体の年間を通じて集荷された予約限度超過米の処理が行われるように適切にいたすということでございまして、われわれいろいろな現地の御批判もただいま承りましたけれども、われわれとしては一昨年の経験もございまして、この点については、いやしくも現地の村の段階等において、超過米がそのまま残るというような事態は絶対ないような施策の進め方をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、倉庫の問題については、これは指定倉庫、臨時倉庫の指定あるいは特別指定倉庫とか、あるいは需給上集荷即需要地への発送というような全体の操作によって、この倉庫問題については解決をしていきたいというふうに考えてございますが、お言葉のように、低温倉庫が低温割り増しをしているために倉庫指定を渋っておるというようなことは絶対ございません。ただ、低温倉庫は地域によって需給計画上均衡ある設置、その点でわれわれとしては調整に努めておるわけでございまして、単に倉庫料金の割り増しが高いために、そのようなことで渋っておるというような事態のないことを申し添えたいと思います。
  170. 下田京子

    下田京子君 確認したいのですけれども、とにかく現地で困らないように全部処理できるようにするということが一点と、倉庫問題についていろいろな現地のそういう事情があったらば、それらはこたえていくというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  171. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) ただいまお答え申し上げたとおりでございまして、それぞれ具体的に措置を進めたいと思います。
  172. 下田京子

    下田京子君 流通の問題では先ほど前向きに対処するということですが、残るのはやはり何といってもそれでも金額上残るわけですね。で、福島県の場合で聞きますと、実際には内渡し金としまして超過米については一万三千円でやられているわけです。それが政府米との差、およそ一俵四千円ということになりますから、これを九十万トンという全国のあれで見ますと、全国の農家について約六百二十億円の損失分というふうになるわけです、単純に計算しましても。そういうことでいろいろと先ほどから流通促進奨励金のことや、あるいは販売促進奨励金のことで金利、保管料等を言われておりますけれども、先ほどは各年々ごとの事情でやるというお話でしたが、具体的に五十年度並みにおやりになる考えがあるかどうか、率直に簡単にお願いします。
  173. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 結論を申し上げますと、五十年度並みにやる考えはございません。本年の流通事情に即して現在検討中でございます。
  174. 下田京子

    下田京子君 いまの問題ですけれども、全量を政府の責任で買わなければならないというその根拠は、いままで私が言ってきたようにあると思うのです。政府にあると思うのです。そういった点から見たら、やはり農家の損失分を政府が責任を持って補てんするというのは当然だと思うのです。ただ全量買い上げで何とかさばけるだろうということでは、私は問題は処理しないと思うのです。このことこそが、大臣が先ほどから言われているように価格問題云々も含めて改善のために努力していると言われておりますけれども、一生懸命つくった、つくったらば政府の言いなりにやってきているにもかかわらずできたものは買わない、何とか売れてもお金でたたかれるということが、農家の営農意欲を私は摘み取ってきているところにあるのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。その点で五十年度並みにはやらないということですけれども、どうか五十年度並みに近い方向で再度検討されますようにお願いをし、そして時間がなくなってまいりましたので、最後にお米の問題につきましては、未年度からやられる水田利用再編対策のことについて、ぜひ今後政府が次の二点をしっかり踏まえて解決していただきたいというふうにお願いします。  その第一は、いままでずっと申してまいりましたけれども、本当に農家の皆さん方が、うん、これならやれるという形での意欲がなかったら農業はつぶれると思うのです。農村も大変なことになると思うのです。ということは、政府が、大臣が言われているように、自給率を高め、そして国内生産と言われていますが、結果としてそれに反していくことになると思うのです。そういう点で、何といってもこの再編計画の対策については、第一に上からの強制を必要としないで、もっと自主的に安心して転作できるような条件をつくることを考えてほしい。  それから第二番目には、米いびりじゃなくて、米農家も含め、米づくりも含めてすべての作物についてもっと意欲的に取り組めるような価格、技術あるいは土地基盤整備、いろいろな点で総合的に、やはりいままでやってきたようなものに引き続きじゃなくて、新たにここで考え直してやっていただきたいというふうに思うわけなんですが、この点どうでしょう。
  175. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 来年度からの百七十万トンの総合的な水田利用再編対策、これを進めてまいりますためには、そういうことがスムーズに行われるようないろいろな条件の整備ということが必要だと考えておりまして、この点につきましては、財政当局ともよく折衝いたしまして最大限の努力をやって、そしてそういう条件のもとにスムーズに転作が行われるように進めてまいりたいと、このように考えております。
  176. 下田京子

    下田京子君 最後に、農政とお米の問題でぜひ再度、いまの大臣答弁にもありましたが、本当に農民の意欲を育てていく方向で具体的に現地の声をお聞きいただきたいんですけれども北海道では現在二五%からの転作をやってきているわけで、それがそのまま倍になるような形でやられた場合には五〇%ととんでもない数字になるし、これは困るというようなこと。  それから、各地方を歩きますと、農村の中でお母さんたち、婦人の占める割合が大きくなっているわけですね。その際に、一律に大豆をつくれと言われても、とてもじゃないけれども、あの大豆を刈り取ることやなんか考えても、機械のことから技術のことから考えても容易でないというふうに言われておりますし、また、私が実際に調査に入った福島県の小高町の役場の皆さん方も、農協の皆さん方も口をそろえて言っていましたが、これ以上米をつくるなと言っても何をつくっていいかわからないと。もう農林省の皆さんが直接現地に入ってきて指導してくれよというふうにも言われていますし、あるいは福浦という農協のそこの地域の農家にあっては、海抜マイナス一メートルというようなところなんですよね。水田を畑作にして大豆もつくってみたと。ところが、塩が吹いてくるというような状況もあるわけなんです。こういう現地の声をよく聞いて、本当に農家の皆さんが意欲を持ってやっていけるようなことで、この水田利用再編対策を考えていかれるように要望いたしまして、この質問は終わります。  次に、果樹の問題なんですけれども委員会調査にも入りましたが、福島県の桃とそれから山形県のブドウなんですが、桃の裂果、腐敗被害、これは報告にもありましたけれども、実際に三百十二戸の農家戸数、これは福島市の湯野農協というところですけれども、そこで二百十四ヘクタールの桃の被害が出、そしておよそ三億円からの損失が出ているわけです。それから、山形県のブドウにつきましても、これは高畠町という一地域なんですけれども、ここでは全体の栽培面積が五百九十ヘクタールあるわけです。被害面積も同じく五百九十ヘクタールあって、被害額がおよそ五億四千万円を超えるというふうに言われております。福島の桃についても山形のブドウにつきましても、それぞれ片一方はせん孔病だとか、あるいは裂果、腐敗被害でありますし、片一方は晩腐病という病気ですけれども、ことしの異常な長雨によっての被害だというふうに言われております。  そこで、この天災融資法の発動を全国の長雨被害と一緒にして、たとえば青森、津軽の集中豪雨の問題だとか、あるいは有珠の問題もありますし、島根県隠岐の島の問題もありますが、そういった気象条件の現象の一つとして、一括して天災融資法の発動ということは考えられないかどうかということが第一点と、それから第二点目には、せん孔病あるいは晩腐病、これらのことについて、それぞれ国の段階でもやられておると思うんですけれども、防除の技術の措置をさらに高めていくという点で予算をふやすことだとか、研究体制を強化するというふうなことをやっていただきたい。  それから、三つ目には価格の問題なんですけれども、県独自でいまいろいろ補償もやられています。それに国が上乗せするというふうな方向で対処していただけないかどうか、この三つのことをまとめてお尋ねします。
  177. 今村宣夫

    説明員(今村宣夫君) まず、集中豪雨と長雨によります被害につきまして、天災融資法を発動する考えはないかというお話にお答えをいたしますが、八月の長雨によります農作物の被害につきましては、現在統計情報部において被害調査を行っておるところでございますので、その結果を待ちまして私たちとしては検討をいたしたいと思っております。  被害の状況を見ますと、八月上旬の集中豪雨は、県の報告によりますと三十六億ほどでございます。同時に長雨の被害は、これも同じく県の報告によりますと九十四億円でございますが、長雨被害の態様は、埼玉県を中心とした関東全域に発生いたしておりますが、その被害は地域的に見ればわりあい浅いということもございまして、関東諸県から天災融資法の発動その他の希望が出てまいっておりません。青森県につきましては、集中豪雨はわりあいひどかったということもありまして、とりあえず県におきまして要綱融資の形で措置をいたしておりますし、私の方としましても自作農資金を特別に約四億円ほど出しまして、これによって対処いたしておるところでございますが、いずれにしましても、統計情報部の被害の結果を見まして検討いたしたいと考えております。
  178. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 桃のせん孔細菌病、それからブドウの晩腐病の問題でございますが、これにつきましては、気象条件とも病気の発生のしぐあいが関係してまいるわけでございます。特に雨の関係があるわけでございますが、それ以外にも土壌条件でございますとか、それから罹病種の切除等の営農的な防除対策が肝要でございまして、こういったことを含めまして、総合的な防除施策を講ずるということに相なっております。で、年々の果樹のこういった病気の発生につきましては、国、県を通じます発生予察の仕組みができ上がっておりますので、末端は県の病虫害防除所でございますが、そこから適期防除を呼びかけて、適期にやるということが必要になってまいっております。最近、管理が粗放になっておる面もございまして、それが雨等の関係もあって被害を大きくするという傾向も見られるわけでございまして、こういった点は、私ども防除体制をできるだけ強化をするという方向で持ってまいりたい。  それから、なお防除暦等は年々の状況に応じまして見直しまして、各県各県で適切な防除暦を作成して指導するということになっております。  それから、なお試験研究の関係でございますが、桃のせん孔細菌病については、かつて国の果樹試験場におきましても、そういったことに関連をいたします品種の育成、あるいは病気の防除対策についてみずから試験をいたしましたとともに、現在福島県では総合助成でこの防除対策につきまして助成をし、研究を進めておるということでございます。あるいはまた、ブドウの晩腐につきましては、これは各地の農業試験場で取り上げて、過去のものとしての試験成績もあり、また現在実施中のものが三件ございますが、こういった研究の成果を活用いたしまして、適確な防除ができるようにいたしたいと思っております。  なお、農薬の問題も関連をいたしてまいりますが、農薬の使用等についても適切な使用を指導してまいりたいと思っております。  それから、なお果樹の価格の安定措置の問題でございますが、何と申しましても果樹は、先生承知のように永年作物でございます。したがいまして、これは需要の動向にマッチいたしました植栽なり、そういった果樹生産の基本になります植栽面積あるいは結果樹面積、こういうものを押さえまして、適切にマッチするように持っていくということが基本的に重要だというふうに思っておりまして、そういうことと、それからもう一つは、そうはいいましても、裏年、なり年というようなことがございまして、短期の変動もございます。したがいまして、加工に向けられるような果実につきましては、加工対策として、加工原料の価格の安定措置ということをやっておるわけでございます。私どもとしては、さしあたり果樹のうち重要なものとして温州ミカン、それからリンゴについて、原料用向けの果実の価格安定対策を国の制度としては講じておる。それ以外に各県々で、特に単信のあります県には、果樹につきまして県単独の措置がいろいろあるということは承知をしておりますが、国全体の制度としてそれを仕組むということになりますと、全体として国の制度として落ちつきのある仕組みになるかどうか、いろいろその辺は問題かございますので、今後の検討課題とさしていただきたいと思います。
  179. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最初に大臣、沖繩の農業開発が非常に立ちおくれておるという、二十年ないし三十年の立ちおくれがあるとも言われておりますが、ところで、政府関係の方々のよくおっしゃることは、ことしの予算は本土に、他県に比較してアップ率は沖繩はいいんですよと、よくこうおっしゃるんです。これはいいことはあたりまえのことであって、過去における沖繩の特殊事情から、また現在の特殊事情から立ちおくれておるからこそアップすべきである。問題は、本土並みということが沖繩復帰の目標でありますから、本土並みに近づいたかどうかということが、同列になったかどうかということを問題にすべきであるわけなんです。  ところで、特別措置としての五カ年計画、これが本土並みに遠いということで延長になったことも御承知のとおりです。さらに、沖繩振興開発十カ年計画も見直さなければいけないという、こういう状況であります。この現実と実情とにらみ合わして、政府関係者がよくおっしゃる、沖繩の予算は他県よりもアップ率が高いんですよとおっしゃるそのことに、私は解せない気持ちをいつも感ずるわけなんです。このことに対して大臣はどうお考えでしょうか。沖繩の開発はどうあるべきである、まずその姿勢、御見解を承りたいと思います。
  180. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 沖繩の復帰がおくれましたために、本土との農業関係におきましても相当の立ちおくれ並びに格差の存在することは御指摘のとおりでございます。したがいまして、政府としてはこの格差をできるだけ早く解消したいということで、土地基盤整備を初めとしまして、あらゆる努力をやっておるわけでございます。ただ、農業のことでございますから、これはもう百も喜屋武先生は御承知のことで、一年や二年で本土並みにその格差なり条件を整えるということはこれは困難なことでございます。幾ら予算をつけましてもそれは不可能なことでございまして、問題は、政府が本土との格差の存在を認め、これをできるだけ早く解消したい、そういう前向きの努力をしておるということを御理解を願いたいと、こう思います。
  181. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの御答弁の姿勢で、ひとつぜひ沖繩問題をもっとぐんぐんと前進さしてくださいますよう要望いたします。  それじゃ、具体的な問題に早速入ります。  毎年いまごろになりますと、例のサトウキビの値段を上げろというこの陳情が、この数日内にまた代表がやってまいります。五十二年サトウキビ最低生産者価格は、生産費並びに所得補償をし再生産確保されるようにトン当たり二万四千円以上要求、こういうことが鹿児島県との合意を得て、その結論を得て近くその要望をひっ提げてまいると思いますが、毎年のことでありますので、すでに心得ておられて取り組んでおられるとも思うんですが、このサトウキビ価格の問題について政府としてどう取り組んでおられるか、また、その結論はいつごろをめどに出すという腹を持っておられるか、そのことをまずお聞きしたい。
  182. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) いま先生仰せられましたように、来週、沖繩及び鹿児島県からの本年の価格決定についての御要請を承るということになっております。  サトウキビの生産者価格についてどういうような考え方で決めているかということでございますが、法に基づく最低生産者価格、これの決定に加えまして、現在、奨励金を支払うというようなことによって適正な農家手取りの確保に努めているところでございます。  本年の作業につきましては、まだ資料等も整っておりませんので、その過程にあるわけでございますが、いつごろ決められるか、これは実はこの秋、来月に入りますというと北海道のビート、それに続きましてカンショあるいはバレイショ、そのでん粉、さらにそれに引き続いてサトウキビということで、一連の作業が行われるわけでございます。昨年は十月の二十九日にサトウキビ及びそれからの砂糖の政府買い入れ価格を決めておりますが、本年も一連の価格決定の中でできるだけコンパクトに、相互の関連を見ながら早い時期に決めてまいりたいと考えております。
  183. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その決定の根拠になる問題が、一貫して政府生産者側がかみ合わぬで問題になっておるのは御承知だと思います。例のパリティと所得補償方式の問題。今度もまた鹿児島県と沖繩との合意によるこの要請も出ておりますが、この中にも詳しくパリティを改めて所得補償方式にやれ、こういうことがもう毎年のように繰り返されている。沖繩におきましても、知事初め県議会におきましても、また農業団体あるいは関係機関団体、あらゆる組織、団体を含めてこの要望が一貫してあるわけなんです。ところが、パリティがいいんだよいいんだよと、こう政府はおっしゃるが、それを判断するのは生産者であるはずであります。生産者が改めてくれというのに、いやパリティがいいんだと、ここにどうしても私は理解できない点があるんです。  で、きょうここでその結論を出す時間も持ちません。また出るはずがありませんが、どうかこの問題は、おっつけ要請の団体もこのことを強くまた訴えるはずでありますので、このことを、本当にパリティがいいんだよという納得のいくその根拠を与えてもらわなければ、内容を示してもらわなければ、これは結局すりかえ、無責任、逃げ腰ということにしかならない。農民要求を踏みにじっておるということにしかならない。このことについて強くこの場で指摘しておいて、それで、もしただいまそれに対する見解がありましたら承り、なければ次へ移りたいと思います。
  184. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 現在の農産物価格政策におきましては、各農産物ごとの特性に即しまして価格支持の仕組みが決められておるわけでございます。これに応じて、また行政価格の算定方式が定められております。  サトウキビにつきましては、パリティ方式が、これが最低生産者価格と農家の購入品等の価格との間に相対的関係を一定に維持する、安定的な関係を保たせるという意味におきまして、きわめて安定した性格を持っていると考えております。そういうことから従来採用されてまいったわけでございますが、サトウキビの生産の態様、それから生産合理化の可能性といったようなことを考えますと、私どもパリティ方式によることが適当であるというふうに考えております。  ただ、先生いま仰せられたように、そういうことを本当に農家の立場から有利か不利か判断するのはまさに農家自身ではないかということでございますが、そういう考え方のほかに、実は実態的な問題といたしましても、サオウキビは生産の態様、それから技術水準、非常にまちまちでございます。それから天候等によりまして年々反収の変動も大きゅうございます。こういうことから生産費を算定する上での不安定要素が大きいということで、生産費を基礎とするような価格算定方式は実は技術的にもとりがたいという事情がございます。年々、最近経済の成長に伴って物価も上がる、賃金も上がるという状態の中におきましても、過去の生産費をたどってみますというと、ここ十年ほどの中においても、かえって前年よりも生産調査による生産費は低下しているというような年もあるわけでございます。そういうことを考えますというと、技術的にもやはり問題が大きいということで、なかなかこの生産費所得補償方式はとりにくい事情にあるわけでございます。十分そういったことについて関係者に御理解いただけるように、私ども必要な努力を惜しまないつもりでございます。
  185. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの説は一貫して述べてこられてきたことでありますが、それでは納得いかぬからこそ、また今度も同じことをお伺いしておる。そしてまた、よく北海道のビートとの関係もあるやに思うんですが、向こうとは非常に生産基盤が、諸条件が違う、このことを抜きにしちゃいかぬと、こう思うんです。このことは、いずれまた生産者の代表の皆さんとの中で十分論じてもらわなければいけない、こう思いますので、ひとつ覚悟をしていただきたいと思います。  次に、原原種農場の設置につきまして、私は従来唯一の砂糖県である沖繩において国立の糖業試験場が当然あるべきだということを主張してまいったわけなんですが、ところが沖繩の現状から、それを必要としながらもいま当面の問題として、緊急の問題として原原種農場の設置もまた認めるわけであります。それでそのことについてお聞きするわけでありますが、この原原種農場の設置につきましては、政府当局も非常に前向きで積極的に進めておられるということも聞き、また報道機関でも報ぜられておりますが、その設置の条件とか、場所を選定する一つの条件、客観条件がどんなものであるか、そういうことの上に立って設置が大体決まったような——候補地ということになるわけでありますが、そういうことも聞いておりますが、そのことと関連して五十三年度における計画ですね、用地の問題とか、あるいは設備、職員の問題、いろいろあると思いますが、そういった裏づけの計画がどの程度進んでおるのか、これを承っておきます。
  186. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 沖繩のサトウキビの原原種農場の設置の問題、これは前々から御要望がございましたので、私、この六月に沖繩へ参りました際に、必ず御要望にこたえてこれを設置するということをお約束を申し上げてきたわけでございます。五十三年度予算に用地買収費の予算要求を現在やっておるところでございまして、五十五年までに完成をし、五十六年に農家に配布できるように、そういう目標で取り組んでおるところでございます。  その規模等につきましてはいま検討中でございますが、農蚕園芸局長から御報告をさせたいと思います。
  187. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 来年度を初年度といたします原原種農場の設置計画をいまつくりまして、大臣のお話のように三カ年計画で完成をし、四年目から原原種苗の配布が開始できるようにしたいというふうに考えております。  さしあたり来年度といたしましては必要な用地の購入、これは約五十ヘクタールを考えておるわけでございます。それから一部の整地を行います。二年目、三年目で検定用機械施設その他建物の整備、機械の導入、そういうようなことをやりまして計画どおりやりたい、こう考えておるわけでございます。所要の人員につきましては、全体の構想はいま一応のものを持っておりますが、さしあたり来年度は場長以下三名の職員の定数要求をいたしておるところでございます。
  188. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 さしあたり三名とおっしゃる、これは出発ですから一応了解できますが、一応その構想は持っておられると思いますが、職員の定員といいますか、人員の規模はどうお考えですか。
  189. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これはまだ細部の検討が済んでおりませんが、一応の全体計画としては二十名をやや上回る程度の規模というふうに考えております。
  190. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 念を押すようでありますが、計画ができてすべり出して、それがやっぱり設備、人員の規模が早目に整備されませんと、定員がそろいませんと実績が上がらぬことは過去にもいろんな例があるわけなんです。だから、極端に言うと有名無実になりまして、頭はできたけれどもちっとも動かない、実績は上がらぬという制度的の実情がありますので、それで念を押すようでありますが、ぜひひとつ具体的な定員、これから決定的な定員は決まると思いますが、ひとつ早い年次に実現をして活発に踏み出してもらうことを強く要望しておきたいと思います。  そこで、育種でありますが、これは糖業試験場ができるまではいま育種の指定県ということで出発しておりますが、そこで一つの品種ができるまでに私の聞くところによりますと少なくとも十年かかるというのですね。十年の歳月を費やしてやっとできたと。ちょうど沖繩の黒穂病を解決するためのサンプルを持ってきておりますので——これですね、これがRK、これがIRKですね。これがいま十年計画でできた沖繩に適する種であるのですね、この二つが。当然これを普及奨励していただくものと思いますが、そういった心得はいかがですか。その育種と原原種農場との関連性とか、それをどのようにまた受けとめておられるか、これをお聞きしたいのです。
  191. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 沖繩で現在栽培されております品種は二種類で大部分を占めておるわけで、九九%近いものを占めておるわけですが、この二品種は御案内のように黒穂病に弱いという欠点を持っておるわけでございます。そこで、黒穂病に強い品種ということで育成をされましたいま御指摘のIRK六七−一及びRK六五−三七という新品種につきましては、これは当然新たな原原種農場を母体といたします種苗供給体制においてこれを取り扱っていくということに予定をしておるわけでございます。その際に、これは農家の意向等も十分聴取をした上で、その規模等については年次計画をもって決定することになろうというふうに考えております。
  192. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最初にちょっと申し上げましたが、この農場設置の場所選定の条件ですね、客観条件、どういうものですかな。
  193. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 一般的に申し上げますと、苗の増植に適した環境を持っておる場所であること、それから病害虫汚染のおそれがないこと、苗の輸送に位置その他の関係から適切であること、まとまった土地が得られること等の諸条件が満たされるかどうかということを検討して決めたいと思うわけでございます。こういうような観点からいろいろと考えておるわけでございますが、現在、沖繩県で現地調査の上、候補地が東村宮城地区というところで一つ挙がっておるわけでございまして、それ以外の地区は格別どうもいまのところないということでございますので、慎重検討の上、適当な位置に選定をしたいという考えでございます。
  194. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 環境とおっしゃったが、これに適する環境というものの内容はどういうことなんですか。
  195. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 地形とか、土性とか、水利などが主たるものでございます。
  196. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 こういうことはどうなんですか。たとえばサトウキビをつくっておる地域が近いところがいいのであるか、あるいは逆がいいのであるか、そういった点はどうなんですか。
  197. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これは御案内のように、沖繩本島だけでこのサトウキビの栽培が行われているわけでございませんので、宮古、石垣の方も含めまして全体的な種苗の供給の一番の中核になる施設でございますから、したがって、そういったことも含めまして、位置として適当であるかということも考えてみたいと思います。
  198. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それは、専門的な立場から客観的な条件が選択されてまいると思いますのでそれでいいと思いますがね。  時間が参りましたので、まとめて二、三お尋ねしますのでお答え願いたいと思います。  次は、含みつ糖に対する助成措置ですね、特に離島振興の立場あるいは国内産含みつ糖の優先消化を図るという、こういった立場からも、どうしてもこの含みつ糖の保護政策は大事であると思います。幸いに、マスコミの報道を通じますと、農林省は沖繩産含みつ糖の粉状化で生産振興、農林省五十三年四月から実施方針と、こういう前向きの積極的な報道がなされておりますが、その内容についてどのように考えておられるか。また、問題点があれば、その問題点の打開をどのようにしていこうと思っておられるだろうか、ぜひこれを実現してほしいと、いかなることがあっても実現してほしいと、こう要望しまして御答弁を願いたいと思います。  第二点は、砂糖需給調整の強化と、それから再販価格対策に関する適切な措置、この二つの問題で、砂糖価格の安定、国内産糖製造業の経営の安定を図るためにはどうしても砂糖需給調整の強化を必要とすると、こう思うわけなんです。それに対する政府の見解をお聞きしたいんです。  もう一つは、八重山における先般の台風五号の被害復旧対策に関連して、資金借り入れが困難であるということを、私、現地調査、見舞いに行ったときに訴えられている。ところが、その問題、一月ぐらい南米に調査に行きまして、二、三日前確認しましたけれども、その資金借り入れの面は自作農維持資金を現行の百万円を百五十万円に増額をすると、そしてその償還の方法としては、従来信農連が二〇%肩がわりしておったのを、これをこの際やめて、そのかわり信農連が金融公社から受け取っておった手数料、これは本土が二六%、沖繩が二八%になっていると、これをこの二〇%をやめて手数料を本土並みにしてもらいたいという、この要望があるわけなんですが、これに対してどうお考えだろうか。それから、百万円から百五十万円に増額したがこの借り入れの担保はどうなるのか、担保に対する考え方。と申しますのは、実は八重山、西表に参りましたときに、その被害者から八重山の西表島の国有地を払い下げてほしいと、これは従来の要望もあったわけですが、ところが、この被害と関連して、自分たちは無財産なので国有地を払い下げてもらえばそれを担保にして、抵当にして復旧をしたいという、こういう切実な要望があったわけなんです。ところが、いま借り入れの件はこれで解決しましたので、年来の要望であった八重山、西表島の国有地の払い下げ計画はどのようになされておるのであるか、このこととあわして、以上お尋ねしまして私の質問を終わりたいと思います。
  199. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 初めに、含みつ糖の点についてお答え申し上げます。  国内産の含みつ糖は、輸入含みつ糖や再製含みつ糖と競合する面もあるわけでございますが、今後品質の改善、それから販売努力、こういうことを図っていけば独自の需要も確保し得るのではないか、できるだけそういう方向を助成する、指導するということで従来から努めてまいっておるわけでございます。  そういう国内消化の促進を図るという具体的な手段としまして、現在、含みつ糖合理化推進会議というものを毎年開催しております。その際、含みつ糖の輸入商社それから販売関係、需要の各関係にも参加を願って、需要動向の把握、それに即した生産とか販売のあり方、これらについて討議を行っております。このような場を通じて、含みつ糖全体の需給についての関係者のコンセンサスを得て、その合理的な流通を図っていくという状況にあるわけでございます。  それから、そういうことをやりましても、今日なお、離島の経済条件からしてなかなかコストが高くて自立しがたいという事情があるわけでございます。そこで当面、財政上の保護措置を講じておるというもとにあるわけでございますが、先ほど先生指摘されました粉状含みつ糖の推進ということ、これに限りませんが、そういう新しい技術を導入いたしまして、品質の向上、生産性の向上を図るということは、これは当然必要であろうと考えております。そういうものも私ども今後とも推進してまいるということで、今後とも含みつ糖に対する努力を惜しまないつもりでございます。  それから二番目に、国内——国内といいますか、国内における砂糖価格の問題、今日、コストを割って著しく低い水準に低迷しているわけでございます。これについて全体の需給調整が必要ではないかというお尋ねでございましたが、今日、砂糖業界は過剰設備を抱えており、過当競争にさらされているわけでございます。同時に、新しい事情といたしまして、豪州糖が国際糖価に比べて著しく割り高になっているという状況もあります。これら各種の事情からして、非常に経営状況が悪い、コスト割れの状況が長く続いているという状況にあるわけでございます。このことが国内産糖にもひいては悪影響を及ぼすということから、私ども、この糖価の安定ということは、砂糖に対する政策の中でも一番重要課題として早急に解決しなければならない問題というふうに考えております。そのため、需給調整の措置をできるだけ早い時期に具体的に講ずるということで、現在、種々検討を重ねているところでございます。
  200. 森整治

    説明員(森整治君) 八重山の災害に関連いたしまして御質疑がございましたが、被災農家に対します自作農維持資金の融通につきまして、まあ国有地という事情があるといたしますと、担保徴収が困難である。そこでそういう場合には、保証人のみによって融資することもやむを得ないというふうに考えておりますので、関係の沖繩振興開発金融公庫の所管庁にこの旨要請をしたい、こういうふうに考えております。
  201. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 西表島でただいま国有林を約三百ヘクタール、居住地あるいは開拓地として使用していただいておりますけれども、将来とも農用地として使用いただくものにつきましては、ただいま構造改善局とも十分協議いたしまして、所属がえのための調査を進めております。いまの予定では、住吉、大富、古見の三地区につきましては本年度中に、それから大原地区につきましては五十三年度中に所属がえが済むような準備をいたしております。
  202. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時二十一分散会      —————・—————