○
馬場(昇)
委員 いま
大臣の
答弁を聞いて、私は非常に問題点を
感じます。いまの
大臣の
答弁と同じような趣旨を、林野庁の森林保全課長が、この間違いが指摘されますと
新聞に投書しております。そして、いま
大臣が言われたように、資料の一部に記載上のミスがあった、注記の不十分で誤解を招く点があった、こういうぐあいに弁解しておるわけでございます。
国会に誤った資料で審議させておりながら、
国会に対して何の説明もしない、その上にまた、いとも簡単にこの問題を取り扱っておるわけでございますし、いま
大臣の
答弁も作為とか恣意でやったものじゃない、御
了承いただきたいと言われるわけでございますけれ
ども、私はそんな簡単な資料ではない、そんな簡単な間違いではない、こういうぐあいに思います。
そこで、具体的にこの資料が記載上のミスや注記の不十分ではないという点についていまから指摘を申し上げたいわけでございますが、結論から申し上げますと、これは私が見ましてもあるいは国民が見ても、明らかに作為的な資料づくりでございます。改ざんされ、捏造されておるわけです。うそ偽りの資料ですよ、これは。たとえば九つ事例が挙げてあるのですけれ
ども、その中の五つが改造されているのです。偽造されているのです。そしてまた、あとの四例も信用できないのです。全部がそうです。以下、
大臣はお聞きになっているかどうか知りませんけれ
ども、私が具体的にその事実を指摘いたしますので、それでも偽造、改ざんがなかったか、作為がなかったかということについてお尋ねするわけでございます。
まず第一点といたしまして、この資料は、空中散布をした、ところが、こういうぐあいに効果が顕著に上がった、それを示す資料でございます。ところが、空中散布をしていない場所に、これだけ成立本数があって、空中散布をしたところがこれだけ被害木が減った、あるいはゼロになった、こういうように事実無根の資料があるわけです。
まず、その第一を申し上げますと、二十三ページに事例五というのがございます。これは山口県の防府市の桑山の例ですけれ
ども、四十九年度から航空防除をして五十年は被害本数がゼロになった、こういうように説明しておるところです。ところが、この山口県防府市桑山の松林のすぐ裏には上水道の配水池があるのです。農薬の空中散布などできるはずはないのです。そして、事実ここにはやっていないのです。これは山口県の林政課も、そういうところにやれるはずございません、やっておりませんということを証言しておるのです。これを、やった、効果があった、被害がゼロになったというぐあいに記述し、説明し、
国会審議の資料にするとは何事ですか。
ここをいろいろ追及していきますと、林野庁当局は、これは地上散布の間違いだったとかなんとか弁解しておるようでありますけれ
ども、地上散布でこんなに効果があるのだったら空中散布はやらなくたっていいわけです。
いずれにいたしましても、事実なかったことを、やって効果があったといって私たち国
会議員並びに国民をだましている。
次に、第二の例ですけれ
ども、これは二十四ページの事例六というのを
大臣見てください。これは福岡県の早良の国有林という形で出ております。ここに四十八年度から空中散布をした、そして効果があった、こうなっているのですけれ
ども、ここにも空中散布はしていないのです。これは福岡の営林署が、そういうことは絶対やっておりませんというように私たちにも説明をしておるのです。
このことを林野庁に聞きますと、林野庁は、これは九大の演習林の間違いだったというぐあいに言っておるのですよ。だから、九大の演習林というぐあいに注記に書けばよかったのですというような言い逃れをしておるのですが、
現地に行ってみますと、この記載地の早良の国有林というのは山の中ですよ。ところが、九大の演習林というのは海岸にあるのです。山の中と海岸を取り違える、あるべきことではないのです。
それから、記載にはアカマツと書いてあります。けれ
ども、九大の演習林はクロマツなんです。ましていわんや成立本数を見てみますと、ここでは約二十万本近くの成立本数がある。十九万幾らと書いてあるのですけれ
ども、九大の演習林はそれの十分の一もないのですよ。二万本
程度しかないのです。これが間違うはずはないのです。
時間がございませんので、いま二点しか申し上げませんでしたが、こういうように事実無根、空中散布して効果があって被害が少なくなった、ゼロになった、こうだから空中散布はいいのだからこの
法律を早く上げてください、こういう資料に基づいて私たち国
会議員や国民をだましたわけです。
いまのは事実無根の例ですけれ
ども、次に、
大臣はこの資料は作為はなかったとかいろいろなことを言われましたけれ
ども、こういう作為があった、こういう数字の捏造、改ざんがあったということについて、具体的に指摘を申し上げたいと思うのです。
その第一は、二十二ページの事例三、これは山口県光市の懸山の例ですけれ
ども、山口県の林政課でわれわれが調べましたところ、
昭和四十七年と四十八年、四十九年、五十年と四年間の例が挙がっておるわけですけれ
ども、四十七年と四十八年は三十アールの
調査をしておるのです。それから、四十九年と五十年はヘクタール規模で
調査をしておるのです。これは明らかに二つの別な資料なんです。別なデータが二つあったのを組み合わせて、空中散布をしたらこんなに効果があった、こういうぐあいに示しております。四十七年と四十八年、四十九年と五十年、二つ違ったデータを組み合わせておりながら、四十八年と四十九年は違うのですから、四十八年の成立本数が二百九十六本とそこに書いてありますけれ
ども、その四十八年の成立本数二百九十六本から、違った資料ですけれ
ども、四十九年は被害本数をたった
一つ引いて、二百九十六マイナス一で二百九十五本としてあるのです。
三十アールの
調査とヘクタール規模の
調査で本数が同じというのは何事です。こんなでたらめというのはあるはずはないのです。これは数字の捏造、改ざん以外の何物でもないということでございます。
次に、改ざんの第二の例として二十四ページの事例七です。これは佐賀県の虹の松原についてですけれ
ども、ここも四十七年と四十八年は一カ年の被害本数です。ところが、四十九年と五十年は半年間の、六カ月間の被害本数です。そうして、一年の被害本数、六カ月の被害本数、それを同じ一年の資料として——六カ月ならば被害本数が少ないのはあたりまえです。そうして、その資料を、空散が非常に効果を上げた、だから数字がこんなに少なくなったのだ、こんなぐあいに書いてあるのです。
これを正確に言いますと、四十九年、五十年を一カ年の被害本数に直しますと、四十九年度は百三十七本が百九十本になるはずです。五十年度は五十六本が百七本と、被害本数がふえるはずです。こういう改ざんの例がございます。
まだございます。二十一ページの事例一、これは兵庫県の赤穂市の御崎の事例ですけれ
ども、これは行って聞いた話です。五十年は
調査してあるけれ
ども、四十八年、四十九年は
調査していないと担当者が言うのです。そうして、これは机上で作成しました、捏造したということを
関係者が証言しておるのです。
大臣、最後の方に鹿児島県の二事例がございますけれ
ども、ここにも問い合わせをしましたところ、これは役場や県事務所から資料を出さないのです。原資料を出しません。
こういうことを見ますと、そこにあります資料というのはほとんど全部が事実無根、捏造、改ざんですよ。転記上のミス、数字のミスでも何でもない。この資料全部を見てみますと、前年度の成立本数から被害本数を差し引いたのを次年度の成立本数にしてありますけれ
ども、松というのは台風が吹いたりその他の原因で一本も枯れないのですか。資料は全部そういうかっこうになっているのです。
こういうことで、私はこのことは、改ざん、捏造以外の何物でもないと思う。ほとんど全部がそうですよ。
それからもう
一つは、事実を隠蔽してあります。これはたとえば事例五の山口県防府市桑山を除いては、全部地元の人たちが、住民が、松を守るために、その熱意で徹底した伐倒駆除をやっております。ここに出ております資料というのは、その桑山を除きましては徹底的な伐倒駆除が行われているところなのです。ところが、伐倒駆除が行われているということは一言も書いてない。全部空中散布でこういう事実があったのだ、こういうぐあいに地上散布を隠蔽して空散の効果を誇大に宣伝しておる、こういうようなかっこうになっておるわけでございます。
まだあるのですよ。しかし、時間がございませんから、これだけで事例は申し上げません。
そこで、
大臣にお聞きしたいのですけれ
ども、
大臣、私は八十
国会でこの法案審議のときに
大臣にこの場所で
質問をいたしました。そのとき、こういう
質問をしたことを
大臣御記憶なさっているかどうか知りませんけれ
ども、この法案を成立させるための、この法案を提出する前、提出した後の林野庁の
態度は非常に異常だ、おかしいですよ、こういうことを
大臣に
警告いたしました。私が挙げました幾つかの例について、そういう異常があれば大変なことだ、そういうことのないように注意するというようなことを
答弁されましたけれ
ども、いま言ったような、この数字の改ざん、捏造、偽造、作為、こういうものをとってみましても、優秀な林野庁の官僚がこんなに間違うはずはないのです。この事実を見ると、林野庁自体が松以上に農薬に毒されておる、こうしか
考えられないと私は思うのです。そして、事実この法案審議の中で、空散するためのヘリコプターの会社がこれを当て込んで、あるいはお互いに連絡し合ったかどうか知りませんけれ
ども、ヘリコプターの機数をこの時期にずっとふやしております。そしてまた、事実は調べてもらいたいのですけれ
ども、住友化学と林野庁との癒着というものがうわさに上っているのです。そして、林野庁の課長補佐か何かの人が農林水産航空防除協会の専務
理事か何かに天下りもしておる、こういう事実もいろいろうわさに上っておるのです。
大臣、この事実無根、作為、捏造、改ざん、隠蔽、こういう事実をいま私が申し上げて、
大臣初めて聞かれた点もあるのじゃないかと思うのです。けれ
ども、こういう事例があるにもかかわらず、これは単純なミスとお
考えになりますか。これは六百事例の中から最も効果があった九つの例をここに記載しておると言われておるのです。こういうことで、
大臣、これを単純なミスとお
考えになりますか、お答えいただきたいと思います。