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藤井説明員 昨九日、
一般職の
公務員に関しまする
給与改定に関する
勧告を
国会及び
内閣に対しまして
提出をいたしました。本院の
内閣委員会におきましては、さっそくこの
内容について御聴取いただく
機会をお与えくだ
さいまして、心から感謝をいたす次第でございます。
内容の
概略につきまして、私から
冒頭御
説明を申し上げることにいたしたいと存じます。
まず、
官民の
較差でございますが、
調査の
方法は従来
どおりの大筋をそのまま踏襲をいたしまして、正確な資料に基づいて積み上げの結果を出したわけでございます。それと全
公務員についての
給与実態の
調査結果をそれぞれ正確に比較をいたしまして、その結果
較差を出し、これを
配分するという
方法をとったわけでございます。本年の
官民較差、
民間の
経済景況その他を反映してのこともあると存じますが、六・九二%ということでございまして、昨年六・九四でかなり低率になったわけでございますが、それをさらに〇・〇二割り込みまして六・九二ということに相なった次第でございます。この
較差を
配分するに当たりまして、当然のことながら
俸給に
重点を置きつつ、または生活給的な諸
手当ということに
重点を置きまして
配分をいたしたのであります。その結果、
俸給表に
配分をいたしましたのは、パーセントといたしまして六・一二%、
金額にいたしまして一万六百十一円、諸
手当は率にいたしまして〇・四七%、
金額にいたしまして八百九円、その他
はね返り等がございまして、この分が〇・三三%、
金額にいたしまして五百八十五円、計六・九二%、
金額にいたしまして一万二千五円ということに相なった次第でございます。
改定の
内容をごく
概略申し上げたいと存じます。
まず、
俸給表の
改定でございます。
経済が大変伸びておりました時代は、
人手不足その他がございまして、御
承知のように
大変初任給が高くなりました。そのために、相対的に申し上げますと、そのあおりを受けると申しますか、
世帯持ちの階層がややどうもへこみかげんであるというような
状況が続いておったのであります。ところが昨年
あたりから
初任給関係がだんだん鎮静に向かってまいりまして、姿としては妥当な落ちついた姿になってまいったと認められます。こういうようなことから本年の
民間の
配分状況等を見てまいりますると、
中堅職員関係以上についてかなり
改善の方向でやっておるという姿が見受けられるのであります。これは
公務員の
実態とも非常にマッチをいたしますので、この
民間の
配分傾向等をも参酌しながら
俸給表の作成をいたしました。
その結果、大きな目で見ますると大体
同率配分ということになるわけでございますが、し
さいに
検討いたしますと、たとえば
行政職俸給表第(一)表、
一般の
事務系の
職員を
対象にする
俸給表でございますが、これでもって言いますと、いわゆる
初任給系統の八
等級が六・七%、七
等級が六・九、六
等級が七・〇%でありますが、五
等級以上については
同率の七・一%ということで、
中堅職員以上についてやや優遇の
措置が講ぜられるという姿が出てまいったのでございます。
その他、大体これと
傾向を同じように各
俸給表について
改定措置を講じたつもりでございます。
その他の
俸給表の中では、特に
大学の
先生、それから
高等専門学校の
先生につきましては、なかんずく
助教授、
講師について若干の上積みを心がけました。これは、御
承知の
人材確保法に基づきまして
義務教育教員あるいは
高等学校の
教員というものが非常に
改善をされたわけでございますが、それはそれなりに結構でございますが、われわれ全
公務員の
給与について取り扱っておりまするところといたしましては、どうしてもやはり全体的な立場から明らかな均衡が破られるというようなことはやるべきことではないというようなことで従来も気を使ってまいりましたが、今回の場合も、将来の姿は別といたしまして、なかんずく放置できない
助教授、
講師等について若干の配慮を加えることにいたしております。
なお、
指定職につきましても今度若干の
改善措置を
お願いをいたしております。パーセンテージにいたしましては
一般よりも若干
高目ということに相なっております。これはしかし、一昨年御
承知のように
民間の
景況が大変悪くなりまして、その結果、
役付手当の
削減等の
措置が
一般的に行われたのであります。それとの
見合いで
公務員の場合もいわゆる
管理職手当、
特別調整額と言われておりますが、これの
削減を一
年間ではございましたが行いました。それとの関連で、
指定職の
俸給表というものはかなり窮屈に詰めるということをやらざるを得なかったわけでございます。御
承知のように、
指定職はいろいろな
手当がございませんで、
俸給表一本ということでございますので、この
指定職の
俸給表自体に手を加えざるを得なかったということがございます。一面、大体一年置きに
民間の重役の
給与についても
調査をいたしておりまして、参考にしております。
民間はことしも調べましたが、かなり上がっております。そういうことの
見合いもございまして、前年
どおりの
上げ率の八・八%
平均の
改定を行うということにいたしたのであります。申すまでもなく
指定職の
俸給表は、余りこれも
世間並み以下に抑えますと、他の
行政職(一)の
一等級あたりにも影響を及ぼしてくる。頭を抑えるということになってほかにも影響いたしますし、また
特別職、裁判官、
検察官等についても影響いたしますので、やはりそうむちゃくちゃな
抑え方はできないというような限界もございますので、それらをにらみ合わせながら
措置をいたしたつもりでございます。
次に、諸
手当の
関係でございますが、これは生活関連的な諸
手当を
中心に、
民間の動向ともにらみ合わせながら
改定をいたしましたが、その
内容は、
扶養手当、
通勤手当、
住居手当でございます。なかんずく
扶養手当について
重点を置きまして、
配偶者については現在の七千円を千円アップの八千円、それから子供さん二人までについて
現行二千二百円を二千三百円ということを
中心に
改定をいたしました。
通勤手当につきましても、昨年の
国鉄運賃の
引き上げ等でいわゆるカバレージがかなり低下をいたしたというようなこともございます。そういうこともにらみ合わせまして、
全額支給限度を
現行の一万二千五百円を一万四千円に、また
最高支給限度額を一万四千円から一万六千円にそれぞれ
改定をすることに
お願いを申し上げております。
それから
住居手当につきましては、
公務員宿舎がことし値上げになりました。これに伴いましてやはり
一般の
方々も当然負担をしていただかなければならない
限度、いわゆる
足切りを若干上げる必要がございますので、現在
控除額五千円でありますものを千円アップして六千円ということにいたしますとともに、
全額支給限度、
最高支給限度についてもそれぞれ
改定の
措置を講ずることにいたしております。
それから期末・
勤勉手当でございますが、これは昨年いわば心ならずも
民間の
実績等との
見合いから、従来五・二カ月でありましたものを〇・二引き下げて五ヵ月ということで
お願いをいたしたのであります。いろいろ御
論議をいただきました。また
附帯決議でできるだけ速やかにこれを
改善しな
さいということも承っております。ことしもむろんそういうことも背景といたしまして、
民間の
実績を詳細に
調査をいたしました。その結果といたしまして出てまいりましたのが四・九九月分ということでございます。これは大体御想像もつきまするように、昨年の
夏分はやはり低かった。冬になりまして若干上向きに相なりましたが、
平均といたしましてはやはり四・九九ということで、五カ月以上にはならなかったというようなことから、遺憾ながらことしの場合も据え置きということにせざるを得なかったということでございます。
その他の問題といたしましては、医師それから
薬剤師等につきまして依然として
民間の
給与は高うございます。そういう点で
公務員の場合は他職種との
関係もありますし、
俸給表自体がそれぞれ
退職手当なり
退職年金の基礎になるというようなことも考慮いたしまして、その差額を埋めますために
初任給調整手当で
措置をいたしておるのでありますが、本年もそれらの点をにらみまして、
初任給調整手当について若干の
改善をいたしました。
また
薬剤師につきましても、現在
初任給調整手当が千円ということで
法文系並みに相なっておりますものを、
理屈もつきますし
実態もそうでございますので、
理工科系の二千五百円にアップするということを
お願い申し上げております。
それから
国立病院なり
国立大学の
付属病院でございますが、大きい
病院ではそういうことは大体ございませんですが、比較的規模の小
さい病院等に相なりますと、
院長さんなんかがやはり
夜間の
当直をしなければならないという現実がございます。しかし、
院長さんは大体みんな
管理職手当がついておりまして、
管理職手当がついております者は
超過勤務手当が出ません。現在
業務当直をやっておりますお医者さんには
超過勤務手当がそれぞれついているわけでありますが、
院長さんなんかで、大変なお仕事で
夜間業務当直をなさるという
方々については、やはり何らかひとつ
手当てをしてもらえないかというような
要望が前々からございました。
民間の
実態も
調査いたしますと、
院長さん等についてもそれ相当の
手当てはいたしておるようであります。そういうような点も考慮いたしまして、この際
業務当直ということを
制度を改めまして、これを
宿日直手当としての
業務当直に改めまして、
対象は、
院長さん
あたりもやはり
夜間当直をされて
救急患者とか
急変患者等に対応されるというようなことがございますので、それらの
院長さん方にもこの
業務当直の
手当てをいたしたいということで、新しい
制度を立てたいというふうに考えております。
最後に二点申し上げます。
一つは
週休二日制の問題でございます。
週休二日制につきましては昨年が六八・九%の
普及率でございました。この
程度の
普及率に相なってまいりますと、そう連年目立った増加が見られる筋合いのものではございません。そういうことで本年も調べましたところ、それでも若干上がりまして六九・一%ということに相なっております。
従業員の数でもって申しますと、すでに八割を突破しておるという
状況に相なってきておるのであります。なかんずくわれわれ
大変注目をいたしておりますのは、
年間の
休日数が
平均をいたしまして八十六・四日ということに相なっております。なかんずく
週休二日制をとっております企業をとりますと、この
平均は実に九十三・八日ということに相なってきております。これに対して現在の
公務員の場合は六十八日ということは御
承知のとおりでありまして、そこにかなり大きな開きが出てきておるということは、私たちといたしまして看過し得ない事実ではないかというふうに見ておる次第でございます。御
承知のように、昨年の十月から
週休二日制の
テストをやっております。九月までこれが行われる予定に相なっておるのであります。いまここで
結論は申し上げません。
結論は申し上げませんが、一連の
テストをやった結果をし
さいに
検討をいたしまして、今後の方策を打ち出してまいりたいと思っておるわけでございますが、その場合におきましてはやはりいまの
テスト自体がなお
問題点をはらんでおります。初めてのことでありますから、これはやむを得なかったことだと思いますが、
問題点がございます。たとえば、非常に薄い
角度で、薄い層でいまの
テストが始められております。したがって、その
テストの期間もきわめて短い。
年間を通じて
役所というものはいろいろな繁閑の問題がございますが、そういうふうに
年間を通じて見るというためには、いまの
テストの
方法では若干足りないのではないかという問題がございます。また、いろいろな考慮から
実施ができないということで、
テストに踏み切っておらないという
役所もございます。そういう点もございますので、やはり結果を
検討いたしました上のことでございますけれ
ども、もう少し
角度を変えた、
方法を変えた
テストの再
実施ということも含めて問題を慎重に、しかも前向きに
検討をいたしたいという気持ちをこの報告の中で打ち出すことにいたしたのであります。それが第一点。
それから第二点は、いわゆる
人確法に基づく
義務教育教員の第三次
改善分の問題でございます。これは御
承知のように昨年三月十一日に、第三次前半分として
勧告をいたしました。ところがいろいろ
国会でも
論議があり、また御事情もございまして、今日までこれが
成立をいたしておりません。
人事院といたしまして、やはり
勧告を出したことでもございますので、これは
成立をさしていただかなければならないという思いでございます。それと同時に、第三次の後半分が残っております。それは本年度の予算の中にもすでに
計上済みでございます。これもやらなければいけません。その場合に第三次の前半がどうなるかということが決まりませんと、
給与の問題でありますから総合的な判断で落ち度のないようにやらなければなりませんので、そういう
意味からもこの
成立が急がれるという感じを述べております。
なお、これにあわせて
育児休業給についても昨年
どおりに
勧告をいたしましたが、これもまだ
成立を見ておりません。
育児休業制度についてはすでに
法律が施行され、昨年の四月から
実施に移されておることでございます。
休業給だけの
制度がまだ動いておらないということでございますので、これもぜひともひとつ
お願いを申し上げたいという趣旨を述べることにいたした次第でございます。
以上、ごく
概略でございますが、昨日出しました
勧告の
内容について御
説明を申し上げた次第でございます。