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1977-08-22 第81回国会 衆議院 商工委員会流通問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    小委員会昭和五十二年八月三日(水曜日)委 員会において、設置することに決した。 八月三日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       安倍晋太郎君    藏内 修治君       辻  英雄君    中島源太郎君       中西 啓介君    西銘 順治君       林  義郎君    前田治一郎君       武藤 嘉文君    渡辺 秀央君       加藤 清二君    佐野  進君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    玉城 栄一君       松本 忠助君    宮田 早苗君       安田 純治君    大成 正雄君 八月三日  佐野進君が委員長指名で、小委員長選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和五十二年八月二十二日(月曜日)     午前十時三十二分開議  出席小委員    小委員長 佐野  進君       藏内 修治君    中島源太郎君       林  義郎君    前田治一郎君       渡辺 秀央君    加藤 清二君       清水  勇君    中村 重光君       松本 忠助君    宮田 早苗君       安田 純治君    大成 正雄君  小委員外出席者         商 工 委 員 上坂  昇君         農林省食品流通         局商業課長   堤  恒雄君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         参  考  人         (学習院大学教         授)      田島 義博君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  流通問題に関する件      ————◇—————
  2. 佐野進

    佐野委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  このたび、私が流通問題小委員長選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。  流通問題に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として学習院大学教授田島義博君に御出席を願っております。  田島参考人には、御多用のところ本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  本小委員会におきましては、流通問題に関する件について調査中でございますが、田島教授には卸売業に関する問題について御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに田島参考人から御意見開陳をいただき、次に小委員質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  なお、田島参考人は所用のため十一時三十分に退席いたしますので、さよう御了承ください。  それでは、田島参考人にお願いをいたします。
  3. 田島義博

    田島参考人 お手元に商政課からの「「卸売活動現状展望」の概要」と題するペーパーが差し上げてあるようでありますが、多少これとオーバーラップするかもしれませんが、卸売問題を考えます際の幾つかのポイントについて、私の意見を申し上げたいというふうに思います。  産業構造審議会流通部会では、これまで十一回の中間答申を行っておるわけでございますけれども、卸売問題について真っ正面から取り組んで答申を出したというのは、今回が初めてでございます。  卸売問題がなぜ今日重要であるかということを考えてみますと、おおよそ私見といたしましては、五つぐらいのポイントがあるような気がいたします。  第一のポイントは、高度成長から安定成長に移行しました今日、経済の量的な拡大というのはもはや望みにくいわけでございまして、経済効率化を図る必要があるわけでございます。この経済効率化を図ります際に、売り上げと申しましょうか販売規模で二百二十三兆円、それから従業者で三百五十二万人、商店数で三十四万、こういうふうに非常に大きな割合を占めます卸売部門効率化するということは、経済全体の効率化にとって不可欠である、こういうふうにまず考えられるわけでございます。  二百二十二兆六千億円というふうな卸売販売額、これがいかに大きいものであるかということを理解いたしますには、小売の総販売額が五十六兆円だ、小売が五十六兆円で卸が二百二十二兆六千億円、まあ卸売販売額でとらえた規模あるいは経済に占める割合というのがいかに大きいかということが御理解願えるかと思うのであります。  こういう非常に大きな割合を持ちます卸売部門、これは製造業と比べました場合に、技術革新というふうな面では大変おくれをとっております。小売部門と比較いたしましてもなお技術革新のおくれは著しい、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。  具体的には答申の中にいろいろ書かれておりますけれども、たとえば非常にたくさんの労働力を投入いたしまして、いわば人海戦術的な卸売活動というものが一般的に行われておりますし、労働力を節約しますためのいろいろな設備、機器類というふうなものの導入も一般的におくれがちでございます。そういうわけで、他の経済部門と比較した場合、卸売部門というのはそのような技術革新あるいはその他の合理化がおくれておりまして、この部門のそうしたおくれというのは流通コストを押し上げ、物価全体を押し上げるという危険性があるわけでございますので、経済効率化のためにはこの部門効率化をぜひ進めなければいけないということが言えるかと思うのであります。  三番目のポイントといたしまして、構造的な問題があるわけでございます。構造面というのは、これはいろいろ取り上げ方がございますけれども、一つのとらえ方といたしまして、先ほども申し上げましたように、小売売上高が五十六兆円、卸の売上高が二百二十三兆円、つまり小売の約四倍の売上高卸売部門が持っているということは——もちろんこの小売部門というのは消費者に対して販売をしておるだけでございますが、卸売部門はその他いろいろな部門、たとえばメーカーに対して生産資材を供給するとか、あるいは病院、ホテル、レストラン等業務用関係商品を提供するとか、そういう活動を行っておりますので、卸売売上高というのが小売売上高より大きくなるのは当然でございますけれども、四倍という比率、われわれはこれを流通迂回率と呼んでおりますけれども、この比率は国際的に見ましても非常に大きい。ちなみに、アメリカ等では大体一・五倍くらいでございます。日本の場合には、年々傾向的に卸の対小売倍率が小さくなってきてはおりますものの、依然として四倍というふうな大きい倍率になっております。  これはなぜこうなっておるかと申しますと、一つは、卸売段階が何段階にもなっておりまして、簡単に申しますと、一次卸から二次卸への販売、二次卸から三次卸への販売というふうな形で、いわゆる卸売段階の多段階構造と申しますか、重層構造と申しますか、もっと簡単に言ってしまえば卸売段階が長い、こういうことからきておるわけでございまして、こうしたことが流通コストを高くする一つ原因になっておるというふうに考えられます。  それから、ただいま申し上げました多段階構造とやや関連する問題でございますけれども、卸売部門の担当しております大変重要な役割り一つというのは需給調節でございますが、この需給調節の働きと申しましょうか機能は、一つは、情報が完璧でありますと需給調節機能というのもよくなるのでございますが、先ほど申し上げましたように、卸売段階が何段階にもなっておりますと、需要側情報というのが確実に生産段階へ伝わらないというふうなこともありまして、一般に多段階構造を持っておりますと需給調節というのが余りうまくいかないというふうな欠点がございます。需給調節あるいは需給結合というのがうまくまいりませんと、たとえばオイルショック後に見られました物不足パニックでございますとか、逆に物過剰のパニックでありますとか、あるいは価格の乱高下でありますとか、こういった問題を引き起こしやすいわけでございます。そういうわけで、この需給調節を非常にうまくやって国民生活を安定させるというためには、一つには情報が整備されなくてはいけないというふうなことと、卸構造の一層の簡素化というふうなことも要求されるかと思うのであります。  それから最後に指摘したいと思いますことは、海外からの、やや見当外れの面もないわけではないのですけれども、日本流通機構、特に卸売部門についての非難というのが若干ございまして、無視できない状態だというふうに思われます。それは、日本卸売機構というのが大変複雑で、かつそれが海外からの商品輸入というものを困難にしている、つまり日本卸売部門というのが非関税障壁であるというふうな批判が出始めておるわけでございます。  以上申し上げましたようなことで、卸売問題というのは今日の経済幾つか重要な問題を持っておるわけでございますが、卸売問題は実は専門家にとりましてもなかなかむずかしいわけでございます。  むずかしい理由といたしましては、一つは、小売の場合でありますと、われわれ日常的に接触しておりまして姿がよくわかるわけでございますが、卸売部門というのは、いわば流通ないし経済の舞台裏におるわけでございまして、なかなかつかみにくいということが一つございます。  そういうわけで、これは日本だけではございませんけれども、卸売に関する実態解明というのが国際的にもおくれておるわけでございます。したがって、この実態解明がおくれているために、卸が一面では不当に悪者扱いされたり、あるいは過小評価されたりしておる面もなきにしもあらずでございます。  いずれにしても、卸の実態解明がもっとなされる必要があるというふうなことが一つで、そのことが今回の卸活動分析にもつながったわけでございますが、そういう実態解明がおくれておるということに加えまして、卸売業者範囲が大変広いということも、卸問題をむずかしくいたしております。  卸売業者といいますと、通常いわゆる問屋というものを連想するわけでございますが、卸売業者問屋だけではございませんで、御承知のように、たとえば総合商社というのも卸売業者一つでございますし、あるいは卸売市場における仲買人のような人たち卸売業者一つでございます。また、大変奇異に思われるかもしれませんが、メーカーの支店、営業所というのも卸売業者一つでございます。  そういうわけで、卸売業者と申しますとき、その範囲が大変広い。したがって、ただいま申し上げましたような卸売業者のすべてに共通する一般論というのがやりにくいということがございます。  それからもう一つ、大変重要な点でございますけれども、卸売議論しますとき、あるいは卸売に関する政策を考えます際に、卸売業者対象にするのか、それとも卸売機能対象にするのかということで、議論なり政策なりというものが大分違ってくるわけでございます。こういう卸売機能が問題なのか卸売機能担当者が問題なのかということがございます。  それから最後でございますけれども、卸売機能というのは業種によって大変違いますし、また、時代とともに非常に変化しやすい性質を持っております。したがって、卸売機能あるいはその機能担当者である卸売業者というものを固定的にとらえるということがなかなか困難である、こういうふうな点が卸売問題をむずかしくさせている原因である、こんなふうに考えられるわけであります。  今回の答申ポイントでございますけれども、幾つかのポイントがございます。  第一は、業種だけでなくて、業態という問題に着目をして分析をしたということでございます。  業種と申しますのは、医薬品の卸であるとか加工食料品の卸であるとか生鮮食料品の卸でありますとか、こういった商品の種類ということでございますが、業態と申しますのは、同じ商品販売しますにもいろいろな卸の形があるわけでございます。たとえば繊維を販売しますのに、セールスマンが小売店を訪問して受注して、そして掛け売りで販売をする普通の業態の卸がございますが、そのほかに、小売店問屋へ買いにくる、現金でかつお持ち帰り主義の、俗にキャッシュ・アンド・キャリーと呼ばれる卸があるわけであります。これは同じ品物を売るのでもいろいろ卸の形態があるということを言っておるわけであります。  一般に、これは小売もそうでございますけれども、技術革新の結果として新しい卸あるいは新しい小売が出現する、そして流通機構が変わっていくというとき、これは大体、新しいものというのは新しい業態のものでございます。ですから、業種別議論に加えて、この業態議論をする必要があるということでございまして、この答申一つの特徴というのは業態面にスポットをかなり当てているということでございます。かつ、業態革新ということを行わせるような施策ということの重要性等が指摘されております。  それから第二のポイントといたしましては、すべての業種におきまして、商取引慣行でございますとか物流活動標準化合理化の促進というふうなことが政策のかなめとして指摘されているということでございます。  この商取引慣習というのは、卸の場合に非常に古いものが温存されておるわけでございまして、また、標準化問題等もまだまだ大変おくれておるわけでございます。したがって、単に構造面近代化するというだけでなくて、こうした商慣習その他をも近代化させていかなければいけないということが指摘できるかと思うのであります。  それから第三番目のポイントといたしましては、卸というのは、確かに総合商社のように世界を相手にしているものもありますし、いわゆる元卸とか全国卸と呼ばれる大きな卸売業のように全国を商圏としておるものもございますけれども、卸売業のきわめて多くは地域対象にして各地方にたくさん存在し、活動しておるわけでございますので、卸売業施策というのは、きわめてローカルな地域を配慮しつつ、地域計画でありますとかあるいは地方自治体の都市計画というふうなものと密接なすり合わせをしながら、講じていく必要があるということを指摘いたしておるわけでございます。  そういうふうな前提に立ちまして、われわれとしては商品幾つ類型化いたしまして——この類型化の仕方はおおむね二つポイントによって類型化しておるわけでありますが、第一は製造業者側条件製造業者側条件というのはいろいろございますけれども、その中でも生産集中度ということと、もう一つ商品多角化程度、こういう二つ製造業者側条件、これに加えまして、小売業者の側の条件として小売段階における品ぞろえ必要性、こういったものを挙げまして卸活動類型化を試みたわけであります。つまり、この卸というのは消費財に今回の議論は限定しておるわけでございますが、卸は製造業者小売業者の間を取り持つ機関でございますから、製造業者側条件小売業者側条件によって規定されるわけです。そういう意味で、生産集中度商品多角化程度という製造側条件、それから小売品ぞろえ必要度、こういった規定要因で卸を五つぐらいのパターン類型化いたしまして、現状問題点を洗うと同時に、今後の卸売構造なり卸売パターン変化というものを展望いたしたわけでございます。  細かい点につきましては後ほどの討論に譲りたいと思うのですけれども、いずれにいたしましても、この卸売業を取り巻く諸条件というのが大きく変化をしてきております。その中の大きなものとしては、たとえば小売段階が急速に大型化していくと申しましょうか、スーパーマーケットに代表される大型小売業というものが急速に成長してくる。他方、メーカー段階でもいわゆる寡占的な生産構造というものが業種によっては急速に進んできた。生産の側及び小売の側のそうした変化から、卸売業というものがいままでのような形では存続しにくいというふうな条件が出てきておるわけであります。そのほかたくさんの環境変化がございますが、こうした変化に即して国としてもいろいろな施策を講ずべきである。  その主たる施策といたしまして二つポイントを指摘しておるわけでありますが、一つは、ちょっと妙な言葉で恐縮なんですが、異質チャネル体間の多元的競争というふうなことを言っております。これはどういうことかと申しますと、たとえばメーカーが完全に支配して、メーカーからメーカー販売会社、それから系列化された小売業というふうに商品が流れている業種がございます。たとえば自動車とか家庭電器のように。ところが、こういうチャネルというのが一つだけでございますと、どうしてもメーカーの支配というのが強くなって、競争政策上も問題があるわけでございます。ところが、ここへ新しいタイプのチャネルというのが出現してまいりますと、違ったチャネルの間の競争が促進されるわけでございまして、それだけ強大なメーカーに対する拮抗力等も出てくるわけでございますので、こういう異質なチャネルの間のいろいろなレベルの競争というものを促進するということが望ましいというのが一つでございます。もちろん、そのためには競争主体を育成するとか、競争内容多角化するとか、競争環境を整備するとか、こういった施策が必要になるわけでございます。  それからもう一つの重要な施策として提言しておりますことは、業種別卸機能高度化を推進すべきだということでございます。  施策具体的内容といたしましては、一つは、先ほども申し上げましたように、商取引慣習というものをいろいろの面から近代化していくべきだというふうなことが一つと、もう一つは、特に物的流通というものを中心にしました実体面での合理化近代化を促進すべきだ。この点につきましては、従来から通産省においていろいろな施策が進行しておるわけでございますが、なお一層卸売近代化ということに焦点を当てた政策というのが立案されるべきである、こういうふうに考えるわけでございます。  以上、内容的に大変浅い御報告を申し上げましたけれども、一応卸売問題の今日性と卸売施策必要性ということについて私の意見を申し述べさせていただいた次第でございます。  どうもありがとうございました。
  4. 佐野進

    佐野委員長 以上で参考人意見開陳は終わりました。     —————————————
  5. 佐野進

    佐野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水勇君。
  6. 清水勇

    清水委員 お忙しいところ、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  ところで、いま先生お話にもありますように、卸売業をめぐる実態というものが非常に複雑でわかりにくく、それだけに問題がむずかしいわけなんですが、その上、私自身大いに論ずるほどの十分な認識を持っておりませんので、たとえば積極的な提言を交えながら先生の御見解をお尋ねするなどというわけにはまいりませんけれども、しかし、せっかくの機会でございますので、この際、若干のお尋ねを申し上げ、先生の御見解をお聞かせ願うと同時に、お教えをいただきたい、こういうふうに思います。  なお、十一時半ころまでというふうなお話でございますが、場合によっては少し延びるかもしれませんが、ひとつお願いできれば幸いであります。  さて、いま先生から、先般、つまり七月二十八日に出されました産業構造審議会ですか、この流通部会の「卸売活動現状展望」、この中間報告の中身に触れてお話しをいただいているわけでありますが、まず最初に、いま先生のコメントもございましたが、率直に申し上げて、私はもうちょっと突っ込んで、この中間答申なるものを先生としてはどのように評価をされるのか、あるいは御批判を持っておられるのか、この辺、簡単で結構ですが、少し所感を聞かしておいていただきたい、こう思います。
  7. 田島義博

    田島参考人 実は、私もこの流通部会のメンバーの一人でございまして、そういう意味では完全な第三者の意見と少し違うかもしれませんけれども、私は、卸売問題を一応真っ正面から体系的に分析したというふうな意味では、これは政府文書のみならず、学界として考えましてもある意味では初めてのことだというふうに思っておりまして、その点では、かなり網羅的ですが、重要な問題点幾つかは一応指摘してある。それからもう一つは、やはりいままでの発想とかなり違って、業種別の問題だけでなくて、業態議論を入れたり、あるいはいろいろなチャネルの間の競争を促進すべきだというふうな考え方を打ち出して、どちらかといいますと競争促進的な立場に立っておるというふうな点で、私はかなり評価していいんじゃないか、こう思うのです。  もう少し時間があり、かつまた、もう少し議論を尽くしたかったなと思います点は、先ほど物不足パニックであるとかいろいろなことを申し上げましたけれども、ああいったことに関連して、需給調節の仕組みというふうな点についてもう少し分析したかったということ。それからもう一つは、卸売部門のおくれあるいは逆に近代化というふうなことが、物価問題に実際どのくらいダイレクトに絡むのかというのを実証的に詰めることができれば、もっとよかったなというふうな感じはいたしております。
  8. 清水勇

    清水委員 私、ある新聞のコピーを持っているのですが、いまいみじくも先生お話にもありましたが、その新聞は、卸売業複雑でわかりにくい、こういう立場でとらえ、それゆえに「暗黒大陸」などというような表現を用いながら、今度の答申ではいわばこの暗黒大陸に初のメスを入れたというふうな言い方をされております。  その当否は別として、確かに私も最近、長野県にありまして、卸売業のいわゆる実態等について、たとえば行政機関を初め、商工会議所とかあるいは中央会であるとかあるいは卸総合センターなどの諸機関幹部皆さん懇談を重ねる機会を持ったわけですが、そういうものを通して、暗黒大陸ほどではないにしても非常に複雑でわかりにくい、それゆえにまた重大な問題をはらんでいるということを実は感じたわけなのであります。  私がそうした皆さんとの懇談を通じて得た感想を印象的に申し上げると、たとえば通産行政にしても、県などの自治体行政にしても、どうも他の製造業小売業に対するようにはその行政指導各種施策の展開も余りなされていないのではないか、こういうことをしみじみ痛感をしたわけです。また同時に、たとえば商工会議所幹部皆さんなどとの話を通じても、さらに直接卸売業に携わっている業者自身に問うてみても、まさに現状をどう打開するかというような展望現状をどうやって切り開いていくかということについて、文字どおり暗中模索というような状態であるように伺ったわけであります。  こうした私の印象なり感想なりというものにもし誤りがあるとするならば、この機会にひとつ先生から少し正していただきたいと思いますので、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  9. 田島義博

    田島参考人 私は、まさにそのとおりではないかという気がするわけでございますが、ただ従来、卸売に関する行政施策というのが幾つか行われておったことは事実でございまして、最も普及しているといいましょうか、各地方に均てんしている政策としては、たとえば卸売団地のような協業化政策の問題でありますとか、あるいは卸売をリーダーとするボランタリーチェーン政策の問題でありますとか、その他幾つかの施策というのが進行しておるわけでございますし、そのほかに大規模物流拠点の配置とか流通加工センターとかいろいろな施策があるわけでございます。  ただ多少、末端個々卸売業者にまでそういう施策情報というふうなものが十分よく行き渡っているかどうかというふうなことだとか、あるいは末端卸売業者にそういう施策を受け入れながらみずからが近代化していこうという意欲が十分にあったかどうかというふうなことだとか、あるいは個々卸売業では近代化しようとしても資金の問題、情報の問題、人材の問題あるいは地域における競争問題等でなかなか一軒一軒では合理化しにくい、したがって、ある施策受け入れの組織があって、かつその組織のリーダーというふうなものがかなりリーダーシップを持っているという状態というのがやはり必要ではないかというふうに思うのであります。施策が全くなかったというよりも、施策の受け入れ能力の点にも若干問題があったように私は思うのであります。  ただ、全体といたしましては、ただいま御指摘のような点、かなりの部分、私も同感でございます。
  10. 清水勇

    清水委員 ところで、卸売業のあり方についていろいろ検討を加えていく場合、正直言いまして、余りにも実態複雑多岐にわたっていると同様に、また、問題の所在も数多く存在をしているというのが偽らざる状況のように伺います。そこで、それらのすべてに触れながら御所見を賜るというわけにまいりませんから、時間の関係もございますので、一面では先ほど先生の御発言に触れながら、また同時に、今度の中間答申にさわりながら、私は少しく先生の御見解をお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。  そこで、率直に言って、いまのお話にもございましたが、日本卸売業は、欧米のそれに比較をした場合、流通経路が非常に複雑である、そして多段階にわたっているというのが特徴だと思います。欧米諸国では、お話のとおり、小売業販売価格に比較をして大体二倍くらいの販売額じゃないか。ところが、御指摘のとおり、わが国ではこれが四倍に及んでいる。私は、流通が多段階にわたれば当然のこととして経費がかさむ、コストが高くつく、これが末端価格にしわ寄せになってあらわれる、つまり物価に大きな影響を与える、こういうことにつながっていくんだろうと思うのです。  そこで、先ほども、今度の中間答申の中では物価とのかかわり合いについて突っ込みが少しく欠けている、こういうふうなお話がございましたが、この辺のところを、時間の関係がありますから簡単で結構ですけれども、少しく先生の率直なお考えをもう一回聞かせていただきたい、こう思うのです。
  11. 田島義博

    田島参考人 卸売段階が何段階にもわたれば、当然その間のマージンは加算されるわけでございますから、やはりどうしても流通コストのある意味ではかさ上げと申しましょうか、そういう意味で物価にとってはかなりマイナスであるということは事実だと私は思います。  ただ、その卸売マージンというのがマクロ的に見て国際的に日本が非常に高いのか、高いとした場合どのくらい高いのか、あるいはその卸売マージンというものがかなり大きいとした場合、それが最終消費者物価にどういう影響を与えるのかということについての実証的な解明というのが、これは学問的にもそれからまた政府関係の資料としてもまだ十分整っていないというふうなことがございますので、数字的に申し上げるということは私としては現在困難でございますけれども、ただ一般論としては、流通段階が長くなれば長くなるほどマージンというのはずっと加算されてまいりますので、その分やはり物価にとってはマイナスだということは言えるかと思います。  まあその程度でございまして、恐れ入ります。
  12. 清水勇

    清水委員 そこで、ただいまの問題に触れて、今後の流通部会の作業の中でそうした点にも触れていくべきであるというふうに先生はお考えになっておられるかどうか、一言で結構ですからひとつ。
  13. 田島義博

    田島参考人 もうまさにそのとおりで、この面をもう少し解明すべきだというふうに考えております。
  14. 清水勇

    清水委員 そこで次に、いま卸売業につきましても、先生の御説のように、高度化あるいは集約化ということが非常に強調をされております。しかし、そうした中で現実の姿を見ると、たとえば企業数に例をとって申し上げると、中間答申の中でも指摘をしておりますように、四十七年の二十五万九千店が四十九年には二十九万二千店になる、さらに五十一年にはこれが三十四万店というふうに急増をしております。同時に、先ほど三百五十二万人の従業員というお話がございましたが、大ざっぱに言って一店当たり約十人というような従業員数ではないかと思います。つまり、言葉をかえて言うと、後進性からの脱却、こういうことが強調されているにもかかわらず、現実の姿はどうかというと、逆に後進性が再生産され、これが拡大をしている、こういうふうにしか私にはどうしても思えないわけなんですけれども、この辺の現象を先生はどのようにとらえておられましょうか。
  15. 田島義博

    田島参考人 数字的な傾向は御指摘のとおりでございますけれども、この数字を読みます場合に二、三の留意点が必要であろうかというふうに思います。  第一は、確かに卸売商店の数というのはふえておりますけれども、ふえていくときの一つの理由といたしまして、たとえば大規模卸売企業が支店の数をふやすというふうな形のふえ方、並びに製造業者が支店、営業所をふやしていくというふうな形、あるいは製造業者が、支店という形ではございませんが、たとえば子会社という形で販売会社を設立、増加さしていくというやり方、あるいは小売業者の組織化等で小売業者が営みます卸売機関というふうなものの増加でございます。こういったものがございますので、増加自体が後進性を強めているというふうには必ずしも言えないのじゃないかというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、ただいま一店当たり従業者数約十人という御指摘でございましたが、これは支店をつくってまいりますときに、たくさんの従業者を持った大きな支店をつくるとは限らないわけでございまして、卸売業者の支店にせよ、製造業者の支店、営業所にせよ、そういう出店をつくります際に余り大きいものはつくらないというふうなことと、多少はやはり人間を減らしたそういう支店をつくるという動きも一応見られるわけでございますので、決して全部が全部後進性が増幅されておるというふうには私たち見ないわけでございます。
  16. 清水勇

    清水委員 時間の関係もありますので、ちょっと私いまの問題に触れたいのですけれども、先へ飛ばしてまいります。  さて、いま申し上げたような、零細化というふうに私申しましたが、そういう現象とは別に、一方では大型店、先ほど先生から言われたスーパーが進出をする、あるいはいまのお話のようにメーカー販売会社をつくる、こういうことで、いわゆる流通段階における卸の中間多段階を排除をする、こういう傾向が増加をしていることは確かだと思うのです。しかし、一面では依然として、政府の資料を見ても、卸の全販売額の五四%が多段階流通によるものであるというふうな数字が出ているわけです。  私は、地域における小規模小売店にどうサービスを供給するか、こういう役割りを考慮するときに、一概に多段階流通の排除ということを言い切れない側面を持っていると思いますが、しかし同時に、先ほどもお尋ねをしたときに触れましたように、複雑でかつ多段階であれば当然これがコストに影響する、こういうことから、これはどうしてもよりベターなものを追求するという意味で、私は、本来、これは先生に御意見を承るというよりも、政府に何をなすべきかということを問わなければならない気持ちなんですけれども、その辺で重ねて、先生から御意見があればちょっと聞かしていただければありがたいと思うのです。
  17. 田島義博

    田島参考人 一つは、やはり多段階構造というのが一段階の構造よりおくれておって、これは直さなくちゃいかぬという面は一般論として先ほど主張したとおりでございますが、ただ、日本の場合には、生産段階が非常に零細で、小売段階も非常に零細で、これをつないでやりますときに、どうしても産地で品物を集め、集散地卸へ持っていき、集散地卸からまた消費地卸へ持っていって、消費地卸が荷物を小口分散するというふうな仕組みが絶対必要な場面というのがあるわけでございますので、この部門で多段階構造を一挙になくしていくというのは、かえって商品流通上は混乱が起こるというのは御指摘のとおりでございます。  ただ今度は、生産段階がかなり集約化され高度化しており、かつ小売業もかなり大きくなって集中仕入れ等が進行しておるというような場面において、やはり卸売段階を短縮する必要というのがその場面ではある。したがって、多段階構造が不可欠な場面ともっと多段階構造が解消できる場面とを、分けて誘導を試みるということが必要だというふうに私は考えます。
  18. 清水勇

    清水委員 そこで、いま卸売業のいわば高度化とか集約化というものにも触れられた御発言があったわけでありますが、先ほど先生お話にもありましたように、近来、卸売業者によるボランタリーチェーンの展開、長野県などを見ましても、衣料であるとか食料であるとか、こういう部門ではかなりこれが広がる傾向がございます。あるいは取引の集約化というのでしょうか、いろいろな形がございますけれども、こういうものもだんだんに進んできていると思います。一方、物流面で言えば、先ほどお話のように、卸売団地であるとかあるいは総合センターであるとか、こういうものによる活動なども確かに見るべきものがあるというふうに私は思います。思いますが、しかし全体として、地方地域へ行けば小規模業者というものが圧倒的に多い。こういう現実に思いをいたしながら、私は二、三の問題、ごく簡単な問題で、大した意味のある問題じゃありませんけれども、提起をしながら先生の所感を聞かしていただければありがたいと思います。  一つは、いろいろ歩いてみますと、意外に配送というものが小規模業者の商売上のネックになっているという事情がございます。中間答申の中にも数字として出ておりますけれども、配送について見ると、小規模業者ほど自家用トラックによって賄っていかなければならないという状況が多い。まあ一般的だ。そこで、たとえばいきなり協同組合組織を持つというようなわけにはとうてい進まない。つまり、三社かせいぜい五社といったような小規模協業というものについて、この場合で言えば共同配送事業といったようなものにもっとやはり行政が助成をする、力を入れる、こういったことがあっていいのじゃないかと実は思えてならないのです。いま、自家用トラックによる自家配送といったようなものを通して、大変なロスがある。しかし、これが小規模の形であれ協業化をすれば、そのロスをある程度解消する、そして輸送の効率化を確保することができるのじゃないか。また同時に、そのことを通して、小規模企業にありがちな後進性、ここからいわゆる近代化へ脱皮を促すという一つの要素にもなりはしないか。ところが、同じ高度化資金の活用の問題についても、この種の問題についてはなかなか思うようにいかない。同様なことは共同倉庫事業にも言えるのじゃないか、私はこう思うのです。一軒一軒の店がみんな倉庫を持つ必要は少しもない。少しもないが、現実にはそうなっている。だから、こうした面にも、口で高度化とか集約化だとかいうようなことを強調するだけではなしに、具体的な施策を通じあるいは助成策を通してこれらの協業化を援助する、そうして全体として言われるところの卸売業高度化の方向というようなものをそういう地域からも起こしていくことが必要なんじゃないか、私はそんなことを感じてならないわけなんですが、先生の御意見があればお聞かせいただきたいと思うのです。
  19. 田島義博

    田島参考人 大変鋭い御指摘であるというふうに思うのでありますが、実は、この地域卸売業者を完全に合併させて大型化するということはなかなか当面困難でありまして、したがって、経営の独立性を確保しながら特に配送面で共同化させるというのは、かなり具体的なプランであると思われるわけであります。それで実は、そうしたシステムを行政の中で考えた例があるのであります。それは、中小企業近代化促進法の適用業種として初めて卸からいわゆる酒類卸売業が選ばれまして、酒類卸売業近代化五カ年計画をつくりました際に、この協業化によるダイヤグラム配送というようなことが一つのシステムモデルとして掲げられたわけであります。ところが、実際はなかなかうまいことまいりませんでした。その最大の理由は、やはり地方卸売業者競争意識でございました。私たちとしては、競争というのは受注面で普通起こるわけでございますので、配送については協業化する余地があるのではなかろうかと考えておったわけでありますが、実態面では非常に競争が激しゅうございまして、協業化がなかなか進まない。  それから、仮にこれを推進しました場合、次のような一点は考慮しておく必要があるというふうに思います。その一点とは、共同配送します場合には、どこの小売店の注文はどの卸がとったのだ、つまりどこの小売店はどこの卸のお客さんだということをはっきりさせておきませんと、ちょっとめんどうくさくなります。これを帳合いの一本化と言っておりますが、帳合いを一本化します——余り無理にやりますことは独禁政策上やや問題があるのじゃなかろうかという気がしますので、近代化政策と独禁政策の絡みのところはやはりちょっと注意深くやる必要があろうかと思います。
  20. 清水勇

    清水委員 そこで、いまの先生のお答えの中にもあるのですけれども、実際に高度化とか協業化などを考える場合に、とりわけ同業種であればなおのこと、業者間の競争というよりも対立関係が激しい。これがネックとなって遅々として進まないという状況がざらにあるというのが実情だと思います。  だがしかし、それがあるからだめなんだと言っていたのじゃ、これは依然として後進性から抜け出ることもできないし、また、年々歳々移り変わる情勢の変化にも対応ができない、こういうことだと思うのですけれども、しかし、私は、そういう点では最近見ておりますと、メーカーや一次卸といったいわば中央大手筋の系列化がどんどん地方にも及んでくる。ですから、卸売業を見ても、縦の線ではかなりそういう系列化が進んで、同業者間の協調提携なんというようなものも促進をされるのですけれども、しかし、先ほどお話のとおり、最も地域経済地域社会に根差して存在をし活動をしている小規模卸売業というものは、いま申し上げたような業者間の対立がネックになって、なかなか横の線がうまく提携とかあるいは協調とか、それを通じて集約化をするといったようなところまで進まない。  たとえば一つの卑近な例で言えば、労務管理に絡んで週休二日制なんというような問題が出てくる。やや大手筋と言われるようなところは、これは時代の趨勢であるからそれを前提にしながらその面での近代化を図ろうとする、しかし、小規模業者等の場合には、とんでもない、昔ながらのというほどではないにしても、とても週休二日なんというようなことは考えも及ばない、こういうことのために現実には足並みがそろわない、足並みがそろわないからさっぱりうまくいかない、こういうような事例がずいぶんある。  その場合に、えてして通産当局は、業者の自主的な努力を期待をするなんという方向に逃げられるわけだけれども、やはりそうした場合には時代の趨勢というものをどうとらえるか、これからの行き方をどう追求をするかというような高い視点に立って、国のみならず、県なら県、自治体なら自治体というものがそうした面でも果たすべき役割りというのは当然あるのじゃないか。それが教育啓発活動ということになるかどうか、いずれにしても、どうもその辺ちゅうちょ逡巡をされているのか、手をつける気がないというのか、少しおくれているのじゃないかという気がしてならないので、せっかくこの機会でありますから、先生からの御意見をお願いをしたい。  また同時に、あわせて、先ほど情報活動の重要性に触れてのお話がございました。私もそう思うのです。  率直に言って、メーカー小売業者をどう結びつけていくかという役割りを果たす場合に、需要について、つまり消費者なら消費者のニーズというものを、ある意味で言えば小売業よりも卸売業者の方がいわば先行的に、つまり先取り的にこれをつかんでいくといったような積極面がないと、常に時代に立ちおくれてしまうのじゃないか。  ですから、たとえばそういう消費者のニーズをどうキャッチをし、これをメーカーとの兼ね合いでどう反映をしていくか。ところが、大規模の業者は、仮に総合商社によらずメーカーによらず、豊富な資金力をもって、時によればコンピューターを駆使することもできる、あるいはオンライン化なんということも導入することも可能である。つまりそういう機動力でこれに対応できるのかもしれませんが、しかし、小規模業者の場合には、残念ながらそういうことはできない。  しかし、小規模業者の存在というものが決定的に大きいわけなんですから、これについて的確な情報を得るために、企業単独の力ではなし得ないそういう弱さを、行政なら行政というものが、何も企業が行政に依存をする、おんぶをするという意味のことを私は言っているのじゃなしに、そういう自主性といいましょうか、創造性といいましょうか、そういうものがあってもこれを消化できないというような場合に、これをやはり助成をする、そういう奨励策があって当然にしかるべきなんじゃないのか、こんなふうにも思うのですけれども、その辺、勝手なことを申し上げて恐縮でありますが、お聞かせをいただければありがたいと思うのです。
  21. 田島義博

    田島参考人 まず第一の問題でございますが、私は、やはり政策が成功しますためには、一つには政策内容自体が非常にいいということ、これが不可欠でございますけれども、もう一つは、政策をどういうふうにして末端企業といいましょうか政策対象に伝えていくか、政策の伝達の仕方というふうなこともなかなか重要だと考えるわけでございます。  と申しますのは、やや余談で恐縮でございますが、流通業者のすべてが国の政策にすぐ一斉になじんでこれを受け入れていくということはなかなか考えられないわけでございまして、およそ人間には社会学的に見て四つのタイプがあると言われておるわけでございます。一つは、新しいものをすぐ受け入れる新しがり屋と呼ばれるタイプ、しばらく慎重に事態の成り行きを見ていて、いいとなると積極的に動き出す影響者と呼ばれる人、影響者がやり出すとこれについてくるという追随者、それからもう新しいことは絶対やらぬという者、これを英語でダイハード、石頭と言っておりますけれども、新しいことにどういうぐあいに反応するかということで大体四つのタイプがあるということが社会学の結論でございます。  そういう意味では、各地方地方のきわめて影響者的タイプの業者、これがたとえば地域の同業者グループのリーダーとなりながら政策末端へ流していくような中継点になってくれますと、こういう近代化政策というものは進む。そういう意味では、私は、政策受け入れの各地域あるいは各業種の組織のリーダーを育成すべきだ、つまり、末端人たちを教育するというのも重要ですけれども、これは非常に大変なことでございますので、それを進めながらも、片一方で政策受け入れリーダーとでも言うのでしょうか、こういったものの育成、教育というようなことを進めて、近代化を促進する一つの戦略とすべきだというふうに考えております。  それから情報面でございますが、これはまさに御指摘のとおりでございまして、通産省においても情報ネットワークの整備ということも進められておるわけでございますが、卸売業者自身がもう少し情報の重要性ということを再認識すべきだ。かつて卸売業がキャプテン・オブ・インダストリーになれた一つ原因というのは、非常に情報を持っていた。ところが、情報のリーダーシップをメーカー小売業にほとんどとられてしまって、卸売業情報が大変欠如しているという状態になっている。したがって、第一には情報の重要性に目覚めることであろう。  それから第二、これはやや制度的な問題でありますが、仮に小売段階のニーズを調べて、こういう商品商品構成をすべきだというふうに卸が感じましても、実は特約店とか代理店というメーカーの制度のおかげで、自由な品ぞろえができないという問題等ございます。ここら辺はメーカーの支配との関係もございますので、やや行政が介入する余地はあるかもしれない。  それから、情報機器であるとか情報の処理技術等については、これはやはり国なり地方自治体なりが指導していくべきだろう、こんなふうな考え方を持っております。
  22. 清水勇

    清水委員 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  23. 佐野進

    佐野委員長 田島参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。どうも御苦労さまでございました。     —————————————
  24. 佐野進

    佐野委員長 引き続き、質疑を続行いたします。安田純治君。
  25. 安田純治

    安田委員 きょうの小委員会で私は商品取引の問題について若干質問したいと思うのですが、商品取引で一般の国民が業者の強引な勧誘によって引き込まれまして、そのあげくに多額の被害をこうむるという例が再びふえていると聞いておるわけであります。商品取引での紛議、紛争は、一昨年、昨年、ことしとふえているのではないかと思うのですが、どうなっているか、お答え願いたいと思います。
  26. 山口和男

    ○山口説明員 通産省の方で所管いたしております取引所に申し入れがございまして、取引所で調停あっせんをした紛議というのは、五十年度までを見てみますとわりあいに減少傾向であったわけでございます。四十七年度には四十五件ございましたが、四十八年度には二十三件に減っておりまして、四十九年度には十四件、五十年度には十三件というように順次減ってきております。ところが、大変残念なことでございますが、五十一年度になりまして三十九件というようにまたふえてきております。ただ、本年度の四月に入りましてから見てみますと、四月−六月で八件でございまして、昨年度の十一件に比べますと若干少ないという状況になっております。
  27. 安田純治

    安田委員 ことしの場合に、まだ六月までの数字ですからわからないようですが、トラブルが増大しているのは事実だと思うのですが、その原因は何かということについて、御存じでしたら……。
  28. 山口和男

    ○山口説明員 昨年からことしにかけて紛争がふえておるという原因について考えてみますと、幾つかあるのじゃないかと思います。  特に一番大きな原因は、御案内のとおり、昨年来の景気の沈滞の状況下で、新規の委託者を獲得するために過当な勧誘が一部で行われたというような面も否定はできないかと思います。  第二番目には、反対に、委託者の方の認識と申しますか権利意識が高まってきておる。これは御承知のとおり、昭和五十年度に法改正がございまして、五十一年一月から新法が施行されておりますが、その中で、新規勧誘に際しまして「商品取引委託のしおり」というものを委託者に交付させなければいけない、こういう措置をとってきておりますので、こういったことによって委託者の権利意識が高まってきておるということによりまして、紛議に持ち込まれるケースがふえておるのじゃないかということでございます。  そのほか考えられますのは、最近、この一年間の価格の推移が上下にかなり大きく変動しておるということもございまして、そういった点を見ますと、どうしても上がりあるいは下がることによっていろいろな問題が出るという点もあろうかと思います。
  29. 安田純治

    安田委員 農林省管轄の方の商品取引については、実態はどうなっておりますか。まず、紛議がふえているかどうかということ、その原因などについてもお伺いしたいと思います。
  30. 堤恒雄

    ○堤説明員 私どもの管轄の取引所は十二ございますが、この関係の紛議の状況、推移を見ますと、先ほど通産の方からお答えがあったような傾向をたどっておりまして、四十八年度七十四件、四十九年度五十六件、五十年度三十四件と着実に減ってきたわけですけれども、五十一年度に入って五十四件ということで、また上向いたということで非常に残念に思っております。  その理由については、先ほど通産の方から御答弁があったのと基本的には同じだと思いますが、ただ一つ、私の方はたまたま四十九年度、五十年度、砂糖取引所関係が立ち会い停止をしておりまして、五十一年度に入ってこれが再開されたということもあって、その辺の取引所関係の紛議が出ていることが増加の原因一つに加わっているのではないかというふうに理解しております。
  31. 安田純治

    安田委員 私ども、若干の例ですけれども、調べますと、勧誘のやり方が依然として改善されていないというふうに思います。まず、無差別に勧誘してくるし、はなはだしいのになりますと、電話番号簿を見て片っ端から電話をかけるのだろうと思うのですが、私の地元秘書のうちまで電話をかけてよこしまして、いろいろ地元秘書も興味を持って電話に応対したらしいのですが、そういう商品取引に手を出すような考えも全くない、資産状況なんか調べたわけでも何でもない、ただやたらに電話をかけてくる、こういう事実があるわけです。  しかも、どうもその勧誘の仕方を見ますと、必ずもうかる、こういう勧め方をしているのが実態だろう。パターンを見てもほとんど共通しているのですが、定期預金に積んでおくよりは得だというような話で、定期預金を解約して商品取引の方に金をつぎ込むというような実例がたくさんあるし、それからもう一つ、顧客に断らずに売買したりしておる。やめると申し出てもやめさせないといいますか、いまやめると損しますよというようなことで、たとえばもうかれば買い増しした方がずっと得する、損するというと、やめたいと言えば、いまやめると大損する、もう少しやっていると上向きになるからどうとか言ってなかなかやめさせない。ことに勝ち逃げは許さぬというか、もうかった場合に清算しないで、買い増しした方がいいということでずるずるとやっていく、こういうことがたくさん行われていると思います。  私の方にもたくさんこの訴えがきておりまして、たとえばある会社の場合、これは一千五百万損した人が福島市でおるわけですが、必ずもうかるという勧誘をしておりますし、追い証の説明をしておらない、それから数回にわたり取引を中止すると言っても無視しておる、それから無断で売買する、こういうことが行われている。また別な人、同じ会社なんですけれども、必ずもうかる、定期預金より有利だ、そして取引をやめると言ってもずるずると引き延ばす。これは私の手元に訴えてきただけでも、同じ福島市とそれから会津の方に一人おりますけれども、五人ですね。  それから別な会社ですけれども、まずパンフを三回送りつけてきて電話で勧誘し、そのほかに直接訪問しているわけですが、定期預金より率がいい、必ずもうけさせる、任せてもらいたい、で、無断売買をやる、やめると申し出ると、いまやめると損をすると受け付けない。こういうふうに立て続けに私のところに苦情が、ここ一カ月、七月末から八月初めにかけて起きたわけであります。こういうような事例について、パンフレットの中に一応形の上では、損することもあるというようなことを書いてあるようですけれども、口頭の説明はきわめて巧みでございまして、全くの素人にしてみると、何かこう元本が保証されるというような錯覚を起こすような言い方をする。それから定期預金より少なくとも得だというような言い方をする。  そういうことで、実は、この私が挙げました例の五、六件については、農林省、通産省にも一応お話し申し上げて、具体的なケースについては幾らか金を返させるというような形の解決をしたりしておりますけれども、こうした業者、大体共通していると思うのですが、たくさんの業者のうちで目に余るのがある。少なくとも私がいま挙げた五件のケースは同じ会社でございます。こういう点について、農林省、通産省はこうした業者に対してどういう措置をしたかについて、お伺いしたいと思います。
  32. 山口和男

    ○山口説明員 ただいま先生から御指摘のございました紛議のあった業者の件につきまして、お話をちょうだいいたしまして、その業者の指導をしたわけでございますが、呼びまして特に注意を与えております。たまたま特定の業者でございましたので、そういうことで特に呼びまして注意をするという形で処理いたしております。
  33. 堤恒雄

    ○堤説明員 私の方も、先生からお話があった業者については、同様な措置をとっておる次第でございます。
  34. 安田純治

    安田委員 注意をしたとおっしゃいますけれども、注意の程度にもよると思うのですが、一向に改まらないのではないかという心配があるわけです。  というのは、実は私の地元の秘書のところへ電話がかかってきたのは、こういう四、五件の訴えがある最中なんですね。その間に相変わらずそういう無差別のことを電話でやって、話の内容を聞くとやはり似たようなことを言っておる。地元秘書も、この訴えがなければまあ一般にそれほど関心なかったと思うのですが、たまたまそういう事件の訴えが幾つかきてやっている最中に同じ勧誘が電話で自分のところにきたということを見ますと、どうも御注意されても直らないのではないか。しかもその原因が、先ほど言われましたような過当勧誘、過当競争といいますか、この背景がいろいろあるとなりますと、これはよほど厳重な措置をしないと被害者が拡大をするのではないかというふうに思うのですが、その点いかがですか。どの程度の注意をされておるのか。
  35. 山口和男

    ○山口説明員 紛議を抑制するためにいろいろなことを現在実施しておるわけでございまして、法律におきましても特に禁止事項と申しますか、そういったことを規定いたしております。特に先生の御指摘のございましたような利益保証をするというようなことによって勧誘をするとか、あるいは指示を受けて動かなければいけないのを指示に従わないとか、そういったことにつきましては、取引員に対してそういう行為をしてはいけないということが法律の九十四条で定められております。  それから取引所の定款によりまして、受託契約準則というのをつくりまして、これにおきましても、そういった必ずもうかるというような断定的な判断ができるような資料を出してはいけないということ、その他の準則を設けております。また、取引員の受託業務につきまして取引所の禁止事項というものを、指示事項という形で取引所の通達のような形で決めております。この中にも、無差別の電話勧誘はいけないとか、経済力のない客に対して強制的な勧誘をしてはいけないとか、投機性についての説明が不十分であるというような点、幾つかの事項がございます。  こういったことによりましてできるだけ未然に紛議を抑えるということを従来から指導してきておるわけでございますが、ただいま先生御指摘のような、なかなかこの法律あるいはそうした取引所の指示事項等に従わないというような状況がございました場合どう対処するかという点でございますが、まず法律によりまして、百二十三条で、一定の場合には許可の取り消しとかあるいは売買取引の一時停止というような強硬な処分をするということもできるかと思いますが、特に一昨年の法律改正によりまして許可の更新が四年ごとに行われるということになっております。そのときの判断材料と申しますか、許可基準の中には「十分な社会的信用を有すること。」というようなことが一つ条件になっておるわけでございまして、そういった点をとらえまして、今後の許可の更新の際に非常に重要な判断材料になりますよというようなことを含めまして注意を与えておるわけでございます。そういったことによりましてできるだけ改善を図っていきたいと考えております。
  36. 安田純治

    安田委員 農林省の方は。
  37. 堤恒雄

    ○堤説明員 農林省の方も、ただいま通産省の方から御答弁があったような基本方向でやっておりますが、あと、私の方としては、紛議その他の多い商品取引員は営業の仕方がかなり問題だというふうな判断から、私どもにおります商品取引所検査官に立入検査をそういう取引員を重点的にやらせるようにしておりまして、内部の組織なり仕組みなりあるいは外務員管理の仕方、こういうことに問題ある場合は注意を喚起する、必要に応じ戒告等の処分をする、さらにひどいものについては営業停止処分をするという措置を今日までとってまいったわけですけれども、私どもといたしましても、ただいま通産の方からお話がありましたように、許可更新の時点でこういう悪い取引員については重要な判断材料として考えざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  38. 安田純治

    安田委員 ぜひ厳しい指導をしていただきたいと思うのですが、とにかく無断売買などははっきりした違法行為でございますし、それから勧誘のやり方は、先ほど申し上げましたように、確かに。パンフレットには損することもあるということは書いてあるのですけれども、言い方が、たとえば砂糖なら砂糖、粗糖なら粗糖の相場というか市況について説明をして、一般論としては損をすることはあり得るというふうに書いてあるけれども、粗糖をやる限り損はしないとかというような形で、きわめてうまい口頭の説明をするわけです。そのために結局素人の人たちがひっかかるということになると思うので、こういうものは口頭で説明するとなかなか証拠が挙がらないのですね。文書で見ますと、なるほどパンフレットには損することもあり得ると書いてはあるわけですね。ですから、いままでの対処の仕方だけではこうした紛議はなくならないんじゃないかというふうに思うわけであります。  で、再発防止のための措置を講ずべきではないかと思うわけであります。たとえば、これは全く思いつき的な提案ですけれども、被害を最小限に食いとめるために、あるいはトラブルを未然に防止するために、利益あるいは損失が一定の金額に達した段階で、たとえば百万円なら百万円としてもいいのですが、上下百万円の差ですか、続けるかどうかの再確認を文書でしなければならないというような制度をちゃんとしたらいいのではないかというふうに思うわけです。  ことに福島市の一千五百万損した人のケースをずっとたどっていきますと、まじめなサラリーマンだったのですが、たまたまそういうことで勧誘を受けてちょっと手を出した。そうしたら、最初五十万、六十万というようなことになってきて、損がだんだん込んできて、いま追い証を出さぬとえらい損をするぞということで続けられて、しまいには親の財産を抵当に入れてまで金を借りて千五百万の損をしておるという状況で、あなたやめなかったのかと言うと、いま解約すればもっと大きな損になる、ここでがんばれば、いま市況も上向きになっていることだから損は回復できるというようなことで、次から次へとつぎ込んでいく。  こういう状況を考えますと、一つは、一定の幅の損失なり利益があった、その段階で必ず文書で再確認をするというような制度を新しく設けてはどうかというふうに思うわけです。特にこれは全部の業者に適用にならないとすれば、いわゆる札つきの業者というのがあると思うのですね、紛議が非常に多いところ、そういうようなところに対しては、少なくともこういうことをさせるべきではないかというふうに考えますけれども、お考えはいかがでしょうか。
  39. 山口和男

    ○山口説明員 ただいま先生の御提案でございますが、委託者の指示によりまして取引員が売買をするということは、大前提でございます。基本でございます。それの金額が幾らになれば自動的に意見を聞くかどうかということでございますが、これは売買が成立すれば売買報告書を出さなければいけない、こういうことになっておりますし、また、取引所の準則に基づきまして、一カ月に一回は必ず残高照合書を委託者に送付しなければいけない、こういうことになっておりますので、これを見ることによって自分の建て玉や損益の状況というのがわかることになっておるわけでございます。また、いつでも報告を求めることができるということにもなっております。  したがいまして、そういうことで委託者が自分の判断に従って売買を進めるということができるような体制というのは一応とられておると思われるわけでございますし、また、先ほど御説明申し上げましたように、法律、定款あるいは指示事項等によりまして取引員に対して指導するということで紛議防止の諸制度がございまして、こういった点を見ますと、かなり制度としては整備されておると思われますので、今後は、先ほど申し上げましたように、諸制度の準則を確保していくということに特に力を注ぐということと、許可更新の際の非常に重要参考事項にしていくというような方針で進みたいと考えております。
  40. 安田純治

    安田委員 農林省のお考えはいかがですか。
  41. 堤恒雄

    ○堤説明員 通産省の方から詳細に御説明がありましたので、つけ加えることがありませんが、先ほどお話に出ました受託契約準則、この中には、相場の高下がございまして証拠金に不足を来したとき追い証拠金を納めろということになっておるわけですけれども、それが納められないという場合、取引員の方としてはいわゆる取引を手じまいしますよという条項が入っているわけでございます。したがいまして、受託するに当たって取引の内容を外務員が委託者に説明する場合、取引の内容、関係、こういうことをやはり詳細に説明させることが大事なのではないかと思うわけでございます。したがって、この辺の指導につきましてなお努力したいというふうに考えているわけでございます。
  42. 安田純治

    安田委員 そういうたてまえとしての制度が一応あることは知っておるわけですが、しかもそれを前提にして今日のこういう被害が出ておるわけです。  たまたまこのケースの場合、四件目か五件目に私のところへ訴えてきた人が、やめたいということで電話をしたわけですが、四件目くらいだったものですから、これは証拠にとっておく必要があるというので電話をテープにとってみたのですが、このテープを後から聞いてみますと、素人だったらちょっとやめられないようなうまい電話のつなぎ方なんですね。また、追い証のこともそうなんです。ですから、たてまえはそうなっておるけれども、実際には、もうこれで取引をやめたいと言えば、いや、こういうわけで損する、しかし、いまあと二日もがんばっていればこうなるというようなことで、なかなかそうですかとは言わないのですね、業者の方は。で、結局ずるずると巨大な被害を一般の素人の人が受けているというのが実情なんですよ。  ですから、たてまえはそういうことになっていても、それが実際行われていないというところに問題があるわけでして、これを行わせるのに、外務員やなんかの教育とか、あるいはたまたまわれわれのところに訴えてきた人だけの問題として処理するのじゃなくて、再発防止の何らかの制度的な保証が必要だろうというふうに思うわけです。  現行制度のままではどうもなくならないのじゃないか。で、取引所廃止論の世論を招くことになると思うわけです。大衆投資家の被害で成り立つような今日の業界は、百害あって一利なしと言わざるを得ないわけであります。ですから、もし商品取引所や商品取引業を存続させるならば、トラブルの未然防止の抜本的な対策が必要であると思います。  いまの御説明ですと、そういうたてまえになっておるので追い証の性質や何かについても委託者の方で知っているはずだということになるのは、まことにはずなんですけれども、実際にはそうでなくて、親の財産まで全部つぎ込むというような状況が生まれておるわけです。ですから、こういうことを考えますと、そういう制度になっているから大丈夫なんじゃないかというわけにはいかないと思うのですよ。そういう意味では、ただ月末に精算書みたいなのが来るとかそれだけではなくて、途中で一つの確認的な文書をとらせるとか、そこにはちゃんとわかりやすく改めて説明を明文でさせるとか、言葉ではなくて文書ですね、こういうようなことを考える余地は全くないものでしょうかね。  最後にこの点をお答えいただきたいと思います。
  43. 山口和男

    ○山口説明員 商品取引の機能と申しますか、取引所の機能が十分に発揮されるために、ある程度健全な投機資金というものが導入されていくということは不可欠であるわけでございますが、特に商品取引につきましては、本来の商品の価格の適正化あるいは生産流通、消費についての健全化、そういったことに寄与するためにこういう取引所制度が設けられておるわけでございます。  そういう点から見ますと、やはり商品生産なり流通なり消費というものに関する知識とか経験、そういうものをある程度持っておられる方を対象に、投機的な資金とは申しましても、そういったことが取引所の機能を高めて、そして公正な価格形成に寄与していく、こういうように考えられるわけでございます。  全く——全くといいますか、知識の非常に少ない方の参加というのは、公正な価格形成に寄与するのかどうかという点から見ますと、かなりそういう点では問題がございますし、勢い過当競争とか紛議というようなケースが多くなるということでございまして、そういう意味では、そういった余り知識、認識のない大衆の参加ということについては、やはりそれ自体まず非常に問題があると思うわけでございます。  したがいまして、取引所取引員に対しまして、やはりある程度委託者の知識とか経験とかその他の資金力等を見て質的な選別をして、そして勧誘をしていくことが必要だというような指導をともかく強力にやる必要があるのじゃないかと思うわけでございます。そういうことによって結果的に大衆の保護になると思うわけでございますが、先生御指摘のございましたような具体的な外交員等の指導、そういったことにつきましては、先生の御指摘に留意いたしまして、今後十分、最大の努力をいたしてまいりたいと思います。
  44. 堤恒雄

    ○堤説明員 ただいま通産の方からお答えのあった線で、私どもも努力してまいりたいと思います。
  45. 安田純治

    安田委員 きょうはもう時間の関係もありますし、また、私の手元に訴えてきた事件については、たまたま通産省、農林省の指導もあって、ある程度和解といいますか、話し合いがついているようでございますので、具体的な会社の名前を挙げることはやめますけれども、目に余る会社が幾つかあることはもう御存じだと思うのです。ですから、ぜひ、そういう大衆投資家といいますか、余り知識のない人を無差別に勧誘して、うまいことを言って大損をかけるというようなやり方を再発しないように、厳重な指導を今後ともお願いしたいということで質問を終わります。
  46. 佐野進

    佐野委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時十六分散会