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栗林委員 今回の犠牲者は出かせぎ
労働者でございますが、その中には出かせぎ者ではありますけれ
ども、これは軽べつして申し上げるのではございませんが、デラシネ
労働者といわれるいわゆる根なし
労働者、ふるさとを捨てた不幸な境遇にある
労働者も多数含まれておるのであります。しかし、だからといって、こうした人たちの人権が無視されてはならない。だからといって、こうした
労働者の生命を無視してよいというものではなかろうと思うのであります。私は、こうした不幸な人たちの人権、
労働権を無視して、しかも職安法に
違反をして彼らを
雇用し、ぼろいもうけをしておる事実をつかんでおるものであります。明らかに職安法
違反を行って
労働者の供給事業を行っておる。この犠牲になっておる
労働者はこうしたデラシネ
労働者、ふるさとを捨てた気の毒な境遇にある
労働者。彼らは何にも言わない。それをよいことにしてこれを悪用しておる。しかも職安法をゆがめて使用しておる。これは許すことはできないのであります。今回の柳井事件につきましても、職安法の
違反がきわめて濃厚でありますが、きょうは職安法に関する問題は後日に譲りたいと思っておるものでございます。
あと五分ばかり時間があります。この
寄宿舎規程のことについての質問でありましたので、ついでにお尋ねしたいことがありますが、これは私、通告しておらなかったから、もしか調べておらなければ、後で結構でございます。
というのは、昨年の十二月十三日、富山県の黒部市にある
吉田工業の宿舎で発生したガス中毒事件がございます。出かせぎ
労働者二名がこの
吉田工業の寮内で一これは火事ではありません。不注意によるものですが、ガス中毒によって出かせぎ
労働者二名が死んだ事件があります。私
どもは、この事件は当然、
労働者
災害補償保険法の認定になる事件だと思っておりましたところ、なかなか認定はむずかしい。なぜむずかしいかと聞いてみましたら、この寮は余りりっぱ過ぎて、これはいわゆる建設業でありませんから、
事業附属寄宿舎規程に規定される宿舎とは認めがたい、したがって認定はできないのだ、こういう説明をいただいておるものでございます。しかし私はここに、
事業附属寄宿舎規程の認定する宿舎はどういう宿舎を認定するか、認定基準の規則を持っております。これを厳格に当てはめれば、あるいは附属
寄宿舎と認めがたいかもしれません。だが、
労働者は
吉田工業に
雇用されて、おまえの宿舎はここだと指定されれば、指定される宿舎が事業附属
寄宿舎と思ってそこに寝泊まりをするのであります。
労働者は弁護士ではない。法学士ではないのであります。会社の方から指定された宿をあるいは宿舎を、これを事業附属
寄宿舎と考えて寝泊まりをしておるのであります。ここは光志寮という寮でありまして、四階建てのきわめて近代的な建物であります。
吉田工業は海外にも大きく事業を発展させておる企業でありますので、多くの外人も出入りするわけであります。そういう外人のお客さんが来たときもその光志寮に泊めております。国内のお客さんも泊めておるわけであります。その寮内の一部に出かせぎ
労働者数十名が収容されて寝泊まりしておったのでございます。私は、その当時、
吉田工業にはそうした
労働者を寝泊まりさせる宿舎がなかったので、それよりも悪い宿舎ならば問題がありますが、それよりももっともっとりっぱな近代的な宿舎であるならば
労働者からも小言は言われまい、役所からも小言は言われまい、こういう考えであったろうと思います。そこで、その光志寮に寄宿させたのでございます。してみれば、独立したものではないにしましても、その寮の一部を
寄宿舎として使用しておる事実は明瞭ではないでしょうか。こういうような事実
関係から、私は、この附属
寄宿舎規程の認定基準は、この際もう少し拡大解釈をしていただいて、でき得ればこうした犠牲になった
労働者に労災が
適用されるような、認定されるような行政的な配慮ができないものか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。