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1977-09-12 第81回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年九月十二日(月曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 湯山  勇君    理事 有馬 元治君 理事 今井  勇君    理事 広沢 直樹君       愛野興一郎君    稲垣 実男君       小島 静馬君    後藤田正晴君       篠田 弘作君    玉沢徳一郎君       津島 雄二君    伊賀 定盛君       伊藤  茂君    池端 清一君       川崎 寛治君    島田 琢郎君       馬場  昇君    安井 吉典君       野村 光雄君    神田  厚君       津川 武一君    山原健二郎君       甘利  正君    菊池福治郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         大蔵省銀行局総         務課長     石川  周君         厚生省公衆衛生         局結核成人病課         長       仲村 英一君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         厚生省社会局施         設課長     山内 豊徳君         厚生省年金局資         金課長     渡辺  修君         農林大臣官房審         議官      犬伏 孝治君         農林省構造改善         局農政部農地業         務課長     佐藤 太洋君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       善木 正敏君         林野庁指導部造         林課長     森本 泰次君         林野庁指導部治         山課長     江藤 素彦君         水産庁研究開発        部漁場保全課長 伊賀原弥一郎君         中小企業庁計画         部長      小松 国男君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         気象庁予報部長 窪田 正八君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君         労働省職業安定         局雇用政策課長 白井晋太郎君         労働省職業安定         局雇用保険課長 望月 三郎君         建設省都市局街         路課長     渡部與四郎君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省河川局治         水課長     川本 正知君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君     ————————————— 委員の異動 八月十八日  辞任         補欠選任   山本悌二郎君     中井  洽君 同月十九日  辞任         補欠選任   中井  洽君     神田  厚君 九月十二日  辞任         補欠選任   内海 英男君     玉沢徳一郎君   佐藤  隆君     愛野興一郎君   谷川 寛三君     篠田 弘作君   川俣健二郎君     島田 琢郎君   芳賀  貢君     川崎 寛治君   米田 東吾君     安井 吉典君   渡辺 芳男君     池端 清一君  平石磨作太郎君     野村 光雄君   永原  稔君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     佐藤  隆君   篠田 弘作君     谷川 寛三君   玉沢徳一郎君     内海 英男君   池端 清一君     渡辺 芳男君   川崎 寛治君     芳賀  貢君   島田 琢郎君     川俣健二郎君   安井 吉典君     米田 東吾君   野村 光雄君    平石磨作太郎君   甘利  正君     永原  稔君     ————————————— 八月三日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  台風第九号による災害対策  災害対策に関する件(有珠山噴火による災害  対策等)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 湯山勇

    湯山委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、台風第九号による被害状況につきまして政府より説明を聴取いたします。国土庁柳審議官
  3. 四柳修

    四柳説明員 台風号関係の現在までにわかっております被害状況について御報告申し上げます。  昨日十七時現在の警察庁がまとめた報告によりますと、人的被害が、死者一名、これは神奈川県でございます。負傷者九十五名、この方々は大部分沖永良部でございます。それから家屋の被害が、全壊が千百五十二棟、それから半壊が千百十七棟、いずれも大部分沖永良部島でございます。床上、床下浸水が約五千戸ございますが、このうち約三千戸が沖永良部、それから二千戸は神奈川県でございます。その他現在調査中でございますが、罹災世帯が大体四千七百世帯被害が最もはなはだしかった沖永良部につきましては、知名、和泊両町に十日の十時に救助法発動となっております。  以上、現在わかっております数字でございます。けれども、簡単ですが御報告とします。     —————————————
  4. 湯山勇

    湯山委員長 次に、去る八月二十九日、三十日の両日、有珠山噴火による被害状況につきまして、北海道現地調査を行いましたので、私が、派遣委員を代表して、便宜、この席から調査の概要を御報告申し上げます。  なお、被害状況等の詳細を記載いたしました派遣委員報告書北海道並び関係市町村から提出された要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載することをお願いいたしたいと存じます。  派遣委員有馬君、稲垣君、広沢君、神田君、津川君、永原君及び私、湯山の七名とそれに地元選出議員多数の現地参加を得て、被害の実情をつぶさに調査してまいりました。  今回の調査は、参議院災害対策特別委員会派遣団同一日程となりましたことを申し添えておきます。  まず有珠山噴火発生状況でございますが、八月六日未明より有珠山系火山性と見られる地震が続発し、有珠山に設置してある地震観測装置が一段と地震活発化の様相を示したのでありますが、翌七日、午前九時十二分、突如大規模な噴火発生し、噴煙は高さ約一万二千メートルに達し、火山れきを含む降灰は、洞爺湖周辺を中心に虻田町、伊達市等遠くは日高支庁管内にも及んだのであります。このため農地農作物森林等に甚大な被害をもたらし、被災地域は一市十一町村にも達しております。特に有珠山に最も近い虻田町は、噴火状況から、住民の一部は小学校あるいはボウリング場等避難し、不自由な生活を続けておりました。  道当局説明によりますと、現在までの被害総額は約二百七十二億円にも達し、その内訳は、農地及び農作物農業用施設等被害約百三十億円、商工業観光施設被害文教施設被害約七億七千万円、道路の埋没等公共土木被害は約四億円、林業被害約五十七億円、衛生施設被害約一億円とのことであります。  派遣団は留寿都村を初め洞爺村、虻田町、壮瞥町、伊達市において調査を行ってまいりました。  各市町村とも大量の火山れきと火山灰の降灰により、ジャガイモ、トウモロコシ、アスパラガス、小豆等畑作物壊滅状態となり、激甚災害早期指定天災融資法早期発動自作農維持資金融資について貸し付け限度額引き上げ等について特段の配慮をされるよう強い要望がありました。  この際、一言付言いたしますが、今回の災害に際し、住民避難誘導輸送等に御尽力された警察自衛隊及び関係各位に対し深く敬意を表したい、と存じます。  終わりに、今回被災された方々の一日も早い立ち直りを念ずるとともに、調査に際し御協力をいただきました関係方面方々に深く感謝申し上げ、簡単ではございますが口頭報告を終わることといたします。  派遣委員の皆様には大変御苦労さまでございました。  なお、ただいまも申し上げましたように、派遣委員報告書及び北海道並び関係市町村から提出された要望事項につきましては、本日の委員会議録末尾に参照掲載することにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 湯山勇

    湯山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 湯山勇

    湯山委員長 災害対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠田弘作君。
  7. 篠田弘作

    篠田委員 ただいま委員長からも申されましたが、有珠噴火につきましては、各方面のいろいろな御配慮を得ましたが、特に警察自衛隊、消防その他、現地避難活動につきましてあるいは安全につきましていろいろお世話になりまして、まことにありがとうございました。  まず第一に、噴火に際して行われることは避難でございますが、この避難につきましても、地元当局はもちろんのこと、いま申し上げましたようないろいろな関係において非常に御尽力いただきまして、そのために、大きな災害であったにもかかわらず死者が一人も出なかったということは、本当にありがとうございました。  次に、国土庁田澤長官にお尋ねしたいのでありますが、いま申されましたように、激甚災害指定天災融資法適用という問題につきまして、地元は非常に待望をしておるわけでございます。が、その点はどういうことになっておりましょうか。
  8. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 有珠山火山噴火につきましては、ただいま委員長の御報告にございましたように、八月七日の午前から十三日の夜半にかけて断続的に噴火活動が行われまして、その降灰あるいは火山れき被害というものは非常に大きかったのは御案内のとおりでございます。  そこで、政府といたしましては、九日の閣議に私からこの概況を説明いたしまして、その後直ちに政府調査団現地に派遣することを決定していただきまして、十日の日に防衛庁の御協力をいただきまして現地に参りまして、最も激震地でございます虻田町、壮瞥町あるいは伊達市等を視察してまいりました。また、北海道庁あるいは関係市町村長さん方のいろいろなお話も承ってまいりまして、十一日にその意見等を踏まえて災害対策本部政府内に設けました。さらに、十六日には対策のための関係閣僚会議を開きまして、これまで進めてまいりました措置あるいは今後進めてまいります方向等について決定をいただき、さらに関係省庁の御協力をいただくことを要請したのでございます。翌日十七日には第二回目の調査団を派遣し、今日に至っているわけでございますが、各省庁の係官をして鋭意災害復旧のために努力をさせているというのが現状でございます。  そこで、御指摘の天災融資法についてでございますが、これは御案内のように、基本的にはこの発動をすでに内定してございます。しかし、農作物の収穫の状況等を見ましてさらに正式に決定をいたしたいと思いますので、恐らく十月の末ごろになろうと思います。  また、天災融資法局地激甚災指定の問題でございますが、これは御案内のように、各省庁のいわゆる査定が基本になりますものですから、その結果を踏まえて指定いたしたいと思います。従来は年末に数値を整えまして大体二月ごろ決定するというのがこれまでの進め方でございますけれども、今回の有珠山災害は特に激しいものでございまして、特異な状況でございますので、災害の激しい地域団体に対して特に事前指導をしてまいりたい、かように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  9. 篠田弘作

    篠田委員 いまのお話でわかりましたが、事前指導というのはどういうことですか。先に渡すというのですか、天災融資法に準じて何か資金を流すという意味ですか。事前指導というのはどういうことですか。
  10. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 たとえば貸し付け限度をこの程度にしたらよろしいだろうとか、大体あなたの方はこういう激甚災には該当するような災害状況にございますとか、もろもろのいわゆる激甚災状況を踏まえて事前指導するという意味でございますので、御理解いただきたいと思います。
  11. 篠田弘作

    篠田委員 次に、農林省に伺いたいのでありますが、農林省としての災害対策の内容はどういうことになっておりますか。
  12. 犬伏孝治

    犬伏説明員 有珠山の第一回の噴火に伴いまして灰が降ってまいる、そのことに伴いまして農作物を初め山林あるいは水産関係にまで各般被害が生じてまいったのでございますが、農林省といたしましては被害発生直後から今日に至るまで、そのときに応じまして各般対策に取り組んでまいってきております。  まず、被害発生直後の対策でございますが、被害状況の早急な把握にまず着手いたしました。このために、噴火発生直後から数次にわたりまして農林省からも職員を派遣いたしまして状況把握をいたしております。  また、農林省の省内で対策会議を随時開きまして対策に遺憾のないよううな体制を整えますとともに、被害状況農林省みずから、農林省統計情報部の組織を動員いたしまして、農作物等被害状況把握に努めてまいってきております。  また、応急対策といたしまして、当面の技術指導農作物に灰がついておる、あるいは牧草に灰が付着しておるということによりまして被害が生ずるわけでございますが、その被害最小限度にとどめるような技術指導、さらには、降った灰の理化学的な分析をいたしまして、農作物等にどのような影響が及ぶかというような、土壌調査の一環としての灰の分析調査をいたしております。  また、被災した方々炊き出し用の米飯の応急配給でありますとか、生鮮食料品の確保、価格安定等対策にも取り組んできたところでございます。  以上のような応急的な対策のほかに、これと並行いたしまして、次に申し上げるような対策検討してまいりますとともに、実行できるものから逐次着手をいたしております。  まず、農地農業用施設災害復旧でございますが、できるだけ早期復旧をする。営農にできるだけ支障が生じないようにするという見地から、八月の十一日に農地農業用施設災害復旧にどのように取り組むかということを現地で協議するために職員を派遣いたしまして復旧方針を内定いたしまして、さらに八月十五日から十九日にかけまして農業試験場等協力も得まして、どのような復旧をやればいいかという復旧工法の指示をいたしております。さらに、八月二十三日から緊急査定に入りまして、早期復旧ができるように、すでに早いものは八月二十五日から復旧工事着手いたしております。  今後の方針としては、ことしの雪が降る前までにできるだけ大きい割合の復旧をいたしたい、大半年内復旧いたしたい。さらに、一部は来年にかかるかと思いますが、これも来年の五月中までに完了するように努力をしていきたいと存じております。  それから、第二に金融対策でございますが、被害発生しました直後、八月十一日に農林省関係の各種の制度金融がございますが、その制度金融による既存の貸付金償還条件につきましての緩和措置につきまして関係金融機関指導をいたしております。  それから、先ほど国土庁長官からお話がございましたが、天災融資法発動につきまして、八月三十一日の時点でこれを発動する方針であるということを内定いたしまして、関係各省と協議に入っております。  天災融資法発動の時期でございますが、今後の噴火状況がさらにどうなるか、それから作物の生育状況がどうなるかというようなことを検討いたしまして、できるだけ早期発動ができるように、おおむね十月には正式の発動ができるようにいたしたい。それまでの間、天災融資法発動する方針ということをすでに関係方面に連絡をしてございますので、つなぎ融資等措置が行われるように指導をいたしております。  それから三番目に、農業共済関係につきましては、共済金ができるだけ早期に支払われるよう指導いたしておりますし、仮渡しができるようすでに通達を出しております。  四番目に、林野関係でございますが、山地に灰が降って林地荒廃が生じております。それからまた、雨が降ることによって灰が下流部へ流れてくるという第二次的な被害発生が予想されますので、林地荒廃なり、そのような二次的な被害発生を防止する見地から、緊急に必要な個所につきましては緊急治山事業をすでに実施することで着手をいたしております。  そのほか林野関係では、造林地でありますとか苗畑にも灰が降りまして大きな被害をもたらしているところがございますので、これらに対する復旧造林あるいは融資措置等についても検討をしてまいりたいと存じております。  最後に水産関係でございますが、水産関係被害は、当面のところはホタテガイの稚貝、それから洞爺湖におきますヒメマスの被害発生しております。ホタテガイ養殖場におきまして、降った灰が河川を伝って海面に流れて出てくる、そのことによって大きな被害発生することが懸念されますので、これらにつきましては追跡調査の万全を期してまいりたい、また被害発生状況に応じて適切な措置検討してまいりたい、かように存じております。  以上のような対策を講じ、また講じつつあるわけでございますが、今後とも対策の万全を期してまいりたいと存じております。
  13. 篠田弘作

    篠田委員 農業施設の問題についていま御説明がありましたが、農地復旧の問題はどうなっていますか。  聞くところによると、八千ヘクタールの農地被害復旧するというのですが、現在千ヘクタール以上は進行しておる。しかし、北海道としては雪の遅いところでありますけれども。残りをどのぐらい復旧できるものか、それによって来年の農民の営農も決まるわけですから、農地復旧状態についてひとつお話し願いたい。
  14. 犬伏孝治

    犬伏説明員 降灰によります農地復旧につきましては、先ほど概略申し上げましたが、緊急査定を八月二十三日から実施をいたしまして、この査定を終わりました面積が千二百二十四ヘクタールでございます。それから査定完了次第復旧工事着手するよう指導をいたしまして、査定前着工も一部ございますが、九月八日現在で二百四十ヘクタールの災害復旧が行われております。ことしの秋の牧草作付に間に合わせるために必要な面積は、北海道庁からの報告によりますと約七百八十ヘクタールと報告を受けておりますが、これにつきましては、もちろん年内の、しかも牧草作付に間に合う時期までに完了するようにいたしたいと存じております。  それから全体の災害復旧でございますが、これは先ほど申し上げましたように、本年の雪の降る時期までに大半実施いたしたい。さらに来年に回る分につきましては、五月中には作付支障のないように完了いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 篠田弘作

    篠田委員 きょうの新聞を見ましても泥流の問題が起きておりまして、地元では第二次災害として泥流の出てくることを非常に恐れておるわけです。これについてもうちょっと具体的な説明をしていただきたいと思います。具体的というのは、たとえばいま北海道は冬に向かいますから、内地でやるような大々的な防災工事をしても、凍上というものがありますから、これはすぐ持ち上げられてしまうわけです。実際に適した泥流対策というものはどういうふうにやっておられるかということをお聞きしたい。
  16. 井沢健二

    井沢説明員 山の上に非常に多くの灰が降ったわけでございまして、それが降雨ごとに少しずつ出てまいっておるというふうな現状でございまして、洞爺湖の町の非常に住宅の危険の強いところには緊急砂防堰堤等をつくることにいたしております。しかしながら、北海道ではこれから非常な寒気に向かうわけでございまして、早急に仕事をしなくちゃならないというふうなことで、枠ダムと申しますか、いわゆる枠でダムをこしらえで灰あるいは軽石、そういうものの出方を調整しようというふうなことを考えております。  それからなお恒久的には、どこにどんなふうに出てきそうであるかというふうな調査に取りかかる予定にいたしておりますが、そういう調査実施の結果を踏まえまして、激特砂防事業といたしまして砂防堰堤あるいは流路工等のそういう対砂工事を今後いたしたいというふうなことを現在検討中でございます。
  17. 篠田弘作

    篠田委員 泥流の問題が一番心配されておりますが、泥流の処置につきましては十分検討はされておるかもしれませんが、いまの説明では実際の方法についてはまだ固まっていないように思うのでありますが、泥流の一番心配されているところは洞爺湖温泉であります。その洞爺湖温泉には洞爺湖という大きな湖がありますけれども、川が一つもないのです。そこで、普通なら川を一つ泥流排水口として、通路として利用できるかもしれませんが、川がないためにそれができません。  それから、いま枠を組んでダムをつくると言っておられますが、その枠はコンクリートですか、それとも木材ですか。それと、もう一つはどこへつくるのですか。大体泥流の流れそうなところにつくるわけですか。それをちょっと説明してください。
  18. 井沢健二

    井沢説明員 コンクリートのこういう棒を組み立てまして、中に石あるいはコンクリートのブロック、そういうものを入れたようなものであるというふうに聞いております。  それから、場所につきましては、非常に危険であるという、住宅のあります。一番沢のところだというふうに聞いております。
  19. 篠田弘作

    篠田委員 次に、この最も大きな災害を受けておる虻田洞爺湖温泉あるいは壮瞥温泉地帯、いわゆる年に四百万くらいの観光客が参りまして、観光北海道一つの主力的な役割りを果たしているわけでございます。そこで、やはりいろいろな農業その他の問題につきましても、いろいろ施設をしていただくことはもちろんであります。が、この観光地帯としての融資の問題が非常に大きくなっております。もちろん古い借金につきましては、これは元利ともにある程度の支払い延期をしなければならないということは事実でありますが、それをしても新しい融資につきましては、当然長期低利的なもの、あるいは利子補給的なものを含めまして、本当に低利なものを地元は希望しておるわけです。幾ら新しいものを出しましても、古いものを決済するということになりますと、これはもうとうてい立っていきません。洞爺温泉は非常に経済力といいますか、観光的な実力を持っておりますが、噴火以来もちろん営業は成り立っておらない。そこで、単に政府系団体とか四団体ばかりでなく、いわゆる市中銀行におきましてもそういうことが配慮されるようにお願いいたしたい。  それから、これは昭和四十年の松代地震のときに適用された例があるのでございますが、松代地震は震度三ないし四の地震が一年半続いたわけです。そこで、局地激甚適用も受けなかったわけでありますが、翌年五月閣議決定によりまして天災融資適用を受けております。そういう意味におきまして、洞爺壮瞥のいわゆる観光施設に対して、あるいは観光地帯に対して、天災融資法適用されるものであるかどうか。  それからもう一つ、その支払いを延期することによりましてそういう政府機関とかあるいはまた大市中銀行からの借金でなく、地方において信用組合とかその他の方法で金融されているものの支払いがとまるということになりますと、あるいはみやげ店であるとか、あるいは魚屋であるとか、食料店であるとか、そういうものの資金の融通がとまるわけでありますが、その点についてどういうふうな方法を講じる考えであるか、それについてひとつお伺いいたします。これは中小企業庁の方にお願いします。
  20. 小松国男

    ○小松説明員 ただいま先生のお尋ねの件でございますが、中小企業庁といたしましてはまず現地被害状況を十分把握するために、担当課長、それから通産局の担当部長を派遣しまして実情を十分把握してきておるわけでございまして、それについていろいろの対策を打てるものから打っておるというのが実情でございます。  まずとりあえずの問題といたしましては、一般的な災害の特別貸付制度というものを八月十日に適用することにいたしまして、政府関係の中小企業三金融機関の貸し出しにつきまして、本来中小公庫についてはたとえば貸し付けが一億二千万の枠に対して三千万の別枠を置くとか、貸付期間については五年を十年に引き延ばすとか、政府機関もさらに運転資金については六カ月を一年にする、設備資金については一年を二年にする。国民金融公庫につきましても、一般の千二百万の枠の上に別枠として四百万円を設けるとか、商工中金につきましても必要に応じまして一般限度の引き上げを図るというようなことで、まずとりあえずそういう意味での災害に遭った中小企業、商工、観光業者の皆さんに対しまして別枠として貸付条件その他を緩和した融資を現在行っておる段階でございます。  それからさらに既往の貸付分につきましては、皆さん非常にお困りなわけでございますので、その返済猶予という点につきまして個別、一件一件実情に応じまして十分その困った実情に応じ得るような返済猶予の措置をとるように現在指導してまいっておる段階でございます。特に現地におきましては、八月の十八日にたとえば虻田での商工会で緊急移動中小企業金融相談、それから翌十九日には伊達の商工会議所で同じような相談業務窓口を開きまして、すでに相当の件数、それから相当の金額について御相談に応じておる。それから返済猶予についても実情に応じて相談に乗りながら実施しておるという段階でございます。  それからさらに民間の金融機関につきましては、八月十一日の有珠山の非常災害対策本部長の指示もございまして、中小企業庁長官名で民間の金融機関に対しまして弾力的な措置協力を依頼いたしております。その依頼先としましては、全国銀行協会連合会、それから全国地方銀行協会、それからさらに全国相互銀行協会、それから全国信用金庫連合会、それから全国信用組合中央協会という、都市銀行を初めとして末端の中小関係金融機関全部にわたりまして協力を要請しまして、現地の中小企業者の実情に応じて弾力的な金融措置をとってほしいということでお願いし、協力をしてもらっておる段階でございます。  さらに、これは当面の措置でございまして、現地被害状況というのはまことに甚大でございまして、これについてはただいま申し上げたような措置では十分効果を上げ得るというふうには実は思っておりません。そのためさらに抜本的な対策検討しようということで、現在関係省庁とも相談をしておる段階でございます。ただ、いままでの調査の段階でございますと、従来の激甚災害指定基準からいいますと、激甚災害はどちらかというと物的被害に重点を置いておる関係もございまして、中小商工業者とか観光業者の立場から見ますと、むしろ物的被害よりも売り上げが減るとか観光のお客さんが来ないというようなことが問題でございまして、この激甚災害指定そのものができるかどうかという点については若干疑問がございますけれども、こういう法律の運用の疑問はございますけれども、当然それに匹敵するような措置をとらなければいかぬということでいま関係省庁とも相談している段階でございます。  それから、先生特に例示をされまして、松代地震のときにもそういう措置をとったではないかというお話がございましたけれども、前例としてはまさに松代地震がございまして、これも四十年の八月の地震に対しまして、翌年の五月でございますけれども、閣議決定で特別の措置をとっております。このときも激甚災害指定そのものは非常にむずかしいということで、激甚災害に準じた措置として、現地の長期にわたる不安といいますか、それから中小企業者のいろいろな被害、こういうものについて特別の措置をとる必要があるんだということで貸付利率六分五厘の特別の金融措置というものをとりまして、松代周辺の三十六市町村の中小企業者に対しまして、一貸付金当たり百万円、組合員については三百万円、さらにそれば三年間にわたって行うという特別金融措置閣議決定を四十一年の五月にいたしております。これも一つの前例になると思います。こういう問題も踏まえまして、現地の実情に合った形でその被害に中小企業者が耐えていけるような措置をぜひとりたいということで今後とも関係省庁と前向きに抜本策を検討してまいりたい、かように考えております。
  21. 篠田弘作

    篠田委員 救済に対しての延期措置というものは考えておられるようだが、また実行もしておられるようですが、その期間を大体どのぐらいに見ておられますか。それからもう一つは、普通の災害融資は七分何厘かでありますが、いまの話を聞くと六分五厘ぐらいのような話ですけれども、今度の災害から見まして、利子が少し高過ぎるのではないかということを考えます。いまはもう公定歩合もどんどん下げているときですから、このような時期に、これだけの大きな災害に従来のような考え方で利子をあれするということは私は間違っておると思います。それから期限の問題です。が、聞くところによると、何か二カ月ぐらいということでありますが、これだけの騒動が二カ月でおさまるというふうには考えられません。ことにホテルといいましても、内地のような大資本ではなくて本当の中小企業ですから、よほどめんどうを見てやらないと、北海道のいわゆる有数の観光地がだめになってしまうおそれがあるということが一番心配されております。いま申しました期限と利率の問題についてちょっと話してください。
  22. 小松国男

    ○小松説明員 先ほど六分五厘と私が申し上げましたのは、松代地震のときにとられた閣議決定措置のことを申し上げたわけでございまして、これからのわれわれの措置につきましては、金利を幾らにするか、それから貸付期間その他についてどう考えるか。特に貸付期間については一般災害適用で、たとえば五年のものを十年に延ばすとか、すでにもうやっておるわけでございますけれども、具体的に金利を幾らにし貸付枠をどういうふうにしていくかという点につきましては、現地の実情に合うように、これから関係省庁と鋭意話し合いまして、十分中小企業者がそれで納得できるような措置をぜひやってまいりたい、かように考えております。
  23. 篠田弘作

    篠田委員 それからもう一つは、観光地の労働力はほとんどすべてが季節労働者であります。有珠の爆発は八月七日でございますから、実際に労働している時間はシーズンが始まりましてから三月しかやっておりません。失業保険は六カ月でございますから当然期限が不足しておるわけです。しかしこの季節労働者も重大なる被害者であります。失業保険の支払いは当然であると思いますが、その方法はどういうふうになっておりましょうか。
  24. 望月三郎

    ○望月説明員 先生御指摘のように雇用保険の受給資格というのがございまして、被保険者期間が最低六カ月ということになっております。それから季節労働者につきましては四カ月二十二日という要件が最低になっておりまして、これを基本として保険制度が成り立っているということでございまして、その原則を変えることは非常に困難でございますが、しかし先生御指摘のように季節労務者につきましては受給資格が充足していないという事態がございますので、私どもは事業主と何回もお話し合いをいたしまして、十月の末まで休業手当を払いながら受給資格を取得するように努力するということでお話し合いをいたしまして、事業主はそういう申し合わせを各町村ともやっております。そういう経過に立ちまして、何とか保険の受給資格がつくように努力をしておるという状況でございます。  なお、道も九月に入りまして十億円の休業手当のための特別融資市町村に預託をいたしまして、それと金融機関と協調いたしまして、休業手当支払いのための準備をしているという状況でございます。
  25. 篠田弘作

    篠田委員 失業保険あるいはまた中小企業の小さいものの、何といいますか実際の支払いができるように、いま承りますと二十億円というお話ですが、それはわれわれから見ると足りるか足りないかはちょっとわからないと思うのですが、足りなかった場合には追加しますか。
  26. 望月三郎

    ○望月説明員 足りるかどうかという見当でございますが、これは私は大丈夫だと思いますが、なおそういう事態が発生した場合には道と連絡をしながら、できるだけ問題がないように努力したいと思います。
  27. 篠田弘作

    篠田委員 最後に大蔵省にちょっとお伺いしたいのですが、実は金融措置をいろいろやってもらいましても手形の問題があって、期限が来たときに支払わなければこれは法律で結局二回やると破産とかあるいは倒産ということになっております。が、大蔵省として救済に対しての延期を決めて——大蔵省と相談なしに決めるわけにはいかぬと思いますが、決めると同時に、手形の問題について不渡りになる心配のないようにやってもらいたいと思いますが、大蔵省の意見はどうなんですか。
  28. 石川周

    ○石川説明員 災害に関します金融問題につきましては、かねて包括的な通達を全国に流しておりまして、今回もその通達に基づきまして各金融機関は所要の措置をとっておりますが、御指摘の手形の関係につきましては、地元の金融機関が去る八月の十日とそれから十一日と二通りございます。が、申し合わせをいたしておりまして、手形の支払い呈示期間が経過した手形でありましても、手形交換に持ち出して差し支えないということ、それから第二には、そういう呈示期間が経過した手形につきましては、支払い金融機関は支払い人と連絡をいたしまして、特別の事情がない限り、これらの手形が円満に解決されるように努力するということ、それから第三には、不渡りにつきましては、この有珠山噴火による罹災に基づくものと認めた場合には取引停止等の処分は猶予いたしまして、関係金融機関におきまして話し合いの上善処をする、このような申し合わせをいたしております。
  29. 篠田弘作

    篠田委員 金融の方針とともに手形の問題についても努力する、関係機関と話し合いの上で善処する、こういうお話ですね。善処と努力だけではもう間に合わないのですよ。どういうふうにするかということをもうすでに大蔵省は方針を確定していてもいいと思うのですが、まだそこまでいっていないかどうか、至急にやる意思があるかどうか。一方で金融をしましても、一方で手形の期限が来て決済をされてしまえば、それは全然意味がない。そんな国会の答弁で、努力するとか、この震災で善処するとかいうようななまぬるいことではなしに、もっとしっかりした返事をひとつもらいたいと思いますが、どうですか。
  30. 石川周

    ○石川説明員 具体的な措置につきましては、先ほど中小企業庁から御答弁ございましたように、民間金融機関におきましても元利金の返済猶予を決定いたしておりますし、被害状況が固まった段階で返済猶予後の金融の諸措置につきましては個別に相談をする、こういう措置は民間としてもとっております。いま申し上げましたのは手形の個別的な、技術的な面でございますので、各企業につきましていろいろ事情がございます。それに応じて御相談いたしまして措置をとっていくという一般原則を申し合わせたというものでございます。したがいまして、私どもといたしましては、地元金融機関と各企業との間のお話し合いに応じまして、返済猶予、新しいその後の個別の融資、それに即しました手形の処理が行われていくものと期待しております。
  31. 篠田弘作

    篠田委員 期待したいということでございます。が、実際においてこの状況のもとにやらざるを得ないと思います。これは単に道内だけに関係している問題と道外の金融機関に関係している問題があると思いますから、大蔵省はひとつがっちりとこの問題を決めてもらって、業種によって違うというようなことではなしに、天災融資適用を受けるという範囲内においては手形の決済もそうする、そういう方針を確定してもらいたいと思います。そうでないと、ある者は同じ被害者であるにもかかわらず、片一方で融資してもらっても手形が落とされてしまうというような危険があっては——これはもう単なる北海道地方的な災害ではなくて、世界の新聞あるいはテレビ、ラジオで報道されておる世界的な災害です。局地災害ではあるけれども、世界の人間の関心が非常に集まっておるということが言えると思う。その中において大蔵省が果たす役割りというものは最終的に非常に大きい。単に通常の取引ということでなくて、天災融資法決定され、あるいは局地激甚適用されるかもわからないという時期に、手形の決済ということは致命的であるということをひとつよく胸にたたんで大蔵省として協議してもらいたいと思います。お願いします。  どうもありがとうございました。
  32. 湯山勇

    湯山委員長 次に、池端清一君。
  33. 池端清一

    池端委員 最初に国土庁長官にお尋ねをしたいと思うのであります。  今回の有珠山噴火に伴う災害は、北海道関係十三市町村の農林漁業、中小企業、観光産業、そして一般住民に対して多大な被害を与えたわけであります。まさに壊滅的打撃と言っても言い過ぎではないと思うのであります。北海道庁が八月の二十八日現在でまとめた被害総額は二百七十二億円、このほかに商業やサービス業等で売上減少見込み額が八月の二十六日現在で五十八億五千万円、こういう状況であります。いまだ洞爺湖畔は、一応避難解除にはなりましたけれども交通規制がしかれておりまして、営業の再開は一体いつになるのか、そのめどすらつかないというのが今日の状況でございます。被害額は日を追うにつれてますます増大をする、こういう状況であります。長官はこの災害発生以来いち早く八月の十日、政府調査団の団長として現地に飛んで、被害状況をつぶさに視察してこられました。  まず最初にお尋ねをしたいのは、この被害状況を見て長官としてはどういう感想を持たれ、そして今後どのような有珠対策を進めていかなければならないという決意のほどをお持ちになったのか、その点をまずお尋ねをしたいと思うのであります。
  34. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど篠田先生にお答え申し上げましたとおり、政府といたしましては、この有珠山火山噴火について二回現地調査団を派遣いたしてございます。さらに、その結果を踏まえまして非常災害対策本部を設置いたしました。さらに、非常に緊急な対策あるいはまた今後なすべきもろもろの施策を関係の閣僚会議を開きまして御了解をいただいた上、さらに関係省庁に積極的な対策を講ずるよう要請をいたしてあるわけでございます。  私は十日の日に現地へ参りました。伊達市、虻田町、さらに壮瞥町をごく早い時間でございましたけれども積極的に調査をいたしてまいりましたが、特に先ほども問題にございました洞爺湖温泉町の被害というものは非常に大きいのでございます。降灰あるいは火山れきが五十センチ以上も堆積しているという状況を見まして、また、本来ならばあの季節は洞爺湖温泉街がもう観光客でいっぱいな季節なのに全くお客さんがいない、死の町となっている状況を見まして、本当に予想以上の被害であるということを感じてまいったわけでございます。  そこで私たちとしましては、まず有珠山の火山の監視観測体制をやはり一本化した強力なものにしていかなければならないという観点から、大学側あるいは科学技術庁、国土地理院が一体になって観測体制の強化を図ったのでございます。  さらに水その他生活必需品が遅滞のないようにという対策をも講じてまいりました。また、当時は学生、生徒がちょうど夏休み中でございましたが、その後いずれも九月に入りますと夏休みが終わりますものですから、それに対する対策等十分検討してまいりました。  さらに、先ほど来各省庁からすでに答弁してございますように、農地災害だとかあるいは避難者に対する救援、救護対策だとか、あるいは中小商工業者に対する貸付制度だとか、あるいは制度資金のいわゆる償還の期限の猶予等、もろもろの対策を進めているわけでございます。  今後考えられるのは、今回は幸いにして人的被害がございませんけれども、今後さらに火山噴火があった場合に人的被害があっては大変でございますので、火山の監視観測体制をさらに継続して進めていくということ、さらには天災融資法あるいは局地激甚災指定等についての作業をできるだけ速やかに進めまして、地域住民におこたえしてまいらなければならない、かように考えているような次第でございます。
  35. 池端清一

    池端委員 去る九月十日に虻田町の洞爺湖畔で生活危機突破町民大会が三千名の町民を結集して開かれたわけでございます。そこで訴えられたことは、あすからの営農を一体どうするのか、商売をどうするのか、この火山れき等で失った自動車の損失あるいはまたマイホーム、こういうものの救済を一体どうしてくれるのか、切々たる訴えが出されたわけであります。  いま長官はいろいろな対策を進めてきておるというお話をしておりますけれども、しかしその対策状況は遅々として進まない、本当に隔靴掻痒の感があるというのが地元の偽らざる気持ちであると言っても私は言い過ぎではないと思うのであります。  今度の質問をするに当たって、その後政府がどういう対策を進めてきたのかひとつ資料を出してほしいということで国土庁に資料の提出を求めました。そして出てきたのが、八月十六日に関係閣僚会議で出された資料であります。その後第二回目の関係閣僚会議が開かれておらぬ、だからまだ十分まとまったものは出せない、こういうお話であります。八月十六日の関係閣僚会議からすでに一カ月近くたっておるのにまだ二回目の閣僚会議も開かれていないということは、本当に政府としてこの問題に真剣に対応しているのか、こういう疑問も抱かざるを得ないというのが私の気持をでございます。いろいろ政府からも調査団が行く、そして地元に対しては金は惜しみなく使え、いろいろ必要なものは使えということは言ってくれる、非常に結構な話でありますが、しかし実際実務的に進めてまいりますと、制度の壁があって、なかなかそれが実効が上がっていない、こういう状況なわけであります。  第二回目の政府調査団の団長として行かれた佐藤守良政務次官は北海道新聞のインタビューに答えて、今度の災害については全額国庫負担の方向で政府としては対処をしたい、こういうことを言い切っておるわけであります。この考え方については長官も変わりないのかどうか、改めてその決意のほどをお聞かせを願いたい、こう思うのであります。
  36. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お答えいたします。  御案内のように、有珠山噴火の活動は十三日で一応小康状態に入っておりますものの、依然として活動が継続されておる関係からして、なかなか査定作業を初めとして調査作業が思うに任せないのが現状なんでございます。ですが、私は一定限度を区切って、できるだけ早い機会に査定作業も他のいろいろな調査も早急に進めて、その結果でできるだけの災害対策作業を進めるようにということを強く関係省庁に要請をいたしているわけでございます。  佐藤政務次官が現地で全額国庫負担ですべきであるということをお話しになったといま承りましたが、そのような精神でこの問題に取り組んでいかなければ本当の意味での災害復旧にならないという意味での発言だろうと思いますので、そういう意味で私も同じだと思います。どうぞひとつ御協力のほどをお願い申し上げます。
  37. 池端清一

    池端委員 北海道庁は先般、この九月に入ってからようやく遅まきながらではございますが、現地対策事務所といいますか連絡事務所を設けて、いま常駐体制をとっております。私は、やはり政府としても、国土庁の責任者を長として関係各省庁から責任者が現地に常駐をして、いま災害復旧に懸命に取り組んでいる町民を激励し、そうして指導をし、いろいろ国と地元とのパイプ役を果たすということが必要ではないかと思うのであります。きょうは地元虻田町の岡村町長もここにお見えでございますが、いまはネコの手も借りたいほどです。中央陣情をする余裕は実はないわけであります。むしろ国が積極的に地元に行っていろいろめんどうを見るという、そういう姿勢が今日必要ではないか、このように考えますが、長官どのようにお考えでしょうか。
  38. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お話しのとおりでございます。ですから私たちは、私が第一回目に調査団長として現地に出向き、その後佐藤政務次官を具体的な施策の基本をつくるために出したわけでございます。さらに四柳審議官を当災害対策委員会の視察団が現地においでになる際まで現地に置いておきました。今後も四柳審議官を軸として、できるだけ国土庁現地へ参りまして、ただいま先生御指摘のような措置を講じてまいりたいと考えております。
  39. 池端清一

    池端委員 それでは気象庁に観測体制の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  有珠の噴火以来、火山噴火予知連絡会は有珠山総合観測班を現地に置いて、十七カ所の地点において現在観測が行われております。この観測に当たっておる関係の皆さん方の日夜の御労苦に対して心から敬意と感謝を表する次第であります。  そこでお尋ねをしたいことは、八月十四日以来噴火はございません。しかしなお地震が続いているという状況であります。大有珠のふもとのオガリ山は新オガリ山の出現を思わせるように一日九十センチ前後のスピードで隆起が続いているわけであります。一体これからどうなるのか、また再度噴火の危険にさらされるのかどうか、この辺が地元住民としては一番関心の深いところでございます。  いろいろ観測班から統一見解というようなものも出されておりますけれども、どうもこの住民の素朴な、そして切実な疑問にこたえるようなものになっておらぬというようなのが実情のようでございますので、ひとつ今後の有珠山の問題についての見通し、これは非常に科学的、学問的なことでありまして、なかなかむずかしい問題であることは承知をしておりますけれども、ひとつ見通し等について、明らかであればお示しを願いたい、こう思うのであります。
  40. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  まず最初に、有珠火山の噴火の今後の動向でございますが、御承知のとおりまだ火山噴火予知ということは確立した技術ではございません。しかしながら、私どもは現在私どもの持っております。最大の技術を傾けまして、できるだけ防災にお役に立つような将来に対する見通しは申し上げるようにしております。  ただいま御指摘の現地の総合観測班のいままでの観測結果等を総合いたしますと、八月十四日以来、噴火こそ休止しておりますけれども、地震は相変わらず活動しておりますし、また有珠山外輪山内部あるいは最近はそれがやや外へにじみ出たようでございますが、土地の変動、地殻変動か激しゅうございます。こういった事実を踏まえます。と、やはり地下におきましては溶岩の活動がいまだに休止しておらないと判断せざるを得ないわけでございます。  このような状況でございますので、いわゆる噴火は必ずしもないかもしれませんけれども、地震、地殻変動を含んだ広い意味での火山活動は、明治あるいは昭和の前例を踏まえましても、やや長期化すると私どもは考えております。したがいまして、観測体制もこれに見合うべく十分の努力をする所存でございます。
  41. 池端清一

    池端委員 現在、日本で噴火のおそれのある活火山は六十七カ所。気象庁はこれを噴火の頻度や規模などで総合評価をしてA、B、Cの三クラスに分類をしておるようでありますが、A級とB級の一部を常時観測体制をとっている、このように承っているわけであります。A級は浅間、三原、阿蘇、桜島の四つの山、十八あるB級で常時観測をしているのはわずかに十二、しかも常時観測といっても地震計がたったの一つ、こういう状況であります。A級の浅間山などでは感度五千倍のもの三台を含めて七台、片っ方B級では一つ、しかも有珠の場合は室蘭地方気象台に一台の地震計、有珠の火山活動というのは有史以来たびたび行われておりまして、記録に残っているだけでもすでに六回、今回が七回目であります。すでに北大の、今回の観測にも当たっております横山教授や勝井教授が道の防災会議の委嘱で昭和四十八年に「有珠山」というレポートをまとめておりますけれども、この中でも、噴火の周期は三十年ないし五十年である、これは十分注意をしていかなければならないという提言もあるわけでありますけれども、今度の有珠対策についてはそういう事前の観測体制が非常に不備であったのではないか、私はこういう考えを持つものでございます。特に科学者の間では、この有珠というのは噴火形態が突然軽石の雨を飛散させる爆発的なものだ、だからB級にランクすることはおかしい、むしろA級として常時三点観測を行わなければならないというような指摘をしている学者もあるわけであります。そういう意味で観測体制は私はきわめて不備ではなかったかと思うのでありますが、これについて気象庁の見解はどうでしょうか。
  42. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  まず最初に、先生御指摘のA級、B級、C級という区分けでございますが、これは大分以前に、日本の火山に関する監視体制が発足する当時、何らかの基準を設けなければいけない、またこれを皆様に御説明しなければいけないということで、非公式にそのようなA、B、Cの区別をいたしたことがございますが、その後最近、各地にございます火山の周辺の状況が観光開発等のために非常に大きく変わりまして、必ずしも昔設けた基準どおりにはいかなくなってきておりますので、私どもは実際それぞれの火山の現状に合わせ、またその火山の性質に合わせた観測体制をしくべく努力中でございます。  なお、御指摘の有珠についてでございますが、この火山は確かに過去の歴史を見ますと、三十年あるいは四十年で活動を開始しておりますが、ふだんはきわめて静かな山でございまして、火山性地震もほとんどないわけでございます。しかしながら噴火の前には火山性地震が前駆する、まず最初に起こるという性質がございますので、まずこの火山性地震の起こったきっかけをつかむ、これが大変大事でございます。このためには、必ずしも複数、二点、三点あるいは四点の観測点がございませんでも、一点で、そのかわり夜も昼も目をさらのようにして見張っておるということがむしろ大事でございます。こうして火山性地震発生のきっかけをつかみましたならば直ちにおっしゃったとおりの多点観測を展開する。このために私どもは機動観測班、一種の遊撃隊でございますが、これが今回も直ちに現場に駆けつけまして、噴火前から大変質のよくなりました観測を始めたわけでございます。  こういうわけでございまして、またふだんも年に数回この火山の周囲数点で現地観測を実施しておりますので、必ずしも十分ということは言い切る自信はございませんけれども、有珠の火山の性質に合った観測は私どもしてきたつもりでございますし、また、それがあったからこそ事前の火山情報等も幾つかお出しいたしましたし、ケーブルをとめるとかあるいは花火大会の場所を移す等の、地元の大変御賢明な御決断もこの辺から出たものと思っております。
  43. 池端清一

    池端委員 今後とも十分に対処していきたいという、そういう御答弁に尽きるようでございます。が、来年度の気象庁の予算要求を見ますと、地震予知計画については七億円の要求をしておる。ところが一方火山噴火の予知計画はたったの七千三百万円でございます。地震に対する比率は十分の一ですね。これで本当に十分なんだろうか。私どもは今度の災害は異常重大災害だと言っております。確かに異常であります。その被害状況からいっても何からいっても異常であります。しかし火山列島日本の中でむしろ起こるべくして起こったのではないか。むしろ暁常という言葉を使うこと自体がおかしいようにも思われる。必ずしも異常突発なものだというふうな認識に立つべきではないのではないかというふうに私は思うわけであります。寺田寅彦博士は、災害は忘れたころにやってくる、こう言っておりますが、私は、そうではなくて、災害は忘れずに必ずやってくる、こういう立場で常時観測体制を強化していかなければならない、こういうふうに思うのであります。  八月の六日、七日の両日、昭和新山の火祭りが行われる予定だった。六日は行われた。もしこれが七日行われておってこの爆発に直面したならば大変な人身事故が起きたであろう、慄然たる思いがするわけであります。そういう意味で、気象庁として今日までの噴火予知観測体制についてさらに一層これを強めていくお考えがあるのかないのか、その辺を明らかにしていただきたいと思うのです。
  44. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  ただいまの予算面での御指摘でございますが、これは前年度、前々年度におきましてただいま御紹介いたしました機動班の大がかりな更新をさせていただきましたし、また今年度は新しく草津白根に常時観測設備をつけさせていただきました。こういったことがございましたために、いわゆる数字の面では来年度は御指摘のとおりやや低目の数字が出ておると存じますが、これは決して私どもに噴火予知に対する熱意がないわけではございませんで、噴火予知連絡会等の御活動あるいは文部省の測地学審議会からの御建議その他を踏まえまして今後ともできるだけ努力は続けていく所存でございます。
  45. 池端清一

    池端委員 次に、先ほどの篠田委員の御質問とも重複はしますけれども、農林省天災融資法発動の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  先ほどのお話では、八月三十一日に発動することを内定して、九月中の作物の生育あるいは再噴火状況を見た上でしかるべく早急に発動したい、こういうような答弁とお伺いしたわけでありますが、この天災融資法早期発動関係市町村は一日千秋の思いで待ち焦がれているわけであります。もう少し早期に、今月中にもこの問題について実質的な発動ができないものかどうか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
  46. 犬伏孝治

    犬伏説明員 お答えいたします。  天災融資法発動方針につきましては、ただいま御質問の中でお話があったとおりでございます。今次の有珠山噴火によります農作物等被害の実情につきましては、農林省の統計情報事務所を動員いたしまして被害発生直後からその被害状況把握に努めてまいりまして、これを八月三十一日、八月十四日以降噴火がございませんので、十三日現在の被災のもとでどのような被害であるかということで発表をいたしました。農作物等被害は水産物、林産物の被害を加えまして全体でおおむね六十億でございます。そこで同日、天災融資法発動する方針であるということを公表いたしまして、直ちに各省と協議を始め、現在協議中でございます。  発動の時期につきましては、私どもとしてはできるだけ早期発動したいという気持ちでございますが、御案内のような火山活動の状況がございまして、再度被害発生した場合さらにそれを加えてやる必要があるということ、しかしながら、そういう不安定な、未確定な状況でいつまでもこれを延ばすわけにはまいらない、そこで作物の生育状況を見まして、ことしの作物の状況がこの時点になればもう被害が再度発生しても大きな影響はないという時点をつかまえまして、その時点で正規に発動するということを考えておるわけでございます。  ただいまのところ道庁等と打ち合わせをいたしておりますが、ことしの秋の農作物生育状況から見て、この時点であれば再度被害発生しても被害状況に大きな変動はない、その時期としてはおおむね九月末ということで考えております。その時点までに資金需要等を掌握いたしまして、災害融資枠の額の内定等をいたしまして、十月に入りまして、これも十月末と言わずできるだけ早い時期に正規に発動をいたしたい、天災融資法に基づく政令を閣議決定する手続をとるわけでございますが、その閣議決定の時期をできるだけ早くいたしたいというふうに存じております。  その間、先ほどもお答え申し上げましたが、資金的な手当てが必要である農家につきましてはつなぎ融資措置を講ずるよう北海道に対して指導をいたしております。幸い、農協系統金融機関におきましてもそのような措置の必要性を痛感されまして、系統融資を農家の資金需要に応じて、しかもその必要な時期に貸し付けができるよう措置を講ずるということで、そのような措置が現在とられておる次第でございます。
  47. 池端清一

    池端委員 ともかくいろいろな対策をとって、時期を失せず迅速に対応してもらいたい。地元住民はいまかいまかと首を長くして待っておるわけでありますから、やはりそれにこたえるための誠意ある態度というものをひとつ示していただきたい。十月早急にやるということでありますので、あえてこれ以上追及いたしませんけれども、ひと  つ早急な措置をお願いしたいと思うのであります。  次に、自作農維持資金の特例貸し付け限度額の設定の問題であります。現行の制度では、個人は百万円、法人は五百万円になっておりますけれども、過去の災害状況を見ますと、その災害の都度特別限度額が設定されておるようであります。昨年の北海道あるいは東北の冷害でも百万円の上乗せという特例の措置が講ぜられたわけでありますが、今回も当然この自作農維持資金の特例の措置が講ぜられるものと理解をいたしております。が、その点についてひとつ具体的にお答えを願いたいと思います。
  48. 佐藤太洋

    佐藤説明員 お答えいたします。  有珠山噴火による被害農業者に対します自作農維持資金貸し付け限度の引き上げにつきましては、天災融資法によります融通との関連を考慮しながら、被災農家の借入金残高、被害の程度、資金需要額等の実態を踏まえた上で、実情に即した対処をしてまいりたいと考えております。
  49. 池端清一

    池端委員 その答弁は何ですか。そういう答弁で国会答弁だというふうに言われるのはまことに心外ですね。災害が起きてからもう一カ月もたっておるわけですよ。この問題は事務次官通達でやれる問題でしょう。あるいはまた農林漁業金融公庫の貸し付け基準、これを決めれば済む問題でしょう。もう少し誠意ある具体的な回答をしてくださいよ。
  50. 佐藤太洋

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘のありましたように、自作農維持資金限度額につきましては通達の改正でできるわけですが、資金需要につきましては天災融資法によります資金需要との関連を十分考慮しながら決めなければならない問題でございますので、天災融資法発動の時期におきまして維持資金限度につきまして、また融資枠につきましても決める方針でございまして、現在その資金需要等の実態を調査しておる段階でございます。
  51. 池端清一

    池端委員 自作農維持資金というものの限度額を設定するのは、天災融資法発動がなければならない、それが前提になるということですか。私はそのようには承知をしていないわけですよ。いろいろな沖縄の災害、青森の災害融資法が発動されなくても、この限度額は設定をされているわけです。仮に天災融資法との関連があったとしても、すでに長官や農林省から言われているように、発動することは内定だ、決まっているんだ、時期をいつにするかが問題だ、こういうことであれば、きょうあたりもう具体的な答弁ができる、幾らの金額を上乗せをいたしますとできてしかるべきものだと思うのですよ。その点はどうですか。
  52. 佐藤太洋

    佐藤説明員 今次災害の性格を被害の程度から見まして、われわれとしましては自作農維持資金限度の引き上げをしたい、こういう方針でいろいろ作業をしておるわけでございますが、その引き上げの額、程度につきましては、これはやはり天災資金によります資金枠との関連もありますので、その時期に決定をいたしたい、こういうぐあいに考えております。
  53. 池端清一

    池端委員 時間もありませんので、これ以上あれですが、どうもそういう態度がやはり地元に敏感に反映をしておって、政府は一体本当にやってくれるのか、前向きの姿勢で取り組んでくれているのかという疑問になってはね返ってくるわけです。そういう態度ではなしに、本当に前向きでこの問題に対処してもらいたいということを強く要望をしておきます。  次に、農地災害復旧の問題でございますが、いまさら申し上げるまでもなく、有珠山周辺の市町村北海道の湘南地帯と言われるように北海道でも肥沃な土地でございます。有数な農業地帯でございます。ここが今度の降灰によって壊滅的な打撃を受けた。降灰を受けた農地は約一万六千ヘクタール、このうち農地の灰を取り除かなければならないというのが約八千ヘクタールあるわけでございます。その中でも十五センチ以上が約七百ヘクタール、残りがほぼ十センチ以下、こういうような状況でございます。御承知のように雨がありましたので、この灰はコンクリート状に固まっております。このコンクリート状に固まった灰を除去するということは容易なことではない、そういうふうに考えるわけであります。  そこで、具体的に三点ほどお尋ねをしたいわけでありますが、現在農地災害復旧事業はどのように進んでおるのか。ことしの秋の秋まき小麦に間に合うのか、来年の営農に果たして間に合うような農地復旧事業が行われているのかどうか、こういうことが一つ。  二つ目は、この農地災害復旧事業を、現金収入の道を断たれた農民の方々の生活資金を得る手段として、救農土木事業として位置づけて実施することはどうかという問題。  三点目は、この農地災害復旧事業を全額国庫負担で実施をしてもらいたい。これは道庁初め関係市町村からも強く要望されている事項で、皆さん方もすでにお聞き及びのところだと思うのでありますが、この三点についてどういう見解をお持ちなのかお答えを願いたいと思うのであります。
  54. 善木正敏

    善木説明員 まず、どのように進んでおるかということでございますが、降灰によります農地復旧につきましては、八月十五日から現地におきましてこの復旧方針あるいは復旧工法、こういうものの指導を行ったわけでございます。これはやはりいろいろとむずかしい問題がございますので、道あるいは農民の方々とそういうふうな工法について検討をいたしまして、この検討結果に基づきまして、八月二十三日から緊急査定実施しておるわけでございます。この査定完了次第復旧工事着手するように指導をしておりまして、すでに牧草等につきましては秋作に支障のないよう八月二十五日から復旧工事着手をしておるわけでございます。  なお、今後の予定でございますが、本年の降雪期までに秋作をやりたい、間に合わせてもらいたいというようなところにつきましては大半実施いたしまして、さらに来春の五月中には作付支障のないよう完了するということを目途といたしまして現在鋭意早期復旧に努めるよう指導しておるところでございます。  それから現金収入の道ということで救農土木的な対応ができないかというお話でございますが、私の方は、農地農業用施設その他の災害復旧事業の実施に当たりましては、極力被災農民の労力の導入につきまして留意をいたしまして、現金収入の方途が開かれるように指導しておるわけでございます。具体的に申し上げますと、たとえば農民の方々農業機械を持っておられるということでございますので、機械と労務とを提供をしていただくというような形の中で復旧工事実施するというようなことで、現在そのような方向で指導をし、あるいは実施もしておるというような状況でございます。  それから負担の問題でございますけれども、農地農業用施設災害復旧につきましては、御承知のように農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、俗に暫定法と申しておりますが、これに基づきまして農家の費用負担能力、そういうものを十分勘案した国庫補助制度があるわけでございます。補助率につきましては、市町村ごとの一年間の被害農家一戸当たりの事業費が大きいほどこの補助率のかさ上げを行う、そういうような仕組みになっておるわけでございます。五十一年の災害で見てみますと、集中豪雨がございまして、そういうような被害があったわけでございますが、農地災害につきまして全国の平均補助率を見ますと、九〇%を上回るというような非常に高い補助率に達しておるわけでございます。こういうように、災害復旧事業につきましては、一般の土地改良に比べますと大幅な地元負担の軽減が図られておるというようなことでございます。
  55. 池端清一

    池端委員 まだ非常に多くの問題がございます。が、時間も限られておりますので、後ほど同僚の島田議員からお尋ねをいたすことにいたします。  次に、漁業被害対策でございますが、伊達から虻田、豊浦へと続く噴火湾は、わが国でも有数のホタテ養殖漁場でございます。ところが、今度の降灰によって海は汚れ、灰色に染まってしまいました。成貝はいまのところ余り影響は見られないというような報告でございますが、稚貝が採取を予定しておったコンブから脱落して、約三億円の被害という状況であります。しかし、この漁業被害というのは、農業被害と違って直ちに被害状況が判明をするというものではなくて、これからまたさらに灰が海に流れ込むことによって被害が一層大きくなるというような性格のものだと思うわけであります。成貝についてもいまのところ被害はないと言われておりますけれども、えらに火山灰が付着をいたしますと、それが長期化して酸欠状態になるというふうにも言われておるわけであります。  そこで、今後の問題についてやはり十分な対策をとっていただきたいと思うのでありますが、関係市町村では、この養殖施設を沖出しをするというふうな必要が当然起こってくる、そのための費用が相当かかるので、これをひとつ災害補助としてやっていただきたいという要求が非常に強いわけでありますが、これについてはどういうふうにお考えになっておられるか、あるいはまた、農業と同じように漁業の近代化資金なり、あるいは資金融資枠の拡大なり償還期限の延長なり、これらの問題についても考えておられるのかどうか、この点もひとつあわせてお尋ねをしたいと思うのであります。
  56. 伊賀原弥一郎

    伊賀説明員 今回のホタテに関します被害につきましては、先生からお話がありましたように、成員とか半成員につきましてはまだはっきりいたしてない点がございますが、主として稚貝について被害発生しております。発生の態様は、お話がありましたように、一度ケシ粒のような状態から、ちょうどたばこの吸い口くらいの直径でございますけれども、そのくらいの直径まで育ちましたいわゆる種がコンブだとか網についているわけでございますけれども、そのついている種をそれぞれの養殖かごに入れまして育成するわけでございますけれども、その前の段階で脱落をいたしましたので、相当の被害が出たということでございます。  それで、御承知のように、養殖というのは相当期間が長うございますので、有珠の噴火によりまして相当多量の灰が出てまいりますと、今後被害が出てまいります。そういうことから、地元の方では養殖施設の沖出しだとかそういう話が出てまいっているようでございますけれども、目下のところまだ具体的な内容までなっていないようでございます。  御承知のように、ホタテの養殖につきましては、河川に比較的近いところの方が成長もよろしゅうございまして、沖にまいりますと、栄養分等が不足ということで成長が悪くなってまいります。皮肉なことに今回の災害は主として成長のいいような場所のホタテが被害を受けているという現象があるわけでございます。こういう一面において被害を避けるためには沖に出す必要がある、しかし、成長のことを考えますと近くの方がいいという二面性がございますので、そこら辺も十分検討する必要があるだろうと思います。具体的には、地元の段階で具体的な計画が出てまいりました場合には、制度資金等の措置もございますし、また、一部は補助事業でできる面もあるのではないかと思いますので、その内容を受けまして十分御相談をしていきたいと思います。  なお、先生からお話がありましたが、半成員、成員についても若干被害が出ておるという話を土曜日に聞いております。相当な額になっておるとも聞いておりますので、その内容を本日北海道庁から事務的に聴取いたすことにしております。そういう内容も受けまして検討いたしたいというぐあいに考えておる次第でございます。(島田委員「きょうこれからの問題じゃないよ。いま渋い貝があるから沖出ししたいと言っているのに、栄養の話じゃない」と呼ぶ)説明が申しおくれたのでございますが、ホタテ貝というのは夏に弱うございまして、主として七月から九月末までは、養殖管理上におきましても、貝を余り移動したり掃除したりということをいたしますと斃死貝が出てくるというぐあいに言っております。今回被害が出ましたのは、ちょうど一番暑い、貝の活力が弱まっている時期に灰が降ったということで被害が出たんだろうということでございまして、水産庁といたしましては、被害が起きました後、新たな——ただ灰による被害のほかに、人為的に移動したり掃除したり、そういうことをやりますと被害がさらにふえるという観点もございましたので、稚貝の採取については急いでやる必要があるけれども、成員等については水温の関係を十分考えて、できるだけ、言うなれば少しそっとしておくようにという指導をしているわけでございます。したがいまして、対策等についても、他の特に養殖の沖出し等に関します対策につきましても、現状においては少しおくれているという情勢にあるわけでございます。
  57. 池端清一

    池端委員 いろいろ細かい点、お尋ねをしたい点もございますが、与えられた時間も刻々と迫っておりますので、次の問題に進みたいと思います。  先ほど篠田委員からも御質問がありました中小商工業者の皆さん方に対する特別貸付制度の創設の問題について、中小企業庁にお尋ねをしたいと思うのであります。  特に洞爺湖温泉は、年間三百万人の観光客が訪れる北海道最大の観光地の一つでございます。人口五千二百人、年間の観光消費額は百五十億円、関連生活消費額は三十億円の観光都市であります。そして、この八月は観光の最盛期でありまして、売り上げの二五%を占めているという実態になっておったわけでありますが、今度の噴火以来、経済活動は全くとまって、事業所の閉鎖、あるいはまた、お聞きしますと、夜逃げ等いろいろ社会的、経済的なパニック状況がいま出ておるわけであります。先ほど中小企業庁からいろいろ今日までとってきた対策についてお話がございました。これを多とするものではございますが、しかし、現実問題としてはこれは焼け石に水的な措置でございます。この際、抜本的な対策を樹立して中小商工業者を救済しなければ、あの虻田、そして洞爺の町は全く死滅すると言っても言い過ぎではないと思うのであります。したがって、有珠山噴火倒産防止資金といったようなものをこの際創設をして、思い切って十年据え置き、二十年償還といったような長期低利融資措置をぜひ講じていただきたい、このように思うわけでございます。その返済に当たっても、被災地では被災民の人たちが一体となって協同組合を組織して、連帯して責任を負っていこうという決意まで示しておるわけでありますので、従来の制度なり枠に拘束されることなしにこのような抜本的な対策を樹立する考えをお持ちでないかどうか、その点をひとつお尋ねをしたいと思うのであります。
  58. 松尾成美

    ○松尾説明員 商工業の金融問題についてのお尋ねでございますが、これまでに講じた措置といたしましては、もう詳説は避けますが、現地で相談がありました結果、これまでに十八億超の融資をしております。しかし、もとよりこれだけで十分だと考えておるわけではございません。私どももこれを激甚災害指定というようなことができないかということをいろいろ検討したわけでございますが、私自身現地へ行って実情を見てまいりましたけれども、こういう物が壊れたという状態、非常に特殊な災害であるということで、そういう方途は、検討したらなかなかむずかしかったわけでございますが、北海道庁で調べていただきます。と、売り上げの減少が、先生御指摘のとおりこの八月末で六十四億円、この地域の中小企業所得がちょうど二百六十九億円ぐらいでございますから、大変大きな金額でございます。そういうようなことがございまして、私どもといたしましては、この抜本策については積極的な姿勢で取り組みたいというふうに考えておりますが、ただ、これは私どもだけではございませんで、関係省庁と細目についてはいろいろ詰めなければならない点がございますので、これから早急に取り組みたいと考えております。
  59. 池端清一

    池端委員 その点はよろしくひとつ前向きで対処していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、二次災害の防止の問題でございます。噴火は確かに天災でありますが、この二次災害、再度災害ということになれば、これは人災になる、私はこう思うわけであります。二次災害防止は急がなければならないわけであります。北海道のプロジェクトチームが調査したところによっても、この危険地域は四十数カ所ある。しかし、今日、実際手がつけられているのは、これは私の理解が違っておったら訂正していただきたいと思うのでありますが、七カ所程度だというふうに聞いておるわけであります。現に、一昨日の降雨によって危険家屋と指定されていない家屋も、この泥流によって災害を受けている。しかし、その地域は全く何らの工事も行われていない、こういう状況でございます。これから秋、長雨が続くならばこれは大変なことになるのではないか、そういうことを深く憂慮するものでありますが、二次災害の防止、泥流対策について万全の措置を講じているのかどうか、その点は絶対住民に不安をかけないということを明確に言い切れるそういう対策がとられているのかどうか、その点をお伺いをしたいと思うのであります。
  60. 江藤素彦

    ○江藤説明員 お答え申し上げたいと思います。  有珠山の火山活動に伴いまするところの火山灰の降下によります林地荒廃、特に先生御指摘の下流域に影響を及ぼしますのは林地関係だろうと思いますが、林地荒廃被害額につきましては、現在のところ国有林、民有林を合わせまして七十六億五千五百万円というような額に達しておるわけでございます。林野庁といたしましては、災害発生後直ちに係官を派遣いたしまして、山地災害につきましての現地調査復旧対策指導を行ってきたわけでございます。  その結果、降雨等によりまして、林地に堆積しておりまする火山灰等が流出いたしまして、人家とか公共施設等に、先生御指摘のような二次災害を与えるおそれのあるような個所につきましては、治山事業といたしましては本年度につきまして谷どめ工とか土どめ工、削溝等を緊急治山事業によりまして実施してまいるわけでございます。が、特に今後の対策としましては、次年度以降治山激甚災害対策特別緊急事業ということで、特に進度を早めて引き続き実施をしてまいる予定でございます。  特に、御指摘のございました本年度実施いたしまする緊急治山事業につきまして申し上げます。と、この周辺の虻田町の二十四カ所を初めといたしまして壮瞥町、伊達市、洞爺村、豊浦町、こういったところにつきまして緊急治山事業として目下計画しておりますのは四十九カ所、額にいたしまして六億七千五百万円でございます。それでまた、このうち特に緊急を要しまする個所につきましては、すでに八月二十五日に工事着工を指示いたしまして現在実行中でございますが、この実行中の治山事業個所といたしましては、壮瞥町の二カ所、虻田町の三カ所、計五カ所でございまして、一億九百万円ということでございます。このほか、またさらに現地を精査いたしまして、早急に対処する必要のある個所につきましては、緊急治山事業を追加実施することも考えておりまして、先生御指摘の点につきまして万全を期してまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  61. 池端清一

    池端委員 次に、労働省にお尋ねをいたします。が、八月十六日の関係閣僚会議では、「今後検討を行うべき施策」として「被災離職者等に対する雇用安定対策実施」という項目が載っております。載っておりますが、一体具体的にどのような施策を行おうとしているのか。私は率直に申し上げて、労働省の対策が一番不十分であり、一番立ちおくれているというふうに思うわけであります。先ほど篠田委員からも質問がございましたように、ホテル従業員あるいは関連企業の従業員というのはほとんど季節的労務者でございます。この人たちの雇用不安、大きな問題があります。六カ月未満という方がたくさんいるわけであります。金額的にも財政的にも大きな負担はないわけでありますので、この際、特例措置として、六カ月未満であっても失業給付の受給資格が出るような措置を講ずべきではないか。これは八十通常国会でもいろいろ労働省ともやりました例の九十日復活の問題のときも、結局は九十日復活という措置がなされませんでしたが、冬季就労奨励金制度なり、あるいは通年雇用促進職業奨励金制度といったような制度を新たに設けて対応した。私どもは、これは必ずしも十分なものとは思っておりませんが、こういう措置等も検討されているわけでありますので、この問題についても現行制度にとらわれることなく対策の樹立、これが必要ではないかと思うのでありますが、どうでしょうか。
  62. 望月三郎

    ○望月説明員 先生の御心情はよくわかります。し、私もほとんど同感でございます。労働省といたしましても、災害発生後、十六日以降、相当の動きをしておりまして、現地に二名職員を常駐させまして、種々の対策をやっております。  ただ、先生御指摘の被保険者の受給資格要件の点でございますが、先ほども篠田先生に御答弁いたしましたように、一般被保険者につきましては、大部分の方が受給資格要件を持っておりますが、短期の、季節的な雇用者につきまして、おっしゃるとおり受給要件を欠いておるわけでございます。そこで私どもは、やはり一番いい方式としては、やはり六カ月期間あるいは季節につきましては四カ月二十二日の被保険者期間がやはり最低要件でございますので、それを満たすために事業主とよく話し合いをいたしまして、受給要件をともかく満たしてもらうということで強力に関係市町村の事業者と話し合いを持ってきたわけでございます。それで、皆様方には非常に了解をしていただけまして、事業主間の申し合わせというような形で、いまそういった方向で軌道に乗りつつございます。そういう状況でございますので、ぜひひとつ休業手当を支払うという方向で受給資格を取得できれば、一応保険関係としては問題はないのじゃないかというように考えております。  なお、休業手当支払いのためのお金の問題がございますので、その点につきましては今月早々、道でもっぱら休業手当を目的とした緊急融資ということで、十億円を市町村に預託するという措置がとられておりますので、これと金融機関との協調ということで融資がなされることになっております。御承知のように十日から受付を開始するというように聞いておりますので、そういった措置によって、ともかく十月までがんばるということで対処していきたいと思います。  なお、離職者につきましては十数名出ておりますが、この方々に対しましても職業相談等を現地の常駐の職員をもって当たらせておる次第でございます。
  63. 池端清一

    池端委員 私は全く了解するわけにはまいりません。すべて道や市町村措置に国がおんぶしている、こういう状況ではないか、こう思うのであります。したがってこの問題については改めて別途機会を設けてやりたい、こう思います。  最後に、長官にお尋ねをするのでありますが、先ほど局地激甚災害の指定の問題、従前の例によりますと年度末、二月ごろに指定になるという状況だというお話であります。これではいかにも私は遅いと思うのであります。確かにいろいろ被害の実態その他調査等もあると思うのであります。が、やはりこれらの措置は早急にとっていただかなければならないと思うのであります。二月と言わないで年内にも指定する、こういうお考えはありませんか、どうでしょう。
  64. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、従来は年末に計数を整理いたしまして、その結果二月ごろ大体指定しているというのが現実なんでございますけれども、私たちといたしましてはこの災害の特殊性にかんがみて、先生御指摘のようにできるだけ早く作業を進めて御期待に沿うように努力をいたしたいと考えます。
  65. 池端清一

    池端委員 最後でございます。  ただいま各省からいろいろ御答弁がございました。それなりにいろいろ対応していただいておることは私はわかるわけであります。しかし、いろいろ詰めてまいりますと最後は制度という壁にぶち当たって、どうもそれ以上は進展しないというのが今日の状況でございます。現行災害対策関係の法律もいろいろございますが、どうも一噴火、爆発というようなものを念頭に置いた法律にほとんどがなっておらない。たとえば天災融資法にいたしましてもその一条で、「暴風雨、豪雨、地震、暴風浪、高潮、降雪、降霜、低温又は降ひょう等の」災害云々となっておりまし工降灰あるいは噴火というような条文は見当たらないわけであります。  こういうようにやはり現行法体系、いかに弾力的に運用しようと思ってもおのずとやはり限界が出てくるわけでございます。昭和三十四年の伊勢湾台風の際に特別立法の措置が講ぜられたという経緯もございます。したがってこの際、有珠災害復旧特別臨時措置法といったような特別立法をもってこの災害復旧あるいは被災民の救援に当たるということがぜひ必要ではないか、特別立法の措置を講ずることがぜひ必要ではないか、こういうふうに思うわけでありますが、長官のこれに対する御見解を承って質問を終わりたいと思います。
  66. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 御指摘のように、有珠山のこの噴火につきましては、異常な災害でございますので、私たちといたしましても全能力を傾けて復旧努力をいたしておるのでございます。そこで、先生御指摘のように、災害復旧に当たって制度的な制約を受けるものでございますから、それなりにこの復旧がおくれているのが現状でございます。ですから私たちは、災害対策基本法なり活火山法等をできるだけ適用いたしまして、それで救えるものはできるだけ救ってみたい、その努力をいま積み上げているわけでございまして、最終的にどうしてもこれ以上積み上げることができないという時点になりますならば、やはり特別立法等の措置も考えてまいらなければならないであろうということは私たちも十分考慮していま進めている段階でございます。  なお、特別立法等につきましては、当委員会ともいろいろ連絡をとりながら進めてまいらなければならないと思いますので、その折にはどうぞよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
  67. 池端清一

    池端委員 終わります。
  68. 湯山勇

    湯山委員長 次、島田琢郎君。
  69. 島田琢郎

    島田委員 限られた時間でございますから、全部をお尋ねすることができません。しかし、いま池端委員の質問の部分で、農林水産にかかわります大事な点をもう少し詰めておきたい、こう思って質問に立ちました。  まず冒頭、今次災害によりまして大きな被害を受けられた関係住民の皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、鋭意災害復旧のために努力をしております政府関係者の御苦労を多といたしますが、私は先ほどの質問を聞いておりまして、どうもまだ全体明らかになっていない部分があるように思います。  まず、農地関係についてお尋ねをしますが、被害面積は幾らか、その額は想定上一体幾らぐらいになるか、それから復旧を要する面積は幾らか、そのうち査定されている面積は幾らか、すでに工事が進んでいる、先月の二十五日以降鋭意復旧作業に取り組んでいるという説明でありましたから、すでに工事が進んでいる面積は幾らか、この辺のところをまずお尋ねをします。
  70. 善木正敏

    善木説明員 九月一日現在で道からの報告によりますと、農地関係の被災個所四百カ所、面積にいたしまして七千百八ヘクタールという報告を受けております。  それから現在までに査定を終わっておる面積は、これは十二日からさらに入っておりますのでその分は別といたしまして千二百二十四ヘクタール、緊急査定を終わっております。  九月八日現在で農地復旧面積、道からの報告によりますと二百四十ヘクタールというような報告を受けております。
  71. 島田琢郎

    島田委員 現地被害を受けられました農家の皆さんは、いま来年の営農に向けて、本当にいまのような復旧の進度で果たして間に合うんだろうか、大丈夫か、こういう心配があると思います。もう一つは、いろいろな政府側の対応の中でも、せっかく仕立ててくれたバスも、実際にはまだ乗り切れないで戸惑っている方もおると思います。それは、一体乗ったバスがどういう目的地に向かって走り出すのか、あるいは一体料金は幾らなのか、この辺のところがはっきりしなければ、乗れと言っても、これは乗り切れないのが現地の農民の心情だと思うのです。何でもかんでも災害復旧すればよろしいということにはこれは相ならない。こういうところが大変現地ではお困りになっている点ではないかと思うのですが、その辺が私も現在まで説明を受けている段階ではまだすっきり釈然としておらぬ、この辺はどうですか。
  72. 善木正敏

    善木説明員 私の方といたしましては、先ほど御説明いたしましたように、十五日から現地に入りましていろいろ工法等の検討あるいは農民の方々といろいろ話し合いをいたしまして、どういう方法復旧すれば一番経済的な最も合理的な対応ができるかというようなことで指導に入ったわけでございます。二十三日から緊急査定に入っております。したがいまして、現在査定をしておる段階でございますので、いまお話のような件につきましては査定がある程度進んだ段階でいろいろと対応していかなければならない、こういうふうに思っております。  なぜ私の方でそういうような問題を全部検討しないでやったかと申しますと、御承知のように救農土木というようなお話がございますので、まず入って復旧をする、そういう中でいろいろと問題を煮詰めていく、こういうことが必要であろうということで現在まで対応をいたしておりますので、御指摘のような点につきましては今後十分検討しあるいは道、市町村あるいは農民の方と話し合いをしながらやっていきたい、かように考えております。
  73. 島田琢郎

    島田委員 長官にお尋ねをするのですが、国土の上からいえば被害を受けた個所についてはこれを早急に原状に復旧をしていく。これは当面非常に重要なことなのであります。ところがそこで営農する農家の考え方とは必ずしも一致しない場合があります。というのは農業経営は経済行為でありますから法外もない、とてつもない経費をかけてもとの形に復帰してそれがしょい切れない負債になって残っていくというような結果になりますれば、そこで農業経営を成り立たしめようと考えてもできない相談になってしまう。さっき池端委員からしつこく国としては国土なんですから全額国庫負担で復旧をおやりになるという構えでおられるのでしょうねと尋ねているのはその辺なんです。私のいま質問しようとする趣旨も——従来私どもは基盤整備にかかわります国土の改善というのは、受益者負担というのはおかしいという立場に立って論陣を張ってきた私はその一人であります。ましてや災害を受けたというのは大変なことですし、当然国が全部責任を持つというのはあたりまえのことなんです。そういう点でともかく災害復旧は国の責任でやるからあと来年以降の営農については意欲を持ってやってもらいたい、こういう姿勢が明確に打ち出されてくれば私は何も心配がない。この点についてはずいぶん関係方面に、私も党としてもそういう趣旨の主張をしながら要請を繰り返しているのでありますが、なかなか明確になってこない。いまの防災課長説明でも鋭意その方向で努力をするとは言うけれども、いままでの災害復旧の事例からいえば必ずしもそうはなっていなくて、そのために将来の営農が困難になって離農せざるを得ないという人も間々起こっているというのが現状なんです。国土を所管される長官としてこの辺ひとつ十分御認識を持っていただいて、農地復旧という問題については私が主張するような方向でひとつ鋭意取り組みを願いたいと私は思うのですが、いかがですか。
  74. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど農林省の係の方から御説明がありましたとおり、営農についてはやはり秋作についても希望するものについてはできるだけその復旧を急ぐ、さらに春作の五月ごろまでにはできるだけ農地復旧作業を急いでまいりたいということがすでに当面してございます。  ただ先生御指摘の農地復旧についてのことでございますが、これは先ほども農林省から説明がありましたとおり、暫定措置法によりますと大体九〇%以上国が援助をしている状況にあるわけでございますから全額とは申し上げられませんけれども、ややそれに近い段階でこれまでの災害では進められているわけでございますので、私たちは先生のただいまのこの御意見を尊重しながら暫定措置法を基本にして十分配慮してまいりたい、こう申し上げたいのでございます。
  75. 島田琢郎

    島田委員 私は通常の基盤整備事業というのはそれなりに——それでも私は一〇〇%国が持つべきだという主張ですけれども、しかしそれはいまの農地よりさらによくするという点がありますから、その点についての営農メリットがありますので、応分の負担をというのは現状やむを得ない面があるということを私は理解しながらきたのです。しかし災害なんというのはもとの形に復旧してあたりまえなんでありますから、一%だって二%だって負担させるなんという筋合いのものではないと私は思うのです。九〇%以上は国が負担しているのですからまあまあというふうなお考えでは私は承服できないのです。ともかく原状に復旧をしてもらうという点については、これはもう農家に負担させるなんということをこれからの制度の上で改善しなければならないとすれば、私どもは法律的にそれを取り扱ってでも直すべきだ、こういうふうに思うのです。  さらに査定基準がなかなか厳しい。先ほど長官は制度ですからいろいろと枠もございましてということを言っておりました。制度としてつくれば一つの枠があってその枠内でやらなければならぬということになるわけですけれども、それにしても査定をする場合の基準というのは厳し過ぎるという声が現地から強く上がっているのです。私が前段で申し上げた全部国が責任を持つべきだという精神に立つならば、基準の上で厳しく査定をしていくというのはおかしな話ではないかと思うのです。その点については現状に即して直していくあるいは合うように運用していく、こういう説明がなされていますけれども、現実にはなかなかそうなっておらぬ。  さらに次の点は、局地激甚災指定基準という問題の中でも言えることなんですけれども、この基準、つまり市町村内の農地復旧事業の査定事業費が市町村の当該年度の農業所得推定額の一〇%を超える市町村が一以上ある災害、こういうような基準がございます。つまり今回の場合は被害町村は八つあるわけでありますけれども、被害基準に合致しない町村が出る、こういうことも起こっているわけであります。こういう点も採択をしてやっていくという構えに立つのかどうか、そこが私が言っている査定基準を厳しくするなんということではなくて、やはり災害は全部国が責任を持つ、こういう精神に立つならばこういう基準を超えた部分についての採択も可能になる、こう思うのですが、その辺も長官の先ほどからお述べになっている精神、気持ちというものが現地に的確に生かされる、こういうことを私は期待したいのですが、いかがですか。
  76. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 災害のいろいろな度合いに応じて私たちは適切な復旧対策を考えてまいりたいと思いますので、先生御指摘のような精神で災害復旧に取り組んでまいりたい、かように考えます。  特に一番有珠山噴火で問題になるのはい洞爺湖温泉町の洞爺湖という国立公園そのものが失われたというこのことが私は一番大きいのじゃないかと思うのです。あそこに非常にきれいな湖があって周囲のきれいな自然があっていわゆるその観光資源を中心にしてあの町が形成されているわけでございますので、それが今回の噴火によって全くその景色なり美なりというものが失われた段階で、これを単に水をきれいにするとか単に山の降灰をなくするというそういう個々の問題じゃなくして、あの自然全体をどう復旧するかという大きな国土開発の面、国土資源という面から言いますと非常に大きい問題をはらんでいるわけです。これを一体どう扱わなければならないか、どこの省で一体扱うのかというようなことなどを考えますと、総合的に国土全体をどういうように復旧しなければならないかということを考える場合に、やはり現行法で果たしてこれが可能なのかどうかというような問題もおのずと出てくるわけでございまして、そういうことも含めながら私たちはできるだけ積極的に復旧対策努力をしてまいりたい。制度的にいろいろ制約はございますけれども、もしその制度的なもので救えない場合は、先ほど池端先生にお答えいたしましたように、新しい角度でやはり制度等を見直していかなければならない場合も出てくると思います。そういう折には、やはり当委員会とも十分相談の上それらの政策を進めてまいりたい、かように考えておるのでございます。
  77. 島田琢郎

    島田委員 私の時間がもう来たそうでございますから、まだほとんど質問が煮詰まってもいないうちにやめなくちゃいけないのですけれども、いまの長官の御答弁で私は長官を信用して、誠意をもって当たる、こういうことでございますから、私はいろんなことを申し上げることは時間もありませんからやめますけれども、いま一つのことを申し上げただけなんですけれども、あとずらずら並べてみますと、反当限度額の問題だとか、これは農林省のサイドでやることなんですけれども、これを超える部分の取り扱いについては特例でもやらなかったらできないという部分もあったり、あるいは一地区十万円以上となっていますけれども、十万円以下のところについてはどうするんだという問題もありますし、また地力増進をしようという、地力をもとに戻すだけではなくて、戻すためにも、土壌の条件というのは非常に破壊されていますから、この際土壌改良資材なんかも入れたいと思っても、これは膨大に金がかかりますが、これは災害の対象にはならぬという問題もある。それから灰が一ミリ以上二センチ以下の堆積については除外規定になったり、あるいは二十度以上の斜度のきついところはこれも除外される、こういったような問題もございます。こういう点を考えますれば、しゃくし定規な制度とか基準とか言っておりますと、災害というものの復旧はおくれるばかりか、本当に悲惨な目に遭った現地の農民の期待を大きく裏切ってしまう、こういう結果になるということを私は指摘だけしておきたいと思うのです。  えさの問題についても言おうと思ったのです。が、何にも言えなくなってしまいました。  林野庁来ていますか。——これは犬伏さんの方の所管なのかどうかわからぬが、生活資金という問題が大変大きくなってきます。先ほども相当の金額を用意して、八、九、十ぐらいの期間の生活費はめんどうを見るように、こういうふうに道から生活資金が借り出されている、こういうふうなお話を承ったのでありますが、私は、当面生活をしていく上でこれは大変なんですし、これらについてもできるだけひとつみんなの期待にこたえて、来年以降営農が成り立つような、そういう勇気を持たしめるような、そういう温かい気持ちで生活のめんどうを見てあげてもらいたい、こういうように思います。  そこで、最後ですけれども、江藤さんにちょっと聞いておきたいのだけれども、森林国営保険という問題がございます。この採択基準、これもまた採択基準なんですけれども、これに灰が降ったとかというふうなこういう災害の条件というものがない。したがって、今度の有珠災害については除外される、こういうふうに言っておりますが、これは大変な金額になるわけでして、いまそのことは申し上げませんけれども、大変大きな金額になりますので、これは特例ででもおやりになる考えがあるのか、採択は全くできないという考え方に立つのか、この辺のところを一言だけ答えてもらって、私の質問を終わります。
  78. 森本泰次

    ○森本説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、森林国営保険法では人工林を対象にいたしまして、火災、気象災に限りまして損害をてん補する制度になっております。  そこで、今回の噴火によりますものが気象災に該当するかどうかという問題でございますが、気象災は国営保険法第二条によりまして詳細に「風害水害雪害干害凍害及潮害ニ限ル」このようになってございます。そこで、この気象災の中にただいま御指摘の点につきましては降雨に伴うものがございまして、それによる被害が大きいという私ども認識を持っておるわけでございますけれども、この気象災はただいま申し上げましたような事項でございまして、この中の雨によります水害、これを気象災と言い得るかどうか、こういう問題であろうかと存じますが、これにつきましては森林国営保険損害てん補要領によりまして、水害とは「降水又は出水による山くずれ、表面浸食、地すべり、土石流等の災害で保険目的の全部又は一部に次のような事故が発生」した場合これにてん補するということでございまして、具体的には根返りとか埋没とか流失の事故、このようになっているわけでございます。このような点からいたしましても、なかなかこれをてん補の対象とするということは困難な実情にございます。  以上でございます。
  79. 島田琢郎

    島田委員 除外するということですか。全然該当しませんということですか。
  80. 森本泰次

    ○森本説明員 該当しないということでございます。
  81. 島田琢郎

    島田委員 問題があるけれども、時間がなくなったから、これはまた別の機会にやります。  終わります。
  82. 湯山勇

    湯山委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  83. 湯山勇

    湯山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関する件について質疑を続けます。野村光雄君。
  84. 野村光雄

    野村委員 私は今回の有珠爆発の現地の一人といたしまして、ちょうど爆発のございました翌日から前後十数日間にわたりまして救援体制並びに現地調査等の活動をやってまいりました一人でございまして、そういう立場からただいまから国土庁長官を初め関係省庁にお尋ねをいたしたいと思います。  まず私は、午前中の質疑というものを通じましてずっと長官初め各関係省庁の皆さん方の御答弁をお聞きいたしておりますと、すでにこの大爆発が起きまして一カ月有余にわたりましたにもかかわりませず、いまだに検討をいたしますとか調査中でございますとか、こういう非常に現地の被災地の立場に立ってみますとまことにもって、一体何を対処してきたんだ、こう言いたくなるような率直な感じを受けたわけでございます。  そこで、私はまず第一に、こういう一朝有事の災害の場合に当然対処していかなければならない基本的な問題として、災害の実態というものをできるだけ速やかに正確に把握をするということがまず第一点であります。その被害を受けた住民に対する救済なり補償をどうするか、これが第二点だと思います。第三点に、その被害の実態に対して一日も早く原状復帰というものをしなければならない。第四点に、二度と再び同じような災害を繰り返してはならない。こういう順序を経た対応を当然私はおとりにならなければならないと思うのであります。  そういう立場の中から、私は現地に入っておりました一人として、まずこの基本的な四点を踏まえた中で非常に残念だと思っておりますことは、確かに今回の有珠山の爆発につきましては、長官みずから数日を出ずして現地へ飛んでお見えになりました。しかし、これは御存じのとおりわずか数時間現地にいただけでございます。大量な関係住民避難対策、救援対策、あらゆる問題が総合した中でこのような広範囲にわたる、しかも深刻なこういう災害に当たっては、国が直接現地対策本部を設けて、国土庁長官にかわる現地市町村長なりが被害の実態に即応しながら対応していく体制をとるべきでなかったのか、こう思います。けれども、いま振り返ってみて、この点に対して御反省していらっしゃるのかどうか、この点をまずお聞きしたいわけです。
  85. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま先生から災害に対する政府の態度として四つの問題の御指摘がございましたが、そのとおりでございまして、私たちはただいま先生御指摘のような姿勢でこの有珠山噴火について対処してまいっていると思っておるのでございます。  そこで先生ただいま御指摘の、国土庁現地に出向いて災害復旧の全責任をとる態度をとるべきではなかったろうかということでございますが、お話のとおりでございます。そこで私が第一回目に調査団として出向きまして、その後対策本部をつくりまして、さらに関係閣僚会議を開きまして、いままでの経過をずっと関係閣僚会議お話をして今後の方針等も決定していただきまして、その決定に基づいて第二回目の調査団佐藤政務次官を団長として出したわけでございます。その後、各関係省庁はもちろん北海道へ出向いてございますが、特に国土庁としては四柳審議官現地に派遣いたしまして、随時北海道庁と連絡をとりながら今日までまいっているわけでございます。予算のことその他もございますので、四柳審議官は常時おるというわけにはまいりませんけれども、今後も北海道に出向かせまして、国土庁を中心にしてこの災害復旧対策に万全を期してまいりたいと考えております。決して国土庁現地に出向くことを大儀がっているという事態ではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思うのでございます。
  86. 野村光雄

    野村委員 私が申し上げておりますのは、午前中の御答弁にもございましたとおり、各省庁がそれぞれの体制で、いろいろな立場で現地調査、対応策にいろいろな係官がお飛びになったことはお聞きしました。しかし、今回の災害というのは二、三の省庁だけにまたがる問題じゃなくて、国全体の広範にまたがる対応策を、しかも一秒という時間を争いながら国民の生命、財産をどこまでも守るという立場から考えると、各省庁ごとにばらばらな対策をやっている事態ではなかったと私は思うのです。私はみずから二回、三回目の爆発を車の中で立ち往生しながら現地に走り向かった一人でありますけれども、そういう中で現地市町村長の対応ぶりというのは、御存じのとおり洞爺温泉だけでも五千二百名の避難民の対処、水がない、道路は通れない、こういう中で事実上混乱状態に入っているわけです。そういうときに最も現地で対応しなければならない市町村長に与えられておりますところの行政的な権限、財政権限というのは、長官御存じのとおり全くゼロに等しいのであります。このゼロに等しい市町村長の行政権限と財政の乏しい中でこれに直ちに対応しなければならないのですから、私は本来であるならば現地にもあなたの片腕となるべき責任ある人を派遣して、それを現地対策本部として、関係の道、市町村、そして国から派遣される各省庁の幹部がその事務所なり対策本部を中心として、市町村長の行政、財政の権限のないところを補いながら対応してやることこそが、私はこういう災害のときに生命、財産を守る国土庁のとるべき姿でなかったのか、こう言っているのです。私はこういうことをしたからもう十分ですよということになりますと、長官、問題がありますよ、私は現地を全部知っているのです。そういう反省はございませんか、こう言っている。
  87. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、私たちはそれぞれ適切な措置を講じてきたと思いますけれども、ただいま先生のお話のように総合的な一つの体系ができたかということになります。というと、確かにそういう点は反省してまいらなければならない点が多いと思いますので、ただいま先生の御指摘のような点については、今後十分意を用いてこの対策に当たってまいりたいと考えております。
  88. 野村光雄

    野村委員 次に、長官に重ねてお尋ねいたしますが、先ほど午前中の質疑の中に出ておりました今回の広大な多岐にわたる有珠山のこの被害の実態に対応する地域住民の復興に対する対策としては、いま国にございます激甚災害指定でありますとかまたは災害復旧対策、いろいろな法令によっていたしましても、その融資制度とか融資枠とかは現在の経済指数に見合わないいろいろな不合理な問題がございます。そういうことで先ほど仮称有珠山災害緊急措置法の制定、こういうものを御提示ございまして長官から前向きな一応の御答弁ございましたけれども、これに対する率直な今後の対応策、いつをめどにしてどういう方法でこの特例法というものを制定なさろうとするのか、その点についてもう一歩突っ込んで具体的な御答弁をひとついただきたいと思います。
  89. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど委員の質問にお答えいたしたのでございますが、ただいま災害対策基本法を初め現行法の運用によってできるだけこの災害復旧に当たってまいっておりますけれども、この噴火という特殊な災害に対して制度的に必ずしも適合するかどうかということは、具体的になってまいりますとおのずとそこにいろいろな問題が出てくると思うのでございます。そういう折には当然にただいま御指摘のような特別立法を制定せざるを得なくなるのじゃないだろうかということで、私たちの方でもいわゆる災害対策基本法の中で救えないものはどういうものがあるだろうかとか、もし新しい法律をつくるとしたらどういうあり方のものになるのだろうかということなどをいま鋭意検討いたしておるわけでございますが、たとえば先ほど私が例に申し上げましたように、国土保全の面からいって洞爺湖そのものが美を失っている、こういうような問題は建設省ともあるいは厚生省とも環境庁とも、各省庁関係のあることなのですね。これらの復旧を進めるためには、どうしても災害対策基本法で救えるものと救えないものが出てきたとするならば、その折にやはり具体的に新しい法律を制定して進めてまいらなければならないと思うのでございます。その折には当委員会と十分連携をとって進めてまいりたい、かように考えているわけでございまして、いま具体的に何があるのかと言われますと、いますぐお答えする用意はございませんけれども、そういう構えで進みたいということでございます。
  90. 野村光雄

    野村委員 この際私の方から委員長に申し入れをいたしますけれども、委員長、ただいま国土庁長官から御答弁ございましたとおり、まあ仮称でございますけれども有珠山災害に対する緊急措置の特例法、こういうものを前向きで検討し、なおかつ当災害対策特別委員会と連携をとりながらこれを煮詰めたい、こういう前向きな御答弁がございました。そこでぜひひとつお願いいたしたいことは、当委員会としてぜひこの問題を正式に改めて理事会の議題としていただいて、そして国土庁長官との連携のパイプをつくり、そしてより積極的なこの特別立法の制度に対して御検討をいただくような機関をひとつぜひつくっていただきたい、これを申し入れいたしておきます。  次に、長官に端的にお尋ねいたしますけれども、長官御存じのとおり、あの広大な地域にまあどれだけかちょっと数量としてばかり知れない火山れき、火山灰が降ったわけでございます。この火山灰の処理方法でございます。これはただいま避難民の救助作業、こういうことが主体になりまして、各種道路に降りました灰というものは、最終的な処理というものを検討するいとまもなく、近隣の田畑でございますとかまたは洞爺湖の湖畔、湖のふちに山積みにされておりまして、これが将来農漁業の被害の要因にならないとは言えない。いま緊急措置としての灰の始末をしているわけでございますが、こういう点から言いまして、この膨大な火山れきなり火山灰の処理方法というものは、現地にとって最大の課題になってきております。虻田の岡村町長さんあたりは、この一部でも洞爺湖温泉街の遊歩道の設置の、その擁壁に埋め立てをすれば一挙両得でないだろうか、こういうような考えもございますけれども、しかしいかにせん何一つするにいたしましても、限られた市町村の行政権、財政ではできない問題でございます。この大量の火山灰の処理と対応策についての原則的なお考えなり方針を承りたいと思います。
  91. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 大量の火山灰あるいはまた火山れきでございますので、これを単に暫定的に処理するだけでは問題が解決されないというのは、先生御指摘のとおりでございますので、私たちといたしましても、現地市町村長さんあるいは北海道庁とよく相談の上、適切な措置を講じてまいりたいと思います。  しからば具体的にどうするのだということ等につきましては、それを有効に進めてまいるためには、やはりただいま先生が御指摘のように、各関係町村と連携をとって、そして有効な事業を進めていくことが適切だと思いますので、今後そういう方向でできるだけ早い機会にそれらの措置を行ってまいりたい、こう考えます。
  92. 野村光雄

    野村委員 そうすると、確認いたしておきます。けれども、私たちはこういう問題の処理、火山灰の処理をめぐって、たとえて言えば港湾事業でありますとか、またはいまあらあら現地で計画されておりますけれども、この洞爺湖温泉の周囲に対して、先ほど言った遊歩道でありますとか、また、この湖畔の周囲の道路が非常に狭隘なためにいままで非常に不便をいたしてまいりました、この機会に道路の拡幅をするべきだとか、こういう幾つかの具体的な懸案というものを現地市町村長がすでに持っておりました。この問題に対しては率直に市町村長の意見というものを尊重しながら対応する、こういうことを確認いたしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  93. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 もちろん建設大臣とも連絡をしなければなりませんけれども、私は当然そういう事業は進めるべきである、こう思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  94. 野村光雄

    野村委員 次に、長官、今後の問題として非常に重要な課題がございまして、この際、しかと長官の今後の方針を私は承っておきたいと思うわけであります。  先ほど来各委員から御質問がございまして、また長官みずから現地にお入りになりまして痛切に感じていらっしゃると思いますけれども、農漁業の被害、この問題は後からまた質問いたしますけれども、いま一番大きな課題になっておりますのは、五千二百名からおりますところの観光地をどう早く復元するか。御存じのとおり、先ほどもお話がございましたとおり年間約三百万人からの観光客が訪れる、そういう中で同観光地で大体消費されますところの年間のお金が百八十億を超える、こう聞いております。しかも災害の起きました八月というのは観光の最盛期にぶつかっておりまして、一日少なくとも一億ないし一億四、五千万円の売り上げが全くゼロになっております。私は、今回の災害被害というものは、農林漁業という問題はすでに着々と調査の中でその被害額が明確になってきております。しかしこの観光地だけは一日一日ますます被害が増大をしていく、こういう実態にあるのです。この観光地の最大の復旧の根幹は、何といっても一日も早く観光地として客が安心して来れる体制を整える、これが最大の復旧の根幹だと思っております。  すでに現地の岡村町長が、非常にいろいろな危険なり問題はあるとしても、二日も早く現地に復帰したい、こういう熱望によりまして、避難解除を勇断をもってなさったわけであります。そういう中で、なおかついま現地警察当局が現地の交通規制を強硬に行っております。私は道警のとっております姿勢、体制をやみくもに批判する気持ちはございません。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕 確かにそれなりに道民の生命、財産を守るために強いて規制をなさっているのであろう、こういうふうに了解は一面できますけれども、必要以上に——じゃこの道警の交通規制の解除というものは、また規制というものは道警は何を基本として規制しているのか。道警自身に地震の観測の体制は私はないと思う。単なる風聞なり感情でやっているのか、そうでもないと思う。やはり気象庁の正確な観測の実態、こういうものに基づいてやっていらっしゃるのだと思います。その点、何を基礎にして交通規制をしているのか、この点に対してまずお伺いをいたしたい。
  95. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先生御案内のように、火山噴火予知連では、この噴火はやや長期にわたるであろうという発表をいたしているわけでございまして、やや長期というこの期間は大体どの程度なのだといいますと、二カ月から六カ月だと言われております。そういうような観点からいわゆる交通規制あるいは避難等の対策を進あて人的被害のないようなあり方をつくろう、人命の尊重が一番重要であるというような観点からもろもろの規制をいたしておるのであろうと思いますので、私はそれはそれなりに評価すべきものであろうと思うのでございます。  ただ、いま先生御指摘のように、洞爺湖の観光事業というものをどうしてももとに復そうとすれば、やはりそれなりに対策を考えなければならない。そこで問題は、火山噴火の観測体制をより強固にして、そこから生まれた資料を基礎にして今後それらの規制等について考えていかなければならないのじゃないか、こう思いますので、一概に交通規制がよろしくないのだというわけにもまいらないのじゃないかと思います。その点ひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  96. 野村光雄

    野村委員 私は先ほども申しましたように、慎重に運んでいくということはそれにこしたことはない。それは確かに道警なり道の国土庁、観測体制、こういう立場から言うと、一朝有事の場合に、生命、財産を保障しなければならない、全くもって一〇〇%ないというときまで交通規制もし、危ない、危ない、こう言っておればそれにこしたことはないわけですよ。しかし、現地の経済復興を一日も早く行うという対応なくして、ただ人命尊重というだけで規制を加えている、そういうところに住民感情というものが一致しない最大の欠陥があるのです。  それなら私はここで聞きたいけれども、いまの観測の実態からいって、有珠山がどういう状態になったときに完全にこれを解除なさろうとするのか、観光地として全国の客を呼び入れてもいい、こう判断をなさろうとするのか、そのめどなり科学的裏づけ、根拠、こういうものをこの際示していただきたい。
  97. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 この点について気象庁から報告をさせます。
  98. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  私どもはまず火山の現在の状態を自然現象といたしましてできるだけ正確に把握いたしまして、またこの把握いたしました材料に基づきましてわれわれの現在のすべての技術と知識を動員いたしまして、将来この火山の噴火の動向が動へ向かうものか、あるいは静へ向かうものかというできるだけの判断をいたしまして、それに基づいて防災方面の方の御判断をいただくわけでございます。  現在、残念ながら火山噴火予知技術と申しますのは決して完成したものではございませんで、有珠について申し上げますと、毎日の観測を通じて勉強しながらできるだけの予知あるいは予測を立てていくという状態にございます。  ただいまおっしゃいました、どの時点でしからば警報を解除するかというような問題は大変むずかしい問題とは存じますが、やはりこれは観測の事実からたとえば地震の回数が相当減ったとか、あるいは地殻変動の動向が静かになったといったようなことがまず観測によって判明いたしました暁に現在の最高の学者の方ともよく御相談いたしまして、それで私どもとしては、この事態ならばまず早急の再噴火の公算は非常に少ない、また、もし早急の再噴火があるにしても、事前に十分その前兆を把握して再び警告を差し上げて避難していただく時間があるという時点に達しましたときに、恐らく大丈夫ではないかといった御意見を差し上げるのではないかと思っております。これはすべて今後の観測と今後のわれわれの知識がどれだけ集積できるかということにかかっておりまして、流動的でございますので、残念ながら、ここでこの時点で大丈夫になりますということは申し上げかねるわけでございます。
  99. 野村光雄

    野村委員 長官、責任ある長官としていまの御答弁、どのようにお聞きになったか知りませんけれども、気象庁の方からみずから認められていらっしゃるとおり、いまだに未完成な知識、経験が乏しい、こういう幼稚な立場で——失礼ですけれども、これをどう判断しようか。結局は、大事をとるためには、危ないし、心配だ、通せない、こう言っているに限ったことはないんだ、こうとらざるを得ない。  それなら専門的な地震学者の立場で、現在の火山活動がこういう状態になって、地震がこういう状態だ、地震がこういう程度にまでなったときに解除するんだ、こういうものもない。おかしいじゃないですか。現在の地震はたとえば一時間に震度何ぼのものが何回起きている——ずっといままでのデータを見たって一日に五百回から六百回、多いときは二千回地震が震動しているわけです。それが一体何回程度になったときに解除するとか、こういう動静になったときに解除するという、現時点でさえまだその解除になる根拠というのは何にもなしなんです。じゃ、どうするかと言えば、何にもないから、幼稚だから、交通規制をしているから、観光客はいつまでたっても来れない。来れなければ来れないでもいいですよ。一日一億円の補償を国土庁長官約束していただきたい。現地の岡村町長が言っていました。今後どこまでこれは続くかわからないけれども、せめて百億のお金があれば何とかして現地の中小零細企業を再建させることができるのだ。なけなしの町の財政、一億円担保にして四億円金融機関から融資を受けながら対応しているのが現地の町の実態でありますよ。裏づけなしに、いつまででも大変です。危ないです。通ってはだめです。来たらだめです。一銭も収入がないのですよ。何の収入もなくして、裏づけなくしていつまで待たすのですか。どっちかはっきりしていただきたい。延びても構わない、人命尊重のために交通規制も、少なくとも安全だというまでは続ける、そのかわり一銭も収入がないのだから、現地住民の生活、経済だけは国が補償するのかどうか、この点ははっきりしていただきたい。補償なしに待たしておく、とんでもないことだ、それは。
  100. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 地震予知については、ただいま気象庁から答弁させたとおりでございますけれども、やはり人命尊重という見地から噴火予知連の適切な結論が出ない限り、私たちとしてはこれを緩和するわけにまいらないというのが現状でございます。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 確かに先生御指摘のように洞爺湖温泉町の情勢はよくわかります。ただ、しかしあの地帯の交通規制を緩和して、あるいはまた火山噴火全体がある程度緩和いたしますと、有珠山に登山する人まで出てくると思うのでございます。もしそれそういうような状況になって、不幸にしてまた噴火という活動が起きた場合にしからばどうするかということを考えますときに、やはり安全を第一にして進めていかなければならないのでございます。洞爺湖の観光事業の現状というものは私もよく理解いたします。ですから、それに対する政府対策をできるだけ万全にして御期待に沿うより道がない、こう考えます。
  101. 野村光雄

    野村委員 できるだけ万全の対策を講ずる、こんな抽象的な悠長なことを言っている場合ではないのです。いま毎日毎日観光客が来なくて収入ゼロの中にいるわけでしょう。交通規制をさせられているのでしょう。交通規制をするならするらしく——私はさっき言ったように、地域住民の生命、財産を守るために、交通規制をするなとは言っていない、するならするらしく、経済の安定という裏づけなしに交通規制だけして、ただ責任逃れだけをしている。冗談じゃありません。だからいま言ったようにその裏づけとして、現地の町長なんかも言っておりますけれども、仮に百億ぐらいの金さえあるならばとにかく何とか現地の企業また経済を復興させることができるんだ、こう言っている。経済の裏づけなしに、ただ観測所とか、国土庁で最悪の場合に責任かぶったら困るから、交通規制だけしている。冗談じゃありません。その裏づけが確約できますか、はっきりしてください、経済の裏づけを。
  102. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど通産省から具体的に金融制度等についての答弁があったわけでございまして、その上にさらに洞爺湖全体の復興対策というものを考えてまいらなければならないのは先生御指摘のとおりでございます。  しからば、具体的にどういうもので進めたらよろしいかということが煮詰まった段階で私たちも十分その点については考えてまいりたい、かように考えます。
  103. 野村光雄

    野村委員 非常に抽象論で私としてはすっきりしませんけれども、一応善意に解釈いたしまして、交通規制をするということも生命、財産を守るためだ、しかしその裏づけの経済はとにかく積極的に前向きで現地要望にこたえる、こう受けとめさしていただきます。  次に、幸いに九月末ないし十月の当初に臨時国会が召集になります。この中において有珠山爆発に対する一連の復旧対策に対する補正予算というものが当然上程されてくるであろうと私は期待をいたしております。そういうことで国土庁として、まだ日にちはございますけれども、この臨時国会に臨むに当たりましての現地有珠山の経済的、また法的改定を含めまして、どういう規模なりどういう姿勢で臨時国会にこの補正予算の要求をなさろうとしていらっしゃるのか、この点、基本的なことをひとつまずお伺いをいたしておきたいと思  います。
  104. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 火山活動が十三日である程度小康を得たものでございますから、関係省庁でいま積極的にもろもろの復旧対策を進めているわけでございます。また、調査も進めております。その調査等がまとまった段階で非常対策本部会を開きまして結論を得て、そして臨時国会に臨む態度を決定いたしたいと考えております。
  105. 野村光雄

    野村委員 次に、時間がございませんし、先ほど来すでに質問されておりますので、農業問題に対して一、二点重要な課題だけ御質問いたします。  先ほど来質問の中ですでに明らかになっておりますとおり、今回の有珠爆発によります周辺地域というのは、農作物の中で特に畑作の被害が広大にわたっております。水稲の方は共済制度というものがございまして、大部分が対応される制度がございます。しかし今回の有珠山周辺の各市町村の田畑というものは、御存じのとおりそういう共済制度がございません。しかも、現地の状態からいいますと、小豆を初め畑作でも高級の豆類、こういうものが耕作されているわけでございまして、これに対する稲作同様の対応の補償をどう具体化していこうとするのか、まずこめ点についてお尋ねをいたしたい。  それから第二点として、農地の復元作業の問題でありますけれども、先ほど御質問の中でもありましたけれども、私は特にここで問題を提起して対応策をお聞きしたいのは、二十センチないし三十センチ、四十センチという非常に大量の火山れきなり火山灰に埋もれました田畑、これは現地で見積もりさしてみますと、灰を取り除くために一反三十万から四十万、五十万ぐらいかかる。現在の天災融資法においては、そんな金はとても出るようになっておりません。二十万未満でございます。こういうものに対しては当然全面国庫で負担をしていく。貸すんでありませんよ。全面国で排除してやる、こういう対応策がない限り、私は農業の再復興はできない、こう思っております。これが第二点。  第三点には、部分的に同一災害を受けた農家に対して、天災融資法というものが指定されない市町村であって、同じような被害を受けております。けれども、その指定を受けない町村であるがために、被害額、被害程度は同じでありながらも、同じ救済対応が講じられない、こういう農家がここに出てまいります。これは私は一律に天災融資法並みに対応し、補助体制をとるべきである、こう考えます。  この三点についてのお考えを聞きたい。
  106. 犬伏孝治

    犬伏説明員 第一点の畑作共済の問題と第三点の天災融資法の問題は私からお答えしまして、農地災害復旧につきましては構造改善局の防災課長からお答え申し上げたいと存じます。  まず、第一点の畑作共済の問題でございますが、御案内のとおり現在の農業共済の対象にはなっておりません。現在農作物で対象になっておりますのは米と麦、それから果樹の一部でございます。畑作共済につきましては、農林省におきましてもこれを対象にすべくすでに試験実施を開始をいたしておりまして、昭和四十九年度からそのための立法措置を講じまして、試験実施を現在やっておるところでございます。この試験実施で、共済設計を行いますための、損害率でありますとか、どのような引き受けをするのが一番合理的であるかとか、あるいは損害査定の具体的な方法をどうすれば適切に実施できるかというようなもろもろの点についていろいろなデータをいま集積中でございます。  農林省方針といたしましては、畑作共済をできるだけ早く本格実施に移すという見地から、ことしの暮れから始まります通常国会に、具体的には来年の春になると思いますが、畑作共済を本格実施するための立法措置を提案したいということで現在準備中でございまして、そういたしますと、本格実施が具体的に開始になるのは昭和五十四年度からということに相なるわけでございます。  そういったことで、今回この地域有珠山噴火ということで畑作関係に大きな被害発生したのでございますけれども、共済事業としては対象になっていない。したがいまして、この対策といたしましては、私ども午前中も御答弁申し上げましたように、経営資金支障のないように低利の融資措置を講ずるということで、天災融資法発動につきましては、すでにこれを発動する方針であるということを公表いたしまして、関係方面にも通知をいたしております。その間必要な営農資金につきましては、農協系統資金でつなぎ融資が行えるようにその旨の指導もいたしておるところでございます。  それから第三点の天災融資法関係でございますが、天災融資法発動は、災害のたびごとその天災の種類を具体的に指定をいたしまして発動をするわけでございます。今回の有珠山噴火につきましては、何月何日から何月何日までの有珠山噴火に伴う災害ということに恐らくなると思っておりますけれども、その噴火による灰が降ってきたことに伴います被害を受けた農家につきましては、天災融資法の面では、減収量が三〇%以上、かつ減収額が一〇%以上という認定を市町村長から受けますと、これは地域指定にかかわりませず融資が受けられることになります。地域指定がないところは受けられないという性質のものではございません。しかし、その中で特に被害の大きい農家、具体的に申し上げますと、減収額が五割を超えるという農家につきましては、特別被害農業者として認定を受け、これにつきましてはより低利な融資を行うという制度になっております。現在北海道庁と連絡をとりまして、その各農家ごとの被害の実情を掌握しつつございますが、被害農業者のうちで特別被害農業者がある市町村につきましては、これは全部特別被害地域指定される見込みというふうに聞いておりますが、さらに実態を掌握いたしまして、そのような指定を行いたいというふうに存じております。  第二点につきましては、防災課長よりお答えを申し上げます。
  107. 善木正敏

    善木説明員 問題は二つあるのではなかろうかと思います。  一つは負担の問題でございますが、これにつきましては、御承知のとおり農地農業用施設災害復旧につきましては、いわゆる暫定法に基づきまして農家の費用負担能力を十分勘案いたしました国庫補助制度がとられておるわけでございます。補助率につきましては、市町村ごとの一年間の被害農家一戸当たり事業費が大きいほど補助率のかさ上げを行うというような仕組みになっておるわけでございます。五十一年度の災害を見てまいりますと、集中豪雨……(野村委員「簡単でいいよ、簡単に」と呼ぶ)はい。というようなことで、大体九〇%以上の高い率になっておるわけでございます。  そこで、今回被災いたしましたこの農地復旧につきまして見ますと、いろいろ工法等の検討をしております。私の方も、二町村で現場でいろいろの試験をいたしまして、どういう工法が最もうまくできるか、しかも経済的にできるかというような工法を検討いたしまして対応しているわけでございます。  したがいまして、そういうような適切な工法を採用することによりまして事業費の節減を図って、限度額の範囲内で災害復旧事業ができるように現在指導をしておるわけでございます。  さらにつけ加えますと、農地と、それから農業用施設というのがございまして、恐らくいま先生言われましたような額につきましては、農業用施設というようなものも加味された、そういうような反当限度額になっておるのではなかろうかと思います。農地につきましては限度額がございますが、施設につきましてはそのような限度額がございませんので、いま申し上げましたような形の中で対応してまいりたい、こういうように思っております。
  108. 野村光雄

    野村委員 国土庁長官、いまの御答弁もまたよくおそばでお聞きになっていらっしゃると思います。午前中からも、先ほど私も指摘いたしましたとおり、各省庁とも検討検討、もう検討の段階は過ぎているのですよ、長官。現地の被災者は、この実態に対して国はどうしてくれるんだ、このめどをはっきりしてほしい、こう言っているのですよ。しかも農家の場合は、先ほども話がございましたけれども、北海道は冬がやってきたら、ようやく検討を終わって対策を講じたいというときにはもう作業ができないのです。わかっていますか、長官。そういうことで、すでにこの惨事が起きまして一カ月有余、いまだに検討——検討も結構でありますけれども、どうしてくれるんだということを明確にしてもらいたい。長官、早急にひとつ全体会議でも開いて、農業、漁業各般にわたって一回現地の実態というものを——一番早くわかるのは市町村長から聞けばわかるのですよ。それに対して、これはこう手を打つ、これはこう手を打つというように対処しなければ間に合わなくなると私は思うのです。よろしいでしょうか。確かに長官としても前向きで検討してくださったことは私もよくわかっておりますけれども、非常に緊急を要する場合でありますので、いまでも各省庁の部課長なり出先機関からデータなり実態調査、資料を集めている、こんなことでなくて、生々しい実態を一番身に感じている現地市町村長、これを一堂に会して、一日か二日間じっくりひざを交えて懇談をして、その実態に対して各省庁が責任持ってその場所で、これに対してはいつまでにこういう対応をします。改善をしますという、そういう対応をなさる考えはございませんか。それ以外にどうしようもないですよ、これは。
  109. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 有珠山復旧作業についてはこれまでも北海道庁その他と連絡をとりながら、積極的に関係省庁が進めてきていると私は思います。しかしいろいろな制度上とかあるいは調査の段階で正確を期さなければならないということから、十分考慮するとか前向きに善処しておるというような表現で答弁しておりますが、実は各省庁とも積極的にこの復旧には取り組んでいると私は思っています。  ですから、いま先生の御提案になりました関係市町村長要望等を具体的に聞かしていただいて、そして私もできるだけ早い機会に非常災害対策本部会を開いて対策をさらに積極的に進めてまいりたい、かように考えます。
  110. 野村光雄

    野村委員 長官にもう一回お願いも含めて申し上げておきますけれども、確かに各省庁それぞれに一応対応はなさいました。しかしその対策会議の中のメンバーに町村長が——いろいろな形式的な陳情書を持ってお願いします。文書だけで、長官忙し紛れに、はあはあとこうやっているのを私も見て知っているんです。何回か来ているのだから。そんなことではなくて、思い切ってこの問題に対して対策本部の中に現地市町村長を含めて、一日なら一日、びっちり各省庁の責任ある者が全部ひざを交えて、その実態を把握をして、そしてそこで、できるものはできる、できないものはできない、これはいつまでかかる、またこれは国会なら国会の決議をしなければならないとか、または閣議にかけなければならないとか、こういうものも当然あるでしょう、長官が全部一〇〇%そこで返事はできないと思うけれども、私は形式というものを省いて、むしろこういう災害のときには現地のそういう市町村長と一堂に会してひざを交えて、同じ立場に立って、国民の生命、財産を守り、一日も早くこれをどう復旧させるかという姿勢のもとで、私はひざを交えたそういう会合を設けていただきたい、約束してくださいますか、もう一回確認します。
  111. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 非常対策本部会を開く折には町村長さんの御出席もいただいて、そうして具体的な対策を進めてまいりたいと考えております。
  112. 野村光雄

    野村委員 時間がなくなりましたから、次に漁業問題でございますが、先ほど関係者の御答弁によりますと、稚貝は相当被害は出ているけれども成貝はまだ微々たるものだ、こんな御答弁がありました。現地調査なさったのですか、その方は。聞きたいのですけれども、どうやって、いつ、どこで調査なさったのですか。微々たるものだ。私は現地で漁民の船に乗せてもらいまして養殖の現場に行きまして、海の中に下げてある網を三カ所引っ張り上げて見せてもらいました。三年たっている成貝です。私も初めて現地を見ましたけれども、かごをこう下げておりますけれども、ちょうどちょうちんみたいになって分かれております。本来ならば二百三十個入れてある。揚げてみて生きておったのは六十三個ですよ。微々たるものだとは、だれがどこで調査したのですか。まずこれを聞きたいのです。あいまいじゃ困る。
  113. 伊賀原弥一郎

    伊賀説明員 御説明いたします。  調査いたしましたものでございますけれども、災害発生いたしました直後に、水産庁の地方機関でございます北海道水研とそれから北海道漁業調整事務所、それから北海道水試等があわせまして十一日から十二日まで調査しております。それからその後二十日から二十三日にかけまして私ほか北海道水研、それから水産庁の何人かの者と一緒に参りまして現地調査いたしました。  その内容でございますけれども、大体稚貝を中心にいたしまして約三億一千三百万近くの数字が上がっております。その際に、漁業者の中から、一部の区域でありますけれども、半成貝について一部被害が出ているようであるという報告がございました。  それから数字上の問題でございますけれども、八月末までの段階で北海道庁が調べたものといたしましては、私いままでに申し上げましたような数字よりほか上がっておりません。しかしながら、被害が非常に大きいというお話がございましたけれども、九日現在で北海道庁がさらにその後の調査をいたしております。これによりますと、成貝、半成貝にも被害が出ているという点がございまして、土曜日の日に水産庁としては数字をもらっております。本日北海道庁から人を呼びましてさらに事情を聴取している段階でございます。  以上でございます。
  114. 野村光雄

    野村委員 予定の時間がすでに過ぎましたのでこれで終わりますけれども、非常に大きな声を張り上げまして長官にいろいろお訴え申し上げましたけれども、決して私は長官を批判したり攻撃するつもりで申し上げたのではございません。私は冒頭申し上げましたように、こういう被害の中で非常に苦労なさっていらっしゃいます現地住民市町村長さんが不眠不休で対応なさっている、こういうところに、冒頭おっしゃいましたように、単なる調査で二時間か三時間行くのでなくて、長官がみずから現地に張りつくことはできないとしても、長官にかわる、対応できる責任ある者が現地対策本部を設置して、市町村長とともにこの対応にぶっからなかった、ここに私は、いつまでたっても検討だとか言ってさっぱり現地の生々しい声が長官に届かない最大の欠陥があると思う。ぜひひとつこれを一つの契機として今後の災害に対しても大きな参考として対応なさっていただきたい、こういうことを強く要望いたしまして質問を終わります。
  115. 湯山勇

    湯山委員長 神田厚君。
  116. 神田厚

    神田委員 私は午前中からずっと審議を聞いておりまして、なるべく重複しないような形で御質問を申し上げたいと思うのでありますけれども、この八月七日の有珠山の爆発による救援の問題につきましては、民社党といたしましては、直ちに救援対策委員会を設置いたしまして、小平忠副委員長を団長とする現地調査団を派遣をいたしまして、いろいろとその後の救援対策につきまして検討いたしまして、総理大臣あてに八月十九日に天災融資法早期発動、それから局地激甚災害の早期指定、こういうことを中心にいたしまして申し入れをしているわけであります。  私も災害調査団の一人といたしまして現地を見させていただきました。非常に大変な災害の中で、警察当局の皆さんやあるいは自衛隊の皆さん、さらには町当局あるいは多くの関係者の大変な御尽力によりまして、奇跡的にも人命の損傷がなく避難もでき、さらにそういう中でいろいろと復旧の事業が進められているということにつきまして大変ありがたいというふうな感じを持って帰ってきたわけでありますけれども、ここでまず基本的なことから国土庁長官に御質問を申し上げたいのでありますが、災害対策基本法の中のいわゆる防災計画の中で、中央防災会議が防災基本計画を立てているわけでありますけれども、この中におきまして、活動火山の防災体制というのがどういう形でこの基本計画の中に組み入れられているのか、この点をお聞きしたいわけであります。私は、この有珠山の問題は、ただ単に有珠山一つの問題ではなくて、火山列島と言われております日本の活動火山の周辺に生活をしております多くの国民に大変な衝撃を与えた爆発であるというように考えておりますので、そういう中でこの防災の基本計画の中で活動火山の防災体制というのがどういうふうな形で繰り込まれているのか、この点をちょっとお聞きしたいと思います。
  117. 四柳修

    四柳説明員 事務的なことでございますので、かわってお答えします。  いま御指摘の災対法上の計画の問題でございますけれども、中央防災会議で決めております防災基本計画の中にはやはり噴火もその計画の目標の中に一応含めてございます。ただ個々の団体がつくります地域防災計画という段階になりますと、私ども手元に持っておる資料で見ますと、活動火山の適用がございます鹿児島県、熊本県につきましては、当該地域地域防災計画の中にそれぞれの火山活動に対応します計画内容がございますけれども、その他の地域につきましては、遺憾ながらまだそこまで明確に掲げているものはない状況でございます。
  118. 神田厚

    神田委員 私はこの点が、火山国と言われている日本の火山の観測体制、予知体制というものが非常に弱いといいますか、なおざりにされているというふうに考えているわけであります。そうしますと現在の活動火山に対する観測及び予知体制というのはどういうふうな形でしかれておられるのでありますか。
  119. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  現在わが国には千島まで含めまして七十有余の活火山、これは必ずしも現在活動しているという意味ではございません、活動しているもの、また活動の可能性のあるものということでございますが、これだけ活火山を抱えておりまして、そのうち活動度が非常に高く、また活動が高くなりますと付近の住民の方に影響を与えやすいと思います四つの火山につきましては、私ども気象庁で精密火山と称しておりまして、大変手厚い観測をしているわけでございます。そのほか、これ以外でございましても十三の火山に対しましては昼夜を分かたず常時監視の体制をとっております。残りの火山につきましてはそれぞれ担当の官署を定めまして遠望観測あるいは定期の巡回視察等を含めまして、何か事がありそうだというような徴候がありました場合には、私ども機動班といういわば機動部隊を持っておりまして、これを急遽派遣いたしまして、必ずしも機械的な常時監視をしていない山につきましても有事の場合には直ちに機械観測が始められるように体制をとっております。このほかもちろん大学等におかれましても研究の立場から幾つかの火山に常時的な観測施設をお持ちでございますので、これらの大学の研究面とも十分な連絡をとりまして観測のより一層の向上、また予知技術の開発に努めているわけでございます。
  120. 神田厚

    神田委員 大変お寒い観測体制といいますか、観測体制そのものがもう少し強化されなければならない、こういうふうに私は考えているわけでありますが、ただその予知の問題だけでなくて、これは防災の問題とも関連して考えていかなければならない問題でありまして、予知と防災を一緒に進行させていく、こういうことから言いますと、たとえば火山に大変関係のあります地震の問題にいたしましても、予知体制とさらに防災都市計画などの計画の推進、こういうものはどういうふうになっているのか。私はたとえば各国の地震の予知の問題につきましていろいろと調べてみましたけれども、日本の地震の予知対策なり観測体制というのは非常に弱い。アメリカや中国などに比べまして大変人数も少ないし、それにかけている経費も少ない。ひとつこの際こういう反省点に立ちまして前向きな防災計画なり地震及び火山の予知体制の計画を組んでいただきたい、こういうふうに長官にお願いいたしたいと思うのであります。
  121. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま御指摘のように、火山はもちろんでございますが、地震についても予知体制というのは、かなり進めてはおりますものの相当反省を必要とする現段階にあることは御指摘のとおりでございますので、私たちは、地震予知はもちろんでございますが、火山噴火の予知についても一層積極的な施策を講じてまいりたい、かように考えます。
  122. 神田厚

    神田委員 余り時間がありませんので突っ込んだ話ができませんが、それでは有珠山噴火の問題につきまして、多少細かくわたりますが、御質問を申し上げたいと思います。  災害復旧現状視察をさせてもらったわけでありますけれども、これから考えまして有珠山の爆発の災害というのは長官も何度か繰り返されておりますように非常に特異性があるということ、いままでのような台風や水害とは違って、火山爆発による災害という特異性を持っているわけであります。したがいまして、このことから考えていきますと現在の法律では十分にカバーできない。この被害を十二分にカバーするというのは、現在の法律を全部発動していってもとうてい無理ではないかと思うのであります。したがいまして、何度か質問の中にも出てまいりましたように特別立法をつくるなりしてこれらの火山爆発という特異な状況に対応する、災害から救助する法律が必要になってくるのではないか。と申しますのは、一つには現在爆発が起こった後でありますから、災害復旧を早急にしなければなりません。もう一つは、今度もう一度爆発の繰り返しがあるかもしれない。こういうものに対して先の見通しを立てていかなければならない。こういう二つの面があるわけでありまして、そういう意味から言いますと、有珠山の火山爆発の問題につきましては何か特別な救済方法を考えていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでございますか。
  123. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど池端委員並びに野村委員にもお答え申し上げたのでございますが、現行法で救えるものはできるだけ救うてみたい。その中で具体的に一つの事実が生まれてまいりました段階で新しい法体系を考えていかなければならない、こう思います。ですから、新しい制度をつくる場合には当委員会と十分連携をとりながら進めてまいりたいと考えておりますので、御協力をお願い申し上げたいと思います。
  124. 神田厚

    神田委員 新しい事態が出てくるというふうなお話、出てきたら考えるということでございます。が、私はもうすでに新しい事態が出てきているという判断をしているわけであります。と申しますのは、先ほど現地の予知連の方からこの噴火活動が二カ月ないし六カ月にわたる長期的な活動になる、こういうことが言われているわけであります。あるいはもっと長くなるかもしれません。もしそういうふうに長くなった場合には、長期的であるということはやはり一つ新しい問題になるんだろうと思うわけであります。先ほど観光地の収入の問題が出てまいりました。六カ月間交通を遮断して、入っちゃだめだというような形で観光客を入れないでおいて、そして、それに対して政府が何らのことも考えないということになりますと、これは非常に大変な問題になってくるだろう。あるいは避難の問題やいろいろな問題についてもそうでありますけれども、特にこの長期にわたるという問題につきましては、一つの新しい事態であるし、さらに爆発が起こるかもしれないという状況を考えました場合には、やはりこれはもうすでに、長官がおっしゃっておられるような新しい事態に対処する法律的なものなりあるいはそういうふうなチームなりをつくってそれを研究していかなければならないのではないか、こういうふうに考えるのでございますが、いかがでございますか。
  125. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 確かにお話しのように、地震予知連がやや長期にわたるということは二カ月から六カ月の期間を要するだろうということでございますので、それはそれなりに新しい事実であることば確かでございます。ですから、私たちはそういう前提を踏まえながら、具体的に、いまお話しのように、洞爺湖の観光開発に携わっている方々が現実にこういう問題でいま非常に困っているという事実を、災害対策基本法で救えないだろうか、あるいはまた活火山法というものでそれを救うことができないだろうか、もしその二つの法でカバーできないとしたら、しからばこの具体的な事実をどういうあり方でカバーしようかということで進めていかなければならないと思いますので、そういう意味で、私たちはいま、災害復旧作業を進める中で、具体的なものが出てきた段階でこの新しい制度をつくることを考えていきたい、こういうことでございまして、決して消極的な意味でございませんので、御理解を願いたいと思うのでございます。
  126. 神田厚

    神田委員 大変前向きなお答えをいただきましたけれども、先ほど来の中小企業庁などの答弁を聞いておりますと、施設やその他についての直接的な被害ではないということで、激甚の指定などについても非常にむずかしい面がある、現実にそういう答えをしているわけであります。ですから、私は、それはいま長官がお答えになったこととは非常に予盾しているというふうに考えているわけでありまして、なかなか法律的なものではカバーできないけれども現実の被害というものは相当のものを受けている。ですから、そこのところはもう災害基本法なりあるいはいろいろな法律でとにかくカバーできない部分というのが明瞭になってきているわけですね。ですから、そういうことをひとつよくお考えになっていただきたいということをお願いいたしたいと思うわけであります。  さらに、ただいま活動火山の問題が出てまいりましたけれども、これは活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律だと思うのであります。このことにつきましては、私どもが聞いておりますのは、これは都道府県なりからのそういうふうな指定をしてくれというような申し入れがあって、それを国土庁の方と調整をして指定をしていく、そういうふうな段取りをとるというふうに聞いておりますけれども、現実に北海道なりそういうところからこの施設指定をしてほしいというような要望が出ているのか、その辺のところをお聞きしたいと思っております。
  127. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま具体的に出ていないそうでございます。
  128. 神田厚

    神田委員 出ていないということでございます。けれども、長官の方ではもうすでにそれによってあるいは施設の整備などもしたいというようなお考えも漏らしておられるようでありますから、出てくればその中でひとつ前向きな形で取り扱っていただきたい。やはり温泉地帯でありますし火山地域であるということになりますと、避難施設なりそういうものがあるという心理的な効果が、やはりそこに人が入ってくるという大きな条件になるわけでありまして、そういう意味におきまして、今後そういう法律を活用して、早く復旧ができるような形でひとつ御指導をいただきたいというふうに考えているわけであります。  当面の問題といたしまして、いろいろと午前中からの審議の中でほとんど出尽くしているわけでありますけれども、現地の観測体制というものが一番注目を浴びるというか、一つの判断のキーポイントにもなりますし、この災害復旧なりあるいはこれから先の長期的な予報なりの問題と絡めますと、現地の観測体制がどういう形でこれから先維持され、強化されていくか、それから、そういうものから情報を得て皆さん方が判断をされて警戒を解いたりいろいろするわけでありますから、現地有珠山の観測体制の強化につきましてひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
  129. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 有珠山噴火に当たりまして一番私たちが心配したのは、やはり火山の監視観測体制を強化しなければならないということで、そこに重点を置いて進めて今日まで参っているわけでございます。そこで、先ほども申し上げましたが、いま北海道大学を初めとして各大学の地震の権威ある学者の先生方、あるいはまた科学技術庁、それから国土地理院等が一丸となってこの観測に当たっているわけであります。それですから、いまの段階では私たちは最善の体制を整えていると申し上げてよろしいと思うのでございます。
  130. 神田厚

    神田委員 報道などによりますとまだまだ山が動いているということで、これから先やはりこの観測体制が非常に機能的に作動するということが一番重要な問題になってくるだろうと私は思いますので、そういう意味では、ひとつ、学期が始まったりいろいろな問題があるでありましょうけれども、そういうような形でこの観測体制の問題につきましては指導を強化して、よく見ていただきたいというふうに考えるわけであります。  さらに個々の問題につきまして二、三お聞かせをいただきたいと思うわけでありますけれども、やはり各政党とも、あるいは各質問者が皆声を大にして叫びましたのは、やはり激甚災害指定、これを早くしてほしいということですね。それから天災融資法発動を早くしてほしいということです。この点につきましては、先ほどいろいろ事情があって時期的にもおくれてしまうというような話がありましたけれども、私は、この災害の実情にかんがみまして、一刻も早くこういう法律的なものを発動させて、さらにそれを行政が積極的に推進していくという体制をとらなければ、あれだけの被害をこうむったものの復旧の事業というものは非常にむずかしいというふうに考えるわけであります。したがいまして、それらの迅速な発動についてお願いをいたしたいというふうに考えております。いかがでございますか。
  131. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほども申し上げましたが、天災融資法あるいは局地激甚災についてはそれぞれのいわゆる制度的な規制がございますので、それにのっとっていま調査を進めているわけでございますが、いま先生御指摘のように、できるだけ早い機会に作業を終えて期待にこたえるようにいたしたい、こう考えております。
  132. 神田厚

    神田委員 次に、関係のあることでございますが、農地及び農業用施設災害復旧につきまして、この災害復旧事業の査定基準というのは一体どの程度のところに置いておくのか。つまり降灰、灰が降ったものにつきましては二センチ以上のものは災害復旧事業にするけれども、二センチ以下のものにつきましてはそういうものとして取り扱いをしないというふうな話もちょっと聞いておるのでありますけれども、そういう差別があるのかどうか、この点につきましてちょっと御質問申し上げたいと思います。
  133. 善木正敏

    善木説明員 査定の基準でございますが、降灰の堆積のみならず、土砂流入によりまして農地が被災した場合の農地復旧につきましては、暫定法によりまして営農上農家が行うものと区別いたしまして、土砂の堆積の平均の厚さが粒径一ミリメーター以下の土砂にありましては二センチメーター以上、それからまた、粒径が〇・二五ミリメーター以下の土砂にありましては五センチメーター以上の被害があった場合に農地復旧事業として補助対象ということにしております。言いかえます。と、粒径が一ミリメーター以上であれば降灰の平均厚さが二センチメーター以下であっても採択する、そういうような基準で現在査定をいたしておるわけでございます。
  134. 神田厚

    神田委員 そうしますと、それによって大体、いま現実に北海道洞爺湖近辺に降灰がありましたけれども、どの程度がいわゆる復旧事業というような形で査定の対象になっておりますか。
  135. 善木正敏

    善木説明員 現在査定中でございますので、全貌をつかんでおりませんが、前回緊急査定の段階までに千二百ヘクタール余を査定を終わっております。
  136. 神田厚

    神田委員 まだ途中だという話で、余り要領を得ませんけれども、私はやはり地域的な問題が一つあると思うのですね。画一的にそういうふうな基準の中だけで見るんじゃなくて、やはりその地域の問題も含めましてひとつそういう指定及び査定の問題などにつきましても弾力的な運用というものをお願いいたしたい、こういうふうに考えているわけであります。これは各議員方からも同じようなことが言われておりましたけれども、私の方からもそういう意味ではその査定及び指定基準などについての弾力的な運用というものをお願いしたい、こういうふうに考えております。  さらに、灰の問題に関連いたしましてお聞きをしたいのでありますけれども、現在の降灰の除去の状況がどういうふうになっているか。つまり、大体道路などにつきましては除去されている。ところが市街地などに積もった灰というのはまだまだこれを取り除けないでいる。こういうものにつきましても、これらをどのような形で取り除いていくのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  137. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  現在虻田町、洞爺村におきまして約十五万立米ほどの排除必要量がございまして、そのうち八万一千立米ほどは仮置き済みでございます。残りの灰につきましては引き続きやりたいと思いますけれども、制度としましては、堆積土砂排除事業として補助することにしております。この事業は市町村長が指定した場所に集積されたものの排除及び市町村長が公益上重大な支障があると認めて直接排除するものを対象としております。この土捨て場が一番問題でございますけれども、虻田町の場合におきましては現在調査中でございますが、入江地区とか珍小島湖畔地先とか洞爺湖湖畔通り歩行者専用道路予定地区等を候補地として目下検討しております。  以上でございます。
  138. 神田厚

    神田委員 そうしますと、これはまだまだ時間がかかるのですか。灰の捨て場が決まらないと捨てられませんね。やはりこの灰を早く取るということが二次災害の予防にもつながっていくことでありますから、私はこういう問題につきましてはもっと早く対応しなくちゃいけないというふうに考えておるわけでありますが、いかがでございますか。
  139. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 おっしゃるとおり早くやらなくちゃいかぬわけなので、道とか関係公共団体に対して早くこの面の実施をするように私たちは指導しておりますし、現場にも指導員が行っておるわけでありますが、現在のところ、先ほど言ったように、仮置きをまず先行したいということで、仮置きの場所について、道の方の設計を見て、緊急的に、その準備ができればすぐ行って査定をして補助をしてあげたい、こう思っております。
  140. 神田厚

    神田委員 もう一カ月も灰が降ったままになっておる中で、これからそれを探してというふうな非常に悠長な考え方では、ちょっとそれでは本当に現地の人たちも困るのじゃないか、こう思うのですが、やはりこういう問題は、生活道路が閉ざされているという問題も一つあるわけでありますから、こういう市街地の降灰の除去につきましても積極的な指導なり援助、補助なりしていただきたい、こういうふうに御要望いたしたいと思っております。  それで、これは私いろいろ話を聞いたのですが、たとえば学校の庭に積もった灰は文部省の関係で取る、それから道路に積もったのは建設省だ、それからほかの普通のところに積もったのは町の方で処理しろとか、いろいろ行政が入り組んでやりづらい、こんなとても手間のかかるようなことをやっておるわけでありますけれども、こういうのはやはり何かひとつきちんとした方針を出していただいて、どっかでびしっと灰の除去はどこがやるというようなある程度のものを出さないと、非常に手間がかかってはかどらないのじゃないかというふうに考えておるわけですが、その辺はどうでございますか。
  141. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 確かにお話のとおりでございますので、これは国土庁が中心になりまして担当を決めまして、しかも計画的にこの降灰の処理に当たってまいりたいと思います。ただいまの時点では、非常に残念ながら暫定的な降灰排除措置をしておるような状況でございます。しかしながら、必ず先生の御期待に沿うように積極的に進めてまいりたいと思います。
  142. 神田厚

    神田委員 関連しまして、その灰による被害によりまして虻田町の水道施設が非常に危険な状態に置かれているというふうなことで、飲料水を確保するということは一つの生命線でもありますので、これがどういうふうな状況になっているのか。聞くところによりますと、町の方では水源地等の移動をも考えているというようなことであります。けれども、この辺につきまして水道関係施設の保持の問題につきまして御答弁をお願いしたいと思うのです。
  143. 山村勝美

    ○山村説明員 虻田町の温泉浄水場の件でございますが、谷合いにございまして、最も降灰の多かった地域に所在いたしております。水源は洞爺湖の湖水を直接取っておりまして、ごらんになりましたように白濁をいたしておりますが、幸い温泉浄水場の能力は多少の濁りに対しても対応できるということで現在一応機能いたしております。したがって、通常の給水状態にあるわけでございます。が、今次災害によりまして、一つは土砂がその浄水場内に入ってきたとか、屋上に多量の降灰が堆積いたしまして、強度の点で耐え切れず天井にひび割れが入ったとかいうふうな直接的な被害もございます。しかし、現在のところ通常の給水状態にあります。その復旧計画でございますが、現在道庁、地元と相談をしながら立てておる段階でございまして、最終的にはどのようにするかということはまだ決まっておらないという段階でございます。
  144. 神田厚

    神田委員 水の確保というのは大変大事な問題でありますので、いわゆる砂防事業等がうまくいきましてそれが確保されている場合におきましては問題ありませんでしょうけれども、私どもが現地を見させてもらった感じでは非常に危険な状態にその浄水場があるというふうに判断をいたしておりますので、そういうふうな場合にはひとつ前向きな対処をしていただきたいというふうに考えているわけであります。  さらに、その近くに住宅がありまして、この住宅が移転をするといういわゆる移転住宅の問題が、午前中の話の中では出てきませんでしたけれども、この二次災害の防止のためにかなりの数の住宅虻田町に限っても移転をしなければならないんじゃないか、これについてはどういうふうな対処の仕方をされるのか、ちょっとお聞きしたいのであります。
  145. 土屋佳照

    ○土屋説明員 住宅移転問題につきましては、こういった地域でございますから生命、財産の危険ということを一番念頭に置いてやらなければならぬということでございまして、一つは直接的には私どもが所管しておる点では防災のための集団移転という制度がございまして、これは危ないところが全戸一緒になって十戸以上の団地に移転するという場合でございます。それ以外に建設省所管でがけ地近接危険住宅の移転事業、そういった集団ではございませんで個々の事業もございます。いまのところ私どもとしてはまだ集団移転という点については聞いておりませんが、そういった話が出た場合は住民の意向あるいは当該市町村の意向、道の意向、そういうことを十分聞きまして対処してまいりたいというふうに考えております。
  146. 神田厚

    神田委員 これは過疎地域指定町村にもなっているようでありまして、そういう点からの住宅移転はそれとの関連ではどういうふうになりますか。
  147. 土屋佳照

    ○土屋説明員 ただいまお話のございました過疎地域における集落移転という制度もございまして、そのために移転する制度もございますから、それはそれでやれるわけでございますが、ここの場合は防災上の問題がございますから、あるいはそういった形での集団移転という話が出てくるのではないかということでお答えをいたした次第でございます。
  148. 神田厚

    神田委員 この住宅の移転の問題はやはり大きな問題になってくるだろうと思うわけであります。それは各町村から二次災害の防止の状況それから泥流の問題、これらのものがどういうふうな形になって出てくるかということによりまして、すぐにでも現実的な問題になってくるわけでありまして、ひとつそういう面におきましてこの問題につきましても前向きな御検討を願いたい、こういうふうに考えております。  それから、最後になりましたが、時間がありませんので質問できませんが、私はこの有珠山災害の問題を、短い期間でありますがずっと調べさせていただきまして、火山爆発による災害をカバーする法律というのはないのだろうかと思っていろいろ研究をしてみました。先進各国の例も見ましたけれども、どこにもないようであります。したがいまして、これは火山国であります日本の一つの新しい法律といたしまして、予知から災害復旧に至るまでの火山爆発の関連の法律というものも災害立法として考えていかなければならぬのではないか、こういうふうな感じを持ったのであります。すべて災害復旧は激甚法の指定天災融資法でやっていくと言いましても、これはちょっと無理な点があります。それからお金の問題にしましても、たとえば自作農維持資金を借りてやればいいと言いましても、結局そういうお金は全部返さなければならない問題でありまして、一時貸与というような形でのこういう災害復旧が果たしてこのままでいいのかという問題を強く感じまして、これから先の災害立法につきまして国土庁なり当委員会におきましてやはりもう少し考えていかなければならぬのではないか、こういうふうに考えました。  現地の皆様方も一生懸命にがんばっておりますので、長官、最後にひとつ締めくくりの意味で、この有珠山災害早期復旧について決意をお聞かせいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思うのであります。
  149. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 有珠山噴火は八月七日午前から始まりまして、十三日の夜半まで続いたわけでございますけれども、その間総理初め関係閣僚が、この問題については積極的に対策を考えなければいけないということで、私が中心になってこれまでも進めてまいったわけでございます。  ただいま諸先生方からいろいろな御指摘をいただきましたが、その線に沿うてさらに積極的にこの対策の作業を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御援助のほどをお願い申し上げます。
  150. 神田厚

    神田委員 どうもありがとうございました。
  151. 湯山勇

    湯山委員長 津川武一君。
  152. 津川武一

    津川委員 共産党と革新共同を代表して、有珠火山、八月五日の津軽集中豪雨、今度の台風九号、被害を受けられた皆さんに心からのお見舞いを申し上げます。  そこで、私も現地に行ってみましたが、一番最初に問題になったのは、避難されている人たちです。大きな体育館の中に雑居している。見ておれないので、仕切りカーテンをつけたが、それでも雑居です。この中で子供さんが元気に遊ぶ、歌う、叫ぶ、当然であります。そのために眠れない方たちがたくさん出てきております。それから、雑居のために皆さんが見ておりますので、自分たちの私生活、プライバシーがない。ここでまたかなり問題が出てまいります。それから、普通の災害台風水害であるならば、家の後片づけに懸命になりますので、それ自身が張り切って一つの正常な状態が続くが、いつ来るかわからない噴火を待ってのいらいらした待機でありますので、これもまた相当問題がございました。  それから、私たちが行ったのは二十一日目、現在三十五、六日目だけれども、まだ避難しております。その間に食事四百五十円、しかも地元の人たちが一生懸命おやりになってくださっています。が、食べる料理のメニューがだんだん単調になってまいります。ふだんであれば御自分のうちで自分で炊事する、そこにまたエネルギーの解放もある、こういう状態でありまして、眠れない。プライバシーが失われる、多少ノイローゼになってくる、いらいらになってくる、こういう状態が、私たちが行ったとき、端的に見られました。そこで、災害救助法で炊き出しと同事に、皆さんが自分のうちのものを食べるような食事をつくっていただければ、それなりにまた変わってきます。レクリエーションが、歌会だとか運動会だとか、そういうものがあればまた別な形に変わってまいります。二十一日、三十五日という長い間、単純なメニューで、献立表でやられたときは大変でございます。もう一つは、これを世話される地方自治体の皆さんも大変でございます。そこで災害救助法、四百五十円のあれでいいのか、献立をもっと何か工面する必要があるのではないか。各家庭で、自分で炊事する必要があるのではないか。また、皆さんの慰安の問題が、また時によるといろいろなことがあるのではないか。こうなったときに、現在の災害救助法では間に合わないと思います。これを改正する腹があるのかどうか、これが一点。  第二番目に、国務大臣として、あの避難民、最大の犠牲者をあんな形に長期間置いていいのか。何らかの総合的な対策が必要ではないのか。この二点をお伺いします。
  153. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 長期の災害の場合に、プライバシーの問題、あるいはまた一カ所に大勢の人が集団生活をするということは、心身の面から非常に耐えられないと思うのでございます。過日、富士市で大きな地震を想定しながら演習をやりました。その折に、静岡県の知事さんが婦人会の皆さん方を前にして、やはり地震が起きた場合に、避難するということは同時に楽しさがなければ耐えられないものであるから、これは単にどこか一カ所で炊き出しをして、それをみんなでちょだいするという形よりも、飯ごうを毎戸に配付して、飯ごうで炊飯するという形をとることがやはり地震対策の基本ですよというようなことをお話ししておられましたが、私はなるほどと思いました。いま先生御指摘のように、いまの災害対策基本法、救助法からいいますというと、それらの措置が必ずしも可能な状況ではございませんので、この点については、やはり委員の皆様方ともいろいろ話し合いをしながら今後の方向等を決めてまいりたい、かように考えます。  それから、もう一つはやはり集団で生活をする場所の問題なんでございますが、ただいまの虻田町の状況等を見ますというと、あの地域は必ずしも公民館その他公共施設はそんなに多い地帯ではございません。それだけに町長さんも大変苦労したと思うのでございます。ですから、これは町長さんともいろいろ御相談をしてまいらなければならないことなのでございますけれども、私たちはできるだけ学校の授業にも影響しないような状態で、あるいはまた公民館活動等にも余り影響を与えない程度でどういうように集団生活をしたらよろしいかということを、これからやはり町村長さん方とじっくり話し合って、その対策を進めてまいらなければならない、こう思います。先生の御指摘はごもっともだと思います。
  154. 津川武一

    津川委員 この避難しておられる人たちの生活に対する対策を講ずる。もう一つには旅館業者。農地であれば、作物がやられる、くろがやられる、みぞがやられる。これはわかる。旅館業者の損失は、お客さんが来ないという目に見えない——この損害が大変なんです。農地や普通のうちの畳がやられるのはそれで終わるが、旅館業者の損失は、お客さんが来ないだけでなく、抱えている人員の人件費を払わなければならない。これが今度の有珠の災害一つの特色。あそこに福祉法人の病院がありました。避難体制の中で患者さんが入らない。患者さんを治療することによって得られる収入がない。人件費は払わなければならない。これまた大変な話です。これが一つ。  第二番目には、洞爺湖に落ちた灰によって湖底にどんなどろが出てくるのか。ヘドロになるのか。そこいらの観察も被害もまた見なければならない点が出てまいりました。同じことは、今度は噴火湾、あの海に落ちた灰によってホタテがどうなるか。これも見ていかなければならない。さらに今度は降灰によって農地のつぶれたこと。これは除去する、有機物をやる。これはことしは恐らくだめだろう。来年が完全な農地に回復するかというと、これもだめなんです。普通の農地に回復するまでに、二年かかるか、三年かかるか、四年かかるか、五年かかるか、やってみなければわからない話です。さらに今度はあそこでやられたのは、ジャガイモがやられているのです。アスパラがやられている。スイートコーンがやられている。これに対する損害の補償が何もない。  今度は森林。全然死滅してしまったものは、改植の手当てが法律でもできる。現在曲がって折れたものの損害はどうするか。これはないのです。今度は森林国営保険だと、後でこれは問題にしますけれども、地震噴火は、これは保険の対象から外している。農業災害だとこれはあるのです。こういう点がまた出てくるわけです。  それから今度は予知と観測の体制。これから後二カ月かかるか、三カ月かかるかわからないという体制。これまた地方自治体もいるのです。これ全体をやると地方自治体の職員がどうなるかということです。とても耐えられない。一生懸命やっています。地方自治体の負担がどうなるか。これも大変な話。  とすれば、大臣の言っておる現行法規をフルに回転してやってみる。これはぜひ、絶対欠かすことのできない要素である。しかし、総合的な特殊な立法があったならばこれがどんなに有利にいくだろうということを検討を始めなければならない。いま立法は今度の災害に間に合わないことはわかっている。しかし、いまの状態一つ一つ承知している中で特別立法を検討しなければならないと思う。いますぐ現行法規をフルに回転すること、これが一つ。二つ目には直ちに特別立法の立案にかかる必要があるかと思うのですが、この二点どうです。
  155. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 予知といわゆる噴火との関係でございますが、確かに御指摘のような状況でございます。ですから、私たちはいま、先ほど各委員にも御答弁申し上げましたが、できるだけ現行法で救う道を考えてまいります。その中で、どうしてもこの問題は、具体的にこの問題が救えないという段階でやはり新しい制度をつくらなければならないと思うのでございます。そのために、いまただ手をこまねいて立っているわけではないのです。その問題について、私たちの方は私たちなりに、また自治省は自治省なりに、いま検討を進めておるわけでございますので、そういう点、ひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  156. 津川武一

    津川委員 次に、農作物農地被害に対して。これはあれだけ、カボチャにしてもジャガイモにしてもアスパラにしてもてん菜にしてもやられてみると、これは何か補償する、援助する、融資だけではなく、やはり国が補償していくということが一つ大事な考えで、この考え方が出てこないのか。二つ目には農地復旧の費用、先ほど話したとおりことしはもうだめなんです。来年もやってもどれくらいとれるかわからない、こういうかっこうになったときに、いままでの答弁で九〇%努力するとあった。しかしこれは大変な負担なので、この際、特別立法を考えながら思い切って一〇〇%負担してやらなければいけないと思います。あの洞爺村の若い青年たちがいま一生懸命になってやっているが、もうこれでおれたちがやったものをとれるかどうか、来年どうなるかということの点で非常に問題があるので、この農地復旧に対して、私は国が全部めんどうを見てあげよう、長官は何かできるだけ考えてみようと言っているけれども、ここで安心してやりなさいと言うことが一つ必要になってくる。  第二番目には、共済なんです。畑作共済を試験的にやっていると言っているが、これは答弁だけだ。北海道でいまやっているのは、ビートとジャガイモと小麦と豆類と輪作でやらないとだめなんです。あそこのアスパラもジャガイモもこれは補償がない、共済がないのです。直ちにあそこのアスパラだとかジャガイモ、これは全国的にあるジャガイモ、特に食用ジャガイモです。あそこは羊蹄山と同じように、食用ジャガイモ、アスパラをやっている。それからビートは単独にでもやれるようなかっこうで共済を直していかなければならない。ジャガイモ、豆類、こういうことがぜひ必要なのです。農業に関してこの二点をお答え願います。
  157. 犬伏孝治

    犬伏説明員 農作物被害に対する補償の問題でございますが、現在の農作物の天災による被害に対する補償措置といたしましては、御案内のとおり共済の仕組みによりましてあらかじめ掛金の徴収を受け、これに国庫の負担金を加えてそれで補償するというシステムになっております。そういう仕組みから考えますと、災害がここで起きたということに伴う直接的な補償というのはこれはなかなか困難ではないかというふうに考えております。畑作共済を実施しようとしておりますのも、ただいまお答えいたしましたような共済の仕組みによって補償措置を講じていこうという考え方に基づいておるわけでございます。  その際、御指摘のございました輪作体系でないと対象にしないというのが現在の試験実施の内容でございますが、本格実施の内容としてどのように考えるかという点につきましては、なおいろいろ検討いたしておりますけれども、一つは現在の試験実施でやっておりますのは、共済の実施によってそういう輪作体系を壊すということがあってはならないということからとっておる措置でございまして、そのような輪作体系を考えなくて済むような地域につきましては別途の考え方があり得るのではないかというふうに考えております。  それから農地復旧の際に、物理的に復旧をする、混層をするとかあるいは天地返しをするとかということによってもとの地力に戻るかどうかという問題につきましては、今回降った灰が幸い弱いアルカリ性の灰でございまして、有害な物質が含まれていないということでございまして、ただいまの試験場関係の研究者の見解といたしましては、まぜていけば大丈夫であるというふうに報告を受けております。直ちにもとの生産力に復帰できるかどうかという問題はございますが、これについては諸般の営農指導等を通じまして、また必要な資金の手当てにつきましては、たとえば天災融資法営農資金の中で対象として考えるとかいうようなことによりまして対処してまいりたい、そのように考えております。
  158. 津川武一

    津川委員 審議官の答弁は、答弁ではあるけれども答弁になっていない。  そこで、あの有珠の噴火降灰を受けたあの地域でアスパラ、食用ジャガイモ、ビート、豆類、カボチャ、そういうものに単独ででも、これは全国的に量が多いものだからやるように検討する、検討の結果を私たちに教える、そうでないと地域の農民は承知しません。いまのあなたの輪作体系を壊すとかいろいろなことでなく、あそこであれだけ被害が出ているんだからあそこで救われるような、あそこの作物の共済制度をつくるかどうかということを検討していただいて、私たちの委員会に返事してもらう。そうでないと進みません。  次に森林対策。これもまたひどい。行ってみましたら本当にクリスマスツリーみたいにかぶっておって、枝が枯れる、折れる、幹が傾く、最後はこうなっている。それで死んでしまうと改植には国の補助の制度がある。この木を起こしてまたもとのように伸ばしていくことには何もないのです。この作業が大変なんです。これに対して何らかの援助がないかということが一つ。これをやるとすれば単独の人たちではやれない。かなり地方自治体が事業を組むとかやらなければならぬ。それで先ほど降灰のことが出たけれども、降灰は雨が降るとコンクリになる。したがって地下の体系が変わってくる。微生物が変わってくる。これを除くとすればやはり共同作業でやらなければならない。こういうものは恐らく救農土木事業でやらなければならないと思うのです。こういう点になってくると、やはり特別立法が必要になってくる。この点は十分に踏まえていただきたいと思うのです。  そこで最後の、もう一つの問題は、森林の死んでしまったものを改値する手当てはあるが、この手当てもやはり九〇%でなく援助は一〇〇%、審議官は一〇〇%と答えていないが、これは大臣に答えてもらわなければならない。  それから共済制度、これはびっくりしたのです。森林国営保険法第二条、「森林保険ニ於テハ政府が森林ニ付火災ニ因リテ生ズルコトアルベキ損害及気象上ノ原因ニ因ル災害ニ因リテ生ズルコトアルベギ損害ヲ填補スル」、そうして「気象上ノ原因ニ因ル災害(風害水害雪害干害凍害及潮害ニ限ル)」と言っている。噴火地震も排除している。ところが農業共済農業災害補償法第八十四条に何と書いてあるか。共済の事故は「風水害、干害、冷害、雪害その他気象上の原因(地震及び噴火を含む。)」こうなっているのです。国の法律が。それでこちらの森林国営保険法は昭和十二年三月三十一日、農業災害補償法は昭和五十一年五月二十五日。こんな古い法律がのさばっておって林業の回復を阻止している。  そこで質問。立て直すために国は、あれだけの被害を受けたので九割などというさもしいことを言わないで、やはり上げてやる、このためには特別事業を起こす。第二番目には、この改植しなければならないものに国が援助する。三番目には森林国営保険法を、いまは間に合いません、この次の国会にぜひこういう昭和十二年のものと片方は五十一年、これを改正する必要があると思う。この三点を答えていただきます。
  159. 森本泰次

    ○森本説明員 お答えいたします。  噴火によります造林被害をそのまま放置いたしますことは、森林資源の充実、水資源の涵養機能の確保、森林病虫害の予防等の見地からいたしまして問題がございますので、造林補助事業実施要領に基づきまして、早期被害跡地の復旧を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお御指摘の倒木起こしの件でございますが、これにつきましては造林補助事業実施要領に定めます激甚災害復旧造林に該当いたします場合には補助の採択をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。  それから森林国営保険の件でございますが、現行法では先生御指摘のとおりになってございます。そこで農林省といたしましては、この制度につきまして目下いろいろ検討いたしておりまして、地震噴火等によります被害につきましてもてん補いたす方向でいま検討中というところでございます。  以上でございます。
  160. 津川武一

    津川委員 そこで森林国営保険法、この次の国会にかけますか。
  161. 犬伏孝治

    犬伏説明員 森林国営保険につきまして現在抜本的に実は検討いたしております。先生御指摘のように昭和十二年の法律でかたかなの法律でございますが、実はこれを昭和三十五年に改正をいたしまして、それまでは火災だけが対象でありましたのを気象災を加えたわけです。その際に地震噴火につきまして加えるかどうかという検討を実はやっておったわけです。しかしながら、残念ながら保険設計に乗せるだけのデータがないということで、検討事項として昭和三十五年のその改正の際には残された問題であったわけです。したがいまして、今回の改正につきましては、そういう経緯もございますし、いろいろデータの集積もいたしておりますので、当然改正の対象として加える方向でやっていきたいというふうに存じております。
  162. 津川武一

    津川委員 次に、気象関係でございます。八月七日午前九時ごろ爆発、八月六日明け方から地震観測、関係者に火山情報を提供して人身被害を見なかった。非常によかったと思います。本当に御苦労さまでした。でも問題はないわけではありません。火山爆発とともに室蘭気象台に問い合わせが殺到した。だが適確に正しく応待できる地震担当の地震専門家は係長一人で、観察、予知、予報体制の不備を暴露してしまったのです。室蘭気象台では本当に係長、専門家は一人で、足りません。これはどうしても人員をふやしてあげなければなりません。これが一つ。  二つ目には、自前の電源がなく民間に頼っていて、爆発直後にこの民間の電源に問題を起こして地震計の観測がストップしています。自前の電源くらいは持たなければならないと思います。あの有珠火山はB級火山でございまして、これを見る気象台として自前の電源を持たないのは、有珠のほかに私の知っているところはあるまいと思います。あってもきわめて少ない。こういう設備、施設はやはり直さなければなりません。これが二つ目。  三つ目には、機動班の発動であります。今回はたまたま雌阿寒岳に調査に行くために機動班は装備、運搬体制などすべて整っておった。出発間際に来たから雌阿寒に行かないでそれをすぐ有珠に向けた。ところが、実際に今度はそういう体制がないところに来たならば、起案をする、旅費を支度する、装備を出す、運搬体制を整備すると一週間くらいかかります。今度は間に合ったが、この次は間に合わない体制であります。こういう点で、装備、人員。あの現地で観察されておる皆さんからお話を伺いました。警察の機動隊、自衛隊ならばすぐ来てくれてどんなにいいだろう。警察の移動無線局の仕事を見て、気象台の人たちはよだれを流しております。自衛隊のあの機動力、これだけの装備があっておったならばどれほどぼくらが皆さんにサービスできたのかと言って涙を流しております。しかも気象庁の地震噴火の体制は異常時、緊急時に対応できる体制になっていなければなりません。職員たちはこれを教訓として受け取っております。緊急に間に合うように人員と装備と予算が満たされなければなりません。いろんな旅費や運搬のために一千万円からのお金がかかっておりますが、大蔵省はこれを百万しか認めておりません。そのためにいま北海道の管区気象台で皆さんが打ち合わせに歩いて出ても気象台長しか出張旅費が出ません。全国的な調査検討会には旅費は出ていません。時間外手当も払われていない部分があります。こういう点で予算の措置がぜひぜひ必要になってまいるのであります。地震というものは、表から見ていると、医者で言うならば外科の部分と、内部のものは内科の部分でそれに聴診器を当てるお医者さんがいなければならぬが、この当てるお医者さんが一人しかいない。当てる聴診器が一つよりない。火山のときはほかから地震計を動員しなければならぬ。これが現状なんです。こういう点で、端的に言うと、気象庁内には、地震噴火をやったらうだつが上がらない、偉くなれない。これが予報ならばはなばなしい場面がある、栄達もできる。現に室蘭の気象台の係長が四級から三級に昇格するために二年かかります。本庁の同じ人たちは半年で上がっています。この予報する人たちに使命感を与えるために待遇改善、これは待遇、昇給の点であると同時に、やはり国家公務員であるから、その職場、職柄、地位、こういうものも保証されなければならないと思います。そこで人員不足を、定員法などにかかわらずこの際広げなければならぬ。せめて自前の電源くらいは持つように、こういう点で装備を拡大しなければならぬ。そしてこの人たちが生きるように地震、火山の体制をうんと強化しなければならぬ、ここにハイライトを当てなければならぬと思うわけでございます。最後に予算の問題、こういう点を答えていただきます。
  163. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  私どもの気象庁の所管の中でもまだ予知業務が確立しておらない、あるいはいま確立の途上にあります地震、火山の業務に対しまして、大変深い御理解をいただきまして感謝申し上げる次第でございます。私どもといたしましては、地方にもそういった地震、火山に対する知識を持った者を十分に配備する、また機動班を含めまして諸種の機能を向上させるということにつきましては、もちろんある一定の枠の中ではございますが、最近鋭意努力してきたところでございまして、人員もそれから予算も、気象庁の中といたしましては、地震、火山業務ともにほとんどここ五年近く連続して重要事項として整備に心がけてきた次第でございますが、もちろん十分に国民の皆様の御期待に沿えるかという点におきましては、今後ともなお一層、いまの御趣旨を体しましてその整備、業務の向上に努力していきたいと存じます。
  164. 津川武一

    津川委員 旅費の予算は私よりも委員長が心配していましてね。これはわれわれも文部省と大蔵省にも交渉いたしますけれども、やはり気象庁としても速やかに整備計画を立てて、一応ぼくらに見せていただきたい。そうでないと、地震もひっくるめて安心できない情勢です。  最後に、八月五日の青森県の集中豪雨、これについて二、三点お尋ねいたします。  八月五日に津軽に集中豪雨、八月六日から山梨など関東の長雨、八月八日には島根県に集中豪雨、八月九日には有珠山に大雨、これらは気象上一連の関係があることになれば天災融資法発動になるわけであります。気象庁にこの点の御検討をお願いしてあったのですが、どういうことになりましたでしょうか。
  165. 窪田正八

    ○窪田説明員 気象庁予報部長の窪田でございます。  いま先生からのお話でございますが、きょう私としましても検討結果の中間報告を受けた段階でございます。これが一連の現象であるかどうかということになりますと、現在技術的に検討すべき問題が一つございます。少し技術にわたりますが、簡単にお話しいたしますと、われわれ地球は赤道の方で暖められて、それから北の方で冷たい空気がある、これを高・低気圧、冷たい空気が南へ下がって、それから暖かい空気が北へ上がるというのは高気圧とか低気圧とかいうものの一つの役目になっております。それで現在夏の状態から御存じのとおりな非常に低温の時代を迎えましたが、あの過程といいますのは、実は北の方からの冷たい空気がわれわれが考えていた予想以上に下がってきたという現象でございます。これはかなり学問的にむずかしい問題でございますが、この冷たい空気と暖かい空気の境目が一体継続して存在していたのかどうかというのがいま一貫性の問題のわれわれの検討の段階になっております。実は予報官が解析をします過程で境界あるいは不連続線という言葉を使いますが、それらをつくったりつくらなかったりというのが後になってわかっておりますので、その辺の検討が済めばお答えできるようになるのではないか。率直に申し上げまして、感覚としては学問的にはかなり一貫性の強いという感じはいたしますが、気象庁としましては十七日にもう一回その検討をして、できたら月末までには結論を出したいというふうに計画しております。
  166. 津川武一

    津川委員 気象観測の学問的な事実を曲げるわけにはいきませんので、これは本当に学問的に検討していただいて、もし一連のものとなってくると天災融資法発動になって被害者がかなり恩恵を受けられるわけです。このことだけを申し添えておいて、検討をお願いいたします。  その次に、今度は建設省にお尋ねしますが、あの青森県の集中豪雨のときに建設省はよくやってくれました。田澤長官があそこの出身だということもあるのかもわかりませんけれども非常によくやってくれまして、現地に皆さんよく来てくれまして調べて、それぞれ必要な措置を打っております。私も地元の人たち、被害の現場を見て建設省に交渉したりおねだりしたり、現地の機関とも相談しまして対策は非常に進んでおりますが、皆さんが非常に心配している点は、一つには今度の集中豪雨、あれだけ来ると、岩木川水系が受け入れるだけの能力がないのじゃないか、したがって岩木川水系をあんな遅々としたかっこうの改修でなく、早めていかなければならぬ、これが一つの問題です。  第二番目には、具体的な問題になりますけれども、一つは弘前市内を流れている土渕川と寺沢川、これはもちろんやっているし、やると思うけれども、災害復旧補助事業としてきちんとさせるという計画がどうなっているか、これが一つ。  それから二つ目には浅瀬石川の直轄の朝日橋下流の右岸、ここは今度二年続けてやられて、いま用地買収は皆さん応ずると言っておるので、ここの復旧、防止工事が計画に盛られているかどうか、どうするつもりであるかというのが二つ目。  三つ目には岩木川支流の十川の下流、常海橋から夕顔ぜきにかけてあふれて、上流を改修しても役に立たなかったので、この付近の改修をまずやらなければ問題になりません。これをどうするか。  四つ目には十川の上流、正平津川、本郷川、高館川、この復旧、改良復旧、助成などどうなっているか、当然のことだと思いますが、この点をひとつ伺わせていただきたいと思うのでございます。これが個々の問題。  もう一つの問題は、平川と国道七号線の交差の下流左岸地域に約三ヘクタールの堤防内の農地がございます。毎年これは、川の護岸工事をするたびごとにここをやられてしまって、もう農業はとてもやっていけないので速やかに買収する必要があると思いますが、この計画がどうなっているか。  少し個々のことになりましたけれども、個々のことを答えていただくと同時に岩木川水系の改修を徹底的に早める、この点を伺わしていただきます。
  167. 栂野康行

    ○栂野説明員 まず、全般的な問題をお答えいたします。  五十年災害で岩木川水系が非常にやられた、これにつきましては現在激特事業あるいは災害助成事業ということで改良復旧を鋭意推進しているところでございます。  それで五十一年度の災害個所につきましても、これから同じように激特事業あるいは改良を含めた災害復旧事業というので現在調査検討中でございます。  それで、岩木川水系の河川改修をどうするかという問題でございますけれども、やはりいま申し上げました災害個所をまず第一にやるのは当然でございます。と同時に、いわゆる上流下流あるいは支川と本川、そういう安全度のバランスを見ながら鋭意進めていきたい。  と同時に、また河川改修だけではなくて、洪水調節を主体とした多目的ダム、これを現在上流でやっております。これらの早期完成を図る。あわせまして、流域に池があるわけでございます。それで、池を生かせるところはできるだけ生かしてもらって そうしましていわゆる水系全体としまして水源から河口に至るまでその改修の促進を今後とも図ってまいりたいと考えております。  個々の問題につきましては、また各課長から答えさせていただきたいと思います。
  168. 井沢健二

    井沢説明員 土渕川につきましては、先年の五十年の災害で非常に大きな災害をこうむったわけでございまして、その際に五十年災害に基づきます助成事業を現在進行中でございます。それで先生御指摘のとおり、これにつきましては大いに促進をいたしたいというふうに考えております。  それから、今回その支川でございます寺沢川が非常に大きな洪水の流出を見たわけでございます。が、これも今次の非常に激甚な災害の状態にかんがみまして、災害助成事業といったような改良復旧検討いたしております。  それからもう一つは十川支川の関係の高館川、本郷川、正平津川等の十川水系の問題でございますが、高館川、本郷川につきましては、今回の非常な災害の状態にかんがみまして助成事業を考えたいというふうに検討をいたしております。また正平津川につきましてはあるいは一定災になるのではないかというふうなことで、そういう点を考えております。  これらの川につきましてはいま河川局長答弁のとおり、支川全体の川を考えながら対処してまいりたいと考えております。
  169. 川本正知

    ○川本説明員 お答えいたします。  まず第一点の浅瀬石川の朝日橋下流右岸のことでございますが、この一連地区につきましては上流の災害復旧助成事業とあわせまして直轄事業で進捗を図ってきておりますが、今年度も用地の買収とそれから下流から築堤をやろうとしております。  先生お申し越しのこの個所につきましても、この築堤を極力早くしたい、そういうふうに思っておりまして、促進を図りたいと思っております。  それから十川の下流のことでございますが、十川の下流の河川改修、これも低水路拡幅のために用地買収をしておるところでございますけれども、今年の出水にかんがみまして施工個所の見直しをしたいと思っております。そして下流部の方へ施工個所を集中して促進を図っていきたい、そう思っております。  それから平川橋下流左岸の堤内民地のことでございますが、この地区は対岸の右岸側がまだ無堤地区がございまして、その無堤地区の改修のために用地買収を現在極力努力して進めてきておるわけでございます。左岸側の堤防につきましては、堤防そのものは完成しておりますので、堤内民地の買収ということになりますとこれは岩木川全体の改修事業の進捗といったものを見ながらその時期を検討させていただきたい、そういうふうに思っております。
  170. 津川武一

    津川委員 これで終わりますが、大臣にひとつ、北海道の有珠の災害復旧に当たって、いままで九割出ているが、これは十割になりませんか、ひとつそこだけ聞いて終わります。
  171. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 農地復旧についてのことだと思いますけれども、先ほど来お答えしておりますとおり、いわゆる暫定措置法によりますと、五十一年度の災害の結果から言いまして九〇%程度の助成をいたしている現状である。ですから私たちは、やはり災害の大きい小さいにもよるものだと思いますが、それらの点をできるだけ先生の御希望に沿うように努力をしてまいります。現行法で進みますとそういうことでございますので、今後できるだけ諸先生方の意向を体してこれらの弾力的な措置をしてまいりたい、こう考えております。
  172. 津川武一

    津川委員 終わります。
  173. 湯山勇

    湯山委員長 有馬元治君。
  174. 有馬元治

    有馬委員 最後になりまして、時間も遅くなって政府側初め大変恐縮でございますが、本朝来の質疑を通じて問題点は明らかになっております。が、御答弁を聞いておりますと、どうも納得がしにくい。また現地の御心配や御要請にもう一歩近づくことができないのだろうかという気がいたしますので、私から再度、なるたけ重複を避けるつもりでございますがお尋ねをいたしたいと思います。  冒頭に、先ほどからの質疑を通じまして、田澤長官から、今回の災害復旧については全額国庫負担という精神で臨むのだということと、それから現行法で賄い切れない点は法律改正あるいは特別立法も辞さないのだ、こういう非常に力強い御方針の御答弁がありまして、私はこれは非常に高く大臣の御決意を評価するわけでございますが、何せ現実はなかなかそこまで至っていないという感じがいたしますので、最初に具体的なことをお尋ねをして、それからまた最後に大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。  第一に農林省関係でございますが、農地復旧工事は、これは急がなければならぬということはだれでもわかることでございますが、従来の例によるとどうも復旧工事は二、三年がかりでやるというのが原則になっておるようでございますが、今回の農地災害復旧については、あらゆる予算の応急的な措置をやって、なるたけ短期にやり上げていただく、そして従来からの三〇%、五〇%、二〇%という三年がかりの原則にこだわらずに、できるだけ本年度中にやり上げて、しかも工事が終わった分については全額補助金を即座に支給する、こういう態勢で臨んでいただきたいと思いますが、農林省のお考えをお尋ねいたすわけでございます。
  175. 善木正敏

    善木説明員 私の方も、農家の営農という点がございますので、できるだけ早く工事に着手をいたしまして復旧をいたしたいということで臨んでおるわけでございます。八月二十五日から復旧着手しているわけでございまして、本年の降雪期までに、秋作を希望されるところにつきましてはその大半実施いたします。そしてさらに来春の五月中までには作付支障のないように完了する、こういうような目安でいま進んでおるわけでございます。何と申しましても、農家の方々が時期を失したのでは作付ができないというようなことがございますので、それに焦点を置いて早期復旧に努めておるわけでございます。  なお、この予算につきましては、全体といたしまして三カ年で完了するということになっておるわけでございますが、被災各地の事業実施体制あるいはその緊急性というような、その実態に応じまして復旧を図るというふうにいたしておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、緊急性の高いものにつきましては一年あるいは二年ということで完了させる方針で対処しておるわけでございます。
  176. 有馬元治

    有馬委員 そこで、先ほども神田委員から御指摘がございましたが、補助対象の基準といいますか、そういうものを設けておるからこういう議論が出るのだと思いますが、今回の降灰の粒径といいますか、大きい小さいによって補助対象の基準を決めておるような御説明がございましたが、私は一ミリ以下の粒子の場合に二センチの厚さというような補助対象基準を先ほど聞いたのでございますが、私も現地に行って畑の状況を見たのです。が、降灰のときから雨が降っておりますし、その後も雨が降っておる。これはあたかも生コンをひっくり返したような状態でございますから、二センチの厚さなんて言いますと、私は体重が七十八キロですが、乗ってみてもびくともしない。こんなものを対象から外すと、結局何のための災害復旧かわからない。そういう状態でございますから、この二センチというものはこの際ぜひ緩和していただきたい。これでやったのでは復旧にならないと思いますので、この点は再度お尋ねをいたします。政府側のはっきりした答弁をお願いしたいと思います。
  177. 善木正敏

    善木説明員 ただいまの件でございますけれども、この堆積されております降灰の厚さにつきましては、暫定法によりましてこの厚さの基準が決まっているわけでございます。この暫定法によりますと、営農上農家が行うものと区別いたしまして、土砂堆積の平均の厚さが、粒径一ミリメーター以下の土砂にあっては二七ンチメーター以上、また、粒径〇・二五ミリメーター以下の土砂にありては五センチメーター以上の被害があった場合に農地復旧事業として補助対象としておるということでございます。したがいまして、この粒径だけで言いますと、粒径が一ミリメーター以上あれば、降灰平均厚さが二センチメーター以下であっても採択するというようなことになろうかと思います。が、いずれにいたしましても、暫定法によりましてこの点は明記をされているわけでございます。
  178. 有馬元治

    有馬委員 暫定法というのは私読んだことないのですが、そこで言う「土砂」というのは今度のような降灰、火山灰も土砂に入るのですか。火山灰と普通の水害のときの土砂とは大分違うと思うのですよ。そしてもう、それの議論をするならば、降ったときの厚さか固まった後の厚さか、その辺はどう考えておられるのですか。
  179. 善木正敏

    善木説明員 ここで「土砂流入による」というふうな言い回しをしておりますが、この点につきましては桜島の時点でもこの法律によりまして対応しておるわけでございます。したがいまして、当然降灰というようなことも予想をして考えておるわけでございます。  それから厚さの話でございますが、これは査定時点の厚さということで規定をしておるわけでございます。
  180. 有馬元治

    有馬委員 土砂の流入と灰が天から降ってくるというのではずいぶん違うのですよ。そして灰と土砂とは性質が違うのですからね。これを同じ基準で律するというのはおかしいじゃありませんか。
  181. 善木正敏

    善木説明員 これはどちらでも適用できるということで、冒頭御説明いたしましたように、降灰の堆積のみならず土砂流入によってというふうなことで説明をしておるわけでございます。当然、降灰ということをいま言いましたような粒径あるいは厚さの中で規定をして対応してきたわけでございます。
  182. 有馬元治

    有馬委員 どうもこれは納得できませんね。私も乗ってみたのだけれども、二センチの厚さというのはもうコンクリートに近いような強さを持っておりますからね。だから粒子が小さくなればなるほど生コンと同じような固さを持っているように私は見てきたのです。だから、これを二センチで補助対象から外すなんというようなことは、せっかく農地復旧工事を——ほとんど九〇%近い国庫負担になるのだと思うのですよ、いろいろな基準はありますけれども。それだけの善政をしいておきながら、この基準で相当な面積が外れるじゃありませんか。これではどうしようもないと思うのですよ。
  183. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 この問題につきましては、農林省がこれまで二センチの土砂に対しては営農が可能だという一つの経験から恐らくつくられた条項であろうと思うのでございます。ところが、いま先生御指摘のように、有珠山降灰あるいは火山れきというものは、必ずしもそれに的確に該当するがどうかということは非常に問題があろうと思うのでございますので、この点については農業の専門家に十分研究させるということで御理解をいただきたいと思うのでございますが……。
  184. 有馬元治

    有馬委員 ただいまの長官の御答弁で了解いたしますが、ぜひひとつ現地でよく検討してみてください。  それから、漁業の点で先ほどから応答がございまして、あれでわからぬわけでもないのですが、やはり現地の漁協から強く沖出しの場合の国庫補助を要望されている点を考えますと、なるほど河口に近いところの方が育成にはいい、この理屈はわかるのですが、やはりその川に大量の土砂というか降灰が流れてくるわけですからね。それによって現実に被害額で十四億、ホタテで六千五百トンの被害が出ているのですから、これは育成上いまのままがいいんだという理屈はどうも、私は素人ですけれども納得しがたい。そして沖出しをするならば、これはまた個人営業の場合には融資等の方法しか考えられないのでしょうけれども、共同施設という形でできるだけ国の補助で思い切ったことをやらないと、後々これは尾を引いてくるという感じが私はいたしますので、この点はもう少し弾力的に考えていただいて、やはり現地の漁民諸公が納得するような方法を中央で教えてやるべきだと思うのです。それを一つ先ほどの応答を聞いておりまして感じましたので、いま一度農林御当局から御答弁をいただきたいと思います。
  185. 伊賀原弥一郎

    伊賀説明員 御説明を申し上げます。  先生からのお話で、河口の方がいいのではないかということについては納得できない、こういうお話があったわけでございますが、私申し上げましたのは、河口に近いところにつきましては栄養分が多いケースが多うございまして成長が一般的によろしい、ところが今回の場合はそういうところが比較的被害を受けたということで、これを移動する場合には両面考える必要があるという二面性の話を申し上げたわけでございます。  現地から養殖場の移転沖出しが必要だ、これに対する助成をほしいという話は私ども聞いているわけでございますけれども、一応一般的な話としては聞いておりますけれども、実はざっくばらんに申し上げまして、当初災害発生しました前後に調べました段階におきましては稚貝を主とする被害でございまして、それほど半成貝、成貝というものは大きな被害がないという状態にございましたので、それほど大きな声としても上がっていなかったという事情がございます。ところが、先生から御指摘ありましたように、つい最近でございますけれども、北海道庁がさらに精査いたしました結果、相当大きな被害があるということで、先生御指摘のありましたような問題もさらに大きく浮かび上がってきたのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。私どもといたしましても、現地被害状況につきましては土曜日に状況の数字が上がった段階でございまして、まだ内容も十分聞いておりませんけれども、その内容をよく聞かしていただきまして、現地とも相談しまして適切な手を打ってみたいというぐあいに考えているわけでございます。  助成いたします内容といたしましては、個人施設関係につきましてはやはり融資制度が中心になると思いますけれども、共同利用施設の一部につきましては補助ができる場面があるのではないかというぐあいに考えております。  大変具体的な段階でない御返答で残念に思う次第でございますが、私どもといたしましては、ここ数年来、噴火湾一帯につきましてはホタテの一つの主産地といたしまして育てるために一生懸命にやってきたという経緯もございますし、こういう方向で今後も対処してまいりたいというぐあいに考えておりますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。
  186. 有馬元治

    有馬委員 ひとつ現地の漁民の皆さんが納得するような方法で御指導願いたいと思います。  それから厚生省にお尋ねしたいのですが、一つは医療機関に対する融資の問題、あそこにはわれわれが拝見をした協会病院、これは社会福祉法人で設立しておる病院のようですが、これともう一つ壮瞥に三恵病院というのですか、医療法人としての病院があるように聞いておりますが、特に協会病院からは具体的な陳情がございまして、院長御みずから話がございましたが、今度の噴火によって非常に大きな損害を受けております。まず第一に、ガラス窓は全部と言っていいほど破損をしておる。そして患者はようやくのことで避難をさせて、今日どうなっているかわかりませんが、当時はまだ開店休業でございました。これをもとどおり復旧して病院経営をやっていくには大変な努力が要ると思いますが、まず第一先立つものは金でございますから、復旧のための資金と運転資金、この両面があるわけでしょうが、この御要請に対してどういうふうに厚生省の方はお考えになっているのか、御説明願いたいと思います。
  187. 岸本正裕

    ○岸本説明員 ただいまの御質問についてお答えいたします。  北海道社会事業協会が経営いたしております洞爺病院でございますが、ここは有珠山の爆発によります被害を相当受けているわけでございます。今後私どもといたしましては、この施設災害復旧事業に対します助成につきましては、関係部局と連携をとりながら最大限の努力をしていきたいと思っております。  なお、具体的な問題といたしまして、公的医療機関に対しましては、年金福祉事業団から施設とか設備の貸付融資を行っているわけでございます。けれども、この災害に関しまして特別の災害貸し付けということもお願いをしたいと思っておりますし、また、つなぎ資金に関連いたしまして、既往の貸付金の償還猶予というようなことも十分に配慮してもらうよう要請していきたいと思っております。これに関連いたしまして、私ども、当面のつなぎ資金対策といたしましては、現在北海道庁におきましても人件費相当分の一部を貸し付けるという対策がかなり積極的に検討をされていると伺っておりますし、また、幸いにいたしましてこの病院は五十一年度黒字でございまして、相当の剰余金を持っている。そのほかに、この北海道社会事業協会というのは北海道内で七つの病院を経営いたしておりますけれども、その七病院が相互援助をして洞爺病院の苦境を助けようという動きもあるわけでございます。私どもといたしましては、このような病院相互の援助ということに対しましてはきわめて望ましいというふうに考えておりまして、これを推進するために、五十二年度予算におきましても、このような動きに対しまして助成をし、育成をするという措置を講じてあるわけでございます。今度この関係者とよく話し合いをしまして、この病院の助成につきましての協力を積極的にしていきたいと思っております。
  188. 有馬元治

    有馬委員 設備資金といいますか、復旧資金の方は事業団から出すようなお話ですが、問題はやはり運転資金なんですね。運転資金を福祉関係団体から融通し合うとかそれに若干の利子補給をするようなことのお話がありましたけれども、なぜ運転資金を正面から事業団が融資して悪いのでしょうか。
  189. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  先生も十分御案内のとおり、年金福祉事業団は、その事業の原資を挙げて年金積立金の被保険者等への福祉還元のための還元融資に充てるという、年金資金の還元融資の専門機関ということで設立されまして、設立当初から安全確実な運用あるいは融資先の施設が末長く被保険者等に利用される、そういったところに運用をするという目的をもって、被保険者の福祉増進のために必要な施設の整備費に限って融資をする、そこが恐らく政府関係のいろいろな金融公庫と称されるところと違うところでございまして、年金福祉事業団の本来の性格と言ってもいいかと思いますけれども、そういうことで、当初から施設整備費に限定して事業団は融資を行うことにしているわけでございます。  仮に事業経営のための運転資金融資まで考えるということになりますと、年金福祉事業団はその融資対象として、冒頭申し上げましたような趣旨からいろいろな施設融資をしております。中心的には厚生年金の適用事業所の事業主さんが厚生年金の被保険者である従業員のための施設をつくる、社宅ですかとあるいはいろいろな厚生福祉施設をつくる、こういうところへの融資というものを本来の目的としてつくられた機関でございまして、その一環として、病院関係で申しますと、事業主が従業員のために病院を設置するときの整備資金を貸すというようなことでございまして、療養関係、病院関係施設だけでもほかにいろいろなものがございますし、それから厚生福祉関係施設がいろいろございまして、そういうところの運転資金まで見るのか、そこまで還元融資資金量が間に合うかというようなことがございます。  結論だけ申しますと、ほかの施設の運転資金をどうするかという問題あるいは年金福祉事業団の性格を今後どう改めるかという非常に大きな問題を含んでおりまして、私どもとしては、やはり公的医療機関の事業経営のための運転資金をどうするかといったそちらの見地から考えるべき問題ではないか、事業団の限界を越えているのじゃないかということでございます。
  190. 有馬元治

    有馬委員 事業団はそういういろいろな制約があるのかもしれませんが、要するに運転資金をどこから出せばいいのか、あとは医療公庫かどこかしかないでしょう。その道をあけておかぬと、災害で病院がやられて、復旧資金は何とか都合つけるけれども、運転資金政府はめんどう見ませんよ、これで済ませる問題じゃないのじゃないですか。
  191. 岸本正裕

    ○岸本説明員 運転資金の制度化につきましてはいろいろと困難な問題があるわけでございますけれども、当面の措置といたしまして、私ども相互援助による財政調整といいますか、そういう対策に対しましての助成措置というものを五十二年度から予算化をしたわけでございます。今後ともこれを育てていきたいと思っておりますが、なお制度化につきましては、関係部局と検討をしていきたいと思っております。
  192. 有馬元治

    有馬委員 まあひとつ制度化をこの際思い切って検討してください。  それから、水道対策ですが、先ほども神田先生からお話がございましたが、今回の災害は、これは全く天から降ってわいた災害でございますので、われわれの調査団も木の実団地に参って、あそこの浄水場が灰に埋まってどうしようもない、結局新しく浄水場をつくらなければどうにもならないという状態で、ほかにもたとえば豊浦等についてもそういう問題があるようでございます。水道事業が公営事業という考え方で従来から二分の一の国庫補助ということのようでございますが、今回のような場合には、二分の一の国庫補助でまた新しいところをつくれと言っても大変な自治体の負担になりますので、例外的に、先ほどの大臣の基本方針じゃないけれども、全額、全額ができなければ高率、こういうことでひとつやっていただきたいと思うのですが、厚生省の御見解を承りたいと思います。
  193. 山村勝美

    ○山村説明員 ただいま御指摘ございましたように、水源の水質が悪化する、あるいは防災上の見地から水源を移転するという問題があることは承知いたしております。ただし、現状において果たして水源の移転が必要なのかどうかという点についてはまだ十分詰まっておりませんで、必要でないような事情もちょっと見受けられますので、過大な投資を抑制するといったような意味からも、慎重に検討する必要があるというふうに考えておりまして、十月上旬には現地査定実施して、早急に結論を出したいというふうに考えております。  御指摘の補助率についてでございますが、従来、地震によりまして水道施設の七〇%を占めるパイプの相当部分被害を受けたといったような壊滅的な被害を受けた事例について、高率補助を適用した事例がございますが、水質の汚濁等を理由としまして水源移転をするような事例につきましては、通常の風水害でもよく見受けられる事例でもございまして、これらにつきましては従来から、ただいま御指摘のように二分の一の補助で実施してきたところでありますことから、今回につきましても高率補助とすることについてはむずかしいのではないかというように考えております。
  194. 有馬元治

    有馬委員 これもやはり今回の災害を契機に、ひとつ高率補助の御検討を厚生省、政府側にお願いいたしたいと思います。  それから健康管理の問題でございますが、これはあれだけの降灰があった直後は、特に粉じんといいますか、灰の人体に対する障害が考えられるわけでございます。この点に対する厚生省御当局の御指導はどういうふうにされるつもりか。特に工場、事業場における粉じん問題については労働基準法にも細かい規制がございますし、すでに労働省で相当の経験と実績を持っておる問題でございますから、工場、事業場であれば当然あれは放置しない、一般住民であるからまあまあ見て見ぬふりをするというわけにはいかないと思うのです。この降灰に伴う健康診断その他の健康上の問題についていかなる御方針で臨まれるのかお答えいただきたいと思います。
  195. 仲村英一

    ○仲村説明員 降灰がありました地域住民の健康問題というのはもちろん非常に大切なことだと思いますが、いままで地元対策といたしまして私どもが聞いておりますのは、一般的な救急医療的な問題あるいは避難所の健康管理の問題という観点で医療援助を地元医療機関あるいは町村あるいは保健所がやっておったというふうに聞いております。  その際の報告でございますが、当然のことながらうがいでございますとか洗眼をするというような、一般的な粉じん吸入の予防と申しますか、そういうふうな指導をしておったと聞いております。し、診療班に受診いたしました住民の方で呼吸器系の障害があったというふうには聞いております。けれども、いま先生がおっしゃいましたようなじん肺と申しますか、そのような特異的な症状について特に多発したということはまだ私どもとして報告を受け取っておりません。したがいまして、今後ともそういう問題も含めまして、地元住民の健康上の問題につきましては保健所等を十分指導するように、特に道庁の方とも十分に連絡をとってまいりたいと考えております。
  196. 有馬元治

    有馬委員 今回の問題は、あれでおさまった、このままだと健康上にどうこうという問題はあるいはないのかもしれませんが、鹿児島の桜島等においてはもう長年にわたってああいう状態を繰り返しておるわけですから、これは住民に非常に不安を与えるという点も考えなければいけませんので、やり方は慎重を要すると思いますけれども、やはりどこかで健康診断を続けていく、そして、人体に何がしかの障害があるのではないかという感じがいたしますので、この点も十分御配慮いただきたいと思うわけでございます。  次に、建設省の関係をお尋ねしたいと思います。が、今度のような降灰がありますと、灰の除去ということと、それから二次災害現地では再度災害と言っておるようですが、この二次災害決定的な防止を緊急に図らなければならない、これはもうあたりまえのことでございます。一般市街地に降った灰の除去は、恐らく都市災害復旧事業でやっておられるのだと思うのですけれども、あるいは道路は公共土木災害復旧事業でやっておるのかもしれませんが、いずれにしても国の補助が三分の二、地元が三分の一——今度の有珠山降灰に伴うこれらの事業を道庁あたりで概算しておるようでございますが、やはり百億を超す事業量になる。そうだとすると、三分の二は国庫補助で、三分の一は地元負担ということになると、なかなかこれは地元は容易ではない。やはりこの点についてもひとつ高率補助、できれば全額——農地復旧との兼ね合いにおきましてももっともっと国は補助を上げていかなきゃいかぬ。これは予算補助でやっているのでしょうから、何も法律をいじくる必要はない。政府御当局で話し合えばすぐできる問題です。この点をひとつ建設省にお尋ねいたしたいと思います。
  197. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  市街地内に降った土砂については、いま先生おっしゃったように都市災害に基づく堆積土砂排除事業というのでやっているわけでございます。これにつきましては、実は現行制度は二分の一の補助でございまして、三分の二は道路上に降ったといいますか公共土木災の場合でございまして、私たちとしては、この二分の一の補助では非常に困難であるというようなこともございまして、五十三年度予算を踏まえまして財政当局と十分協議、検討してまいりたい、こう思っております。  なお、激甚災害指定を受けた場合は特別財政援助対象事業となります。また、特定地方公共団体指定を受けますと、通常の補助率、いわゆる二分の丁に加えまして特別の財政補助が交付されることになっておりますので、先生おっしゃるように高率補助になる可能性は十分あるわけでございます。  以上でございます。
  198. 有馬元治

    有馬委員 二分の一はなるほど高率は高率かもしれませんけれども、これは額がかさみますし、いまの概算だけでも百億を超す事業規模が考えられるわけですから、ぜひもっと十分の九とか十分の八とか、本当の高率補助でやっていただきたい。これはやはり至急に検討して、今度の災害を契機に高率補助の制度を確立していただきたいと思います。
  199. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 努力してまいりたいと思います。
  200. 有馬元治

    有馬委員 次に、労働省関係一つばかりお尋ねしますが、先ほどの御答弁で、季節労働者に対する受給資格が足りない面は何とか事業主と本人負担の保険料を納めて、六カ月あるいは四カ月二十二日の受給資格を取得させて保険金を支給する、こういう御答弁がありましたが、これがいま当面できる最善の方法かもわかりませんけれども、よく考えてみますと、そうやって失業保険金をもらっても季節労働者の場合には、これは短期受給者ですから五十日ぽっきりだと思うのですね。最高が二千七百円ですから、掛け算をしますと十三万五千円ばかりにしかならない。これで越冬して来春を待つということになると、生活費としてもこれは当然足りない額でございます。  そこで、もう少し知恵はないのか。現地の旅館業者、ホテル関係者はもう本当にどうやって経営を維持していくか。それには従業員を抱えておったのでは、来春まで持ちこたえられない。従業員は従業員として自分で生活費をかせいでもらいたい。これが切なる声だと思うのです。だとすると、来春までの生活費を得る手段として、もちろん農地復旧とかあるいは緊急治山事業とかいろいろな事業もありますけれども、やはりこれにはこれで山林労務者だとか農民だとかいう方々が就労しますので、あの地域の温泉場は二千五百人従業員を抱えている、こういう状態から想像しますと、必ずしも失業保険金だけで越冬をし来春を待つというわけにはいかない、そういう人たちが相当出てくると思うのです。そうなればやはり何とか現地において食いつないでいける方策を考えてもらわなければいかぬ。失業者だからよそへ職場を求めて転職させるのだというのでは意味がない。あの地域に温存して、そして生活を保障していく、こういう対策を考えてやらなければならぬと思うのですが、労働省はもっと知恵を出す必要があると思うのですけれども、いい知恵はないものだろうか。ぜひひとつ前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
  201. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  現在、先ほど御答弁申し上げましたように、雇用保険の受給者につきましては受給資格ができるように対策をとっているわけでございますが、先生のおっしゃった点で、出かせぎと申しますか、一時的な離職者と、それから常用就職でさらに離職していく離職者と二つの問題があるかと思うのでございますけれども、特に労働力保全のために常用就職者をとりあえず首を切らなければならないけれども、それを地元に保全しておきたいというような問題につきましては、先生のおっしゃるとおり知恵を出せということでございますけれども、十分適確な制度がないわけでございますが、検討いたしましたところでは、災害指定された場合に、その地域に居住して離職した者に対しましては訓練手当を支給することができるという制度がございますので、職業安定所を通じまして職業訓練を受けるということで、職業訓練所の方で、三カ月の速成訓練とかいろいろ委託訓練を行う制度もございますので、この制度を弾力的に運用することによって職業訓練を受けるという形で労働力保全を行っていくという方法検討させていただきたいというふうに思います。
  202. 有馬元治

    有馬委員 時間が来ましたので、一つだけ最後に田澤長官にお尋ねいたしたいと思いますが、現在の火山噴火の予知、観測体制はこれでいいんだろうかという感じが、現地を見てきて非常にしたのでございますが、中央の段階においては連絡会に国土庁から構成員としてメンバーが出ておる。しかし地方の段階になりますと、気象庁と学者の先生方だけでやっておられる。なるほど噴火の予知という非常に学問的な問題でございますから、行政当局が入り込んでいろいろと雑音を入れることはよくないと思いますけれども、しかし実際にやることは、やはりそれに対応して行政措置を緊急にやらなければならぬわけでございますから、やはり現地段階の観測予知陣営に都道府県段階の責任者を入れて、これはやはり予知と行政との密接な連携、これを一段と図る必要があるのではないか、私はこういう感じがして現地を見てきたのでございますが、この点に対する大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  203. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 地震の場合の予知についてでございますけれども、東海地域地震予知判定会というのが最近できまして、その判定会はあくまでも東大の名誉教授の萩原先生を中心にして学者グループでできております。その判定会の結果が出ますと、いつどこでどの程度の地震が起きるということが予知されますと、それはあくまでも行政の責任でそれを措置するということになっているのが、地震の場合なんでございます。  ですから、やはり火山の場合も、火山噴火予知というものはあくまでもやはり純粋に、科学的に、総合的に判断していただかなければならない問題だと思いますので、その結果を、私たちは勇気を持って行政措置を行うという関連さえはっきりしておりますならば、私は先生御指摘の御心配のような状況にならないものと、こう思います。しかし、ただいま先生のせっかくの御指摘でございますので、私たちもそういう点については今後一層検討してまいりたい、こう考えます。
  204. 有馬元治

    有馬委員 どうもありがとうございました。  これで終わります。
  205. 湯山勇

    湯山委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十分散会      ————◇—————