運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-09-12 第81回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年九月十二日(月曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 島本 虎三君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 向山 一人君 理事 土井たか子君    理事 水田  稔君       島村 宜伸君    永田 亮一君       山本 政弘君    坂口  力君       竹内 勝彦君    山原健二郎君       甘利  正君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  委員外出席者         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         厚生省公衆衛生         局結核成人病課         長       仲村 英一君         林野庁林政部管         理課長     渡邊 信作君         林野庁指導部計         画課長     下川 英雄君         水産庁次長   恩田 幸雄君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      平河喜美男君         労働省労働基準         局労災管理課長 増田 雅一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 八月三日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     津川 武一君 同月二十日  辞任         補欠選任   津川 武一君     東中 光雄君 九月十二日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     山原健二郎君   刀祢館正也君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     東中 光雄君   甘利  正君     刀祢館正也君     ————————————— 八月三日  一、環境影響事前評価による開発事業規制に   関する法律案土井たか子君外四名提出、第   八十回国会衆法第三四号)  二、環境影響事前評価による開発事業規制に   関する法律案古寺宏君外二名提出、第八十   回国会衆法第三九号)  三、公害対策並びに環境保全に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(赤潮問題  等)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 島本虎三

    島本委員長 これより会議を開きます。  この際、去る九月五日から四日間、公害対策並びに環境保全状況実情調査のために委員を派遣いたしましたので、派遣委員報告を聴取いたします。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井委員 公害対策並びに環境保全状況実情調査するため、議長の承認を得て、去る九月五日から八日まで四日間、北海道及び青森県に派遣されました派遣委員を代表して、その概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、委員長島本虎三君、染谷誠君、向山一人君、水田稔君、中井洽君、竹内勝彦君及び私、土井たか子の七名でありまして、ほかに現地参加として地元選出議員参加を得ております。  調査団は、九月五日、まず北海道に入り、北海道庁において道当局から北海道における環境保全対策概要について説明を聴取した後、石狩湾新港開発計画地域に赴き、この地域環境保全概要について北海道当局から説明を聴取するとともに、港湾建設現況調査し、あわせて石狩町長から茨戸川の水質汚濁除去対策促進方について陳情を受けました。  翌六日は、大雪山国立公園内の層雲峡観光ホテルにおいて、下水道整備促進について上川町長から陳情を受けた後、旅館汚水処理状況について調査を行いました。次いで、大雪ダムペンケチャロマップ展望地点及び狸台林道を遠望する地点におきまして、大雪ダム補償林道の経緯及び現況につきまして旭川営林局から説明を聴取いたしました。引き続いて恵庭岳山ろくの自然の村に赴きまして、冬季オリンピック滑降競技場跡の復元について北海道当局から説明を聴取いたしました。  さらに支笏湖畔におきましては、ヒメマスの魚病発生の経過、有珠山爆発による自然施設被害状況等について北海道当局等から説明を聴取した後、千歳市長から特定環境保全公共下水道事業促進等について陳情を受けました。  七日は、苫小牧市役所に赴き、北海道及び苫小牧当局から苫小牧東部工業基地開発計画に伴う環境保全問題について説明を聴取した後、船上から苫小牧西港現況調査し、さらに苫小牧東港建設現場に赴き、港湾建設現況調査いたしました。  次いで空路青森県に入り、八戸臨海工業地帯現況調査した後、八戸市役所において青森当局から八戸地域公害防止計画等概要について、八戸当局から八戸公害健康被害救済制度についてそれぞれ説明を聴取いたしました。  八日はむつ小川原開発計画地域に赴き、高瀬川、鷹架沼及び尾駮沼の現況調査した後、六ヶ所村公民館において青森当局から、むつ小川原開発計画に伴う環境保全問題及び下北原子力発電所建設計画について説明を聴取し、さらに六ヶ所村議会議長から開発計画促進について、六ヶ所を守る会会長から環境影響評価のやり直しと第二次基本計画の再検討について、それぞれ陳情を受けました。  次いで、開発計画の実施により移転する予定の上北馬鈴薯原種農場からその実情を聴取し、さらに、開発地域からの移住者を受け入れるため六ヶ所村千歳地区に建設された新市街地の現況調査いたしました。  以上、調査概要を簡単に御報告いたしましたが、調査結果の詳細につきましては、委員長のお手元に報告書提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らいをお願いいたします。  以上、御報告申し上げます。
  4. 島本虎三

    島本委員長 以上で派遣委員からの報告聴取は終わりました。  お諮りいたします。  ただいまの土井たか子君の御提案のとおり、調査報告書を本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 島本虎三

    島本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————     〔委員長退席、林(義)委員長代理着席
  6. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  7. 島本虎三

    島本委員 本委員会は、いま土井委員より報告がございましたように、公害対策並びに環境保全状況実情調査のために、九月五日から八日まで、北海道並び青森県へ出向いたのでありました。  特に北海道へ参りました際には、八月七日に起こった有珠山噴火による被害状況、まさにこれはみじめなものでありました。  私どもはいまこれを見まして、特に洞爺湖一帯においては森林の被害が著しいのでありまして、山には全く緑が見られない、国立公園地域の山容もすっかり荒れ果てて、どのようにして昔の美しい姿に戻すのか、今後の大きな課題になっておるのであります。  この被害実情、百十九億六千五百万円とも言われておるのでありますが、自然災害ではありますけれども最大自然環境破壊であり、当委員会としては被害状況復旧に関心を当然寄せざるを得ないのであります。いわば最大公害であり、最大自然破壊であります。その救済、そして施設復旧には、政府はいま重大な決意をもって当たらなければならないときであります。  本委員会と同じく災害対策特別委員会も開かれております。同時にまた、農林水産常任委員会も開かれておるのであります。このような状態のもとに、いま国土庁長官を軸として盛んにその対策に当たっておられるようでありますが、この際、国務大臣として長官救済に対する決意を伺っておきたいと思います。
  8. 石原慎太郎

    石原国務大臣 有珠山の問題は、主として所管は国土庁でございますが、しかしあそこには国立公園もございますし、また、その間近に大ぜいの人が住んでいらっしゃいまして、爆発の最中、閣議でもしばしば話題になりました。政府といたしましても、日本列島全体が、何と言いましょうか、火山列島というべき性格の国土でございまして、有珠山に限らずこれからもあちこちにこういう可能性が決してないではないということで、この機会をとらえて、こういう問題に対してやはり政府挙げての積極的な姿勢で臨むべきだと思います。
  9. 島本虎三

    島本委員 そして今回の噴火による被害のうちには、当然、国立公園施設に関するもの七地域、九施設に及んでおるのであります。これらを含めて、その復旧に当たっては、まず自治体財政負担を軽減する必要が当然あります。すなわち、都市公園等公共事業における災害復旧と同様に、復旧工事を進捗させるためには政府においても国立公園復旧について何らかの特別な措置をとらざるを得ない、また当然とる必要があると思うのであります。私は、こういうような点から、いま国土庁からもその責任者も来ておられるようでありますが、この点についてまず御意見を賜りたいと思います。
  10. 城野好樹

    城野説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、観光施設被害、それから国立公園施設被害というものが、今回の有珠山噴火によりまして相当ございます。ただ、現在のところまだ立ち入り禁止区域と申しますか、の範囲内にあるものもございまして、被害実態については、総額幾らになるかというようなことについては明らかになっていない状況でございます。今後、灰の状況それから噴火状況等によりまして早期にその被害額というものを確定し、いまお話がございましたような災害復旧ということをやっていかなければならないというふうに思うわけでございます。特別の措置が要るかどうかということにつきましては、第一義的には環境庁の方の国立公園施設管理者の方でどうするかという態度をお決めになり、財政当局とも御相談をなさるということになろうかと思うわけでございますが、国土庁といたしましても、そういう被害額が明らかになり、その復旧について非常に困難な状況があるということであれば積極的に応援をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 島本虎三

    島本委員 環境庁が直接所管しておりますこの七地域、九施設に対して、環境庁としてもやはり——いま環境庁態度か決まったならばしかるべくというような御答弁が国土庁によってなされたわけでありますが、復旧については通常の補助ベースによるところのやり方では遅くなることと、もうすでに地方財政はそれに耐えられなくなっているほどの被害であります。したがって、都市公園公共事業であるので、国立のこれらの施設に対しても当然これと同じようにやってもらいたいという血のにじむような要請、陳情も受けておるのであります。与野党を問わず、この問題の対処にはわれわれとしては一致して当たらなければならない、このように思ってまいった次第なのでありますが、やはり住民感情としても、いまの有珠山噴火による被害実情からしても、これは普通のとおりの普通の状態補助、こういうようなことではとうてい間に合う問題じゃないのであります。いまこそ決断が必要なんでありますが、環境庁、いかがですか。
  12. 出原孝夫

    出原説明員 有珠山の周辺の国立公園施設被害状況につきましては、先生が御指摘のように、七カ所で一千八百万円程度にわたる被害であるというように考えられます。これにつきましては、私どもといたしましては、これらの施設北海道責任を持って整備に当たってくれておりますので、できれば年度内にでも、従来からとめ置いております予算を使用してでも復旧に当たりたいというように考えております。ただ、補助率の点につきましては、従来から自然公園施設につきましては、予算規模事業性格等から、財政当局ともお話し合いはいたしてはおりますけれども、なかなかむずかしい面もございます。ただ、今回の有珠山噴火に基づく被害につきましては、ひとり自然公園施設だけではなく農林、土木、その他の施設被害も甚大であることにかんがみまして、これらの関係省庁十分連絡をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  13. 島本虎三

    島本委員 特にいままでと同じような状態復旧では、住民感情も、そして被害程度からしても、関係地方自治体もとうていこれに応ずることはできないほどの傷み方でありますから、当然、農林水産委員会においても農林省の見解が披瀝されているものだと思います。災害対策特別委員会においても関係省庁からの見解が披瀝されているものだと思います。直接環境庁関係のある施設、そういうようなものに対しても、やはりこの際、金額はわりあいに少のうございますから、ここだけは決断してもいいのであります。余り自治体負担をかけないで可及的速やかにこれをやるつもりだと、決意の表明くらいあっていいのであります。局長もまだ新しいからその辺のテクニックはわからぬだろうと思うのでありますが、そういうような甘い情勢ではないのでありますから、現地へ行って見てきたと思うのでありますが、そういうような甘い情勢ではないのでありますから、他の方の情勢を見ながら、これは一歩先んじて対策を講じても決して人はあなたを恨みません。ほめこそすれ恨まないのでありますから、その辺の勘案は十分やっていかないと自然保護の実効は期し得られない、こう思いますので、特に奮起を要望いたします。他の省庁とにらみ合わして、これはやはり必要あるならばいままでのやり方にこだわらないで復旧の実を上げます、こういうように言ってもらいたいのでありますが、それくらい言ったからっていいじゃありませんか。環境庁、いかがです。
  14. 出原孝夫

    出原説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、自然公園施設につきましては、予算規模あるいは事業性格から言いまして、取り扱い上非常にむずかしい点はございます。しかし私どもも、他の災害とあわせまして関係の官庁とよく連絡をとりながら努力をいたしてまいりたいというように考えております。
  15. 島本虎三

    島本委員 特に努力を要請しておきます。  次に、洞爺医療法人であります協会病院、この中には白ろう病患者のベッドが五十ほどあるのであります。いま、住民は帰っても、病院が機能してないのであります。そういうようなことからして、住民も、なかなか安心してはおられないという感情になっているようでありますけれども、それにしても、ここに職業病、ことに白ろう病全身障害であって部分障害じゃないのであります。したがって、あれを長期自宅待機をさしたり、療養を怠っては、やはり命にかかわる問題なのでありますが、この協会病院の機能はいつ発揮されることになりましょうか。これについて林野庁労働省もはっきり対処しなければならないと思いますが、現状、どうでしょう、これに対してどういうような方策をお持ちでございますか。
  16. 増田雅一

    増田説明員 おかげさまで洞爺病院被害はきわめて軽微でございまして、本日から診療を開始したそうでございます。  ただ、入院患者につきましては、まだ規制命令が解除されておりませんので入院の段階には至っておりませんが、白ろう病入院患者四十七名のうち二十四名につきましては、浦河日赤病院ほかの病院にただいま転院しておるというふうに聞いております。なお、あとの二十三名につきましては、洞爺病院から投薬をいたしまして自宅療養を続けているそうでございますが、この規制命令の解除までの期間が非常に長い場合には、先生指摘のとおりに治療に差し支えますので、十分な治療設備を持ちました道内の労災病院ほかの指定病院治療を十分やってもらうようにお願いする所存でございます。
  17. 島本虎三

    島本委員 林野庁は、特にこの場合はチェーンソーを使用することによっての障害でありますから、十分対処をしなければならないはずでありますが、林野庁は直属の病院一つもないようでありますが、これはどうしたことでしょうか。この災害にあやかってという言葉はちょっと悪いのでありますが、こういうような場合にもやはり白ろう病患者はだんだんふえているのでありますから、この災害対処するための重大な決意の一端として、病院ぐらいは持って、自分らの手で自分らの出した病人をそのまま救済する、こういうようなことぐらい考えてもいいのじゃないかと思っているのでありますが、それは全部労働省関係あるいはまた厚生省関係、それらに頼っておられるようでありますが、少し手薄じゃございませんか。これに対して最後に林野庁から意見を伺います。
  18. 渡邊信作

    渡邊説明員 白ろう病の件につきましては私、直接担当でございませんが、ただいまおっしゃいましたように、白ろう病対策につきましては林野庁は庁を挙げて取り組んでおりまして、自前の療養施設を設置することにつきましても、現在庁内で前向きに検討中でございます。将来においてはそういうことが実現する可能性もあるかと思います。
  19. 島本虎三

    島本委員 終わります。     〔林(義)委員長代理退席委員長着席
  20. 島本虎三

    島本委員長 次に、水田稔君。
  21. 水田稔

    水田委員 まず水産庁の方にお伺いしたいと思うのですが、去る八月二十八日、瀬戸内海東部、香川、徳島、兵庫の海域に昭和四十七年の被害に次ぐ大きな被害を出したホルネリアによる被害、この状況というのは漁民にとっても大変なことであります。私どもも八月三十一日に党の調査団で参りましたが、その後の最終的な被害状況についてまずお伺いしたいと思うのです。
  22. 恩田幸雄

    恩田説明員 今回、八月下旬から播磨灘一帯発生いたしました赤潮によります漁業被害は、九月七日現在で取りまとめたところ、被害額三十一億、ハマチの死亡数三百三十一万尾ということでございます。
  23. 水田稔

    水田委員 漁民にとりましては、昭和四十七年に大変な被害を受けて、さらに四十八年油の流出事故、四十九年PCBによる魚価の暴落、そしてようやく立ち直りかけた今日、今度の被害を受けたわけであります。  その間、ずっと見てみますと、瀬戸内海については、一つ臨時措置法COD二分の一、さらに屎尿の海洋投棄禁止等の手を打ってきたわけでありますけれども赤潮発生回数を見ると、四十七年に比べて五十一年、昨年でも倍に近い赤潮発生回数があるわけであります。これについて水産庁としてはまず、これまでどういう対策を講じてこられたのか、同時に、水産庁としては赤潮対策としてどういう研究をやってこられたのかお聞きしたいと思うのです。
  24. 恩田幸雄

    恩田説明員 水産庁といたしましては、四十七年度の赤潮発生にかんがみまして、その後、赤潮発生あるいは被害状況等情報をいち早く収集して各漁民に周知させるための赤潮情報交換事業、あるいは赤潮の多発時期におきます海況水質底質等の変動、プランクトンの発生状況、こういうものを海上で各水産試験場調査する、それによって赤潮発生時の海洋構造を解明し、赤潮予察の手法の確立を図るという赤潮予察調査事業、それから赤潮被害防止対策施設、これは陸上あるいは船上において、赤潮が起きた場合に活魚を死亡から守るための施設でございますが、この設置事業等を行ってまいりました。そのほか、赤潮によります被害を幾分でも軽減するために、養殖共済におきまして赤潮特約事業を行ってきたわけでございます。  それ以外に、赤潮原因の究明といたしましては、環境庁とも十分御協力をしながら大学、水研水試等の各研究機関を総合いたしまして、各種の赤潮調査事業を実施してまいりました。
  25. 水田稔

    水田委員 環境庁長官にお伺いしたいと思うのですが、四十七年に大被害が出て今度の五十二年、先ほど申し上げましたように、赤潮発生回数瀬戸内海で毎年のようにふえてきておる。そして、第八十国会最終日に、この委員会でも水質浄化の推進に関する決議をやったわけであります。  確かに、臨時措置法によって、瀬戸内海の水は見た目にはきれいになったように見えるけれども、実質は富栄養化はどんどん進んでおる。さらに、赤潮発生によって当然CODは悪くなるわけでありますから、そういう点を含めてわれわれとしては将来の対策環境庁に要望する決議をしたわけであります。これを長官はどういうぐあいに受けとめられ、さらに、今回のこの赤潮発生し、そして統計的にも毎年のように赤潮発生回数は少ないがふえてきている、この実態をどうとらまえて、今後どう取り組む決意か、まず長官に伺っておきたいと思うのです。
  26. 石原慎太郎

    石原国務大臣 特別臨時措置法によりまして、確かに見た目と申しましょうか、過去に比べれば瀬戸内海水質汚染の絶対値は幾分軽減されたとは思いますが、しかし、これが決して完全な結果だとは毛頭思わないわけでございます。ですから、臨時措置法後継法の中にもいままで以上の施策、たとえば総量規制でありますとか、あるいは問題になっております燐も、これの科学的な規制技術といいますか措置ができるようでございますので、規制の対象に盛り込むべきではないかというような形で鋭意検討しているわけでございます。  閉鎖水域水質の問題は瀬戸内海に限りませんが、とにかく臨時措置法までつくって与野党一致して乗り出したことでございますので、後継法等々を通じましてできる限りの成果を上げるように、なお積極的な検討をし研究をし、それを施策に反映していきたいと思っております。
  27. 水田稔

    水田委員 八月の二十二日に関係の知事、市長船上会談が行われました。長官もそこへ出席されて、それぞれ要望があったと思うわけであります。いわゆる現在の臨時措置法後継法についての検討、さらに基本政策についての検討をいま行っておる、その中で、燐についてということが一つの重点の目標のような形で言われておるわけでありますが、いま、これまでのいわゆる研究で言われておることは、赤潮については発生条件というのが、窒素が〇・二それから燐が〇・〇一九から〇・〇二という存在の状態の中で起こり、条件が整って、そこへ何らかの形の引き金、こういうことが私は言われてきたと思うのであります。  ところが、実際のいまの瀬戸内海状況というのは、燐について言えば、むしろ〇・二に対して〇・一ぐらいの、二対一ぐらいの比率で存在しているのではないかという説も実はあるわけでありまして、その解決のために、量として少ない燐を取れば技術的にやれるのじゃないかという考え方環境庁にあるのではないかと思うわけです。しかし、実際そういうことでいいのかどうか、現状の把握が十分できておるのだろうかどうだろうかということを疑問に思うわけです。長官はいまのところ恐らく燐を中心に考えておられると思うのですけれども、燐の除去を考えたときに、いま方法としてはいわゆる凝集沈でん方法しかないだろうと思うのです。それが実際瀬戸内海で、スラッジの処理まで含めて簡単にできるかどうかということも私は実は疑問に思うわけですね。ですから、燐の対策についてはできそうだという希望的な感じをわれわれにも与えておるわけでありますが、実際、燐についてはやれるという確たる自信があるのかどうか。  それからもう一つは、後継法の中で総量規制を取り入れていきたい、それは当然CODということを中心に考えておられるようでありますけれども赤潮発生するとCODはがたっと落ちるわけでありますから、いわゆるCOD臨時措置法で二分の一にした、あと赤潮は別の富栄養化によって起こることだという考え方で、別の問題だとする考え方というのは間違いではないか。ですから赤潮を含めて、CODの中には当然、赤潮発生しないという、そういうことも含めた物の考え方でなければならぬし、当然それには窒素と燐という問題も含めた対策を含めて初めて総量規制というのが言えるのではないか、そういうぐあいに思うわけですが、その点について、後継法の中で具体的にはどういうぐあいにやられようと考えておるのか、ひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
  28. 二瓶博

    ○二瓶説明員 燐の削減の問題でございますが、実は先生御存じのとおり、燐につきましては現在環境基準、公害対策基本法第九条に基づきます環境基準が設定されておりません。それから水質汚濁防止法によります排出基準、これも設定をされておらない、こういう現状になっておるわけでございます。  そこで、今後この富栄養化対策ということで、燐なり窒素なり、こういうものの削減に対してどう取り組むかということになりますが、従来は瀬戸内海等の収支挙動調査というようないわば基礎的な調査のみをやってまいったわけでございますが、五十三年度からは新しく窒素、燐のうちで燐につきまして——なぜ燐を取り上げるかといいますと、燐の方が削減技術の実用化のめどが立っておるということでございます。そういうことで、まず燐の方に焦点を合わせて削減の方法がなかろうかということでございます。  そこで、五十三年度におきましては、燐についての環境指導指針、環境ガイドラインといいますか、そういうもの、それからそれとあわせまして排水処理技術のガイドライン、指導指針でございます。こういうものの設定の調査、これに取り組んでいきたいということで、所要の予算を五十三年度予算において要求をいたしておるわけでございます。  ただいま先生から、窒素と燐とあるけれども燐だけ取れば十分か、そこはいろいろ問題があるではないかという話でございますが、富栄養化の問題といたしまして大きなものとして燐と窒素があるわけでございますけれども赤潮その他いろいろなものが発生する際に、やはり赤潮赤潮生物でありますプランクトンの異常増殖というものによるわけでございますので、この増殖をいたします際にボトルネックになるものを抑えますれば相当部分赤潮等が起きないのではないか、そういうことで、一応そういうような説があるわけでございます。したがいまして、その線でまず燐をやってみるということで燐に焦点を当てたわけでございます。したがいまして、窒素の方についての研究等は、それだけで十分かどうか完全にわかりませんから、これは継続していきたいと思いますけれども、とりあえず削減という方向で詰めていくのは、まず燐からやってみたらどうか、こういう考え方でございます。  以上が一般的なことでございますけれども、それから特に瀬戸内海の方につきましては、今回の大規模赤潮発生という事態にもかんがみまして、そういう環境ガイドラインなりあるいは排水処理技術のガイドラインもこれから研究する、詰めていくという段階ではございますけれども、何か削減のいい手だてはないかということで、現在いろいろ検討をしておるということでございます。この点、長官が先ほど申し上げたのはそういうことでございます。  それからもう一つは、後継法との関連で総量規制をどう考えるかということでございますが、後継法との関連から申しますれば、現在の臨時措置法でも産業系排水に係るCOD二分の一カットというのがございます。しかも臨時措置法の十八条によりますれば量規制の導入の規定がございます。そういうことを踏まえまして、その後の科学的な知見もございますので、少なくとも後継法の面では、CODについては総量規制はやりたい、規定は制度化したい、こう思っております。  ただ問題は、その際に、瀬戸内海のみならず伊勢湾、東京湾等におきましてもやはり水質が必ずしもよろしくないわけでございまして、そういうものも含めて総量規制制度を導入すべきではないかという声もございます。したがいまして、場合によりましては、むしろ水質汚濁防止法の改正というようなことで広域的な閉鎖性水域を対象に総量規制制度を導入するという方途も考えられると思っておりまして、むしろ今回の予算要求等におきましては、後者の方の線で一応要求はいたしております。要するに、水濁法の改正で総量規制を広域的な閉錯性水域については導入し得る制度化ということを考えて予算要求等はいたしてございます。それは瀬戸内海が入ることは当然でございます。  そこで問題は、CODと今度はN、Pとの関連になってまいるわけでございます。CODを下げればそれでN、Pはもう十分かということになりますと、十分ではございません。CODは有力な有機汚濁の指標でございます。これは酸化する汚濁物質をむしろ酸素の側面からとらえたものでございます。それで酸化する有機汚濁物質につきましては、これは炭素なり窒素なりあるいは燐、こういうもの等によって構成されております。したがいまして、CODを削減するということは、有機性汚濁物質の中でNなりPなり含んだ有機汚濁物質は、CODを削減すれば、その部分についてはそれなりに削減されます。しかし、それはされますけれども、それだけで現在の富栄養化なりあるいは赤潮発生なり、そういうものを防ぐほどの燐あるいは窒素、そういうものの削減になるかというと、必ずしもそうではございません。したがいまして、従来からも環境庁としましては、総量規制の導入というものと並んで富栄養化赤潮対策というのも大きな柱として行政を進めておる、こういうことでございまして、そういう意味合いからCOD中心にして総量規制制度の制度化を図るとともに、他面N、P、特にPの削減の問題につきましては、先ほど申しました環境ガイドラインあるいは排水処理技術のガイドラインの設定に取り組んでいきたい、調査検討を進めていきたいと思いますほかに、瀬戸内海については環境基準もあるいは排水基準もない現在ではございますが、今回の大規模赤潮発生という事態を踏まえて、何らかの削減の方途はないかということでいろいろ検討を進めておる、こういう段階でございます。
  29. 水田稔

    水田委員 いまの窒素と燐ですが、後継法の中にCOD総量規制ということと同時に、やはり窒素まで入れることができるかどうか、私もちょっと自信はありませんが、少なくとも燐について入れる。同時に、たとえばアメリカでは、いまの瀬戸内海窒素と燐の量が十対一ということよりも、むしろその比率は二対一ぐらいになっているのじゃないかという説もあるぐらいですから、そうすると燐だけにしぼった場合、それだけでも大変な金もかかるわけですし、なかなか取り切れないかもしれない。むしろ窒素の方をNO3の形にして取る、アメリカではどうもそういう形、むしろ燐よりは窒素を取るということを考えたらどうか、そういう見解なり研究が進んでおるようであります。ですから私は、少なくとも後継ぎ法の中にはCODと同時に窒素、燐を入れてやれる手法の開発というのを急ぐべきではないだろうか、そういうぐあいに思うのですが、御見解をひとつ聞きたいと思います。
  30. 二瓶博

    ○二瓶説明員 瀬戸内海等におきましても、現実に窒素なりあるいは燐の負荷量というようなもの、これはいま取りまとめをやっておる段階ですが、いずれにいたしましても、窒素の方が燐よりは相当多いということは事実でございます。したがいまして、削減の実用化のめどのある燐の方をまず先に手がけてみたらどうかということでございます。技術的には、先ほども先生おっしゃいましたように、燐の方につきましては凝集沈でん等によりまして相当落ちるということが、これはめどがあるわけでございます。窒素の方につきましては、これは窒素固定といいますか、大気中にもございますし、そういう関係で、これは取るには技術的にも非常に大変でございます。そういう面も考えたわけです。  それからもう一つは、アメリカでNOのかっこうでむしろNというのをというお話もございますが、他面またアメリカでは、Pの方の削減の関係もこれは相当やっておりますし、スウェーデン等におきましても、むしろPの削減というようなことをやはり行政的な面でやっておるということもございます。そういうようなことで、一応私たちとしてはNとPということを考えました際は、むしろまずPをということでございます。Pだけやったからあとは大丈夫かという話については、必ずしも大丈夫と申し上げられません。しかし、まずPの方からやってみよう、こういうことでございます。
  31. 水田稔

    水田委員 それでは、この点について長官に確認しておきたいのですが、臨時措置法が来年十一月に一応期限が来るわけです。それについては、次の通常国会で後継ぎ法としてさらに瀬戸内海水質保全についての法案の提出をするということと、それからCODについての総量規制、同時に燐についても、窒素も含めて直ちにその基準はできないにしても、窒素、燐を何らかの形で入れてもらいたいと私は思うのですが、少なくとも燐については何らかの形の規制をその法案の中で入れる、この点についてそういうぐあいに確認してよろしいですか。
  32. 二瓶博

    ○二瓶説明員 長官のお答えの前に、私から補足的にお答え申し上げます。  後継法は次の通常国会提出をするということで、現在鋭意検討中でございます。その際に総量規制制度を導入するということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、瀬戸内海については少なくとも総量規制制度は導入しなくちゃならぬと思いますが、他面、伊勢湾なり東京湾の方もやはりきれいにしなくちゃならぬという問題がございますので、その辺を後継法の中に瀬戸内海ということで総量規制制度を入れるのか、それとも、そのほかに伊勢湾なり東京湾までもできる姿にするかという問題がございまして、先ほども申し上げましたように、一応予算要求の面としては、伊勢湾、東京湾もできるような水質汚濁防止法の改正というような形で予算要求はいたしております。しかし、最後的に法制度がどうなるかということについては、これは非常に重要な問題でございますので、各方面の意見も聞きながら固めていきたい。少なくとも瀬戸内海については、現在のCOD二分の一カットというような五年前の規定をそのまま存置するというようなことはいたしたくない。総量規制制度は少なくとも瀬戸内海はやりたい、こういうことを申し上げているわけでございます。  それから燐の規制の方につきましては、先ほども申し上げましたように、まだ環境基準も排出基準もない。それだったら、それにかわるガイドラインはあるのか。それも五十三年度から、これから検討します、こういう予算要求をしている段階に今回の大規模赤潮発生したものですから、何らか瀬戸内海についてだけでも先駆的にでも、あるいはやや竹やり的かもしれません、やれないものかということでいま検討しておるということでございまして、これは後継法の中に条項として入れ得るか、それとも、入れることがむずかしければ、あるいは環境保全基本計画の中にこれも入れてあるいは行政指導ということでやるか、その辺をいまいろいろ検討をしておる。  事務的な点で申し上げれば以上でございます。何らかの方法はやりたいと思って検討しておる、こういうことでございます。
  33. 石原慎太郎

    石原国務大臣 大体局長が答弁したとおりでございますけれども、重複した表現になるかもしれませんが、ともかく瀬戸内海に限らず閉鎖水域での汚染の問題はもう解決焦眉の急でございまして、今度できます後継法がただ臨時措置法をそのまま恒久法にしたという形では意味がないので、もうちょっと積極的な方法を講じようということでございますけれども、片や瀬戸内海は確かに象徴的な海かもしれませんが、同時に東京湾、伊勢湾等、やはり問題を抱えた湾がございます。そういう意味で、むしろ水質汚濁防止法というものを改正することで、跡継ぎ法の中では水質汚濁の防止に関してはそれを参照する、それによるという形ですべての閉鎖性水域をカバーできるのではないかという見解もあるわけでございます。  それから燐の問題ですけれども、先ほど水田先生おっしゃいましたが、実は九月十日にも水産庁研究所あるいは赤潮研究している大学の研究者等々が初めて一堂に会しまして、それぞれの研究というものを披瀝し合い、もう少し有機的な総合的な研究をしようという段取りをつけたわけですが、どうもその報告を聞きましても、まだ詳細は聞いておりませんが、あらまし聞きましても、やはり研究方法そのものにまだまだ足りないところがあるような気がしますし、燐と赤潮関係についても、どうも憶測の域を出ないような感じでして、いまおっしゃいましたように燐というものに集中して規制をかけても、費用対効果の面で果たして効果が上がるのか上がらないのかということも実は不明の段階だと思います。そういう意味で、これはなお積極的に、時間をかけるわけにいきませんが、できるだけ短期に鋭意検討して、何らかのめどを出したいと思っているやさきでございます。
  34. 水田稔

    水田委員 先ほど水産庁の方は水産庁なりに赤潮研究をしておる、こういうことです。赤潮対策について、瀬戸内海に限定してもいいと思うのですが、これは研究対策を講ずる主管官庁というのは一体どうなっておるのですか。それから、いまの研究はそれぞれの省庁でやられておると思うのですが、どことどこがどういう形の研究をやっておるかということをお聞かせ願いたいと思います。
  35. 恩田幸雄

    恩田説明員 水産庁といたしましては、先ほどいろいろ研究をやっていると申し上げたわけでございますが、一応環境庁あるいは科学技術庁から種々の特調費その他のお金をいただきまして、それをもとに水産庁の水産研究所あるいは大学あるいは各県の水産試験場中心研究をやるというような体制で進んでおるわけでございます。現在までいろいろな部面で研究を行ってまいってはおりますが、やはり赤潮発生機構そのものにつきましては、どうしても現在の段階ではわからないというのが現状でございます。  なお、最近におきます研究のあらましを申し上げますと、四十六年から四十八年までの三年間、これは赤潮による水産生物の被害防除抑制技術に関する総合研究ということで、環境庁の一括計上の予算で実施さしていただいております。それから、それ以外では、四十五年から四十六年にかけまして、瀬戸内海西部における赤潮発生の誘引条件の解明に関する調査研究、それから、四十七年から五十一年にかけましては、農林水産生態系における汚濁物質の循環と主要生物に関する研究、それから五十一年には、大規模有害赤潮発生の早期予知及び被害防除に関する調査研究、こういうもの、その他まだたくさんございますが、代表的なものを一、二申し上げた次第でございます。
  36. 水田稔

    水田委員 環境庁はどういう研究をやっておりますか。
  37. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま水産庁の次長からお答え申し上げましたが、環境庁の面におきましては、直接的に環境庁予算ということで取ってやっておりますのは、たとえば本年度予算等で申し上げますれば、赤潮発生予察の開発研究をやっております。これはマルチ・スペクトル・スキャナーということで、一種のリモートセンサーを使いまして赤潮発生の初期にその予察をやろう、それが果たして実用的にできるかどうかというたぐいの研究的な事業でございます。それからあとは、それにも関連しまして、過去の赤潮研究というのがいっぱいございます。そういうものの赤潮研究の総合解析というようなことをやるということを水質保全局の面では予算化いたしております。  そのほかに、ただいま水産庁次長が申し上げましたように、環境庁におきましては、公害に関する試験研究費の見積調整がございます。そういうようなことで、農林省でやりたいというような予算につきましても一括計上をやっておるとか、あるいは相当大きなプロジェクトを組んで赤潮研究をやるというような場合には、これは環境庁の特調費と普通言っておりますが、調整費がございます。そういうものをもちましてそれぞれの研究分担を決めまして、そこにこの研究費を配分するというようなことでございまして、先ほど次長がいろいろテーマを申し上げましたけれども、四十六年環境庁が設置して以来は、相当こういう関係環境庁研究費等の調整をやっております。その他、科学技術庁で若干やっておる面はあろうかと思います。  以上でございます。
  38. 水田稔

    水田委員 引田町で被害を受けた漁民なり町長も——もう赤潮の問題というのは、数字の上で見ても年々何割というふえ方、数年すると倍になるというような、こういう状態、まさに長官が言われたように、もう放置できないほどの状態に来ておると思うのです。引田町では町長が、私が土地を提供してもよろしい、町の土地を提供してもよろしい、国が一つにまとまった研究機関を設けてほしい——これは恐らく長官のところへも申し入れが来ていると思うのですが、それは実際瀬戸内海を全体にどうするかということでは、港湾は建設省、海上保安庁もあれば、環境庁水質、そして魚は農林省というような関係ですから、そう簡単にはいかないと思うのですが、赤潮の問題に関する限り、いまそれぞれの御答弁いただいたような形で研究する限りは、本当にここまで進んだ状態を取り戻すことはとてもできないのじゃないか。少なくとも窓口を一つにした——今度も赤潮が起こって初めてチームをつくってやる。そうすると、もともとの全体の条件を監視し、とらまえた上で、一体引き金は何かと——今度の場合でも、いままで言われたように、四十七年は大量に雨水が流れ込んで、塩水の塩分濃度が半分ぐらいになっておったということ、いままでの研究の中で一つの引き金になるという条件だったが、今度の場合は、調べてみると塩水濃度は全く変わりはない。そうすると、停滞化水域へ日射が続いて重金属が作用したのかというようなこと、いま調べている最中ですが、いずれにしましても、常時全体の状態を把握する中で、起こったとき以前から起こったときの経過をずっとたどった調査をしない限りは研究の成果というのは上がらないと思うのですね。そういう点でひとつ、研究所をつくるということは無理にしても、何らかの形で赤潮調査研究の総合的な恒久的なプロジェクトをつくるという、そういうお考えはないか。これは環境庁長官にお伺いしたいと思うのです。
  39. 石原慎太郎

    石原国務大臣 この間、引田の町長さんにもお目にかかりましたが、そのときに土地を提供する云々のお話まで聞きませんでしたけれども、いま行革をやっておる最中で、できるだけ行政簡素化という眼目がございますから、にわかに新しい研究所というのは非常に問題があると思いますが、おっしゃいましたように、確かに恒久的なそういう機関のようなものを、何省なり何庁なりがイニシアチブをとって、はっきりその主体性の所在を明らかにした上でつくる必要があるんじゃないかという気はいたします。私は、これはあくまで私見でございますけれども、余りほかの省庁がイニシアチブをとっている仕事を環境庁によこせというとまた物議をかもしますが、赤潮は水産に影響を与えること甚大でございますし、その他もっと総合的な環境問題でございますので、私は、やはり環境庁長官がかつて水銀問題のときに水銀対策会議議長をしたように、環境庁のイニシアチブで水産庁にもあるいは建設省にも御協力を願って、環境庁が環境問題としてイニシアチブをとりながらこの対策会議と申しましょうか、そういう有機的なつながりのある機関を主宰し、研究すべきだという気がいたします。  それから、余談になりますけれども、私も個人として赤潮研究をしておりまして、この間も実は西伊豆で赤潮発生するときに自分でもぐってみましたが、大体水中十五、六メートルから二十メートル近いところからそういうものはわいているのですね。どうもそういう研究というものを実際にどの学者なりがやったこともないような気がしまして、もう少し立体的に調べませんと、飛行機でながめたり上側からバケツで水をすくっただけではああいう立体のメカニズムというものはさっぱりわからないのじゃないか。ならば、科学技術庁にもいろいろ協力をいただいて本当にここら辺で思い切った対策をしませんと、確かにふえる一方ですが、このふえるというのも、このごろ赤潮が非常に注目されましたので、海上保安庁あたりが飛行機を大変飛ばしてくれまして、この機数もふえまして、便数もふえて、いままで発見されなかった赤潮が非常に緻密に報告されるために非常に件数がふえているということもございますが、しかし、その赤潮の絶対値が数年前からことしにかけてふえたかふえてないかということはよくわかりませんが、確かに報告の件数はふえてまいりました。これはやはり見逃すことのできない事実だと思います。
  40. 水田稔

    水田委員 私は、水産庁中心になった場合、魚をということが中心になると思うのです。赤潮発生というのはやはり水質が原因ですから、そういう点ではほかの人からしかられる必要はないと思うのです。水質に関しては環境庁責任を持って、赤潮の原因究明については全体の総合的な恒常的な研究プロジェクトをつくるということを、赤潮の問題はここまで来たんですから、長官、この際決意表明ぐらいはひとつやってほしいと思うのです。
  41. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その線で実現しますように、閣議で関係閣僚と相談し、そういう強い姿勢で臨みたいと思います。
  42. 水田稔

    水田委員 水質局長にお伺いしたいと思うのですが、九月十日に神戸大学で日本海洋学会秋季総会が開かれまして、ここで、この瀬戸内海赤潮のいわゆる震源地というのは、播磨灘中央にずっとプランクトンの死骸が海流の関係でたまっている、あるいはそこにクロムであるとかマンガンであるとかいうような重金属がたまって、そこが赤潮発生の原因ではないか、そういう発表があったわけであります。いままでの水産庁なり環境庁研究というのは、その起こったときだけであって、この研究は、まあ環境庁はどう考えるか知りませんけれども、四年間にわたって全体の状況を把握しながら、大変苦労しながら発表された研究成果だと思うのです。私も今回、引田町へ行ってみまして、海水濃度、塩分というのが全く常態と変わらない状態で起こったということになれば、これは重金属が引き金かということを考えざるを得なかったわけです。こういう研究成果というのを環境庁はどういうぐあいに受けとめておられるのか、あるいは今後の赤潮対策研究にどういうぐあいに生かしていかれるお考えがあるのか伺っておきたいと思うのです。
  43. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答えいたします。  ただいま先生から、日本海洋学会が十日に神戸大学で開かれた、その際に、ただいま先生からお話があったようなお話があった、こういうことでございますが、その辺の詳細については、実はまだよく私も詰めておりません。これは非常に貴重な意見だと思っております。  それから、なおこれに関連して申し上げますと、実はやはり九月十日に五十二年八月播磨灘に発生した赤潮に関する検討会というのが、これまた神戸で行われてございます。これにつきましては水産庁及び環境庁の担当官等も出席もいたしまして、主として香川大学あるいは三重大学等の赤潮関係に詳しい先生方、それから関係水産試験場、これは香川とか岡山とか徳島等でございますが、この赤潮研究者の方々等も集まりまして検討会を開きまして、それで今回の赤潮の原因なり、あるいは四十七年との相違点なり、そういう面もいろいろ詰めていこうというようなことで検討されまして、これはこれとしてこの調査班というものは今後とも活躍していこう、そしてさらにこれ以外に親委員会といいますか、赤潮研究会というようなもっと大きなプロジェクトを組んで、そして必要があれば別途専門部会なりあるいは調査班なり、そういうものをさらに置いていこうということを一応その際の結論として出しておるわけでございます。  したがいまして、先ほどお話がございましたような、日本海洋学会等においてそういうような、先生がいま御指摘されたような話があって、しかもそういうものをやはり相当大きなテーマとして赤潮研究会でも取り上げるといいますか、詰めていくという必要があれば、その中の一つの専門部会的な面で、それ全般かどうかわかりませんが、それを参考にしてこういうところを詰めるというようなことも考えられると思っております。  そういうことで、さらに赤潮研究会というものが大型プロジェクトを組んで、どう研究テーマをもとにしてやっていくか、これは水産庁とも連絡をとりながら前向きにその辺は取り組んでいきたい、かように考えております。
  44. 水田稔

    水田委員 水産庁へお伺いしたいのですが、養殖している魚、ハマチならハマチが死んだ場合、これはどこの所管になりますか。
  45. 恩田幸雄

    恩田説明員 死んだ魚につきましては、一般廃棄物ということで市町村で御処理願うのが適当であろうかと私どもは考えております。
  46. 水田稔

    水田委員 実際そのとおりだと思うのですが、この瀬戸内海でこういう事故があった場合、これは海難の場合も油汚染の場合も一緒ですが、非常にむずかしいわけです。生きておる魚は水産庁、死んだら廃棄物ですから市町村。しかし、それが網が破れて勝手に流れていったらだれも責任はないのでしょうけれども、あれだけ大量の物が出てくると廃棄物。町村は金をかけて何とかしなければならない。実際問題としては、徳島県ではおかへ持って上がって、掘って埋める、これは法的には若干問題があるかもしれませんけれども、屎尿処理船を雇い入れて、そして積み込んで外洋へ投棄するというようなことですね。港湾の場合は建設省、そして水質の場合は環境庁と、いろいろな省庁瀬戸内海を所管しておるわけです。事故のあった場合に、実は小さな町の町長あたりがそのために海上保安庁へお百度を踏む、あるいは和歌山県へ一生懸命お願いに行く、県庁へ行く、大変なことなんですね。漁師は、実際には魚は金になるのが全く金にならないで、休んでそれを処理する、日当ももちろんもらえないわけですが、そういう事態が起こるわけですね。ですから、完全に赤潮発生しない条件をつくるまでというのは、これはまだ起こり得るわけですから、そういう場合の、事故があった場合、こういう異常な状態が起こった場合に、たとえば瀬戸内海、県とかなんとかでつくれぬでしょうから、何らか省庁によってどこかそういう場合の対応の窓口が一つになることをしない限り、これからまだまだ小さな町村あるいは小さな漁業組合が、起こった場合にどうにもできない。できないでほったらかせば、そのまま死んだ魚が流れ出れば、当然水質汚濁につながるわけですね。今度の場合は町長なり漁民が相当な努力をして、海へそのまま流れ出て瀬戸内海を汚染することのないようにという最大努力をしたということです。油の場合もそうだろうと思います。そういう場合を想定して、水産庁なり環境庁、両方から御答弁をいただきたいのですが、事故があった場合の瀬戸内海に関する何らかの窓口一本化ということを検討できないかどうか、御答弁いただきたいと思うのです。
  47. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま先生から、赤潮のために死んだハマチの処理等におきまして、厚生省なりあるいは海上保安庁なりあるいは岡山県の方の了解をとるとかいろいろなことで相当地元の方も手間取ったといいますか、困惑したというような事例を引かれまして、何か事故が起こった場合の対応する窓口、こういうものを一元化できぬかというお尋ねでございますが、やはりそれぞれの各省の設置法等によりましてそれぞれ各省の守備範囲というのが決まっておるわけでございます。したがいまして、事故発生のときにおいてもやはりその守備範囲を越すわけにはまいらぬかと思います。ただ、そういう事故が起きたような場合に緊急にその辺を処理しなくちゃならぬということは、それはその必要性があろうかと思います。  したがいまして、そういう面の各省間の連絡といいますか、これは相当密にし、しかも迅速にやることは、一般平常時と違ってこれは心がけるべきことだと思っております。ただいまの死んだハマチの廃棄物の問題につきましても、環境庁の方にも至急連絡がございまして、厚生省とも話して、その辺の処理の方につきましては早急に返事をいたしたような次第でございます。  こういう事故のようなときにおきましては、平常時と違った緊急な連絡、迅速な処理、そういう面については環境庁としても心がけたい、かように思っております。
  48. 恩田幸雄

    恩田説明員 このような場合の対処の仕方につきましては、環境庁のおっしゃるとおりでございまして、私どもも各省間十分連絡をとりながら、かつ早急に処理をいたしたいと考えております。  なお、今回の斃死魚の処理につきまして、それに要した費用等につきましては、現在、県を中心調査中でございますので、その結果が出ましてから県を中心に十分御相談したいと考えております。
  49. 水田稔

    水田委員 時間がもうありませんので、あとまとめて水産庁の方へ質問いたしますが、お答えいただきたいと思うのです。  一つは、死んだ魚を処理するために漁師は無給で働いたわけですが、その日当をくれという意味じゃなくて、たとえば船を借り入れするとあれで九百四十万円ぐらい、あるいは土を掘って埋めるとか、そういう実際に使った経費これは災害のようなものですから、水産庁は直に見るのか、あるいは特交で見るのか、そこらあたりは当然考えてやるべきではないかということが一つ。  それから、現実にこれから金になるものが全部金にならなくなって、しかも借金は返さなければならぬ、こういうことですから、つなぎ融資ですね、いろいろな方法はあると思うのですが、一つは天災融資法については四十七年にはそれの適用を受けたわけでありますけれども、今度の場合は、被害が三十一億になるとちょっと額の点でということもあるかもしれませんが、現実には生活資金を含めて立ち直りの資金として何らかの融資等についても考えなければ生活できない、こういうぐあいに思うわけです。その点についての特別のお考えがあれば聞かせていただきたい。  それからもう一つは、共済が、それは被害総額がわかれば早期支給ということは言っておられるわけでありますけれども、実際問題としては信連が全部担保にとっておる。共済の本来の役割りからいって漁民にそれが入って立ち直りに使えるのならいいけれども、これは額も十分でない。被害を受けた額よりは非常に少ない額でしか補償がない。しかも、それは信連に担保に入っておるから信連が全部とってしまって借金が減るということにしかならない。そういう問題点もあるわけでありますが、それの早期支給。  それからもう一つは、私も現地に行ってみまして、あれだけ潮が停滞するような状況のところへ大量の魚をああいう形で飼うのがいいのかどうか。魚をもっと別のものにするとか、これは立体的に上で飼うとか、あるいは酸素量が少なくても生きるという魚種の問題なり、あるいは窒素、燐を少しは吸収さすためにワカメとかノリとかそういうものとの配置を考えるとか、そういう魚種、漁法についてもこれから水産庁が指導を考えなければならぬのじゃないか。そういうことについてどういうぐあいにお考えか。  それからもう一つは、これは地元からも言われておりまして、県の方ではやっておるわけでありますが、たとえばハマチからタイに変えようとしますと、ハマチなら一匹二百円ぐらいで稚魚が入るけれどもタイなら千五百円と、その差が出るわけですから、そういうものを仮に再生産資金というか、そういう補助なり融資の全く新しい方法ですが、そういうことなり、あるいは赤潮に対して少し小割りの丈夫なものをつくって、警報があれば立体的に見て底に沈めるとか逃がすとか、そういうことができるようなことはできぬだろうかというような問題等についても、これは環境庁長官も地元から聞いておられると思うのです。  以上の問題について水産庁の方から、簡単で結構ですから、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  50. 恩田幸雄

    恩田説明員 まず斃死魚の除去の費用の問題でございます。これは先ほどもちょっと申し上げましたが、県の方といま現在連絡をとっておりまして、金額がわかり次第、あるいは自治省等とも御相談しながら、何らかの対策が打てるものかどうかを検討いたしたいと考えております。  それから二番目、今回の災害は先ほど御指摘のとおり三十一億でございまして、数県にはまたがっておりますが、金額としては低い段階にございますので、天災融資法は不可能であろうと思います。  ただ、これに対する対策といたしましては、とりあえず、すでに制度資金等を借り受けている者につきましては償還の猶予と貸付条件の緩和について、すでにもう関係機関に指導いたしたところでございますし、さらに被害漁家の経営の維持再生産に必要な資金につきましては、既存の制度資金でございます近代化資金あるいは農林公庫資金等を融通してまいりたいと考えておりますほか、今回の被害により固定化した負債が累増するような事態が生じました場合には、実情に応じて漁家経営維持安定資金の活用も図ってまいりたいと考えております。もちろん、つなぎ融資についても、すでに県を通し金融機関等に融通を指導したところでございます。  それから共済につきましては、現在、それぞれ個々の経営によって被害率も違いますし、飼っております魚も一年もの、二年ものがございますので、早急に被害額を査定いたしまして共済金の早期支給を図りたいと考えております。  それから次に、今後におきます養殖の問題でございます。私どもといたしましては、今後の問題としてやはり一番問題になりますのは、赤潮の多発するおそれのある地域に適した魚、これが何であるか、たとえばマダイとかクロダイなどにつきましては今回の赤潮でも比較的被害が少ないということもございますので、ここらをさらにそれ以外の魚種もいろいろ検討いたしまして、このような適種養殖の指導を行いたいと考えております。  そのほか、御指摘のとおり、網数をどの程度一定の水域に入れるのがいいのか、あるいはえさそのものもどの程度投餌すれば十分であるのか等々につきまして、今後とも十分指導してまいりたいと考えております。
  51. 島本虎三

    島本委員長 特に関連質疑を許します。永田亮一君。
  52. 永田亮一

    ○永田委員 私は、関連質問でございますので、ごく簡単に一言だけお尋ねをしたいと思います。後で土井先生もずっとおやりになりますから、なるべく簡潔に御質問をいたしますので、的確にお答えをいただきたいと思います。  さっき一番初めに被害の総額でしたかのお話が水産庁の方からございましたが、三百何十万匹ハマチが死んで、三十一億円とかいうお話でした。これはハマチだけのことだろうと思うのですが、私なんかも、淡路島で友だちを呼んで海水浴をやろうと思ったら赤潮で泳げない、釣りに行こうと思ってもずっと沖の方へ行かなければ釣りができない、そういう有形、無形の損害がずいぶんあるわけですね。面目失墜してしまったわけですが、これは旅館なんかでも、夏にお客さんがずいぶん予約してあったんだけれどもキャンセルされたとか、売店なんかも上がったりでみんな困っているんですが、こういうことを長官水産庁の方もよく記憶していただいて、ハマチだけの被害ではないということを御記憶いただきたいと思います。  それから、長官が八月二十二日でしたか、知事、市長なんかと神戸から高松まで船の上で会議をやられた。あのとき、後で新聞で見たんですが、何か非常に楽観ムードだったように思うのです。それは、さっき長官もおっしゃいましたが、CODが大分減った、半減したとか、透明度がよくなったと、非常に楽しくというと語弊がありますが、愉快に楽観ムードでやられた直後にこの赤潮が出てきた。まことに皮肉でありますが、私が思うのに、あの船上会談が一週間後にやられたらよかった。赤潮の最中にやってもらったら、われわれの困っておることがどれだけおわかりいただけたかと思って、日が少し早過ぎたということを考えるわけでありますが、発生しまった以上、いま水田さんからもるる御質問がありまして、私も伺っておったのですが、まず何といっても赤潮をやっつけるにはその原因というものを究明しなければ対策が立たぬわけです。  それで、赤潮はどうして発生するのかということでありますが、先ほど水田さんの御質問については、水産庁も結局はよくわからぬというようなお答えでありましたし、環境庁の方も研究中だとかいうことのようでありますが、赤潮はどうしてできるのかということを一日も早く究明をしてもらわないと、それを発生させないようにするための対策は立たないと思うのです。  さっき石原長官の御答弁を聞いておると、長官自分でもぐって、個人としても研究しておるというお話でありました。まことに見上げた態度であります。環境庁長官としてはお手本になるような長官だと思っておるのでありますが、長官は個人として御研究になられて、この赤潮のできる原因がどういうところにあるというふうにお感じになったか、それをまず伺いたいと思います。
  53. 石原慎太郎

    石原国務大臣 お答えの前に一言お断りしておきますが、決して瀬戸内海の環境会議船上会談で楽観をしていたわけではございません。たまたまその日も、帰りに高松から飛行機に乗りまして、局長と二人で海を見おろしておりましたときに、すでに屋島の周辺に赤潮の気配がございまして、あれは赤潮でなかろうかといって非常に心配をしながら帰ってきたわけでございます。ただ、臨時措置法によって幾ばくかの成果を上げたということを出席の各県知事さん、あるいは市長さんたちもお認めいただきましたので、その言葉に甘んじて、ある程度の成果を上げたかというような表現をいたしましたが、決してあれで目的が完遂されたとは思っておりません。  それから、私の個人的な体験に言及していただいて恐縮でございますけれども、潮目というものがございまして、その潮目というものは水中深く入ってみないとわからないのですが、非常に立体的にできておりますけれども、ただ私が、西伊豆のように、いままでそういう現象が起こらなかったところに、船からながめていて一、二時間のうちに赤潮が非常に発生する、それを水中から確かめてみますと、やはりその赤潮発生する周囲にいままでなかった形での村落ができ、生活排水というものの関連がどうもあるような気がするのです。  これは、前の予算委員会でも、ある小さな島を例に引いて申しましたが、何か今日の生活排水も、過去と違いまして洗剤等々いろいろなものが入っておりますが、私のような者にはそういうものを有機的に相関性を確かめるすべもございませんので、ただ体験をデータとしてメモするにとどまっておりますが、しかし、いずれにしても水の流れは決してその水面だけじゃなしに、温度等々非常に水中深いところで立体的にできておりますので、そこまで研究しませんと、実は赤潮発生というのは究明できないのじゃないか。  この間、引田町、それから香川県の知事も来られましたが、先ほど水田先生の御質問がありましたけれども水産庁の答えもちょっとそれに触れておったようですが、あのときに香川県の知事さんも、ああいう閉鎖的な水域の中に大規模な養殖をすること自身が赤潮の要因の、必ずしもすべてとは言いませんけれども一つになっていないとはどうも言えないというような表現をしておられました。これはまた非常に皮肉なことで、そういう意味でも養殖の形等々、やはり水産庁の指導で考えていただく余地が残っているのじゃないかという気もする次第です。
  54. 永田亮一

    ○永田委員 なかなかよく御研究になられておるように思いますが、いま、生活排水が一つの原因じゃないかというお答えでございました。これも私もそうかと思います。そうすると、その一つ一つについて、たとえばさっきからお話がありました排水の総量規制の場合はどうする、あるいは富栄養化対策として、さっきも質問がありました窒素とか燐の規制をどうする、それから、いま生活排水による赤潮発生の原因があるということであれば、それをどうするということを早くやってもらわないと、先ほど来後継法の問題が出ておりましたが、後継法のときにそういうものを強化するというのではなくて、いますぐに、もう沿岸漁民なりわれわれ住民も非常に戦々恐々としておるのですから、後継法をまたずに早くこの規制をしていただきたい。窒素とか燐の規制基準の設定というようなこと、それから窒素や燐の処理やり方、こういうものを一日も早く決めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま先生から、窒素なり燐の規制基準等につきましては、後継法をまたずに、いまからでもすぐ何かやれるように一日も早く考えられぬかということでございます。私たちといたしましても、こういう関係はなるべく早くやりたいということでございますが、ただこの窒素なり燐というものにつきましては、まだ科学的な知見といいますか、そういう面で非常に不分明な点が多うございます。したがいまして、われわれ自身としても、気持ちとしては非常にせいておるわけでございますけれども、実際問題として行政という面ですぐ規制というところまでなかなか簡単にはまいらぬということを非常に残念に思っているわけでございます。  なおその際に、お話ございました、たとえば総量規制等はどう考えるかということになれば、これは瀬戸内海法あるいは水質汚濁防止法で、やるとすればいずれにしても日量五十トン以上排出する工場、事業場というものをむしろ対象にしてはどうかということで、総量規制制度の面では現在検討中でございます。  それから富栄養化対策の方の面につきましては、まだそこまで具体的なやり方ができるかどうか、こういうことでいま瀬戸内海について考えておるわけでございますが、やるといたしましても相当高濃度の窒素を排出しておる工場、事業場というものを対象に考えざるを得ないのではないかということでいろいろ考えております。  それから生活排水の関係につきましては、これは総量規制の場合においても生活排水も取り込んだかっこうで考えますし、富栄養化対策で、たとえば瀬戸内海で燐の削減を何らかのやり方でできぬかという場合も、生活排水の方も取り込んでいけないものか、なるべく取り込む方向でいろいろいま検討しておるということでございます。
  56. 永田亮一

    ○永田委員 赤潮発生したときに、いまそれをぱっとやっつけるのにどういうことをやっておられるのか。この赤潮のプランクトンというのは私、生態はよく知らないのですが、発生して何日も生きているものなんですか、それとも二、三日したら死んでしまうものなんですか。死ぬまで待っているということじゃないと思いますが、赤潮発生したときに、出たといったらばっと何かDDTみたいなものをまいて殺してしまうというやり方はないのですか。
  57. 二瓶博

    ○二瓶説明員 今回発生いたしました大規模赤潮につきましては、八月二十七日の晩に発生して二十八日の朝発見したわけでございますが、これにつきましては九日現在ほとんど消滅をいたしております。従来の傾向から見ますと、この赤潮生物は日本では大体百種ぐらいあるわけでございますが、大体五日以内で消滅するものが六十数%ございます。それから十日以内というのが十数%というようなことで、ほとんど十日以内で大半は消滅するというふうに聞いております。
  58. 永田亮一

    ○永田委員 ハマチが死ぬ原因は、どうして死ぬのですか。のみ込んでおなかを壊すのですか、それとも窒息して死ぬのですか。
  59. 恩田幸雄

    恩田説明員 赤潮によりまして魚が斃死する原因につきましてはいろいろございます。それこそ赤潮の主生物となりますプランクトンの種類によりましてきわめて違っております。たとえば水域そのものが無酸素状態になるような場合、それから毒性を持ったプランクトンの場合には、その毒によって魚が死ぬという場合もございます。今回のミドリムシにつきましては、現在いろいろ機構が解明されております範囲内では、特にハマチのえらに詰まりまして、それがえらに詰まることによって破壊されて粘液状の物質になる、そのために急速に酸素欠乏を起こして死ぬのだ、このように言われております。
  60. 永田亮一

    ○永田委員 そうすると、死ぬ原因の一つ一つについてハマチよりも丈夫であるという魚があるはずだと思います。先ほど水田先生の御質問もございましたが、そういう研究もしておられるのだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 恩田幸雄

    恩田説明員 今回のミドリムシによります赤潮被害では、マダイあるいはクロダイの死亡は全然ございません。それは、ミドリムシに対しまして、えらの間隔がマダイの場合は非常に大きい、したがいまして、これが通過してしまうというように現在のところ言われております。私どもといたしましても、ほかのプランクトンによってまたいろいろ被害状況が違うことではございますが、とりあえず播磨灘においては、マダイとかクロダイのような魚種を取り上げていくことが大事ではなかろうかと思っておりますが、さらに新しい品種につきましても研究してまいりたいと考えております。
  62. 永田亮一

    ○永田委員 終わります。
  63. 島本虎三

    島本委員長 関連質疑を再び許します。土井たか子君。
  64. 土井たか子

    土井委員 先ほどから今回の瀬戸内海、特に大きな被害を出しました香川、徳島一円の水域での赤潮被害についての御質問が相次いでいるわけです。いままだ調査中ではおありになるとは思いますが、環境庁とされては、四十七年に出しましたあの赤潮の大被害のときと今回の赤潮被害と比べまして、原因は同じであるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、まずその辺を端的にお伺いをして、質問を簡単にさらに進めたいと思います。
  65. 二瓶博

    ○二瓶説明員 四十七年の大規模発生のときと比べましてまず違います点は、四十七年のときは七月下旬から八月下旬の間に三回にわたって小潮時に発生をした、今回は八月二十七日の大潮時に発生をしておるという点が違っております。それからもう一つは、四十七年のときは要するに四十七年七月の集中豪雨がございまして、これが大きな引き金になったと言われておるわけでございますが、今回の場合は、多少雨も降ったようでございますけれども、そういう豪雨というようなものはなかったわけでございます。     〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕 したがいまして塩分濃度等を見ますと、四十七年のときは低鹹現象といいますか、相当塩分濃度が下がっておったわけでございますが、今回の場合は、むしろ普通の状態とほとんど塩分濃度は変わっておらぬということが言われております。  それから潮位等につきましても、四十七年のときは相当潮位が上がっておったということが言われておりますが、今回は四十七年ほどではないということがございます。  それから赤潮生物それ自体につきましては、これはホルネリア属であることは両方とも同じでございますが、まだ四十七年のものと同じであるホルネリアマリーナであるという同定はできておりません。属は同じでございますが、種の方まではまだ確定を見ておらない。その点が大きな点だと思います。なお、先ほど申し上げました検討会におきまして、そういう面につきましてさらに同定その他を今後急ぐ、こういうことでございます。
  66. 土井たか子

    土井委員 水質保全の対策については、別に瀬戸内海だけに事限るわけではなくて、全国一律にお考えになるという基本的な問題が一つはあるかと思いますが、今回の赤潮被害を通じていま御答弁の、研究をされている中身というのが、これは起こった地点瀬戸内海でございますから、やがては瀬戸内海環境保全臨時措置法に対しての跡継ぎ法の中でも生かされるはずだと私たちは思いますし、また現に毎日進められつつある行政措置の上でもこれはやはり生かし続けられなければならない問題だということは、これは言うまでもない話でございます。  それで、いまお伺いした限りでも、先ほど来の御答弁と総合して考えてまいりますと、あの瀬戸内海環境保全臨時措置法CODに対して年々減少傾向をもたらしたということに対しては一定の効果は上げている。ただしかし、窒素、燐に対しては全然規制がございませんから、この問題に対しての野放しということが一つは大きな問題を提起してきているというふうな御認識の上に立って、燐に対してどう取り組むか、あるいは窒素に対してどう取り組むかという問題が今後の課題であるというところに大きな問題点があろうかと思うのですね。  そこで環境庁とされては、先ごろ来、これはもう昨年ごろからそういう声はお伺いして今日にまで至っているわけですけれども、特にことしに入ってこの夏場を迎えて、また赤潮が多発するであろうということの懸念も一つ関係としてあったのかもしれません、燐のクライテリアについての作成の作業を進められているようでありますが、そのクライテリアについての作成が、聞き知るところでは余り具体的に進行していないような向きも伝え聞くわけでありますが、現状はどのようなぐあいになっているわけでありますか。
  67. 二瓶博

    ○二瓶説明員 クライテリアの作成作業の進行状況でございますが、実はこの燐なり窒素のクライテリア、これは純学問的に見た環境上のレベルというものの考え方で、学問的な立場でもってレベルを考えてもらうということで、昨年以来ある作業部会をつくりまして、大学の先生なりあるいは研究機関先生方等にお寄りいただきまして検討してもらっておるのですが、この考え方といたしましては、一つは利水目的を考えまして、湖沼につきましてはむしろ水道用水ということを頭に置いて、水道原水としてはどこまでN、Pが低くないとだめか、支障のないレベルはどの辺かというような観点、それから海域につきましては、むしろ魚との関係でどの辺まではどういう魚には許容される範囲かというようなことで、そういう純学問的なレベルというものがどの辺にあるのかということを学者諸先生に御検討をいただいておるということでございます。  大分この作業も煮詰まってまいったのですが、ただ、先生方が外遊するとかあるいは夏休みでおらぬとか、こちらも予算編成の時期とぶつかっておるとか、いろいろなことで若干おくれておりますが、クラィテリアそのものにつきましては、これは一応年内ぐらいにはまとまるかと思います。  ただ問題は、このクライテリアといいますものは、これは私としては外部に公表するつもりを持っておりません。といいますのは、これは純学問的なものでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、明年度からいわゆる環境ガイドライン、排水処理技術のガイドライン、これの設定調査に取り組むということで考えておりますが、環境ガイドラインと環境のこのクライテリアとの関係を申し上げますと、クライテリアは、ただいま申し上げましたような純学問的なものでございます。それに対しまして、社会経済的な要因というものを一応加味するということで環境ガイドラインをつくりたい。しかも、その環境ガイドラインというものを維持達成するために排水処理ガイドラインというものをつくりたい、こういうことでございます。ここまでというものを一応線を示したが、さっぱりそういうものを維持達成する手だてはないということでは飾っておくだけでございますから、そういうことは行政官庁としてはおかしいのではないか、行政としてやっていきたいという考え方でございます。したがいまして、クライテリアの方は年内くらいには出ようかと思いますが、これに社会経済的な要因等も十分加味いたしました上で環境ガイドラインをつくる、そういうことで明年度、先生方の知恵等も動員いたしまして詰めていきたい、それとあわせて排水処理技術のガイドラインも並行して詰めていきたい、こう思っておるわけでございます。
  68. 土井たか子

    土井委員 いまの進行状況に対しての御答弁はまことに明確で、よくわかったわけです。そのとおりだろうと私たちも憶測をするわけですけれども、そうなってくると問題になるのは、社会経済的な側面から考えられる、ただいま環境庁として手がけなければならないと前置きをされた環境処理ガイドラインのあり方なんですね。それがつくられなければ事は動かないのじゃないので、それに向かって現在、日々こう動いていっておるわけですから、現状においてその問題をどう把握されているかということも、ひとつはきょうはここで聞く意味は非常にあるだろうと私は思います。  そこでお伺いをいたしますが、環境庁としては総合調査をこういう問題について、いまお答えのところでありますから恐らく行っていらっしゃるだろうと私は思うのですが、発生源別に排出濃度について追求をしていった場合に、一体その燐に対しては、下水処理場それから屎尿処理場等々についての寄与率は非常に高いというこの事実は、もう申し上げるまでもなくお認めになりますね。いかがですか。
  69. 二瓶博

    ○二瓶説明員 燐の発生源でございますが、これは非常に多岐多様にわたっております。一つは、先ほど来もお話しございます生活系排水、この面におきましても燐が相当高うございます。この生活系排水の中には、合成洗剤を使って流した洗たくの水も入っておるわけでございます。そういう生活系排水、これが相当ございます。そのほか産業系の排水でございますが、これにつきましてもいろいろな業種がございまして、相当の排出量になっております。そのほかに、さらに農地等から排出しているというか流出している、燐酸肥料をまきますので流出している。あるいは林地からも流出しているものもある。それから畜産の方面から流出しているというものもございます。  そういうようなことで、いろいろなこの辺の排出量の調査を現在やっておりますけれども、その際に、生活系排水につきましては下水処理施設あるいは屎尿処理施設というようなものを設置をしまして、これで処理した水を処理水として公共用水域に排出をするという形にいたしております。ただ、現在二次処理でやっておりますけれども、二次処理でやっております限りにおきましては燐の削減は大体五割程度が精いっぱいではないか。したがいまして、これ以上の削減をするということでございますれば、先ほど水田先生からもお話しございました凝集沈でん等をさらに加えるという形の高次処理、そういうものまでが必要であろうかと思います。具体的な寄与率は、ちょっといまこの分だけ取り出してはございません。
  70. 土井たか子

    土井委員 必ずしも私の質問に対してそのままお答えいただいた御答弁ではないのですけれども、しかし、聞かないところにまで歩を進めて御答弁をいただいた部分もあるわけで、大変そういう点から言うと懇切丁寧と言うことができるかもしれないとも思うのですが、ただ、いま御答弁いただいた限りでは、やはり下水処理場や屎尿処理場からの寄与が大きいということは一応前提としてお答えになったのではなかろうかということで、さらに質問させていただきます。  それは、いまおっしゃった三次処理というのが必要だというこの施設整備については、下水道の処理施設に対して特に問題がもう過去数年来提起をされてきているわけですが、ただ、いまだれでもがよく知っているとおりで、実働規模では三次処理というのが可能なのは全国でまだ二カ所しかありません。建設中というのがさらに二カ所しかありません。非常に数が少ないわけですね。第四次下水道整備五カ年計画でおよそ第三次処理建設というのが二十カ所くらいの予定となっていると私は聞いているわけですけれども、しかし、現状でどこまでその二十カ所についてもこの予定が具体的に実現し得るかということも、まだまだ宿題だと思うのですね。  と同時に、いま申し上げたいことが一つあります。ここで三次処理といいましても、本来何が目標かというと、BOD、CODの削減が主たる目標で、必ずしも当初から三次処理の内容は燐、窒素除去できるというところに目標は置かれていなかったのではないか。ですから、三次処理をやるから窒素も燐も大丈夫だというふうなことにはこれは絶対ならないわけですね。特に、建設省がこれは大体担当省としてその問題に対しての処理目標ということをお決めになるわけですが、三次処理についての処理目標を見ますと、特にいま問題になる燐に対しては一ppm、窒素化合物に対しては三ppm、BOD、SSはともに一〇ppmというところに目標値を置いていらっしゃるようであります。これは、言うまでもなくこの目標値というのは処理技術から割り出されたレベルだということははっきりしているわけですが、対策技術がこうした目標を掲げていくことから考えてまいりますと、環境庁とされては、環境上の目標もこの排水レベルに逆算されて、そこからかけ離れたところに設定はできないだろうということ、一般にはこれにしほられてしまうような感じがするわけなんです。  そこで申し上げたいのは、建設省が考えていらっしゃる第三次処理に対しての処理目標というものに対して、いまの据え置きのままで、その枠内で考えられる環境庁としては、燐に対しての先ほどの環境処理ガイドラインをお考えになるのか、それともいま持っている建設省としてある目標値それ自身に対しての再検討を要求しながらこの環境処理ガイドラインに対してのお考えをお進めになるのか、ここのところでずいぶん問題は違ってくるんじゃないかと私は見ておりますが、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  71. 二瓶博

    ○二瓶説明員 ただいま先生から御指摘ございましたように、三次処理と申しましてもBOD等を下げるのをねらいにする三次処理と、Pの削減をするための三次処理とそれぞれ違います。したがいまして、一応ただいまのところはむしろ燐の話でございましたので燐の三次処理、こういうものもやっていく必要があろうかという意味で答弁をいたしたわけでございます。  ただいま建設省の方で進めておりますのは、この第四次下水道整備五カ年計画というもので進めておるわけでございますが、ただこの際も、二次処理を前提にして普及率を五十五年末に四〇%まで引き上げたいということでございまして、この三次処理分といいますものはごくわずかでございます。その中で、先ほど先生おっしゃいましたように、BODの場合は一〇ppmなり、あるいは燐の場合は一ppmなりというような角度で建設省が一応目標を置きまして考えておる。しかも現在動いておりますものは、どちらかと言えば先生おっしゃいましたむしろBODの方の三次処理の実験施設でございまして、それを済ましたところで次にPの方にかかりたいという角度で建設省は考えておるわけでございます。  そこで問題は、その際に、建設省が現在目標値として置いておりますこのPの削減、これを再検討するということなのか、それともこれを是認することで削減の方を環境庁としては考えるのかというお話でございますが、ただ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、その燐の方の排水処理技術指導指針というものを設定いたします際も、排出いたします工場、事業場、これは非常に産業分類から見ましても多種多様ございます。私たちがまず焦点を置いてどこからやっていくかというと、高濃度の燐を大量に流す、こういう業種、これをまず征伐する、これをまず目標にして削減をする方法を考えていきたい。ですから、たとえて言えば一〇〇ppmあるものを一〇ppmまで下げる、これは比較的やれる。やれるといいますか、やりやすい。ところが一〇ppmを一ppmまで下げるのはなかなかむずかしい。したがって、まず戦略的にどこから攻めていくかという際は、高濃度のPを多量に流す工場から攻めていきたい。こういう角度で、来年度の排水処理技術ガイドラインをつくります際も、六業種ほど対象に考えて詰めていきたいと思っておりますが、むしろそういう戦略的な意識を持ちまして業種を選んでいるわけでございます。したがいまして、いま先生が建設省のこの下水道の場合の目標値はこうだ、Pで言えば一ppmだ、今度これでいいのかどうかというお話がございますけれども、私たちの方は、むしろしばらくこれで建設省にまず実験的にやってもらおうと思います。むしろ私たちの方は、いま臨海工場などで多量のP、高濃度のものを流す、そちらの方を一体どこまで下げさせるか、また技術的に凝集沈でんとか方法論的にはありますけれども、それを有効的にどうやっていくか、そこを早急に詰めていきたい、こういうことでございます。
  72. 土井たか子

    土井委員 そうすると、当面の環境庁とされては、環境処理ガイドラインを、業種に対して六業種指定というところに中心を置いてお進めになるというかっこうがここ当分の問題なんですね。だからここ当分は、建設省は建設省で例の下水道整備に対しての処理目標というものを置いてお進めになることにその部分はその部分で任せながら、片や環境庁としては、六業種というものにしぼりながら、高濃度の燐を排出していることに対しての規制を強く進めるというかっこうでいきたい、こういうかっこうになるわけですか。
  73. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答えいたします。  五十三年度はそういうところからまずいく、そこをやったら次のランクのところをまた排水処理技術の指導指針といいますか、それをまた詰めていきたいということで逐次考えていきたい。一等最初は、やはり高濃度のものを多量にというところ、その辺から詰めていきたい、こういうことでございます。ですから、いま建設省にはそういうことでやってもらっておきまして、建設省のそれもいずれ見直すような場面は何年かにまた来ると思いますけれども、いまは何もやっておらないわけですから、とりあえずはそこからまず最初手がけていくということが先ではなかろうかということでございます。
  74. 土井たか子

    土井委員 その御答弁を表向き聞いているとまことに意欲的にも聞こえるのですが、しかし片やもう一つ意地悪な考え方を進めますと、これはあらまし建設省の出された枠に従って、やりやすいところからやりましょうということに対して歩を進めるとも聞こえるわけでありまして、これはもうちょっと詰めが私は必要ではないかというふうに考えます。  それと同時に、これは下水道整備の問題に対して必ず出ることでありますけれども、計画が組まれる、そしていろいろな計画に対しての行政指導はある。だけれども、いざ実行ということになると、必ずこれは予算がつく問題にもなってまいりますので、先ほど瀬戸内のあの海上会議の席において、環境庁長官に各自治体の長の方から、十年一日のごとく財政上の特別措置に対して、下水道整備促進という中身を持った陳情があったやに私たちは聞き知っているわけでありますけれども、それに対しては五十三年度の予算要求の中で考えましょうといういわば抽象的であり、例年かわりばえのしないお答えであったというふうなことが新聞では報道されているわけであります。これはやはりいま燐の問題や、それからさらには水質浄化ということに対して、二百海里時代でありますから、沿岸対策なんというのは非常にこれからより重視される時期でもありますので、この下水道整備の問題に対しては先年、四十九年度だったかと私は思いますが、もうすでに一般の補助率がアップされて、その見直しということをここでまた要求する形になるわけですが、一般補助率よりもまたさらに率をアップするというお考えを環境庁としては積極的にお出しになるかどうか。その辺はやっぱり実現の問題に向かって具体的に現実的な意味を持っておりますので、ひとつお答えいただきたいと思いますが、いかがですか。
  75. 二瓶博

    ○二瓶説明員 建設省におきまして五十三年度予算要求ということで、下水道関係予算の要求をいたしております。それで、国費ベースでは四千四百億というふうに聞いておりまして、対前年比三割強というふうに聞いております。ただ、そういうことで総額的には相当大幅な予算要求をいたしておるわけでございますが、補助率アップの面につきましては、ただいま先生からもお話ございましたように、四十九年度に相当大幅な補助率アップをいたしておりますので、今回は、むしろ補助率アップといいますよりは、むしろ対象事業量の拡大というところの方に重点を置いた予算要求というふうに一応聞いております。
  76. 土井たか子

    土井委員 時間の方も差し迫っておりますが、通産省からせっかく御出席をいただいて、ひとつ私は簡単に通産省に対してこの席でお聞きしたいことを申し上げたいと思うのですが、それは、環境庁の方でいろいろ燐の問題に対しての総合調査をずっと進められる中でも、私は恐らく出ているのではないかと思うのですが、生活系排水と工場系排水との汚染に対する寄与率というのがほぼフィフティーフィフティーと見られていいのじゃないかというふうに私たちは認識をいままで進めてまいりました。そういうことの中から言うと、瀬戸内海では少なくともそう言えるわけですけれども、この生活系の排水の中での燐というもののあり方が一体どういうかっこうで出ているかということが、実は今後またさらに大きな問題になってこようと思うのですが、生活系排水の中での燐の二分の一から三分の一は、実は粉末合成洗剤によるというふうな意見が非常に強うございます。洗剤といえば、言われるとおり燐が使われてトリポリ燐酸が使われているわけですが、この燐の製品の中身を一二%以下に抑えるということを、業界では自主規制で決めておられるようであります。ことし十月からはこれがJIS規格になったと私たちは承知しておりますが、そういうふうな一二%以下に抑えるというふうなことを自主規制をされているようであります。  そこで、その内容について通産省に実はお伺いをしたいのは、外国でもこの洗剤の燐規制というのがかなり厳しく行われているやに私たちは聞いておりますけれども、実際問題、燐分を低下させるということは技術的にはやさしいのですが、洗浄力を低下させるということになるわけで、商品価値が低下するということから実は余りやられない。強く推し進めるということに対して困難性があるというふうにいままでずっと見られてきたわけなんですね。そういうことから言いますと、日本でただいま業者間での自主規制ということでの一二%、特に十月からはそれがJIS規格になるというふうに言われていることに対して、通産省としてはこのままでいきたいというふうにお考えになっていらっしゃるのか、もう少しこの一二%という問題のあり方を再考慮してみようというふうなお考えがおありにならないか。その辺、非常に素朴な質問ですけれども、お答えをいただきたいと思うのです。
  77. 平河喜美男

    ○平河説明員 お答えします。  現在、業界で一二%を一応めどにしまして自主規制をやっておりまして、もちろん会社は幾つもありますし、技術もいろいろございますので、一二%一律ということでございませんので、一二%以下のものも一部出ております。私どもの方としましても、今後の技術の進歩を見ながら、洗浄力が低下しないような方向で低燐の方向の指導を進めるつもりでございます。
  78. 土井たか子

    土井委員 以下のものも出ておると、以下のものだけおっしゃいましたが、以上のものが実はあるわけでありまして、以上のものについての対処の仕方というのはどういうふうになされるのかというのが実は行政措置の上から問いたださるべき問題であろうと思いますし、第一、その一二%というものがそのままでいいのかどうかということをどのようにお考えになっていらっしゃるかということに対しては、何らお答えをまだいただいておりません。いかがですか。
  79. 平河喜美男

    ○平河説明員 一二%が絶対的にいいか悪いかということにつきましては、水質規制との関連で直接まだ数字が出ておりませんので、私どもの方としましては、全体として低燐化の方向を指導する、こういう立場でございます。
  80. 土井たか子

    土井委員 ただ一二%とお決めになっても、その業界の中では特に大手ですよ、これは名前をはっきり申し上げていいと思うのだけれども、御存じのとおりに、一二%をオーバーしている洗剤を製造している大会社もあるわけでありますから、通産省とされては、この一二%ということを決めればそれでよいというふうな姿勢であっては、燐対策という点からすると決してこれは十全とは言い得ないということだけははっきり言えると思うのです。  この問題は、きょうは時間の都合もありますから、また時を改めて細かくひとつ質問を進めなければならないと私は重要視しております。だから、このことの予告をきょうはあらまし申し上げておきたいと思います。きょうのような御答弁じゃどうにもならない。  それで最後に二つ。実は瀬戸内海環境保全臨時措置法にも関係のあることで、私は簡単にこれをお伺いして、終わりにしたいと思います。  一つは、この瀬戸内海臨時措置法に対しての後継法総量規制でいきたい、日量五十トン以上の総量に対して規制をしていくというふうな御発言が先ほど局長からございましたね。いま五十トン以上という問題に対しては、当初あの臨時措置法を立法化する段階で私たちがずいぶん口やかましく言ったことは、どれだけの量がいま排水口から排出されているかということは実はよくわからない。それぞれの自治体でも監視体制が十分とは言い得ない。どういうことをしているかと言うと、ときどき見回りに行って、どれくらいということをせいぜい目ではかってくることが精いっぱいである。そこで、それぞれの排水口に対して排出量というものが測定できるメーターの取りつけを考えていく必要があるのではないかということが非常に口やかましく言われたことを、局長もよく御存じでいらっしゃると思いますが、このメーターの取りつけの問題はどういうかっこうで進み、そうして現状からしてこのことに対しての必要性をどう感じていらっしゃるか、そのことをお尋ねをしたいと思います。いまは濃度規制というかっこうでいっておりますので、排出量の量規制という点からいうと、排水口それ自身がそのような体制になっておりませんので、このことに対してひとつお尋ねをしたいのです。  あともう一問は、BOD、COD規制中心水質汚濁防止の考え方というのを見直すべき必要があるのではないかという意見が、実はちまたにございます。この意味は、きょうここで取り上げられた燐にも関係がございますけれどもCODを落とすために使われる活性汚泥、この活性汚泥を利用しなければならないわけですが、そうすると、微生物を利用するには窒素や燐を添加いたします。ところが、添加した窒素や燐というのはプランクトンの増殖を必ずもたらすという結果になるわけですから、前よりもCOD自身は減っていても、そのプランクトンをCOD換算してみれば汚濁負荷はふえているという結果になるのではないか、こういうふうなことから、いまのCOD、BOD規制中心のこの水質汚濁防止の考え方というものを変えていく必要があるのではないかというふうな意見であります。これまではCODやBODだけを対象として削減努力をすればよかったのだけれども、このプランクトンの存在を対象に入れるということになると、こうした計算が必要になってくるのではないか、だからCOD、BOD削減と同時に、その中に燐、窒素削減というものを考えていくべきだというこの計算方法を提起されているわけでありますが、この跡継ぎ法の中では少なくとも総量規制という中に燐を含めたい、窒素も考えなければならない、こういう姿勢がもうすでに環境庁長官の御発言にも再々ございますとおり打ち出されてきているわけでございますから、いまのこのCOD、BOD規制中心水質汚濁防止の考え方というものを考え直す必要があるのではないか、こういう一部の声もその配慮の中に全く無関係とは私、言えないように思う。この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。  以上、二点をお尋ねしまして終わりにしたいと思います。
  81. 二瓶博

    ○二瓶説明員 まず第一点の総量規制をやる仕組みでございますが、この仕組みにつきましては、日量五十トン以上というのを一応いまの段階で私たちが考えておるということでございまして、今後これは中公審にも諮問しなければなりませんし、関係省庁それから関係府県等とも協議をして成案を得たい、こう思っております。そういう意味で、現在の素案といいますかたたき台としては、現在の水質汚濁防止法の濃度規制の対象になっております日量五十トン以上というところを原案としては考えてみてはどうかということで申し上げたわけでございます。  それから、総量規制ということになりますと、これもいまの段階での一応の素案でございますけれども、排水口ごとにどうというよりはむしろ工場、事業場単位ということでやることになろうかと思います。  そこで問題は、現在、その臨時措置法におきまして産業系排水にかかるCOD二分の一カットというのをやっておりますが、これはいわゆる水質汚濁防止法に基づく濃度規制におきまして、県が条例をもちまして逐次その割り当て量を達成するために上乗せをやる、こういうやり方でございます。ですから、手段としてはやはり濃度規制をベースにして、それを下げていくということにおいて割り当て量を達成しよう、こういう方式でございます。  それに対しまして今後考えていきたい総量規制の制度化といいますのは、国から県に割り当てますし、県から事業所に割り当てがいきますが、量でいくわけです。したがいまして、先生おっしゃいますように、今後はその対象工場につきましては流量計等を設置しなくちゃならぬ、こういうことになります。いまはほとんど設置しておりません。今度は量でございますから、濃度掛ける水量になりますので、どうしても流量計等の設置も必要になってまいるということでございます。  それから第二点でございますが、BOD、COD規制中心の見直しをやるべきではないかという御意見があるということでございます。水質の有機汚濁の指標というようなことで、海域、湖沼におきましてはCOD、河川につきましてはBODというのが重要なる汚濁指標ということでやってまいっております。このBOD、CODの面でもまだ十分環境基準を達成しているとかというようなことでないところも相当残っておりますので、環境庁としては、このBOD、COD規制もさらに今後とも続けていきたい。  ただ問題は、瀬戸内海どもCODの二分の一カットも超過達成したにもかかわらず、今回大規模赤潮が出たではないか、水はきれいになったと言うけれども、それはCODであって、相変わらず赤潮が出ておるではないか、したがって、やはりそういう面もやっていくべきではないかという声も非常にございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、富栄養化の問題がございますので、N、Pの削減問題というのに取り組んでいきたい。  その際に、まず戦略的にはむしろPに焦点を当てていきたいということを先ほど申し上げ、さらにあわせて瀬戸内海については、竹やり的なやり方かもしれませんが、何らか方法はないかということを考えておりますので、私たちの方はBOD、COD規制中心の見直しというよりは、それだけで水質浄化の目的は達成されるとは考えておりません。それも必要だからやりますけれども、やはりN、Pの問題は、今後の水質浄化の重要なる課題として、これは継続的に強力に取り組んでいくべきものである、かように考えております。
  82. 土井たか子

    土井委員 終わります。
  83. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 午後二時より再開することといたし、暫時休憩いたします。     午後一時十六分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  84. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂口力君。
  85. 坂口力

    ○坂口委員 まず最初に、赤潮の問題から私もお聞きをしていきたいと思います。  けさからいろいろ御議論がございまして、私がお聞きをしたいと思っております問題の幾つかはすでに議論をされたわけでありますが、けさの議論の中で後継法の問題が出まして、幾つかの議論がなされました。その中で、現在あります特別措置後継法として瀬戸内海独自のものをつくるか、それとも東京湾あるいは伊勢湾等を含めた閉鎖性水域全体のものをつくるかということが話題になっておりましたが、けさお聞きしました感触では、皆さん方としても閉鎖性水域全体に当てはまる法律づくりというものの方向を目指しておみえになるように私感じたわけでございますが、私のその受けとめ方に間違いございませんか。
  86. 二瓶博

    ○二瓶説明員 瀬戸内海後継法、これは後継法として次の通常国会に提案をいたしたいと考えております。その際に、瀬戸内海水質の保全のみならず自然景観の保護といいますか、こういう面も織り込んだ臨時措置法にいまなっていますし、後継法もそういう形になるというふうに考えております。ただ、その際に、水質総量規制というような制度については、後継法というよりは、むしろ伊勢湾、東京湾も考えて、あるいは水濁法の改正ということでいくのも一つの手ではないか、予算の要求の仕方としてはそういう形で、むしろ水濁法の改正ということで考えておる、こういうことでございまして、瀬戸内海の方は例の国立公園が相当網をかぶっておるという事態がございますので、これは後継法後継法として出したいと思っております。
  87. 坂口力

    ○坂口委員 ちょっと私は勘違いをいたしておりまして、よくわかりました。そういたしますと、東京湾ないし伊勢湾の部分も、部分的な分野においてはその中に含めて、それが今後網がかけられるような形にしたい、こういう意味でございますね。  そのときに、いつもこれは起こることでございますが、各省庁との間のいろいろの詰めの問題があろうかと思います。たとえば一例を挙げますと、これもけさほど少し出ておりましたが、総量規制に絡みまして下水道建設等の問題がございます。総量規制の問題を考えますときに、けさもいろいろ議論がありましたように、二次規制あるいは三次規制というような問題もございますけれども、しかし現在、下水道そのものがまだないところが多いわけでございまして、そういたしますと、二次規制、三次規制というような問題以前の問題をかなりたくさん含んでいるわけでございます。  どういたしましても、総量規制を導入して、そしてぜひそれを実現していこうと思いますと、地方公共団体のレベルにおきましては、下水道の建設問題というようなことが大きな問題になってこようかと思います。総量規制という項目は入ったけれども、しかしいかんせん地方公共団体の経済状態がなかなかそれを満足させるところまでいかないというようなことが必ず起こってくるわけでございまして、そういう意味では、下水道をつくりますときの補助率のアップの問題が当然入ってくると思いますが、こういった問題が出てまいりましたときに、建設省あるいは厚生省とか他の省庁とのいろいろな問題があろうかと思います。  環境庁も非常に前向きないろいろの法案の作成に努力をしてもらっていることは私たちもよくわかるわけでありますが、アセスメントにいたしましても地盤沈下法案にいたしましても、他の省庁との間の話し合いというものがなかなかむずかしくて、もう提出間際になっていろいろと困難な問題が常に起こってきているわけであります。ですから、この跡継ぎ法及びそれに関連いたしますこういう法案にいたしましても、またそういった下水道の建設だとかほかの分野でのいろいろの絡みでなかなかうまくいきにくいというようなことも起こらないとも限らないわけでありまして、赤潮が解決に非常に急を要している、そしてまたこの赤潮が、現在出ております瀬戸内海だけではなしに、いつまた他の地域でどういう形で出てくるかわからないという現状でございますので、早急に跡継ぎ法及びそれの関連の法案の整備というものがなされなければならないと思うわけでございます。そういうふうな心配はないのか、あるいは下水道、一例を挙げましたけれども、こういった問題で他の省庁との間に何か現在ネックになっているような問題はないか、そういったところを、もしも現在の段階でわかっておりましたら、ひとつお答えいただきたいと思います。
  88. 二瓶博

    ○二瓶説明員 現在、総量規制の制度化ということを考えておりますが、問題は、なぜ総量規制ということを考えるのかという際に、たとえば現在の瀬戸内海臨時措置法も「産業排水に係る」云々、とこうなっているわけですね。そこで、産業系の方は相当、濃度規制ではございますが、上乗せや何やを大分各県も精力的にやっていただきまして、産業系の排水について相当COD等も削減になっているわけでございます。ところが、生活系排水の方につきましては、これはなかなか思うように進んでおらないというようなことがございまして、主として産業界、経済界等の方からも、そこは生活系排水も取り込んだ総量規制ということをむしろやってもらいたいというような趣旨の線もございます。そういうこともございまして、現在、総量規制ということで生活系排水を取り込んでやりたいと思っております。ただ問題は、この生活系排水の面におきましては、有効なる手段としては何かということになれば、やはり下水道の整備というのが何といいましても一番有力な手段になろうかと思います。  そこで、下水道の方は、先ほどもお話が出ましたように、現在、第四次下水道整備五カ年計画が進行中ということでございます。そこで、この下水道整備という際に、現在の二次処理さえもなかなか思うに任せない、ましてや、そこに三次処理というような話も入ってまいりますれば、これは相当大変な話になる。ましてや、そこにまた地方公共団体の経済的な問題もあって、補助率もアップせよという話になってくる。そうすると、いまの二次処理を伸ばしたい、補助率は上げたい、三次処理はやりたい、国費がもう幾らあっても足りないぐらいの話になるわけでございます。それが果たして本当に対応できるのかという問題は、これは確かにございます。国自身も、現在国債が三割を超さぬようにというような話で、ぎりぎりのところまで来ておるという国家財政の現況もございます。したがいまして、そういう非常にむずかしい時期に総量規制をやること自体が非常に時期的にもどうかという説もございます。しかし、私たちとしては、この機会にやはり総量規制というものも踏み切っていきたい、こう思っております。  そういうことでございますので、建設省なり通産省なり関係省庁との詰めというものは果たしてうまくいくかというお尋ねでございますが、まだこちらも正式の相談する案も作成しておりませんし、本格的な折衝というのはもう少しこちらが詰めてから開始することになろうかと思いますが、一つは、何といいましても、下水道の問題等につきましては、この総量規制制度の実施が今後下水道整備というものの相当の促進のインセンティブになることを私たちは期待をしているということでございまして、具体的に補助率がどうとか事業量がどうということは建設省の方で、今後また第五次もいつからやるかという問題もあろうかと思いますが、そういう意味でひとつ、生活排水もほっておけないという姿の制度を、外堀を埋めるようなつもりで環境庁としては取り組んでみてはどうか。その間、今度は具体的に建設なり通産省なり各省及び各県等とも詰めの段階をいずれ迎えるわけでございますが、これについては必ずしも私たちは楽観はいたしておりません。  ただ問題は、後継法というのは、これはしりが切られております。五十三年の十一月までに失効することになっておりますので、後継法は必ず出さなくちゃならぬわけでございます。地盤沈下防止法なりいろいろな話も出ましたけれども、向こうと違いまして、こちらはもうしりが切られておる。しかも、毎々これは政府提案で必ず出しますということは歴代環境庁長官が言明しておるものでございますので、そういうしりが切られておるというのを一つのてこにして各省とも話をつけたい、こういう考えでございます。
  89. 坂口力

    ○坂口委員 御決意まことに結構だと思いますし、ぜひそういうふうにお願いをしたいと思います。しかし、でき上がったけれどもその中から肝心のところが削除されているというのでは、これはできた値打ちがないわけでありまして、できます限りは総量規制というものがきちっと入った跡継ぎ法というものをやはりつくらなければならないと思うわけであります。その中には、先ほども触れましたように下水道等の問題は、補助率のアップの問題が入りませんと、これはどうにも都道府県といたしましては対応ができないのではないかと思います。五十三年度の予算下水道整備のための枠を少し広げたというお話が午前中にございましたけれども、現在の段階でこの下水道事業の枠をある程度広げたといたしましても、都道府県の持ち分をなかなか用意できない弱小府県ですね、こういうところも多いわけでありまして、そういうところはいかに枠組みが広がりましてもなかなか前進させることができないわけでありまして、この法律が新しくできます以上は、その中にやはり補助率アップという項目がどうしても織り込まれないと、絵にかいたもちになってしまう可能性があるのではないか、こう考える一人でございまして、局長決意も承ったわけでありますが、ここで長官にもぜひこの辺のところについてはひとつけじめをつけて、必ず入るように、そして来年十一月というのが一つの土俵の一番最後になっておりますけれども、十一月まであるからというのでなしに、できるだけ早い時期にこれを提出願うように、ひとつお願いをしたいと思います。その点、長官の御決意をひとつ伺っておきたいと思います。
  90. 石原慎太郎

    石原国務大臣 新しくできます跡継ぎ法の中での総量規制、それとの相関における下水事業、そしてまたそれにかかる地方公共団体の負担、その相関性につきましても先生のおっしゃられるとおりでございまして、その線に沿いまして環境庁予算折衝のときなど努力を精いっぱいするつもりでございます。
  91. 坂口力

    ○坂口委員 水産庁もお見えになりますか。——それでは一言だけお聞きしておきたいと思いますが、先日来起こりました瀬戸内海におきます約三十一億になんなんとする赤潮被害でございますが、これに対する補償等の問題も、これは農林水産委員会等でもいろいろ取り上げられていると思いますが、現在、その対応を決定されておりますのはどこまででございますか。
  92. 恩田幸雄

    恩田説明員 今回の赤潮被害によります被害漁業者のための資金その他についての措置でございますが、九月九日付で、現在すでに制度融資資金を受けている方々については、その償還の猶予等貸し付け条件の緩和について通牒をすでに発送しております。  それからなお、今後の各県の調査の結果によりまして、その後の維持再生産に必要な資金、これにつきましていろいろ既存の制度を利用しながら対策を立ててまいりたいと考えております。
  93. 坂口力

    ○坂口委員 ぜひひとつそれはよろしくお願いをしたいと思います。  では、次の問題に移らせていただきますが、厚生省お見えいただいておりますね。  厚生省の方にひとりお聞きをしたいと思いますが、これは一年半ほど前になりますけれども、この公害委員会で、大気汚染に絡みまして大気汚染と肺がんの発生率について私、お聞きをしたことがございます。そのときに、その地域地域におけるがんの発生が多いのか少ないのかということが、対象にする、コントロールにするものがないというので、そのとき、本田課長さんだったと思いますけれども、全国のがん地図並びに疾病地図と申しますかそういったものをつくって、そしてそういった問題に対応したい、こういう御答弁がこの委員会であったわけであります。ことしの三月までにそれができ得るということを聞いておりましたが、いろいろ検討がおくれていたように聞いておるわけでございますが、最近、それがどの辺まで進んでいるのか、すでにでき上がっているのか、そういったことをひとつお聞きをしたいと思います。
  94. 仲村英一

    ○仲村説明員 ただいまお尋ねの小地域におきます健康障害をどのようにとらえるかという問題は、実は御指摘のように学問的にもかなりむずかしい問題を幾多含んでおりますが、私どもといたしましては、五十一年度から研究班を発足いたしまして、班長に国立公衆衛生院の疫学部長の重松先生にお願いいたしまして、その他名古屋大学あるいは大阪の成人病センター、慶応大学、国立がんセンター等の各研究者で研究班を組みまして、市町村別に、ある疾患について死亡率を標準化いたしまして地図を作成するという作業をお願いしたわけでございます。  ただいまお尋ねの、どの程度進んでおるかということでございますが、五十一年度におきましてはがんと循環器疾患。がんにつきましては胃がん、肺がん、乳がん、子宮がん、それから肝臓がん。それから循環器につきましては脳卒中、脳出血、高血圧性疾患、虚血性心疾患、心臓の疾患でございますが、この数種類の疾患につきまして死亡を標準化いたしまして、それを地図の上に写すという作業をお願いしたわけでございますが、作業がちょっとおくれておるようでございますが、いままでのところ、地図につきましては大体でき上がっておるようでございます。解析その他が多少おくれておりまして、まだ最終的に私どものところへ報告いただいておりませんが、おおむね完成の域に達したと申し上げてよろしいのではないかと考えております。
  95. 坂口力

    ○坂口委員 大体基礎的な調査は済んだようでございますが、最終的な解析が行われていないまでも、現在の段階で大体ここまでは言えるという点があれば、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  96. 仲村英一

    ○仲村説明員 私も研究班の先生方から実はまだ直接解析の結果その他を伺っておらないので、本日、ここでその中身について具体的に申し上げることはできないのでございますが、一例を申し上げますと、この図は、肺がんにつきましての市町村別の死亡率の分布図でございまして、年齢別に訂正死亡率を出しまして、それを期待死亡数を一〇〇といたしまして、それを実際に起きた死亡はどの程度多いか少ないかというようなことで地図にプロットしてございます。これを見まして、私の素人の感じでございますが、特に循環器疾患等につきましては東北が多いとかいうことは一目瞭然できるような図ができておるようでございますし、ほかの研究成績でもそういうふうに出ておりますが、たとえば男性の肺がんについて見ますと、特にどこがというのは、まだわかりにくい点があるのではないかと考えております。  それからもう一つの問題点は、市町村別の死亡でございますので、市町村の面積が、人口希薄でも非常に広い市町村と、東京のように面積は少ないけれども人口の多いところでは、これは色合いで見るものでございますので、どうしても広いところは目につきますいというふうな弊害と申しますか、そういう偏りも除外していろいろ考察をしていただくようになっておると思います。それで、たとえば肺がんにつきましては、さらにいろいろ分析と申しますか、解析が必要だと思いますけれども、この段階では特にどの地域がどうというふうなことについて、ある地域は特に高かったというふうなことは、まだ私どもといたしましても正式にお聞きしてございませんが、際立った特徴があったというふうなことはまだ出てないということだけはお聞きしておるわけでございます。
  97. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つだけお聞きしておきますが、そういたしますと、大体それが出ますのはいつごろになりますか。現在それだけの地図ができ上がっているわけでありますから、あとは分析だけだろうと思います。あるいは分析もすでにある程度のところまで進んでいるのかもしれません。大体全体が明らかになりますのはいつごろでございますか。
  98. 仲村英一

    ○仲村説明員 この研究班は、実は今年度も引き続きお願いをする予定になっておりまして、予算の配分等につきましていま事務的に進めておりますが、引き続きの作業でございますが、前年度分につきましては遅くとも今年内に発表していただこうということで、研究班の先生方にお願いをしてございます。
  99. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、厚生省としましては、大変な仕事だったろうと思いますけれども、その結果を踏まえていろいろの分野にそれを御活用になると思いますが、来年度の分はさらにどういうことをおやりになりますか。
  100. 仲村英一

    ○仲村説明員 本年度の研究計画について、研究班の先生方がたしか数週間前に一回お集まりいただきまして、いま研究計画を練っていただいておる段階でございまして、違う疾患を取り上げようかという問題と、それからいままで出ました、先ほどお見せいたしましたような地図をさらに解析、意味づけを加えるという作業も引き続きおやりいただくということでお聞きしてございます。
  101. 坂口力

    ○坂口委員 きょうはもう少しその分析された内容をお聞きしたかったわけでございますが、まだそこまで発表できる段階でないということで大変残念でございますけれども、ぜひひとつ早く分析の結果をわれわれにお示しをいただきたいと思います。そのことを強くお願いをいたしておきます。  それから、最後になりますが、林野庁の方、お越しいただいていますか。——これはまた全く話題が変わるわけでございますけれども自然保護の立場からひとつお聞きをしたいと思います。  最近——最近と申しますか、約四年くらいの間、非常に不況が厳しくなりましてから後、特に林業地帯、この地域は非常に厳しい経済状態にあるわけでありまして、そのことが林業あるいはそれに従事する人たちに大きな影響を与えていることはもう言うまでもございませんが、そのために林業が非常に経営的に成り立たない、経済的に成り立たないということから、自然が破壊されたまま、あるいはまた非常に荒廃したまま捨てられるというようなことも起こっているやに聞いているわけであります。いままでのように林業が経済的に非常に有利な立場にありましたときにはさほど問題にならなかったことかもしれませんけれども、現在のように経済的に成り立たないというような状態になってまいりますと、自然保護の立場から非常に大きな問題が出てくるのではないかと思います。  全国的な数字というものを私、ちょっと手元に持ち合わせておりませんが、たとえば私の出身地の三重県を例にとりますと、昭和四十五年三月の段階の調査によりますと、荒廃渓谷、渓流と申しますか、荒廃した面積が千八百ヘクタールであったわけでありますけれども、五十年五月の調査ではこの荒廃地が千九百三十ヘクタールと百三十ヘクタール増加をしているわけであります。これははかり方その他の物差しにもいろいろ影響されているということも考えられないことはございませんが、しかし、この間にもいわゆる治山治水事業というのはかなり進んでおりまして、全国平均では五十一年で六五・六%、われわれの三重県でも五六・八%進んでいるわけでありまして、こういう治山治水事業が進んでいるにもかかわらず、なおかつこの荒廃地の面積というのがふえてきている。このことと現在の経済状態というものを直線的に結ぶことはいささか危険かもしれませんし、私もそれを結ぶようなデータを十分持ち合わせているわけではありませんけれども、しかし、現在の状態を、科学的にではありませんけれどもながめておりますときに、何か将来に対する危険を非常に感じざるを得ないわけでございます。  今回の第九号台風はそれていきましたので非常に安心をしたわけでございますが、ああいったものがもろに参りましたときに起こりますいろいろな災害を考えましたときに、現在のこの状態というものが今後も続くと仮定いたしましたら、また現在の経済状態から仮定をいたしますと、今後もまたこれは続くと一応思わざるを得ない状態でございます。したがいまして、こういう状態が続くと仮定いたしましたならば、この山林の荒廃というものはさらに進むのではないかという危惧を持つわけでございますが、林野庁としてこの点をどういうふうに受けとめておみえになるか、まずお聞きをしたいと思います。
  102. 下川英雄

    ○下川説明員 お答えをいたします。  ただいまお話がございましたように、林業といいますものは木材の生産という経済的な機能ばかりじゃなくて、水源涵養あるいは国土保全といったようないわゆる公益的な機能を持っておるわけであります。いわば非常に多面的な機能を持っておるのが森林であるということが言えるわけでございますけれども、そういったような森林の持っておりますところの総合的な諸機能を最高度に発揮させる、総合的に発揮させるといったような観点から私どもは造林事業を推進してまいっておるわけでございます。  長期的には森林資源に関しますところの基本計画を持っておりまして、それに基づきまして造林を推進いたしておるわけでございますけれども、最近におきましては、ただいま御指摘がございましたように、いろいろな条件から造林が停滞をいたしております。  私どもは造林を、天然林を伐採しましてその跡地を造林する拡大造林と、それから人工林を伐採しましてその跡地を造林します再造林というふうに分けておりますけれども、拡大造林について申し上げますと、ただいまお話がございましたような経済的ないろいろな要因から、パルプ材、チップ材としての需要が不振でございます。それからまた、この伐採、造林の対象地が奥地化しておる。奥地化しておりますということは結局林道が非常に未整備であるということが言えるわけでございますけれども、そういうところから天然林の伐採が思うように進んでおらないということでございます。  それから再造林につきましては、木材価格が低迷をいたしておる、労務賃金は非常に上がっておるといったようなことから、林業を取り巻きますところの条件が非常に厳しくなっておるということは言えるわけでございます。そういうところから天然林、人工林とも伐採面積が年々減少をいたしております。  したがいまして、最近五カ年間の平均でこれを見てみますと、伐採面積が年平均にいたしまして十八万三千ヘクタール、これに対しまして造林が二十万六千ヘクタールということになっておりまして、伐採跡地につきましては、造林をしないで放置されているというものはないわけでございまして、そういう面からしますと造林は着実に行われておるというふうに判断をいたしておるわけでございます。しかしながら、先ほどから申し上げましたようないろんな効用を持っておる森林でございます。これらの森林資源を充実いたしまして、これらの効用を最大限に発揮いたしますために、造林事業に対しますところの助成の充実強化に努めながら円滑な造林の推進に努めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  103. 坂口力

    ○坂口委員 さほど心配はないというようなお話でございますが、統計上の数字を見ましても、拡大造林の方につきましては、昭和四十五年と五十年とを比較をいたしましても大体四分の一ぐらいに減ってきておりますし、いま御指摘の再造林と申しますか、切りました後また植えるという、これにつきましては減ってはおりますが、それほどではございません。それは確かにいまおっしゃるような一面もあるかと思いますが、こういう杉、ヒノキといった木の造林の問題も当然でございますし、それからすでに植えられております杉、ヒノキ、松、そういった木々の手入れと申しますか、その間のある程度大きくなりましたときの間伐その他のことが非常に最近行われていない。ひとつは、これは人手がだんだんと不足をしてきて、特に林業労働者というものが少なくなっている、しかもまた平均の年齢が四十歳から五十歳へと近づきつつある、こういうふうな状態がありますので、そういった間伐等がなかなか行われない、あるいはまた行われましてもそれが経済的に成り立たない。むしろ山でそれをほっておいた方が得であるというような最近の現状でありますだけに、この造林ということを中心に考えましても非常に大きな問題を抱えているわけでありますが、それだけに荒廃をした山々をより多くつくっていくという方向に、徐々にではありますけれども進んでいるように思えてならないわけであります。この荒廃地が、全国的な数字を私ちょっと探したのですけれども、よう探さなかったものですからきょうここに持ってくることができなかったわけでございますが、恐らくこれは面積が拡大していることは間違いないと思うわけでございます。一地域を見ますと確かに拡大しているわけでありまして、こういった状態を見ましたときに、先ほども申しましたとおり、現在のこの経済状態はまだまだ続くわけでございますし、住宅問題を取り上げましてもなかなか木材を前のようには使わなくなっている。しかもまた現在の住宅というものが、建てました後十一年以内の新しいものが五〇%を超えているというような現状でございますから、そうそう建てかえということも今後は進んでいく気配もない。こういったもろもろの情勢を考え、しかもまた外国からの外材の問題等を考えましたときに、日本の林業というものが非常に農業以上にやりにくくなってきている。しかし非常に息の長い事業であり、息の長いものでありますだけにわれわれの目になかなかつきにくい、そういう点がありはしないかと思うわけであります。こういうふうな問題を、目につきにくいからというので放置をいたしておりますと、先ほどの赤潮のように、何か事が一たん起こりましたときにあわてなければならないということになるのではないかというふうに考えまして実は質問をしたわけでありまして、ぜひこれらの点は、そういう大きな出来事が起こらない前に手を打たなければならないと思うわけでございます。環境庁の方も自然保護の立場から、こういった問題をどのように把握しておみえになっておるか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  104. 出原孝夫

    出原説明員 森林につきましては、これが林産物の供給面だけでなくて、国土の保全でございますとかあるいは水源の涵養でございますとか大気の浄化といいましたように、自然のバランスの維持という面におきましても必要欠くべからざるものでございます。その意味におきまして、森林の環境保全能力につきましては、これがきわめて重要なものであるというように考えております。国立公園等の地域内における森林等、環境庁が直接の規制ができるというものにつきましては、その面におきましての手当てをするということでございますが、そのほかのものを含めまして森林そのものの資源保護が、私どもにとりましても、また自然保護の立場からもきわめて重要である。この意味におきまして、森林の確保と整備を図るという点につきましては、国土利用計画においてもこれを取り上げてもらうというようにいたしておりまして、昭和五十一年五月の閣議決定によります「国土の利用に関する基本構想」の中でも、森林については、その自然環境の保全等の公益的な機能を総合的に発揮できるように整備をするといったようなことでございますとか、あるいは林道をつくります場合についても、自然環境の保全に十分な注意を図る等のことをそれぞれの担当の機関に御注意いただくように、計画の中に織り込んでいただいておるところでございます。
  105. 坂口力

    ○坂口委員 私がお聞きしたいのは、現在そういう自然保護の立場からいたしましても、この現在の経済状態、林業等との関係から非常に自然保護上問題点になってきている場所が大きくなってきているのではないか、そのことに対する危惧はないかということをお聞きしたかったわけでございます。  時間がございませんから、林野庁の方に最後にもう一つお聞きをしておきたいと思いますが、現在の林業の現状からいたしまして、なかなか回復しにくい状態は私もよくわかるわけでありますが、しかしこのままにしておきますと、非常に荒廃が進んでいく、あるいはまたその林業に携わる人々の数がだんだんと減っていく、そのことはとりもなおさずこれは荒廃につながっていく。これは悪循環の一端になることは間違いないわけでありまして、そういう面からどういうふうな対策というものをお考えになっておりますか。
  106. 下川英雄

    ○下川説明員 お話しございますように、造林事業を初めとしまして林業活動が非常に停滞してまいっておるわけでございますけれども、これは原因はいろいろございますけれども、木材の総需要量の減退、減少ということが非常に大きな問題でございまして、そういう面から木材需要の拡大につきましての施策をいろいろと考えております。特にお話しございました、間伐しなければならぬけれども、間伐材が適正な価格で売れないためになかなか間伐が進まないという問題もあるわけでございますけれども、私ども昨年度から林業改善資金制度というものをとりまして、そういったような間伐をやる山に対しまして、作業道、林道をつけるという場合に無利子で金を貸し付けるといったような制度もとっておるような次第でございます。同時にまた、そういうことによって出てきました間伐木といいますか、径級の小さい木が適正な価格で売れますようにしますために、小径木の需要開拓につきましていろいろと研究を進め、実際にそういったものを使える道を探しておるような次第でございます。そういうことで需要の促進を図っていくということが必要であろうというふうに考えております。同時にまた、この林業者がやりますところの造林あるいは保育につきましての助成の充実をやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  107. 坂口力

    ○坂口委員 終わります。
  108. 島本虎三

  109. 山原健二郎

    ○山原委員 瀬戸内海赤潮の問題について質問します。  私は四国の住人なものですから、しょっちゅう海上から、それからまた空から飛行機で瀬戸内海を見ておるものです。そういう点から考えますと、瀬戸内海が次第に浄化されておるなどという感じは、私の感覚的な受け取り方ですけれども出てこないのです。     〔委員長退席水田委員長代理着席〕 ちょうど四十七年、いまから五年前に、御承知のような大きな赤潮被害が起こりまして、私もこのとき現地へ参りました。このときは、赤潮が鳴門海峡から次第に紀伊水道の方に伸びて高知県の室戸岬に近づくというふうな赤潮発生状況でございました。そして、そのときは国会でもこの問題について取り上げたわけですが、こういうことからいろいろいままで見てきた中で、今度のいわゆる洋上会談におきまして石原長官が言われた、かなり浄化されているという感じは、少なくとも漁民または周辺の地方自治体の者にとりましては出てこない言葉なんですね。特に、今度洋上会談に出されました資料を見ましても、たとえば赤潮発生件数というのは昭和四十七年、五年前に百六十四件ですが、五十一年度三百二十六件になっていまして、ほぼ倍に近い発生件数になっているわけですね。  こういう点から考えまして、長官の言われたことが新聞にも出まして、皆少しけげんな受け取り方をしたわけですが、この点について、そういうふうに瀬戸内海が浄化されつつあるというふうにいまも受け取っておるのかどうか、最初に伺っておきたいのです。
  110. 石原慎太郎

    石原国務大臣 午前中の質問の折にもお答えいたしましたが、臨時措置法によりましてCODの二分の一カットということで透明度がやや増したり、その他幾分の改善が見られましたことは事実だと思います。しかし、それをもってして決して瀬戸内海水質状況が理想的な形に復元されつつあるとは毛頭思っておりませんわけで、そこで船上会談でも出席の知事さん方々からいろいろ御注文をいただきまして、後継法の中にも、午前中にもお答えいたしましたように、いままでなかったような要件を織り込みまして、できる限り徹底して瀬戸内海水質復元に努めるつもりでございます。
  111. 山原健二郎

    ○山原委員 今度の八月に起こりました赤潮問題ですね、八月末の現地の新聞を読みますと、たとえば鳴門の被害を受けました徳島新聞の場合、こういう社説を掲げています。「赤潮が年ごとに件数がふえ、広範囲になっているにもかかわらず、こうしたデータに目をつむってきたことが今回の大きな被害を招いた」、こういうふうに書いていまして、四十七年以来政府のとってきた政策に対する責任指摘しておると私は思うのです。それから、これは新聞でありますけれども、香川県知事などの発言を見ますと、「赤潮の総合研究所の設置や下水道の整備など訴えてきたが、政府は何ら積極的な姿勢を示さなかった」、こういうふうに述べておるわけです。そして現実に私は今回も鳴門、相生、引田の漁協にも参りまして、また瀬戸内海にも船をチャーターして出てみたわけですが、漁民意見はほとんど一様に、これは天災でなくて人災である、こういう言い方をしているわけですが、四十七年のあの重大な災害を受けまして以来今日まで五年、五年目に再びこのような災害を受けるという事態を見まして、政府としては一体いまどういう責任を痛感しておるのか、この点について伺いたいのであります。
  112. 石原慎太郎

    石原国務大臣 今回の赤潮発生に関しましても、実はその以前、四十七年以降、午前中もお答えいたしましたが、いろいろな部門で赤潮発生究明のための研究は持続してまいりました。しかし、研究方法にもいろいろ問題があったのかもしれませんが、ともかく残念ながら、英知を集めながらも今日に至るまで赤潮の原因が発見されずにいるわけでございまして、その点に関しましてはそうした研究を所管しております各省庁、またそれを全部統合いたしまして中央の政府の力の及ばなかったところ、確かに痛感をいたしますが、いずれにしましても、科学技術の上ではかなりの水準にありますわが国の頭脳が集まりながらなかなかこれが発見できにくい、そしてまた今回は四十七年と違った形で、色も何か汚染の状況もかなり違った形で赤潮発生し、しかも気象、海象の条件も前回と非常に異なっているということで、ますます被害に遭われた漁民の方々も青天のへきれきに感じられたかもしれませんが、研究に従事してきました者たちもまた一つ大きな問題が提出された形で、鳩首この問題の解決に当たっているわけでございます。  そういう意味で、決して政府責任を回避はいたしませんが、過去四十七年から今日までそれなりに努力をしながら、しかしいまだにその原因の解明ができないということはひとつ御理解いただきたいと思います。
  113. 山原健二郎

    ○山原委員 四十七年のあの苦い経験ですね、あのときはたしか三波にわたって赤潮が押し寄せてまいりました。今度はまるで突風のようにあらわれてくるというあらわれ方は違うのですけれども、しかし四十七年のあの苦い経験から、やはり赤潮発生の予報体制あるいは予防の問題含めまして、あのときにもつと国会で論議をしまして煮詰めた討議が行われておったならばもう少し対策があったのではないかというふうに、国会議員の一人としても感じておるわけです。  たとえば今回、漁民の人たちに聞きますと、前日の夜は全く何もなかったのですね。ところが、一夜明けてみると突然百数十万匹のハマチが死滅していくという、こういう新たな状態なんですね。形態は違いますけれども、しかしこの五年間、予報体制であるとかさまざまなことができたのではなかろうか、こういうふうに考えますと、今度の五十二年八月のこの重大な災害を契機にして相当深刻な討議を政府もまた国会もすべきだと私は思うのです。その点は長官も十分認識をしていただきたいと思いますが、再度このことについて質問をしておきたいのであります。
  114. 石原慎太郎

    石原国務大臣 全く同感でございます。
  115. 山原健二郎

    ○山原委員 水産庁に伺います。  四十七年は天災融資法の適用がなされましたが、先ほどの答弁では今回はできないというのですが、これは金額の問題からですか、理由を説明をしていただきたいのであります。
  116. 恩田幸雄

    恩田説明員 天災融資法の発動につきましては、当該天災による被害が著しく、かつその国民経済に及ぼす影響が大であると認められる場合に適用することになっておる次第でございます。これは御存じのとおりでございます。最近の発動事例といたしましては、原則として農林水産物等の被害、おおむね四十億以上、かつその被害が二以上の都道府県に及ぶ場合に検討の対象とする、こういうことになっておりまして、今回の災害は三十一億でございますので、残念ながらこれには達し得ないと考えております。
  117. 山原健二郎

    ○山原委員 九億円ですね。金額から言うならば、被害金額が三十一億で天災融資法の適用が四十億といいますと、九億の差があるという、そのことで天災融資法の適用にならない、こういう解釈でございますか。もう一回聞いておきたいのです。
  118. 恩田幸雄

    恩田説明員 被害額おおむね六十億でございまして、いま四十億と申し上げましたが、私の間違いでございます。
  119. 山原健二郎

    ○山原委員 前は幾らでしたか、被害総額は。
  120. 恩田幸雄

    恩田説明員 先回は水産物の被害七十一億でございます。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 天災融資法の適用というのは金額だけですか。天災的な性格を持っておるとか……。たとえば、この前はうんと雨が降ったわけですね。今度の場合は雨もほとんどなかったわけでして、そういう意味では、被害としてはむしろ性質の上から言うならば深刻な内容を持っておると思うのですよね。何も自然的要因がなくて赤潮が突然発生するということでございますから、前よりはむしろ悪質な赤潮発生状況だと思うのですが、天災融資法というのは、その金額の問題、また広域といえば二県以上にまたがる——今度も二県以上にまたがっているのですが、それだけでございますか。前のときにはほかに何か理由があったのでしょうか。
  122. 恩田幸雄

    恩田説明員 先回の被害につきましては、集中豪雨によります低鹹さらに異常高潮によりまして紀伊水道周辺の潮位が高くなっておりまして、そのために中の低鹹水が外洋に流出できず、長期間低鹹状態が続いたというのが一つの大きな自然現象になっております。今回の場合につきましては、現在、原因を究明しておりますが、まだいまのところ確たるものは出ておりません。十日の土曜日に神戸で大学あるいは水産研究所あるいは県の水産試験場の連中が集まりまして第一回の会合をやったところでございまして、今後その原因究明をしてまいります論点と申しますか、問題点について整理した段階で十日の会議が終わっておる次第でございます。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題は、四十七年の災害の場合には自然的条件というのが非常に顕著にあらわれているわけです。今度の場合は、いまだにその解明ができないというほど、自然的条件というのは余り顕著には見えないという状態ですね。だから私は、むしろ赤潮性格から言うならば、今回の場合はもっと悪質な、いわば瀬戸内海の汚染が赤潮の点からだけ見ましても、非常に浄化されているというよりは、むしろ発生する要件が自然条件を除いても増大しておるというふうに受け取るべきではなかろうかと思うのですが、その点、水産庁、どう考えていますか。
  124. 恩田幸雄

    恩田説明員 赤潮発生原因につきましては、四十年初めごろから逐次研究を進めておりますが、現在までの段階でわかっておりますことは、窒素、燐等の栄養塩の存在、それから気象、海況等、特に水温、塩分、日照でございますが、こういうものが好適条件になった場合に、何らかの自然現象の引き金によって単一種類のプランクトンが異常発生するということでございまして、そこらの状況につきましては、やはりただ栄養塩類が多いからということだけでは赤潮にはならないということでございまして、現在、なおその間の因果関係についてはさらに究明を続けていく必要があると思っております。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 午前中からの質問でダブる面もありますけれども、当面の漁民に対する救済問題について幾つか質問をいたします。  これは、香川県の漁業協同組合、県漁連等からも出ておりますし、すでに御承知と思いますが、漁業共済の支払いはいつから行われるのかというのが第一点です。  第二点は、生活安定資金の確保の問題でございますが、これは早期に行うべきでありまして、さらに貸付限度額を引き上げる、あるいは利子を引き下げる等のいろいろな方法を講ずべきでございまして、まさに天災融資並みのことを実施すべきだという要求が出ております。また私もそういう特別な措置がとられるべきであると考えておりますが、この点については水産庁はどういう措置をとられる予定ですか。
  126. 恩田幸雄

    恩田説明員 被害漁業者の方々のすでに借りておられますいろいろな制度資金につきましては、中間据え置き等の貸付条件の変更を図ってまいりたいと考えておりますし、それから共済につきましては、現在、各経営体別に被害状況を精査しておりまして、これが済み次第早急に共済金の支払いをやるということになっております。今後、経営の維持、再生産のために必要な資金につきましては、漁業近代化資金あるいは農林漁業公庫資金等によりまして融通を図ってまいりたいと考えておりますし、なお、四十七年の災害関係もございまして固定債務等が累増している場合、非常に経営が困難になっている漁業者に対しましては、実情に応じて漁業経営維持安定資金、これは金利年五分でございますが、これの活用も考えてまいりたいと考えております。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 現在、漁民の置かれておる状態というのは、御承知のように死魚をどう始末をするかということに必死であったわけですね。これが赤潮発生直後の状態でございました。だから、この段階ではほとんど将来のことを考える余地のないほど、目を真っ赤にして徹夜作業が続いておったわけです。だから、私ども行きましたときにも、将来のことなど考える余地がないぐらいもう疲労こんぱいしておるというのが、漁業組合の幹部もまた漁民の姿もそういう状態であったわけです。ところが、さて、いま落ちついてみると、 ハマチ養殖というのは将来どういうふうになっていくのか、あるいはこれから先、生活はどうなるのかというまさに深刻な事態がこれから始まるわけでございますが、いま幾つかの措置をとられるということを伺いましたけれども、これらに対して水産庁として、本当に漁民の要求にこたえることのできるだけの柔軟な措置をとるお考えがあるかということを改めて伺っておきます。
  128. 恩田幸雄

    恩田説明員 ただいま申し上げましたような各種の資金を考えておる次第でございますが、これらの運用に当たりましては、各県その他の需要に応じまして、できるだけ御要望に沿えるように弾力的に運用してまいりたいと考えております。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 さらに、たとえば各県におきまして独自の融資制度がつくられております。たとえば香川県の場合は経営維持安定資金、再生産資金等の制度がつくられておるわけでありますが、これなどにつきまして国が特別に利子補給などの補助をしまして漁民の要求にこたえるべきであるという考え方がありますが、これら県独自の制度について何らか国がこれを援助するというお考えを持っておりますか。
  130. 恩田幸雄

    恩田説明員 各地方公共団体が単独融資をお考えになっておるようでございますが、私どもといたしましては、その融資措置が円滑に行われますよう中小漁業融資保証制度の活用を図ってまいりたいというふうに考えております。それからさらに、地方交付税その他において円滑にいくように、自治省ともいろいろ御相談してまいりたいと考えております。
  131. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、今度の赤潮災害が起こりましてから漁民のとった態度の問題ですが、四十七年のときと非常に違ったものがあります。それは先ほども水田委員の方から質問が行われました死魚の回収または廃棄の問題でありますが、四十七年の場合はたしか死魚を海底に沈めたと思っております。そのために二次公害発生をいたしました。今回は漁民の方たちは、一匹といえども海の底に沈めないということで、まさに不眠不休の活動が展開をされたわけであります。その作業には一銭の報酬もないわけでございまして、この努力をどう評価し、これにこたえるかという問題です。  それで、私はこの死魚の廃棄の状況を見ましたが、大変な労力なんですね。まず死魚を網から回収しまして、これをビニールで包んで、そして冷凍庫に保管をして船に積み込む、こういう作業です。御承知のように、この船というのは尼崎のみどり海運から借りました第十一豊昌丸という九百三十九トンの船でございますけれども、これに積み込む作業というのが、小船で来まして、これをスコップやその他ですくってやるわけですね。死体は腐って異臭を放っていますし、この第十一豊昌丸の付近はもう強烈なにおいで、耐えがたいような状態の中で作業が続けられておるわけです。これを見まして、これは大変な労働でもあるし、これだけの決意を固めて、海を汚さないということでいわば必死の闘いを続けておる漁民と漁業協同組合あるいは地方自治体のもう凄惨な闘い、努力というものに私は本当に胸が詰まる思いをしたのでありますが、これに対しまして、たとえば公害対策費などでこの処理に関する費用を捻出をするとかいうような措置が当然とられるべきであるということを、現地に参った者はひとしく感じたわけでございますが、これについてはどういう態度をとられるか。先ほど少し御答弁がありましたけれども、なお改めて御回答をいただきたいのであります。
  132. 恩田幸雄

    恩田説明員 今回の斃死魚の処理につきまして漁民の方々が大変御苦労なさったことは、私どもも伺っております。  なお、斃死魚の処理に要しました経費につきましては、現在、その要した費用を県で調査中の由に聞いております。私どもは、県の調査が終わりましたらば県と相談しながら必要なものについては対策検討してまいりたいと考えております。
  133. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、産業廃棄物船のチャーター料その他についてもお考えがあるわけでしょうか。
  134. 恩田幸雄

    恩田説明員 具体的にどの経費をということはまだいま申し上げる段階ではございませんが、市町村がこの処理に要しました費用につきましては県と御相談の上、必要があれば関係省庁と打ち合わせをいたしたいと考えております。
  135. 山原健二郎

    ○山原委員 これは単に船をチャーターしたその借り賃が要るとかいうことだけでなくて、もう大変な人数の漁民の労力というものをぜひ勘案をされてこれに対する対策を立てていただきたいということを、改めて要請をいたしておきます。  さらに、海洋投棄の問題でございますけれども、今回は緊急避難ということで政府もこれを認めたわけでございます。そして、これは潮岬沖百四十海里の地点に投棄をされるわけでございますが、この海洋投棄の問題は前々から大変問題になっておりまして、たとえば私は高知県でありますが、高知県の漁民は黒潮によってカツオ船団を出しております。これは単に和歌山沖の問題だけでなくて、この魚群を追って——黒潮か潮岬、さらには犬吠崎まで伊豆半島を通りながら行くわけですが、この外洋の投棄ということは、今後もこういう事態が起こったときにそういうことで処理されるおつもりなのかどうか、この際伺っておきたいのであります。環境庁もこれにずいぶん関係があるわけで、水産庁環境庁の両方に伺っておきたい。
  136. 二瓶博

    ○二瓶説明員 廃棄物の最終処分のやり方につきましては、埋め立て処分と海洋投棄と二色あるわけでございますが、海洋汚染防止の見地からいたしまして、廃棄物は陸上で埋め立てるというのがまず大原則でございます。二百海里時代を迎えまして、今後、海洋投棄というものは極力なくしていくというのが厚生省及び環境庁の姿勢でございます。  したがいまして、今回発生いたしましたこの赤潮により難死しましたハマチの死魚の処理でございますが、この際も埋め立て処分というのが原則でございますけれども、一夜にして大量の斃死ハマチが出現したということでございまして、埋め立て処分をいたします際にも処分地の確保等の面でも緊急を要したということもございまして、埋め立て処分もございますけれども、それで物理的に対応し切れない分につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、海洋投棄というものを認めたわけでございます。  したがいまして、今後のあり方といたしましては、やはり極力そういう埋め立て処分ということで対応できるような仕組みといいますか、そういうものを整備していくということかもしれません。ただ、それの整備状況によって、また、斃死する魚の出ぐあいによってあるいは今回のような措置もとらざるを得ないという場面もあろうかとも思いますが、方向としては陸上埋め立てというものを原則にするような方向で指導もしていきたい、こう思っております。
  137. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、これは水産庁に伺いますが、赤潮対策として、たとえば発生の予察、予報の徹底ということが考えられますが、現在やっておりますのは、一つは空中観測、先ほどもお話が出ましたが、飛行機は年何回出ておりますか。それから、水産庁がつくられているブイロボットですね、十一カ所に置いておるというのでございますが、これと、それから浅海定線調査、一日一回船を出してやっておると言われますが、赤潮対策の予報としてはこういうことでございますか。
  138. 恩田幸雄

    恩田説明員 現在私どものやっております赤潮情報交換事業、これは先ほども指摘のございましたとおり飛行機を飛ばしているわけでございますが、これと並行いたしまして、赤潮の多発時期に、各県約二十隻ほどの漁船をお願いいたしまして、赤潮発生あるいは被害状況を即刻組合に情報を入れていただきまして、それが県庁を通じて水産庁瀬戸内海漁業調整事務局に集まる、こういう組織になっております。さらにその情報は再整理いたしまして逆なルートを通って漁民の方々まで流すということ、それからさらにもう一つ、これは県の調査船によりまして、赤潮多発時期に十回、一定線五定点でございますが、これに船を出しまして、水質、底質、それからプランクトンの組成等を調査して、赤潮発生の予察を行う事業もいたしております。  以上でございます。
  139. 山原健二郎

    ○山原委員 ブイロボットは。
  140. 恩田幸雄

    恩田説明員 ブイロボットにつきましては、現在、有明海で実施しておる次第でございます。
  141. 山原健二郎

    ○山原委員 ブイロボットは瀬戸内海にないのですか。
  142. 恩田幸雄

    恩田説明員 ただいま間違えまして失礼いたしました。  瀬戸内海に十一カ所ほどブイロボットを設置しておりまして、これもやはり水質、水温、塩分等、こういうものについて情報を収集しております。もちろん、これも県水試に集まりまして、それぞれの予察に役立たせておる次第でございます。
  143. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、赤潮防止または予報体制としては、飛行機、それから先ほどおっしゃいました各県に二十隻程度お願いをして漁民の方からの通報を得る、それからブイロボット、ブイロボットはいまおっしゃったように水温、塩分等の調査だと思いますが、これだけで果たして観測体制として十分なのかといえば、私は、全くこれは不十分な状態である、これは四十七年の経験から考えましてこういう体制では不十分じゃないかというふうに思うのです。ことに新聞を見ますと、徳島の鳴門沖のブイロボットは故障していたというようなことで、まるで赤潮対策の監視体制としてはこれはもうほとんど——まあ、ないと言っては恐縮でありますけれども、まさに不十分な状態ではないかと思いますが、これは水産庁としてはこんなことでいいのだというふうにお考えでしょうか、環境庁としてはどういうふうにお考えですか、伺っておきたいのです。
  144. 恩田幸雄

    恩田説明員 水産庁といたしましても、これで十分だと思っておるわけではございませんで、五十三年度予算ではさらに増加させてまいりたいと考えております。また一方、いろいろ航空機あるいは気象衛星を利用しての技術開発も環境庁の方でお進めいただいておりますので、技術開発ができましたら、それらも十分われわれの情報の中に入れて的確化を図ってまいりたいと考えております。
  145. 二瓶博

    ○二瓶説明員 十分かというお尋ねにつきましては、環境庁としても必ずしも十分であるとは考えておりません。  なお、事業的なものにつきましては、それぞれ各省で予算をとって措置していただいておりますが、環境庁といたしましては、やはり赤潮の予察といいますか、こういう面につきまして、さらにもっと効果的な手がないかということで、今年度からやっておりますのは、マルチ・スペクトル・スキャナーという一つの電磁波を使ってキャッチするようなやり方で、赤潮発生初期にその赤潮発生をキャッチするというようなことを、これは飛行機を使ってやるやり方ですが、そういう面の開発研究等も進めております。この辺の成果も出れば、あと事業化という段階に入るかと思いますが、現在はそういう面で一種の予察事業の関連になりますけれども、開発研究等に取り組んでおる次第でございます。
  146. 山原健二郎

    ○山原委員 常時監視体制をつくるということは、私はそれほど困難なことと思いません。時間がありませんので、これはぜひこの不十分な体制を改めて、強化をしていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、先ほどからずいぶん論議されました窒素、燐の規制の問題でございますけれども、先ほど来これにつきまして環境指導指針あるいは排水の処理技術指導指針ですか、ガイドラインを検討しているということでございますが、私どもはこれは単なる指針を出すということだけでなくて、指針だけであれば結局、各県自治体によっていろいろなアンバランスが生まれてまいりますので、私どもは、工場排水あるいは下水道整備あるいは都市排水の三次処理など、総合的な環境基準と排水基準を設定をしまして、そして排水規制の強化なしには問題の解決にはならないのではないかというふうに考えておりますが、この点は環境庁のお考えはいかがでしょうか。
  147. 二瓶博

    ○二瓶説明員 N、Pの規制関係でございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、現在N、Pにつきましては、環境基準それから水質汚濁防止法によります排水基準というものの設定がございません。ございませんというのは、逆に言えば、そういう環境基準なり排水基準を決めるということの技術的な面についてまだ十分詰まっておらないということがあるわけでございます。  そこで、一挙に環境基準なり排水基準といいますものにすぐに取り組めませんので、明年度からはひとつ環境ガイドラインあるいは排水処理技術のガイドライン、一種の指導指針でございますが、そういうものの策定の調査というようなものに取り組んでいきたいということを申し上げた次第でございます。     〔水田委員長代理退席委員長着席〕 もちろん、工場なりあるいは下水道におきまして三次処理をすれば、特に燐の方でございますが、相当の効果があるわけでございます。これにつきまして、具体的な三次処理のあり方という面につきましては、工場等の面については、特に通産省の工業技術院が中心になりまして、この三次処理の具体的なやり方、実用化というような問題について詰めてございますし、下水道の方につきましては、先ほども申し上げましたように、建設省の方におきまして、下水道の面におきまして最終処分場でテスト的にBODなりあるいは燐なり、そういうものの高次処理の実験を現在やっておるという段階でございます。こういうような研究なり実験の積み重ねの上で、三次処理というものの実用化、その普及を図っていくということでございます。  したがいまして、指針でなくというお話もございますが、やはり段階的にその辺は詰めていかざるを得ない。いまの科学的な知見なりそういう面等におきましては、やはりそういう面で段階を踏んでいかざるを得ないということでございまして、そういう方向に向かって積極的に取り組んでいきたい、各省をも指導していきたいといいますか連携をとっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  148. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、私、前の方たちの質問との関係でちょっとわからないのですが、現在の臨時措置法は来年切れるわけです。その後継法総量規制の場合には、当然、燐、窒素規制が入るべきだと思っておりましたが、これはどうなるのですか。
  149. 二瓶博

    ○二瓶説明員 一般的にそういうことで考えておるわけでございますが、ただ瀬戸内海につきましては、今回の大規模赤潮発生という事態にもかんがみまして、そういう環境ガイドラインあるいは排水処理のガイドラインそのものさえもまだできておらないわけでございますけれども、何らか削減の具体的なやり方がないものであろうか、やれないものであろうかということを現在考えておるということでございまして、そういう意味からすれば、きわめてオーソドックスなやり方でございません、やや竹やり的なやり方かもしれませんけれども、いつまでも待ってもおれまい、何かそこはそういう有効な方途はないか。この面については関係省庁及び関係の都道府県等の非常に前向きな協力がなければなかなか実施はできないと思いますが、そういう方向で現在検討をしておるということはございます。
  150. 山原健二郎

    ○山原委員 この臨時措置法に基づく環境保全基本計画の策定ということですね、これはどうなっているのですか。
  151. 二瓶博

    ○二瓶説明員 環境保全基本計画につきましては、昨年の十二月に瀬戸内海環境保全審議会から答申をいただきました。環境保全基本計画の基本となるべき考え方という答申をいただいておりますので、そういうものを軸にしながら現在検討をいたしております。また、現在検討過程におきましても、先ほどもお話に出ました八月二十二日の知事・市長会議の要望というような要請もございますし、その他各界からも、後継法にはこういうものを織り込むべきではないかというような提言なり御意見もいただいておりますので、そういうものも踏まえながら、現在、環境保全基本計画というものも詰めておりますし、それと並行いたしまして後継法の内容、これにつきましても検討を進めておるというのが現段階でございます。
  152. 山原健二郎

    ○山原委員 法律にあるわけですから、早急にしかも実行力のある計画にしなければならぬと思いますので、この点は要請をしておきます。  最後に長官に伺いたいのですが、結局、各県の知事などからも出ております瀬戸内海汚染についての原因の究明といいますか、あらゆる面で不明な部分が余りにも多いために、きょうの論議を聞きましてもどうもわからない部分がかなりあるわけですね。そういう中で、国が責任を持った総合的な研究機関をつくるべきではないか、あるいは海洋研究所のようなものをつくるべきではないかという意見も出ておるわけですが、これについて長官意見を伺いたいと思うのです。私は、瀬戸内海というのはまさに世界に誇るべきものであり、しかも国民のための一大自然公園として健全な観光、レクリエーション、あるいは漁民がここで生活できる、あるいはまたその周辺に無公害の産業が発展をするというものでなければならぬと思うのです。そういう意味で、瀬戸内海というものはかつては大変美しいところで、あの宇高連絡船に乗りましても、夕日を浴びればその色が刻々変わっていくすばらしい景観を持った世界に誇るべきところなんですね。そういう点から考えますと、本当にいわば民族の宝とも言うべきこの瀬戸内海をどういうふうに守っていくかという点から考えましても、まさにこの総合的な研究機関というのはいまもう必要に迫られているのではないかというふうに考えるわけです。だからそれが各県の知事の意向としても出てきておるわけでございますが、この形態がどういう形態をとるかは別にしまして、たとえば大学に海洋学部をつくるとか、あるいは別途に瀬戸内海に関する研究機関をつくるとか、専門的に常時この瀬戸内海問題について学問的に取り組むことのできる、しかも赤潮などという当面する問題についてもその原因を究明し、またその対策の資料となり得るものを出すことのできる総合的な研究機関を国の責任においてつくるべき時期に来ておると思うのですが、この点について、石原長官はどういうふうにお考えになっておるか伺いたいのであります。
  153. 石原慎太郎

    石原国務大臣 午前中にもお答えいたしましたが、赤潮に汚染されておりますのは、瀬戸内海に限らず他の閉鎖水域もそうでございますし、閉鎖水域と言えないところにも被害がすでに出ております。そういう意味で赤潮の問題に限らず、海洋の汚染に関します調査研究というものはもっともっと積極的に進められるべきだと思いますし、また赤潮に関しましては、午前中の答えにありましたように、水産庁の広島にあります研究所あるいはその他瀬戸内海に面した大学の幾つかが研究をそれぞれしておられたわけですが、ばらばらにしていても一向に効果が上がるまいということで、さきの十日に初めて一堂に会しまして、それぞれの研究をもう少し有機的につなげていく試みをいたしました。この会合を重ねますことで何かもっともっとさらに大規模な新分野の研究が必要とあらば、それをまた国が補助して行わなければいかぬと思いますし、あるいは既成のそれぞれの研究機関で行われましたものを束ねて片がつくものならば、行革を行って行政の簡素化をしておる折でございますから、新規に新しい研究所をつくる、研究機関をつくるということはいろいろ問題があると思いますけれども、いずれにしましても、先日持たれましたあの統一的な会議というものをなお回を重ねまして、その結果を見たいと思っているところでございます。
  154. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、これは質問じゃないのですが、伊勢湾あるいは東京湾その他あるわけで、それぞれこのままで放置できない状態にあると思いますが、また、瀬戸内海の持つ大きな意味というものも非常に重要であることは、もう申し上げる必要はないと思います。そういう意味で当然、現在の体制をさらに強化しながら、また、統一的な研究を進めていくということを積み重ねながら、なおかつ将来に向かって総合的な研究体制をつくっていくという展望は持つ必要があると思うのです。その点でぜひさらに一層の検討をしていただきますように要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  155. 島本虎三

    島本委員長 山原健二郎君の質問は終わりました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十九分散会