○二瓶
説明員 燐の削減の問題でございますが、実は
先生御存じのとおり、燐につきましては現在環境基準、
公害対策基本法第九条に基づきます環境基準が設定されておりません。それから
水質汚濁防止法によります排出基準、これも設定をされておらない、こういう
現状になっておるわけでございます。
そこで、今後この
富栄養化対策ということで、燐なり
窒素なり、こういうものの削減に対してどう取り組むかということになりますが、従来は
瀬戸内海等の収支挙動
調査というようないわば基礎的な
調査のみをやってまいったわけでございますが、五十三年度からは新しく
窒素、燐のうちで燐につきまして——なぜ燐を取り上げるかといいますと、燐の方が削減技術の実用化のめどが立っておるということでございます。そういうことで、まず燐の方に焦点を合わせて削減の
方法がなかろうかということでございます。
そこで、五十三年度におきましては、燐についての環境指導指針、環境ガイドラインといいますか、そういうもの、それからそれとあわせまして排水
処理技術のガイドライン、指導指針でございます。こういうものの設定の
調査、これに取り組んでいきたいということで、所要の
予算を五十三年度
予算において要求をいたしておるわけでございます。
ただいま
先生から、
窒素と燐とあるけれ
ども燐だけ取れば十分か、そこはいろいろ問題があるではないかという話でございますが、
富栄養化の問題といたしまして大きなものとして燐と
窒素があるわけでございますけれ
ども、
赤潮その他いろいろなものが
発生する際に、やはり
赤潮は
赤潮生物でありますプランクトンの異常増殖というものによるわけでございますので、この増殖をいたします際にボトルネックになるものを抑えますれば相当部分
赤潮等が起きないのではないか、そういうことで、一応そういうような説があるわけでございます。したがいまして、その線でまず燐をやってみるということで燐に焦点を当てたわけでございます。したがいまして、
窒素の方についての
研究等は、それだけで十分かどうか完全にわかりませんから、これは継続していきたいと思いますけれ
ども、とりあえず削減という方向で詰めていくのは、まず燐からやってみたらどうか、こういう
考え方でございます。
以上が一般的なことでございますけれ
ども、それから特に
瀬戸内海の方につきましては、今回の大規模
赤潮発生という事態にもかんがみまして、そういう環境ガイドラインなりあるいは排水
処理技術のガイドラインもこれから
研究する、詰めていくという段階ではございますけれ
ども、何か削減のいい手だてはないかということで、現在いろいろ
検討をしておるということでございます。この点、
長官が先ほど申し上げたのはそういうことでございます。
それからもう
一つは、
後継法との関連で
総量規制をどう考えるかということでございますが、
後継法との関連から申しますれば、現在の
臨時措置法でも産業系排水に係る
COD二分の一カットというのがございます。しかも
臨時措置法の十八条によりますれば量
規制の導入の規定がございます。そういうことを踏まえまして、その後の科学的な知見もございますので、少なくとも
後継法の面では、
CODについては
総量規制はやりたい、規定は制度化したい、こう思っております。
ただ問題は、その際に、
瀬戸内海のみならず伊勢湾、東京湾等におきましてもやはり
水質が必ずしもよろしくないわけでございまして、そういうものも含めて
総量規制制度を導入すべきではないかという声もございます。したがいまして、場合によりましては、むしろ
水質汚濁防止法の改正というようなことで広域的な閉鎖性水域を対象に
総量規制制度を導入するという方途も考えられると思っておりまして、むしろ今回の
予算要求等におきましては、後者の方の線で一応要求はいたしております。要するに、水濁法の改正で
総量規制を広域的な閉錯性水域については導入し得る制度化ということを考えて
予算要求等はいたしてございます。それは
瀬戸内海が入ることは当然でございます。
そこで問題は、
CODと今度はN、Pとの関連になってまいるわけでございます。
CODを下げればそれでN、Pはもう十分かということになりますと、十分ではございません。
CODは有力な有機汚濁の指標でございます。これは酸化する汚濁物質をむしろ酸素の側面からとらえたものでございます。それで酸化する有機汚濁物質につきましては、これは炭素なり
窒素なりあるいは燐、こういうもの等によって構成されております。したがいまして、
CODを削減するということは、有機性汚濁物質の中でNなりPなり含んだ有機汚濁物質は、
CODを削減すれば、その部分についてはそれなりに削減されます。しかし、それはされますけれ
ども、それだけで現在の
富栄養化なりあるいは
赤潮発生なり、そういうものを防ぐほどの燐あるいは
窒素、そういうものの削減になるかというと、必ずしもそうではございません。したがいまして、従来からも
環境庁としましては、
総量規制の導入というものと並んで
富栄養化、
赤潮対策というのも大きな柱として行政を進めておる、こういうことでございまして、そういう意味合いから
CODを
中心にして
総量規制制度の制度化を図るとともに、他面N、P、特にPの削減の問題につきましては、先ほど申しました環境ガイドラインあるいは排水
処理技術のガイドラインの設定に取り組んでいきたい、
調査検討を進めていきたいと思いますほかに、
瀬戸内海については環境基準もあるいは排水基準もない現在ではございますが、今回の大規模
赤潮の
発生という事態を踏まえて、何らかの削減の方途はないかということでいろいろ
検討を進めておる、こういう段階でございます。