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内藤功君 まず
外務省と図書館長にお伺いをいたします。
それは
アメリカにいまあります国立公文書館、ここに包蔵されておりますGHQ
関係の資料であります。私は昨年の三月から四月にかけまして渡米をして、このワシントンDCの国立公文書館、それからしてメリーランド州のスートランドにあるナショナル・リコーディング・センター、ここに参りましていろんな資料を見てまいりました。まあいろんな資料があるわけです。たとえばいまの
日本の憲法ができるときのいろんなGHQからの連絡資料、それから
日本の最高裁判所以下のこの裁判制度をつくるときのいろんな経過、それからまた、民法というものを新しく改正するときの資料、農地改革やあるいは財閥解体の資料ですね、それから下山
事件、三鷹
事件、あるいはまあちょっと違うが
昭和電工
事件、こういったような
事件の、
日本じゃ見られない非常に貴重な資料が埋もっておりまして、私はこれはもう
日本の戦後の歴史のかぎを解く宝庫の
一つだという
感じを自分で行ってみて
感じてまいったわけです。去年あたりから
アメリカの公文書館を訪れる人がふえまして、非常に忙しくなってきている。
私は、行ってきた感想で四点持っているわけです。
一つは、
アメリカの公文書館は資料の扱いとして
日本のお役所と比べると非常に無造作で扱いがぞんざい、ファイルのやり方が非常に不十分で、細かい話ですが肝心の部分が破けてたり破損したり外れてたりするものがあって、物理的な書類整理があんまりうまくいっているとは言えない、これが一点。これはやっぱり
日本人ならもっと大事にすると思うんです。二つ目は、いわゆる検索、インデックスですね、問題別の索引がないんです。民政局だとか、それから法務局だとか副官部だとかいうようにGHQの部局別の索引はあるんですが、たとえば
昭和電工
事件というものを見たいと、そういうインデックスはないんです。それから旧財閥解体、これもない。こういう事項索引がない。これは
日本人の専門家がやったらもっと早くもっとうまく熱心にやると思う。三つ目は、やっぱり旅費ですね、これはもう各大学の先生、研究所の研究員、あるいはその他の会社の人がそれぞれ別々に
飛行機代を払って、旅費を払ってそれぞれ行くわけ。ですから膨大な旅費と宿泊費というものが、人件費というものがばらばらに使われていて、大変これは国費のむだであり、またその研究費や学費をもっと有効なところへ使えばいいと思う。それから四つ目は、まあ一々コピーするコピーの機械が少ないんですね。ですから、
日本人がたくさん行ってあれこれとりますというとコピーが遅くなるんです。私の行ったときもお国へ帰ってから送りましょうと言うから、冗談じゃないと、とにかく頼むと言っていただいたようなわけです。まあ
外務省にもいろいろそのときお世話になりましたが、そういう
状況なんです。
私はいま四点挙げたが、これを
解決するにはどうしたらいいかという問題です。私は、具体的にはこれは
日本の役所ではやっぱり国立
国会図書館が一番いいんじゃないかと思うんです。国立
国会図書館に向こうのものをコピーしてきて、そうして、ぼくの調べで約三千万枚あると言われている。で、コピー代が一枚大体三十円、約十セントというものですから、十億円くらいの
予算で全部コピーして
日本へ持ってこられます。その分を今度は
日本で保管をして、ちゃんと索引をつくってやれば、これは
日本の研究者や学者が一々
アメリカに行かなくてもということになって、
日本の学術研究にも、歴史研究にも、また、役所が歴史的な
日本の政策立法過程を研究して将来の政策に役立たせるためにも非常にいいことじゃないかと、私はそう思っているわけです。大変長くなりましたが、まず
外務省にこの点の認識を伺います。このことを知っているでしょう。それから図書館長に、これに対する図書館側の考えをお伺いしたいと思います。