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政府委員(杉山克巳君) 契約締結当時のことを振り返ってみますと、あのころは石油パニックに引き続き
食糧、各般の資源問題につきまして、国際的に需給がきわめて逼迫しておった。重要な物資につきましては、
日本国としてこれを安定的に確保する必要があるということで、それぞれ物によって違いますが、
政府が確かに指導して長期確保の方策をとらせたということもございます。たとえば小麦にいたしましても、あるいは大豆にいたしましても、飼料穀物にいたしましてもあったわけでございます。そういったものと並びまして、砂糖もこれは重要な消費物資でございますから、国民の
食糧でございますから、安定確保のための長期契約を結ぶことを慫慂したわけでございます。その最たるもの、一番数量にいたしましても大きかったのはこのオーストラリアでございます。
そういう意味で、
政府が確かに指導した経緯もございますし、それから契約締結に当たって
関係者間での交換公文を取り交わしております。これは、そういう長期取り決めが望しいものである、そしてその長期取り決めの推進に当たって、豪州側は
輸出規制は行わないと一たん約束した以上、それだけの数量は必ず
輸出させますというような趣旨の先方からのレターが参る、それから当方は、そういう
輸入をするためには
国内的に
輸入カルテルを結ぶ必要がある、
関係者がいわば一種の独占行為をするわけでございますから、そういうことを認めるための
輸入カルテルを
政府として承認する用意がある。それから豪州糖の
価格、これは私
どもの糖安法という糖価安定のための制度がございますが、それの中における位置づけとしてどういう扱いをするか、平均
輸入価格というものを計算する場合に、豪州糖については、その割合に応じて契約した固定
価格でもって扱います、国際相場の変動いかんにかかわらずということを制度的には保証するということをいたしたわけでございます。要は、この契約を結構なものだ、そしてそれを支持する制度的な措置をいろいろとりますということをいたしたわけでございます。その意味では、
政府にも指導した
立場での責任というものはあろうかと思います。
ただ、契約自体は、これはやはり
輸入自由の前提のもとに、個々の企業が利潤の得られることも、同時にリスクを伴うことも承知して、みずからの判断と責任において集団して結んだものでございます。そういう意味で、
政府としては契約自身の交渉の当事者ではございませんが、側面的にこれを支援するという姿勢をとってまいったわけでございます。そうして
政府間交渉としては、クイーンズランド州の州
政府とも交渉はありましたが、直接は
政府間でございますから、豪州の中央
政府ということで、この一月には日豪閣僚
委員会が設けられましたときに、私
どもの農林
大臣から先方の第一次産業
大臣に対して、これについて強く善処方、解決を早急に進められるよう
要請して、先方もそれに誠意を持ってこたえるというような経緯もあったわけでございます。それらが反映されて、今日の交渉促進に役立っているのじゃないかと私
どもは思っておるわけでございます。
なお、
政府の対策として、私は、この日豪の交渉だけを単に促進するというだけでなく、精糖業界の健全化のためには、やはり過当競争という事態をできるだけ避けるような
状況に持っていく。それから低迷しているといいますか、むしろ低落している市価を回復するということが必要ではないかということから、業界に農林
大臣の指示に基づくいわゆる指示カルテルということを結ばして、販売数量を調整いたさせております。これによって現在市価は、一時一キロ当たり百七十円台というような非常に低水準にあったのでございますが、何とか最低限の原価は償い得るに足るような今日二百十円程度の市価に回復いたしております。
それから、豪州糖の交渉の見込み、いつごろまでにかという
お尋ねでございますが、何分相手のある話でございます。私自身の観測としては、先方はそれほど遠くない時期に、この程度はという額の提示もある。同時に、いろいろ条件もつけてくると思っておりますが、果たしてこちらの満足できるものかどうかということになりますというと、そこはなかなかむずかしい問題もあるのではないか。そこらを若干交渉を通じまして、いわば念を押して妥結できるところまで持っていくにはどれくらい期間がかかるかということでございますが、私
どもとしては、おっしゃられるように、七月以降になりますと第三年度に入ります。それ以前にこの問題は解決したい、するという決意のもとに指導をしてまいりたいというふうに考えております。