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松永忠二君 慎重に検討するのはいいが、実現できるようにひとつ
努力をしてもらいたいと思います。
それから身体障害者の運転免許を持っておる者は、五十一年度の末に七万一千五百十五人ある。東京都などでは一万台ぐらいある。そこで駐車場についてもいろいろあるし、障害者用の
自動車の特別措置というのを公安
委員会でやっているところもある。東京都などやっている。普通なら駐車できないところへ、いわゆる許可をもらって駐車できるようにするとか、あるいは標識をつけるとか、いろいろな
方法をしていま指導しているわけですがね。このことはきょうはこの所管は警察の
関係ですから、まあこれ質問はいたしませんけ
ども、そういうふうな点もある。
そこで、公共
交通機関について諸外国とわが国の法律の
整備の状況はどうだろうかという問題である。それで、一番これのよく進んでいるところはフランスでありまして、心身障害者基本法という法律の五十二条に、心身障害者の移動を容易にするため法令により次の措置がとられる。公共運転サービスの改善または公共運輸機関の車両構造基準及び車両への接近方式の段階的改善または心身障害者のための特殊輸送サービスの創設及び運営の助成もしくは車いすの使用の助成、というようなのが基本法の中に規定されているわけですね。それからイギリスあたりでも、
国民扶助法とか慢性疾患及び障害者法という法律がありますけれ
ども、これにもハイウエーの場合にどうだとか、障害者であるドライバーがどうするとかいうようなことを規定をしているわけですね。それから西ドイツあたりでも、この駐車場の問題についても広さを決め、あるいは公的の駐車場の三%は重症心身障害者のために留保しなけりゃいけないというような基準があって、非常に簡単だけれ
どもこれは実行されておるわけです。それからアメリカは、アメリカ基準使用書というのをつくって、これで駐車場問題というのを相当厳しく規制している。
日本においては一体どうなっているのか。
日本は心身障害者の基本法の中に、さっき申しました第二十二条に、「国及び地方公共団体は」と心身障害者に対する
交通施設の問題が書いてある。そして第八条には「法制上の措置等」として、「
政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上及び
財政上の措置を講じなければならない」ということを言って、そういうことが規定してあるわけです。
それで、それだけではなくて、実はその「総合的な心身障害者対策の推進について」というのが心身障害者基本法ができたときに中央心身障害者対策協議会ができて、
昭和四十七年の十二月にこの報告をしている。当時田中内閣であったけれ
ども、その報告の中にこういうことをちゃんと書いてあるわけですよね。たとえば「公共
交通機関についての改善事項」としてこういうふうに書いてある。「バスについてみても、ステップは健常者を標準に作られているため、障害者にとってその昇降は非常に不便であり、また車いす利用者は、スペースが確保されていないためバスを利用できず、タクシーを利用するためにかかる経費はかなりの負担となっている。このような公共
交通機関の
現状をみると、障害者特に車いす利用者は、その利用を拒否されているとさえいえる。このため公共
交通機関については、その構造、設備、標識等について障害者の利用を考慮した特別の配慮を払うとともに、障害者の利用に支障のないよう、スペースの確保、必要な介護、援助等、特別の措置を講じる必要がある」と書いてある。これをやっていればいまのような問題なんかもないわけですわね。ちゃんと構造の改善も……。それから駐車場についても「肢体不自由者、特に大半の下肢不自由者にとって、
自動車は足がわりとしての機能を果すものであり、社会経済活動を行なうにあたって必要不可欠のものである。」、「このため障害者用
自動車の特例措置について、その趣旨の徹底を図るとともに、明確な形で確認できるよう制度化すべきであろう」というようなことも書いてある。
そこで、私たちの国でもそれなりに規定はある。基本法がやや漠然としているけれ
ども、とにかく基本法に触れるものがある。また、これの法制的なものについても条項が触れている。それで事実、四十七年当時に報告も出ている。これが実行されていさえすれば、いま私がここで質問するようなことや、こんなトラブルなんというのは起こるわけはないわけですよ。
そこで一つ私が特にお願いしたいことは、そういう意味から、厚生省と総理府が積極的なこの報告の施行の
努力をしてもらって、報告の完全実施の
努力を推進しなきゃいけないと思うけれ
ども、この点について、五十二年の三月にこういうものをこしらえたんですよ
大臣、こういうやつを。「実施状況」というやつをまとめたんです。これは三月十八日。「実施状況」はまとめたけれ
ども、これからどうするかということは何も書いてない。そこでまず一つとしては、厚生省、総理府が、これはその担当のことでもあるので、積極的に報告の完全実施ができるように
努力をしてもらいたいと思うが、この
会議あたりで今後どういうことをやるということを決定したのか、これを厚生省、総理府の方から聞きたい。