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国務大臣(倉成正君) この三年間の景気の動きを見てまいりますと、小柳
委員御
承知のとおり、四十八年は六・四と、それまでは一〇%近い高度成長を続けてまいりましたけれども、四十九年はマイナス〇・三%という初めてのマイナス成長を経験いたしたわけでございます。このときは卸売物価、消費者物価ともに二〇%を超すと、四十八年の国際収支の赤字は百三十億ドルという異常な
状態でございました。特にエネルギー資源を海外に頼っておる、大
部分を海外に頼っておる日本としては大変な事態であったと思います。これはアメリカや西ドイツの場合と大分事情が異なるわけでございまして、この三年間の間にとにかく国際収支は黒字になった、また物価も一けたになった、また成長の問題も、五十一年度五・七%はとにもかくにも成長できると、そして来年度は六・七%の成長を目指すということでございますので、これはやはり公共事業を軸とした
政府の政策がやはりここまでもたらしたというふうにわれわれ評価しているわけでございます。しかし、もちろん公共事業がすべてではございません。すなわち他の需要項目が着実に伸びていくことが大事でございまして、個人消費、設備投資、住宅投資あるいは在庫投資と、こういうものが重なり合いまして経済成長を達成するものと考えているわけでございます。
そこで、いま小柳
委員のお話でございますが、現在の景気に対してさらに新しい
対策が要るのではないかという御認識でございますけれども、御
承知のように、いまの景気というのはどうしても企業にとって収益が非常に回復が鈍い。これは
一つは卸売物価が安定しているということで価格景気というのが出てこない、また円高が輸出産業にかなりある意味においては圧迫を加えている業種もある、また
操業率が低いものですから固定費の負担があると、こういう状況だと思うのでございます。そこで、いま
政府として考えている施策は、とにもかくにも五十二年度の
予算を
成立さして、先般の四項目において少なくとも七〇%の契約率を達成するということを、上期に集中して契約をするということを、国も
公団も公社もあるいは地方財政にもお願いしているということですが、これがどこまでできるかということを
大蔵省を中心として各省庁に、非常にきめ細かく、どの程度の事業ができるのか、どの程度の契約ができるのかということを
大蔵省を中心にいまいろいろと検討していただいておるわけでございますので、最低七〇%、それ以上さらにできるかどうかというのが
一つの問題でございます。それから、住宅投資については、九万戸の募集を四月中にいたすわけでございますから、これもかなりの効果が出てくると思うわけでありまして、先ほども申し上げましたように、七項目、補正
予算の効果が出てくるというのが一月からこの三月ぐらいに顕著に出てきておるわけでございますから、この五十二年度の
予算の効果というのは私はかなり出てくるんじゃないかということでございます。したがって、新聞等も私も細かく拝見をいたしておりますけれども、まあ金利政策その他についての推測記事は別といたしまして、特別いま
政府が新しい政策をこれにつけ加えていまの
段階でやるというようなことは載っていないわけでございまして、現在の四項目について最善を尽くしていくというのが基本的な姿勢でございます。もちろん、経済は生き物でございますから、その状況を見ながらこれからの政策を、あらゆる政策を動員して六・七%の成長に至るべく、忠切れがしないようにやっていこうということを、まあしばしば
総理からも申されているとおりでございます。これが
政府の基本的な姿勢でございます。