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参考人(
若月俊一君) 先ほどちょっと申しましたけれ
ども、農家の人も都会の金持ち並みに人間ドックに入りたいという気持ちがたくさんいまわいてきまして、まあその検診の
内容によるわけでございますけれ
ども、年に一回集団検診ぐらいは受けたいという気持ちでございます。この切なる願いをどうしたらいいか、いま小笠原先生の御
質問はそういうことだと思うのですが、私
どもは長野県じゅうでいまいろいろな検診方法をいろいろな形でやっておりますけれ
ども、特に皆様もお聞きになったかもしれませんけれ
ども、私
どものすぐそばにあります八千穂村というところで、全村健康管理をやりましてからことしで十九年になります。私も非常に驚いたのでございますけれ
ども、最初はまあ簡単な方法で全村民を一人残らずやる。いまは相当高度なことをやっておるのでございますけれ
ども、
昭和五十年、おととしでございますけれ
ども、そのデータを見ますと、御
承知のとおり
国民の一人の年間の医療費というのは五万円かかるのでございます。実は
国民健康保険とそれから健康保険ではちょっと違いますけれ
ども、
国民健康保険では一人年間いまのところ五万円かかります。それが八千穂村ではだんだんだんだん下がってきまして、遂に三万三千円で済んでいるわけでございます。これには私も非常に驚きました。村民一人当たり驚くなかれ一万七千円安くなっている。これは平均でございますけれ
ども、その差がだんだん下がってきまして、ほかの町村よりずっと安くなっている。もちろんこれは命の問題もありますし、この浮いてきた労働の日数の問題も、いろいろ何よりも幸福なることでございますけれ
ども、お金の面、医療費の面からいってもそれだけ安くなるわけです。ぜひ私の考えでは集団検診なんか何かの形で国も県も援助をしていただいてこの予防に力を入れて、何でも病気になってから薬を盛る、何でも病気になってから注射をするというのじゃなくて、予防に力を入れることがどんなに重要かということを感じたわけでございますけれ
ども、いま先生の御
質問のように、じゃどういう検診をしているかといいますと、最初はごく簡単に腕の血圧とそれから大小便、ことに小便のたん白尿、その
程度でございました。初めは一人百円でやったわけでございますけれ
ども、いまでは一人三千六百円ほどでやっております。三千六百円でやりましても、いま言いましたように一人でもって村の医療費が一万三千円安くなっているんですから、これは全額出したって簡単なことでございます。そういう事実を自分ながらこれを見出しまして本当に私
ども自身がびっくりしているわけでございますけれ
ども、なるほど予防に力を入れれば命が助かるだけじゃなくて医療費が下がるのだなというこの原則。去年、私、国際農村医学会の大会でアメリカに呼ばれて行きまして、アメリカでその実情を見てきたのですが、アメリカでさえもいまは膨大な
国民総医療費を何とかしなければならないという問題で、もう向こうは
日本の人口の倍だそうでございますけれ
ども、たしか
日本の円に直して去年二十四兆と言っておりました、二十四兆の金がかかっている。まあ
日本の六兆とかというのと比べればずっと高いわけでございますけれ
ども、これをどうしたらいいかというと、やっぱり予防に力を入れなければならない。予防は第一線の医者がみんなこれをやるようにしなければならない。何でも薬を盛ればいいというのじゃないんだと。それで、第一線の医学のことをプライマリーメディシンと言うのですけれ
ども、それに全力を挙げて、国が大変な援助をして、大学と医師会と連携してこの問題に取っ組んでおりまして、もうすでに十年になっているのでびっくりいたしました。これからどういうような成果をおさめますか知りませんけれ
ども、私
どももぜひ
日本でもやはり予防に力を入れる。それには、医療給付の中に予防ということをある
程度含めませんと第一線の先生方はやりにくいですから、やはり何でもかんでも注射だけすれば、薬だけ盛ればお金になるというような形でなく、これから健康保険の何か抜本的改正があるそうでございますが、ぜひこの予防にある
程度お金を出すということによって、命が助かり健康が守れるだけじゃなくて、医療費全体が下がるというこの原則をぜひお考えいただきたいというのが私の考えでございます。
先生、
内容でございますけれ
ども、いまは相当高度なことをやっておりまして、三千八百円ほどでたとえば十二チャンネルのオートアマライザーを使いまして、もう血液のコレステロールから肝臓機能から腎臓機能から貧血でも鉄の成分まですぐに調べられるような形をいまとっております。