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国務大臣(
福田赳夫君) 私は、長期的展望としますと、これはもういわゆる高度成長時代をいま再び出現するということは不可能であるし、またそれは適当ではないというふうに
考えまして、これから先々五年、十年、そういう展望におきましては、これはかなり経済の運営のあり方というものを変えていかなきゃならぬ、そういうふうに思っておるんです。つまり、私は、これから本当に資源エネルギーということがむずかしい
段階に逐次入っていくと、こういうふうに思っておるわけであります。そういう大勢に
わが国の経済社会をどういうふうに調整対応さしていくか、これは非常にむずかしい問題ですが、そういう方向を目指さなきゃならぬ。ただしかし、今日的時点の問題としますと、まあいろいろ去年事情があったことは
中尾さんも御
承知のとおりですからくどくど申し上げませけれども、とにかく去年は上半期はかなりすばらしい成長を示したわけです。ところが、下半期になりまするとこれが停滞、まあ停滞と言っていいでしょう、多少の上昇カーブではあるんですが、非常に緩やかな上昇カーブに移ってしまった。これをほうっておきますと、私は、この日本社会に非常な何というか活力のない状態が出てくるんじゃないか、ひとり経済だけの問題じゃないと、そういうふうに
考えまして、これはてこ入れが必要だと、こういう
考えなんです。
そのてこ入れは一体何をしたらいいかというと、これは決まり決まって財政と金融というところにあるわけなんでありまするけれども、さあ、いま企業が膨大な過剰の設備を抱えておると、そういう中において、金融政策によってこの設備投資を刺激すると、こういうことがむずかしい。そうすると、財政だと、こういうことになる。財政もそれ自体がなかなかまた窮屈な状態です。そういう限られた財源の中で何をしたらいいかというと、これは公共事業、これが経済のてこ入れとしては最有力
手段であると、こういうふうに
考えまして五十二年度
予算を編成したわけです。
そこで、輸出の見通しからいいますと、これは去年のような状態じゃない。私どもは実質五%ぐらいの伸びしか見てはおりませんが、公共投資の面におきましては実に九・九%の伸びを見るような
予算を編成しておるわけなんです。それを全部平均いたしますると、六・七%ぐらいになりやしないか。六・七%成長を目指していま経済運営を
考えておるわけですが、その五十二年度
予算と同時に、五十一年度の補正
予算におきましても、同様の
考え方で、公共投資は一兆円を上回る投資をやるということにしたんです。ですから、この補正
予算とそれから五十二年度
予算が早期に執行されるということ、これは一番私は望ましいと
考えておるのでありますが、しかもその
予算が上期に集中して施行されるようにという運営をやっていきたいと思っておるんです。これが実現されるということになりますると、昨年の、そうですね、十−十二月期はちょっと横ばいみたいな形になっちゃったんです。しかし、すでにこの一−三月はかなり経済成長は高目に動いてきておると、私はこういうふうに見ておるのです。そうして、その五十二年度
予算の実際的な影響、それが四−六月ごろにはまず出始める。そうして七−九、この期になりますると、それが相当の効果を派生する。そこで、私は、新年度、つまり四月以降になりますると、かなりの活発な動きが日本経済全体として始まってくると、そういう展望を持っておるわけであります。何とかしていわゆる安定成長体制、六%成長体制というものを実現したいと、こういうふうに思っておるわけです。しかし、いろいろ海外の事情とか何とかもありましょうから変化があるかもしれません。そういう際には機動的に手を打って、何としても六%台、六・七%成長、この目標というものは実現をしたい、またこれはできる、こういう自身を持っております。