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国務大臣(
福田赳夫君) 私はわかるわけなんですが、なお基本的な問題は、やっぱり
日本が一番いま
資源エネルギーで重要な
立場にありますのは、これは石油です。これは、世界の石油の総産出量、総輸出量、この中で
日本がまあ非常な大きなシェアを占めるわけです。これをほっておきますと、だんだんだんだんそのシェアがふえてくる。これは私は、いま
日本がよほどの努力というか、気配りをいたしませんと、世界は
日本のそれだけの石油消費、これを許さない、こういう状態に必ずなってくると、こういうふうに思うんです。
そういう中におきまして、非常に基本的なことを申し上げますと、やはり成長率です。わが国の
経済の成長率を落とさなけりゃいかぬ。これはまあ高度成長期のように一一%平均だというような、これをしていたら、これは大変なことになってくる。そこで私は資源有限時代という認識の上に立ちますと、わが国の
経済成長率は低ければ低いほどいいと思うんです。資源諸保有国がどういう
態度をとってもびくともしないという
姿勢としては、低ければ低いほどいい。ところが、一方においてわが国は活力ある
日本社会ということをまた考えなきゃならぬ。それには成長は高い方がいいわけなんですから、その高くなけりゃならないという要請ですね、それから低くなけりゃならぬという要請、この接点を一体どこに求めるかという問題になってくると思うんです。
私は、まあ五年ぐらいはもう問題ないと思うんですが、まあ十年も大体問題ないんじゃないかというような
感じがいたします。しかし、そのころになりますると、もう石油の問題が非常にむずかしくなる。その他の資源についてもいろいろ問題が出てくるだろう。そうすると、さあその先を一体どうするかと。まあ新しいエネルギー源というものはまだ開発されていない。核融合ということが言われておりまするけれ
ども、これは実用化は二十一世紀だと、こういうふうに言われておる。私は、この一九八五年から世紀末にかけて、相当、これは谷間という言葉が言われておりますけれ
ども、そういう現象が起こってくるんではないかということを憂えておるわけですが、そういうことを考えて成長を落とす。しかし、
日本社会の活力を失わせるというような落とし方もできないというので、まあ大体この年間ぐらいは六%成長、これを見当にすべきかと、こういうふうに考えておるんです。それが非常に基本的な問題。
それから、第二に基本的な問題になりますのは、同じ石油を使いましても、これで効率をよくしなけりゃならぬ。いまわが
日本の石油使用の効率というのは余りよくないんです。諸外国の水準に比べますると、わが
日本におきましては石油を不効率に使っておると、こういう状態があるわけです。それにはやっぱり家庭も、あるいは
企業も、もう
政府はもとよりでございまするけれ
ども、みんなして努力をしなけりゃならぬ。そういう努力の中で、一番石油エネルギーの消費の多いのは産業ですから、産業における効率使用ということ、そのためには省資源の技術開発、こういうことも非常に大事になってくるわけでありまして、またそういうことに関連いたしまして、なるべく耐久的な商品の製造でありますとか、余りモデルチェンジというようなものを頻繁にすることについてこれを改めていかなけりゃならぬとか、いろいろ問題があるわけでありますが、あらゆる工夫をこらしまして、そして
資源エネルギー有限時代に備えなけりゃならぬ。自衛隊を持っておる、そしてこれが安全保障だと、これももちろん大事な問題でありまするけれ
ども、同時に、この
資源エネルギー問題というのはわが国の安全保障の問題である、それほどまでに真剣に考えておるわけであります。