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1977-02-21 第80回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年二月二十一日(月曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員の異動  二月七日     辞任         補欠選任      戸塚 進也君     安孫子藤吉君      山本茂一郎君     熊谷太三郎君      青井 政美君     高田 浩運君      堀内 俊夫君     夏目 忠雄君      上條 勝久君     森下  泰君      高橋 邦雄君     矢野  登君  二月十八日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     高橋 誉冨君      高田 浩運君     高橋 邦雄君      源田  実君     岡田  広君      八木 一郎君     青井 政美君      市川 房枝君     青島 幸男君  二月十九日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     三治 重信君  二月二十一日     辞任         補欠選任      最上  進君     源田  実君      夏目 忠雄君     後藤 正夫君      田  英夫君     瀬谷 英行君      工藤 良平君     片山 甚市君      多田 省吾君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小川 半次君     理 事                 坂野 重信君                 園田 清充君                 中山 太郎君                 吉田  実君                 小柳  勇君                 竹田 四郎君                 桑名 義治君                 内藤  功君                 向井 長年君     委 員                 安孫子藤吉君                 青井 政美君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 岡田  広君                 長田 裕二君                 亀井 久興君                 源田  実君                 後藤 正夫君                 高橋 邦雄君                 高橋 誉冨君                 中村 太郎君                 秦野  章君                 林田悠紀夫君                 宮田  輝君                 森下  泰君                 矢野  登君                 青木 薪次君                 粕谷 照美君                 片山 甚市君                 瀬谷 英行君                 対馬 孝且君                 戸田 菊雄君                 藤田  進君                 前川  旦君                 太田 淳夫君                 塩出 啓典君                 岩間 正男君                 上田耕一郎君                 渡辺  武君                 三治 重信君                 青島 幸男君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        法 務 大 臣  福田  一君        外 務 大 臣  鳩山威一郎君        大 蔵 大 臣  坊  秀男君        文 部 大 臣  海部 俊樹君        厚 生 大 臣  渡辺美智雄君        農 林 大 臣  鈴木 善幸君        通商産業大臣   田中 龍夫君        運 輸 大 臣  田村  元君        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君        労 働 大 臣  石田 博英君        建 設 大 臣  長谷川四郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      小川 平二君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       園田  直君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       藤田 正明君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       西村 英一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       倉成  正君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       宇野 宗佑君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石原慎太郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        総理府統計局長  吉岡 邦夫君        公正取引委員会        委員長      澤田  悌君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       竹岡 勝美君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁国民        生活局長     井川  博君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        科学技術庁計画        局長       大澤 弘之君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁振興        局長       福永  博君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    伊原 義徳君        環境庁企画調整        局長       柳瀬 孝吉君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        法務省刑事局長  安原 美穂君        外務省経済局長  本野 盛幸君        外務省経済協力        局長       菊地 清明君        大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省理財局長  岩瀬 義郎君        大蔵省銀行局長  後藤 達太君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部大臣官房会        計課長      宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省管理局長  犬丸  直君        厚生大臣官房会        計課長      持永 和見君        厚生省環境衛生        局長       松浦十四郎君        厚生省薬務局長  上村  一君        厚生省社会局長  曾根田郁夫君        厚生省児童家庭        局長       石野 清治君        厚生省年金局長  木暮 保成君        社会保険庁医療        保険部長     岡田 達雄君        社会保険庁年金        保険部長     大和田 潔君        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林大臣官房予        算課長      石川  弘君        農林大臣官房経        理課長      石川 博厚君        農林省構造改善        局長       森  整治君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君        通商産業省通商        政策局長     矢野俊比古君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省機械        情報産業局長   熊谷 善二君        通商産業省生活        産業局長     藤原 一郎君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        運輸大臣官房長  山上 孝史君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        労働大臣官房長  石井 甲二君        労働省労政局長  青木勇之助君        労働省婦人少年        局長       森山 眞弓君        労働省職業安定        局長       北川 俊夫君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  中村  清君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治大臣官房長  近藤 隆之君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君    参考人        日本銀行総裁   森永貞一郎君        身体障害者団体        「羊の声」代表  宮尾  修君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十一年度一般会計補正予算(第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和五十一年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和五十一年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 小川半次

    委員長小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十一年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十一年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和五十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)  以上三案を一括して議題といたします。  質疑に入るに先立ち、補正予算三案の審議につきまして、理事会において協議、決定いたしましたことを御報告いたします。  三案に対する審査期間は、本日及び明日の二日間とすること、質疑総時間は三百三十分、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党それぞれ百十分、公明党及び日本共産党それぞれ四十分、民社党二十分、第二院クラブ十分とし、質疑順位につきましては、お手元に配付いたしました質疑通告表順位とすること、以上でございます。  そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川半次

    委員長小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小川半次

    委員長小川半次君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  補正予算案審査のため、本日、日本銀行総裁森永貞一郎君及び身体障害者団体「羊の声」代表宮尾修君の両君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川半次

    委員長小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 小川半次

    委員長小川半次君) それでは、これより質疑に入ります。竹田四郎君。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 最初に委員長にお願いをしておきたいと思いますけれども予算審議を円滑にするために、政府の方に、できる限りひとつ資料を出させるようにと委員長からお願いしたいし、総理にもこの点、いままで要求した資料をなかなか出してこないというのが実は私の経験であります。今度も余り出してきておりませんけれども、その点を委員長総理にお伺いして、予算審議の円滑な進行に御協力するようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  8. 小川半次

    委員長小川半次君) 閣僚及び政府委員諸君に申し上げますが、ただいま竹田四郎君から御発言のありました、要求資料につきましては要求者要求どおり速やかに提出するように、そしてこの予算委員会審議が速やかに進むように協力しなければならぬのが政府立場でございますので、この点ひとつ篤と御考慮しておいてほしいと思います。  以上。
  9. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま委員長の御要請のとおりに政府におきましては極力努力いたします。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理政治姿勢についてお伺いしたいと思います。  総理は、この間の本会議におきまして、まあ大変な行動原理といいますか、そういうものを述べられまして、私ども昔の人間でございますから、まあ修身の教科書を聞いているような感じがいたしました。また前々の総理大臣は、十の大切五つ反省というふうなことをあの壇上から申されましたけれども、これまた私ども余り内容よくわからなかった。しかし、福田さんはそういうことはないと思うんですけれども、「協調連帯」ということを繰り返し繰り返し施政方針演説の中に述べておられるわけでありますけれども、私は国民に、これは行動原理ともおっしゃっておられるわけでありますけれども、こうしたことを要求されているんだと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  11. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ世の中は助け合い、補い合いでなけりゃならぬと、こういうことを言っておるんです。人間は一人で生きるわけにはいかぬのです。団体でもそうだと思うんです。やはりその長所を分け与える、自分の足らないところは他人からこれを求める、そしてこれを補う、そしてお互い責任を分かち合うというところに、私は、この世の中というものがよくなる、その世の中がよくなる中で、また個々の人間、また団体というものがよくなっていくんだと、そういうことを意味しておるわけであります。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで私は、国民にだけ要求するんじゃなくて、言い出した総理自体がこういうことをおやりにならなければこれは責任が果たされないと思うんですけれども、私ども聞いておりますと、何か総理じゃなくて、国民がその行動原理に従って動けということでありますが、これはやっぱり率先垂範ということが私は必要だと思うんですけれども総理自体は、その行動原理に、協調連帯に基づいて、あなたはどういうふうに行動なさろうとしているのか、総理のその姿勢をはっきりと示してくれないといけないわけで、これはこの前ちょっとお話が出ましたように、五つ反省と十の何とかとやらで、自分は言っておいてその反対のことをされたんじゃ、これは実際困るわけでありまして、その辺、総理自体としては、協調連帯自分自身どうするのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  13. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、そう言い出した以上は、私みずからがまず率先してそれを実行しなけりゃならぬ立場にあると、こういうふうに考えております。
  14. 竹田四郎

    竹田四郎君 それでは、そういう精神総理再開国会前、各党代表とお話し合いをなさったと思うんですよね。あるいは各階層の方ともあなたは懇談会を持たれて、そういう人たちが何を要求しているのか、そういう人たちの中で主張すべきこと、譲るべきこと、あるいはそれに対して政府あるいは総理が譲るべきこと、主張すべきこと、まあこういうようなことをやられたんじゃないかと私は推測しているんです。しかし予算案で見る限り、どうも総理はそういうポーズはなるほどとられた。しかし協調連帯というのは、双方の話し合いの中で協調できるものは取り上げていく、取り上げた以上は、それについてはお互い責任を持っていく、これが協調連帯精神だと私は思うんです。でありますから、協調連帯にとって、私自体まずいことではないと思うんですよ。まあやり方によっては、はなはだまずい結果が出てしまうことがあり得るわけでありまして、こうした点で、まず本会議から衆議院のきのうの予算委員会の間まで私聞いておりまして、どうもおまえの方は協調連帯だと、おれの方は言うべきことだけ言って、聞かないんだと、こういう感じがしてならないんですが、どうなんですか。
  15. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はそんなかたくなな男でもありませんし、またそんな態度もとりません。まあとにかく話し合いをする、そしてその中から国家国民のために最大最善の道を選んでいくと、こういう姿勢でいきたいと思っております。党首会談なんかやりましたけれども党首会談の中で言われたこと、それなんかも、私どもの頭でできる限りそしゃくし、取り入れ得る限り取り入れておると、こういうふうに思うんです。しかし全部が全部この野党党首が言われたことを取り上げると、そういうわけにはまいらない。私どもにも私ども考え方がある。その辺がこの協調連帯、こういうことだろうと、こういうふうに考えております。
  16. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃ一つお伺いしますけれどもね。例の一兆円の減税問題、これはいま野党各党だけでなくて、学者の多くも一兆円減税やれと言っているわけです。反対しているのはおたくの方だけなんです。自分意見だけを、これはだめだといって言っていれば、協調連帯は私はできないと思うんです。協調連帯である以上は、自分の主張もこれはやっぱり妥協せざるを得ない点があると思うんです。あなたはいままで、それについて耳を傾けて考えてみようということはないわけですね。これはどうですか。私は、これはいま国民が、あなたのおっしゃっている協調連帯との関連において一番望んでいることだとこう思うんですが、いかがですか。
  17. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 減税を全然しないというわけじゃないんです。三千五百億円の減税を五十二年度予算には織り込んでおると、こういうことであります。これも党首会談なんかの結果を踏まえてやっておるわけなんでありまして、まあいろいろこれからも議論をしてみようと、こういうふうに思っております。私はまあお互いに考えて、国家国民のためにどれが一番いいんだと、こういうことで結論を出す、こういう考え方でありまして、私の申し上げたことに最後までがんばり通すんだとか、そういうかたくなな考え方じゃないんですよ。国家国民のためにその道を選択することがいいというその道は、これは選択しなけりゃならぬと、そういうふうに考えております。
  18. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、一兆円減税も、国家国民のためにいいということになれば野党要求について耳を傾けると、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりでございますが、ただいま私は、私どもの五十二年度予算提案がこれが最善であると、こういうふうに信じておるんですよ。おるんですが、しかし、いろいろ議論をしてみると、国家国民のためにこれはよくないと、こういうことならば、私はメンツには何もとらわれることはいたさないと、こういうことを申し上げているわけです。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ減税問題は衆議院で、さらにいま各党間で練られておるようでありますし、自民党内部でも反対意見ばかりじゃないようでございますが、この点はこれからの国会各党のひとつ折衝に任していきたいと思うんです。  補正予算、各団体からも年度内減税をやれと、もう二年間減税がないし、大変可処分所得は少なくなっているわけでありますから、そういう要求がぼくはあったと思うんですけれども、それをおやりになっておけば、私はあるいは経済景気浮揚への一つの力にはなったと——大きな力になったか小さな力になったか、これはわかりませんけれども、まあかなり影響があったと思うんですけれども、私ども年度内の五千億の減税ということは政府の方に要求したはずであります。これをおやりにならなかった理由は何でございますか。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ余りにも財源が心ない、少ない財源ならば公共事業の方が景気浮揚のためには有効である、こういうふうに考えたからであります。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 公共事業景気回復に有効であるかどうか、減税とどちらかという問題は、私はこれは机の上の議論ではそういうことも言えるわけでありますけれども、現実の議論の中ではなかなかそういうことは私は言えないだろうと思いますから、いまその問題に私はかかわっているわけにはまいりません。  次に、やっぱり総理行動について、協調連帯についてお聞きしたいと思いますが、国会の中では協調連帯ということを盛んに言われるんですけれども、いまの日本社会の状況を見てみますと、これは三菱銀行調査月報にも載っておりますけれども、百十一社ですか、三菱銀行調査によりますと。これはやっぱりかなりもうけているわけですね。しかもそのもうけ方というのがどういうもうけ方をしているかというと、たとえば従業員の首を切って、その人件費節約分ベースアップをやるとか、あるいは為替差益もうけているとか、あるいは価格のつり上げでもうけているとか、こういうことで、百十一社のもうけを見ましてもこれは大変なもうけだと思うんですよ。しかし、相変わらず大きな企業価格引き上げ、こういうことをやっていますわな。最近だって、為替差益大変石油会社もうけているはずでありますけれども、一〇%の石油価格引き上げをやる、これについて政府は何ら言っていたい。一体福田総理は、国民には協調連帯で補い合い、譲り合ってやれと言っているのに、企業に対してはそういうことをあなたは言ったことはないわけですな。新年以来、経済団体会合にもあなたは恐らく出ておられると思う。あるいはその他の会合にも出られているわけでありますけれども大変かっこうのいいあいさつはされているんですけれども、おまえらもひとつ譲り合えよと、国民だってこの二年間減税なかったじゃないか、物価は上がっているじゃないか、ベースアップもなかったじゃないか、消費は落ちているじゃないか、おまえら企業だって譲り合え、協調連帯精神をおまえらだってやれと。そうじゃないでしょう、あなたの態度は。たとえば独禁法などにおいても、一昨年ですか、五党修正で通った独禁法をあなたはまた直そうとしているじゃないですか。これは明らかに大きな企業に対してプラスを与える、独禁法の言うならば骨抜きということにこれはなるんじゃないですか。国民には協調連帯をあなた盛んに説いているにもかかわらず、企業に対してあなたがそういうことを言ったということを私は寡聞にして聞いていないんですわな。どうでありますか。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、企業に対しましても、企業マナーということにつきましてはこれはもう力説をしておるんです。企業が本当にマナーを正すということになれば、公害のたれ流しなんていうことは起こりません、これは。あるいは、経済混乱世の中で買い占めだ、売り惜しみだ、そういうことも起こり得ないんです。つまり、企業もまたこれは連帯協調、この考え方をとらなければならぬと、これは大いに力説しているんですよ。  それから、独占禁止法のことのお話がありましたが、これはとにかく三年越しの問題です。私は、これを決着をつけようとまで言っておるわけでありまして、決して企業に対して甘い顔をしているんだなんというような態度でないということは、はっきりひとつ御認識を願いたいと思います。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたはね、国会とかそういう場では盛んにそれをおっしゃる。しかし、彼らを目の前にしたときにはそういうことを言わない。これは、私はあなたの態度としてよろしくないし、国民もまたそのことを信用しないと思うんですね。だから、あなたは先ほども協調連帯、これについては私の行動原理で私みずからもやります、やった以上はみずから率先垂範でやります、一方的に言われるだけで、企業に具体的に何を訴えているか。いまだっても、ただマナーだけですよ。これは私は具体的に、たとえば先ほども私は指摘しましたけれども、石油会社の一〇%の値上げにしたって、するならするんでその余った金は何へ出せとか、具体的な指示というのは一向にないわけですね。たとえば大企業と中小企業の問題だって同じでありますが、手形サイトがぐんぐんぐんぐん延びている。あるいは、大企業から下請への下請代金は切り下げる、その支払いは検収期間を含めれば一年にも近いような、そういうような支払いをやっておる。これは大企業に大変よくて中小企業には非常に苦しいことですよ。こういうことについても、具体的にそういうことをやめさせるような協調連帯、その行動政府みずからやっていると私は思えないんですよね。口で幾ら言ったって、それはこの前と同じですよ。口で幾ら言ったって、自分反対のことをすれば、これは一回で権威が落ちるでしょう。まああなたも、悪いけれども支持率が何か最近は二八%だと、こういう調査がある新聞社のあれで出ているようでありますけれども、しかし、いま経済の年と言いながら、しかも、いままで経済関係をずっと進めてきている福田さんですよね、これは。その点ではある意味で私は国民の評価を買っているんですがね。それであるからこそ私は協調連帯をあなたは説かれたと思う。どうもその辺は、私は見ていまして、福田さんともあろうりっぱな人が、言うべきところへ言ってないという感じを持ってしようがないわけです。国民も私はそうだと思うんです。  もう一回、その点は企業に対してあなたはどういう態度で進んでいかれるのか。
  25. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、企業日本社会で重要な役割りを持つわけでありますから、企業に対しましても厳重な真摯なマナーを求める、これはまあ機会あるごとにそれを力説をいたしておるわけでありまして、今後といえどもその態度持ち続けていきたいと、かように考えております。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあこれからのあなたの行動を私どももひとつ真剣に見守って、協調連帯ということに対してあなたがどういう行動をなさるのか、これは十分見守っていきたいと思うんですけれども、国際経済について、あるいは世界全体について、あなたの行動原理というのは具体的にこれからどういうふうに適用されていきますか。
  27. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) やっぱり国際社会でも同じだろうと思うんです。これは一国が一つで本当に生きていくわけにはいかない。仮に生き延びましても細々と生きなければならぬということになる。そこで、お互いの国がその長所を分かち合う、短所を補い合う、そして責任を分かち合うというところで世界をよくして、その中で一つ一つの国の改善を求めなければならぬ、そういう時世になってきておる、そういう認識でございます。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ私は、あなたが総理大臣になってそれを言っていると。国際関係、特に私はほかのことは余り詳しくはわかりませんけれども経済関係一つ見ましても、私は去年ここの席上であなたと、あなたが副総理経済企画庁長官、ここで私は論争をやった覚えがあります。それで、余り自動車や家電関係の輸出中心主義でいけば、必ず世界から孤立していくぞということを私は言ったことを記憶しております。しかし、現実にそれが今日ECからいろんな問題で非難を受ける。あるいはおとといの夕刊を見ますと、アメリカから木材関係について非難を受ける。あなたはそれは副総理だったわけですよね。一閣僚だったわけじゃないんですよ。こういうところを見ますと、どうもあなたの連帯協調というのは、総理大臣になってからの連帯協調で、その前のことは責任ないと、そんな感じがしてしょうがないんですがね。そういう点では、どうも何かつけ焼き刃の——あなたはキャッチフレーズつくるの好きなようでありますから、総理大臣のキャッチフレーズにすぎない、あなたの行動原理じゃない、国民行動原理にもならない、こう思わざるを得ないんですが、どうですか。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 協調連帯というのは、私が言い出したという問題じゃないんです。これはもう私は人間社会のもう本当の基本的な倫理であると、こういうふうに思うわけでありますが、それが昨今は薄れてきた。どうも金、金、金、物、物、物と、経済発展の陰に人間の助け合いの精神というものが薄れてきた。つまりエゴの社会になってきた。このことを私は非常に憂えるがゆえに協調連帯ということを協調しておると、こういうことなんでありまして、これはまあ竹田さんだって恐らくそういう考え方は昔からお持ちであり、今日もそういう考え方だろうと思うんですけれども、私がそれを強調しておるゆえんのものは、余りにも世の中がエゴ、エゴ、工ゴです。このエゴの色彩が強く出過ぎてきておる。私はそれを非常に憂えるがゆえにそのことを申し上げておると、こういうことでございます。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、日本経済を運営なさってきたあなたが、国際経済立場においても、どうも物だ、金だと日本経済を言っているような気がしてしようがないわけですよね。だから、去年も言ったし、ことしもこのことは言っておかなければ私はいけないと思って実は言っているわけでありますけれども、どうも、まああなたと私とは立場が違いますから、あなたは少なくとも国の政策全体の執行者でありますし、私は一国民であるし国民代表であるわけでありますから、そういう点ではあなたと私とは立場が違いますから、もっとその点は執行者としての協調連帯というのは、私は厳しく、あなたは国内的にも国際的にもこの問題は明確な行政なりあるいは具体的な政策としてはっきりしてくれなくちゃ困ると思うんです。  次の問題に移ります。  総選挙の結果につきまして、自民党の総裁としてあなたはどういうふうにお考えになっているのか。総選挙が終わった直後と総選挙が終わって三カ月近くたっている今日と、いろんな情勢の見方は違っているだろうと思うんですけれども、総選挙の結果についてどのようにお考えになっていますか。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 総選挙の結果は、自由民主党に対して非常に厳しい審判が下ったと、こういうふうに見ております。なぜそういう厳しい審判が下ったかということにつきましては、自由民主党は自由社会を守ろうということをたてまえにしておりますが、私はこの総選挙で自由社会が否定されたと、こういうふうには見ておりません。自由社会を守ろうという立場をとりながら、自由民主党の姿勢は何だと、ロッキード事件を引き起こすようなその体質は何だと、その自由民主党の姿勢、体質というものがとがめられた選挙であったと、こういうふうな理解でございます。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは、自由民主党はそうでありますけれども、他党が伸びたり、私どもの方は余り——停滞したわけでありますけれども、要するに総選挙というのは、国民全体のある一定の価値観に基づいて、それぞれの価値観に基づいて投票しているわけですね。その結果がほかでのやりようありませんから総選挙の結果という形で出ているわけでありますけれども、いま、自民党総裁でありますからまず自分の党のことをおっしゃっているわけですが、全体としてどういうお感じでございますか。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 全体としてながめるときに、やっぱり自由社会を求めるという国民の声、国民の期待というものは非常に大きいという感じです。ただ、そういう中で、その自由社会を守る守ると言っておりながら、自由民主党のていたらくで守れますかというような声が出てきておるんじゃないかと思います。ほかの方はそう大きな私は変化というようなこと、とりたてて申し上げるようなことはございませんです。
  34. 竹田四郎

    竹田四郎君 その自由民主党のていたらくというのはどういう意味なんですか。私よくわからぬですけれども、人の党のことですからよくわかりませんけれども、しかし、やっぱりかなり議席数が減っているわけでありますから、まあ確かにそれは自民党に対する批判が強かったということはわかりますけれども、自民党のていたらくということだけが自民党が減ったゆえんですか、どうですかね。
  35. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はそう見ております。
  36. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃ、アメリカのカーター大統領、これは去年はジミー・フーという言葉がひとときはやりましたね。ジミーってどこのやつだという意味だろうと思いますね。確かに知名度は非常に低かったわけですね。このジミー・カーターがとにかく勝ったということね。名もなき一市民が勝った。今度の場合、新自由クラブの方々も私はそういうことが言える点があると思うんですよね。  それから、もう一つついでにお聞きしておきますが、昨年は世界じゅうながめてみまして、各国の最高首脳がずいぶんかわりましたね。こういうことは私は実は珍しいと思うんですよ。それはそれぞれの国の事情がその中には内在していたとは思いますよ。個別的な理由はあったと思いますけれども、しかし、全体的に各国首脳がずうっとこう交代をしている。これはただ単にその国だけの事情では私はないと思う。世界的な一つの大きな流れが変わりつつあるというふうに私は思うんですよ。その一環としてやっぱり自民党の議席が減ってきた、投票率が落ちてきたと、こういうところにも私は一つ関係あると思う。これは社会党といえどもその波から免れることができなかったことは事実であります。こういうことについて一体どう考えられますか。
  37. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 世界の指導者がかわったと言いますが、アメリカの大統領は任期切れの選挙でかわったですね。わが国においても総理大臣がかわった。あとは毛沢東主席が亡くなられて華国鋒体制になったというぐらいのもので、あとそうかわっていないんじゃないでしょうか。
  38. 竹田四郎

    竹田四郎君 スウェーデンでもかわっているでしょう。オーストラリアでも。
  39. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いやいや、主要な国と言うものですから余り申し上げませんでしたけれども
  40. 竹田四郎

    竹田四郎君 イギリスでもフランスでも……。
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあとにかく、それぞれの国において多少の流れの変化というものはありましょうが、わが国におきましては、私はそう大きな流れの変化があったというふうには感じない。まあ特に言えば、先ほど申し上げましたように自由民主党は何しているんだと、こういうような大きな国民の声があったということを痛感をいたしております。
  42. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は総理が、自民党のだらしなさということ、こういうことに世界の情勢を矮小化していると私は思うんですよ。やはり世界は何らかの形で大きく変わっている。それがジミー・フーをして世界の有力な政治的指導者にしている。あるいはフランス等においても私は同じだと思うんですよ。そういう世界の大きな変化というものを見ていかれないと、私はあなたがオールドレフトというふうに——オールドライトですな、あなたの場合は。オールドライトと、こういつまでも言われて世界から置き去りにされていくんじゃないだろうか。やっぱりそういう新しいものをつかみ取っていかなければ、私は国内経済も、あるいは国際外交その他において、やっぱり少なくとも、いま世界の先進国の中で二極分解が行われている、その三国のうちのかなり指導的な役割りというものは私は果たしていけないのじゃないか。一方から見ればスタグフレーションの世界だと、こういうふうにも言えると思うんです。  ですから、どうもそういう点で、あなたは世界の大きな流れをただ自民党のていたらくだというふうに矮小化してしまっていったんでは、やはり国際的な、あるいは国内における福田内閣の責任というのはどうも私は果たし切れないんじゃないか、こういうふうに考えられるわけでありますけれども、それと同時に、私は世界の資本主義というのがやっぱり変わってきている。将来に対する見通しというようなものについても、やっぱりはっきりした見通しというものができない。そういう中でこうした政治的な変化が私は起きているんじゃないか。国内においても、いままでのロッキード事件とか、あるいは大企業と自民党の関係に対する疑惑というもの、国内においてもそうでありますけれども、やはり国際的においても私はその問題は変わりないと思うんですよ。だから、この点ではあなたのお考え方というものが何か、矮小化することによって当面の責任を逃れようと、こういうふうにしておられるようでありますけれども、私はやっぱり福田さん、あなたがもっと世界全体の潮流の変化というものを読み取っていただいて、それに対応するところの国内、国際の政治というものを担当してもらわなければ困る。国内で自民党が勝とうが社会党が負けようが私は大きな問題じゃないと思うんですね。やっぱり日本国民というものが、将来を見詰めながら、みんな協調連帯精神に基づいて前進をしていくことが必要だと、こう思うんですよ。そういう点で、あなたの視点というものを私はもっと広い立場の視点に変えてもらわなければ、国内の政治もうまくいかないんじゃないか、国内各層の不満というものも私は消えていかないんじゃないか、こういうふうに思うんですが、もう一回御感想を伺っておきたいと思う。
  43. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、世界政治も協調連帯はいまや非常な緊切な問題になってきておると、こういう見方をしておるんですよ。つまり、戦後の世界は、私の見方とすると一九五〇年から東西対立構造が始まってきている。それは今日までずっと続いているわけでしょう。六〇年代  になると南北問題という問題が始まってきている。南北、東西で非常にこんがらかってくる。そして七〇年代になりますと、これは新しい問題です。資源有限時代と。つまり、私は産消関係と言っているんですが、資源産出国と資源消費国との利害の対立、こういう関係が出てきておる。そういう複雑な三つの関係が非常に絡み合って、これからの世界政治というのはなかなかむずかしい。政治的に見るときには、デタントへの努力はずいぶん行われておりまするけれども、また、一歩一歩前進はしておりまするけれども経済の面から見ますと、これは三年前のあの石油ショックの傷がまだなおいえない。ことに資源を持たない南の国々の困窮、これはもう本当に惨たんたるものだと、それをどうやって改善するかというと、これは北の国々が協力をするということがやっぱり一番大きな決め手になるわけですが、北の国々が一体そういう力がある状態にあるかというとさにあらず。あの三年前のショックから立ち上がりがまあまあという状態まで来たのは日米独だと、こういうような状態です。  そういう中で考えるときに、日米独といいますか、日米欧といいましょうか、この三極、三カ国の責任というものは、世界の政治、経済について非常に責任が重いと思う。とにかくわれわれ日本の国はその中の一つなんですから、私は日本責任が世界政治の中で今日ほど重い時期というものはないというくらいに考えておるわけです。政治的に幾ら努力いたしましても、やっぱり経済が混乱いたしますと世界政治は安定いたしません。やっぱり今日は、国際協調によって何とか早く世界経済を軌道に乗せ、そして何よりも早くおくれた国々を安定させなければならぬという重大問題に当面いたしておるわけですが、私が、ことしは経済の年であると、こういうふうに申し上げておるのも、内外ともにと、こう言っておりますのも、その国際認識、そういうものに基づいておるということなんですから御理解願います。
  44. 竹田四郎

    竹田四郎君 国際経済の問題は、これは三番目に議論をしたいと思いますけれども、もう一つあなたにお伺いしたい。これはむしろ行政管理庁長官にお伺いしたいと思うんですけれども、法律に基づいた各種審議会というのは、おたくの方でこれはまとめていますな。そのほかに各大臣が私的諮問委員会というのをずいぶんつくっていらっしゃいますね。それから、そのほかに各局でもそういうようなものをつくっておられるわけですね。これに対する私は資料要求していたわけですが、いまだもって私のところへは国土庁が何か持ってきただけで……。いまここに八つだけしか出ていないわけですね。省庁八つしかないわけですか。これ全然出てこないというのはどういう意味なんですか。
  45. 園田直

    国務大臣園田直君) 各庁にわたりますので、私からおわび申し上げます。  資料要求を命じられましてから各庁で準備いたしておりますが、時間的にちょっと無理をいたしまして、でき次第提出をいたしますので、御了承を願います。
  46. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃ行管庁長官に聞きますが、この審議会総覧に書かれている委員会は一体幾つあるんですか。これに一年間かかっている費用というのは、一体幾らかかっているんですか。
  47. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 審議会のあれは、協議会も入れまして数は二百四十六でございます。その費用については、いま集計しておりません。
  48. 竹田四郎

    竹田四郎君 これにかかっている費用もわからないんですか。これは困るんですな。
  49. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 申し上げます。  審議会等に必要な経費でございますが、五十一年度においては八億一千五百万円、これは五十二年度におきまして八億四千八百万円に相なっております。
  50. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ行政管理庁長官にお伺いしますが、これはおたくで出されている資料ですね。
  51. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) そうです。
  52. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは、各審議会が一年間に一体何回開かれているか、各審議会ごとにこの点をはっきりさせておいてください。
  53. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 各審議会については、開店休業のところもありますし、年に一回のところもありますし、またたびたび開いておるところもありましてさまざまでございます。したがいまして、その資料政府委員から答弁させます。  審議会、協議会等は二百四十六もありますから、その審議会一々について年の回数何回開いたかとかいうようなことは、これはずいぶん時間もとることでございますから、調書として差し上げてもよろしゅうございますが。
  54. 竹田四郎

    竹田四郎君 長官に聞きますが、長官、あなた、これ、開いていない審議会もあると、こう言っているわけだ。だから、開いているのは必要でしょう、それは。開いていないのもあると言うくらいなら、これはやっぱりそういう点をよく監視して、行政がうまくいかなかったり、あるいは停滞しているところは直していくと、これが行管長官の私は大きな役割りだと思うんですが、そういうことで、全然こういうものの状況が把握することができない。また同時に、いますぐ事務局からそれを出せと言ってもこれができていないという行政管理庁じゃ私は困ると思うんですがな。こんなことで日本の行政を前進させていくことは私はできないと思うんですが、行政管理庁というのはもっと厳しい役所かと思ったんですが、そういうことは全然調べていないんですか。
  55. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 行管は決してそんな怠けておるところじゃございません。実績を申し上げますと、昭和四十一年の審議会の整理も三十六ぐらいやっております。四十四年のやはり行政改革でも二十六を対象にしてやっていまして、毎年やはり整理をしておるのでございます。しかし、この際、やはり二百四十六もあります審議会でございまするから、中には、審議会ができたときに一回開いてその後委員の補充をしていないとか、いろいろあるわけでございまして、いまわれわれは総体として見直しをやっておるところでございまして、まあ必要がないところは漸次これを整理するつもりをいたしておる次第でございます。
  56. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまこう続々、個々に、私のところへこれを持ってこられるわけですね。委員長、こういう審議ができないような資料の提出の仕方、これでいま厳しい財政事情の中で、こんなことで国会審議ができると思いますか。まとめてちゃんと出してくれなくちゃいけないはずだとぼくは思うんですよ。これは委員長、こういう状態で、私この問題触れるわけにまいりませんけれども、まだたくさんこの問題について意見があるんですがね。
  57. 小川半次

    委員長小川半次君) 閣僚、政府委員委員長から再度申し上げますが、本日も冒頭に申し上げましたように、質問者が資料によって質問する場合が多いのでございまして、ぜひとも要求資料は速やかに出すように、今後一層このしきたりを守ってほしいと思います。
  58. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの御注意は十分守りますが、何か、いまの竹田委員資料の御提出を命ぜられたのは十八日でありまして、どういう間違いか、二十四日までに出せという最初連絡がありました。その後、質問前までに出せと、こういう食い違いがありまして各省庁ではおくれているわけでありますから、今後は十分注意をいたします。
  59. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連。  けさの理事会でも、その件、竹田理事から委員長に対して苦情がありました。自分は十八日に出したが、きょう質問するための資料要求であったと。ところが、どこでどういうふうに介入があったかわからぬが、その資料要求は二十四日までと、そういうことをわざわざ曲げてつけ加えてあったと。だから、いま竹田理事の机の上に各省から出ておりますけれども、こういうことは、もちろん真相は昼に調べることになっていますけれども、官房長官もいま二十四日とおっしゃったけれど、竹田君が質問するのはきょうなんですからね、だから、官房長官はほかに仕事があるからそこまではお気づきにならなかったかと存じますけれども、ただ、出た官庁と出ない官庁があるということはけしからぬと思うんですよ。だから、いま現在で出ている官庁と出てない官庁を勤務評価をひとつやってみなけりゃならぬと思うんです。そういう点もひとつ一覧表を出してください。私も理事会で問題にいたします。そうして、一生懸命やる官庁と、まあ委員会が少しぐらい、というような官庁は、これは今後差別していかなきゃならぬと思う。  ということで、官房長官、もう一回今後の各官庁の姿勢のあり方について、官房長官としての決意を聞いておきたい。
  60. 園田直

    国務大臣園田直君) 二十四日という手違いでありましたけれども、よく注意してみれば質問のための資料でありますから、手違いがあっても質問前に出すのが当然でありまして、今後十分注意をいたします。
  61. 小川半次

    委員長小川半次君) 竹田君、この問題について、休憩中に理事会を開いてさらに御相談をしたいと思いますので、一応このまま保留していただいて、あなたの質問を続行してください。
  62. 竹田四郎

    竹田四郎君 そのほかに私的の諮問委員会というのもあるわけですね。こういうものもひとつその理事会の席に出してもらわなくちゃ、局内にそういうものがあることもあるわけですから、そういうものもすべて出してもらわなきゃ、これだけ行政に対する批判が強い、しかも、むだ遣いしちゃいかぬと、国民が政治に対する参加の希望が多いというときにこういうものがはっきりしない、これじゃ困るわけです。これはまた後にして、ひとつ進めていきたいと思うんですが。  総理に次にお尋ねしたいんですが、あなたは別なところで資源有限時代ということを非常に強調されておる。これはどういう根拠に基づいてあなたは資源の有限ということを訴えているのか、その辺も私どもはっきりしないわけです。この辺はっきりしてください。
  63. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 資源有限時代というのは、これは私がここでちょうちょうするまでもなく、これはもう国際的に定着しつつあるという、そういう人類の認識である、こういうふうに思うんです。まあ石油時代でありまするが、石油をとってみましても、あと寿命が三十年、四十年、そういうふうにも言われまするし、銅というようなものにつきましても、もう寿命がかなり詰まっておる。あるいは金だ、銀だ、こういう貴重なものにつきましても、本当にこれも掘り尽くされようとしておる。そこへ、さらに最近におきましては、海洋資源にまで問題は波及しておる。これはまあ私は学者じゃありませんから事細かには申し上げませんけれども、この問題はローマクラブがまず真っ先に指摘した、それ以来世界の世論化しておる、こういうふうに考えております。
  64. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも私は、総理の資源有限というのは、一般論として資源有限、一般論として資源有限時代だという認識しかないと思うんです。しかし、日本は資源を多消費の国なわけですね。多く使っている国、これで有名なわけですよ。その上、総理は一国の政治、経済の運営の最高責任者である。資源有限時代なら一体何をしなくちゃいけないかということが国民に明示されていかなくちゃいかぬと思うんです。そういうことは、あなたのこれを読んでも資源有限時代だということは書いてある、だから具体的に日本はどうしていくんだ、企業のあり方はどうしていくんだ、国民の生活のあり方はどうしていくんだということは、これは幾ら読んでも、私眼光紙背に徹しないせいがあるかもしれませんが、どうもわからない。だから、総理の資源有限時代というものに関する認識が私はどうも甘いんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  それで、これは通産大臣にお聞きするのが適当だと思いますが、二月の一日、二日、IEAで、資源の有限時代に向けて節約をしろと、こういう決定がされていますね。石油換算で一日一千万バーレル、これだけ節約しろと、こういうふうに言われているわけでありますけれども、特に日本に対しての指摘は厳しいわけでありますけれども、このIEAのそうした決定に対して、日本はそれに対してどう対応していくんですか。
  65. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  ただいまの御指摘のごとく、世界的に見ましても、IEAがこれに着目いたしまして省資源ということを強く打ち出してまいりました。なかんずく資源の乏しいわが国といたしましては、省資源の問題に当たりまして国を挙げてこれに立ち向かってまいらなくてはなりませんが、なかんずく、消費の節約はもちろんのこと、あらゆる面で構造の変化に伴いました対応策をいたさなきゃなりません。ことに、あるいは石油あるいはその他金属原料等、銘柄は多々ございまするけれども、われわれといたしましては、省資源の問題並びにそれに対しまする産業構造の対応、さらに国民大衆に対しまする認識の徹底、こういうふうな関係におきまして全力を挙げてこれに対応する所存でございます。
  66. 竹田四郎

    竹田四郎君 委員長も、いまので具体的にどういうふうにエネルギー消費節約をしていけばいいかということがおわかりに私はならなかったと思うんですね。こんな答弁で国民は、一体何をしようとしているのか。総理のこの方針の中でも、具体的に国民に何をしろということが書いてない。資源有限時代だから協調連帯だと。いまの通産大臣の話だって、これは国民が聞いて、何をこれからどうしていったらいいのかわけがわからぬ。こんなことで一体これから資源有限時代に対応できますか。総理、どうですか。
  67. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはなかなかむずかしい問題なんです。まあ要点は申し上げるまでもありませんけれども、二つ。一つ資源エネルギーの節約である、一つは新しい資源エネルギーの開発である、こういうことだと思うんです。その考え方を、国内におきましてもあるいは国際社会においても進めなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけですが、いまこの問題を私は本当に華々しくというか、しつこく、国に対しましてももちろん、地方公共団体に対してももちろん、また企業国民にも訴えたいんです。  ところが、いまこの時点というはそれが非常にむずかしい。経済はいまスランプというか、ちょっと横ばいみたいな状態になってきた、ここで景気をひとつてこ入れして盛り上げなきゃ、また日本社会の活力が失なわれると、こういうような時代でしょう。そのとき、ひとつけちけちやってください。けちけち運動というのは非常にむずかしいのでありまするが、しかし、そのむずかしいという点は、これをむずかしいといってほうっておくわけにいかぬ。そこで、今月二月はエネルギー節約月間であるというふうにいたしまして、非常に基本的な考え方、これをPRをする。同時に、景気政策と矛盾しないという範囲内におきまして、各界各層において資源を節約いたしましょうやと、こういう運動を展開しておるわけなんですが、施政方針演説で事細かにそういうような細かいところまで申し上げるわけにいきませんけれども、これは資源エネルギーの節約運動というのは強力にずっとやっておるんです。ただ、この時点では説得力をそれに持たせることが非常にむずかしい時期である、こういうふうには思いまするけれども、基本的に大変これはむずかしい問題になってきておる。この夏あたりは、北海道あたりはあるいは多少の電力管理をしなきゃならぬというようなところまで問題が進んでおるんです。あるいは、三年、五年たちますると近畿地方あるいは中部地方、そういうところではかなりの問題が出てくる、こういう状態にもなっておりますので、私は、非常に国民にはお耳ざわりな点が多々あろうかと思いまするけれども、この資源エネルギー問題がわれわれの生活にとって非常に重大な問題になってきておるということにつきましては、もう粘り強く説得してまいりたいと、かように考えております。
  68. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも通産大臣の言うことはわからない。もっと具体的に国民に示さなければ、エネルギーにしてもその他の資源にしても、節約しろ節約しろ。具体的にどういう範囲でどういうふうに節約しなくちゃいけないのか。国際的にもIEAがそういうことを言っておるわけです。それに対応して日本はどうするかということを明確にしなければ、私は幾ら総理が資源有限だと旗を振ったって何にもならぬと思うんですよ。一番担当の田中通産大臣、もっと具体的に言ってくださいよ、そんな抽象的なことじゃなくて。
  69. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  ただいまIEAで問題になっていますエネルギーの問題、また、先生が全般的におっしゃいました各種の資源の問題、これはいまエネルギーの問題だけに限局いたしまして考えますれば、まずわれわれは、政府といたしましては、先般も新聞で申し上げましたように、政府を挙げてこれに取り組むという姿勢で閣僚会議を新たにつくりまして、なおまた、通産省が幹事役になりましてこのエネルギーの問題の推進対策本部をつくりまして、同時に、政策といたしましては、まず対外的には、このエネルギーの安定供給を確保するという意味での国際的なあらゆる努力を傾けてまいります。  御承知のとおりに、産油国に対しまするいろいろな協力、あるいはまた外交交渉、そういう問題を踏んまえましてこの供給を確保しなきゃなりません。国内的に考えますれば、御承知のとおりに石油以外の代替エネルギー、ことに、あるいは原子力の開発、あるいはまた電力のこれに対しまする確保、さらに石炭の問題、サンシャイン計画、かような各種の問題につきまして積極的にこれに取り組んでまいる所存でございます。  なお、これに対しまする消費の問題でありますが、御承知のとおりに、廃棄物の再資源化でありますとか、あるいはまた設備の改善でありますとか、産業部門別の消費の効率化、さらにまた消費節約に対しまする国民への協力の御依頼、さような問題を総合的に推進してまいる考えでございます。
  70. 竹田四郎

    竹田四郎君 大変長く御答弁いただいたわけですが、さっぱりわからない。これは総理、わかりましたか、あれで。
  71. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はわかるわけなんですが、なお基本的な問題は、やっぱり日本が一番いま資源エネルギーで重要な立場にありますのは、これは石油です。これは、世界の石油の総産出量、総輸出量、この中で日本がまあ非常な大きなシェアを占めるわけです。これをほっておきますと、だんだんだんだんそのシェアがふえてくる。これは私は、いま日本がよほどの努力というか、気配りをいたしませんと、世界は日本のそれだけの石油消費、これを許さない、こういう状態に必ずなってくると、こういうふうに思うんです。  そういう中におきまして、非常に基本的なことを申し上げますと、やはり成長率です。わが国の経済の成長率を落とさなけりゃいかぬ。これはまあ高度成長期のように一一%平均だというような、これをしていたら、これは大変なことになってくる。そこで私は資源有限時代という認識の上に立ちますと、わが国の経済成長率は低ければ低いほどいいと思うんです。資源諸保有国がどういう態度をとってもびくともしないという姿勢としては、低ければ低いほどいい。ところが、一方においてわが国は活力ある日本社会ということをまた考えなきゃならぬ。それには成長は高い方がいいわけなんですから、その高くなけりゃならないという要請ですね、それから低くなけりゃならぬという要請、この接点を一体どこに求めるかという問題になってくると思うんです。  私は、まあ五年ぐらいはもう問題ないと思うんですが、まあ十年も大体問題ないんじゃないかというような感じがいたします。しかし、そのころになりますると、もう石油の問題が非常にむずかしくなる。その他の資源についてもいろいろ問題が出てくるだろう。そうすると、さあその先を一体どうするかと。まあ新しいエネルギー源というものはまだ開発されていない。核融合ということが言われておりまするけれども、これは実用化は二十一世紀だと、こういうふうに言われておる。私は、この一九八五年から世紀末にかけて、相当、これは谷間という言葉が言われておりますけれども、そういう現象が起こってくるんではないかということを憂えておるわけですが、そういうことを考えて成長を落とす。しかし、日本社会の活力を失わせるというような落とし方もできないというので、まあ大体この年間ぐらいは六%成長、これを見当にすべきかと、こういうふうに考えておるんです。それが非常に基本的な問題。  それから、第二に基本的な問題になりますのは、同じ石油を使いましても、これで効率をよくしなけりゃならぬ。いまわが日本の石油使用の効率というのは余りよくないんです。諸外国の水準に比べますると、わが日本におきましては石油を不効率に使っておると、こういう状態があるわけです。それにはやっぱり家庭も、あるいは企業も、もう政府はもとよりでございまするけれども、みんなして努力をしなけりゃならぬ。そういう努力の中で、一番石油エネルギーの消費の多いのは産業ですから、産業における効率使用ということ、そのためには省資源の技術開発、こういうことも非常に大事になってくるわけでありまして、またそういうことに関連いたしまして、なるべく耐久的な商品の製造でありますとか、余りモデルチェンジというようなものを頻繁にすることについてこれを改めていかなけりゃならぬとか、いろいろ問題があるわけでありますが、あらゆる工夫をこらしまして、そして資源エネルギー有限時代に備えなけりゃならぬ。自衛隊を持っておる、そしてこれが安全保障だと、これももちろん大事な問題でありまするけれども、同時に、この資源エネルギー問題というのはわが国の安全保障の問題である、それほどまでに真剣に考えておるわけであります。
  72. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまの総理の答弁は、総論的な答弁だと思うんですが、通産大臣の答弁も総論にしかすぎない。どうもエネルギー問題、いま総理の話でも五年ないし十年は問題ないと、こう言っている。こんなことないと思いますよ。政府にだってエネルギー経済研究所をお持ちになっていると思うんです。ここの結論だってそんな結論は私は出ていないように思うんですよ、総理。だから、あなたが言っている資源有限時代というのはどうももっと先の先のことだと、こんな感じがいまの答弁を聞いていても私してしようがないわけです。総論あって各論なし、こう言わざるを得ないと思うんですよ。通産大臣の答弁だって総論であって各論はない。しかも原子力発電については、総理はこの間衆議院で、長期需給計画より落とさにゃならぬ、こういう発言をされておる。私はどうも総論あって各論なしという感じがする。これは早急に私は各論をつくらにゃいかぬと思うのだけれども、これは通産大臣どうですか。
  73. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) その件につきまして、先ほど申し上げましたごとくに、政府挙げてエネルギー問題に取り組まなきゃならぬ、さらにまた、いままでの総合計画というふうなものにまでやはりこれを再調整を要するだろう、かような点も多々ございます。なかんずく、あるいは原子力だけをとりましても、なかなかむずかしい外交問題もございまするし、さらにまたOPECの近く値上げ等の問題も踏んまえまして、これらの問題に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
  74. 竹田四郎

    竹田四郎君 言葉の上で全力を傾けて取り上げるなんという言葉はどうでもいいんですよ。具体的に各論をつくらにゃぼくは省エネルギーにならぬと思うんですよ。私は各論を早くつくる必要があって、その各論に基づいて国民に、企業はこうしなさい、国民生活はこうしなさいということを訴えていかなくちゃいかぬと思うんですよ。総理は各論をつくるつもりはないですか。
  75. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この問題は総論もあり各論もあるんですよ。各論につきましてはもう事細かに、国民にはこういうことをお願いしなけりゃならぬかなと、こういう問題は、資源エネルギー節約運動本部までつくりまして、そして民間におきましてもそういう動きが活発に展開されておりまするし、また、政府におきましてもそういう運動を展開しておるというんで、これはもう各論になりまして、これを申し上げるということになれば幾らでもこれは申し上げなけりゃなりませんが、これは相当時間もかかるわけでありまして、なんですが、必要がありますれば後刻資料をもちましてごらんをいただいても結構でございます。
  76. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産大臣、その各論というのは、国民にどれだけ——各論があるというなら出してもらいたい。各論が一体国民にどれだけ浸透しているか、それをおっしゃっていただきたい。
  77. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  ただいまのお話のように、国際情勢も、さらにまた国内的な諸般の問題も非常に変化をいたしております。でございまするから、過般決定いたしました総合エネルギーの計画というものも、これも当然改定を要するものでございます。さらに、それに基づきまする具体的な各般の行政政策並びに処置、立法等もいたさなくてはなりません。かような関係で、各論がすでにでき上がっておるという段階ではございません。(「いや、できているんだよ」と呼ぶ者あり)いや、しかし、できておりまするけれども、そういう意味での計画のいろいろ変更というものもございますので。既存の計画ならばお出しすることができます。  以上のことでお答えといたします。  いま総理のおっしゃいました、本月から始まっておりまする資源エネルギー節約運動、これは全国で一カ月間展開をいたしておりまするが、その資料は直ちにでも差し上げることができます。
  78. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、そういう展開運動を具体的にやっていると言うけれど、何を、われわれはどうしたらいいかということは私ちっともわからぬ。述べてください。
  79. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 詳細は担当の政府委員からお答えをいたしまするけれども、なお、そのいまの計画等は文書がございますので提出をいたします。
  80. 竹田四郎

    竹田四郎君 国民はいまエネルギーの問題について大変心配しているんですよ。それを資料をもって私のところへ言ってきたって意味ないじゃないですか。国民に、いま福田政権はエネルギーについてはこのぐらい節約してほしいんだということをここで訴えなきゃ意味ないんじゃないですか。何をやっているんですか。
  81. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 総合エネルギー政策、それに基づくエネルギーの各論については非常に時間がかかりますので、ポイントだけまず申し上げますと、一昨年の十二月にエネルギー総合閣僚会議で決定いたしました総合エネルギー政策の基本方針というのが、われわれが現在準拠しておる総合エネルギー政策でございます。これの概念的なことを申し上げますと、日本の一次エネルギーは九〇%まで海外に依存いたしておる、さようなところから、まずこれを安定確保し、国内において安定供給するというところが骨子になってくるわけでございます。  やや具体的に申し上げますと、輸入エネルギーである石油に対する依存度を低減していく、かつ、非石油エネルギーを多様化していくということになるわけでございまして、さらに具体的には、国内における地熱、水力、石炭あるいは準国産エネルギーと言われる原子力等の開発を進めるということでございますし、また、輸入エネルギーにつきましては危険分散を図るということからも地域を多角化していく。特に先ほど、脱石油と申しますか、現在石油に対する依存度が七五%程度ではございますが、将来、昭和六十年度におきましてはこれを六三%まで引き下げていきたいという目標ではございますが、絶対量といたしましては、昭和六十年度においてもなお四億八千五百万キロリッターの石油を確保しなくちゃいけないといったようなこともございまして、この石油の安定確保を図るということが一つの大きなテーマになってくるわけでございます。これに関連いたしまして、一方ではやはり積極的に資源の確保を図ると同時に省エネルギーを進めていく、あるいは新しい代替エネルギーの開発を進めていくということが必要になってくるわけでございます。  ただいま省エネルギーにつきまして先生からいろいろ御指摘もございましたので、これもかいつまんで申し上げますと、われわれといたしましては、国産エネルギーが少ないわけでございますから、できるだけエネルギーの使用についても節約をしていかなくちゃいけない。分類的に申し上げますと三点ございまして、一つは、エネルギー使用の効率化を図る、第二点は使用を節約する、第三点は省エネルギーのための機械、技術を開発していくということになろうかと思います。  第一番のエネルギー使用の効率化につきましては、戦後すぐに熱管理法ができております。この熱管理法の運用、あるいは中小企業者に対する診断、指導を徹底いたしまして熱管理の改善を図ると同時に、熱使用の節減を実現できるような設備、機器につきましては、開発銀行の資金によって政府としても助成いたしておるわけでございます。  二つ目の使用節約の問題につきましては、四十九年の八月に内閣に資源とエネルギーを大切にする運動本部というものができておりまして、官房長官を長といたしまして使用節約を推進いたしております。たとえば産業部門あるいは事務管理部門における消費節約、あるいはネオンサインの点灯時間の自粛、あるいは休日におけるガソリンスタンドの休業、あるいは家庭にも呼びかけまして、節約という面から効率化を図っておるわけでございます。  それから三つ目の技術開発につきましては、わが方の工業技術院におきまして大型プロジェクトとして取り上げると同時に、そういったエネルギーの節約にかかわる技術開発につきましては補助金を交付する、こういった形で進めておるわけでございまして、今後とも産業部門、民生部門、流通部門あるいは輸送部門等におきまして熱効率を上げるような方向で指導していく必要があろうかと思います。
  82. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも聞いていてよくわからない。国民はこれだけのものに対してどう対応していくかということが実に明らかでない。私は、まあ総理の認識が五年、十年は大丈夫だということだから、まだまだゆっくりやるんだから石油うんと使えと、どうもこんな感じがしてしょうがないんですね、いまの話を聞いても。私はもっと切実なものだと思うんですよ。IEAだって、八〇年になれば大変だと、こう言っているわけです。あなたの部下のエネルギー経済研究所でもこれは言っているんです。私は実に甘いと思うんですよ。もう一回再検討する気はないですか、それは。
  83. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは相当やっているんですよ。やっているんだが、一つ基本的な問題で問題が出てきておるのは、たとえば電力について見ますと、地域社会の理解、これがなかなか得られないで発電が進まぬ、こういう問題がある。その背景には、原子力発電所につきましては安全性というような問題もありますし、地域環境との調和の問題もありまするけれども、とにかく特に原子力発電、これなんかは目標達成は非常に困難な状態で、あるいは多少これは修正をしなければならぬかと思いまするけれども、まあこれはここの議論と関係のある問題とは思いませんけれども一、政府におきましては資源エネルギー、これはもう大変なことになってきておる。そこで、昭和五十二年度の予算なんかもその背景としての成長率を六・七%というところに抑えるというようなことであるし、これから十年間も六%成長ぐらいでこれを管理していかなければならぬというふうにも考えておりまするし、それから国民運動を通じまして家庭にも呼びかける、また企業にも呼びかける、こういうようなことで相当御理解をお願いする努力はしておるんですよ。どういうお願いをしておるかというようなことになりますれば、詳細、これはずいぶん時間のかかることでありまするから、資料をもってお答え申し上げますと、こう申し上げているわけです。
  84. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも総理が、これはあなたの施政方針演説、この中にわざわざ資源有限時代に入って云々ということをうたい出すには、どうも余りエネルギーの問題について政府態度というのは私は真剣じゃないと思わざるを得ないわけですが、この問題だけ申し上げているわけにはいきません。  そこで、外務大臣の演説について伺いたいんですが、朝鮮半島のくだりがありますけれども、この中であなたは、「同半島の緊張の緩和のための国際環境づくりに関係諸国とともに積極的に協力をしてまいる」、このように述べているんですが、具体的にはこれはどういうことを言っているんですか。——わからないんですか、そのくだりは。朝鮮半島のところで言っていますよ。
  85. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 北鮮との関係につきましては、実際上各種の交流を深めていくということのほかにないわけで、政府として直接やるわけにいきませんので、各種の交流を深めるということで積み重ねていくものと、こう考えているわけでございます。
  86. 竹田四郎

    竹田四郎君 国際的な環境づくりというのはどういうことなんですか。
  87. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 朝鮮半島の問題は、やはりその周囲の国々、あるいはソ連であるとか中国であるとかありますし、またわが国も、アジアの一員としてそういった中でやはり緊張の緩和の方向でいろんな努力を極力努力をすると、こういうふうに考えているわけであります。
  88. 竹田四郎

    竹田四郎君 鳩山外務大臣は頭がいいかげんかよくわからぬのですが、「環境づくり」と書いてあるんですね、「づくり」と。この「づくり」というのはどういう意味ですか。具体的にどういうことを考えているのかさっぱりわからぬ。
  89. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) われわれが外交的な面で各種の機会に努力をするということを、まあ広く抽象的に「環境づくり」というふうに表現をいたしたものでございます。
  90. 竹田四郎

    竹田四郎君 積極的に協力をしていくということと環境づくりとの関係、環境づくりというのは何かこう関係諸国が集まって何かをやっていくという意味じゃないんですか、これ。
  91. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 南北の間では、御承知のように一九七二年でございましたか、一応の対話が開けるようなムードが出たことがあったわけでございますが、すぐその後断絶してしまったわけでございます。こういったことから、わが国といたしましては、やはり南北間の対話が可能になるようなそういったことでムードをつくっていくというようなことを「環境づくり」というような表現をしたわけでございます。
  92. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもわからぬな、よくは。  総理、この間モンデール副大統領が参りまして、在韓米軍の撤退の問題もこれは話があったと思うんですけれども、これについてはモンデールの方から何か話があったんですか。それとも話はなかったんですか。
  93. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はモンデール副大統領に対しましては、ベトナムでああいう米軍の処置が行われたと、あの後アジアにおいては、新政権が一体どういう考え方を持っているんだろうか大変心配もし関心を持っていると、どういうんですかと、どんなふうになりそうですかと、こういうことを聞いたわけなんです。そうしますと、アジアにおけるアメリカのプレゼンスと、こういうふうなことを言っておりましたが、アメリカの存在というものはアジアの平和に非常に重大な関係があるんだという認識はいささかも変わっておりませんと。新政権においてもそうだと。  それから朝鮮半島においてはどうなんですかということに対しましては、カーター大統領が選挙中に、米地上軍と言っておりました、地上軍の漸進的削減、こういうことを公約しているんだと。その線はこれは動かないというふうに思いまするけれども、もうそれを具体化するということになりますれば、これは現実的な構えで対処しなけりゃならぬ、こういうふうに思って差し支えないんでしょうと。ただ、まだ具体的にどういうふうにこの問題を処理するかということについては決まっておらぬと、こういうことでございます。
  94. 竹田四郎

    竹田四郎君 佐藤首相のときに、四十四年ですか、昭和四十四年韓国条項というものが日米間で話されたわけですね、共同声明で。それから三木さんのときにも、表現が若干違っておるんだけれども、韓国条項ということが日米共同声明の中に入れられたわけですわな。あなたは今度アメリカに行かれてカーター大統領とお話しするというんですが、いつ行かれるんですか。
  95. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 佐藤さん、三木さんのとき、共同声明で韓国問題ですね、朝鮮半島の問題に触れておりますが、あれはあの当時の両首脳の朝鮮半島に対する認識を述べたと、こういうものであります。今度私が参ると、やっぱりそういう話が……
  96. 竹田四郎

    竹田四郎君 いつ行かれるんですか。
  97. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いつ行かれると言うて、国会が了承してくれなけりゃ行けませんが、まあぜひ御協力を願って、十九日に出発いたしまして二十五日ごろ帰ると、こういうふうに御協力願いたいつもりでございますが、ぜひひとつ御協力のほどをお願い申し上げます。
  98. 竹田四郎

    竹田四郎君 そのときには福田総理は、まあ調子は違うにしても、新々韓国条項というようなものは共同声明の中に入れたいというふうにお考えになっているわけですか。
  99. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだ国会の御了承が得られない段階でございまするものですからね、細かい話は実はしないんですよ。しないんだが、まあお許しを得て向こうへ行くということになりますれば、朝鮮半島の問題についてもお互いに所見を述べ合うということになるだろうと思います。その結果をどういう形で発表しますか、共同声明になりますか、あるいは共同新聞発表というようなことになりますか、その辺はまだ詰めておりませんが、いずれにしても、今日における日本政府の朝鮮半島に対する認識につきましては申し述べると、こういう考えでございます。
  100. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理は、朝鮮民主主義人民共和国、韓国、こうあるわけでありますが、今日においても朝鮮民主主義人民共和国の存在が韓国にとって脅威であるし、この対立というものが日本の安全にとってもこれは大変脅威だというふうに感じておられるのですか、どうなんですか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、韓国がわが国と一衣帯水の隣国であると。まあ韓国のみならず朝鮮半島がそういう立場にあるわけですから、韓国を含む朝鮮半島の平和と安全、これはわが国として非常に深いかかわりのある問題であると、こういうふうに考えておるわけでありまして、まあ佐藤さん、三木さん、ああいう当時の認識を述べられましたけれども、言葉は、人間が違うんですから違いましょうが、基本的な認識ですね、つまり朝鮮半島の安全と平和、これはわが国と至大な関係があり、わが国の重大関心事項であると、こういうような認識は十分述べてまいりたい、かように考えております。
  102. 竹田四郎

    竹田四郎君 ところが、田君の話がおとといの夕刊に載っておるのはお読みになったと思うのですね。いま田英夫議員がワシントンへ行っていろいろこの問題について折衝しておられることは、これは御存じですね。
  103. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 余り詳しいことは承知しておりませんです。
  104. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは共同通信の記事によりますと、ホルブルック国務次官補あるいはシャーマン日本部長、こうした人たちと会って、アメリカはもう在韓の地上軍は必要ないんだ、こういうことを繰り返し繰り返し言っておると、こういうふうなことでありますけれども、これについてはどういうふうにお考えですか。
  105. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どういう意味かそれは存じませんが、アメリカが地上軍をそう急速に撤退するというようなことは私どもの感触としては考えられません。
  106. 竹田四郎

    竹田四郎君 急速に撤退することはないということと、地上軍はもう必要ないんだと、こう言っているんですね。この話は、モンデール副大統領との会談の中でそういうことはなかったんですか、あるいはあなたはお聞きにならなかったんですか。
  107. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さようなことはありませんです。
  108. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、地上軍が必要ないんだというアメリカの認識、これは恐らくそのとおりだと思います。そう考えてみますと、いままでの形での韓国条項というのは、もうアメリカ自体がそれは投げ捨てているわけですね。それに日本がまたまた、先ほどおっしゃられたような韓国条項というものをあえて持っていくということは、私はどうも日本がアメリカの外交方針にむしろ逆らって、まああなたの部下も撤退反対ということをアメリカで何か述べたそうでありますけれども、あるいは国内でもあなたのグループの人たちがそういう意見であるということは新聞でも書かれておりますけれども、現実にもう韓国条項というものではなしに、私はさっき鳩山外相が言った環境づくり、こうしたものの中で朝鮮半島の平和と安定を求めるべきだと、こういうふうに思うんですけれども、そういう努力を日本政府はいま中心になって私はやるべきだと。特に平和憲法を持っているわけでありますから、米中ソ、こうした環境づくり、話し合いの環境づくりというものを私は日本が提唱していくべきだと、こういうふうに思うんですがどうですか。
  109. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、朝鮮半島の平和、これはやっぱり終局点は南北の平和的統一にあると思うんです。それに向かって、これは時間がかかると思うんですよ、これは粘り強く努力していかなければならぬところであろうと、こういうふうに思うんです。その努力は一体だれがするんだというと、これは南北がしなければならぬことはもちろんでありますが、同時に、朝鮮半島における平和というものは、これは米中ソ、何と言ってもこの影響力が非常に大きいわけでありまするから、米中ソというものがそういう気持ちになるということも非常に大事であろうと、こういうふうに思います。ただしかし、当面朝鮮半島が平和である。その平和はなぜ維持されておるかというと、南北の関係というものがそういう微妙な国際環境の中で均衡、バランスを得ておるからだと、こういうふうに思うわけで、このバランスが失われるということにつきましては、私どもは重大な関心を持たざるを得ないという立場にあるわけであります。
  110. 竹田四郎

    竹田四郎君 日韓汚職問題はいまアメリカからも伝えられるし、あるいは日本の新聞でも書かれておりますけれども、この問題について総理はどういうふうにお考えですか。
  111. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、いやな話ですよ、そう思います。そういういやな話がとにかく流布されておるという以上は、政府においては調査をしなければならぬというふうに考えまして、あらゆるルートを通じまして、一体ああいう発言はどういう趣旨で行われたんであろうかというようなことを主として、在韓、在米の大使館を通じて調査をせしめておると、こういう段階でございます。
  112. 竹田四郎

    竹田四郎君 外務大臣にお尋ねしますが、これは外務省も総理の意向を受けて調査をされていると思うんですが、その結果はどんなふうになっておりますか。
  113. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいままでのわかっておることを若干御報告さしていただきますと、まず最初に、レイナード氏の発言につきまして在米大使館並びに韓国大使館に照会をいたしたわけでございます。  在米大使館からは、これは基本的に日本と韓国の関係の問題であって、米国政府としては立ち入るべき問題と考えない。それから、このレイナード氏はいま一市民である、米国政府とはいま関係ないんだということ。それから、情報機関の記録というものは、これは外部に出さないのがアメリカの政策であるというような返事があったわけでございます。  なお、レイナード氏自身につきまして、大使館からたびたび接触を試みたのでございますが、たしか二月の九日だったと思いますが、一応電話連絡はできたのでございます。このレイナード氏が言っておりますことは、日本政府としては何らか証拠がほしいということであろうが、そういったことは自分がいままで申しておるものよりないんだということ。それから、自分としては大体この日本の新聞の記載は、自分の申しておることをわりかた忠実に報告してあるように思う、自分はこれ以上何も言う意思はないと、したがって、大使館員と会うということは自分は希望しないといいますか、面会は拒否するというような返事があったわけでございます。  韓国大使館からは、韓国につきましてそのような事実は絶対にないという強い否定の返事があったわけでございます。その他新聞紙上いろいろ名前の出ております文明子女史とか李在鉉氏とか、そういった人たちにつきましては、まだ返事は手元に届いていないと、こういう段階でございます。
  114. 竹田四郎

    竹田四郎君 米国の国会でもフレーザー委員会とかその他の委員会で米韓の汚職問題について明らかにするということでありますが、その中に恐らく日韓問題も私は出てくるのではなかろうかと、こう思うんですけれども、この前、三木首相はロッキード問題では特使を派遣したり、親書を持たしたり、こちらから積極的に、そうした資料あるいはアメリカの関係当局の調べについても資料をくれということで司法取り決めをやったわけでありますが、今回はこの問題については、総理はそういうことはお考えになっているんですか、いないんですか。
  115. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国会調査団を出すかどうか、これは国会で御相談願いたいと、こういうふうに思いますが、いまは、外務大臣から申し上げましたように、外務省でそういう発言者の真意を問いただしておる、こういう段階でございまして、国内においてもまだ法務当局における捜査であると、こういう段階まで至っておらない、そういう今日の段階でございます。  そこで、まあ私も率直に申し上げますと、まだ国会議員団が向こうへ行って調査をするというような段階でもないような感じがしてならないんですが、いずれにいたしましても、政府は全力を挙げて調査をいたします。調査の結果、これは捜査活動が必要であるから、というようなことになりますれば、そのときはその必要な処置をとる、こういうことでございます。
  116. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理の最後の方が余りよくわからなかったんですがね、ロッキードの問題でも、アメリカの国会における証言というものは、これは捜査にとっては大変有効であったということは言えると思うんですけれども、あなたはいまはまだその段階ではないと。やがてそういう段階になったら、まあ国会議員の方はこっちがやることですから、あなたの方に関係ないことですが、政府としてはそうした調査団を正式に派遣をするつもりがあるのかどうなのか、その辺はっきりしてほしい。
  117. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまとにかく政府調査をいたしておる、調査の進展によりまして、これは捜査を必要とする事態であると、こういうことになれば、これはアメリカにまた行くというようなこともあるいはあるかもしらぬし、あるいは国内において強制捜査というようなことがあるかもしれませんけれども、これは私はそんなような事態にならぬことを希望いたしまするけれども、とにかく政府調査をしてみなければ、何ともこの段階でその先々をどうするんだというようなことは申し上げかねると、かように御理解願います。
  118. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはある報道に載っていたわけでありますが、あなは二月の五日の夜に、船田さん、前尾さん、椎名さん、石井光次郎さん、灘尾さん、こういう人と会いまして、今後、政府・自民党として特使を派遣したり親書を送ったりする方法はとらない、こういう申し合わせをしたと、こういうことが出ておりましたけれども、これは本当ですかどうですか、その辺を伺いたい。
  119. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さような申し合わせなんかもたしておりませんです。あの会談の趣旨は、総選挙の結果に顧みまして、これは先ほども申し上げましたが、自民党姿勢を正さなきゃならぬじゃないかと、まあ自民党の私から言わしめれば派閥の解消でありますとか、党の組織の国民政党化でありますとか、いろいろ問題があるんです。そういう問題についての私の考え方を申し上げて、理解と協力を求めると、こういう性質のもので、渉外関係なんかの話は出ておりませんです。
  120. 小川半次

    委員長小川半次君) それでは、竹田君の持ち時間がまだございますが、午後続行していただくことにいたしまして、午前中の質疑は一応これをもって休憩いたします。午後一時から再開いたします。それまで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  121. 小川半次

    委員長小川半次君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き竹田君の質疑を行います。竹田四郎君。
  122. 竹田四郎

    竹田四郎君 西村長官に、これはもう答弁要りませんからお願いをしておきますけれども要求した資料はひとつ行管でしっかりまとめて、そしてその内容をひとつ精査をしておいていただきたいと思います。また機会を得て御質問を申し上げたいと思います。  大蔵大臣に伺いますけれども、国債が三〇%が危険ラインだということは一体どういう基準で三〇%としているのか、二九%じゃなぜいけないのか、三一%じゃなぜいけないのか、なぜ三〇%が危険ラインなのか、これを説明していただきたい。
  123. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、二九%ならいい、三〇%ではいけないということは非常にむずかしい問題でございまして、私どもといたしましては、健全財政を目指して今後も財政の健全化を図っていくという、そういう気持ちでもって財政運営をしていくためには、どうしたってその依存度というものを、これは〇・何%とか何とかという問題ではなしに、これは何としてでも、毎年毎年縮小していこうというところに非常な意義があるということでございまして、どうしてもやっぱりその依存度は減らしていかなければならない、そこに重大なる意義があると、かように考えております。
  124. 竹田四郎

    竹田四郎君 ただ私は、三〇%という線をつくって、後はそれにごまかしてつじつまを合わせて常に三〇%以下としている形跡があるわけですよ。だから、もっとほかの手段で、国債はもう発行できないというシステムを私はつくる必要があるんじゃないかと思いますが……。  あと、時間がありませんから日銀総裁にお伺いしたいと思いますが、最近の企業金融の需給状況、こういうものは一体どうなっているのか、金利の状況はどうなっているか、御説明いただきたいと思います。
  125. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) まず、企業金融の実情からお答え申し上げます。  昨今、いまだ企業の資金需要は概して低調に推移しておるようでございます。前向きの設備資金あるいは運転資金等の需要は、いまのような景気情勢でございますので、余り盛り上がりに乏しく、また後ろ向きの資金需要は昨年の春ごろが峠でございまして、その後は概して言えば鎮静をしてきておる。もちろん、これはマクロ的に申し上げたわけでございまして、業種によりましては資金需要の盛んなものもありますことは当然でございます丁最近になりまして、一部の素材関連産業等におきまして在庫が増加してきておるという事実がございますが、そのために金融機関に対する貸し出しの需要ということになりますと、そう顕著なものにはまだなっておりませんし、引き続き企業金融は緩慢な状態が続くのではないか。金融機関といたしましても、この間、弾力的に資金需要に応ずる態勢をとってまいっておりますので、ここ当分は引き続き緩和した状態が続くのではないかと思っております。なお、そのような状態でございますので、企業の手元流動性の補完が一段落しつつある、そういうことが背後にあろうかと存じますが、最近における法人預金の伸びはどちらかと申しますと低調なように見受けられるようでございます。
  126. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、一−三月、それから四−六月、これの景気動向は資金の需要状況から見てどんな波をかきそうですか。
  127. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 昨年前半に相当なるスピードで景気回復いたしました後、後半年にはそれが鈍化いたしまして、いわゆる足踏みの状態にあるわけでございますが、一月になりまして顕著な事実といたしましては、輸出の水準が思いのほか高いこと、あるいは住宅投資についてここのところ持ち直し傾向が見受けられるなどのプラス要因があるわけでございますが、大勢として見ますと、やはり回復のテンポは緩やかなものが今後も続くのではないかと存じます。そこへ政府の七項目の景気対策、あるいは補正予算、五十二年度予算等による刺激的な効果が加わってくるわけでございまして、これらの施策の結果、いずれ景気の局面にかなりいい影響が出てくるのではないかと私ども期待をいたしておるわけでございます。金融の面でも、物価の問題に注意しながら景気の着実なる回復に必要な資金の供給には万全を期してまいる所存でございまして、そのようなことで、だんだんに景気の回復のテンポも少しずつ高まっていくのではないかと期待をいたしております。
  128. 竹田四郎

    竹田四郎君 五十二年度の財政も、国債に抱かれた財政という言葉を使われております。来年はどうなるかわかりませんけれども、景気の状況いかんによっては、また同じような国債に抱かれた財政ということになるわけでありまして、御承知のように、これがインフレヘつながるという可能性はきわめて多いわけです。  そこで、日銀総裁に伺いますが、去年も私この話を個別的に申し上げたんですけれども、大体日銀としては、これはお金の値打ちを守らなくちゃならぬという大きな義務を持っておる銀行でございますから、余りマネーサプライが多過ぎるということになれば、これは貨幣価値は下落していくわけでありまして、私はそういう意味で、マネーサプライの増加の目標値というようなものを国民あるいはその他にやっぱり公表して、この線を守らせるというようなことをぜひしなくちゃいかぬ。しかし、そういうものを現実には出しておられない。しかし、おたくのその調査月報にも、諸外国でマネーサプライの標準値なりあるいは幅ですね。こういうものはこれこれ、これ、これの国が出しているということを調査月報でもお載せになっているわけですね。私はそういう意味で、先進国の中でそういうものを出していないのは日本だけなわけですけれども、こういうものを私は出して、やっぱりインフレを防いでいくという措置を講ずべきだと思うのですけれども、総裁、どう考えますか。
  129. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) マネーサプライを直接日銀の政策運営のターゲットにするということはいたしておりませんが、私どもといたしましては、このマネーサプライの動向を最も関心を持ってフォローしておるわけでございまして、常に過去におけるマネーサプライがどう推移したか、その場合にはいかなる経済現象が生じたか、景気はどうであったか、物価はどうであったか、国際収支はどうであったかというようなことを常に反省を加えて、将来の政策運営上の指針といたしておるわけでございます。お話のごとく、アメリカ、西ドイツ等々では、マネーサプライを直接金融政策運営のターゲットといたしておりますけれども日本の場合、まだそこまで機械的なターゲットとして設けることはいかがであろうかというちゅうちょをいたしておる次第でございますけれども、しかし、実際においては常にその問題を念頭に置きながら政策の運営に当たっておるということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  130. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは主として日銀の問題ではあろうと思いますけれども、私ども国民がやっぱり心配しているのはその辺だと思うのですね。これは総理でも大蔵大臣でも結構ですけれども、私はやっぱり、アメリカやヨーロッパ、イギリス、フランス、それぞれやっているわけでありますからね、それが守られるように努力をしていく——一つの値でなくていいと思うのですよ。ある一定の帯でもいいと思うのですね。そういうものをやって、やっぱり全体的に物価を、インフレを防いでいくという、そういうことを国民全体が守っていく。先ほどの本当に協調連帯だとぼくは思うのですよね、これがね。そういうことを政府としても日銀と相談して積極的にやっていくべきだと私は思うのですが、総理、どうですか。
  131. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お説の御趣旨は、私もそのように考えておるのです。これはマネーサプライは、経済の状態は端的にそこに表現されるわけですから、経済が不健全な状態であれば、マネーサプライの状態も非常に異常なものになってくる、こういうことになってくるわけですから。そのマネーサプライがどうなるかということを常に見なければいかぬ、そしてその異常なマネーサプライが起こっておるのか起こってないのか、起こっておらぬという状態を常に実現するための経済政策の運営をやっていかなければならぬ、こういうふうに思うのです。ただ、あれを一五%なら一五%、一三%なら一三%増だと、こうきめつけて、それ以上絶対にこのマネーは増加させないのだという、そういうようなことはちょっと弾力性に欠けると思うのです。大方のところをにらみながら、そのにらんだところのサプライの一線というものが実現できるような節度のある経済運営をするというところがいいところじゃないか。いまそういうことをやっておるわけでございます。
  132. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も、まだ日本では初めてのことですし、日本経済見通しはよく違うわけですから、確かに一つの数字だけを出して、一番最初からこれを守らなければいかぬということになりますと、これは非常に窮屈なものになると思うのですよ。だから、一定の帯として、たとえば一三%から一五%だとか、一三%半から一四%半だとか、こういう形のものの一定の目標値の幅を持って私は公表して、それを国民もやっぱり知ってそれに協力するという形のものは出していいんじゃないか、発表していいんじゃないかと思うのですよ。そのくらいのものをやっていかないと私は協調連帯を貫けていかないと、こう思うのですが、もう一回どうですか。
  133. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御趣旨のようにやっているんです。ただ、一定の幅を発表しましてそこの中へマネーサプライを押し込んじゃうんだ、こういうやり方をしますと、ちょうど下痢の患者のおしりに栓をするというようなかっこうになっちゃって、またいろいろ複雑な病状も出てくる、そういうことでないようにしなけりゃならぬわけですが、御趣旨のとおりのことで、ただ線引きだけはして、これを世間に発表するということをしないというだけなんです。これからも心してやってまいります。
  134. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がありませんから、もう少し内外経済のことをやっていきたいと思うのですけれども、これだけは一つ聞いておきたいことなんですが、これは総裁にも総理大臣にも聞いておきたいんですが、最近の国際通貨の偏在ということがいま非常に激しくなってきている。したがって、ある国においては非常に赤字がたまっている、そしてある国においてはもう支払いは勘弁してくれというような国も、ザイールとかアルゼンチンとかあるわけですね。こうなってくると、国際的な信用恐慌的なもの、こうしたものが出てくるということを言う学者、あるいは銀行の実務家、こういうものが最近非常にふえてきているわけですが、こうなったら資源のない日本としては大変なことだと思うのですが、そういう危険性というのはここ数年にわたってあるのかないのか、ないと答えるだろうと思うのですけれども、そういう問題については十分注意を払っていってもらわにゃ困ると思うのですけれども、その辺の見通しはどうでしょうか。
  135. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはほうっておきますとそういう危険性があると思うのです。ですから、ほうっておかないで、これは世界じゅうで相談し合って、それこそ連帯協調です。いま一番困っているのは資源のない発展途上国でございます。これはもうお話しのように国際収支が非常な混乱の状態ですが、したがってそういう状態になりますれば経済不信ということになる。いま世界経済が全体として非常に不安な状態にあるのは、その辺に問題があるわけなんでありまして、それを一体どういうふうにして世界的混乱に持っていかないようにするかということが、世界の、これは政治のいま最大のかなめになってきていると思うのです。その最大の政治のかなめをどうやって妥当に解決していくかということになると、私は、日、米、欧、これがまずみずからを固める、そして資源のない発展途上国なんかの困窮に対しまして協力をする、そういうことで初めて安定の実を上げていく、こういうふうに思うのです。ほうっておくと本当にそういう心配がある。しかし、その心配を現実のものにしちゃならぬというのが世界政治の最大のいま当面している問題である、そういう認識でおります。
  136. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 先般の石油危機によりまして世界各国の国際収支に大変なばらつきができまして、産油国には大変な外貨がたまる一方、しからざる国には大変な国際収支の逆調が起こる。特に、お示しのごとく、石油を持たない途上国は大変困っておるわけでございまして、そういう事態にどう対処するか、さしあたっては金繰りをつける、石油によってたまりました金をリサイクルするというようなことで今日まで何とかつじつまが合わされてきておるわけでございます。しかし、この借金を累増いたしますということは決して問題の解決ではないわけでございますので、石油問題につきましても、世界の政治家におかれまして英知を尽くして妥当な解決策を見出していただきたいと思うわけでございますが、その間、金融で、あるいは国際収支の調整で何とかみんなが困らぬようにということで努力していかなければならぬわけでございまして、第一次大戦後と違いまして、今日では、IMFという国際協力機関もございますし、また各国とも、先般の英国の例に見るごとく、みんなで力を合わせて何とか危機を切り抜けようという協力体制が整っておるのでございまして、その点から考えますと、お話しのような金融恐慌のごとき事態は必ず防止し得ろと、私は確信いたしておる次第でございます。
  137. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がありませんからほかへ移りたいんですが、ことしは恐らく先進国の首脳会議も開かれると思うんです。やはりこの問題は日本としては相当私は責任があると思う。そういう意味で、先進国首脳会議において、そうした基軸通貨が偏在しないような、あるいはまた融通できるような新しい体制、システムというものを私は日本が提唱すべきである、こういうふうに思うのですけれども、これはお願いをしておきます。  補正予算の関係に若干入りますが、質問をまとめてやりますからひとつ答えていただきたいと思います。  その一つは、予備費を大変たくさん積んでおく。公共事業費も同じでありますが、これは五十一年度の予算審議では総合予算主義ということでやっておりますけれども、実際は今回も補正予算を組んだ。しかも、予備費を見ますと、いままで大変これをたくさん組み過ぎている。大体それが補正予算財源に使われている。このことは総合予算主義の立場からもこれは私は間違いじゃないかと、こういうふうに実は思うわけでありますが、予備費の使い方にも、あるいは予備費の定義にも、私はこれは問題があると思うのですけれども、最初からこのような形をやられるということはどうも制度の関係上よくないんじゃないかと、こう思いますが、これについてのお答えをいただきたいと思います。  もう一つは、五十年度の剰余金を五十一年度の今度の補正予算の中に入れて、そして組んでいるわけでありますが、これは本来五十年度の剰余金というのは五十二年度のところへ繰り込むべきであるのが私は本則だと思うのですけれども、どうしてそういうことをなさったのか。私の判断では、それをそういうふうにしないと、これは結局、先ほども質問をいたしましたけれども、建設国債一千億円を今度は組んでいるわけであります。国債依存度を三〇%以下にするためにわざわざそういうことをやっているんだというふうに私は思えてならぬわけです。だから、三〇%というような国債依存度を決めても、こういうからくりをやってごまかすなら、これは何もそんなものは意味ないじゃないかというわけでありますから、こういうことは、私は大変どうも財政法の趣旨にも反するし、また国民考え方にも相反すると思うんですが、この総合予算主義の問題と、予備費を組み過ぎるという問題、それからこの剰余金の問題、この三点についてお答えをいただきたいと思います。
  138. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御承知のとおり、予算はその編成の時点におきまして、その時点における財政の需要といいますか、それを総合的に検討いたしまして、そして相互の間のバランス等も考えまして、そうして予算を組むわけでございますが、その組むときに、それはできるだけ総合予算で持っていきたいと、こう考えるんですが、しかし、その組んだときと予算の執行のときとに時間の関係がありまして、予見し得ざるものがその予算執行中に起こってくるということは、これはやむを得ない。しかし、そういったようなものはできるだけ、予備費というものがありますから、予備費によって賄おうということを考えて、予備費を組んでおりますけれども、なかなかその予備費では十分でないという事態が起こってくる。たとえば五十一年度におきましては……
  139. 竹田四郎

    竹田四郎君 補正予算財源にしちゃっているじゃないですか。
  140. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) まあまあ、後で申します。  そういうようなことで、夏以降の経済の情勢だとか、あるいは台風十七号だとか、あるいは東北、北海道の寒冷災害だとかといったようなものや、あるいは政府の義務費、たとえばベースアップといったようなものなどが生まれてまいりますと、これはどうしてもやっぱり予備費ではいけないということで、補正予算というものをつくらなければならない。そこで、おっしゃられる、それでも予備費を財源にしているじゃないか、こういうお話なんでございますが、まさしく予備費を、これを財源にいたしておりますけれども、もともと予備費というものを使ってそういう不測の事態に対応していくのが予備費の性質でございますが、しかし、とにもかくにも——とにもかくにもじゃありません、厳粛なる国会が開かれておるというときにこの予算を編成して提出した。そうすると、予備費というものはいずれはこの国会で事後承認をいただくということ、これはもう当然のことでございますが、そういうことから考えてみますと、これはやっぱり国会開会中にはその予備費というものを、これを補正予算財源に持ってきて、そうして国会で御審議を願うということが、これが筋ではなかろうかと、かように考えまして五十一年度の補正予算には予備費を財源に持ってきたと、こういうような次第でございます。
  141. 竹田四郎

    竹田四郎君 ほかの三〇%の問題、剰余金の問題。
  142. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 剰余金全部を、これを、御承知のとおり、剰余金というのは翌々年度までに減債基金に繰り入れるということになっておりますけれども、私はまだ大蔵大臣じゃございませんでしたが、前大蔵大臣のときに、これだけだんだんと赤字公債が、特例公債がふえていくというようなときには、できるだけ早くやっぱり剰余金というものを減債基金の方へ繰り入れるということにしてもいいじゃないかと、こういうお話がありまして、そこでその剰余金を早く繰り入れて、翌々年度までにと、こういう財政法の規定がございまするから、そこで早く繰り入れるということ——三十年度なら三十二年度の減債基金に繰り入れる、こういうことになっておりますけれども、それはなぜそうなっておるかといいますと、これは私考えますと、翌年度の予算を編成しておるときにはまだ前年度の剰余金というものははっきりしていないでしょう、これはね。だから今度の、五十一年度の補正予算のときには完全にもう五十年度の剰余金は決算の結果はっきりわかっておりますから、そこでその全額を繰り入れたと、こういうことでございます。
  143. 竹田四郎

    竹田四郎君 三〇%の問題。危険ラインとの関係。
  144. 小川半次

    委員長小川半次君) 竹田君、一々委員長の了解を得て発言してください。
  145. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 三〇%が悪くて、二九%がそれならいいということは……
  146. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうじゃないんです。そうじゃない、よく聞いててくださいよ。
  147. 小川半次

    委員長小川半次君) 竹田君、改めて発言してください。
  148. 竹田四郎

    竹田四郎君 いいですか、時間は。
  149. 小川半次

    委員長小川半次君) どうぞ。  それから、竹田君、日銀総裁退席してよろしいですか。
  150. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう結構です。
  151. 小川半次

    委員長小川半次君) それじゃ、日銀総裁御苦労さまでした。
  152. 竹田四郎

    竹田四郎君 その剰余金を繰り入れることによって五十二年度の全体の予算をふくらましているわけですよね。したがって、本来なら一千億の建設国債を出すということになれば国債依存率が三〇%のラインを超えちゃうわけですよ。だから五十一年度の補正予算に剰余金を入れて、そして三〇%以下の依存率を出すという、そういうことをやっているじゃないかと、そのためにそういういまのような操作をやったんではないのか、そういうふうに思われたってしょうがないじゃないか。それとさっきの三〇%の危険ラインという問題、三〇%の危険ラインをつくったって、そういうことをやってんだから意味ないじゃないかと、ごまかしなさんなというところが私の言い分なんですよ。だから、もっと普通にいままでどおりにそういうふうにやられたらどうですか、おかしいじゃないかと、こういうことを私は申し上げている。
  153. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) ごまかすつもりなんかは全然ございませんし、またごまかされるような方ではないというふうに思っておりますが、これは数字の正確を期するために政府委員からお答えさせます。
  154. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 大蔵大臣から御答弁申し上げましたとおり、剰余金二千百六十八億は、補正の段階において決算が確定しておりまして、それから、去年以来、要するに国債整理基金に剰余金が出た場合には全額繰り入れるということもお約束しております。竹田委員御指摘のとおり、剰余金は翌々年度までに繰り入れればいいんでございますけれども、こういう際に国債整理基金の財源充実という意味から全額をあえて補正に入れたわけでございまして、結果において二九が維持できたと、こういうような御質問でございますが、これは結果でございまして、それを意図したものではございません。
  155. 竹田四郎

    竹田四郎君 あとまだ問題はありますけれども、時間が参りましたので、あとは五十二年度予算のときにさらに追加して聞きたいと思います。  私の質問を終わります。(拍手)
  156. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして竹田四郎君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  157. 小川半次

    委員長小川半次君) 坂野重信君。
  158. 坂野重信

    ○坂野重信君 今回の補正予算につきましては提案理由説明がございましたが、改めて今回の補正予算のねらいあるいは性格等につきましてまず大蔵大臣から御説明願いたい。
  159. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) お答え申します。  今回の補正予算は、冷害に伴う農業保険費の追加、それから給与改定費、義務的経費の追加等を行うこととしているほかに、最近における経済情勢にかんがみて、災害復旧等事業費を含む公共事業関係費の追加を行うことを内容といたしており、昨年十一月に決めました景気浮揚の七項目、これの延長というような考えもございまして、これらの対策の効果を確実にするための性格を持っておると、こういうことでございます。この補正予算は、昭和五十二年度の、ただいま御審議も願っておりまするこれの予算に先行する、景気浮揚一つの、何と申しますか、先兵と申しますか、そういうところに大きな意味を持っておるというふうに考えております。
  160. 坂野重信

    ○坂野重信君 いま大蔵大臣の答弁で、まあこの予算というものは性格的には、主として景気対策、あるいは災害対策、公共事業の執行でありまして、新年度の予算に引き継ぐということですけれども、趣旨はわかるんですけれども、私は、先般の臨時国会において、この補正予算を早く組むべきじゃないかということを主張したわけでございます。政局の動向もあったでしょう、衆議院選挙もあったと思いますけれども、余りにもこの補正予算の提出というものが遅かったんじゃないか。あと一月しかありません、あした成立いたしましても。その辺の一体考え方、大蔵大臣はどのようにお考えになっておりましょうか。
  161. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御指摘のとおり、この補正予算はもっと早く組むべきだと、こういう御指摘でございますが、とにかくいろんな政局下あるいは選挙、そういったような複雑なる事情がございまして、事実こういうふうなことに相なりましたけれども、しかし、この予算を幸いにして成立さしていただきますれば、もうその当初からこれを実行するということのできるように各方面と連絡、打ち合わせをいたしまして、そうして早急に効果を上げてまいりたい、かように考えておりますので、どうぞひとつできるだけ速やかなる御審議をしていただきまして、そして成立さしていただくことをお願いを申し上げます。
  162. 坂野重信

    ○坂野重信君 持ち時間が三十分しかありませんので、質問の方も簡単にいたしたいと思いますし、また答弁の方もひとつ簡潔にお願いいたしたいと思います。  そこで私は、災害対策と、内外経済と景気対策、公共事業、この大体三点にしぼって政府にただしたいと思っております。時間がございましたら、公共事業に関連して社会福祉あるいは環境問題あるいはエネルギー問題等に触れてみたいと思います。  そこで、まず第一点の災害対策でございます。御案内のとおりに昭和五十一年度の発生災害による公共土木施設は、まあ大変な災害でございまして、八千五百億程度と見積もられております。特に台風十七号は非常な激甚な災害でございまして、私は去る臨時国会におきまして、政府にこれが対策について質問いたしたのでございますけれども、その後の処理状況について、まず国土庁長官から包括的に御説明願いたい。
  163. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。  ただいま坂野さん御指摘のように、昨年は台風十七号災害を初めとして災害の多発の年でございまして、災害被害もただいま御指摘のような状況にございます。そこで昨年は当初予算のほかに予備費支出あるいは補正予算によって施設の復旧に努めて今日までまいっているわけでございますが、今年度予算については、災害にかかわる公共団体の施行しております復旧事業、すなわち公共土木施設あるいは農地農業用の施設復旧事業については三〇%から三五%、あるいは災害関連事業については二五%から三〇%にその進度を五%ずつ高めて早期復旧のために努力をいたしているという状況でございます。
  164. 坂野重信

    ○坂野重信君 昨年の国会のやりとりの段階におきまして、国土庁がひとつ中心になって、いろんな災害対策について、従来のいきさつにとらわれないで、ひとつ新しい施策といいますか、工夫をしてみようというようなことを天野前国土庁長官は答弁されたわけでございますが、その辺の、国土庁としてその後の災害対策について何らか工夫の成果が出てきたかどうか、その辺をひとつ長官から、もし長官でおわかりにならなければ事務当局から御答弁願いたい。
  165. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 事務当局から答弁させます。
  166. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) お答え申し上げます。  いろいろ当時、坂野先生から委員会等で指摘いただきましたのが、主としてこの大災害に対しましては治山治水計画をひとつ大いにやるべきであるというふうな議論が出されておりまして、それにつきましては来年度予算に向けましていろいろと御審議をしていただき、長期計画等の増額というふうな形で御検討をいただいておるのがただいま現在の状況でございます。
  167. 坂野重信

    ○坂野重信君 建設大臣からお願いいたしたいわけですが、前国会にいろいろ議論いたしました治水施設の総点検をひとつやろうじゃないかという強い意見がございまして、それに対して前建設大臣は、非常に重要な問題であるのでひとつ総点検をやっていきたい、また治水対策につきましては総合的な立場で、いわゆる総合治水対策というようなものについて建設省として真剣にひとつ取り組んでいきたいというような答弁がありました。さらには、いまお話のありました治水五カ年計画の問題も議論されたわけでございますが、その辺の進捗状況について御説明願いたい。
  168. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 特に坂野さんのいろいろ御心配になりました全国の直轄河川、これにおきましては堤防の総点検をこの五十二年の秋までには一応取りまとめをしていきたい、こういうふうに考えておりまして、現在鋭意これに向かって努力中でありますが、その途中の段階においても、逐次取りまとめができたものから河川管理や必要な対策工事の着手をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。したがって、総合治水対策につきましては、その施策の検討のために河川審議会に総合治水対策小委員会を設けまして、これまた精力的に審議を進めておるところでございます。できる限り早期にこれらの取りまとめをしていきたいと、こう考えております。  また、総合治水対策の中でも重要な位置を占める洪水はんらん予想区域、こういう点につきましては、土石流の危険区域等につきまして、さらに調査を進めて、本年度からは調査を、さらによりよい結果を上げるように進めてまいっております。  また、都市周辺の主要な地域につきましては三年程度を目標に目下調査を進めておるところでございます。
  169. 坂野重信

    ○坂野重信君 総合治水対策の問題はひとり建設省だけの問題ではないと思います。これはいわゆる縦割り行政の中において総合的なこういう治水対策を策定するということは大変困難性があるかと思います。いずれこの問題につきましては、後ほどまた問題を議論いたしたいと思います。  そこで、もう一つ農林省関係の東北一帯の冷害、昨年大変厳しい状態でございましたが、その後の施策がどうなっているか、御報告願いたい。特に、救農土木事業というものを昨年いろいろな議論の末採択されて実行されていると思いますけれども、その辺の進捗がどういうぐあいになっておるのか、御説明願いたい。
  170. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 東北、北海道その他の地区における冷害対策でございますが、御承知のように天災融資法の発動、また激甚災害法の適用等を行いまして、これは十一月中にいずれも措置をいたしたわけでございます。約六百億円の経費を投入をいたしております。  また、自作農維持資金、これも三百六十五億程度の融資をいたしておりますし、融資額の引き上げも行っておるわけでございます。  第三点は、農業共済金の支払いでございますが、これも千百二十五億円を年内に被災農家に届くように完了いたしております。  また、規格外のお米がたくさんできたわけでございますが、この規格外の玄米を政府で買い上げてほしいと、こういう要請にこたえまして九万六千トン程度これも政府で買い上げを行っておるところでございます。  それから救農土木事業でございますが、これは基盤整備事業でありますとか林道でありますとか、あるいは農道でありますとか治山事業等、できるだけ労務費の比率の高いものを選択をいたしまして実行に移しておりまして、契約ベースでほとんど一〇〇%実施がなされており、順調に工事は進められております。
  171. 坂野重信

    ○坂野重信君 昨年の災害につきましては、大変政府で努力されているということよくわかりましたが、今回の豪雪災害の問題、ちょうど昨年の災害にダブルパンチを受けたというような状態であるわけでございますが、貴重な人命、六十二名という損失まで来したと。その実態につきまして、まず国土庁長官から御説明願いたい。
  172. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。  被害でございますが、死者六十三名、負傷者四百四十八名、家屋の全半壊七十棟となっております。また交通関係でございますが、国鉄では一部運転規制をまだ実施をいたしております。道路も一部、一般国道、県道で規制を実施しておりますけれども、ほぼ交通が確保されている現状にございます。  そこで対策でございますが一八日の日に昭和五十二年の豪雪対策本部をつくりまして、第一回目の会議をその日に行いまして、佐藤国土政務次官を団長として、新潟、青森両県に政府調査団を九日から十二日までに派遣をいたしまして、さらにその後十四日に第二回目の本部会議を開きまして、被害の状況の把握、あるいはまたそれに対する対策を検討いたしました。特に今回の雪の状況から見まして、交通の確保というのは非常に重要でございますので、精力的に除雪作業に力を入れまして、地域住民の生活必需物資だとか、あるいは郵便の遅配のないように最善の努力を払っているというのが現状でございます。
  173. 坂野重信

    ○坂野重信君 いま長官から御報告のあったように、道路の除雪の問題、非常に重要な問題ですが、除雪費が十分間に合っているのかどうなのか、あるいは場合によっては予備費から緊急支出しなけりゃならぬという問題もあろうかと思います。もう一つ、地方財政にとっては、特別交付金の交付の時期の三月に近寄っているわけでございますが、その辺に対する対策はどうなっているのか、御説明願いたい。
  174. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 具体的な問題でございますので政府委員に答弁させます。
  175. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきました件につきましては、いずれも建設省それから自治省等関係各省の問題もございますので、国土庁を中心にして関係官相寄りまして、いかように対処してまいるかというのを相談中でございまして、ただいま成案に向かって努力をしておるという段階でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  176. 坂野重信

    ○坂野重信君 それはいつごろまでに結論が出てまいりますか。非常に地元では待望しておるわけです。除雪費が足らないということで非常に困っているようです。その辺の実態を踏まえて、ひとつ早急に、いつごろまでに結論が出るのかお答え願いたい。
  177. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 本日も三時ごろからその会議を持とうとしておるのでございますが、いろいろ法律的なこと、予算上のことも問題もありますので、ちょっとここでは期日を明確に言えないんですが、早い機会に結論を得たいと、かように思って手続を進めておるところでございます。
  178. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、この豪雪がやがて一月ぐらいたってまいりますと、今度融雪期を迎えるわけでございます。その時期になると例年のごとくまた水害が起きてくる。また地すべりが出てくる。これはいまのうちに予防的な対策というものを十分持っていないと困るわけでございます。その辺に対する政府としての対策をどのようにお考えになっているのか、御答弁願いたい。
  179. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。  今回の豪雪の性質は非常に雪の降雪量が集中的であったということに大きな原因があるわけでございますので、必然的に山間部にも積雪の量が多いと思うのでございます。そういう関係から言いますというと、融雪時におけるただいま御指摘のような災害が起きてまいろうかと思いますので、この対策本部設置の折に融雪時の災害に対しても、この本部が対策を講ずるようにということで進んでおるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、今回の雪の質をよく注意いたしまして、調査いたしまして、そしてただいまお話しのような被害のないように万全の策を講じたい。また災害が起きた場合には最小限にとどめられるように最善の措置を講じてまいりたいと、かように考えております。
  180. 坂野重信

    ○坂野重信君 御案内のように、わが国はいろいろな立地条件、また地形的な条件、気象的な条件からいって、文明国家といいながら非常に天然災害というものが多い、これは何としてもこれに対する対策というものを強化しなけりゃいかぬ。また前臨時国会におきましても秦野委員から地震予知の問題が強く指摘されました。そのために政府の中に総合的な、そういう中心的なひとつ組織をつくるべきだという強い意見が出たわけでございますが、結果的には、お聞きするところによりますと、国土庁に課を一つふやしたというようなことでございます。まことに情けないことですが、こういう問題についてはひとつ思い切ってそういった必要なものは必要な組織をつくるということに踏み切るべきだと思いますけれども国土庁長官のひとつ所信を伺いたい。
  181. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。  地震に対する対策の必要性はただいまお話しのとおりでございますので、国土庁としては、地震予知も含めてその対策の万全を期するためには一局を設けるのが当然だと思うのでございますが、政府としては、いま部局の増設、新設は認めないということにも相なっておりますので、最小限、ただいまお話しのように審議官の下に二課を設けまして地震対策のための専門的な課を今回は新設いたしまして、定員もふやしていただいてその対策に当たっているわけでございますが、今後、坂野さんのお話しのような体制にぜひ持ってまいりたいと、かように考えているような次第でございます。
  182. 坂野重信

    ○坂野重信君 まあひとつ国土庁長官を中心にして大いにがんばっていただきたいと思います。  そこで、災害について最後に総理から。人間のいわゆる基本的な生命財産を守る災害対策、非常に、さっき申し上げましたように、わが国は残念ながら毎年毎年大変な災害を受けております。昨年のごときは、本当に何年ぶりといいますか、十何年ぶりかの大災害を受けた。そういうことに対して、本当にこれは政府とし、また国として、この防災対策というのは、まことに基本的な私は重要な問題だと思うわけでございますが、これに和する総理の基本姿勢についてお伺いいたしたい。
  183. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話しのように、わが国は災害が非常に多い国であります。また地震、こういうことを考えますと身の毛がよだつというような感じがしてならないくらいな恐ろしい問題であります。私は、そういう災害が起きてその復旧などの対策に取り組む、これはもとより大事なことでありますが、未然に災害が起きないように、また起きた場合に、その被害が広がらないようにということを常々心がけていかなければならぬかなと、こういうふうに考えておるわけでありまして、そういうことで治山治水でありますとか、地震対策でありますとか、そういうことにつきましては、長期的な構えでそういう考え方を着実に実現していかなければならぬだろう、こういうふうに考え、そういうふうな方向で諸施策を進めておると、こういう次第であります。
  184. 坂野重信

    ○坂野重信君 災害対策はこの辺で終わります。  次は景気の動向、景気対策についてまず経済企画庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、月例経済報告、毎月お出しになっております、それによりますというと、二月八日の月例経済報告が出ておりますが、景気回復のテンポが持ち直し気配が見られるけれどもなお定着してないと、最終需要が非常に緩慢であると、企業倒産も十二月で千八百六十件もあるということを報告されております。また労働需給面でも改善がおくれている。設備投資も低調である。まあ今回の報告としては比較的じみな報告が出されておりますが、私の感じでは、とかくこの月例経済報告というのはマクロ的な報告がなされるせいもあるかもしれませんけれども、いわゆる企業のばらつきというような問題については余り触れてない、この辺がちょっと問題があると思いますけれども、その企業のばらつきかげんというものは一体どうなっているのか。まあ比較的、いつでも月例経済報告を見ていますというと楽観的な見通しばかり出ておる。しかし実際はなかなかそうはいってない。いつでもその後で、報告の出た後で経済の動向というものは必ずしもそうはいってない、大変厳しい状態になっていると思うわけですけれども、その辺のひとつ所見をお伺いいたしたい。
  185. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  月例経済報告でわれわれが御報告申し上げておりますのは、景気の基調は回復過程にあると、緩やかであるけれども回復過程にある。しかし局面をとらえると、ただいま御指摘のように企業倒産であるとか、あるいは雇用の情勢において非常に厳しい状況にあると、そういう分析をいたしておるわけでございます。しかし、いまお話しのように、企業別それから業種別、地域別には非常に格差がある。業種別に申しますと、たとえば造船あるいは繊維、あるいは平電炉、アルミ、そういう業種について見ますとかなり厳しい状況にあることは事実でございます。また地域的に、そういう業種のある地域は地域ぐるみでそういう波をかぶっておるという状況でございます。したがって、そういうことも十分われわれはマクロの分析と同時にミクロの分析をしながら、これからどうやってやっていったらよいだろうかということを考えているものでございます。で、同時に私どもがこれから考えておかなければならないのは、やはり減速経済に入っておりまして、特に雇用の面につきましては、御案内のとおり過剰雇用を企業が抱えておるということで、なかなか気迷いから少しぐらい景気が上昇してまいりましてもなかなか雇用の増加に踏み切らないで、残業時間の増加というような形で対処していると、そういう向きもあるわけでございまして、なかなか厳しい状況にある。しかし基調としては緩やかではありますけれども回復基調にある。しかしこれをもう少し定着させるためには勢いが必要であるということで、まあ七項目、補正予算の御審議、また五十二年度の予算について需要効果の高い公共事業を中心として御審議をお願いしていると、こういうことでございます。
  186. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、総理にもう一度確かめたいと思うわけでございます。これは本会議におきましても、またいろんな衆議院委員会等におきましても再々総理は言明されておるわけでございますが、金融政策と財政政策両方あるわけでございますが、何といっても公共事業を中心とした財政政策をまず打ち出して、それによって物価を配慮しながら最終需要というものを喚起することによって回復を図るのが一番だというようなことを総理は再々言っているわけでございますが、現在におきましてもその信念に変わりはないかどうかという、ひとつその辺の所信のほどを改めてもう一度お伺いしておきたいと思います。
  187. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまわが国の経済はどうもてこ入れを必要とする、そういう状態にあると思うんです。一方財政が非常な危険な状態になりまして、さあこれをほうっておきまするとゆゆしい事態になりそうだという状態でございます。そういうような状態の中でてこ入れを一体どうやってやっていくか、こういうことになりますと、御指摘のように財政と金融ということになるんですが、どうもいまの金融緩慢な状態、つまり設備投資意欲の停滞、そういう中で金融政策に期待する、これはなかなかむずかしい。そうすると財政だけになっちゃう。その財政の中でさあどうやるかというと、これはもう投資効果の、需要の喚起効果の多い公共事業費、これが一番大きな役割りを尽くすであろう、こういうふうに考えるわけであります。昭和五十二年度予算、それの前哨戦としての五十一年度補正、これにおいて公共事業費を中心とする予算を編成する、こういうふうにしたんですが、この考え方は妥当なものであるということについてはいささかも変わりはありません。
  188. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、欧米経済につきまして、米国と西独を除いた各国の景気回復のテンポというものは非常に緩慢である。一九七六年十二月に立てましたOECDの見通しによりますというと、一九七〇年のGNPの実質成長率というものが、日本が六%、アメリカが四・五、西独三・五、フランス三、イギリス一・五、イタリーに至ってはマイナス〇・五、カナダが三・五。また消費者物価の上昇率についても推定しておりまして、これについてはイギリスが十三、イタリーが実に二〇・五と大変厳しい見通しを立てておるようでございますが、これについての総理の御見解、御所見をお願いいたしたいと思います。
  189. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昨年末のOECDの検討の結果はただいま坂野さんのお話のとおりなんです。しかしそれじゃ困るんです、これは。いま南の国々は大変に混乱をしておる。そういう南の国々に対しまして協力をしてあげなきゃならぬ。協力するのはだれだというと、北のOECD諸国である。そういう状態ですが、このOECD諸国がまたいまお話しのような状態で、果たして有効な南への協力ができるかというと、なかなかこれはむずかしい。そこで私は、まあこのOECD諸国の中でも機関車的立場にあるという日米独、あるいは日米欧、この三極、三国が緊密な連携をとりながらどうしてもまずみずからを固める。その固めた力、その影響というものが南の方にも波及するわけです。そういう手順が必要じゃないかということで、私は就任以来そういう趣旨からいって七カ国先進国首脳会談でその意見統一をする必要が急がれておるという提唱をしておるんです。五月ごろその首脳会談が開かれるという段取りになりましたから、これを足がかりといたしまして、世界が混乱にならないように最大の努力をわが国としてもしていきたい、かように考えております。
  190. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで通産大臣にお伺いいたしたいんですが、いまの問題に関連して、大変EC諸国というものが厳しい状態にある、そういうことかどうか知りませんが、最近安い日本製品に対して輸入制限といいますか、保護貿易の傾向が出ている。去る二月の五日には、報道されているごとく、EC委員会の決定において日本製のボールベアリング等に対して三カ月にわたるダンピング関税をかけるというようなことが報道されております。また船舶についても、あるいはオートバイ等についても大変厳しい状態と聞いている。これら一連の動きに対して一体日本は今後どのように対処していくのか、今後の貿易に対して不安はないのかどうか。世界三極の一極等と言っておりながら、これは場合によって、あるいは部分的には大東亜戦争の戦前のような一種の経済封鎖というような状態を憂えるようなことが考えられるわけでございますが、この辺の問題について通産大臣の御見解なり今後の方針をお伺いいたしたい。
  191. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  御質問の最初のベアリングの問題でございまするが、先般のあのような処置を見ましたことはまことに残念な次第でございまして、なおまたECの関係において問題になっております自動車でございますとか、造船といったような問題もございます。これらにつきましては、わが方といたしましても全力を挙げて業界その他交渉に入りまして、逐次円満な解決を見つつある次第でございます。具体的なそれらの問題は別といたしまして、御指摘のように、あるいはEC方面、あるいはまた対米関係、なかなか各地におきまする保護貿易的な動きに対しましては、わが方といたしましてはあくまでも貿易の自由を唱え、同時にまたこれらの処置につきまして、万全を期して国内、国外あわせて内部的な体制と外交の力によりまして解決をしてまいりたい。わが国といたしましては、あくまでも平和、自由な貿易を主張してまいります。
  192. 坂野重信

    ○坂野重信君 総理にお尋ねいたしたいと思いますが、先般モンデール米副大統領が来日されましたときに、こういう問題について先方から何か注文がなかったかどうかと、あるいはわが国の景気刺激等の政策について意見なり注文というものがなかったかどうかお伺いいたします。
  193. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) モンデール副大統領との会談におきまして世界景気の問題が話し合われたわけです。モンデール副大統領も、私が先ほどからるる申し上げている線ですね、考え方、これには全く同感の意を表しておりました。そういう中で、日本のいま景気をどうするかということにつきまして、私の公共事業費を中心とする六・七%成長の考え方を話したんですが、これは非常に、何というか、感銘を持って聞いてくれた、こういうふうに申し上げていいかとも思うんです。私はモンデール副大統領も私の考え方を高く評価して帰った、こういうふうに考えております。  それから、両国間の関係につきましては、これは鉄鋼の輸出、これについて注意を払ってまいりたい。それからテレビ、これが集中的にある一地区に対しましてこうやってくる。こういうものについて注意を払ってもらいたいと、こういうような要請はありました。
  194. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、総理が近く渡米されるということを聞いておりますし、また近い将来に先進各国の会議があるようでございますが、今後の経済外交、せっかく大蔵省出身の経済専門家の鳩山君が外務大臣になったわけでございますが、各国からわが国に対して、経常収支が黒字じゃないかとか、あるいは円高に対する処置をしろとか、そういう圧力というようなものがわが国にかかってくるおそれがあるんじゃないかということを心配しているわけでございますが、いずれにいたしましても、その辺を踏まえて今後の経済外交の基本方針といいますか、基本姿勢といいますか、ひとつ総理か外務大臣からお願いいたしたいと思います。
  195. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 今日の世界の経済の中では大変問題が出てきていることは御承知のとおりでございますが、一つはただいまもおっしゃいましたような保護貿易主義的な動きがあるということ、これにつきましては、いま総理がおっしゃいましたように、やはり経済政策を調整することが第一である。それから第二は、貿易関係につきまして、やはりもっとルールをつくる必要があるではないか。これは関税等も含めましていわゆるガットの東京ラウンドと言われているもの、こういったものにつきまして、やはり公正なる競争と申しますか、あるいは商品が余り一時にぱっと相手に被害を与えないような方式であるとか、そのような、また非関税障壁と言われているような問題、こういったものにつきまして、やはりもっとルールをつくっていくべきであるというような考え方も出てきているわけで、これらの方向に沿いまして経済的な問題の解決を図りたい。なお日本といたしましては、経済協力の面におきましてやはり先進国並みの負担をしていく、経済協力に力を入れていくということが日本としては肝要なことではなかろうか、こういった面に沿いまして努力をしてまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
  196. 坂野重信

    ○坂野重信君 経済協力の話が出ましたので、経済協力の問題に移りたいと思います。  いまお話しのように、わが国は非常に資源が貧弱な国である。資源外交の面においても非常に経済協力というものが重要な問題である。また景気の浮揚のためにも必要である。またさらには国内の企業の過当競争、これを緩和するという意味から言っても、経済協力というものを非常に必要だと思っております。年々努力されて、ようやく〇・二八まで五十二年度は持っていこうということ、まことに結構でございますが、しかし目標の〇・七ということにはまだまだはるか遠いわけでございます。  そこで私は、この経済協力の中でも通産省が非常に最近力を入れておられますように、大型のプラントの輸出の問題、もう一つは向こうのプロジェクトにわが国の建設業界なり関連産業というものが進出して参加する。これは今度の経済使節団の報告等を見ても、中近東諸国の民間の使節団の報告を見ても、そういうことをうたわれております。そういう問題につきまして、私もかつて日本大使館のアタッシェを二十年ぐらい前にやっておりました経験ございますので、重要性というものを非常に強調したいわけでございます。通産省でボンド保険制度というものも新設されまして、非常に私はこれは敬意を表したいわけでございますが、新設される予定になっておるようでございます。  そこで、建設大臣からわが国の建設業界の海外進出の状況と今後の推進策というような問題について、各国と対比して簡潔にまず御説明願いたい。
  197. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) わが国の社会資本の整備水準は、各国下水道処理人口普及率等々から言いましてもなかなかでありますので、これらをいろいろ参考にいたしまして、現在、いまお言葉のような、わが国が、建設業の海外工事の受注額というものも逐年増大はしておりますけれども、五十年度には三千三百億に達しました。しかし、といいましてもアメリカ、西独に比べますと大きく立ちおくれております。御指摘のように海外建設の工事は、開発途上国の経済社会開発、こういう役割りを果たすとともに、建設業界の振興にも大変役立っておるのでありまして、今後ともその促進を図る必要があると考えておりますが、建設業の海外進出については、いろいろ政治的な視野に立った危険の補てん等もございます。したがいまして、信用力の補充とか、あるいは人材の養成、情報の収集、これらの問題が多いので、五十二年度において輸出保証保険の創設、社団法人海外建設協会等に対する助成を講ずることとしておりますけれども、今後とも海外活動の必要性という点については、私たちも特に促進をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  198. 坂野重信

    ○坂野重信君 外務大臣にお伺いしたいんですが、たとえばイランを一つ例にとりますと、日本の物資あるいは諸外国の物資がイランの港に入ろうとしても、九十日間も港が整備できないために船待ちをしているという状態、中に入っても中の道路とか鉄道、そういった流通機構というものができてない。そのためになかなか非常に全般的な経済開発に支障を来すというふうな問題があることを考えてみますと、やはり社会開発といいますか、一般的なそういうインフラストラクチュアというものに対する経済技術協力というものが大変これは必要だ。  そこで、国際協力事業団、外務省の所管でございますが、いつもお願いしているわけだけれども、なかなか結論が出ない。もう少し事業団の内容なり、場合によっては制度というようなものを強化して、もう少しそういう問題について外務省が本格的な取り組みをすべきじゃないかと思うわけでございますが、その辺のお考えをお聞きしたい。
  199. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいま御指摘の問題は、確かに従来から問題になっております。私もいろいろ勉強をしてみておりますが、これから日本の援助を拡充していく場合に、いま御指摘の点については何らかの改善措置を講ずる必要がある、こう痛感をしているところでございます。今日の海外経済協力の場合に、輸銀とそれから基金と事業団と、この三本あるわけでございまして、これらの特に基金と事業団との間におきましてはどういう分担をしていったがいいか、これらも含めましていまおっしゃいましたような事業が進められるように検討をさしていただきたいと、こう思っております。
  200. 坂野重信

    ○坂野重信君 大蔵大臣に輸銀の問題、まあ輸銀も非常に近ごろは前向きといいますか、幅広く仕事をやっていくようになってまいりましたが、さらにこういう問題について、インフラの問題等についてもひとつ積極的に今後進んでいくように指導願いたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  201. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 輸銀の今日までの海外建設事業に対して融資があんまり多くなかった。しかしながら、今後だんだんと事業のスケールも大きくなってくるということが予想されます。そこで、それらの事業のケース・バイ・ケースにつきまして取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  202. 坂野重信

    ○坂野重信君 昨日の日本経済新聞の朝刊でございますが、サウジアラビアの工業・電力大臣がパキスタンで十八日に記者会見しておりまして、五千万ドルの電力プロジェクトをパキスタンと契約したことを明らかにしております。同時に、日本とか西欧の企業に対して大変途方もない高い応札をしたからけしからぬ、制裁措置をひとつ加えろというようなことを報ぜられておりますけれども、この辺の実情はわかっておられますか、御報告願いたい。
  203. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  昨日の新聞につきましての詳細につきましては、政府委員からお答えをいたさせます。
  204. 熊谷善二

    政府委員熊谷善二君) お答えいたします。  昨日の日本経済新聞に出ましたサウジアラビアの電力プロジェクトの件でございますが、今日までのところ、たとえばパキスタンとの間に契約ができたといったようなニュースもございますが、これはまだ確認いたしておりません。  それから、非常に「途方もなく高い応札を行った」それに対して「制裁措置をとる」と言明したということにつきましても、「制裁措置」につきましてはまだ確認はいたしておりません。  で、若干の経緯を御報告を申し上げたいと思いますが、これはサウジアラビアの四つの地区におきまして、変電、送電、配電網の整備を行います計画でございます。で、この一月の末に入札が行われました。しかしながら、二月に入りまして政府の方からキャンセルの通告があったわけでございます。その理由は現在調査中でございますが、英国のコンサルタントが行いました見積もりに比較いたしまして価格が非常に高かったということが原因ではないかと思います。私の方としましては、英国のそのコンサルタントの契約の内容と、それから今回の応札の内容につきまして、今後十分比較検討いたしまして対処してまいりたいと思いますが、少なくとも、価格が非常に高くてその間に談合等があるんではないか、こういったようなことが報ぜられておりますが、そういう事実は私どもはないと考えております。私どもとしましては、恐らくプロジェクトの内容が、サウジ側が考えておりました当初のものと応札されたものとの間に差があるんではないかということでございまして、誤解のないように十分努めたいというふうに考えております。今後とも友好な関係を保ちながらプラント輸出を一層促進をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  205. 坂野重信

    ○坂野重信君 発展途上国に対する経済協力というのは非常に重要な事柄でございますから、ひとつ外務省も通産省もよく情報網を働かして、こういう問題に的確にひとつ対処できるように御指導願いたいと思います。  そこで、公共事業に問題を移したいと思います。公共事業による景気浮揚効果、あるいは効果のあらわれる時期、計数的に経済企画庁長官から御説明願いたい。また、一体実績の測定はどうやってやっているのか、お願いいたします。
  206. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたします。  ただいま公共事業経済効果、いわゆるマクロ経済モデルによります需要創出効果がどれだけあるかという御質問でございますけれども、これは経済の置かれている条件、また他の政策手段をどのように採用するかという点でも異なりますし、またどのモデルを使うかということによって異なるわけでございますけれども、一概に申すわけにはまいりません。しかし一般に言われておることは、またわれわれが使っておりますモデルによる計算によりますと、公共事業の乗数効果は、初年度におきましておおむね一・五から一・九の間である、こういうふうに言われておるわけでございます。
  207. 坂野重信

    ○坂野重信君 減税の場合はどうです。
  208. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 減税の場合は、初年度の乗数効果は〇・八程度ということで、公共事業の初年度の乗数効果が、減税の初年度の乗数効果に対しまして、一程度大きいというのが定説になっております。
  209. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、総理にお伺いいたしたいわけですけれども、さっきのお話のように、減税では非常に景気効果薄いということを経済企画庁長官おっしゃったわけですね。そこで薄いなら薄いで、これはひとつ公共事業一本で所信を貫くべきじゃないか。経済計画におきましても、五カ年のうちにいずれ増税に踏み切らざるを得ないということも出ております。いろんな事情がありましょうが、わが国の所得税というものは、総理が本会議でおっしゃいましたように、諸外国に比べて大変低いんだと、二〇%以下だと、それならそれで、ひとつ総理としては、これはいろいろむずかしい事情はありましょうが、筋を通すのが、やっぱり一つの政治の姿勢じゃないかと思いますが、その辺ひとつ総理の所信を、また国債の問題、大蔵省から昨年も一つの試算として国債償還の話が出ておりましたけれども、これも余りはっきりしたものがその後出ていないと思います。その辺についての所信をお願いいたしたいと思います。
  210. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 減税論という論が学者、評論家なんかにもありまするし、また昨年の暮れ、私は野党の五党首とも会談したんですが、こぞってそのようなことをおっしゃられるわけです。私も政治家といたしまして、これは国民が、減税をするということになりますれば大変歓迎してくれると思うんです。国民のいま不景気の中で暮らしがどうなっているかということを考えますと、私も身を切られるような思いがします。ですから財源がある、財政が豊かであるというならば、私は減税ということに踏ん切りをつけるべきだ、こういうふうに思うんです。ところが減税をするには財源が要る。その財源を使って、さていま最も求められているのは景気の浮揚だということでありますが、さあその一兆円の減税をするということによって、いま企画庁長官は〇・八の効果しか景気に対しての影響力がないとこう言う。それをやるか、あるいは一・五ないし一・九と申しておりましたが、とにかく減税の場合よりは倍ぐらいの波及効果があるという公共事業をやるかという選択をせざるを得ないんです。元が少ないんですから。財源が少ないんですから。  そうすると、私はいまこの時点とすると、文句なしにやっぱり公共投資を選択をせざるを得ないと、こういうふうに考えます。同時に、大事なことは、いま申し上げましたように、財政が非常に苦しい。さあこの苦しい財政がそう早急に改善されるか、こういうと、これはもうかなり時間がかかるだろうと思うんです。その間もかなり多額の公債を発行しなきゃならぬ。その公債は一体だれが消化してくれるんだろうか。もしこれが消化されなければ、これはもう恐るべき財政インフレという問題が起こってくるんです。さあその公債を消化するのはだれかと言えば、これは国民ですよ。国民の皆さんが貯蓄をしてくれる。そうして金融機関がその貯蓄された金をもって国債を買う。つまり消化をする。あるいは個人が直接に国債を買ってくれるというほかないんであります。ということは、国民にとにかく苦しいところでは御協力願いたい。わずかな収入の中からでも貯金をしてください。あるいは公債を直接買ってくださいということをお願いせざるを得ない。そういう際に、さあ景気対策のためであります、減税をします、ゆとりができるだろうから大いに消費をしてくださいというお願いをするという、その気持ちですね、そういうふうにはどうしてもなり得ないんです。  私はゆとりを持って国政に臨んでおるわけなんでございまするけれども、どうも大幅減税論というのは国家国民、今日のこともありますが、二、三年先、四、五年先、将来のことを考えますと、どうも踏ん切りがつかないんでございます。とにかくいま五十二年度予算におきましては公共事業中心の景気政策という線を打ち出しておるわけですから、ぜひともひとつ御理解を賜りまして御協力あらんことをお願い申し上げます。
  211. 坂野重信

    ○坂野重信君 五十一年度当初予算公共事業の進捗状況、計画どおりに進捗しているのかどうか。また第四・四半期で一体どのくらい仕事が残っているのか御説明願いたい。大蔵大臣。
  212. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 五十一年度の公共事業の契約状況は、五十一年十二月末までで八一%、前年同期の八一・六%を若干下回っております。これは国鉄運賃法等の成立遅延による国鉄、電電の工事削減六千六百九十億円です。その削減による国鉄、電電の落ち込みの影響でありまして、国鉄、電電以外は前年同期を上回って好調に進んでおります。数字ちょっと申し上げましょうか。よろしゅうございますか。
  213. 坂野重信

    ○坂野重信君 残工事幾ら。予算残、第四・四半期。
  214. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 予算残につきましては、政府委員からお答えさせます。
  215. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) パーセントで、いま大臣から申し上げましたとおり、国鉄、電電が落っこっている関係で、前年が八一・六に対しまして十二月末で八一でございます。ただ国鉄、電電を除きますと、前年七九・五に対しまして八二でございます。  それで、いま予算残というお話でございますが、年度末にどのくらいまで消化できるかというのを鋭意各省といま数字とっておりまして、大体そろいまして、年度末までにはほぼ九八%が消化できると。これは御承知のとおり十一月に景気促進対策を決めましたときに、各省庁とも契約の促進に努力いたしまして、補正予算を組む場合にも大体年度内に消化できるというめどのものを計上したわけでございます。ちなみに、ことしは九八%ほとんど限界いっぱいまで消化できますが、去年は九七、その前の年は九二というぐあいで、例年に比べて非常に契約の促進を図っているところでございます。
  216. 坂野重信

    ○坂野重信君 ひとつ後で予算残、それから補正予算に新しく入ってくるものも含めて、今後年度末までに幾ら消化しなけりゃならぬか、数字的にお示し願いたい。  住宅の方はどうですか、進捗状況。
  217. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 住宅建設の方は、大体五十一年度の地価と建設費というのが大体安定をしておりまして、したがって民間住宅の金融の拡大基調から順調に推移していると考えております。  で、一月から十一月末までの着工の戸数は全体で百三十八万四千戸、前年同期と比較してみますと一四%上回っておる現状であります。今後の動向につきましても今年度第二回目の昭和五十一年十月から及び第三回目の五十二年の一月の公庫融資による着工の増加が見込まれるなど順調な進み方をしておると考えております。
  218. 坂野重信

    ○坂野重信君 積雪寒冷地域における公共事業の発注については、いろいろ政府当局は苦労されていると思いますけれども、発注を早くするとか、発注段階についてのいろいろの経費がかかるわけです。その辺をどう考えるのか。あるいは冬季間でも仕事ができるようなことを工夫すべきだと思いますけれども、その辺のお考えはどうです。
  219. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 積雪寒冷地域に対する建築工事の円滑な推進を図るために早期発注は有効な方策ではあるんでございますが、従来からこれに意を用いましているところであるが、五十二年度は景気浮揚の観点からもなお一層その促進に努めてまいりたい。  また、これらの地域の冬季間におけるただいま御指摘の工事費の積算に当たっては、実態調査に基づいて必要とされる除雪費、暖房費、作業能率の低下による増加費を配慮して適正な実勢価格を反映するように努めております。  なお、積雪寒冷地帯における建設事業をさらに円滑に推進していくためには、これらの地域におきまして資材、労務の安定供給を確保いたしまして、その対策として従来の季節変動型の事業執行を通年施工型に移行していくことが最も必要であるというように考えられ、その前提として冬季間における施行の管理、作業環境、建設コスト、これらに関する諸問題の解明が必要である、このため、建設省においては昨年、通年施工化技術研究協議会を発足させまして、通年施工化を技術的にどうやるかということの調査と研究を鋭意進めておるところでございます。
  220. 坂野重信

    ○坂野重信君 公共事業は、申すまでもなく、国民にとって非常に大切な社会資本を整備するという目的があると思うわけでございますが、しかし、欧米各国に比べて大変おくれていると思います。そのおくれの実態を御説明願いたい。私は公共事業というものは、景気浮揚に役立とうと役立つまいと、本来当然これは促進すべきものだと思いますけれども、その辺の所見を含めて建設大臣からお伺いいたしたい。
  221. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) わが国の社会資本整備水準は、下水道処理人口普及率は二二・八%、都市公園の一人当たりの整備面積は三・四平方メートル、道路の舗装率は三三・六%であるのに対しまして、欧米主要国等では下水道の処理人口普及率は七〇から九四、都市公園の一人当たり面積はこれも七十平方メートル、道路の舗装率は四九から九七%、こういうような率であります。このため、おくれを取り戻すためには、建設省におきましても、都市公園、または下水道、住宅、治水、道路、この五カ年計画に基づきまして、長期の目標のもとに、計画的に着実に、良質なストックの形成に努めていく所存でございます。
  222. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、公共事業を推進するために、たとえば治水事業であるとか、またおくれているこの都市計画事業、そういうものに対する財源対策というものをもうぼつぼつ検討しなければ、なかなか、国の財政力から制約があるわけでございますが、その辺についてひとつ御検討をなさる意思があるのかどうか、またはその辺のお考えはどうなのか、お願いいたしたい。
  223. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 公共施設整備の財源につきましては、事業の効果の及ぶ地理的範囲の広さとか、あるいは受益者の特定性、事業の性格に応じまして、事業の種類ごとに最も効果的に事業の進捗を図るように考慮をする必要がありまして、このために、たとえば道路の特定財源だとか、有料道路、あるいは下水道における受益者負担等の、受益者の負担に財源を求めることが適切な事業について、受益者負担による財源の確保にあると考えるのでありまして、今後とも極力事業の効果的進歩が図られるよう、財源の確保にさらに一層の努力をしてまいるつもりでございます。
  224. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、道路事業等の公共事業はほどほどにして、社会保障に回すべきだというような意見が一部にございます。私はこれに賛成できないわけでございますが、これはやはり道路がまだ不十分だと、そして全国各地から道路整備に対する非常に要望が強いということがわかっていない。道路といえば産業、大企業のためのものだというような誤解がある。さらには、わが国の道路予算が過大であるというような誤解があると思いますが、その辺についての御見解。私は、昨年の長期にわたるあの国鉄ストの際に、本当に高速道路を通じて生鮮魚類であるとか野菜というものを確保できた、そのために東京都民の命がつながったんだということを思い起こすわけでございますが、その辺のひとつ考えなり説明を、道路局長なり大臣からお願いいたしたい。
  225. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私もお説のとおりだと考えます。わが国の道路整備の現況を過去に比べてみますならば、かなりの改善はされておりますけれども、たとえば地方部において特にその整備の立ちおくれがいまだ目立っております。したがって、舗道の整備、道路の質的な面でこれがまたおくれがちでありますし、自動車が全く通れない区間が、国道、都道府県道でも約五千キロメートルもある。これらの問題を抱えておりまして、おしなべて、わが国の道路整備水準というものは、欧米主要国に比してはおおむね、大体二分の一くらいの程度にしか過ぎないのじゃないだろうかということがいまの現状であります。したがって、今後の道路整備に当たりましては、道路が国民生活と生産活動を支える基本的な施設である。したがって、この認識の上に立って、国土の均衡のある発展、また豊かな地域づくり、安全で快適な生活基礎づくりを目指して、道路整備というものに今後さらに努めてまいらなければならないという所存でございます。
  226. 坂野重信

    ○坂野重信君 外国と比べて日本の道路投資はどういうような状態にあるのか、説明願いたい。
  227. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お答えいたします。  日本の道路は、ここ二十年——整備が本格的な段階になってから二十年たつわけでございますが、まあ外国に比較しますと、外国はすでに五十年を超える道路整備の歴史を持っておりまして、日本の道路の整備の歴史は非常に浅いわけでございまして、そういうことから、現状でもまだ、国県道という国の幹線道路でございますが、これについてもバスのすれ違いのできない道路が約半分の八万キロもあるというような状況でございまして、非常におくれておるわけでございまして、外国の水準となべて二分の一というふうに大臣からお答えがございましたが、ちょっと数字で申し上げますと、いろんな指標がございますが、たとえば道路の舗装延長、自動車一台当たりの道路の舗装延長というような数字で比較してみますと、西ドイツが一台当たり二十三メーター、イギリスが二十一メーター、フランスになりますと四十メーター、イタリーが十八メーター、ちょっと低いようでございますが、これに対して日本は簡易舗装も含めましてわずかに十二・五メーターということで、こういう数字を並べましても、大体二分の一ぐらいの水準かと考えられます。また、道路投資につきましてもいろいろな数字がございますが、仮に国連の国民所得統計の数字と、国際道路連盟の道路統計によります道路の支出との比較で、公共投資に対する道路の投資の比率を比較してみますと、欧米では大体六割支出しておりますのに対して、日本では大体四割というような数字になっておりまして、ストックの非常に多い外国においてすら、今日なお六割の投資を行っているというような状況でございまして、道路を整備する——国民生活の基本的な資産としての道路の整備には、非常に金がかかるということと同時に、長い年月がかかるというふうに考えております。
  228. 坂野重信

    ○坂野重信君 西欧先進国に比べてわが国の福祉行政が大変立ちおくれているというような観念が国民の間に固定化しているような感じがするわけでございますが、厚生大臣からお伺いいたしたいのは、西欧各国、いろいろ財政に見合った福祉というものをやっている、また非常にその辺がアンバラなところもあるような気がするわけでございますが、厚生省のマクロ的な資料によりますというと、詳細は省略しますが、必ずしも諸外国に比べてわが国は社会保障というものはそれほど大きく立ちおくれていないんではないかというような資料が推定できるわけでございますが、一体政府社会保障充実の目途についての基本的な考え方、またわが国の社会保障のいまの水準というものはどういうような考え方であるのか、御見解を伺いたいと思います。
  229. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) お答えをいたします。  わが国の社会保障は、御承知のとおり、欧州先進国よりもその歴史がまず浅いということであります。二十年間ぐらいの間に欧州並みに持っていこうと言ってやってきたわけでございますから、必ずしも欧州水準になったということは申し上げにくいと存じますが、しかしながら、現在、医療保険などは大体医療制度ではもう先進国並みだと言っていいと思います。  それから、もう一つの大きな柱である年金の問題につきましても、年金の水準というものは大体欧州並みになってきておると、しかしながらその期間が短いものですからまだ未成熟なところが多いと、そのために年金の受給者というものが少ない。そういうふうな点から、ここらの点がまあ欧州よりもおくれているんではないかと言われますが、これも成熟化に伴い欧州並みに間もなくなると、こういうことだと私は思います。  その他の福祉施設につきましても、着々整備をいたしておりまして欧州並みに近づきつつあると、かように考えております。
  230. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、最後に総理から、福祉は福祉なりに非常に大事な問題でございますから、これは整備しなければいかぬ、しかし、そうかといって、道路予算を削って、道路予算が余分なものがあるから福祉に持っていけなんということは、とんでもない話でございまして、その辺のひとつ考え方、道路は道路なりに、福祉は福祉なりに精いっぱいそれぞれ努力すべきであるというひとつ見解をお確かめいたしたいと思います。
  231. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私がかねがね申し上げているのはそこなんです。わが国の今後を考えてみますと、その社会資本と社会保障、これが他の諸施策に比べて非常に立ちおくれておるんです。まあ道路その他の社会資本、そういう問題、特に道路だ、下水道だなんというようなことを考えてみますと、戦後やっと本格的な整備段階に入ったんです。下水道の整備状態を見ましても、あるいは道路の舗装率等を見ましても、先進諸国に比べて非常に立ちおくれておる。そこで、わが国としますと、いま道路費では、他の先進諸国道路費などの社会資本投資、これは他の先進諸国に比べまするともう飛び抜けて多い投資をしておるんです。それにもかかわらず、まだまだ今日の状態は、まあ下水道の充足率なんというのは二二%しかないと——この間モンデールさんに二二%だなんて話したらびっくりしておりました。まあそういう状態で、これはわれわれの生活環境の整備、そういう立場に立ちまして社会資本の整備にはこの上とも力を入れなければならぬと、こういうふうに思います。  同時に社会保障の問題、これも非常な立ちおくれの状態です。かっこうは整った、そしてやがてはこの先進諸国並みにはいきましょうが、今日この段階ではまだ先進諸国に比べますると立ちおくれておる。これも充実しなければならぬ。そうしますと、これから先々の国の需要というものは大変大きくなってくるんです。さあそれを、その需要をどういうふうに財源的に充実していくかということが問題になってくるんですが、いまお話しのように、社会投資、社会保障、これは両々これからも重要な課題であるという認識のもとに財政経済の運営に取り組んでまいりたいと、かように考えます。
  232. 坂野重信

    ○坂野重信君 次に、公共事業と環境問題について若干お伺いいたしたい。  環境庁長官にお願いいたします。公共事業は御案内のとおりにそのほとんどが生活環境整備が目的であります。人間生活にとって新しい環境の創造、これが私は公共事業の目的ではないかと思っておるわけでございまして、公共事業の進行中の途中の段階だけ着目して、公共事業が即公害であるというようなことで、公共事業の性格なり役割りというものが誤解されている面があるのじゃないか。自然を保存することも大切ではあるけれども人間の新しいニーズに対応した新しい環境づくり、これも大変大事なことだと思いますけれども、所見をまずお伺いいたしたい。
  233. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) お言葉を返すわけではございませんが、お役所の決める大衆の欲するニーズと国民大衆が本当に欲しているニーズとにいささか昨今狂いがあるような気がいたします。私は健康を中心にしました環境保全と坂野さんがおっしゃいました公共事業の目的とする環境整備というものは決して二律背反するものではないと思いますが、しかし、現在起こっておる現象を見ますと、明らかにこれが二律背反している例がたくさんございます。たとえば四十三号線の非常に黙示録的な現状もそうでございますし、私事になりますけれども、私が長らく住んでおりました、かつて徳富蘆花が「自然と人生」に描きました逗子、葉山などというものは、非常にりっぱなハイウェーができ、海岸の横に下水の汚水処理場がりっぱにできましたが、結果、鐙摺城跡という由緒のある史跡が埋まり、地質学が大事にしておりました地域が完全にコンクリートの下に埋まりまして、私は、四十三号線も、逗子、葉山の起こった現象も、整然たる破壊だという気がいたします。お聞き及びしますと、建設省においでになったようでございますけれども、おいでのときにそれが立案されたかどうか存じませんが、私はそういう過ちは繰り返すべきでないと思いますし、そういう意味で環境問題を考えていこうと思っております。
  234. 坂野重信

    ○坂野重信君 まことに高邁なる御所見を伺いましたが、さらに伺いたいのは、環境庁長官は、公共事業なり開発事業というものの公共性、あるいは経済性、そういうものと、環境アセスメント、いろいろいま苦労されておやりになっておるようですが、その場合の最終的な判断をする場合、決定をする場合に、その辺の一体の兼ね合いというものを、いま環境庁長官のお話を聞きますと、公共性や経済性なんかはどうでもいいんだと、おれはただその環境の評価に当たっては環境オンリーの、環境的な視点だけでやっていくんだというふうに誤解されがちですが、その辺の所見を伺いたい。
  235. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) いま申し上げましたことに決して矛盾はしないと思いますけれども、私も、おっしゃいますとおり、公共事業というものはいろいろな経済性というものを踏まえて——十分踏まえて評価されるべきものだと思います。ですから、本来ならば、いま環境庁で考えておりますアセスメント法も、もっとマクロな多面的、多極的な評価の方法をあわせて一つの法案の中で行うべきだと思いますけれども、どうもいままでの法体系や行政の原理の中でそれが非常にしにくいようでございますし、問題が次々に起こっております現況では、とりあえず健康にかかわる一番やはり人間的な環境整備保全というものを、とにかくいまの公共事業に見られます事業主のいろいろ経済性その他の牽連、つまり公共事業のもたらすメリットの大衆に対する普遍と同じレベルまで引き上げるために最低必要条件としての立案でございまして、私はこれを土台に、将来——できるだけ近い将来、もっとマクロな多角的な利益というものが同時にアセスされる、そういう法律が、現況、環境庁が考えておりますアセスメントを土台にしてできるだけ近い将来でき上がってくることが、よけいな摩擦を排除していく効果のある方法だと思います。
  236. 坂野重信

    ○坂野重信君 まあ、これから長官はひとつ法律をつくろうということで意気込んでおられるようでございますが、環境アセスメントを単に手続論で終わっては困るわけであります。もちろん私もいろいろな判断もする場合に、資料を公開してオープンにして、やはり地域住民の皆さんのコンセンサスを得なきゃならぬということ、よくわかります。わかりますけれども、その間において、やはり最終的な判断をする場合の基準といいますか、指導理念というものを確立しておきませんと、これは住民の皆さんに振り回される。一体政府は何考えているんだということになります。長官はよくお知りかと思いますけれども、いま各省から毎年白書が出ております、公共事業担当省から。この白書をごらんになっても、各省は本当に環境の問題を真剣に考えているんですよ、そうだと思います。その辺のところ認識をよく十分得られた上で、ひとつ総合的な間違いのないような環境アセスメントの考え方というものを確立していただきたい。大変重要な問題でございます。先ほど指摘ありましたけれども、よくわかります。そういう立場でひとつ今後にがんばっていただきたいと思います。  もう時間が余りございませんが、そこで環境問題、まあ公害問題に関連いたしまして、午前中もお話ございましたが、エネルギー問題に関連して、まあ原子力開発というものがいろいろ重要性を帯びてくるということは御承知のとおりでございますが、こういうエネルギー問題等について与党と野党のやはり共通の話し合いの場といいますか、お互いに政策を持ち寄って論議するような場がいまのところないわけであります。私はこういうものをひとつ総理でも提唱されて、与党と野党が本当に共通の場でお互い野党の皆さんと政策というものを、エネルギー論、総合政策論を持ち寄って、そこでお互いにコンセンサスを得て、その立場において、原子力なら原子力がこういう必要性があるんだという認識の上に立って、そこでさて原子力については公害問題をどうするかというようなことでいきませんと、ただ政府自民党だけが原子力やらなきゃいかぬとこぶしを上げてみても、なかなかコンセンサスは得られない。私はそういうような手法といいますか、そういうことが大事だと思いますけれども、その辺のお考えはどうでしょう。
  237. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御所見全く私はそのとおりだと思います。特別委員会なんかの場もありまするから、何とかしてそういう方向に持っていくべきではないか。まあ資源エネルギーのような問題は、私は話し合いをそういう線でやっていきますれば共通の路線というものは必ず見出せるんじゃないか、そんなような感じがしてなりません。どうかひとつよろしくお願い申し上げます。
  238. 坂野重信

    ○坂野重信君 公共事業の総合調整というような問題につきまして最後に一つお伺いいたしたいと思います。  これは非常に大変むずかしい問題であることは私もよくわかっております。農業基盤整備と河川改修のアンバラの問題、これはまあ毎回こういうことが議論されておりますけれども、なかなかそのとおりに現実にはいってない。昨年の十七号台風を見ても、農業基盤整備というものと河川改修がアンバラで、河川改修の方が追いつけないというために水害が激化しているというような例も見られるわけでございます。農業基盤整備も河川改修もいずれも重要でございます。また、道路の問題についても、農林省所管の大規模林道あるいは農道と建設省所管の道路というものの進度がアンバラでもあり、あるいは企画というものも食い違っているような面も見られる。また管理も多元的でない。こういうことを考えますときに、これは道路交通の性格から見ても不合理であるわけでございます。こういうものは計画の当初からやはりフィジカルにもまた予算的にも調整されなきゃかりません。大変残念でございますが、縦割り行政の弱点が出ている。ハード面と同時にソフト面というものが本当に重要視されなければならぬと思うわけでございますけれども、まあ新経済計画等についても、百兆円の中における各事業の配分というものも一つ考え方で配分されたと思います。また今後策定される三全総等でも大変この辺は私は重要じゃないかと思っておりますけれども、その辺についてのひとつ政府の所見あるいは今後どうするかというような問題について、何とかしかしこの辺は是正すべきだと思いますけれども、お考えをひとつお聞きいたしたい。
  239. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) お答えします。調整費の問題でございますので、政府委員から答弁させます。
  240. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) お答えいたします。  御指摘の点につきましては、経済計画におきましても当然でございますが、ただいま作業をしております第三次全国総合開発計画の中でも、各事業間のバランスということについては特に留意して計画を策定したいと思います。具体的には各地域の問題でもありますから、都道府県計画あるいは市町村計画の中でも調整が十分できますように指導してまいりたいと思います。また各事業官庁が縦に分かれておりますけれども、各事業間におきまして主要な事業については各省間で調整を図るということは当然でございますが、公共事業が多数累積いたします特定の地域につきましては、国土庁といたしましても関係省庁と協議を重ねて十分調整をしてまいりたいと思います。しかし、それでもなおかつ調整を要する問題は、先ほど御指摘いただきましたように、たとえば農業基盤と治水の関係というようなものもございますが、半年なり一年を待たずに実際の工事として調整しなければならない問題につきましては、国土総合開発事業調整費によりまして調整をしておりまして、五十一年度の実績で申せば、治水と農業基盤関係が中心となっておりまして、全体で九十四件ほど調整をしておりますが、そのうち五十八件は治水、土地改良関係であるということで鋭意努力してまいりたいと思います。
  241. 坂野重信

    ○坂野重信君 非常にむつかしい問題だと思いますけれども公共事業を執行するに当たっての非常に大きな問題だと思います。こういう問題、最終的にはひとつ根本的には制度の面でもやはりこの辺で見直すべき時期に来たんじゃないかと思いますけれども行政管理庁長官のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  242. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 行政管理庁といたしましては、とにかく行政が能率的に合理的にやるということを注意しなきゃならぬ務めを持っております。しかし、御案内のとおり、いままでの行政は縦割りでございましたが、非常に行政が複雑になりましたので、横の関係が非常に複雑になっております。道路にいたしましても道路法以外の道路もありまするし、河川あるいは治水治山、ことに治水治山等の関係はもう本当に農林省と建設省が切っても切れないような関係にありますので、  一体でやらなければならぬような状況でございます。これをどういうふうに調整をするか、いま国土庁からもお話がありましたが、そのために国土庁の調整費はあるのでございまするけれども、それ以上に今後行政はますます複雑になってまいりますと、何かこれは制度の面でもというようなことに考えなきゃならぬと思っておりますが、なかなかこれはいい知恵が浮かびません。しかし十分検討はしなければならぬと思っておると、あくまでも全体として能率いい仕事をやらなければならぬということに心がけなきゃならぬと思っております。坂野さんは専門のその方面でございますから、いい方法がありましたらひとつお教えを願いたいと、私も勉強はいたします。  以上でございます。
  243. 坂野重信

    ○坂野重信君 最後に、締めくくりとして総理にお尋ねいたしたいと思います。  わが国の内外の厳しい情勢の中で、総理のおっしゃる静かな安定成長を目指して出帆した日本丸というものは、なかなか大変な航海だと思います。その船長は福田総理でございます。これを航海を順調に乗り切っていくためには、私はやはり乗組員一同の協調連帯総理のおっしゃるとおりだと思います。もう一つ大事なことは、この厳しい状況のもとで、やはり国民が腹八分で耐えていくという精神力、そういうものがなければなかなかこれは非常にむつかしいと思います。総理も午前中におっしゃいましたが、非常に得手勝手な風潮というものが世間に流れている。残念でございますが、私はそういうような腹八分で精神力でもって耐えていかなければならぬという、そのことを勇気を持ってひとつ総理大臣から率直に国民に訴えてほしい。どうも政府・自民党はPR不足であって、どうも遠慮がちであるというふうに思っておるわけでございます。私は、いまほど本当に政治のリーダーシップが必要な時期はないと思います。総理の所信をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  244. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 全く私が考えているとおりの御趣旨の御激励を承りまして、本当にありがとうございました。一生懸命やります。
  245. 坂野重信

    ○坂野重信君 終わります。
  246. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして坂野重信君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  247. 小川半次

    委員長小川半次君) 次に、粕谷照美君の質疑に入るわけでございますが、それに先立ち、委員長から宮尾参考人及び委員各位にこの際申し上げます。  宮尾参考人には、お忙しい中を本委員会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。これより委員質疑に答えて発言していただくわけでございますが、本委員会におきましては、通例、答弁の際は答弁席で起立して行うのを例といたしておりますが、宮尾参考人には御身体の点もございますので、特例として、いまお座りのその席で座ったまま答えていただくということにいたしたいと思います。  以上、委員長といたしましてさよう取り計らいたいと思いますので、委員各位におかれましても御協力のほどよろしくお願いいたします。  それでは、これより粕谷君の質疑に入ります。粕谷照美君。
  248. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、最初に文部省にお伺いをしたいというふうに思うのですが、二月から三月にかけては、幼維園から大学までまさに受験シーズンだというふうに思うわけです。この受験期の子供を持った親たち、あるいはその身内、そして何にも増して当人にとっては希望と期待と不安の時期だというふうに思うわけですが、そういう中で、先日、新聞あるいはニュースで、岐阜の歯科大学の受験生津田さんが自殺をされたということが報道をされております。私はこの内容について文部省は調査をされたというふうに思いますから、その調査報告を詳しく御説明をいただきたい。ニュースは事実であったのかどうなのかということも含めてお願いをしたいと思います。
  249. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のニュースは大変心痛むニュースでありまして、教育の機会均等という面から言いましても、あるいは選抜の公正という面から言いましても、あのようなことがもし事実であったとすれば望ましいことではないと判断しましたので、早速当該の岐阜歯科大学の事務局長を文部省へ来省を求めまして調査するとともに、わが方からも厳重に指導をいたしました。岐阜歯科大学の方に対する私どもの注意は、入学者の選抜に関して名目のいかんを問わず多額の寄付金の納入を条件とすることは絶対にしないように。二つ目としては、入学事務手続を明確にし、入試の公正に疑問を持たれることの絶対にないように。また、入学に要する経費その他のすべてのものは募集要領の記載に従うべきものであることを入学志願者に明らかにすべきこと。これをきちんと申し上げますとともに、現在文部省といたしましては当該岐阜歯大のみならず、私立歯科大学協会、あるいは私立医科大学協会の方にもこの趣旨を徹底してくれるように厳重に指導をしておるところでございます。
  250. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私が伺いたかったことは、いま大臣がおっしゃったことは昭和四十九年のたしか通知をそのままお読みになって、それをそのまま岐阜歯科大学に申し伝えたというふうにしか理解ができないわけです。あの新聞の内容にあったものは、五百万円あるいは千五百万円というそのお金を出してほしいと、こう言われたことが理由で親が金策に走り回った。そのことに心を痛めて自殺をしたという、そのことが事実であったのかどうなのかということを伺っているわけです。
  251. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 新聞に報道されました点につきましては、学校側の調査は、その十六日の合否発表まではいろいろと内定の通知とか金額の強要をしたことはございませんという学校側の答弁でありますけれども、私どもは、いま申し上げましたように、かりそめにもそのような疑いを持たれるようなことをしてもらっては困るということを強く自粛を求めたわけでありまして、私がいま申し上げましたのは、これは四十九年の通達を読んだというのじゃなくて、現実にこの間起こりましてから、直ちに二月の八日に事務局長、理事を文部省に呼んで注意しましたときのそのメモを、正確を期するためにここで読んだわけでございまして、これは四十九年のものではございません。二月八日に言ったものでございます。
  252. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、大臣にお伺いいたしますけれども、そういう措置をとられたことについては私は評価をしたいと思いますが、この事件はたまたま起きた不幸な事件であるというふうにお考えになっていらっしゃいますか、あるいはこれは私立の歯科大学あるいは医科大学、これをめぐる入学試験の、何と言いますか、氷山の一角の出来事であるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。いま御答弁を伺っておりましたら、疑いを持たれるようなことがあってはいけないというふうにおっしゃっておりますが、大臣そのものは疑いを持っていらっしゃるかいらっしゃらないか、絶対そんなことはなかったというふうに判断をされているかどうかお伺いします。
  253. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の点につきましては、私も、そのようなことがいろいろな報道等を通じて間々行われておるのではないかという疑いを私自身も持っておったことは率直に申し上げます。  それからこのことにつきましては、先生御承知のように、私立大学の歯学部、医学部には学校経営上非常に多額のお金がかかるということ等もあり、なお、国公立との格差是正とか、教育の機会均等のために、御承知のように、私学振興助成法という法律等も作成をして、これに基づく援助は、学生一人当たりの実績を換算しますと、法文系に比べて医学、歯学の平均は十倍を超えるというところに至っておる。国としてもできるだけの経営の援助、努力等も積み重ねてやっておりますし、そのほか、私学振興財団を通じての融資等にも全力を挙げて取り組んでやっておるわけでありますから、経営者の方にも強く厳しく自粛を要請しておるところでございます。
  254. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは文部省の方、大臣でなくて結構ですけれども、先日、五十二年度私大の入学金、正規納付金、それから寄付金といいますか、裏口納付金、この調査結果が報道をされております。その結果について問題点を簡明に御報告いただきたいと思います。
  255. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 私立大学、特に医科歯科大学におきまして入学時に学生から寄付金を募集するという件につきましては、私どももそういう事実のあることを知っておりましたので、その内容につきまして各大学から報告を求めました。  その結果、医学部におきましては、調査の対象となりました二十八学部中、二学部を除いては、すべてやはり入学時に寄付金をとっておるという事実が判明いたしました。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 全体の寄付金の額はいろいろでございますけれども、大体一人当たりにつきまして入学者数で割りますと約二千四百二十万円という数字が出ております。  それから歯学部につきましても同様でございまして、調査いたしました十五学部すべてにおいて、やはり入学時に寄付金を募集しておるというふうに言っております。その金額は一人頭にいたしますと約二千四百七十九万と、こういうような数字になっております。
  256. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私はもう少し詳しく報告をいただきたいんですね。入学金、正規納付金、それからいわゆる寄付金といいますか、裏口納付金、これについての問題点を言ってくださいというふうに申し上げたはずです。
  257. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 私どもは、できるだけ入学時の納付金につきましては学生募集要項にはっきり明記するようにという指導をいたしております。そして、その明記された部分の学生納付金につきましては、現在まだ悉皆調査に至っておりませんけれども、一月三十一日現在の中間集計によりますと、入学時の平均納付金額約五十万円——四十九万六千百四十二円というのが平均で挙がっております。ただし、医歯系につきましてはより高額でございまして、約百七十二万六千円という数字が出ております。そして、まあ問題は、その問題点という御指摘でございますが、私どもはあくまでも入学を条件として納めるべきものは学生募集要項にはっきり書くということを指導いたしております。そしてそれ以外の寄付金につきましては、これは決して強制にわたってはいけない。まあ状況によりましては、入学が確定した後にその父兄に自発的に寄付をお願いするというふうなことも、これは私立学校でございますからあり得ることだと思いますけれども、それがいわゆる強制にわたるものであってはならないということを重ね重ね指導いたしておるわけでございます。
  258. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 では具体的にお伺いいたします。  入学金についてはずいぶん値上がりをしたというふうに判断をいたしますけれども、そのパーセンテージは一体消費者物価の大体どの程度に当たる……。適正な入学金の値上げであったというふうにお考えですか。
  259. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) お答えいたします。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕  ことしの全体の正規の入学時納付金の上昇率でございます。平均いたしますると約一一・一%増ということになっております、対前年度。これはいわゆる物価上昇率に比べて少し高いではないかということかもしれませんが、その辺は、一つには物価の上昇につれて私学の経営が困難になるということ、それをカバーするためにある程度入学金等はふやさなければならないという面があると同時に、私学の教育条件が劣っております。一般の国公立学校に比べて劣っておりますので、それを向上するという面も両方ございます。したがいまして、学生納付金のアップが一般の物価上昇よりも高いということを直ちに責めることはできないかとも思いますが、まあ昨年のアップ率に比べますと——昨年のアップ率が一九・九%でございます。ことしは一一・一%でございますので、やや下がってきておるというふうに見ておるわけでございます。
  260. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大体そういう物の把握そのものがおかしいというふうに私は思います。けれども、この意見については後ほど出すということにいたしまして、政府がとりましたいわゆる寄付金、裏納付金の実態、それからその実態についてあなたが御報告をくださるというふうに思いますけれども、その実態は正確なものをあらわしているかどうか、その御判断をお伺いします。
  261. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) ただいま申し上げました数字は、各大学に協力を求めまして、まあこれは私学の経営の自主性という問題もございまして、個別の名前は出さないということで協力を得て集めました数字でございます。したがいまして、私どもとしては私学側が率直にありのままを申告してくれたということを信じたいわけでございますが、しかしまあこれを裏づけという材料もございませんので、これが絶対に真実かと、ほかにないかと言われますと、それまでの自信はございません。
  262. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 もう少し詳しく報告いただけるんじゃないですか、たとえば一千万円はどのくらい、二千万はどのくらいという。そのことをお願いします。
  263. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 先ほど全体の平均を申し上げましたが、医学部につきまして申し上げますと、寄付者総数が二千四百二十人でございます。それで、入学者数が三千二百六十二人でございますから、その差につきましては取っておらないと、ゼロの人もいるわけでございます。それから、取った人の中で金額別に分布を調べてみますると、二百万円未満一人、まあ非常に少のうございます。二百万円から五百万円が二十二人、五百万円から一千万円が二百六人、一千万円から千五百万円が七百六人、千五百万円から二千万円が六百人、二千万円から二千五百万円が四百八十六人、二千五百万円から三千万円が二百七十二人、三千万円以上が百二十七人、これが医学部でございます。  歯学部関係は、入学者総数が二千五百六人、寄付者数が二千四百七十九人、これもその差の人は取っていないわけでございます。二百万円未満が七十六人、二百万円から五百万円までが十三人、五百万円から一千万円が四百二十六人、一千万円から千五百万円が千二百八十七人、一千五百万円から二千万円が四百七十四人、二千万円から二千五百万円が百九十人、二千五百万円から三千万円が十三人、以上でございます。
  264. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 もう少し詳しく報告をしてください。三千万円以上が百二十七人いると、こういうふうに御報告ありましたけれども、三千万を上回る額というのは一体どこまでいっているのか、山ですね。そしてその山が一体何人いるのか。
  265. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) それ以上のものにつきましては調査しておりません。三千万円以上ということで、報告をいただいておりません。
  266. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そこがおかしいんですよ。なぜ三千万円以上を調査をしなかったんですか。その理由と、そういうことになれば、総額にして幾らその裏の寄付金があったかということについては正確な調査が出ないじゃないですか。
  267. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 先ほど申し上げましたように、取った者の数は二千四百二十人でございます。そして、その人の金額に応ずる分布を申し上げたわけでございますけれども、大多数の者が千五百万円から二千万円の点に集中いたしております。それで、三千万円以上は百二十七人といるわけでございますけれども、二千四百二十人という数の中の全体の状況を把握するのにはこの程度で十分であろうと思ったわけでございます。したがいまして、最高どこまでいったという調査まではいたしておりません。
  268. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は今回は仕方がないというふうに思いますけれども国民の側では五千万、あるいは一億という声が聞こえているときに、文部省がこの実態を把握しないということ自体、その姿勢がおかしいというふうに思います。この次にはきちんと最後まで徹底的なこの調査というものをお願いをしたいというふうに思います。そういう意味では少し不安定な条件になるかもしれませんけれども、その総額、裏やみ金の総額は医学部で幾ら、歯学部で幾らというふうに計算をされておりますか。
  269. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 総額は、医学部の場合に四百三億円と記憶いたしております。  それから、歯学部の場合には三百十一億円というふうに把握いたしております。
  270. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 その医学部で四百三億円、歯学部で三百十一億円という、もう気の遠くなりそうなこの巨額な金額が、納付先は一体どこになっているのか。領収書をもらっているというふうに思いますけれども、大学のどういうところに納付をされているのか。そして、その納付されたお金が、一体大学の会計の中には明確に全額入っているのか入っていないのか、その辺のところもお伺いをいたしたいというふうに思いますし、四十九年一月及び五十一年の通達に対して私大側の協力があったというふうに、この実態を見て文部省は判断をしていらっしゃるのか、どうですか。
  271. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) ただいま御報告申し上げました数字は、学校法人に対して調査をいたしまして、学校法人の経理に入ってきた数字でございます。  納入の仕方につきましては、直接学校法人に納める場合、あるいは中間の後援団体というようなものを通じて納めるとか、いろいろあるようでございますけれども、最終的には学校法人が受け取った金額とお心得いただいていいと思います。
  272. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 質問に答えていない。  私はその学校法人に入ったものと、後援会あるいはいろいろな名目のところに入ったものとが、きちんと把握できていますかという質問をしているわけですね、一つ
  273. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 先ほども申し上げましたが、学校法人を通じて、学校法人の協力による調査でございますので、そのほかに何か中間の人が取って学校へ入れなかったものがあるじゃないかというようなことにつきましては、私どもちょっと把握しかねております。少なくとも正規の——正規のと申しますか、学校法人の経理に最終的に入ってきたもの、これにつきまして把握いたしておる次第でございます。
  274. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私、文部省はもう少しきちんと答弁をしていただきたいというふうに思うんですよ。しかし、時間がありませんからこのことだけに触れているわけにいきませんので、次に移ります。以後、調査をきちんとしておいてください、明確になりますように。私大側の協力があったのかなかったのかという判断については、一言も触れられていないわけです。  それで、私は文部省の言う募集要項のとおりにやってもらいたいという、その募集要項そのものを幾つか取り寄せてみました。文部省自体も募集要項を調査をされたというふうに思いますけれども、その募集要項を見て何かお気づきの点はありませんか、その通知と関連いたしまして。
  275. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 募集要項に出ておりますものは、正規の入学金あるいは入学時に納めるべき授業料、施設整備費等でございます。そして、寄付金はそれには書いてないのが普通でございます。したがいまして、私どもは強制的に取るものは必ず募集要項に書くようにということを言っております。  問題はそれだけではなくて、医学部、歯学部などの場合にはそのほかに寄付金が取られておるということがいまの問題でございまして、その問題につきましては私ども強制にわたることのないようにと、あくまでも任意の寄付というたてまえを貫くようにと、こういう指導をいたしておるわけでございます。感想とおっしゃられますと、そういうことを改めて感じておるというようなことでございますが。
  276. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 犬丸さん、だめですよ。答弁がいつもすれ違って、逃げていましてね、私が聞きたいということに答えておられません。文部省の通知に対して協力があったかないかといえば、あなたの御答弁を想像すれば協力がなかったと、こういうふうに判断してよろしいんですか。
  277. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 私どもの通知のとおりやっていただいたとすれば、入学時に取る寄付金は全部任意のものであるべきであります。入学が決まった後でその父兄に応分の協力をしていただくと、強制にわたらない自主的な協力をしていただくと、そういうことであるならば私どもの通知の趣旨に反しないわけでございます。ところが、今度の問題であったようなことで、必ずしもそれが守られていないんではなかろうかと疑わせるような事実も出てまいりましたので、私ども——大臣も先ほどから御答弁申し上げているように、さらに積極的に大学側の反省も求めていきたいと考えておるわけでございます。
  278. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大学側の反省を求めたいということになれば、それは協力を得られなかった、文部省の指導性が弱かったという判断をせざるを得ませんが、私も取り寄せてみたこの募集要項——一覧表をちょっとつくってみたんですけれども、やっぱり問題があるわけですよね。合否の通知の仕方、期日を明確にしていない、公表をしていない、本人にだけ知らせる。期日が明確になっていませんから、自分が入ったのか入らないのか、あなたは中等度なのか下等度なのか、上級なのかということもわからないという条件になっています。だから、発表日が明示されていない部分もそうですし、納入金の返還についてだって文部省の指示どおりに書いてないというところが非常に多い。それから、いわゆる寄付金の有無についても全然記入されていないでもらっているということになっているわけですから、もう全面的に文部省は指示されていないというふうに判断をせざるを得ませんが、その辺はいかがですか。そしてそういうようなものは、たとえばもらうというふうには書いてないのにもらうということは、これは不当表示ということにならないですか、物を買うときだったら。そういうことになると思いますか、教育の場にこんなことがあっていいというふうにお考えですか。私はこの判断は文部大臣でなければできないというふうに思いますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  279. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) そういったことすべてを含めまして、先ほど申し上げましたように、入学手続というものはいささかも疑いの持たれるようなことのないようにしてほしいということを明確に申しましたのは、たとえば合否の日にちとか、それから通達の方法とか、そういったことにも公正を期してほしい、こういう願いがこもっておるわけでございます。
  280. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私も私大の経営については、十分とは言えませんけれどもいろいろと皆さんからお話を伺っておりまして、何とかしなければならないという気持ちは持っているわけです。けれども、こういう実態から考えまして、五十一年四月から実施されたあの私学助成法に基づきます補助金は、法第一条の目的の教育の機会均等、父母負担の軽減のこの役割りを果たさなかったというふうに考えますが、いかがですか。父母負担の軽減に役立ったというふうに御判断ですか。あるいは三千万円も納めなければ入学できないということになれば、これは教育の機会均等ではないというふうに思いますが、そうではない、やっぱり機会均等なんだというふうにお考えになるでしょうか。そして、こういうような条件ができたのは、その私学助成法に基づく補助金が額が足りないからこういうふうになったんではないだろうかというふうに判断をいたしますが、いかがですか。
  281. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御承知のように、私学振興助成法、今年は厳しい財政事情のもとにおいても私立大学のみで千六百五億計上してお願いしておるところでございますし、私立大学に関しては、私学助成法のみならず、御承知の育英奨学金の問題でも、国公立に通う学生よりも私学に通う学生にかさ上げをすると申しますか、幾らかでも父母の父兄負担の解消に役立つようにしようと努めておりまして、まだ完全に機会均等が達せられたとは申せませんけれども、昨年度と比べて学校の経常費の中に占める私学振興助成費、国費の比率が少しでも高まったということは、それだけ父兄の負担の方に少しでもいい結果があらわれてきておると、こういうふうに私は理解をしていただきたい、こう思います。
  282. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 来年も五百億円も上増しされたなんていう報告が出ないように、来年は胸を張って入学できましたという、こういう文部省の報告結果ができますように、とにかく文部大臣としては努力をしていただきたいというふうに思います。  次に移りますけれども、文部省はいままでに大蔵省に対しまして、税制改正の面で修学費控除関係の要望書を出してこられたと思いますけれども、これはいつごろから出されたか。その内容及び趣旨、そしてその出した結果について御報告いただきます。
  283. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) ただいまの御指摘の問題を、文部省部内でことし検討したことは私も記憶しておりますけれども、ただ方法として、そういう税制控除の方でいくよりも、現在あります、財政支出に重点を置いて、私学振興の助成とか育英会とか、あるいは私学振興財団の融資枠とか、いろいろな支出の方に全力を挙げて父兄の負担軽減を図るべきだと、こう判断をいたしました。  なお、何年ごろからどういうことを検討したかということは、ちょっと私、いまここに資料を持ち合わせておりませんので、政府委員にわかるのがおりましたら答弁をいたさせます。
  284. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 正確な年度をいま調べておりますけれども、かなり前、三十八、九年ごろから要請しておるというふうに心得ております。後ほど正確に調べてまいりたいと思います。
  285. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 趣旨。
  286. 小川半次

    委員長小川半次君) もう一度聞いたら、明らかに。
  287. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 どういう気持ちでそれを出したかということですね。で、出した結果がどうなったかと、こう聞いているわけです。
  288. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 現在、私、直接担当しておりませんので、多少正確を欠くかと思いますけれども、私の承知しております限りにおいては、子供なり学生なりの修学費が非常に増高してくる。そういう状況において、子供をたくさん学校へやっている、特にまあ私立学校など、学費のかかるところへやっておる親にとって非常に経費が負担であると、経費の負担が大き過ぎるということで、その負担を軽減するということでございます。しかしまあ、税制上のいろいろな問題がございまして、基礎控除の問題等が解決しないままに修学費控除というものについては、なかなかまだそこまでいく段階ではないというようなことでいままでまだ認められておらなかったと、そのように概要を承知いたしております。
  289. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 三十八年ごろからと言えば、大分長いこと、毎年毎年出しているというふうに思いますけれども、これが控除対象にならないという根拠は、大蔵大臣、どこにあるんですか。
  290. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 教育に対する国の施策を、父兄の教育費について、これを所得税を課するに当たって経費としてこれを控除しろと、こういうお話のようでございますが、さようでございますね。それだといま文部大臣が御答弁になりました、国はやっぱり父兄の負担をできるだけ軽くするために、あるいは私学に対する助成だとかあるいは私学振興会を通じての本人に対する補助だとかということでやっていくということがこれが真っ当な筋道だと、こういうふうに考えておりまして、そこで控除という方法はとっていない、またとらない。と申しますことは、控除という方法をとりますと、上の学校へ行ける人、上の学校へ行ける人の父兄、これが相当な恩恵を与えられますけれども、しかしながら、上の学校へ行かない、あるいは行けないというような方々に対しましては、この方法だとどうも恩恵を与えるわけにはまいらないというようなことになるということは、税としてはこれは適当ではないというようなことから、今日まで税による、控除による施策はとっていないと、こういうことでございます。
  291. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大蔵大臣、税の不公正がいま国民的に盛り上がって大きな声になって、これはおかしいじゃないかということがたくさん出ているわけでしょう。教育費控除をやりなさいという声だってずいぶん出ているのに、このことに対してだめだだめだと言うのは大蔵当局と税制審議会ばっかりでしょう。ほかの人たちは何とかそれをやってもらいたい。特に最近は教育費の高騰に音を上げているわけですから、大きな声になっているわけです。そしてまた、いま高等学校の進学率というのは九〇%を大幅に上回っているわけですね。八五%を上回る進学率なんというのは、諸外国で言えばもう普通教育になっているわけです。義務教育とは言えないけれども、義務教育はこれを無償とするわけですから、無償に準じたっていいという考え方に立って、授業料を上げるなんということ自体が私たちはおかしいというふうに思っているわけです。けれども、いま授業料は納めているわ、私学においてはその授業料が公立の何倍にもなるわという事態で言えば、このくらいの控除をやったっていいじゃないですか。所得制限設けたってそれはやむを得ないという考え方もありますよ。サラリーマンなんか、医師と違って七二%の特別控除も何もなしに頭から天引きされていく、こういう税金体制なんですから。全然一顧だにする余地がない、こういうふうに大臣はお考えですか。
  292. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 御指摘のように、今日税の不公正ということが方々から強く叫ばれておる。だから、大蔵省といたしましても、何とかしてこの税の不公正というものを是正していこうということで、もちろん一遍に全部これをこうせいというわけにはまいらぬにいたしましても、逐次公正を期してやってきておる、現行の税制におきましてね。そのときに、私どもが考えますれば、いま申し上げましたような理由によりまして、この教育費控除というものは、新たに税の不公正というものを加えていくということから考えますと、私はやっぱり教育というものは、先ほど文部大臣が御答弁あったように、国が何とかして、余りお金が学校へ行く者にかからないように、国の支出の面におきましてこれをやっていくという方針をとって、そしてやってきておるのですが、そうなりますと、税の方でまた考えていきますというと、そうするといまとってきておる方針の方向をこれを変更するということになりますと、どうも一貫した方向によって教育というものを国が是正していくということの方がこれは妥当であると、こういうふうに考えます。
  293. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 現にそうなっていないから私は言っているわけです。そうして、同じ政府であります文部省が、もう十三年間にわたって連続して出しているわけですね。私それを持っているんですけれども、「父兄の負担する授業料等の修学費控除を新設すること。(所得税、住民税)」云々として理由が書いてあるわけです。文部大臣どうですか、いままでずっとやってきたことを、海部文部大臣のときになって、もう私はそういう教育費減税については上の方に言うことはやめましたというお考えですか。これはいままでのジャブでなくて、真剣に文部省としても考えてきたから私も一生懸命にやりますという、こういう決意表明になられるのか、お考えを伺いたいと思います。
  294. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 最初申し上げましたように、ことしも検討したことは事実でございますが、目的は父兄の教育費負担の不公正の是正といいますか、いかにして少しでも私どもの施策の中でそういった情勢が是正できるかというところに重点を置いて、今年は減税の方法をあきらめたといいますか、方策としてとらなかったということでございまして、また今後はいろいろな現在行われておる施策をきめ細かく進めておるわけでありまして、そういった施策を積み重ねていくことによって目的を果たしていきたい、こう考えております。
  295. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大臣、そうするとことしはとらなかった、来年もとらない、こういうふうになるんですか。
  296. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 来年のことはまだ何とも申し上げられませんけれども、ことしから新たに始めた新規の施策、たとえば入学金などが父兄負担の多いときには、その学校法人でその入学金を今度は融資することを考えてくれたら、私学振興事業団で長期低利の融資を図って入学一時金の父兄負担を軽減するという方法も現にことしから出発したわけでありますし、それから、奨学金の問題等も、やっぱり段階に応じて一般貸し付けのほかに特別貸し付けがある、御承知のとおりですが、私学の方に格差をつけるとか、できるだけ現在やっておる施策とか新たな施策を積み重ねることによって所期の目的を達成しようと全力を挙げておるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  297. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 海部文部大臣は、私は教育に関しては姿勢が悪くなったのじゃないか、こういう気持ちがいたしますけれども、来年度はぜひこの教育減税についてきちんとした対処をやっていただきたい、お願いをしておきます。  総理にお願いをいたします。総理、あなたは本国会でしばしば、三十年前に衆議院では排除決議、参院では失効決議を受けた「爾臣民」の教育勅語に言及をされております。教育のよって立つところは私は日本国憲法と教育基本法だというふうに判断をしているのですが、総理はこのことを否定はなさらないというふうに思いますが、いかがですか、一つ。  二番目に、憲法、教育基本法にあります能力に応じて教育の機会均等を図るというこの部分は、公私立の大学問題に限らず、障害児の教育権保障の問題あるいは幼稚園の教育、保育所の保育、それからさらにそこからも漏れた幼児の教育における差別など、非常にたくさんの問題を含んでいるわけです。で、五十一年度、五十二年度と、文部省関係予算というものが急激にカーブを切って一般会計の伸びに比べて落ち込んでいるわけで、私は福田内閣は教育軽視の内閣ではないかというふうに思いますけれども、そんなことはないのかどうなのか、教育を尊重してがんばられるのかどうか、そのお考えをお伺いしたいというふうに思います。
  298. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず第一に、教育勅語に対する見解は、粕谷さんと私は同じであります。あれはもう廃止されておる。ただ、質問がありましたものですから私はお答えしておるわけなんですが、あの中には人の道として尊重さるべきものを含んでおる。「父兄ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆二及ホシ」、今日におきましても私が言っておる協調連帯、あの精神を非常にきれいな言葉で表現していると思いますので、人の道に関する部分につきまして、これを私は否定するという考え方は持っておりませんです。  それから、教育につきましては私はしばしば申し上げておるわけです。特に資源有限時代だと、こういうような時代でございまするけれども、そういう中においては、特にわが国におきましては、人間こそがわが国の本当の貴重な財産である。人間の開発、これには最大の力を投ずべきであると、これは私の不動の信念でございます。明治——戦前から教育にはずいぶん力を入れてまいったのです。それが今日の日本のこの社会を形成していると思いまするけれども、今後を考えますと、いよいよ教育には重点を置くべきであると、さように考えております。
  299. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 教育を重要視していくというお考えはわかるんですけれど、予算面においてどうだったかという反省を込めてお話をいただきたいと思うのです。
  300. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十二年度の予算の伸び率がこれがはかばかしくないと、こういうあれですが、文部省の予算というのは大体が人件費が多いんです。人件費の伸びは物価水準なんかと連動して決められるので伸び率が少ないわけですが、その他の施設費ですね、それはかなり高い水準になっておるわけでありまして、決して教育が軽視されたというふうには私は考えておりませんけれども、今後の問題といたしましても、教育はこれを本当に国の基本政策として重視してまいりたいと、かように考えております。
  301. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 教育に関する質問はこれで終わりまして、次に福祉に移りたいというふうに思うんですが、総理、明治三十八年生まれというのは、明治世代のモデル老年期というふうに私ども見ておりまして、ちょうど七十年間の生活史を振り返ってみて、老齢福祉年金問題が考えられている時代なんです。この年代層は家計は大体子育てに食われ、そして若いときには戦争、そしてその次に敗戦、その次には余裕が出たなと思うころには定年退職になって、定年退職したころに日本の国は高度経済成長の恩恵に浴している。ところが、定年退職したために貯金はなくなる、どんどん目減りはしていくわというようなことで、恩恵に浴さなかった層で、貧しい老後を迎えたわけなんです。  万年三十八歳の青年総理としては、この問題には関係ないというふうに思いますけれども、私はこういう人々の老後の生活安定のために、やっぱり優先してその人々の生活を保障するということが、後に続く世代の役割りであるというふうに思うのですけれども昭和四十八年を福祉元年として、以来ずっと福祉関係の予算というのは伸びているわけです、率としては。ところが、昨年からは軌道がぐっと変わりまして大幅にダウンをしているわけですね。特に本年度などは、一般会計の伸びと同じぐらいに抑え込まれちゃった。福祉軽視内閣ではないかという声が大きく上がっているわけなんですけれども、特にその実証と言ってもいいくらいに、この予算編成途中に老人医療の無料化をやめていきたいという声が聞こえたり、あるいは所得制限をうんと強めなければいけないという声が聞こえたり、財政の赤字の犯人は福祉だなんていうような声が聞こえてまいりますと、およそ国民の願いとは逆行した政策論が横行しているのではないかというふうに思います。総理及び厚生大臣、福祉にかける基本的な態度というものを御表明いただきたいと思います。
  302. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 福祉問題につきましては、福田内閣としては特に力を入れておると、結論から言うとそういうことであります。と申しますのは、御承知のとおり非常に財政の逼迫をした、八兆円も借金しなければならぬと、こういうような情勢でございますが、何とか福祉予算だけはこれは伸ばしていきたいと、こういうことで、景気の回復と福祉の向上、こういうものがことしの大きな柱になっておる、それが予算の上ではっきり実はあらわれておるわけであります。  一般予算の伸び率というようなものにつきましては、地方の財政関係やあるいは公債関係の償還関係係のものを除くと十六%ぐらいの伸び率でございますが、福祉関係の予算、特に社会保障費の予算は、これは一七・七というような伸び率であります。一般会計に占める割合も約一九・六——二〇%近い。社会保障費は一九・九でございますかり、私はそういう予算の面から見ますと、いろんな諸事情の中でこれは本当にできるだけ手厚くしたと、こういうふうに私は思っております。国務大臣福田赳夫君) ただいま厚生大臣から申し上げましたように、予算面から福祉予算が軽視されたということはないんです、これは。伸び率という——余り伸び率というのは私使いたくないんですけれども公共事業費が一番伸びているんですよ。その次、福祉予算が伸びておる。いま厚生大臣から話がありましたが、一般の予算の規模というのがことし非常に大きくなっておりますのは、これは特別の事情があるんです。地方財政対策をやらなければいかぬ、つまり交付税交付金ですね。それから多量の国債を五十一年度に出す、五十年度もそうですが、それの国債費、利払いなんかの費用がふくらむ、その二つを除外してみますると、大体十三%何がしの予算の伸びになるんです。その中で社会保障費はあれだけの伸びを示すと、つまり公共事業費に次いで伸びると、こういう状態でありまして、決して低い率ではない、こういうふうな理解でお願いしたいと思うんです。  それから、社会保障関係の施策に取り組む政府姿勢、これは私は先ほどからもしばしば申し上げている点ですが、いまわが国はとにかく世界の中でも注目されるような国になりましたけれども、公共投資と社会保障費、これは世界水準からはかなか問題のあるところなんです。公共事業費にもずいぶん金を傾注しておりまするが、最もわれわれの生活に大事な下水にしても、先進諸国じゃ七〇%充足率以下という国は大きな国ではありません。わが国はそれが二二%だという、そういうような状態で、これはまたこれから金が要る。それから、社会保障にいたしますると、医療保障のごときは相当の水準に来ておるのです。遜色がないと思いますが、いまお話しのありました年金、これはまだ発足後歴史が浅い関係でまだ内容の充実、これが足らぬ面がありまするけれども、これも逐次充実していく方向でありまして、これもそう遠からず内容的に見ましても先進国水準になろうかと思いますが、とにかくこの社会保障関係においても金がかかる。この二つが、これから財政上非常に金のかかる面として問題になってくるんです。それから、これから国民の負担を一体どういうふうにしていくかというようなむずかしい問題が起こってくるんだということを申し上げておきます。
  303. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 総理が福祉を大事にしていきたい、これから充実をしていきたいというその気持ちがわかりましたので、もっと具体的に私は報告をしてみたいというふうに思うわけです。  衆議院においてわが党の多賀谷委員の質問に対して、総理みずからは、国年及び厚年はアメリカ、イギリスよりもよい、しかし福祉年金についてはおくれているが、逐次積み上げていけばりっぱな社会保障体系となる、こういうふうに答えておられます。それでは、本当に福祉年金についてそうなのかということで、実際の問題を総理に見ていただきたい、各大臣にも見ていただきたいというふうに思いまして、私の友人の宮尾さんにここに来ていただきました。  宮尾さん、雨の中を本当に御苦労さまでした。ちょっと私が四点ほど質問をいたしますので、簡明にお答えをいただきたいというふうに思うのですが、私は、宮尾さんが小学校も養護学校も出ていらっしゃらないのに、あなたのお話をなさることというのは非常に明快な論旨である、そしてお書きになるものも、いまの大学生なんかでもなかなか追いつかないくらいの漢字などというものも駆使していらっしゃる。そういうことを見ておりまして、なぜあなたが小学校を出られなかったのか、養護学校を出られなかったのかということについて、最初にお聞きしたいと思います。
  304. 宮尾修

    参考人宮尾修君) ごらんのように、私は歩くことができません。家にいるときも、こうやって外に出るときも、車いすに座っております。こういう体になりましたのは、私、ことし四十三歳になりますけれども、四十三年前に生まれると同時に脳性麻痺というものになりまして、それからいままで四十三年間一歩も歩いたことがない体になったわけです。ただ歩くことができないだけでなく、手足の機能というものが麻痺しておりまして、日常生活すべてが全面的な介助を必要としております。そういたしまして、私が学齢期を迎えたのは昭和十五年でございました。昭和十五年といいますのは、もう戦前のことであります。現在ですと、養護学校も数多く設置されておりまして、私程度の障害児でも教育を受ける機会というものが多くなってきたわけですけれども、その当時は養護学校というのは、現在の東京都立光明養護学校が全国にただ一つあるだけでした。で、私は当時東京に住んでおりまして、この養護学校の試験を受け、合格して一月ほど通ったのです。しかしながら、非常に通学に困難でございました。いまのようにスクールバスなどというものはもちろんあるわけではなくて、母が私を背負いまして、三時間近く電車に乗って通わなくてはならない、そういう状況だったわけです。そのために、やむなく一月足らずで退学しました。  その次に、母は近所の普通の小学校に相談に行ったわけです。そうしますと、そこの小学校の教師が、こういう子供を普通の健康な子供の中に入れたのではかえってあなたのお子さん自身がつらい思いをすると、学校の勉強ぐらいはお母さんでも教えられると、まあいまから思いますと、私はそう言ってえんきょくに断られたのだろうと、入学を断られたのだろうというふうに思うわけですけれども、母はそれなら自分が教えてあげようと思って、近所の子供が使い古した教科書などをもらいまして、母が読み書きを教えてくれたわけです。しかし母も余り教育を受けたことのない人間でしたから、最初のうちは教えられたけれども、小学校の高学年ぐらいになるともう教えることができなくなってきた。しかも戦争が激しくなり、引き続いて敗戦の混乱ということで、そういうものを教えるどころではない、飢えをしのぐだけでいっぱいだったわけです。  そういうわけで、私はそれ以来教育というものを何も教えてもらえないような状態になったわけです。したがいまして、基礎的な知識とか、あるいは体系的な知識というものに非常に欠けるところがある、自分自身を省みてそう思います。ですから、わからないことがたくさんあります。で、私のような手足の機能というものを全く奪われた体においては、人並みの能力が残されたものは頭脳だけなわけです。それだけに教育の機会から見放されたということのために自分の頭脳というものをみがくことができなかった、そのために社会に出ることができなかった、職業につくことができなかった、こういうことを最も残念だと思っております。
  305. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、教育は最大の福祉だというふうに思うわけですが、その教育の場からも宮尾さんは切り捨てられていたということに胸の詰まるのを覚えるわけですが、あなたは二年と三カ月ぐらい前に朝日新聞の「論壇」に投稿されて、論文を書いていらっしゃった。その書かれた論文を読まれて、当時誕生した三木前総理が非常に感銘をされて、その宮尾さんの論文に感動したということを記者会見で言われたことを私は思わないわけにはまいりませんが、いまあなたに出されている年金はたしか二万三百円だというふうに思います。この年金で一体どうやって生活をしていらっしゃるのかということを伺いたいと思います。まことに私事にわたってそういうことを報告をしていただくということは本当に申しわけないんですけれども、一年間の家計簿、それから一カ月間の家計簿、これを宮尾さんから公開をしていただきましたので、総理、あなたにも見ていただきたい、そう思います。どうぞ。——宮尾さんの生活について。
  306. 宮尾修

    参考人宮尾修君) 私は、二年半ほど前に結婚いたしまして、現在千葉県船橋市の公営住宅で妻と二人で生活しております。いまお話しのように、福祉年金は現在二万三百円でございます。しかし、この二万三百円というのはことしになっていただくようになった額でございまして、昨年まで私の手元に支給された福祉年金は五十年度の一万八千円でございます。そういたしまして、先ほども言いましたように、私は職業についておりません。しかし生活はしなくてはならない。そういうわけで、この福祉年金と、足りない分は親からの援助で現在生活しているわけです。  いま御質問にございました家計簿のことでございますけれども昭和五十年十一月から昭和五十一年十月までの一年間の一カ月間の平均全支出は九万一千七百円でございます。そのうち食費は二万五千九百二十八円でございます。電話料が四千八百六十七円、電気料が千五百七十七円、ガス代が二千三百十八円、衣料品が四千八百五十六円、医療衛生費が九千八百十四円、本や雑誌などのいわゆる教養文化費というのは月平均千七百十五円しかございません。いまお手元にお配りいたしました昭和五十一年十月の家計簿というのは、この全支出平均よりは若干減っておりまして、これは家内のやりくりの結果だろうと思いますけれども、約六万円の支出になっております。しかしながら、この生活実態、家計簿の実態をごらんいただければおわかりになると思いますけれども、この十月という月は衣料品は下着一枚買っておりません。それから化粧品なども全く買っておりません。しかもこういう極度に切り詰められた生活でありましても、親からの援助というものがなければ私の生活は成り立たないわけです。福祉年金の月額では食費も賄うことはできないという状態にあって、非常に低い生活水準であるわけです。  先日ある新聞に、労働組合が行った同じ昨年十月の一般勤労世帯の家計調査というのが出ておりました。それによりますと、平均四人世帯で昨年十月の実質支出というものは、一般の世帯では二十万円以上になっております。これに比べると、私の生活というのは三分の一以下の状態に置かれているわけです。しかしながら私が申し上げたいのは、だからといって私の生活が私にとって非常に不満なものであるとか、低いものであるとか、そういう不満を訴えたいわけではないわけです。こういう低水準の生活でありましても、私にとりましては四十過ぎになって初めてつかんだ自分の生活なわけです。私は家内と二人で暮らしているいまの生活が楽しいし、張り合いも感じております。  私事にわたって恐縮ですが、ことしの夏には子供が産まれることになっておりまして、そういう意味では充実感のある毎日を過ごしております。ただ、それだけに、このいまの生活というものがどこまで維持できるかということに強い不安を感じているわけです。で、親から五万円の援助を受けているわけですけれども、その親は父がすでに七十歳を過ぎておりますし、母も六十八歳になっている。年齢的にはいつ死ぬかわからない状態にあるわけです。そういう老年にもかかわらず、自分の生活を支え、また私たち夫婦の生活を助けるためにささやかな商売をしている。つまり、私の毎日というのはこの両親の労働によって維持されているわけでありまして、福祉年金がもし五万とか六万とか現在の私の生活を支えられるような額になったならば、こういう負担を親にかけなくても済むようになるわけです。その意味で、いま現在の私程度の生活を賄える水準ぐらいには福祉年金というものが改善されて引き上げていただきたいということを特に申し上げたいと思います。
  307. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大変なお話を伺ったわけですが、お父さんが七十歳といえば、もう老齢福祉年金をもらう年齢になっていらっしゃるというふうに思います。お母さんも大変だろうというふうに思うわけですが、そうは言っても宮尾さんが御夫婦で力一ぱい、障害者であるけれども、自立をして生きていくんだ、こういう姿勢が皆さんにおわかりになったというふうに思います。  そういう中で、私はもう一つお伺いしたいと思うんですが、家計簿を見ますと、歯医者さんに行った医療費というのが出ているわけですね。歯医者さんだけではなくて、あなたがもし健康でなくなって病院にいらっしゃるようなときになりますと、それは簡単なお金では済まないというふうに思うのですが、その辺の場合には一体どのような生活——どの辺からお金を、やっぱりお母さんたちからもらってくるわけですか。
  308. 宮尾修

    参考人宮尾修君) 率直に言って御指摘のとおりのことになると思いますが、幸いにして私は丈夫でございまして、その点では助かっております。ただ私は「羊の声」という身体障害者のささやかなグループをいたしているわけですけれども、昨年このグループで会員の生活実態調査というものをいたしました。百五十人ほどの障害者を対象にして調査したのですけれども、この約四割が障害があるために病気になりやすいというふうに申しております。そうして同時に、医者にかかりにくいという答えがたくさんございました。その理由の第一は、通院が困難であるということ、医者に行くまでが大変であるということです。私も昨年生まれて初めて歯が悪くなりまして歯医者に通ったわけですけれども、皆さんのように二本の足で歩くわけにいきませんから、車で行かなくてはならない。タクシーは高いから利用することができない。それで親戚の者の自家用車で行ったんですが、歯医者の指定する時間に親戚の者に頼んで五回も六回も通院するというのは非常に大変でございました。この場合は歯の痛みががまんできなかったためにやむなく通いましたけれども、これがもしがまんできる程度の痛みとか病気であれば、恐らく通わなかっただろうと思うんです。  現に私は、かぜなど引きましても医者にかかったことはありません。買い薬で済ませてしまうわけです。これを好んでそうするわけではなくて、そういう事情に追い込まれているということを申し上げたいと思います。まして、いわゆる成人病の予防とか定期検診とか、そういうものを私は受けたことがございませんで、したがいまして自分の血圧とか、あるいは血液型も知らないという、そういう状態に置かれているわけです。また仲間の話ですけれども、いわゆる施設に入っている障害者も非常に医療にかかりにくいということを申しております。そうして、たとえば歯科とか婦人科などの疾病にかかりますと、医者が診療を拒否するために医者にかかれない、そういう状態が多くの施設で起こっています。したがって、ある施設では入院を要する患者が出ますと、一一九番に電話をして救急車を呼び救急病院に入れる、こういう例外的な措置をとって入院させている、こういう実例もございます。私自身のことになりましても、いまお話したような生活実態から見て、もし入院を要するような重病にかかったらば、とても経済的にやっていけない、病気になったらおしまいである、こういうふうに思っています。
  309. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 宮尾さんは、そういう障害者が自立していくためには最低六万なり七万なりの生活費が欲しい、こういうふうにおっしゃいましたけれども、三木さんが新聞記者会見で大変宮尾さんの論文に感動したとおっしゃってやった、この福祉年金が二万三百円にようやくなった。ところが、それはやっぱりあなたの生活を支えるという意味では実に三分の一程度しかの力しかないというこの実態をこう考えまして、いまのこの福田内閣の予算を、あなたもごらんになったと思いますから、に対しての希望あるいは期待感というものがあろうかというふうに思いますけれども、簡単に一言で言っていかがなものですか。
  310. 小川半次

    委員長小川半次君) ちょっと待って。   〔速記中止〕
  311. 小川半次

    委員長小川半次君) 速記を起こして。  委員長として宮尾参考人に申し上げますが、あなたは委員ではございませんので、予算をどうしよう、こうしょうという意見ではなく、希望的な発言であれば、委員長は許します。宮尾参考人
  312. 宮尾修

    参考人宮尾修君) それにつきましてお許し願えますならば、福祉年金につきましての私たちのお願いも含めてお話ししてよろしゅうございますか。
  313. 小川半次

    委員長小川半次君) どうぞ。
  314. 宮尾修

    参考人宮尾修君) 私たちはこういうお願いを福祉年金についていつもしているわけです。  その第一は、障害等級一級の福祉年金を月額六万円にしていただきたい。第二は、障害三級の人にも新たに年金を支給していただきたい。第三には、現在毎年十月からの実施時期を繰り上げていただきたい。それから第四番目には、生活保護法の中で福祉年金を収入と認定しているこの収入認定を取り消していただきたい。この四点をお願いしているわけです。厚生省にいつもお願いしているのですけれども、なかなかお聞きいただけないでいるわけです。そのたびに厚生省から伺いますことは、第一に、福祉年金は経過的、補完的措置である。それから第二に、保険制度の中で運営しているので無拠出の福祉年金が拠出制の国民年金よりも受給額が低いのはやむを得ない、こういうお答えをいつもいただいているわけでございます。しかし私が思いますのに、制度は経過的かもしれませんが、私たちは経過的に障害者になったのではないということです。一生障害者であり続けなければならぬ。それからまた、いわば社会的弱者のために設けられているこの福祉年金が、拠出制中心の保険システムに従属しているのは、非常に奇異な感じを受けるわけでございます。  で、収入認定について少し具体的にお話しいたしますが、私の仲間に大倉さんという施設に入っている生活保護を受けている方がおります。生活保護を受けていますと、いわゆる施設措置費のほかに保護基準による日用品費というのが支給されます。この保護基準は現在二万四千円でございます。ところが、大倉さんは別に一級の福祉年金を受けております。すると、この年金が収入と認定されて、それだけ日用品費が削られるという仕組みになっているわけでございます。で、五十年の福祉年金は一万八千円でございます。保護基準二万四千円からマイナス一万八千円で、六千円が支給されるということです。昨年は福祉年金が二万三百円になったわけでございます。そうすると、二万四千円マイナス二万三百円で、三千七百円の日用品費になってしまうわけでございます。ことしになって、その差額の二千三百円を返せと言ってきたそうでございます。一万八千円の計算で六千円を支給したが、二万三百円になったのだから差額の二千三百円を返せということだろうと思います。これについて大倉さんは、これでは福祉年金が幾らふえたって何にもならない。また、日用品費をためて電動車いすを買おうとしていた計画がつぶれたという障害者もございます。生活保護と福祉年金は別の制度でございます。予算を組まれるときは、この日用品費も福祉年金もそれぞれそっくり渡すものとして計上されるに違いないというふうに私思います。それを実施段階になってなぜ取り上げてしまうのか。生活保護行政のいささか冷たい一面を見せられた思いがこの話を聞いていたしました。私たちの最大のお願いは、同じ人間として同じ地域社会に生きていきたいということでございます。そのために、地域で暮らせる、実際の社会で暮らせる生活保障の実現を求めているわけでございます。せめて現在の私程度の生活が維持できるようにと、福祉年金の引き上げをお願いしたいわけでございます。  最後に、これは御質問にはなかったことで、はなはだ不適当な発言であるとは存じますけれども、この機会をおかりしまして福田総理に、ぜひ私たち障害者との対話をしてくださいますようお願いしたいと存じます。(拍手)
  315. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 宮尾さんに対する私の質問はこれで終わります。  どうも宮尾さん、長い間本当にありがとうございました。
  316. 小川半次

    委員長小川半次君) 宮尾参考人に申し上げます。  委員との質疑も終わりましたので、退席していただいて結構でございます。本日は大変ありがとうございました。また、ボランティアの松原さん、御苦労さまでした。(拍手)
  317. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 総理にお伺いをしますけれども総理衆議院の多賀谷委員の質問に対して、老齢福祉年金のことについて、「いずれにいたしましても、一万五千円年金というものはもう低いに決まっております。これは生活の保障なんというような、そういうようなことは全然言い得ざる立場でございますが、これは逐次充実していかなければならぬ問題である、かように考えております。」と、こうお答えになっておられます。老齢福祉年金だけではなくて、障害者福祉年金についてはいかがお考えでございますか。
  318. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御承知のように、年金はいろいろ横並びになっておるわけでございます。したがいまして、去年財政の再計算等を行いまして、それぞれ水準の引き上げをいたしました。しかしながら、ことしは、そういうことでございますから、五十二年度の予算については平均九・四%の物価の上昇分をアップするにとどめるということにしたわけでございますけれども、この福祉年金についてはできるだけ上げたいと、予算の許す限りこれを上げたいと、こういうようなことでございまして、一一・一%、一万五千円に引き上げたと、こういうのが実情でございます。
  319. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 パーセンテージで言えば、たくさん上がったということは私たちも認めるわけです。それから非常に御努力をいただいているということも認めるわけです。しかし食べていかなければならない最低限のものを保障しているかどうかという、そこのところに大臣としてはやっぱり私は考え方を置いて御答弁をいただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
  320. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 老齢福祉年金は、これも御承知のことと存じますが、生活保護などとは違うわけです。生活保護の場合は、ともかく財産もない、収入もない、こういうようないろいろなむずかしい条件があって生活保護の基準が決まっております。老齢福祉年金の方は、所得制限はございますが、家族と一緒におっても、だんなさんが会社の重役で八百万円収入があっても、それは福祉年金は差し上げると、こういうような制度になっておるわけですから。本人の場合は、百六十四万円未満の場合は福祉年金を差し上げると、こういうようなことになっておるわけであります。したがって、生活保護と比べて一概にどうということはなかなか言えない、財産があっても差し上げるわけですから。仮に一億円の何か山でも持っておったという方なら、生活保護はこれは全然だめでございますが、老齢福祉年金の場合は、それによって所得が売って発生すれば別だけれども、売らない限りは所得がないわけですから、財産があっても差し上げると、こういうようなことになっておるので、一概に食えるだけの老齢年金に一遍に上げろと言われましても、中身を詰めないとなかなかそれはむずかしい。ことに、千円老齢年金を引き上げますと、それだけで六百億円のお金が、予算が必要なわけです。したがって、これは五千円も上げると三千億と、金目の話をやっぱり全然考えないで年金だけを引き上げるというのはなかなかむずかしい。老齢年金を引き上げれば、それだけにとどまらないで、今度は五年年金、十年年金はどうするのだ、一般の年金はどうするのだ、恩給はどうするのだということで、それはもう非常に大きな数字に実はなっていきます。したがいまして、もっともっと上げたいという気持ちはございますが、財政の諸事情等もいろいろございますので、今回はできるだけのことをして一一・一%、一万五千円にしたというのが実情でございます。そのかわり、所得制限等については据え置きにしたということも実情でございます。
  321. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大臣ね、詰めないとならないというふうにおっしゃっておられますから、やっぱりこの老齢福祉年金及び障害者福祉年金というのは低いということをお認めになって、これから逐次総理がおっしゃるように改善をしていかなければならないと、こういうお考えを持っていらっしゃると思うんですね。ところが、その改善が二十年先、三十年先になんかなったんでは、いま困っていらっしゃる人たちのに間に合わないわけです。その日程的なめどといいますか、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  322. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 先ほど申し上げましたように、年金は、いろんな年金とみんなこうかかわり合いがあるわけです。したがって、この年金の問題については、一方老齢化はどんどん進むというような状態があります。他方いろんなむずかしい財政上の問題で、いままでのような高度経済成長というようなことがどんどん続くというふうに考えられない、低成長時代に入ったという問題も一方ございます。ところが他方、いまのように非常に困った人だってあるではないかと、財産を持っていて年金をもらっている人もあるが、本当に無財産でもう生活保護すれすれの人だってあるではないかと、こういう御指摘もございます。そういうようなことで、これらは総合的な問題として、厚生省の中では年金の基本構想懇談会というものをこしらえまして、約一年ぐらいいまやっておりますが、何とかこの中でことしの秋ごろまでをめどとして年金制度の根本問題について再検討をしようではないかということで目下検討を、専門家の意見を聞いて詰めてまいりたいと、そして方向を出したいと、そう思っておるわけであります。
  323. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ぜひそのことは真剣に厚生大臣としても取り組んでいただきたいというふうに思います。それからあわせて、わが党もこの年金構想についての長期計画というものをやっぱり考えているわけですから、各政党のコンセンサスなども得るように、本当に対話と協調精神を発揮して、早急にこの対策をとっていただきたいということを要望して、次に移りたいというふうに思います。  婦人問題に入りますけれども総理にお願いをしたいと思うのですが、政府の婦人問題企画推進本部長総理にお願いをします。成田委員長衆議院の本会議代表質問で、国内行動計画に触れまして、「憲法に認められた女性の労働権の保障さえ明記されていない」と、こう批判をしましたのに対しまして、総理は、誤解ではなかろうかと存じますと、こう答えていらっしゃるわけです。私は誤解ではないかと言われるこの総理考え方自体がやっぱり問題ではないだろうか、きちんと問題点をとらえていらっしゃらなかったのではないかというふうに思いますので質問をするわけですが、昨年の四月に発表されました婦人問題企画推進会議の答申書には、明確に、勤労の権利は日本国憲法に保障された国民としての権利であるというふうに、この働く権利を生存権として認めているわけです。その中に、一部に残存する男女差別定年、結婚退職制等の差別的雇用慣行は速やかに是正されなければならないと、こういうふうに書いてあるわけです、中間答申には。  ところが今回出されました行動計画では、男女差別定年の文言が消えてしまっているわけです。おわかりですか。男女差別定年という文言が消えてしまって、かわりに矮小化された若年定年制、すなわち結婚、妊娠、出産等だけが差別定年として取り上げられているわけです。基本的に違うわけです。取り上げられまして、さらに早急な是正をというふうになっているわけですから、結婚、妊娠、出産の差別定年は早急に是正をしなさいと、こういうふうに変わってきているわけです。  それで、逆に言いますと、一つの例を挙げてみれば、男五十五歳、女五十歳の定年はこれは結構ですということにもなりかねないわけです。結婚でもないし、若年でもないし、それから妊娠でもないし、出産でもないし、このことは私はやっぱり憲法無視だという批判が出るのは当然だというふうに思うわけです。一事が万事で、この国内行動計画というのはもう評判悪いわけですよ。どの新聞を見ましても、この国内行動計画に対する批判というのは、もう連続して手厳しく出されているわけですが、総理においては、今度耳当たりのいい単なる作文ではなくて、世界行動計画に流れております精神、すなわち男女の役割り分業の思想を打ち破ること、そして男女平等実現のための具体的な提案を早急に作成をされる意思がおありですか、いかがですか。労働大臣もお答えいただきます。
  324. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) その若年という、若年定年制の問題を特に取り上げましたのは、非常に男女によって年齢差が激しい、定年の年齢差が激しいところ、そういうところの是正に努めたい。それから結婚とか出産とか妊娠とかということに伴う退職制度というようなものをまず直したいというのでありまして、この国内行動計画の「雇用における条件整備」の部門をよくお読みいただきますと、イの項に「雇用における男女平等を徹底するためには、男女が同じ基盤で就労できることが前提要件となるとで、」と書いてございまして、いま中高年の人々の定年制も含めて男女の差別をなくすように努力をするつもりでございますし、御指摘の年次計画、これはいま作成中でございます。
  325. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御指摘の国内行動計画につきましては、いろいろ御批判があることは承知しておりますが、これは世界行動計画に準拠してつくっておるわけでありまして、国際社会の水準として別に遜色があるというふうな認識は持っておりませんが、問題はその具体化の問題だろうと、こういうふうに思うんです。その具体化はこれからの問題である。具体的ないろいろなことは、それにはそう事細かには書いてありませんけれども、この線で逐次具体化していくと、かように御了承願います。
  326. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) ただいま総理と労働大臣がお答えになりましたとおりでございますが、この国内行動計画の大前提といたしましては、憲法第十四条の男女平等と、この原則が大前提でございます。ですから、その原則を実現すべき環境整備を十年間で行うということでございます。年次計画がないとかそういうふうな御批判もございますが、これは今後五十二年度の上半期で年次計画をつくります。そして五年目にはこれは全部見直します。そして最後の五カ年間で目標を達成すべく努力をいたすと、こういうふうな計画になっております。御承知おき願いたいと思います。
  327. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 労働大臣にお伺いをします。  計画はぜひ明確に、そして早急に出していただきたいというふうに思っているわけですが、母性保護は男女平等の役割りを損なうものではないという中間意見書の部分があるわけですけれども、今回その部分が消えているわけですね。母性保護の問題、たとえば妊娠、出産に伴う休暇の問題というふうなことですね。この母性保護も再検討されていかなければならないと、男女平等に働くためには。こういうふうに変わってきているというところに非常に労働婦人が憤りと不安を持っているわけです。この点の母性保護は男女平等の役割りを損なうものではないというふうに石田労働大臣はお考えになっていらっしゃいますか。そしてまた、いままでのように行政指導だけでこれだけ長い歴史を持っている男女差別の制度というものを解消されるだろうかという不安を持っているんですが、その辺はいかがなものでしょうか。
  328. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) これは表現の問題について御不満がおありのようでありますが、私は男女平等の精神、これの推進というものについては努力を惜しむものではないし、いままでもその立場にあるごとに努めてまいったつもりでございます。  それから、この行動計画自体の年次計画の作成は、これは総理府の所管でございますが、働く婦人の問題については私どもの仕事でございますので、御趣旨の線に沿って努力をいたしたいと思います。  また、男女による雇用条件、あるいは定年、あるいは退職条件、そういうものは、従来、裁判等になりますと、必ず使用者側の負けになっております。これは何よりの行政指導というか、何よりの背景であると思いますし、いまのところは、行政指導の推進と同時に、たとえば保育所とか、あるいは働く婦人の家の増設とか、あるいはその働く婦人の家の中に保育所をつくるとか、そういうような行政処置をあわせてやってまいるつもりでございますし、また事業所でそういう保育所等を設ける場合の補助措置等も講じておるところでございます。
  329. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大臣、表現の問題だというふうに、何かわかったようなわからないような御答弁をいただきましたけれども、母性保護は男女平等の役割りを損なうものではないというあの中間答申のお言葉は、そのままそのとおりだというふうにお答えになったと理解をしてよろしいですか。  二つ目、裁判をやりますと必ず企業者側の方が負けている、これが何よりの行政指導の証拠だというふうにおっしゃいましたけれども、裁判で負けても現実にはそういう問題がほかの企業でどんどんどんどん行われている。そのことは、やっぱり指導が足りないというふうに思いますけれども、いかがですか。
  330. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) その前段のことは、もっと積極的な表現であっていいんじゃないかと、権利宣言みたいな中身を含んでいてもいいんじゃないかという感じがしないではありません。その方がいいんじゃないかというような気持ちがしないではありませんが、しかし、実際上行政運営に当たっての基本方針はそういうつもりでやっていく方針であります。  それから、裁判の結果が行政指導の何よりの証拠だと、そういう言葉を使ったつもりはないので、ありまして、要するに、行政指導をするための非常に力強い背景になると、こう考えておる次第であります。
  331. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、たとえば住友セメントの裁判でも、なるほど会社側は負けました、負けましたけれども、しかし、それはその事件についてだけ決着がついたのであって、その他の人にはそれが該当いたしませんので、行政指導されても、これはずいぶん長いこと、長い年月がかかるのではないかという心配を持たないわけにはまいりません。  国際婦人年から十年たったときに、さらにこの国連の中では一体十年間に各国がどれだけのことをやってきたかというこの報告をし合わなければならないというふうになっているわけですが、そのときに日本の国としては恥ずかしい報告をしないで胸を張ってできるような報告をするためにも、現にある男女差別をなくするためには、原則を徹底しようとするならば——私はしなきゃならないというふうに思っているわけですけれども、法的な裏づけというものが必要になるんじゃないか、行政指導だけではなくて法的な裏づけが必要になるんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。それをおやりになるお気持ちはありますでしょうか。
  332. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 法的な裏づけというのは、たとえば雇用条件の中に男女の区別をつけてならない、これは憲法の規定の精神から明らかだろうと思うんです。それから、たとえば寡婦とか母子家庭、そういう恵まれない条件にある人たちに対する雇用の促進、これはなかなかむずかしい——法律的な処置としてむずかしい点が多いと思うんで、検討する課題ではあるとは思いますが、直ちに法制的処置を講ずるのにはいろんな困難があるように思います。しかし、実質的に不利な取り扱いを受けないような、あるいはまた実質的に子供を持っているからというだけのことで就労の条件が悪化しないような保護処置というようなものは積極的に講じておきたいと、こう考えております。
  333. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大臣が努力をされるということについては私たちは大きな期待を持っているわけですけれども、いまの御答弁は私は非常にしゃくし定規な感じがしないわけにはいきませんでした。なぜかといえば、憲法にあるではないか第十四条と、こういうふうにおっしゃられましても、憲法で明確になっていたって現実にはそうでないから問題が起きているわけなんで、ぜひともそういう意味ではもうちょっときちんとしたものをつくっていただきたいというふうに思うわけです。それに対して私たち社会党では、やっぱり男女の平等に関するあるいは雇用平等法と、まあ仮称ではありますけれども、そういうことを考えておりますので、ぜひ、直ちにやるというわけにはいかないとおっしゃいましたけれども、私どもの考えも聞きながら、それこそ対話と協調で今後の労働行政をおやりになる気持ちはおありですか。
  334. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 私は元来しゃくし定規な人間ではないのであります、そもそもでき方が。ただ、憲法の中にそういう規定がありますから、その規定を背景とした処置を講じていかなきゃならない。それを積極的に講ずるのが労働行政の一つの大きな柱だと思っております。そういう気持ちでこれからやってまいるつもりでございます。
  335. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 最後に。総理、いままでいろいろとお話をしてまいりましたけれども、婦人問題に関する推進本部長としての決意のほどをお聞かせいただきたい。
  336. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 男女平等問題は、これはわが国の社会構造の中で大変おくれておる問題なんです。十年間長いようでありますが、短い時間でもありましょうが、最大の努力をしてまいります。
  337. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 終わります。(拍手)
  338. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして、粕谷照美君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  339. 小川半次

    委員長小川半次君) 対馬孝且君
  340. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 私は、物価問題見通しを含めまして、特に物価安定対策、出かせぎ問題等を中心に、石油価格安定等の問題を中心に、課題についてお伺いをしたいと思います。  まず最初に、総理大臣にお伺いいたします。五十二年度の経済見通しにつきまして、二月の三日に決定をされました。その第一の柱は景気の回復と雇用の安定、第二は物価の安定、第三は資源エネルギー、こういう課題で見通しを立てられております。  そこで端的にお伺いするのでありますが、これは単なる見通しではなくて、つまり政府の短期経済運営のやっぱり一つの指針である、私はこう考えます。特に昭和五十年代の前期経済計画というのを政府が出されました。そういう意味では、中期経済計画のタイムスケジュールを担う役割りを持っているという考え方を持っておりますが、総理大臣の見解をお伺いいたします。
  341. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりでございます。五十二年度の経済見通しにつきましては、これは見通しではございまするけれども、世界の政治の中で世界経済というものが非常に重大な役割りをいま担っておると、そういう中での日本の役割り、責任、これ非常に大きいんです。もう世界環視の中の六・七%成長、こういうことでありますので、これはまあ見通しではございまするけれども、全力を尽くしてこれを実現をいたしたい、かように考えております。
  342. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで経済見通しが、いま総理大臣は全く見通しじゃなくて一つの指針、方針であると、こう理解します。そういたしますと、この経済見通しが単年度の経済計画になっておるわけですから、そういう観点から立ちますと、私はこれは単なる見通しでは過ごされない、いままでも総理がお答えになっていますから。そういう点から言いますと、無責任のそしりは絶対免れないと、こう思うんです。なぜこういうことを私がお尋ねしておるかといいますと、実は昨年の一、二年の例を挙げたいんでありますが、春闘の、結果的な五十年の春闘妥結額、五十年の春闘も八・八%。結果的にこれ見ますと、つまり政府のいわゆる経済指標の中で春闘のこの二年間という指数がおさまっておるわけであります。  そこで、この問題につきまして私はそういう観点からお伺いをしたいんでありますが、私は三月五日に、昨年の本院の物価特別委員会で福田総理とお話をしました。質問したことがあります。対話を交わしました。それで、あなたははっきり、石油ショック後の調整期間は三年間だと、三年間で漸次物価は安定をさせていくと、こうはっきり私に言明されたことは記憶があると思うんでありますが、去年でありますから。ところが結果的には、今日の段階で前期中期計画の展望からまいりますならば、四十一年から四十七年までの間の物価の安定は五・五になっているんです。全治三カ年で総理は調整期間と、こう言っているわけですから、すでに安定したとすれば、四十一年から四十七年の五・五%に落ちついていなければならないのではないか。この調整期間三年間はどうなったのか。これちょっと率直にお伺いいたします。
  343. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は調整期間三カ年ということをしばしば申し上げ、かつ日本経済は全治三カ年の状態だと、こういうことも申し上げたわけなんですが、ちょうどこの三月が三年度目になるわけです。この三カ年の動きを展望してみますと、私は非常にスムーズにきたと思っているんです。まあ何といってもこれは経済活動ですね、四十九年のごときはマイナスだった。それがプラスにだんだんなってくる。そして五十二年度には六・七%成長を展望できると、こういうようなことになってきておるわけです。それから第二に大事な問題は何かというと、これは国際収支です。これは非常に大事な問題です。これはすでに均衡状態に入った。第三に大事な問題は何だと言いますれば物価です。物価もあの状態からだんだんだんだんと安定基調を続けてまいりまして、五十二年度においては七%台、公共料金問題というむずかしい問題を抱えておるにかかわらずそれがとにかく展望できると、こういうことになってきたんです。まあ大体私は全治三カ年、後遺症は若干あります、最大の後遺症はこれは財政ですが、三カ年調整期間というのはまずまず無事に推移したと、こういう見解です。  その中で、いま対馬さん御指摘の物価の問題ですがね、これは昭和四十一年から昭和四十五、六年のころ、あれば非常に安定しておった時期であります。五%ないし六%の消費者物価の上昇にとどまった。あのときと比べますると、世の中違ってきているんです。資源有限時代。海外からの要因というもの、これがあのときとまるっきり違ってきておるわけです。それから石油ショックの後遺症とも言うべき公共料金の改定問題、こういう問題が残っておる。それから、当時また人件費がかさんでくると、こういう要因もある。そういうようなことで、五・五%ということはなかなか私はむずかしいと思います。前期五カ年計画では六%以下に持っていくというふうに申しておりますが、その辺が精いっぱいなところではあるまいか、かように考えております。
  344. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 やはり前期経済計画読ましていただきましたが、結果として六%というのは昭和五十五年でしょう、いま総理からおっしゃるように。私が言いたいのは、全治三カ年で、調整期間でだね、一応物価が安定するというラインは、少なくても預金率の六・二五を下回らなければ安定した物価とは言えないではないかと。これは国民の実感ですよ。この点を聞いているわけです。
  345. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま定期預金金利は六・七五%でございますが、それに早く持っていきたいんです。いきたいんですけれども、海外からの輸入物資の影響、それから人件費がかさむという問題、それから公共料金の手直しを要するという問題、そういうものがありまして、さあ、あの豊富な海外資源が低廉に入ってきたという四十一年ないし四十五、六年のころ、あの水準を目標とするということは、これはもう非常に私はむずかしいと思います。五十五年、この時点で六%以内、つまり五%台に持っていくというのが精いっぱいじゃないかと、さように見ております。
  346. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ端的にお伺いします。  卸売物価の動向につきましてどのように判断をしておられるか、これちょっと経済企画庁長官に。
  347. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  卸売物価につきましては、比較的落ちついた動きをいたしてまいっております。御案内のとおり、海外の物価の影響もございますけれども、最近では円高の傾向もあるわけでございまして、これが相殺原因となりまして、比較的落ちついた動きをしているというのが現況でございます。  なお、長期的に見ますと、先ほども総理からちょっとお話がございましたけれども、輸入物価がやはり長期的に上がっていく傾向にあるということが一つと、それからもう一つは、労働の生産性の問題でございますけれども、生産性の伸びの中で賃金コストをおさめていくということがなかなかこれからの時代にはむずかしい、そういう賃金コストの問題が出てくると、あるいは公害やその他の問題がコストにはね返ってくると、そういうことが押し上げていく一つの要因になるのではなかろうかと思っておるわけでございます。ことしの見通しは、大体当初の見通し——実績見通しの五・一%程度の見通しでございますが、あるいはこれ以下になる可能性もあるのではないかと、そう思っております。
  348. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま、長官のお話を聞きますと、海外要因だとかいろいろなことを言っておりますが、昨年の八月までは非常に卸売物価、異常な高騰を示したね。最近やや安定した。しかし、これは結論的に申し上げますと、私は、不況がいかに深刻であったかと、政府物価対策が効を奏したのではないのですよ。不況の結果が、結果的には卸売物価が安定を、落ちつきを見せてきた、これが原因だと思うんですが、いかがですか。
  349. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 確かに景気が停滞し、それから全体の需要の伸び悩みという点から物価が落ちついているということも一つの要因であることは御指摘のとおりでございます。
  350. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで私は、昨今のこの不況状態から操業が悪化をしてきている。こういう現状から判断をいたしまして、最近経済白書でも指摘しておりますように、逆に減産値上げという傾向が出てきておるわけです。これは否定をなさらないと思うんです。こういった減産値上げに対して、具体的に企画庁長官としてどうここで対処しようというのか、あるいは通産大臣としてこれをどういうふうに対処しようというのか、ちょっとお伺いします。
  351. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいまのお話でございますけれども、不況カルテルによって、カルテルを結んでいる産業、これの価格の問題もちろんございますけれども、しかし全体として考えてまいりますと、いまの先生の御指摘のような点はないのではないかと思っておる次第でございます。
  352. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 長官、ないのではないですかと言うけれども、あなたの経済白書の中に、経済企画庁の物価見通し、それから物価の状況等の中に出てきていますよ、これは。少なくとも昨年の八日以降非常に、以前の段階で鉄鋼あるいは化学製品、こういうものを、いわゆる原料資材を中心にしてやっぱり減産値上げをせざるを得ないと、そういう兆候は出てきているということをはっきり言っているじゃありませんか。もっと端的に言いますか。その点ないと言うならば具体的に申しまげますよ。
  353. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 確かに一部商品の値上がりがあるわけでございますけれども、全体として落ちついておるということを申し上げておるわけでございまして、銅とか非鉄金属とか、合板とか小形棒鋼とか、そういうのが上昇している面もございますし、また一面、繊維、化学製品、パルプ・紙、あるいはその製品が、同製品が下落していると、そういうものもあるということで、上昇している部分もありますけれども下落している部分もあると。同時に為替相場によってこれが緩和されていると、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  354. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これはっきり申し上げますけれども、昨年の八月十七日の経済座談会で新日鉄の稲山会長ははっきり言っているじゃないですか。今日のこの不況の中で減産値上げをしないで今日の企業をやっていけるかと、値上げするのが当然ではないかと、こういうふうに出ているんだよ、あなた。そんなことじゃだめだよ、そんなことを言ったって。これを通産大臣はどう考えるか、それじゃ。
  355. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたしますが、物価の問題こそは非常に重大な問題でございまして、特に安定成長の方向をたどらなきゃならぬ国策といたしましては、われわれは行政指導の面におきまして、極力さようなことがないように全力を挙げておる次第でございます。
  356. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 全力を挙げていると言ったって、具体的にあなた企業家が言っているじゃありませんか、これ。これ企業家が言っているんですよ。これお見せしますか。企業側、稲山新日鉄会長が言っているじゃないですか。何を言っていますか、あなた、そんなことを。答弁になるか。
  357. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。  具体的なその件につきましては、担当の政府委員をしてお答えいたします。
  358. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣が答弁しろよ。そんなことは政府委員の問題じゃないだろう。基本姿勢の問題を聞いているんだよ、ぼくは。だめだよそんなこと。委員長、大臣に答弁させろ、大臣に。
  359. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) お答え申し上げます。  ただいま企画庁長官及び通産大臣が御答弁になりましたように、私ども、ただいまの卸売物価、昨年前半に若干高い伸びを示しまして後半落ちつきましたのには、いろんな景気動向等もあったわけですけれども、ただいま御指摘の稲山新日鉄会長の御発言の時期、私ちょっと離れておりましたのでございますが、昨年の八月……
  360. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 八月十七日。これに出ているじゃないですか。
  361. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) それは恐らく鉄鋼が値上げをするその前の段階ではなかったかと思いますが、私どもも、やはり先ほどから御答弁にございますように、国際的な原料価格等の上昇で、やはり企業としてはコストをカバーするような価格にはしたいという企業家が大きな希望を持っておるということは私ども認めるところでございますが、当省といたしましては、そういう適正な価格になるということも大事でございますけれども、全体的に物価を落ちついたかっこうにするということが非常に大切なところでございまして、先ほど大臣の御答弁のように、私どもはそういう方向で指導をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  362. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ、公取委員長来ていますね。公取委員長、この減産指導値上げの実態があればこそ、セメントのやみカルテル等の問題につきまして公取は乗り出したんではないですか、昨年。そういう問題等を含めて、こういう減産値上げの指導の傾向を公取委員会としてはどう判断しているか、ちょっとお伺いします。
  363. 澤田悌

    政府委員(澤田悌君) 御指摘のように、不況のために製品の売れ行きが低下するというような事態が起こりますと、企業は生産を減らしてこれに対応するというのが普通起こる動きでございます。その場合に、独占禁止法のたてまえから申しますと、企業がそういう生産方式、これを自主的に個別に行いますならば、これは独禁法のたてまえから格別問題にする点ではございませんけれども、それを話し合いによって共同して生産制限をすると、こういうことに相なりまするというと、これは不当な取引制限でございます。つまり違法なやみカルテルということに相なるわけでございまして、公正取引委員会といたしましては従来から厳重にこういう動きを規制いたしておるわけでございまして、今後も厳正に対処してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  364. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 公取委員長ね、そういう動向があったかなかったかという事実をぼくは言っているわけですよ。この点どうですか。そういう傾向になっているでしょう。そういう傾向にあったから公取は動いたんでしょうと言っている。
  365. 澤田悌

    政府委員(澤田悌君) それを具体的な事例で判断いたしますと、最近三カ年間、価格カルテルというようなのは別にいたしまして、生産数量に関する違法なカルテルでこれを摘発いたしまして勧告審決にまで至ったものが九件ございます。ですから、こういうことから判断いたしますと、そういう傾向が遺憾ながら認められると申さざるを得ないわけでございます。
  366. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 経済企画庁長官、いま公取委員長は、しかも九件がそういうことで勧告をしたという事実を言っておるじゃないですか、あなた。そういうでたらめ言うものでないよ、あなた。事実をつかまえてぼくは言っているんだから。
  367. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  不況カルテルの実施品目についての卸売物価の推移について御報告申し上げたいと思いますが、小形棒鋼について申し上げますと、五十一年の八月が、四十五年を一〇〇とする指数で一一八・三でございます。これが五十二年の一月で一〇六・五という数字が出ております。それから精製糖、これが五十一年の八月、同じく四十五年を一〇〇として一七六・〇、五十二年の一月が二八九・九。普通合板、五十一年の八月が一五七・一に対しまして、五十二年一月が一四三・七。線材製品につきましては、五十一年八月が二〇二・一に対して、五十二年一月が一九七・五という数字でございます。したがいまして、この不況カルテルが行われなかったらもっと下がったであろうということは考えられますけれども、これで不当に値上げをしているというふうには判断いたしてないわけでございます。
  368. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 私は不当と言っているんじゃなくて、減産値上げをする傾向が卸売物価を押し上げたんだろうと、こう言っているわけですよ。その事実を公取委員長がお認めになりましたから、そのとおりで結構です。  そこで、消費者物価についてお伺いしますが、これは年度末、あと三月なんですよ。もうあと一カ月ちょっとよりないわけだ。政府目標八.六という、五十年度新たな指数でいきますと八・六ですが、達成できますか、経済企画庁長官。
  369. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 消費者物価指数につきましては、四十五年基準の指数で、四十五年指数で八%程度というのが政府目標でございますけれども、御案内のとおり、昨年の十二月におきましては、公共料金の値上げ等が響きまして、一・一という値上がりを示し、それからことし一月になりますと、まだ全国の指数は出ておりませんけれども、東京都の指数において値上がりを示したということでございまして、寒波の影響が野菜の値上げ、あるいは果物の値上げに異常に響いたということで、大変厳しい状況にあるわけでございます。全国指数で申しますと、十二月までの年度中の上昇率六・八%ということでございまして、一月、二月、三月とわずかの期間でございますけれども、この間に相当の努力をしなければならないということで、いま農林大臣にもお願いして生鮮食料品の確保、あるいは生活必需物資については通産大臣と、各省庁にお願いをしていま全力を尽くしておるところでございます。
  370. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 かなり厳しい状況にあるという判断をいま長官もお認めになったようですけれども、私の判断でいきますと、全国一〇・四ですよ、東京都区部のあれを全国的に引き直してみるとね。これは十二月ですよ。十二月に東京都区部が一〇・六に対して全国が一〇・四。こういうことから言って——一月段階では一・一%前月より上がっているのです。それだから前年度対比で九・三ということだ、全国的に言うと。そういうことを言って一月、ずっと二月まで入ってみますと、一月段階でもうすでに八・三%いっているのですよ、新基準で言っても。あと〇・三%よりないのですよ。この二カ月で〇・三%をどうやって達成するかという問題なんですよ。それは、いま農林省に協力願っているとかなんとかと言っていますが、実際にその数字はそこまでいっているのじゃないですか。その点どうなんですか。
  371. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 確かにいま消費者物価につきましては大変厳しい状況にあるという認識を持っております。したがいまして、私どもは目標達成のために全力を尽くしておるというのが現在の状況でございます。
  372. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 先ほど安定していると言って、今度は厳しいと、そういうふうに変わってきているのですね。  そこで、私は具体的に聞きますが、二—三月で〇・三よりないのだよ。一カ月〇・一四なんだよ。〇・一四といえばゼロに等しいということですよ。この二月、三月がゼロであって、大体八%いくかいかないかと、こういうことなんだから。そこで出てきたのが、政府は去る十六日に物価担当官会議を開いて、当面の物価対策として例のフードウイークというのが出てきたのじゃありませんか。このフードウイークに対する考え方をお伺いしたいのです。何で出てきたのか。
  373. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) フードウイークは、今回の三月開きますフードウイークで大体六回目でございまして、四十九年から実施をいたしておるわけでございまして、一年に春と秋の二回に関係の消費者団体あるいは卸、小売の方々の御協力を得まして、そして生鮮食料品初めそういう物資につきまして廉売をする、そういうことで国民に関心を深める、また食生活のあり方等についても勉強していただく、そういうことを趣旨として実施をいたしておる次第でございます。
  374. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 長官国民に勉強していただくなんて、ちょっと言葉過ぎますよ、あんた。はっきり言いますから。あんた本音は、これは政府目的達成が危うくなってきたから、フードウイークで安売りデーをやって調整しようということでしょう、結論は。無理くりそこへ持っていこうということでしょう。現実に去年は三月ですよ。それから去年は十一月にやっているじゃないですか。三月にやったということは、春闘を抑えるために、つまり所得政策として、三月フードウイークをやって無理くり抑えたという結果になっているじゃないですか。秋にやったのは十一月ですよ、フードウイークをやったのは。十一月にやったというのは十二月の総選挙目当てにやったのじゃないですか。答えは明瞭じゃないですか、あんた。ことしの三月でどうしてもならないから、これまたフードウイークをやって無理くり下げようと、こういうわけだ。結果的に春闘を抑える、所得政策を抑える。去年の十一月は総選挙を目当てでバーンとぶち上げた。答えは簡単なんだよ。そのときだけ数字を無理くり合わせるという、こういったフードウイークのやり方自体国民に対するごまかしだと私は言いたいのですよ。
  375. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 先ほども申し上げましたように、四十九年秋以降毎年行っておるわけでございまして、ことし突如として行ったという性質のものではございません。  先ほど申し上げましたけれども国民の御理解と御協力を得たいという言葉に訂正させていただきたいと思います。  同時に私は、この時期がちょうど季節の変わり目の端境期でありますので、生鮮食料品の価格が通常よりも高目に推移すると、そういうことを踏まえて、やはりこのフードウイークの事業が消費者物価の安定に寄与するということは、もちろん期待いたしておる次第でございますけれども、何も特別意図的にこのフードウイーク事業を行っているというものではございません。
  376. 竹田四郎

    竹田四郎君 関連。
  377. 小川半次

    委員長小川半次君) よろしいですか。——関連質問を許します。竹田四郎君。
  378. 竹田四郎

    竹田四郎君 去年の三月の中旬ですね、しかもこれをやっているのは。しかも十一月も中旬を中心にやっているわけですね。今度もその中旬を中心にやっている。この辺は私はきわめて問題があるところだと思うのですが、具体的にそれじゃ去年の三月はそれをやったから効果が出ていると思うのですよ。十一月も効果が出ていると思うのです。その効果が具体的にどれだけあったのですか、物価に及ぼす影響が。恐らくただ安いものを国民に提供するということであるなら、毎月やればいいんですよ、二週間ずつね。それを三月にやり、十一月にやるというところに私はやはり問題点がある。具体的にそれによって計数は、どれだけ指数は下がったのか、その効果をあなた方は考えてこれをやっておられると思うのですよ。またやった以上はそれだけについてどれだけの効果があったかということをはっきりさせなければ意味がないじゃないですか。その点答えてください。
  379. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  フードウイークの結果によりまして——廉売をするということで、またいろいろな意味で国民の御理解と御協力をいただくというのが目的でございまして、直接これが物価にどれだけ影響するかということでなくて、間接的な効果をねらっておるわけでございまして、計数的にこれがどの程度消費者物価に影響したかということは調査をいたしておりません。
  380. 竹田四郎

    竹田四郎君 経企庁長官、その数値は出ているでしょう。具体的に何がどれだけ下がったということは、数値が出ているはずですよ。あなたの方は、そういう効果というのはただ安く売ればいいんだ、現実にそれによって物価はどれだけ下げたんだと、こういう効果というのは全然期待もしなければ、ただ国民に安くやったといういい顔だけして、その行政効果というのははからないのですか、あなたの方は。経済企画庁が農林省とか通産省にやらしているのでしょう。自分たちの主唱によってやったことがどれだけ物価に影響したかということを、物価担当庁としてはそんなことも考えないで、ただ安く売りますよ、安く売りますよで、それだけなんですか。そんな行政をやっているのですか。
  381. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたしたいと思います。  計数的なお話になりますと、これが小売物価統計の調査価格との関連が出てくると思うのでありますけれども、先生御承知のように、小売物価統計の調査価格は平常状況の小売価格をとることになっておりまして、廉売による特別価格調査対象となっていないわけでございます。(「具体的にどれだけ下がったか」と呼ぶ者あり)したがって、これが直接——またフードウイークをやります地域というのが非常に限られておるわけでございまして、今度やります地域が全国十三都市で、札幌、仙台、東京、川崎、横浜、金沢、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、北九州、福岡ということでございまして、これが直接物価にどれだけ下がったかという計数の整理はいたしておりません。
  382. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 長官、具体的な指数が出てるんですよ。はっきり申し上げますけれども、これは東京都区部の五十一年二月、三月、四月の——三月を言いますか、三月、去年のフードウイークやった日が四日から十七日間なんです。ぼくはちゃんと調べました。この十七日間にやった結果が、三月の指数で東京都で〇・五なんですよ。四月になったらどうなっているかと言ったら二・五にはね上がっている。三月の帳じりだけは下がっている。もっと具体的に言いますよ、これはあなた、総理府の統計局で出した数字ですよ。野菜を言いますか、キャベツ、ホウレンソウ、白菜、大根。これは五十一年の三月でいきますと、フードウイークやった期間は結果的に下がってるんですよ。キャベツでもってマイナス二七・五、ホウレンソウでマイナス三三・一、白菜で四一・八、大根で三・九と、こうなっているわけだ。ところが四月にいきますとどうなっていますか、四月に、長官。フードウイークやった次の日はキャベツは八八・三%にぼんとはね上がるんだ。ホウレンソウは七二%だよ。白菜は一〇一%、大根は四五・八と、こう上がってるじゃないですか。これは総理府の統計だ。ここに総理府総務長官おるだろう、でたらめやっているのか、でないとしたら、こういう事実が明らかじゃないか。
  383. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ただいまの先生のお話は、消費者物価指数がそういう生鮮食料品で下がったということをお話しなすっておるわけでござ  いまして、フードウイークによってそういう結果が出たということを断定するわけにはいかないと思うわけでございまして、フードウイークは確かに物価を安定させるためのものでございますけれども、しかしフードウイークの結果によってそういう結果になったというものではないんじゃなかろうかと思っておるわけでありまして、それだけの大きな効果を上げるようなことがずっとできれば、それはもう大変結構なことだと思うわけでございます。
  384. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そういうごまかしを言ってはだめだと思うんだよ、長官、あなたが二月十六日の物価担当官会議に出した文章をごらんなさいよ、目的ははっきりしてるじゃないですか。これ読みますか。「各般の物価対策を実施したところであるが、このところ物価は、十二月から一月にかけてやや高い上昇を示しており、今後、二月から四月にかけて季節的な要因等による物価上昇が懸念される。」そのために各省の対策をぜひお願いしたいと、はっきりしてるじゃないか、目的が。目的はここにあったから昨年の実績をぼくは——このフードウイークの結果下がってるんですよ、要因は。それで四月になったらぼんと上がってるんだよ。自分でそういう文章を出しておって、事実を出して、それを国民に否定するようなことを言ったって、これは国民は聞く耳持ちませんよ。こういう実態がぼくは政府のごまかし的な物価指数だと言いたいんですよ。
  385. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 大変お言葉を返すようでありますけれども、ちょうど端境期の野菜が非常に出荷が少ないというふうなときに、政府として最善を尽くして出荷がうまくいくように図っていくのは当然の任務であろうかと思うのでございます。またフードウイーク等を実施いたしまして、生産者、消費者、流通業者、それぞれの立場から物価の安定に御協力を願うのは政府立場として当然じゃなかろうかと私は考えるわけでございます。ただ同時に、その結果どれだけ下がったかということを計数的に御質問でございますから、それは計算はなかなかむずかしいと、いまお話しのような点でフードウイークの結果にそれだけの大きな効果をもたらすことはできたと御判断であれば、それは大変な効果をフードウイークが持つわけでございますけれども、それだけの効果を持つようなフードウイークを実施するということは、なかなかこれはむずかしいんじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
  386. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これ効果があらわれたということは、これは農林大臣も知って相当な政府予算の中で金を出しているわけでしょう、野菜出荷のための。効果がなかったらそれだけの予算をつけて金を出すわけないじゃないですか、あなた。われわれだって国民予算のむだ遣いだといって怒りますよ、そんなことを言うんだったら。国民予算を使うからにはそういった目的のために、やはり安くなるという目的で農林省がおやりになっているわけでしょう。あなた一人がけしからぬと言っているのじゃない。やるならば毎月どうして物価安定のためにやらないかと、それが自然じゃないかと、こう言っているのですよ。それが無理くり三月だとか、選挙を目前に、無理くりフードウイークやるあたりには、私はやはり政府の意図的なものがあるんじゃないかと言ったってしょうがないでしょうと、こう言っているのですよ。私はそれを聞いているのですよ。総務長官どうなんですか、それは。でたらめの指示を出しているのか。
  387. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) 政府の意図的なことがあるのではないかという御質問ですが、私はそういうことではなくて、四十九年からそういうぐあいに毎年やってきているわけです。  それからまた、総理府の統計局で出します消費者物価指数の組み方なんですが、これは、一時的な廉売価格は原則として中に入れないということになっております。フードウイークは対馬先生御存じだと思いますが、二週間やるわけですね。
  388. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 知っていますよ、ずっとやっているんだから。
  389. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) ええ。それから、その廉売商品を約三日間、その二週間の中で三日間廉売商品を二、三品目に限るわけですから、二週間ずっと同じ品目を廉売しているわけじゃないです、三日間ごとですから、変わっていくわけですから。それも二、三商品ですから、廉売商品というものは。ですから、とてもそういうものが統計の中に吸収できるものではないのです。ですから統計の中にはこれは入っておりません。はっきりしておきます。
  390. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 長官ね、素人みたいなことを言ったってだめだよ。現に札幌の家庭調査員が——私知っていますが、家庭調査員が、事実、札幌と言うのですから、私は札幌ですから、北海道だから。その毎月行っている指定店のところに行って、現実にその日が入っていると言っているじゃないですか、あなた。家庭調査員が言っているのですよ。あなた方の協力をしている協力員に対して、その実際の人が言っているのに間違いないじゃないですか。その指数が入っていないなんてどこに言えるのですか。そうでなくちゃんと報告していますと言っているじゃないですか。
  391. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) 私が申し上げているのは、先ほども原則的に一時的な廉売価格は入ってないということ、一時的なものは入ってないということを申し上げているわけです。
  392. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 流れを言っているのだ。
  393. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) それから、たまたまそういうふうな廉売の、たとえばキャベツならキャベツの商品がその調査日に当たりますれば、それはたまたま入るかも知れません。
  394. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 入っていますよ、現実に。
  395. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) たまたま、原則には入らないのです、原則には、廉売価格というものは。原則という言葉を私は使っています。
  396. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 とかくそういう結果で、これはフードウイークをやるということは結果的には、無理くり八%に押さえ込むための政府物価指数というものにこだわり過ぎてのそういう措置であるということを私は指摘したいのです。だから、むしろ日常の物価対策安定が大事だと、これを率直に申し上げておきます。  そこで私は、北海道物価について、これは副総理とずいぶんやったんです、ぼくは一昨年来。副総理は私に段階的に解消していくという言葉で、実力副総理、やがて総理大臣になると思っておったが、なりましたが、私はそのとおりだと思っておったんだよ。総理大臣ね、これは段階的に広まっていっているんだよ、縮まってないんだよ。これはどういうことですか。あなたがお約束したんだけれども
  397. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、対馬さんとお話をしたことをよく記憶しておりますが、一番大事なのは何にしても灯油じゃありませんか。灯油につきましては、いま全国平均よりは幾らか北海道価格の方が安いと、こういうことになっておる。問題はプロパン、これが多少平均よりは高い。これからセメント、これも高いと、こういうような問題はありますが、これは北海道ではプロパンにつきましては流通機構の問題があるのですね。準販売店というような本土では見られないような仕組みが一つある。そういうようなこと。それからセメントにつきましては、やっぱり北海道は地域は広いものですから、その地域間の輸送のコスト、そういうものがある。ですから、大体何じゃないですか、大観いたしますと、北海道のいわゆる北海道価格問題というものはかなりおさまってきておるような状態じゃないか、そういうふうに見ております。しかし、今後ともいろいろ工夫をすると、こういうふうに各省とも言っておりますから、督励いたしたいと、かように存じます。
  398. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 総理大臣、ちょっと認識違うんだよ。副総理時代に私お答え願ったときは、プロパンは本州と百五十円の差があったんです。そして副総理が努力をして、結果的に百円を段階的に下がったんです。これは認めているんですよ。百円下がったんだ。ところが今日の段階では、せっかく百円に縮まったのがやがて今年は五十円に縮まると、こう期待しておったんですよ。ところが結果的に——これは道庁の調べです、これは北海道知事、自民党ですからね、これは間違いありませんから。これを見ますと百八十一円ですよ、十二月で。広まったと私言っているんです、それは。これじゃだめでしょう。これははっきり申し上げますよ。これが一つ。  それから二つ目は、これはセメントもそうなんだよ。四百五十円であったものが一これは総理が努力をして、私がお答え願ったときから見ると、六百円が百五十円下がったんだ。これは多とするんですよ。ところがまた、ことしに入ってきて——去年の十二月でこれまた五百五十円に、また百円ぼんと上がっちゃったんだ。だから広がったと言うのだ、ぼくは、縮まったんではなくて。それじゃあなた、総理大臣たるものがお約束したことと違うじゃないですか。それを言っているのだよ、ぼくは。
  399. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  御指摘のごとくに全国平均と北海道との格差が、あれはだんだんと縮まってまいっております。それについて当省としましては、特に灯油の問題等につきましても、行政指導によりまして上げないように。それからLPGとセメントのケースにつきまして申し上げますが、LPGの元売仕切り価格の段階において、北海道向けが本土向けに比べて高いというふうなことから、これの流通の経路を簡素化して、上げないように全力を挙げて行政指導をいたします。  それからセメントの問題につきましても、御案内のとおりに輸送の経費その他の問題がありまするし、ことにサービスステーションその他が、平均の輸送距離が長いというようなことがありまして、これにつきましては両者ともに格差が縮小いたしまするように全力を挙げて努力いたします。
  400. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 努力しますからと言ったって、抽象論を言ったって困るんだよ。ぼくは内容を知っているから言うんだよ。北海道ではプロパンガスがなぜ高いかと言ったら、答えは簡単なんだ。元売があって、メーカーがあって、第二メーカーがあって、それから小売にいくわけだ。本州はこの第二メーカーというものがないんだよ。第二メーカーの流通機構を削除すれば本州並みになる。答えは簡単なんだ。それをやるかやらないかということですよ、通産省は。これを聞いているだけなんだ、ほくは。そんなことぼくは知っているから言っているんだよ。やるんならやるとはっきり言いなさいよ、ここで。
  401. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) いまの流通過程におきまする構造の問題、あるいはまた元売価格との間の問題等は詳細、エネルギー庁長官が来ておりますのでお答えさせます。
  402. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、北海道におきますLPGの価格差が広がっておるということは、私の方の消費者モニター調査の結果からいたしましても事実でございます。ただ御理解いただきたいのは、いわゆる元売仕切り価格につきましては、北海道向けにつきまして、他の地域と同等もしくはそれよりも割り安の形で出荷させるように指導しておりますし、現にさようになっておるわけでございますが、したがって問題は、むしろ北海道の内陸部に対する輸送距離が長い、あるいは販売数量が総体的に少ないといったような流通上の問題が大きかろうと思います。したがって、われわれといたしましても、元売に対する指導とあわせまして、流通段階の合理化改善に努力しなくちゃいけないんじゃなかろうか。幸いなことには、昨年の暮れ北海道LPガス問題協議会なるものが発足いたしまして、北海道におけるLPGの流通の実態調査並びに価格格差の是正策についてすでに検討に入っておるということも承知いたしておりますので、こういった協議会における検討結果も踏まえまして、われわれといたしましても流通の合理化のために前向きに対処したいと考えております。
  403. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 前向きというか、抽象論を言っておるわけですけれどもね。  そこで、公取委員長にちょっとお伺いしたいんですがね、私これはかねがね疑問を持っておるんですがね、独禁法の中の十九条に、公正な取引方法を行わなきゃならないと、こう明記してありますね。この観点が直接か間接かは別にして、いまLPGのプロパンガスの問題言いますとね、これははっきり価格協定、カルテル行為をやっているんです、去年。これはっきり申し上げますよ、これ現実に。なぜかと言いますとね、北海道一帯が大体千八百五十円、全部なっているんですよ、一律に。こういう問題があるので、私はこういった北海道価格それ自体がやっぱりこれは独禁法上の問題ではないか。公取としてもこれは非常に関心をお持ちになっているようですから、この点についてどうお考えになっているか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  404. 澤田悌

    政府委員(澤田悌君) まあ不公正な取引という場合に、北海道価格というような御指摘のような問題になる場合は、本土との価格差、これが差別価格であるかどうかということが一つの問題点でございます。それで、事業者が運賃その他、そういうものの差などの合理的な根拠なしに差別的な価格を北海道に行っておるとすれば、これは当然ただいま御指摘の不公正な取引方法、差別価格の問題として、法に抵触する疑いがございます。  それからもう一つは、北海道の小売と申しますか、これが同じ商品について不当な取引制限をして、北海道において本土よりも高い価格を維持して販売を行っておるというような問題がありますれば、これは違法なカルテルということに相なるわけでございまして、これも当然取り締まりの対象になります。この後者の例につきましては、ただいま一件調査中でございます。
  405. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 調査中ということで、やはりそれなりに問題があるという意味で調査をするわけですから、そうすると、これは厳重にひとつ調査をしていただきたい。このことをちょっと確認しておきたいのです。
  406. 澤田悌

    政府委員(澤田悌君) ただいま厳重に調査中でございます。
  407. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで総理大臣ね、これは先ほど、前向きでやるなんて、こう言っているんだけれどもね、あなたは昨年私に約束しているのですから。それが、段階的に解消じゃなくて、段階的に広まっていっているんだよ。段階的に問題が起きているわけだ、これ。これでは総理大臣としてのお約束にならないので、これはひとつ抽象論じゃなくて、流通機構にメスを入れて、北海道価格をひとつ段階的に解消すると、これをひとつはっきりお約束願いたいと思います。総理大臣に聞きます。通産大臣に聞いたってしょうがない。長官に聞いているんじゃないよ。総理大臣に聞いている。
  408. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 補足して御答弁申し上げます。  先ほど申し上げましたように、北海道のLPガス問題協議会で検討いたしております。で、その検討結果も踏まえまして、御指摘のように北海道格差が縮まっていくように、その方向に即して努力してまいりたいと思います。
  409. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 総理大臣ひとつその点について。
  410. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 北海道価格問題は、全体としてはいい方向に動いておると思うのです。ただ、御指摘のプロパンの問題、セメントの問題ありますが、プロパンの問題につきましては、ただいまエネルギー庁長官がお答えいたしておりましたように、この流通機構、ここに問題があるわけでございます。それをいま検討しているわけですから、まあできる限りの努力をしてみたいと、かように考えます。
  411. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 総理大臣、セメントも一緒にやってもらいたいんですよ。よろしゅうございますか。ちょっと問題を確認しておきます。
  412. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) セメントにつきましても同断でございます。
  413. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま総理大臣から、流通機構にメスを入れてひとつ段階的に解消する、こういうことでよろしゅうございますね、もう一回、大事なことですから。
  414. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 流通機構をここでお約束するというわけにもいかないんですよ。ただ、それを含めてただいま現地で相談をしておりまするから、この相談の結果を見て善処いたします。
  415. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それでは次に行きます。  これも再三私は通産大臣に申し上げてまいりまして、長官にも申し上げてきているのでありますが、きのうの朝刊にちょっと出ておりましたが、福田総理が十八日の閣議で、円高による為替差益物価の安定に役立たせるべきである、これは当然だと思います。その点は了とするのでありますが、具体的に各省としてどういう具体的なことをやろうとしておるのか、これを伺いたい。
  416. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 円高現象はごく最近のことでございますので、まだこれが物価の方にどういうふうにあらわれてきておるか、これから先の問題と思いますよ。とにかく物価政策上非常に有利な材料であります。したがって、円高のその利益が、輸入業者とか、あるいは輸入メーカーでありますとか、そういうところに滞留しないで、物価水準全体に波及するように、各省ともその所管の物資について配慮せられたい、そういう発言をさきおとといの閣議において私からいたしておる、こういうことでございます。
  417. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 通産大臣にちょっと具体的な考え方をお聞きしておきたい。
  418. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  円高の問題が有利に展開いたしておりますことは、ただいまも総理からのお話のごとくでございます。同時にまた、これらの円高の問題がいい方向にまいりまするように、と同時にまた、累積債務その他の問題もございますので、この点はさらに十分検討いたしまして、この円高が物価全体の問題について経済効果をもたらすように努力いたしたいと存じます。
  419. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで具体的に、それでは石油製品につきまして通産大臣にお伺いします。  これは長官も事前に手を打たれまして、橋本長官も手を打たれて、とりあえず灯油価格については需要期五月までは凍結をしようと、こう言っておりますが、これはそれなりに了としますが、もっと具体的に聞きたいのでありますが、為替差益金を私なりに計算して、日本生活協同組合連合会の資料によりますと、去年の八月までと昨年の十二月までの差益金が九百九十六億という差益金が出ているのです。これは「石油文化」という月刊雑誌や石油新聞等の資料を基本にして数量と為替レートを換算して出した答えなんですが、九百九十六億八千五百万円、これが差益金として出ているわけです。そうすると、私は端的に、先ほどの大臣の精神を生かすとするならば、しかも物価がいま非常に三月末大変だとこういうのであれば、灯油に限らず全石油製品についてどうして五月まで凍結することができないのか、この点をお伺いします。
  420. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 為替差益の問題につきましてお答えいたしますが、通産省といたしましても差益の問題につきまして検討をいたしましていろいろと計数等を積算いたした次第でございますが、計数上の問題でございますので、エネルギー庁長官からお答えいたします。
  421. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 石油関係につきましての為替差益差損問題についてお答えいたします。  五十一年度上期の決算で見ますと、石油業界で約四百億円の差益が出ております。ただ、下期につきましてまだ決算が出そろっておりませんので、幾ばくになるかということを断定的に申し上げるわけにまいりませんが、仮に上期並みのものが出れば八百億程度ということになろうかと思います。ただ、四十九年度、五十年度におきましては合計一千億円の為替差損を出しております。そういったところからいたしまして、為替差損・差益の問題というものはやはり不安定なものでございますので、長期的にこれは考えなくちゃいけないんじゃなかろうかと思うわけでございます。  ただ、今回のOPECによる価格引き上げにつきましては、御承知のように、五%アップの国と一〇%アップの国がある。そういったところから、為替差益とこの値上げ分がどのように関連してくるかということも非常にむずかしいわけでございますが、ざっと計算いたしまして、大体日本の国が五%あるいは一〇%アップの油を従来どおりのシェアで入れるといたしますと、七ないし八%程度原油価格が上昇するんじゃなかろうか。こういたしますと、それだけで勘案いたしましても、年間でかれこれ五千億円程度のコスト増になってくるわけでございますので、それといま申し上げました為替差益が仮に五十二年度も五十一年度程度に出るといたしましても、それは値上げの幅をどうするかという問題でございまして、為替差益があるがゆえに一切値上げする必要はないというところまでのことは、非常に現実論としてむずかしい問題ではなかろうかと思うわけでございます。
  422. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 数字については、日本生協連は九百九十六億とこう言っているわけですが、いま八百億程度になるかもしらぬというんですが、私は端的に言って、これも委員会でずいぶん言ってきたことですが、差益が出た時点ですぐ下げるべきなんですよ、消費者の声というのは。国民は率直にそう思うんですよ。差益金が出たんだから、黒字になったんだから、その分は下がったってしかるべきなんだよ。ところが、下げないでいて現状据え置きという、こういううまい言葉によって、長い目で見なければならぬとかなんとか言って、一向に下げないわけだ。下げないできわけですよ、これは。しかし、八百億にもなるということになれば、これは私は、もちろん今度OPECから上がってきますから、仮に百歩譲ったとしても、私は現状の値上げはやっぱり行う必要はないんじゃないかと。これは経常利益に——これも「石油文化」という雑誌に出ておる資料によりますと、経常利益が今期下期の段階では四百二十九億くらい出るだろうと、こういうあれがちょっと出ていますわね、これ。これ確定じゃありません、もちろん。  したがって、私、そこで一つ通産大臣にお伺いしたいのは、北海道はことしは異常な気温で、幌加内というところは零下四十度なんだよ。札幌でも十度以下というのは四十五日続いたんだ。四十六日、正確に言うと。したがって、一冬にドラムかんで十五本たくんですよ。東京の人はぴんとこないと思うんだ。ドラムかんですよ、あの。十八リットルの石油かんを言っているんじゃない、私は。ドラムかん十五本というと、八千円ですからね、ドラムかん一本が。十五本というと大体十二、三万の一冬の燃料費なんですよ。ことしは零下十度を超えたものだから、もう常時たいてなかったらどうにもならなぬわけだ。したがって、もう五割アップですよ。こういう状況なものだから、結論的に申し上げますけれども、ずばり需要期、五月ですよ、私の言いたいのは。五月までは現状の灯油価格は絶対に値上げはしないと、凍結をするということをここではっきりひとつお約束願いたいと思うんです。
  423. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 北海道の特殊事情につきましてよく承知いたしておりますので、今需要期は値上げをしないように、文書をもって元売各社に通達をいたした次第でございます。なおまた、増産指導の問題やら、需要期を通じましての価格が安定的に推移をいたしまするように、引き続き全力を挙げて努力をいたします。
  424. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 一応需要期というのは五月ということでありますが、それまではひとつ凍結をして値上げをしないと、こういう通産大臣答弁ですから、これを了といたします。しかし、そう言葉で言ってみても、業界ですからね、通産省監視体制を強めて、われわれもひとつ監視をしていきたいと、こう思っています。  次に、北海道の出かせぎ問題につきまして労働大臣にお伺いいたします。  北海道では実は大変なことになっているわけです。実は出かせぎで、一昨年失業保険法が雇用保険法に変わりました。そのために在来九十日だったものが五十日になった。そのために失業者の数が北海道では五十年度は二十八万八千人、これは失業保険の受給者であります。五十一年度が二十九万三千人であります。家族を含めますと約百万人が、道民の五人の一人が実は季節労働者の深刻な危機になっているわけです。  そこで、私は端的にお伺いしたいんでありますが、この問題につきまして労働省はどういうふうな考え方を持っておられるのか、ちょっとお伺いします。
  425. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 私の記憶している数字と若干違いますが、大筋においては違いがないわけであります。特に、失業給付を受ける数は、全体として私どもは二十八万四千人くらいと記憶しております。その中で二十七万人がいわゆる夏型季節労働、一万一千人くらいが冬型の季節労働、それから五万人か六万人の間くらいがいわゆる出かせぎであります。そういうふうに把握をしておるわけでございます。その中で、農業や漁業と兼業をしている人、あるいは冬は働きたくないというような人を取り除きまして、冬季の就業のお世話をしなきゃならない人数は七万人程度ではなかろうかと考えておる次第であります。  雇用保険法は、失業保険法時代のいわゆる給付と負担の不公平、こういうことを是正するという目的も一つ持っておりまして改正をされたものでありまして、九十日を五十日に減らしたということだけをおっしゃいますが、そのかわり、五十日の給付をまとめて一遍にもらって、前の失業保険時代は保険の給付を受ければ他の職業につけなかったわけでありますが、今回の場合は五十日をまとめてもらっても他の職業へおつきになって結構だと、こういう制度になっております。そういう雇用保険法改正の精神にのっとりまして、雇用保険法自身をいじる意思はありませんけれども、しかしながら、北海道の実情につきまして近々特別調査をいたします。そしてその特別調査の結果に基づきまして、北海道の冬季に手当てを要する人たちに対しまする具体的な措置を検討いたしたい。特に、先ほども議論になっておりましたが、通年雇用をふやす、それから公共事業の冬季発注というようなことを増加させる、あるいはまた特殊職業の訓練の施行をするとか、諸般の処置を講じてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  426. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま、労働大臣から現状についての認識という形でお答え願ったわけですが、数の上ではそう変わりはないんですけれども、ちょっと違うのは、出かせぎが五、六万というんですが、実際は十一万なんです。これ、ちょっと数字が違っています。これはちょっと申し上げておきます。  そこで私は、実態をやっぱり労働大臣まだ認識されてないようなら、率直に申し上げるんですが、これは現状こうなっているんです。これを私に取り上げてくれということで、もう毎日のように陳情団は来る。もうささやかなはがきで全部訴えられているんです。これは大臣、こういうことなんです。五十日一時金ということは、大臣もこれはお調べになってわかると思うんですが、最高で十九万円ですよ、受給者は。最低で七万円です。そうしますと、五十日ですから、ちょうど北海道の出かせぎ労働者というのは、これは秋田県と違うんですよ。大臣は秋田出身だから申し上げるんだが、秋田の場合は農業兼業労働者が多いわけです。ところが、北海道のいわば出かせぎというのは専業なんですよ。ほとんど建設労働者に大半が働いている方であります。だから十二月に帰ってくるわけだ。十二月から受給資格を受けておって五十日といいますと、大体二月の中旬から二月の下旬になくなるわけです。そこで、金がなくなるとどうなるかというと、いま現実に晩はもう七時になったら寝るんですよ。朝十一時に起きるんですよ。そういう早寝遅起きをして、とにかく燃料費を縮めたりなんかしなければどうにもならぬわけだ、これははっきり言って。こういう状態でもって現実にいまの状態ではね、燃料、電気代の節約が精いっぱいなんです。それを放置できないということで、国も施策がないものだから、市町村段階でこれにどういう手だてをしているかということは労働省はつかんでないんですよ。そこで、市町村段階では、もうすでにつかんでいるのは、ことし高校へ入学する七六%が学校へ行けないと言っているんですよ、高校にはいれないんですよ。したがって、定時制でもって通わざるを得ないという訴えが出てきているわけだ。そこで、具体的に、この間から毎日のように市町村の村長が私のところに回ってきていますがね、これは労働省にも行っているんですが、最低でもって少ないところで五万円、多いところで十五万円を生活資金として貸しているわけですよ。それから、とりあえず当面の事業、何とか仕事をふやしてやろうということで、予算の起債を起こすことができないものだから大変市町村は困っているわけだ。こういう中で、生業資金として十万円から十五万円貸し、そして新入学児童が上がるといっても金がない、そこへもってきて先ほど言ったように市町村はもう四苦八苦だ、地方財政は。その中で何とか仕事を起こそうといっても金がない。これでは野たれ死にで、留萌でもって一月の二十三日の日に自殺している——未遂に終わっていますがね、名前はちょっと個人にわたりますから言いませんが、こういう現状だということを大臣ひとつ認識しているかどうかですよ、問題は。
  427. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) これは数字の違いは論争しても仕方がございませんが、私も自分の暗記しているやつが正確だという自信はないんですが、北海道が——これはまあいつも対馬さんとこの問題で話をすると、秋田と北海道は違うと、こうしょっちゅう言われるが、私も豪雪地帯の出身でございます。したがって、その実情は、それは程度は北海道の方が激しいとは思いますけれども——思うんじゃない、激しいんですが、しかし基本的には同じようなものであります。したがって、そういう実情に対する処理の仕方というものについては、先ほど申しましたように、実情を調査しました上で、公共事業の発注、施行、それから特にこの冬季の施行、こういうようなものについて促進をいたします等、いわゆる就業の機会の増大に全力を注ぎたい。  それから、いまの市町村等の中で二十数市町村がいまお話しのような生業資金の貸し出しをやり、検討中のところが七、八町村あるという、それからまた単独事業を計画しておるところがすでに二十幾つあるということも、承知はいたしております。したがって、これはまあ私どもの方だけでやれることではございませんけれども、通年施行その他雇用機会の増大ということに全力を注ぐことが筋であろうと考えておりまして、雇用保険法というものについていまのところは改正する意思はございません。
  428. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 やっぱり大臣ね、知らな過ぎるね。やっぱり秋田県方式だけで北海道を、物を考えてはだめですよ、あんた。大臣、北海道へ来た方がいいよ、率直に言って。北海道見なければだめだ。
  429. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) 二十八日に参ります。
  430. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ああそうですか。それじゃひとつ、ただ来るだけでなくて、現地見てくださいよ、いいですな。  大臣ね、五十歳以上が、これは希望しておっても全部はねられているんですよ。北海道出かせぎの十一万のうち五十歳以上というのは三五%を占めているわけだ。これは希望しても、官庁の方で五十歳以上受け付けませんと言って、ぼんと最初からはねられちゃうんだよ。そういう実態で、そこがちょっと実態が違うということを私は言いたいんだよ。  もう一つの問題を私申し上げますけれども、開発庁とこの間ぼくは折衝したんだ、はっきり申し上げると。開発庁、それじゃ大臣が言うとおり、何とかこの冬場をしのぐための事業発注はできないかと、やりましたよ、私らも。ところが、現実にね、冬場だから単価アップをしなければ仕事にならないわけですよ。それじゃ政府がひとつね、大蔵大臣に聞きますけれども総理大臣でもいいわ、北海道に関する公共事業投資の単価を二割増ししますか、冬場だけできますか、できないでしょう、現実に。これはできないと言うんだ、開発庁では。できないから、先生の言うことはわかるけれども、仕事はとてもこれはいまふやすわけにはいきませんと、こうなるわけですよ。だから大臣の言うことは、それは言葉としては言えても、実態論が伴っていってないということだ。大臣、ここを認識してもらいたいんだ、私は。  何も仕事をふやすことがだめだと言っているんじゃないんだよ。結構だが、それだけではどうにもならぬので、私の言いたいのは、秋田県のように農業兼業者で五十日でいいところもあるんですよ、これは否定しません。ただ、私が言いたいのは、五十日でよければ五十日でいいし、九十日でなければ生活できなくて自殺にまで追い込まれるという、こういう方に対しては、五十日を選ぶか九十日を選ぶかについては本人の選択権に任していいじゃないかと、こういう面でひとつ検討することができないかと、私はこう言っているわけですよ。わかるでしょう、総理大臣も。
  431. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) お答えいたします。  いまの五十歳を過ぎた人ははねるかどうかという実態ですが、それは後で職業安定局長から——私は知らなかったことであります。  それから選択制の問題でございますが、これは四十九年に法律ができて……
  432. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 わかっています。
  433. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) そして、よくおわかりのように、五十年一年はやりました。したがって、これについていろいろな想定された議論もあったわけです。その議論のまとまりが現在の雇用保険法でありまして、現在の雇用保険法の方が利益を得られる部面もたくさんあるわけでございます。したがって、今回は、選択制というものを継続するということよりは、やはり何とか工夫をして——これは北海道だけ二割上げられて、青森、秋田がほっとかれたら、こっちも困るんでありまして、上げるならやっぱり、程度の差は別として、積雪寒冷地はほどほどに足並みをそろえてもらわにゃ困るわけで、そういうこともあわせて、やはり実際通年雇用ができて、その雇用機会が増大するように努力をいたしていくことによって改善の道を探りたい、こう考えておる次第であります。  ちょっと、いまの五十歳以上の云々ということは……。
  434. 北川俊夫

    政府委員(北川俊夫君) 私の方で季節受給者につきまして年齢階層別に調査をいたしておりますが、それによりますと、二十歳代、三十歳代、四十歳代、五十歳代が大体均等という把握をいたしております。大体均等、同じ程度というふうに把握をいたしております。
  435. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それはね、安定局長、全然違ってますよ。これ数字をもって申し上げますか。私は、これ道庁が出した数字ですよ、道庁が。これは五十歳から六十歳以上でもって五千百六十名というのは、希望しているにかかわらず、これは最初から五十歳以上は現状仕事はもう若年の方にウエートがあるのでお断りいたしますと、こうなっているんですよ。はっきりしているんだよ、これはあなた道庁の数字ですよ、ぼくがでたらめに書いているんじゃないんだから、後でお見せしてもいいんだよ。そういうのを実態をやっぱり知らな過ぎるんだね、やっぱり。  それから、私はここで特に労働大臣にもう一回申し上げたいんですが、先ほど単価の問題はお答えになっていませんね。開発庁あたりは単価アップはできないと言っているんですよ。ただ仕事をふやしてくれと言ったって、冬場の仕事はできませんと、こう言うんですよ。時間も来たようですから、私は再度お伺いする。この間現地に調査団を送ってくれと言ったのは私なんです。これは大臣も御承知のとおりです。幸い、労働省が現地にあした二人派遣していただくことになりました。大臣も二十八日に行ってくれるということですから、これは結構なことだと思うのでありますが、私は、その調査の実態の上にたちまして、ひとつ単に保険法を改正しないと頭から大臣決め込まないで——仕事を発注する方法があったらそれも結構だと言っているんですよ、私は。だめだと言っているんじゃないんですよ。それは東北六県も含めて私は言っているんですよ。秋田なり岩手なり山形のような実情で、ある人は五十日選ぶ方があれば、それは五十日選んでもらって結構だし、九十日——茨城、北海道のような実情の中で、もはや野たれ死にしなければならぬような実態があるとすれば、この実態についてひとつ調査の上に立って、実態論にタイアップしたような善処策を講じてもらいたい、こう考えるわけです。
  436. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) まあおととしいろいろな御議論を踏んまえてそして改正された法律でございますので、それを改正することを前提に、たった二年しかたたないものを改正することを前提にするというお話は申し上げるわけにはまいりません。しかし、調査の結果をむだにするようなことのないような万般の処置は講じてまいりたいと思っております。
  437. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ひとつ福田総理、現状認識はいま私が申し上げたようになさったと思いますので、労働大臣もそう言っていますけれども、ひとつ総理大臣としても、上州任侠の精神じゃないけれども、強きをくじき弱きを助ける精神でひとつこれを救ってもらいたいと思うんですけれども、その点どうですか。
  438. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 北海道の抱える諸問題につきましていろいろお話を承りましてありがとうございました。できる限りの努力をいたします。
  439. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ以上で終わります。(拍手)
  440. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして対馬孝且君質疑は終了いたしました。  なお、明日は午前十時から委員会を開催することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後六時七分散会      —————・—————