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政府委員(吉瀬維哉君)
昭和五十二年度
予算の
概要につきましては、ただいま大蔵大臣から御
説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして、補足
説明いたします。
まず、
財政の
規模について御
説明いたします。
昭和五十二年度
一般会計予算の
総額は、歳入歳出とも二十八兆五千百四十三億円であって、五十一年度当初
予算に対し一七・四%の
増加となっております。
昭和五十二年度
予算の
規模は、
財政体質の
改善を図りつつ
景気の着実な
回復に資するよう適度なものとなっております。
ちなみに、
昭和五十二年度の
経済見通しによれば、
国民経済計算上の中央、
地方を含めた
政府資本支出の
伸び率は一五・九%となっており、
国民総生産の
伸び率十三・七%を上回るものとなっております。
次に、歳入について御
説明いたします。
まず、
税外収入は、一兆七千二百四十四億円でありますが、その内訳は、専売納付金五千四百九十億円、官業益金及び官業収入二十八億円、
政府資産整理収入千三百六十九億円並びに雑収入一兆三百五十七億円となっております。なお、
政府資産整理収入には、
貴金属特別会計の廃止に伴う整理
収入見込み額九百九十八億円が含まれております。
前年度
剰余金受け入れ六百九十九億円は、昭知五十年度の繰越歳出
財源控除後の新規発生剰余金三千二百四十一億円から、
昭和五十一年度補正
予算に計上された二千五百四十二億円を差し引いた残額でありまして、
地方交付税交付金に五百九十六億円、交通安全
対策特別交付金に百億円、空港
整備事業費等に三億円が充てられることとなっております。
なお、大蔵省証券及び一時借入金の最高額につきましては、国庫の
資金繰りを考慮し、
予算総則において、二兆九千億円と定めております。
次に、歳出について、社会保障関係から御
説明いたします。
社会的、経済的に弱い立場にある人々に対する
施策として、
生活扶助基準を十二・八%に
引き上げる等
生活保護の
改善を図るとともに、
社会福祉施設入所者の
生活費の
引き上げ、失業
対策事業就労者の賃金日額の
引き上げ、心身障害者
対策の
充実、世帯更生貸付補助金及び母子
福祉貸付金の大幅増額、原爆被爆者に対する特別手当月額の
引き上げ等の
措置を講ずることといたしております。
医療
制度につきましては、一歳半児健診
制度を新たに設けるほか、
救急医療体制の
体系的整備を図るため、休日夜間急患センターの大幅
拡充、二次救急医療
機関及び救命救急センターの新規
整備等を行うこととして、大幅に
予算を増額するとともに、高度不採算医療を行う公的医療
機関に対する
助成を
充実することといたしております。
医療保険につきましては、
国民健康保険に対する
助成を大幅に
強化することとしており、市町村及び
国民健康保険組合の
財政の
健全化を図るため臨時
財政調整交付金等を増額することとしております。また、
政府管掌健康保険につきましては、傷病手当金の支給期間の延長を行う一方、標準報酬、患者一部
負担金等について所要の改定を行うこととし、
制度の
合理化を図ることといたしております。
厚生年金及び
拠出制国民年金につきましては、
物価スライドを実施して給付水準を九・四%
引き上げることとしており、また
福祉年金につきましては、老齢
福祉年金の支給月額を一万三千五百円から一万五千円に
引き上げる等の
措置を講じております。
雇用
対策につきましては、最近の
雇用情勢に対処するため、
雇用安定資金を創設し、雇用安定のための
事業の
拡充を図ることといたしております。また、
中高年齢者を
中心とする
職業転換対策等につきましても、手当額の
引き上げを行う等その
充実に配意いたしております。
次に、
文教及び科学
振興について御
説明いたします。
まず、
公立文教施設の
整備につきましては、
児童生徒急増市町村における公立小中学校校舎の新増築等に重点を置いて
事業量を
拡大するほか、高等学校生徒急増問題に対処するため前年度に新設された
公立高等学校新
増設建物整備事業に対する補助を大幅に増額する等、
施策の
充実を図ることとし、前年度当初
予算に対し二〇・四%増の三千二百十三億円を計上いたしております。
私学の
助成につきましては、私立大学等経常費補助金を前年度当初
予算に対し二四・四%増の一千六百五億円といたしておりますほか、都道府県による高等学校以下の
私立学校に対する経常費
助成を促進させるための私立高等学校等経常費
助成費補助金についても前年度
予算に対し六六・七%増の三百億円を計上いたしております。
育英事業につきましては、育英
資金の貸与月額及び貸付対象人員の増を図る等、その
充実を図ることといたしております。
また、大学入学者選抜方法の
改善を図るため、五十四年度入学者の選抜から国立大学共通第一次試験を実施することを目途に、
昭和五十二年度には大学入試センター(仮称)の設置等を進めることといたしております。
さらに
科学技術の
振興につきましては、時代の
要請に即応した諸
施策を講ずることとし、四十八億円を計上いたしております。
国債費二兆三千四百八十七億円の内訳は、
国債及び借入金償還費三千六百八十三億円、
国債利子等一兆九千三百十六億円、及び
国債事務取扱費四百八十八億円であります。
恩給につきましては、
恩給年額を平均七%
引き上げるとともに、改定の実施時期を一カ月繰り上げ、五十二年六月からといたしております。このほか、
公務扶助料の最低保障額を
引き上げるとともに、傷病恩給の
改善、旧軍人等の加算恩給の減算率の緩和等の
措置を講じ、五十二年十月から実施することといたしております。
公共
事業関係費につきましては、前年度当初
予算に対して二一・四%増の四兆二千八百十億円を計上しており、その内訳は、一般公共
事業関係費が二〇・七%増の三兆八千五百五十二億円、災害復旧等
事業費が二八・〇%増の四千二百五十七億円となっております。
まず、
住宅、
下水道環境衛生等施設につきましては、
住宅対策について前年度当初
予算に対し二〇・五%増の四千三百七十五億円を計上するとともに、下水道、公園、廃棄物処理
施設等の
整備について三三・二%増の四千九百四十九億円を計上いたしております。
また、
治山治水等の国土保全
事業、
農業基盤整備事業等につきましても重点を置くこととし、
治山治水事業について前年度当初
予算に対し二二・五%増の六千六百六十五億円、
農業基盤整備について二二・四%増の五千三百五十四億円を計上いたしております。このほか、道路
整備、沿岸漁場
整備等につきましても
配慮しているところであります。
なお
治水及び
治山につきましては、
昭和五十二年度を初年度とする総投資
規模がそれぞれ七兆六千三百億円及び一兆二千億円の第五次五ヵ年計画を策定することとしており、また漁港
整備につきましては、
昭和五十二年度を初年度とする総投資
規模一兆四千五再億円の第六次六カ年計画を策定することといたしております。
経済協力費につきましては、二千百九億円を計上いたしておりますが、このうち主なものは、国際
協力事業団に対する交付金及び出
資金三百六十二億円、海外
経済協力基金出
資金七百六十億円、各種国際
機関に対する分担金、拠出金等四百七十七億円並びに経済
開発等援助費百八十億円であります。このほか、食糧増産のための援助を新たに行うことといたしております。
中小企業対策費につきましては、前年度当初
予算に対し一六・四%増の一千七百二十九億円を計上いたしております。
まず、小
規模事業に対する
対策といたしまして、小
企業経営改善資金融資制度につき、貸付対象の
拡大を図るとともに
融資規模及び貸付条件の
拡充、
改善を行うこととし、融資の原資に充てるための
国民金融公庫に対する貸付金二百二十五億を計上するほか、小
規模事業対策費として二百二十六億円を計上いたしております。
このほか
中小企業信用保険公庫及び
中小企業振興事業団に対する出資を大幅に
拡充し、中小企業者に対する信用補完を
拡充するとともに、中小企業の近代化、高度化を促進することといたしております。
次に、農林漁業関係につきましては、
農業基盤整備費五千三百五十四億円を初めとし、
農業団地育成
事業費八百七十七億円、麦、大豆、
飼料作物等生産振興対策費三百十五億円、
農業の担い手、
後継者対策七十一億円、農産物備蓄
対策費三十億円、
生鮮食料品流通等
対策費四百四十九億円、林業
振興費三百二十四億円、水産業
振興費三百二十八億円等を計上いたしております。
なお、二百海里経済水域問題に対処し、わが国水産業の
振興と水産物の
安定供給の
確保を図るため、新漁場
開発調査事業の
拡充、沿岸漁業及び栽培漁業の
振興、漁港の
整備等の諸
施策を講ずることとしており、二百海里水域
対策関係
経費は全体として、前年度当初
予算に対し二七・九%増の一千二百九十一億円となっております。
食糧管理費につきましては、
食糧管理特別会計調整勘定へ六千九百七十億円繰り入れるほか、
水田総合利用対策費九百八十二億円等を計上いたしております。
日本国有鉄道につきましては、経営
改善措置を
推進するほか、国鉄
財政の再建が逆行することのないよう、必要最小限度の
運賃改定とし、九月から名目一九%の改定を実施することを予定するとともに、国の
助成措置の大幅な
拡充を図ることとし、前年度当初
予算に対し二四・〇%増の四千四百五十七億円を計上することといたしております。
次に、
昭和五十一年度補正
予算について御
説明いたします。
まず、
一般会計予算の歳出の補正について御明明いたします。
公共
事業関係費の追加二千六百三十八億円の内訳は、一般公共
事業関係費一千七百三十六億円、災害復旧等
事業費九百二億円となっております。
一般公共
事業関係費につきましては、再度の災害を防止するため
治山、
治水等の国土保全
事業に五百九十億円を追加するとともに、道路
整備事業費五百三億円、下水道
事業費等の
生活環境施設整備費百八十三億円、
農業基盤整備費二百九億円、日本
住宅公団補給金二群三十六億円等をそれぞれ計上することといたしております。
災害復旧等
事業費につきましては、
昭和五十一年における災害による公共土木
施設等の被害額は例年になく大きく、八千五百億円程度となっておりますが、災害の早期復旧を図るため、復旧進度を高めることとして、所要額を計上し、遺憾なきを期しております。
農業保険費につきましては、
農業共済再保険
特別会計に再保険金支払い
財源不足
見込み額を繰り入れる等のため五百三十一億円を追加計上いたしております。
給与改定につきましては、人事院勧告の実施に伴う国家公務員等の給与改定のため四百二十七億円を追加計上いたしております。
義務的
経費の追加二百七十九億円のうち主なものは、義務教育費国庫
負担金百三十一億円、
国民健康保険
助成費九十七億円、老人医療費十九億円、
生活保護費十二億円であります。
国債整理基金特別会計への繰り入れ二千百七十七億円は、
財政法第六条に基づく
昭和五十年度の決算上の剰余金等を繰り入れるものであります。
その他の
経費につきましては、国立学校
特別会計への繰り入れ二十八億円、国立病院
特別会計への繰り入れ十四億円、及び糖価安定
事業団交付金十八億円を計上いたしております。
歳出の修正減少額二千五百六十九億円の内訳は、既定
経費の節減九百六十九億円、
公共事業等予備費の減額百五十億円及び一般
予備費の減額一千四百五十億円であります。
次に、歳入の補正について御
説明いたします。
前年度
剰余金受け入れ二千五百四十二億円は、
昭和五十年度の新規剰余金のうち、揮発油税及び石油ガス税精算額に相当する額と、
財政法第六条の純剰余金との合計額を計上したものであります。
公債金につきましては、すでに大蔵大臣から申し上げましたとおり、
財政法第四条第一項ただし書きの規定に基づく
公債を二千億円増額するとともに、
昭和五十一年度の
公債の
発行の
特例に関する法律に基づく
公債を一千億円減額することといたしておりますので、五十一年度の
公債発行予定額は、
財政法第四条に基づく
公債三兆七千二百五十億円、
特例公債三兆六千五百億円、合計七兆三千七百五十億円となっております。
特別会計予算につきましては、
一般会計補正予算における公共
事業関係費、
農業保険費等の追加等に関連して、
農業共済再保険
特別会計等九
特別会計について所要の補正を行うことといたしております。
政府関係機関予算につきましては、
日本国有鉄道及び日本電信電話公社につきまして、運賃・料金改定の実施時期遅延による減収等に伴う所要の補正を行うことといたしております。
以上をもちまして、所管する事項についての補足
説明を終わらせていただきます。