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1977-06-08 第80回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年六月八日(水曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      岩上 妙子君     福岡日出麿君      稲嶺 一郎君     後藤 正夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         橘  直治君     理 事                 青井 政美君                 鈴木 省吾君                 鶴園 哲夫君                 相沢 武彦君     委 員                 梶木 又三君                 後藤 正夫君                 塚田十一郎君                 初村滝一郎君                 福岡日出麿君                 前川  旦君                 藤原 房雄君                 塚田 大願君                 向井 長年君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林省構造改善        局次長      福澤 達一君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林水産技術会        議事務局長    下浦 静平君        食糧庁長官   大河原太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十二年産米麦価等に関する件)  (昭和五十二年産米麦価決定等に関する決議の  件)     —————————————
  2. 橘直治

    委員長橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  ただいま岩上妙子君及び稲嶺一郎君が委員を辞任され、その補欠として福岡日出麿君及び後藤正夫君が選任されました。     —————————————
  3. 橘直治

    委員長橘直治君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十二年産米麦価等に関する件を議題といたします。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まず初めに、これは五月の十九日なんですけれども、共同通信の農林経済版に米の過剰の状況が、農林省発表ということになりますか、農林省の最近の米の需給動向をまとめたということで報道されておるわけですが、それによりますというと、五十年度は古米持ち越しが二百万トンというふうに考えていたところが、去年の十月末で二百六十四万トンになった。五十一年度は非常に大きな凶作に遭ったにかかわらず、作況が九四ということもあって、五十二年の十月末、ことしの十月末になりますが、三百二十万トンから三百三十万トン余るだろう。さらにことしのお米でありますが、これは潜在生産力を最低に見積もって、さらに需要量上限をとってみて、五十三年の十月末には、来年の十月末には四百万トン程度余るだろう、こういうようなことが米の需給動向として農林省発表したような形になっておるわけです。この問題について食糧庁長官、こういう状況でありますかどうか、伺いたいと思います。
  5. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) ただいま御指摘ございましたように、農林省といたしましては昨年の十月末の古米持ち越し在庫が二百六十四万トンということでございまして、今米穀年度の末、十月末でございますが、ことしの予算編成当時は、おおむねその水準で横ばいで推移するのではないか。と申しますのは、五十一年産の米の生産量が、御承知よう冷害等によりまして平年度を下回ったということもございますので、おおむね同一の水準古米在庫持ち越しができるのではないかというように見ておりましたけれども、その後の需給推移検討いたしますと、最近の見通しでは今年度米穀年度末に三百二十万トンないし三百三十万トンになるのではないかと、このように見ておるわけでございます。  さらに、今年産米の作柄が平年作で推移するというふうに前提を置きますと、来年度は最近の消費動向等を勘案いたしますと、来年十月末の米穀年度を持ち越す際には、四百万トン前後の水準に達するのではないかというよう推定をいたしておるわけでございます。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 昨年、冷害で大変騒がれたわけですけれども作況にかかわらずということになりましょうが、作況が九四%にかかわらず余ったということは、これは要するに去年から始まりました水田総合利用対策、これの達成率が九一%と低かった。このことがやはり大きく響いているんじゃないだろうかと思いますが、ことしの問題につきまして月曜日と火曜日、きのうまで東京で地方農政局長会議が開かれましたようでありますが、その模様がきのうの新聞に載っておるんでありますが、それによりますと、米の生産調整という言葉を使ってありますが、米の生産調整目標を下回る予定だと、こういう報道になっております。  中身をちょっと読んでみますというと、この米の生産調整、これは去年九一%ですが、ことしは九一%どころではないのじゃないかという感じを受けるわけです、この中身を見ますと。あちこちの局長からの報告が行われておりますが、特に去年冷害を受けました地域品種を変えつつある。秋田である、福島である、あるいは新潟である、こういうところが多収穫の品種へ変わりつつある、こういうよう報告が行われておりますが、そういたしますと、これはことしの十月末に三百二、三十万トン、あるいは来年の四百万トンということは、ごく内輪に見積もった数字ではないのかという印象を強く受けるわけですが、見解を聞きたいと思います。
  7. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) 一昨日、昨日と地方農政局長会議農林省で開催いたしました。そこで、今年度の生産調整実施状況につきましても、現段階での進行状況につきまして動向報告の中で触れられておったわけでございますが、ただ、現在まだ正確に転作実績の把握をする段階ではもちろんございませんので、例年のように七月の半ばごろに計画としてどの程度策定をしたかということが判明をするわけでございます。最終的な実績は秋にならなければわからないということでございますので、現段階での聞き取り、報告による印象的な見通しでございますけれども地域によって若干の差はございますけれども、一〇〇%達成はややむずかしいのではないかというふうに思いますが、昨年度の実績達成率は上回ることができるのではないかという感じは持っておりますが、いずれにいたしましても、現段階で正確に申し上げる段階には至っておりません。ただ、地域的に申し上げますと、昨年非常に成績の悪かった北海道等におきましてはわりと達成率が高く行くのではないか。それ以外の地域、特に西日本等におきまして、昨年に比べまして達成率がはかばかしくないというよう地域もあるようでございます。  で、もう一点の、三百二十万トンないし三百三十万トンが若干低目ではないか、こういう御意見でございますが、三百二十万トン−三百三十万トンという今年十月末の古米持ち越し数量推定は、今年の作柄とは直接関係を持ちません。昨年の生産されました米が本米穀年度中に十月までの間に主として消費をされていくということでございますので、ただいま申し上げました本年の転作実施率といいますか、達成率とは直接関係がない問題でございます。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま局長が後でお答えになりました、確かにそういうわけですが、このきのう、おとといの農政局長会議報道を見ますというと、やはり去年の九一%という数字、ことしも相当大幅に落ちるだろうというよう結論ような書き方をしてあるわけですね。そうしますと、来年の十月末の四百万トンというのが過小に見積もられておるというふうに言わなければならぬのじゃないだろうかと思いますし、また事実、この農林省のまとめましたものによりますと、これは新聞報道でありますけれども、まとめたものによりますと、潜在生産力を下限に見積もってそして需要上限にとってと、こういう形で四百万トンというのが余る、こういう見通しでありますから、それにいま申しましたことしの生産調整状況が相当下回るのではないかという点等考えますというと、この四百万トンというのは、これは内輪数字に見られるのではないかというのが私の感じであります。  そこで、こういう事態になりますというと、ちょうど昭和四十四、五年ごろの状況に近づいてきたという感じすら受けるわけであります。そういうことを念頭に置きながら若干お尋ねをしたいわけでありますが、一時その質問を少しおきまして、大臣がお見えになりましたですから、大臣にひとつお尋ねをいたしたいわけであります。  五月の二十六日の新聞報道でありますけれども大蔵省米価について方針を固めたということで非常に大きく報道されておりまして、それによりますというと、生産者米価は五%以下に抑える、消費者米価は五年間で売買逆ざやをなくするという方針のもとで一〇%程度麦価については、パリティ等によって推定をしてみるというと、ことしは生産者麦価は七%、消費者麦価といいますか、政府払い下げ麦価、これは一五%、こういうよう数字が大変大きく報道され過ぎておりまして、昨年農林省——農林大臣と言った方がいいわけですが、二・五%の諮問をされて、そして米審の方は二・五%という答申をして、そして決まりましたのは六・四%というふうに決まった。率直に言いまして、一体農林省諮問というもの、米審答申というものは一体何ものだ、こんなものはない方がいいという感じすら与えたと思うのです。  しかし、それはいま別にいたしまして、結論は、こういうことに大蔵省方針を固めたという、こういうところに行くのかなあという印象を与えるわけなんですね。それはいままでの農林省諮問答申、そして米価決め方、こういう観点から言いますというと、どうもこの大蔵省方針を固めたという、生産者米価は五%以下だ、消費者米価は、これは政府払い下げでありますが、これは一〇%程度麦価は、生産者麦価が七%、そして政府払い下げ麦価が一五%、こういう感じを受けざるを得ないわけですけれども大臣、どういうふうにお考えになりますか、お尋ねをいたします。
  9. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 長い間モスクワで交渉をやっておりまして、大蔵省がそういう見解発表したということは、帰ってまいりまして初めて私も承知いたしたわけでございますが、しかしまだ、農林省大蔵省との間に十分な協議も実はいたしておりません。先ほど来官房長等から御報告を申し上げておりますように、米をめぐる需給動向、その他諸情勢、食糧問題全体の状況等をいまあらゆる角度から検討いたしておりまして、生産調整問題価格あり方、そういう問題をいま省内で検討しておるという段階で、まだ大蔵当局と具体的な話し合いをいたしておりません。そこで、大蔵省がどういう考えのもとにそういう新聞発表になりましたか、その間の事情は私承知をいたしておらないところでございます。  なお、鶴園さんから、政府米審に対する諮問米価と最終的な決定との間に大きな開きがある、諮問にしてもまた米審答申にしても十分それが権威のあるものとして生かされていないのではないか、そういう米価決定あり方はおかしい、こういう御指摘、これもよく私、御指摘の気持ちがわかるわけでございますが、私はさき決定をいたしました乳価並びに食肉価格決定当たりましては、そういうあり方は適当でない、こう考えまして、できるだけ慎重にあらゆる検討を経て行った政府諮問価格あるいは答申の御趣旨というものは、それが相当権威のあるものとしてそれを中心に、微調整はありましてもそういう方向決定をされるということが望ましいと、こう考えまして、乳価並びに食肉価格の際におきましてはそういう方針で一貫をした、こういうことでございます。今後、米麦価決定当たりましてもできるだけそういう方向でやってまいりたい、こう考えております。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣の後者の方の米審問題についての考え方については了解をいたします。とにかく米審存在というのが、内部ですら大変不満がある。大変不満であって、むしろなんでしょう、存在価値すら疑う人もあるし、われわれも、私もそうであります。米審の長年の動きを見ておりまして、米審そのもの存在すらこれは疑わなきゃならないというよう状況でありますから、いまお話しのありましたように、ひとつ乳価の場合に対処されたよう考え方でこの米審問題についても、また諮問問題についても、取り計らっていただきたい。  それから前者の方は、私はこれを見まして一番やはり感じますことは、生産者米価にしましても、それから麦価にいたしましても、あるいは米の値段の決め方にいたしましても、財政主導型といいますか、余りにもこれが極端に出過ぎると。よく財政主導型、財政主導型と言われるんですけれども、こういうふうにまだ米価検討ようやく進みつつあるよう段階で、すでに財政当局からこういう数字を大きく報道されるということは、これはどうも農林省にとってはみっともない話だという感じを持ってしようがないですね、所管省はこれは何といいましても農林省なんですから。ところが、財政当局はこういうよう発表を五月の二十六日の新聞に大々的に報道されちゃう、方針を固めたというのでは、これはどうも財政主導型の、確かに財政の方の意見があっていいと思うんですが、しかし、いままでよく言われますように、特に米麦価の場合に財政主導型というよう言葉がよく言われるわけですけれども、今度もまたその露骨なものが出てきた。これはどうも何ともちょっと、農林省としてはもう少ししっかりしてもらわなければ困るという感じがしますですね。去年は大蔵省の方が、米についてのパンフレットを出しました。大変詳細なパンフレットを出しまして、これは見ておってもどっちが農林省かわからない。農林省でつくったのかなと、表を見てみたら大蔵省なんですね。とんでもないりっぱなパンフレットが出たわけですが、今度はまた出るのかもしれませんですけれども、こういうふうに極端に財政主導型のものが飛び出してきたのでは困るというふうに思いますけれども大臣のひとつ見解を聞いておきたいと思います。
  11. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) こういう状況下にございますし、財政事情もなかなか苦しい。財政当局にもいろいろの考え方があるだろうと思います。しかし、食管法で、生産者米価農家の再生産がなされるようにそれを旨として決定をする、また消費者米価は国民の生活の実態また物価の動向その他を勘案をして生活を守っていくということを旨として決める、こういうことが明示されてあるわけでございますから、農林省としては財政当局意向意向としても、そういう食管法の精神を踏まえて、この米麦価決定につきましては、農林省としてもその考え方を十分貫いてまいるようにいたしたい、こう考えております。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、こういう米麦価がこれから問題になろうというやさきに、財政当局財政当局の立場からのみでこういうようなものを大々的に出していくということは、大変よくないことだというふうに考えております。  そこで、この問題はまた後でお伺いをすることにいたしまして、さきに戻りまして、今度の農業白書要旨というのが出ておりまして、その要旨の十二ページなんですが、それによりますと、専業農家増加したと。確かに専業農家増加したと思います。さらに第二種兼業農家、二兼の方の増勢が大幅に鈍った、さらに中規模の経営農家、これが労働市場の縮小に対応して積極的に農業就業に力を入れ始めた動きがある、こういうふうに書いてありまして、これもいずれもそうだろうと思います。私ども現実に農村を回りましてもそういう印象を強く受けるわけですが、そして書いてありますことは、生産活動がかなり活発化してきている。「この生産活動高まりは、現在までのところ主として米と畜産を指向しているようにみられる。」、こういうふうにこの要旨の十二ページに指摘をしているわけであります。  そうしますというと、これは米と畜産に、いまのすべての農家と言ってもいいと思いますが、活発な生産の指向が向いているということになりますと、私が先ほど申し上げました生産調整問題についての率の問題達成率といいますかの問題だけではなくて、もっと生産力そのものが米は高まってくるのではないか。そうしますと、先ほどお話ありました来年の、いまのところ来年になりますが、来年の米が四百万トンというような、これはごく内輪数字になるように思えてしようがない。そういう白書を踏まえて、あるいはいまの農業動き、あるいはきのうとおとといの地方農政局長会議の論議を踏まえて私が申しておる、来年の四百万トンはごく内輪問題と言わざるを得ないのではないかということに対する見解を伺いたいと思います。
  13. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) 来年十月末に約四百万トンの古米持ち越しになるのではないかという点につきましては、先生の御指摘のとおり、過小ではないかというような見方もあるわけでございます。と申しますのは、今年度の産米が千二百十万トンであるという、平年作を前提といたしまして千二百十万トンという前提に立っておりますが、これは先ほど来御質問になっております今年度の転作達成率が一応目標達成する、一〇〇%達成するという前提ではじいております。したがいまして、もしこれが九〇数%というようなことで達成率が下がりますれば、四百万トンというのは若干上回るということになる可能性を持っております。そういう意味で、四百万トンという推定方法自体におきましてそういう前提を置いておりますので、先生の御指摘よう心配もあり得るというふうに考えております。  もう一つお尋ねの、白書との関連で、最近の生産活動が高まっておるけれども、米と畜産に主として向いておりましてその他の一般畑作物等には必ずしも生産活動高まりが顕著に見られないという点は、白書でも書いておるとおりでございまして、われわれといたしましては、水田転作を進めます際には、目標数量自体も最近の需給動向からいいまして高める必要があると思いますが、それが一〇〇%目標達成されるよう対策をどうすべきかということにつきまして、現在来年度の施策検討一環といたしまして、抜本的な改善策について検討いたしておるところでございます。もちろん、米の収益性転作作物収益性をバランスをとるということが重要な一つのポイントになると思います。それだけでなく、基盤整備によります転作を容易にする条件を整備するとか、あるいは転作作物技術の向上、あるいは転作をする畑作経営の規模の拡大の問題等々含めまして、価格政策もその一環といたしまして、現在検討しておるところでございます。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 五十一年からの水田総合利用対策という形で実質的な転作を奨励しておられるわけですけれども、これはその前にとられましたところの稲転生産調整よりも大変狭まったわけでありまして、林地にするとか、休耕地にするとかというようなものは対象にはならないわけでありますから、大変狭まったものになっておるわけであります。そこへもってきて、いま私が白書を引用して申しましたよう動きというものはこれはもう否定できない、そのとおりだと思います。そういたしますというと、私のいままで論議いたしました結論は、これは四百万トンを来年は超すことは確実だというふうに見なければならない。そうなりますと、これは破局的な状態になるのではないかという心配をするわけであります。  そこで、その破局的な心配をするのだが、一体どう対策をおとりになるのかという点ですね。これは、米と競合いたしますところの夏作をどうするかという問題だと思います。それに対していままでのやり方ではこれはとてもやりようがない、私はもうやりようがないと言ってもいいぐらいだというふうに思うのですけれども、いま官房長の方から、五十三年度の問題についていろいろ検討しているというお話でありますけれども、これは前にとりましたところの休耕をとるというわけにいきますまいし、あるいは林地にするというわけにもいきますまいし、さらに果樹園にするというわけにもまいりますまいし、私は非常に異常な状態に当面せざるを得ないのではないかという懸念をいたしておるわけであります。  そこでお尋ねをしたいのでありますが、この水田の稲作と競合します夏作物をとりますと、大豆がどう見ましても、一俵当たり三千二百円でしたですか奨励金を出しているのですけれども、依然として作付面積というものは低下している。ここで問題作付面積ですから、作付面積は低下しているという状態でありますし、さらに飼料作物にいたしましても、これは米の生産調整が行われました当時から八年たとうといたしておりますが、その経緯を見まして作付推移を見てみますというと、当初は相当大きな作付になっております。作付増加になっておりますが、だんだんだんだん低下してまいりまして、その低下の幅が大きいのですね。そうしていまや五十年になりますと、ほとんども限界に来ているのではないか。飼料作物をつくるにいたしましても、限界に来ているのではないだろうかというようなふうに見られます。さらに、野菜競合作物一つとなりますが、野菜問題につきましてもそろそろ限界に来ていると言っていいと思います。これは作付面積はそんなにふえておりません。むしろ軒並みに減っておりますが、反収が上がっております。それだけ集約化されていると思いますがね。でありますから、米と競合すると見られますところの大豆やそれから飼料作物、さらに野菜等考えました場合に、来年の非常に破局的な情勢の中で一体どうなさるおつもりなんだろうか、どうされるおつもりなのかという点を懸念をするものですから、その点についてお尋ねをしたいわけであります。
  15. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 先生お尋ねのございました、水田からの転換をいたしまして作付をいたします作物といたしまして大豆考えられるわけでございます。これは、国内で需要があるにもかかわらず自給率が非常に低いということで、これは戦略的な転換先作目として重視をしておるわけでございますが、これについては、御案内のよう大豆作付が減ってまいっております。しかし、基本的な施策といたしまして、四十九年度以降大豆生産振興奨励補助金を出しておるわけでございまして、五十二年度におきましては一俵当たり三千五百円の奨励金を出すことにいたしておるわけでございます。  五十一年度の実施状況を見ますと、北海道では小豆、菜豆等の高値がございまして、したがいまして、同じ豆類の中でもそういった種類の豆に転換をするということがあったわけでございます。また、都府県におきまして耕地が減る、あるいは労働力事情等から減っておるというようなことでございますが、こういう全体の姿を見てみまして、減っておるところもございますが、先ほどのよう奨励施策一般にとったということがありまして、北海道都府県とも稲転大豆中心増加しておる傾向が見られるわけでございます。減少の傾向増加傾向というものが相殺をされて、そしてまだ面積がふえるというところまでは至っていないというのが、現実の姿ではないかというふうに思うわけでございまして、私ども稲転大豆の増産を図るということ、今後いかにして伸ばすのかということが、先生の御指摘問題の大きな課題であろうかと思っておりまして、これについて御承知ように、こういった畑作で経営をします場合の要件といたしましては、やはりまとめてつくって、機械を導入して省力的な栽培ができるという条件をつくり上げるということが、基本的に重要であろうかと思っております。  したがいまして、そういう観点に立って、稲作転換大豆の増産ということにつきましても、先ほど申しましたよう一般的な振興奨励補助金の交付、それからその他大豆の反収向上のモデル集落育成事業というようなものを五十二年度から新たにやっておりますけれども、特に稲転との関係におきましては、その辺に一工夫こらす必要があるというふうに考えておるわけでございます。  それから野菜関係でございますが、野菜稲転転換先作物としてかなり安定定着型で推移をしてきておるというふうに見ておるわけでございます、これにつきましては、貯蔵もききませんし、市場条件もございますので、稲転から転換する作目といたしましてかなり重要な作目でございますけれども、そう大幅な伸びを期待するのは困難ではないかと思いますが、適時適作目という観点に立って、これも稲転転換先作物として今後も重視をしてまいりたいというふうには思っております。
  16. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 飼料作物についてのお尋ねがありましたのでお答え申し上げます。  飼料作物作付面積推移をずっと追ってみますと、全国的に見まして、五十年は四十六年の六十六万ヘクタールに対しまして八十四万ヘクタールでありますから、大体一二六%ぐらいに増加しております。それから都府県北海道を分けまして、北海道はこの数年の推移を見ますと、四十八年が四十八万ヘクタールから四十九年、五十一万ヘクタール、それから五十年、五十三万ヘクタールというぐあいに、これもかなり堅実な伸びを見せているというふうに判断をしていいと思うわけであります。しかし都府県は、確かに先生が御指摘になりましたように、四十八年が三十一万六千、四十九年が三十一万四千、五十年が三十万九千という形で停滞ないしは微減と、こういった傾向を示しております。これは、私ども問題一つだというふうに認識はしているわけであります。この原因としては、畜産の階層分化が進む中でやはり零細規模層が脱落している、そういったことに伴いまして、ことに大家畜を中心とした酪農家の戸数の減少というものが、こういった作付の減少ということをもたらした一つの原因ではないかと思うわけであります。  それからまた、四十九、五十と、こう減ってきている、停滞している原因、もう一つの理由としては、よく言い古された言葉ではありますけれども、数年前にあったいわゆる畜産危機の過程で、かなり酪農経営を初めとしてダメージを受けた、その後遺症がやはりこういった作付の停滞というかっこうで出てきているのじゃないか、かように思うわけであります。しかし、根本論としては、やはり末端における土地利用組織、そういった問題が横たわっているということも事実でありまして、そこが問題一つの根っ子じゃないかというように思っております。しかし、最近の生産の姿を見てみると、戸数は確かに階層分化の過程で減少しておりますけれども、肉用牛にいたしましても、あるいは酪農にいたしましても、頭数はふえてきております。かなり力強いふえを示しているというふうに私は見ていいと思うわけでありまして、一ころ低迷しておりました生産意欲というものもかなり高まってきている、こういうふうに判断していいと思います。  ですから、今後米の生産をどうするかということと絡んで、伸ばしていくべき畜産の伸ばし方をどうするかということが議論になるわけでありますけれども、われわれいま内部で検討しておりますが、結局はいろいろ議論されておりますように、奨励金のレベルの問題、米との比較収益性問題、そういったところ、あるいは末端の圃場条件の整備、あるいは末端における土地の利用管理の問題、あるいは酪農の側における、あるいは肉用牛の側における、畜産の側における生産組織の問題、そういったもろもろの問題をあわせて考えていく必要があるというふうには思っております。
  17. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまお話のありましたように、私はこの食管の問題、米の問題というのは農林省全体の問題になってきているというふうに思うんですけれども、何といいましてもそれはやはり生産調整をやらざるを得ない。その場合に大豆問題はどうなんだと、あるいは野菜がどうだと、飼料作物はどうだと。飼料作物についていま大場局長から話がありましたが、確かにそれは始まりました四十五、六年から比べますと一二〇何%と増加しております。しかしそれが、増加率が非常に急速にどんどん低下してきているわけであります。でありますから、これから一体四百万トンを超すような米が余るという事態になった場合に、これはいまお話になったようなお考えでは私は対処できないのじゃないかというふうに思いますですね。そういう状況でありますために、食管会計に全部しわが寄ってくるということにならざるを得ない。要するに、生産者米価を抑えるという一本に頼るというふうに言ってもいいようなところへ追い込まれているというのが、実情じゃないかと思うんです。でありますから、昨年もああいうような二・五%という諮問をせざるを得なかったんだろうと思いますし、ことしもまた大変低いものを諮問せざるを得ないと。つまり米の抑制の方へ、米価抑制の方向へしわが寄る、これは困ったものだという私は感じがしてしようがないわけなんですけれども、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいんです。  続いてお尋ねをしたいのは、売買逆ざやをなくするとか、あるいは食管特別会計への一般会計からの繰り入れをできるだけ減少するとかいうようなことについて、私もこれはある程度のことをせざるを得ないというふうに思います。しかし、そろそろこのいずれも限界に達しつつあるんじゃないかという私は感じを持つわけでありますが、食管特別会計に一般会計から繰り入れている割合、これが四十九年は農林予算に占めている割合が三八・七%でありますが、これが五十二年は二七・七%というふうに、一一%ぐらい低下しております。それから売買逆ざやで申しますと、これは四十九年の七五%から五十二年に二三%というふうに売買逆ざやも大幅に低下しております。こういう点を考えますというと、私は食管特別会計の場合において一般会計からの繰り入れをできるだけ少なくしようという努力、逆に言えば、そのことが売買逆ざやを縮小するということでありますけれども、しかしもうそろそろこれは限界に来ているのではないかというふうに思うんです。それで、これ以上さらに大幅に圧縮するということになりますと、一体食管特別会計というものは存在はどういうことがあるのか、存在いかんということを問わざるを得なくなるのではないかというふうに私は思っております。  その二点についてお尋ねいたします。
  18. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) それでは、二点のお尋ねのうち前段についてお答えを申し上げたいと思います。  先ほど来お尋ねございますように、来年度からの転作の必要数量というものは相当大幅に引き上げる必要があるというふうに考えておりますが、現在の奨励措置その他でもって十分にそのよう目標達成するのは非常に困難であるというよう考えますので、現在内部で種々検討しておりますけれども、その方向といたしましては、一つはやはり現在行っております転作奨励措置、転作奨励金を初め関連した事業も行っておりますけれども転作奨励措置を大いに強化をしていくということが必要であろうというふうに思います。  第二点としては、食管制度の運用につきまして、予約限度数量の運用につきまして改善を加えていくべき点があるというふうに考えております。  第三点といたしましては、米の過剰を抑制していくための一つの方策としては、どうしても米の消費の拡大を一層進めていくということが当然必要になるわけでございますので、学校給食だとか、あるいはパンの中に米の粉を入れていくというようなことをどのようにして促進していくべきかという点についても、検討をしておるところでございます。  さらにまた、価格政策につきましても、米の生産をこれ以上刺激するようなことのないよう米価と他の転作作物との相対価格関係には十分配慮をした運用をしていく必要がある、このよう考えておるわけでございます。  それら大きく見まして四点でございますけれども、現在、来年度施策に実現するように、鋭意検討を進めておるところでございます。
  19. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 鶴園委員の御質問の第二点についてお答え申し上げますが、大幅な売買逆ざや、かつて七五%あるものが現在二〇%台に下がっている、これはある程度の改善が行われ、かつそれが限度ではないかというような御指摘でございますが、私どものこの逆ざやの解消なり、あるいは食管繰り入れの基本的な考え方について述べさしていただきますと、われわれといたしましては、農家経済なりあるいは消費者家計にとって重大な関係を持つ食管制度、国民経済全般にも不可欠な制度として機能しているわけでございまして、その運営のための財政経費は確保すべきであるということは当然かと思うわけでございます。  ただ、われわれの考え方といたしましては、生産者米価生産者米価として、物価、賃金その他の動向を適切に反映させ決められるべきである、かつその決まった生産者米価前提といたしまして、消費者家計の許す範囲で消費者米価を決めるというたてまえでございます。しかもそれゆえに、相当な現在逆ざやがございますので、消費者家計の許す範囲でこれを解消していく、その結果として食管運営についての経費の余力が出まして、一般会計等からの繰り入れが減るということがしかるべきではないかというふうに考えておるわけでございまして、われわれといたしましては、単に財政上の予見からではなくて、食管運営の健全化、この基幹的制度としての食管をその財政面からも危うくするような諸要素というものについては、できるだけこれを改善いたしましてその制度の運営を確保していきたいと、そういう考え方でございます。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、食糧管理制度というものは、先ほどもちょっと申し上げましたですけれども、農政のすべてのしわが食管に覆いかぶさっている、それは大豆作物にしましても、あるいは飼料作物にしても、さらに野菜等問題にいたしましても、そういうものが伸びない、その結果は米がふえるということにならざるを得ない。そのしりぬぐいはどこに来るかというと、これは生産者米価を抑えるというところにどうしても来ざるを得ない。で、さらに言うならば、私は日本の経済政策というのがもう最近盛んに新聞に載りますように、これは輸出のために農産物を輸入しようということが露骨に出てまいっております。いままでは余り新聞に出なかったけれども、最近盛んに出てきている。経済政策の運営のために日本の畑作物というものが大幅な衰退の一途をたどってきている。それにプラス衰退させるための低価格政策というものを畑作物にとった、これはこの十五年の歴史だと思っている、あるいは二十年の歴史だと思っている。そして、それは結局、農家はすべて米に頼らざるを得ない、多くを米に頼らざるを得ないという形になるわけでありますから、食管特別会計というのは農林省問題だけではなくて、これはすべて経済政策のしわを食管会計というのが背負わざるを得ないという状態にあるんだということを、私ども考えなければならぬのじゃないだろうかというふうに考えております。  その意味で、先ほど申し上げましたように、これは経済政策そのもの、これも考えなければなりませんが、さらに農林省の内部にあって、畑作、大豆なり飼料作物なり、あるいは野菜なり、これはもう野菜もどうにもこれ以上はというところですが、問題は結局飼料作物大豆だと思うんです。それをどうするんだということを根本的に考えなければ、これはどうにもならないんじゃないか。先ほど官房長からも四点にわたりますお話を承ったのでありますけれども、私は従来のようなやり方でやっておったんではこれはどうにもならない。ですから、水田の総合利用対策が二年目に入りましたけれども、来年はこれは変えて、新しく抜本的な政策をつくり上げる必要がある、そうでないとこれはとんでもないことになっていくんじゃないかというふうに私は思うのであります。  そこで、また農業白書を引用するわけですが、農業白書要旨、でっかいのはなんですから、要旨が出ておりますので、この要旨の中に述べておりますことは、特に飼料作物、麦、大豆等、それからなたね、そういうものを強力に振興していく、これがこれからの農家の所得を上げる道だという、いわゆる総農産物の生産増加、これがこれからの方向だと書いてある。そのとおりだと思っております。それには私は価格政策があると思う。  麦価問題について伺いたいわけでありますが、麦価は畑作物価格を決める場合の象徴だと私は思っております。麦価をどう決めるかということが、これからのいま申しました大豆なり、なたねなり、あるいは飼料作物等の流通化の問題なり、そういう問題に集中的にあらわれているものだと思いますし、言うならば水田総合利用対策のまたこれが中心だと思います、麦価というものは。もう一つ言わせてもらいますならば、農政の軌道が修正されるかどうかというのもこの麦価だと思う。いま麦価については奨励金が出たり、あるいは裏作の水田問題については奨励金が出たりして一万円を超すという形になって、米に比較して六三%か四%程度のところになってきた。しかし、常識は七割というのが常識であったと私は記憶いたしております。二十七年ごろの数字は別として、戦前からの長い間の常識というのは、これは麦価というのは米の七割。しかし、いま米よりも麦を重要視しなければならない段階に来ているということから言いますならば、六割四分とか六割三分なんというのは低い、八割ぐらいのところへ持っていくべきだという考えを私は持っておるわけです。  そこで、おまけに反収が低い。二百四十キロや二百五十キロぐらいの反収じゃどうにもならない。戦前も反収二百四、五十キロぐらいです。いまも二百五十キロぐらいで何らの進歩がない。かつてヨーロッパと日本とは、戦後同じ程度の反収でありました。ヨーロッパにおきましても二百五、六十キロの反収、日本においても二百五十キロの反収であった。ヨーロッパはいま四百五、六十キロの反収になっている。日本における米に近づいていると、米と近い。こういうことを考えますと、これは麦の値段を上げるというだけではなくて、反収を上げなければどうにもならぬ。もう取り返しがつかぬところに来ているという感じがしてしようがないんですけれども、反収を上げるということと麦価をどうするかという問題についてお尋ねをしたい。二十年もおくれちまっているから、三十年おくれちゃっているから手も足も出ないという感じがしてしようがないわけですけれども、少なくとも四百五十キロぐらいとれませんと、裏作でつくって一万二、三千円ぐらいになったとしましても、これはどうにもやっぱりならないですよ。ですから、これはどうも二十年の間麦を痛めつけたのがいかぬですな。とことんまで来ちゃったという感じですね。その二つについて、ひとつお答えをいただきたいと思うんです。
  21. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 緊急を要する麦作振興対策につきましては、価格算定の問題についてはこれはこの一両年しばしば御議論を賜っているところでございます。御案内のとおり、四十八年までは価格としてはパリティ価格ということで一貫してまいりましたが、四十九年から国際需給の大きな変動を受けまして内麦の増産と、これが大きな課題となりまして、奨励金その他の措置を講じて今日に至っております。傾向といたしましては、急激になだれのように減少いたしました麦の下げどまりが行われて、年による作況その他によって多少の変動はございますけれども、上昇への契機をつかんできたというのが、ありのままの現状だと思うわけでございます。  その場合、価格についても新たな視点から価格の算定方式を改善すべきであるということが、当委員会でも鶴園委員その他からも指摘されたことを私どもも十分に承知しておりますが、政府部内におきましても米価審議会において、昨年の生産者麦価決定の際において麦作振興と関連する算定方式の改善という問題を取り上げまして小委員会が設けられ、最近その最終段階の論議が行われておるところでございます。算定方式といたしましては、そのような事態、要請と、また奨励金等の支出されていて農家手取り水準がある程度確保されることによって、下げどまって上昇の契機をつかんでいるという点に十分配慮いたしまして価格決定すべきであるというふうに、私どもは思っておるわけでございます。  なお、これは技術問題等の関連の中間に経営の問題等もあるわけでございまして、やはり米価審議会の論議におきましても、非常な零細な規模と低収益性という生産の構造が麦の減少という要因であり、やはり規模の利益と申しますか、畑作農として規模の利益を最も発揮すべき麦作においては、作業の受委託その他日本的な現実に即した規模の拡大と機械の導入による生産性の向上と、そういうものと相まった価格政策ということによって麦作農家がその所得を増大、確保して麦作振興を図るべきであるというような論議も行われ、私どももそういう認識に立って現在検討しているところでございます。
  22. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) 麦の反収の問題でございますけれども、ただいま先生指摘がございましたとおり、麦の生産振興を図りますためには、やはり反収の向上によりまして収益性を高めるということが大変重要なことではないかと考えております。  麦の試験研究につきましては、これはかなり実は蓄積がございますわけですが、国におきましても農事試験場——九州農試等を中心といたしまして、各県の試験場等の協力をいただきまして多収性、耐病性あるいはわせ化というようなことを目標といたしました麦の品種改良、それからドリルまき、あるいは全面全層まき等の機械化多収栽培技術につきましての試験研究を推進をしてまいっております。  品種改良につきましては、ここ数年のところをとりましても、小麦につきまして良質多収品種がかなり実はできております。ホロシリコムギ、これは昭和四十九年に北海道の北見農試で開発をされたものでございますけれども、これは五百十二キロという反収を記録をいたしております。それからシロガネコムギ、これは九州農試で昭和四十九年に開発をいたしましたものでございますが、これも四百十八キロというような反収となっておりますし、さらに昨年、農事試験場で育成をいたしましたトヨホコムギ、これは四百三十九キロというような反収となっております。なお、大麦につきましてもカトリムギあるいはベニハダカ、カワホナミ等の優良な強稈多収品種が開発をされております。  さらには、この反収を高めますためには、栽培技術の方におきましても全面全層まき等の多肥密植栽培法というようなことが適当ではないかということでございますし、あるいは雪腐れ病さらには赤カビ病というような病害の防除というようなことにつきましても、いろいろと現在すでに普及に移っておるものもございますし、研究を進めているものもございます。  それからもう一つ、収量の多収化を図りますためには、水田での稲わらのすき込みによります地力の向上でございますとか、あるいは圃場の排水の関係、そのような圃場条件の整備の問題等もございますし、さらには高水分麦の収穫、乾燥等につきましての技術の確立が重要と考えております。  こういうよう問題がございますので、ただいま、これは本年度からでございますけれども、大型の別枠研究、稲、麦を主体とする合理的作付体系の確立に関する研究というものを本年度から着手をいたしております。一方におきまして、麦の作期を早めよというような要請もございまして、かなり二律背反的な面もありますわけでございますが、その辺、栽培方法でカバーをするというようなこともございますので、できるだけこの辺の技術の確立には今後とも一層努力をいたしたいと考えております。
  23. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま答弁を伺っておりまして、私はどうもこの食管の異常な危機といいますか、あるいは米が過剰になっちゃってこれまた大変だというよう問題、さらに水田総合利用対策を積極的に推進をしていって、麦類やあるいはなたね、大豆飼料作物、そういったものを積極的に増産していこうと、麦については反収が余りにも低過ぎると、さらに米に比較しまして災害が大変に大きいというよう点等考えました場合に、答弁を伺っておりますと、どうも問題の把握の仕方が弱々しいという感じがしてしようがないですね。  白書が言っているのがいいことを言っておるのですがね、これ。白書というのは食糧庁長官の頭の中にないんじゃないですかな、これ。どうもぴんとこないんだな。白書は確かに問題をつかまえている。これは専業農家がふえてきたと、さらに農業就業人口というのも下げどまりになっておると、さらに中核農家というのか中堅農家、中規模農家あたりが農業に熱を入れてきている、生産活動は活発になっていると。こういう場合に、これはもう白書が言うように、農業生産、総生産を増大するそれ以外にないんだということを、農業の所得を上げるそれ以外にないんだという、そのことが私は食管会計の危機を救うことになると思うんです。また、米が余ることを抑えていくことにもなると思うんです。米の値段も抑えなくても済むようなことになると思うんですけれども、何だかばらばらに、何となく問題の把握の仕方が何か弱々しくて、白書に出ているのはなかなかいいんですけれども、どうも弱いですな、これ。反収なんというのは、それは試験場の話も結構なんですけれど、現実に反収がふえていかなきゃ困るわけですよ、二百五十キロでは。おまけに三〇%も被害率があるというんじゃ、これはどうにもならないわけです。  しかしまあ、帰するところは、やっぱり値段を上げなきゃしようがないんでしょうね、これは資本主義の社会ですから。ですから、やっぱり麦の値段というのを八割程度までやったらどうですか。食管会計によって相当節約をしているわけですから、二千億から三千億の節約をしているわけだから、その金ぐらいは皆持ってくるぐらいの、いまの二百八十億ぐらいの奨励金じゃだめですから、ひとつ一けたぐらいふやして、もっと受けざらを大きくして、一けたぐらいふやしてそしてやるぐらいのあれはないのかなというふうに思えてしようがないんですが、これは麦価についてパリティじゃもうだめだというよう米審委員考え方ようで、これはだれしもそう思うんですね。  では、どういうふうにお変えになるということになるんでしょうか。そろそろ結論が出なきゃならぬところに来ておると思いますが、生産費を中心にして計算をいたしておりましたこの春に決めました肉類のあるいは牛乳のような場合でも、労賃の、家族労働報酬の評価を従来のから変えましたですね。ああいうようなものはこのパリティの中には入ってこないんでしょうから、そうしますと、どうもパリティを変える以外にないんじゃないかという気がしますね。いま奨励金を出しておやりになっておりますけれども、これはやっぱり奨励金というのは何といいましても一時的なものだと思う。だれしもそう思うんです。価格的に言いますと、もうパリティとそんなに違わぬというところに来ているわけですから、ここで法律を改正せざるを得ないと思うんですけれども、法律を改正しまして、そうして生産費所得補償方式のとれるような改正をするということは、どれだけこれは畑作あるいは裏作を勇気づけるかわからないですよ、これは。大変なものだと思うんです。それをやらぬものだから、ちょろちょろちょろちょろいじり回しておったんじゃ、これはどうにもならぬと思うんですけれどもね。ですから、パリティ方式を変えて、そして生産費所得補償方式に改めるということをやることが、私はこれは水田の総合利用対策というものを軌道に乗せるということになるし、米の問題も、麦類だけじゃなくなりますから、当然それは大豆にも波及しますし、なたねにも波及するわけですから、同じパリティでやっているわけですからがらっと変わってくると思いますが、それができぬようじゃこれは農政の軌道修正ならずですな。暗たんたるものです、これ。見解を伺いたいと思います。
  24. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 麦作振興のための麦価算定方式につきましては、たとえば先ほども、繰り返して申し上げますが、米価審議会の価格算定についての小委員会等においても幅広い議論が行われてまいりました。で、生産費方式、これはいろいろその一つの形として所得補償方式、米的な所得補償方式というようなものもございますし、また先ほど先生のいみじくもおっしゃいましたような米と麦との価格の比率、対米価比、これらの方式をとることによって生産振興に資する価格算定が可能ではないかとか、あるいは現行パリティ方式自体についても、今後の経済情勢の変化を見ればかえってパリティの方が有利ではないかというような議論とか、幅広い議論が行われておるわけでございます。  と申しますのは、麦につきましては具体的に生産費方式の適用問題に入ってまいりますと、御案内のように、地域とか田畑とかあるいは経営によって、米等と比べて余りに開きが多い。端的に申し上げますと、北海道では十アール当たりの家族労働時間が四・七、八時間、それに対して東北の畑作では七十九時間というような、労働時間のばらつきというものが非常に大きい。これは田麦、畑麦についても類似の関係にあり、また年による、先生作況の不安定と申されましたが、作況の振れが非常に大きい。米が変動係数が約五%であれば、麦の変動係数は一二%というような大きな変動がございまして、そのよう生産費をずばりとりまして価格算定方式をとるということについては、政策的な御主張としてはございましょうが、行政価格決定等についてはなお慎重な検討を要するというふうに私ども考えております。  もう一つは、そのパリティをとり、それが二十五、六年基準等の引き伸ばしのためにそれが麦作の振興について問題だという御意見、確かにそのようでございますけれども、たとえば今後、われわれの過去の統計等をしさいに検討いたしますと、高度成長期において実質賃率が高まる場合においては、生産費方式の方が、労働時間の減少とかその他の反収の増加とかという生産費を押し下げる要因よりも上回って、生産費の方式をとる方が有利であるけれども、やや経済が落ちついて賃率の伸びが鈍化し、かつ麦は御案内のとおりこの十五年間で百時間近い労働時間が二十五、六時間になっております。そのように大幅に労働時間が減り生産性が高まる場合に、生産性向上のメリットが全部農家に帰するような仕組みになっております物価均衡としてのパリティ方式の方が、かえって今後は有利ではないかというようなもろもろの議論がございまして、その麦という作物に即しました算定方式、これは振興という全体の課題としてもどれをとるかという点については、直ちに生所方式をとることが今後の振興に資する算定方式であるかどうかという点については、なお検討を要する問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  25. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ、私は広範な質問をいたしたわけでありますけれども、いま食糧庁長官しか御答弁をいただかなかったわけですが、いま長官のおっしゃったその北海道の麦と内地の方の麦と大変労働時間が違うというようなお話がありました。しかし、それは私は三十年ごろから今日までの麦対策結論として出ていると思うんです、それは。米だってこれは相当の差があるんです、まあ麦ほどの差はないとしましてもね。しかし、麦も、いずれにいたしましても、やはりこれは労働時間というものは少なくさしていかなければならぬわけですから、私はいままでのようなやり方でやってこられたから、麦はこういうような非常な差のあるものになってしまった、あるいは零細なものになってしまった。  しかし、いま農林省が麦対策で進められようというのはそうじゃなくて、集団的に進んでいくようにしようという考え方でお進めになっていらっしゃるわけですから、そうしますと、そんなに労働時間の差というものも、米とまあ似たようなところへ私は持っていくことができるだろうというふうに思っているわけなんです。機械も使わなければならなくなってくるだろうし、また使わなければしようがないわけですよね。そうなってくるんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、しかしいずれにいたしましても、この麦の値段というのを、これはいま農林省が試算ではなくて、あれは農協が出した資料でありましたですか、米に対しまして六四%ぐらいになってしまっている、なったという数字ですね。それはその奨励金がでかいんですもの。これは奨励金がでかいんで、四割から五割ぐらいの奨励金がついておるわけですからね。そんな不安定なものじゃ、これはやはり麦は軌道に乗らないですよ。ですから、やはりどんぴしゃりと麦の値段が出るというよう生産価格決め方をしてもらわないと、これは麦は軌道に乗らないというふうに思いますね。そうなりますと、これはなたねに波及し、大豆に波及する、全体に波及してくるわけですよ。  そうしますと、この白書に書いてあるように、これからの農業の農村の実態、農家の実態というふうに見た場合に、農業の総生産を上げるということしかこれは農家の所得を上げることはできない、それが不可欠だということとはこれはどうも逆な話になる、そぐわない話になっちまうというふうに思わなきゃならぬのじゃないでしょうか。たとえば、いま出ておりますように、七%程度麦価ではこれはどうにもならない。ことしの麦価の七%ではどうにもならないというふうに思いますですけれどもね。ですから、それにはやはり算定方式を変えるということになると、私は農家の気持ちというのは一変すると思うんですがね。いろいろ理屈はありますよ。ちょっと突っ込んだ理屈、いまの北海道からの話もありますが、そこでやはり法律を改正することによっていまのような雑多な、雑多と言うと恐縮ですが、麦価の五割ぐらいの奨励金、もろもろの奨励金というものを生産者麦価の中にぶち込むというような方式をお考えになった方が、これは農家を大変に勇気づけると思うんですね。そうすれば、私は思うんですけれども、たちまちのうちに反収も上がると思いますよ。先ほど事務局長のお話にもあったように、四百五十キロから五百キロぐらいとれるような麦作というのが出てきますよ。何か明るい話だと思うんですが、ひとつ所感を承りたいですね。
  26. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 麦作振興のために、その生産を振興すると申しますか、刺激する価格水準の実現、そのための算定方式という点については、鶴園委員と私ども現在農林省検討しておる基本方向については、全く一致しておるわけでございます。特に、その場合に、しばしばお触れになりましたが、生産振興奨励金等の奨励金というものが交付されている現実並びにそれによる農家手取り水準の上昇が、やはり生産一つの支えになっているという現実前提といたしまして、その算定についていかなる改善を加えるかという点について、早急に結論を得たいというふうに私ども思っておるわけでございます。
  27. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 先生価格問題中心に御質問あったわけでございますが、私ども、具体的な例といたしまして、たとえば内地におきましても、先ほど東北の方で相当な労働時間をかけて麦作をやっておるような実態についての御紹介がございましたが、これは一つの例でございますけれども、ある群馬県の農協の青年部の麦作集団が、二十戸で十ヘクタール期間借地をいたしまして、自作地と合わせまして二十八ヘクタール、一戸当たりで一・四ヘクタールくらいのかなり大規模にまとめた集団麦作をやりました。五十一年産で見ますと、収量の面でも播種期の降雨等がございまして障害がございましたものの、集団としての技術習得に努めてその悪条件を克服し、県内の平均反収よりはるかに高い反収を上げ、労働時間も十アール当たりで見まして、この場合群馬県では平均が四十時間でございますけれども、ここの集団では八・五時間というような省力的な麦作栽培をやりまして、一戸当たりで平均七十三万四千円という麦作所得を得ておるというような例もございます。  したがって、私どもはこういう傾向を極力助長いたしたいということで、生産面におきましては従来からモデル麦作集団の育成ということをやってまいっており、約四千五百集団、全麦作面積の四割強に関係をするというようなところまで持ってきておるわけでございますが、さらに先ほどのような優良事例を大いにふやしていくという方向に沿いまして、五十二年度から麦作集団の育成総合対策事業ということを、新規予算として三十億余りでございますが要求をして、この予算によりまして作業の受委託の促進、期間借地等をやりますところの麦作集団の育成を一層推進する。さらに、麦作にとっては雨の害が非常に重要でございますので、したがいまして、降雨によります一時停滞水の排除をするというような事業を、これらの仕事の中で機械の導入とともにあわせましてやっていくというようなことで、こういう方向で今後施策を強力に推進をしていけば、私はこれは水田裏の例を先ほどは群馬県の例としては申し上げたわけでございますが、大いに水田裏を中心といたしましてまだまだ伸ばす余地があると、この点は大いに力を入れて真剣に取っ組んでいくつもりでございます。  価格関係も確かにございましょうが、むしろこういう形で進めるためには、これは農協の営農指導がしっかりしておるところほど、こういう形で優良な麦作集団が育っておるということが現実の姿としてございますので、したがいまして、こういった集団化の促進に関しますところの助成措置の強化ということで対処してまいりたいというふうに思っております。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あと米審問題もありますが、この問題についてはそれぞれ御意見も出ると思いますが、私は、先ほど申し上げましたように、食管特別会計というのが、単に食管特別会計の問題ではなくて、これは言うならば農林省全体の裏作それから表作等々の大変な衰退の中でいよいよその犠牲を背負わされていると。さらにまた、根源を探れば、それは経済政策の一つの大きなしわとして食管会計にその大きなしわが寄っているという点等から言いますというと、これは真剣になってそういった問題についてのやはり解決も、われわれも努力をしなきゃならぬと思いますし、農林省としても努力を払っていただきたいということと、それから具体的に米と競合をするところの麦作、それからさらに水田の裏作あるいは麦作、こういった問題について、もっともっと積極的に取り組んでいただきたい。それには価格問題も必要であろうし、いろんな問題が必要であろうと思いますけれども、そうでありませんというと、これはどうも白書が言うようなことには動いていかない、どうも動き方が非常にのろい、こういう感じがしてしようがない。  そこで、最後にひとつ要望したいのは、またお答えもいただきたいんでありますが、去年から始まりましたこの三年計画の水田総合利用対策というもの、これはやはり来年根本的に検討し直す必要があるというふうに思いますけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ経過でもよろしゅうございますが、お尋ねをいたします。
  29. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) 米の需給の最近の動向見通し等は非常に深刻なものだと受け取っております。したがいまして、現在第二年度で実施しております水田総合利用対策につきましては、抜本的に見直して、相当腹を据えて、単なる延長ではない対策を講じなければいけないということで、現在省内で検討を始めておるところでございます。現段階で、問題点だけは申し上げましたけれども、具体的な方向について申し上げるまでの検討段階に進んでおりませんけれども、腹を据えて抜本的に対処していきたい、かような決意でやっておるところでございます。
  30. 橘直治

    委員長橘直治君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後二時開会
  31. 橘直治

    委員長橘直治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十二年産米麦価等に関する件を議題といたします。  休憩前に引き続き、本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  32. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 私は、当面する麦価並びに米価、それに関連して先ほど鶴園委員から水田総合利用、とりわけ大豆、麦等の問題が出ましたけれども、私もその問題についてお尋ねをいたしたいと思います。私の持ち時間は非常に限られておりまして、十分意見を申し上げることにはまいりませんので、項目的に簡潔に質問いたしますので、どうぞお答えいただく方も、要領よくひとつお願いをしたいと思います。  まず、麦価でございますけれども、先ほどその諮問方式についていろいろ御質問がございましたけれども、いつひとつ審議会を開いて決定するつもりですか。麦、それから米も含めてそのスケジュール等決まっておりましたら、どうぞお答えを願いたいと思います。
  33. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 結論から申し上げますと、まだ具体的に最終何月何日ということは決まっておりませんが、先生御案内のとおり、麦は六月中に政府買い入れ価格は決めることになっております。したがいまして、下旬ですね、二十日から二十二日以降に決めさせていただきたいというふうに思っておりますが、具体的な日程は、実は関係委員の都合とか、あるいは大臣のソ日漁業交渉との関係とかいろいろございまして、まだ決めかねておりますが、早急に決めたいというふうに思っております。  それから米でございますが、これは例年のとおり七月でございますけれども、御案内のような政治日程その他があるようでございますので、それをおもんぱかって日程を決めたいというふうに考えております。
  34. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 先ほど算定方式について、パリティ方式でやっておるわけですけれども、それについて昨年の米審にいろいろ意見が出て小委員会で検討しておると、こういうことのようでございますが、まだ結論を得ていないというような話でございますが、ことしのその諮問は昨年と同じ方式でやる予定ですか。
  35. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  恐縮でございますが、午前中も申し上げたのでございますが、昨年の米価審議会で麦の買い入れ価格についての算定方式の検討、改善について本格的にやるということで検討を始めまして、ほぼ結論が出るよう状況、これは米審自体の検討でございますが、出る段階に来ておるようでございます。したがいまして、私どもとしてはその結論を尊重いたしまして、ならば本年産麦価からその改善の措置をとりたいというふうに考えております。
  36. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 ならばと言うんですけれども、どうですか、それは間に合いそうですが、間に合わないんですか。
  37. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 麦作振興のための価格算定方式は大変大事でございます。したがいまして、米審関係の方にもお願いいたしまして、本年産麦価算定に間に合うようにひとつ結論を出していただくように、私どもとしても行政の立場としてもお願いしております。
  38. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 そうすると、それはパリティで計算したのに、さらに御承知ようにいま麦を増産したいというよう方針ようですから、生産を刺激するようなそういう要素をつけ加えた算定方式をやるという考えですか、どうですか。
  39. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 米価審議会を盾にとるわけじゃございませんが、審議会自体の、その麦作振興のための算定方式について大よそ収斂に来ておりますが、まだ結論を得ておりませんので、それを見てわれわれとしては具体的な政府の責任において、それを尊重した算定を考えたいということでございますが、先生のお話は、恐らく食管法麦価の買い入れ規定自体ががっちり法律で、パリティ方式を基準としてあと参酌しろという規定に大筋でなっておりますので、それらを踏んまえてやるのかという話だと思いますけれども、その点については大筋さようでございます。
  40. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 団体等から要請価格が出ておりますね、一万一千幾らか。それについて、何か交渉でもされましたか。
  41. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お話のように、生産者団体としての農協等が毎年要求いたします望ましき麦価なり米価についての決定をなさいまして、私どもにもそれについての御要求が、御要請がございます。これは例年のことでございますが、本年も段階的に全国のその関係の代表組織の皆さん方と要求の内容とか考え方という点について、これから時間をとりまして例年のとおりお話をしていただく、大臣等にもある段階では参加していただいてお話を取り交わすというような段取りに相なっております。
  42. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 いま本年の小麦の生産者の買い入れ価格、これに大変いろいろ奨励金等ついていますね。それを加えた額が合計で幾らになって、しかも現在の米価との対比価格が幾らになっていますか。
  43. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  米の買い入れ価格は、生産者米価は一万六千五百七十一円、これは御案内のとおりでございます。小麦につきましては、昨年の政府買い入れ価格、すなわちパリティ価格価格そのものとして算出されたものは六千五百七十四円でございます。それに生産奨励金、これは前年に比べまして三百円増額されて二千三百円。それに、これは生産との直接関連はやや薄いわけでございますが、契約生産奨励金、現在の流通麦のほとんど全部がこの流通契約の締結ということで支払われておりますが、これが六百円ということでございます。それと田麦につきましては水田裏作の奨励金作付奨励金が反当五千円、昨年は五千円でございますが、それを六十キロに引き直すと千七十九円ということでございまして、一万五百五十三円というのが麦作農家の手取りということに相なっております。
  44. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 そうすると、いま団体で要求しておるのは、私詳しく承知してないんですけれども、一万一千幾らだと思いましたね。そうしますると、奨励金やなんか加えると一万五百五十三円ですか。そういうことになっているとすると、余りそこに差はないわけだね。だから、生産者の要求する、団体等の要求する価格は、ことしはもう二つ返事で認められるよう状態と理解していいのかな。どうです。
  45. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御案内のとおり、団体の要請は、米と同様生産費及び所得補償方式という算定で価格を、生所方式で決めた価格がこれでございます。われわれの方としては、ただいまも申し上げましたように、パリティ価格というもので法律上もはじかざるを得ません。どう参酌するかという問題があとに残るわけでございまして、したがいまして、その算定方式のいかんによってこの数字が動くわけでございます。お話のように、全くほぼ実現したとかというようなことは、まだ申し上げる段階ではないと思います。
  46. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 それでは、そのパリティなるものは大体計算できているのでしょうね。昨年から比べてどのぐらい上がりますか。
  47. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御案内のとおり、麦価算定に用います農業パリテイ、いわゆる総合パリテイは基準年次からの伸び率でございまして、毎月パリティを出しておりまして、五月パリティをもって六月の麦価算定をいたしますが、六月パリティはまだ出ておりません。したがって、五月パリティの結果を待ちまして算定するということに相なるわけでございます。
  48. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 最近のはできなくても、その一カ月前ぐらいはできているんじゃないですか。
  49. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これはもう公表しておりますが、六・八八という数字が出ております。ただ、これは例年のことでございますが、月によって多少動向の変化がございまして、機械的にその水準で行くかどうかということについては、数字そのものの出た結果を見ないと申し上げられないと思います。
  50. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 先ほど鶴園委員からも、何新聞かに発表になったのが七%とかと出ていたと、こういうお話がございましたが、いまのパリティを見ても六・八八ということになりますと、それにいまの経済条件ですか、何かを参酌した場合に、特に麦はいま増産をしなきゃならぬということになると、これは当然七%以上、それで計算しますと、六千五百七十四円の七%近くになりますと、六、七、四百何十円ですか、そうなりますと、もうそれだけでも一万一千円にはなるわけですね。そうなると、一方で生産費所得補償方式で計算したのと、農林省でパリティその他を勘案して計算したのとは、大体同じようなことになるというふうに理解したいんですが、どうですか。
  51. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これは、米審の最終の算定方式に関する改善の考え方にのっとって、それを十分取り入れた算定方式をとった場合にいかになるかということでございますので、結論数字について、にわかにここでまだ申し上げるよう段階ではないわけでございます。
  52. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 それは役人にそういうことを答弁しろと言うのは無理かもしれませんから、これ以上言いません。  次いで米ですが、米の算定方式もことしは去年と同じようにやる予定ですか。
  53. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、米価の算定方式につきましては生産費及び所得補償方式という枠組みでやるわけでございまして、それで今日これを大きく変えることは考えておりませんし、その点では基本的には前年の方式を基礎にして算定に入るということに相なるかと思いますが、先ほど大臣御自身も申し上げましたように、具体的な方針はこれから入るというわけでございます。
  54. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 昨年に比べて、ことし生産費の上がっておるような要因はございませんか。
  55. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 残念でございますが、御案内のとおり、米価に用います生産費は過去三年の平均でございます。五十一年生産費は、六月末か七月初めのぎりぎりのときにあれいたしますので、数字のことでございますので、いかなる要因がそこに出ておるかということについては、にわかにただいま申し上げることはできないわけでございます。
  56. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 昨年は東北、北海道等冷害でしたから、全国の平均の反収が減っていますわね。これは要因に入りませんか。
  57. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 数字にわたることでございますので、推測的なことを申し上げることはいかがかと思いますが、当然全国的な作況は、米価算定に用います農林省統計情報部の米生産調査調査農家の収量にも反映いたすだろうというふうに思っております。
  58. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 この米価についても、団体等では二万円以上というものを要求していますわね。しかし、毎年毎年要求と決定米価はかなり隔たりがあるわけですけれども、こういう運動の仕方にも私は問題があると思っているんです。団体等に参りましても、運動の仕方ももう少し考えてもらった方がいいんじゃないかというようなことを申し上げておるわけなんですけれども、私は年来、本来ならこの米というものは政府が全量買い入れるたてまえですし、自主流通米等がありますけれども、これは政府が計画的に計画の中でやっておるんですから、本来なら自由に売れるわけでないんですから、自由市場というものはない。したがって、これは売る方と買う方なんだから、政府農家の代表が団体でひとつ交捗をして、売る方と買う方だからひとつ団体交捗したらどうか、そして、そこで話し合いは恐らくつかないでしょう。つかないときは、米審などをひとつ仲裁裁定機関とか何かにしてしまって、そこであれしたらどうだという意見を、これは賛成少ないかもしれませんけれども、持っているんです。  しかし、そこまではなかなか一挙に行かないでしょうけれども、要求する方も毎年毎年要求する額と決定額と違うということで、農民からもいろいろと不安も出ると思うんで、事前にやはりある程度団体と農林省が話し合いをするということが必要だろうと思うんです。ですから、ことしあたり何かそういうことをおやりにまだなっていませんか。
  59. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御案内のとおり、この二、三年は生産者米価決定前に、生産者組織の代表である全国の農協中央会の米価対策本部というような代表の方々とは、場合によりましてはわれわれ事務あるいは段階によりましては大臣御自身が十分お話し合いをいたすという慣例というふうな取り運びになっております。本年もすでに第一回は、米価前提となる諸基本政策の問題についての話し合いが終わっておりまして、今月中ごろ以降、米価そのものについてもいろいろ生産者団体のお考えも承るということに相なっております。そのよう米価決定について、その年の諸事情というようなものを十分踏まえて、政府としてもその価格決定の作業を取り進めたいという心構えでおるわけでございます。
  60. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 私も、ぜひ、これからまだ決定まで時間があるわけですから、団体等とよく話し合いをしていただいて、十分ひとつ諮問する場合にそういう意見等もある程度は入れられるようなことを御考慮を賜りたい、かよう考えます。というのは、先ほど来、鶴園委員から出ておりました米はどんどん予定以上に生産がされますけれども、今日増産をしたいと思っておる麦なり大豆なりその他転作作物が必ずしも伸びてきておらない。特に、麦、大豆、こういう必要なものが伸びていない。こういうことになりますと、先ほど来古米がまた三百万トンあるいはそれ以上になるという話でございますけれども、そういうものの転作を協力していただく場合にも両方がよく意思が疎通していなければ、私はこれから円滑な農業政策というものは遂行できないと思う。そういう点からも、ぜひひとつ今後とも話し合いをしてもらいたい、かよう考えます。  大変時間がなくなってきますから次に移りますけれども、麦と豆の問題に入りたいと思いますけれども夏作としての転作、これはいろいろ野菜とか、あるいは飼料作物、こういうものももちろんなんでしょうけれども、もう野菜等はそう伸びるものではないと思います。あるいはまた、飼料作物も先ほどお話のありましたように、必ずしもこれから大きく伸びるかどうかわかりませんが、何としましても、今日、大部分外国から輸入しているこの豆というもの、大豆、これを増産するということが私は農業政策全般から言って必要なだけでなくて、これを水田に取り入れるということをひとつ真剣に検討していくことが、私は米の生産調整並びに食糧全般の需給の上から必要なことだと思うんです。それで、先ほど来水田総合対策の話がございましたけれども大豆、これは価格はいま幾らでしたかね。それと反収はどうですか。
  61. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 大豆は、先生承知のとおり、大豆なたね交付金暫定措置法によって基準価格を保障をするという形で運用をしておるわけでございまして、基準価格は五十一年産では一万四百三十三円でございます。その他大豆につきましては、生産奨励を図るという意味で、生産奨励補助金が六十キログラム当たり三千五百円出ておるわけでございます。
  62. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 一万四千円、幾ら。
  63. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 基準価格は、五十一年産で一万四百三十三円でございます。
  64. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 この大豆消費価値といいますか、そういう点から言ったならば米以上であってもいいと思うんですね。ですから、ひとつ価格の点もこれから考えていただいて、むしろ米よりいろんな栄養価その他を考えますと、あるいはたん白質の給源として考えてもこれは米より値打ちのあるもので、ある時期には米より高い時期があったと思うんです。ですから、米並みあるいは米以上に行っていいんじゃないかと思いますが、それと反収がいま一俵半ぐらいですか。そんなことだから、これは価格だけではどうにも追いつきませんわね。ところが、農林省ども主催者に加わってやっておる共進会等を見ますと、普通で三百キロとれるんですね。ちょっとしたのは四百キロ、あるいは少し勉強すれば五百キロはとれるわけなんです。そのぐらいまでやる方法を、ひとつどうしたらいいか、考えたことがありますか。
  65. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) これは、大豆の反収が非常に低位に推移しておるのは先生指摘のとおりでございまして、私どもその反収を向上することが、大豆生産振興を図る一つの重要な柱であるというふうに思っております。  そこで、五十二年からは、新規予算で大豆反収向上モデル集落の育成事業ということを実施をしておるわけでございます。その他、これは従来からの施策でございますが、四十九年から大豆生産振興を図るという意味で、優良な成績を上げた者に対しまして表彰制度をとっております。先生これも御案内のように、先生の地元でも大変成績のいい集団がございまして、五十年度で農林大臣賞を受けたのがございますが、これは郡山の地区内の若妻会と称する方々が、主として婦人の方でございますが、水田転換ということで皆さんで相談をなさいまして、四十二名の農家の方が大豆をつくって自家用のみそに使いたいということでやったのでございますけれども、この御婦人たちの御努力で、収量は三百十九・二キロ、県平均が百二十四・六キロでございますから、それに対しまして二・六倍という収量を上げたということで、したがいまして、やり方によりましてはまだまだいろいろとその収量をふやす余地があるということから、私ども先ほど申し述べましたような新規予算も要求をいたしまして、これらを通じ、反収の向上を通じて収量の増大、生産の振興を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 いまのお話は私の県の実例を話されましたけれども、それは私も現地まで行ってもう百も承知しているんです。素人なんですけれども、素人の女の人がやった。改良普及所の指導員に指導してもらって、初めてやったんです。そうしたら、そういうふうに三百キロなんてもう悠々とれた。これを、本当に真剣に品種改良から取り組み、それからもうすでに四百キロ、五百キロの技術はできているんですから、それを今度いかにして普及させるか、こういうことを真剣にやれば、平均的に私はもう三百キロなんかはすぐ超すと思うんですね。それと、残念ながら、おととしがそれなんですけれどね、去年は失敗したんですよ。私は、その後どうかと思って、現地に見に行った。なぜ失敗したかと言うと、水田転作でやったんですけれども、排水がうまくいかない。ですから、これは大豆水田転作に入れる場合には、一つにはいかにしてその排水をするか、田畑輪換をどうするかということだと思うんですね、これは。  ところが、いまの土地改良は、みんな水稲をつくるだけの土地改良しかやっていない。やっぱりこれから転作考える場合には、基本的にこの土地改良を田畑輪換できるものをやっていかなけりゃ私はもう失敗すると思いますから、きょうは構造改善局長来ていないけれど、官房長、どうぞひとつそれをよく——日本の水田は、余り堆肥や何かも使わなくなって地力も衰えていますから、どうしてもこれは輪作をやらなけりゃいけない。いままでは日本の稲はみんなもうずっと連作で来ておりますけれども、これからはやはり輪作体系を入れるということが私は必要だと思う、これはもう米の生産調整のためにもそれから地力の増進のためにも。そのためには、田畑輪換のできる土地改良、排水のできるそれをひとつやってもらいたいと思いますが、時間がなくなりますから先に進みます。こういうことを長くやっておっては、何時間でもかかりますから先に進みます。  ところで、その大豆問題をもう少しやりますが、五百キロぐらいはすぐとれるんです。ところが、残念ながらこの大豆、三十年以降技術者がほとんどいなくなってしまっている。もう専門家が、豆なんてやっていると出世しないから、稲やっていないと出世しないものだから、みんなもう変わっちゃっている。どうですか、技術会議の事務局長大豆の専門家いま何人いますか、試験場で。
  67. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) 国立試験研究機関について申し上げますが、北海道農業試験場、それから東北農業試験場及び九州農業試験場、この三試験場で豆類の育種関係をやっておりますが、研究室の数で申し上げまして五研究室、これは五十二年度に一研究室増加をしております。それから研究者の数でございますが、これは十五名ということになっております。これも一名増加をいたしております。  それから都道府県の公立の試験場でございますけれども、これは指定試験として、北海道の十勝農試、それから同じく北海道の中央農試及び長野県の農業試験場、この三試験場でお願いをいたしておりまして、それぞれ一研究室でございます。したがいまして、公立の試験場では三研究室、それから研究員の数は十三名ということになっております。  なお、いま申し上げました数字は育種の関係でございまして、そのほか栽培あるいは機械関係等がございますが、これは豆類だけをやっておるということではございませんで、主として豆の関係中心にやっておるという研究者の数を拾いますと、育種以外の者は十七名ということになっております。以上でございます。
  68. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 私も、いまおっしゃったような研究室は全部回っています。よく回って承知をいたしております。しかし、昭和三十年以前の研究者というのはもっとたくさんいて、情熱を持ってやっておりました。しかしながら、豆なり麦の安楽死といいますか、こういう時代になって研究者も本当に意欲を失ってしまって、ほかの方に変わっておるというのが実情です。ですから、これは後ほどまた申し上げますけれども、本気になって水田の総合利用をやるならば、やはり豆というものを、大豆というものを真剣になってこれからやらなければならぬ。そのためにはもちろんこれは価格が必要だが、価格だけではとても追いつきません。あるいはいま言ったように土地改良、あるいは機械化、そういう条件が必要ですが、基本的にはやはり研究者をもう少しふやす、研究者を大切にしていただくということが必要ではないかと思うんです。麦についても同じようなことが言えると思うんです。先ほど麦については、事務局長は四百キロ、五百キロとった実例を大分誇らしげに説明しておりましたけれども、大体麦は日本でどのぐらいとれるか、限界は知っていますか。どのぐらいとれると思いますか。知らなけりゃ、こっちで教えてやるからいい。
  69. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) 北上で八百キロという記録がございます。
  70. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 群馬、埼玉あたりでは一トンからのありますよ。これもやはり三十年以降ずっと意欲がなくなってしまったものですから、二百キロとか三百キロというようなことになりましたけれども、これももう少し本気になってやるということならば、そういう品種もあり、あるいは技術もあるわけですから、これを生かしてそしてやるならば、私は米がこんなに余ったなんて騒がなくてもいいと思うんです。大体七百万トン余った昭和何年ですか、あれに一兆円かけましたね。それから今日まで生産調整とか水田総合利用とかやっておりますけれども、それには大体幾ら金をかけましたか、今度は。
  71. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 一兆がちょっと欠けるくらいかと存じております。
  72. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 古米処理に一兆円、それから、何とか転作を定着させようというようなことで一兆円、二兆円かけているわけですね。いま、技術会議の一年の予算はことしあたり幾らですか。
  73. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) 五十二年度予算で申し上げますと、六百七十五億でございます。
  74. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 そうすると、二十何年分かかっているわけですね。ですから、私はそういう後向きといいますか、効果の上がらないのに二兆円もかけているわけですから、これから真剣になってひとつ技術面から再検討していくと、ここから私は出発する必要があろうと思うんです。その上にいろいろ条件を整備してやる、あるいは価格を保障してやる、こういうことにしなければならないというふうに考えますが、この問題をもう少し議論したいんですけれども、すでにもう時間が超過しておりますから申し上げませんが、先ほど鶴園委員からの水田総合利用対策の再検討をする意思があるかというお尋ねに対しまして、検討するというような意味の答弁がありましたが、この際、来年から真剣になってやるならば、もう技術者を総動員したプロジェクトチームでもつくってやると、それを基本にして、その上にいろいろ積み上げていくということが必要だろうと私は思うんですけれども、そういう点をひとつ考えていただけるかどうか、最後にお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
  75. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) 稲作転換問題に関連しました試験研究といたしましては、実は四十六年度から昨年の三月まで五カ年間をもちまして、総額六億一千四百万程度の金をかけまして、稲作転換推進試験という大型の試験研究を推進してまいったところでございます。それぞれその成果は得られておりますけれども、その成果を踏まえまして、各関係試験場で継続的にその試験の推進を図っておるという現状でございますが、ただいまいろいろ貴重な御意見もいただきまして、御激励も賜りましたので、今後また十分検討をさしていただきたいと思います。
  76. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 いまの答弁を聞きまして、そんなみみっちいことじゃだめなんです。そんなけた違いのことじゃだめなんです。あなたの答弁はいいから、大臣に本当は聞きたかったけれども大臣いないから、官房長、ひとつ少し大きな考えで答弁してください。だめだ、そんな小さいんじゃ。
  77. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) けさほど来お答えしておりますように、米の需給事情は非常に深刻な事態になっております。長期的に国内の食糧の総合的な自給率を上げるためには、転作を相当思い切ってやらなければいけないというよう考えております。単なるこれまでの対策の手直しではなしに、相当思い切った抜本的改善を来年度から加えていきたいということで、現在すでに内部では検討を始めておるところでございます。それらをやるためにいろんな対策がございます。価格なり、基盤整備なり、直接的な奨励措置なりいろいろありますけれども、やはり基本はただいま御指摘になりましたように、技術的な基礎が転作経営に、転作を確保する上に裏打ちとして確立しておらなければ円滑に進まないわけでございますので、これらの点につきましては、水田総合利用対策の広い意味の一環として、技術的な研究面については一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  78. 青井政美

    ○青井政美君 余り時間がございませんので、基本的な問題だけちょっとお尋ねしておきたいと思うわけでございます。   〔委員長退席、理事鈴木省吾君着席〕  米価のシーズンが来ればいつも問題が起こってくるのは、やはり生産費所得補償方式による農業諸団体の要請、行政庁でそれぞれ同じ名前であるが中身の土俵が違うということが常に論争の経過でございまして、私どももやはりそういう立場の中で、よりよき土俵の中で仕事ができるようにという要請をいたして、本年度の米価の要求も六十キロ二万円という問題は、従来の生産費所得補償方式で計算をいたしますと、二万一千百十円になるという状況でございまして、団体そのものの中にもこの問題についての見解の分かれ目その他等もございますが、いわゆる本年度の農業の客観情勢は、冷害問題なり災害の問題なり、いろいろ農業に関するもろもろの問題点の中には、米価を下げるという主張というものの根拠はないのでございます。しかし、やはり国の食糧事情にこたえるよう農業団体も全力を挙げていこうということが、ある意味においてはそういう状況下にあるわけでございます。どうかそういった団体、生産者農民の気持ちを本年度の価格形成の中で特に配慮していただきたいと思うのでございまして、いろいろ詳細な問題は省きますが、それと同じことが今度麦価の場合の問題点として考えられるのでございます。  鶴園委員あるいは鈴木委員からそれぞれお尋ねをせられた経過の中で伺っておりましても、米審への諮問問題がまだどう出てくるかという問題についてのお考えがあるようでございます。私は、基本的には、やはり国が必要とし農民に要請する以上には、それに対する先行投資というものを含めたものがやはり価格政策となり、技術政策となり、そうしてやはりそれが税金で負担するという消費者からも最も好まれるという状況になるのじゃないかと思うのでございます。したがいまして、資料を持っておりませんが、昭和三十五、六年ごろの日本の三菱といいますか四麦の生産量と、その当時の輸入量と、そして昨年の輸入量と、昨年の生産量をお知らせいただきたい。
  79. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 三十五年の四麦合計の生産量は三百八十三万一千トンでございます。その同じ年の三十五年の需要量でございますが、需要量は、小麦につきまして合計で申しまして六百十万六千トン。国内生産量はさっき申し上げたとおりでございまして、輸入量は二百六十九万トンでございます。  それから五十年でございますが、五十年につきましては、需要量が七百七十七万三千トン、国内生産量が四十六万二千トン、輸入量が七百八十三万二千トンということになっております。以上の関係は、主食用、飼料用全部含めての数字でございます。
  80. 青井政美

    ○青井政美君 いま大ざっぱな傾向を示されたように、日本の麦がもう十年も以前という状況考えますならば、やはり一〇%しか現状の生産ではあり得ぬという状況でございまして、このよう状況の中にそれだけの客観情勢が生まれたのは何が大きい原因かということが、やはり今後麦の生産をふやしたいという考え方の中には、奨励諸施策というものがより積極的なものにならなければ、問題が残ってくるのじゃないかということが考えられるわけでございまして、鈴木委員からもいろいろお話がございましたように、私はやはり技術的な問題ももとよりでございますが、価格的な問題におきましても、従来から対米価という麦価問題が大ざっぱなものとして農民の腹の中にはあるわけでございまして、いままでは農外所得その他等によって生活水準を維持してきたけれども、現状ではやり得ないということでございますならば、本年度からやはり米審に対するそれぞれの資料の中で、そういった問題も配慮したものの御諮問のなされる御用意があるのかないのか、伺いたい。
  81. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 生産振興のために麦価の算定方式を改善し、それに値するよう価格諮問するということについては、われわれとしても全く同一方向でございます。ただ、具体的にその算定については幅広い議論がこの一年間米価審議会の小委員会で行われまして、その結論が出ますので、それを尊重いたしまして、ただいま申し上げました方向諮問をいたしたいというふうに考えております。
  82. 青井政美

    ○青井政美君 御承知ように、農産物価格そのものはやはり管理価格から安定帯価格、その他六つも七つも、いずれにしても自由に動けないという状況問題でございまして、ある意味においては農業を支えるための御配慮もあります。しかしまた、伸びて所得となるべきものが、やはりそういう諸制度の枠の中で苦労をいたしておる。これは米だけの問題でございません。畜産の場合の問題もございますし、野菜の場合の問題もございますが、地域的にそれぞれ農業を営むという場合におきまする厳しさの中には、やはりそのよう問題がございます。このことは、十分関係の皆さん方は御承知だと思うのでございます。  特に、やはり米価という問題が一番大きなウエートを持っておるという形のもので、先ほど岳官からお話がなかったわけですが、農業団体のそのような姿勢に対する評価があるのかないのか、ただ米審から答えが出てきたらそれでよいというお考えなのか。少なくとも農業なり農民を愛するという気持ちの中からは、私はそういう答えというものがあってしかるべきではないかと思うので、二つの問題をあわせてお尋ねいたしたいと思います。
  83. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 生産者団体が本年も要求米価をお決めになりました。この数字自体については、私ども決定早々でございますし、私ども自身がこれから具体的検討に入るわけでございますので、これについていろいろな御意貝を申し上げることは実は差し控えさしていただきたいという考えでございますが、米の需給事情なり、あるいは米価水準あるいは農産物それぞれの相対価格における米価の地位とか、今後伸ばすべき農産物価格との関連における米価とか、諸般の問題等についてはやはり生産者団体と十分な共通認識、コンセンサスの上にそれぞれの年のそれぞれの農産物価格、特に大事な米価については決めていかなければならないという点でございます。  残念ながら、その点については従来の経緯も、いわゆる土俵が相当違っておりますが、これは今後われわれとしても十分お互いに意見の交流をいたしまして、その土俵、共通の認識の上で、米価その他の決定を進めていくべきだという努力をすべきであるというふうに考えております。
  84. 青井政美

    ○青井政美君 どうかひとつ従来からも問題がございますし、私どももやはり農業団体とともによりよき国民への食糧需給の責任が果たしやすいように、算定方式の各項目ごとによりましての問題がたくさんございます。話し合えば理解ができる、そうして理解ができますと、やはり価格形成上における大きな問題点も一歩前進することになると思うのでございまして、どうか米の問題と麦の問題点等については、十分そのよう見解での御推進を賜りたいと思うのでございます。  いま一つ問題は、米価審議委員問題でございます。この問題はいろいろ経過もございますし、長々と議論をしても問題が残されると思うのでございます。最近のメンバーがかわるという状況の中で、安倍農林大臣が御就任当時から、より生産者消費者に対する考え方の中で、積極的に任期の更改の時期には考えてみようというようなお話があったのでございます。御承知ように、この問題に対する結論も出ておるかどうかは存じませんが、現状の生産者四名、消費者四名、その他が十七名というような形では、少なくとも米価審議会の権威というものが、あるいは消費者の立場からも、あるいは生産者の立場からも私は理解がしがたいのじゃないか。そういう意味における要望が、団体を通じて全国津々浦々に至るまでこの問題についての大きな関心事になっておるというのが、今日の実情だと思うのでございます。この点は、長官も十分御理解なり御承知になっておいでかと思います。本年度の任期の更改に当たりまして、新しい観点に立って米価審議会の委員の御委嘱をする用意があるのかないのか、お伺いしたい。
  85. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  米審の構成については、ただいま青井先生のおっしゃいましたような御所論からの御意見もございます。一方では、昭和二十四年以来の米審の構成なり運営の経緯から、今日の過程に至っておるという現実もございます。また、特に米価は稲作農家にとって最も大事なものであり、消費者家計にとってもいろいろ大事なものでございますが、米の生産、流通、消費という観点だけでなくて物価に持つ意味あるいは国民経済に持つ意味あるいは財政に持つ意味という非常に大きな、いわば国民的な、大げさで恐縮でございますが、コンセンサスのもとで米価が決められなければならない、そういう大事なものでございますので、それにのっとった構成が必要ではないかというよう考えております。ただ、いろいろな御意見があることは率直に私ども承っておりまして、これらの点を、現在最終段階でございますので、検討中でございます。そしてもう時期も迫っておりますので、いずれ各方面の御意見もぼつぼつ聞き終えたという段階でございますので、結論を急いでおるというのがありのままの姿でございます。
  86. 青井政美

    ○青井政美君 私の時間はもうございませんので、最後にお願いだけ申し上げておきます。  当初申し上げましたように、農業をめぐる厳しい情勢という問題が、五十二年産麦価の場合におきましても米価問題におきましても、非常に厳しいものがあるということを御理解を賜りまして、やはり生産者の再生産が確保のできるよう価格決定という御配慮を賜りたいと思うのでございます。なお、いままでは御承知ように、米が必要だという状況の中での増産の諸体制は非常にうまくまいってきた、これは今日で申し上げますなら三百万トン余るんだという状況下にあるわけでございます。この問題にはやはり加工その他の問題も必要でございましょうが、麦なり大豆なりその他の作物が必要だということならば、そのような今後の再生産に必要な先行投資というものを新しい予算の中で十二分に考えていただいて、国の要請にこたえられるよう農業というものが特にできますように、お願いを申し上げたいと思うのでございます。今日二万円という要請は、そういうささやかな気持ちの中での今年度の米価でございます。どうかひとつ、この金額に近づけられるようなものが、やはり一つの大きな問題点として御高配を賜りたいということで、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ことしの生産者米価については、すでに生産者の各団体の要求価格も出そろいましたし、本格的な米価の季節を迎えているわけですが、生産者及び消費者米価については七月参議院選挙が終わってから、また麦価は六月の下旬にもそれぞれ決定される予定だと伺っておりますが、五十二年度米麦価確定の基本方針をまず伺っておきたいと思います。  政府大蔵省の基本方針は、一つは、米が過剰傾向にあるために生産者米価を春闘相場以下に抑えたい、そして生産を抑制する方向でいきたい。二つ目には、食管赤字が相変わらず財政を圧迫しているために、逆ざやの是正に努めるために消費者米価は去年に引き続いて一〇%前後ぐらいは引き上げたい。つまり、米の生産抑制と食管赤字解消の二本立てで行くことを柱にしているようにいまのところ私は理解しているわけですが、なぜそういう基本方針をとらなければならなかったのか、その背景について御説明願いたいと思います。
  88. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  午前中も鶴園委員等から、一部新聞に掲載されました大蔵省の本年の米麦価に対する具体的方針が確定したとか決まったとかというようなお話がございましたが、両米価なり麦価というものについての検討はこれから入るわけでございまして、最終的な責任である農林省としても、諸般の資料を整備いたしまして、政府部内の検討として財政当局ともいろいろ折衝なり検討を重ねるという段階でございまして、伝えられるよう数字とかその他については、われわれは全く関知しておりません。  これは、たとえば昨年の米審への生産者諮問米価が五・二%であったとか、あるいは最近の農業パリティの数字を見て麦価を七%とかというような二つの推測に基づいたものでございまして、実は端的に申し上げますと、例年この時期にはそれぞれから予想的な報道というものがあるわけでございまして、われわれとしては、あの一部報道に基づいてこの基礎その他というようなことについては残念ながらお答えできない立場にあるわけでございますが、ただ全体の米をめぐる条件という問題として、午前中からもしばしばお話が出ましたように、需給情勢はきわめて険しい、農家にも消費者にとっても一番重要な食管制度の健全な運営にとっても過剰は最もいわば敵でございまして、このような厳しい条件のもとで価格決定する場合においては、その需給事情の配慮というものがやはりどうしても必要ではないかという問題としてであれば、これは私どもとしても需給事情については慎重な配慮をしなければならないというふうに考えております。  また、次に麦価等につきましては、午前中から繰り返して御議論も賜っておりますように、生産振興のために大幅な算定についての改善も必要だという点も出ておりますので、これは米審等でも近々結論も出ると思いますので、それを尊重して、生産振興に資するよう価格水準の実現という点について、われわれとしても努力をしなければならないというふうに思っております。  また、消費者米価につきましては、相沢先生ただいまおっしゃいましたような一〇%云々というようなこともございますが、これは生産者米価が適切に決定された後、食管運営上どうしても改善しなければならない売買逆ざやについて、この時点における消費者の家計の許容する範囲をにらみながら、物価動向等もにらみながらその逆ざやの消費者米価の改定を行うというわけでございまして、具体的に一部報道されたようなものが前提になって、今日検討が進められているわけではないわけでございます。
  89. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 諸般の情勢を勘案してこれから具体的に数字が決まるんだと、こういうことなんですが、そうしますと衆議院の農水、そして現在参議院の農水で具体的に審議が行われている。また、例年のごとく決議等もなされるということになると思うんですが、そういうものが本当に尊重されて結果が出てくる。そうなった場合に、いまいわゆる観測記事といいますか、そういうものとはかなり大幅に変わってこなきゃならないと思うんですけれども食糧庁長官としてはいわゆる最後の、後の方で説明した米の需給バランス云々、そういった問題もあるけれども、要するに生産者の多くの意見なり、あるいは他の農産物の自給を高めるために生産を拡大しなきゃならない、そういったいろんなこういう立場の意見というものの方は、強く反映した結果になるんだというようにお見通しができますか。
  90. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  生産者米価を例にとりますと、これは御案内のとおり生産費及び所得補償方式、これについて例年決めていただいておりまして、最も最近の物価、賃金の動向あるいは生産内部の事情、すなわち労働力とか反収の動向というようなものを数字にのっとりまして、データにのっとって判断をいたすというわけでございますが、その前にもやはり需給の均衡というものが食管にとって最大の課題でございますので、この点についての慎重な配慮は必要であろうというふうに考えておるわけでございます。また、麦については、生産振興の要請が強いし、繰り返すようでございますが、これについて諸般の対策の強化、価格政策もその一環としてまたこれを担わなければならないということでございますので、十分その点に思いをいたして、具体的な算定に入りたいというふうに考えておるわけでございます。
  91. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 農林省は、昨年並みの冷害による減産がない限り、再び四十五年当時のような米の大過剰時代を迎えるといって、きわめて事前の大宣伝といいますか、過剰過剰ということを強調されているのですが、その米の過剰の原因は一体どこにあるというふうに思われますか。
  92. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) きょういろいろ官房長等からも御説明申し上げましたように、基本的には需給のギャップでございますが、一つ生産面の要因、一つ需要面の要因があると思います。  生産面の要因につきましては、具体的にたとえば五十一年、五十二年潜在生産力を千三百万トンに見まして、需要量を千二百十万トンに見て、需給ギャップ九十万トンというように想定いたしまして、水田利用対策、いわゆる稲作転換施策を講じておるわけでございますが、さて供給面を見ますと、やはり稲作の相対的の収益性の高さとか等々の理由によりまして、自己開田等の増加とか、あるいは転作作物としてやっておりました水田水田への復帰とか、あるいはこれは高度成長期には減少要因でございました水田の転用の減少とか諸般の情勢がございまして、供給力千三百万トンという潜在生産量はいわば下限で、通常の平年作を予定すれば三、四十万トン供給力はこれを上回るというようなわけでございます。  一方、需要につきましては、われわれといたしましては人口一人当たり消費量の減退は続くけれども、かつてのような激しい一人当たりの減少量はダウンしてきた。したがって、一方の人口増を考えれば千二百万トン程度あるいは約十万トン上回る程度というふうに想定しておりましたが、なお需要はこれを三、三十万トン下回るというよう情勢でございます。すなわち、供給力では三、四十万トン上で、需要量は二、三十万トンこれを下回るというよう関係が、今日、米需給現実を見渡したところの数字ではないかというふうに考えられておりまして、このような事態が、ちょっとやはり過剰問題を厳しくしておるというふうに承知しておるわけでございます。
  93. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまの長官の御説明は、これまでの経緯の実態の説明としてはわかるんですけれども、やはり過剰の原因の一つの大きな要因は、米以外の農産物価格を不当に軽視をしてきたからじゃないかというふうに指摘したいんですが、つまり米価生産費所得補償方式で決められて、他の農産物よりは有利な価格体系になっている。そういうことから、水田総合利用計画による減反政策も失敗に帰した。特に、昨年冷害で痛めつけられた農家の方たちは、それでもなおかつ、今年少しでもたくさんのお米をつくらなきゃならないとしておられます。これはお米以外に見るべき価格がないから、米作以外に冷害で背負った借財というものを返すことができないという立場に置かれているためだ、こう思うわけです。ですから、主要農産物の価格保障政策をなおざりにしてきた現在の農政の欠陥を一つは浮き彫りにしているんではないか、こういうふうに思えてならないわけです。  ですから、今日再び米の過剰傾向をたどろうとしているのは、いわゆるこの主要農産物の価格保障政策をいまだになおざりにしている政府自身の責任、これは非常に大きいんであって、こういった農政自体の最大の欠陥にメスを入れないで、生産抑制と生産者米価のタイアップで米の過剰傾向を抑えようとしているのは、政府の責任を農民だけに転嫁をするものじゃないか。まあ算定の基準なり、またアップの算定はこれから決まるんだとおっしゃいますけれども、きわめて低いもので抑えようとするなら、またそれが最終的に低いもので決定されたとした場合は、去年の冷害で大打撃を受けた米作農家をさらに苦境に陥れることになるんではないかと思いますが、この点についてはどんな見解を持っていらっしゃいますか。
  94. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 昨年、まことに相当広範囲な地域冷害なり、あるいは台風十七号というような被害がございまして、地域によってはきわめて厳しい稲作農家の被害があったことはわれわれ承知しております。これにつきましては、御案内のとおり、災害対策としてそれぞれの施策を講じたわけでございます。  なお、これが十分であるかどうかというような御議論がございましょうが、天災融資法の六百億とか、あるいは自作農資金の三百三十五億とか、あるいは共済金の千百五十七億とかいうように、災害の対策としては最大限の対策が講ぜられたわけでございまして、これによって稲作農家の経営の回復という点について、農林省としては措置をとってきたつもりでございます。本年の米価は、やはりことしの米の所定のルールに基づきます物価なり賃金の動向あるいは需給事情というようなものを見て決められるべきものでございまして、その年その年の米価は、前年災害があったためにことしその適正な水準よりもさらに上のところで決まるべきだというようなことについては、御議論としてはございましょうが、われわれとしても従来その年産米価については、その年の米の生産その他の諸事情というものを前提として、所定の算定方式によって算定すべきものというふうに考えておるわけでございます。
  95. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 まあ、大臣にもたびたびお尋ねしたんですけれども、事務当局として実際にプロジェクトチーム等をつくって、いますぐに無理としても将来構想として、この主要農産物に対する価格保障政策というものの骨子あるいは構想というものについて、かなり突っ込んだ研究はされてないんですか。
  96. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) 各農産物間の価格政策の総合的な見直しといいますか、再検討というようなことにつきましては、農林省におきまして五十年の夏ごろから始めておるわけで、一部主要な畑作物につきまして価格決定時期を統一するとか、あるいは算定方式につきましてなるべく統一するというようなことを実現をしておりますし、また価格の総合的な見直しをやります場合の前提となります資料の整備につきましても、農家経済調査の拡充再編というようなこと等、研究検討会の成果を踏まえた手直しも実行はしておるところでございますが、何分にいたしましても非常にむずかしい問題でございますので、なお引き続き現在も検討をしておるところでございます。  その観点といたしましては、いろいろございますけれども一つは、いま御指摘になりました作物間の相対的な価格関係が現在適正であるかどうかというようなことが、一番のポイントになるわけでございます。まだ検討の過程でございますので、ここで結論的なことは申し上げる段階にはまだ至っておりませんけれども水田総合利用対策といいますか、過剰である米を他の畑作物転換をしていくという場合との関連で申し上げますと、畑作物の中でも私どもが、戦略的に重点作物として考えております麦だとか大豆、あるいは北海道の場合てん菜をかなりつくっております。あるいは飼料作物——飼料作物畜産物の価格ということで価格問題になるわけでございます。そういうよう作物について見ますと、全国平均で見る限り、一日当たりの労働報酬という点で見る限り、米とそれほど遜色のない水準にまで奨励金を含めますと達しておるというふうに、細かい数字は別にいたしまして大ざっぱな感じを持っておるわけでございます。もちろんそれに及んでない作物もございますけれども、重点で考えておりますような麦だとか大豆だとかあるいはビートとか、そういったような物につきましては、これは地域によってかなり差がございますけれども、全国平均で一日当たり労働報酬という面で見る限り、米とほぼ近いところまでいっておるのではないかと。ただ、それは奨励金を含んでの話だから、奨励金は不安定じゃないかと、一時的で将来保障ないじゃないかと、そういう問題も残っておりますけれども、確かにそういう点があるわけでございますけれども、一日当たりの実質報酬といいますか、そういう面で見る限り、いまのようなことになっておるわけでございます。ただ、そこで問題は、麦の場合等に一番典型的でございますけれども、やはり一日当たり労働報酬でおおむね均衡がとれておりましても、やはり労働日数というのは非常に少ないと。麦で二、三反やっておるということだと、冬期間の農作業の従事日数というのは非常に少なくなるわけでございます。それだけでは生活できないというようなこともございまして、他の産業に出ていくとかいうような例が多いわけであります。  したがって、単に価格政策だけの問題ではなくして、やはり規模を拡大をして、その作物の経営にかなりの労働を投入できるというような規模にまでふやしていかないと、いまの零細経営をそのまま前提にして価格政策だけで、無限に価格が上げられれば結構ですけれども、そこはなかなかいかないということであるならば、一日当たり労働報酬で主要な米とのバランスがとれるというところがおおむね限界じゃないかというよう感じで、そういう前提に立ちますれば、やはり規模の問題というのを相当考えないと、畑作物の振興といいますか、転作の推進というものはなかなかできないと。その場合、水田転換との関係で申し上げますと、そういう畑作物一般価格問題のほかに、現に水稲をつくっているわけですから、それで反当幾らかの所得を上げていると、それと他の作物転換して遜色がないということにならなきゃいかぬので、一日当たり労働報酬だけの問題ではないということになりますと、やはり当面、転作奨励金という価格政策だけではなしに、そういう措置によって反当の所得、一日当たり労働報酬ではない反当所得というものをバランスをとっていくということが、水稲作からほかの畑作物転換するために大事ではないかと、こういうふうな考え検討をしておるところでございます。
  97. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 麦の問題については後からまたいろいろお尋ねしたいと思うんですが、農林省財政負担を軽減するために米の売買逆ざやを五年間で全面解消するという既定方針をことしも貫きたいというように伺っているわけですが、   〔理事鈴木省吾君退席、委員長着席〕 余り財政危機を盾にした政府財政至上主義といいますか、そういうものを余り推し進めると、いわゆる食管法の骨格を揺るがしてしまうんではないかという心配がどうしても出てくるわけです。生産者の所得補償と消費者保護の原則、これがもうやはりどうしても踏みにじられてくるおそれがあると思うんです。二重米価に明示されていますように、食管法の原則というものを空洞化されるんじゃないかというようにきわめて憂慮するんですが、やはりそれが空洞化されると、日本農業のますます何というか屋台骨が崩れてくる。ですから、そういった農業をこれ以上後退させないためにもやはりこの食管法を空洞化をさせるよう方針、これはもう極力避けなきゃならぬ。ですから、今回の米価算定に当たっても、その辺のところは農林省としては十分お考えにならなきゃならないと思うんですが、その点についてはいかがですか。
  98. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、二重米価の解消問題、これは食管運営の健全な運営のいま最大の課題だと私どもは思っておりますが、これは単なる財政の立場から、食管繰り入れの減少とかその他という財政の立場からわれわれは受けとめておるわけではございません。食管運営の健全な運営のためには、やはり物としての米の売り値と買い値が大幅な逆ざや関係にあるという点について、われわれとしては、これは不正規流通その他を誘発する素地を持っておりますし、非常に問題である。また制度として、これは先生の御見解と違うかと思いますが、われわれは食管法は制度としての二重米価を予定しているとも思っておりません。たてまえといたしましては、やはり生産者米価は、食管法にも示すような、生産費とか物価等の経済事情を参酌して適正に本来決め、その決まった生産者米価前提といたしまして、消費者家計の負担力を見てそして消費者米価の改定をいたしていく、その間において物価その他の動向も見ながら逆ざやを段階的に解消していくという趣旨でございまして、その結果繰り入れが減り、それが農政全般に有効に使われるなら、それはそれで非常に意味があるというふうに考えておるわけでございまして、財政だけの視点から今日の逆ざや解消の問題を取り上げておるというわけではないわけでございます。  また、消費者の家計の問題は、年々の家計の伸びと申しますか、可処分所得の伸び等もございますけれども、現在家計の米支出、家計支出に占める米支出のウエートというようなものを見ますと三%を割っておるわけでございまして、これはそのときどきの物価も慎重な配慮が必要でございますが、通常の条件であれば、その逆ざやの解消のために消費者米価の改定をするという条件もあるものと考えておるわけでございます。
  99. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 食管特別会計に対する一般会計からの負担、繰り入れの問題ですけれども、これは農家の所得補償と米の再生産確保並びに国民の食生活、物価安定という、こういう両面から見てこれは本来不可欠だと思うんですけれども、それで食管会計の管理経費について、やはり事務費の節減であるとか輸送業者の独占体制の改革をするとか、あるいは米のバラ輸送を促進するとか、こういったコスト軽減のための施策はもっと進める必要があるのじゃないか。何とかしてこの食管赤字縮小に努めるための努力は必要であろうと思うのですが、これについてはどんな御見解をお持ちですか。
  100. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  おっしゃるとおりだと思います。今日の食管、国内米管理勘定の赤字は、多くは四千六百億以上の売買逆ざやに伴う金と二千三、四百億、ちょっとラウンドで恐縮でございますが、二千四百億前後の管理経費という枠がございます。これの主要な内容は、事務人件費なり、あるいは輸送費なり保管料あるいは金利というようなものがその主体を占めておるわけでございます。したがって、食管については単にその売買に伴う逆ざやだけについての改善というだけでなくて、管理費についても諸般の工夫をこらすべきだというふうに考えております。  たとえば、輸送等につきましても交錯輸送を避けて、米は全国運送しておるわけでございますが、その場合においても、発地着地の地点から最も運送費の節減になるような輸送計画を立てるべきであるし、またバラ輸送その他の最近の物流の傾向を、合理化の傾向を取り入れた輸送方法の採用というような点については、われわれとしても一部試験的でございますけれども、取り入れ始めておるわけでございまして、その点の努力も必要だと思いますし、また人件費等につきましても、御案内のとおり、われわれとしてはむしろ食管の業務の維持についても非常に慎重に配慮しなければならないほど、昭和四十年の初めからの定数削減で食管の定員というものは七、八千人減っておるというようなことでございます。また、組織機構といたしましても、出張所を全廃いたしまして整理統合するというような機構の努力にも努めておるところでございまして、御所論のように、この管理費自体の改善という点についてはややもすれば忘れがちになるわけでございますが、食管全体の健全な運営という点からなお努力をしなければならないというふうに考えております。
  101. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 この米価決定のシステムの問題お尋ねしておきたいんですけれども、現在のシステムで一番ベターなんだと、こうお考えなのかどうか。それで、やはり生産者米価決定については、もっともっと生産者団体と事前の十分な協議を尽くす必要がないか。また、消費者米価についても同じようなことが言えるわけですけれども、そのための新しいルールといいますか、こういうものを確立するための検討をすべきだと思うんですが、この点については部内でどうなっていますか。
  102. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 米価決定については、従来の方式の惰性的延長でなくて、今後最もその諸般の要素を加味した関係者の納得のいくよう米価決定方式を考えるべきであるというような御所論かと思いますけれども、現在政府が行政価格として責任を持って決定しており、諮問機関としての米価審議会に各層の有識者にお願いして意見を求めてそれで決定しておるわけでございますが、何と申しますか、直接統制、政府買い入れの基本食糧であるという性格にもよるわけでございますが、米自体がやはり国民経済全般の中で物として最も大事な基本主食でございますので、政府の責任において決めさしていただいておるというたてまえは今後も必要かと思うわけでございます。しかしながら、できるだけ生産者米価であれば生産者の各方面の意向をくみ上げ、消費者米価でございますれば消費者の側面からの御意見をくみ取って、その諸般のあらゆる要請、諸般の状況というものを相互勘案して、適切に決定すべきであるという方途を見出すべきであることは当然かと思うわけでございます。  ただ、これはちょっと議論になりますが、米価水準なり、あるいは米をめぐる需給事情なり、その他諸般の共通認識がある程度接近している場合においては、非常に話し合いその他のいま御指摘ような方式についても取り入れる要素が多いわけでございますけれども、いろいろな経緯がございまして、今日ただいま現時点では、必ずしも、私たち土俵と申し上げたいわけでございますが、その土俵について国の側とちょっと違っておる面もあるという点もございまして、これらは今後私ども政府の努力はもちろんでございますが、関係者のお互いの努力によって、そういう方向に進まなければならないというふうに思っておるわけであります。
  103. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 米価審議会についていろいろと批判、意見が出されていることは御承知のとおりだと思うのですけれども、どうもやはりこの米価審議会は主体性を欠きがちだ、あるいは運営のあり方とか、あるいは審議会における構成メンバーのあり方、これはもっともっと改善する必要があると思うのですが、特に生産者代表をもっとふやしてほしいという意見が強烈にあるわけですね。一つには日本列島は縦長にあるわけですから、東北、北海道方面の地域から、それから関東、中部から、そうしてあと西日本、南の方からというふうに地域別な代表者とか、あるいはそれから余り年配者ばかりでなくて、三十代、四十代、実際に機械を運転して働いている、生産に従事しているそういう代表者も含めるとか、そういったことが今後やはり本当に皆さん方に納得され、あるいは全国民からも支持される米価決定の重要な役割りを果たす審議会構成メンバーとして理解と協力をもらえるのじゃないかと、このように思いますが、この点についてひとつ食糧庁長官としての御見解を伺いたい。
  104. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 米価審議会の公正なる運営については、各般の意見が各方面から出されておることを十分承知しておりますが、先ほども申し上げましたように、米価という最も国民の生活なり、あるいは農政上重要なものの価格決定につきましては、やはりそれなりの立場から、広い立場からそれぞれその御意見を賜るような構成が最も適当であろうというのがわれわれの考えでございます。  で、昭和二十四年以来米価審議会が今日まで至っておりますけれども、それはそれなりに長い経緯がございまして、今日の構成なり、あるいは運営ということに相なっておりまして、そういう実績の上に立ってさらに新しい御意見として、あるいは生産者なり、あるいは先生ただいまの御所論では若い世代というような、若返りというようないろいろな御意見もございますが、従来の構成、運営の実績というものについては、私どもは率直に申し上げますとそれなりの評価をしております。しかし、いろいろ全体各方面からこれについても意見も承っておりますので、われわれとしては本年も委員の改選の時期が迫っておりますので、ほぼ各方面の意見も承りましたので、それらをそれぞれ検討いたしまして結論を出したいというふうに思っておるわけでございます。
  105. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 残りの時間を麦の問題お尋ねしたいと思いますが、最初に小麦の国際需給関係について伺いたいと思います。  昨年の世界の小麦生産量は、主要生産輸出国で豊作だと、また大消費国も豊作だと言われておりまして、国際小麦理事会や国連食糧農業機構の報告によりましても、一〇%から一三%増と報告をされております。日本にとっても、この需給緩和というのは大変幸いしているわけですけれども、ことしの世界の需給関係については、農林省としてはどのように分析をしておられるのか、伺いたいと思います。
  106. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  昨年の、一九七六年の需給事情については先生のただいまお話のとおりでございますが、さて、七七年につきましては、小麦の生産を主として主要輸出国として見ますと、アメリカやカナダにおきましては、昨年の需給の大幅な緩和から小麦価格が低迷したという点から、作付面積の若干の減少はあるようでございますけれども、しかし気象その他の条件というものは非常に良好でございまして、また、特に国際需給に大きな影響をもたらす社会主義国、ソ連の作柄等も良好でございますし、またヨーロッパも良好のようでございます。それで、国際的な需給を総合的に把握する資料といたしまして、国際小麦理事会の最近の見通しを見ますと、いわゆる小麦生産量は三億九千万トンから四億一千万トンということで、ほぼ昨年の水準に近いような供給が期待されておるというよう状況でございまして、またしたがって、世界における小麦の在庫量も各主要輸出国はもちろんでございますが、全体としても一億トン程度になるというふうになると見込まれております。需要は、小麦理事会の計測によりますと、三億八千万トンでござますいので、この在庫の増加という点で、小麦需給はなお緩和の基調に当面はあるというふうに承知しております。
  107. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ことしのわが国の輸入量としては、どの程度見積もっておられるでしょうか。
  108. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 五十二年度におきますわが国の小麦の輸入計画数量は五百六十五万トン、うち飼料用が百三十八万トンというふうに想定しております。
  109. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 外国産麦類の輸入問題で若干お尋ねしたいと思うんですが、国内消費の増大に伴って、輸入量というものは逐年ふえてきているわけなんですけれども、これは余りやり過ぎますと国内の麦生産を押しつぶしてしまう。かつまた、米の消費を阻害するという点も出てくると思いまして、やはり外麦の輸入は今後大幅に規制をする方向で臨むべきだと思いますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  110. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  小麦の国内における需要動向は、その数量で見ますと、この十年間大体一人当たり原麦換算三十一キロそこそこでございまして、一人当たり消費量はふえておりません。もっぱら輸入量がふえておる大きな要因の一つは人口の増加、内麦の減産に伴う国内供給力の不足とそれに伴う輸入量の増加、それに消費の面から見ると人口増要因、それに飼料——えさ等の加工用の増加、また最近、この数年でございますと、備蓄をふやしておりますので、備蓄の積み増しのための増加というような要因に相なっておるわけでございます。そういう点で、私どもとしては国内の需給を十分にらんで、当然のことでございますが、輸入必要量を決めておるというふうに考えておることが第一点でございます。  第二点は、小麦の輸入削減の問題でございますが、御承知のとおり、昭和三十年代中ごろ以降大きく変わりましたわが国の食生活の中におきまして、麦製品は国民の消費の中に定着しております。したがって、これを計画的にいわば削減いたすということは、消費の規制ということに相なるわけでございまして、この場合、需要そのものが現実にございます麦製品について、原麦の供給量をカットすることによって消費を削減いたしますということは、それ自体需給の大幅な混乱を生じ、まあこれは俗な言葉でございますが、買い占め、売り惜しみなり、あるいは価格の騰貴というようなことを前提とせざれば、相当数量の削減は困難である。したがって、むしろいわば強度の麦製品の配給統制というようなものまで考慮いたしまして、削減問題に対応しなければならないというふうにも考えております。  それからもう一つ、これはやや理屈めきまして恐縮でございますが、この十年、十五年の国民一人当たりのいろいろな食物の摂取の型から見ますと、大体でん粉質が減って、それはもっぱら米のでん粉質の摂取が減って、その分だけ砂糖なり畜産物、あるいは油脂類からの摂取カロリーが伸びておるということでございますので、直ちに小麦の削減が米の消費に向かうか、あるいは他の食物からの摂取カロリーに向かうかというような点についても、今日の食生活のパターンの変化から慎重に検討しなければならないというようないろいろな要請もございまして、いわゆる計画的削減ということについてはきわめて困難であるというふうに、私は認識しておるわけでございます。むしろ、やはり内麦の増産というものを急ぎまして、国内の内麦供給量の増加によって当然外麦の輸入を削減するというのが、基本的な方向ではないかというふうに思っております。
  111. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 七六年の輸入実績を見ますと、輸入相手国がアメリカ、カナダ、オーストラリアがほとんどですが、七三、七四年とアルゼンチンから輸入をしておりまして、七五年は入ってないのですが、七六、七七年はアルゼンチンはどうなってくるのか、今後将来も輸入国と考えるのかどうか、この点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  112. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 当面、外麦に相当大きな量を依存せざるを得ない。その場合に、輸入の安定化という視点から、輸入ソースの多元化という視点からアルゼンチン等の問題についての御指摘であるかと思いますが、いわゆる食糧危機、ソ連の大量買い付けに基づく国際需給の非常に緊迫化したときにおきまして、特に南半球の豪州の不作もございまして、われわれとしては二年間にわたってアルゼンチンから輸入をいたしましたという経緯があるわけでございます。ただ、われわれはその後も引き続いて年間十万トンないし十五万トン、アルゼンチンからもある程度の取り決めによって輸入をいたしたいという考え方もあり、われわれの方として積極的なオファーをした時期もございましたが、アルゼンチンの小麦生産は、残念ながら非常に年による振れが多うございます。輸出余力について確たる安定的な数量がないという点がございます。  それからもう一つは、不足時におきましてはこの点は余り問題になりませんが、小麦粉適性、製粉適性、あるいはパンに対する適性から言うと、現在のところ実需者の声を率直に開きますと、アルゼンチンの小麦は品質として、これについて非常に問題が残っておるというふうにわれわれは聞いております。したがいまして、われわれとしては、当面北半球の安定した生産国であるカナダとアメリカ及び南半球の豪州というものを主体といたしまして、安定的な輸入を考えていきたいというふうに思っております。
  113. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 国内需要のうち、うどん、お菓子、しょうゆ、ビール関係だけで消費数量は何トンぐらいになるのか、ちょっと調べてみていただきたい。これぐらいは将来とも国産で賄うようにすべきではないかという意見が強いんですが、これについての考え方。  それから、五十二年度予算の食管会計中、米麦の赤字が七千八百十二億円。このうち、麦が二百八億円を占めているということなんですが、麦は三年間で逆ざやを全面解消するという方針だといっているんですけれども、先ほどのように、国内生産増加して外国産麦の輸入を削減を図るようにしてこの逆ざやの解消の一助にする、こういう考え方を持っておられるのか。  それから、国産の麦の作付をふやすためには、適切な価格政策を行うことはこれは当然だと思いますけれども、同時に、作業期間が稲作と重なることが非常に一つの阻害要件になっているということなので、この稲作と作付期間が重ならないようにその品種や栽培方法を工夫すると、こういう方策が必要になるんじゃないかと思われるんですが、この面に対する対策は現在進んでいるかどうか、現状を簡単で結構ですから御報告いただきたい。
  114. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 御質問の一点、二点は私ども関係でございますが、うどん、菓子、しょうゆ、ビールの麦の消費量は、それぞれ原麦換算でございますが、うどんが約百五十万トン、端数もございますが、菓子が七十二万トン、しょうゆが十六万トン、ビールが七十三万トン程度で、合計三百十万トン前後ということになっておりまして、このうち製粉の特性から国内産麦の利用が適当と考えられるのは、うどんのうちの生めんと乾めん、しょうゆ、ビール等でございます。まあ、大体そういうように、まさに御指摘の国内麦の原料の適正という視点から見まして、実はしばしば御議論賜っております「農産物の需要生産の長期見通し」では、麦の生産については日本めん用小麦等の六割、それから精麦用の一〇〇%、それからビール用のおおむね五割、飼料用麦の三十万トンというようなことで、例の百四十四万トンという生産目標を国内産麦で供給いたすという関係になっておりまして、いずれにしても、需要から見ますと、国内のそれぞれの二次製品としていま先生がお話しになりましたような二次製品の原料用の内麦の適正数量から見るとまだゆとりがある。むしろ、内麦の生産の供給増加によってその需要を賄うという基本方向をとるべきであるというふうに思っております。  それから、第二点の外麦の逆ざや、外麦の四十八年以来大幅な増加と、国内の物価の視点から売り渡し価格を据え置いて、そのために伴う外麦を主とした赤字は、最高では千四百億程度もございましたが、御案内のとおり、昨年二回にわたる売り渡し価格の改定をさしていただきまして、また一方では、先ほどの御指摘のあったよう需給事情の緩和ということから、外麦の国際相場の低下、したがって食管の買い入れ価格の低下というようなことがございまして、現在では若干の順ざやになるというような事態に相なっておりまして、昨年いろいろ御議論を賜りました外麦の逆ざやの解消問題は、現在ほぼ一段階に来ておるというのがありのままの実情でございます。
  115. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) 御質問の第三点の問題でございますが、水稲の稚苗の機械田植えとの関連におきまして、麦との作期競合の問題でございます。  これは御指摘のとおりの事態でございまして、私ども試験研究の面におきましてもその解決のために、麦類のわせ化につきまして品種改良の面で努力をしてまいっております。その結果、小麦につきましてはサキガケコムギ、ゴガツコムギ、シロガネコムギあるいはセトコムギと、北海道におきましてはタクネコムギというようなものもございますが、おおむねこれらは四日から一週間ぐらい早いものが育成されております。それから大麦につきましても、カワサイゴク、ミホゴールデン、カトリムギ、ハヤミオームギあるいはカワホナミというような、これもおおむねでございますけれども、四日ないし六日ぐらい早く収穫できるものが開発をされておるわけでございます。  ただ、もう少し早くとれないかという要請もございますし、それから今度は逆に米の方でございますけれども、稲の方でございますが、この作期をおくらせるというようなことを通じまして、作期競合を避けるという面もこれは考えなくちゃなりませんので、あるいは中苗の機械田植えによります栽培体系の確立というようなこと、さらには水稲の晩植品種の育成というようなことも研究する必要があるわけでございます。したがいまして、本年度からそのような研究内容を持ちます別枠研究、大型の試験研究でございますが、別枠研究を開始をいたしまして、おおむね五年を目途にこの研究を推進をしてまいりたい、こういう体制に現在なっております。
  116. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 時間が参ったようなんで最後にまとめてお聞きしますので、簡単にひとつ答弁をいただきたいと思います。  政府は昨年生産者麦価を約七%引き上げて、さらに奨励金を出して増産刺激策を講じたわけですが、その成果はどのように評価をされているのか。さらにことしの増産政策にどのようにその評価を生かそうとしているか、その点。  それから昭和五十一年度の農業白書によりますと、農業生産動向で麦の評価については主要生産地を中心に麦の生産回復状況報告されているわけです。その中で、小麦の米に対する相対価格については二十年代中ごろでは六〇%であったが、三十八年に五〇%を割り、五十一年には四〇%にまで低下した。そして、例の五十一年産からは単価引き上げに加えて水田裏作奨励補助金が交付されて、農家の実質手取り額は六十キロ当たり一万円台になった。小麦の米に対する相対価格は、生産がピーク時の水準まで戻っている、このよう報告されています。ところで、北海道では六十キロ当たりの実質手取りはどうだったのか。御承知ように、北海道の場合は畑作麦が主体になっているんですが、その格差はどの程度あるのか、お伺いしたいと思います。  次は、白書でも指摘しているように、「北海道の畑作地帯においては、地力の維持にも配慮した輪作方式を導入し、土地の効率的、安定的利用を進めることが必要であり、そのためには国内甘味資源の確保、麦作の振興にも配慮しつつ作目間の相対収益性の改善を図っていく必要があろう。」、こう結んでおられます。北海道生産現場から、ことしからはぜひとも麦類の作付面積に対して輪作奨励金が交付されるように強い要望が出されているんですが、農林省のお考えはどうなっているか、前向きの御答弁をいただきたいと思うんです。労働時間は北海道が十アールで四・九時間、本州平均二十六時間、こういうわけで非常に有利だというんですけれども、単作ですと二十五町歩ないとやっていけないと、こういうことですし、それから面積をそれだけ確保できないために、機械を導入しておりますし、必要経費においては変わらないんだと、こういう生産者からの反論もあるわけでして、ぜひ政府の前向きの御答弁をいただきたいと思います。  それから麦の生産体制の改善についてですが、麦作はスケールメリットが大きい農作物であるところから、土地改良等によって集団化し、規模の利益を上げようということも全国各地で推進されているようなんです。昨年八月、農林省発表した麦作規模拡大の事例によると、北海道から九州に至る十七の集団の事例を紹介し、参考にせよとPRをしているわけですが、ここで一つ問題が出てきます。借地した場所の基盤整備ができてないわけです。基盤整備をするにも借地期間が短くて計画が立てにくい、その他このような未整備な土地は排水が悪かったり機械化に支障が出がちである、こういった当面の難問題を抱えながら進めてきているわけですが、こういった優良農家の集団化生産体制の成果はどうだったのか、麦作振興にどういうような成果をおさめたのか、またあわせて今後の支援体制をどのよう考えているのか。  以上、大変数多いんですけれども、簡単で結構ですからひとつそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  117. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) たくさんございましたが、私の所管事項につきまして申し上げますが、まず、昨年、生産者麦価が引き上げられまして、さらにまた昨年、予算で計上しておりました麦の生産奨励金、予算上は二千円でございましたけれども、これを六十キログラム当たり二千三百円ということで実行したわけでございます。さようなことから、麦に対します生産の意欲は、そういう措置によってかなりプラスのいい結果をもたらした。さらに本年の措置といたしましては、いま申し上げました生産奨励金を予算上も二千三百円ということで引き続き継続交付をするということのほか、水田裏作の麦につきましては、前年は五千円でございましたけれども、これを反当六千円に引き上げるということをやっておるわけでございます。  そのほか、これは価格とか奨励金とか、直接農家のふところに入るということではございませんけれども生産条件を整備するということで、先ほど先生の御指摘になりました集団的な生産組織を使って規模の利益を麦作農家に対しまして与えるということが非常に重要でございますので、五十二年度からは集団麦作の推進のための経費、これは作業の受委託でございますとか、期間借地を行いまして規模を拡大をするというようなこと、それから必要な農機具の導入を行う、それからさらに麦は水に弱い、雨に弱い、あるいは湿害に弱いということがございますので、営農排水対策といたしまして停滞水を除去するための弾丸暗渠の工事をするというような簡易な排水事業を助成をする、さらにまた土地改良事業でも麦作のやりやすいような土地条件をつくるための土地改良事業を実施するというような、新規施策をそれぞれ相当大幅に計上いたしておるわけでございまして、こういうことによりまして土地条件の整備、奨励金の交付、それから機械の導入、そういうことを総合的に講ずるということで、相当生産の意欲は高まりつつあるのではないかというふうに思います。ただ先生御案内のように、日本ではまだまだ麦のつくりにくい気象条件なり土地条件というものがございますので、この点は品種改良とか米麦一体作業体系を確立するとか、そういうことが非常に重要になってこようと思います。  それから、先生のおっしゃいました輪作体系に対しまするてこ入れと申しますか、援助措置でございますが、これにつきましても、畑作で考えます場合に北海道と内地とは非常に様相が違うと思うわけでございます。北海道ではもう御案内のように、これは田を転換して麦作をやるもの、あるいは畑作が中心でございます。畑作の方が圧倒的に大きいわけでございますが、近年の推移はいずれも面積増加ということになってきております。いずれの場合におきましても北海道におきましては、特に畑作でございまするけれども、他の作物との輪作の組み合わせでございますね、これが畑作においては北海道ではもう完全に定着しておるというふうに見ておるわけでございまして、なおまだまだいろいろと工夫をこらすべきところはございますので、輪作体系の確立、本当に理想的な輪作体系ということに仕上げていくという努力は今後もする必要がある、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから内地の場合で考えますと、内地の畑作の麦につきましてうまい輪作体系がとれるかどうかということについては、北海道よりもより困難な条件があろうかと思います。と申しますのは、これは地帯によっても違うわけでございますが、先生御案内のように、たとえばたばこの間作に入れておるというようなものでございますとか、あるいは野菜などの方が土地利用の面で反当収益も多いから、労力事情さえ間に合えば野菜の方をつくるというようなことで転換をしていくというような意味で、そういう意味では自然に畑地をうまく利用をするという形での回りがあるわけでございますから、これは特に麦だけを奨励をして無理やり入れるということは、なかなかできにくいような条件のあるところもございます。  しかし、いずれにいたしましても、畑地で麦をやるという場合におきましては輪作のことを考えざるを得ないので、後作前作の関係地域地域の実情に応じてどう持っていったらいいのかということが今後の課題でございまして、私ども県の試験場等を指導をいたしまして、それを中心に普及体制もこれに積極的に参加して、合理的な輪作体系ができるように援助してまいりたいというふうに思うわけでございます。したがって、特に麦は輪作体系の中で地力維持上有益な作物でございますから、積極的に進める気持ちはございますが、直接的な助成金の交付というようなことはどうかというふうに思っておるわけでございます。この点は検討をさしていただきたいというふうに思っております。
  118. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 鋭意検討してください。
  119. 福澤達一

    政府委員(福澤達一君) 期間借地につきましての麦作が十分行われないための基盤整備という問題のお問い合わせと思いますけれども、これは確かにそういう条件の整ったところに期間借地をすべきであるというふうに私ども考えておりまして、そのためにはやはりおくれております排水不良地域だとかいうようなところに対しましては暗渠排水その他を行いまして、できるだけ早くそういう麦作の条件が整備するようなそういう位置づけをしていきたいと思います。そういうところに対して期間借地をしていただくように、そういうふうに指導をしていきたいと思っておるわけでございます。  なお、五十二年度からは麦作生産土地条件の整備事業というものを新しく設けまして、ますますこれから振興を図っていかなくてはならない麦作に対する基盤整備事業の促進を図っていくということに努めてまいりたいと思うわけでございます。
  120. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 じゃ、いいです。
  121. 塚田大願

    塚田大願君 論議も大分進みましたから私はなるべく重複しないよう質問したいと思うんですが、しかしやっぱり午前中から出ておりましたことしの米麦価に関する新聞の一連の報道であります。これについて、まずひとつ聞いておきたいと思うわけであります。  最近のこの二、三年間の特徴としまして、ちょうど春闘におきますガイドラインみたいな方式で、米価の引き上げ率があらかじめ政府方針としてマスコミに載る、こういう一つの特徴といいますか、パターンが生まれてきているように思うわけであります。先ほど長官、そういう数字はわれわれ関知いたしませんということを繰り返しておられますけれども、しかし、ここに私新聞の切り抜きをかなり持っておりますが、米は五%以下、麦は八%程度消費者米価は八%台、麦価は一五%前後、これは読売新聞でありますが、こういうふうに出ているわけですね。あるいは毎日新聞を見ますと、これは五月二十六日付でありますけれども生産者米価は五%以下、消費者は一〇%、それから麦の方は生産者八%、消費者一五%というふうに出ています。そして、特にちょっと問題だと思うのは、大蔵省生産者米価を据え置くべきだという声が最初非常に強かったというようなことがあるわけであります。  こういうところを見ますと、長官盛んにそういうことを否定されておりますけれども、じゃこういうことは単なる新聞記者の推測記事であるのかということになるわけでありますけれども、私はやはりそういうふうには思えないんですね。明らかに意識的にこういうものが流されている、一種の世論づくりがされておる。私は、こういうやり方はやはり正しくないと思うんですね。諮問もされておらないという段階でこういう世論づくり、PR作戦が行われる、こういうやり方は私は不当だと思うんですが、そういう点でやはり長官にお聞きしたいんですが、本当にこういう点で大蔵省あるいは農林省考えたことはないのかどうか、その辺、率直にひとつ聞かしていただきたいと思うんです。
  122. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) ただいまのお話は、先ほども指摘がございました。これについて率直に申し上げましたように、米価生産費及び所得補償方式で算定をいたすという基本方針は本年も変わらないわけでございまして、そのためには原生産費なりあるいは評価がえ労賃その他、重要な算定の諸要素というものが積み上がってまいりましてこそその数字としての議論ができるわけでございますが、これは米価決定の最終責任を預かる農林省の作業なり検討の結果、財政当局と話し合いを、調整をいたす、あるいは討議するという性質のものでございますので、われわれとしてはそれを、いろいろな一部報道等について何ら関知いたしませんし、また事の本質からいってもそういうものではないというふうに思っております。
  123. 塚田大願

    塚田大願君 本来そうあるべきだと私も考えます。しかし、現実はこういうふうにみんな一致して新聞報道しておるんで、そういうことになりますと、新聞記者が勝手に推測記事を書いているんだと、けしからぬということになりかねないわけでありますが、農林省、別に抗議もされた様子もないところを見ますと、やっぱりそうではないんじゃないかという感じがするわけですね。しかし、まあこれをいまここで、じゃ農林省抗議しろなんというようなことを私示唆しているわけじゃないんです。ただ、問題はやっぱり非常に深刻ですから、農林省としても大蔵省としてもいろいろ考えているんだと思うんですが、いま私ここで問題にするのは、何%、何%という数字ではないんですよ。つまり、米麦価に対する農林省の基本方針というものが、すでに固まっているのかどうかということをお聞きしたいわけですね。まあ大体、先ほどからの答弁をお聞きしましても、いわゆる米は過剰基調だから米価は慎重に検討する。つまり、抑制しなきゃならぬのだという意味のことをおっしゃっていると思うんです。現に、もう一つ私資料ありますが、この間、戸塚食糧庁次長が、新聞に出ているところによりますと、これは五月十二日の農業新聞でありますけれども、こういうふうに言っておられるんですね。「四十三年当時の状況とよく似ている。四十二年十月末の古米在庫六十四万トンが、四十三年十月末には二百九十八万トンになり、あれよあれよと言う間に四十四年には五百五十三万トンになった。急増する現状からして、これを何とかしなければならない。生産刺激的にならないよう配慮するというのが食糧庁の一致した考えだ」というふうに報道されておるんです。これも、報道でありますがね。どうもやはりそういうふうに、農林省、食糧庁としてはそういうふうな基本的な考え方をまとめていらっしゃるんではないかと思うんですけれども、この点はどうでしょうか。
  124. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 繰り返すようでございますが、本年産生産者米価につきましても生産費及び所得補償方式、すなわち物財費の動向なりあるいは労賃、これは御案内のとおり製造業労賃に評価がえしておりますが、最近時点における労賃の状況を見まして算定をいたすという基本方針には変わりはございません。ただ、その年々の米価を算定いたす場合におきましては、これをめぐる経済事情、特に需給事情というものについて配慮いたすということは当然でございまして、そういう意味では、米の需給というものが容易ならざる事態であるという点から、米価決定については慎重な配慮をいたさなければならないということは、私、午前中から繰り返して申し上げておるところでございます。
  125. 塚田大願

    塚田大願君 需給状況をにらんでと、それはそうだろうと思うんですが、しかし過剰だという問題が、これがすべて農民に転嫁をされるというようなことであってはいかぬのじゃないかと私は考えるわけです。要するに米以外の物がとにかく採算が合わないということで、結局、先ほどから論議されましたように、麦にしても大豆にしてもやはり生産が上がらないと。結局、米以外では生活ができないというふうなことがやはり主要な原因だし、また四十三年以降の過剰の際に連続して、三年連続で米価が据え置きになったと、こういうことからして、結局農民にすれば、もう米づくりから他の作物転換するというよりも、農業そのものに対する意欲を喪失してしまったということですね。  ですから、農業生産全体として見ればやはり後退しておると、ここに私はやっぱり一番大きな教訓といいますか、一番大きな問題点があるんじゃないか。農林省や食糧庁は一生懸命に農業生産、食糧の増産ということを、自給率の向上ということを言っていらっしゃるんだけれども、しかし大局的に見ますと、農民の意欲が減退をし農業生産全体としては後退をしている、自給率もどんどん下がっておるということではないか。だとすれば、やはり問題はきわめて重大ではないのかというふうに感ずるわけであります。この辺の教訓を私どもが学ぶということは、また問題点を掘り下げてみる、そしてこの辺で農政の抜本的な見直しをする必要があるんではないかというふうに考えるわけでありますが、この点はどうでしょう。
  126. 澤邊守

    政府委員澤邊守君) 確かに御指摘ように、米が過剰である、他方におきまして総合的な自給力の向上を図るために増産の必要な麦なり大豆なり、その他畑作物が思うよう生産がふえない、そのために転作達成率も一〇〇%に及んでおらないというような実態があるわけでございます。これはいろいろその要因は考えられるわけでございますが、突き詰めて言えば、現在の生産条件、それは技術なり基盤なり、あるいは価格等を含めました生産条件のもとにおきまして、米をつくった場合の収益に比べまして転作した場合、物によってはかなり収益性において遜色があるということのために目標達成できておらない。あるいはまた目標自体も、振り返ってみますと、率直に申し上げてやや甘かった、目標が低過ぎた、本年度の九十万トン、昨年度も九十万トンでございますが、これあたりは、需給のその後の動向から振り返ってみますと甘過ぎるのではないかというような点があるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、米から他の必要な農産物への転作が円滑に達成できる、その場合、これまでの目標をさらに引き上げた高い目標を円滑に達成できるというようなことにするためにどのよう対策を講ずべきかということを、省内で種々検討いたしております。できますれば五十三年度の予算編成までには、現在の水田総合利用対策というものを抜本的に見直していきたいということで検討をしておるわけでございます。その際、基盤整備問題なり、あるいは技術問題なり、あるいは直接的な奨励金その他の転作奨励措置の強化の問題とあわせまして、農産物相互間の価格政策あり方につきましても、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  127. 塚田大願

    塚田大願君 いまの官房長の御答弁で、ある程度農林省考え方も理解することができますが、要するにこの需給計画、先ほどから長官もいろいろおっしゃっているんだが、需給計画がとにかく大分狂ってきた、これは事実だと思うんですね、古米の先ほどからの在庫の数字を見ましても。とにかく最初の計画でありますか、当初五十二年度の古米持ち越し数量というのは、計画によると二百六十万トンであったわけでありますが、これがことしでは三百三十万トンでありますか、来年は四百万トンになろうと、こういうことになっているわけでありますから、明らかに計画に狂いがあるということははっきりしていると思うんです。そこで、そういう状態だから、じゃ五十二年度の米価をとにかく生産刺激的なものにしない、こういうことだと思うんですけれども、この問題にしましても、実際には米の田植えはもうすでに済んでいるわけですね。少なくとも米価決定する段階では終わっているわけです。  とするならば、生産を刺激しないというのは、反当収量が余り上がらないようにするというふうなことにも考えられるわけだ、意地悪く言えば。確かにことしは、長期的な予報では低温が心配されているというんですね。そういう状態の中で、米つくりの意欲も減退して手抜きするということになりますと、被害が非常にまた大きくなる可能性もあるわけです。去年のあの冷害で、私ども委員会としても東北を視察いたしましたが、この冷害が単なる天災でない、やはり人災だということが強く言われましたけれども、こういうことを期待しているのかとも勘ぐってみたくなるわけですね。ですから、米価作付前に決定されておるならとにかく、生産を刺激しないということは一体どういうことなのか、私どもにはわからないんですね。どういうことなのか。食糧を生産しなきゃいかぬというのに、生産を刺激しない、これは一体何を言っているのだということですよね。ところが、その生産を刺激しないのは食糧庁の一致した考え方である、こういうふうに次長は言っておる。これをひとつちょっと解釈して、翻訳していただきたいんですがね。
  128. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) それぞれ主食その他国民の必要な食糧につきましては、増産すべきものは増産し、また供給が過剰なものは需給を適正化するということは当然だと思うわけでございます。午前中以来いろいろ御議論が出ましたが、麦については、これは国内自給度を高める緊急の必要があり、そのためには価格生産刺激的でなければならない、それにのっとった価格算定方式を早急に取り上げろというような御所論を承りました。これは米の場合におきましては、先生もその事実はお認めのように、来年は四百万トン、七百万トンもまたたく間に来るというような深刻な過剰事態でございまして、米をめぐる一番大事な制度としての食管制度の運営すら、このような過剰事態のもとでは困難だというような事態でございますので、米価水準については、その価格が最も生産刺激的な要素を持つという点から、慎重な配慮が必要ではないかというようなふうに私どもは受け取っております。  それからまた、すでに作付が終わった米につきまして、米の値段を、先生のお言葉では抑制するとは何事だというようなお話もございますが、やはりこれからどしどしつくってもらわなければならない他作物との相対収益性から見て、米の有利は否定できないところでございまして、本年米価決定も、そういう点を配慮いたさざる限り、来年以降その需給均衡というものを達成するにはきわめて困難な抜本策を要するわけでございますので、そういう点も配慮いたしますと、本年産米価決め方というものについては、慎重の上にも慎重でなければならないというふうに私どもは思うわけでございます。
  129. 塚田大願

    塚田大願君 農林省が、いまの需給関係から見て慎重でなければならないとそうおっしゃることは、これはまた当然だと思うんですね。慎重でなきゃ困りますよね。しかしその慎重さというものが、単に一方では米価を抑える、麦の場合には少し刺激的にやっていい、しかし片一方は抑えるんだと、こういうバランスシートのようなことを考えるんではなくて、私は農政としては、いまのような日本の食糧の自給率状態から考えるならばもっともっと農民の生産意欲を刺激する、全体として刺激するということがどうしても必要なんじやないか。だとすれば、米の方を抑えるというよりも、いままでその他のいわゆる転作作物、これが幾ら転作奨励をしても少しもさっぱり進まないという、そういう面に、それは何も麦だけでなく大豆だけでなくて、野菜やその他の主要食糧物に対する思い切った刺激策をとる、こういう積極策でなければ、私は本当の生きた農政ということにならないんじゃないか。  仏つくって魂入れずで、何か仏様自体を押さえてしまって仏様の首を締めてしまうようなやり方で、さあ麦の方も少し刺激的にやるからひとつつくりなさい、大豆もつくりなさいと言ったって、百姓が、農民がそれについてくるというようなことはないと私は考えるんですよ。やはり全体として農民自体が本当に意欲を持って生産に取っ組む、少々価格問題では不満があってもそれが農民に与えられた天性である、使命であるといういわば自覚的な意欲が生まれたときに、私は農業というものは発展するんじゃないかと。そういう観点から見ますと、単に小手先で価格を操作するというようなことは本当の生きた農政になっていかないんじゃないかと、私はそう考えます。  そこで、価格の刺激問題にいたしましても、もっと積極的な立場をとるべきだと。何か優等生がバランスシートをうまくつくっておるという役人的な発想でなくて、やっぱり思い切った、これはまあ大臣を相手にしなければこういう話をしてもむだかもしれませんけれども、思い切ったそういう積極的農政でなければ、本当の皆さんがお考えになっておるそういうこと自体も達成できないんではないか。現に数年間転作がいろいろ奨励されましたけれども現実にはさっぱりだというこの反省から見ましても、私はそういうことが言えるんじゃないかと思うんです。しかし、まあこういう論議はこれぐらいにしておきましょう。  で、もう一つお聞きしたいんですけれども、いわゆる先ほどからも論ぜられております逆ざや解消の問題でありますが、売買逆ざやを五年間で解消するという方針、これが何か既定の方針ように言われているわけでありますね。新聞などにも盛んにそれが出ておるんですけれども、一体これは、いつどこで五年間で逆ざやを解消するというようなことが決まったのか、私寡聞にして知らないんですけれども、この点を教えていただきたいということと、それからこういう方針で行きますと、生産者米価を上げると、これをはるかに上回る消費者米価の引き上げになるわけであります。過剰問題解決のために需要を大いに拡大しなければならないというときに、逆に消費を減退させるような結果になるんではないか。この矛盾をどういうふうにお考えなのか。いわばじり貧になってくるという結果にならないのかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思うんです。
  130. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 第一点の逆ざやの解消、これは食管運営の健全化なり、あるいは農政上の要請あるいはこれは財政というような諸点から、今日いかにも両米価関係において問題となる不正常な関係である逆ざやを解消するということにつきましては、昨年の消費者米価決定の際、政府部内の関係大臣の間での了解でございまして、これはおおむね五年間を目途に逆ざやの段階的解消を図るというのが正確な方針でございます。これが第一点でございます。  それから第二点の消費拡大、需要の拡大という視点から見た、消費者米価の相当な引き上げという点についてはかえってこれは消費減退にならないか、その辺の慎重な配慮を欠くのではないかというお話でございます。もちろん、今日われわれが行っております消費拡大は、単なる過剰だということだけでなくて、今後のわが国の食糧消費あり方から見ると、十分供給力を持つ米、基本的主食である米について再認識をいたし、これを中心に据えて消費の拡大を図るというような基本的方向でございまして、これは一貫して進めなければならないというふうに思っております。  さて、消費者米価価格との関係でございますが、私どもの認識といたしましては、今日の米の消費の減退自体が、まず食生活のパターンの大きな変化から来る問題でございまして、価格の多少のあれによって必ずしも大きな関係はないのではないかという点が第一点でございます。現に、われわれが計量的にいろいろ家計調査その他の、価格と家計における米支出の関係を時系列ないしはクロスセクションと申しますか、所得階層別につかまえましても、そこに価格消費関係には大きな関連値を得るというような計量的な数字も得られておりません。また、大観いたしましても、家計支出に占める米の支出というものは今日御案内のとおり二・八%程度でございまして、もちろん生鮮食料品はすでに一五%の家計支出のウエートを占めておる。したがいまして、この消費価格をこれは三倍も四倍も一挙に上げる——暴論でございますが、できないことでございますけれども、上げれば別でございますが、とにかく家計の状況を見ながら慎重に引き上げていくという措置をとりますれば、消費の減退につながることはあるまいというふうにわれわれ考えておるわけでございます。
  131. 塚田大願

    塚田大願君 この価格と食糧の関係でありますけれども政府は二・八%とか三%程度だとおっしゃる、まあ大した関係はないと。米価の引き上げというものはそれほどの比重を持っておらないと、こういうお考えでありますけれども、確かに一面ではたとえばパン食が普及してきているといういわゆる味覚の関係というものも一つあるだろうと思いますけれども、それに対しては私どもも大いに米食奨励ということはあってしかるべきだと思います。私どもも日本の味ということを強調しておるぐらいでありますから、大いに日本人は米を食ったらいいというふうに考えておりますが、しかし、その味覚の問題価格問題というのは私は別だと思うんですね。やはり生計の中でわずかでも主食が上がっていくということは、これは一般の物価に非常に影響するのでありまして、他の物資が少々上がったのと米価が一%でも〇・五%でも上がったというのは、大変私は影響するところは違うのだと思います。そういう意味で食管法というものがあるんだと思うんですよ。食管法の国民の生活を守るという立場がやはりそこに生きているわけでありますから、そういう意味で、長官は否定されておりますけれども米価消費価格の引き上げと消費関係というのは、決して私は軽視することができないんじゃないかと思います。これが一つです。  それで、そういう農林省の立場でいわゆる逆ざや解消ということが優先的に前提として考えられますと、結局消費者米価はどの程度に引き上げることができるかということが前提になりまして、それから逆算して生産者米価を導き出していくと、こういうことになるんじゃないかと思うんですね。というのは、消費者米価というのは、いまもおっしゃったよう限界があるわけです。これは二倍にも三倍にもなるということは不可能でありますから、限界がある。だとすると、結局そこから生産者米価を抑えていくという、こういう方式にならざるを得ないと思うんです。ここに私は、財政優先主義というのがあるんではないか。先ほどからも論議されましたが、長官も、とんでもないと、そんな立場ではないと、食管制度の健全な発展の立場からこの逆ざや解消を考えていると、こう言っておられますけれども、やはりいまの逆ざや解消の方式から言えばそういうことにならざるを得ないと、そういう感じがするんです。そういう点から見ますと、やっぱり食管法の規定では、再生産の確保を旨とするということがはっきり規定されておるわけでありますから、やはりそういう立場で、私は米作農民の生産生活を守るという立場からこの米価というものは決定されるべきであると。すでに昨日、農民団体がいろいろ要求等を出されておりますが、私どももこの間政府に申し入れをいたしました。五十二年産米の買い入れ価格は、食管法の規定どおり米穀の再生産を確保することを旨とせよという立場で申し入れもいたしましたが、農林省もこういう農民の要求には十分耳を傾けていただきまして、ひとつ真剣に検討していただきたいと思うんですが、その問題をまずお聞きしまして、米価問題はそれで終わりたいと思うので、ひとつその辺の最後の御答弁をお願いしたいと思うんです。
  132. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 相沢先生その他からの御質問にもお答え申し上げたのでございますけれども、われわれとしてはまさに食管法ないし食管制度のたてまえから生産者米価消費者米価は決めていくべきだと、言われるような逆算連動的な考え方は毛頭持っておりません。生産者米価をその生産費なり物価その他経済事情を参酌して再生産を確保すると、現在これは生産費及び所得補償方式ということで決めるわけでございますが、その適切に決められました生産者米価前提といたしまして消費者米価を決める、もちろんこれは家計費その他、やはり経済事情というものを参酌して家計の安定ということでございます。その場合に、経過といたしましては、三十七年ごろは順ざやでございまして、四十三年ごろまでは大した逆ざやではなかったわけでございます。一割を割るような逆ざやであったわけでございますが、四十三年以降、当時の高い経済成長で可処分所得、すなわち家計が相当伸びましたが、物価その他の事情消費者米価が長く多年にわたって据え置かれてきたわけでございまして、そのために今日のような大幅な逆ざやが出ておるという関係でございますので、家計の許容し得る限度、あるいは限度といたしましては、消費者米価の相当程度の逆ざや解消のために改定をいたすということについては、もちろんその時点その時点の物価の事情もございますけれども、なおゆとりがあるというふうに判断いたしまして、われわれとしては逆ざやの解消を進めるという点でございまして、あくまでも生産者米価決定、次に消費者米価の改定、その間における逆ざやの解消というよう問題でございまして、われわれといたしましては、御所論のように逆算というようなことについては考えておらないわけでございまして、お話しのとおり、本年の米価も本来の立場から生産者米価を適切に決めてまいりたいというふうに思っております。
  133. 塚田大願

    塚田大願君 じゃあ、次に麦の問題でお聞きしたいと思います。  麦の問題も先ほどからいろいろ出ましたが、いま政府農林省は一生懸命に麦の生産振興をやろうということをおっしゃっておるわけでありますが、しかし、麦の生産振興策というものが、果たして麦作農家の意欲を刺激するようなものであったかどうかという点では、作付面積を見れば大体はっきりしていると思うんですね。たしか農林省発表だったと思うんですが、四十九年が十六万ヘクタール、五十年が十六万八千ヘクタール、五十一年が十六万九千ヘクタール、ほとんど横ばいの程度でありまして、大してふえたとは言えない。こういう状態から見ましても、麦作が発展しておるとは考えられないわけでありますが、一体そういうことがどこにあったかということを、その原因をまずひとつ究明していくということが、これからの対策をする上におきまして大変やはり大事だと思うんですが、そういう意味ではやはり先ほどから論ぜられておりますように、麦価問題ですね、これがやっぱり何といっても決定的な問題だろうと思うんですよ。これは理論的にもそうでありますし、実際的にもそうであります。  で、この点でいわゆる政府はパリティ方式で行くと、それにプラスいろいろなものを加えるというようなことで、この点でも一応刺激的な方法でやるとおっしゃるんですけれども、このことの内容をずばりお聞きしたいと思うんだけれども、それも先ほど長官は、そう簡単にいまの時点では言えないとおっしゃっておるんですが、いわゆるいままでの生産奨励金ですね、これを価格に織り込むというようなことが伝えられておるんですが、これがどうなのか。しかし、奨励金というのは要するに一種のつかみ金でありますから、そういうものをただ価格に織り込んでいくということだけでは、私は本当の科学的な価格政策じゃないと思うんですよ。で、もっと自給率を本当に高めるために必要な価格体系というものを考える。先ほど官房長は、積極的にやるだとおっしゃっていたようでありますけれども、本当にそういう点で急速にひとつ麦価の改定をおやりになるのかどうか、これをまずお聞きしておきたいと思うんです。
  134. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 麦作の振興を図る視点から、麦価算定方式の改善という点についての前向きの検討ということにつきましては、本委員会でしばしば御答弁申し上げたとおりでございます。  われわれといたしましては、このために特別な約一年間にわたって米価審議会自体でも検討を行ってまいりまして、生産奨励金を含む農家の手取り水準というものが麦作の振興にとって一つの踏み台になっておるという視点を考慮して、算定方式についてそれらの現実を踏んまえて現行の算定方式を改善いたして麦作振興に資するというような点について論議が収斂しつつございますので、われわれとしてはそれらの議論を踏んまえまして、今年産麦価から価格の算定方式の改善について何とか具体的な実現措置を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
  135. 塚田大願

    塚田大願君 それはぜひひとつがんばってやっていただきたいという注文をつけまして、次に進みたいと思うんです。  この価格問題とあわせて外麦輸入の問題ですね、これがやはり一つのいま問題点だろうと思うんです。これは農業団体にいたしましても、外麦輸入の計画的削減ということを要求しておられます。そこで、この間、これは五月十四日でありますか、農林省と農協米対中央本部との事前協議という会議が行われました際にも、この問題が論議をされたと。ところがこの問題では、日本農業新聞報道によりますと、内村事務次官が「外麦の輸入削減をしても米の消費拡大にはならず、国民の食生活が混乱する」と、こういうことを言って、ことしの外麦輸入の計画的削減を行う考えはないと、こういうふうに考えを示したと報道が言っておるのでありますが、これは一体どういうことでしょうか。この「外麦の輸入削減をしても米の消費拡大にはならず、国民の食生活が混乱する」と、こういうことなんですが、これはどういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
  136. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 外麦削減についてのもろもろの強い御主張があることは、十分承知しております。そのあれとしては、端的に過剰の厳しい米の需要拡大との関連で御所論があるかと思うわけでございますが 御案内のとおり、この十年、十五年、先ほども申し上げましたが、わが国の国民の食生活のパターンが大きく変わりまして、全体としては二千四百五十カロリー前後の総摂取カロリーでございますけれども、その内容を見ますと、でん粉質の食糧からの摂取カロリーが大きく減っております。しかも、その摂取カロリーの減り方の中では、米からの摂取カロリーが減っておりまして、その減った分はむしろ油脂類あるいは砂糖類あるいは動物性たん白というものから摂取が置きかわっておるという事態でございます。もっともその間にございまして、小麦粉からの摂取カロリーは動いておりません。ふえてもおりません。横並びというような事態でございまして、そういう事態を踏んまえますと、麦類の規制、これは外麦削減ということは、九五%は輸入外麦で国内の需要量を満たしておるわけでございますから、外麦の削減が即小麦製品の消費の規制ということにつながるわけでございますが、その場合に、現在の消費者の選択としては、果たしてそれが米食に向かうのか、あるいは摂取カロリーをさらに副食等から、もうすでに副食と言うについても問題があるほど定着している動物性たん白とか、その他油脂類等からこれの消費に向かうかという点については相当慎重な検討を要すると、必ずしも機械的に麦製品から米の消費増大というようなストレートの過程をたどるかどうかについては議論があるところだと、そういう点についてやはり直ちにつながらないのではないかというよう考え方であると思うわけでございます。  もう一つは、外麦の輸入量がこの四十年から五十年、十年間に約百六、七十万トンふえておりますけれども、ふえた理由は、内麦の生産減が、約八十万トンその間に内麦が減っております。そのほか飼料用、加工用の需要が二割ふえております。また人口増の分もございます。一人当たり消費量はふえておりません。一%程度でございます。その点を見ますと、やはり内麦の増産というものを図ることによって外麦の削減という施策をとるのが、本来の筋ではないかという点が第二点であるわけでございます。  第三点は、混乱という点は、言うまでもなくパン、めんその他の麦製品がわが国の国民の食生活にすでに定着しております。したがいまして、これについて外麦の相当量の削減は即消費の規制に通ずるわけでございます。したがって、これについては、需要のあるところその供給をカットすることによるその製品の買い占め、売り惜しみ、価格の騰貴とか、いろいろな問題前提としなければ本問題についての結論が出ないという点を、国民生活の混乱というようなことで要約したものというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  137. 塚田大願

    塚田大願君 どうも、いまの長官の注釈は少し無理なところがあるように思うんですね、聞いておりましても。どうもこの考え方というのはちょっと日本人の常識から言いますと、日本人と言いますか、農民の立場から言いますと、大変ピントの狂った発言ではないかと思うんですね。一つは、この問題は、つまり米の消費拡大につながらない、こういうことを言っているんですが、いま長官おっしゃったように、食生活に一定のパン食のパターンができていると、そういうことを言っていらっしゃると思うんですけれども、しかし政府とすれば、とにかく国内の米の消費あるいは内麦の生産、そういうことをまず第一義的に私は考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。したがってそうだとすれば、外麦の輸入削減はできるだけひとつ努力すると、そういう方向でひとつ政策を推し進めるということでなければ相ならぬことだと思うんですね。にもかかわらず、だから外麦の輸入の削減はしないというふうなところへ直結させますと、一体農政というものが何のためにあるのか、だれのためにあるのかという疑問が私は生じると思うんです。内村次官がそう深く考えて、またるる説明されたわけじゃありませんから、これだけの言葉じりをつかまえていまどうこうという意味ではないんですけれども、やはりもっと農林省として真剣に考えていただきたいのは、だれのために、何のためにこの外麦の輸入削減ということが行われなければならないのかという、そういう観点をはっきりさしていただくということだと思うんです。  と私が申し上げますのは、実はいま外麦の輸入というのは登録業者だけということになっておりますね。その商社が全部で二十九社あるんです。この二十九の商社、割り当て登録業者ですが、これに一定の輸入シェアが配分されまして外麦の輸入がされる。したがって、この外麦の輸入がふえるにつれてマージンがどんどんふえていく方式になっておる。だから、これはいわば安定的な利権物資であるということが商社の中で言われておるんですね。問題はそこにあるんです、私の申し上げたいのは。昨年の外麦輸入量は七百五十万トンでありますか、これを突破しておりますね。さらに拡大をする見通しだと。ところが、このふえる外麦輸入のもとでいわゆる政府登録の輸入商社、限られた商社に一定の輸入シェアが配分されているというこの制度、したがってこういう商社が、外麦が輸入されるにつれてマージンがどんどんふえるというまことに安定的な物資になっている。  これは日本農業新聞でありますが、日本農業新聞が調べたところによりますと、昨年一年間で大、小麦合わせて二十九の商社が約五十三億円のマージンを上げておると推定されるというんですね。莫大な利益ですよ、五十三億。しかも、この二十九社のうち上位五社がその五割を占めておる。シェアの面からいってそうなんですね。ですから、利益の面でもマージンの面でもやっぱりそういうことになるわけです。こういうところに一つ問題があると思うんですよ。これを野放しにしておいたら、一体だれのために外麦の輸入が行われているのか、本当に国民の食生活のために輸入されているのか、それとも商社の利益のために輸入されているのかという問題があるんです。そのマージンも、これは農林省あたりはせいぜいトン当り三百円前後だというふうに見ておられるようでありますけれども、実際商社なんかの内幕を調べてみますと、実は平均七百円前後あるというんですね。高いものは千円以上だというんです、トン当たりの利益、 マージンが。これはもう明らかに政府の見積もりの倍以上です。こういう事態を農林省はどういうふうに考えていらっしゃるのか。そして、外麦の輸入は規制しませんと、そんなことをすると食生活が混乱をいたしますと、別に米の消費拡大にはつながりませんというふうな言いぐさで、こういうことを野放しにしていくつもりなのかどうか。これはまことに奇怪な話ではないかと思うんですが、これはどうでしょうか。
  138. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  まず、外麦の輸入商社その他の問題前提といたしまして、われわれの考えは当然のことでございますが、国内に必要とする麦類の供給、これは国内産の麦類の供給を前提として、それの足らざるところを外麦を輸入するという需給計画のもとに行っておるところでございます。残念ながら、内麦の生産の減退に伴いまして、おおむね国内需要の九五%が外麦の輸入に依存しているというわけでございまして、その必要量を適切な方法で食糧庁としては調達いたしまして、これを国内に供給するというたてまえでございます。  さて、輸入の方式の問題でございますが、利権その他いろいろなお言葉もございましたが、現在の食糧庁の輸入方式は、御案内のとおり外麦の輸入については食管法に基づきまして輸入の許可と、それから輸入したものの全量の国、政府への買い取りということに相なっておりまして、そういうたてまえのもとで輸入を行っておるわけでございますが、食糧庁の必要とする外麦は、社会主義諸国のように現地の輸出国へ参りまして国自体が調達するわけではなくて、民間の事業者にこれを依頼して行っておるというわけでございますが、その場合に食糧庁としては年間計画、あるいは四半期計画、あるいは月別の輸入計画を示しまして、登録の輸入商社から売り渡しの申し込みを受けてこれを買い付けるという形に相なっております。その場合に、適正円滑と申しますか、確実に食糧庁が国の供給という責任を果たすために、外麦を調達するためには、資力、信用のあるような貿易輸入業者というものをあらかじめ選定をしておきまして、それからの売り渡し申し込みを受けて買い取る。その場合に、買い取り方といたしましては、御案内のように、海外の駐在官あるいは大使館その他の関係から輸出国の輸出価格というものを承知いたしまして、あるいはフレート等も承知いたしまして、それに一定の手数料を加算した予定価格を設けておきまして、輸入業者からの売り渡しの申し込みに応ずるわけでございます。で、予定価格の低い方から順次に採用いたしまして、これは毎週、入札についてはただいま申し上げた方式によって買っておるというわけでございます。  したがって、そういう意味では、われわれとしてはそこで予定価格自体も、今日あらゆる条件を整備して適切な価格をその週その週に決めておる。マージンも、他の民間の穀物の輸入等の商社マージン等と比べても、ほぼ不当なものではないというマージンを予定価格の中に織り込んでございます。したがいまして、そのマージンというのも恐らく海外の調達活動のための彼らの商社の人件費だとか、あるいは情報活動費というもろもろのコストというものに見合っておるわけでございますが、われわれとしては適切な予定価格を決めておりますれば、あとは食糧庁と契約した業者が輸出国からいかに彼らとして有利に調達してくるかという問題でございまして、買い入れ方式自体によってその関係業者に不当な利益、マージンを与えているというふうには、われわれとしては思っておらないわけでございます。  それからまた、一定のシェアを定めておるということにつきましても、これは実は長い経緯がございまして、かつて民間貿易に委譲した際、完全な競争入札的な方式をとった時期がございましたが、食糧庁の週々あるいは月の調達数量の何倍かの量をその貿易業者が輸出国に殺到して調達をいたし、そのために当時は食糧庁のその入札が発表されるとシカゴ相場が上がったというような事態もあったわけでございまして、結局、割り高なものを輸入業者がつかまされてきて、食糧庁は必要でございますから必要数量を買うという点で、割り高なものを買うというような事態がございましたので、それぞれその登録業者については一定の売り渡し申し込みの限度を定める。そして、食糧庁がこれらのものから年間買い付けておるという点でございまして、われわれといたしましては、今日の外麦の輸入の方式としてはただいまの方式が適切であるというふうに思っておるわけでございます。  ちなみに、二十九社というのは、海外における農産物貿易の能力を備えておるものをほとんど網羅しておるというようなことで、それ自体についても閉鎖的になっているというものではないというふうに承知しております。
  139. 塚田大願

    塚田大願君 残念ながら時間がもう超過をしたそうでありますから、私もこれ以上の質問はできないのでありますが、ですから、いま長官がお答えになりましたいろいろ歴史的な経過であるとか、いまの入札の制度であるとか、シェアの問題からマージンの問題から私も一応知っております。知っておりまして、ここにいまこれがどうだこうだと言うわけではないんです。ただ現実問題として、内麦、麦作の振興をせなければいかぬ。そのための価格をどうするかというふうなことがいま問題として出ている時点で、やはりそういう国内産の麦をもっと増産する、農民に一生懸命に取り組んでもらうというためにも、一面、外麦が安いからどんどん輸入すればいいじゃないかというふうなことでは、やっぱり所期の目的が達せられないではないかという意味で、私はこの問題を提起しているわけです。やっぱり農民団体がおっしゃっているように、外麦の輸入をもっと規制して本当に国内産の麦をもっと振興しろと、思い切った手を打てというこの立場は私は当然のことだと思うので、これをあえて否定しようとするようなことを農林省が言われますと、何だちょっとおかしいじゃないかということに相なるわけですよ。だから内村次官の言葉じりをとらえたんですけれども、これは言葉じりですから別にどうということはありませんが、とにかく農林省の基本姿勢といいますか、これをやっぱりしっかりしてもらって、今度の麦価決定にも反映さしていただかなければいけない。  一面、やはり商社が不当な利潤を上げているようなことはこれは許せないことでありまして、適切な利潤でありますならこれは当然ですし、農林省も適切だとお考えだからやっていらっしゃると思うんですけれども、どうもそうでもない側面もあるんじゃないかと。これは、いまのは調査しておらなければ、ひとつ調べていただく必要がある。後になってから何か問題が起きてからじゃちょっと遅いのでありまして、いつも商社の悪徳商法というのは、今度の魚だっていい例ですよ。水産庁なんか何にもつかめない、運輸省もつかめないけれども現実に魚転がし、魚飛ばし、のこぎり商法というのもあったそうでありますから、これは現実問題です。ひとつそういう点で、これは他山の石として、あれは水産庁、おれは食糧庁だというようなことを言わないで、長官、ひとつ本当に真剣に取り組んでくださいよ。結果がわかったらぜひ知らせていただきたい。このことを要望いたしまして、私の時間が超過いたしましたので終わります。
  140. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、重複を避けて二、三質問いたします。  最初に確かめておきたい第一点、国民生活の中で米の消費傾向はどういうふうになっておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  141. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) しばしば申し上げておりますように、米の一人当たり消費量と全体の消費量について簡潔に申し上げますと、三十七年度で百十八キロが一人当たりのピークでございまして、これが食生活の変化によりまして一時は年率三%ぐらいの減でございましたが、四十五年ごろから鈍化いたしまして年平均一・五%というようなことで、現在九十キロを若干割り八十八キロというのが一人当たり消費量でございます。  総需要量につきましては、最近を申し上げますと、一人当たり消費量の減り方も鈍化いたしまして、一方人口増加もございますのでおおむね千二百万トン程度昭和五十年の「食糧需給表」によりますと、千百九十六万トンというのが実態でございます。  なお、消費者の家計に占めるウエートは、全消費支出のうち二・八%というのが米の位置でございます。
  142. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、一応傾向としては米の消費傾向は減りつつある、こうとらえていいんですね。
  143. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 端的に申し上げますと、これは長期見通し等でもそれを踏んまえたのでございますが、一人当たり消費量はなお減っておりますが、その減り方は鈍化しております。減り方はスローになっている。ただ、一方、人口増加等もございますのでこれは相殺する関係になります。で、大体千二百万トン程度というふうに推移しているのでございます。
  144. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私の問題にしたいのは、一人当たりの減り方ですね、人口増、これが多くなればなるほどそうすると一人当たり消費量が減るという理由、原因はどこにあると見ておりますか。
  145. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これはしばしば繰り返して申し上げておりますように、基本的には三十五年以降特にそうでございますが、高度成長、所得水準の上昇ということから食生活のパターンが、西欧諸国等がたどったように、でん粉質食糧が減りまして動物性たん白とか砂糖類あるいは油脂類等の増加というようなことで、いわゆる大きな消費のパターンの変化がございまして、その過程で米の消費が減ってきておるのだというふうに考えております。
  146. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまおっしゃった点は私も認めますが、一つ大事なものを抜かしておる。パン食人口の増はどうですか。
  147. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これもしばしば申し上げましたとおり、よく米の消費をパンの消費とか麦製品の消費の増が食ったというふうにお考えでございますが、統計の示すところでは、昭和四十年からこの十年間を見ましても、一人当たりの麦製品の消費量は麦換算で三十一キロということで動いておりません。そうでございますので、でん粉質のウエートが下がったという、これはもっぱら米の消費が減って麦製品は横ばいだということでございます。
  148. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 第二に確かめたい点は、食糧自給の向上という面から、特に大豆、麦、なたね、この三つについて、年間消費量と年間生産量それから年間輸入量、これをざっとお聞きしたいんです。できれば輸入金額。
  149. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 私の所管は麦でございますので、麦についてお話し申し上げます。  小麦と大裸を合わせた食糧用麦の年間消費量は、五十一年度で四百七十一万トンということに相なっております。これに対しまして国内生産量は五十一年度四十三万二千トンでございまして、輸入量は四百六十八万トンで、輸入金額としては二千五百十三億ということに相なっております。
  150. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大豆は。
  151. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 大豆について申し上げますと、五十一年の数字で、年間消費量は三百四十六万一千トンでございます。国内生産量が十一万トンでございます。輸入量が三百五十五万四千トン、輸入金額は二千四百九十五億一千五百万円。  なたねでございますが、なたねは五十一年におきまして年間消費量は六十九万七千トン、国内生産量は六千トン、輸入量は七十一万八千トン、輸入金額は五百六十億一千万円でございます。
  152. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま述べられた点、数字的に一応受けとめましたが、もっと簡潔に言いますと、結局、自給が四、五%ですな。九五ないし六%輸入ですね。これを確認しておきたいと思います。  それから第三点に、米の需給状況につきましては、先ほど来ずっと質疑を交わされましたので、五十一年度の在庫、これもまあ一応お聞きしましたので、五十二年度の見通しですね、これをどうとらえておられるのか。
  153. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  五十二年度は、お話も出ておりますが、四百万トンということでございます。
  154. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が気になりますのは、五十二年は例の五十一年の冷害で減収があったわけですね。冷害で減収があったにもかかわらず、結果的にはふえたと。平年作であるとするならば、いまおっしゃるように、まあ四百万トンないし四百二十万トン以上であると見た方がいいと思います。だから、このあたりでこう抑えてきたものでもこのように結果的にはふえてきたと、その事実を踏まえて、農林省としては抜本的な減反政策を見直しをすることがもう当然である。  そこで、もう時間も差し迫っておるようでありますが、第一点は、思い切った減反政策の見直しという立場から水田の総合利用対策、これをひとつ具体的に、項目的でいいですから、先ほどは畑の輪作については触れられましたが、水田の総合利用対策の具体策。  それからもう一つの柱は、麦の値段と大豆の値段、なたねの値段、これを米価同様に価格対策を持っていくというこのことが裏表になると思うんですが、この点からの具体策、これをまずお尋ねします。
  155. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) 午前中来、官房長食糧庁長官からいろいろお話もございますように、米の恒常的な過剰というものに対処して水田総合利用対策を展開しつつあるわけでございます。五十二年度は潜在生産力を千三百万トン、需要の方を千二百十万トンと見て現在実施をしておるわけでございますが、冷害によりましてかなり収量は減ったわけでございますけれども、昨年がもし平年作であったとするならば、計画の千二百十万トンに対しまして四十五万トン上回る生産があった、千二百五十五万トンあったであろうということが言われておるわけでございまして、したがって、この面から過剰の生産面での実力としては千三百万トンをさらに、三、四十万トン上回るのではないかというふうに考えられておりまして、これに対しまして、こういう状態をいつまでも放置をいたしますと、消費の方が停滞することと相まって過剰が累積をしていくということが大変懸念をされますので、現在実施中の水田総合利用対策を抜本的に見直しまして、本年度の場合も、大豆でございますとか、飼料作物でございますとか、特定の作物需要があって国内で生産を伸ばしたいと思う作目に重点を置きまして、特別に反当一万円の加算金をつけるというようなことも実施しておるわけでございますが、さらにこのような過剰の実態を十分頭に入れまして抜本的な検討をやり、水田総合利用の効果が上がるように今後とも取り組んでまいりたいと、目下鋭意検討中でございます。
  156. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間が私にしわ寄せが来まして大変困っておりますが、いままでの問題についても具体的に詰めていきたいんですが、次に譲りたいと思います。  最後に、沖繩の米価についてお尋ねします。沖繩の島産米は、御存じのとおり、非常に品質が悪うございます。食糧庁との話し合いが、五等米と規格外との中間の値段で一律に買い上げられておる現状でありますが、そこでどうしても沖繩の島産米を改良していく必要がある。いわゆる品質を向上さしていく。ところが、現在、国の補助金によって沖繩の試験場がやっておるわけですが、それではらちが明かない。この品質更新事業に国がもっと本格的に取り組んでもらいたい、専門家を配置して本格的に取り組んでもらいたい、こういう強い要望があるわけなんです。このことに対して政府の御意見をお聞きしたい。これが第一点。  次に、生産者米価ですね。生産者米価が、毎年いままでの例によりますと、七%アップしておる。ところが、沖繩の消費者米価は、特別措置によって本土と違うわけです。差があるわけなんですが、県民が非常に不安を持っておりますのは、生産者米価が本土並みに上がる、ところが消費者米価は特別措置がされておるので、それがどうなるかという不安が非常にあるわけなんですね。どうなるかと言いますのは、生産者米価は本土並みにアップしていってもらわなければいけないが、それが生産者米価消費者米価とのアンバランスがあるものですから、生産者米価の引き上げに対してはまたこれも配慮、いわゆる県民に不利になるようなことになりはせぬかという心配がありますが、その辺、はっきりした御見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。また残りは次の機会にいたします。
  157. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) 沖繩県の米の生産でございますが、最近では、品種面では従来の在来種でございます台中六十五号にかわりましてトヨニシキが四割余入ってきておるようでございます。国といたしましても、西南諸島向けの品種改良ということで、九州農試が中心となりまして新品種の育成に努めておるところでございます。なお、今後とも国の研究員の現地派遣等を通じまして、これらの面での努力をいたしてまいりたいと思っております。  御指摘がございましたが、これとは別に、沖繩県農業試験場の整備でございますけれども、これは現在水田がございませんで、借り上げの水田によっておりますけれども、現在圃場整備をやっておりまして、本年度中にはこれはでき上がるというよう段階になっております。まあこれらにつきましての助成もいたしておりますし、それから研究面におきましても、本年度から総合助成によりまして水稲の品質向上に関する試験の研究課題について助成をすることといたしております。全般的に今後とも現地の大学等も含めまして十分連携をとりまして、試験研究の一層の推進を図ってまいりたい所存でございます。
  158. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 沖繩の特殊な事情に基づきまして、消費者米価なり生産者米価の取り扱いを特別にしておるわけでございますが、消費者米価については、お話のとおり、五年間の期間を経まして、本土の消費者米価にスライドアップする期間を一年間延ばしたということによって、実情に合わせた調整をいたしたつもりでございます。  さて、生産者米価につきましては、これは五年間は本土の生産者米価のアップ率と同様でございましたが、その差を埋めるという問題において、ただいまお話しございましたように、品質の格差が大きな問題でございます。端的に申し上げれば、現在の品質を前提といたしますと、むしろ本土並みといたしますと、本土の五等米と規格外米は割り安でございますので、それとスライドさせるということについてはいろいろ問題がございますので、むしろできるだけ品質改善を急いで、それと見合って沖繩における生産者米価を決めていったらどうかというふうに考えております。
  159. 橘直治

    委員長橘直治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  この際、本件について青井君から発言を求められておりますので、これを許します。青井君。
  160. 青井政美

    ○青井政美君 私は、各派共同提案に係る昭和五十二年産米麦価決定等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    昭和五十二年産米麦価決定等に関する決議(案)   政府は、本年産米麦価決定当たり、国内農産物の自給度の向上を図るため、麦作、飼料作等の生産体制を積極的に整備充実するとともに、農家の営農意欲が増進されるよう左記事項の実現に努力すべきである。       記  一、昭和五十二年産米価については、生産費及び所得補償方式に基づき生産費の動向その他の諸事情を的確に反映せしめ、生産農民の所得を補償し再生産を確保できる水準決定すること。  二、米の需給の不均衡をできるだけ是正する見地から米の消費拡大を促進するため、米飯学校給食の一層の奨励普及その他積極的な具体策を強力に推進すること。  三、昭和五十二年産麦価については、麦の自給度を向上するため、その算定方式に改善を加え、生産農民の所得を確保し生産意欲が増進される水準決定すること。  四、麦作については、ほ場整備その他の農業生産基盤の整備、米麦一貫生産体制の確立、高能率営農体系の普及と集団化の促進、優良品種の開発等その生産振興対策を一層強力に推進し、米の消費拡大とあいまつて、外麦の輸入を段階的に抑制すること。  五、米価審議会については、生産者意向が一層適切に反映されるよう、その構成について積極的に検討すること。   右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  161. 橘直治

    委員長橘直治君) ただいま青井君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。  青井君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  162. 橘直治

    委員長橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木農林大臣
  163. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの本委員会の決議につきましては、その御趣旨を踏まえて検討の上、適切に措置してまいりたいと存じます。
  164. 橘直治

    委員長橘直治君) 一言ごあいさつを申し上げます。  委員各位におかれましては、今国会中農林水産委員会の開会に当たり終始御協力を賜り、委員長の重責を大過なく過ごすことができましたのは、ひとえに委員の皆様方の御高配のたまものでございまして、この席をかりて厚く感謝の意を表する次第でございます。  なお、委員の皆様方の御健闘を心からお祈り申し上げまして、私のあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会