○和田春生君 きょうは大変時間が限られておりますので、あらかじめ
質問要旨をお伝えしておりますから、最初に総括的にお
伺いをいたしたいと思います。
質問に入ります前に、
領海法についてこれは私の意見を申し上げておきたいと思います。いままでこの問題については、技術的な面も含めまして、国連
海洋法会議の経緯を含め、あらゆる角度からお
伺いをしてきたわけでございますけれ
ども、一言で言って、
政府の答弁は肝心の点をはぐらかして逃げの答弁である。むしろ、私
どもが疑問として提出していることを裏づけるような答弁しかない、まことに残念であります。ところが、一向に改めようとしない。
政府提出の原案というものにあくまで固執をして、素直にわれわれの意見に耳をかそうとしない、こういう態度はまことに残念であります。いずれ、これは必ずほころびが出てくると思います。何もしないよりもましかもわかりませんけれ
ども、全く今度の
領海法につきましては、そういう点で矛盾をはらんでいるわけでございますから、この点は
総理の答弁を求めるというより後ほど修正案を出しますけれ
ども、今後のためにその一点を
指摘しておきたい、こういうふうに思います。
質問に入りますが、第一点は
漁業補償に関する問題でありますが、今回の
日ソ交渉は大変困難でございました。
鈴木大臣、まことに御苦労さまであると思いますけれ
ども、思うようにいかない、
長期化をする可能性もあります。さらにまた、これがいろんな問題と絡んでまいりまして、日韓、日中その他もろもろの
関係各国との問題を引き起こしてくる可能性もはらんでいるわけです。そうした場合に、まず国内体制を徹底的に固めておくということが必要でございまして、これはいわば大砲を撃ち合わないけれ
ども、一種の
海洋経済戦争でありますから、国内の体制が崩れてはいけない。そこで、
関係漁業者や労働者に対する万全の補償というのは、単なる経済的な問題を越えた国家安全補償の一環であると
考えるわけです。そういたしますと、財政的な面におきましても、いまある予算とか従来の枠にこだわらずに、必要であれば補正もする、そういうことをどんどん積極的に進めて、いささかでも乱れが生じないようにするということが必要であると思うんですが、どうも現在までの
質疑を通じてみますと、全力を尽くす、
努力をすると言いますが、その点もう一つ決意がはっきりしていないように思います。この際、
総理にその決意と方策をお
伺いしたい、こう思います。
第二番目は、領海十二海里、
漁業水域二百海里の実施ということは、わが主権の及ぶ範囲が非常に大きくなるということであります。ところが、これをやったけれ
ども、その防衛ないしは監視、違反に対する外国に対しての
日本政府の毅然たる態度、そういうものがきちんとしてなければなめられるだけであり、
アメリカでさえも大変だと言っているが、いままでの
審議を通じてみますと、防衛庁、保安庁ともに、従来の体制の延長線上で何とかやりたい、何とかできる、こう言うだけでございますが、それではいけないと思うんです。そこで従来のいきさつや現行体制にこだわらずに、海上保安庁の組織や機能あるいは海上自衛隊、航空自衛隊の防衛任務などにつきまして、直ちに抜本的な再検討を行って、迅速に対応できる手段というものをとらなければならないのではないか、その辺に対する
総理としてのお
考え方をただしたいと思います。
第三の
質問点は、新しい
海洋時代に対する
日本政府の
基本的認識というものが大変欠如しておったんではないか。古いことは言いません。しかし、たとえば昨年の臨時国会におきまして、前内閣
時代、
領海法十二海里を速やかに実施する必要があるのではないかということを私は本院において
質問をいたしました。ところが
政府の答弁は、まだその時期にあらずと言うだけで何ら具体的なものを示さなかった、こういう状況もあるわけであります。さらに昨年の三月、民社党は臨時大会で、
海洋問題に対する緊急アピールを採択をいたしました。まさに
アメリカ、
ソ連による今日の
事態が来ることを的確に
指摘をいたしまして、すでに早くから
政府はそれに対応する準備をしなくちゃいかぬ、
国民に対して積極的なキャンペーンをやれということをわれわれは主張した。官房長官を通じて、
総理の耳にも当時入っておったはずであると思います。当時と内閣はかわっておりますが、こういうことに対して全くナシのつぶて、何もしようとしなかったわけであります。ここに来って非常にあわてているわけです。私
どもはまことに遺憾であると思う。そういう点で、前内閣においても重要な地位におられたわけでございますし、
政府は重大な責任があると思うのですが、今後のために、なぜそういう声に耳をかさずにじんぜん日を過ごしてきたかということについての御
見解を聞いておきたいと思います。
それから第四点、最後のこれは
質問事項でございますが、ことしの夏には国連
海洋法会議がまた行われるわけでございます。ところで、従来
日本は
海洋自由の原則に立って
対処をしてまいりました。しかし、
アメリカや
ソ連の
措置に追い込まれたとはいえ、十二海里、さらに
漁業水域二百海里に踏み切ったわけでございます。このことは、従来の
立場から百八十度転換をいたしまして、
日本もまた
海洋分割戦争の中に足を突っ込むということを意味していると思うわけであります。そういう点で、今後の
海洋法会議に臨む
政府の
基本的
方針、そして、もし
海洋法会議がまとまらなかった場合、今後
日本の国としてどういう方向に進もうという方策を
考えておられるのか、その点についてお
伺いをしたい。
以上につきまして、
総理の総括的な御答弁がいただければ幸いであります。