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川村清一君 そういうようなお
考えだから、この
法律そのものがすべて
政令にゆだねるというようなかっこうで、さっぱりつかみどころのない
法律になっているというふうに理解するわけですが、それはそれとして、それらに
関係したことにつきましてはまたわが同僚議員の方から
質問がなされると思いますから私は避けますが、たとえば
領海十二海里にいたしましても、いわゆる国際海峡と言われる特定海域を三海里に凍結したり、どうもみずからの手で自国の主権を放棄するような、こういう
処置なんというものは世界各国に例のないものではないかと私は理解しておりますが、こういう問題につきましては、あとでまた同僚議員から詳しく御
質疑があるものと思いまして、私はあえて避けます。
最後に私が
大臣の御見解を承りたいのは、もう今日のこういう事態をつくった原因は、
日本とかあるいは
ソ連とかこういう
漁業先進国が、資金と技術に物を言わせて、
領海外は全部公海である、公海上の
資源はどこの国がとっても構わないんだ。そうして生産第一主義というようなことで、しかも
日本政府は今日まで高度経済成長のそういう経済政策の中で
沿岸はどんどん埋め立ててしまって、そして工場をつくって、そして廃水をたれ流して、もう
沿岸でとれた魚を食べられないような
状態にまでしてしまって、そうして今度は外延的に遠洋へ、遠洋へと
政府も大いに奨励いたしまして、そういう
漁業者に対しましては
漁船建造の資金はどんどん貸してやる、それから着業資金も貸してやるということで、もうアフリカから、南米から、ニュージーランド、オーストラリア、
ソ連、アメリカはもちろんのこと、どんどんどんどん発展していった。それがいわゆる後進国といいますか、開発途上国といいますか、こういう方々の反感を買って、いわゆる
資源ナショナリズム、こういったものの形が一九七三年の第三次の国連海洋法
会議の第一会期、ここでこの問題が提起されてずっと今日まで来ておるわけであります。
こういうような中から、アメリカが二百海里を
法律をつくってことしの三月一日から実施した。それから、
ソ連もアメリカの方から締め出された。そして、ECあるいはノルウェーの方からも締め出された。
ソ連も有数の、遠洋
漁業にかけては
日本以上でありますから、そしてまた
ソ連も動物性たん白食料としては
水産物、魚に頼っているのが
日本同様でございます。こういう中で、
ソ連は
ソ連の海域の
資源をやはり守るという、こういう態度はこれは私はわかるんですよ。
日本もそういう立場になれば確かにそうなると思うんです。しかしながら、この北洋
漁業というものは、わが先輩が全く血と汗を流して命がけで開拓した
漁業であり、いわばわが
日本の権益でありますから、そこで百七十万トンはとれなくてもそれに近いものをぜひとらしてくれという要求は、これは当然だと思うのであります。
しかしながら、二百海里というものはもう世界のこれは大勢であって、歯車はそっちの方に回っているのですから、これを逆に回すことはもう不可能だと思うのです。ですから、私
どもは、むしろ早く海洋法
会議で決まって、世界の
合意のもとに
わが国も実施し、世界じゅうの国がこれを実施いたしまして、そうして本当に
秩序ある海洋の利用を図るべきであるということを主張してきて、そうして早くまとまるように努力せいということをわれわれは主張してまいりました。それからアメリカがこういう動きがありましてから、アメリカがやれば
ソ連も必ず報復主義としてやることば先が見えているのですから、アメリカをやらせないように、とにかくわが遠洋
漁業の権益を守るために強力な
漁業外交を進めるべきだということを主張してまいりましたけれ
ども、
大臣悪いですが、自民党
政府の
漁業外交というものはもうなきに等しかったと言っても過言ではないのであります。昨年一年間日米外交をどうやったのか、
日ソ外交をどうやったのか、この
漁業については何にも外交がなかったと思うのです。さあアメリカがやった、
ソ連も今度は報復手段として最高
会議幹部会令におきまして三月一日から二百海里を宣言するということを決定いたしまして、その結果この事態が招来されたわけでありまして、そういう
政府の外交的な失態によって、
日本の漁民また関連産業に働く人々全部が大変な打撃を受けております。そして、
日本人全体の休漁問題という点からもきわめて憂慮すべき事態が出てきたのでありますが、そこでまず
政府はこういうような経過の中で一体どう責任を感じていられるのか、まずそれを承りだい。
政府の確かこれは責任であります。これは何と言ったってやってこなかったのですから、これが第一点です。
その次には、もうわれわれはこういう時代になりますれば、いま今日は
鈴木農林大臣の努力によって暫定
協定が結ばれたといたしましても、これは年々歳々その漁獲量というものは削減されていくことは明らかであります。これは先が見えている、だんだんだんだん減っていくわけであります。こういう時代になりますれば、先ほど
農林大臣がおっしゃったように、
日本列島の回りに大きなわが二百海里の
漁業専管水域ができるわけでありますから、三千万ヘクタールですか、それに匹敵するようなそういう海があるわけですから、この
日本列島の回りの海によって、もうこれに頼らぬ、もう遠洋
漁業なんていうものは将来第二次的なものであって、とにかくこの二百海里の中の
漁業を振興いたしましてその中で
日本民族は生きていくのだと、こういう立場に立って、そうして
沿岸漁業と沖合い
漁業の振興のために全力を傾注してやるべきではないか。他の政策に優先してもこれを図るべきではないか。そのためにはわれわれずいぶん強く言っているのですよ。前の安倍
農林大臣のときにもずいぶん言っているのですが、いまのような
水産庁の予算で何ができるか。一遍にこれは三倍ぐらいに上げなさい。そうして増養殖の
沿岸漁業振興のための施策を強硬に推進していくべきではないかということを進言しておりますが、どうも
政府の予算の編成は前年度の何%アップといったようなことが基本になっておって、もう優先的な政策というものはないのであって、前年度何ぼだからその何%上げるのは何ぼだ。ほかの省庁と同じような予算をつけておるから、いつまでたったって、先ほどああいう大変りっぱなことを
大臣はおっしゃいましたが、一体そんなことできるんですか、どうですか。私はぜひそれをやってもらわなければ大変なことになる。
わが民族はこの
日本列島の二百海里の中で
漁業をやっていくんだと、これで生きていくんだという
考え方を基本的に持つべきだと思いますが、これに対する御見解をお伺いしたいと思います。