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説明員(
須藤徹男君) ただいま
先生の千葉の例を引かれましたのは
地上散布とおっしゃいましたが、確かに
地上散布の際は濃度の低いものを大量にといいますか、よけいまくということになっております。先ほど来御論議されておりますように、今回のマダラカミキリを後食によって殺すためには、樹冠
部分にふわっとかかればいいわけでございます。それ以上かける必要はないわけでございます。そこで、いままで試験場がいろいろ試験をした結果、三%の液を一ヘクタール当たり六十リットルずつ二回散布することが一番
効果的であるということが実証されておるわけでございます。三%と言いますと、この程度でございますと
野鳥とか昆虫等に及ぼす影響等についてもほとんどないというふうに
考えられることから、これを標準にしておるのでございます。
なお、
被害程度が低いところや、気温等から
マツノマダラカミキリの羽化脱出が比較的短期間に一斉に出るというような
地域等については使用原体量を少なくし、あるいは濃度を下げる等について試験的に実施いたしております、おっしゃるとおり濃度は低い方がよろしいわけですから。しかしながら、残念ながら、
防除効果から見て満足すべき結果が得られてないというデータが
一つございます。
で、先ほどのいろんな試験データがございますが、そのほか
空中散布と
地上散布が違いますのは、たとえば
空中散布を量の薄いものを大量にやるということになりますと、
空中散布の特徴といたしまして、いわゆる早朝の上昇気流の
発生前で、しかも風のない時間というのは非常に短時間でございます。この短時間に散布を完了しなければならないという
一つの
条件がございます。それから、農業とか漁業に
被害を及ぼすおそれがないというのは量が少ない方がよろしいわけでございますから、そういう
条件がございます。また、
地域によっては交通規制等も行わなければならないということでございまして、できるだけ短時間に散布を終わってしまわなければならないという
条件がございます。また、成虫が羽化して後食する時期というのは、御承知のとおり非常に決まっております。したがって、その適期を外してまいたのではこれは何も
意味をなさないわけでございます。しかも、ちょうど六月ごろと言いますと梅雨時期と重なるわけでございまして、やはりまく天気上の
条件が非常に悪い日が多いわけでございますので、そういう点でも非常に制約を受けるというような半面の事情もございまして、そういうことで、三%程度の濃度で直接余り
被害がないということであれば、これを短時間にまくということが航空
防除としては最も効率的であるということでございます。それからまた、現在五%液を三十リットル散布する方法について行われている例もございますけれ
ども、先ほど申し上げましたように、濃度の低いということが望ましいわけでございますから、現地の
状況からどうしてもやむを得ないというところだけはこういうことをやることにしておりますけれ
ども、できるだけ濃度が低い方がいいということは
先生のおっしゃるとおりでございます。
で、
地上散布では、千葉の例では、いま〇・一%とか何とかという
お話があったようでございますが、一ヘクタール当たりの使用量はヘクタール当たりやっぱり六百リットルくらいまきますので、
空中散布に比較いたしまして十倍の量をまかなくちゃいけないということでございます。したがいまして、
地上散布の際には樹冠
部分ではなくて、幹の
部分まですっぽりぬれるほどまかないと
効果がないということでございます。