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1977-04-05 第80回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月五日(火曜日)    午後二時十分開会     —————————————    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      寺田 熊雄君     鶴園 哲夫君      久保  亘君     川村 清一君  四月五日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     堀内 俊夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         橘  直治君     理 事                 青井 政美君                 鈴木 省吾君                 粕谷 照美君                 鶴園 哲夫君     委 員                 大島 友治君                 菅野 儀作君                 塚田十一郎君                 初村滝一郎君                 堀内 俊夫君                 川村 清一君                 相沢 武彦君                 小笠原貞子君                 塚田 大願君                 向井 長年君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        農林政務次官   片山 正英君        水産庁次長    佐々木輝夫君    事務局側        常任委員会専門  竹中  譲君        員    説明員        水産庁漁港部長  坂井 溢郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○漁港法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 橘直治

    委員長橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一日、加瀬完君が委員辞任され、その補欠として工藤良平君が選任されました。  また、去る二日、寺田熊雄君及び久保亘君が委員辞任され、その補欠として鶴園哲夫君及び川村清一君が選任されました。     —————————————
  3. 橘直治

    委員長橘直治君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動によりまして、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 橘直治

    委員長橘直治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事鶴園哲夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 橘直治

    委員長橘直治君) 漁港法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は先般聴取しておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この漁港法の最終の改正は四十七年でありますが、四十七年の改正の中身は、特三を百分の六十から百分の七十にするという内容になっておったんですが、その際に、第三種漁港についても検討せよという附帯決議がついて、次の四十八年の漁港整備計画の変更の承認の際の附帯決議の中にも、第三種について引き上げることを検討するようにという附帯決議がついたわけですね。それから五年たって、この三種漁港について百分の五十を百分の六十にすると、こういう法案が出たわけですね。私は、特三が四十七年に補助率を上げた。それから附帯決議が二回もついて、五年たって三種の方を引き上げるということになるわけですね。ですから、そんなに大変だったんだろうかという感じがするわけですね。なぜこういうふうにおくれるんだろう、もっと早くやってよさそうなものじゃないかと、こういう気がするものですから、どういうわけでこんなに五年もかからなければならぬのかということを伺いたいわけなんですよ。  と言うのは、私は、今後もそうですが、特にこれから水産行政というのは強力にやっていかなきゃならない、そういうときに当たって何かの不安を感ずるわけですね。力強さに欠ける点があるんじゃないかという不安があるわけですよ。このものなんかもいい例じゃないかという感じがするものですから、一体五年もかかった理由、どうして五年もかかるのか、そういう点を伺いたいと思います。なお、予算を見ますと、このことによって国の負担がふえる分というのは九億ちょっとですね。漁港整備に要することしの予算というのは九百十七億ぐらいですね。すると、一%程度のものなんですよね。なぜこういうふうに五年もかからなきゃならぬのか、そういう点を伺いたいんです。
  7. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 御指摘のとおり、前回の特定三種の国の負担率引き上げの際にそういった附帯決議をいただいて、水産庁はもちろんのことでございますが、漁業関係者も第三種漁港整備ということにつきましては、これは非常に全国的な規模利用範囲のものでございますし、また修築その他については相当な経費もかかるということで、その促進のために、ぜひ地元負担割合を軽減してほしいという声はかなり強くあったわけでございます。  私どもとしても、関係業界の方あるいは地元のいろいろ御意向も確かめながら、やはり第三種漁港についてはぜひそういった国の負担率をもう少し重点的に引き上げてしかるべしというふうに考えまして、四十八年度以降毎年のようにいろいろ予算折衝をやってまいったわけでございますけれども、何分にも一つはやはり他の公共事業、特に港湾関係公共事業とのバランスの問題と、それからもっと基本的な現実問題といたしまして、四十八年以降の石油ショックを契機とする総需要抑制政策にちょうどぶつかりまして、公共事業投資全体についてかなり急激な抑制政策がとられたわけでございます。その中で、やはり第三種漁港につきましても、どうしても漁船利用上必要な事業量は一方でぜひとも確保したい。国の負担率余りこだわっていると、やはり事業量の方をどうしてもそういう総需要抑制の中でまあ縮小といいますか、どうも必要なだけの事業実施ができないというジレンマにぶつかりまして、国の負担率引き上げについては年々検討してまいったわけでございますけれども、今日の情勢に至るまで、五十二年度までどうしても時間がかからざるを得なかったというのが、今日までの状況でございます。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、第一種と第二種の漁港補助率について伺いたいんですけれども沿岸漁業を根本的に見直さなけりゃならぬという大変な時期に来ておるわけですし、そういう対策も五十二年度の予算の中には相当出ていると。しかし、その場合に一番やはり肝心なことは、第一種、第二種という漁港、つまり沿岸漁業と非常に密接な関係のある第一種、第二種漁港について、もっと積極的に配慮をしていく必要があるのではないかというふうに考えるわけなんですね。この間承認事項になりました漁港整備計画でも、第一種の入っている率というのは非常に小さいですね。第一種は二千百三十の漁港があって、その中でこの間の六年計画整備計画に出てくるのはわずかに四%ちょっと、百七港という状態なんですね。二種の方は、四百九十九港あってこの中で百八十三港ですから三割強、三〇%強ということになりますね。三種特定三種、こういうところになりますと、九割近いのが整備計画の中に入っている。こういう点を見ますと、この第一種というものの取り扱いが非常に冷たいという感じを受けるわけですね、二種もやっぱりそうですけれども。ですから、沿岸漁業というものを根本的に見直さなきゃならぬ非常に重大な段階に来ているにかかわらず、漁港関係取り扱いというのは、どうも歩調が合っていないんじゃないかという気がしてしようがないわけですね。  そこでお尋ねをしたいんですが、第一種、第二種漁港補助率というのは、昭和四十年の改正で、本則の規定では二十条で、北海道を除きましてそれ以外のところは百分の四十なんですね。ところが附則の第三項で、沿岸漁業構造改善事業をやっている該当の都府県にあっては当分の間百分の五十と、こうしてありますね。ですから私は、現実にはすべて構造改善事業をやっていますから、ですからすべての都府県が当分の間百分の五十とこうなっているんだけれども、しかし、四十年から十二年たっているんですから、当分の間と言うんだが、この機会に私はやはり本則の中に入れて、そして当分の間というような暫定的なものではなくて、本則の中に百分の五十というものを入れた方がよかったのではないかという点が一つ。  もう一つは、補助率も百分の五十というものを引き上げるという必要があるんではないか、その二点ですね。  ですから、本則の中に戻したらどうか。十二年もたっているんだから本則に戻す——戻すと言うか本則に入れると、要するに本則を変えるということですね。のみならず、一種、二種の漁港について補助率をもう少し引き上げる必要があるんではないかと、そういう点を伺いたいわけですね。
  9. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 私どもといたしましても、今後第一種漁港あるいは第二種漁港といった地方的な沿岸漁村漁港整備ということが非常に重要な課題になっているということは十分認識をしておるつもりでございます。ただ、国会の承認をいただきますいわゆる修築事業を中心にしました整備計画の中では、修築事業の対象が事業費で六億円以上というかなり規模の大きな事業になっておりますので、その中に入ってまいります第一種、第二種の漁港の数が他に比べて小さいのは事実でございますけれども、必ずしもいまの修築事業だけでなくて、同時に御承認をいただきました改修事業あるいは局部改良事業の中で、第一種、第二種漁港についてかなりの数の漁港重点的に整備をしていきたい。具体的には、改修事業の中で全体八百二十港のうち一、二種漁港が大体八百港近く、それから局部改良事業で予定していますおおむね千二百港近くは、ほとんどが第一種ないし第二種の漁港でございます。  こういったことで、当然第一種、第二種漁港についても力を入れて整備をいたしたいというふうに考えておりますが、いまお尋ねございました補助率の点につきまして、御指摘のとおり昭和四十年に、当時の第三種漁港の国の負担率と同程度の百分の五十まで沿岸漁業構造改善に資する事業実施している区域を持っている都道府県ということで、現実には全県の漁港につきまして百分の五十の国の負担が実現いたしまして、別途また特定三種といった大きな漁港につきましては、昭和三十八年及び四十七年の改正で、これもまあある程度国の負担率引き上げということができまして、先ほどの第三種漁港についてだけ補助率手直し負担率手直しが後回しになっていたというような経過もございまして、これまで水産庁としては最大の重点を第三種漁港における国の負担率の調整ということに重点を置いてまいったわけでございます。  第一種、第二種漁港についていまのように附則で措置している、しかもそれが十年近く続いているのでこれを本則に入れたらどうかという御指摘でございますけれども、この点につきましては、やはりいろいろ私どもの方も検討してみますと、他の公共事業とのバランス、特に港湾関係でこれに匹敵しますいわゆる地方港湾の国の負担率等とのバランスもやはり現実にはかなり問題になる様子でございます。私どもとしては、現実に十分の五の国の負担が確保できているという現状と、それからこれをさらに引き上げるということに力を入れるよりはむしろ将来の方向として、現在の段階ではできるだけ重点を置きながら必要な沿岸の第一種、第二種漁港についてやや手広く整備をしてまいる。必ずしも少数の沿岸漁村漁港整備すれば足りるという日本沿岸漁業現状ではございませんので、負担率引き上げということはもちろん望ましいと考えておりますけれども、同時に必要な事業量を確保するという方に当面は重点を置くべきであろう。こういった観点から、なおしばらくは現在のような暫定的な国の負担率十分の五という体制の中でできるだけ事業実施に努力をいたしまして、将来いろいろ補助率、こういった事業に対する国の負担率の体系が見直される時点では、また前向きにそういうものを手直しをする機会も得たいというふうに考えておる次第でございます。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、第一種、第二種、特に第一種漁港の九〇%近くを占めておるわけですから、沿岸漁業がどうだこうだと言う場合に大変重大な問題は、この第一種をどうするかという問題が非常に大きいと思うのですけれどもね。ところが現実には、実際は漁業協同組合があってそして漁港になっているんだけれども商港になっているところが相当あるんじゃないでしょうか、運輸省所管港湾に。そういうところは、運輸省港湾に入っておったんでは、こんなちっぽけな商港なんというのはだれも相手にしません。私が鹿児島を回ってみましても、漁港があって船着き場がある。何でこんなふうにほったらかしてあるのかと言うと、これは商港だと言うんですね。明治あるいは大正の初めごろは商港みたいな役割りも果たしておったのだけれども、いま商港という形では全くない、漁港になっている。しかし、実際は商港になっている。そうしますと、運輸省はそんな細かいものなんか相手にしないですよ。いつまでもほうっておかれる。こういうようなところが相当あるんじゃないでしょうか。どのぐらいあるというふうに見ていらっしゃいますか。本当に漁港として使われているにかかわらず、漁港ではなくて商港になっているところ、それはどのぐらいあるというふうに見ていらっしゃいますか。
  11. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) おおむねの数で、一般港湾として指定されているものが千八十港余りというふうに考えておりますが、そのうち漁船利用度が比較的高い漁港的な事実上機能も持っているという港が、おおむね四百港余りというふうに考えております。これは年間大体百トン以上の水揚げがある港というふうに考えて、大体四百港程度というふうに認識しております。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 こういうところは全く放置されておるわけですよね。だから、船を少し大きくしようと思いましても、船を大きくできないわけですよ。周囲のところが大きくなるので自分のところも大きくしたいと思うけれども、何せ漁港には扱っているけれども漁港じゃないし、商港であるからほったらかされている。そうしますと何ともならない。だから、風が吹けばおかの上に引っ張り上げなければならない、あるいは風が吹けばどこか遠いところへ持っていって置いておかなければいかぬというようなところが、相当あるんじゃないでしょうか。四百港ぐらいあるとおっしゃったですが、そういうところは、いま私が申し上げたような形になっておるんじゃないでしょうか。あるいはこっちから風が吹くときは、島で言いますと裏側の港に持っていかなきゃいかぬ、そういうような漁港というのが、しかもそれが漁業協同組合とやはりつながってほうっておかれているんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、それは今後どうなさるおつもりか。
  13. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 一般港湾指定されているものの中に、漁港的な機能を持っている港の中でかなりいろんなタイプがあるんじゃないかと思っております。たとえば釧路とか稚内、根室あるいは網走、そういった港、本州でも宮古とかあるいは清水、唐津、こういったような港が、一般港湾で事実上は漁港としての機能を相当大きく持っているわけでございます。それからまた中には、いま先生御指摘のように、地方港湾の中で漁港として利用しているもので整備が非常におくれているものも確かにあるというように思っております。ただ、いま申し上げましたように、必ずしもやはり漁業根拠地という観点だけでなくて、一般的な運輸交通上の拠点というような観点から港湾工事等整備が進められておりますので、一概に漁業観点からだけその港の整備状況を判断することもちょっとむずかしいかと思っております。  今後、水産庁といたしましては、地元のもちろん関係者の御要望とかあるいは特に港湾管理者意見、そういったようなことを十分伺いまして、漁港として整備をしていく方が適切であるというふうに判断されるものにつきましては、運輸省の方と十分協議の上で、場合によってはその漁港への指定がえということも検討したいと考えておりますけれども、それぞれ港湾として整備されている中でも、他の漁業以外の船舶の根拠地という観点を含めて漁港としての機能もあわせ整備しようということで港湾管理者の方でも積極的に考えられ、県としてもそういう事業を進めておられるところもございますので、一概には申し上げられないと思います。しかし、必要なところについては、先ほどのように関係者意見を聞きながら今後検討をしたいというふうに思っております。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は一種に近いようなものを言っているわけです、第一種漁港。そういうところがいま、そんな大きなものじゃないですよ、一種、小さなやつ、それが商港になっている。相当ありますよ。鹿児島でも恐らく十幾つあるんじゃないでしょうか、もっとあるんじゃないかな。大変に不便ですね。ほったらかされているんですよ。こんなものを運輸省がやるわけがないんですよ。ですから、私はこれは沿岸漁業というものを根本的に見直さなきゃならぬし、どうしてもやっていかなきゃならぬという場合に、こういうような指定がえと言いますか、商港としてやっているけれども実際はほったらかされている、そして漁業協同組合も一緒になってそこを漁港として使っているというようなところは、これは漁港指定がえをしてしまうというぐらいの気構え沿岸漁業というものは見直していかないというと、沿岸漁業振興するんだ、振興するんだということをおっしゃるけれども、しかし実際使っている第一種漁港に近いような漁港は、商港として何にも手を加えられないままでほったらかされている、そして浅くなっちゃってどうにもならない。こういうようなことでは、沿岸漁業本気になってやるということになっていかないんじゃないでしょうか。  ですから、私は、いま沿岸日本漁業政策というのが根本的に見直されなければならない時期に来ている。その際に、漁港そのものも根本的に見直す必要がある。その前にまずやらなきゃならぬことは、こういったような小さな一種に近いところで、文字どおり一種ですよ、言うならば。第一種漁港に近いようなもので商港になっているところを見直してみる、あるいは検討すると言うのかな、調査をするとかというようなことをおやりになったらどうだろう。そうならないと、本気になって沿岸漁業をやるというようなことにならぬのじゃないですか、それは。あるいはおたくの場合、沿岸漁業をやる場合には二種、三種ぐらいのところを考えていらっしゃるかもしれない。しかし、それでは沿岸漁業にならないと思うんです。ですから、いま一種に近い、一種と同じような程度漁港でない商港というものを漁港指定がえするという漁港の見直しぐらいやらなきゃ、漁業政策の転換にならないんじゃないかしら。  そういう点を私は痛切に感じますけれども、たとえばいま鹿児島の肝属川の下流に波見港というのがありますよ。これは商港です。これは何ともならないんです、これ何ぼ言ったって。それで、もう時期を見て、風がないときを見計らって出ていかなければならない、風が出たらもう帰れないですから。風がちょっと出たらもう港を出れない。これは商港だからです。水産庁所管になっておったら、あれだけの漁獲量がある港をほっとくわけないと思うんですがね。あるいは指宿港なんかもそうですよ。突堤一つあるだけです。何ともならないんです、これ。みんなどこに行くかというと、川の中にみんな船をつなぐんです、風が吹くときには。港でも何でもない川の中に、みんな持ち上げていってやらなければならない。これは商港になっている。そこの船着き場の横っちょに漁協というのがちゃんとあるのです。だけれども、それは商港だから突堤一つあるだけでほったらかされている、こういうふうな状況ですね。奄美なんか行ったらいっぱいです、そういうところがね。十五や二十や三十あるのじゃないでしょうか。  ですから、私は、沿岸漁業ということを根本的に考えなければならぬ時期になって、これは昭和二十五年に指定したんですか、この際私はそういうふうなものを洗い直して、さあ沿岸漁業やるぞという気構えをしなければ、沿岸漁業振興するなんて言ったって始まらない、こういう感じがしてしようがないんだけれども、どういうふうにお考えでしょう。
  15. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 確かに御指摘の点大事な問題だと思うんですが、かなり三十年近く港湾行政、それから漁港行政、それぞれの歴史を踏まえて港の整備がそれぞれ進んできておりますので、私どもとしては先ほどお答え申し上げましたとおり、関係地元漁業者あるいはその漁港あるいは港湾管理者意見を十分聞きながら、回りにおける沿岸漁業振興策なりあるいは沿岸漁場整備対策なり、そういったものとの関連で、これはやはり将来漁港として整備した方がいいということが関係者を含めてほぼ明確に判断できるものにつきまして、運輸省とも十分協議の上で、そういった必要があれば漁港としての指定がえというふうなことも検討してまいりたい。沿岸漁業振興という観点から、そういう港の整備についても十分検討をしていく必要があるというふうに考えております。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、どうも水産庁というのは腰が弱いというか、何でも腰が弱いように思うんだけれども、こういう二百海里問題で水産政策というものを根本的に考えなければならぬという大変な時期に当たって、漁港問題についても全国的に調査をやるぐらいの気構えがないと、管理者意見を聞いてというような、個々の例のようなものをとってどうかしようかというような考え方じゃなくて、全国的に調査をやって、そうして一種に近い商港というものの中で漁港としてやるものは漁港指定がえしてしまってやるんだと、これぐらいの気構えでうんと出てもらいたいと思うんだなあ。何か陳情があったから聞こうとかというような問題じゃなくて、全国的にやってみたらどうですか。調査をやって、それで商港漁港に使えるものはその際漁港にしてしまう、そうして整備も進めていく。一種なんてほったらかしですよ、これ。どうですか、全国的にやろうという気構えありますか。
  17. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 第一種漁港についても、必ずしも港の整備が完全に全部できているわけでもございませんですね。私どもとしても、今後そういう沿岸漁業振興あるいは特に栽培漁業との関連等考えながら、そういった地方的な小規模な、しかし重要な漁港についての整備を、現在の漁港の中でも十分さらに一層力を入れてやらなければいけないというふうに思っております。当然それとの一連の問題として、今度は沿岸漁業振興あるいは沿岸での漁場開発整備、そういった観点から、やはり根拠地になる港の整備ということが漁業振興する上で不可欠の問題でございますから、そういう点で現在地方港湾になっているところで、それは将来ともやはり漁港として整備すべきであるというふうに判断されるような港については、今後おっしゃったような方向を踏まえて十分検討していきたいというふうに考えております。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、昨年のいまごろ水産三法がかかりましたとき、三法だったかな、実際上は四法律だな、かかりましたときに、第四種の問題について、まあ奄美が多いんですが、奄美群島漁港についてひとつ抜本的にやってもらいたいという主張をしたわけですよ。沖繩漁港については、これはばかすかつくったという感じもありますよね。ところが奄美の方は、確かに三年、四年前に比べますとふえてはおりますが、何せ大変長い列島ですから、鹿児島から五百キロぐらい南まで大変に長い列島ですわな。それの両方二百海里といったら非常な広大な海域を持つ地域になるわけですね。それで漁業資源の問題についての調査も二年目に入っている。しかし、漁港が大変にお粗末なんですよ、これ。具体的に例を挙げていろいろ私はそのときに質問したんですが、一体第四種あるいは奄美のこの漁港というのは、どういうことしは措置になっているのか、ちょっと伺いたい。
  19. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 奄美群島振興開発計画は、御承知のとおり、奄美群島振興特別措置法に基づいて昭和四十九年の六月自治大臣が定めたものでございまして、昭和四十九年度から五十二年度までの五カ年計画となっております。  現行の漁港整備計画につきましては、四十九年度から漁港改修事業により措置しております。奄美群島振興開発計画では、漁業の生産基盤の整備の一環としての漁港整備重点的に推進することとしておりまして、今次漁港整備計画におきましては、奄美群島振興開発上特に重要な四つの漁港について漁港整備を図るようになっております。また、これらに並行しまして、従来おくれぎみでございました漁港整備については、改修事業及び局部改良事業等によりまして重点的に漁港整備を今後図っていくつもりでございます。これはもちろん、当然奄美群島振興開発計画に沿うように、国土庁とも十分密接な連絡のもとに遺憾のないような整備促進を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、漁港改修事業についてちょっと伺いたいんです。  漁港改修事業は、昭和三十八年に第三次漁港整備計画を国会で承認をした。そのとき以来、漁港改修事業というのが行われているわけですね。それで、国会の承認の対象になっておりますこの漁港修築事業に比べまして、この改修事業というのはどういう地位を占めているのか。相互関係はどうなのか。五十二年度の予算書を見ますと、修築事業というのがありますね。それから改修事業というのがありますね。それから局部改良事業というのがありますね。この中の改修事業というのが、いま私が言う漁港改修事業なのか、局部改良事業の方も入るのか。これも漁港改修事業に入っているんでしょうね、恐らく。そうしますと、国会でこの間承認をした第六次の漁港整備計画修築事業というものとそれ以外の漁港改修事業、つまり国会が承認しなかった、対象になってないものが相当の比重を占めているんじゃないでしょうか。よく意味がわからないんだ、どういう相互関係になっているのかですね。国会の承認した整備計画というものと、それからこの漁港改修事業というものがどういう相互関係になっているのか。それで、この改修事業というのは、漁港整備費の中でどのぐらいの割合を占めているのか。四割を超すぐらいの比重を占めているんじゃないかと私は見ているんですけども、そういう点、どういう相互関係があるんですか。
  21. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 漁港整備計画の中で正式に国会の御承認をいただくのは、確かに修築事業の対象になります港及びその事業量でございます。ただ、それに関連いたしまして改修事業及び局部改良事業についても、今回の第六次の整備計画の中で関連する事業としてあわせて御承認をいただくということで、従来第五次以前の整備計画でも同じような扱いをしてまいっております。  で、漁港修築事業の性格でございますけれども改修事業修築事業との区分けは実は事業量で決めております。第六次の整備計画の例で申しますと、六カ年間の間の事業量が六億円を超えるものが一応修築事業、それ以下で一億円を超えて六億円未満のもの、これが改修事業になるわけでございます。それからそれよりも下が局部改良事業ということで、実は事業量で仕分けをしているわけでございます。  なぜそういう考え方をとっているかという点につきましては、実は一応の修築を終わりました港でも、その後補修的にいろいろ追加整備をしなきゃいけないというような港の実態がございますし、そういう観点からある程度弾力的に補充的な整備ができるように、改修事業については具体的な港名までは定めないで、ある程度事業量だけのめどをつけまして事業実施ができるように仕分けをしておるわけでございます。全体の前回御承認をいただきました第六次の整備計画事業量総額一兆四千五百億のうちで、改修事業及び局部改良事業のウエートが合計約五千億でございます。港の数にいたしますと、改修事業の対象に考えておりますのがおおむね八百二十港程度局部改良事業については港数は整備計画の中で具体的には出ておりませんが、実施上のめどとして大体千二百港というふうに考えておりますので、非常に多数の港について先ほどのような小規模な補修事業を必要に応じ弾力的にやりたいと、これが改修事業及び局部改良事業という事業区分をいたしておる趣旨でございます。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なかなかこれ専門的なことでちょっとわかりにくいんだけども、この改修事業というのは漁港法の中には規定はしていないわけでしょう。漁港法の中には規定していない。にかかわらず、事業量で区分しているとおっしゃるけれども、それはどうなんですか、漁港法の中には規定はない……。
  23. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 漁港法の中にございますのは修築事業だけでございまして、改修事業予算措置で実施するようになっております。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 漁港法には載っていない。修築事業以外の漁港法に載っていない改修事業というのが事業費の中の四割近くを占める、いや三割くらいを占めるのか、三割以上だな、ちょっとやはり四割近いですね。何か妙な話だな、これ。費用そのものはでかいんですよ、五千億とおっしゃるから。だから何か妙な感じがするんだけども、そこは水産庁としては妙には考えていらっしゃらないんですね。これは漁港法そのものが議員立法でできたんですね、何か。入れればよかったのにな、これ。どうもおかしいんだな。そこら辺どうなんですか。修築に皆統一しちゃったらどうですか、改修だ局改だなんとか言わないで。金額で分けたって、金額だって、これはこれから物価高によってまた違ってくるわけだ。三年ごとに改めるのかな、五年ごとに。そこら辺どうですか。
  25. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 漁港整備計画の中に、いわゆるいまお説の修築事業に全部統一したらどうかというお話でございますが、御案内のとおり、整備計画の内容といたしましては、修築事業として漁港名が挙がり、整備すべき施設の対象が計上されてまいります。しかしながら、非常に変動の多い漁業に対応する生産基盤の整備となりますと、その変動に応じた施設の変更ということが個々に起きてまいりました場合に、一々手続を経て国会の承認を受けなければならないということになりますと、非常に弾力的に対応できないおそれが十分ございます。ございますということで、御案内のとおり、最初のころは改修事業がございませんでしたけれども、第三次漁港整備計画から、そのような事態が発生するということを含めて改修事業が計上されたわけでございます。  そういった経過がございまして、当初の場合には、全体事業の中で改修事業局部改良事業の占める割合というのはそう大した割合ではございませんでしたけれども、いろいろと沿岸漁業振興漁業の急激な変動に対応するための事業が、非常にその需要が多くなってきた。結果的に、いま御説のような事業内容として改修や局部改良事業がふえてきた。ふえてきたということは、やはりそのような沿岸漁業振興に対応すべき事業の必要性が出た。同時にまた、沿岸漁業というものが相当多様性を持った変化のある漁港が多い。そういうことで、改修事業局部改良事業をむしろ弾力的に運用することによって現状に対応した方が適切だというふうな考え方で、六次の整備計画でも計上したような次第でございます。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうなりますと、いま漁港法に規定をしている修築事業というのはだんだん比重が小さくなっちゃうのですよ。それで、国会で承認を受けることになっている整備計画なんというのも、だんだん小さなものになっちゃうのですよ。そして法律に基づかない、補助要綱によってやっているその方がでっかくなっちゃう。そんなこと言ったら、漁港法なんというのは何のことかわけがわからぬという気が私はするわけですがね。何か妙な感じがするのですね。そこをそうお思いになりませんか。だんだんだんだんふえてきた。その法律に基づかない、補助要綱によるものが五千億という金になってしまう。今度の予算で言いましても九百十七億ですね、五十二年度の予算は。その中でちょっと四割ぐらいのものが法律に基づかない、補助要綱による漁港整備になっているわけですね。局改並びに改修になっているわけです。そうしますと、国会の承認を得ることになっているものはだんだん小さくなっちゃって、そして法律によらないものがだんだん大きくなってくるというようなことになってしまったら——そうなると思いますよ、これから。そこら辺がおかしいんだな。何かすっきりしないのだな。そこをもう一遍答弁をいただきたい。
  27. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いま御指摘のような考え方もあるかとは思うのですけれども漁港法の趣旨としても、特に基幹的な漁港と申しますか、全国的に見てやはりかなり重要度の高い漁港についての整備方針を明確にするということに主眼があるというふうに考えております。したがいまして、全国的な漁港の中でも特に重要度の高い特定三種漁港については法律の中で港名が明示されているわけでございますし、それに準ずると申しますか、全国的に見てかなり重要度の高い漁港については、これはまあ事業量もございますし重要度もございますが、そういったものについては整備計画の中で港の名前まで明らかにして整備を進める。しかし、それ以外の港につきましては、いろいろ運用面で弾力的なその時点に応じた配慮ということも加える必要がございますので、事業量のある程度小さなものについては港名まで一々特定はしないで、しかし全体の漁港整備との関連がございますから、そういった事業分野についてのおおむねの港数あるいは事業分量というものをあわせ御提示をいたしまして、国会での審議、可決をいただくということで取り運んでいるというふうに理解しております。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、法律に基づかない補助要綱によるものが四割にもなっているんですね、漁港整備費の中の。ことし五十二年度は九百十七億でしょう。その中の四割近いものが法律に基づかない、漁港法に基づかない補助要綱によるものだと。今後その沿岸漁業振興というものが大きく展開をせざるを得なくなってきますと、その金の方がずっと大きくなってくるのじゃないでしょうか。そして漁港法に言う、法律で言うやつはだんだん小さくなってしまう。小さくなってしまうのじゃないのだけれども、片一方の方がでっかくなってしまう。こういうことになっちゃったら、漁港整備というのは一体どうなるのだろう、法律的に言うと。何かこれはどっかできちっとしたらどうなのか。ちょびっとしたものならば別ですよ。でっかくなってきちゃったから、これが。そして今後さらにでかくなるだろう。法律に基づくものよりも、この補助要綱に基づくものの方がでかくなるだろうという気がするもんですから。当然でかくならなければならぬと思うのです。でかくなってきますな、いまでも四割近いのだから。でかくなってしまうといった場合に、一体漁港法に基づかない漁港修築というのは、あっちこっちで全国的に行われているというような形になりますと、妙な形じゃないかという感じを持つものですから、検討を願ったらどうかと思ったわけなんです。  それからもう一つ補助率ですが、いまその法律に基づかない改修事業補助率というのは、原則として漁港法という法律並びにそれに基づく政令によって決めた補助率と同率だということになっているのですね。これは相当なものだと思うのですね。それはそれでいいんだが、今後もこれでいかれるわけですか。法律に基づく、あるいは法律による政令に決めてある補助率、そういう考え方でいかれるのか、どういうことになりますか。
  29. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 改修事業につきましては、やはり修築事業ほどの規模ではございませんが、それに準ずる補完的なものという趣旨で、補助率につきましては、従来どおり修築事業に準じた負担率に準ずる補助率を適用してまいりたいというふうに考えております。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこにもちょっと私は疑問を感ずるのですけれどもね。  第四種、特定三種、それから第三種、それから二種、一種は一緒ですね。そういう補助率を、簡単に言いますと三段階かに分けているでしょう。その補助率法律に基づかない、補助要綱による改修事業にそのまま当てはめるということになるのですか。そうなるとちょっとばかり——それも実は公共性というものの大きさによって決めているのでしょうが、公共性の大きさというものによって考えていらっしゃるのでしょうけれども、何か少し妙な感じがしますね。それについての答弁をいただくということにして、次に時間が過ぎてまいりましたのでもう一つ。  五十一年、昨年、通常国会に水産庁としてはかつてない大変目を見張るような法律を次から次へ出されて、われわれも敬意を表した面もあるわけですが、三つ法案が出ましたですね。ところが、その中で、ここで水産庁が新しく昨年から展開されました目を見張るような水産政策というものの圧倒的中心が金融政策だ。これについて、私は大変不満なわけなんです。緊急を要する時代でもあったという点もあって、あるいはいろんな事情があって、融資政策というものによって水産政策の展開を図られたんだろうというふうに思いますけれども、しかし、それにしても私は非常にこの点については不満がありますので、安易に融資政策というものに頼るべきではないのではないか。もっと補助金政策でやるものは補助金政策でやるべきじゃないのかという感じがしてしようがないわけなんですね。  そこで、ここで二つだけ取り上げて問題にいたしたいわけですが、それは石油ショックによりまして、四十九年に御承知のように漁業経営安定特別資金、中身は油に対する融資ですね、五百三十億という融資をやったんです。ところが続いて五十一年に、漁業用燃油対策特別資金六百億という融資でまたやられたわけですね。これは二つとも同じ内容なんですね。四十九年度の五百三十億円というのと、それから五十一年のこの六百億円というやつとは内容同じものなんですよ。ところが、ぼくらはそのときにこの委員会でも、燃油が三倍あるいは四倍近くにもなったということは漁業経営にとっては非常な大きな痛手を与えておるんだから、ヨーロッパ諸国が行っているように補助金政策というものをとる必要があるんではないかという論議をしたわけです、四十九年のときも去年も。ところが水産庁としては、融資政策ということでやられたわけですね。いまこの融資政策でよかったというふうに考えていらっしゃるのかどうか、それをまず伺いたいですね。さっきのやっと今度のやっと二つです。
  31. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 漁港といったような公共施設の整備につきまして、これはいろんな見方があるかもしれませんですが、単年度の予算の中で最も重点的に整備ができれば、それで一応目的は達し得るかと思うわけです。ただ、それが非常に長年月にわたる場合に、一定の基本方針がはっきりしておりませんと、途中の単年度の予算事情でぐるぐる助成の対象が変わるとか、あるいは事業のテンポが非常に落ちるとか、そういったことでは投資の効率が上がらないわけでございますから、そういう観点から、漁港法整備計画を定めて特定の港を一応指定をして、特に事業規模の大きな長年月を要するものについては国の負担率も法定をして事業をやるというような趣旨が、整備計画の基本的な性格であるかと思うわけでございます。それに対しまして、その対象といたします港はやや大きくても、補足的な改修事業あるいは局部改良事業になりますと、おおむね一、二年程度で終わる、あるいは長くても二、三年程度というような事業量も少のうございますし、そのときそのときのやはり財政事情に応じまして、若干対象範囲も広がったり狭まったりすると、そういうことでも十分事業の効率は確保できるというのが、改修事業あるいは局部改良事業の性格であるかと思うわけでございます。  そういった点で、補助率につきましても必ずしも公共性の観点修築事業に劣るから、あるいはそれと匹敵するからという観点ではなくて、そのときの財政事情で大体均衡をとって、ある年度ではたとえば同じような補助の適用ができると。またしかし、それは法定ではっきりと確立したものではございませんから、年によっては若干それを下回ることもあり得べしというような、事実はその事業の性格から言って、おおむねいままでその修築事業と同じような補助率をずっと確保してきたわけでございますけれども、性格から言うと、基本的にそういった事業量の大きさ、それからそれを実施するために必要な年月等でかっちり対象が確定しているかどうか、補助の程度ということも法定されている安定したものかどうかという点で、両者の間に差があるのではないかというふうに私どもは理解しておるわけでございます。  それから二番目の石油の値上がりに伴ういろんな融資対策での措置に対する評価でございますが、私どもといたしましては、やはり一時的な値上がりということではなくて、かなり恒常的に将来にわたってこういった価格体系の変化が石油その他の資材について出てまいりました場合に、やはり現在の経済体制の中では、これを企業の中でコストとして十分実現できるような企業経営に持っていかなければやはり長続きはむずかしいのではないかと。恒常的にある値上がり部分を常に国が財政資金でそれを援助していくというのは、一般の企業間のプリンシプルから言うと、やはり問題があるんではないか。しかし急激に油等が上がりましたときに、それを直ちにコストに吸収し、あるいは逆に言いますと、魚価の方にそれが反映してバランスのとれた価格体系に移行するまでにはどうしても時間がかかるわけでございますので、そういう間のつなぎをやはり国としても助成する必要がある。かような観点で、先ほど先生から御指摘のあったような融資でのつなぎの措置を講じてまいったわけでございます。  現状で考えますと、漁船用のA重油の価格というのは大体三万五、六千円前後ぐらいのところで、ほぼ若干の値上がりはまだ年々あるかと思いますが、ああいった四十八年から四十九年にかけてのような急激な価格変動というのはほぼおさまって、将来はこの程度の価格を前提に漁業経営のあり方というのを考えざるを得ないだろうという情勢に、ほぼ三年程度たちまして落ちついたというふうに見ておりますし、同時に企業者の努力及びいろんな価格体系を反映した全体の価格バランスの何といいますか、手直しというようなことがやや時間をかけて行われまして、当時の魚価の水準と現在の魚価の水準、そのアップ率と、それから当時の燃油価格の、特にこれは経営費の中に占める割合を考慮に入れた上で、経費のアップに対する寄与率みたいなものを考慮しますと、おおむねその後の、現在でのその価格体系としてはバランスがとれてきたのではないかと。詰めて申しますと、大体三年程度の間融資等でつないできた効果がやっと現状であらわれて、おおむね現在の価格を前提にする漁業経営というのを成り立たせるめどがようやくついてきたというふうに判断をしておるわけでございます。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 四十九年度に五百三十億円の融資をされた。それは償還期限二年というお話だった。しかし、そのときだれしも、いまの状況の中で漁業の収益で二年間で償還できるなんて、だれも考えなかったと思うのですよ。われわれも考えてなかったし、業界だって、あの状況の中で、二年間で五百三十億円という金を返せるなんて、だれも考えてなかったと思うのですね。事実そうだと思うのですよ。おたくだって、水産庁だって、二年じゃとてもどうにもならなくなっちゃって、一年半償還を延期したと。延期しただけじゃなくって、再び五十一年にはさらに六百億円という融資をせざるを得なかったですね。それだけじゃなくて、ことしになって経営維持安定資金と言うのですが、これまた六百億円出すことになったけれども、これも油代が大部分でしょう。私はこういうのを考えた場合に、これは一体どうなんだという、この見通しはどうなんですか。返す見通しは立っていらっしゃるのですか。四十九年に五百三十億出しましたね。五十一年に六百億出しましたね。そしてさらに五十一年には、新しく創設しました経営維持安定資金の六百億、これももう油代ですよ。問題は油だと。この見通しはどうですか、返済の見通しは。
  33. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 漁業経営の立ち直りというふうにさっき申し上げましたけれども、やはり業種別にかなり差がございまして、沿岸の比較的小規模漁業の方が早く順応ができたかと思いますが、一番立ち直りのおくれましたのが遠洋のカツオ・マグロ漁業等で、これにつきましてもようやく五十年度の後半から、大体コストと魚価とのおおむねのバランスがとれるめどがついてまいりまして、現在ですっかり経営的に立ち直ったとまでは申し上げられませんけれども、おおむね最悪の事態は脱して、やや将来に向かってのそういうコストと魚価という面だけから申しますと、ある程度の見通しはついたというふうに考えております。  で、この際に付言させていただきますと、さっき申し上げましたように、タイムラグがどうしてもあるわけでございますが、やはり適正な魚価がどういうふうに形成されるかということが漁業経営の安定の上で一番基本的な要因ではないかというふうに私どもは考えておりまして、先ほどの融資対策でのつなぎだけで事を済ませようということではなくて、むしろ抜本的な策といたしましては、魚価の安定制度、つまり水産物の特性からいたしますと、直ちに畜産物その他のような調整保管を大量に組織的にやるということはできませんので、調整保管事業を通じまして魚種別に一定の量を季節変動に応じて調整保管をしながら、これを魚価安定基金等でてこ入れをして、消費者から見てもある程度がまんのできる、それから生産者としてもある程度がまんのできるあるべき魚価を実現をさせるということに最大の力点を置いて、その中で先ほどのような問題をやはり経営内部の問題として解決をしたいというのが、水産庁の実は考え方だったわけでございます。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、結局これはもう当初から補助金でやられた方がよかったんだと思うんですね。補助金でおやりになった方がすっきりしたと思う。五百三十億出して、六百億出して、さらに六百億出してそして対処しておられるわけですけれども、それに国費をどうしてもつぎ込まざるを得ない、利子の補給をやらざるを得ないわけですから。そうしますと、結局やはり補助金で処理された方が簡単にあのとき乗り切れたと思うんです。という気がしてしようがないわけなんです。どうも融資政策というのは、これは事務的にも大変なんですね。しかも無差別にやりましたですから、これは漁協も大変だったろうと思うんですね。四十九年、五十一年、さらに五十二年のこの経営維持安定資金六百億、えらかったと思うんですが、見通しは伺えなかったけれども、何とか——次長のお話でありますけれども、これはやはり私はこういうような融資政策という形じゃなくて、やはりもっと補助金政策というものによって処理させた方がよかったという気がしてしようがないものですから、お尋ねしたわけです。  もう一つ補助金政策で。この減船の補償制度ですね。昨年の通常国会で成立をしました漁業再建整備特別措置法、これによって減船の整備資金ですね、五十一年、去年は農林漁業金融公庫から三十五億円の融資、本年は七十三億円というので自主減船をやっておるわけですね。これは業者の相互補償でしょうね。これは、一体これでやれるのかなあという気がしてしようがないんですけれども、減船の指定になったのは水産資源あるいは経営内容から言って遠洋カツオ・マグロ、これが指定されたわけですよね。そしていまありますところの千二百九十一隻、その中から二〇%、二百五十八隻というものを三年計画でひとつ整備をする、こういうことで五十一年は四分の一と、百六十七隻になりますかね。それから五十二年で四分の二と、五十三年四分の一という形で、融資という政策で自主減船をおやりになっている。  そこで、これは一体いまどうなっているのかというのを聞きたいわけなんですね。日鰹連に入っていない船というのが、約一割ちょっとこれありますね。百三十九隻ですね。日鰹連に入っていないものがこれだけある。それ以外に兼業の船というのがありますね。遠洋カツオ・マグロ漁業の許可を受けて、特にサケ・マスをとっていると。これは一体どうなるのか。  それからもう一つは、トン当たりの価格をお決めになりましたですね、減船する場合の。そういうものはどうかとか、あるいは遠洋のカツオ・マグロは減船をするんだが、同じ魚を相手にしている近海のカツオ・マグロは対象になっていない、のみならず、それにむしろ農林漁業金融公庫の方は積極的に金を出して新しく船をつくらしているというやり方を去年盛んにやりましたですね。これは一体どうなっているんだということもお尋ねをしたいんだけれども、時間の関係がありますからそれはよしまして、問題はこれから二百海里問題に移って、減船という関係から整備計画というものが全面的に出てこざるを得ない。特に北洋を中心にしまして全面的に出てこざるを得ないという場合に、この自主減船で処理できるのかどうかという点ですね。いま自主減船でやっておられるのだけれども、実際自主減船でやれるのかどうか。やはり国が直接補助金を使ってこれは何らかの対策をとらざるを得ないんじゃないか。かつて自主減船をやったが、そのときはまだ見通しを持っておったんですね。北転ができるとか、あるいはほかの漁業に行けるとかいう形で、漁業収益によってあとに残った残存業者が負担ができるというようなことがはっきり見通しはあったのだけれども、しかし、これからの問題についてはなかなかそれはむずかしいのじゃないか。  そうしますと、これは自主減船という形ではできないと、融資ではできないと、どうしても国の金を使って減船という、整備という考え方を持たざるを得ないのじゃないかというふうに思うんです。昨年もこの法律が通りますときに附帯決議がついて、国が直接の補助金をもって整備をせざるを得ないのじゃないかというようなことを言っているんですけれども、いまは進めていらっしゃいますが、一体これからの問題として考えた場合に、やはり融資でやる筋合いではなくて、補助金政策を含めて処理しなきゃならぬのじゃないかという点についてはどういうようにお考えですか。
  35. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) おっしゃるとおり、日ソその他の交渉を控えて大変厳しい事態が予想されるわけでございますが、いまの減船に伴ういろいろ救済対策というのは、やはりどうも一概に一つの原則では処理ができないというふうに考えております。つまり、その減船を必要とするに至った理由であるとか、特にその減船の程度であるとか、またその減船の対象になる漁業者かなり規模な経営能力といいますか、資力、資本力の大きな漁業であるか、あるいは中小の漁業者であるか、漁家経営であるか、そういったそれぞれの事情に応じて適切な対策を立てなければならないというふうに考えております。  しかし、一般を通じて言えますことは、やはりそのまず第一段階としては、それぞれの漁業者、企業者の努力でどこまでそういった条件の変化に対応できるかという一つの自己努力といいますか、経営努力というのがまず第一に考えられますし、それからある程度どうしても減船をしなきゃいけないというときに、残った漁業の経営というのはかなり反面安定をしてまいるわけでございますから、残った人たちがやめていく人たちに一体どういうふうに救済の手を差し伸べるかという、いわゆる共補償ということも考え方としては省略をできない問題かと思います。  同時に、それだけで片がつくかというふうに考えますと、かなり国際的な情勢等で急激に大幅な減船整理をしなきゃいけない、しかもそれが中小漁業者で、転換の道、あるいはそのほかの企業内でのそういうものを吸収の道もないというようなものにつきましては、やはりその実態に応じていろいろ国としても直接適切な救済対策を講ずる必要があるというふうに考えております。従来もニシン等の転換策、あるいは減船、廃業というようなケースにつきましては、仲間補償というような観点だけでなくて、国自身としても乗組員に対する給与あるいは漁具の仕込み代、そういった部分につきましていろいろ救済措置をとってまいったわけでございますけれども、今後もそういったケース・バイ・ケースといいますか、事態に応じましてそういう検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  36. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ国際的な規制を受けて、どうしても減船をせざるを得ないという事態になってくるわけですね。その場合に融資の政策でやっていくということについては、非常に大きな問題があるのではないかという気がするわけなんですね。気がしてしようがないわけなんです。ですから、水産庁はどうもその場その場で、何か融資融資でこう転がしていくような傾向があるように見受けられるわけなんですよ。もうちょっとこういう問題については、補助金政策で処理するような方向を出されたらどうだろうというふうに思えてしようがないわけです。ですから、少なくとも今後国際的な規制を受けて減船をせざるを得ないという状況に来ているわけですよね。その場合に、融資政策じゃなくて、やはり国の補助をもってやらざるを得ないだろと私は思うんですけれども、それが魚種によってどうだこうだという話になりますと、どうも林野庁とちょっと似たところあるな。林野庁もすぐ山、山と言うんだな、人が知らぬと思ってですな。何かこうちょっと違うところがあるんだな。そうじゃなくて、もっとやっぱりもう少し親切に考えてもらいたいと思うんですな。余り専門家だもんだから、専門家は専門家で何か細かく言い過ぎる点がある、私はそういう気がしますね。どうも、国の補助でやっぱりやっていくというぐらいの考えで対処していかないというと、どうにもならぬのじゃないかという私は気がしますね。  最後に、まあこれは大臣に伺いたいとも思ったんですけれども、これはしかし農林省の政策として水産というものを、大臣の所信表明にもありましたし、「総合食糧政策の展開」の中にもはっきりうたってありますように、総合食糧政策の中で水産業というものを位置づけていくんだというお話なんですね。で、一体、総合食糧政策の中で水産業というのをどう位置づけるのかというのが一つですね。  もう一つは、これから二百海里という問題が出てくる。その中で水産のいままでの制度というものを見直す必要がある。あるいはいままでずっと推し進めてきたものが二百海里で頭をぶった、そこでいままでの水産政策というものを見直す必要がある。その二つをはっきりしなければ水産政策というものは進まないんじゃないか、はっきり見通しを持てないんじゃないかという感じがするわけです。  一つは、いま申し上げましたように、総合食糧政策の中で水産というものをどう位置づけるのか。まあ言うならば、畜産政策の補完的なものになってしまうのか。いまたん白質で言いますと、六十年長期見通しで、四十七年を基準にしていますから、動物たん白の中の魚介類の比重というのは五一・二%だと。昭和六十年にはそれが五一・〇だと。もうほとんど変わらぬという見方ですね。そんなふうに見られるかどうかですね。かつては、これはその前の第二回の長期見通し、これは四十一年を基準にしていますね、そのときはちょうど五六・七%だった、魚介類というものは。動物たん白質の中に占める魚介類五六・七。それが四十七年には、六年たって五一・二になっている。これから六十年、七年後に五一だと。こんなものにはとうていなりっこない。ですから、文字どおり総合食糧政策の中における動物たん白質と見た場合には、畜産政策の補完という形に置かざるを得ない。さらにますますそういうふうになってくるだろうと。畜産の方が出てきて、水産というのは地位が下がってくるだろうと。そこをどう位置づけるのかという点ですね。もう一つは、いま申し上げたように、二百海里が出てきた場合に、出てきているんだから、その中で従来の漁業政策というものの見直し、あるいは漁業の制度の見直し、こういうものがはっきりしなければ、この二つをはっきりしなければ水産政策の今後のあり方としては大変じゃないかと、見通しは立てられぬのじゃないかという気がするんですけれども、その点について伺います。
  37. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いまお尋ねの二つの点は、うらはらといいますか、相互に密接な関連する問題と思いますので、あわせてお答えをさしていただきたいと思うのですが、一つは食糧としての水産物の需給の見通しでございますが、これは確かに六十年の農産物の長期見通しのときに参考として一応の試算をお出ししたわけでございますけれども、その後国際情勢も相当変わり、また需要の動向についても分析を要する点がございますし、また計算の基礎になったいろんな加工歩どまり等についても将来に向かってはいろいろまだ改善の余地も相当ございますし、そういった点、総合的に考える必要があるわけでございますけれども、何分情勢が流動的なので、本格的な作業に手をつける前の段階として、いろんな基礎資料等の原単位等の整備にいま手をつけている段階でございます。  しかし、大まかな私どもが考えていますことを申し上げますと、ここ五年間ぐらいのいろんな食糧消費の動向等から見まして、やはり将来とも動物たん白食料の大体半分ぐらいを水産物で、半分ぐらいを畜産物で供給をするというパターンは、日本人の伝統的な食生活あるいは嗜好といったような点から分析しまして、そう大きく変わらないのではないかというふうに私どもとしては考えております。現在、全体で一日一人平均たん白質を八十グラムぐらい摂取しているわけですが、そのうち三十五グラムぐらいが動物たん白食料で、その半々がいまのように水産物と畜産物になっているわけでございますけれども、全体が過去のテンポのように動物たん白食料のウエートが高くなるとは考えませんけれども、おおむね今後十年ないしややそれを上回るぐらいの期間に、たん白質の全体の半分ぐらいは動物たん白食料で賄うというふうに、食生活の動きというのは変わってくるんじゃないだろうか。つまり、四十グラム程度は動物たん白食料で、その半分半分を水産物と畜産物でというようなパターンが、ごく最近でのいろんな消費動向等から将来の姿として予想される。水産物についても、ネットの食糧としての需要というのはやはり今後、いままでのテンポほどではないとしても増加をするというふうに考えております。  これに対応して、それでは二百海里時代に入ってどういうふうに漁業として対応していくのかという二番目のお話でございますけれども、この点について私どもとしても、過去のような沖合いから遠洋へといった形で、外洋に行っていままで未利用であった資源をとってくるというタイプだけでは、こういった需要に十分こたえることはできないだろう。かなりその観点を変えて考える必要がある。その第一は、しかし何といいましても、外国の距岸二百海里以内で三百七十万トン以上の水産物を現に生産しているわけでございますから、その実績の確保には第一の力をまず注ぐべきだというふうに考えておりますが、それのみでなく、今後の対策として、わが国の周辺の二百海里内の漁場の開発ということを大いに力を入れてやる必要がある。具体的には沿岸漁場整備なり、あるいは栽培漁業振興といったことで、将来国民の求める、嗜好にマッチした高級魚介類あるいはその他の甲殻類、エビ類、貝類といったようなものを多角的に、地域の特性を生かしながら、畑を耕すのと同じような感覚で沿岸漁場整備も進めながら資源量をふやしてとる必要という方向が、一つ今後の方向として大きな問題になるだろう。  同時に三番目の問題といたしましては、とった水産物の有効利用ということでございまして、マイワシなりあるいはサバなり、現在は家畜あるいは養魚用のえさ等に回っているものがかなりのウエートを占めているわけでございますけれども、こういったものを、将来の国民の嗜好にマッチした食品に加工するための技術開発であるとか、あるいはまたマイワシ、サバ等をそのまま食卓に乗せて好んで食べてもらえるような調理法なり、そういった普及啓蒙といったようなことにも大いに力を入れる必要がある。  こういった対策を総合して考えますと、将来の国際環境の中で日本の周辺及び海外漁場の維持ということを含めて、国民の今後の動物たん白食料に対する需要、その中での水産物のこれまで果たしてきた役割りというのは私どもとしては維持ができる、さらにある程度発展させることも可能なのではないかというふうに考えて、五十二年度の予算編成の際には、いま申し上げたような幾つかの柱を中心にして必要な布石を打ったというふうに考えておるわけでございます。
  38. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 一言だけ。次長ね、えらい強腰で大変結構ですな。まあ農業の面から言いますと、水産庁が強腰で高目に高目に、半分半分だといまおっしゃった。これから昭和六十年も半分半分だとえらい強腰で困っちゃったというのが、もっぱらの評判なわけですよね。強腰で困っちゃったと。私もそういう感じを受けますね、大変強腰でね。私は、困っちゃったというよりも大変結構だと思う。そういう強腰で行ってもらいたい。それは単に机上の話だけじゃなくて、それ以外の問題として、漁港の問題についても何の問題についても、どうかそういう勢いで高目高目に、強腰強腰でやってもらいたいということを要望しまして、終わります。
  39. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 漁港法にかかわる問題につきましては、さきの委員会でいろいろお尋ねいたしましたので、きょうは当面する漁業問題について若干お伺いしておきたいと思います。  最初に日ソ漁業交渉なんですが、園田特使がきょう出発されましたが、政治的問題への最後の詰めば行われるわけですけれども、その当面の政治的打開策を図った後で、農林大臣あるいはそれにかわる日本政府首脳、これがさらに向こうへ行って漁業交渉の取り決めを事細かに行う、こういう線が現在考えられているわけですけれども、そこで園田特使出発に当たって農林省首脳との打ち合わせですけれども、どのような内容で打ち合わせをして出発されたのか、また水産庁として、日ソ漁業交渉の見通しについて現時点でどのように分析をしておられるのか、ひとつ詳細にお伺いしたいと思います。
  40. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 現在、モスクワの方で行われています暫定取り決めの日ソの漁業交渉が、非常に難航していると申しますか、かなり基本的な点で幾つかの問題を抱えて膠着状態になっていることは、御案内のとおりでございます。特に、私どもが承知しております問題点というのは、一つは、ソ連側の方が、暫定取り決めといえどもソ連側の方の、まあたとえば日本漁船が操業しますときにはソ連の許可証を取得しなきゃいけないとか、入漁料の支払い義務であるとか、あるいは特に取り締まり裁判管轄権を明文で認めろというような、いわゆる主権的な権利の確認ということを迫っていることが第一点。それから第二点は、その対象水域の表現の仕方で両方の意見が合わない。それから第三点は、ソ連側の方が、日本が領海を三海里から十二海里に拡大した場合にも、十二海里−三海里でのソ連側のマイワシ等の操業実績を認めろということを強く主張しているといった点が、主な対立点になっております。で、こういった点でいろいろ話し合いがありまして、打開策についてもいろいろ三十一日まで非公式に話し合いが行われたようでございますけれども、全体として解決のめどが立たず、一日以降やや交渉が暗礁に乗り上げているという状況で推移しております。  そこで、今回の園田官房長官のソ連への訪ソの問題でございますが、こういった基本的な漁業の問題についていろいろ日ソ双方の立場をそれぞれ固執といいますか、話し合いがうまく進まないということで、日ソ両国の全体の関係に大きな影響が出るのではないか。逆に言いますと、日ソ双方の長年にわたる友好ムードの中で友好関係を維持するという大局的な見地から、こういった漁業問題についても何らかの打開策をやはり高度の判断として考えるべきじゃないか、こういう観点から、今度の福田総理の特使派遣という方針が決まったというふうに私どもは承知をしているわけでございます。裏側の別の見方から言いますと、必ずしも漁業問題という観点ではなく、また水域の表示等に絡むいわゆる領土問題ということでもなく、そういった問題は大局的な見地から解決をすべきである、日ソ相互の長期的な友好関係という観点から打開をすべきじゃないかという、その高度のお話し合いのために行かれるということで、農林省としてはいまのような考え方でございますから、漁業問題についてこのたびの特使の派遣、特使が出られます際に、こういった点をということで特別お話し合いがあったというふうには承知をいたしておりません。
  41. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そうしますと、あと恐らく農林大臣が早ければ七日にも出発されるんじゃないかということを非公式にですけれども聞きますけれども、農林大臣が行かれるときは、相当懸案になっている漁業問題についてのまた交渉をやらなければならないわけですけれども、当初の水産庁としての検討課題、それをさらにもっと煮詰め、あるいはまた現状に即して方針を変更して対処しなければならぬ、こういう準備で行かれるのか、それとも最初の予定したとおりの方針で、改めて農林大臣が行かれるにしても、その当初方針でそのまま押し切っていけるという見通しなのか、その辺のところはどうなんですか。
  42. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 御案内のとおり、水産庁から水産庁長官及び担当の部長が参りまして、そういった漁業の実態問題あるいは資源評価等については、万全の準備をして臨んでまいったわけでございます。ところが、今日まで先ほど申し上げたような暫定取り決めの性格、取り扱い等をめぐりまして両方の意見が激しくこう対立をいたしまして、ソ連側の態度としては、そういった暫定取り決めについての交渉締結のめどが立つまでは、実体問題と申しますか、漁獲量あるいは漁獲規制の問題については話し合いに入れないという態度を一貫してとっておりまして、今日まで私どもの方では機会をとらえて、何度かそういう実体面の説明を作業委員会のような形で向こうへ示してはおりますけれども、向こう側の方からの具体的な反応はいまだないという状態でございます。  したがって、水産庁としてのこのソ側に臨む、交渉に臨む態度としては、当初いま参っております代表団が出かけましたときの方針をそのまま現在も維持しておるということでございまして、今回仮にそういったまた再度の大臣間の協議があるといたしましても、その点は私は確定したというふうには承知はいたしておりませんけれども、その交渉に臨む態度には変更はないと思います。まあ交渉事でございますから、そのいろいろな話し合いの中でどこでそういう話し合いがまとまるかということは別にしまして、交渉に臨むいろんな準備あるいは基本的な方針ということは、当初代表団が出発するときに固めた時点と変わりはないというふうに思っております。
  43. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま北海道の、特に北洋漁場から撤退してきた沖合い底びき漁船等と沿岸漁業者の間に、近海での操業をめぐってトラブルが起きるんじゃないかということが非常に心配をされているわけです。水産庁としても、業界に対する操業自粛を要請して現地に課長等派遣をされているわけですけれども、現地へ行っているその調整の話し合いがどうなっているのか、また、今後トラブルを起こさないためにどのように水産庁としては対処されるのか、その辺を伺いたい。
  44. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 現在、三月末から四月にかけて、ソ連側の二百海里の水域の中で操業しておりました日本漁業といいますか種類は、主として北転船、沖合い底びき、あるいは近海でのエビかご漁業、そういったような漁業が主体でございます。その中で、北転船につきましては、これはソ連の二百海里外では操業区域を全く持っておりませんので、妥結の見通しがつくまでそれぞれの母港と申しますか、根拠地で待機をするということで指導をいたしております。  若干問題がございますのは、北海道及び本州の一部の東北の県の沖合い底びき網漁業でございまして、これは従来主として漁場がソ側二百海里の水域内でございますが、許可上の操業区域としては自分の地先でも禁止区域を除いて操業できる許可内容を持っている。しかし、現実には、従来は操業はしていなかったというようなものが一部ございます。で、こういった漁業について、例年と違った近海での操業を始めますと、そこではすでにいろいろ沿岸漁業が操業いたしておりますので、思いがけないトラブルを起こす心配があるということで、私どもとしては、日ソ間の漁業交渉のめどがつきますまで、そういった沖合い底びき漁業についても、日本近海での操業を一応見送って根拠地で待機をしてほしいということを指導しているわけでございます。  これにつきまして、いろいろ一部の、北海道でもある地区では異論がございまして、日本近海でただ黙って船をとめているわけにいかないので操業したいという希望もあったのでございますけれども、いま申し上げたような事情をるる現地へ参りまして説明をいたしまして、そこで沿岸漁業とのトラブルを起こせば結局日本側の方のソ連側の交渉に臨む態度を弱めることになるということをよく話し合いをして、今後日ソ漁業交渉のめどがつくまでそういったことを自主的に操業を見合わせて、国内での漁業者の要するに団結を乱すまいということで御了解をいただいて、現在その沖合い底びき漁船については、例年日本の近くで操業しているものは別といたしまして、いままで操業していなかった分については、操業を中止していただくということで了解をいただいているという状況でございます。
  45. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一応水産庁の要請を受ける形になったんですが、非常に休漁に対する不満の声が大きいわけですが、特に沖合い底びき漁船は従来からの沿岸漁場漁業権は保持されていますね。今日二百海里という厳しい日本水産環境、こういうふうになることはかなり前から予測されていたわけですから、当然そのときを迎える対応策というのはもう相当前からこれは作成しておかなければならなかったと思うんですけれども、まさかここまで厳しくされ、特に日ソ漁業交渉関係ですけれども、底網漁船沿岸まで戻ってくるようになるとは思わなかったというような、その場になってからあわてているというようなことが今回はからずも明らかになったんじゃないかと、こういうふうに私たち思うんですけれども水産庁としては、ただ単に操業を中止してくれ、トラブルを起こさないでくれというだけの対応でなくて、沿岸漁業権買い取りというようなことをあるいは考えてはという声も一部にあるんですけれども、この点については水産庁としてはどういう方針で臨まれるんですか。
  46. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 従来からの沖合い底びき網漁業については、沿岸のいろんな刺し網漁業とか、はえなわ漁業等と摩擦を起こしやすい漁業でございますので、禁止期間とか禁止区域を日本の周辺に設定をしてそういう調整を図ってまいりましたし、先ほど申し上げた北転船というのも、もともと沖合い底びきで日本の近海でやっておったものを、大型化してカムチャッカ周辺の方へ転換をさせたというのが発端でございました。  そういう調整はいままでもやってきたわけでございますが、当面、いまの事態に対応して、沖合い底びきについてどういうふうにするかという問題でございますが、やはりニシン等と違いまして、ニシンの場合には三月、四月が特に四十八度以南のニシン刺し網につきましては漁期でございまして、それを失しますとあと一年間操業をするチャンスがないわけでございますが、沖合い底びきにつきましては、時期によって魚種や漁場は変わりますけれども、一応終年操業することができる。中にはもちろん別の漁業の方がいいからというので、サケ・マスを兼業したり、イカ釣りに出る者もございますが、終年やろうと思えば底びきができるという状態にありますので、やはり今度の日ソ漁業交渉の結果を見守りながら、これに応じて、仮に大幅な減船が必要になるというようなことになりましたときは、漁業権の買い上げという形ではございませんが、やはり漁獲量に見合った漁獲努力の削減ということは、それは沖合い底びきに限らず考えざるを得ないだろうというふうに思っております。  その際、やはり漁業の経営の実態であるとか、それから減船の程度であるとか、そういったことを十分考えながら、漁業者の企業努力、それから残る仲間でのやめる者への補償といういわゆる共補償のみならず、それに加えてやはり国として救済しなければならない者は当然救済をするという前提で検討していきたい。しかし、現状ではまだその全貌がはっきりいたしませんので、その結果を待って、その間、必要があれば資金的ないろんなつなぎは検討していきたいという態度で対処しておるわけでございます。
  47. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 従来の日本水産行政というのは、日本漁業が将来あるべき方向というものをしっかり見定めて、しっかりした展望を持ってなかったんじゃないかという批判がいつもつきまとっていたわけですけれども、結局そのときそのときの情勢に応じた場当たり的な許認可行政というようなものに終始してきたきらいがあるんじゃないか。あの経済的に高度成長したときにはそちらの方に押し切られて、もっともっと声を強くして沿岸漁業を守らなければならないという立場に水産庁としては立たなければならなかったはずなんだけれども、結局沿岸漁場は荒らされるに、公害に冒されるに任せてしまったと、そして一方では遠洋漁業の拡充ということに力が入って、それに対する乱獲の勧めと言うと言葉がきついかもしれないけれども、逆に言うと、沿岸漁業振興というのが後手に回って、そして遠洋漁業だけが拡充されていって、それに対するいわゆる諸外国からの反発、日本漁船の締め出しということが起きてきた。  そして、そうなりますと、今度一部漁船漁業認可を取り消して減船をする、こういうことでだんだん日本漁業というものが深刻な立場に陥っているんですけれども一つは、やはり今後の将来展望を見きわめた日本水産行政の方針を、本当に水産行政に携わる皆さん方お役人がしっかりしていただきたいということと、それからいま北海道の稚内の方は約一万隻に及ぶ船が休漁せざるを得ない状態なんですが、それについての補償の問題、休漁船に対する補償の問題は、まだ水産庁の行政ベースとしては余り具体化はしてないんですか。ただ方針が決まっただけで、いわゆるどういう種類の船に対して、どういう魚種について、それからどういう状態の場合にはどの程度補償するかという、そういう試算的なものは全然まだタッチしてないのか。この二点について。
  48. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 前段の、今後の水産施策の基本的な方針でございますが、それはいわゆる二百海里時代を迎えまして、従来企業のベースで沿岸から沖合い、沖合いから遠洋というふうに新しい資源を求めて発展していって、それを国としては資源管理という面から、許可隻数その他の点で制限をしながら乱獲にならないように押さえてきたわけでございますが、そういった観点での漁業の発展の時代というのは、確かにもうすでに過去のものになりつつあるというふうに考えております。で、今後はしかし、そういった発展した遠洋での漁業実績を、各国とのいろんな漁業協力その他を通じてどういうふうに共存共栄という見地で確保していくか、こういった点でひとつ努力をいたしますのと同時に、二百海里の中の日本の周辺の沿岸、沖合いの海洋をどういうふうに高度に利用するか、そのためには従来にも増して沿岸漁場整備開発あるいは栽培漁業振興、こういったことで大いに沿岸の資源もふやし、沿岸漁業の発展を図るということと同時に、三番目には、日本の周辺でとりましたいろんなイワシ、サバその他の多獲魚を中心にいたしました高度利用ということを十分考える必要がある。資源有限時代ということで、従来のように採算だけで資源のむだ使いをするというような水産物の利用の仕方を抜本的に見直しをいたしまして、そういった日本の周辺でとれる水産物をどういうふうに高度に国民の嗜好に合った食品に加工していくか、利用していくかと、こういう観点での水産物の利用政策ということが非常に重要な課題になるだろうと、そういう点にも大いに力を入れていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから二番目の、当面休漁しております北洋漁船についてのいろんな救済対策の考え方でございますが、これは結論から申しますと、やはり日ソの交渉に当面全力を挙げて、その結果を待ってそれぞれの業種、地域に応じて、仮に減船というような事態がどうしても必要になったと、避けられないという場合には、その経営の実態なり減船の程度なり、そういったものを見ながら適切な対策を講じていきたいというのがその趣旨でございますけれども、そこに至るまである程度休漁を続けなければいけない。その間のたとえば乗組員に対する給与の支払い、あるいは漁具等を買い入れた場合のその代金の支払い、そういった運転資金の面で回転に行き詰まるというようなケースも当然予想されますので、そういった個々の漁業経営の実態を十分道庁なり業界と連絡をとりまして常時把握をしながら、その間のつなぎについてはできるだけの配慮をしていきたいというのが、いまの基本的な方針でございます。  具体的に、各都道府県あるいは業界に対しても、そういった点で具体的にこういう点の資金繰りその他で問題があるということがあれば、すぐそれぞれの機関を通じて水産庁にも相談をしろということをいま指導をいたしておるわけでございます。
  49. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまのつなぎの資金というのは、水産庁の本年度の予算の枠内で賄うのか、それとも新たな資金繰りをするんですか。
  50. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) ちょっと説明が足りなかったかもしれませんが、先ほどのように将来の姿がどうなるかということがいまの時点で明確でございませんので、一般の金融の中でできるだけそういった緊急の事態が出ましたときには、それに配慮を払いながら、当面の要するに経営としてのやりくりができるようにこういう金融機関の協力も得て対処していくと、こういう趣旨でございます。特別にそのための現在たとえば予算上の裏づけ等があるというわけではございません。
  51. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、水産庁が構想を練っておられるという共同漁獲会社案というのについてお伺いしたいんですが、日ソ漁業交渉の経緯から見ても漁獲量の大幅削減という事態は免れがたい状況になってきているわけです。当然それに対応して、今後減船問題が具体化してくると思うんですが、水産庁が考えていらっしゃる共同会社構想ですか、この内容とその対象となる漁業者の組織化等に対する考え方、これを伺っておきたいと思います。
  52. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 一部の新聞で、そういう漁獲共同会社というようなことが何か検討されているという報道があったことは聞いておりますけれども、実は率直に申し上げまして、水産庁としてそういう構想をいま具体的に検討しているという段階ではございません。ただ想像いたしますと、いろいろ中小企業、あるいは特に小規模な漁家漁業等について、将来仮に大幅な減船等があった場合に、だれかがこう企業を廃止するということだけで対処はできませんので、共同経営化というようなことはやはり考えなきゃいけない局面も当然あろうと。で、必ずしも共同会社という名前がふさわしいかどうかわかりませんけれども、ニシンのいままでの減船のときにも、地区別にそれまでニシン漁業をやっておりました方をグループにいたしまして、その中で輪番で経営をやるとか、あるいは共同化というようなことを進めた経験もございますので、そういったことは十分検討しなきゃならないと思いますが、画一的な会社方式になじむとは必ずしも考えておりませんで、私どもとしてはその程度検討しかいたしておりません。
  53. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 結局、こういう厳しい状況になると、いろんな形での統廃合をしなきゃならないだろうと、それに伴う混乱というものもこれは免れがたいだろうと思うんですけれども、そういったことにどうか水産庁水産行政は混乱に振り回されないように、今後の日本水産行政はこうしていくんだという明確な方針、それから適切な指導、こういうものをしっかりやってほしいと思うんですね。ただでさえこういうピンチに陥って、水産庁の腰がふらついて方針が明確でないと、非常に漁業者の人たちは混乱をするし、一層混乱に輪を増してしまうんじゃないかという点を非常に懸念しますので、その点をお願いしておきたいと思います。  それから沿岸漁業の再編成の問題で、今後の政策課題としてお聞きをしておきたいんですが、現在北海道の根室地方で秋ザケの資源配分をめぐって零細漁民と定置網漁民との間の対立が起こって紛糾をしているわけですが、この秋ザケの漁業権はそんなに簡単に片づく問題じゃない、いろいろ経緯がありますから。しかし、二百海里時代を迎えて新しい配分問題というものを当然考えなきゃならない時代に入ったんじゃないかと、こう思うわけですが、定置網漁業権のない人にも何らかこの配分ということを考えていくという方法はないものなのか。地域住民間の紛争をできるだけ避けていく、そしてともに日本沿岸漁業というものの振興を担っていく立場で、協調、歩み寄り、またその両者が希望を持って漁業に従事できると、こういう調停役というものを水産庁として担うという決算があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  54. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 北海道及び本州のサケ・マスというのは、すべていま人工的にふ化放流をしたものが四年ぐらいたってから帰ってきているわけでございます。人工ふ化放流事業なくしてサケ・マス漁業というものは成り立たないわけで、私どもの基本的な考え方は、まず人工的にもっとこういうふ化放流量をふやして資源をふやすということを当面のまず第一目標にしたい。そのためにはやはり関係者の、先ほどお話しのありました定置漁業者も含めて、経費の負担ということも含めて協力を得る必要がある。これは経費だけではございませんで、ふ化放流に必要ないろんな親魚をどういうふうに適切に確保するかと、その点で定置の操業についてもいろんな協力を得る必要があります。  私どもとしては、すぐ漁獲の配分に入ります前に、まず、いま申し上げましたようなふ化放流事業を、現在の十億粒台から五年間後ぐらいには十五億粒ぐらいまで拡大をしたいというふうに考えておりますが、そのために関係漁業者及び河川でそういう親魚をふ化放流のために採捕している人たちとの間でどういう協力体制をつくり上げるか、これをまず当面の目標として、道庁その他とも話し合いながら体制づくりに入っているわけでございます。そういう話し合いの中で成果が上がってまいりますれば、また漁獲の配分を一体どういうふうに公平に考えるかという余地も出てこようかと思うのですが、現状ではそれぞれ定置は定置なりに非常に長い歴史、伝統を持っておりますし、それぞれ沖合いで沖どりをしています漁業も相当の実績を持っておりますので、現状の中だけで解決しようとしてもなかなか調整がつきませんので、そういった全体の資源量をふやすということをまず土俵にいたしまして、その中で各般の調整も考えてまいりたいというふうに思っております。
  55. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 最後に、日本近海で操業しているソ連漁船とそれから韓国漁船の問題でお伺いしておきたいと思いますけれども日本漁船の方はソ連の二百海里水域から完全にもういま撤退しているわけですけれども、それに反して銚子沖や常陸沖、それから太平洋沿岸海域で相変わらずソ連漁船が操業を続けています。特に、そのうち十数隻が十二海里内の操業をしているということで、非常に漁民感情を荒立てているわけですが、ソ連側の強硬姿勢で漁業交渉が行き詰まっているんですが、北海道の東沖ではさらにソ連の二百海里海域から締め出された韓国の漁船団も押し寄せている、またそのうちの数隻が沿岸十二海里の中で操業をしているということを報道されているんですけれども、特に韓国漁船沿岸の漁具、漁網の被害を出しておりまして、海上保安部でも警戒は強めておりますけれども、多くの被害が後を絶たない。水産庁は、この十二海里内の操業についてどのように考え対処されているか。また、現在までに韓国漁船による漁業被害については完全に把握をしているのかどうか。その実態と対策について明らかにしていただきたい。
  56. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 御指摘のとおり、五十二年の三月に入りまして韓国の北海道周辺での操業の頻度は非常に高くなりまして、五十二年の三月末で大体道庁から報告を受けております被害件数で四百十一件、金額で一億六百八十万円という報告を受けております。特にこれは三月になってからの被害が多うございますので、私どもとしても大変憂慮いたしまして、先般韓国の水産庁の方に申し入れをいたしまして、こういった点について強硬にトラブルを避けるように自粛を指導しろということを申し入れたわけでございます。それに対して韓国の水産庁の方も、一応その事情はよくわかったので、被害をできるだけ防ぐために日本の周辺の十二海里または底びきの禁止区域の中での操業はさせないように指導しますと。それから実はこの被害の処理につきまして、昨年の六月に民間で漁業協議会をつくりまして、それを処理するということで、すでに第一回目の会合を北海道で持ったわけでございます。その話し合いが、その後やや被害が少し低下したこともあって進んでいなかったという事情がございますので、その話し合いを早急に再開させるということと、それからもう一点は、特にトロール船の中の大型船についてはこれを日本海以外に振り向ける、海域はどこであるか明確にいたしておりませんけれども、南方海域の方に振り向けるということを水産庁から回答をしてきたわけでございます。それに基づきまして、私どもの方も直ちに大日本水産会なり北海道の漁連あるいは指導連等に連絡をいたしまして、団体から韓国側に申し入れをさせて、実は話し合いが三月の末からソウルで持たれまして、予定ではきょうあたり多分帰ってきているのではないだろうかというように承知をしております。  私どもとしては、その団体間の話し合いの結果も聞きまして、いまの韓国船の操業状況等から見て、さらに韓国側の水産庁の方に対して抗議するなり申し入れるべきことがあれば、これは厳重に申し入れをして被害の防止に万全を期したいと思いますが、何分にもやはり現在の状態では三海里から外がいわゆる公海の状態になっておりますので、その点については、今回国会に御提案を申し上げました領海法が一日も早く成立しますと、大体被害の六割ないし七割は十二海里内の現在までも被害でございましたので、相当程度その防止には有効ではないだろうかというふうに考えております。しかし、それまでの間としても、十分韓国側も約束をしておることでございますから、こういう点を徹底させて漁業被害が防げるように最善の努力をしたい。  また、いままで起きました被害についての賠償問題も、原因者がはっきりしているものについては、これは東シナ海、黄海の方では、実は日本側の漁船が韓国側の沿岸漁船の漁具を大分損傷したりなんかいたしまして、やはり同じように民間ベースで定期的に協議会を持って話し合って、はっきりしているものについてはわが方でそういう損害の賠償をいたしております。同じようなルールで、向こう側にも誠意を持ってそういう賠償をさせるということに一層力を入れたいと思っております。
  57. 塚田大願

    塚田大願君 今回の国庫負担率引き上げは、これはこれとして結構なことだと思うのでありますが、その関係で起きている調整措置という問題、つまり修築事業にかかわる機能施設の国庫補助率の問題、これが一つあるんですが、これをやっておりますと少し時間もとりますから、このことはきょうはしばらくおきまして、この漁港機能施設の具体的な問題で若干お聞きしたいと思うのです。  もっと具体的に申しますと、漁港の公害防止対策として、四十八年度から始まりました廃油処理施設整備事業、この問題でありますが、これは四十八年から始まりまして今日までの事業実施状況あるいはこれからの五十二年度の計画、これはどうなっておりますか。これからまず最初お聞きしたいと思います。
  58. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いまの廃油処理施設につきましては、昭和四十八年度から整備に着手をしておりまして、まずその利用範囲が相当全国的でいろいろな漁船利用するという観点と、比較的やはり大型船でそういうビルジなんかが多いわけですから、そういう大型船の利用が多い特定三種漁港及び第三種漁港を中心にして整備をするという考え方でやってきております。現在までに完成したものが焼津、銚子など合わせまして全国で十四カ所でございます。今後もそういう必要性に応じて、整備を逐次進めていきたいというふうに考えております。
  59. 塚田大願

    塚田大願君 五十二年度の計画はどうなっておりますか。
  60. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 実は、この事業につきましていろいろ実施をしてみますと、思いのほか漁船利用率が悪いというようなこともございまして、われわれとしては大いに整備をしていきたいという意欲はあるのですが、事業実施主体の都道府県等の方では、やや少し様子を見ながらということでテンポが少し落ちております。五十二年度には、具体的に県の方から整備したいという希望がございませんので、私どもの方としても一応五十二年度は様子を見ようということで見送っております。
  61. 塚田大願

    塚田大願君 ここに五十年度の会計検査院の決算検査報告書がございますが、この中に水産庁の「漁港公害防止対策として実施する廃油処理施設整備事業実施について処置を要求したもの」という項目が一つ載っております。これについてお伺いするわけでありますけれども、たとえば石巻漁港ですね、この例を見ますと、五十年の五月から稼働しているわけでありますけれども、そしてその処理能力は廃油十八トン、油性混合液千三百八十三トン、こういう能力を持った施設ができているわけでありますね。ところが、さあ施設はできたけれども、実際にどれだけ今日まで処理をしたのかという数字になりますと、驚くべし廃油は五十年度十一カ月でゼロトン、五十一年度五カ月でゼロトン、みんなゼロなんです。十八トンの年間の処理能力のあるこの施設が全く稼動していないと、こういう状態ですね。  これでは、せっかくの国費を使ったにもかかわらず機能してないということになりますと、これは大変国費のむだ遣いということにもなりかねないわけでありますが、これは私は、廃油処理施設だけじゃなくて、その他の施設でも似たようなことがあるんではないかというふうに考えていますけれども、これはなぜこうなったのかですね。この実態は十分会計検査院から指摘されているわけでありますから、三項目でありますか、何項目かにわたって指摘されている、こういう施設は遊休しているという状態でどうなんだという指摘がございますが、これについては水産庁はどういうふうに認識していらっしゃるのか、またどのように対処しようとしていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
  62. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いま御指摘のとおり、できました廃油処理施設の中の一部の地域では利用度の高いところがありますけれども、概して利用率が余り高くないというのは事実でございます。  で、私どもとしても、いろいろな面から港湾管理者意見その他を聞いておるわけでございますけれども、何分にも施設ができてまだそういったものを漁船利用するという、何といいますか一般にそういう知識が普及をしてないということが一つやはり基本的な問題だろうと思いますので、私どもとしては利用漁業者にそういったことを、こういう海洋汚染防止という観点から、たとえ若干の手間暇等金がかかったとしても、大いに利用してお互いに漁場の保全ということにもっと力を入れろということをあわせて啓蒙しておるわけでございますが、それだけでなくて、やはりもっと漁業者利用しやすいように、基本的な廃油処理施設だけでなく、たとえばそういう油を集めるための装備であるとか、ドラムかんをもっと十分置いて、来たらいつでもそれを受け取って置いておけるようにするとか、そういった点についてもやはり配慮をしなきゃいけないのではないかというふうに考えて、関係者にもそういう指導をしておるわけでございます。  五十年度に使用を開始しました七つの港について見ますと、五十一年度になりますとその前の年に比べて利用率が三四%程度増加しておるということで、徐々にではございますがそういうことが一般にも理解され、それから利用も少しずつは高まっている。私どもとしては、もっとこれを一層効率的に利用するように努力をしなきゃいけないと思っております。  なお、ちょっと余談でございますけれども、一部の地域では四十八年度末の石油ショック以来燃料費が非常に高くなりまして、従来こういうものを処理するのに非常に経費がかかっておったのを、逆に一部ふろ屋さんなんかで無料で集めて回って、それを自分の自家用の燃料にしているというようなところが東北地区その他ではあるようでございます。そういったところに渡せばもっと簡便に処理ができるというふうなことで、こういった施設の利用がちょっと足踏みしたことも一部にはあるようでございますけれども、そういった事態がいつまでも長続きをするということでもございませんので、私らとしては、もっと本格的な海洋汚染防止のための施設として、こういった漁業者自身もビルジの処理等には十分こういう施設を利用して意を用いるように、一層努力をしなきゃいけないというふうに思っております。
  63. 塚田大願

    塚田大願君 いろいろPRが足りないとか、趣旨が徹底していないとかということはございますが、とにかくほとんどの漁船がこういうたれ流しをやっておると。三百トン以下という漁船を対象にしたこの施設でありますけれども、小さいからといって、みんなたれ流していればそれだけ汚染されるわけでありまして、漁場の荒廃につながるわけでありますから、これはやはりこういう施設が本当に使われるように努力しなければいかぬだろうと思うんです。実際は施設はあっても金がかかるからとか、あるいは不便だというふうな点もあるわけでしょう。やはり私考えますのに、検査院が指摘しておりますけれども、そしてまたいま次長もおっしゃったけれども、実際、施設はあってもそれぞれの漁港にドラムかんもないと、あるいは器具が配置してないと、収集する態勢がないと、こういうことでは、実際にせっかく仏つくっても魂入れずという結果になるわけで、どうしてもこういう廃油を処理する組織的な体制、処理体制といいますか、これをやはり十分整備をしていただく必要があると思うんですね。これは県などに対する行政指導も含めましてそういうことをおやりになれば、とにかく漁民の皆さん、自分の漁場を汚していいと思っている人は一人もいないだろうと思うんで、そういう意味でひとつ行政指導を十分やっていただきたいと思うんです。ひとつその点、もう一回水産庁お願いいたします。
  64. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いま御指摘の点は、私どももそういう点十分利用しやすいようにいろんな条件を整えなければいけないというふうに考えておりますので、いまおっしゃった点も含めまして、今後十分実施面で検討してまいりたいと思います。
  65. 塚田大願

    塚田大願君 次に、先ほどもちょっと出ましたが、第一種、第二種の漁港の問題で、私のところに陳情が一つ来ておるんです。さっきもちょっと出ましたが、例の志布志湾の波見港の問題ですね。これはもう十何年前からぜひ波見港は漁港としてしてもらいたい。いわゆる従来は商港なんだけれども、やはり漁港としてあの志布志湾の漁業をもっと振興したいということで、私のところの星野議員を通じまして私のところに陳情が来たわけでありますけれども、この志布志湾の漁業につきましては水産庁よく御存じだろうと思うんですが、大変豊富な漁場であります。非常に魚種も多種にわたりまして、大阪や東京などでも大分有名なところでありますけれども、こういう陳情を見ますと、これはことしの三月の日付の陳情であります。聞いてみますと、十年前からやっておるがなかなか指定がしてもらえない。これはやっぱり何かあそこの志布志湾のコンビナート建設と関連があってこの指定が許可されないのではないか、何とか早くしてもらいたい、こういう趣旨でありますけれども、これについては水産庁十分御存じのことだと思うんですが、これをどういうふうにおやりになろうとしているのか、お聞きしたいと思うんです。
  66. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 志布志湾の主な漁業は、御承知だと思いますけれども、イワシとかアジ、サバを対象とする小型のまき網、それからバッチ網、一本釣り、刺し網漁業が主要なものとなっております。  いまお話しございました波見港は志布志湾の中心にございます地方港湾、これは運輸省所管でございますが、五トン未満の漁船漁業を営んでおりまして、五十年には漁船が約百三十隻在籍しておりまして、七百五十トン余りの水揚げをしていると聞いております。この港湾はちょうど河口港でありまして、上流からの流下土砂によりまして河口が埋塞する、非常に航行が不自由である、そういうことで現在整備を進めるには不適当だということから、将来計画としましてはその位置を外洋に移しまして港湾施設を整備する、あわせて漁業関係施設を整備する、そういう方向港湾管理者の方で検討中というふうに承っております。水産庁にこのような御要望をいただいておるということはまだ承っておりませんが、この運輸省所管港湾漁港指定がえをいたしまして、またそういう必要がある場合は、当然地元関係者の御要望や港湾管理者の御意向がございますし、同時に将来に関する整備構想等をやはり見て、これらを考え合わせながら所管する運輸省十分協議し、協議がととのったものについて指定を行うこととしております。  この波見港の場合は、港湾として将来整備を行う方向検討されているように聞いておりますので、水産庁としてはその検討の推移を見守りながら今後対処してまいりたい、そういうふうに考えております。
  67. 塚田大願

    塚田大願君 いま漁船が百五十隻とおっしゃったようでしたけれども、私のところへ来ている陳情は、大小合わせて約二百五十隻です。
  68. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 在籍です。
  69. 塚田大願

    塚田大願君 在籍が百五十隻ですか。年間水揚げも二億五千万円、漁港としてはかなりの成績でありますけれども、それだけに漁船が多い。ところが、平常でさえ河口の出入りに支障を来しているような状態で、これからもっと沿岸漁業振興ということになりますと、二百海里の問題と関連しまして、とてもじゃないけれどもいまの港湾、つまり商港ではやっていけないと、何とかひとつ漁港指定をしてもらいたい、こういう要望であります。  確かに、港湾施設ですから運輸省でもいろいろ検討していらっしゃると思うんですけれども水産庁の立場でこれからのこういう厳しい漁業情勢に対応して沿岸漁業振興するという観点から見ますと、私はやはり積極的にこういう要望、これは漁協以下全部地域の団体が来ているんですけれども、こういうものに積極的にやはり対応していくような姿勢が私必要なんじゃないだろうかと、こう思うわけです。と言うのは、いま答弁の中にはありませんけれども、あそこの志布志湾は有名な巨大プロジェクトが計画されておるところであります。コンビナートの問題がもう以前から論議をされてきておるところでありまして、言うならば、コンビナート開発を優先するのか、それともこの優秀な沿岸漁業を守っていくのかという問題になろうかと私は考えるのですけれども、そういう状態であるだけに、私はやはり水産庁がぜひひとつこの問題について運輸省とも連絡しながら、あるいは建設省ともいろいろ関連があるでしょうが、そういう点でひとつ積極的な姿勢で対応していただきたいと思うんですが、その点はどうでしょう。
  70. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 関係者の御意見やそれから将来計画等を聞きながら、十分検討してまいりたいというふうに思います。
  71. 塚田大願

    塚田大願君 ぜひひとつお願いしたいと思うのです。  それから次に、これも先ほどちょっと出ましたし、私、この間の漁港整備計画の中でもお聞きしたのですが、第一種、第二種の漁港整備の問題ですね。一つは、第一種、第二種の漁港の基本施設についての補助率、これが附則で暫定的に百分の五十ということになっているわけでありますけれども、この附則というのはまことにおかしいので、やはり私は本則にすべきだということが第一点であります。  第二点としましては、やはりこういう漁港の外郭施設あるいは水域施設の修築、この費用に対する国庫補助率をもっと引き上げる必要があるんじゃないか。第一種、第二種の漁港整備というのは、やはり今日的な私は問題ではないかと思うのですが、そういう意味で、この二点について水産庁のお考えをお聞かせ願いたいと思うのです。
  72. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 二つの点、関連するわけでございますが、まず第一点の附則から本則に改めろという御指摘につきましては、私どもとしてはやはり現状でまず全部の漁港について、第一種、第二種漁港について百分の五十の国の補助率が適用されているので、考え方はしばらくおきまして、実態としては一応それで支障なく処理ができるということが一点と、仮にこれを本則の問題として改めようといたしますと、やはり他の公共事業、特に港湾の中での地方港湾等の整備とのバランス等が非常にむずかしい問題になりまして、なかなか簡単にめどがつかないという状況に過去の経験からもなるかと思います。私どもとしては、現在のその附則での補助体系の中でも一応当面支障はないわけでございますから、できるだけむしろ第一種、第二種漁港に関する事業量の拡大なり確保なりに力を入れていきたい。補助体系そのものの問題につきましては、やはり全体のバランスということもございますので、それを相互関連させながら見直すべき時期が来た場合に、これをぜひ手直しをするように努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  第二点の、その中の外郭施設あるいは水域施設についての国の補助率引き上げの問題も大体同じような考え方をとっているわけでありまして、従来本則で百分の四十と規定されていたものを四十年から特例的に、しかし現実には全般的に百分の五十に引き上げられて、当時の第三種漁港整備と同率まで上がっておりますので、しばらくはこの補助率の中でできるだけ必要な漁港については量の面で、事業の量を確保するという面で充実を考えながら、同時に先ほど申し上げましたように、将来そういった補助体系を見直す時期に検討してみたい、そういったような考え方でいま対応しておるわけでございます。
  73. 塚田大願

    塚田大願君 いまの後段の問題でありますが、補助率のこの外郭施設と水域施設、これを仮に百分の六十にする。いまは百分の五十ですか、外郭と水域は。これを百分の六十にする。係留施設はいま百分の四十でありますか、これを百分の五十にするということで、私は大体どのぐらい予算がかかるものかと思って試算してもらったのですが、大体三十億ぐらい、三十三億でありますか、三十三億ぐらいの予算があればできる、こういう試算が出ているわけでありますけれども、三十億ぐらいのお金でしたらどうというほどのことではないじゃないか。確かに水産庁予算は少ないし、もっともっとこれは引き上げるべきだと私はこの間も主張いたしました。たとえば水産庁のことしの予算が農林省の全体の予算の六・七%ぐらいだ、これを一〇%ぐらいにすべきじゃないかという主張をいたしましたけれども、まあ三十億の予算だったら私そう大変な予算だとは考えないんですけれども、その程度にひとつがんばってやれないもんか。沿岸漁民にいたしますと、こういうことでずいぶんやはり張りが出てくるわけでありますから、そういう点を積極的にひとつ取り組んでみたらどうかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  74. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 第一種あるいは第二種といった地方的なあるいは規模のやや小さい漁港でも、沿岸漁港として非常に重要なものを今後大いに整備しなきゃいけないと、こういう観点は全く私どもも同感でございますし、そういうことに力を入れているつもりでございます。  ただ、いまお話しのございました国の補助率手直しにつきましては、部分的に第一種、第二種の漁港だけに限定してものをちょっと扱うわけにはまいらぬようで、やはり公共事業全体としての事業規模なり、それからそれの効果の及ぶ範囲なり、こういったものを前提にした一つ補助率、国の負担率についての体系が確としたものではないと思いますけれども、まあ一応そのバランスがとれたものとしてこうでき上がっていると、その中で地方を手直しをいたしますと、金額的にこれが三十億程度のものだと仮にいたしましても、それの波及効果というようなこともやはり問題になってまいります。で、先ほど申し上げたようなことで、実は現状で第一種、第二種漁港に見合います港湾地方港湾につきましての国のこういった外郭施設、水域施設、こういったものの補助率も十分の四という現状でございまして、現在附則構造改善事業に資する事業をやっている地域を含む都道府県というのは、まあそういうことでやや限定的にやっているということで現実には全部の漁港に及んでいるわけですが、その実態を本則に直すこともなかなかいま申し上げたバランスその他から言いますと非常に難点が多いので、私どもとしてはそういった問題が決して重要でないとは思っておりませんけれども現状ではやはりいまの補助体系の中でできるだけ多くの必要な第一種、第二種漁港整備を推進するということに全力を挙げまして、補助率手直しというようなことにつきましては、全体のやはりほかの公共事業を含んだ補助体系の見直しの機会を待つ必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  75. 塚田大願

    塚田大願君 水産庁、盛んに個々の公共事業とのバランスということを気にしていらっしゃるようでありますが、しかし、いま不況対策ということで今度の五十二年度の予算も大変大幅な公共投資が行われている。で、あの一兆円減税の論議のときに福田総理は、減税よりも公共投資が大事なんだという論議をやられましたけれども、私どもはもちろん減税も必要だけれども公共投資も必要だという立場で、やはり公共投資を否定したことがないんです。で、公共投資は結構なんだけれども、私どもいま不況対策として公共投資をおやりになるならば、あの大企業本位の、たとえば新幹線であるとか高速道路なんていうところに莫大な公共投資をするよりも、いわばこういうこの漁港のようなとごろの生活基盤に私は公共投資をやった方が不況対策としても一番効果はあるんではないかと、つまり公共投資の流れを変えろというのが私どもの主張であります。決して公共投資を否定しているわけではない。公共投資結構、ただ、その比率をやっぱり本当に生産基盤中心にやるべきだ。農業の場合でもそうでありますけれども漁業の場合でも、こういう第一種や第二種の漁港にうんとひとつ公共投資をやる、そうすれば不況対策としても非常に実効が上がるんではないか、こういう考え方でございますが、どうも水産庁は、その辺大蔵省に大変遠慮なすっているのかもしれませんけれども、どうもその姿勢がわれわれはたから見ていまして弱いという感じがするのですね。むしろこれは、そういうところにどんどん公共投資をしていただくことが本当に国民生活防衛、不況対策という点から見まして非常に私は効果があると思う。また同時に、この二百海里を控えて沿岸漁業振興ということがいわば国民的な課題になっておるこの時点におきましては、私は勇気を持って農林省や水産庁、大いにそれを主張していただきたい、こう思うのです。  それだけに、少し話が飛びますけれども、私どもは、この水産行政を担当するのには今日の水産庁では弱い、水産省にすべきだと、省に格上げすべきだという主張もしているぐらいなんです。私は、そのぐらいでないと、本当にここで論議されているような問題が一つ一つなかなか解決されないんじゃないかと思う。まあ、鈴木さんもソ連へいらっしゃる、イシコフさんが出てくる、イシコフさんは漁業相を三十年やっておる、まるでこう何か相手が専門家でなかなかうまくいかないというような印象を持つんですけれども、やはりそういう意味から言いましても、私は、水産省の設置というようなことはやっぱり今日の一つの政治的な課題ではないだろうか、こういうふうに考えておりますが、時間も参りましたからこのくらいで質問を終わりますが、ぜひそういう問題については、公共事業の問題、補助率の全体の見直しという点は、ひとつ積極的にやっていただくことをお願いしたいと思うので、最後にその辺に対する所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  76. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 第一種、第二種漁港といったような地方的なまた沿岸漁業と密着した漁港整備には、公共事業の推進ということも含めまして、大いに私どもとしては力を入れていきたいというふうに考えております。  ただ、補助率の調整の問題につきましては、これは望ましいことではありますが、やはりその年々の限られた公共投資の中で、どちらかと言えば、私どもとしては数多くの必要な第一種、第二種漁港整備するということに現在ではやはり重点を置くべきだと、補助率の問題について余りそちらの方へ重点を置きますと、どうしても港数なり何なりは減らさざるを得ないということも一定の枠の中ではあり得るわけで、私どもとしてはどちらも望ましい必要なことであるとは考えておりますが、しかし現状では、現在の補助率を前提にしてでも事業の充実の方に力を入れたいというふうに、各地の要望等を踏まえまして判断をしているわけでございます。
  77. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、最初に水揚げ高と漁港の種別の関係でひとつお尋ねいたします。  漁港の種類が上級になるのと水揚げ高との関係はどういうことになるのでしょうか。
  78. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 漁港の種別は、御承知のとおり一種から四種までございます。四種は離島その他辺地にございますいわば避難港、漁場の開発港でございますから水揚げという基準は別段ございませんが、一種から三種までの間につきましては一定の水揚げ高の基準がございまして、たとえば第三種漁港は年間の漁獲高が五千トン以上とか、第二種漁港は千百二十五トン以上とか、そういう漁獲高の基準はございます。
  79. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 第四種は必ずしも水揚げ高には比例しないと、こういうことなんですね。  次に、今回の漁港法の一部改正は、第三種漁港の外郭施設及び水域施設の百分の五十を百分の六十にするということがその内容ですね。先ほども質問がありましたが、見直す時期が来れば検討するというお話がございましたが、そのことに関連して私も思うんですが、第一種と第二種ですね、これの補助率が低いのではないか。こういう立場から見直す時期が、たとえば二百海里時代にいま突入しておる、そういうことを考えますと、まさに見直す絶好のチャンスじゃないかと、私はこう思うわけですが、沿岸漁業基地としての第一種、第二種ですね、これの補助率引き上げる考えはあるのかないのか、そのことをもう一遍お聞きしたい。
  80. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 全国的に見ますと、第一種、第二種漁港の数というのは二千数百港に及んでおりますし、その中で沿岸漁業振興との関係で、なるべく急速にその整備をしなきゃいけない港の数というのも大変多うございます。私どもの考えとしては、国の補助の程度というのは他の類似の公共事業に比べても、こういった第一種、第二種漁港についてはその重要性、特に沿岸構造改善事業との関連等を含めまして重要性が認識をされて、地方港湾等に比べて高い補助率が現にいま適用されているわけでございますので、これを上げるということはもちろん望ましいことではございますけれども、一方で事業量を確保するといいますか、できるだけ必要な漁港について同時並行的に整備を進めるという必要もございますので、現在の補助率を前提にして、当面は事業の確保に全力を挙げたいというふうに考えております。  ただ、これは蛇足かもしれませんが、沖繩につきましては、これは特殊な沖繩の復帰前からの事情がございますので、漁港整備も、一種、二種、三種、四種を通じて——三種はございませんが、漁港整備が全般に大変おくれているという特別な事情がございますので、これについては当分の間現段階では一種、二種についても十分の十の補助を行っておるわけでございますけれども、内地を中心にいたしました、本州を中心にしました数の多い全体的な漁港整備としては、先ほど申し上げたような考え方で進めていくのが現実的であるというふうに思っております。     —————————————
  81. 橘直治

    委員長橘直治君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま梶木又三君が委員辞任され、その補欠として堀内俊夫君が選任されました。     —————————————
  82. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま沖繩に触れられましたので沖繩の問題に触れたいと思いますが、質の強化という面からの計画は当然であると思いますが、沖繩県の場合、特に県全体が離島県であると。しかも、その離島県の中でまた多島県であると、こういう立場と、また台風が常襲する、こういう特殊な県であるというこういう立場から、そういった特殊事情からも、私は全国的に見て漁港の数が少ないのではないか、こう思うんですが、新規指定していくという、こういう前向きの考え方がおありでしょうかどうか。
  83. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 沖繩県は、おっしゃるとおり大変島の数も多うございますし、港の数も多数必要なわけでございますが、いままでの経過を申し上げますと、復帰の前には大体漁港として指定されたものが四十四港でございました。それを復帰時に復帰後のことも考えまして、当時の琉球政府と日本政府とでいろいろ協議をし、大体十六港新たに漁港として指定をし、六十港として復帰したわけでございますけれども、さらにその後いろいろ漁港として整備をすべき港が出てまいりまして、そういう新たな情勢の進展に応じて三港追加して、現在は六十三港が漁港としての指定を受けております。私どもとしては、大体これらのかなり短い年次の中で相当漁港としての指定数もふやしてきておりますので、漁港として整備すべき港については、現段階ではおおむね指定を全部終わっているのではないだろうかというふうに思っておりますが、今後さらにこれらを基盤にいたしまして沖繩漁業が発展をし、漁船の数もふえ、また港としてさらに今後は整備すべき個所がふえてくるというような事態になりましたときには、事情に応じてさらにその漁港の追加指定ということも検討してまいりたいというふうに思っております。
  84. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの点につきましては、現在の施設をおろそかにして数をふやせと、こういう意味ではありませんので、現在の施設を十分強化しながらそうして数もふやしていただきたい、御検討を絶えずお願いしたいと、こう思うわけなんです。  そこで、質の面からお尋ねしたいんですが、沖繩県には潮の干満によって、満ち干によって漁船の出入りが非常に不可能な、こういった漁港が相当数あります。その数の調査もなされておると思いますが、その点十分把握しておられますかね、ちょっと……。
  85. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 沖繩漁港は、およそサンゴ礁に発達したところが多うございまして、陸岸から所要の水深に至る海まで非常にそのリーフが長く続いて、干潮時には漁船が底をついてしまうというふうな、自然条件がきわめて悪いところが多うございます。干満の差がおおよそ一メーター八十から二メーターぐらいございますので、干潮のときには船が出入りできなくて、満潮を利用して船が出入りするというのが一種漁港に多く見受けられます。  昭和四十七年に本土に復帰いたしてから、四十八年度以降には第五次漁港整備計画で十港を修築事業に採用し、それから十二港を改修事業によって採択いたしまして取り上げまして、これらの漁港整備、つまり所要の水深を図るべき計画を目下実施しているところでございます。
  86. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私の調査によりますと、潮の満ち干によって漁船が岸壁に着けない、干潮の場合自由に入れない、そういう潮待ちという、潮どき待ちという、こういう不便な漁港が二十八港あったはずであります。二十八港。このうち、いまおっしゃるように、十港はこの整備事業実施されておる。二港が基地周辺整備事業ですね、これで実施されておると。ところが残る十六港、これがまだ具体的に対策が講ぜられていないのではないかと思いますが、この点十分把握しておられますか。
  87. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 沖繩県下の漁港整備につきまして、六十三港指定した漁港に関し、すべてこれは調査済みでございまして、そのうち県が調査の結果、当面整備を必要とする漁港として御要望されましたものにつきまして、第六次漁港整備計画でこれを実施するように修築事業改修事業もしくは局部改良事業によりその整備を図るように措置しております。
  88. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先ほど申し上げましたように、数をふやしてもらいたいという要望も強いんですけれども、まず現在ある漁港を完全にいつでも使用できる、こういう状況整備していくという、これを何といっても最重視していかなければいけない。そういう点から、特に地理的、地質的の条件からサンゴ礁の地層であるという、こういう特殊な海底であります。それに波もわりかた季節によっては荒いんですので、海底に砂が積もるといいますかね、こう吹きだまりが非常に速うございまして、その海底のしゅんせつ、このことが特に他県よりも重視されていかなければいけないのではないかと、こういうことを非常に痛切に感ずるわけなんですが、そういった点に対して十分ひとつ配慮してもらわなければいけない、こう思うんですが、この点もう一遍確認したいと思います。
  89. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 当然、漁船利用が有効にあるためには所要の水深が確保されなければならないわけでございますので、漁港整備計画には所要の深度を確保するためのしゅんせつ、つまり航路及び泊地のしゅんせつ工事が計画の中に計上されてございます。  具体的に申しますと、たとえば水深四メーター以上の施設を必要とする漁港として波照間とか仲里とか、ほかこれらを含めて十二港の整備を図るようにしてございますし、また水深二・五メーター以上を必要としている漁港として宜名真とか嘉手納とか、これらの漁港合わせて十二港ぐらいの整備を今後進めるように考慮しております。
  90. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、いまの整備の御配慮はどういう計画に基づいてこれに充てられるんですか。この整備事業は何で行うんですか。
  91. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 今後整備を進めます事業の内容としましては、漁港修築事業漁港改修事業漁港局部改良事業、それぞれの事業で適宜整備を促進することにいたしております。
  92. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま整備と申しましたが、具体的にはしゅんせつということになるんでしょうね。
  93. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) それを含めてですね。
  94. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そのしゅんせつが局部改良事業事業の中身になるわけですか、そうなんですね。そうですね。
  95. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 整備の内容は、いわば防波堤をつくったり、物揚げ場をつくったり、もしくは航路を掘ったり、泊地をしゅんせつしたりということでございます。また、事業の内容は、修築事業改修事業もしくは局部改良事業実施するようにいたしております。
  96. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま具体的な問題についてさらに掘り下げてもらうよう強く要望したわけですが、どうか沖繩の場合、非常にいろんな面で激動性と言いますか、変動性が多い。しかも、地理的に距離が遠うございます。なかなか皆さんの目が届きかねる。だから、問題が表面化して実際に対策が打たれる、手がつくまでには相当の時間を要しておるというのがいままでの例であります。だから、打てば響く、こういうひとつ行政を、これは日本全体の立場からも言えるわけですが、特に沖繩にはそういう御配慮がありませんというと、いつまでもますます取り残され積み重なっていくだけでありますので、その点ひとつ十分御配慮を願いたいと思います。  次に、運輸省見えておりますか。私、申し入れたつもりですが一いまの点、運輸省関係、連絡不十分な点があるようでありますので、その問題はじゃ次に回したいと思います。  それから最後に、特に沖繩県の沿岸漁場整備の開発、これは沖繩の特殊事情、いろんな複合した事情があるわけですが、そういった点からも、沖繩沿岸漁場整備はどうしても栽培漁業という観点から非常にウエートを大きく持たなければいけない、こう思うわけなんですが、そういう立場から沖繩沿岸漁場整備の開発についてどのように考えておられるか。それをはっきり確かめたい。
  97. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 沖繩県につきましては、御指摘のように、本州の沿岸に比べて沿岸漁場整備も大変おくれております。そういう認識に立って、特に今後沖繩沿岸漁場の開発というのを適地に、一番適切な技術的な方策で早期に整備を進めてまいる必要がある、かように考えまして、五十一年度には大体事業費で九千百五十万円のベース、国費で申しまして五千三百万円程度事業実施したわけでございますが、五十二年度の政府原案の中では、沖繩につきましては開発庁の関係予算として約三億四千六百万円ということで、国費がそのうち二億一千五百万円でございます。前年に対比しまして四倍強の伸びということで、特段の力を入れてまいりたいというふうに考えております。  事業の種目といたしましては、人口礁漁場の造成のための調査を始めます。そういった事業のほかに、並み型魚礁、大型魚礁、それからいろんな魚の幼稚仔の保育場の造成、こういったことを地理的な条件等を考えながら組み合わせて、沿岸漁場整備を進めていきたいというふうに考えております。
  98. 橘直治

    委員長橘直治君) 速記をちょっと中止願います。   〔速記中止〕
  99. 橘直治

    委員長橘直治君) 速記を起こしてください。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 橘直治

    委員長橘直治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  漁港法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  101. 橘直治

    委員長橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 橘直治

    委員長橘直治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会