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政府委員(
佐々木輝夫君) いま
お尋ねの二つの点は、うらはらといいますか、相互に密接な関連する問題と思いますので、あわせてお答えをさしていただきたいと思うのですが、
一つは食糧としての
水産物の需給の見通しでございますが、これは確かに六十年の農産物の長期見通しのときに参考として一応の試算をお出ししたわけでございますけれ
ども、その後国際情勢も相当変わり、また需要の動向についても分析を要する点がございますし、また計算の基礎になったいろんな加工歩どまり等についても将来に向かってはいろいろまだ改善の余地も相当ございますし、そういった点、総合的に考える必要があるわけでございますけれ
ども、何分情勢が流動的なので、本格的な作業に手をつける前の
段階として、いろんな基礎資料等の原単位等の
整備にいま手をつけている
段階でございます。
しかし、大まかな私
どもが考えていますことを申し上げますと、ここ五年間ぐらいのいろんな食糧消費の動向等から見まして、やはり将来とも動物たん白食料の大体半分ぐらいを
水産物で、半分ぐらいを畜産物で供給をするというパターンは、
日本人の伝統的な食生活あるいは嗜好といったような点から分析しまして、そう大きく変わらないのではないかというふうに私
どもとしては考えております。現在、全体で一日一人平均たん白質を八十グラムぐらい摂取しているわけですが、そのうち三十五グラムぐらいが動物たん白食料で、その半々がいまのように
水産物と畜産物になっているわけでございますけれ
ども、全体が過去のテンポのように動物たん白食料のウエートが高くなるとは考えませんけれ
ども、おおむね今後十年ないしややそれを上回るぐらいの期間に、たん白質の全体の半分ぐらいは動物たん白食料で賄うというふうに、食生活の動きというのは変わってくるんじゃないだろうか。つまり、四十グラム
程度は動物たん白食料で、その半分半分を
水産物と畜産物でというようなパターンが、ごく最近でのいろんな消費動向等から将来の姿として予想される。
水産物についても、ネットの食糧としての需要というのはやはり今後、いままでのテンポほどではないとしても増加をするというふうに考えております。
これに対応して、それでは二百海里時代に入ってどういうふうに
漁業として対応していくのかという二番目のお話でございますけれ
ども、この点について私
どもとしても、過去のような沖合いから遠洋へといった形で、外洋に行っていままで未
利用であった資源をとってくるというタイプだけでは、こういった需要に十分こたえることはできないだろう。
かなりその
観点を変えて考える必要がある。その第一は、しかし何といいましても、外国の距岸二百海里以内で三百七十万トン以上の
水産物を現に生産しているわけでございますから、その実績の確保には第一の力をまず注ぐべきだというふうに考えておりますが、それのみでなく、今後の対策として、わが国の周辺の二百海里内の
漁場の開発ということを大いに力を入れてやる必要がある。具体的には
沿岸漁場の
整備なり、あるいは
栽培漁業の
振興といったことで、将来国民の求める、嗜好にマッチした高級魚介類あるいはその他の甲殻類、エビ類、貝類といったようなものを多角的に、地域の特性を生かしながら、畑を耕すのと同じような感覚で
沿岸漁場の
整備も進めながら資源量をふやしてとる必要という
方向が、
一つ今後の
方向として大きな問題になるだろう。
同時に三番目の問題といたしましては、とった
水産物の有効
利用ということでございまして、マイワシなりあるいはサバなり、現在は家畜あるいは養魚用のえさ等に回っているものが
かなりのウエートを占めているわけでございますけれ
ども、こういったものを、将来の国民の嗜好にマッチした食品に加工するための技術開発であるとか、あるいはまたマイワシ、サバ等をそのまま食卓に乗せて好んで食べてもらえるような調理法なり、そういった普及啓蒙といったようなことにも大いに力を入れる必要がある。
こういった対策を総合して考えますと、将来の国際環境の中で
日本の周辺及び海外
漁場の維持ということを含めて、国民の今後の動物たん白食料に対する需要、その中での
水産物のこれまで果たしてきた
役割りというのは私
どもとしては維持ができる、さらにある
程度発展させることも可能なのではないかというふうに考えて、五十二年度の
予算編成の際には、いま申し上げたような幾つかの柱を中心にして必要な布石を打ったというふうに考えておるわけでございます。