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1977-03-25 第80回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十五日(金曜日)    午後二時三十三分開会     —————————————    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      坂元 親男君     藤川 一秋君      初村滝一郎君     嶋崎  均君  三月二十五日     辞任         補欠選任      藤川 一秋君     坂元 親男君      嶋崎  均君     初村滝一郎君      細川 護熙君     宮田  輝君      塚田十一郎君     後藤 正夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         橘  直治君     理 事                 青井 政美君                 鈴木 省吾君                 粕谷 照美君                 鶴園 哲夫君     委 員                 大島 友治君                 後藤 正夫君                 菅野 儀作君                 初村滝一郎君                 宮田  輝君                 工藤 良平君                 前川  旦君                 相沢 武彦君                 塚田 大願君                 向井 長年君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        農林政務次官   片山 正英君        農林大臣官房長  澤邊  守君        水産庁次長    佐々木輝夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        水産庁漁港部長  坂井 溢郎君        海上保安庁警備        救難部長     久世 勝巳君     —————————————   本日の会議に付した案件漁港法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画変更について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 橘直治

    委員長橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁港法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から本案趣旨説明を聴取いたします。鈴木農林大臣
  3. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 漁港法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁港は、漁業生産基盤であり、かつ、水産物流通拠点であることから、水産業振興を図るためには、漁港整備を推進することが不可欠の要件であり、政府といたしましては、これまでも国会承認を受けました漁港整備計画に基づきその整備を推進してきたところであります。  しかしながら、最近における新しい海洋秩序動向のもとにおける国際的規制強化等わが国水産業を取り巻く諸情勢の著しい変化に伴い、現行漁港整備計画実情に即して変更することとし、今次国会において別途その承認を求めているところであります。この変更後の整備計画におきましては、緊急に整備を要する重要な漁港につきまして重点的に整備を図ることといたしておりますが、その利用範囲全国的であり、また、利用漁船数においても水揚げ量においても規模が大きく、特定第三種漁港に次いで重要な役割りを果たしている第三種漁港につきましては、今後、事業規模も大きくなり、事業主体である地方公共団体負担も増大してまいりますので、その整備を円滑に推進するための措置を講ずることとし、この法律案提案いたした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容は、第三種漁港の国の費用負担割合についての改正であります。すなわち、特定第三種漁港以外の第三種漁港漁港修築事業に要する費用についての国の負担割合のうち、外郭施設及び水域施設に係るものを現行の百分の五十から百分の六十に引き上げ、地元負担の軽減を図ることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎量に御審議の上、速かに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 橘直治

    委員長橘直治君) なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 橘直治

    委員長橘直治君) 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から本件趣旨説明を聴取いたします。鈴木農林大臣
  6. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 漁港整備計画変更について承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び主要な内容について御説明申し上げます。  わが国水産業は、国民の食生活に必要な動物性たん白食料の過半を水産物に依存しているわが国において重要な役割りを果たしており、水産物安定的供給確保するためには、その積極的な振興を図ることが必要であります。このため、漁業動向に即応して、漁業生産基盤であり、かつ、水産物流通拠点である漁港について、全国にわたり計画的に整備拡充することが水産政策上重要な課題となっております。この趣旨から、政府としましては、漁港法に基づき、漁港整備計画を定め、国会承認を受けて漁港施設整備を図ってまいったのであります。  現行漁港整備計画は、昭和四十八年第七十一回国会において承認を受けたものでありまして、当時の水産情勢基礎とし、これに将来の水産業動向を勘案して定められたものでありますが、最近における新しい海洋秩序をめぐる動向のもとにおける国際的規制強化等わが国水産業を取り巻く諸情勢の著しい変化に伴い、このたびこの計画実情に即するよう全面的に変更することとし、国会承認を求めることとした次第であります。  次に、本件の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  今回の漁港整備計画は、水産業漁港施設現状とを基礎とし、将来における漁業生産確保流通機構の改善、漁港安全性確保地域社会基盤強化等観点に立ち、沿岸漁業及び増養殖漁業振興上重要な漁港沖合い漁業根拠地として重要な漁港遠洋漁業根拠地として重要な漁港並びに漁場開発または漁船の避難上特に必要な漁港について、それぞれその整備を図ることとしております。  整備漁港の選定に当たりましては、指定漁港のうち漁業振興上及び地域振興上重要であり、かつ、漁港施設不足度の高いもの、経済効果の大きいもので緊急に整備する必要があるものを採択することとし、昭和五十二年度以降六年間に、四百五十港の漁港について漁港修築事業実施し、それぞれの漁港に適応した外郭施設係留施設水域施設輸送施設及び漁港施設用地等整備することとしております。  なお、以上申し上げました漁港整備計画につきましては、漁港法に基づき、漁港審議会の意見を徴し、妥当であるとの趣旨答申を得ております。  以上が、本件提案する理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  7. 橘直治

    委員長橘直治君) 次に、補足説明を聴取いたします。佐々木水産庁次長
  8. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 漁港整備計画変更について承認を求めるの件につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  まず、現行漁港整備計画実施状況から申し上げますと、その総事業費四千八百億円のうち実施済み事業費は約二千三百七十一億円で、その進捗率は約四九%となっております。  次に、今回承認をお願いいたしております変更後の漁港整備計画に基づいて整備をしようとしております四百五十港の種類別内訳を申し上げますと、第一種漁港が百七港、第二種漁港が百八十三港、第三種漁港が八十二港、特定第三種漁港が十一港、第四種漁港が六十七港となっております。これらの漁港昭和五十二年度以降六年間に総事業費八千八百億円をもって整備することといたしている次第であります。  また、現行漁港整備計画に定められております整備漁港と今回の変更後の漁港整備計画に定められております整備漁港との関連を申し上げますと、現行漁港整備計画から引き続き変更後の漁港整備計画に取り入れようとするものは、三百六十七港でありまして、新規に採択しようとするものは、八十三港となっております。  なお、現行漁港整備計画整備漁港のうち変更後の漁港整備計画整備漁港とされていないものが五十三港ありますが、このうち現在すでに整備が完了している四港を除いた四十九港につきましては、別途漁港改修事業により整備することといたしております。  さらに、変更後の漁港整備計画に採択されなかったその他の漁港についても、必要に応じ、漁港改修事業または漁港局部改良事業により整備することといたしております。  漁港修築事業にこれらの漁港改修事業漁港局部改良事業等実施に要する事業費を含めた事業費は、総額で一兆四千五百億円となっております。  以上をもちまして、漁港整備計画変更について承認を求めるの件の提案理由補足説明を終わります。
  9. 橘直治

    委員長橘直治君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま提案のありました漁港整備計画変更について承認を求めるの件について、まず基本方針計画方針といいますか、計画考え方といいますか、この問題について若干伺いたいわけです。  この第六次の計画というのは、ことしの二月八日の漁港審議会答申があったわけですね。そして、二月の十八日に閣議決定、翌日の二月の十九日に承認案件として国会提出されているわけですが、昨年の十月の二十日に長崎全国漁協大会、二十八回の漁協大会が開かれておりますが、その第一の決議事項としまして、漁港の第六次案の促進が載っているわけですね。これを見まして私伺いたいんですが、この第六次の漁港整備計画をつくろうと、つまり第五次を根本的に改定しようというふうに決定をされたのはいつごろなのか。この五十二年度の予算編成農林省でやる場合にそういう決意をなさったのかということをお尋ねしたいわけなんです。といいますのは、私は、いまこの第六次の改定をする必要はないのではないかという感じが強くしておるわけなんです。  そこで、その前の質問といたしまして、いつこういうような踏み切り方をなさったのか、それをまずお尋ねしたいわけです、事務的な問題ですけれども。
  11. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 現行漁港整備計画は四十八年に御承認いただいたわけでございますけれども、その後御案内のとおり、大変急激にこの水産を取り巻く情勢が変わってまいりましたので、本格的には大体昨年初めごろから検討を開始したわけでございます。しかし、一応末端の方の現地のいろんな要望といたしましては、二年ぐらい前から現在の整備計画にのってない港についても、将来を見越して沿岸漁業の基地あるいは沿岸漁場整備等関連をいたしまして、やはり本格的なその整備をやってほしいと、こういうふうな要望は二、三年前から出てまいっておりまして、水産庁として本格的な検討を開始したのは昨年の初めからでございます。     —————————————
  12. 橘直治

    委員長橘直治君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま細川護熙君及び塚田十一郎君が委員辞任され、その補欠として宮田輝君及び後藤正夫君が選任されました。     —————————————
  13. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、昨年の初めから検討なさったということでありますが、昨年の十月二十日、長崎で行われました二十八回の全国漁協大会の第一の決議事項を見ますというと、目下農林省は総事業費一兆四千億円と、それで期間は五カ年計画ということで第六次計画案を策定中であると、そこでひとつこれを積極的に推進をしようという意味の決議が行われているわけです。  それで問題は、このとおりだったろうと思うんですね、一兆四千億円、そして五カ年計画。それが一兆四千五百億円という、五百億円プラスになっておりますけれども、これが六年間になった理由ですね、なぜ六年間になったのか。従来も五年、五年で来ておるわけですけれども、六年になったわけですね。そこのところを、これも事務的な話ですけれども伺いたい。
  14. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 確かに御指摘のとおり、当初は五カ年間で大体一兆四千億程度の規模のものを原案としては考えたわけでございます。しかし、その後いろいろ財政当局その他とも折衝いたしまして、それから同時にこれも公共投資の一環でございますので、国全体のいろんな公共事業に対する将来の投資見通し、いわゆる五十年の前期の社会経済計画、こういったものとの調整等もいろいろ各省との間で話し合いを進めまして、全体の事業規模としてはわれわれが想定したものを一応前提といたしまして、期間につきましては、こういった全体の計画の中でのバランスというようなこともございまして、いまのような六カ年計画でほぼ当初考えたとおりのものを実施する、こういうことになったわけでございます。  なお、ただ、その論議の過程の中で、一方で沿岸漁場整備事業が五十一年度から七カ年計画事業が始まっておりますので、それとの大体計画期間を合わせる。漁港整備計画が六次で一年おくれて出発するわけでございますが、そういったことも一つの要素にはなっておりますが、主として前段で申し上げた全体の社会投資計画との調整というような観点から六年になったというのが経過でございます。
  15. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういうことを前提にいたしまして今度の変更についての計画方針をお尋ねしたいんですが、昨年のちょうどいまごろよりもっと早かったと思いますが、二百海里の問題についてこの委員会で私大分質問したわけです。それに対して水産庁答弁としては、わが国は二百海里を認めていない、したがってそれを認めたような前提に立っての農林水産行政というものを考えるわけにいかないというような答弁があったわけなんです。私はそれはそうだと、そのとおりだろうと、二百海里というのを日本政府はとっているわけじゃなかったですから、ですからそうだろうと、しかし周囲の情勢というのはそうじゃないじゃないかと、だからそれに即応した水産行政というのをやはり考えて準備をしていかないといけないんじゃないかということで大分論議したわけですね。そして具体的な提案もいたしました、私の側から。  さて、そこで、そういうような情勢の中でこの六次計画というものが検討され始めたわけですよね。去年の初めごろからとおっしゃるから、去年の初めごろから検討され始めたということになりますと、私が心配しておりますのは、いまや新聞等が昨年の年末あたりからことしにかけまして大変なキャンペーンですわな。で、国民の大変なまた関心を集めております、二百海里問題というのは。それに対する対応というのは、私は水産庁は一年おくれたと思っているのですよ。完全に一年おくれた。おくれたと思っておりますが、しかしいずれにしても大変なキャンペーンが行われている。そういう中で、私はこの二、三年の間に、ことしもそうですが、あるいは来年、再来年の間に沖合い漁業沿岸漁業というものを何としても根本的に見直さなければならない、そういう時期に入ってくると思うんです。さらにこの遠洋漁業の問題につきましても、これは基本的に考えなきゃならない時期に来ると思う。そういう水産行政にとっては大変な激動時代に入っていると思うんですよ。  ですから、私は、いまあります第五次が五十二年度で終わるわけですから、五十二年度で終わって、そして来年、つまり激動の様相がある程度見通しがつく段階でこの第六次という漁港整備計画をお立てになった方がいいのではなかったのかと。なぜいま五次を六次に改定しなきゃならぬのか、五十二年度まであるわけですからね。過去、五年計画は四年に縮小してきたのが二回ありますわな。第四次も一年縮小した、第五次の方も一年縮小したということになっておりますけれども、いまの私は情勢で言うならば、去年のいまごろを基底にして漁港整備計画改定するというのは、これはどうも見通しがどうなんだろうかという感じがしてならないわけですね。ですから、私は少なくとも第六次のこの改定案というのは不安定な改定案だ、一体来年になって、再来年になってこれで持てるんだろうか、また改定しなければどうにもならなくなるのじゃないか。来年になったら、再来年になったらそういうときにはまた再び改定されますという私は懸念を持つわけなんです。  ですから、私の基本的な考え方は、この第五次というものを来年で終わらして、そのために全力を挙げてもらって、そして来年になれば少なくともこれは今後の五年なり六年なりというはっきりとした見通しの立てられる情勢というものができ上がると、そこで思い切った第六次漁港整備計画というものを策定されるというのがよかったのじゃないだろうかという懸念をするわけなんです。どういう考え方を持っていらっしゃるのかですね。
  16. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 昨年のいまごろの時点で、いわゆる二百海里というのは国際的にも進行しておりましたけれども、日本立場として、やはりそれを海洋法会議で盛んにニューヨークの春会期あるいは続きます夏会期等論議をしております段階で、それ自体を真っ正面から認めるという立場になかったのは事実でございます。  ただ、すでにアメリカの方での法案は議会の方を通過しまして、大統領の署名を待つばかりになっておりました。これに追随してカナダ、メキシコ等が二百海里を設定するというような動きが急速に広がってまいりまして、日本自身が二百海里そのものをいつどういう形で認めるかはいろいろ流動的でございましたけれども、いわゆる二百海里時代というのは遠からずやっぱり国際的な慣習法になりつつあるという認識は、別途にまた持っておったわけでございます。すでにその時点から、昭和五十一年度からやはり沿岸漁場整備計画にも相当力を入れて着手いたしましたことからもおわかりのように、将来の方向として日本周辺海域を高度に開発し利用するということが、遠洋漁業の実績の確保ということと並行して当然手をつけ始めなきゃいけないという認識で考えておったわけでございます。  漁港整備計画につきましても、これまでのある程度大きな港に重点を置いた整備計画の立て方ではやはり将来に対応できないのではないか。漁港整備そのものは着手いたしましてから完成までに相当年数を要します関係もございまして、数年前から各地から、この沿岸漁業開発なり漁場整備等関連して、いまの五次の整備計画にのっていない港についていろんな整備の要求が出ておりまして、それも一々検討いたしますと、やはりいまから整備に着手すべきと思われるものも中には多々ございますし、そういったものを取り上げるためにはどうしても現在の五次整備計画を、一応中途でございますけれども終了させて、新たな観点から対象といたします港等も拾い上げる必要があるという考え方で作業を開始し、一応の成案をまとめながら、先ほど申し上げましたような手順で社会投資全体の計画との調整等を考えて、一応今日御提案している六次整備計画を策定するに至ったわけでございます。  詰めて申し上げますと、先生指摘のように、五次計画の完了を待ってから見直すという考え方もあるかと思いますけれども、大体現在の時点で、将来方向として日本周辺海域、特に沿岸沖合い漁業重点を置いて将来の見通しを立てなければいけないという情勢はかなりはっきりといたしておりますし、それに沿って年数を要します漁港整備に一年でも早くやっぱり着手することが将来にプラスになるのではないかというふうに考えて、六次計画への転換に踏み切ったわけでございます。
  17. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、来年なりになってもう少し具体的に、一体今後遠洋漁業というものはどうなるんだというやはり再検討もしなければならぬと思うんですね。船を大型化して能率化して、それで沖へ出ていけばそれだけでいいという時代は過ぎつつあると思うんですよ。さらに、沿岸漁業なりそれから沖合い漁業というものをどう根本的に考え直していくのかという問題もありますよ。さらに、イワシとかサバとかいうような大衆魚の問題をどうするか、加工施設をどうするかというような問題だって、これは漁港に付随して大変な問題だと思うんですね。そういうものの見通しをはっきり立てて、そして思い切った第六次漁港整備計画というものを新しく発足させたらどうなんだろうと。  しかも、私は疑問に思いますのは、いままで五年、五年で来たわけでしょう。その前はちょっと長いのありますけれども、第四次五年、第五次五年とこう来て、今度は何とそういう大変な激動を前にして六年となっておるわけです。これもわからぬわけですよ。三年とか四年ならまだわかるが六年となっちゃっている。だから、私は非常に不安定な漁港整備計画だと、これはもう来年になったら、再来年になったら根本的に考え直さなきゃならなくなる、非常に不安定だと、こういう感じを持ってしようがないわけなんですよ。ですから私は、来年になって、再来年になって再改定しなきゃならぬだろう、そうしなきゃこれは間尺に合わないんですよ、これじゃ。という感じがするものだから、この基本的な考え方がどうもおかしいという感じがしてしようがないわけですね。なぜ六年にしなきゃならぬのか。まあ六年になさる理由を聞きました。聞きましたですけれども、こんな時代に、いままで五年で二度来たものをこの際に六年にするなんて、これもわからないですね。ですから、どうも私は、これはちょっとばかり早過ぎたという感じがしてしようがないわけですね。そこら辺のその考え方はどういうふうに考えていらっしゃいますか。来年になったら、再来年になったら改定せざるを得ぬだろうというふうに考えていらっしゃいますか。
  18. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 先生のおっしゃるように、先の方の想定でもちろん流動的な部分も相当多いわけでございますけれども、さっき御説明しましたとおり、いまからやはり一方で、将来を見通し漁港整備に本格的に着手しなきゃいけない現実といいますか、現地の実態が相当出てまいっておることも事実でございます。したがいまして、私どもとしては今後その運用の中で若干の情勢変化等は当然織り込みながら、そこら辺については適切にその整備を進めてまいりたい。ただ、現在の整備計画前提にいたしましては、くどいようでございますけれども、整備計画修築事業対象になってない漁港について、それを本格的に修築事業として取り上げて整備するということができませんので、その辺の事情を勘案して、現状で想定できる将来の情勢変化その他を十分念頭に置きながら、第六次の整備計画に切りかえて必要な整備をいまから着手をしたい、運用面でも十分そういう情勢変化等を見きわめつつ適切にその中で対応していくというふうに考えております。
  19. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、水産庁というのはどうも解せない点が多いんですけれどもね。後でもいろいろ話を聞きたい、時間があればもっと。  あと漁港法がありますからいろいろ伺いたいと思いますけれども、かつて水産庁次長を廃止するといって出してきたですよ。そういう設置法を出してきたんですよ。それで私が、次長をどうして廃止するのかと、どうするんだと言ったら、どうしても廃止すると言うんですね。それで大反対をやったんだけれども、法案として出てきまして成立しましたよ。そうしたら七カ月たたぬうちに、また次長を置くと出してきたんですよ。何を一体水産庁はやっているんだと、そう言って私そのとき大分毒づいた。そのとき、農林大臣逆立ちしたら認めると言ったんですよ、ぼくは。次長が要るだろう、なぜ廃止するのかと。いや廃止しなきゃならぬと言うんだろう。そして七カ月たったら、また次長を置くと言うんですよ。何を一体考えているんだと言って、大分そのとき毒づいたことがあるんです。私は、水産庁というのは、もう少し水産庁としての自主性を持つ必要があるんじゃないだろうかという気がするですね。漁港関係からのいろんな陳情もありましょうけれども、あるいは要望もあるかもしれない。しかし、もう少し自主性を持ってやってもらいたいという気がして、この漁港整備計画の基本的な考え方に疑問を持つわけですね。それはこれで終わります。  第二問としましてお尋ねをしたいのは、計画規模ですね。一兆四千五百億円ということなんですが、前の五カ年計画というのは七千五百億円、総事業費としましてね。これは五年計画ですよ。そうすると、今度のやつは六年計画ですからね、それで、物価の非常な値上がり等考えますと、第六次というのは第五次の拡充案にはなっていないんじゃないか。中身の漁港は違うわけでしょう。しかし総事業量として考えた場合には、拡充になっているのかと。金額としては確かに二倍になりました。ですけれども、六年になっているわけでしょう。おまけに物価の値上がり等考えますと、どうも拡充になっていない。二百海里問題を控えていろいろ考えなきゃならぬ段階であって、拡充になっているんだろうかというふうに思いますですね。  で、ついでだから私はこういうことを申し上げたいんですが、大臣の所信表明がありましたときに、農業を見直せとか、食糧危機だというのが四十七年、四十八年言われましたですね。そして、その食糧危機の予算としてあらわれたのが四十九年度の予算なんですよね。五十年、五十一年ともう変わっちゃっているんですよ。私は水産庁としては、五十三年度の予算を、ひとつはっきりその二百海里時代という新しい海洋秩序時代に向けて本格的な予算編成をやってもらいたい、ことしの七月から始めなければいかぬわけですけれども。いま熱のあるときにやらないと、農林省も熱があるときにやらなかったものだから、去年あたりになって農業見直しなんて言ったって、もう食糧なんというのはそんなに急にあわてなくてもいいというような雰囲気になっていますしね。輸出が予想以上に伸びちゃって、ドルがあるからどこからでも輸入できるというような感じになっちゃって、もう情勢は農業を見直すというような雰囲気じゃなくなっちゃっているんですよ、この五十年、五十一年というのは。ですから、農林省の予算というのは伸びない。水産庁も、いま大変な国民が関心を持っている、これからも大変私は関心を持つと思います、この一年間というのは。ですから、今度五十三年度予算を七月から始めるわけですから、五十三年度の予算編成に当たっては、根本的にやってもらいたいと思うんですね。予算の中身に入ってまで論議するいま時間がありませんけれども、全体的にそういうことを申し上げておきたいと思います。事業は大したことないじゃないかということに対する水産庁としてのお考え方どうですか、実質的には拡充にならぬのじゃないかという考え方ですね。
  20. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) まあいろいろな見方があるとは思いますが、私どもとしては、地元の方で計画をしましたものを一応技術的に審査をして、これはやはりやるべきだというふうに考えられるものを全部積み上げをいたしまして総枠を大体決めてきた次第でございまして、現状で私ども考えておりますのは、五次計画に比べればかなり改善をされているというふうに、六次計画内容については、自分で申し上げるのもおかしいですけれども、一応評価をしているつもりでございます。
  21. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、この第五次の進捗率についてですね。五カ年計画でやったわけですが、五十一年度までで名目上は五〇%ぐらいの伸びになっているわけですね。それで第四次が七六・六%、第三次が六五・九%というふうに四次、三次に比べまして第五次というのが四年間で見まして五〇・一という大変進捗率が低い。これは二年間にわたりまして公共事業費の抑制がありましたから、それが大きな影響を与えているんだろうと思うんですよ。ただ私は、土地改良の長期計画というのがあるんですよね。土地改良の長期計画というのは、目的を達成するわけですよ。第二次はもうすでに終わったわけですけれども、四十九年に終わる予定のやつが、一年早めまして、そして四十八年から新しいのが発足したんですね。あの場合も、名目上は一〇〇%を超す達成率なんですね。漁業の場合は、いま私が申し上げましたように、調子がいい第四次でも七六%、土地改良と非常に違う。それからいま進行中の土地改良の名目の達成率でも、これはもう明らかに達成できるだろう、名目上は。名目上、つまり事業費の面では達成できるだろうというふうに見通される進捗状況なんですね。前回は、私が申し上げましたように、一〇〇%を超す名目上は達成率である。  ところが、漁港整備の計画はそうでないんですね。ですから、ことしの進捗率が五〇%であったということは、私は何か大きな理由があるんじゃないかと思う。単に公共事業の抑制が二年あったということだけではなくて、もっと本質的なものがあるんではないか。土地改良の長期計画漁港整備の計画との間に、どこに一体基本的な差があるからこんなことになるのか。どうお考えになっておりますか。まあ水産庁ですから外局ですし、ですから水産庁以外のことについてはあるいはお考えになっていらっしゃらないかもしれない。しかし、本委員会水産もやりますし、農業もやりますし、林業もやりますから、見ておるわけですね。そうしますと、その差というものを非常に感ずるわけですね。どこに一体その原因があるんだろうかということですね。
  22. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 第三次整備計画あるいは四次整備計画では、それぞれ最終年度を待たずに漁業情勢変化に応じて計画内容改定いたしましたので、途中で進捗率をはかっておりますから、一〇〇%にはもちろんなっておりませんけれども、それまでの伸び率で伸ばしていきますと、おおむね目標を達成するに近い伸び率を確保できたと考えております。  ただ、第五次整備計画では、いま御指摘のように、四年目で大体五〇%というかなり低い達成状況でとどまったわけでございますけれども、この理由は、私どもとしては、やはり石油ショック以来の世界的な経済の変化を契機にしまして、総需要抑制政策というようなかなり思い切った政策の転換が行われざるを得なかったと、そういう影響をこういう公共事業面で相当強く受けたということが、一番基本的な理由であるというふうに思います。漁港整備計画そのものは、こういう抑制政策の中でも、他の公共事業に比べますと若干年々の伸び率はかなり他に比べれば削減が少なかったと申しますか、やや高い伸び率を確保し得たという状況はあったようでございますけれども、いずれにしても、当初の目的どおりにできなかった最大の理由はそこら辺にあるというふうに思っております。
  23. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、いまさっきお話ししましたように、土地改良の長期計画との関連で非常に疑問を感ずるわけなんですね。それで、特にこの漁港整備計画というのは国会承認を得るという形になっている。そういう意味からいいまして、達成率が大変低いということは、これは国会としましてもはなはだ遺憾に思わなきゃならないし、計画自体としましても、一体その計画は何なんだという疑問を持たざるを得ないわけなんですね。さらに、私が先ほどから申し上げているように、土地改良の問題と比較した場合、どうもどこかに問題があるんではないだろうかというふうに思うんですね。そこのところは、水産庁は外局ですから水産庁とそれから本省との関係がありましょうけれども、何か非常にその点疑問に思うんですね。   〔委員長退席、理事鈴木省吾君着席〕 しかし、いまお話しのように、とにかく四年間の間の二年間が公共事業が基本的に抑制されると、伸び率がほとんど零に近いというようなこともあったので伸び率が低かったんだということになるだろうと思うんですけれども、私は水産庁にぜひ、土地改良計画との関係でどうしてこうなるのかという点の検討をしていただきたいということをひとつ申し上げておきたいと思います。  次にお伺いしたいのは調整費の問題なんですけれども、第六次計画によりますと、総事業費が一兆四千五百億円で、調整費が五百億円ついている。それから地方単独事業として二百億円。ところが、第五次の場合もやはり調整費がついているわけですね。第四次も調整費がついているわけですね。それで第四次も四カ年で終わったわけですよ。それから第五次も五カ年の計画で四カ年で終わったわけですね。その前は八カ年が六カ年で終わったわけですね。ですから、また今度の六次計画というのは、私に言わせますれば四年か三年で終わるだろうと、こう見ておるわけですよ、いままでは大体そうなっておるんですから。一年ずつ早めているわけですね。今度は六年だけれども五年になるかなあと、大変水産庁に好意的に見て五年で終わるかなあと思っている。私は三年で終わるだろうと、せいぜい三年でこの問題はだめになるだろうと思うんですけれども、だから三年、四年、五年で終わるのに調整費なんというものを考える必要があるのかと。予備費的な役割りがあるのでしょうけれども、事業費の中にぶち込んだらどうですかと、こういうことを言いたいわけなんですよね。事業費の中にぶち込んでしまったらどうだろうか。  それからもう一つ、地方単独事業というのが二百億円組んでありますね。こういうものは国が直接関係があるものではないんだから、こういうのを除いてしまったらどうですか。そうして額そのものを一兆四千五百億円——そうしなければふえないのかもしれないけれども、一兆四千五百億円にならぬのかもしれないけれども、何せ五カ年計画で策定しておったものが六年計画になって、そうして金はちょっぴり五百億円しかふえないと。その中には調整費も入っている、国が直接関与しない単独事業も入っているというような名目だけのふくらましじゃ、とても漁協関係者の不満なりを解消するというふうな方向にはなかなか遠いんじゃないかというように思うんですね。どんぴしゃり事業費と、国の関係だけをぴしゃりと、こういうようなふうに組んだらどうだろうという感じがしてしようがないんですけれどもね。その二つについてお尋ねしたい。   〔理事鈴木省吾君退席、委員長着席〕
  24. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 何分にも六カ年のいわゆる中期的の計画でございますし、計画実施中にいろんな現在想定しております状況と違った状況が出てまいることも、当然予想をしておかなきゃならないというふうに思います。で、現在の段階では、一応六カ年を前提にして、六次整備計画計画全体をうまく完成するということにわれわれとしては全力を挙げてまいりたいというふうに考えておりますが、その前提で、やはり実施途中で予想外のいろんな部分的な調整をやらなければいけないという事態が出てまいることは、こういったやや中長期的な計画、かつその全体の事業規模相当大きいものについては、当然前提として考えるのが常識だということで、過去の例にもならいまして、五百億円程度を調整費として留保をしておるわけでございます。しかし、それも予定どおりに事業が進みますれば、当然その中での情勢変化に応じて事業資金としてこういったものを使用できる資金枠といいますか調整資金なわけでございますので、必ずしも予定どおりいけば空手形にはならないのではないかと思っております。  それから、地方単独事業の方の関係でございますけれども、これはやはり漁港整備に伴って予想されるいろんな地方の単独事業の量をあらかじめ予定しておくことが、地方の財政計画の円滑な運営を図る上で必要でございますので、こういったものを若干見込んでおるわけでございます。
  25. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあこれは、私はいままでの過去の三次、四次、五次、いずれも計画年を消化しないまま終わっちゃっているんですね。で、中に組み入れてある調整費なんというのも死に金になってしまって、ただ載っかっているだけの話ですよ。そこで疑問を感ずるわけなんですよ。それをわれわれは承認しなきゃならぬということになるものだから、ちょっと疑問を感ずるわけですよね。だから、五年消化するその中でいままで使われていると、三次でも使った、四次でも使った、五次でも使ったというような話でありますれば、第六次について五百億を組んであることについてそう疑問を差しはさむ必要はないと思うけれども、いままでは年次の消化ができないで次から次へこう移っていく。金だけは載っていると、これじゃ余り意味ないじゃないかと思うんですよね。という気がして、どんぴしゃりぎりぎりのところでやったらどうだろうと。あるいはそれを量をふやしてもいいですよ。そういう気がしてしようがないんですけれども、まあそれはそれでいいですよ。  次にお尋ねをしたいのは、漁業集落の環境整備ですね。これは私の方の粕谷理事の方からお伺いする予定になっておったんですけれども、粕谷さんが予算委員会の関係で予算委員の方に回らざるを得ないものですから、私がかわりましてこの問題について若干お伺いしたいんですが、これも結構な話で、大臣の所信表明の中にもことし初めて出てきたんですけれども、大臣の所信表明としては去年は出なかった、ことし初めて出てきたわけなんですが、これもことしから調査に入られるわけですよね。それで、農林省の本省の方の農村の関係については四十八年から事業が始まっているわけなんです。どうもちょっと、こう何かおくれているというような感じがしてしようがないんで、前回、もうちょっと四年ぐらい前になりますが、漁業近代化資金の出ましたときにも論議したわけです。農業近代化資金ができてから十七、八年たって漁業近代化資金というのが出てきた。いろいろな事情があります、非常におくれたということについては大きな理由がある。それから農業改善資金、農改資金とわれわれは言っておりますが、ことしの予算で三百億を超すぐらいの無利子の貸し付けの金がありますね。農業改良資金というやつですね、無利子で貸す。これはもう二十何年前にできたわけですよね。林野庁がおくれまして昨年できたわけです。水産庁にあるのかなと思うんですが、どうもないんじゃないかという気もするんですね、あるのかなどうかなと。  これを見ますと、一体水産庁の行政の姿勢というのは、漁家を本当に相手にしているんだろうかという気がするわけですね。いままでの問題もありましょうけれども、これからの水産行政というものを考えた場合に、もう少し私は漁家というものを根本的に念頭に置いてやらなきゃならなくなるんじゃないだろうか。また、いままでもそういうやるべき性格のものであったんじゃないだろうか。にかかわらず、いま申し上げましたような漁家が具体的に住んでおる漁港周辺の、大きなやつは別ですが、三種でも二種でも一種でもいい、その周辺の漁村の環境整備というものが、これはもう大変におくれておるわけですよね。非常に無理しておるわけですね。これは農村よりもっとひどいですよ。そういうのにかかわらず、これがおくれて発足をする。いま基本調査が始まるわけですから、実際事業が始まるのはいつになるか、どうなるかわかりませんけれども、しかし私は、いま漁業近代化資金あるいは農業近代化資金、それから漁業集落の環境整備、さらに農業改良資金、林業改良資金等々の関係からいってみて三つの例を挙げましたけれども、もう少し具体的に私は論争したいわけです。それは別に残しますけれども、もう少し具体的にいろんな角度から水産行政のあり方を論争をしたいと思いますけれども、その三つだけ挙げてみて、水産行政というのがどこを一体向いているんだろうかという点ですね。なぜこういうことになっているのかという点をお尋ねをしたいですね。
  26. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 漁業の場合と農業の場合とかなり経営構造も違いますし、それから、たとえば生産の場と生活の場が農業の場合にはかなり一体のものになっている場合が多いわけですけれども、漁業の場合には生活の場と生産の場が全く異なっているというような、いろんな技術的な違いもございますし、必ずしもある局面だけで政策の均衡というのを考えるのは非常にむずかしいし、また問題もあろうかと思いますけれども、沿岸の漁家漁業等を考えました場合に、生産の場の整備なり、あるいは特に生活環境の整備等の面で農民に比べて立ちおくれている面があるというのは、私どもも痛感をいたしておるわけでございます。今後、生産対策という観点だけでなくて、やはり後継者の確保ということも考えますと、従来直接的には施策の対象にしておりませんでしたそういう漁村集落の環境整備ということも大変重要な問題であるということを認識いたしておりまして、確かに御指摘のとおり、漁村等に比べて遅まきではございますけれども、来年度からそういうモデル的な調査をやって、漁村に見合ったやはり漁業特有の集落整備のあり方というものを十分検討して、早く本格的な事業の方に入りたいというふうに考えております。  なお、五十二年度から漁業での構造改善事業との関連で緊急にそういう環境整備を必要といたしますものにつきましては、たとえば漁民センターの建設、こういったものを緊急対策事業として当面の対策として実施しながらいまのような基本的な対策を考えてまいりたい、かように考えております。その他の漁家の対策についても、今後私どもとしても漁業に見合った最も効率的な適切な対策というのを十分研究し、さらに充実をしていきたいというふうに考えております。
  27. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、水産行政というのが、船を大型化して沖へ沖へというような施策が中心施策になり過ぎておったというふうに思いますですね。しかしこれからはなかなかそうはいかなくなるだろう、いかないだろう。ですから、日本水産というものは、沖へ行ってとってくればいいというだけのそういう中心の水産行政ではだめだろう。もっと形を変えなければならない段階に来ている。われわれはそれを一生懸命言ってきたわけですよ。  たとえば、沿岸漁業の生産額というものはこの十数年の間、あるいは言うなら昭和の初めごろの時代から額そのものはふえてないじゃないか。一千万トン超すようになったというけれども、沿岸漁業は一体どうなっているのか。この二十年変わっておらぬじゃないか。養殖は若干ふえたからそれを加えれば幾らかふえた形になるけれども、ちょっぴりふえた形になるけれども、この二十年の間沿岸漁業生産物というのは全然変わってないじゃないか。ふえたのは、沖へ沖へという、大型化大型化ということでやったそれがふえただけじゃないかという論争に尽きますですよ。それが私は、水産行政に対する象徴的なあらわれだと思うんですね。だから漁家の問題についても、それから漁業整備の問題についても、いろいろな問題についておくれたんだというふうに思っているんです、私は。  それはまた別に、法案二つありますからその際論議をしたいと思いますけれども、この漁業集落の環境整備というのは非常にいいことでありますし、本当に大変ですよ。三種港あたりは、特定三種も大変ですね。確かに整備をしなければならない。山と海に囲まれた狭いところにありますから大変ですね。その整備というのをここでお始めになるということについては大変われわれとしても喜んでおるわけですけれども、ただ遺憾ながらどうも後手後手過ぎて困るという感じを持っているものですから、申し上げたわけです。  ほぼ私の持ち時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
  28. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大臣がいらっしゃいませんので、事務当局にきわめて事務的な問題でお尋ねをしていきたいと思います。  二百海里時代という日本漁業にとって厳しい環境に置かれている日本水産界として、今回の漁港整備計画は非常に関係者の人たち各方面からかつてないほど期待をかけられていると思うんです。だが、この新漁港整備計画がその期待にこたえ得るのかどうかという点ははなはだ頼りない、また疑問な点も多々あると思うんでありまして、今後の運用面相当これはもう強力に図っていかなきゃならないんじゃないかという感じがします。  まず最初にお尋ねしたいんですが、今回の第六次計画案で予定されている新規漁港の早期着工の見通しについてはどうなっているのか。それからまた、改修事業に盛られている各地の漁港についても、できる限り早期に改修して漁港としての機能を発揮できるようにしてほしいという要望は強いわけでありますが、この点その要望にこたえられる計画なのかどうか、そこから明らかにしてください。
  29. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いま六次整備計画で考えています四百五十港のうち四百四十六港については、五十二年度から実施をしたいというふうに考えております。残る四港についてもできるだけ早い時期に着工したいというふうに考えておりまして、計画に取り上げた漁港については、できるだけ早く着工し完成することに努力をしていきたいというふうに考えております。
  30. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 また、二百海里経済水域の設定で、今後遠洋漁業はかなり厳しい時期を迎えているわけなんですが、反面、この二百海里時代というのは沿岸漁業沖合い漁業、この面の比重が今後非常に高まるということは当然でありまして、その対応策の一環として中小漁港整備もしなきゃならないことは当然なんですが、この点政府としてこれら中小漁港整備に対する国庫補助率のアップ等当然検討されていると思うんですが、その内容について現在わかる範囲で明らかにしてください。
  31. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 将来の日本漁業のあり方を考えますと、やはり遠洋漁業についても実績を確保しなきゃいけないし、同時にいま御指摘のとおり、沿岸漁業沖合い漁業の比重が高まってくるわけでありますから、こういった関連を考えながら総合的に重点整備を考えなければならないという状況だと思います。  今回、特に全国的な事業規模になっております第三種漁港について、この中の基本施設の主要な部分について国の負担率を引き上げるということを考えておるわけでございますけれども、その理由は、やはりこれらの第三種漁港につきましては利用範囲が非常に広くて全国的な漁業振興にとって非常に重要であるということと、それから事業規模がやはり大きいのでその負担がなかなか地元にとっても大変な問題であるという二点に一応着目いたしまして、いまのような引き上げ措置をとることにいたしたわけでございます。特に、沿岸漁業にとって関係の深い第一種漁港につきましては、すでに昭和四十年度から法律の附則で、その漁港整備沿岸漁業振興に資するものについては、そういう事業実施している地域を含む都道府県については本則で決められています百分の四十から百分の五十に当分の間引き上げて適用するということに手当てされておりまして、事実上全国的に第一種及び第二種の漁港については百分の五十の補助率が適用されております。  こういったような実態面がございますのと、やはり先ほど申し上げましたその受益範囲、それから事業規模、こういったようなことを基準にして、公共事業全体の中での国の負担あるいは補助のバランスということを一方ではどうしても考える必要がございますので、私どもとしては当面第一種、第二種漁港については、現在附則で適用されています補助率を前提にして、国の補助率をそのまま引き上げるよりも、むしろ若干地元の負担現行程度負担していただきながら、これらの港については全国的に非常に数が多いわけでございますから、できるだけその地域の実情に合った数の多いこれらの漁港について整備を並行的に進めていきたい。財政事情その他で予算額等に一定の限界がございますと、どうしても港の数を減らすか、あるいはいまの負担の方をある程度地元で負担し得る限度で負担をしていただきながら数をふやして整備するか、どっちかという選択になるわけでございますけれども、総合的に考えまして第一種、第二種漁港につきましては、現段階では私どもは現行程度の地元負担を一応考えながら、できるだけその事業の量の確保の方に努めたいというふうに考えております。
  32. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今回の六次計画期間六年ということですが、いまも鶴園委員からいろいろと御指摘がありましたが、どうもこの六年という期間にした水産庁の真意がはかりかねるわけですけれども、一説によりますと、五十一年度から始まった沿岸漁場整備計画期間を合わせて有機的関連を持たせたんだというふうに伝えられているんですけれども、漁業情勢はこのように激動しているわけですから、今回この六年にしたということはどんな相乗効果を期待してわざわざ一年長い六年にしてまで期間を合わせたのか、この点ひとつ詳しく御説明いただきたいと思います。
  33. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いま先生の方からお話しございました沿岸漁場整備計画との計画期間調整というのは、六カ年の今度六次計画計画期間を採用しました唯一の、あるいは主な理由ではございません。そういうことも論議の中ではやはり出てまいりまして、合わした方が特に一種、二種漁港整備については整合性が保たれていいだろうという考え方なり議論があったのは事実でございますが、主たる理由は、先ほども御説明申し上げましたけれども、一方ですでに政府として決定を見ております昭和五十年の前期の社会経済計画での公共事業の全体の投資規模というものが一応大枠として決まっておりまして、その中での各公共事業間のバランスということも当然一応考えなければなりません。それとの調整を図るために、現在私どもが各都道府県から積み上げをいたしまして考えておりますこの漁港整備の規模前提にいたしますと、どうもその五カ年間ではバランスがとれない、どうしても外へはみ出してしまうというような事情もございまして、ある程度計画期間を一年延ばしてでも、しかし事業全体としては各地元ごとに、港ごとに検討して積み上げたこの計画をぜひとも全体計画としては確保したいという観点から六カ年に最終的には決定をしたということで、一つの要素としていま御指摘のような沿岸漁場整備との関連もございますが、これは漁港整備を今後も進めていきます上で、その地域に関連いたします沿岸漁場整備がどういう規模でどういうふうに進められていくか、それと漁港整備との調整ということは、事業運用の問題として当然考えていきたいというふうに思っております。
  34. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 これは二、三年で、また計画どおりにいかないというので策定変更ということが起こり得るんじゃないですか。前回、第五次の整備計画は目標達成率は非常に悪かったわけですね。予算措置としてはどうにか半分ぐらいは達成できたと、ところが実質工事の進捗率はきわめて低いんですけれども、水産庁としては何%まで達成できたとしているのか。また、その理由として、経済の激変は当然あったわけなんですけれども、そこのところを政府としてはどのような分析をしておられるか。
  35. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 第五次の漁港整備計画は、御承知のとおり昭和四十八年から五十二年度までの五カ年間、総事業費四千八百億をもって四百二十港を整備することとして発足いたしたものでございます。  発足したその年、思わざる石油ショックに端を発した経済の激変がございまして、その後世界的な経済の変動の影響を受けてわが国でも総需要抑制策等の政策をとらざるを得ない。その影響によりまして、漁港整備計画進捗率も非常に低率となって、五十一年末で全体としてはおおむね五〇%程度にとどまったわけでございます。先ほど来も次長から御説明がございましたとおり、三次計画、四次計画は、いずれ計画いっぱい事業実施すればおおむね一〇〇%近い達成率を得たものと考えられますが、これも諸般の事情の変動に対応して四年目に計画変更をしたりということで、達成率がいわば四年目の達成率という表現で不十分な形に見られておりますが、現実にはその途中から新しい計画に移行いたしまして、それぞれ事業実施に伴ってそれなりの効用は発揮しております。今回の第六次漁港整備計画でも、第五次の計画過程のものも新しい情勢に対応するように、必要なものはこれを補正して六次の計画の中に取り込んでおりまして、現状に対応するような計画になっております。
  36. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それはできただけ効果が出ることは当然と思うんですが、実際現場の関係者は、実質工事進捗率が少なくとも七、八〇%以上いかないとやはり満足してない、不便を感ずる。あるいは計画変更変更で来るということに対して不信、挫折感というのはどうしても持つわけでして、それだけに、今回の整備計画変更承認ですけれども、よほどこれは期待にこたえる中身でしっかりやってもらわなきゃならないと思うんですよ。  国の財政悪化は地方自治体も当然悪化するという相関関係にあるわけですけれども、しかし、地方において財政悪化はしているとは言っても、漁港整備はどうしても必要だ。先ほど次長おっしゃったように、地元の負担はそのままでということで、できればもう少し国庫負担を上げてほしいという願いがあっても据え置かれて、財政負担は非常に重くてもどうしてもやりたいんだという、こういう熱望が地元にあるわけでして、国として地方債の枠の確保については今後どのように考えているのか、その点をお伺いします。
  37. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いまの地元の負担が非常に大きな問題点の一つであることはもう御指摘のとおりでございまして、特に五十一年度は各地方公共団体ともいろんな税収入の減少等がございまして、事業実施するのに大変苦慮をした状況でございます。そこで、特別のそういった措置として、起債率、起債充当率の九五%を一応確保するということで対応しておりますけれども、これは五十二年度につきましても急にまだ地方の財政事情が好転しているわけでもございません。やはり同様の起債の枠の確保ということに努めたいということで自治省といま折衝いたしておりますが、おおむねそういったほぼ五十一年度並みの措置ができるものというふうに考えております。
  38. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 先ほど御説明があったと思うんですけれども、第六次計画では、第五次計画のうちの八〇%に当たる三百六十七港を引き継いでいますね。第六次計画は大変責任が重いと思うんですが、そこで、その六次計画を是が非でも完全実施をしなければならない政府の決意として、今後予算編成にどういう決意と態度で臨むのか、この点をお伺いします。
  39. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) おっしゃるとおり、こういう漁業の転換期に、相当いろんな地元の要望等も前提といたしまして、思い切った六次計画の転換をすることに踏み切ったわけでございますから、私どもとしては、この六次計画計画どおり完全に実施するという前提で、ぜひとも今後予算折衝の際にも関係者全力をふるって実現に邁進をしたいというふうに思っております。
  40. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 予算獲得の方は政務次官もこれは責任があるわけですから、ひとつ決意のほどをお願いします。
  41. 片山正英

    政府委員(片山正英君) 従来、予算獲得について、先ほどもちょっとお話のありましたように、どうも林業とか漁業とかは農業と比較して大分おかしいじゃないかという御指摘もあり、そうしてわれわれがしゃべっているわけじゃないですが、一般のそれを取り巻く国民と申しますか、関係者と申しますかが、政治力がないじゃないかと、こういうような表現をいたしております。しかし、ただいまも申しましたように、今回のいろいろな諸問題が石油ショックの大きな波の中で、そうして総需要抑制という非常に厳しい中にまともに食らったということもこれは偽らざる実態だと思います。このような情勢が今後さらに起きるということは、われわれは想定はいたしません。したがって、今度のつくられました一兆四千五百億、六カ年という計画にはなりましたけれども、これは御承知のとおりの前期の社会経済計画百兆円というそういう絡みもございましたからそういう計画をいたしましたが、この獲得については、実はことしも水産庁の伸びはたしか公共事業二六・七ぐらい、農林省では一番よかったと思いますが、そういう努力を重ねましてこの一兆四千五百億達成に努力をしたい、こう思っております。
  42. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、漁港施設の中で機能施設は大変重要な役割りを果たしております。特に、保蔵及び加工施設は必要でありまして、今後さらにその需要が高まると予想されるんですが、しかし現状では予算措置はとられておりませんですね。また助成もされていない。もっぱら沿岸漁業構造改善事業水産物産地流通加工センター形成事業等に任せているわけなんですが、それだけ各地の都道府県は負担が重くなって大変なわけです。この保蔵、保管及び加工施設を中心にした機能施設に対しても国庫補助範囲の拡大等を考える必要があると思うんですが、その点はどのようにお考えですか。
  43. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 漁港整備という観点と、それからいまの水産流通あるいは加工施設整備というのは非常に密接な関連があるのは事実でございますけれども、それぞれこう何か、施設の機能といいますか、目的なりあるいは効率性といったようなことに、別の観点から検討しなければならない問題点もございます。現在、漁港の機能施設に対する補助は、輸送施設、それから漁港施設用地の中での公共施設用地の造成なり、それから漁港の浄化施設といったものが一応助成対象になっておるわけでございますけれども、いまお話しの流通加工関係の施設につきましては、小規模なものにつきましては、沿岸漁業の構造改善事業の一環として冷蔵庫の建設等を従来から計画的にやっておりますし、それからまた大規模なものにつきましては、水産加工流通センターの整備ということで、これも一応計画的に地域を決めまして、そういった他の漁港整備事業との関連等も考えながら、両方連携してその効果を上げるようにいままでやっておりますので、今後ともこれらの関連事業についてその拡充に努めますとともに、両者の漁港整備との密接な関連ということに十分留意をして進めてまいりたいというふうに考えております。
  44. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまの問題の水産流通の面から具体例をもって質問したいんですが、現在マグロなどは大商社によって外国船を通して大量に輸入されているわけですが、商社は御存じのように資本力が潤沢だと、次々に超低温冷蔵庫を建設して適当な時期に市場へ出すと、そういうことができるわけです。やっておりますが、いわばマグロ市場なんかは商社主導型の価格操作をしていると、こういう点でしばしば指摘されるんですが、この実態を政府はどのように受けとめているか。
  45. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) マグロ関係等は、御案内のとおり漁場が非常に遠隔地に広がっておりますので、どうしてもいまのようにかなり超低温で鮮度を維持しながら日本に搬入をし、ある程度貯蔵をした上で流通に回すというようなことが技術的にもどうしても必要なわけでございます。そういう観点で産地あるいは消費地、中継地等にそれぞれ保蔵施設がいままで計画的に整備をされておるわけでございますけれども、ときどきやはり漁業の場合には年による生産の変動というのが相当ございますので、こういう段階で価格のある程度高騰時期を待って放出するというような実態も一部にはあるかと思いますが、私どもとしては、やはり将来この水産物のこういった消費なり何なりが安定して拡大していくために、一時的なそういう投機的な行動というのは、いっとき一部分ではよくても、全体の漁業の見地からいいますと、むしろ長期にはマイナスの要素が非常に多いということで、むしろ消費者の立場も考えながら価格の安定をどういうふうにして図るかということに最大重点を置いて、そういう施設の整備にも従来から努めておりますし、それからまた行き過ぎたこういう中間での投機的な行動等がありますときには、具体的な問題につきまして関係者に直接注意を喚起し、あるいはそういった行き過ぎのないように生産者団体等も含めて協力を従来からも要請してきておりますけれども、今後もこういった観点で十分な指導をやっていきたいというふうに考えております。
  46. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 あんまり行政が市場経営にまで口を出すのはどうかと思うし、また商社の商業取引を何でもけしからぬと頭から決めつけるあれは毛頭持ってないんですが、しかし今後商社が輸入業種の拡大を図って保蔵、加工施設を武器にどんどん進出してくるんではないかと、それが沿岸水産物に大きな影響を及ぼすんじゃないかと、こういう懸念があるわけですから、魚価の安定あるいはまた消費者の立場、いろいろ勘案しながら何らかの調整策は必要であろうと思いますが、この点についてはどんなお考えですか。
  47. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 現在も沿岸漁業者の主として生産しております生産物につきましては、やはり構造改善事業等進めながらその経営の近代化等を図っているという観点もございますので、九品目程度のものについて輸入についてもIQ品目として扱っておりますし、そういった観点での沿岸漁業との調整ということを含んだ水産物の海外からの輸入については、これが国内の生産に非常に悪影響を与えないように、また一方で消費者の方へ不当な価格等を通じての転嫁にならないように、そういった輸入制度等を通じて十分対応してまいりたいというふうに考えております。  また、すでに自由化されている品目につきましても、マグロであるとかあるいはワカメ等につきましては産出国も特定をされてまいりますので、それが一時的に何か大量に無計画日本の市場に搬入されて、それぞれ関係者一同が不当な迷惑をこうむるというようなことがないように、関係国と従来から話し合って計画的な輸入ということを図ってきておりますけれども、そういった事前確認制みたいなものを活用しながら、水産物の輸入については十分慎重に、日本の国内市場が安定的に発展するように指導に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  48. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 時間が来ましたので、最後に二問質問して終わりたいと思いますが、一つは各種の水産試験所それから研究所の問題です。特に北海道を初め主要な水揚げ港は国の水産試験所が欲しい、また魚の高度加工技術の開発のための加工に関する研究所、そして民間研究所の誘致や育成等を国の責任でひとつ検討してほしいと、こういう要望が強くなってきておりますが、この点についての方針。  それから二番目は、昭和四十八年に第五次計画承認の際、漁村生活環境の整備について附帯決議がされております。政府はこの決議に基づいてその後どのような作業を消化してきているのか。また、国は五十二年度から漁業集落環境整備調査計画、これを十五地区について開始するということですが、その内容はどういうものを考えておられるのか、また調査方針。それからその終了時点はどれぐらいの時期に考えているのか。
  49. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 第一番目の水産物の加工に関する研究体制の整備でございますが、私どもも二百海里時代ということで資源のやはり有効利用ということが非常に重要な今後の大きな課題であるというふうに思っております。ただ、水産物の利用技術の開発につきましては、かなり多方面の専門家を集めた、それから施設的にもこれを企業化いたしますとすると相当規模ないろんな実験施設、試験施設が必要になりますので、これを各地に分散してつくることは余り効果が上がらないのではないか、この程度のことはまた民間でも十分やり得るのではないかというふうに考えまして、国といたしましては、現在東京にございます東海区水産研究所というのが中心になって研究をしておりますけれども、道とか各県にございます加工研究所とタイアップし、また民間の企業にあります研究機関とも連携をとりながら、特に今後重要と思われます沿岸での多獲性大衆魚といいますか、赤身のサバであるとかイワシであるとか、こういったものをどういうふうに人間の食用に向くように加工をするか、あるいは水産加工廃棄物からいろんなたん白を回収してえさに回すというような技術についてどういうふうにこれを企業ベースに乗せるような技術として完成し得るか、こういったような主要な課題につきまして五十二年度からプロジェクトチームをつくって、やや本格的に大規模にひとつ技術開発をやりたいというふうに考えております。そういう段階で、各地の漁港にありますそれぞれの民間の研究機関等とも必要がございましたらば連携をとりながらやりたいというふうに思っております。  それから第二点目の漁村の集落環境の整備の問題でございますけれども、これは御指摘のとおり、四十八年の附帯決議にももちろんのっとりまして、今回のいろんな五十二年度以降の環境整備を考えておるわけでございますけれども、従来から一応生産施設ということではございますけれども、漁港関連道路ということで、特に集落内の集落に関連いたします道路の整備には相当力を入れて実施してまいりました。これが間接的ではございますけれども、そういう生活環境の整備の面にも相当大きく役立っているというふうに思っております。  それから五十一年度から五十二年度にも引き続きやる予定でございますけれども、五十一年度から漁民研修センター等のそういう集落内の環境整備につきまして、構造改善の関連の緊急対策事業として実施をしてまいったわけでございますけれども、こういった当面の対策をとりながら本格的には五十二年度から全国十五のモデル地区を選びまして、そこで漁村の特有の集落問題といいますか、環境問題と申しますか、農村とはまた違った非常に用地が狭隘であるとか、漁港整備と関連させないとなかなか用地造成もできない、こういう中で一体生活関連の廃棄物の処理施設等をどういうふうに整備するのがいいのか、集落内の道路整備を一体どういうふうにしたらいいか、そういうことを類型的にひとつ調査を現地でやりまして、そこで事業内容、それからそれをこなしていく手法あるいは事業規模、こういったものをそれぞれ具体的に策定をして、その結果に基づいてできるだけ早く本格的な事業実施の方に移行してまいりたいというふうに考えております。  いまのところ、できるだけ早くということで、何年度から事業実施に機械的に入るというところまでまだ実は全体の類型別の環境整備の手法が固まっておりませんので、その前段階である計画作成のための基礎資料の収集ということにまず最初に力を入れ、できるだけ早くその事業に移りたいというふうに思っております。
  50. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 終わります。
  51. 塚田大願

    塚田大願君 いままですでに各委員から、今日の二百海里時代を迎えたこの漁港整備計画が本当に沿岸あるいは沖合い漁業振興に役立つのかどうかという問題が提起されておったと思うわけです。私もやはり同様に今度の計画を見まして、一体どこが二百海里時代に対応したものになっているのかという点で、大変不安を持つわけであります。  で、先ほども出ましたけれども、この第六次計画というものと第五次計画を比べましてもどうもはっきりしない。どこが違うのかということがはっきりしません。そればかりでなくて、第六次計画に採択が予定されております漁港の種類別状況を見ましても、沿岸漁業と一番深い関係のある第一種の漁港の採択が非常に減っている、むしろ第五次計画よりも。第五次計画では第一種漁港は百十一港ありました。今度の六次計画では百七港に減っているわけであります。また比率から見ましても、第一種漁港の総数というのは二千百三十港あるはずでありますが、今度の採択された漁港の数はわずかその五%ということでございます。果たしてこれで二百海里に対応した計画と言えるのかどうかという点でまず疑問を持つわけでありますが、これはどういうわけですか、まずお聞きしたいと思います。
  52. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) やや抽象的な説明ではございますけれども、従来のように沖合いから遠洋へということで船がどんどん大型化し、それから遠洋での漁獲物が集中して大漁港に水揚げされてくるという情勢が、将来を見通しますと大きく変わってきておりますので、そういう観点を踏まえて従来の計画の見直しをし、第六次の整備計画を新しい今後の二百海里時代と申しますか、日本周辺漁業開発ということも非常に重要な課題になるということを想定しながら計画を策定したわけでございます。  いま御指摘の第一種あるいは第二種の漁港のウエートが、特に整備計画の本体であります修築事業の中でウエートが低いではないかという御指摘は確かにそのとおりでございますけれども、第一種漁港、第二種漁港につきましては、従来から整備を各計画の中でも取り上げてやってまいりまして、比較的規模の小さい港が多いので、計画期間内に完了したものも多うございますし、それ以外に実はこの第六次の整備計画の中で修築事業以外の改修事業及び局部改良事業の中では、きわめて第一種、第二種漁港のウエートが高いわけでございます。これはどうしても港の規模がそう大きくございませんので、いまのような改修事業あるいは局部改良事業の中で実施をするものがふえるわけでございますけれども、これらを全体合わせますと、現在の第一種、第二種漁港のおよそ八〇%ないし九〇%程度のものが、今回の整備計画の中で修築事業とは別に、関連させながら整備対象になっているという状況でございます。
  53. 塚田大願

    塚田大願君 いまの御説明でありますと、大体八〇%あるいは九〇%までがカバーされると、こういうわけでありますけれども、第一種漁港数というものは全体の漁港の七五%あるわけであります。ところが事業費では、いまおっしゃった改修事業あるいは局部改良事業含めましても三五%、これはいただきましたこの資料にあります。漁港改修事業は二四・一%、局部改良事業が一〇・三%、合わせて三四・四%、三五%弱と、こういうわけであります。こういう状態の中で一体漁民の方々がどんなふうに感じているのかという点で、私はここに一つ資料をいただいてまいりましたが、全国漁港協会の資料であります。この協会の資料によりますと、A、B、C、D、Eの五つのランクに分かれまして、満足できるかどうかという問題を調査した資料でありますが、満足できるという答えが〇・三%、B級のまあほぼ満足できる状態であるというのが三・九%、合わせまして大体満足できるという漁港に対する答えは四・二%しかないのであります。その反対に、これじゃがまんできないというふうな一番低い状態がDとEでありますけれども、合わせまして六八・六%、圧倒的にいまの漁港に対しては困るという漁民の皆さんのアンケートがここにあるわけであります。果たしてこれで、いまおっしゃいましたけれども八〇%ぐらい減っているとおっしゃるんですけれども、現実はこういう状態であると。しからば、一体今度の計画でどの程度にまで持っていこうとお考えなのかどうかですね。その辺をひとつ教えていただきたいと思うんです。
  54. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 漁港整備の現状というのをどのようにして酌量するかということはなかなかこれはむずかしゅうございまして、漁港がいわば漁港法によりますと各種施設の総合体である、またそれぞれ漁港の性格によって必要とされる施設とか種類とかが異なっておりますので、またそれらの施設が相互に機能上の関連を持って影響し合っているということもございまして、整備水準を端的に指標をもって表現するということが非常に困難でございます。意識調査としては、いまのような何といいますか数字がございますが、私どもとしては、全般的にかなり不足しているということは考えられます。ひとつその不足の度合いを何か表現するという方法をいろいろと考えてみたのでございますが、整備の主要目的の一つである係船岸のための水揚げをするための岸壁の必要量、これを整備の割合で出してみる、いわば係船岸の充足率ということであらわしてみようということでやったものがございます。これによりますと、計画基準年次の昭和四十九年年度末の状態では三二・五%ぐらいでございますが、今回の六次の整備計画によりまして五〇%ぐらいに引き上げられるのではないか、全体として、平均的にですね。整備率は五割以上向上して、現状よりかなり改善される見込みというふうに考えております。
  55. 塚田大願

    塚田大願君 大変大ざっぱな話でありまして、しかしそういう見通しをお持ちだということは、それはそれとしていいと思うんですけれども、とにかく働く漁民の皆さんがどうもこの状態じゃしようがない、これではせがれにも跡を継がせられないというふうな感情を持っている限り、本当に漁業振興というものは私はむずかしいことじゃないかと思うんです。これはやはりもう少し第一種漁港あるいは第二種、最も一生懸命に生涯をかけて漁業に従事する方々の漁港がもっと整備されなければ、本当の漁業振興にはならないのではないかというふうに考えるわけです。  そこで、やはり次の疑問は、先ほどからもありましたけれども、進捗率の問題で、第五次計画はとにかく五〇%でしかなかった。また、完成した漁港数というのはたった四港にすぎなかったというふうに聞いております。これはやはり先ほどからも出ましたように、第四次計画の四年目の進捗率が七六・六%であったということに比べまして大変に低い、一体どういうわけなんだという質問に対しまして、皆さんの方からは、これはもっぱら総需要抑制でどうにもしようがなかったんだと、こういうふうなお答えでございましたけれども、私はやはりもちろんそれはそれとしてあったと思うんです。総需要抑制と公共投資の削減ということはあったと思うんでありますけれども、今日の二百海里という大きな問題に直面してみますと、やはり私はもう少し水産庁としては積極的な姿勢で対応してしかるべきだったのではないか。どうもその辺が大変あいまいで、もっぱら何か一言で総需要抑制ということがお経文句のように言われるんですけれども、どうもそれだけ聞いている限りにおきましては私は納得できないんですけれども、もう少しその辺率直に、なぜ進捗率が進まなかったかということについてお答え願いたいと思うんですが、どうでしょう。
  56. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 第五次の漁港整備計画が発足しましたのが四十八年度からでございまして、ちょうどその四十八年の暮れから例の石油ショックによる非常に大きな経済の変動といいますか、転換が全般的に日本を襲いまして、そういう影響を公共事業全般の中で漁港も受けざるを得なかったというのが、率直な私どもの見方でございます。ちょうどその後四十八、四十九、五十、五十一と四カ年間の中でこういう非常に大きな急激な公共投資の抑制の影響を受けた年が二年ないし三年近く入っているということで、全体の進捗率は四年かかって五〇%程度しか確保できなかったというのは大変残念ではございますけれども、しかし他の公共事業も大体その伸びは相当当初の見込みから見ますとダウンしておりまして、漁港についてはそれぞれダウンしている中では比較的その重要性を認められて、まあまあ低いながらもわれわれの方も努力をいたしましたし、そういう厳しい情勢の中ではある程度の伸びを確保できたと思いますけれども、決して十分ではなかったということを反省もいたしております。  今後の問題でございますけれども、六次の整備計画につきましては、先ほどから申し上げましたように、各地域ごとの今後の漁業の展望に即しまして、港別にいろいろ今後の整備計画を立てましたものを全部積み上げてこの大枠も設定をいたしましたので、ぜひともこの実現には関係者一同全力をふるって努力をいたしたいと考えておりますし、ただいまのところ、五十一年度の予算に比べまして、五十二年度の六次計画の第一年度目になるわけでございますけれども、その間の伸び率というのは漁港全体では約二五%でございまして、六次計画計画期間の六年間の中で全体伸ばしますのには、五十二年度を初年度といたしまして大体毎年二四%程度の伸びを確保すれば、いま考えております計画全体を一応完成さすことができるというふうに考えておりますので、この伸びを今後とも確保することに私どもとしては全力を挙げていきたいというふうに思っておるわけであります。
  57. 塚田大願

    塚田大願君 いま、後の方でおっしゃいましたように、これからの計画を完全に遂行するためには毎年二四、五%の伸びが必要だ、こういうことで、またそれに対する決意も述べられましたが、どうもその辺が私は一番心配なんです。やっぱりこれは大蔵省とのいろいろな折衡もあるでしょうけれども、今度の六カ年計画が、聞きますと当初五カ年計画であった、それがどうして六カ年になったのかという点では、やはり政府の予算の都合であったというふうに私どもは聞いております。先ほど次長のお話では、社会経済計画とも関連があった、こういうふうにおっしゃいましたが、私はそんな抽象的なことでなくて、やはり具体的には予算という問題、ここから計画が少し変わってきたのじゃないかというふうに思うのですけれども、だとすると、やはりこれから毎年二四、五%あるいは六%の伸びが必要だということになりますと、大変これはえらいことになるんじゃないかと思うのですけれども、もう一度、ひとつその辺の確固たる見通しといいますかをお聞きしたいと思うのです。
  58. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 先ほど申し上げましたように、全体計画が六次計画で決まりましても、毎年毎年の予算の確保というのはその年の財政事情をにらみながら年々の予算規模が確定してまいるわけでございますから、私どもとしては五十一年度から五十二年度にかけての伸びに匹敵する伸びを今後とも確保することに最大の努力をいたしたいと思いますし、   〔委員長退席、理事鈴木省吾君着席〕 また、計画自身も、現地でかなり技術的にもそれから将来展望も踏まえて相当かっちり固めたものでございますから、それなりのいろんな内容的には説得力もあるものというふうに思っておりますので、そういう関係者の協力も得まして、今後ともそういう予算の必要な確保について最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
  59. 塚田大願

    塚田大願君 この予算の問題ですが、先ほどもちょっと出ましたけれども、ことしの五十二年度の予算案を見ましても、農林省の全体の総予算が二兆六千四百億ということであります。その中で占める水産庁の関係の予算というのは千七百六十九億、比率で言いますと六・七%ぐらいでありましょうか、私はこれがそもそも非常に低いと、いまのようにたん白質の食料、国民のたん白質を補給するための漁業資源、これを扱っておる水産庁の予算が農林省予算の六・七%しかないということですね。それから今度の漁港整備の予算にいたしましても、五十二年度の予算では九百三十九億ということです。これは水産庁予算の約五五%ということで、水産庁内部に占める比率はわりあいに高いと思うんですが、それにいたしましても五十二年度の予算が一千億足らずと、こういうことでは、実際予算面で大変何といいますか圧迫されているといいますか、まあそういう状態だと思うんです。もちろん、この農林予算全体が高いと私どもは考えておりません。これももっとふやすべきだと思っております、国民の食糧自給という角度から見ますと。しかし、その中でも水産関係の予算というものは大変低いと、この六・七%という予算が少なくとも私は一〇%ぐらいにならなければ、本当にこの海洋資源を確保するための施策というものは十分できないんじゃないかと、こういうふうに考えますので、これはぜひがんばってもらわなきゃいかぬところじゃないかと思うんです。   ついでに言っておきますと、先ほど漁港整備と関連して出ました沿岸漁場整備計画にいたしましても、六カ年でたった二千億だというんでしょう、去年から始まりましたね。これは非常に少ないと思うんですね。一年間に二千億ぐらい使わなければ沿岸漁場整備なんて私は満足にできないんじゃないか、まあ少しオーバーに言えばですね、そのぐらいの重要性といいますか意義があるんではないか。ですから、大変沿岸漁場整備計画なんかみみっちいし、漁港整備にいたしましても、もうちょっとやはり積極的な姿勢でひとつ予算を組んでいただく必要があると、こういうふうに考えますので、この点一言ひとつお答えいただきまして、私の質問は大臣が来ましてからあと続けたいと思います。よろしくお願いします。
  60. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 水産関係の予算が農林省全体の予算の中で非常に小さなウエートしか持ってないというのは、いろんな見方があると思いますけれども、一つの確かに御指摘であろうと思います。全体この数年の動きといたしましては、水産に対するいろんな社会投資の必要性あるいは予算面でもいろんな対策が必要であるということが、かなり農林省の内部のみならず政府全体の中でも認識をされまして、五十二年度の予算編成段階で申しますと、前年度に比べまして農林省全体の予算の伸びが食管会計除きまして大体二〇%程度であるのに対しまして、水産関係の予算の伸びというのは絶対額では確かに千七百六十九億で先生お示しの程度のウエートでございますけれども、   〔理事鈴木省吾君退席、委員長着席〕 伸び率としては大体二五%ぐらいということで、かなりその点は、除々にではございますけれども改善されております。  私どもの方は必要な施策を十分今後詰めまして、一層こういった施策の充実に努めていきたいというふうに考えております。
  61. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、主として沖繩の漁港を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、最初にお聞きしておきたいことは、沖繩の漁港整備日本全体の立場から非常に立ちおくれておる、このことをまずお認め願えますかどうか。
  62. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 沖繩の漁港整備につきましては、これがやはり復帰前のいろんな状況も含めまして、そういう事情もございまして、本土の各漁港と比べましてもかなりその整備がおくれているということは、率直に私どもも認識をいたしております。
  63. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 地理的条件からいたしましても、非常に島が多い、しかも台風の発生地であると、台風銀座と言われている、そういったいろんな諸条件からも、どうしても沖繩を中心とする漁港整備強化していかなければ日本全体の立場からも私いけないのではないかと、こう思うのですが、いまおっしゃるように、全体としては立ちおくれておる。それで、数の上からも私、漁港が少ない、こう判断いたしますが、数をもっとふやしてもらう意思があるかどうか、お聞きしたい。
  64. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 沖繩につきましては、従来から戦後長い間わが国の施政権外に置かれたというような事情もあって整備がおくれておることは、先ほど私どもも認識しておるというふうに申し上げたとおりでございますけれども、現在特にそういった格差を早く縮めたいということで、沖繩の振興開発特別措置法に基づきます沖繩振興開発計画に沿って、特に沖繩につきましては全額国の負担ということで漁港整備に努めているわけでございます。  港の数をいまふやす意思があるかどうかというお話でございますけれども、整備途中の港をいたずらに数をふやすということも、かえって沖繩の漁業振興という観点から見ると一利一害という感じもいたしますので、私どもとしては、現在いま整備に着手しています港についてできるだけ早くその整備を進めて、それを中心にして沖繩の漁業振興なり水産物の流通関係の方のいろんな機能を十分充実さして、その関連を見ながらまた必要に応じて次の段階で港の整備の拡大といいますか、対象の拡大の方に努力をしたいというふうな手順で考えております。
  65. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ整備強化という面からお尋ねしますが、今度の御計画では新採択八十三港ですね。ところで、今回漏れたものが五十三港あるとなっていますね。五十三港のうち四港はすでに整備完了ですね。そうすると残り四十九港、こういうことになりますが、その四十九港は別途漁港改修事業によるとありますね。この別途漁港改修事業によるというその内容は何なのか。また、その中に沖繩も含まれておるかどうか、それをお聞きしたい。
  66. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 整備計画に基づく漁港修築事業、これは中長期的な計画に基づきまして、着実にかつ計画どおり実施する全国の基幹的な漁港となるべき計画としての漁港対象にいたしております。当然国会の御承認をいただくわけでございますが、このほかにあるいは短期的に、あるいは規模が比較的小さくて漁業の状況の変化に対応して弾力的に対応できる漁港、弾力的に整備し得る漁港対象とするものとして改修事業というのがございます。これは修築事業と異なりまして、計画規模が小さいものを改修事業として扱っておりまして、当然いわゆる第六次漁港整備計画の中にも改修漁港がございますし、おおむね六次の計画では八百二十港ぐらい、沖繩県におきましてもおおむね十九港ぐらいを対象にしております。
  67. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひその落ちこぼれを、またこれで対処してもらいたいということを強く要望しておきます。  次に、これによりますと、第四種の完全避難港を目指して設備強化、改修していくと。いわゆる避難の前進基地としての強化ということになっておりますね。沖繩はこの中に、一応第四種に六つあるわけですが、今回はその六つ全部は含まれておりませんね。数から言うと五つになっておりますね。その五つはどこどこであるのか、それをまず明らかにしていただきたいと思います。
  68. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 第四種漁港は、漁港法によりますると離島その他辺陬の地にありまして、漁船の避難もしくは漁場開発上必要な漁港ということになっております。今回、沖繩県におきまして漁港整備計画の中に考えられます第四種漁港は、沖繩県が台風銀座という、いわゆる避難上必要な個所が非常に多うございますし、また島も多うございまして、第四種漁港としては当然整備しなければならない対象漁港でございますので、第六次漁港整備計画で採択予定にしております第四種漁港は安田と仲里、池間、波照間、久部良の五港でございます。
  69. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ただいま五カ所はっきりいたしましたが、あと一カ所はどこですか、今度入ったのに漏れたものは。
  70. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 宜名真漁港でございます。
  71. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはいま沖繩全体の地理的条件からも、ぜひ宜名真は入れてほしいのですけれどもね。といいますのは、仲里は久米島離島ですね。それから安田は沖繩本島の東海岸、太平洋岸ですね、それから池間は宮古、それから波照間は八重山、それから久部良も八重山ですね。ところが、いま沖繩本島の日本海岸、ここに一つも——宜名真あるわけですが、これの強化が私は非常に大事であると思っておりますが、どうしてこれを抜かされたのか。ぜひ入れてほしいんですがな。
  72. 坂井溢郎

    説明員(坂井溢郎君) 宜名真漁港は、五次の整備計画で着工いたして整備を進めてまいりっております。そして、ある程度規模ができ上がってきて、残事業修築事業対象とする規模ではない、安田や仲里と比べて非常に残事業が少のうございますので、別途他の事業でこの整備を図るように考えております。
  73. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 進めておられるわけですね、宜名真も。安心しました。  それから、これに関連して、これ漁港という前提でありますが——運輸省関係見えてないんですね、連絡しませんでしたから。ここと関連がありますので、私は漁港整備も、特に沖繩の地理的条件からも、特にまた気象条件からも、台風銀座と言われて毎年台風の被害が大きいわけですが、それに完全な避難港が少ない、また整備された避難港がない、こういうことをいつも嘆くわけですが、さらに沖繩の立場からすると、漁船だけでなく、いわゆる大型の貨物船ですね、それから客船、これの完全避難港がないために、せっかく沖繩の那覇港あるいは安謝港の目前近くまで来て、それから低気圧ということで大騒ぎをして、人間も荷物もおろさぬですぐ古仁屋湾とか九州に引き返す例がたびたびあるのです。台風、特に夏ですね。そうすると、盆のいろんな日用雑貨品と食料品を積んで来ますが、その荷揚げもせぬでそのまま引き返す。とうとう果物も腐る、そして沖繩ではもう物価がはね上がる、こういうことがもう何十年、何百年と今日まで繰り返されておるわけですね。これを抜本的に解決する道は、いかなる台風が来ても完全に待避できるところの避難港、これがどうしても必要である。そして、これは沖繩だけの問題ではない。日本全体の立場からなんですね。南方に大型の客船あるいは貨物船が行く、こういった南に発展する日本国の南の門戸に沖繩はなるわけですから、そういった日本全体の立場からも、また沖繩の宿命を解決する面からも、どうしても完全避難港の実現が必要である、急務である、こう思うわけなんです。そのことについてのひとつ御答弁願うわけにはいかないでしょうが、どうでしょうかね。
  74. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 一般港湾まで含めて私の方ちょっと御答弁はいたしかねますが、漁港につきまして申し上げますと、今回の整備計画で採択をする漁港につきましては、必ずしも第四種漁港のいわゆる避難港ということに限定せず、いまのようなやっぱりいざ緊急というときには避難港的役割りをほかの港でもする場合があるわけでございますから、そういったときにある程度の余裕のある泊地が確保できますように、そういう観点を含めて整備をしたいというふうに考えております。
  75. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは国全体の問題として、このことをひとつ抜本的に解決してもらいたい。いま小型、中型までは、ここに屋我地湾もありますね。三千トンぐらいまではここに一応待避できるんです。ところが四、五千トン、一万トン級になりますと入れませんから、全部バックしてUターンして本土に避難するんです。だから、こういった候補地があるんですよ、これを整備すれば。しかも地理的条件で非常に適地があるわけなんですが、このことをひとつ国としてもまた農林省とされても、ぜひこれをひとつ次回にまた運輸省にも強く要望したいんです。これを申し添えておきます。  次に、沖繩の場合、第三種とそれから特定三種漁港が一つもありませんね、皆無ですね、これはどういうわけですか。
  76. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 沖繩でいま一番規模が大きい港で整備途中で進めておりますのは糸満漁港でございますけれども、ここでも実は第三種漁港に指定しますのには利用範囲全国的な規模であるということで、特に外来船がどの程度の隻数入ってくるかということで、一定の基準を決めて第三種漁港としての指定をしておるわけでございます。いまのところまだ港の整備ができていないということも関連があるわけでございますけれども、現在のところ沖繩の漁港で現在決められております第三種漁港の基準に合致するものがございませんので、結果的に指定がないわけでございますけれども、ただ、私どもの考え方といたしましては、特に糸満漁港のようなこれから南方海域での前進基地的な性格を帯びる可能性がある港については、第二種漁港という中で相当思い切った整備を現在も進めておりますし、今後も継続して整備を進めて、その整備がある段落、段階まで来まして、本州の船も含めて利用状況が相当広範囲に広がるというような事態、時点にまいりましたらば、そういった漁港の指定の改定ということも当然考えなきゃならない、そういうふうに考えております。  ちなみに、現状では、沖繩につきましては修築事業としてやります場合には、すべて全額国の費用負担ということで整備を進めておりますので、その意味で第二種漁港である場合にも、第三種漁港である場合にも、国の負担率の差というのは実際問題としては当面ないわけであります。したがいまして、現状のままで私どもとしてはできるだけ早くそういった基幹的な漁港整備を進めて、その結果を待ってまたいろいろこういう制度面での改定ということも検討してまいりたい、かように考えております。
  77. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひ要望したいですね。  いま現状、糸満漁港は二種ですね。ところが条件がそろわぬからとおっしゃるんですが、条件がそろわぬからそろうように早く強化してもらって、そして私の要望としてはぜひ特定三種あるいはそれ以上に早く実現してもらうように要望したいんです。といいますのは、さっき宜名真は沖繩本島の南の西、この位置の上からもちょうど私は適当である。また糸満という土地は、歴史的にも糸満漁夫と言えば七つの海を世界をまたにして潜水で有名な糸満漁夫ですね、こういう根拠地である。それから沖繩の水産高等学校が那覇から糸満に移って、いますばらしい活気に満ちているわけですが、そういったいろいろな諸条件からも、糸満を特定三種あるいは四種にぜひしていただきたいんですが、そのおつもりでひとつ検討していただきたいんですが、どうですか。
  78. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) おっしゃるとおり、糸満が立地的に見てやはり沖繩県の今後中核的な漁港になるであろうということを想定いたしまして、いま鋭意整備に努めているわけでございます。港の整備が一応ある程度完成といいますか、あるところまで進捗いたしまして、本州からのいろいろなカツオ、マグロ船その他がまたそういうところを基地にして操業するように恐らくなるんじゃないか、こういう状況を見定めました上で、そういった実態がそろってまいりましたらば、当然そういう漁港としての指定の改定ということも検討していきたい、かように考えております。
  79. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひ、ひとつ進めてもらうように重ねて要望いたしておきます。  次に海上保安庁にお尋ねしたいことは、最近北方漁業の問題が問題になっておるわけですが、二百海里の問題とも関連して、ところが北の問題もありますけれども南にも問題があるということで、南では台湾漁船の領海侵犯ですね、これは目に余るものがある。これは御存じだと思うんですが、去年来私も委員会で訴えたこともありますが、この台湾漁船の領海侵犯、その最近の状況、どうなっておりますか。
  80. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 昨昭和五十一年一月から十二月までに沖繩県周辺海域わが国の領海内において不法操業していた台湾漁船の状況としましては、海上保安庁の巡視船が一応現認しました隻数は二百五十六隻に上っております。それを海域別に見ますと、尖閣諸島周辺海域におきましては九十二隻、それから宮古、八重山列島周辺海域におきましては百二十隻、沖繩諸島周辺海域において四十四隻、そういう状況でございます。
  81. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま領海侵犯しておる大体の場所と隻数はおっしゃったのであります。それがどういう状態で日本漁民に脅威を与えているか、その状況についておわかりですか。
  82. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 台湾漁船わが国領海内におきまして昨年は二百五十六隻の不法操業がございまして、それらは一応わが国の領海内でトビウオとかマグロとかサバを採捕したり、あるいは特に昨年におきましてはサンゴを採取するものが大幅に増加した、このようにわれわれは聞いております。
  83. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 昨年の統計をいま述べておられるんですが、ごく最近の状況はおわかりですか。
  84. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 最近、昭和五十二年に入りましてからは、二月の末現在で私どもが確認しました台湾漁船の不法操業等は十七隻、それから荒天避泊等の緊急入域というのがございますが、これが十五隻、そのように聞いております。主として尖閣諸島周辺海域でそのような事実がある、こういうことになっております。
  85. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 新聞報道でも「サンゴに群がる台湾漁船 領海侵犯もへっちゃら 地元漁民も恐れる 巡視船といたちごっこ」、こういう見出しで大々的に取り上げておりますがね。巡視船が行きますというと、一応下がる。巡視船が引き揚げるというと、またもとに返ってくると。いわゆるイタチごっこということなんですね。ところが、それだけ申し上げてはその状況がおわかりでないと思うんです。沖繩の漁船が二隻、そこでサンゴをとっておる。そこへ台湾漁船がはさみ打ちの状況で二十七、八隻来た。そうして一斉に台湾漁船が汽笛を鳴らして、そこで漁をしておる沖繩の漁船に非常に脅威を与えた。全くあべこべなんですね。侵犯をしてきて、そうして沖繩の漁船がそこで漁をしておる、そこへ二十七、八隻でどっと来て包囲をして、一斉に汽笛を鳴らしてそうして脅威を与えた。たまらないから恐怖を感じて沖繩漁船日本漁船がそこから下がるといった、こういう全く許しがたい状況であることは存じておられますか。
  86. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 一応、現地の方からそのような状況を聞いておりますが、そこまで非常にひどいということは残念ながら私も把握しておりません。
  87. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 しかも、もう私目に余るとこう申し上げましたが、尖閣列島というと、これですね。それからさらに沖繩本島のこれ、久米島ですよ。私きのう県に問い合わしたんです。それで、きのうちょうど久米島から帰った県の職員の生の話なんですよ。久米島ではサンゴ船が二隻、台湾船が進出して、そうして不法上陸二人、久米島の島にまで大手を振って上がってくる。これが久米島でのきのうの状況ですよ。それから尖閣列島、さっき申し上げました二十七、八隻ですね、どっとそこへ来て一本釣りでマチダイを、それからはえなわでマグロ、これを平気でやっておるんです。こういう現状ですよ。こういう状況に対してどのように巡視しておられるか。
  88. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 海上保安庁としましては、従来から巡視管区に巡視船三隻、巡視艇五隻、それから航空機四機を配置しまして、また本土管区から巡視船を常時一隻派遣いたしまして、この領海の警備に当たっております。そうして、領海内において不法に操業する台湾漁船に対しましては、われわれとしてはできる限り直接立ち入り検査をいたしまして、再び不法な操業をしないようにと誓約書を徴取するなどしまして、厳重に警告した上、領海外に退去させております。さらには、海上模様によりましてやはり立ち入り検査ができない場合には、たれ幕とかあるいは拡声機等によりまして領海内へ不法に立ち入らないように警告した上、領海外に退去さしております。  このようないま先生がおっしゃったようないろいろな情勢を踏まえまして、私どもとしましては関係省庁とも協議いたしまして、自後厳重にこれを取り締まるという方針を立てまして、そのような対処方針をとったところでございます。
  89. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間が参りましたので、いまの御答弁お約束できますね。きょうの農水委員会における質問の結果が間違いなく現地に反映して、私また聞きますよ。現地にどうだ、同じ状態か、よくなったかということをですね。それをひとつぜひ、私きのうも申し上げた心の通う、血の通うこういう行政であってほしいと言いましたが、それなんです。本当に約束してくださいよ、また私確かめますから。  そこで、大臣に最後に申し上げますが、このような目に余る行為、行動というものをいろいろせんさくしてみると、結局日本政府の外交姿勢の問題につながるんです。と言いますのは、いわゆる台湾に対する日本政府の遠慮といいますか弱腰といいますか、このことがこのように甘やかしておるという、こういうことが現地でのもっぱらの怒りなんです。声なんです。不満なんです。そのことに対するひとつ大臣の御所見を求めて、また私強く政府がこの事実を正しく確認してもらって、打つべき手を打って、きちんとやってもらうように強く要望いたしたいんです。日本政府の外交姿勢の問題、台湾に対する弱腰、遠慮の問題、それが大いに影響しておると、こう見ておりますので、大臣の所見を伺います。
  90. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、わが国の台湾漁船による領海侵犯事犯といいますか、これは外交姿勢の問題というようなことでなしに、台湾漁民の秩序を無視したところの、また他国の領海の権威、そういうものを十分認識しない不法な行為であると、このように受けとめておるわけでありますが、政府としてもそういう事態を重視をいたしまして、交流協会、台湾側の亜東協会、いま政府間の公式のルートがございませんので、この交流協会と亜東協会とのパイプを通じまして厳重に警告をし、また十分関係漁民にそのような不法行為をしないようにということを周知徹底願うように強く交渉いたしておるところでございます。また、海上保安庁の方にもその監視並びに取り締まりにつきまして御協力を願っておる、こういう段階でございますので、ただいま御指摘もございましたし、重ねて台湾側に対しまして十分な趣旨の徹底を図るように改めて求めたい、こう思っております。
  91. 塚田大願

    塚田大願君 きょう議題になりました漁港整備計画につきます事務局に対する質問は終わりました。この問題と深いかかわり合いがあります二百海里の問題で、大臣に若干質疑をしたいと思うわけです。  けさの新聞各紙の報道によりますと、政府わが国の二百海里漁業専管水域の設定につきまして、来週にも閣議で了解を取りつけて内外に二百海里宣言をすると、こういうことが明らかになったと伝えております。この点で若干幾つかお尋ねしたいわけでありますが、第一に、この閣議了解による宣言というものがどの程度の実効力というものがあるのかどうか。  同時にあわせてお尋ねしますけれども、領海十二海里についても、領海法案を閣議で決定されました段階でやはり内外に宣言をなさるのかどうか、この点からまずお伺いしたいと思います。
  92. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 領海の幅員を十二海里にすることにつきましては、政府の基本的な方針も固まりましてその法制化を急いでおったところでございますが、大体関係各省庁間の検討も最終段階に入りまして、ほとんど結論が出るように相なっております。したがいまして、来週早々関係閣僚会議にそれを諮りましてその上で閣議の御決定を願いたい、このように思っております。  私は、閣議決定後はできるだけ早い機会に国会に御提案をいたしまして、国会の御審議、御承認をお願いを申し上げたい、このように考えておるわけでございます。国民の権利義務を定める内容法案にもなるわけでございますから、これはどうしても国会の御承認を得なければならない、このように考えておるわけでございます。なお、その提出の時期は、当委員会でも前から申し上げておりますように、今月中に国会提案の手続を完了したい、このように考えております。  それから、わが国漁業専管水域二百海里の問題でございますが、これはかねてから十二海里の問題とあわせていろいろ検討を進めてまいっておったところでございますが、私、モスクワにおけるイシコフ漁業大臣との交渉におきまして、公式に日本も近く二百海里漁業専管水域を設定する方針であるということを明らかにいたしまして、これをイシコフ漁業大臣との交換書簡に明記をいたしたところでございます。その後、暫定交渉等の推移をずっと見ておるわけでございますが、これは暫定協定はやがて基本協定の交渉にもつながる問題でございます。私は、そういう諸般の事情を勘案をいたしまして、わが国も早急に二百海里漁業専管水域を国会の御承認を得てこれを成立させる必要がある、このように考えておるところでございます。  一方、国連海洋法会議におきましては、五月から統一草案に基づきますところのこの新しい海洋秩序の問題につきまして討議が継続をされることに相なっておりますが、私どもといたしましては、政府としては、この五月会期の推移を見まして、幸いにして五月会期において世界的な合意の上に立った海洋法というものができますれば、これはきわめて幸いだと思いますけれども、その見通しがない場合におきましては、じんぜん日を送るわけにはまいらない。日本としてはその推移を見た上で、できるだけ早く二百海里を日本としても設定すべきだ、このように考えておるわけでございます。  そういうことと、もう一方隣接をしておりますところの韓国あるいは中国との関係がございます。現在、日韓、日中の間には、それぞれ漁業協定が締結をされておりまして、西日本漁業秩序というものはこの二つの漁業協定によりましてきわめて安全に秩序ある操業が確保されておる、こういう状況でございまして、これはわが国の西日本漁業者の利益を守る上からもこれを大事にしていきたいと、こういう考えも持っております。そこで、わが国が二百海里漁業専管水域を設定いたします場合におきましては、事前に中国並びに韓国との間にわが方の方針を伝え、御理解を願っておく必要がある。また、二百海里漁業専管水域ができましても、その適用海域につきましては相互主義で対応していくことが最も現実的であり妥当であると、こういう考えも持っておるわけでございます。  そういうような状況を踏まえて、今後二百海里の問題を進めてまいりたいと考えておりますが、しかし私といたしましては、できるだけ早い機会の閣議におきまして日本が二百海里漁業専管水域を設定をする、前段に申し上げた隣接の国々及び国連海洋法会議、そういう関係を整えながら、できるだけ早く漁業専管水域を設定をするという方針だけは早い機会に閣議の了解事項として政府の意思を決めて、そうしてそれに基づいて直ちに二百海里法案の法的な整備のための準備作業に入りたい、このように考えております。そしてその成案を得ました暁におきましては、できるだけ早い機会の国会国会の御承認をお願いを申し上げたい、このように考えておる次第でございます。
  93. 塚田大願

    塚田大願君 政府の大体のお考え方はわかりましたが、いま後段でお話がありました、この中国、韓国との問題であります。  中国、韓国が二百海里水域を設定しない場合は、わが国の二百海里水域を、これらの国に適用しないというふうに伝えられておるわけでありますし、またいまの御説明もそのように聞いておるわけでありますが、これは、これらの国と隣接する水域におきましては、わが国の二百海里宣言というものを保留するという意味なのか、それともこれらの国の漁船わが国の二百海里水域内に入って操業することを拒否しないということなのか、その辺がどうも明らかでありません。  あるいはもう一つお尋ねするとすれば、後者の場合、つまり、わが国の二百海里に中国や韓国の船が入っても拒否しないというふうな場合、たとえばいま起きております北海道近海での韓国漁船の無法な操業、いまも台湾の話が出ましたけれども、この北海道周辺の韓国漁船の無法な操業というものは今日もう明らかでありますが、これをどういうふうに規制するのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  94. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私が申し上げておりますのは、二百海里法案というのを国会の御承認を得てできるだけ早く成立をさしたい。その二百海里法というものを適用する海域の線引きにつきましては、相互主義で韓国の方も二百海里はやらない、中国もやらないという場合におきましては日本の二百海里の海域の設定、つまり線引きに当たりまして当該水域には私どもは専管水域二百海里を設定しない、こういう考えでございます。  したがいまして、線引きをいたしました北海道その他の海域において、韓国であろうとソ連であろうと外国船の操業につきましては、実績をもとにいたしまして、そして漁業協定等を取り結んで新しい秩序の漁業操業の体制を確立する、こういう考えでございます。
  95. 塚田大願

    塚田大願君 大体わかりました。  最後に一つ、この線引きの場合、いわゆる未解決の領土の問題です。その領土に関連する水域、たとえば南北千島あるいは竹島、こういうところについてはどうするのか、当然これも含めるものと了解していいのかどうか。それを最後にお伺いしたいと思います。
  96. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 係争中の竹島でありますとか、尖閣列島でありますとか、あるいはわが国の固有の領土ではありますけれどもソ連側が現に占有をしておる、これは田中・ブレジネフ会談、一九七三年のモスクワ会談で、戦後未解決の問題、これを解決をして日ソ平和友好条約の締結の交渉を今後も続ける。その未解決の問題という中には北方四島も含まれておるということが確認をされておる、こういう事情にあるわけでございますが、わが方としては、固有の領土であるという確固不動の民族的な立場でおるわけでございますから、その沿岸に接続する二百海里水域、これも当然わが国漁業専管水域として設定をする、こういう考えでございます。
  97. 橘直治

    委員長橘直治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 橘直治

    委員長橘直治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件を問題に供します。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  99. 橘直治

    委員長橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  ただいま承認されました漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件に対し、各派共同提案による附帯決議案が委員長の手元に提出されておりますので、これを議題とし、便宜私から案文を朗読いたします。     漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   漁港は、漁業の最も重要な生産基盤であり、漁村住民の生活とも密接な関係をもつ施設である。しかるに、漁港整備は、近年立ち遅れる傾向にあり、激動する漁業情勢に十分対応できない恐れが出てきている。   よつて政府は、その整備を促進するため、左記事項の実現に万全を期すべきである。         記  一、新漁港整備計画期間内達成のため、必要な予算の確保等に遺憾なきを期すること。  二、地方財政の逼迫と、新漁港整備計画実施にともなう地元負担の増大に対処するため、国の負担及び補助の割合の是正等の措置を引き続き検討すること。  三、水産物の流通加工施設その他漁港における機能施設の整備を促進するため、沿岸漁業構造改善事業水産物産地流通加工センター形成事業等との緊密な連携の下に漁港整備事業実施すること。  四、漁村における生活環境の整備が、甚だしく立ち遅れている現状にかんがみ、漁業集落環境整備調査を急ぎ、環境整備事業を早期に実施すること。   右決議する。  以上であります。  それでは、本附帯決議案の採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  100. 橘直治

    委員長橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木農林大臣
  101. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、十分検討の上善処してまいる所存でございます。
  102. 橘直治

    委員長橘直治君) なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 橘直治

    委員長橘直治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会      —————・—————