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小笠原貞子君 毎年いまの時期というのは陳情が多いんですけどね、ことしの陳情は私は特に真剣な態度で具体的な陳情が多かったということなんです。各町長から農協の皆さん、
農民の方々がいらっしゃるときには組勘の数字全部持ってきてくださいました。それからまたこれなんかもおもしろくて、きょうごらんいただければと思ったんだけれ
ども、「大樹町牛乳出荷番付」というのがあるんですね。横綱、大関、関脇、小結。そしてここの中から
一つ例をとりますと、牛乳出荷番付で張出小結になっているわけですわ、この張出小結の戸水さんという人なんです。これは張出小結までいっているんです。乳牛が六十五頭、生乳
生産二百九トン、収入が二千四百四十五万円、経費が千八百十万円、所得は六百三十四万円あると、しかし
政府の
規模拡大に忠実にこたえて
借金で
規模拡大を進めてきた結果、
償還元金が五百八十万円、これを差し引きますと差し引き余剰はマイナス百七十万円となっている、マイナス百七十万円。この戸水さんの場合は六人家族で四人が酪農に従事しており、それで家計費の方は二百十九万取っているわけですね。六人家族で家計費二百十九万取っているんです。トップクラスの酪
農家の
経営がこれなんです。それからもう
一つ、稚内農協の場合でも二十頭以上
規模の酪
農家の平均で、家計費が百八十二万円、差し引き余剰はマイナス二十五万、稚内農協の場合。
こういうように多くの農協から組勘を持ってきて実情を伺ったときに、これは乳価の決め方がまさに大変だと、問題だということを言わざるを得ないわけなんですね。この問題についてやっぱり考えていただきたい。先ほどから、うまくやっているところはやっているんであって、そしてたまたまうまくやっていないところがもう大変なんだと、こういうふうなお言葉がありましたけれ
ども、うまくやっているところはどこだと言ったら、
政府の
方針に従わなかったところなんですよ。
規模拡大、
借金して
拡大せいというのを、
借金しないで着々と伸ばしていったところはうまくやっているんですよ。忠実に
政府の
方針に従って
借金して
規模拡大していったというのはみごとにこういうふうに出てきているんですね。これはもう御調査いただければわかると思います。こういうことから考えれば
政府の計算した乳価が実情に合っていない。乳価の計算、いろいろ算定方式細かく私も一生懸命勉強して、頭が痛くなるほどめんどうくさいんでややこしいんだけれ
ども、いろいろ言われているけれ
ども、結局は実情に合わない乳価の算定なんです、算定方式そのものが。
時間がないから最後に、この算定の中の肥料代の問題でひとつお伺いしたいんですけれ
ども、五十一年度保証価格の場合、飼料
作目算出基礎になっている肥料費というものは幾らになっていますか、生乳百キログラム
当たりについて。時間がないから私の方からもう言いますよ。百キログラム
当たり三百七円なんですよ。それから副産物の厩肥、これ二百八十八円なんです。厩肥が副産物になっている、二百八十八円です。これは乳価の場合副産物収入として差し引かれるから、実際に厩肥を販売していませんね。販売して二百八十八円入ってくれば副産物ですよ。しかし厩肥二百八十八円でどこで売っていますか、私は売ったっていう話聞いたことない。だから、差し引き飼料
生産に購入肥料代として乳価の中から出せるのは、百キログラム
生産するのにたった十九円にしかつかないんですよ、計算してみると。これはもう皆さんの方がおわかりになっていると思う。副産物でこうやっていると、そういうことになるわけなんですね。
これはもう皆さん御
承知だろうと思いますから時間がないから言いますけれ
ども、進みますけれ
ども、実際の場合どうなのかというと、浜中町農協の場合調べてみました。平均して百キログラムでは千二百円かかっているんです。ここでの差は乳価に直すと一キログラムですから、一キログラムに直しますから十九銭と十二円の差、十一円になる。この十九円を搾乳牛一頭
当たりに直すと九百三十六円になる。一頭
当たり草三十トン必要とすると、
面積にすると六十アール必要だと。そうすると、十アール
当たり百五十六円しか金肥をまくことができないという計算になる。
北海道の飼料
作物施肥基準というのは、十アール
当たり約八千円かかるということになっている。つまり、そうしますと、五十分の一しかまかないことになって計算されていくわけなんです。しかも先ほど問題にした
労働費なんですね、算定の、その
労働費の問題だけれ
ども、副産物収入として乳価から差し引かれますその厩肥の中の家族
労働費、これは飼育
労働費と同様の
評価がえが行われているわけなんです。つまり、飼料
生産の方の
労働時間というのは五百五十九円五十六銭なわけなんですね。ところが、差っ引かれる方の厩肥の中での
労働費というのは六百八十一円二十三銭と、こう高く
評価しているわけですよ。
だから、もう低い乳価をつくり出すために使い分けしていると言わざるを得ないんです。実際に収入にならないものを副産物として入れたり、
労働費もこういうふうに飼料
生産の方とそれから差し引かれる厩肥の方では都合のいいような取り方をしていると、こういう
労働費の取り方、ここにいかにごまかしがあるかという点、私はこれもいま始まった問題じゃなくて、いままでも議論されていたところなんだけれ
ども、こういう点から考えてみても、やはり正当な
労働評価、そして再
生産ができるような所得補償が本当に伴っていくような、そういう計算がされない限り毎年の繰り返しですよ。そして、辛うじて
生産ができているといっても、それはもう泣くに泣けないですよ。本当に泣けるというときは心に余裕があるときですよ、泣けるというのは。泣けないんですよ。泣けないし、出かけて逃げるわけにいかないし、死ぬわけにもいかないというところでがんばっているというその酪
農民の皆さんの気持ちを考えて、何としてもこの
労働費の問題や、それから肥料なんかのこの算定の、私らに言わせればごまかしというような問題、これについてもやっぱりもうちょっと考えていただきたい。これについての御見解を伺って、終わりにしたいと思います。