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案納勝君 斎藤さんね、私は、
郵便貯金の存在理由、これは確かに
郵便貯金法に書かれておるとおりだと思いますね。これは全国あまねくどんな市町村においても、
国民の生活の安定のために、
貯金というのを国が郵便局の窓口を通じて行うことによって寄与しよう、そうしてそれによって集められた資金がさらに国のいまや第二の予算と言われる財投の中で重要な役割りを果たしているわけですね。国の産業政策の中の大きな力になっておるわけです。そういう国全体の政策に大きなかかわりを持って
国民の生活向上と
福祉の向上のために役立てようという、これが
郵便貯金の私は性格だと思う。
民間の企業は、確かによく
郵便貯金が三十兆にもなってといろいろ論議をされていますが、この事業の成り立ちというのはあくまでも
民間でございますから、預金をかき集めて資金を貸し出して、その運用によって事業が成り立つ。それには政府直接のというよりも、
民間企業として、だから大きな大変な運用については、決められている利子のぎりぎりまで法定利率、御案内のように、住宅ローン借りれば一割以上の利子をいま取られることになるわけであります。それはそれぞれ
金融機関によって違いますがね。なかなか庶民が借りると、いまも報告されたように、一般の個人が銀行から借りている比率というのは全国銀行で八・七%という全く微々たるものなんです。銀行は高利で回せられる運用で大企業へ資金の集中その他を図りながら、なかなか個人は借りにくいというのが一般の
民間企業なんです。
そういう中で、国の
金融政策として、
郵便貯金の場合も、
民間企業の銀行の金利も一緒になって実は国の
金融政策として実施されてきている。で郵貯の場合は、そういうきわめて国の
経済政策に貢献をしながらも、しかも、あわせて末端の
貯金を通じて生活の安定を図ろうという、そういう仕組みの中で
貯金だけはせっせとするが、何ら自分のところに見返り、要するに
国民の
福祉増進をするという窓口を通じての還元というのがない。あるとするなら、大きい意味での政府の政策を通じての還元しかない。
民間と
郵便貯金の場合には、こういうきわめて重要な部分に私は違いがあると思います。この認識をまず私はぜひしてもらいたいのです。そしてこの
郵便貯金の大きな国に貢献をしておる役割りというのを、ある意味では大蔵省自身もしっかり踏まえて私は対処してもらいたいのです。
そこで、いまも説明をされましたが、
貯金については、同僚
委員から言いましたけれ
ども、いま確かに日本の
国民の
貯金率が高い、
社会保障制度が拡充しないために
貯金をして、いざというときに、不安に備えようという、これが一番高い率。だからこそ物価が
上昇してインフレが続いても引き続いて
貯金をしていくという意欲はきわめて高いんですね。これは私の
資料の中でもきわめて高い比率を示している。
こういう中で、日本の場合に、個人の
金融資産を見ました場合に、
貯蓄性預金が全体の五五%、半分以上を占めているわけなんです。アメリカの場合は三二%
程度。しかも、そういう状態の中で逆にインフレに強いと言われる株式保有は、米国は個人の場合は二四%に対して、日本の場合は三・四%しかない。全くこういう面については大変個人の場合低くなっています。で私はいま大蔵省の方から説明いただきましたデータによって見ますと、わが国の
金融事情は全く個人の
貯蓄によって支えられているわけだ、こう言っても言い過ぎじゃないでしょう。先ほど言われましたように、全国銀行で個人
貯蓄が四〇%、相互銀行で五六%、信用金庫で七〇%、
郵便貯金で九九・二%、これが個人
貯蓄によって占められている。この
貯金による還元というのを見ますと、個人貸し付けは全くわずかしかない。銀行の窓口を通じて行うやつも全体の比率からわずかしかない。したがって個人というのは利子以外に何もメリットがないというのが現在の日本の
貯蓄の
あり方ではないでしょうか。ところが物価はどんどん上がっていく、利子は切り下げられていくということになったら、個人の生活、個人の
貯蓄といいますか、これは全くまさに大企業本位の
経済政策の中で庶民の犠牲の上に成り立っている今日の
金融政策だと、こう言われても私は抗弁できないんじゃないでしょうか。
私は、これまあここに斎藤さん来られているからあえて言うんですが、仮にことしの
貯金の増加推定見込み額は六兆二千億と言われますが、これは計算上七兆円に仮にして計算してみる。そうしますと
国民一人当たり七万円、夫婦子供二人の標準世帯で大体およそ二十八万円ぐらい。そうすると、一%の利息の切り下げで
国民、庶民は大体年間二千八百円の損なんです。今回、退職しますと——相当高齢退職者がおりました、郵政省で。この退職した人が三百万円預けると利息は御案内のように三万円年間少なくなるんです。私はこれは今回の金利引き下げの問題で
郵便貯金というものについて、いや日本の
金融事情の中で個人の
金融というのが主力をなしている。その個人の
人たちは利子しかメリットがない。その利子しかメリットがない個人のこの金利を引き下げる、物価は
上昇する、こういう中で一番犠牲になっている庶民の生活というのをどうして守っていくのかというのが私は政治の
あり方でなくちゃならぬのじゃないだろうか。
言われるとおり、金利を引き下げして企業の金利
負担というのを軽くして、これによって
経済活動を強めよう、不況を克服しようという
一つの方法かもしれません。しかし、これは庶民の肩がわりによって行われるということをはっきり指しているのじゃないでしょうか。これについてまず私は金利引き下げの問題についてそういうふうに感じます。この辺について郵政省、郵政
大臣は
郵便貯金事業を通じて三十兆を預かっている、
大蔵政務次官は
金融政策の中心におる、この辺についてどういうふうにお
考えになっておるのか、まず、この御見解をひとつ承りたい。