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藤原房雄君 可処分所得の伸びに比例するというお話ですけれ
ども、確かにそういう面もあるかもしれません。それで一方から言うと、こういう不況の中ですから非常に生活がぎりぎりいっぱいだということで
貯蓄なんかとてもできないという
方々もいらっしゃるだろうと思います。そしてそういう中でもがまんしなければならぬという、そういう無理をなさっておる
方々が実は多いわけなんですが、それと一方では、可処分所得の多い
方々、そういうことで当初の零細な
方々の
貯蓄というもの、そういうものがだんだん変わりつつあるのかもしれません。しかし、現在身近にあるということや、そしてまた長年親しまれてきたということや、また国が保証するということや、そういうことを通りまして、
郵便貯金というのは、やっぱり大企業の人や
多額所得者の
方々、高額所得者の
方々が安易に利用するというところよりも、やはり零細な
方々といいますか
一般大衆の
方々の利用する度合いというものは多いだろうと思います。
そういうことから、こういう
経済の変動という中でやむを得ない面もわれわれは十分理解できるわけでありますけれ
ども、しかし、それはそれとして、あるいはそこに至るまでの
預金なさっている
方々に理解を求める手だてというものがあるだろうと思います。十分な熱心な
審議をいただきましたと言ったって、一日どんなに熱心に
審議をしたって二十四時間しかないわけであります。聞くところによれば、六時間か実質は三時間だとか、それ以前のいろいろな準備があったのかもしれませんけれ
ども、また小
委員会等もあるはずですけれ
ども、それらのものをなさっていらっしゃらないことや、こういうことを考えますと、零細な
方々の
立場に立ってどうあるべきかということについてどれだけの実質的な
審議をしたかということは非常に私
ども疑問を感ずるわけです。
ここしばらくの間の新聞の「声」の欄、きょうの朝日にも出ておりましたけれ
ども、やっぱり
一般の
方々の見る目というのは、非常に
諮問して
答申がわずか十日の日そこそこという、それから過去のこと等も考えあわせて非常に急であったということや、そういう中でどれだけ実質的に零細な
方々の
立場に立って
審議をしたのだろうかという、そしてまた附帯決議もついておるわけですけれ
ども、これに対して具体的に何をどうするという、まあ日もありませんからそういうことについてまだ決定する余裕もないのかもしれませんけれ
ども、作文が後ろについているというだけであって、何の保証もないという、こういうことを考えますと、
預金なさっている
方々にすると、やりきれない気持ちだというのは当然だと思います。そんなことだったら
一般金融機関と同じような形態にすべきであって、なぜ
一般金融機関と違う形態でこの
郵便貯金が進められてきたのかということに対しての
一般の
国民大衆の疑惑といいますか、疑問といいますか、こういうものはぬぐい去ることはできないだろう。私は何も長い時間をかけたから
審議が行き届くとかどうだとかは思いませんけれ
ども、やはりこれだけのことをするわけでありますから、それ相応の手順といいますか手だてというものを踏むべきだと思います。
十二条からいきましても、
国民の「
経済生活の安定と福祉の増進のためにあまねく
国民大衆の利用に供される
制度であることに留意し、その
利益を増進し、
貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払うとともに、あわせて
一般の
金融機関の
預金の
利率についても
配意しなければならない。」というわけでありますから、この
預金者の
立場に立って十分な
審議がなされるべきであって、その結果どういうふうな結果が出るかということはこれは私
どもは
審議会にお任せするとしましても、これは
審議会でだれがどういう発言をしてどうしたかという、そこまで私
ども立ち入ることはできない。
審議会というものはよくいつも問題になるところでございますけれ
ども、大体、この
審議会のメンバーを見ましても、財界筋の人が非常に多いということを考え合わせると、本当にこの
審議会の運営というものが適正であったのかどうかという、また、その
審議会が
審議なさった
内容というのは一体どうなのかという、こういう疑問を持つのは当然だろうと思うんです。
今回、これは法律事項で決めるわけじゃありませんので、
審議会の
答申があればそれによって決められることでありますから、私がここでくだくだ言ったからといってひっくり返るわけじゃございませんけれ
ども、二度と同じような轍を踏まないように、やっぱり零細な
預金者の
立場に立って、それらの
方々が理解のできるような、理解といいますか、ある程度説得力のある十分な
審議、そしてまたそれに対する対応策、こういうものも考え合わせて、今後とも
審議会の
諮問、
答申、こういうものをやっていただきたい、こう思うんです。
審議会無用論といいますか、いま各省庁にある
審議会なんというのは全部やり直せという極端な
意見等もありますけれ
ども、いつも
審議会にかけると専門家の
意見だからということですぐ私
どもは口を封じられてしまう。ぜひひとつ、ほかの
審議会はそれぞれの
立場があるだろうと思いますけれ
ども、
郵政審議会も、零細な
預金者の大事なお金を預かっている、そしてまたインフレ傾向にある中でせっせとためたものが目減りするという、こういう重大なことを
審議する場であるということを考え合わせて、
郵政省としては、今後の運営についてはひとつしっかり御検討いただきたい、こう思うんですけれ
ども、どうでしょう。