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1977-04-19 第80回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月十九日(火曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      初村滝一郎君     川野辺 静君      片山 甚市君     森中 守義君  四月十八日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     矢原 秀男君  四月十九日     辞任         補欠選任      川野辺 静君     宮田  輝君      郡  祐一君     堀内 俊夫君      森  勝治君     片山 甚市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         神沢  浄君     理 事                 長田 裕二君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 堀内 俊夫君                 宮田  輝君                茜ケ久保重光君                 片山 甚市君                 矢原 秀男君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君    政府委員        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房電        気通信監理官   松井 清武君        郵政省貯金局長  神山 文男君        郵政省電波監理        局長       石川 晃夫君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   高橋 保司君    参考人        日本民間放送連        盟会長      小林與三次君        全国朝日放送株        式会社常務取締        役        三浦甲子二君        日本オリンピッ        ク委員会総務主        事        岡野俊一郎君        日本オリンピッ        ク委員会事業第        二部長      佐野 雅之君        日本放送協会会        長        坂本 朝一君        日本放送協会副        会長       藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      沢村 吉克君        日本放送協会専        務理事      山本  博君        日本放送協会専        務理事      川原 正人君        日本放送協会専        務理事      堀 四志男君        日本放送協会専        務理事      中塚 昌胤君        日本放送協会理        事        反町 正喜君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明  書(第七十五回国会内閣提出) ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (一九八〇年モスクワ・オリンピック競技大会  の放送権問題に関する件)     —————————————
  2. 神沢浄

    委員長神沢浄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  初村滝一郎君、藤原房雄君、森勝治君及び郡祐一君が委員辞任され、その補欠として宮田輝君、矢原秀男君、片山甚市君及び堀内俊夫君が選任されました。     —————————————
  3. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、国際電気通信事業に関する件について、次回の委員会国際電信電話株式会社役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕
  4. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。小宮山郵政大臣
  6. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和四十八年度貸借対照表等によりますと、昭和四十九年三月三十一日現在における資産総額は一千五百八十億八千七百万円で、前年度に比し九十九億三千五百万円の増加となっております。これに対しまして、負債総額は六百十一億六千七百万円で、前年度に比し七十九億三千三百万円の減少となっております。資本総額は九百六十九億二千万円で、前年度に比し百七十八億六千八百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産三百二十三億五千五百万円、固定資産一千二百四十七億六千七百万円、特定資産八億八千六百万円、繰延勘定七千九百万円であり、固定資産内容は、建物五百二十一億七千五百万円、土地百四十八億四千五百万円、機械三百九十二億八千八百万円、その他の固定資産百八十四億五千九百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債百五十五億七千六百万円、固定負債四百五十五億九千百万円であり、固定負債内容は、放送債券八十八億六千万円、長期借入金三百二十二億八千百万円、退職手当引当金四十四億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金四十億五千二百万円、当期事業収支差金百七十八億六千八百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は一千百八十七億二千三百万円で、前年度に比し八十七億四千四百万円の増加であり、経常事業支出は一千百九十六億七千九百万円で、前年度に比し九十一億三千四百万円の増加となっております。この結果、経常事業収支差金は九億五千六百万円の赤字となっておりますが、特別収入三百十五億四千八百万円及び特別支出百二十七億二千四百万円を含めまして、事業収入は一千五百二億七千百万円、事業支出は一千三百二十四億三百万円で、事業収支差金は百七十八億六千八百万円となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。坂本日本放送協会会長
  8. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ただいま郵政大臣から日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。  まず、当年度末現在の資産総額は一千五百八十億八千七百万円で、この内訳は、流動資産三百二十三億五千五百万円、固定資産一千二百四十七億六千七百万円、特定資産八億八千六百万円、繰延勘定七千九百万円でございまして、固定資産内容は、建物五百二十一億七千五百万円、土地百四十八億四千五百万円、機械三百九十二億八千八百万円、その他の固定資産百八十四億五千九百万円でございます。  この資産総額を前年度末に比較いたしますと、九十九億三千五百万円の増加となっております。  これは主として、東京放送会館売却収入のうち、その使用を翌年度へ繰り延べたことなどにより、流動資産が百四十八億三千二百万円増加しました一方、東京放送会館売却等により固定資産が四十七億四千二百万円減少したためでございます。  一方、これに対します負債総額は六百十一億六千七百万円で、この内訳は、流動負債百五十五億七千六百万円、固定負債四百五十五億九千百万円でございまして、固定負債内容は、放送債券八十八億六千万円、長期借入金三百二十二億八千百万円、退職手当引当金四十四億五千万円でございます。  この負債総額を前年度末に比較いたしますと、七十九億三千三百万円の減少となっておりますが、これは債務返還により固定負債が百二億七千八百万円減少しました一方、受信料前受金等増加により流動負債が二十三億四千五百万円増加したためでございます。  また、資本総額は九百六十九億二千万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金四十億五千二百万円及び当期事業収支差金百七十八億六千八百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、百七十八億六千八百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は一千百八十七億二千三百万円で、前年度に比較しまして、八十七億四千四百万円の増加となりました。  これは主として、総合・教育両テレビジョン放送網建設を推進いたしますとともに、放送番組内容充実刷新及び事業の周知、受信者維持増加に努めました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして、当年度内に二百六十八万の増加を示し、当年度末一千八百二十九万となったためでございます。一方、普通契約は、カラー契約受信者増加に伴い、当年度内に二百二十六万の減少を示し、当年度末六百二十六万となりました。  次に、経常事業支出は一千百九十六億七千九百万円で、この内訳は、給与四百十六億六千八百万円、国内放送費三百一億円、国際放送費七億九千百万円、営業費百三十三億一千五百万円、調査研究費十八億七千五百万円、管理費百二十五億六千三百万円、減価償却費百六十三億三千二百万円、財務費三十億三千五百万円となっております。  これを前年度に比較いたしますと、九十一億三千四百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容充実刷新受信者維持増加対策の推進及びこれらの事業規模拡大に伴う維持運用費等増加並びに建設工事の進展に伴う減価償却費増加によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は九億五千六百万円の赤字となりました。  この経常事業収支差金に、東京放送会館売却益等特別収入三百十五億四千八百万円を加え、一方、放送文化基金設立のための支出などの特別支出百二十七億二千四百万円を差し引いた当期事業収支差金は百七十八億六千八百万円となりましたが、このうち五十四億六千四百万円は資本支出充当として債務返還等充当済みであり、事業収支剰余金は百二十四億四百万円であります。  なお、事業収支剰余金には、東京放送会館売却収入のうち、その使用を翌年度へ繰り延べました事業安定のための資金三十四億九千三百万円及び債務返還の一部繰り越し八十七億円を含むものであります。  これをもちまして、協会昭和四十八年度末における財政状態及び当年度事業成績につきましての補足説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業発展努力してまいりたい所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  9. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 次に、会計検査院から検査結果について説明を聴取いたします。高橋会計検査院第二局長
  10. 高橋保司

    説明員高橋保司君) 検査の結果の説明を申し上げます。  日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、昭和四十九年十月二十九日、内閣から送付を受け、その検査を終わりまして、同年十一月二十九日、内閣に回付いたしました。  同協会会計につきまして、書類及び実施について検査いたしました結果、特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  11. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 以上で説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 案納勝

    案納勝君 すでに先月の三十一日、五十二年度予算案承認をされました。引き続いて本日、四十八年度決算が行われておりますが、今日NHKが置かれている事態というのはきわめて深刻な状態にあるわけです。そこで、私は、きょうは、大臣及び関係者の皆さんと、公共放送NHKをどういうように今後経営を安定し基盤確立していかなくちゃならぬか、こういう点について実は対話をしてみたい、こういう気持ちでいっぱいなんでございます。  まず第一に、私は、三月三十一日の五十二年度予算承認の際に、時間の関係もありましたが、幾つかの問題課題提起しました。その中に特に私が申し上げたかったのは二点ありました。  その第一点は、会長NHK手直しというそういう決意でひとつ国民対話をしてもらう、こういう点での決意国民に明らかにしてもらうという意味での質問でありました。これはきょうは触れません。  第二点は、NHKの今後の財政基盤確立ということについて、郵政大臣が従来にない異例な積極的な姿勢を実は出されました。私はその積極性を多とするところであります。もちろん若さで事業についてより創造的な斬新な方針をというのは大臣が就任をされたときのごあいさつでありました。私はそういう意味で評価をします。ただ、あのとき、それでは大臣がその決意を持っておられるならば、じゃ行政サイドとして今日やるべきことがどれだけやられているのか、そのことが十分になされて、その上で初めて大臣意思というのが積極的に生きてくるのではないか、こういう点を私は申し上げたのです。  それで、その第一として、一つ国際放送命命について、従来の国際放送命令、まあどんぶり勘定みたいな形で行われている命令あり方、これらについて私は明らかにしてもらいたい、こういう点を最終的に今後の課題として申し上げました。これを繰り返します。  第二点は、今日まで毎回の逓信委員会附帯決議が出されております受信料免除に関する規定の見直し、これについては相当額に上っています。私は、言うならば、NHKがある意味では高度成長の波に乗っていい顔ばかりしてきたと、こう言っても言い過ぎでない面がある。しかしながら、今日社会保障あり方というものを考えた場合に、しかも国民受信料で成り立っているというNHKの性格からして、この免除規定の取り扱いについて政府の窓口としては郵政省が当たらなくてはならない、このことは各省もその回答の中に郵政省が所管となってこの取りまとめをすべきだという、そういう回答が寄せられておりますが、この辺について私は提起をいたしました。もっと、郵政省はこの免除問題については認可をするといいますか、そういう権能があるわけで、そういう面での郵政省行政サイドとしての、いや私は政府側取りまとめ役としての責任というものは今日免れることができないだろうと思います。今後、この問題については毎回の逓信委員会での附帯決議で済むという問題じゃありません。いずれの時期かこれは決着をつけざるを得ません。これについて郵政省行政サイド努力というものを要望いたしました。  三点目は、受信料の収納に関して、きわめて問題になっているのは、航空騒音障害やあるいはビルの関係による都市障害、このことはきわめて今後も課題になっています。ところが、これはある意味では行政サイドの積極的な施策がなければなかなか解決をしません。とかく今日までの質疑の中で問題が提起をされながらも、今日なお審議会で二年間やり、あと二年間またさらに実態調査をする、そのテンポたるや実は大変私は行政サイドの熱意を疑うわけです。こういうものについてもっと行政サイドとして明確なはっきりしたものを速やかに出していく、指導していく、そういう面での行政指導というもの、行政サイド努力というものがなくちゃならない、こういうふうに私は提起をしました。  さらに、大臣に、今日の財政基盤確立のために新しい課金制度は考えられないかということをお聞きしました。私は課金制度の問題は後ほど触れますから、ここではこれ以上触れません。  いま申し上げた三点について、行政サイドとしていままで十分にされてきているのか、すべきではないのか。そしてその上に立って大臣の積極的な姿勢が生きていく、こういうことにならなければならないんではないだろうか。文字で、言葉で言うだけで、財政確立を図りなさい、積極的に長期展望を立てなさいという、積極面は私ども多とするけれども、それでは十分に仏つくって魂が入らないといった、こういうことになりかねないんじゃないかということをこの間私は指摘をしたんです。時間の関係もこの間ありまして、二時間が一時間十五分に削られましたので十分な突っ込みはしませんでした。問題課題はわかっておられる。  そこで、大臣に、これらについてどのように受けとめられて、大臣意見書行政サイド努力問題点、今後どのようにこれに対処していこうとされているのか、実は、このあたりを、これは質問のやりとりというのじゃなくて、大臣意見書を出しただけに、それだけ深刻に大臣も考えておられるだけに、どういうふうに受けとめられていかれようとしているのか。対話といいますけれども、率直な意見大臣からお聞かせいただきたい、こう思います。
  13. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 私のNHK予算に対しての意見書に対しての所見でございますけれども、まず、先ほど会計検査院から会計検査上は問題がないという御報告がございました。  まず第一、私はマネージメントがどうあるべきかという問題が一つございます。そういうような問題を本当に細かく私も予算書を見せていただけない、また説明も受けない、そういう意味では大変残念だと思っております。しかし、私は、NHKというのはパブリック・ブロードキャスティングという問題、「いわゆる」を使いますと怒られますので、公共放送としての放送法を踏まえてのNHKあり方というのは、NHK自体やはりたたき台を出していただきたい。それは毎回申し上げますように、労使が本当に悩み悩んで、やはり今後のあり方というものについてどうあるべきなのかということを郵政省あるいは本委員会等に提出して、本当に脳めNHKであるということの提示がなけりゃいけない。それがマネージメントであると、そういうふうに感じております。  ですから、高度経済成長の中でのマネージメントとは相当違った、たとえば聴視料を考えても、アッパーリミットは大体私らも想像がつきます。アッパーリミットが決まりながら、かつその経費上昇は単純な計算をしますと認めざるを得ない。それから従業員職員の労賃の値上げもやはりそれなりの値上げを見ていかなければならないということになれば、アッパーリミットが決まってて、片一方、経費職員に対しての報酬というものを考えてまいりますると、経営という問題を考えれば、経費上昇と賃金の上昇率をどのように踏まえてどのように把握していくかということが、私は、経営委員会あるいはNHK理事者側の考え方というものが提示があるべきであろう。それを踏まえて、郵政省は、法律に従ってということではなくて、それを乗り越えて精神的に、あるいはやはり当委員会と一緒になって意見を述べ、今後の伝統あるNHK発展を期すべきであろうと思っております。  この問題は討論しますと非常にむずかしい問題であり、私は、少なくとも日本経済と同じように、NHKもその岐路に立っている、関頭の上に立っているという感じがいたします。そういうふうなことで私はあの意見書を書いたのであります。  先生のおっしゃる国際放送命令というものが五億六千万ぐらいであります。それからもう一つ受信料免除措置、これも六十億ぐらいなものだと思います。そういうことから考えてまいりますと、そういうものはやらざるを得ない。また附帯決議等がございまするそのために努力はいたしますけれども、基本問題の解決というのは、私がいま申し上げた経営マネージメントという問題との中に入ってくる。ですから、安易にそれは聴視料を上げるというような問題ではない。もう一つ、私は、そこまで詰めて詰めて詰め抜いたときに、NHK放送法の改正をしてこれからの経営というものをどうするんだというような問題を踏まえて考えていただきたい。それを郵政省は受けて、どういうふうに考えるかということだろうと思います。  たとえば難視聴の問題、先生がいま三点目におっしゃった難視聴の問題にしても、民放、東京の四社だけでも百二十五億の純益を生んでおります。しかし、その多くの負担はNHKにかけられているというような問題、これは制度的にもう少し考えざるを得ないだろう。ですから、そういう意味でも民放そのもの相当純益を上げている。これはコマーシャル等広告料収入等がある。かつ、その中で合理化等をやっている。相当の人数を抱えながらもそういうようなことをやっている中で、NHKというものをひとつ見直しておく。官僚的になり過ぎたのではないかという感じも私はいたします。そういうようなことを含めて、五十二年度予算意見書として書いたつもりであります。
  14. 案納勝

    案納勝君 大臣の言われるように、まず経営マネージメント、これを主体的に出しなさい、これはよくわかるんです、そうなくてはならぬ。あるいはNHKは先行きの展望等きわめてむずかしい状態にきている、これは認識一致するわけですね。大臣の言われるように、相手に先に求める、これは当然です。それでNHKがどうあるべきかは、当委員会を含めて、大臣も含めて、さらには理事者方も含めて、国民の立場で論議をして、その方向をお互いに出さなくちゃならない大事な時期だと思います。  しかし、私は、今日まで繰り返し当委員会論議をされてきた、行政サイドとしてやらなくてはならない問題を、実はこれは行政サイドでこれだけのことは全部したんだと、今日の段階で、多くの指摘をいままでされてきた。ところが、それが宙ぶらりんのままで、それではいまや関頭の危機に立っているNHKとして主体的にそのことについてこうするんだと出しなさいと言う前に、実は、大臣、あなたの言われる意思をもっと具体的に、しかももっと積極的に内容のあるものにするには、いまやらなくてはならない放送法上の行政サイドの義務というやつを、あるいはやらなくちゃならない問題を私はしっかり解決をした上で、そのことについてお互いの場、共通の場で論議をしていくということの方がよりいま現実的で、また必要なことではないのか。そのことが大臣の真意というのが生きていくのじゃないのか。  片っ方は、毎回論議されているんだけれども、いいかげんと言ったら悪いけれども、ちょぼちょぼのところに置いておいて、それで国際放送だって何かわからぬ、まあよくわかりません、どんぶり勘定みたいな形になっている。毎回のように国際放送の問題について言われる。じゃ国際放送までNHK独自でしなくちゃならぬのかというところまで問題を派生をすれば出てくるので、また例の受信料免除の問題についても、免除規定は約款の中にあります。しかし、これらについて最終的に郵政省の一定の認可を得ているわけです。また行政サイドでそれについての助言、あるいは行政サイド委員会として要望してきた幾つかの課題というものはまだ解消されていません。これは歴史的にNHKの発生した沿革やあるいは放送が国の権力によって統括をされていた時代ならいざ知らず、今日の段階におけるこれらの取り扱いというのは、よく政府が言われるように、社会保障というのは国がするんだ、ばらまきで地方財政その他、地方自治体が勝手にばらばらやるんじゃない。確かに国民の協力が必要であります。しかし協力の度合いというのは、国の社会保障政策の補完をする役割りしかないはずだ。この辺について、私は、約款等の問題の再検討を含めて、行政サイドとしての整理をきちんとしてもらいたい、こう言ったわけであります。そういう面で、さらに難視聴問題についても、私は今日の新しいSHFの開発やその他の問題がもう現実課題になってきた。こういう中での行政サイドの行政のあり方というのはもっと積極的な面というものも打ち出していいのではないか。  こういう点で、大臣が言わんとすることはよくわかる。まず主体的にNHKやりなさい。これはNHK当然われわれも論議をするが、それを言われるだけに、行政サイドでやることをやりなさいと、それが魂が入ることなんだということを言っているわけであります。だから、大臣の言われることは決して私は間違いだと思いませんし、そのとおりだと思います。しかし、ここでぜひひとつ、いままで附帯決議で何回も繰り返してきているこれらの課題について郵政省としては一切整理をする、きちんと一つの要するに結論を出すということをひとつお約束をいただきたい。また、その上で私らも協力をします。そういう立場でこの問題について受け取っていただけないか、こういうように思いますが、いかがですか。
  15. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 行政サイドの具体的な問題でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。  いま先生から御指摘ございましたこの三つの点、いずれも非常に重要な問題でございます。したがいまして、われわれといたしましても、先生からの御指摘を待つまでもなくこの問題については従来から検討を進めてきているわけでございますが、先生から御指摘ございました内容国際放送あるいは免除の見直しあるいは難視聴問題、行政サイドでも検討は進めているわけでございますけれども、特にNHKの場合は公共的な放送機関ということで、行政サイドでのみ決め得るというものではなかろうと考えております。行政サイドにおいてもある一定の限度があるというところで、その限度の枠内においてわれわれは行政を進めていくということになろうかと思います。  国際放送につきましても、NHKといたしましては、放送法の九条の二によりましてNHKが独自に行うべき内容のものがございます。それから三十三条によりまして郵政大臣命令によって行う国際放送、こういうようなものがございまして、この三十三条の郵政大臣からの命令による放送につきましては、政府の方では予算をとりまして交付金を出しているわけでございます。九条の二はNHKの方で独自の構想のもとにやっているわけでございますが、国際放送というものの性格から内容的には大体同じと申しますか、政府命令分とNHKの自主的なものとを一緒にして放送する方が、受ける方の側、いわゆる海外におられる同胞の方あるいは外国人、こういう人もその方が便利であろうということで、われわれもそういう方法を従来からとってきております。したがいまして、この国際放送などにつきましても、さらにそれぞれの持ち分においてNHK郵政省が相談しながら効果を上げていかなければいけないのではなかろうかと、かように考えております。  それから受信料の免除の問題でございますが、これも先生おっしゃいますように、社会保障的な内容も確かにございます。しかし、この制度は大正十五年以来NHKがずっととってきた制度でございまして、相当一般にも定着している制度でございますが、ただ、その後社会の情勢が変わってきておりますので、確かにこの点について再検討する必要はあるというふうに考えております。で、これにつきましても、郵政省の方から行政サイドとしてのみ発言をし、さらに実施するということはかえって混乱を起こすもとでございますので、この点につきましては、先般来、NHKとどういうふうに見直しをしていったらいいか、そういうようなことなどを含めて検討にかかっている段階でございます。  難視聴につきましても、同じように、最近、非常に従来の辺地の難視聴に加えまして都市の難視聴という問題が出てまいりまして、ことに都市におきます難視聴の問題といいますのは技術的に非常に困難な問題が多く含まれております。それと同時に、それに対する経費の問題、こういうような問題も含まれておりまして、むずかしい問題がございましたので、郵政省としましては、外部の方にお願いいたしまして調査会をつくっていただいて、いろいろ検討をお願いいたしました。その検討結果も出てまいりましたので、われわれもこれを受けて、実施に移そうという段階で現在いろんな手段を実施しておりますが、現実には、まだ先生の御期待にこたえるほどの成果は上がっていないかもわかりません。しかし、これはやはりわれわれといたしましてもNHKを初め民間放送などにも話をいたしまして、この難視聴地帯を一刻も早く解決できるよう、これは現在鋭意検討中でございます。  大体、以上のようなことで先ほど先生指摘の問題については進めておりますが、冒頭申し上げましたように、行政サイドのみ走ってもこの問題は解決できませんので、放送事業者とよく相談しながら円滑に進めて、そうして一般国民大衆の受信に不便のないように進めていきたいと、かように考えております。
  16. 案納勝

    案納勝君 大臣ね、いま答弁聞きました。で、これ以上はよくわかっていることですから。で、この次のNHK予算審議の際には、再びこういうことが附帯決議やその他で繰り返されないように、よく一定の努力あるいは大臣の真意というものが裏打ちをされてそういう結果が出てきたという評価ができますように、そしてNHK全体の将来の展望というものについてNHKみずからがつくり上げていく、こういう意味での新しい論議の展開ができますように、一段と御努力をお願いをしたいと思います。特に国際放送についてこの間宿題を出しておきました。この次の審議までに十分に御検討いただきたい。  そこで次に入ります。次に入るのは新しい課金対象問題、これはひとつまさに対話という。  私は五十二年度NHK予算、そして今回のこの決算を見ましても、特に不払い問題を大臣も正面に取り上げています。この欠損金などを見ますと、四十八年度段階からすでに受信料に対する割合は二%を越えているという現状。それで金額では仮に二十三億ぐらいのもの、これは四十八年度でありますが、五十二年度はもう最初から欠損償却は二%をすでに越えている、こういう状態なんです。私はこういうものを踏まえて、先ほど大臣が言ったように、収入が三・一%、支出はどんなに節約をしても一二%台ぐらい、動かぬと言う。それで今日の安定成長あるいは低成長下におけるやっぱり高度成長と違ったNHKあり方、ありようというものをNHK自身も考えなくちゃならぬ、こう指摘をした。それとあわせて、いまこれらについての意見書の中に出されている気持ちも、私は今日のこのような状態というものについての危機感を持っておられるから出てきたと、先ほどの答弁のとおりだと思う。このまま推移をしますと、私は受信料制度、すなわち言論保障制度の一つとしてこの意義を重視をしてきたこの制度の堅持自身がきわめて危うくなるんではないかという心配をするんであります。私はこのことはきわめて重大なことでありますから、これ一歩進めまして、単に不払いをどうするかという問題よりも、公共放送の財政制度をどう確立をするのか、どうあるべきなのか、こういう視点で受信料制度をもう一回将来どうすべきかということを考える時期に来ているのではないか、私の私見であります。  そういう面で、たとえば五十年の十一月に中山NHK基本問題調査会長が答申に当たって個人的見解というのを前置きされて、やはり最近の受信料の契約や受信料収納の現状から再検討すべきだという希望意見を出された。時間がなくて十分な論議ができなかったということもあわせて、私はそういう面で私自身もいろいろ検討をしているのですが、私は新たなる課金対象というものをやっぱり考えるべきではないだろうか。これは、大臣、私にとっては大変苦痛な問題の提起なんです。国民の負担増というものを考えた場合に、新しい課金というものはこれにつながってきます。それだけに私の立場に立てば大変厳しい実はむずかしい提起になる。しかし、NHKの将来の財政基盤確立あるいは受信料制度という言論保障制度を守っていくという立場に立つならば、それならば金にかえられないものを国民として失うことはできないという気持ちがあるがゆえに実はきょう問題提起をするんであります。この辺について大臣の率直な意見をお聞かせいただきたいんです。それは私はもう多く申し上げる時間もありませんから申し上げませんが、いまのNHKの現状というものを考えた上でありますから、その辺の理解を十分していただきたい。  で放送法の四十二年五月の改正によって実は音声放送については受信料を課さないことになりました。これは新谷先生あたりはこの審議の際に相当意見があったやに聞いております。当時、ラジオ受信料の廃止の理由は、受信料の月額五十円に対して収納費が三十円、あるいはそれ以上の割り高であるという。当時は、しかも高度成長の波に乗ってテレビがどんどんどんどん普及してくる、こういう見通しの中で実はラジオ受信料の免除というのがあった。私はまさに高度成長の中の波に乗った一つだと思う。ところが、今日の時点は、もはや大臣も言われるようにテレビ限界、ほぼ飽和状態、これ以上の伸びは考えられないという状態に逢着をして収入と支出のアンバラが出るわけであります。しかもそのラジオの単設世帯が僅少であって実質的に収入減。収入増とならないと考えたものでこういうことになったわけでありますが、そこで、私は、この高度成長政策時代の遺物であり、あるいはそういう考え方であったこのラジオの問題について、もう一回、この際、考えてみる必要があるのではないだろうか。確かに新しい今日の技術革新その他によって音声放送も中波とFM、この二つの系列がなされていますが、さらに多重放送も実用化されようとしている、大きく様相が変わってきています。こういうかなりの変化というものをいま今日とらえて再検討していいのではないだろうか、こういうふうに考える。  その前提として、たとえば今日自動車の保有台数は約三千万台に上っています。したがって、この自動車のカーラジオを、現在の場合は、これは自家用車の場合世帯の延長とみなして取らないことになっているわけです。これを仮に三千万台というものを移動体ごとに契約をするということになりますと、受信料にして仮に、これは仮にですが、私の問題提起ですが、月に二百円ということにしますと、年間約七百億の実は受信料の収入という基盤がつくられるんだ。私は二百円がいいかどうかというのは別で、百円にしても三百五十億であります。本年度五十二年度受信料収入の見積もりは二千六十億円、こういうものを考えた場合に、このラジオ受信料をいま言った限定をされたカーラジオについて私は復活をさせていいのではないだろうか。このことが財政基盤確立とあわせて、私、最後の手段かもしれないと思っているんです。これは私は四十二年の五月の放送法の一部改正が通過をしたあのときからの条件の変化というものを考えた上で、私は再検討をすべき課題ではなかろうか、こういうふうに考えています。その点について、大臣はどういうふうにこれらについてお考えになっているか。  時代の変化に即応じて、公共放送あり方民放あり方、こういうものを検討すべき時期に来ていますが、これとあわせていま言った問題について、新しい課金制度について大臣の見解というものをお聞きをし、これは私は問題として提起をしているにすぎませんが、一つ課題として大臣のお考え方をお聞かせをいただきたい。
  17. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 大変貴重な御意見をいただいて、大変ありがたいと思っております。  たとえば島根県の江津のような問題等もこれあり、いまお話を聞いて三千万台にそのようなことがあれば、大変すばらしいことだと思います。しかし、なかなかそういう形だけで経営がよくなるということではない。質また意気込み等、いわゆる内容的な問題も含んでおります。ですから、私は、これはNHK自身がどのような決意をし、また、その決意の披瀝がどうこの当委員会で受け入れられるのか、また、それに対してわれわれはどう反応するかということを考える。私が先ほど申しました関頭に立ったというのはそういう意味であって、経営については政府、当委員会にお任せするんではなくて、自分から生み出してくるものである。  そういう意味でも、私はいまの先生の御意見というのは私なりにもいろんな意見があります。しかし、現時点の放送法の中では、なかなか意見を差し述べるということがむずかしい問題であります。このような委員会の中でオープンにディスカッションされることの方が望ましい。かつ、私は、いろいろな討論の中で政府がやるべきものはやらなければいけない。しかし、それは補完的なあるいは補助的な意味であって、本質的にはNHKの自主的な問題、NHKの内部そのものの問題だと感じております。  重ねて、先生の御意見を、今後とも参考にさしていただきたいと思います。
  18. 案納勝

    案納勝君 私も、大臣、きょう問題を提起をしたにとどめています。私も先ほど繰り返すように、私自身にとっても大変厳しい提起なんです。それは今年までいろいろNHKのいま言われたように公共放送としてのあり方、今日置かれている重大な段階、今後の見通しを考えて、公共放送として国民の言論や編集の自由をどうやって守っていくかという立場に立ちつつ、実は提起をしているわけであります。  言われるように、私はもう少しつけ加えると、たとえば毎年七百万台自動車はふえているわけですね。これはいま中波だけの受信料を取れと言うんじゃないです、ラジオの。これは一般の家庭のやつは免除していい。七百万台毎年ふえている。そうしますと、これは私は先ほど言ったように、NHK財政基盤確立国民の立場に立って考えてみると、これは最後の手段だと。営業車は一年に一回車検があります、私も前自分でオーナードライバーです、自家用車は二年に一回、これらと結合しながらやると、営業コストでもかなり低いものにつく。その前提になるのは、大臣が言われたNHK自体の問題だと思う。私は、これらは言われるように、後ほど昼からも論議をされるでしょうが、オリンピック・モスクワ放送、これは単にどこが放送するとか、独占したとかいう問題じゃない。象徴的にあらわれているのは民放あり方の問題やあるいは放送のあり方の問題が問われている問題だと思っています。そういうときにいま来ていると思います。  そういう面を含めて、私は、これはもっとこの委員会委員同士があるいは委員会の場を通じてお互いにディスカッションをしていく、十分そういう意味も踏まえていますが、大臣の方もひとつ十分な御検討をお願いをしたいと思います。  そこで、もう一回、時間もありませんが、次いでこれはNHK会長等にお聞きをいたしたい。同じように財政基盤の面での関係であります。  いま世帯と非世帯のテレビの受信料について同じように収納をされています。しかし、非世帯の場合は、五十二年度七十二万しか見込まれていない。ところが、これは同じように横へ一緒に並べてみればそれが正しいんだという言い方は絶対にしませんが、そうあるべきじゃないと思いますが、仮に電話を見ますと、事務用と言われているのは一千万台を超して一千百七十三万台。電話が事業用が一本しかないとかということで並列的に並べられないんですが、非世帯というのは私は七十二万台でなく、少なくとも五百万台、この半分ぐらいあるんじゃないかと想定する。これはNHK努力が足らないことも一つあるでしょう。しかし、私は、今回これらの問題について、非世帯、世帯のこの受信料の契約区別を明確化して、一歩進んで、電話のように事業用電話、住宅用電話と同じような格差の受信料制度というものを考えるべきではないだろうか、これもまず先ほどと同じように私の提起であります。  もうその前提は、大臣が言うように、収入だけ考えて何も自己革新ができないまま放置されたら私はこんなことはできないと思います。それは前提に立ちます。これらについてNHK自身としてこういう問題について検討したことがあるのか。また、これらについてNHKの置かれている現状というものを本当に深刻に考えるなら、もっとやはり積極的な提起や問題の投げかけがあってしかるべきだと思いますが、会長の御意見を承りたい。
  19. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先ほどのラジオの受信料の問題並びにただいまの御指摘、すべてNHKの言論機関としての自主性を保つための受信料制度の確立という高い御見識の中での御指摘でございまして、私どもとしては、その基本になるところの御期待に沿う努力をまず第一前提としてしなければいけない、そういうふうに深くいまの御指摘をいただいて感じた次第でございます。  ただ、具体的な一つ一つの問題につきましては、やはりいろいろな場合、法改正を伴う問題もございますし、いろいろな問題もございますので、にわかにここで具体的にお答えしかねる点もございますが、そのために、五十二年度予算審議の際にも申し上げましたように、NHKの内部に、基本問題調査会にたぐいする、専門家の方々の御参加を得て、近く委員会を発足したいというふうに考えておりますので、そういう場で、ただいまいろいろ御示唆いただきましたもろもろの点を踏まえて検討したい。従来、そういうことを検討しているかしてないかという御指摘につきましては、われわれなりに検討はしてまいりましたが、必ずしも御期待に沿うような形での御提案をしていないという点につきましては深く反省している次第でございますけれども、今後につきましては、御期待に沿うような努力をしたいというふうに思っております。  なお、世帯・非世帯別につきましての現状につきましては、担当から御説明させていただきたいと思います。
  20. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) ただいま会長から申し上げましたように、基本的にはNHKのこの財源の調達の問題としてどういう方法があるかということになるわけでございまして、その点につきましては、会長が申し上げましたように、今後、基本問題調査検討委員会というふうなものの中で、いままでに御示唆いただきましたいろいろな御意見がございます、複数台数制の問題もございますし、いろいろな御示唆について総合的に検討はしなければならないというふうに考えておりますが、この非世帯と世帯の契約で、先生ただいま御指摘ございましたように、事業用の電話と住宅用の電話、これはほぼ半々と申しますか、事業用の電話が約一千万を超えるということは私どもも承知いたしております。で私どものその非世帯の契約が五十二年度の計画で約七十二万ということでございます。  ただ、言いわけではございませんけれども、小規模の店舗と住宅が同じ屋根の下にあるというふうな場合に、テレビというものと電話というものの性格の違いから、電話の場合は事業用というふうにされる場合が私は多いだろうと思っております。で、そのような場合に、テレビの場合はやはり世帯契約というふうにされているという場合が私は非常に多いというふうに考えておりますが、そこの区別というのは非常に実際問題として困難な場合が多うございます。  で先生いまおっしゃいましたように、非世帯と世帯の額に差を設けたらどうかと、非世帯の契約の方を額を高くしたらどうか、という一つの御提案でございますけれども、現在、私どもは、世帯の場合は何台あっても一契約にしている、それだけ割り安になっていると申しますか、非世帯契約の方は台数だけの契約をいただいておるということで、世帯契約の方が割引と申しますか、割り安になっているというふうに考えておるわけでございます。で諸外国の場合を見ましても、ヨーロッパで、イギリス、フランスあるいは西ドイツ等におきましても、世帯については一契約、それから非世帯については台数ごとの契約というふうになっております。その中でフランスの場合でございますけれども、これはある数の台数になりますと、台数がふえますと額を低減する、割引をするというふうな制度をとっているところもございます。そういう実情でございまして、私どもは現在はいまのやり方でいいんではないかというふうに考えておりますが、先ほどの会長の答弁にもございましたように、今後の問題として約合的に検討しなければならないというふうに考えております。
  21. 案納勝

    案納勝君 もう多くを申し上げませんが、まるで本末転倒していましてね、本来ならば私がこういう問題提起をすべきじゃないと、こう思っているのです。もっと殿様稼業的ないままでのNHKのやり方を反省をした上での問題の検討をしてもらわないのかと思うのです。もっと真剣に私はNHKは考えてもらいたい。だから、きょうは私はそのことについていままでずっと言ってきましたからあえて触れないんです。  そういう立場で、たとえば今日の収納が困難な問題があります。いわゆる無理解者とか、あるいは不在家庭とか、あるいは障害による収納不能だとか、あるいは事実上NHK自身の努力の足りなさとか、私はこれが一番大きいと思うのです。だから、私は、そこあたりを、大臣が先ほどから言うように、きちんと整理をした上でということを前提にしています。そして私の方からこんなことじゃなくて、みずからが考えるべきことだと思います。ぜひひとつそのことをしっかり踏まえて、これらについて財政基盤安定をどうするのか、このことが言論の保障を私たちが守っていく、保障をしていくという立場でのNHKあり方はどうあるべきなのかということに私たちは触れているから実は出しているわけであります。ぜひひとつ御検討いただきたい。きょうは提起だけにとどめておきたいと思います。  最後に、時間ありませんが、これは郵政省大臣等の御意見を承りたいと思います。放送衛星の実験計画について。  今日まで放送衛星問題について当委員会でも何回か論議をしてきました。NHKは放送衛星の目的について難視聴解消ということを言われてきました。今日、五十五年度までの難視聴の残存世帯が四十二万世帯、こういうのを見込んでおられるわけであります。しかし、私は放送衛星がいよいよ実用化されますと、たとえば民放の場合に、いまの郵政省の指導の中にある地域ローカル性というのがいまほとんど民放の中になくなっています。キー局を中心にする状態の今日のネットワークがますます拡大をし確立されているという中では、もはや地域の放送局の存在すら実は問題となる。もう一つは、この放送自身が中央集権化されるおそれがあろうと思います。今日、実験衛星を打ち上げる段階にあるわけでありますが、こういった問題を考えた上で、現在、国際間でも八チャンネルが確保されてきたと報告をされている。こういうものを踏まえて、これらは文部省の推進中の放送大学の関連など含めまして、将来像をどういうふうに考えておられるのか、放送衛星について。  また放送衛星の場合、電波監理のあり方や国際影響について私は検討すべきだと思いますが、郵政省はどのように考えておられるのか。なかんずく、石川局長は、二月十五日の記者会見で、全国同時にできるのが放送衛星の特徴なんで、番組も公共的なものと言えば教養番組などがふさわしいのじゃないか、放送の主体は必ずしもいまのNHK民放にとらわれない第三の放送主体を新設した方がよいのではないかと思う、こう言われている。このような考え方はどういう将来像の中で出てくるのか。こういった点について、最後ですが、ひとつ今後も論議を続けることになると思いますが、御答弁をいただきたい。
  22. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) お答えいたします。  この放送衛星の問題ででございますが、御承知のように、この放送衛星は地上三万六千キロメートルという高さで赤道の上空の静止軌道にあるわけでございまして、そこから電波が送られてくるという形になっております。したがいまして、先ほど先生からも御指摘がございましたように、確かにこの衛星を使って放送を行いますと、わが国の場合は全国一円でおおむねカバーできるというふうに考えられます。それからまた非常に高い角度から入ってまいりますので、そういう意味で、現在の地上系の放送での難視聴地域、こういうようなところにも難視聴という形ではなく十分電波が届く、こういうような非常に衛星の特色を生かした放送ができるわけでございます。したがいまして、このようなものを使っての放送を行おうということで、各国とも関心を持ちまして、そうして先般の国際会議が開かれたわけでございます。  わが国といたしましても、やはりこういうような新しい技術、それから新しい用途というものを生かして放送衛星の実現を図ろうということで、実は来年の二月に実験用の放送衛星を打ち上げまして、そして各種の実験を行いまして、将来の放送衛星の実用化に取り組む次第でございます。  したがいまして、その衛星の将来像について御質問ございましたけれども、簡単に申しますと、やはりその特色を生かした放送というものがこの放送衛星というものを生かすことでございますので、ただ、どのような形でこれを運営したらいいかとか、そういうことについてはまだ実験も終わってない段階でもございますし、それから各国でのこの放送衛星に対する考え方あるいは体制、こういうものもわれわれとしては参考にしながら、わが国のその体制なり今後の利用の仕方というものを進めていかなければいけないのではなかろうかというふうに考えております。特にこの放送衛星、まあ衛星の問題につきましては、国内問題もさることながら国際性が非常に強いわけでございます。したがいまして日本だけが独自の形でこれを進めていくということはかえって国際的にも孤児になるということもございますので、やはりそういう国際的なこともにらみながら将来のビジョンをつくっていくべきであろうというふうに考えております。  それに伴いまして、その監理のあり方はどうするかということもございましたが、やはりこの監理のあり方と申しますと、衛星という非常に現在までの電波監理の体制から見ますと変わったと申しますか、従来の監理体制で必ずしも十分監理できるという体制ではないわけでございます。三万六千キロメートルの高さにあるわけでございますので、監督といいましても人間が行くわけにもまいりませんので、そういう点なども含めましてこの監理のあり方というものを検討しなければいけないわけでございますが、ただ、本質的には、現在の電波法にございますように、免許、監督あるいは監視、こういうようなことは十分現在の体制を発展させてこの電波監理を行いたい、かように存じております。  ことに、この放送衛星の場合で問題になりますのは、スピルオーバーの問題などがございます。こういう点につきましては、従来、余り重要視されていなかった、いわゆる地上系においては重要視されていなかった内容のものでございますが、放送衛星になりますと、このスピルオーバーという問題が相当大きな影響を外国に考えることになるわけでございます。したがいまして、そういう点も検討していかなければいけないと思います。このようなことがやはり国際的にも検討する内容だと考えております。  二月十五日に、先生指摘の、私、記者会見で申し上げた点を御質問ございましたが、ちょっと内容でその私が申しました真意でございますが、これはいま申しましたことの繰り返しになりますが、衛星放送は、地上三万六千キロの静止軌道から電波を送るために、全国一円同時にカバーできるとともに、高い仰角を確保することが可能である、このようなすぐれた性質を持っておりますので、その実用化に当たりましては、このすぐれた特質を最大限発揮させるために白紙の立場であらゆる可能性を検討してまいりたい、こういう意味のことを述べたのでございますが、いま先生の御指摘では新設というようなことも出ましたが、私は、その新設がよいのではないかというようなことを言った記憶はないわけでございますので、この点は何かの間違いではなかろうかというふうに考えております。  以上でございます。
  23. 矢原秀男

    矢原秀男君 NHKの決算に入る前に、朝刊に各紙が公定歩合引き下げ等について取り上げておりますので、郵政大臣にお伺いしたいと思うんです。  私、四月十二日に、予算委員会で公定歩合の再引き下げにつきまして日銀の副総裁と大蔵大臣にお尋ねをしたんですね。そうしたら、御両名とも、いやいや、そんな全然そういうことはいたしませんとけんもほろろに言われておったわけなんですが、一週間たたないうちに、こういうふうなことを平気で言われている。私は、日本の社会情勢の中で、やはり否定をしながらやるときには抜き打ちでやらなくてはならないという、投機的な、いいのか悪いのか、そういう面があるからこういうことになったんかなと思っておりますけれども、しゃあしゃあと、国民の私たちが声として取り上げておるのに平気で反対のことを言われておる。まあ大蔵大臣が言われるのはともかくとして、政治家ですからいろいろあるでしょうが、日銀さんの偉い方々がそのようなことで、私も非常にこれではりっぱな政治も、安心して言うことも言えないなあというふうな非常に残念な気持ちでございます。  そこで大臣にお尋ねしたいのは、「公定歩合一%下げ」「きょうから五%に」そこへ「定期性預金下げも発議」と、こういうふうになっているわけですが、郵便貯金の金利も連動下げ、こういうふうな見出しで、大臣が「一両日中にも手続き」と、こういうふうになっているわけです。  私、率直に申し上げたいんですけれども、現在、三月末まで残高三十兆円を突破した郵貯であっても、郵便貯金は庶民のささやかな零細な預金である。しかも四十五年を一〇〇として五カ年での消費者物価指数を見ても一七五%前後という世界で一番のそういう中で、貯金はしても値打ちはだんだんだんだんなくなっているというような、そういう大変な状態の中で、国民の方々は黙って病気のためとか、土地は値上がりして家は建たないけれども家のためとか、子供が学校に入ったらお金がかかるからとか、そういうふうにしてささやかな気持ちで郵便貯金を一生懸命している。大蔵省や銀行関係、財界やなんかは郵便貯金も連動しないと、引き下げしないと大変じゃないかというふうなことで平気でやっておりますけれども、私は、庶民の立場から見て、郵便貯金のこの庶民の零細な預金というものは下げるべきではないという基本的な立場、そういう中で質問するわけでございます。  大臣も、郵便貯金の利下げについては、ただでさえインフレで目減りが問題になっているのに、これ以上預金者の不利になるようなことはできないという消極的なお気持ちも持っていらっしゃるということが出ておりますが、また一面では、両者のバランスを考える時期だというふうなことを言われていらっしゃって、郵政審議会の諮問事項なので一両日にもその手続をとり結論を出したいと、こういうどちらなのかなというふうな疑問点を私も持つわけでございますが、一つは、郵政大臣は、庶民のささやかなこの郵貯の問題という立場を考えたときに、庶民の立場に立つのかという問題が一つと、そうしていま両面のお話がございますが、どちらの側に立った姿勢であるのか、お伺いしたいと思います。
  24. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 大変突然な御質問で、私自身も昨日公定歩合の引き下げにびっくりいたしておるものであります。けさの閣議でも、金利改定については郵政大臣としては白紙であるということであります。ただし、私も法に従って仕事をするものでありますから、今後とも郵便貯金法第十二条の趣旨を尊重して、慎重に対処いたしたいと思っております。
  25. 矢原秀男

    矢原秀男君 ひとつささやかな庶民の声というものも最大限に大事にしていただきたいと思います。  じゃ、あと時間もございませんから具体的な質問いたしますが、NHKにちょっとお伺いしたいんですけれども、実は、兵庫県の丹波篠山町で五十二年度町の予算NHKが郷土祭りの放映に協力をするというふうなお話があったとかで、町予算でございますから非常に小さい規模なんですが、五十万円を計上したわけなんですね。ここは全国で有名なあのデカンショ節の発祥のところでございまして、町民挙げて、いよいよ全国へ紹介していただく機会が来たなというので非常に喜んでおられたそうでございますが、いや実はだめらしいというので、町当局の見通しの甘さというものが責任問題としていま出ているわけなんでございますが、NHKはこのような番組の企画について地元との交渉経過がどのようになっていたのか、まずお伺いしたいと思います。
  26. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたしたいと思いますが、具体的に丹波篠山町のことについては、実はいま情報が手元にございません。したがいまして具体的にお答えできない状況でございますが、一般的に、たとえば地方派遣番組というのは現在大ざっぱに言ってテレビで二つございます。一つは日曜日の素人のど自慢であり、一つは「お国自慢にしひがし」という月曜日の午後七時半から今年度から放送しておるものでございますが、いずれも原則的には、われわれの方で全国的にバラエティーを考えて、こういうところで収録をしたいということを決めます。と同時に、各地方でやはり私のところのやつを放送してもらいたいという希望もまいります。それを勘案いたしまして、大体半年前ぐらいのスケジュールでいろいろ決めて、そして現地の方との折衝に入るわけでございますが、そして最終的に決まるのが大体二、三カ月前ということかと存じておりますが、それまでの間に、こう特段に決めてしまう、一方的に決めてしまうというようなことはないと思っております。  なお、町の予算等でございますが、原則的には現地の方々に金銭的な御迷惑はかけないと、全部NHKの責任でやるというのが原則でございます。ただ、場合によりますと、非常に交通、駐車場の問題とか、そういう問題が出てまいりまして、放送と直接関係のないところで費用がかかる場合等があるというふうには聞いておりますが、そのために特段の予算を必要とするというふうには私たち考えておりません。  なお、丹波篠山の実例につきましては、これから早速問い合わせまして、できましたら午後の委員会にでも、あるいは個人的にも資料を提出申し上げたいと思っております。
  27. 矢原秀男

    矢原秀男君 地元では、NHKで全国的に紹介されることで大変大きな期待を持っておりまして、これは日本全国の方がNHKで紹介されておりますお国自慢とか日曜日に取り上げられる番組にいたしましても、全国のどなたが、いろんな階層が見られても、このデカンショ節の発祥の地のこの番組について異議を申し立てられるような人は日本じゅうにおられないと、私、歴史的なそういう状態から見て思うわけですね。だから、かえって遅いじゃないかというふうな意見が方々から出ても、そういうことでどっから見ても理解を受けられると思うんですが、何とか地元民の要望にこたえていただきたい、努力をしていただきたいというのが私の希望でございます。  それは予算も五十万といったって、地元も非常に喜んでやってることですから、これはNHKがそんな要らぬと言われても、これは非常に気持ちのいいことですから、問題は私はないと思いますがね。ただ、総理大臣が地元へ帰っていろんな計画が出た、そういうようなこととこれは全然違いまして、全国の方が見れば非常に喜んで、大きな私は文化面においてもプラスになることだと思いますので、どうかこの点、地元の要望を、これは半年前からの計画とかいろんなこともあると思いますけれども、今後、前向きで取り組んでいただきたいと思います。その点いかがでございましょうか。
  28. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 前向きで検討さしていただきたいと思います。
  29. 矢原秀男

    矢原秀男君 では、次に、航空機の騒音によるテレビの受信障害についてお伺いをしたいと思います。  まず、基地の関係では、一定範囲の受信者につき半額免除になっているわけなんですね。一方、民間空港の関係については、一定範囲の受信者につき航空公害の防止協会を通じて助成金の交付という方法により受信料の軽減措置を講じておられるようでございますけれども、その実態はどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
  30. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 民間空港につきましては、従来は、現在の基地と同様に幅一キロ、縦五キロということにいたしておりましたが、昭和四十八年度からWECPNLというこの基準を適用いたしまして、WECPNL八〇というものを基準にいたしまして、これ以上の区域、これのコンターを作成いたしまして、これは運輸省でそのコンターは作成されたわけでございますが、そのWECPNL八〇以上の地域、これに対しまして半額の補助をする、助成をするということでやってまいりました。  で、その後、やはり空港周辺の住民から区域の拡大の要望がございました。それに対しまして運輸省でこの範囲の拡大を決められまして、WECPNL八〇以下七五までの区域、これを追加いたしまして、この区域に対しまして四分の一の助成をするということを、昭和五十年度から、実施をしているというのが実情でございます。
  31. 矢原秀男

    矢原秀男君 私の調査でも、現行の基地関係の免除基準は昭和四十五年四月からの設定にかかるものであり、また民航関係については、いまも御答弁いただきましたけれども、受信料の半額相当額の助成、こういうことが五十年度からは助成の対象範囲として八〇以下七五、加重等価平均ですね、騒音値ということで拡大をしておりますが、その拡大部分が約八万世帯になるわけでございますが、これらの受信者に対しては受信料の四分の一相当額を助成しているといま伺ったわけでございますが、基地関係と民航関係では、免除ないし軽減措置の対象区域を異にしていると私は感じるわけでございますが、これらについてはいかなる理由によるものであるか、お伺いしたいと思います。
  32. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 先ほど先生も申されましたように、昭和四十五年以降四十八年までは、横一キロ、縦五キロということで、基地も民間空港も同じ基準で免除・助成の措置をしておったわけでございますが、この横一キロ、縦五キロというよりも、やはりWECPNLというこの環境基準、これでやった方が合理的であるということで、民間空港の方はそういうやり方を四十八年以降したわけでございます。で私どももその方がより合理的であるというふうに考えておりまして、防衛施設庁ともお話をいたしております。で防衛施設庁の方でも、現在、このWECPNLによるコンターを作成をして、それによって免除地域を決めていくということを検討されている状況でございまして、恐らく将来そういう形に、両方とも同様の基準でやるようになっていくのではないか。私どももそういうふうに持ってまいりたいということで、防衛施設庁ともお話をしている実情でございます。
  33. 矢原秀男

    矢原秀男君 受信料の滞納理由の中で、航空機騒音による受信障害が挙げられておりますけれども、基地関係と民航関係との比率がどのようになっているのか、ちょっと具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  34. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 基地周辺と民間空港の周辺の不払いの比率なり状況がどういうふうになっているかという細かいデータは、いま手元に持ち合わせておりませんので、後ほど調査いたしたいと思っております。
  35. 矢原秀男

    矢原秀男君 私も大阪空港周辺におりますんで、騒音の障害の実態というものはよくわかっているわけでございますが、実情は基地関係よりもかなりひどいと私も思っているわけでございます。そういうことで、受信料の不払い者数にいろいろあらわれているんではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、対象地域をもっと拡大すべきではないかというふうに考えますけれども、これらに対してはいかがお考えでございますか。
  36. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 先ほどもお答え申し上げましたように、四十八年度からこの新しい基準を適用し、さらに五十年度から八〇以下七五までのところを四分の一助成ということで範囲を広げたということでございます。しかし、地域の住民の方々にはさらに要望があることは私どもも承知をいたしております。この範囲の決定というのは運輸省が決められるわけでございますので、今後とも、そういう地域の住民の要望を受けとめまして、私どもはやはりその被害を受けておられる地域の住民の方々の側に立って、運輸省とも十分御相談いたしたい、このように考えております。
  37. 矢原秀男

    矢原秀男君 よくいろいろ御家庭を訪問しておりますと、基地や民航周辺の受信者の方々は、受信料の軽減よりも正常な画像や音声といいますか、そういう正常なそれを見たり聞いたりという希望を持っているのが実情でございます。ですから、私、逆に考えまして、運輸省やNHKの方で、もし騒音障害の軽減という積極的な対策——まあアンテナや受信機の改善等、私もう少しこれ積極的ではないなと思っているんですけれども、いずれにしても受信料を半額にしているのだからという、そういう考えの中から、受信状態の改善とか対策というものをいささかでも放置していけば、これは問題ではないかなと、こういうふうに考えるわけでございますが、そういうふうな点についてはどういうふうに対処されておられますか。
  38. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) おっしゃるとおり、受信料を軽減するよりは完全な状態で受信をしたいとおっしゃるのは当然なことかと思いますし、無理からぬ御要望だと存じます。  私どもも、その点に関しましては、かねてからいろいろ検討、研究は進めておりまして、もう先生も御承知かと思いますけれども、たとえば画像がふらつく、いわゆるフラッターというような現象、飛行機から電波が反射をして返ってまいります、そのために地上へ直接参りました電波との間で干渉を起こしてふらつくという現象がございます。こういうものにつきましては、上空から参ります電波をできるだけ感じにくいアンテナ、つまり指向性のいいアンテナの指導をするということもやってまいりました。また、音の方につきましては、飛行機の方で音を出さないようにしてもらわない限り、われわれの方で音を防ぐ手はございませんで、一つの方法としまして、御家庭の遮音をどうすればよくなるか、家屋の遮音の研究をいたしまして、この御指導をいたしたこともございます。  そういうことで、決してないがしろにしているつもりはございませんし、また、メーカーさんの方でも、白黒テレビの受像機とカラーの受像機とを比較いたしますと、カラーの方がかなりフラッターに対して強い性質を持ったような受像機になっておるわけでございまして、現実に白黒の受像機とカラーの受像機と現在新しいものを比較しますと、カラーの方がフラッターを受けにくい——もちろん、これはフラッターを受けにくくするためにそういう受像機をつくったわけではございませんけれども、受像機の性能の向上に伴いまして、そういうこともかなり進歩してまいっておるわけでございます。  私ども、できる限り、技術的に可能な手法というものは今後とも追求してまいりたいと思っております。
  39. 矢原秀男

    矢原秀男君 テレビの難視対策の調査会の答申でも、鉄道の障害や航空騒音障害は対象外となっていると思うわけですね。そういう観点の中から大臣にもお伺いしたいわけでございますが、この航空騒音によるテレビの受信障害、それに対する対策ですね、大臣としては、今後、どういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  40. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 具体的な問題でございますので、私からお答えしたいと思います。  航空機の対策につきましては、先ほどNHKの技師長の方からもこの対策についていろいろ御説明ございました。フラッターに対する対策あるいは音量を上げることによって雑音を防ぐ、騒音から守る、こういうようないろいろな手があると思います。われわれといたしましても、当面、これを解決する方法としては、技術的な方策によりまして解決していくということが現在われわれとしての対策として一番現実的なものではなかろうかと思いますが、やはりさらにこういうものの性能を向上いたしまして、そして被害を少なくするようわれわれも努力いたしますし、同時に、また、NHKの方の研究も進めていただきたい、かように思っております。
  41. 矢原秀男

    矢原秀男君 受信料の問題が先ほどからも出ておりますし、いまもちょっと取り上げたわけでございますが、そういうことでこの問題で会長にお伺いしたいと思うんですが、国営による財源の将来問題として検討課題になっているかどうかという観点から質問したいんでございますが、世界の放送実施状況を見ておりまして、その経営形態を見ておりますと、一つは国営、二番目には公営、三番目には商業、まあ日本で言えば民放に当たると思いますね、そういうふうな経営形態の中で財源をどこに求めているかという問題になりますと、国営の場合だけを取り上げて私ちょっと見ておりますと、一つは、受信料と広告放送で賄う場合、二番目には、受信料だけでやっているところ、三番目には、国家予算と広告放送でやっている場合、四番目には、受信料と国庫の交付金で賄っているところ、五番目には、国庫交付金でやっているところ、六番目には、国庫交付金と広告放送、こういう六種類を国営の場合の財源として世界各国の放送状況から分類することができると思うんです。  NHKの場合、これは国ともいろんなまた関係もあると思いますが、将来の問題として、こういう各国のそういうふうなものを取り上げながら、日本の将来の態様としてNHKもこういう形の方向にいかなくちゃいけないと、そういうふうな御討議がいろんな話題になっているのかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  42. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その先生の御指摘の問題は、NHKの存立にかかわります非常に重要なポイントでございます。で、われわれといたしましては、昨年度の基本問題調査会の御答申にもございますように、現在の日本のこの受信料、直接の受信者NHKとの契約の上に立つ受信料制度と、それから広告放送によって経営する商業放送という二本立ての姿が理想的なことであるというような御答申もいただいておりまして、   〔委員長退席、理事案納勝君着席〕 私も、問題なしとしないといたしましても、現状ではやはり何といってもこの制度を守るということが、言ってみれば、言論報道機関としての立場を守ることになろうかと思いますので、現状での御質問に対しましては、私はこの制度を守りたいというふうにお答え申し上げたいと思いますが、ただ、先生の御指摘にもございますように、財政的経営基盤にかかわります問題でございますので、NHKといたしましては、先ほど申し上げましたような調査会等をさらに部内に設けまして、検討していきたいと思う次第でございます。したがいまして、会長として将来どうあるべきかということを、いまこの場で申し上げるということはなかなか困難な事情を御推察いただいて、御理解賜りたいと思う次第でございます。
  43. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ最後に、いま諸外国との相互理解のために、親善友好のためにも非常に重要な国際放送の問題についてお伺いしたいと思うのでございます。  一つは、海外の居住者の増加あるいは旅行者も増加をいたしております。で全日制の日本人の学校あるいは日本語の補習学校も百校以上いま外国にあるわけなんですね。ですから、日本語による放送をふやしていただきたいと、こういうふうな声もあるかと思うわけでございますが、そういう点についてはどういう実態把握と、そうして今後の方向としては、こういうふうな方々のためにさらにふやしていくのかどうか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  44. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 国際放送におきます海外の在留邦人並びにその子弟等を対象とする形の番組というのは、御承知のように、現在でも重点事項の一つとしてやっておる次第でございます。具体的な中身等につきましては、いまここで詳細を持ち合わせておりませんので御説明しかねる点もございますけれども、将来方向として、やはりそういう点を重点の一つにするということは、先生の御指摘のとおりというふうに私も理解しておる次第でございます。
  45. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに、受信障害の問題についてお尋ねいたします。  テレビの難視地域の解消の問題ですけれども、前は、当時の地域の具体的な個所だとかそうしたものを予算参考書に記載していただいていたと思うんですけれども、このごろはそれがいただけなくなっているんですけれども、何か特別な事情でもおありでしょうか、支障があるのでしょうか。
  46. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) おっしゃるように、数年前まで、ある程度の候補地としてお手元にお届けしたことがあったと思います。最近、ここ数年来、そういうことをいたしておらないんでございますが、それは御指摘のとおりでございます。  何か理由があるかという御質問でございますけれども、御存じのように難視地域というものが非常に小ちゃくなってまいりました。一つの町とか一つの市であるとかという単位でございませんで、その中の一集落になってきたということで、私ども具体的にその候補地を選定いたします作業が非常にやりにくくなっております。技術的に前もって余り早い時期にこれを決めかねるという状態になっているのが一点でございます。  もう一つは、最近のようにミニサテの適用がかなりできるようになってまいりますと、共同受信でやるのかミニサテでやるのかという技術的手段といたしまして、従来のように置局候補地でございますと自信を持ってお出しするだけのものが予算提出の時期にはなかなかまとめかねるというようなこともございまして、かえって御迷惑をかけるかということで差し控えておる次第でございます。
  47. 山中郁子

    ○山中郁子君 大体の分布ですね——いまおっしゃったのは、それはそれとしてわかりますけれども、ことしは大体十万戸の障害を解消するというふうな方針で提起されておりますけれども、難視解消の問題は一つ課題でもありますし、NHKとしても重要な施策の中身の一つですけれども、現在多少のそうした困難があるとしても、全体的な分布がどういうところで難視の地域があるのか、それから十万戸解消という具体的な解消の個所はどういう計画になっているのか、その辺のことはぜひ私どもも知っておきたいですし、公表してしかるべきことだというふうに思いますので、その辺についてはぜひ積極的に御努力いただいてお示し願いたいと思っておりますが、お約束いただけますでしょうか。
  48. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 地理的な分布につきましては、もう全国に細かく分布をいたしておりまして、ですから、その中のたとえば何県のどの部分だと申し上げるような作業がしかねるということでございます。  それから、たとえば置局を二百カ所予定しました。その二百カ所の平均対象世帯が二百世帯平均でございますとか、あるいは共同受信をやります平均は六十七、八世帯でございますとかというふうな平均的なつかみ方をいたしまして、それで全体で十万世帯解消できるであろうというような、私どもの判断といいましょうか、予算の立て方でございます。  それから、おっしゃいました御趣旨が、具体的に何町の何丁目と言わなくっても、何県のこの辺だよと言えとおっしゃいますと、それが非常にむつかしいということを申し上げておるわけでございまして、ただ具体的に先生がこの地区はどうなっているかというような具体的な地名を、どうなっているかということをお知りになりたいということでございましたら、それについての現在の調査状況はここまでまいっておりますというようなことは申し上げられるかと思いますけれども、全国的に二百カ所をやるのにその候補地はここここだという自信を持った資料としては申し上げかねるという意味でございます。
  49. 山中郁子

    ○山中郁子君 変更ということは、それはあるかもしれません。だけど、どこがどうなっているのかというふうにして聞かれればお答えできるとおっしゃるならば、大体の計画はこうなんですよということがわからないはずないじゃないですか。
  50. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) そういうものを積み上げまして、来年度は来年度の置局候補地はこういうところを拾い上げようということでございます。ですから、対象にいたしますものを全部拾い上げておけば、おっしゃるような御趣旨になるかもしれませんけれども、候補地を全部挙げてしまいますと、それは五年先のものまで入ってくるというようなことになりまして、かえって候補地にならないじゃないだろうかということも考えますと、おっしゃるような形で御参考になるものをお出しするのは非常にむつかしいという意味でございまして、決して何にも出せないという、隠している趣旨は毛頭ございません。  あるいは意見を申しますと、来年候補地が二百なり三百なり出るといたします。そのうちの百ぐらいは間違いなく来年度やれそうな候補地だというふうなところを数をしぼって参考にお出しするということであれば、私どももかえって安心をして自信を持ってお出しできる数はございます。
  51. 山中郁子

    ○山中郁子君 私わからないんですけれども、だって具体的に十万戸は解消するという計画を立てていらっしゃるわけでしょう、そのためにお金も使うわけでしょう、予算も組んでいらっしゃるわけでしょう。それがどの地域を解消しようとしているのかということが何とも言えないということはあり得ないじゃないですか。だって実際にはお金を使って解消するわけでしょう、その計画を十万戸ということでことし立てていらっしゃるわけでしょう。だから予算編成時期に、多少そのときは間に合わなかったというふうなことはおありになるかもしれないし、また中身については技術的にも多少変動もあるかもしれないということはあるかもしれないけれども、重要な問題の一つとしての難視解消という施策であるし、お金もそれなりに使うわけだから、どこの地域、大体どういうところでことしは解消していきたいということは当然おたくで持っていなきゃおかしいし、第一持ってなきゃそういうものできないはずでしょう。  何も十年先のことを言っているわけじゃないんだから、ことしの問題なんですから、それがやっぱり公表できないというのは私にはどうにも理解しがたい。すごく秘密にしているとも思えませんけれども、その辺はどうも理解しがたいんですけれども、それは何らかの形で公表して、私どもも入手できるようにおまとめいただきたいと思いますけれども、その辺はごく基本的な問題として、姿勢の問題として、会長、いかがなんでしょうか、私にはどうも理解しがたいんですけれども。
  52. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 技術的な問題でございますんで、私から——。  決して秘密にするつもりは毛頭ございません。私ども、逐次、難視を解消してまいります。したがいまして、ことしやりました難視解消がどういう規模の局がどういう分布をするか、それを平均しますと一局当たり二百五十世帯であるとか三百世帯であるとかいうマクロ的な見当がつくわけでございます。Aの地点をやりましても二百世帯、Bの地点をやりましても二百世帯解消できるといたしますと、何もAの地点と決めなくても全体の計画はできるわけでございます。そういうことで、たとえば五十二年度予算の編成では、一局当たり二百世帯解消できるであろう、それで二百局やれば四万世帯解消できるであろうという見積りでございます。具体的には四万世帯が三万八千になったり四万五千になったり、実際の具体的な局、実際のポイントが決まってまいります。局の規模が決まりますと、そこでそれだけの誤差は出てまいりますけれども、そういうやり方をしておるわけでございます。また、従来出しておりましたような自信を持った候補地をあるしぼった数で出すのが非常にむつかしくなったという点は御理解いただけるかと思います。  ただ、先生のおっしゃるように、何も候補地はないのかと、候補地なしにやっているのかと、実は、そうじゃございません。
  53. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、それを出してくださいと言っているんです。
  54. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) それをことしの候補地として権威のある形でお出しするのには非常にむつかしくなったと、ですから、非公式な資料で、現在ここまで進んでおりますということでございましたら、お手元にお届けできることはできます。
  55. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃそれでも結構ですから、いただきたいです。  で、ちょっと一言申し上げておきますけれども、二百局なら二百局という具体的な計画あるわけでしょう、それはどこの局だというのはわかっているわけでしょう。だから何も私はどこの地域の何町の何番地の何世帯という、そんな厳密なことを言っているのじゃなくて、十万戸の解消を図るというのだったら、その十万戸というのは大体もともとが、いま現在難視地域はどういう分布になっているかということは地図の上でも表示の方法は幾らでもありますね。そして、そういうものをまとめていただければ、大体、日本全国見渡してどういう地域が難視の度合いが高くてどういうところに分布しているかというのはわかりますよね。そういうことだって私は考えられると思うんです。そんなことも多分おやりになっているんだと思うんですけれども、そのうち、ことしは大体この辺の地域をどのくらいということで表示していただけることだと思います。  私がこう言いますのは、難視解消というのは国民一つの大きな要求でもあるし、公共放送としてのNHKの重要な課題でもあるんだから、その辺のことについてはぜひはっきりさせておいていただいてよろしいんじゃないかと思っております。かつてはそれが出ていたわけですからね。そういう点で、だんだんと少なくなって技術的な困難さというのが多少あるということはわからないではありませんけれども、どうしてもそれができないというふうな困難さは私はないと思いますし、先ほどおっしゃいました、非公式な形でいま現在どういう計画になっているのかということをお示しいただくのでもとりあえず結構ですから、それをお願いいたします。
  56. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 率直に申しまして、先生のおっしゃるようなことは、年度初めなり予算編成時期に、どの地区に局を置くんだということは決めかねます。したがいまして、具体的に私どもの作業は、前年度の置局がかなり進みまして、それがほぼ終わりに近い時期にやっと幾つかの局の候補地を確定できる段階でございます。   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕 年度前半に約三分の一決まる、中ごろに残りの三分の一が決まって、年度末にやっと最後の三分の一が決まって翌年度継続工事をするというのが実態でございまして、おっしゃるような、具体的な地名、今年度はここでございますよということを申し上げる時期というのは、予算編成時期には非常にむずかしいと。  おっしゃいますように、全国にどういう分布をしているか、マクロ的なものは当然ございます。ですけれども、人口の移動は非常に激しゅうございまして、都市の周辺に宅地造成が進んでまいりますと、そこにやらなきゃならぬということもございます。ですから、明確な責任を持った資料としてはお出ししかねる。いま先生も御了承いただいたようでございますけれども、非公式な、進捗段階、調査段階の、いまの段階で言えばこんなところが候補地に入るだろうというようなものでございましたらお出しできますので、そういう点で御了承願いたいと思います。
  57. 山中郁子

    ○山中郁子君 時間が限られていますので、また別な機会にその辺は解明したいと思いますけれども、NHKが行き当たりばったりに難視解消していくのだということでない限りは、予算編成期にできないにしても、何らかの把握がされているはずだと思いますので、その点については、また引き続き解明したいと思います。  同じく難視解消の問題につきまして、NHKも技術的な対策をいろいろ検討されていらっしゃるということで、私も、たしか昨年でしたかしら、放送研究所の展示なども見せていただいたんですけれども、アンテナの改善だとか、そういう幾つかの問題の実用化がどういうふうな状況で進んでいるのか、ないしは、その実用化に伴って受信者が器械なんかを設置して、そして難視解消を図るというふうなことがどの程度実用化されて成果を上げているというか、難視の解消が図られているのか、ということについてお知らせいただきたいと思います。
  58. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 先生の御指摘は、特に都市で受信障害を起こした場合にたくさんのゴーストが出てくる、このゴーストを受信アンテナあるいは受信機で逃げる研究をしておるではないかという御指摘だったと思います。確かにそういうものを開発をいたしておりまして、受信アンテナにつきましては、一応の成果といいましょうか、研究段階を終わったものがございます。現在、メーカーに試作をさせておりまして、まだ各御家庭にそれを実用していただくというところまではいっておりません、現在、試作の段階でございます。それから、できましたら、これを幾つか現場に持ち出しまして、どこかの御家庭にお願いをしてテストをしてみたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 山中郁子

    ○山中郁子君 それじゃ、この前、放送研究所で見せていただいたいろんなものがありましたね、私素人だからあんまりよく全部覚えているわけじゃないんですけれども。ああいうものはまだ一つも、受信者でもって取りつける機器装置の問題としては、実際には全然実用化はまだされてないということですね。
  60. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 先ほど航空障害のところで申し上げましたけれども、フラッター防止用のアンテナというようなものにつきましては、先年来、空港周辺で御利用いただいております。最近先生ごらんになりましたもので、たとえば受信機の中でゴーストを消す方法であるとか、こういうものにつきましては、原理的にはかなりのところまで究明されておりますけれども、各家庭に実用にするためには経済性の問題がございます。これはもう現在メーカーでそれを含めまして研究を進めてもらっている段階でございまして、まだ各御家庭へいくというところには参っておりません。
  61. 山中郁子

    ○山中郁子君 その経済性の問題がやはり問題になると思うんですけれども、いま実用化を研究しているというようなものは、大体、受信者がもしそれをつけて受信障害を逃げるとすれば、どの程度の、何というかしら、機器のものになるんでしょうか、その辺は見当はまだ全然つかないですか。
  62. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 具体的に見当はまだつきかねます。ただ、私どもの目標と申しましょうか、ねらいとしますと、現在の都市受信障害の解消の手法といたしまして、共同受信施設がございます、あるいは最近開発されましたSHFを使う方法がございます。で共同受信施設で一世帯当たり五万円前後かかるわけでございます。そうなると、その五万円前後かかるものをもっと経済的にしようということからしますと、その辺がアッパーリミットだと、それ以下の負担にしなきゃならないというようなことを頭に描きながら、より安いものをと追求しているわけでございます。
  63. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一つ、いまやはり問題になっていますのに高層ビルの電波障害がありますけれども、これはちょっと郵政省にお尋ねしたいんですが、依然として原因者負担ということでは明らかに態度は示しておられるんですけれども、実際には、新宿副都心の問題なんかを見ましても、それが解決していないんですね、前進してないわけです。その辺のことは、何らかの方法で原因者負担という基本的な姿勢に立って解決をしなければ時間がたつばかりですし、原因者負担ということで郵政省がきちんとした姿勢を出していても、これが解決が図られていないということはやはり行政上の問題になると思いますので、その辺の郵政省のお考えと見通しをお尋ねしたいんです。同じケースがやっぱり結構高層ビルの場合に出てきているわけですね。
  64. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 先生指摘のように、高層ビルによります受信障害という問題が相当ふえてきております。ただいま御指摘の新宿の問題でございますが、これは本質的には両者、受信者側とビル側いわゆるSKKでございますが、この間の話し合いがついたわけでございますが、ただ未解決の部分として残っていると言われますのがその維持費の問題でございます。この維持費につきましても、両者の間では、この三年間はSKK側で持って、その後また相談いたしましょうということで、一応、話し合いができたというふうにわれわれ聞いております。  ただ、そういうことで新宿の場合は現時点ではそのような解決方法を見ておりますが、確かに、御指摘のように、最近のような情勢になってまいりますと、あちらこちらで高層ビルによるいろんな受信障害が起きてきております。これは原則的には原因者負担というたてまえで進んでおりまして、われわれも、地方の監理局に対しましても、地元で管内でいろいろ相談を受けた場合には原因者責任というたてまえで仲介の労をとるように、あるいは話をするようにというようなことも指示しておりますし、その場合の問題のあり方によりまして、維持費の問題は、いわゆる原因者責任とはいうものの、建築主側で全部持つ場合と、あるいはまた維持費をいわゆる受信者側で持つ場合、いろいろなケースがございます。そのケースを一々こちらの方でこうすべきであるとか、そういうことは指示いたしましても、その土地土地の環境によりまして違いますので、これは両者の話し合いに任せるという形で現在解決を進めておるところでございますが、新宿につきましては、先ほど申し上げたような形で、三年後に問題を持ち越したというかっこうにはなっております。
  65. 山中郁子

    ○山中郁子君 これはいま局長がおっしゃったように、維持管理費一つのネックになっているんですよね。それで、私は、いま郵政省はそれは当事者同士の話し合いに任せるというふうにおっしゃっているんだけれども、実際問題として、いまは新宿の場合、三年間、維持管理費原因者負担ということで話し合いがついたと。それで前に、私やはり委員会指摘したことがあったんですが、八王子の郵便局による障害ですね。これはたしか維持管理費も含めて市条例でそうしたことが決められているという、原因者負担ということが決められていて、八王子の場合には郵便局負担——これは原因者が郵政省になっているわけですけれども、負担ということで処理をされている。それから、いま現実に高層ビルの問題の中にも、具体的には近隣友好の立場からも維持管理費も含めて自分のところで原因者が負担しますと、こういう態度を出している原因者つまりビルの所有者がいるわけです。  私は、それはやはり一つの見識だと思いますし、郵政省がもう一つそこまで積極的なそういう姿勢というものを指示した形で、積極的な仲介の労をとるというふうに、ぜひとも一歩進めていただきたいと思っておりますが、その点についてもう一度見解を伺っておきたいと思います。
  66. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) 先ほど申し上げましたように、この最後の維持管理費の場合は、その地域の環境環境によってやはり情勢が違いますので、一律にわれわれの方から全部これを責任者側で持てというようなことも言いかねるわけでございます。しかし、考え方としまして、やはり維持管理費を持つということによって近隣友好の一つのあらわれとして、お互いお互いの立場を尊重しながら、こういう問題を解決していくということを私たちは希望しているわけでございます。
  67. 山中郁子

    ○山中郁子君 ぜひとも積極的に一歩進めた解決のリーダーシップを郵政省がとっていただくことによって私は問題は全体として前進しつつあると。結局、この問題も維持管理費の問題になってきたけれども、そのもっと前の段階では、原因者負担ということだって出てきてなかったわけですから、そういうある一定の長い時間を見た上での前進的な措置ですね、こういう点で郵政省がそうした役割りを果たしていただくようにお願いもし、期待もする次第です。  それからもう一つ、私は、NHKの語学講座の問題についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、いま現在NHKではどういう語学の講座を設定していらっしゃるか、初めにお聞かせいただきたいと思います。
  68. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答え申し上げます。  現在、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語の六カ国の言葉が放送されております。
  69. 山中郁子

    ○山中郁子君 NHKももちろん御承知だと思いますし、各方面から一番最も近い外国語である朝鮮語、そして日本にもたくさんの在日朝鮮人の方がいらっしゃる。そうした朝鮮語がNHKで語学講座として行われていないということについての指摘もあるし、また、ぜひしてほしいという希望も各方面から出ているわけですけれども、この問題はいかがでしょうか、NHKとしてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
  70. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、われわれとしてもできるだけ早く隣国の言葉である朝鮮語の講座を発足させたいという気持ちは変わりがございませんし、具体的に昭和四十六年ごろこの問題を検討したこともございます。しかし、NHK内部のたとえば時間のやりくりとかその他が解決いたしましても、この講座を始めることによって生ずるいろんな反対運動が非常に大きなものがあると予想されましたので、踏み切るに至らない状況にございます。
  71. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは具体的に言うと、どういうことが予想されたり、あるいは隘路として認識されているのか、お尋ねしたいんですけれども。
  72. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) たとえば、四月四日に、朝鮮語講座開設を希望する署名三万五千通余りを携えまして、桑原先生、久野先生あるいは中野好夫先生を初め関係者の方が来局なされまして、私たちとお話ししたわけでございますが、その話が伝わりますと、直ちに四月六日付で在日本大韓民国居留民団中央本部から韓国語講座開設に対する要望というものが参りまして、その中に、朝鮮という語感は韓国人に対するべっ視の意味に解され、心理的差別感が伴うことを理由に、朝鮮語ではなくて韓国語放送をやるべきだという申し入れが会長あてに文書をもってなされております。  それからもう一つ、たとえばここにございますようにNHKにハングル講座の開設を要求するという文書がその後参っておりまして、これも朝鮮語という言葉はこれはよくないという趣旨のものがございます。  あるいは朝鮮民主主義人民共和国関係の在日朝鮮人からは、朝鮮半島の方からは、やはり朝鮮語講座を開設しました場合に、これはあくまで隣国の言葉でございますので、実際にそこで働いている人、そして使っている人の状況を紹介しなければいけません。その場合に、北あるいは南に、大韓民国との国交が確立しておりますので、そっちの方に偏るのではないかという心配、あるいは講師の人選等についていろんな御心配があるやに聞いております。これは間接的でございます。したがって必ずしも現段階で朝鮮語講座を開くことに積極的でないというような情報も伝わっております。  したがいまして、総括的に申しまして、せっかくわれわれがそういう意図で朝鮮語講座を開設いたしましても、NHKに対する反感がつのるというおそれがあるという心配がございまして、それが私たちをして戸惑いをさしているゆえんでございます。
  73. 山中郁子

    ○山中郁子君 まあ私もそう詳しいこと知っているわけじゃないんですけれども、日本の国民が主張するしかも外国語の講座というのは、先ほどお示しあったように、いまスペイン語だとかドイツ語、英語、フランス語なんてみんなやっているわけですよね。それでNHKとして朝鮮語というものをどういうふうに認識をして、だから最もよい方法でNHKとしての認識でもって日本における朝鮮語の語学講座ということは私は存在し得るんじゃないかと思っていることが一つと、もう一つ、いまのような御見解でいくと、いつまでたっても、そういう問題が解決しない限りは、NHKが朝鮮語の講座には手をつけられないと、こういうことになっちゃうようにも伺えるんですけれども、そういうふうな状態で甘んじていらっしゃる——甘んじてというか、それはしようがないということで手をこまねいて、外的要因の解決が図られるまではもう手をこまねいていると、こういうふうな姿勢でいらっしゃるんですか。そこら辺はもう一つ見識があってもいいんじゃないかという気もしてますけれども。
  74. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 朝鮮語の講座の必要性については御指摘のとおりでございまして、われわれがもし次の外国語講座を開くとすれば朝鮮語を優先すべきであるという考えに変わりはございません。今後も変わりないと思います。  それから外的要因がこのままだったらということでございますが、朝鮮語講座開設を要望する会の人たちが参りましたときに、私たちがいままでに得た困難さという情報等をお知らせしましたところ、その方々の持っている情報と違う、これは解決できるんじゃないかということでございますので、やはり事務局長を中心とするそちら側の窓口を設定すると同時に、NHK側といたしましても、春闘でも終わりましたら、責任者を設定して、そういう外的障害についての情報の交換、排除の方法について、その人たちと話し合うことにいたしております。したがって、かなり前向きに今後処理したいというのが私たちの考え方でございます。
  75. 山中郁子

    ○山中郁子君 最後に、その問題、私は何もそういう個別の運動とか、それだけに限らず、やはり個人であろうと何であろうと、各方面でそうした期待がされているということの上に立って、いまおっしゃったような形での対処を積極的にされたいということを指摘もし、要望もしておきたいと思います。  終わります。
  76. 木島則夫

    ○木島則夫君 きょうは、四十八年度NHK決算の論議でございます。私は、決算の場というものは、一つの締めくくりをすると同時に、将来への展望、飛躍をとらえる場所としたいという、そういう意味から簡潔にこれから御質問を申し上げます。大臣も衆議院本会議がおありだそうでございますから、私は簡潔に御質問を申し上げます。  財政基盤をどうするかという問題を初め、NHKを取り巻く環境が厳しいということは再々ここで言われ論じられてきているところです。で難視聴解消など技術的な問題は別といたしまして、私は、せんじ詰めていきますと、NHKがいかに現在の多様化した世の中に対応した、そして将来展望を持った生き生きとした番組を編成し、これを放送し得るかということに最終的にはかかってくると思うんです。  しかし、そういうその問題の中で、私が特に御指摘をしたいことは、放送取材対象あるいは放送対象でありました民間事業、あるいは新聞事業者の企画する事業が、いままではやすやすとNHKが放送できたんですね、ところが、これからは果たしてそういうふうにやすやすと座していわゆる取材対象になるか、あるいは放送対象として飛び込んでくるかというと、私は非常にむずかしい問題があると思います。今回のオリンピックも一つはその典型的な例だと思います。まして一般放送事業者と新聞社というものがタイアップをして、その系列化を図っていく中では、もう過去のNHKではあり得ないと思いますね。で今後のオリンピック問題を契機にして、プロ野球はおろか、高校野球もNHK電波から遠ざかるんじゃないかというようなことを言う人もいる、事態は非常に厳しいわけです。私は、時間がないから、いずれ機会を改めてこういったNHKを取り巻く環境がいかに厳しくなってきたかということを実例を挙げて御質問申し上げたいと思うんですけれども、きょうは、ひとつ端的な例としてこの問題を提示します。  NHKを取り巻く環境がいかに厳しいかという現状の御認識、そして私がここで言いたいことは、大ネットワークを誇り、全国くまなくNHKが放送網を網羅しているという、こういう過去の栄光の上に座して、放送のいわゆる取材対象というものが向こうから飛び込んでくるような状況ではもうなくなったんだというこの御認識がNHKの中にきちっとできているか、まず、ここのところを伺いたいと思います。
  77. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生の厳しい御指摘、私、まことにごもっともだと思いますし、まあお言葉を返すようですけれども、われわれ過去の実績の上にあぐらをかいて、NHKが頼みに行けば取材できるというような事態であるというような認識はさらさら持っておりません。われわれは、やはり何といっても、視聴者のためにどういうものを放送するかというところに立って、万難を排してその実現に努力するというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、いま幾つか挙げられましたいろいろな例につきましても、万全を期して対処していきたいというふうに考えております。
  78. 木島則夫

    ○木島則夫君 視聴者が幾ら要望しても必ずしもNHK意思どおりにならないということは、これからたくさん起こり得るわけです。そういうときにはNHKはやっぱり政治的な力を発揮しなきゃならないでしょうし、民間放送なり民間の事業者、いろいろな新聞社とコミュニケーションをさらに加えていかなければならない、私はこういうことを申し上げているわけであります。ですから、いままで取材対象とし放送対象として現存していたもの、既存をしていたものが、これからなかなかNHKの思うがままにならないということは、幾ら視聴者が希望をしても、それとこれとは別問題であるということもよくひとつ御認識をいただきたいと思うんですね。  そういう中で、これからNHKが本当に生きていくためには、新しい分野の開拓につながるNHK事業、あるいはNHKの放送分野の開拓だと思います。せっかく新年度ですから、放送決算ということは一つの締めくくりかもしれない、締めくくりが次の飛躍につながるという意味で、やっぱり新しいNHK、これからどういうものをNHKがつくり出していくべきか、構想がおありでしたら、ぜひ伺いたいと思います。
  79. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いまここで具体的にこういうことを考えているという実体を申し上げる中身がございませんけれども、先生のおっしゃるような趣旨で、実は、NHKのやはり総力を挙げて考えていくべきではないかと思いまして、そういう意味の部内的ないろいろな意味のコミュニケーション等を図りまして、いま総知を結集しているというふうに申し上げられるかと思います。
  80. 木島則夫

    ○木島則夫君 私も多少とも放送に携わった者として大変慎重な御発言だと思いますけれど、NHKを取り囲む環境というものは大変厳しいんだ、そして視聴者がこれこれこういう放送対象物をNHKが取り上げてくれと言っても、それがNHKの意のままにならない現状の御認識、その中からNHKがもっと新しい分野に積極的に私は手を差し伸べるべきであるということで、坂本会長はそれこそ愛宕山時代から、放送草分け時代からやはり放送をよく知り愛していらっしゃる一人ですから、手抜かりはないと思います。先取りをしていただかないと、やっぱりNHKは後手後手に回ると思いますね。これは私の意見として申し上げたいと思うわけです。  今度は郵政省です。現状の中でその行政サイドからNHK経営安定あるいは将来展望のために、たとえば案納委員からも御指摘があった国際放送面での援助の増額とか、あるいは受信料免除から来るNHKの負担を解消する問題とか、航空騒音、ビル陰障害などの除去のための行政サイドからの積極的な姿勢、行動、こういうものはもう当然郵政省としておやりになるべきでございます。だけれど、そういう現状の中で幾らいじくり回しても、私はもうどうにもならないところにいわゆる現在というものはもう置かれているんじゃないだろうかということですね。  したがって、現在の放送制度というものは、早い話、ラジオ時代につくられたわけです。テレビがこんなにふえて、情報化がこんなにも進んで、多様化がこんなにも複雑になろうというふうな想定は私はその当時はなかったと思います。したがって幾ら現状の中で行政サイド面からNHK財政基盤あるいは将来展望を安定させるためにいろいろお図りになったとしても、やっぱり根本的に一つ欠けているものがある。それは何かと言うと、新しい時代に適合をした法律制度の改正だと思います。  きょうは時間がありませんから、その点について郵政大臣の御認識と、現状の中でNHKをいじくり回しても私はなかなかよくならないと思う。だから現状の中で果たしてNHK財政基盤なり経営安定というものが本当に図り得るのか。あるいはもう少し制度の面、法律の面をいじくって——たとえば、この大都会において東京、名古屋、大阪ではラジオと新聞とそれからテレビ、いわゆる三つが兼営できる、こういうふうなことになっておりますけれど、さっき一つオリンピックのこの問題を出しただけでもなかなか事はそう簡単ではない。だから放送の根本的なあり方、放送局の設置の根本的な問題、そういうものをもう一度洗い直して、そしてそういうところからNHKの将来の財政確立あるいは経営の安定化、将来展望が開けるようにすべきじゃないだろうか。これはもう毎々言われていることです、これは。しかし、そういうものがなかなか手につかない。郵政大臣、いかがですか。やっぱり相当積極的に放送の面、電波の面に御関心があると私は拝察をいたしまして、こういうことを伺うわけでございます。
  81. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) いま木島先生のお話、御出身のNHK、私もずいぶん友達がおりますけれども、職員はそう考えているのです、先生と同じなんです、非常に危惧の念を持っております。  私は、そういう意味でも、放送法を改正するかしないか、これは速記をとっております公式の場ですから、そう簡単に言えぬ。しかし、案納先生があれだけのやはり勇気ある発言をされた。私はそれをも含めて考えるべきものが来た。しかし、いま国際放送とかいろいろな問題を言ったけれども、参議院の庭の大きなイチョウの木、それは枝であります、幹はどうするのだ、経営委員会はどうするのだ、理事はどうするのだというような問題がはっきりしていなければ物になりません。私はそういう意味での発言をしておりますし、予算意見書でございます。
  82. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう一言、私は御提言申し上げたいことがございます。  やっぱり放送事業体なり放送が置かれている還境の整備というものがなってないと、いかに枝をいじくったって花をいじくったって、私は本物はできないと思いますね。別にお言葉の揚げ足を取るわけじゃございません。私は、速記を、公式記録をとっているからこそ、やっぱり積極的な御発言をいただきたいと思うのです。いかがでしょうか、枝や花を幾らいじっても、やっぱり放送事業なり放送事業体が置かれている世の中、還境、そういうもののために制度、法律にまず第一に着手をしなければ本質的なものの解決にはなり得ないという——間違っているでしょうか。
  83. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) それは生き物でありますから、NHKが生きようか生きまいかという労使一体の意気込みがなければ生きられません。企業でもそうであります。そういう意味でも、私は、そういう中から新しいNHKができるのであって、新しい放送業界のいわゆる競争状態の中で民放が成長し切ったのですよ、その中でやはりNHKは争っていかなければいけない。いままでと同じような地位にいられるとは思いません、私は。それを認識しないで、これからいままでと同じようなNHK経営ができる、そんなことはできないと思います。そういうことの認識がやはり経営委員理事者側に十分必要だということであります。
  84. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和四十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  87. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後一時三十八分開会
  89. 神沢浄

    委員長神沢浄君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  一九八〇年モスクワ・オリンピック競技大会の放送権問題について参考人に対し質疑を行います。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところを御出席いただき、まことにありがとうございました。これより委員各位から質疑がございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 案納勝

    案納勝君 きょうは、大変お忙しいところを参考人の皆さん御出席いただきましてありがとうございました。以下、モスクワ・オリンピック放送権問題で質問いたします。どうか端的にお答えをいただきたいと思います。  この問題は、すでに衆参両院で審議に取り上げられてきた問題であります。私は、これがオリンピック・モスクワ大会の放送をどこがやるか、あるいはどの放送機関が独占をしたか、こういった問題ではなくて、この背景には今日の放送界の将来のあり方、この基本にかかわるきわめて重大な問題があると思っております。  最初に、民放連の小林会長にお尋ねを申し上げたい。  放送というのは言うに及ばず、NHK民放も、国民の共有の財産である電波を、しかも有限の電波を使って、国民の負託を担うマスメディアである、これはまた国民の社会的生活やあるいは公共的生活に不可欠なものであるわけでありますから、それだけ公共性が高いものです。で、この公共の福祉に積極的に貢献するという役割りをこの電波、放送界というのは持っている。それだけに電波法やあるいは放送法で社会的影響力にかんがみて一定の制約を受けているわけであります。この一定の制約というのは、放送界の秩序、自律性、この中で私は保たれていっていると思う。単に企業競争の中でも協調性が必要だと思っているんです。それだけに今回のオリンピック行事というのが国民的あるいは国際的な、ある意味では、私は余りこういう言葉は使いたくないんですが、そういう行事であるだけに、今回のNETの一社独占というものは私は異常なケースと言っても言い過ぎではないだろう。  それで、この背景を考える場合に無関心でおられませんので、実は小林会長にお尋ねするのは、従来、大変多くの評価を受けてきたモントリオール方式、こういうものがなぜ破産をしたのか。この種の放送権問題は今後大きな影響を与えると同時に、国際的にも大きな問題を残しているわけでありますが、総括をして、小林民放会長はどのようにお考えになっておられるのか、民放連の会長という立場もあわせて、ひとつこれらについての御見解を承りたい。
  91. 小林與三次

    参考人小林與三次君) いまお尋ねの問題でございますが、率直に申しまして、私は、今度のような結果になったことは民放連として非常に残念だと思っております。  と申しますのは、いまお尋ねにありましたとおり、オリンピックのような国民的行事は、当然に全国民にできるだけ広く、しかもできるだけ適切な条件で見せていただくというようにするのが、これは放送をやっておるものは、NHKであれ民放であれ、当然に心すべき問題だと考えるのでございます。したがいまして民放連といたしましても、従来、長い経過におきまして、こういう仕事は何も各社が競争でやるべきものではない、またやろうとしても、これは独立取材が許されるわけじゃないのでありまして、客観的にあるものがある形で撮られたものを、どうこれを編集し解説して流すかという問題ですから、こういうものに各社がそれぞれ張り合うというのは私はむしろ愚だと思う。まあ民放連全体もそういう考えだったに違いないわけでありまして、それで、昔から、全体共同してやろうじゃないか、不文律と言っちゃ言葉は悪いかもしれないが、大体、そういう形で数回にわたって今日に至っておるのであります。  特に、この場合、民放NHK関係がございますが、NHK国民受信料を取って全国的な網を確立しておられるわけでありますから、こういう仕事は従来からもNHKが中心にやっておる、私は国民的見地に立てば、これは当然の話であって、したがってNHKが中心になって、民放はそれぞれの立場で補完すべきものなり補助すべきところをそれぞれやればよいのであって、何も特に異を立てるべきものじゃない、これが基本的でありまして、したがってNHKさんと民放とは、競争すべきものはあります、これは当然競争する、協力すべきものは当然協力する、それから民放の中でも、それぞれ独自に競争すべきものは当然競争するが、しかし、大局的見地から協力すべきものは当然に協力する、これは放送のあり方として私は当然だろうと思うんです。  そういうことで、モントリオールのときは、さらに一歩進んで、取材というか、制作の過程においても民放NHKさんと協力しようじゃないか、こういうことで民放の諸君も勉強にもなりますし、そういう協力体制をとってきておる。で、この次のモスクワの場合にも当然そうあるべきものだと、まあ正式に決めたわけじゃありませんけれども、大体そういう前提で、民放の、少なくとも理事会あるいは全体がそう理解しておったと思うのでございますが、最後までそういう形で進みたいという民放会長としての私の念願が実現することができなくて、非常に残念でございます。  いま申しましたのは民放とオリンピックの放送全般の問題で、それにさらにもうちょっとつけ加えさしていただきたいのは、この問題につきましては、もうすでにアメリカで、日本の交渉が始まる前に、事実があるんです。アメリカの国内でもあれは大問題になりました。放送権の自由競争と放送条件、放送権をめぐっての争いがあって、いろんな経緯があって、結局、従来のモントリオールの数倍に近い金額で妥結されて、これも国内で非常にアメリカで問題になり、これは本当かうそかわかりませんけれども、取ったNBCの副社長が、そのせいかどうか知らぬが、そのためにやめたとさえ言われるような、恐らく社内的にも問題だったに違いない、これはもっと社会的に問題だったからそうなったんだろうと思います。そういうつまり放送権決定の経緯があって、それで日本側に及んできた。そうなれば、当然、同じ方法が交渉の過程でとられるに違いない、これは想像するのはあたりまえでありまして、私は、どう考えたって、アメリカの条件だって正しいとは思わぬ。  ある程度料金が年限がたてば上がっていくのはこれはやむを得ぬと思いますけれども、上がり方におのずから限度がある。それをそれぞれ個別交渉によって値をつり上げる、アメリカもつり上げ、その次に日本もつり上げる、その次にさらにほかの国に及ぶということも当然に見え透いた論理でございまして、特に日本は従来からABU、アジア放送連合全体の世話役のような形になって、NHKさんがまとめてやっておられたのであります。そうすれば今後もやっぱりわれわれの友邦のテレビ放送について協力すべきものは協力してやるのが私は当然だったろうと思うのであります。したがいまして今度は相手が相手であるだけに、しかも現にアメリカの先例があるだけに、もっと慎重にお互いに協力をし合ってやるのが私は当然の筋だと思うんです。  特に、思い起こせば、東京だって現にそういう例があるわけです、オリンピックをやったんですから。そのときに東京が今度はこの放映権を外国に売れるという事態があったはずでありまして、そのときは恐らくはソ連圏側に対して日本側もずいぶんてこずったはずであります。その交渉は恐らくNHKその他関係者がやっておられるはずで、ずいぶんでこずって、結局、簡単に言えば押し切られちゃった。こういう全部値段を見ますというと、やっぱり向こうの方がちょっと安過ぎます、国際的に見て。そういう経緯が現にある。今度は、その逆の形で問題がこれは進んだ。これが実情でございまして、こういうときには、あらゆることを考えて、これは一本になって交渉をしなければ、とてもそう簡単にいく相手じゃございませんでしたが、返す返すもこういう結果になったことは、民放会長としても非常に残念で、私は、むしろ微力というか、無力の責任を、率直に申して感じておるというのが偽らぬ心境でございます。
  92. 案納勝

    案納勝君 モントリオール方式については、多くそれぞれ評価をされておりますが、私はそうあるべきだと思っています。なかんずくヨーロッパ放送連合のEBUにしてもABUにしても、それぞれテレビプールを代表しながらモントリオール方式を通じて今日まできていることについて、それなりに私はそうあるべきだと思うんです。  そこで、私は、続け、NETといいますか、全国朝日テレビの三浦常務に、今回、OCと契約を結んだ、要するに放送権を単独で結んだ考え方というのはどういうものか、あるいはどこにメリットがあるのか、リスクは何なのか、こういう点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  93. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 民放連の会長の小林さんがいま御発言になった中での協調の面というのは私も賛成です。しかし、協調の面と競争の面と二つありまして、根本的には、私は、NHK民放というのは同じ国民電波を預かっている中でも異質のものであるというふうに考えております。したがって、競争の面というものを考えますと、私どもがモスクワ組織委員会と協定を結んできたことについて、私は必ずしもモントリオール方式が悪いとは言いませんが、それでなければならないと、それから国民的行事といいますか、そういう大きな行事がNHKを中心でなければならないというふうには考えておりません。メリットといいますか、そういう競争の一つの精神と、それから放送の自由、報道の自由という立場から、私どもが単独で協定を結んできたというふうにお考えいただきたいと思います。
  94. 案納勝

    案納勝君 三浦常務、私はあなたの指摘については、以下ずっと私なりの見解を示して質問を続けますが、どうしてもわからない。もう一回質問します。  私が先ほど来質問をいている今回の放送界のあり方等について、あなたの言うように確かに競争面があります。しかし、民間放送の本来のあり方というのは、電波法や放送法で決められているように、どうやって地域住民、地域文化と直結をしていくかということです。ここに放送法の中には民放あり方について規定をされている。そうなりますと、たとえばこういう国際的な問題について、今日ある民放NHKがその技術面からお互いに——NHKが中心というんじゃなくして、NHK民放協力し合って国民あるいは視聴者の期待にこたえていくというのは、当然、民放の自律性であり民放一つのあるべき姿ではないかと思うんです。これが今回このような事態、異常な事態になったというのにはもっと背景がある。これらは後ほどあれします。  続いて、NHK会長にお尋ねします。  モントリオール方式といいますか、これらのオリンピックの取材に当たって、特にモントリオールではアジア放送連合との一体を通じて日本は大きな役割りを果たしてきたと思います。これは「放送文化」等放送関係の雑誌やその他でもあるいは新聞でも、モントリオール方式について民放NHKを含めて大きな評価をされている。そこでABUの関係はどうなっているのか、その後。特にニューデリーでABUの会議が最近ありました。その中で、どのような関係になったのか、その辺の経過。  あわせて、今日、三十一放送機関が結集をしているEBUが依然として一月からなお交渉中である。調査団を派遣するなど、要するにテレビグループとして一本になって交渉をしていますね。これらについてもっと具体的にどのような対処がなされているのか、EBUと。わかっているならその辺のEBUの関係。  あわせて、モントリオール方式については、同じように、EBUあるいはABUだけじゃなくて、東ヨーロッパ放送機構であるOIRTの機関も、これも一緒に交渉をしたと、こう聞いています。これらはまあ東側放送機構ですから、それは要するにモスクワで今度開かれますから、その辺の関係はまともにわかります。これらについての状況はどうなっているのか。  これらについての今後の国際的関係が、大変、私は、このオリンピック行事をめぐって放送全体についての国際的関係というのはきわめて緊密であるだけに問題があると思いますが、特に東南アジアとの連帯というものは今後ますます強化されなくてはならない今日にあると思います。それだけにNHKとして今後どのように対処しようとしているのか、これらの経過や今日のABUとの関係を含めてお答えいただきたいと思います。
  95. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) モントリオール方式は、先生指摘のように、ABUの一員としてABU、さらにABUはEBUと共同いたしましてモントリオールのカナダの組織委員会と交渉をいたしました。そして最終的には、御承知のような放送権料で獲得できた次第でございます。これは、ある意味では、開催ごとに高騰するオリンピックの放送権料について、われわれが一致して交渉に当たれば少なくとも適正値段というような点についての合意が得られるという実績が出たわけでございます。したがいましてモスクワについてもその方式でいこうということで、民放連の会長ともともども合意に達して努力しておったわけでございますが、現状は、残念ながら、そういう事態にならなかったということで、これはさきの当委員会でも担当が御説明したかと思いますけれども、その間の経過は、逐一、ABUの会長その他に報告いたしておりまして、ただいま先生のおっしゃいますABUの理事会が現在開かれておる状況でございまして、そこへ担当が出席して私にかわってその経過を報告しておるわけでございます。したがいましてABUとして、今後、この問題にどう対処していくかというのは、残念ながら、この席で御報告できるような具体的な情報を持ち合わせておらない次第でございます。  なお、EBUにつきましては、先生のおっしゃるように、かなり精力的な交渉をモスクワと続けておるようでございますが、これはEBUが一本になって交渉に当たっているようでございまして、いまだ具体的な内容か策定されたというふうには聞いておらない状況でございます。  大体、現在わかっております経過並びに中身につきましては、以上でございます。
  96. 案納勝

    案納勝君 今日の経過等の中で、私は、わが国のNETが単独で、従来のABUやEBUの今日の交渉の実態等、モントリオール以来の経過の中で、何だ、日本は金さえあればそういう独自なことでもやるのかと、国際連帯という面から見てもきわめて遺憾の結果だということにABU、EBUの側から見てもなってくると思うのだが、そういう点について、今回の問題について、きわめてNETのとった態度について、本来の放送界における放送事業者のあり方について私は疑わざるを得ないのです。  そこで、余り私の意見を申し上げておると長くなりますから、それは締めくくりの際に申し上げるとして、次に質問移りますが、まず三浦常務にお尋ねをいたしますが、衆議院の三月十五日の逓信委員会において、高野社長は、モスクワのOCは放送権交渉については各社個別交渉で、テレビプールによる、団体による交渉は認めない、こういう強い話があった、そこでNETは代表を派遣をしてこれに参加をするということになったと、こういうふうに言われております。高野社長が放送権は各社個別交渉で、団体での交渉は認めない、こういう原則があったという、こういう言い方について、それではいつごろOCからNETにそういう内容の連絡があったのか、どういうことになったのか、この辺がどういう経過であったのか、三浦常務にお伺いしたいのです。さらに、小林会長にお尋ねをいたしますが、他の四社にも同様な申し入れあるいは連絡があったのか。要するに、団体では認められないんだと、こういうものが正式にあったのかどうか、それはいつごろあったのか。  さらに、あわせてお尋ねをいたしますが、二月十六日付のモスクワ発の正式な招請状、この中で、ソ連組織委員会からの公文書だと思いますが、テレビ放送権を近く売りたい。二点目は、関心があればその旨知らして金額を提示せよ。三点目は、三月一日から三月十日までに交渉を行うことが適当だ。四点目は、その気があるなら代表を指名してモスクワに到着させよ。こういう招請状が来たというふうに私は非公式に伺っていますが、この中に、団体での交渉、グループ代表は認めないというものがありましたかどうか。これをあわせて小林会長にお尋ねをいたしますが、先に三浦常務からお答えをいただいて、小林さんの御答弁をいただきたい。
  97. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) たしか二月の十四日だと思いますが、東京の民放の五社長会の席上で、東京放送の諏訪社長からというふうに私どもは高野から聞いております、NHKとNETとにすでにモスコーからオリンピックの放送権についての交渉の招請が来ておるんではないか、二十四日には出発するというふうにも聞いている、というようなお話があったようでございます。  そこで、私が、三月十五日に、社長からその話を聞きまして、私どもには招請状は当時参っておりません。それでソ連のテレビ・ラジオ国家委員会の担当者に、私どもから、こういう質問があるがどうかというふうに聞きました。その際に、近く日本に対しては招請状を発送すると思う。協力七社——協力社という言葉でごさいましたか、協力社というのは、各社がテレビ・ラジオ国家委員会と協定を結んでおります、ニュースその他の番組について。その各社だというふうに理解いたしました。すなわち東京では12チャンネルを除く五社と、それから大阪の朝日放送と毎日放送、この七社に来るものというふうに予想をいたしました。その際に、私どもは、七社にそういう招請をよこすということは、団体で交渉する場合に認めないということであるかという質問に対して、そうだと、各社が各一人ずつの代表者を送ってくれればいいんだという答えでありました。それで、私どもは、たとえば代表者を送った場合に、一人として日本の代表者を送った場合に、どういう措置をとるのかということに対しては、答えがありませんでした。  私どもがモスコーに行きまして、三月一日に私はモスコーに着いたわけですが、三月一日に早速交渉に入った際に、ABUという御質問がございましたが、オーストラリアはすでに好条件を示して交渉に入っておるということでございました。モントリオール方式は、それでまず第一に崩れておるというふうに理解しました。  それから、グループで認めないという考え方については、やや違いがございましたのは、グループの交渉でも認める場合があると、しかしサインする契約者は一人である、その契約した会社の、または——まあNHKが契約しますとNHKが、つまりサインしますとそのすべてが、パスポート及びビザその他がそのサインする団体に所属しなければならない、こういう意味合いも含んでおるんだということで、そうかということで理解しました。
  98. 小林與三次

    参考人小林與三次君) いま案納委員のお尋ねのような文書が、二月十六日に、モスクワのオリンピック組織委員会のコバリ副委員長の名前で、先ほど三浦さんがおっしゃったが、五社に来ております、NHKと東京の民放四社に同じ内容のものが参っております。その中には、いまおっしゃったようなことが書いてありますが、個人でなきゃいかぬとか団体は受け付けぬとか、そんなことはもちろん全然書いてありません。  これは現にNETさんが独自に取り引に応ぜられることになりましたが、あとの四社が共同でやろうといって、NHKさんの方を代表に出すがいいかと言ったら、向こうはもちろんOKと言ってきましたし、そのために一日から十日までと書いてあったけれども、一日には行けぬから、何日ごろ行きたいがいいかと言ったら、それもよかろうと、そういうあいさつが向こうからも参っておりまして、ただ、別々に招請状が来たというだけであって、これにどう応ずるかは受けた者のこれは考え方とやり方でどうでもこれはなり得る——なったに違いないと思います。
  99. 案納勝

    案納勝君 それじゃもう一回、今度は岡野さんにお尋ねをしますが、オリンピックの放送権はテレビプール、要するに団体では認めない、契約しないというIOCの規約か何かありますか。
  100. 岡野俊一郎

    参考人岡野俊一郎君) IOCの規約としては、そういう形はございません。
  101. 案納勝

    案納勝君 それじゃもう一回、三浦常務にお尋ねします。  三月十五日の衆議院の逓信委員会では、高野社長は、実は昨年九月からソ連の協力でアフタヌーンショーを撮ったと。そして、そのときかなり長期にわたって滞在をした。その間にも問題が始終ソ連側から出て、今度はいままでの方式と全く違う、各国一社を相手にしての契約をするのだから、その際はNETさん参加してくれないか、こういうことで話があって、それに参加をしていく、こういう態度を決めた、これは参加をせざるを得ないじゃないか、信義を守っていくよりほかに仕方がないじゃないか、こういう態度を決めていた、こういう答弁、報告がなされておるわけであります。  あなたが言うように、あなたの言われた三月十五日というのは間違いだと思うんですが、二月十四日、民放の社長会議、その後二月の十五日——あなたは三月十五日と言われましたが、私は二月十五日だと思います、そういうことは知らなくて問い合わせをしたと、こう言われますが、あなたは、もう前から、すでに昨年の九月段階から、これらのソビエトからのあなた方NETに対する、今度は単独なんだと、こういう話、しかも、それに対してこたえていこうという態度は、三浦さん、あなた自身はそういう回答をしながらも、その態度で今日まで来たんじゃないでしょうか、違いますか。
  102. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 昨年の八月に、私がソビエトにアフタヌーンショーの調印に参りました。衛星の問題で参りました。その際に、アメリカとの交渉の話がございました。そのときに、君はわれわれが招請したらオリンピックの放送権についての交渉に応ずるかという話がございました。ありますと。そのときに、そういう一社の会社の独占というものがIOCの規則で認められるかどうかということの質問を私はいたしました。認められると。確かにグループは認めないというIOCの規則はございませんが、一社に独占させることができるというIOCの規則がございますし、したがって私はそのときに招請があれば喜んで応ずるというふうに答えております。  その後は、先ほど申し上げましたように、二月の十四日の五社長会、それから十五日に向こうに電話をいたしまして事情を聞くまでは、私どもに対しては音信不通です。
  103. 案納勝

    案納勝君 じゃもう一回、お尋ねします。  あなたは、NETとしては、この前のモントリオールのオリンピックのモントリオール方式といいますか、これについては反対であり認めないという立場をとっておられるんですか。  もし、あなたがそういうふうに昨年九月行かれてソビエトからアプローチがあった。ならば、従来の経過から、私は文献資料を調べましたが、中にはラジオ放送についてはもっと配慮すべきじゃなかったかという意見はあったにしても、モントリオール方式というものについてお互いに高く評価をしたと。一体になって、しかもアジアにもあるいは国内にもいい映像を流し得たと、競争の中にも協調があり得る、こういうことでお互いに評価をし合ったというのを私は読みました、また聞きました。しかも、先ほどの小林会長説明の中にも、すでにそれとなく今度のモスクワ大会についても同じような方式をとろうじゃないかという、そういう暗黙の了解的なものがお互いにあったという。とするならば、アプローチがあったら、あなたは、国内の民放の機関があるわけでありますから、あるいは一緒にモントリオールで協力をしたそれらの機関に、実はこういう状態のアプローチがあった、さてわが国はどうするか、こういう相談があってしかるべきではなかったかと思います。  あなたがそれをやらなかったというのは、いや今度はおれんところが単独でもひとつやってやるんだと、やるんだと、こういう背景があって——これにはいろいろあるでしょう、大新聞の系列化の問題やあるいはいろんないまネットワークの問題やら、後ほど触れますが、あって、あなたはもう意識的にその路線を走ったということに私は理解ができるんですが、いかがでございますか。
  104. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 御理解結構でございます。  それで、ただ朝日新聞と私どもは違いますから、その点は誤解のないようにお願いします。
  105. 案納勝

    案納勝君 違いますって言ったって、私の調査で二一・何%も株を持っていた朝日新聞、しかも今日各新聞社の系列の中に整理をされてきて、後ほど私触れますけれども、違いますということは言えない現状にあるんじゃないですか。あなたも朝日新聞社の出身じゃないか、そういうことは後ほど触れます。  また、お尋ねしますが、二月の二十一日に、高野社長は、この在京民放五社会議の席で単独でNETがモスクワに交渉すると、モスクワオリンピックについて単独で行うということを何にも知らずに、それまでの経過について、帰社してから、あなたに、三浦常務に、なぜ耳に入れぬとしかったという新聞の記事がありますが、そういう事実がありましたか。
  106. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 交渉の過程では連絡しませんでした。
  107. 案納勝

    案納勝君 いや、連絡をしなかったというのじゃなくて、私が聞いているのは、高野社長があなたになぜ耳に入れないのだ、報告をしないのだという話があったということなんですが、それはありましたか、事実。
  108. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 帰ってきてからありました。
  109. 案納勝

    案納勝君 帰ってきてから……。
  110. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) そうです。
  111. 案納勝

    案納勝君 それじゃ、いまの問題について後ほど総括をしますが、あえてまた質問を続けます。  NHKは正式な招請状が来てからどのような対処をなされましたか。たとえば民放連の小林会長を含めて正式な招請状を受け取って以後の対処についてひとつ報告をいただきたいと思います。
  112. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 先ほど申し上げましたような基調でございますので、私たちは招請状を受け取りまして、直ちに局内で会長と相談いたしまして、それを直ちに民放連の会長である小林さんに連絡いたしまして、今後のとるべき手段についてお話し合いをしたわけでございます。
  113. 案納勝

    案納勝君 次に移ります。質問をまず続けていきます。  ラジオ放送権についてお尋ねします。高野社長は——これはNETでございますね、これは三浦さんにお尋ねしますが、三月十五日の衆議院の逓信委員会の答弁で、ラジオの放送権は当然話し合いがあるものとわれわれは心得て承知していた、こういうふうに出発前から理解していたと、こういうふうに答弁されています。仮にラジオの放送権が入っているとするならば、NETはラジオの兼営をしているわけではありませんね。そこでラジオまで拘束をする契約権を、あるいは契約を結ぶ能力がNETにありますか。この辺どうですか。
  114. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) ラジオは、実際、私どもも理解しておりませんでした。それから、私どもにラジオを契約する権能というものはございません。ただ、しかし、私どもとMOCとの間にはラジオを含めた契約になっております。それで私どもが実際上できませんので、権利委託をすればよろしいというのがIOCとそれからMOCの見解でございましたので、権利委託をするというふうに考えております。
  115. 案納勝

    案納勝君 兼営でもない、ラジオに対する権限も持っていないあなたが、権利委託をするにしても、それについて事前にラジオの放送機関に対して了解をとっていくのが当然ではないでしょうか。何が幾らになるのか、大変高い値段になるかもわからない、そういうものについてあなたは一切の権能もないのに契約をしてくるという、権能もないのに、委託すればいいといっても、それは確かに了解を得て行って契約をしてくるならば、それは委託ということになるかもしれない。そういうものもないのにあなたが行って契約をしてくる。いや権利委託があるからいいんだ、この解釈は私にはわからないんです。  そこで、それについての答弁をお聞きする前に、岡野さんにお尋ねをしますが、IOCは、広報機関の項、規則ですね、四十九条の規則による放送権は、この契約に当たって、テレビ放送機関やラジオ放送機関あるいは全くそれらの機関でない団体に対しても独占権の交付を行うという対象になりますか。たとえば私がテレビ放送権を持っていません、ラジオも持っていない。しかし、いまの例、端的に申し上げているんですが、契約の対象、要するに結ぶ対象になるのか、対象に。あるいはラジオだけしか持っていない放送機関にテレビのまでも契約をするそういう権限というのは、規約上、ありますか。この辺どうでしょう。
  116. 岡野俊一郎

    参考人岡野俊一郎君) お答えします。  実は、この問題はIOCの規約の中でも非常につい最近まで不明確な問題でございました。というのは、テレビその他の放送という問題がこれほど巨大になるということをIOCの方も予測しておりませんでした。したがいましてモントリオールが終わった時点で「放送」という言葉の内容を定義いたしました。それまでは単なるブロードキャスティングという言葉でやっておりました。それを変えまして、一応、訳を読ましていただきますが、「放送」の語はオリンピック競技大会中の公式試合および儀式を聴視覚方式のマスコミ媒体(シネマ、ラジオ、テレビ、閉路回線プログラム、ビデオ、カセット等)によって公衆に知らすことを意味する。」という表現をしております。  そして、その放送権を、先ほど申し上げましたように、幾つかの、あるいは団体グループがノーということは書いてございませんが、あるそういう放送機関に権限で契約することができると、こういう形になっております。それ以上の細かい規定はIOCの規約には出ておりません。
  117. 案納勝

    案納勝君 よく私は新聞やその他で見ますと、三浦常務は、今回の契約は商法上の契約だと確かに言われます。仮に商法上の契約にしても、主体のない、権限のない人間がそういう契約を結べられるか。いま岡野さんの御答弁がありましたが、現実にこの問題についてIOCの規則にない。ないということは、そういう権能のない人と契約をすることはできない、常識的に。権能のある人間と契約をするのであると、そういうふうに私は理解できますが、再度質問します、岡野さん、そして三浦さんから私に対する見解をお答えいただきたい。
  118. 岡野俊一郎

    参考人岡野俊一郎君) お答えしますけれども、この問題に関しましては、IOCの立場というのは、先ほど申し上げたように、実は細かく規定が余りできておりません。したがって相手のそういうテレビ、ラジオ等、たとえばいま例に出ましたようにラジオを持っていないそれがそういうものをやる権利があるのかというような御質問だと思いますけれども、そういう問題につきましても、実はIOCとしては規定が全くございません。単に放送権をあるそういう放送なりテレビ会社に渡すことができると、こういう表現でございます。したがいまして、私、大変申しわけないんですが、IOCのこういう問題に対する考え方というものを、JOC、日本オリンピッ委員会の立場として代弁するということは不適格、私にはできないというふうに思いますので、やはりIOCの規約というものでしかお答えができないというふうに考えております。
  119. 案納勝

    案納勝君 三浦常務に答弁をしてもらいますが、その前に、あわせてこの点も。  三月十五日、高野社長は、ラジオ放送については友好的な社もあるので、そういうところの援助を得ればラジオ放送は必ずできると言って契約を結んだと言われている。そこで、先ほどの私の見解に対するお答えとあわせて、これらの社に対する事前の協議もなく協力は得られると言われた商法上の契約、要するに支払い義務が出てくるこの重大な契約について、そう言い切られた協力してもらえるラジオ社というのは、どこを指しておられるのか。
  120. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) IOCの規則に基づく契約の内容については岡野さんからいま御報告がございましたが、禁止されていないということで広義に解釈したんだろうと思うんです、委託というものは。私どももそういうふうに理解しております。  それから、協力についてなぜ了解を得なかったかということでございますが、ラジオというものについての理解度は私にありませんでした。向こうに行ってIOCの規約が改正されているということも初めて知ったわけですが、その際に、なぜそれじゃ要するに相談しなかったかというふうに思われると思いますが、私どもの社長の高野が言うた意味を補足しますと、委託できない場合には放棄するしかありません。
  121. 案納勝

    案納勝君 委託できない場合には、放棄するしかないということについては、あなた、それじゃラジオの契約というのは、もうわが国の場合はラジオ放送ができないということになるわけですね。  あなたは向こうへ行って初めて知りましたと言われました。しかし、先ほど私が申し上げた三月十五日の衆議院の逓信委員会では、事前に知っていたと高野社長は答えている。あなたは事前に知っていて、そしてラジオの契約に対する権能も権限もないのに、国内におけるテレビ、ラジオについてNETが、先ほど言われた私への答弁、そのとおりだとこう言われました、NETが独占をする、こういうことがまず先行をして、それでこの契約を結んできた、こういうふうな私は理解しかできない。どうですか、余りにも不謹慎じゃないですか。
  122. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) いいえ、不謹慎じゃありません。正々堂々とやってまいりましたんで、不護慎だと思いません。  ラジオの問題については、三月十五日に、社長がそういうふうにお答えになったというのがよくわからないんですが……。
  123. 案納勝

    案納勝君 議事録にありますよ。
  124. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私どもが最初に行ったときには、ラジオというのは私どもの考え方にありませんでした。したがって向こうに行って初めてラジオという問題が提起されたのは事実であります。  それから、要するにそのとおりですと言ったのは、もろもろの御意見がございましたので、条件が整えば私が単独で、いわゆる当時のNETが単独で交渉して、そして締結し得るというふうに考えていたのは事実なんです。ですから、それが要するにどうしても独占するんだということが先行して、それでみんなをだましてでも行こうというような考え方は毛頭ございませんでした。  ただ、あなたの言われるように、モントリオール方式、それからABU——ABUは、先ほど申し上げましたように、オーストラリアはすでにわれわれよりも先にモスコーとの間に交渉が要するに始まっておる、そういう事実をモスコーに行って私どもは聞きました。したがってABUで一本でやるというのはもうすでに無理なんです。
  125. 案納勝

    案納勝君 EBUはどうですか。
  126. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) EBUは、インタービジョンとの間に衛星における議定書というのがございます。したがって要するにEBUはEBUなんです、日本は日本なんです。
  127. 案納勝

    案納勝君 ここで論議をしてても先に進みませんから、これは先ほど言うように総括の際にさしていただきますが、私は、もう一回、岡野さんにお尋ねします。  IOCの規約というものについて、そういうことは書いてない、だからそうしか答弁できないと、こう言われました。しかし、ここのIOCの規約の中に「マスコミ媒体の代表者に対して資格認定カードを発行しなければならない。」「それぞれの国の国内オリンピック委員会を通じて」というふうに書かれております。これはあなたの方も一応これらについて認定をされたということになるのですか、この条文の解釈としては。  それからあわせて、認定をする場合に——私は今後のこともあるから言んです。もしいまのようなことが認められるならば、IOCが、要するにJOCですね、が一括して放送権問題について、要するにその国のオリンピック組織委員会と契約を結ぶ、国内へ持ってきてそして各放送機関との間に、放送機関が競争をしてその放送権についてJOCとの間に放送権を獲得をする。私はそれは大いに競争したらいいと思うんですよ、そういうのは。しかし、今日のような事態というのは、私はJOCだって責任なしとはしないと思います、ラジオの問題の規約の改正問題等も含めて。こういう問題を考えた場合に、果たして、いま三浦常務が答弁されたように、先ほどから言われるようにラジオ問題について全然資格もないのに契約をするという、そういうことが常識として当然成り立つとお考えになっていますか。
  128. 岡野俊一郎

    参考人岡野俊一郎君) 資格認定の問題について先にお答えしますが、これはちょっと違う問題だと思います。と申しますのは、規定上に出ております資格認定というのは、その取ったテレビ局あるいは一般の報道関係者が競技場に入るときの資格認定カードはJOCが採用しなければいかぬ、こういうことでございまして、交渉をする場合、これに関しては一切JOCは無関係でございます。したがいましてテレビ朝日あるいはNHK含めて、そういう放送団体がIOCあるいはモスクワオリンピック組織委員会——MOCと交渉をする場合はJOCを飛び越えまして直接交渉という形になります。したがいまして、こういう放送局はそういうJOCが認定しないから、そういったような権利獲得のための条件を備えていないから交渉してはいかぬ、といったような意味での資格認定はJOCはいたしません。結局、JOCの場合にはMOC、IOCがこの放送局にその権限を与えたということを報道で知るだけでございまして、全くこの件に関しては何らのタッチもしないというのがIOCの規定の上でやる場合の方式でございます。  それから、第二の点、そういうラジオ局をお持ちにならないのにそれを取るのはおかしくないかという御質問ですが、これは全く、私の個人的な意見というものは別にございますが、JOCとしては、いま申し上げたような立場で、この問題についての資格認定その他については一切ノータッチでございますので、この際、私の個人的意見は控えさせていただきます。
  129. 案納勝

    案納勝君 次の質問に移ります、時間の関係もありますから。  まず、契約内容に入ります。ちょっとこれを参考人の皆さんに一部ずつ配ってください。  これは、三浦常務、目を通していただきたい。これはオリンピック・モスクワ組織委員会が示した放送権契約案の仮訳である。もし必要ならば、ここに英文の本文があります。アグリーメント、もしあなたが必要ならば、ここで見てもらっても結構です。私の方の調査で手に入れた内容です。そして再三にわたって本文と照合をいたしまして間違いない、こういうことで仮訳をした内容であります。  そこで、私はこれらの契約について三浦常務にお尋ねしますが、まだNETのあなたの方から正式に発表をなされていません。そこで、この放送権契約の仮訳というのはモスクワであなたが提示をされた内容と間違いないわけです。そしてあなたは、NETは金額について幾らで契約をされましたか。その金額の総額について幾らになりますか。  それから、私はあえて四月七日ないし八日ごろと言いましょうか、契約に基づき、モスクワのソビエト外国貿易銀行口座番号七〇一〇二〇八五に払い込みをされたと、これらについていかがですか、お答えをいただきたい。  あわせて、お答えをいただく前に、アビジャンの総会が終わって、一応形式的には、私の聞いた範囲内では、IOCもこの契約について承認をしたと、こう聞いている。そうなるならば公表に障害は私はないと思いますが、これらについてのNETの三浦常務の御見解を承りたい。
  130. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) お願いでさましたら、英文のもいただきたいと思います。
  131. 案納勝

    案納勝君 ちょっとそれではこの委員会だけの、お貸しをします。
  132. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) それから、七日に第一回目の支払いは行っております。
  133. 案納勝

    案納勝君 行われましたね、それは口座番号七〇一〇二〇八五に。
  134. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) それは、申しわけありませんが、わかりません。
  135. 案納勝

    案納勝君 それは払い込まれたのは放送権料ですか、技術提供料ですか。
  136. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 技術サービス料です。
  137. 案納勝

    案納勝君 この契約案の中身というのは間違いありませんか。
  138. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) これはちょっといますぐ……。
  139. 案納勝

    案納勝君 じゃ各項でいきましょう。
  140. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) これはもう時間がかかりますが。
  141. 案納勝

    案納勝君 私が各項で入りましょう、それで各項に私が質問していきましょう。  そこで、もう一回質問をしますが、総額であなたは幾らで契約をされましたか。
  142. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 申しわけありませんが、お答えできません。
  143. 案納勝

    案納勝君 あなたは新聞記者との会見で総額は二十五億強だと、こう言われたと思う。これは間違いありませんね。
  144. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 臨時回線料、銀行利子、制作費すべて合わせて間違いありません。
  145. 案納勝

    案納勝君 そうすると、二十五億強というのは幾らになりますか。
  146. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) わかりません。
  147. 案納勝

    案納勝君 支払い期日はいつまで、どのような支払い期日になっておりますか。
  148. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 最後は一九八〇年の四月です。
  149. 案納勝

    案納勝君 それらは間違いではないですか。あなたが記者発表された内容では、支払い期日は一九七九年十二月までに放送権料、一九七九年四月末までに技術提供料。
  150. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 間違えました。そのとおりです。
  151. 案納勝

    案納勝君 しっかり答弁してください、しっかり。あなたの答弁を聞いていますと、何とかこの場をと、こういう感じがしてなりません。  そこで、小林会長にお尋ねしますが、小林会長もこのドラフトを見られたと思いますが、これに大体間違いありませんか。
  152. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 大体、間違いないと思います。
  153. 案納勝

    案納勝君 郵政大臣にお尋ねしますが、この契約書には、日本政府当局の必要な認可承認、同意を得た、こういうふうにあります。郵政大臣、事務当局はこの経過の報告を受けて、承認あるいは同意を出されましたか。
  154. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) このドラフト等については、一切存じ上げておりません。
  155. 案納勝

    案納勝君 もちろん、これは若干修正をその後されて承認を求めるといいますか、未来形にこれが修正をされたやに報告を受けています。  そこで三浦常務にお尋ねをいたします。今日、NETがこの内容について発表できないという根拠はどういうところにありますか、この辺についてお答えをいただきたい。
  156. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 支障はございません。発表すればいつでも発表できるのですが、アビジャンに私が参りまして、IOCそれから世界各国からスポーツ界の皆さんがお集まりになったときのそういう席上で、なぜ日本ではこういうスポーツの問題、契約の問題が国会や世論の問題になるんだと、わが国では全然ならぬのじゃないかと、それから、まあアメリカの代表でしたが、問題が違いますが、私どもでいままでつくっておりましたサテライト・ニューズ・プールからなぜ要するにNHKほかは出ていったんだ、放送権料の伴うものと放送権料の伴わないものとの間に区別がないのかという、非常に冗談の話がありましたので、契約の内容を一々、私契約上の問題とも思われるようなことを、それからオリンピックというスポーツの問題をなぜ要するに公表しなければならないのかということが非常に国際的に疑問、国際人の間に——そういう意味で、私か帰ってまいりまして、四月十日過ぎに発表する予定でおったんですが、ひとまずそういう空気をなくしてから発表したらよかろうということにいたしたわけです。
  157. 案納勝

    案納勝君 もう基本的に、三浦常務の物の考え方というか、放送事業者としてのあり方について私は疑問を持つのです。先ほど私は冒頭に小林会長にお尋ねをしました。放送界のモラル、秩序、自律性、こういうものと国民の権利との関係について放送界における、あるいは放送界の役割りというものについて私はきわめて心配をするから実は答弁を求めた。小林会長から大変適切な話があった。私企業であっても、国民の共有財産である有限の電波を使っているのですよ。免許を受けたから何でも勝手をやってもいい、こういうものではないんです。  ましてや電波というのは、あなたがおった朝日新聞じゃないけれども、新聞とまた大きな差があるんです。新聞というのは、外に向かって、あるいは国民に対して自由な批判を受けて自己改革を行うなんというチャンネルはないんです。他を批判するばかりで、自己への批判のシステムというのを持ってないんです。ところが、電波というのは、放送法やあるいは電波法のたてまえ、あるいは本来あるべき姿からいって、今日電波法や放送法の中で十分なそれらの規定が機能をしていない、このこともありますが、自己批判、批判を受け入れて国民のそれらの公共的立場や社会的な社会性というものについて、これらについてこたえていくという放送界には責任があるのであります。だから言論の自由やあるいは表現の自由を守る、こういう立場であって、多様性、多元性を求めているんです。そういう中で私企業であって競争があっても、国民の負託にこたえていく、そういう面での協調性というものが私は電波の中には貫かれなければ、今日のような電波のまさに戦国時代と言われる、そういう中での国民の立場というのは全く無視されていると言っても言い過ぎじゃないんじゃないですか。  今回のオリンピック問題については、まさにそのことを、私企業の経営そのことを優先をさして、放送界の自律性や秩序を壊して、電波をまさに私物化をして、そして全くソビエトの手玉に乗せられて、国民の利益を企業エゴによって、あるいはこんな極端な言い方は私は失礼だと思いますが、それにおぼれていったというのが私は今日の実態じゃないかと思うのです。あなたのネットワーク、全国朝日放送のネットワークについて八五%しか国民に届かぬのじゃないですか。  こういうものについては、国内の放送機関が協力し合って、NHKもない、民放もない、一つのグループとしてソビエトと交渉をして、しかも今回の契約をされている二十五億円、確かに契約の過程で千二百万ドルというやつがだんだんまあこの段階にきたんでしょう、しかし、モントリオールから比べると、そのときの民放の負担額と比べ、あるいはNHKの負担額と全く雲泥の差じゃありませんか。そしてあなたのところはそのネットワークを通じてやれば見れない国民すらいるんじゃないですか。この人たちにどうこたえるのですか。買えばいいじゃないかと言っても、それで済まないんですよ。そして二十五億は結局コマーシャルの費用として国民の消費者の肩にかかってくるんじゃないですか。  これがあなたのNETが今回とっている、あなたは企業競争が先だとこう言われた、協調よりも。しかし、企業競争のあり方というのは、私企業、他の企業と違って、電波界にはあるはずだと言っているんです。これを認められぬようなNETなら、あるいは電波界なり民放界ならば、国民のこの電波について、私は、国会の場で、あるいは立法の場で、行政の場で何らかのしかるべき方向をやっぱり国民の立場でとらざるを得なくなるんじゃないですか。そういうことになれば、言論の自由や表現の自由というものがなかなか厳しい条件に置かれるから、自律性を求めているその自律性がもはや崩れてしまったんじゃないか、あなたのとった態度で。私はその点についてあなたのいまの答弁については全く納得することはできません。  そこで、私は、時間もありませんから中身に入ります。重要なところを聞きます。  まず前文ですが、ここにメキシコオリンピックそれからモントリオールの契約書があります。「世界の緊張緩和および世界の全国民間の平和の強化に役立つものである。」「ソビエト・日本両国民の有益な理解に」と、こうあります。私は、これはまくら言葉としてまあある意味ではそれなりに是認はできるのです。しかし、モントリオール等と比べてみた場合に、何がゆえにここでこんなものが契約の中に、前文に入ってこなくちゃならないのか。私、もっとモントリオールのように、あるいはメキシコのように、IOCの契約やIOCの規則に基づいて、オリンピック精神に基づいた、その中で広報活動の一環としての契約を結ぶという、そういう面であってしかるべきではないかと思う。この「世界の緊張緩和」というのは、ことに米ソ間の緊張緩和、米ソ間のある意味で言ったら両大国の間の問題なんですよ。あるいは世界平和につながります。そういう意味では私はこのことについてとかく言う気はありませんが、わざわざこんなところへ入れるというのは、一連のプロパガンダだというふうに受け取られても仕方がないんじゃないか。  特に、あなたの場合、先ほど九月以来の話がありましたが、ちょうどアメリカの五輪放送の内幕が読売新聞で紹介をされています。ちょうど同じように、考えてみますと、求愛戦術をやる、それで吹っかけられて、それでソ連宣伝やその他についてプロパガンダについての協力が中にはちらちらして、入札には個別入札を強要されて、そして値段をつり上げられて、それでNBCに落札をしたという経過を実はアメリカ版で新聞を見ました。私はずうっと今回のやつを追っていきますと、まさにそういう中でNETが踊ってきたというふうにしか感じられない。まあ、この前文についてはそのくらいにします。  そこで、以下ずっといきます。  第三条について、「OCの義務」というのがあります。ここで私はJOCの佐野さんにお尋ねをしたいんですが、この中では契約をされた放送権独占については八〇年の年末までこの効力が及ぶというふうに書いてあります。「大会が開催される年の年末まで、劇場用映画その他メディアの種類を問わず、地域における第三者による大会の放送および劇場上映を許可しない。」とありますが、IOC規則の四十九条には「この禁止はおそくともその取材された種目または式典が終了して四十八時間後に終止する。」こういうふうにあるわけです。この辺の関係はどのように理解をしたらいいのか。
  158. 佐野雅之

    参考人(佐野雅之君) ただいま案納先生のおっしゃいました四十九条には、確かに中途から下の方に書いてございます。たしか四十八時間後にそれは終わるというふうに書いてございますが、われわれの感触といたしましては、それが原則でございまして、あるいはこの付属規則第四十九条の方にそういうことは全然触れておりませんけれども、「本細則の上記条項」と申しますのは、「取材するために支払われる金額に対して組織委員会はIOCの権限のもと、およびその承認を条件として放送および配給の権利を交付することができる。」ということでございます。本細則の上記条項によりましては組織委員会のみがテレビで大会の行事を見せる権利を持っておるということでございますので、原則は原則といたしまして、テレビ、ラジオ等の区分とか、おのおのの契約のケースによるものではないかというふうに感じております。
  159. 案納勝

    案納勝君 この第三条は、あなたの契約をされたやっと同じですね。私はさっき言っている、ずっと目を通してください。
  160. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 契約の内容については発表できません。
  161. 案納勝

    案納勝君 発表できませんじゃない。私は聞いているんです、これ同じですかと聞いているんです。違うなら違うと言ってください。
  162. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) いや、ですから、同じかどうかも言えません。
  163. 案納勝

    案納勝君 言えませんじゃなくて、ここへ出しているんですからね。それじゃこの英文の本文はどうですか。
  164. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) これも私どもは持ってきておりませんので、向こうに書いてある……
  165. 案納勝

    案納勝君 あなたは日本文の和訳だったらわかっているでしょうから、大事なところは。もう一回はっきり聞きますが、言えないんですか。
  166. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 契約の内容については……
  167. 案納勝

    案納勝君 間違いないですか、間違いあるですか。間違いがあるなら指摘してください。
  168. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) まあ公表されてからにしていただきたい。
  169. 案納勝

    案納勝君 公表されてからって、あなたは、これはその本文に基づいた契約の仮訳ですが、だからあなたに目を通してもらっているわけです。三条はどうですか。  じゃ、その次聞きます。四条はどうですか、「会社の義務」。
  170. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 大体、同じだと思います、はっきりしませんが。
  171. 案納勝

    案納勝君 同じですね。それであなたにお尋ねします。この中の二行目に「開催国の法律および習慣に従わせることを引き受けかつ約定する。」ということはどういう意味ととられますか。
  172. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) これは大会に出る場合、大会取材の場合、それから向こうで要するにホテルなり何なりに入った場合、向こうの法律に従う、慣習に従うということだと理解しております。
  173. 案納勝

    案納勝君 なぜ、これがわざわざこういうところに入ったのか。たとえば、三浦さんね、旅行者として、あるいは向こうへ行って取材する場合、旅行者でなくても今回のオリンピックなんかでは相手国の法律や慣習に従うのはこれはどこの場合でも当然ですね。ところが、なぜここへその当然なことが入ったのか。私はこれ理解なかなかできないんです。あわせて取材したやつを実際に放映をするのは実はわが国内なんです。言いかえるならば、旅行者の論理というものでは通用しないんであります。国内で放映されるんです。ここをあなたの言われるように素直に理解をしても——私はそのとおり理解してみたんです、ただ、なぜわざわざここへ「約定する。」と、そしてしかも最後に、その終わりに、会社が権利を行使することによって理念にそぐわない場合は、OCは直ちに「会社に通告する。」——一方通行ですね。会社は直ちにそういった権利の行使は中止をする。放映していて、これはだめだと、こう言われたら中止をする、こういうことになるわけですね。これとの関連で実は大変私も疑義を持たざるを得ない。この辺はいかがでしょう、どうお考えになりますか。
  174. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私はそんなにむずかしく考えておりません。この規約に背いたり約束事を破ったりした場合には中止命令を受けるというのがもう普通のことでございまして、それから放送に関する諸問題では非常にむだなことが書いてあるかもしれません。普通のことをなぜここに書かなきゃいかぬのだという面はあると思います。それは私どもは普通に考えて、特別に考えておりません。
  175. 案納勝

    案納勝君 それでは次の項に入りますが、第五条の「スポンサー」の項、この項はお読みになっていただいていると思いますが、間違いありませんね。
  176. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 解釈といいますか、日本語の突き合わせ方ちょっと違うようですが、おおむね同じです。
  177. 案納勝

    案納勝君 どこが違いますか、その違うという印象のところはどこですか。
  178. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 持ってきておりませんので。
  179. 案納勝

    案納勝君 そこで私はお尋ねしますが、これはスポンサーを選ぶときには、端的に言えばOCの同意を得るということなんですね。
  180. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) その必要はありません。
  181. 案納勝

    案納勝君 それは必要はないというのは、「スポンサーを会社が自らの方法でえらぶについては、OCが大会を実施するに当り、OCがプロモーション用商品「役務、その他を選択する努力との間に調整をはかるため、会社はスポンサーとの契約に当っては、その契納が通常の商業放送広告のほか、大会の準備および大会そのものならびに一定の国のチームの訓練および演技の放送に関して、こうした商品または役務についての取り決めを含む場合には、あらかじめOCの同意を得るものとする。」とありますが、あなたの解釈はどこから出てくるんですか。
  182. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 番組のスポンサーについては原則的に自由です。それから同意を得なければならない面というのは、私どもとそれからJOCとそれからスポンサー代理といいますか、込み入った解釈があって、一部にそういうものが競合した場合に同意を得なければならない面が出てくると思います。
  183. 案納勝

    案納勝君 ただ、これはこの文章の中で五条の英文の方で、前段で、大会の放送スポンサーを会社みずから選ぶ場合についてはOCの同意を得るというふうに理解できる。そして後段の方では、通常の商業放送広告ほか、大会の準備及びと、こういう通常の商業放送の広告、これについてイン・アディッション・ツーというのがあるんです、言葉が。これを含むとあるわけです。これは正確じゃないでしょうか。そうすれば、これも含んでOCの了解を、同意を得なければできないということが、要するに前後含めて、これは日本語でやるとこの場合も含めてと、こうなるわけだ。あなたはそう言われるけれども、本文から言うとそうなるんじゃないですか。私も契約者じゃありませんからよくわかりませんが、あなたに聞いている。
  184. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 原則的には、スポンサーは自由でございます、番組については。  それから、同意を得なければならないのは、JOCその他の関連においての競合するスポンサーの場合にのみ限られます。ですから、ここには同意ということになっておりますが、私どもの解釈では、同意ではなく、協議するというふうに解釈しております。
  185. 案納勝

    案納勝君 同意でなく協議と言って、あなたはこれはスポンサーの許可は要らないと言うけれども、私は、どうしてもそういうふうにしか解釈できない。これはまあ解釈の相違でありましょう。これはいずれにしてもオリンピック契約というのは明らかになりますから。きわめて私はこの解釈については疑義を持たざるを得ない。  また、もう一点聞きます。税金の件は、これはどうなんです。契約プラス二〇%上積みということになるわけですか。この第十五条「課税公課」。
  186. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 日本における……
  187. 案納勝

    案納勝君 二〇%ですね、かかるとするなら、税法上。
  188. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 日本における税金は、日本で支払うようになります。
  189. 案納勝

    案納勝君 二〇%ですね。
  190. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) これは私は知りません。
  191. 案納勝

    案納勝君 知りませんって、あなた記者発表で二〇%と言っているじゃないですか。
  192. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 記者発表で税金二〇%ということは言っておりませんよ。
  193. 案納勝

    案納勝君 これは十日過ぎの記者発表で、あなたそういうふうに言っている。それはそれでいいですが。  そこで、最後になりますが、技術上の問題について。技術契約の案について一点だけお聞きします。  第一条に、オリンピックテレビ・ラジオ・センターにおいての技術施設の提供は大会期間中とありますが、これは十五日間だけで、前段の練習などというのは必要だと思いますが、ここあたりはこれは提供を受けないということなんですか。
  194. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) ちょっとよくわからないんですが。
  195. 案納勝

    案納勝君 ここの第一条に、大会中、会社に提供する技術施設についてはと、こうありますね、簡単ですね。ということは、大会中というのは十五日間です、大会はね。その間だけだということなんですね、これは。契約上解釈すれば。
  196. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) そういうふうに思います。
  197. 案納勝

    案納勝君 ね。そうすると、その前段の練習などというのは、全く日本から持っていくなり何なりしなければ全然どうにもならぬと。練習段階における放送というのはできない、こういうことになるわけです。  そこで、私は、もう一回、これはNHKにお尋ねします。  モスクワ五輪の衛星中継の回線ルートについて、インテルサット系のほかにソビエトは赤道上に静止衛星としてスプートニクを持っています。これを使うという情報がありますが、インテルサット——これは郵政省かな、インテルサットに加盟している日本及びその他の国がこのインテルサット規約とのかかわりでスプートニクを使えるかどうか。また、技術的に山口通信所で、あるいは新設基地局でこれから受信ができるかどうか、この辺はどうなんですか、ひとつ。
  198. 松井清武

    政府委員(松井清武君) インテルサット条約によりまして制約がございます。また、技術面につきましては、ひとつ検討をさしていただきたいと思います。
  199. 案納勝

    案納勝君 最後にお尋ねをしますが、NHKにお尋ねします。  このいま差し上げましたものは、これはNHKがモスクワの組織委員会との交渉の際に提示をされた内容と間違いありませんか。
  200. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 速読した限りにおいては、間違いないと思います。
  201. 案納勝

    案納勝君 そうすると、先ほど三浦常務は内容についてほぼ間違いないという答弁がありました。ただ、これについて確たるこのとおりだという答弁をいただくことはできませんでした。この契約書はやがて明らかになるでしょう。この本文と合わせまして、いまもNHKから答弁がありましたように、本文に間違いない。要するにこの仮訳は事実上忠実な本文の和訳であることは間違いないということは言い切れると思います。  そこで最後に締めくくりですが、先ほど私が申し上げましたように、今日までの経過の中で、モスクワ大会等については、この一月のアメリカ版等の経験等を見ましても、大変高額な契約額の引き上げに乗せられる、あるいは大変ソビエトの商法といいますか、そういうやり方についての、私は、値段のつり上げ等についての警戒を民放NHKも持っておられたと思うんです。それだけに、あなたが言われましたEBU三十一、ヨーロッパの放送機構も、モントリオール方式じゃありませんが、一致して今日交渉して、なおかつ新たな要求も出している。モスクワ・西ドイツ間の回線を一回線ふやせというそういう問題も要求を出しながら、できるだけ国民のあるいは視聴者の需要、期待にこたえよう、こういう配慮をやっているわけでありますね。ABUの場合についても、オーストラリアが先に交渉をしておった、すでに破産をしたと先ほど三浦さんは言われましたが、これもNHKや日本の放送界の示す役割りから言ったら、モントリオールのように、あるいはわが国の場合も同じですが、一致してこれらについてモントリオールの方式なり統一をした形での放送が、国民の負託にこたえられる放送ができるというこのことが、私は、民放の当然あるべき姿として、あるいはNHKのあるべき姿としてとられてしかるべきだったと思います。  私は先ほど申し上げましたが、アマチュアスポーツの総決算というべきこういう行事については、少なくとも放送界が一致して当たってもらいたい、当たるべきだ。そして国民の負託にこたえていくという放送界の本来の使命を私は全うしてもらいたい。これが電波法であり、放送法の中の精神だと思うんです。私は、いまのやりとりの中で、時間もありませんで、それぞれ答弁をお聞きして私の見解を申し上げませんでしたが、まさにソビエトの手玉といいますか、こんなことを言っても特定の国を指弾しているわけじゃありません、できるだけ安く、しかも国民に、このアマチュアスポーツの総決算というものを国民が希望するならば、要するに映像を送ってやる、こういうことが私は当然のことだと思います。  こういった国民の利益を裏切って、私は、NETの企業のエゴでまさに電波を私物化している、企業競争ということだけしか頭にない、この中には放送界の自律性も秩序もモラルもない、こう言わざるを得ないと思うんです。その背景は、まさに放送の独占集中化、系列化、この一連の中で視聴率を上げるためには手段を選ばないという、たとえばアメリカの映画でネットワークという映画が話題になっています、殺人までやるという。このNETの今回の独占劇は、私に言わせるならば、まさに本質的に同じストーリーだと思うんです。またNETのライオン事件があります。最近はポルノ実演についてのやらせ番組事件があります。私は民放の倫理についていまから時間がありませんから言いません。これもまた同じく、同じ次元の上に立って視聴率独占、視聴率を高めるためには手段を選ばぬという、私はこれは今回あらわれた一つの象徴的な事件と全く同質のものだと思います。私は、こういう面では、いま民放あり方についてきわめて厳しく見ざるを得ないと思います。  その背景に朝日新聞があり、あなたは関係ないと言うけれども、ここに役員名簿や出資の額やありますが、表向きは一〇%になっていても実質は二〇%を超しているじゃないですか。また、私は全国紙五紙にも同じことが言えると思います。四十八年十月のチャンネルプランの変更から、あるいは十一月一日の再免許処理の問題をめぐって、民放の系列の再編成という事態を迎えて、そしてNETの全国朝日テレビという社名変更等をネックにして、いま視聴率の合戦やシェアの拡大競争、広告費の争奪戦というのが実は日を追って激しくなる中で、今回のモスクワのオリンピック放送権という問題をめぐってNETが独占をし、抜け駆けをし、相手方のまんまとした分裂工作の上に乗って価格のつり上げをやる、国民の利益を裏切るような私は行為になってきたというように理解をせざるを得ないのであります。  放送の持つ国民性、公共性から、法制・法令や行政あるいは国会における監視というものがあります。いまこの問題について、民放あるいはNHKが今後多重化放送の中でもっと多くの問題を抱えてくるであろうということを私は想定をいたします。私は小林民放会長にお願いをするんですが、どうかこの問題について、いま私が言ったような危惧が放送界の中にある。そのあらわれがNETの問題だ。あと三年あります。もう一回民放連自体としても、強制力ありません、サロン化している、しかし、こういったもののみずからの自律性で国民の負託にこたえていくという、そういう立場というものを私はとってもらいたいと思うんです。  今回の問題で必ずオリンピック放送は全国津々浦々にやらなければならぬ、こういう声が多分にあります。ありますけれども、いま民放の中にある、いまNETがとってきておる象徴されたこの問題が、もっと国民の前に、なぜこうなったかと明らなになる方が大事だと思う。あえて、私は、このことについてNHKにも、今回の問題をもっと内容的に明らかにする方が大事である、何が何でも今回については放送しなさいなんと言う気はありません。しかし、そこは民放界の良識であり、NHKの良識に従ってNHKあるいは民放の持つ役割りに従って、今後三年の間に、NETも含めて、放送界はどうあるべきかということをもう一回私は見直してもらいたい、そのことを最後に要望いたして終わりたいと思います。  再度、この問題に関連して、午前中からの審議あるいはNHKの五十二年度予算審議等もやってまいりましたが、今後ますます重要化してくるこの電波の取り扱い、放送のあり方等について、私は、この逓信委員会に小委員会をつくって、そして本当に委員全体が国民を代表する立場で、国民の公共的なこの電波、有限の電波というものについての今後の運営等について、あり方について検討をしていく必要が今日あろうと思います。そういう意味では、委員長に、当委員会民放の問題、NHKの問題等も含めて、電波・放送の行政について検討する小委員会をつくっていただくように提案をすると同時に、大臣に、今日のこの事態について、大臣政府としてあるいは大臣として何らかの重大な関心を持ちながら、あるいは介入もあり得るかのような発言をなされたと報道されておりますが、最後に、大臣として介入するしないではなくして、この問題についてどのように理解をされているのか。また、そういった電波・放送の問題について、今後、大臣としてこの院として検討していく場合の協力の姿勢があるのかどうか、あわせて質問いたしまして、終わります。
  202. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 大変先生の有意義な御意見郵政省といたしましても、今後とも貴重な意見としてぜひ参考にして行政をやっていきたいと思っておりますし、放送は有限、貴重な電波資源であります。また、その与える影響は国民生活の中で大変大きなものであります。ですから、ただ単に言いっ放し、あるいは新聞が自分だけのことを書きっ放し、私はそういう形ではいけないのであろうと思います。少なくとも日本の最高の知的集団であるものが恥ずかしい番組を乗せるべきではない。親子並んでテレビの前に座っていられないような番組が最近特に目立ってまいります。セックスの場面さえも出てくるほどで、これを経営者そのものが親子で小学校、中学校、高等学校の生徒と一諸になってその真ん中で見ていられるかというくらいの番組が出ております。私は、大いに反省すべきであるし、今後、再免許については、今後ともその点についてやはり留意すべき問題かと考えておりますし、オリンピックについては、今後、業界がやはり積極的な努力をして円満解決を見、かつ、その電波がだれのものであるかということも認識していただいて、多くの国民がオリンピック放送を楽しめることを願っております。
  203. 神沢浄

    委員長神沢浄君) ただいま案納君から御意見のありました放送・電波に関する小委員会設置の件につきましては、追って理事会での御協議をいただいた上で、委員会にお諮りをいたしたいと存じます。
  204. 最上進

    ○最上進君 すでにモスクワ・オリンピックの放送権の問題につきましては、先般のNHK予算審議の過程の中で私は自分の質問時間を通じましてかなり論議をさせていただいたわけであります。そこで、きょうは、全国朝日放送の三浦さんを初め、今回の問題の当時者であります方々がおそろいでありますので、率直に問題点指摘をいたしまして皆様方に御回答いただきたいというふうに考えております。  まず、その後、ただいま三浦さんの御答弁を聞いておりますと、もうすでに事は着々進行しておりまして、契約に基づいて第一回の支払い、技術サービス料が支払われたというふうにお聞きをしたわけでございますけれども、こうした事態の進展の中で、私は、NHKなり民放連の小林会長がこうした旧NET側に対してどのような接触を持たれてきたか、この点につきましてお二人からまず御答弁いただきたいと思います。
  205. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHKといたしましては、さきの当委員会で御報告いたしましたように、テレビ朝日社のその後の情勢等がいまだつまびらかにされておらないという状況でございますので、いまのところ、静観しているという状況でございます。
  206. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 民放連といたしましても、もうNETさんが独占放映権を獲得されて、その実施に準備を進めておられるようでございまして、われわれの方に何の接触もありませんし、私の方から接触する意図も必要も感じておりません。
  207. 最上進

    ○最上進君 まあいまの御回答というのはもっともらしいんでありますけれども、ただ、やはり国民にとにかく影響を与えないということを考えますときに、三年先のオリンピックであるという考え方でいきますと、私はこの問題というのは解決しない。問題が起きている以上は、できるだけ早くこの問題を解決するということが大事であるというふうに考えているわけであります。したがいましてNET側がとにかくつまびらかにしないから、とにかくNHK会長としても、あるいは民放連としても、これに対して静観をして、何ら交渉の道を開いていく努力をしないということは私はやはり間違いではないかと思うわけであります。  そこで、この問題につきまして、先般の質疑の過程の中で私はこのような質問NHK会長にしたわけであります。それはNHKと一般放送事業者との使命の違いというものがおのずとあると思いますけれども、NHK会長として民放との関係というのはどのようであるべきかという質問に対して、NHK会長は、民放とは協調的な競合の関係であって、どちらが上であるとか、どちらが下であるとかというようなことはないんだという、そういう御回答があったというふうに記憶しておるわけであります。  そこで、今回の問題のそもそものいわゆる発端というものを考えますと、旧NETはNHKに対する日ごろの不満、あるいはNHK姿勢に対する反抗、こういうような見方が当然一部でされているわけでありますけれども、三浦常務は、お聞きいたしますと、大変放送界とかテレビ界の怪物とか傑物とか言われているそうでありますけれども、私は、この際、ひとつそうした問題が発端になってこうした放送権の問題が出てきているということになりますれば、これからの将来を考えまして、ぜひひとつ忌憚のない意見を三浦参考人から胸襟を開いてお聞かせをいただくということが大変大事であると思いますので、その点ひとつきょうはぜひ三浦さんから胸を開いた御意見を聞かせていただきたいと考えます。
  208. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私どもは、NHKと、先ほど申し上げましたように、同じ電波の免許を受けているものでありますが、しかし、その成り立ちと成り立っている、実存しているわれわれとは異質のものであるというふうに考えております。したがって国家的な大きな行事がNHKでなければならぬのだという考え方は持っておりません。  先ほど申し上げましたが、協調よりも競争が早いというふうな御意見がございましたが、そういう考え方もありません。協調すべきものは協調していく、競争すべきものは競争していくという立場をとっております。したがって秩序もモラルも同じです。何もそれを破ってソ連の手玉にとられたとか、それからソ連に乗せられたとかというようなことは毛頭ございません。そしてそういう考え方もありません。  そういう考え方から私どもが日ごろ考えておりますのは、民放といえども、一民間企業の一会社といえども、社会的に赤字を出しても還元すべきときは還元する。国民に対して還元しなきゃならないときには思い切ったことをやってみたというふうに考えております。視聴率をねらったり、それからネットワークというお言葉がございましたが、民間放送の私どもにはネットワークというようなものは認められておりません。したがって、これからのことですが、(「きれいごとを言うんじゃないよ」と呼ぶ者あり)きれいごとだというふうに御理解願ってもしようがないですが、私は信念に基づいて——新聞社とは違います。独立した放送会社です。免許をされている放送会社でございます。その点はひとつ皆さんにも御理解いただきたい。株の数それから役員のことで朝日新聞の何か要するに下部組織みたいな物の言い方は非常に迷惑な話で、私に対する、テレビ朝日の全社員に対する侮辱です。そういう意味で、私が契約してまいりましたのは、放送法にも、それから放送の免許基準にも合致しておるというふうに深く信念を持って考えています。
  209. 最上進

    ○最上進君 いま御答弁の中に異質のものという、NHKと一般放送事業者いわゆる民放との間に異質のものがあるということをお答えになったわけでありますけれども、その異質のものというのは、一体、どういうお考えでそういう御表現をされるのか、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
  210. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) NHKは、御存じのように、受信料に基づいて、国民から受信料を取って成り立っております。それから予算、決算、ある意味では人事も、経営委員会といいますか、そういうものも政府郵政省の手を経て、政府の提出によって議会の議決を経なければならないものがございます。私どもにはそういうものはありません。そういう意味合いで言論の自由というふうなものから考えて、報道、取材の自由というようなものから考えて、政府及び国会のいわゆるある程度の拘束を持ったものと、それから放送法と免許基準というもので許されている私企業というものとの間は異質だというふうに考えています。
  211. 最上進

    ○最上進君 私がお尋ねしているのは、いわゆる放送の使命に関して異質であるのかどうか、そういうお考えなのかどうか、この点についてお答えいただきたい。
  212. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) そういう意味では、異質ではないと思います。
  213. 最上進

    ○最上進君 また、いまのお答えの中に、社会的に赤字を出してでも民放は還元するときは還元するという御指摘があったわけでありますけれども、今回のいわゆる放送権の問題につきましては、赤字をそれでは覚悟して、とにかくこの放送権を獲得したということで理解してよろしいんでしょうか。
  214. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) そのとおりでございます。
  215. 最上進

    ○最上進君 私はこれらの問題を聞いておりまして非常に感じますのは、今回の問題というのは放送界にとって非常にさまざまな問題を抱えている中で、さらにやはり放送界に変革をもたらすような分岐点になり得る可能性を持っているだけに、非常に重大な関心を持って私は見ているわけでありますけれども、特に先般も指摘したわけでありますけれども、ちょうど前回のオリンピックにおけるモントリオール方式が成功したということで、恐らくNHKにはオリンピック放送というような世界的国民的行事の放送に関してはNHKなくして放映とか放送とかというものはあり得ないんだというような、たかをくくったような考え方がおありになったんではないかということも私たちには当然感じられるわけであります。  NHK民放との正常な関係というものはどういうものであるのか、この際、やはり改めてじっくり考え直していく時期であるというふうにも考えているわけでありますけれども、NHK会長はこの点どのように考えておられるか。いい意味での、私は先般も指摘をいたしましたけれども、NHKの自尊心といいましょうか、NHKの自意識というものは大事でありますけれども、NHKなくしてはとにかく国民的行事、世界的行事の放映はあり得ないというようなうぬぼれに近いものがあるとすれば、私は、この際、やはりそういうものを洗い去るべきであるというふうに率直に申し上げなければならないと思っております。この点につきまして、どのようにお考えでありましょううか。
  216. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まことに残念な御指摘で、私ども、日ごろ全くそのような何と申しますか、尊大な考え方は一切持っておりませんで、モントリオール方式というのも、ともども民放さんと制作についても御一緒にやろうということで、従来の、その前のメキシコから見ればさらに一歩進んだ制作グループもできるというようなことで、正直言って全くそういう気はございませんし、もしそうであるならば、その誤解はぜひ先生にも解いていただきたいと思う次第でございます。  ただ、先ほど三浦氏から赤字を出しても社会へ還元という非常に御見識のある御発言をいただいたわけですけれども、私どもといたしましては、もちろんNHK公共放送でございますから、赤字を出しても社会へ還元ということをまず考えるべき立場にあろうかと思いますけれども、出さなくても済む赤字ならやはり出さないで国民にサービスするということがよかろうではないかということで、モントリオール方式を小林さんにもお話しして取り進めてきたという次第でございます。
  217. 最上進

    ○最上進君 やはり民放の祭典とも言うべきオリンピックであることに加えまして、国民電波を占有使用して一放送事業者が営利行為を行うということに対して、やはり、私は、この際、大いに当然国民の一人として論議をしておかなければならない重要な問題点を含んでいるというふうに感じているわけであります。  特に、強調したいのは、電波国民のものであるということ、これはもう大臣のお答えでも電波理局長のお答えでも、あるいは放送事業者の方々のお答えの中にも出てくるわけでありますけれども、実際に開催国のオリンピック委員長と一放送事業者が一たび契約する中で、国民の立場からこれらに一切その後は関与できないというような、非常に重要な点を含んでいるわけであります。この点につきましては、私も非常に疑問を持っているところであります。この点、電波理局長は、国民国民電波であるということを言いながらも、一たび開催国のオリンピック委員会と一放送事業者とが契約を結んだ中で、こういう問題がとり行われていくということに対して、どのようなお考え方をお持ちでありましょうか。
  218. 石川晃夫

    政府委員(石川晃夫君) ただいま先生から御質問ございましたが、今回のこの問題についての考え方は、従来大臣が機会あるごとにお話しになっているのと私たち全然同じ考えでございます。電波国民のために使われるべきものであるという精神にのっとりまして、この放送事業というものができ上がっているわけでございます。そのような観点から見ましても、今回のような形が果たして国民の皆様の期待にこたえた放送になるのかならないのか、この点について私たち非常に重大な関心を持っているわけでございます。
  219. 最上進

    ○最上進君 郵政大臣にお伺いしたいのでありますけれども、世界的国民的行事で、しかも国民電波を占有使用するようなことが今後も当然起こり得るというふうに考えているわけでありますけれども、こういう際には、やはりNHK民放とが互いに、あるいは民放の中同士でもそうでありますけれども、やはりNHKを中心にするなりして協定を結んで、今回のような悪く言えば出し抜きだと思いますけれども、こういう争いごとを防止をしていくという、そういうことが電波国民のものであるという考え方からすれば、当然、私は郵政省も積極的に指導していく必要があってしかるべきであろうと考えているわけでありますけれども、この点については、どのようにお考えでありましょうか。
  220. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 放送業界、業者というものが、やはり毎回私が言いますように、少なくとも放送というものが国民のためにあるんだということを認識して、かつ、先ほども申しましたように、日本最高の知的集団であります。そういう意味では十分常に話し合って、よい競争相手であってほしいと思います。NHK民放も私は同じステージの上に乗っかっているんだろうと思います。NHKだからということではないと思います。  そういう意味では、私は、今後やはり良識のある方々であるから、それなりに解決できるものと楽観いたしておりますけれども、これに付言さしていただければ、先ほど番組の話の中で申し上げておきましたけれども、やはりそれは放送で瞬間的に消えるから、またスポンサーに言われたからということではなくて、やはり放送業者そのものがそういう問題についても十分話し合って自主的によき放送をやっていただきたい、これは郵政省としては常に願っていることでございます。
  221. 最上進

    ○最上進君 三浦さんに、いままでの経過の中でちょっとお伺いをしたいのでありますけれども、とにかく先ほどのお話を聞いておりますと、放送、報道の自由は認められる、放送、報道の自由という点で契約をとにかく結ばれたというお話があったわけでありますけれども、とにかく一社ででもこれを独占して放送権を取りたいと考えられたのは、いつの時点からでございますか。
  222. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 条件が合えば取ってもいいと思ったのは、昨年の八月です。
  223. 最上進

    ○最上進君 民放連の小林会長に聞きたいのでありますが、こうした三浦常務を中心にいたしました旧NET側の動きを最初に察知されたのはいつですか。
  224. 小林與三次

    参考人小林與三次君) これはさっき話に出ました五社長会でTBSの社長か、NETさんに何かそういう動きがあるようだか一体どうなんだろうかという、こういうことから表に出たわけでございます。そのときはNETさんの社長もそれをはっきり肯定されたわけでなし、これは一緒にやるべきじゃないかということで当然進んでいったわけでございます。
  225. 最上進

    ○最上進君 ことし一月に民放連の会合があったというふうに伺っておりますけれども、このときには旧NET側はどなたか御出席でありますか。
  226. 小林與三次

    参考人小林與三次君) それは五社長会の高野さんです。
  227. 最上進

    ○最上進君 この一月の民放連の会合のときには、とにかくモスクワでの放送権の問題をめぐって、やはりNHK民放の共同取材方式でいこうじゃないかというような話が出たということは事実なんですか。
  228. 小林與三次

    参考人小林與三次君) それは当然そうです。そういう問題があって、その後、在京の報道局長会議、民放連の報道委員長も入れたものもあって、多少そういう動きがありましたか、これは一体としてやるべきじゃないかという打ち合わせとか話し合いというのは民放連の内部で幾たびか行われております。
  229. 最上進

    ○最上進君 三浦さんにお聞きいたしますが、昨年八月からとにかくこの放送権を得たいというふうにお考えだ、意識をされたといういま御回答があったわけでありますけれども、その当時から、やはりもう一社だけでとにかくこれは独占するのだというお考えでおられたのでしょうか。
  230. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 先ほど申し上げましたように、条件が合えば、われわれは一社でやり得るということであれば、やりたいというふうに思っておりました。  いま小林会長の言われた点で、ちょっとあれがあるのですが、二月の十四日の社長会では、先ほど申し上げましたように、私どもの高野が私の事情を聞いておこうということで、モントリオール方式でいくという、そういう打ち合わせという決定的なものというものは一切ありませんでしたので、その点をつけ加えさしていただきたいと思います。
  231. 最上進

    ○最上進君 それでは、高野社長はこの一月の民放連の会合に御出席であったというふうに伺っておりますけれども、小林会長にお伺いしたいのですが、このときは、この呼びかけに対して、共同取材方式に対して何か御意見があったのでしょうか。
  232. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 呼びかけじゃなしに、五社長会、毎月定例にやっておりますが、その際に、TBSの社長から何かNETさんがそういうことを考えておられるらしいという動きがあるが、一体その真相はどうだ、こういう話があって、しかし、NETの高野さんは、事実そういうことはおれはまだ知っておらぬということで、しかし、こういう問題は一緒に従来どおりやるべきではないかという、そういう一般的な話があったと、こういうことでございます。
  233. 最上進

    ○最上進君 一社の独占契約が成立をしたということで、放送権料が非常に高くなったというふうに伝えられているわけであります。ただいまの案納委員質疑の過程の中でも二十五億強とか、とにかくそれに近いいわゆる数字が飛び出してきたわけでありますけれども、この点でやはり問題になりますのは、当然第三者にこの放送権が譲渡されるという今後の仮定の中での話でありますけれども、そういうことになりますと、NHKにしても今後どういう交渉になるかわかりませんけれども、実際にやはり放映に対する権利を譲渡してもらうということになると、非常に高い買い物にならざるを得ないわけであります。  したがいまして、NHKの立場からすれば、やはり国民に対してできる限り安い買い物をするということが当然要求されるわけでありますけれども、こうした点、NHKの立場はもとよりでありますけれども、国民のことを私は三浦さんの方では全くお考えにならないで、先ほども指摘をされていたわけでありますけれども、今回の問題にただ単に一社で独占をしたいという、条件が合えばしたいという気持ちだけでこの問題に対処されてきたのかどうか、その点、もう一度明確にお伺いしておきます。
  234. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 条件が合えばというのは、先ほど申し上げましたように、私どもで外画を買っております。外画の値段でもいまもう相当高い値段であります。ですから十六日間の開会から閉会までを時間数にいたしますと、日ごろ私どもがつくっておる番組よりも安い値段ででき得る金額でございます。したがって外画とかそういうふうな値段の兼ね合いを考えて、私どもは高いというふうには感じません。
  235. 最上進

    ○最上進君 三浦さんに、続いてお答えいただきたいんですけれども、NHK会長指摘されているように、今後のNHK民放とのあり方ということを考えてまいりますと、やはり一言で言うならば協調的競合、現実に日本の放送界の中で一緒に活動しているということを考えますならば、私は、いわゆる競争だけで一つの企業の利益を追求するために独走するということも当然許されるかもしれませんけれども、この協調ということに対しては、三浦さんはどのように考えておられるのでしょうか。
  236. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私どもでは、日本のサテライト・ニューズ・プールというものがございまして、アメリカに三大ネットワークのプールがございまして、それに伴って、同じようなニュースでありますと衛星回線、その他衛星料金、そういうふうなものから考えてプールをつくらにゃいかぬということでプールをつくったわけですが、放送権料の伴うものについては常にいままで私どもは競争してまいりました。したがって協調すべきものは協調してまいります、これはもう原則でございます。しかし、競争してよろしい、これでいけるというときには、私どもは、やはり日ごろ協調しておるのと同じように競争したい。オリンピックだからといって遠慮することはないという考え方がございます。国民的行事の基準というものはどういうふうなものに置くか、非常にむずかしいというふうに思いますが、国民的行事であっても民放のわれわれが競争する立場に立って、協調というものがそれに伴う伴わないは別にいたしまして、そういう考え方で私はやってまいりました。
  237. 最上進

    ○最上進君 競争ということを非常に三浦さんは強調をされるわけでありますけれども、私わからないのは、やはり企業利益を追求する企業家の立場からしてみれば、先ほどのお話にもありました、いわゆる社会的に還元することを考えれば、赤字を出してでもとにかくやることはやるんだという、そういうお答えの中で、私の質問に関連して、とにかく赤字を覚悟だというお答えがあったというふうに考えているわけでありますけれども、どうもその点、私には、ひとつ姿勢として非常に理解できないものがあるわけなんでありますけれども、国民に対する放送、国民に対する放映であるという、そういう認識というものが何か欠けているんではないか、そんな感じがするわけであります。  で、あわせてお聞きしたいんでありますけれども、テレビ朝日はテレビ単営社であるというふうに考えていいわけだと思いますけれども、先ほど案納委員からも御指摘がありましたけれども、独占的放送権の対象にラジオ放送を含むとしているわけでありますけれども、この場合、国内でのラジオ放送の実施というものに対しては、とにかく先ほどの答弁では、大変国民の立場からすれば無責任であると受け取られるような答弁に終始されたと思うんであります。もう一度、私は確認をしておきたいんでありますけれども、この国内でのラジオ放送の実施については、どのように今後されていくんでしょうか。
  238. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) テレビも同じなんですが、私どもに許されております波といいますか、は限られております。これを全国にやる場合に、ネットワークという拘束したものは私どもにはありません。したがって全国の放送の皆さんにお願いなり何なりして全国的な放送というものをやりたい、やるように努力するということを基本にして、これから進めていきたい、これがテレビの考え方ですが、ラジオの場合にも、私どもに直接のラジオのあれはありません。したがって私どもが権利の譲渡をいたしまして、東京における放送局もしくは大阪でもどこでもいいんですが、それを放送局に依頼をして、それでその放送局が全国にラジオで放送できるよう努力するしか現在私どもに残される道はありません。
  239. 最上進

    ○最上進君 ラジオの権利のいわゆる譲渡について、受け手がいなければ、とにかくこのラジオの放送権は放棄する以外にないというような答弁を私は先ほど聞いていて非常に残念に思ったわけでありますけれども、やはりこの日本国内には、見回しますと、まだテレビが普及しないで、しかも普及していても、とにかくラジオの愛好者というものはかなり多いはずでありますし、あるいは中にはラジオしか聞くことができないという生活環境にある人たちもまだまだ多くいるはずであります。私は、そういう人たちに対して、何か切り捨て的な感覚をお持ちなのではないかというように、先ほど答弁を聞いて、感じたわけであります。  ぜひ、ひとつ、このラジオの放送権の問題については、これは権利の譲渡という道しか残されていないわけでありますけれども、これはやはりあなた方の責任として最大限の努力をしていただきたいということを要望しておきたいというふうに考えます。  さらにつけ加えまして、放送権を譲渡するとしても、ただいまラジオの場合でもお話ししましたとおり、他者が引き受けない場合には、テレビ朝日のネット系列のみによる放映となることも当然予測されるわけでありますけれども、この場合、全国をカバーできる自信というものがおありになるのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  240. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 先ほど申し上げましたように、放送会社は、免許に基づいてその県域県域で独立しておりますので、私どもからいま自信があると言うわけには——ございませんで、その放送を持っておる、免許されておる放送の会社の皆さんが自分の許された県域にオリンピックを見せるべきであるというふうにお考えになった場合に、私どもは喜んでそれに映像をお分けしましょうというふうに考えておりますんで、いまから全国に自信があるかというふうに言われますと、放送法上私どもに与えられている免許の事情から御推察いただきたい。  それから、切り捨てというふうに思われたような点ですが、これはもう申しわけないんですが、切り捨てる気はございません。ただ、モスコー・オリンピック委員会に、引き受け手がない場合にはラジオの放送権については別途交渉すべきであるという勧告を私どもがするということ以外にない、という意味合いでございます。
  241. 最上進

    ○最上進君 この独占のいわゆる放送権をお持ちになっている人の答弁としては非常に私は心もとない。やはり独占ということになりますと、ほかのいわゆる民放にしてもNHKにしてもいまの段階では放映できる状態でないだけに、私はやはりその自信というものに基づいて、一社だけでとにかくやれるんだという自信に基づいて初めて、先ほど案納委員指摘したとおり、こうした放送権獲得にとにかくつくことができると私は思うんでありますけれども、どうもこの辺につきましては、私は三浦さんのおっしゃっていることに対して非常に疑問を感じております。  そこで、テレビ朝日の今度のいわゆるドラフトの内容というものが、先ほど、どういう私は種類の資料であるかはよくわかりませんけれども、とにかく案納委員から指摘をされたわけでありますけれども、ここまで契約の内容というものが、どういう入手経路だかわかりませんけれども、とにかく内容らしきものが出ている中で、どうしていつまでもこのドラフトの内容を明らかにされないのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  242. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 先ほども申し上げましたように、私どもの契約の内容を公表する障害になるものは一つもございません。ただ、私がアビジャンにおける国際的な会議に出席した際に、アマチュアの要するにオリンピックというものが国会で問題になったり、それからIOCの標準契約書というものの草案が世論の議論になったりする日本の国内事情というものはどういうものだということで、非常に何といいますか、冗談まじりの、笑い話の中に余りにも入り過ぎるんで、いまはそういう事態を少しやわらげた方がいいという考え方で発表してないだけであって、発表すること自体は何ら支障ない。それで、後で直したんじゃないかというふうに言われると非常にまずいんで、私どもとしては、中立的な第三者にこの契約書を渡しております。それで公表と同時に、私どもが公表したのと同じものであるということを、証言といいますか、していただきたいというふうに考えております。
  243. 最上進

    ○最上進君 そうしますと、公表する意思はおありになるわけですか。
  244. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 公表いたします。
  245. 最上進

    ○最上進君 いつごろ公表されますか。
  246. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 五月に入ってからというふうに考えております。
  247. 最上進

    ○最上進君 JOCの方にお伺いをしたいんでありますが、IOCの規則が最近になって改正をされた。で本則、細則ともかなり今回の問題に関連をしている、大変重要な部分に関連をしている変更点があるというふうに伺っているわけでありますけれども、この本則、細則のいわゆる改正点につきましてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  248. 佐野雅之

    参考人(佐野雅之君) ただいまの最上先生の御質問でございますが、非常に大きく変わりましたのは第四十九条でございます。これは先ほど案納先生からも御指摘がございましたいわゆる放送権の独占的交付という条件でございます。  これは前にも一応放送ということにおいて規定はございますけれども、若干、この点につきまして御説明申し上げますと、メルボルンの大会ごろまではテレビ、ラジオ、そういったものの独占といいますか、権利金問題は起こっておりません。新聞等と同列の取材でございました。IOCがテレビ権利金について規定に定めましたのは、ローマ大会の前、一九五八年ごろからでございまして、このころはテレビ権利金はIOCの承認のもとに組織委員会が売るという、IOCの指示によって配分をするということになっておりました。東京大会、第十八回でございますが、ここに至りましては衛星中継というものができるようになりましたので、テレビ放送は画期的な段階を迎えるようになりました。第十九回のメキシコ大会の前六七年には、IOC規則も変わりまして、テレビに対する規定が非常に詳しくなりました。さらに二十回のミュンヘン大会におきましてはIOC規則はさらに細かくなりました。  いま先生指摘の、どこが変わったかと申しますと、モントリオールで細則を決定をいたしました。ただいまの四十九条につきまして、その細則として、付属書類の第五章第四十九条にございます放送権、先ほど岡野総務主事が申し上げましたように、放送権という規定規定と申しますか、語句の意味でございますが、その意味をはっきりここでうたいまして、マスコミ媒体——シネマ、ラジオ、テレビ、有線放送、ビデオカセット等ということで、はっきりここで規定をしたわけでございます。  以上でございます。
  249. 最上進

    ○最上進君 きょうは橋本さんがいらっしゃらないので明確なお答えがいただけないと思うのでありますけれども、NHKがモスクワに赴いて、このモスクワ・オリンピック委員会との交渉に今回当たられたときに、これらのいわゆるIOC規則の本則、細則の変更点というものがあったことを御存じでモスクワへ行かれ交渉に臨まれたかどうか、この点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  250. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 詳細には存じませんでした。しかし、見たところ、放送権の内容にラジオが含まれるということについては、英語でメイという言葉が使われておりましたので、従来の慣習を尊重するものというふうにあっさり理解をして、出かけたわけでございます。それには、もう一つ、モスクワからの二月十六日付の招請状にテレビ・カンパニーズに対する、テレビの放送権についてテレビの会社についての招請状がございまして、これには全然ラジオのことは触れてございませんでした。したがって、当然のことながら、従来の慣例、慣習と招請状とを照らし合わせて、テレビの放送権だけが問題になるというつもりで出かけたわけでございます。
  251. 最上進

    ○最上進君 実は、前回の委員会のときにも、いろいろドラフトの内容の中で、NHKなりNETを除く民放を代表して行った橋本さんとすれば、どうしてもとにかくのめないいわゆる条項というものがあった、それにつきましては、その中で特にスポンサーの問題について承認を得るという、こういう条件が一つ明言をされたというふうに私は記憶しているわけであります。  こういういわゆる本則、細則の変更というようなもの、特に、いまのラジオの問題にいたしましても、すでに一九七六年にこの規則が変わっていることを何か知らないでNHKの方々はいわゆる交渉に当たっていたんではないかということを感じるわけでございますけれども、スポンサーの問題につきましても、これは改正によりましてIOCの承認を必要とするというものがもう明文化をされているわけであって、まあ私どもいままで論議の過程で誤解をしてきたわけでありますけれども、何かソ連側、特にモスコーのオリンピック委員会が初めて自分たちの判断でこれをとにかく持ち出してきて日本側に対して強制をしたかのごとき受けとめ方をしていたことも事実でありますけれども、これは私は大きなやはり認識の誤りであったというふうに認めざるを得ないわけであります。  で、こういう点について、先ほど来、私は、最初からNHKに対しては非常に厳しい批判に受けとめられるかもしれませんけれども、厳しいことを言ってまいりましたけれども、こういうようなオリンピックIOC規則に対する取り組み方一つ見ていても、交渉に行く前に、こういうものをやはりきちっと明確に確かめないで行かれているということも、私はひとつ大変失点であろうというふうに考えざるを得ないわけであります。この点につきましては、NHK会長はどのようにお考えでしょうか。
  252. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) まず、ラジオの放送権について申し上げます。  このドラフトを受け取りましてから後、ラジオ放送権が従来の慣例に反して売買の対象になることについては、私たちオリンピックIOCあてに質問状を出しました。その一つはIOCの会長あての質問状であり、いま一つは部会長あての質問状でございます。そして去る四月二日付で正式にIOCの会長から返事が参りました。読み上げます。   オリンピック大会のラジオ放送について   IOCキラニン会長にかわって、この手紙を差し上げます。三月二十九日付の貴翰確かにいただきました。IOCはオリンピック競技大会のラジオ放送に関する方針を一切変更しておりません。IOCはラジオ放送機関に対して放送権料を要求する意図は全くありません。これまでどおりです。   以上の説明で、はっきりおわかりいただけたと存じます。  これは正式にIOCの用紙を使いまして、IOCの会長から返事が参っております。  しかし、IOCとモスクワ・オリンピック組織委員会との間の関係がどうなっているかどうか、したがって現実にIOCの会長がこういう意図を持っていたにしても、実際上、ラジオの放送権料の問題がどう推移するかはまだ検討の余地が十二分にあるとは思いますが、IOC会長自体がラジオ放送権料についてこれを要求する意図がないというような書簡を四月の二日付で正式に私たちに返事をくれるということから推して、われわれがラジオ放送料について準備不足であったということはやや酷に過ぎる御指摘ではないかというふうに思います。もちろん、結果論といたしましては先生のおっしゃる点は十分理解はできますが、環境的にはそういう状況にございました。
  253. 最上進

    ○最上進君 いま公開質問だったと思いますけれども、IOCのいわゆるテレビ委員会委員長からのお答え……
  254. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 会長からです。
  255. 最上進

    ○最上進君 会長からですか。会長からのお答えだと思うのでありますけれども、現実にIOC規則の本則、細則、そういう変更の中に明確にラジオというのはうたわれているというふうに私は資料を読ませていただいたわけでありますけれども、この辺はいまのお答えを聞いておりますと、ちょっとやはりニュアンスが違うんでありますけれども、これはJOCの方、このラジオの問題というのは確かに明記をされているということでいいわけでございますね。
  256. 佐野雅之

    参考人(佐野雅之君) その対価の対象になるということにつきましては、私どもはちょっと考えがわからないんでございますが、この字句から言いますと、支払われる金額に該当するものに含まれると、一応、解釈をいたしております。
  257. 最上進

    ○最上進君 先ほど指摘しましたスポンサーの問題について、会長はどういうふうにとらえているんですか。
  258. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) スポンサーの問題につきましては、やはり正直申しまして、スポンサーという条項につきましては、NHKと平常かかわりが余りないものですから、そこら辺のところの認識というのがあるいは甘いという御指摘があろうかとは思いますけれども、今回は、橋本理事は民間放送の方々の御意思も代表して行くということになりましたので、やはり見せられたドラフトの中のスポンサー条項は、これは独断で決断するわけにいかないというふうに席上判断したのはやむを得なかったのではなかろうかと思う次第でございます。
  259. 最上進

    ○最上進君 会長、私が聞いているのは、そういうことじゃないんです。  とにかくスポンサーについて、前回の委員会等でも非常に私どもはセンセーショナルに受け取ったわけであります。いわゆる内政干渉に近いではないかと、いわゆる放送をする、それにつくスポンサーにまでとにかくソ連側が一々承認を求めるというようなことに対して、大変それを聞いたときは憤りを感じたわけであります。ところが、このいわゆるIOC規則の本則、細則の変更の中で——スポンサーについても事前にモスクワ大会組織委員会の了解を必要とするとしているのは問題だというふうにこの間からその答弁の中でNHK関係の方々はおっしゃったけれども、この点についても、オリンピック規則の細則ではIOCの承認を要するということになっているんだということを私は聞いているわけです。これを確認したいわけなんです。それについてどういうお考えをお持ちかということです。
  260. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) その点は、いま申し上げましたように、協会といたしましては、通常商業放送の問題についての、条項についての関心と申しますか、そういうところが多少弱いという御指摘になろうかと思いますので、それはやはり今後の問題としてすべての点について十分目を配るべきであるというふうに反省いたしておる次第でございます。
  261. 最上進

    ○最上進君 私は、何も反省をしているとかなんとかという言葉を引き出すために言っているんではないのです。やはり間違っていたら間違っていたと認めなければいけないと私は思うのですね。  そこで、聞いているのは、要するに、交渉に行ったときに、このIOCの本則、細則の変更の中でスポンサーの問題についても大きなやはり改正があったということを私は知って行かれたのかどうか、これについて聞いているわけです。
  262. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ですから、そのときには改正がないというふうに判断して行ったわけでございます。
  263. 最上進

    ○最上進君 これは御承知のとおり、先ほどお話ししましたけれども、一九七六年七月の第七十八回IOC総会でこれが採択されているということが資料に出ているわけです。私はやはりそういうひとつ取り組み方を見ていても、何かいままでの審議を聞いていると、自分たちのやっていることは正当だということを正当化するための何か論議に終始しているような感じがしてならないんです。私は、そういう意味で、やっぱり知らないで行ったんなら、一つの交渉というものは知って行った状態とはまた大変な違いがあるわけであります。当然知っていなければならないものを知らないで行って正常な交渉というものが成り立つわけはないわけでありますから、私はその点を指摘しているわけなんです。私は、だから、何もあなたが反省をしているとかなんとかという答弁を引き出すために言っているんじゃありません。一つの大きなこういう問題に取りかかる前提として、やるべきことをやらないで行ったということも事実であるならば、やはりこれからも反省をしていただかなければいけないということを言いたいわけであります。  そこで、まあ大変細かい問題になるかもしれませんけれども、最悪の場合は、ニュース、これは一日三回まで一回三分間で放映をしたいというふうに言っておられたわけでありますけれども、これはどういうふうになるわけでしょうか。
  264. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) それはそのとおりかと思います。
  265. 最上進

    ○最上進君 このニュースにつきましても、やはりオリンピック規則第四十九条によって独占的権利を取得した会社による放送終了後でなければ不可能である、というふうになっているわけでありますけれども、特に何か四十八時間たたなければこれらの放映というものが一切まかりならないというような受けとめ方ができるわけでありますけれども、この点につきましては、どのようにお感じでしょうか。
  266. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 私たちは、ニュースにつきましては、四十九条の最初のあれで、独占権を持った会社の放送後はすぐできるし、インターバル三時間を置いて三回できるというふうに解釈しております。  そしてIOC憲章四十九条は、独占権に対する時間的あるいは空間的制約というふうに解釈しております。すなわち、オリンピックはアマチュア精神にのっとって広くその競技を一般に見せるということが根本原則その他で明らかでありますので、ここで独占権に対する格段の制限があったというふうに私たちは解釈しようと思えばできるわけでございまして、この点について——ところが、実際のオリンピック組織委員会、今度の場合はモスクワ組織委員会がいわゆる年内の放送権の制限を加えて独占権を売却したという事実との間の関連いかんという点については、目下、オリンピック組織委員会に問い合わせ中でございます。
  267. 最上進

    ○最上進君 時間が余りありませんので結論めいたことになるわけでありますけれども、どうも、短い議論の中で感じたことでありますけれども、三浦さんのお答えを聞いていると、もうとにかく条件が合えば最初から一社で独占放映できればしたいというお考えがおありになった。しかも、その考え方の背景というものは、国民的な行事であるにせよ従来のようにNHKだけがそれに関与できるというような形であってはならない、そういうふうには必ずしも思わないというふうにお答えがあったわけであります。私は、もうNHKあるいは小林さんを中心とする旧NETを除いたほかの民放の方々の考え方とは完全に、天と地の差があるというふうにいま感じているわけであります。  今後もやはり、このオリンピックの問題のみならず、こういう問題が出てくる中で、恐らく三浦さんのような考え方をする方というのもこれからもますます出てくる可能性もある中で、こういう問題に一体どういうふうにじゃ対処していったらいいのか、どのようにまとめていったらいいのかということになると、本当にむつかしい問題だと思うわけでありますけれども、この議論を聞いていて、郵政大臣、寝てないでひとつお答えいただきたいんですが、最後にひとつ、こういう実態、いまの放送界のこんなに相反する同じ民放の中でも考え方が出てきている中で、国民電波であるとか国民のための放送であるとか放映であるとかということが言われながら、こういう一つの実態があるということに対して、どのような考え方をお持ちで、どのように今後指導をされていかれるのか、この点についてひとつ明確な御答弁をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  268. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 放送は大変むずかしい問題がございまして、放送法第一条、第三条というような原則論がございます。しかし、最近、やはり過当競争が目に余るものがあるのではないかと思います。スポンサーの取り方にしても、あるいはまた番組の編成にしても、やはり番組審議会などももっともっと適確に頻繁にまたやらなければいけないかと思います。  で、放送法の中には、第二条に番組のパーセンテージの問題にも触れているところもございます。やはり放送業者はそれなりに有限な電波を使って国民に大変な情報の価値を与えている。そういう意味でも慎重にかつ国民のサイドから見て番組編成をしていただきたい。いまのような論争をやっていること自体、私自身、放送経営者は心から反省していただきたいと思っておるのであります。私は、そういう意味で、先ほどから申しますように、さすがは日本の放送業界だと言われるような解決を心から望んでおります。
  269. 最上進

    ○最上進君 終わります。
  270. 矢原秀男

    矢原秀男君 参考人の皆さんには長時間本当に御苦労さまでございます。  いまいろいろの質疑をお伺いいたしておりまして、やはりこのオリンピックの問題につきましては国民の方々が非常に関心を持っていらっしゃる、そういうところへ二十五、六億の数字がぱっと飛び出したものですから、物価値上がりの中で国民生活が大変である、そういう感覚の中でやはり大きな疑念を持っておられることは、これは当然でございます。  そういう意味で、私、最初に岡野さんにお伺いをしたいと思っていたんですが、お帰りになりまして、いま佐野さんが出ていらっしゃいますのでお伺いしたいんでございますが、私も学生時代スポーツの選手として汗水たらしてアマチュア精神というものを青春時代追い続けたものでございますが、こういうソ連でやるオリンピックのあり方、そうしてスポーツ選手がアマチュア精神の中で一生懸命やっている。それが、商業的なそういうふうな営利というもの、国家の介入そうして企業の介入、そういうふうな中で毒されていいのかどうか。  私、先ほども岡野さんに聞きたいなあと思っておりましたのは、経営者という当局の立場に立てばまた違ってくるのか、そういうふうなこともちょっとお伺いしたいと思っておりましたんですが、日本のオリンピック委員会の国際主事といたしまして、スポーツ選手、アマチュア精神、そういうふうな純粋な立場の中からこういうあり方が今後あっていいのかどうか。こういうオリンピックのあり方が四年ごとにずうっと続いていっていいのかどうか。そういうことについて佐野さんの所感というものをまずお伺いしたいと思います。
  271. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) いま国家の介入ということですけれども、日本政府は介入しておりませんことを明言いたしておきます。
  272. 矢原秀男

    矢原秀男君 違う違う、ソ連、ソ連。
  273. 佐野雅之

    参考人(佐野雅之君) ただいま大変力強いお言葉でアマチュアということを御指摘でございましたが、この三月まで委員長をやっておりました田畑政治、今回名誉委員長になりましたが、非常にアマチュアという問題につきましては、日本オリンピッ委員会はやかましい規則を設けております。特にIOCの規則の中でいままで「アマチュア」という言葉がありましたけれども、これがもうすでに二、三版前のものから「エリジビリティ」、参加資格という表現に変わりまして、「アマチュア」という言葉がなくなっております。しかしながらアマチュアリズムというのはこれは現に存在いたしております。  ただ、先生も御存じのように、モントリオールでは、いわゆる東欧圏と申しますか、ソ連、東独、その次にアメリカそれから日本——日本は五位でございましたが、十位までは、西独、日本、アメリカを除きましては、全部東欧圏の国でございます。現在、国あるいは地方自治体が選手のための強化に非常に力を入れておるわけでございますが、御承知のようにアメリカにおきましても、モントリオールがもちろん契機ではございますけれども、その前に、大統領に諮問委員会というのを設けまして、日本でいたしますれば三億円のお金をかけて調査、研究をいたしまして、諮問委員会から答申書が出ております。これはただいまJOCにアメリカからいただきまして、翻訳中ではございますが、そういうもの。それからイギリスにおきましてはスポーツカウンシル、それが非常にアマチュア団体に金を出して強化を図っております。こういう面では非常な国の援助というものが必要かと思いますが、アマチュアにつきましては、国の援助はもちろんでございますが、皆様の援助によってアマチュアはあくまでアマチュアでやっております。  それから、先生の御指摘のように、今後、こういうことが続くかと、アマチュアでなくなるようではないかというようなことにつきましては、日本といたしましては、特にアマチュア委員会がございまして、先ほどの放送の中にもございますように、放映権について、たとえば映像というようなものについては非常にやかましく規制をいたしております、それによりましてアマチュアという資格を守っております。その意味で今後のオリンピックのあり方というのは非常に問題になっておりますことは事実でございます。  日本オリンピッ委員会といたしましては、現在のオリンピックというものは、昔のアマチュアのオリンピックというものが非常に危険視されてきておる事実を指摘はいたしております。特に、先日の報道では、アマチュアの権化であったはずのイギリスがオリンピックゲームをプロフェッショナルに開放しろというような提言もいたしておるわけでございます。しかしながら、規則はある程度やわらかくはなっておりますが、日本といたしましては、現在のアマチュアオリンピック——オリンピックはアマチュアであるという原則を変えることはいたしませんし、一方、御指摘のように、あるいは現在のようなアマチュアのオリンピックは今後続くかどうかということは疑問視されるゆえんでございます。ただ、日本オリンピッ委員会としては、現在のアマチュアオリンピックを続けていきたいというのが念願でございます。
  274. 矢原秀男

    矢原秀男君 選手養成のためとか、行き過ぎたあれで、本当に国の力でやっていく、まあこういうあれが世界的にも見られることは非常にもうこれは残念でございます。  どうか佐野さんのところも、相手がソ連の国であろうと、どこの国であろうとも、開催するたびにこういう問題が起きてくれば、参加をするスポーツ選手、世界じゅうの人、日本もそうですが、もう大きな迷惑なんです、本当に。ですから、その都度やはり厳しく指摘をし警告を与えていただかなくちゃいけないと思いますので、今後とも、そういう点は、まあ私たちも機会があればやはり国民の立場から、スポーツのいわゆる選手、また代表としても言わなくちゃいかぬと思っておりますが、佐野さんの方でも、やはりアマチュア精神というものを外したらいかぬという立場で、常に監視の目と主張をしていただきたいと思います。  大臣、次に、国家介入と言うたら、あなたいきなり非常に胸を張ってぱっとやられましたが、別な話であなたにお伺いしますけれども、いまみたいにはっきり態度をしていただきたいのですが、先ほどもあなたはこういう番組の中で親子が安心して見れないというふうなことでお話があったわけでございますが、いま私の手元にございます国民の方の投書の中にもこういうことが書いてありますね。  「NETがモスクワ五輪の放映権を独占取得したことで、NHK民放各社が非を唱えているが、こういう事態となったのは、各局の視聴率競争の過熱がもたらした」ものであろうと言っております。そうして、この方は五十四歳の男性の方でございます。「「一億総白痴化奨励・テレビ時代」といわれてから久しい。視聴率アップのためなら、モラルもへちまもない。エロ・グロ・ナンセンスのエスカレートは、特に世紀末症状の感がある。しかも進歩的と称する評論家諸氏、大学教授、まさかと思われた政治家諸氏らも、売名か、大衆受けPRの目的でか、どんな下劣な番組にも平然として出演して、恥じることさえ知らぬありさまである。諸外国にも例をみないような、下劣番組の規制は、言論統制の口火となりかねないので、心ある人々は、口を閉ざしているのだが、資本の倫理のおもむくところ、テレビ業界による自己規制は期待できなくなっている。こうした現状では、たとえ五輪放映権の独占であれ、抜けがけ契約であっても、他局は、とやかく非難する大義名分は存在しないだろう。」こういうふうに言われている。  これはまあそのまま読んだわけですけれども、大臣、先ほど番組の問題で決意表明のようなことがあったんですけれども、どうされるんかなと思って伺っていたら、まあそのままになっているんでございますが、大臣としては、いま私この投書を読み上げたわけなんですけれども、どういうふうに今後対処されようとしているのか、具体的に、簡単で結構ですから、明確に、いまの国家介入してませんというふうな、明確にやってください、はっきり。
  275. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 私、当委員会がこのような討論をされたということは非常に意義のある、いまだかつてないことなんでございます。私は、それなりに非常に重要なことであり、それなりに今後の放送事業者に大きなよりよい影響を与えるであろう。  私は、放送法第一条、第三条というものを踏まえての話であります。かつ、第二条の番組の問題も踏まえております。私は、個人的な意見かもしれませんけれども、一つの新しい時代、過当競争の中で放送事業者が大変激しい闘いの中で、先生のおっしゃるような面も多くある。しかし、私は、政府としてはそれは言うべきではない。最高の知識の集団である放送業者は自主的にそれなりにおわかりになっているのであろうと思う。ぜひ願わくは経営者の皆さんがその番組をじっと見て、どう判断されるかを考えております。
  276. 矢原秀男

    矢原秀男君 次に、坂本会長質問したいと思いますが、オリンピックの問題にこれ関連しているわけでございますが、契約書の中に、英文でございますが、訳していくと、国の法律、会社の定款はこの契約を実施する上で障害にならないとの文面があるそうでございます。これは超国家的な契約内容と言われるとの話もあるわけでございますが、これについて坂本会長はどのような御見解を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  277. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 橋本君が現地へ行って、やはりその草案を見せられましたときに、その点についてのまあ懸念と申しますか、そういうものを感じまして、そのまま帰ってきたわけでございますけれども、私もその点については疑義を持っておる次第でございます。
  278. 矢原秀男

    矢原秀男君 三浦さんに質問いたしますけれども、重複するかとも思いますけれども、やはりテレビ朝日がこの五輪の放送権を独占契約したということについては国民の皆さんも注目をしているわけでございますが、大体経過から見ておりますと、モントリオール方式は非常にいいではないかいうふうなことで民放も評価をしていたと、こういうふうに伺うわけなんですね。それが一年足らずで、何でこういう形になったのかなあというささやかな疑問を持っているわけでございますが、これらの点について重複するかもわかりませんが、簡単にお伺いしたいと思います。
  279. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) モントリオール方式が悪いとは思いませんが、私はそれでなければならぬという考え方は持っておりませんでした。  先ほどから申し上げておりますように、条件が整えば国家的な、要するに国民的行事であっても民放でやり得るものはやるというふうに考えておりました。したがって国民的行事というものの基準が非常にむずかしいんですが、その国民的行事であってもNHKでなければならぬということはない。モントリオール方式は、われわれのいままでやってきましたのは、NHKが半分以上の費用を持って、それであとわれわれが四竹で負担する。そうしてNHKがやってない時間帯で、あけてスポンサーに買い取ってもらう、確かにわずかではありますが、利益が上がります。そういうやり方が必ずしも放送を免許してもらって正しいとは思っておりませんでした。したがって、われわれは国民的行事であっても、これは私どもが間接に聞いたんですが、記者会見等で東京放送の諏訪さんも、国民的行事といえども必ずしもNHKだけに限らないというふうに御発言になったというふうに聞いておりますが、私はそういう考え方でこれまで放送に入ってからずうっと一貫してまいったわけでございます。
  280. 矢原秀男

    矢原秀男君 坂本会長にお伺いしますけれども、モスクワ五輪のアメリカにおけるテレビ放送権をNBC放送が報道では八千万ドルで獲得したと伝えられているわけですね。これはアメリカの三大ネットワークの三社が熾烈な獲得合戦をした結果、こういうふうになったと伝えられているわけでございますが、情報として確実に握っていらっしゃる現実はどうなのかという、私も直接会っていませんで、そういう疑念があるんですけれども、会長の立場としてはどの程度までつかんでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  281. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  アメリカでは、この放送権は八千五百万ドルというふうに承知いたしております。
  282. 矢原秀男

    矢原秀男君 これは佐野さんにお伺いした方がいいのか、坂本さんでも結構ですけれども、モスクワ五輪に対する他の放送連合の動きがどうなっているのかという問題ですね。日本とアメリカだけがいま契約しているように私伺っているんですが、そういうふうな点の兼ね合いを含めてお願いしたいと思うんです。
  283. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  まず、オーストラリア、豪州に関しましては、最近の情報及びオーストラリア放送協会会長からの連絡によりますと、モスクワ・オリンピック組織委員会が放送権のセールスマンを豪州に派遣しているようでございます。まだ滞在しているという話もございますが、しかし、豪州では必ずしも放送権交渉の競争をやっていないようで、まだ話がついていないというふうに情報として聞いております。  また、EBUに対しましては、オリンピック組織委員会から約千二百万ドルの放送権及び技術サービス料の込みでの要求があったのに対し、EBUでは、モスクワから西ヨーロッパに至る回線の数に不満を示して、まだ交渉に至っていないというふうに聞いております。五月の十七、十八日ごろモスクワで交渉しようと言っているということでございます。  なお念のため申し添えますと、モントリオール・オリンピックにおきまして、EBUがカナダに支払った額は、放送権四百五十万ドル、技術提供料五百万ドル、合わせて九百五十万ドルでございました。
  284. 矢原秀男

    矢原秀男君 でNHKとしては、あれですか、従来のオリンピック憲章が昨年変更になったことについては、はっきりわからなかったと、こういうことですね。
  285. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 先ほど最上委員からスポンサー規定が変わったというふうなお話でございますが、不敏にして私の手元にまだ資料がございませんので、それはいまだにわからない条項でございますので、もしあったらお知らせいただきたいと思いますが。  ラジオについては、先ほどお話し申し上げたとおりでありまして、それほどあれなわけでもございませんでした。
  286. 矢原秀男

    矢原秀男君 放送権の中にラジオの問題が出たわけでございますが、先ほどからの御答弁を聞いておりまして三浦さんに対してお伺いしたいなと思っておりましたのは、ラジオの放送権も、状態によっては放棄をして、それで向こうへ権利をお渡しすると、また必要があればまたそこと交渉してくださいというようなニュアンスに感じたわけでございますが、この点について、再度、三浦さんにちょっと明確にもう一度お伺いしたいと思うのですが。
  287. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) たとえばの話でございましたので、契約上からいきますと、ラジオを権利譲渡、委託ができないという場合には、先ほどからお話がございますように、私どもにはテレビしかございません、そういう意味では権利をモスクワ・オリンピック委員会に返すというふうになるわけでございます。そうしますと、いまお話のように、改めてラジオ局との間に交渉が行われる、まあたとえばの話でありますが。  ラジオが、要するに有料か無料かという問題については、私どもの契約それから草案を見ても、テレビそのものも無料であっても有料であってもよろしいということになっておりますので、テレビ放送、ラジオ放送、すべて放送権の中に入るものは、ただでも、それから有料でも、スポンサーつけてもよろしいというふうになっております。  つけ加えさしていただきたいのは、ラジオに関しては、すでに私どもと内々の接触がございますので、放送は可能だというふうに考えております。
  288. 矢原秀男

    矢原秀男君 ここで小林さんにもお伺いしたいのでございますが、事ここまで至っているわけでございますが、テレビ、ラジオ含めて、今後の問題として、会長としてどういうふうな手を打たなくてはならないかということについて、御意見がございましたら、ちょっとお伺いしたいのでございますが。
  289. 小林與三次

    参考人小林與三次君) いまお尋ねの問題ですが、いままでもそういうふうな御質問が多かったと思います。今後も続くと思います。私ははっきり申し上げておきたいのは、この契約のままでは私はとてもこれに協力することができない。  この契約の中身は、金額の点においてはもちろんのこと、その他の契約条項——これ一々私は後から列記してもよろしゅうございますが、その点におきましても、このままの状態で、また交渉の経過についても私はいろいろ意見がありますが、これは経過ですから、中身と結論がはっきりさえしておれば、それはそれでもいいと思います。この前提のままで、この放送を国内的に処理するということは、私としては、とてもできません。これは日本テレビの社長としてはもちろんする意思もありませんが、民放連の会長といたしましても、私が会長でおる限りは、こういう前提と中身をそのままにしての処理というか後始末は、私はむしろお断りすべきだ、こういうふうに考えております。
  290. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ坂本会長はどういうお考えでございましょうか。
  291. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私は、毎々言っておりますように、NHKという立場から考えれば、何が視聴者のためになるかということをまず第一に考えて判断すべきだというふうには申し上げております。しかし、このことに関しましては、NHKは小林さんのところその他から交渉の委託を受けてモスクワに行っておるわけでございますから、やはりその経過の中で小林さんその他の方々と協議し、同意し、行をともにして、最終的な結論を出すということにならざるを得ないんではないかというふうに思っております。
  292. 矢原秀男

    矢原秀男君 小林会長坂本会長の御意見御一緒でございますが、全くこのままであれば両立しているんですけれども、ここで大臣、あなたの御発言を聞いておりますと、最高のインテリの集団、うまく円満にいくことを期待と、こういうふうなあれであなたは逃げられておりますけれども、事ここに至ってやはり大臣としてこういうふうな対案があるんですと、そういうあなたは用意があるんではないかなと私は思うんです。そういう点、いかがですか。
  293. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 矢原先生事業者というのは最高の知識集団ですよ。自分で見つけられなければ、それは業者やめられたらいいでしょう、私はそう思います。そのうちに時間が解決するだろうと思います。私はそう信じておりますし、りっぱな解決の仕方しますよ、そう信じております。
  294. 矢原秀男

    矢原秀男君 また投書にちょっと私返りますけれども、将来に禍根を残すなという投書が出ております。  ここには「一民間放送局によるモスクワ・オリンピック放送の独占契約は反社会的行為である。法外の契約金の支払いを受諾したことは将来に禍根を残すことであろう。このような独善行為に対してはNHKはもちろん、他の民放局も妥協しないで欲しい。放送を断念してもよいから、放送権の買い受けをしないことである。」こういうふうな中で「たかがオリンピックに、日本人ほど大騒ぎする国民はないと思う。過熱ぎみのオリンピック熱は冷却させる方がよい。オリンピックはスポーツの大衆化とは無縁のものである。私は大のスポーツマニアではあるが、たまにはテレビから解放されるオリンピックがあっても異存がない。」こういうふうに言われておるんですけれども、私、これはちょっと少し過ぎておられるなと思うんですけれども、いずれにしても、いまここに至っては大変な事態になっておりますし、参考人の皆さんに来ていただいて、ここは何も裁判所でも何でもないわけですから、ただ、国民の立場からお伺いをしておるのでございます。  もう一回、三浦さんにお伺いをしたいと思うんですが、前に戻ると思いますが、テレビ朝日が単独で契約をした理由というのは、いまお話でもお伺いしましたように、民放会長でございます小林さんも、そうして放送協会会長でございます坂本さんも同意見でございますから、一切テレビ朝日とは関係がない、いまの状態であればと、妥協の余地もないと、こういうふうな形に私解釈をしたのでございますが、そういう中で、改めて三浦さんにお伺いをしたいわけでございますが、テレビ朝日が単独で契約をして、今後、重複するかもわかりませんが、最後まであなたのところで考えていらっしゃるような形でいけるかどうかということを、三浦さん、一言お願いしたいと思います。
  295. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) いくように努力いたします。
  296. 矢原秀男

    矢原秀男君 先ほどからございましたように、私、懸念をいたしておりますのは、やはり電波の問題というものも公共性がございますし、国民の権利というものをやっぱり大事にしていかなくてはいけない、そういうふうな非常に大きなものがございますので、そういう点ではテレビのあり方、もちろんラジオでもそうでございますが、国民公有の財産であるという私たちは観点を持っているわけです。ですから、国民的行事の放送でございますので、国民の前ですっきりした方がいいかと思います。  もう一つは三浦さんにお伺いしたいのでございますが、先ほども話が出ましたように、現在のテレビ朝日のネットでは全国で八〇か八五ぐらいと言われているわけなんでございますが、国民としては同じ放送されるのであればやはり全部聞きたい、こういう意見があるのですけれども、こういう点についてはどういう形をとられるのか、お伺いしたいと思います。
  297. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 先ほども申し上げましたように、私どもに許されている免許の波というのは限界がございます。したがってNHKと違って全国の拘束するネットワークというものは法律上ございません。私どもは、これから各局に対して、放送でき得るよう、また、してもらうように、誠心誠意と申しますか、時間をかけて御相談申し上げたいというふうに考えております。
  298. 矢原秀男

    矢原秀男君 最後になりますが、いずれにしても全国民国民的な行事としてこの五輪スポーツを見ようとしているのは、これは当然のことでございますが、どうか今後、大臣の言葉を信用するならば、各局の代表の方も、もし企業のエゴがあるとするならば、それもやはり国民の立場というそういうふうな解釈の中で、薄くしていただかなくちゃいけませんし、また視聴者を無視するというふうな問題が出てくるとすれば、これは大変なことでございますので、どうかNHKを中心として、テレビ朝日はもちろんでございますが、すっきりとした形の対処をしていただきたいと思います。  じゃ以上で終わります。
  299. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに、きょうおいでいただきました参考人民放連の会長並びにテレビ朝日の三浦さんに、私は、この問題に関する私の基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。それはこの前の参議院の逓信委員会NHK関係者の方はお見えになっていましたので、お聞き取りいただいたところでございます。  私は、問題は、先ほど来の議論の中にもありましたけれども、放送事業者としての姿勢が問われている問題だというふうに思います。私はたとえばテレビ朝日が、あるいはNHKが、ほかの民放各社がということはいま申し上げません。ですから、そういうふうなことに対してはそれぞれのお立場からいろいろ御異論もおありになるんだろうとは思います、言い分もおありになるんだろうとは思います。しかし、問題は、五輪放送、オリンピック放送を視聴したいという国民の希望、これはすでにどの程度のものかということは明らかになっておりますし、それから電波の公共性、国民のものである、しかも限られた電波がどのように使われなければいけないのかということも、法律だけの問題でなくて、理念の問題としても明らかになっております。ですから、そういうことに関して放送事業者としての連帯責任というものを本当に真剣に受けとめて対処していかれなければ、私は、国民の側から言わせれば、放送事業者がかなえの軽重を問われる、こういう問題であるというふうに考えております。それは私の考え方です。そうした考え方に基づきまして質問をいたしますけれども、限られた時間でもございますし、またダブることも避けたいと思っておりますが、大事なことは、私は、正確な経過、事実をできるだけ把握をして、そうしてその上に立って公正な立場で問題を評価し、またあるいは指摘もし批判もしなければならないということだと思っております。  それで初めに三浦参考人にお尋ねしたいんですけれども、先ほどからの御質問に対する答弁の中で、契約内容の公開の問題について答弁がありましたので、私はその御答弁はいただかなくていいんですけれども、もうわかりましたから。前には、四月十日ごろに公開すると、こういうお話でした。で先ほどお述べになったような理由で公開をいましてないんだと、五月に入ってから公開すると、こういうふうな御趣旨でしたけれども、先ほどの理由によれば、そうしたいろいろな国民の関心だとか、そういうものが五月に入ればおさまるというものでないことぐらいははっきりしていると思いますので、やはり日本の国の問題で、日本の国民の関心の問題ですから、だから国会でもこのように議論もされるし質疑も行われているわけですから、外国のオリンピック関係者がどういうふうに受けとめているかというふうなことは全然関係ないですよ、そういう意味ではね。ですから、問題は、どういう契約内容でもって契約がされているんだろうということは、一刻も早くテレビ朝日が公開なさることが事態をいろんな意味で整理もする上で、また議論を進める上でも、まず第一に必要なことじゃないかというふうに私は考えておりますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  300. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) よくわかりました。五月に入りましたら早々に公表できるようにしていきたいというふうに考えております。
  301. 山中郁子

    ○山中郁子君 指摘だけしておきたいと思いますけれども、先ほどの理由で公開をされないということは国民が納得もできないし、私どもも何とも理解しがたいわけです。そういうことがよけい裏に何かあるんじゃないか、ぐあいが悪いことがあるんじゃないか、だから引き延ばしているんじゃないか、こういう新たな疑惑を生み出しているということを指摘をしておきたいと思います。  それで、NHKに初めにお尋ねいたしますけれども、三月二十四日の逓信委員会でこの問題が若干議論になりました。そのとき最上委員質問に答えて橋本理事がなぜソ連との契約を詰めないで帰ってきたかということに対して幾つかの点を挙げておられます。その中では、たとえばラジオ放送権の問題も入っていたからとか、あるいはスポンサーと契約する場合に事前にモスクワ委員会の了解を得なきゃならぬということもあったからと、こうしたことを二つ具体的な例を挙げて述べておられます。  これは先ほど最上委員も触れられたことですけれども、私は、その後の質疑の中でも明らかになっているように、かなりな部分IOCの規約あるいは細則の改正という問題があったということとの関連で、NHKはその交渉に行った時点ではそのことを知らなかったと、こういうお話でしたけれども、そのことをもう一度明らかにしていただきたいし、それではいつの時点でそれを把握なさったのかということも一緒に教えていただきたいと思います。多分オリンピック規則、細則及び通達、この修正条項を含む日本オリンピッ委員会の文書ですね、これはお持ちになっていると思うんですけれども、いつの時点でそれをそれでは把握をされたのかということをお知らせいただきたいと思います。
  302. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 率直に言って、最上委員から先ほどIOCの規定の改正、去年のモントリオール・オリンピック後の改定については、完全なものは私最上委員から教えられましていま入手した次第でございまして、率直に申し上げまして、事前に完全な改正規定を入手しておりませんでした。で、現在、その細則その他についていま鋭意調べているところでございます。
  303. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は関係者の方からこれを見せていただいています。NHKもこれのコピーをおとりになって持っていらしているというふうに私は伺っておりますけれども、そういうことはないんですか、それじゃ。
  304. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 交渉の当事者橋本理事が現在ABUの総会に出ておりますので、私、その後、そういうことについて橋本さんから特段の連絡を受けておりませんので、橋本理事の帰国、あるいは橋本理事をサポートしたスタッフの意見及び事実をいま鋭意調査中でございます。
  305. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が入手しました情報によりますと、明らかにNHKはこれのコピーを持って、おとりになったということだそうです。その辺のことについてもはっきりさせないままにきょう、この問題について議論する委員会に臨まれているということは私はどうも理解に苦しみます。  ということはね、NHKはこれを知っていながら、そのことについてはあいまいにして、そしてさまざまな問題を自分の主張を貫く上でそういう態度をとっているんではないかという疑惑みたいなものだって、それは出てきかねないんですよ。  というのは、私は具体的にちょっと確認をしたいんですけれども、先ほどはラジオの放送権の問題についてお話がありました。第五章付属規則第四十九条でラジオもそうしたものの中に入る、含まれるということがJOCの方から御説明がありました。それで、もう一つ問題になっておりますコマーシャルの問題についても、こういうふうに改正された内容としてはっきり明記されているんですね。「商業的性格を有するインサートおよびまたはスーパーインポーズについては特別のIOC承認を必要とする。」と、こういうふうにやはり明記されています。  この点については、初めに佐野参考人にお尋ねしたいんですけれども、先ほどのラジオの問題と同時に、この点も昨年の七月に新たに改正された内容であるということについては間違いないところでしょうか。
  306. 佐野雅之

    参考人(佐野雅之君) そのとおりであります。
  307. 山中郁子

    ○山中郁子君 まだいろいろありますけれども、IOCのそうした規則がかなり大幅に昨年のモントリオールの大会のときに変えられているわけです。そうして、そういうものと無関係に、どこが契約するにしても、今度のモスクワ五輪の契約が私は出てくるということはあり得ないというふうに思うんです。  そういう関連からいきまして、このIOCの規則がどのように改正されているのかということについてNHKが全然把握もしないで、いまに至るまでもそのことについては正確に把握しているとおっしゃれないわけでしょう、いまその問題を議論するこの委員会にあってもね。これは私は怠慢でなければ、何らかの別な思惑があっておやりになっていることだとしか思えないんですけれどもね。その辺、会長、いかがですか。
  308. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 全くその点は不敏にして、おわびいたします。
  309. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうじゃなくて、おわびになってもいいんですけれども……。問題は、それじゃNHKとして、このことについて、この委員会での質疑参考人として何か物を言うということはできないわけでしょう。そういうことについてはどうお考えになるんですか。これはNHKだけじゃないですよ、いまたまたまNHKの方にお尋ねしていますので、そういうことになりますけれども。  この前、これは橋本理事の答弁ですけれども、これは最上委員質問に対してですが、「スポンサーと契約する場合には事前にモスクワ組織委員会の同意を得なければならないというふうにとれる文言がございまして、」と、こういうふうにおっしゃっている。そうしたことはいろいろな形で世論的なものになってきているんですけれども、これはむしろそれではIOCの問題ではないか、まさにこのことについて言えばですよ。IOCのところに問題が結局あるのではないかというふうな認識ということについては、いまそれじゃどうお考えになっていますか。
  310. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) おっしゃるとおりだと思います。
  311. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、佐野参考人にお尋ねしたいんですけれども、具体的なスポンサー問題なんかがかなりいろいろな観点から論評の対象になっています、たとえばの話がね。この点については、なぜIOCがこういうふうな規約の改正をしたのか、細則ですね、どういう趣旨でされたのか。それから、かなり膨大ないろいろな変更、改正があるわけですね。そうしたことは主としてどういう観点から昨年の七月に行われたのか。もしその辺の御見解がおありでしたら伺わせてください。
  312. 佐野雅之

    参考人(佐野雅之君) 先生の御質問は大変むずかしい問題でございまして、私、一応、担当の者といたしましてはいろいろと読んでおりますけれども、特にアマチュアという言葉がなくなって以来、エリジビリティーという、参加資格という問題になりまして、そういう面の規定がなくなるような感じを受けておるわけでございます、これは私どもでなくて一般の方々が。それによってアマチュアのアマチュア資格、またいわゆる映像権の問題、そういった問題から、ここに改めて細則として載せたということと思います。
  313. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、先ほど坂本会長はIOCの問題であるというふうに理解を自分もするとおっしゃいましたけれども、小林参考人にお尋ねしたいんですけれども、その点は、いかが御理解になっていますでしょうか、いまのスポンサーの問題だとか、そういうことについて。
  314. 小林與三次

    参考人小林與三次君) スポンサーの問題は全然IOCと関係ありません。今度の改正にも何の関係もありません、今度のこの協定は。全然、協定だけの独自の問題だと私は考えております。  ラジオの問題は、やっぱり憲章の解釈から見て、この協定に疑義がある。だから、これは当然IOCの問題である。それでIOCに照会をされてIOCの会長から回答が来たと、そういうことだろうと思います。
  315. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっといま私が話していたのをお聞きになってなかったのかどうかわからないんですけれども、ここで先ほど佐野参考人にも確認をいただいたんですけれども、IOCの細則の改正の中で「商業的性格を有するインサートおよびまたはスーパーインポーズについては特別のIOC承認を必要とする。」と、こういうふうに改正されていると、だからスポンサーについて承認を求められたという問題はIOCの問題ですねということを、私、いま伺っているんですよ。これは確認をされているわけですけれども、佐野参考人によって、こういうふうにIOCの細則が改正されているということについては。
  316. 小林與三次

    参考人小林與三次君) その改正が行われたことは私もよく知っております、これはスーパーインポーズだけの問題ですから。その問題とスポンサーそのものをつくるかどうかという問題とは全然別でございまして、画面の上に広告を出すか出さぬかという問題です。これはもう現在日本じゃやっていない扱いをしておりますから、事実上関係ありません。
  317. 山中郁子

    ○山中郁子君 それではちょっと御理解が違うんですけれども、関連して伺いますけれども、そのスポンサーの問題その他もおっしゃっているんですが、先ほどの同僚議員の質問に対しまして、民放連の小林会長としては、このまま将来の問題としてもこういう内容では契約することはできないというふうにおっしゃっていましたけれども、金額の問題は別としまして、どういう点で契約がどうしてもできないんだと、する気もないし、できないんだということは、どれが主要な問題なのかということを教えていただきたいと思います。私どもは、その契約書の内容というのを知っておりませんから。
  318. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 私は、金額以外で、この契約書のドラフトを見まして、これはまあ橋本さんが見てそれで拒否されたわけですが、私は全くその態度は正しかったと、私どもに御相談があれば当然にこれは拒否します。こういう契約を前提にして私どもはこの放送権を獲得しようという気は毛頭ございません。  その第一点は、先ほどの……
  319. 山中郁子

    ○山中郁子君 簡単でいいですけれどもね。
  320. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 例の前文です。つまり普通のオリンピックのこういう規定には全然入らない政治的な規定が少なくとも入っておる。これはオリンピックは元来政治も商業もない最も純粋な国際的な問題であるはずなんですが、二国間の政治的な関係を前提にしたような規定が入るということは私は適当じゃない、こういうものを外して協定をすべきだと、これが第一点ですね。  それから、この協定の中身が非常に片務的な規定がございます。これは具体的に申し上げた方がいいと思いますが、たとえば第十二条、これは御存じありませんが、第十三条にはこのモスクワ側の義務と今度やる会社の義務と両方書いてあるわけです。これはもう当然に双務契約ですから、その義務の履行は同じ対等であるべきです。ところが、向こうのモスクワ側の契約の履行についての義務は必ず果す、果たしたか、今後果たすであろうと将来形になっているわけです。全部成就されていない、今後の問題に残されている。今度、会社側の義務は全部完了したという完了形になっている、全部実現した。これはまあ会社の内部のことは存じませんが、その中には会社の内部の手続もあります、会社の内部の手続は全部完了したと。  それから日本……。
  321. 山中郁子

    ○山中郁子君 私、ちょっともう少し整理をしてお答えをいただけると思っていたんですけれども、そういうことでは時間も足りませんので、それは後ほどまた伺わせていただきます。  それで、そうしてきますと、いまの小林会長の御答弁によると、断固としてこれからもやることにはならないと、契約をすることにはならないというふうなお話なわけで、放映することにもならないというふうなことにもつながっていく感じなんですけれども、まあそれは先ほど郵政大臣から、かなり確信のある、解決がされるだろうというふうな御判断もあったわけなので、そういうことをひとつ前提にして、私は小林民放連の会長とそれから三浦常務にお尋ねをしたいんですけれども、いまたまたまコマーシャルの問題についても問題になっておりますが、やはり国民の主張する中での意見として、やたらコマーシャルが出てくるのは困るということがかなりあるんですよね。ましてそうした競技だとか、特にオリンピック放送だというふうなことになりますと、コマーシャルがごちゃごちゃ出てくると煩わしくてかなわぬということで、NHKで放映してくれないのかねという、こういうふうなもちろん声も出てくるわけです、具体的な問題として。  私は、一つぜひ提案をしたいんですけれども、少なくとも今度の問題、これだけさまざまな問題が出て、いまでも議論をされるし、これからもどういうふうになっていくかということは、いろいろまだ未知の問題がありますけれども、予測しがたい問題がありますけれども、オリンピック放送なんかは、当面の問題として、コマーシャルを間に入れないというふうな、そういう対応をなさるぐらいな民放姿勢というふうなものがうかがえていいんではないか、こう思っておりますけれども、その放映の間に、競技の間にコマーシャルを入れるというふうなことについては、やらないというようなことについての積極的な姿勢がうかがえていいんじゃないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  322. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 今度のモスクワは、残念ながら私ども関知しませんから、これは三浦さんにお聞き願うよりしようがないと思いますが。
  323. 山中郁子

    ○山中郁子君 関知するかもしれないのよ、郵政大臣の話によれば。
  324. 小林與三次

    参考人小林與三次君) それは郵政大臣にお聞き願いたいと思いますが、いまの大事な場面の広告の入れ方は、これは十分に注意しておると、広告をもちろん除いては民放は成立しませんから入れますが、場面場面でそれは十分に慎重に考えると思います。
  325. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 小林会長がいまおっしゃったとおりです。
  326. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ三浦さんにもう一つお伺いしたいんですけれども、私が申し上げたような観点でコマーシャルを間に入れないようにしてやると、こういうふうにおっしゃったというふうに理解してよろしいですか。
  327. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) いいえ、そういうことじゃなくて、競技そのものを見るのに邪魔にならないようによく考えながらコマーシャルを入れていきたいというふうに思っております。
  328. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、いまの国民の皆さんの期待にこたえるようにならないんです。私はせっかく具体的な積極的なことを提案しているんですから。それは邪魔にならないといったって、競技されている最中に、どこでコマーシャル入れたって、それは邪魔になるんですから、そこのところはぜひともお考えをいただきたいと思います。  で、そのコマーシャルの問題が出ましたので、ついでにちょっと私は、せっかく民放連の会長もおいでになっておりますので、指摘もし、また改善を図っていただきたいというふうに思いますけれども、この民放の放送の内容の問題が幾つかやはり問題になりました。退廃番組その他の問題についても議論がありました。私どもの党では、かねてからそのことを提起をし、注意も換起し、指摘もしてまいりました。で、そのことについてはもう時間の関係もありますのでいま触れませんけれども、少なくともこのコマーシャルの問題ですね、これはいまのオリンピック放送との関係でも私申し上げましたけれども、実際問題として、行き過ぎたコマーシャルの存在というのがやはり大きな意味で民間放送に対する国民の不信なり嫌悪なりを生み出しているということがあります。  私は、これはもうがまんがならないことが一つあるんで、ぜひともこれは何とか改善をしていただきたいと思いますけれども、最近、民放連が、コマーシャルのコマーシャルをしているんですよね。ちょっと私見たことがあるんですけれども、つまり国民の暮らしを守るコマーシャルというような、そんなような表題でコマーシャルを流しているんです、民放連というか、そういうところでですね。で国民の暮らしを何でコマーシャルが守っているのかということは私も理解に苦しむところですけれどもね、行き過ぎたコマーシャルというふうに言わざるを得ないと思うんです。  特に、子供番組で出てくるおもちゃと結びついたコマーシャルですね、これが物すごい露骨に出てきていまして、親は苦労して泣かされているわけですわ。次々次々と高いおもちゃをつくって、それで何か私も余りよく知らないけれども、いろんなテレビ番組を放映しますでしょう。ロボコンだとか何だとか、そういうのをいっぱいつくって、そしておもちゃのメーカーがそこにコマーシャルを流すわけですよ。そうすると、子供はそれを見ていれば、そのおもちゃを買いたいわけでしょう。ずいぶん露骨な、もう営利本位もいいところで、何が生活を守るコマーシャルか、親のふところを痛めるコマーシャルじゃないかと私は思いますけれども、ぜひとも、この機会に、こういう点だけは何とか自粛をしてくださることをお約束いただきたいと思います。いかがですか。
  329. 小林與三次

    参考人小林與三次君) コマーシャルの中身について一々私もお約束することはできませんが、広告につきましては、民放連全体として自粛的な扱いをしようと言って、民放連全体としてそれは常に配慮しておるところでございます。
  330. 山中郁子

    ○山中郁子君 配慮していても、いま実際にそういうのがあるんですよ。知っていらっしゃるでしょう。だから、それについては、自粛をするということをいま現在配慮していても、現実にはそういう状態があるから、自粛をしてくださいということをいま申し上げているんです。はっきりそういうことをお約束いただきたいと思います。
  331. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 私に全部約束しろと言われても困りますが、それは広告そのものはおもちゃの広告もやっていると思います。おもちゃの広告をやめろというわけには私はできぬと思います。したがいまして民放連でやる広告の自粛というのは、広告の内容あるいは時間、そういうものは適当な限度でということは全体として考えております。
  332. 山中郁子

    ○山中郁子君 私、これに時間をとるつもりはちっともないんですけれども、でもそういうふうにおっしゃるから、私はもう一度だけ言います。  現実に、そういうことで、たくさんのおもちゃをつくって、その番組の間にそのコマーシャルを入れて、そして子供にこれを買いたいと思うようにさせて、そして親にそれを買わせる、こういうことを、五円や十円のおもちゃじゃないですよ、三千円五千円というおもちゃを次から次へとつくり出してやっているわけでしょう。それで番組とあわせてやっているんです。こんなえげつない売らんかなの放送事業姿勢ないでしょうと私は言っているんです。教育的な問題もありますよ。だから、この問題について、それは民放連の会長としての権限の範囲で結構ですよ、だけれども、少なくとも民放連の会長としての自粛に向けての指導なり考え方をお約束していただきたい。だって、国民の暮らしを守るコマーシャルなんというコマーシャルをおたく流しているんだから、そんなこと、ちっとも国民の暮らしを守ってないですよ、教育的に言ったって困るんだから。そこのところはお約束をいただきたい。重ねて御答弁をお願いいたします。
  333. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 民放会長ははなはだ微力でございまして、広告につきましては民放連全体でその自主規制の方針を決める……
  334. 山中郁子

    ○山中郁子君 もちろん、そうですけれどもね。
  335. 小林與三次

    参考人小林與三次君) ですから、その枠内でしか私は発言する資格がございませんので、これは御了承願いたいと思います。
  336. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから枠内で結構ですと私は申し上げているんです。そういうことにちゃんとした対応をなさらなければ、放送事業全体に対する国民の不信なり、そうしたものを解消していくことはできないんですよ。まじめにお考えになっていただきたいと思います。  それで、私は、最後に三浦さんにお尋ねをしたいんですけれども、これは四月十五日の東京新聞の記事ですね。午前中にお見えになりました岡野参考人が、二十六億もオリンピックの放送に出せるなら、せめてその一割ぐらいは日本選手の強化費に出してもらえるのではないかと、こういうような提起をなさったことに関連した東京新聞の「ニュースの追跡」という記事なんですけれども、この中で三浦さんが、こういうふうに発言しているという報道がされているんです。私はやっぱりちょっとこれは見過ごすことができないので、お伺いするわけですけれども、そういうふうな金を出すなんというのは「筋違いだ」と、「どうしても出さなきゃならんのなら、ウチだけじゃなくて、マスコミ全部で出したらどうかな。そうだ、ウチの独占契約に文句をつけた社会党や共産党、二院クラブの議員サンも、歳費をはたいて出せばいいんだ」(笑声)こういうふうに発言したということが報道されているんです。私は、まず、どういうお考えなのか、とにかく伺っておきたいと思います。
  337. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) その中で「共産党」というところは誤りです、私は公明党と言った(笑声)。その点を東京新聞には抗議してあります、訂正申し入れをすでにしてあります。  それは事実です、私が言ったのは。筋違いで私どもに来るので、私も筋違いの話をして、それで皆さんで出したらいいだろうと、特に契約について悪いというふうに判断されている方々にJOCの強化資金を出してもらったらいいじゃないかというのが、売り言葉に買い言葉でございますので、出たことは事実です。
  338. 山中郁子

    ○山中郁子君 筋違いだというのは、あなたがこういうことを言ったのが筋違いの話じゃないかということを言っているんですよ。だから筋違いの答弁してもいいなんて、そんなふうに思われたら、もってのほかです。あなた、国会審議をどういうふうに思っていらっしゃるんですか。私は、経過を正確に把握して、公正に判断をしたいと思っております。そういうふうにしてきょうも質疑をいたしました。だけれども、これは公明党の違いかどうか知りませんよ、そんなことが問題なんじゃないんです。国会質疑をしたことに対して、けちをつけるなら、その人たちの歳費をはたいてもらったらいいんだみたいな、幾ら売り言葉に買い言葉か知らないけど、新聞にちゃんとこうやって活字になって報道されることをそういうふうにして放言するということは、私はここで何時間、この前の委員会も含めて、衆議院も含めて、この問題をみんなが真剣に日本の放送事業の問題としてとらえて審議をしてきたかということをあなたは一つもわかっていらっしゃらないということになるんですよ。やはりテレビ朝日の事業姿勢として、あなたが本当に実力あるテレビ朝日の代表者だっだら、私は、そうではなくて、もっと真剣にわれわれのこの審議を受けとめてくださいということなの。  それで、あなたにも言い分がおありかもしれない。それはさっきからあなたおっしゃっているんだから、それを少なくとも、けちをつけたから歳費払って出せみたいな、そんな不謹慎なことを言って、そして相変わらずここで広言していらっしゃるなんという態度については、私は、全く理解に苦しみます。そういうことはあくまでもやはり言い張るおつもりなんですか。
  339. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私の個人的な考え方はそういう考え方でおります。しかし、それが非常に要するに国会における審議というものを軽視したとか、そういうふうな気持ちはございません。国会審議に出てまいりまして、私は誠心誠意お答えしているつもりです。したがって筋違いの要求に対して私も筋違いの発言をしたという事実を認めたわけです。
  340. 山中郁子

    ○山中郁子君 三浦さんに、私は、この点について、この経過全体についてということで込みにして申し上げるつもりはありません、だけれども、率直にまじめに反省もしていただき、認識を改めていただかなければならないということを重ねて強く申し上げまして、質問を終わります。
  341. 木島則夫

    ○木島則夫君 非常に限られた時間でございますので、ひとつ参考人の方には簡潔にお答えをちょうだいをしたいと思います。  モスクワでの交渉に際しまして、橋本代表が、ドラフトの中に政治的緊張緩和の前文とかCMの制限など、かつての交渉には見られなかった条項があって、金額も高いので、うかつに妥協はできないということで非常に慎重な態度をとられた。このことについては、民放連小林会長としても、むろん御異存はなかったと思います。イエス、ノーだけで結構です。
  342. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 全然異存はありません。
  343. 木島則夫

    ○木島則夫君 慎重にならざるを得なかったのは、モスクワ組織委員会が示された放送権契約案のどの部分であったのか、橋本代表によりますと、まず政治的規定の適否、CMの制限、金額、中止の際の補償条項などであったと思います。で旧NET側に示された案とNHK民放三社に示された案とはほぼ同様であるというお話でございましたけれど、小林会長としては、どこが一番の問題点であったのか、具体的に聞きます。金額について、二十五億強というのは全く高過ぎるのか、会長としては、どの線だったらば妥協ができたか、いかがですか。
  344. 小林與三次

    参考人小林與三次君) それは高過ぎます。私は、日本が全部でいけば倍だと思います。モントリオールの倍が、国全体としていけば、がんばる限度じゃなかったかと思います。
  345. 木島則夫

    ○木島則夫君 政治的規定の表現問題、これについては、私は、小林会長にお伺いをする前に、参考人の佐野さんから伺いたいと思います。  オリンピックというものは、国がやるのか、都市がやるのか、そしてその栄誉はどこに与えられるのかを伺います。
  346. 佐野雅之

    参考人(佐野雅之君) オリンピックの規則第一部第一章根本原則の第四条「IOCは、オリンピック運動を指導し、オリンピック夏季大会ならびにオリンピック冬季大会に関するすべての権利を保有する。その構成と権限はこの規則・細則・通達に定められている。オリンピック競技大会を開催する栄誉は都市に与えられるものであって、国や地域に与えられるものではない。オリンピック競技大会を開催する都市の選定は、IOCの専権に属する。」  以上の条項でおわかりだと思いますが、細則、通達は別にございます。
  347. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ私の非常に乱暴な言い方をすると、これは国家がやるものではない、その栄誉は都市に与えられるものであるというふうにいま解釈をいたしました。  とするならば、どうもこの前文というものは、国と国との友好関係であるとか善隣関係であるとかいうようなことが余りにもはっきり出過ぎているきらいがある。つまり国を余り意識することそれ自体がオリンピック精神・スポーツ精神に反するのではないかというふうに素人ながら受け取るわけであります。  三浦参考人、いかがでございますか、この点は問題になりませんでしたか。
  348. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私どもは、橋本さんと違うところは、一条一条この契約書について協議いたしました。それで、いまの緊張緩和、それからIOCの憲章、オリンピック憲章にもありますが、平和、人類の幸福というのは憲章の中にもあります。したがって、この大会を通じてモスクワ・オリンピック委員会とわれわれとの間に、緊張緩和でも、平和の促進でも、人類の平和でも、促進することは悪いことじゃないというふうに考えてまいりました。このために、小林さんが指摘されたような政治的な放送の拘束、それから報道の自由の拘束、対ソ批判、すべてのものに対する拘束規定はございません。したがって、私どもは、そういう面での政治的にいままで世の中に出ておるのについて、非常にためにするものだというふうに理解しております。
  349. 木島則夫

    ○木島則夫君 これはやっぱり小林参考人にも伺いたいと思います。  こういうものはいままで書かれませんでした、いかがですか。
  350. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 私は、適当でないと思います。それから、いま三浦さんが何か私が指摘したようないろんな問題をおっしゃいました、そんなことは私は一切申し上げておりませんから、ここではっきり申し上げておきます。しかし、これは入れることは適当じゃない、どんなことがあっても適当じゃないと思います。
  351. 木島則夫

    ○木島則夫君 CMの制限について、これは契約五条でこれを扱っておりますけれど、ここでの論議を聞いておりますと、非常に解釈に幅があり、統一見解っていうものは出てない。これだけ大事な問題について幅があり過ぎるということについて、民放連の小林会長としては、どんなふうにお受け取りですか。
  352. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 解釈自体がはっきりしないと同様に、この規定自体がおかしい、不必要だと、こういう規定は入れるべきじゃない、こういうふうな見解でございます。
  353. 木島則夫

    ○木島則夫君 三浦参考人、いかがですか。
  354. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) スポンサーの選定及びその他については自由でございます。  それからIOCその他の中で制限され得るものは、兵器製造業とかそれから麻薬とか、そういうふうないろんなものがあるように聞いておりますが、明快なものがわれわれの方の手元に届いておりません。  それから、同意を得る必要のあるものについては、先ほど申し上げましたように、モスコー・オリンピック組織委員会とJOCとそれから代理店と私どもとの間に、選手強化資金というものがオリンピック委員会のシンボルマークを使用した場合にその何%何%という分け方がございます。そういう場合に、われわれの番組のスポンサーと、それから選手強化資金になり得るシンボルマークを使った場合のスポンサーとが競合した場合にのみ、要するにモスコーでオリンピック委員会にかけろと、そして同意を得なさいということでございますが、これはいままでそういう事例がないということでございますので、私どもはこれを同意と見ないで討議というふうに見ております。
  355. 木島則夫

    ○木島則夫君 同じ民放連の中に籍を置く民間放送事業体の受け取り方が何でこんなに違うんですか、会長
  356. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 私は、協定は協定に書いてあるとおりしか読みません。いま三浦さんのおっしゃったことは、大分この条文から離れているような気がいたします。
  357. 木島則夫

    ○木島則夫君 この問題は私もまだ十分に、契約書手元にございますけれど、やっぱりこれは十分に検討するもう少し期間があってもいいし、もう少し慎重でなければいけないという問題の提示になってくるんじゃないかと思います。  で、こういった問題は、その後、時間の経過もありまして、客観的に考える時間的な余裕もできているはずでございます。いまでも、いま言った民放連小林会長の、この種の契約に対する御見解はあの当時と変わっておりませんでしょうか。
  358. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 全然変わっておりません。おっしゃったほかにも、まだいろんな問題点がございます。
  359. 木島則夫

    ○木島則夫君 それをおっしゃってください。
  360. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 前文の次に、四条に会社の義務というのがございます。これは「会社はこの契約による権利の行使およびこの契約に関連する広報活動を常に大会の精神と意義、IOC規約および規則」——これはいいんです。「開催国の法律および習慣に従わせることを引き受けかつ約定する。」この条項が私はどうしても納得できません。  それから……
  361. 木島則夫

    ○木島則夫君 結構です。  その一つの問題、私も実は問題にしたかったんです。その国の政治あるいは習慣に従わせるという、このことですね、それと、いわゆる日本の国内で放送をし、自主的な放送番組権、編集権というものを持っている放送局として、どういうふうにこの問題を考えますか、三浦参考人
  362. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 大会に参加する者の要するに取材活動において向こうの国内法及び慣習を履行しなければならないというふうに私ども思っておりますので、国内法における放送の自由とはそんなに競合するとは思いません。
  363. 木島則夫

    ○木島則夫君 民放連の小林会長は、この条項から派生する問題、あるいは拡大という言葉はよくないかもしれませんけれど、いわゆる敷衍される問題、危惧される問題をどのようにお考えですか。
  364. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 私は具体的に何も危惧しておりませんが、しかし、この条項自体がこういうものの契約として適当じゃない、これによって何がどう起こってくるかは、それは相手のことですから解釈権は向こうにあるようにちゃんと書いてありますから、それはわかりません。
  365. 木島則夫

    ○木島則夫君 非常に皮肉な御質問で恐縮でございますけれど、いま民放連に加盟をされているお二方のお話を伺ってみても、解釈あるいは問題の受け取り方、そして放送事業体のあるべき姿勢、そういうものがずいぶん違うようであります。民放連というのは、どういうものなんでしょうか。
  366. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 民放連は、これは民放全体の一種の親睦友好団体で、相互の利益を増進していこうというためにいろんな勉強はいたしております。
  367. 木島則夫

    ○木島則夫君 先ほど案納委員も御指摘がありましたように、単なる友好的なサロン、仲よしクラブではないはずだと思いますね、私は。まあこれは私の解釈です。  そういうふうに見ますと、オリンピックのような大きな問題を取り上げる場合には、やはり民放連としては、当然、内部で話し合われる問題ではないかと思います。三浦参考人のお話によりますと、去年の八月にアフタヌーンショーの放送のためにモスクワに赴かれた際に、モスクワの招請があればこれを受ける旨の発言がございました。この時点で何か民放会長としてお話を受けられたか、あるいはお話をされたか、お二方から伺います。
  368. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 全然聞いておりません。
  369. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 招請があれば受けると言っただけですから、招請があるかないかわかりませんので、私はどこにも報告いたしませんでした。
  370. 木島則夫

    ○木島則夫君 先ほどから伺っております契約条項の受け取り方、解釈の仕方、また民間放送は、これは確かに私企業ではございますけれど、単なる私企業ではなくて国民の共有の財産である電波を預かっているのが放送事業者でございます。そういうことから考えますと、放送法電波法という法律で同じ基準によって免許を受けながら、どうも非常に大事なその姿勢、態度、解釈、こういうものが余りにも何か幅があり過ぎるように思うわけでございます。同じ免許基準による放送事業体というものが何かちょっとちぐはぐな感じを私は受けるんでありますけれど、この点については、むしろ民放連の会長郵政大臣にお伺いをすべきでしょうかね、どうでしょうか。
  371. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) いま討論しているのは、そのドラフトの解釈、あるいはオリンピックの放送権の問題でございますから、私は、民放連は民放連でそれなりに自主的にやられておるものと信じております。
  372. 木島則夫

    ○木島則夫君 会長、いかがですか。
  373. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 私は民放連にそういう法的権限があるかないか知らぬが、こういうオリンピックのような行事こそ相談してやるべきだと、これは民放連としてのいい慣行だったと思っておるんでございますが、今度は破れちゃって非常にそれは残念だと思っております。大臣おっしゃったとおり、個々の条文の解釈その他、やり方は、これは各団体それぞれの解釈の違いがあることはやむを得ぬだろうと思います。
  374. 木島則夫

    ○木島則夫君 実は、ウィリアム・オスカー・ジョンソンという人がクレムリンとの契約という記事をスポーツ・イラストレーテッド誌に、これは二月二十一日号ですか、載せております。その冒頭に、彼らはわれわれにびんの中で争う三匹のサソリのようなことを望んでいるのだ、争いが終わってみると二匹は死んで、勝ち残ったものも疲労こんばいの極だろう、というふうに指摘をしています。私も、こうなってほしくないという意味で、実は、引用をさしていただいたわけであります。  ところで、私は、こういうことは余り勘ぐるのはよくないんでありますけれど、このウィリアム・オスカー・ジョンソンの記事を詳細に読んでみますと、モスクワというところ、ソビエトというところは、たとえば放送権を相手に与える場合にはやっぱり相当いろんな、何というんですか、前段における余得みたいなもの、後段における余得みたいなものがなければ、なかなかその相手に対して了承をしないというような意味のことがここに書かれています。その一つを、ちょっと長くなりますけれども、読ませていただきます。——   一九七四年から七五年にかけて、アメリカの  ネットワークの幹部アーリッジ、ワスラー、リ  ンデマンや、その後続々顔ぶれがふえて、社長、  会長、弁護士、外交官、政治家、広報関係者な  どがソビエトのオリンピック実権者たちの籠絡  を図ってこびを売り始めた。しかし、最後にN  BCが選ばれるに際しては、こうしたことは何  の役にも立たなかった。それはともあれ、この  こびの売りようは激しく過酷で、時としては全  く人目をはばからないものだった。   たとえば一九七五年の秋、ABCの余り芳し  くないモーニングショー「AMアメリカ」は、  一週間にわたって毎朝ソビエトの生活について  のレポートを全米の家庭に流したが、その内容  が余りにも無批判的なもので、これに当惑した  ABCのある社員は「われわれはモスクワを、  ウォータースキーこそないが、サイプラス・  ガーデン(フロリダ州の楽園)のように見せて  しまった」と言っているほどだ。一九七六年に  はCBSは、女性タレント、メリー・タイラー・  ムーアが冬のモスクワ街頭で寒さにふるえなが  ら、ボリショイバレーの司会をするゴールデン  アワーの特番を流した。これもCBSのオリン  ピック獲得運動の一つかと聞かれたワスラーは  「あたりまえさ」と答えたものであった。  これは旧NETさんの問題とは関係ないと私は思います。で私も言わしていただけるならば、あれは九月でございましたか、八月でございましたか、モスクワからのアフタヌーンショーを拝見をいたしました。ふだんはなかなか風刺精神に富み、また大変批判精神にお富みになったNETの番組としては、少し私はやわらか過ぎるのではないだろうかというふうに感じた一人でございます。  こういう勘ぐり方をして悪いですけれど、いろんな風聞が飛んでいる。つまりここに読んだウィリアム・オスカー・ジョンソンですね、この人の手記の中にもこういったことが書いてあるのを見ますと、まさかNETさんはそんなことはおやりにならなかったと思うけれど、何か私の受けとったモスクワからの中継というものが多少そんなニュアンスで見れば見られないことはないと、こういうふうに私は受け取りました。いかがでしょう、こう言えば、もちろんそんなことはないとお答えになるでしょう。
  375. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) アフタヌーンショーを交渉したのは私じゃありませんので、調印にだけ私は行ったわけですが、そのときには、調印終わって次の日のパーティーまではオリンピックの話というのはもう全然われわれには伝わっておりませんでした。したがって、いまのアフタヌーンショーの問題をもって勘ぐられているとすれば残念なことだと思います。  それから、アメリカの場合は、ローター・ボックという、どだい雑誌に出ているあれはドキュメンタリー的で小説的ですし、私どもも接触して、それで事情及びその他を取材いたしました。その件については、大体、六割から七割ぐらいが本当のことであって、あとは小説だというふうに考えております。  それから、その中に出てくるローター・ボックという仲買人みたいなものがおりますが、そういう者が仲に入ったということ、それからモントリオールのときにはABCしか要するに交渉相手にしなかったということで、きわめてIOCその他の国際的な問題になったということを聞いております。そういう意味で、三大ネットワークにそのまま要するにモスクワ・オリンピック委員会が交渉を申し込んだ、そのときにいま言うローター・ボックというような者が仲に入ったということでございます。私どもは、したがって、当初、モスクワ・オリンピック委員会との話し合いの二つの条件に、一つは入札といって競争入札はしないと、一回しか私どもは金額の提示はいたしませんと、それからもう一つは、そういうローター・ボックみたいな仲買人みたいなものを仲に入れられては交渉は中断いたしますと、こういう二つの条件を向こう側と合意して変渉に入った、こういう事情をお察しいただきたいと思います。
  376. 木島則夫

    ○木島則夫君 民放会長の耳には、何か、旧NETとモスクワとの契約の後ろにある種の何かがあったのではないかという風聞は入っておりますかしら。
  377. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 特別に入っておりません。
  378. 木島則夫

    ○木島則夫君 いずれにいたしましても、これはオリンピックの放送をいまやった方がいいのかやらない方がいいのかという問題の前に、事実関係を明らかにして、やっぱり放送事業者のあるべき態度、国民電波というもの、国民の共有財産であります電波というものをいかに有効に使っていくかという、そういう立場に立つ放送事業体でございますから、いま私はにわかにこれをやるべきだ、やるべきでないというようなことをここで結論づけるのは、私としてはやっぱり筋違いだと思います。それよりも、交渉の過程なり、そこで行われた事実関係をできるだけオープンにして、そしてしかるべき批判をすべきだ、こういうふうに考えております。  そういう意味で三浦参考人にお伺いをしたいんでありますけれど、先ほどからのお話の中に、何で日本に行くと私的事業者、いわゆる私的な企業としての民間放送の問題が国会論議をされたり契約金の話までああだこうだ言われるのかという先ほどのお話は、私はちょっと解せないんでありますけれど、三浦参考人としては、本心でそういうことをおっしゃっているんですか。
  379. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) そういうふうに聞かれたんです、向こうの人たちに。したがって、私も、日本の事情というのは——日本は特殊でございまして、NHK民放というようなこういう関係というのは余り他国にありませんので、非常に持殊な事情にあるんだというような話をしましたが、なかなか納得してくれませんでした。  したがって、四月の十日過ぎに発表しようと思っておった契約書は、これはもう少し国際的な要するに話題から遠ざかったときに、発表をした方がいいんじゃないかというふうに考えております。
  380. 木島則夫

    ○木島則夫君 先ほど伺っておりますと、たしか五月に発表なさるということでございましたね、公表なさるということでございましたが、その根拠はどこにあるんですか、五月というのは。この問題のいわゆる熱が冷めたころが五月なのか、あるいはもっとほかにいろんな意味があるのかどうか、ちょっと伺わさしていただきます。
  381. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 大体、本日をもって要するに議論というのは国内的には終わりじゃないかというふうに私なりに理解したことと、それからもう一つは、社長がいま渡米中でございますので、二十八日に帰ってまいりますので、社長との間に協議してやりたいというふうにも考えております。
  382. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ言葉じりをとらえて私はあげつらうわけではありませんけれど、三浦参考人ね、大体この議論はきょうで終わりじゃないかというのは、これは国会が決めることでございましてね、あなた方から出していただくいろんな事実関係に基づいて、もしもここで問題点があったらばあしたにでもいいじゃないですか、また逓信委員会をやる。来週やったっていい、この問題で。ですから、終わりじゃないかというのはちょっと私はおっしゃり過ぎだと思いますよ。そうじゃなくて、ここで論議をして、本当にこの問題はこれで決着がつくという、そういうためにも早く資料をお出しになる、つまり契約の内容を公表なさるということが本当じゃないでしょうか。きょうで大体ここは終わりになるから、ほとぼりが冷めたときにもう一回出そうというのは、まあこれは大変三浦さんらしい発言、私もよくあなたを知っておりますよ、だけどあなたを認めているわけじゃない。ちょっと私は言い過ぎだと思いますが、いまのお言葉はもう一度お考えになる余地ございませんか。
  383. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私の考えを正直に率直に申し上げたつもりです。
  384. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう私の気持ち時間もあと余すところ二、三分でございます。この問題は、せんじ詰めて言いますと、先ほどから案納委員も御指摘のように、一つは私は激烈なる過当競争のあらわれであると思いますし、そこに新聞が一枚加わっての縦の系列、こういう系列争いということにもつながってくるんだろうと思います。  これはいずれ論議をするといたしまして、この過烈な競争がマスコミの、たとえば放送業体なら放送事業体、新聞社なら新聞社の横の関係の思惑に力点を置き過ぎて、つまり視聴者と直で物を言わなかったり直で報道をしなかったりという姿勢になりますと、これはマスコミのあるべき姿として私はやっぱり大きな禍根を残すことになると思います。  そういう問題をいち早く察知してか、先ほど、郵政大臣は、今後の再免許に当たりましては番組の内容を留意する、たしかそういうお言葉だったと思いますね。親子そろって見られないような番組があるけれど、そういう番組がいま行われている、このことについては今後の再免許に当たっては番組内容を留意するというふうに、たしか言われたわけでありますけれど、間違いございませんか。
  385. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 特に番組編成、番組審議会もございますし、番組については十分留意すべきが本当だと思います。
  386. 木島則夫

    ○木島則夫君 さっきは番組審議会もあるということはおっしゃいませんでしたね。ストレートに留意するとおっしゃった。さっきからおっしゃっている、大臣ね、放送法第三条、これはもう私がいまさら申し上げるまでもないと思います。「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」という、つまり、こういうものはやっぱり放送事業者、放送局が自律的に規制をして、その中できちっとやっぱりテレビを私は放送をし番組を編成をしているという、そういう観点から論ずるべきであって、番組の内容いかんによっては再免許を留意するというのは、いま番組審議会という言葉が間に入りましたから多少緩衝地帯ができましたけれど、これはゆゆしい問題ですよ。もう一回確認したい。
  387. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 私は、放送法第一条、第二条、第三条、番組のシェアもちゃんと決まっております。自主的なこともよく知っております。  しかし、私は一人の親としても、やはり親子がちゃんと並んで——そのとき個人的と言いましたよ、個人的な意見。やはり番組が親子が並んで見れるような番組、過当競争でコマーシャリズムに余り走ってはいけないということを申し上げたのであって、私は、そういう意味では、この委員会でそういう番組に立ち入った、また放送業者のあり方というものに立ち入ったということを大変評価していることをつけ加えて申し上げたわけであります。
  388. 木島則夫

    ○木島則夫君 個人的な見解としては、再免許云々ということはおっしゃれないはずでございますから、そこのところはひとつ慎重に扱っていただきたいと思います。  もう私の持ち時間が参りました。小林民放会長とそれから三浦参考人に一言ずつ伺います。  小林会長としては、このままの契約、現在の、いわゆる現状の契約では、絶対にこれは放送すべきではないというふうなお考えに変わりはないのか。  三浦参考人に伺います。もうこれは一切再検討する価値、余地というものはないのかどうか、伺いたいと思います。
  389. 小林與三次

    参考人小林與三次君) 率直に申しまして、現在の契約のままでは、私は放送に参加すべきじゃないと、こういうふうに考えております。
  390. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 契約書そのものは、変わっている面もありますし、草案と同じところもあります。しかし、先ほど申し上げましたように、もし仮にラジオの問題で受け局がないという場合には、契約改定を申し入れてラジオを返還するよりないというふうに申し上げたんですが、そういうような事態が起きない限り、現契約が、政治的にも、私どもの放送法による免許基準その他と照らし合わして、一切反しているものはございません。したがって、皆さんからおっしゃられた、国民の皆さんが見れるような、それから聞けるような状態を全力で誠意を持って当たりたいというだけでございます。
  391. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に、もう一言  テレビ朝日のいわゆるカバレージというんですか、ネットワークをしましても八〇から八五%、これをどうやって分けるか。これは私がいま先走った論議を本当はしたくないんです。だけど、確固とした御自信をお持ちのようでありますから、今後の構想をお示しください。それで私の質問を終わります。
  392. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 先ほども申し上げましたように、ここで、私が自信を持ってやりますというふうに、自信があるというふうには言えない。各県域の免許された要するに各会社、放送局が番組を自主的に判断することであって、私どもは、全国的に放送できるように誠心誠意努力しますということをお約束して、御勘弁いただきたいと思います。
  393. 青島幸男

    ○青島幸男君 質問に入ります前に、大変気になることで、木島さんからもいま発言がありましたけれども、大臣の御発言で、どうも不適当な番組を流しているようなテレビ局に対する免許の更新の際にこれを留保する、あるいは免許交付の際に考慮するというような御発言をなさったように、私もはっきり伺いました。これは大臣のお立場からする発言としては実に重大な問題を含んでおりまして、少なくとも監督指導に当たる立場の方の最高の責任者としての発言としては、放送法の精神にももとるし、あるいは放送自体の今後のあり方について権力が介入するということをほのめかすものであるみたいな気もいたしますし、この辺を明確にもう一度確認をしておきたいと思います。
  394. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 私は、放送法第一条、第二条、第三条、いわゆる放送の憲法と言われるものを尊重いたしておるんであります。ですから、教育番組、教養番組等々、そういうもののやはり番組配分というものも十分再免許のときには考慮しなければいけない、それは二〇%とか三〇%とかという比率がちゃんと入っております。そういうことでございますから、放送法の番組編成に私が干渉するのでもございません。私は番組向上を願っておるのであります。ですから、権力ということではないと思います。しかし、そういうことで誤解を招くということならば、今後とも、気をつけて番組のことについては申し上げます。
  395. 青島幸男

    ○青島幸男君 議事録ができました際に、もう一度確認をしていただきまして、御意見も賜りたいと思いますけれども、何が低俗か何が高尚かということは、郵政省の決める問題じゃございませんで、これは一般国民あるいは全員が考えることでございまして、言論の自由を侵す重大なきっかけになりかねないんで、十分御配慮いただいて御発言いただきたいと思います。
  396. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) それはこの前の刑事事件のような問題は、やはり私は行政監督官庁としては大変ゆゆしき問題だと思っております。
  397. 青島幸男

    ○青島幸男君 その問題ではなくて、放送の内容にかかわる問題でございます。
  398. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 一般的な個々のケースで私はそういうことを一つの頭の中に置いておりました。しかし、抽象概念でそういうことを申しておりません。
  399. 青島幸男

    ○青島幸男君 言論の自由を保障しなければならない最大の理由は、一つの偏った見解に支配されてしまう、少数あるいは権力か力を持った者以外の者の意見が通らない、その固有な権力のために押しひしがれている不幸な人間を救うということが基本だと思いますね。それを守っていくためには、雑多な意見が雑多な形で発表されている、その中から、何が正しくて何が正しくないのかということを的確に判断していくということを積み上げていくことが民主主義の基本になると思いますし、放送法の精神もそこにありますし、ですから雑多な俗悪番組だからいけないんだと一人の方が言うかもしれません。しかし、他から見れば、それは俗悪ではないのかもしれませんね。で、わいせつの基準さえはっきりしなくて、しかも流動的に歴史の流れによって変わってきているわけですね。ですから軽々に何が俗悪で何が高尚かを判断することはむずかしい。だから雑多に存在することを自然に人々が淘汰あるいは擁護あるいは排斥していくという中から自然のルールが生まれてくるわけですね。そのために言論の自由を保障しなきゃならないということだと思いますけれども。
  400. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 私は、言論の自由論争ということでは、論争いたしておりません。個々のケースとして申し上げたのであって、かつ、放送法第二条「教育番組」「教養番組」というものを尊重し、かつ、第一条、第三条の趣旨を尊重して物をしゃべっておるのでありまして、何も私が雑多だ、こうだ、こうだという意見はいままでかつて申し上げたことはございません。
  401. 青島幸男

    ○青島幸男君 このまま議論していてもらちは明きませんし、議事録ができ上がりました時点で、もう一度御見解を承りたいと思います。  これはこの程度にとどめておきまして、さて質問に移るわけでございますけれども、せっかく参考人においでいただいているんでございますけれども、もう前回や私の前に立たれました委員の方々から微に入り細をうがっての御質問もありまして、私も疑念に思っておりましたところも大分解決いたしまして、納得いたした部分が多うございます。ですから重複をすることを避けまして、ただ一点だけ御見解を承っておきたいと思うんです。  小林、三浦両参考人の御意見が先ほどから承っておりますとかなり違っておりますし、御見解も違っておられるようです。で現在のような争い事ができたのは、もともとはといえばネット系列化ということが大変深刻になってきた一つのあらわれだというふうに感じておりますけれども、事がこのままの状態で推移していきますと、十年、二十年先にはどういうふうな放送界になっているであろうというふうにお考えになりますか。もしくはその放送界のあらまほしき姿と申しますか、こうあってほしいとお考えになる理想の姿というのも、あわせて承れれば大変理解が行き届くと思いますけれども、お願いいたします。
  402. 小林與三次

    参考人小林與三次君) あんまりむずかしくて、何とも答えようがございません。
  403. 三浦甲子二

    参考人三浦甲子二君) 私もいまの御質問は非常にむずかしい。  ただ、新聞関係で縦になっているとか、ネットワークの新聞の系列によるけんかだとかいうような、非常に私個人で言えば間違った考え方で物を判断されようとする点で、きわめて世の中の人は間違った考え方を持っているなというふうに理解して、そういうものを直していくためにも、今後、何らかの、要するに促進的運動といいますか、そういうものをやりたいと思っています。
  404. 青島幸男

    ○青島幸男君 よくわかりました。  大臣、郵政、電波行政を預かる責任者としては、この系列化の問題がこのままの形で推移していっていいものかどうか、その辺の十年後あるいは二十年後の展望なんていうのをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  405. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 現在、十年後、二十年後ということはなかなか予測がつきません。しかし、現時点で申し上げますと、今国会で出しました独禁法でも、寡占状態にいま放送業界はございません。ですから、独禁法そのものの問題にはならぬ。ただ、なりますのは過大広告あるいは虚偽広告等というコマーシャル部分でございます。  で、そのネットワークその他については、青島さん一番よく御存じだ。いま青島さんが昼のワイドショーを十九局を通してやられて、スポンサー四社がついてやられておるのでございますが、その点でいつか御意見をお伺いしたいと思います。
  406. 青島幸男

    ○青島幸男君 どうも見当違いの御発言ばかりでございまして、私、きょう、この程度にとどめます。
  407. 神沢浄

    委員長神沢浄君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、本日は長時間にわたり当委員会審議に御協力をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  本日の調査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会