○野口忠夫君 当
委員会も、ただいま申し上げましたような精神にのっとって、
地方行政委員会というものは私はここに参りましてからお邪魔しているわけでございますけれども、ここは超党派です。与党も野党もみんな一つになって、ただいまの問題について営々努力してきたということを私は言いたいと思うのであります。今日の深刻な
地方財政の危機は、やっぱり地方自治体が単なる中央の下請団体と化してしまって、自然
増収というものに安易に依存しながら、荒廃し、過密化し、過疎化していく地域自治体を捨ててきた自主性のなさの中にこの問題がやっぱりあった。いまこそ地方自治体に、自主的な、主体的な自治の本旨の本来の姿に立ち戻られるような、そういう地方自治、行
財政をこの
委員会の中でつくりたいということを願いながら論議をしてきたと私は考えております。真剣になってやってきたと思うわけであります。
御承知でございましょうが、当
委員会では
委員会独自の決議というものを二回にわたって上げております。この決議の中にある項目は、大臣全部御承知であろうと私は思います。それが立法府におけるわれわれの意思であったということを御確認をいただいて、同時に、福田総理大臣はこの決議に対して、一生懸命実現することに努力します、こういうお約束をわれわれはいただいておるわけであります。われわればかりではありません。地方団体の関係六団体の皆さんが、今日、自治省のもとに提言している、みずからがみずからの責任で地域の中で自治の本旨に基づいて日本の国をひとつ発展さしていきたいという願いに基づく提言は、いままで何度かなされてきたと思うわけであります。これは莫大な費用をかけて、多くの人を使って、ひたすらに
地域住民の幸せを願いながらやった地方団体の皆さんの貴重な
調査であろうと私は思うのですが、このような提言もなされております。
さらに、自治省は今度世論
調査をなさいました。アンケート
調査をなさいました。この
調査の結果自治省にもたらしたものは、私どもと全く同じ、そういう姿の中で今日の地方自治体を育成しようとするアンケートの集結の結果であったろうと私は推測いたします。これはまさに国民の声ですね。今日の地方自治体における従属性を振り切って、自主的に
地域住民の要求を土台としながら、日本の国の繁栄のためにこれを導き、一つになってひとつ日本の国の再建をやっていこうではないかという、新たな日本の転換に対する全国民の期待であり、希望であろうと私は思うわけでございます。
そういう中で五十二年度の
地方財政計画が出されたわけでございます。われわれは、当
委員会で審議をする過程での自治省行政当局の皆さんのお答えの中には、今度こそこの方向に向かって出発するような、そういう五十二年度の
地方財政計画がわれわれの前に
説明されるであろうと期待したのでございますが、残念ながら二つの点で全くどうも納得できないものがあるわけです。
一つは、先ほどから申し上げておりまする今日の地方自治体運営のための根性がない。何か
地方財政計画はバランスをとっただけの、入ってくるものと出ていくものとのバランスをとっただけのものであって、この中から、先ほどから申し上げておりまする課題を追求するような、そういう根性というものがどうも出てこないように思うのです。
また第二点には、先ほど申し上げました広い地域での広範なる国民の要求というものを、この
財政計画の中で一歩解決しようとするような前進の姿勢は、私は、この
地方財政計画では今回見ることができない。これは野口忠夫が見ないだけではございませんで、各種新聞の社説等を見ましても、何で今度の
地方財政計画で後年度にツケを回すような借金にしたのだと。何も
地方交付税の率を
引き上げても同じことではなかろうか。何かいろいろ御苦労なすっていることはよくわかります。しかし、その御苦労はちっとも喜ばれる御苦労ではないのではなかろうか。新聞の記事、あれはみんなが読むわけでございましょうが、あの記事で見る限り、借金
財政、つかみ金
財政、こんな表現で書かれていることは、政治に信頼を取り戻そうとする今日の段階の中で決して名誉なことではないというふうに思うわけであります。
私は、大臣の所信表明に対する質疑において、五十二年度は仕方あるまいと、五十三年度はこの根性で出るんだろうと尋ねられましたときに、大臣は、
経済が落ち着いてから
地方財政を直すというお答えがあったように記憶します。誤っておったら御訂正いただきます。そうではなくて、
経済を安定させていく土台としての地方自治だということを、先ほど私の意見に大臣も御表明、御協力いただいたわけです。五十三年度からひとつそういう意味で出発する前提としての五十二年度の
委員会に私はしてほしいのです。ここで何遍やったって同じですよ。私は、きょうは会議録をみんな持ってきて、その中で福田さんは何と言ったか、その前の
財政局長は一体何と言ったか、みんな出してきてこれは見せたいような気もしたわけですが、あえて見せなくても全部わかっていることだろうと思いまするから、ひとつ五十三年度には日本の
経済を立て直すことが自治体の中から生まれてこなければならぬというような観点の中で、高度
経済成長に協力した日本の体制というものを地方自治体を中心とする福祉の方向に持っていくような抜本的な体制への切りかえというものを、そして安定成長路線というのはこういうものなんだということをお示しになるような、ひとつ五十三年度の
自治大臣の根性をお聞きしたいというように思うわけであります。