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政府委員(
加藤隆司君) ちょっと言いわけがましくなりますが、
経緯的に申しますと、二月、三月の上旬段階、この段階で
減税の
議論が非常に強くなったわけでございますが、その段階では私
どもとしては、
確定申告が進行中であったわけでございます。それから
歳出面は、まだ何カ月か残っておりまして、
不用とか
税収増とか、そういうものについて何らの見通しを持っていなかったわけでございます。その次に、三月の九日に六党の合意ができたわけでございますが、この段階で、率直に申して私
どもとしては非常に頭を悩ましたわけです。一体この
財源をどうするのかと。で、その悩んでおりましたことは、三月十日に衆議院の
予算委員会で武藤山治さんから御
質問があったときに
大蔵大臣から
答弁がありましたし、それから三月の二十九日に衆議院の
大蔵委員会で野田
委員から御
質問があったときに、総理が
答弁されておりますが、五十二
年度の
財政執行の過程で、
歳入歳出両面の努力を通じて何とか
措置したいというような基本姿勢で申し上げたわけでございます。
で、その後だんだん時間が経過いたしまして四月に入ったわけでございますが、御承知のように、四月に入りましても、四十八年の
決算以降四月の三十日まで当
年度歳入になる
制度になっておるものですから、
税収の方もなかなか見きわめがつかなかったわけでございますし、
歳出の方も税外の方もなかなか見通しが立たなかったんですが、どうやら
税収については千億台を上回るような、
予算額を上回った
歳入が上がりそうだというようなことがわかってきたわけでございます。そのとき、たまたま衆議院の
大蔵委員長の方から
委員長提案で、
減税法を出すと、ついては、
減税はすなわち
歳出てあって、その
歳出を検討する際には、
歳入も一緒に検討するということを
考えたが、どうであろうかというお話がございまして、私
どもとしては、税金の方で
自然増収が出ると。それからかねて
赤字公債はできるだけ減らそうと思っておりまして、できるだけ税外なり
歳出不用というものを何とかしていこうという
考えがあったわけですから、そっちの方とあわせれば、何とか三千億の
財源調達ができそうであると、片っ方では、五十二年の
財政執行を検討しましたところ、御承知のように
税収は
予算額をそんなに上回るような
自然増収は期待できないではなかろうかと、大体
予算額を確保するというような線ではなかろうかと、それから
歳出の方も三千億の
不用を引っ張り出すというような
状況にないと。それから
赤字公債の増発というのは、もちろん私
どももやりたくないと
考えていたわけでございますが……。
それからもう一つは、予備費が御承知のように二千八百六十六億ということで、一・〇何%という非常に僅少な予備費を抱えて
財政運営に当たらなければならないというような
事情、こういうようなことを
考えますと、ただいま申し上げましたような、四月に入った段階である程度の
自然増収が期待できると、そうなれば三千四百六十、四、五月で
租税収入なり
歳出不用なり税外の動向を見て
公債を何とか減らそうと
考えたところの一部を
発行さしていただければ、三千億の
減税財源も取りそろえることができるんではなかろうかと。で、
財政運営といたしますと、衆議院の
大蔵委員長がお
考えになったような
考え方というのは、やはり正しいというようなこともございますので、非常に唐突の感がございまして、先ほど申しましたように二月末からだんだんと
経緯があって、国会でいろいろ御論議があったわけでございますけれ
ども、この段階になりますと、ただいまお願いしております
法案が最善のものではなかろうかというふうに
考えて御
審議をお願いしておるわけでございます。決してペテンとかうそとか、そういうことでなくて、時間の
経緯に伴いまして検討の結果
事情がだんだん変わっていったということが真実のところでございます。