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政府委員(山内宏君) まず、
最初に御指摘をいただきました今後の財政の状況に顧みて、
税制に関しても根本的な見直しを行う必要があるのではないかという御指摘につきましては、私
どもなりに御
趣旨はまことによく理解できるわけでございます。おっしゃるとおりかと思います。
それにつきまして、第二番目に御指摘に相なりました、
租税特別措置についての整理の心構えと申しますか、取り組み方が一体まだ手ぬるいのではないかという御指摘であったかと思いますが、その点につきましては、これは時間もございませんので、余りくどく申し上げるとあれでございますが、何回か当
委員会においても御
説明申し上げておりますように、
租税特別措置の整理縮減につきましては、五十一
年度税制改正の際に
かなり抜本的な取り組み方を私
どもなりにいたしたつもりでございます。御批判についてはいろいろあろうと思いますけれ
ども、従来の整理のやり方に比べますと、
租税特別措置と言われておりますものの中で二つに大きく大別をいたしまして、その
一つはいわゆる政策
税制ということでくくりまして、いわば政策的な目的がなければ、およそそういった
措置をとるべきではない。逆に申しますと、そういったいわば特別
措置を講じております唯一の
理由が政策的な目的を達成をするためのものであるというグループと、それ以外のもので特別
措置の中に入っているものと、こういうふうに二つに大別をいたしまして、その中の前者、すなわち政策
税制につきまして、期限の到来するものも、しないものも挙げて全面的な見直しを行ったことは、御承知をいただいているとおりでございます。それを受けまして、五十一
年度におきましては、すでに五十一
年度において期限の到来するもの、しないもの、なべて見直しをいたしておりますので、五十二
年度におきましては、期限の到来いたしましたものを中心にいたしまして、引き続き整理改廃を行ったわけでございます。
数字の点で申し上げますると、五十一
年度におきましては、
企業関係だけを取り上げて申しますが、五十一
年度におきましては、当時九十八本の特別
措置がございましたが、その中で
整理合理化の対象にいたしましたものが五十九本ございます。それから五十二
年度におきましては、今回におきましては同じく九十三本特別
措置がございますが、それに対して整理縮減をいたしましたものが二十九本、その中でも期限の到来いたしましたのが大体七割以上整理縮減をいたしたということでございます。
そういうふうなことをやってまいりまして、これを試みに、一般会計税収と、それからそれに対応いたしまして、
租税特別措置で減収を来しております金額との割合を
比較をいたしてみますと、たとえば四十
年度にはその割合が五・八%でございます。つまり、一般会計税収を一〇〇といたしまして、
租税特別措置によって失われている税収額を分子に置きますと、その分子の額が五・八%に対応するということになります。その率が五十二
年度では、これは予算の
数字でございますが、二・四%ということでございまして、相対的に
租税特別措置の規模が、一般会計税収に比して非常に縮減をしてきておるというのが、いま申しました
数字でも御了解をいただけるかと思うわけでございます。もちろん、それによって私
どもは事が終わったというふうに
考えておるのではございませんで、今後も引き続きまして、弾力的に改廃を進めてまいりたいというふうに
考えておる次第でございます。
その結果、五十二
年度におきます平
年度の減収額は、
租税特別措置によります減収額は、ネットで四千四百四十億円というふうに見込んでおります。
所得税、法人税を含めましてそういうふうな金額であろうかというふうに
考えております。
そういたしまして、先ほど第三番目に東京都の試算との
比較の御指摘をいただいたわけでございますが、この点につきましては、先ほど御指摘いただきました
資料に大蔵省の試算との違いの点をいろいろ指摘申し上げておりますが、ごく大ざっぱに申しますると、
企業関係と、それから
利子、配当の関係と二つに分けまして、まず
企業関係につきまして申しまするならば、
一つは、法人
所得の合理的計算
方式として認められておりますたとえば引当金といったような制度を、東京都においては、それまで取り込んで特別
措置というふうに
考えておられますけれ
ども、その点が基本的に
考え方として違うというのが第一点でございます。
それから第二点は、やはり
所得税と法人税との仕組み、調整の問題といたしまして、法人税収と、それに対応いたします配当にかかわる税金との調整の仕組みといたしまして認められておりますたとえば配当
控除なり、配当益金不算入、こういった制度につきましても、東京都においては、これがいかにも特別
措置であるかのごとき扱いとして金額が算出をされておりますが、これは私
どもといたしましては、そういう意味での政策
税制あるいは特別
措置ではないというふうに
考える次第でございます。
それ以外に若干その積算方法が不明なものがいろいろございますが、そういったものを差し引きますと、東京都の方で言っておられる金額は、地方税も合わせまして六千二百九十三億円と相なります。で、この中で法人税は四千三百六十三億円
程度というふうに見込まれますので、大蔵省の方で特別
措置による減収額と
考えております二千六百七十億円というものとの差がそれほど大きくはない。しかもこれは、一方は平
年度ベース、一方は初
年度ベース、それからまた一方は予算ベース、一方は決算ベースというふうな違いがございますので、その差はさらにくっついてくるのではなかろうかというふうに
考える次第でございます。
それから第二番目に
利子、配当の点でございますが、これにつきましても、たとえば東京都の場合、私
どもといたしましては、減収が生じないというふうに
考えられますところの一般の
源泉徴収税率適用分についてまで、減収が生じておるというふうな計算の仕方も入っておりますし、あるいは逆に、いわゆる源泉分離選択
税率によります分につきまして、私
どもは減収を計算をいたしておりますが、東京都は減収を計算していないというふうな違いがございます。
以上のようなことで、細かく申しますと、まだなお不足かと存じますけれ
ども、一応東京都との違いというのは明らかにいたしておるつもりでございます。
以上細かく申し上げましたけれ
ども、まあ結局、東京都のような
考え方に立ちましても、いわゆる政策
税制として次第次第に整理をしてまいりますと、金額としてはさほど大きなものにはなり得ないということを申し上げたわけでございます。したがいまして、私
どもといたしましては、
租税特別措置はもちろん
最初申しましたように、精力的に整理改廃を進めてまいらなければならぬというふうに
考える次第でありますけれ
ども、しかしながら、それを極度に推し進めてまいりましても、なお金額といたしましては、先ほど御指摘の収支試算における、恐らく不足するであろうと思われます規模に比べますと、
かなりけたが違う形にならざるを得ないというふうに
考える次第でございます。
今後におきましては、その金額の点はともかくといたしまして、いよいよ窮迫をいたします財政に対応いたしまして、御指摘のとおり、その制度の公正をさらに一層確保するという観点から、これは
租税特別措置の整理改廃は一層続けてまいらなければならぬと思いますけれ
ども、それだけでそのもとは解決するわけではない。したがいまして、別途やはり御指摘のような財政収支試算の
見通しをもとにいたしまして、何らかの形で、何らかの時期に、ある
程度の規模の増税をお願いをいたさざるを得ない時期が来るんではなかろうかというふうに
考えるわけでございます。