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政府委員(岩瀬義郎君) 国債管理
政策というものは、実体的に何かという点から始まりますと、大変学者の中でもいろいろ御議論がありますし、私
どもも昭和四十年から国債を出してまいりまして、その都度やはりその国債の発行に関連いたしましていろいろな国債管理
政策的なものを織り込んできたつもりでございます。したがいまして、それは歴史的に振り顧みますれば、それを一体、国債管理
政策と言えるのかどうかということでございますけれ
ども、それはそれなりに
意味があったと思います。
ただ、最近のように大量な国債が発行されましてから急に国債管理
政策ということが世間で非常にやかましくなってきた。そこで私
どもは、従来とってまいりました基本的な
考え方を最初に申し上げたいと思いますんでございますが、やはり
政府側から見て国債が大量に発行された場合にそれが
経済の安定成長というか、そういうものに果たして一体どういうふうになじんでいくものなのかどうかということと、それからもう一つはやはり出しました国債というものが市場性を持ち、かつそれが信用の厚いものであり、かつ国民からも喜んで持たれるというような性格のものであるべきであろうと。同時にまた
財政当局といたしましては、国の借金でございますから、そういう点ではやはりなるべく費用の少ないという
考え方というものは、当然基本的にあるんだろうと思う。したがいまして、そういうものを織り込みましたところで、やはりかなり長期的に国債管理
政策というものを見直してまいりますということが、基本的にはやはり公社債市場というか、そういうものを育成していくということによって、いろんな問題が解決していくのじゃないか。その市場というものは簡単にきょうあすというふうにしてできていくんじゃございませんし、また私
どもは高度成長と申しますか、そういう時期におきましてはやはり間接金融
中心主義であった半面から、金利が低かったということもございまして、最近市場が育っておりません。
ところが、公共債が多分に出てまいりましてからこの方、やはりそこに資金が集まってきて市場がだんだんとふくらんできております。同時にその出しますところの債券につきましても、徐々にやはり市場性を持ち、かつあるいは
商品性を持つというような形のものでないと売れていかないし、またそういうふうに発行当局も、発行者の方も心がけていくというような形で、やはり条件等は過去に比べますと相当配慮が加えられてきておるということでございまして、国債も御多分に漏れず、やはりいま申しておりますのは、国債の発行条件なり市場性なりというものを、これからその都度改善をしながら市場性を高めていく、そして公社債市場というものが発達する。それにあわせてやはり国債というものがむしろ
中心となってでもいくべきではないかというふうに
考えておるわけでございます。
したがいまして、いまの時点で公社債市場が十分育ってないではないか、あるいは国債管理
政策というものが十分に育ってないではないかという御批判につきましては、これはやはりかなり歴史的なものでもございますし、時間をかけて解決していかなければならない問題だと。ただ五十一年、二年度について申し上げますならば、国債の条件等についてもかなり市場性を持ってまいりましたし、それからいまの金融環境あるいは市場環境から言いますと国債はかなり売れております。したがいまして、その点においては、私
どもも現在急に急いで何とかとにかく特別なことをやらなければならないということではなくて、むしろ公社債市場の発達のための準備をこれからも着実に進めていくと、それにはやはり国債が魅力のある
商品として育っていくということを心がけていくべきであると思います。そういうもの全体をいってやはり国債管理
政策を徐々に徐々につくり上げていく、こういうことになるのではないかというふうに
考えております。