運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-02-22 第80回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年二月二十二日(火曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————    委員異動  一月二十八日     辞任         補欠選任      吉田忠三郎君     栗原 俊夫君      大塚  喬君     和田 静夫君  一月二十九日     辞任         補欠選任      藤田 正明君     安田 隆明君  一月三十一日     辞任         補欠選任      栗原 俊夫君     竹田 四郎君  二月二日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     上條 勝久君      鳩山威一郎君     坂野 重信君  二月七日     辞任         補欠選任      藤田  進君     吉田忠三郎君  二月二十一日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     田渕 哲也君  二月二十二日     辞任         補欠選任      青木 一男君     福岡日出麿君     —————————————    委員長異動 一月三十一日岩動道行委員長辞任につき、その 補欠として安田隆明君を議院において委員長に選 任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安田 隆明君     理 事                 上條 勝久君                 戸塚 進也君                 野々山一三君                 矢追 秀彦君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 河本嘉久蔵君                 坂野 重信君                 嶋崎  均君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 福岡日出麿君                 藤川 一秋君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 福間 知之君                 村田 秀三君                 吉田忠三郎君                 和田 静夫君                 鈴木 一弘君                 近藤 忠孝君                 渡辺  武君                 田渕 哲也君    衆議院議員        大蔵委員長代理        理事       山下 元利君    国務大臣        大 蔵 大 臣  坊  秀男君        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        大蔵政務次官   斎藤 十朗君        大蔵大臣官房審        議官       山内  宏君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        農林大臣官房審        議官       犬伏 孝治君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       森  整治君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林水産技術会        議事務局長    下浦 静平君        水産庁長官    岡安  誠君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        気象庁予報部長        期予報課長    青田 孝義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○昭和五十一年度水田総合利用奨励補助金につ  いての所得税及び法人税臨時特例に関する法  律案衆議院提出) ○租税及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件) ○農業共済保険特別会計における農作物共済及  び果樹共済に係る再保険金支払財源の不足に  充てるための一般会計からする繰入金等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 安田隆明

    委員長安田隆明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  私、このたび当委員会委員長選任されました。まことに微力ではございますが、委員皆様方の御協力を得まして当委員会の公正、円満な運営を心がけたいという所存でございます。諸先生の御指導と御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。  なお、岩動委員長から、きょうここに出席しましてごあいさつ申し上げるはずでございましたが、積雪のためにその機を得ませんので、皆様方によろしくとの御伝言がございました。御報告を申し上げます。     —————————————
  3. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 次に、委員異動について報告いたします。  去る一月二十八日、吉田忠三郎君、大塚喬君が委員辞任され、その補欠として栗原俊夫君、和田静夫君が、去る一月二十九日、藤田正明君が委員辞任され、その補欠として私が、去る一月三十一白、栗原俊夫君が委員辞任され、その補欠として竹田四郎君が、去る二日、土屋義彦君、鳩山威一郎君が委員辞任され、その補欠として上條勝久君、坂野重信君が、去る七日、藤田進君が委員辞任され、その補欠として吉田忠三郎君が、去る二十一日、栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として田渕哲也君が、本日、青木一男君が委員辞任され、その補欠として福岡日出麿君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  4. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 次に、理事辞任の件についてお諮りいたします。  中西一郎君から文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいまの理事辞任に伴い、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事上條勝久君を指名いたします。     —————————————
  7. 安田隆明

    委員長安田隆明君) この際、委員長から委員会運営に関し一言申し上げます。  法案審議は、通常、大蔵大臣から財政及び金融等基本施策について所信を聴取し、一般質疑を行った後審議に入るのを例としているのでございますが、諸般の事情により、やむを得ず本日法案審議に入りますので、よろしく御協力をお願い申し上げます。     —————————————
  8. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 昭和五十一年度水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案議題といたします。  まず、衆議院大蔵委員長代理理事山下元利君から趣旨説明を聴取いたします。山下君。
  9. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) ただいま議題となりました昭和五十一年度水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案につきまして、提案趣旨及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、二月十六日、衆議院大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出いたしたものであります。  御承知のとおり、政府は、昭和五十一年度におきまして水田総合利用を推進するため、その一環として稲作転換を行う者等に対し、奨励補助金交付することといたしておりますが、本案は、この補助金に係る所得税及び法人税について、その負担の軽減を図るため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。  すなわち、同補助金のうち個人交付を受けるものについては、これを一時所得とみなすとともに、農業生産法人交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に固定資産取得または改良に充てた場合には、圧縮記帳特例を認めることといたしております。  したがいまして、個人の場合は、その所得の計算に当たり、五十万円までの特別控除が認められ、これを超える部分の金額につきましても、その半額が課税対象から除かれることになります。また、法人の場合には、取得した固定資産帳簿価額から、その取得に充てた補助金の額を減額することにより、その減額分が損金と認められ、補助金を受けたことに伴い直ちに課税関係が発生しないことになるのであります。  なお、本案により国税の減収額は、昭和五十一年度において約三億円と見積もられるのでありまして、衆議院大蔵委員会におきましては、本案提案を決定するに際しまして、政府意見を求めましたところ、稲作転換対策必要性に顧み、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。  以上が、この法律案提案趣旨とその概要であります。  何とぞ速やかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  10. 安田隆明

    委員長安田隆明君) それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 野々山一三

    野々山一三君 提案者であります衆議院側山下委員に伺いたいのでありますけれども、この法案内容についてはその都度、年度ごとに若干内容が違うんですけれども、本質的には昭和二十六年以降ですか、ずっと議員立法で、しかも時限立法というかっこうでこう続いてきておるわけですけれども、そこで、この委員会では、五十年の審議のときに審議過程を通しましていろいろ問題がございました。その結果、当時の委員長桧垣徳太郎君が特に発言をいたしまして、「この際、一言委員長より申し上げます。」ということで、「これまでの質疑過程を通じて、委員各位より麦、大豆等奨励金について税制上の特例を講ずべきであるとの意見がありましたが、わが国の食糧自給が問題とされている折から、これに対する今後の農政進展に即応し、各種施策が講ぜられた場合には、税制面においても必要に応じ特別措置あり方を検討されるよう要望いたします。」というわけで、時の政務次官梶木君から特に発言を求められまして、委員長の御要望につきましては、政府といたしましても真剣に検討いたします、こういう趣旨が述べられ、かつ当時の理事である辻君が代表いたしまして、その政務次官発言というものは大臣発言ですねという確認がされて、そのとおりだと、こう言われているわけですから、そこで政府側代表者発言は後で伺うことにいたしまして、気持ちは伺うことにいたしまして、衆議院大蔵委員会側がこれに対してどういうふうに対応されたか、これがまず第一問。  それから第二問は、去年のこの委員会における審議過程についても、山下さん、あなたが代表されてこの委員会においでになりまして、そして真剣に、真剣に検討いたしまして政府提案にするような趣旨にいたしますということをお約束されたときも、あなたは委員長じゃなしに理事だったわけですが、今度も代表していらっしゃっているわけですから、同じ人なんで同じ資格でしょう。衆議院ではどういうふうに真剣に、真剣に本当に検討されて、議員立法じゃなしに政府案として時限立法じゃなしにしましょうということを検討されたのか、それを詳細にひとつ、本当に詳細に、本当にうそじゃないように言っていただかなければ困るのですけれども、そういうふうなことについてお答え願えますか。
  12. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) ただいま御指摘の点につきましては、衆議院大蔵委員会におきましても具体的に真剣に検討したことでございます。しかるに、今回またこのような議員提案の形において提出さしていただきましたのでございますが、実は昨年も私、野々山委員の御質問に対しましてお答えいたしました中で、農政進展に即応いたし各種施策が講じられた場合には、税制面においても特別措置あり方について真剣に検討すべきであるということを国会における審議の結果を踏まえて申し上げておるところでございますし、また、そうした場合に、法案のいまの時限立法形等につきましても十分検討さしていただきます、このようにお答えしたことは事実でございます。  その後、この点につきましていろいろ審議いたしましたのですけれども、この水田総合利用奨励補助金につきまして御承知のとおり政府としてはその必要性を認めて予算計上を行っていることは御指摘のとおりでございます。ただ私どもとしてもその税法上の取り扱いについて検討いたしましたのですが、政府当局においてもその検討結果を聞いたわけでございますけれども、何としても予算措置予算措置ながら、税制と申しますか、その税法上のとり方についてはやはり税法固有考え方に基づいて判断されるべきである、予算措置とは別個の問題であるという判断を示すものでございます。しかしながら、私どもといたしましては、水田総合利用奨励補助金につきましては、これはやはりこの事柄の性質上、何としても課税上一時所得として取り扱うという等の特例措置が講ぜられる必要があると考えましたわけでございます。したがいまして、その法案提出等につきましても慎重に検討いたしましたのですけれども、やはり予算措置税制というもののあり方につきましては、別個のものであるという観点を崩すことはできませんものでございますから、今回もこのような形において提案さしていただきましたことにつきましては、昨年のお答えの経緯から考えましても十分でないことと反省いたしているわけでございますけれども、ただ、この奨励補助金稲作をやめさせるという異例な政策に基づくものでございますので、政府としてもあえて反対しないという形になりまして、私どももこの議員提案に踏み切っているわけでございます。以上の点で御理解賜りたいと思う次第でございます。
  13. 野々山一三

    野々山一三君 一時所得というのは何年ぐらいのを一時所得と言うんでしょうか。  それから予算措置はしてあるけれども税制上は別なんだと言うけれども、その税制上は別なんだという別とは何ですか。私もよくわからぬので、あなた知恵者だから、ひとつよく教えてください。その二つを、ひとつ十分にわしみたいなわからぬやつがわかるようにしていただけませんか。
  14. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) また、私の足らざるところは政府からも御答弁があるだろうと思いますが、一時所得というのは、あくまで一回限りの、一時所得であると思うわけでございまして、ところが、実際問題として何年間か支給されることが予想されるものが一時所得として適当であるかどうかということは、私どもも実は問題があると思っております。ただ、この補助金が一回限りではありませんけれども期限が明確に区切られておりますので、私ども判断といたしまして、一回限りということには問題があるけれども期限が限られているということと、それからその補助金性格が何としても異例のものであるということから、これは一時所得としてみなして、判断して差し支えないかと、このように思った次第でございます。  それから第二点は何でございましたかな。——それでよろしゅうございますか。
  15. 野々山一三

    野々山一三君 予算税制はどういう関係ですか。
  16. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) まことに失礼いたしました。  これはまあ率直に申しますと、私どももこのようないろんな奨励金予算として計上いたしておった場合に、それはやっぱり補助金として支給されるわけでございますから、それを交付を受ける側の立場に立ちますると、その性格に応じてやっぱり課税の形が決められるものであると、このように考えるわけでございますので、水田総合利用奨励補助金として予算に計上されたから、それが直ちに税法上一時所得になるというものでもないと。それはあくまでその支給を受けるものについて独自に税制立場から判断すべきである。ところで、この水田総合利用奨励補助金につきましては、先ほど来申しておるとおりの事情でございまして、異例措置でございますので一時所得として扱うのもやむを得ないんだと、このように思いましてこのような御提案をさしていただいた次第でございます。
  17. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると、稲作転換事業として進めるのは一時ですか、数年にまたがるのですか。そこはどういうことでしょうか。
  18. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) それはちょっと……。
  19. 野々山一三

    野々山一三君 それはあなたに聞いている。
  20. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) これはまあ農政上の大問題でございますので、稲作転換を進めねばならないということは、私は率直に申しまして一回限り、一年限りのものではないとは思っておるわけでございます。ただ、毎年毎年交付されるものの性格税制上どう判断するかという問題がございますので、それは五十一年度についてはこれは一時所得として判断すべきであると、こう考えたわけでございます。しかし、この水田総合利用というものが一年限りでとどまるかどうかにつきましては、私はこれは農政推進上の大きな問題でございますので別個判断があるかと思うわけでございます。
  21. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると、簡単に言うと特別な措置だと、こういうことですか。
  22. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 先ほど先生も御指摘のとおりに、いろいろ形は変わっておりますけれども昭和二十六年からいろいろ米特例が設けられたわけでございますけれども、そうした日本農政あり方からいたしまして、いろいろと判断の結果、この昭和五十一年につきましてもやはりこれはその異例措置と申しますか、特例として認めるべきではないかと思って提案さしていただいているわけでございます。
  23. 野々山一三

    野々山一三君 まあ伺うんですけれども、特別な異例措置、それを法律用語で使っているようなやつによく似たやつはありませんか、税制上。異例な特別な措置だとおっしゃるんですけれども税制上そういうものを特別な用語を使っているものはありませんかと聞いているんです。この法律の名目、水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律ということですけれども、それに類似するような特別な措置を法令で扱っているような事案はありませんかと聞いているんです。
  24. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 私の承知する限りにおきましては、毎年毎年このような臨時特例として国会の御審議をいただいている法案は、毎年毎年のこととしては他にないかと思っておりますが。
  25. 野々山一三

    野々山一三君 そこのところで、先ほどの細かい言い方で、ひっかけたような言い方で相済まぬのですが、たとえば圃場整備というような事業に対して奨励金を出しまして、それで稲作転換を図る、こういうことに対して給付されるものに対して税を減免する、こういう仕組みでしょう。たんぼを麦をつくるようにする、あるいは大豆をつくるようにする、あるいはなたねをつくるようにするということができるようなたんぼに直していく、あれ何と言うんですか。あなたも提案者ですから十分御案内だろうと思います。ああいう事業があしたやあさってすぐできるんじゃございませんね。したがって、長期にわたって、数年にわたってこの補助金を出して、そして稲作転換奨励を図ることによって米の生産の調整を図り、他の農作物生産量を高めることによって日本の食糧問題を解決していく一助にしようというわけでしょう。そうでしょう。それがたとえば半年でできちゃったとか、五年かかったとかいうような実情があるでしょう。そのときに一年、一年、一年だという理屈がどこにあるんですかという、そういう意味時限立法という論拠は何ですか。  それから、それをまたさらに補足する意味で申し上げた話で、三年も四年もというような場合がございます、そういうものに対して税制特例措置を講ずるとおっしゃるんですけれども、他に類似する法律はございませんか。まあ誘導尋問みたいなことをして申しわけないから、租税特別措置というのはあれは何ですか。あれとの関係はどりなるんですか。税制上と予算との関係もこれありで、片方は補助金奨励金で出していることにしてその転換を図ろう、そのかわり税の上ではその所得を一時所得とする。一年、一年だ。しかし、実際は一年、一年どころじゃない。二年、三年、五年という事業でやっている場合もあるんでしょう。あるんでしょう。あるんでしょう。一年、二年、三年、五年ということでやっている圃場整備事業なんというのもあるんでしょうと言っている。それなら何で一年になるんですかというぼくは非常に単純な話を聞いているんです。そんなむずかしい話じゃないです。そこのところはどういう違いがあるんですか。それが租税特別措置とどういう関係があるんですか。ここに書いてある臨時特例に関する法律というのと租税特別措置法みたいなものとはどういう関係があるんですか。どんなに違いがあるんですか。提案者としてのあなた方はそこまでもちろん御検討なさっているんでしょうから教えてくださいと、こう言っている。抗議しているんじゃない、教えてください。御教援を願いたい。
  26. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) いまの農政実態等については先生の御指摘はまさにそのとおりであろうと思うわけでございます。ただ、私ども、何年間に続けられるものでございましても、予算に計上されるものは毎年毎年でございます。昭和五十一年度水田総合利用奨励補助金について昭和五十一年度課税をどうするかということでございます。本来でございますれば、これもいろいろ考え方がございまして、あるいは単に毎年限りのものでなくって、何年間かの立法にするかという形につきましても、実は検討いたしたのでございますけれども、先ほど申しましたように毎年度予算に計上されたものについて、そのときの税の扱いをどうするかにつきまして、やはりこういう形で御審議願った方がいいという結論に達したわけでございます。そういう予算審議ということにも関連いたしますので、この長い期間にわたってどうということは決められないという事情があると思うわけでございます。  それから、特別措置との関連でございますが、なるほどいろいろ租税特別措置がございますし、これも言ってみれば毎年度立法によるところの特別措置であることでございますけれども、他にもその特別措置法で決めておるのに、これはどうしてこういう形をとるかということから、先生の御指摘があるかと思うわけでございます。私どもそれは全く同感でございまして、ただ率直に申しますと、この補助金というものが、やはり直ちに課税においてこのような措置を講ぜらるべきものであるとも認められない点があるわけでございますが、ただやはりこの水田総合利用を推進するため、その一環として稲作転換を行う者に対し特別に交付するというこの特性に着目いたしましての異例措置でございますので、こういう形になるわけでございまして、毎年毎年出すという点についての御指摘はさこそながら、やはりそういう異例措置であることによるやむを得ないことと私どもも考えて、このような提案をさしていただいたわけでございます。
  27. 野々山一三

    野々山一三君 予算上、一年一年の予算を組むということは、これは単年度主義をとっているたてまえから言えば当然なことでして、その議論をイコールその——であるからこの稲作転換のために単年度時限立法として処置しなければならぬという理屈にはどうも私納得できないのです。いま一生懸命お答えいただいたけれども、ようわからぬ。私の頭か悪いのか皆さんの——そこのところをもうちょっと説明してください。  それから、そういう意味で具体的にちょっと申し上げたいのは、先ほど圃場整備なんというのは数年にかかってやっていますね。それと同じような意味で、たとえば大豆、いま日本にどれだけできて、よそからどれだけ買ってきて、それで自分でつくって自分で売っているやつがどうなっておって、どこを通してとか、農協を通して売っているやつが何トンで、どれだけ足りなくて、これからは来年はどれだけつくりたくて、再来年は幾らつくりたくて、二十年後にはどれだけつくりたいか、ひとつ正確な数字を教えてください。
  28. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 大豆につきましては、私どもは農産物の自給見通しを持っておりまして、大体現在の、五十年でございますが、状況では自給率は四%ということになっているわけでございます。これをできるだけ引き上げたいというふうに考えておりまして、六十年における大豆の自給率を、先ほど申しましたような現状から引き上げてまいりまして、六十年には一三%に引き上げてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  29. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 大変私の説明が至らぬ点でいろいろ御迷惑をおかけしておりますけれでも、先ほど補助金が実は五十一年、五十二年、五十三年という形になっておりますので、このように単年度立法にするのはどうしてなんだ、わからぬとおっしゃいますが、率直に申しまして、私も先生の御指摘についてはごもっともな節があると思うわけでございます。したがいまして、昨年も申しましたように、このような提案の仕方がいいかどうか、ただいま結論を得ずしてこの形になりましたですが、申しわけないことでございますけれども、引き続きその形としては検討さしていただきたいと、このように考えておるわけでございます。
  30. 野々山一三

    野々山一三君 ぼくは、声が小さければもうちょっと大きい声でしゃべります。  来年は何トンできて、再来年は何トンできて、その次は何トンできて、二十年後には何トンできるんですか。それからよその国からどれだけ輸入してきているんですか、どういうふうに食べられているんですか、使われているんですかということの趣旨を聞いたでしょう。聞かなかったですか、聞こえなかったですか、答えるのがいやなのですか。四%とかなんとかいう話はもう五十年の審議のときに言った数字と同じですよ。会議録読みましょうか。こんな答弁してもらうんなら答弁してもらわぬで結構ですよ。委員長、処置してください。  それから、山下さん、申しわけないけれども、先ほど私、会議録をちょっと申し上げたが、あなたがいつも出ていらっしゃるもんだから言うわけじゃないんですけれども、五十一年の審議のときも「真剣に、真剣に」とこんなふうに書いてある、山下元利君と書いてあるところの下の方に、「税制面においても特別措置あり方について真剣に、真剣に検討」しますと、「真剣に、真剣に」というから、もう一遍真剣にと言わなければだめなんですか。あたたは一体何党に属していらっしゃるんですか。あなたはいまの政府とどういう関係の党に属していらっしゃる理事さんですか。与党ですか、野党ですか、何党でございますか。政党政治というものはどういうもんですかということをちょっと聞いてみます。それから参議院というものはどういうもんですか。解説をしてください。長文でも結構です。何時間でも結構ですからわかるようにしてください。あなたの方で提案されたことであることはわかるんですよ、衆議院委員会満場一致で提案されたということは書いて——いま読まれたからわかりましたけれども衆議院とはどういうものか、参議院とはどういうものか、参議院には委員長さん、その当時の委員長がおいでになるけれでも、特に発言を求められた趣旨というものをどういうふうに解釈していらっしゃいますか。あなたがお答えの後に、政府を代表してどなたか——斎藤君——梶木君は、私の答弁は大臣の答弁ですということをおっしゃった、前の政務次官、いらっしゃるんですから、あなたの心境をまずお聞きします。そこからでないとこれは話になりませんぜ、これは。
  31. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 御承知のとおり、私は自由民主党でございまして、政府とは与党との関係にあるわけでございまして、この法案審議につきましても、政府とは緊密な連絡をとりまして、それで最終的な結論といたしましてこのような形で御審議を願ったわけでございます。衆議院大蔵委員長提案ではございますけれども、その際におきましていろいろその立場において努力をいたしたものでございます。  それからまた、もちろん国会の二院制度のあり方につきましては、私から申すまでもなく、両院の意思が一致いたしまして初めて国会としての意思になるわけでございますが、ただいまのところは、衆議院大蔵委員会としての意思をもちまして、御審議を仰いでいるわけでございます。以上でございます。  ただこの法案の作成過程におきまして、実は一昨年もまた昨年も、いま御指摘のとおりに、議事録にありますとおりに、「真剣に」、特に昨年は「具体的に」と、私はお答え申しておるわけでございますけれでも、真剣に具体的に検討すると、こういうことのお約束を申し上げて、その検討をいたしました結果、またこのような形になりまして提案させていただくことにつきましては、まことに申しわけないと思うわけでございますけれども、ただ先ほど来、申しておりますとおりでございまして、いろいろ考え方がございますが、やはり予算と歳出と、それから税制というものの関係につきまして十分な検討をいたしましたけれども、こういう補助金であるから、これをあるいは時限立法にするとか、あるいは政府提案にするという結論を得られなかったものでございます。それらにつきましては引き続きさらに政府とも真剣に努力させていただきたいと思いますけれども、ただ、ことしの例といたしました場合には、すでにこの予算措置も講ぜられておるところでございまして、その税務上の措置につきましては、それと一緒にということにはどうしてもならぬものでございますから、税制上の扱いといたしましてはこのような形になったわけですけれども、少なくとも、たとえば三年計画なら三年計画、五年計画なら五年計画であるならば、税もやはりそういうことでいいではないかという先生の御指摘は、私ども同じ議員の立場といたしまして十分理解さしていただきますし、今後  このたびの審議過程におきましても、私どもは十分それを念頭に入れて作成いたしたわけでございますけれども、やはり先ほど申しましたように歳出は毎年あるというわけです。それでまたこの補助金については、当然それば税制上こうなるという性格のものではないという点について十分な結論が得られなかったものでございます。引き続き、今回も検討さしていただくということを申し上げておしかりをいただくわけでございますけれども、さらに努力さしていただきたいと思う次第でございます。
  32. 斎藤十朗

    政府委員(斎藤十朗君) 当時の梶木政務次官がお答えをいたしましたのは、麦、大豆等生産奨励補助金に対する取り扱い等について十分検討いたしますと申し上げたことだと思うわけでございますが、この点につきましては、当委員会の御審議の経過などにのっとりまして、私どももこの麦、大豆等生産奨励補助金の取り扱いについて大蔵、農林両省間が慎重に、かつ具体的に真剣に検討をいたしてまいりました。御承知のように麦、大豆等生産振興策といたしましては、歳出面におけるもろもろの措置をいたし、またこれを拡充いたしておるわけでございまして、そういったいま現在でございますので、当面税制の面においては従来どおりのお取り扱いに願えないものだろうかという結論に達したわけでございます。  なお、この問題につきましては、引き続き歳出面の充実と税制面の問題も、あわせて引き続き真剣に検討を続けたいと考えております。
  33. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 先ほど来先生のお話の中で、何年かにわたって土地条件の整備等、転作を可能ならしめるための計画的な事業の推進があるのではないかというそれと、そういうように何年かかかってやる土地条件整備等と、この奨励金との関係いかんと、恐らくそういう御趣旨でお話があったものと思うわけでございます。これにつきましては、私どもこの奨励金関係なしに、米が過剰の基調にあるということを念頭に置いて土地改良事業を何年かにわたって計画的に推進をするという仕事を別途やっております。それは土地改良事業でございますので、国の補助金なり県費の補助なり、いろいろ事業の形態はいろいろございますが、そういう国の負担があるいは県の負担が行うという事業は別途ございます。そういう形で行われるものが別途ございますが、これにつきましては大豆なり、あるいは麦なり、そういう形に水田転換をするために、水稲作転換をするために出すための奨励金でございます。その奨励金自体がどのように使われるかということにつきまして、この奨励金は経費的な性格も一部持っておりますから、したがって、たとえば出ました奨励金が次年度のさらに他の作物に転換しやすいようにするための土地条件の整備に投ぜられるということも当然あり得るわけでございます。しかし、それはそういうふうに年次計画をもちまして、たとえば大豆なら大豆、飼料作物なら飼料作物にこの奨励補助金が計画的に投ぜられる、そういう性格を持っておりませんで、単年度年度予算の定めるところによりまして奨励金交付されておる、かようなことになっておるわけでございます。
  34. 野々山一三

    野々山一三君 いま大豆の話ですけれども、細かい数字はどうしてもおっしゃらないものだから、ようわからぬですけれども。  それで、時間がないから細かい数字をいま改めて聞こうとしませんが、いまお答えになった六十年で自給率一三%に持っていきたい。持っていきたいという次元から言えば、これは、たとえば六十年まで、その大豆を六十年まで  以降ももちろん続くでしょうけれども、六十年まではごく常識的に見て年次計画をもって累積したところ一三%ぐらいの自給率にしたいと、こういうことでしょうね。そうすると、この大豆生産するという次元から見たら、当然予算で単年度奨励金をかくかくしかじか出すということだけじゃないことははっきりしますね、どうも。違いますか。そんなものはないんだ、来年になればまた世の中変わるんだと言われりゃ別問題。それなら時限立法という論理も成り立つけどね。それならまた逆に六十年まで一三%になるようにしますなんという理屈はおっしゃらない方がいいんで。どっちですか。
  35. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 私どもが六十年見通しを持っておりますのは、水田転換による大豆作の増ということばかりではもちろんございませんで、六十年ぐらいにはその程度の大豆生産というものを国内でやりたいという、その一応の計画、見通しというものを持っておるということでございます。これにつきましては、単年度年度生産奨励措置、その他予算をもちましていろいろと実行をしておるわけでございますが、単年度の具体的な、六十年見通しの途中の年次計画というものを特に細かく持っておるわけではございません。しかし、いずれにいたしましても、大豆は国内で需要がございまして、しかも大量のものを外国に依存をしておるというような現状からすれば、できるだけ国内の自給を高めたいという方針なり意図を持っておるわけで、それを六十年見通しの中に掲げておるということでございます。  そういうことでございますので、私どもも、水田転換をして他の作物に転換をするということを考える場合におきまして、やはり大豆とか飼料作物でございますとか、国内でもう少しふやしたいと思うものに重点を指向しつつやっていくということになっておるわけでございます。  なお、水田転換を図っていく場合におきまして、これは水稲から他作物に転換をするわけでございまして、まず何よりも農家の意欲がそういう形に向いてくる必要があるということで、これは単年単年計画を立てましてやっておるというような状況でございます。
  36. 野々山一三

    野々山一三君 もう時間がないからずばりずばり聞きますけども大豆生産振興奨励補助金というものを出すのは、どうやって補助金を出すんですか。どうも農業団体や法人大豆をつくる。売り出す。農協を通して売り出した者にだけトン当たり幾らとか何俵当たり幾らというわけで補助金が出るわけですね。  そこで、あなたの言葉じりをつかまえるようで相済まぬけれども、農家が大豆をつくるような意欲になってもらいたい、そういう者に対して奨励金補助金を出すんですというのと、農協と農家とどう違うんですか。どう違うんですかという、そこのところの区分けを聞くんです。農協を通して大豆を売り出さなければ、それに対しては金がおりてこない。去年は三千円ですか。ことしは三千五百円ですね。農家が大豆をつくって大豆需要者に売ったら、これは補助金の対象にならぬのはどういう理屈ですか。これが第二問なんです。  第一問は、あなたの言葉じりをつかまえたようで悪いが、農家が大豆をつくるような気持ちになってもらいたい、そういうことによって自給を高めたいという話と、農協を通して売り出した者にだけ補助金が出るというのはどういう理屈ですか。これは税を免除するという意味から大蔵省もかかわりがあると思いますけれども、どういう理由ですかということをちょっと大蔵省にも聞きたいです。
  37. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 大豆に関します生産奨励補助金の出し方の問題でございますが、私どもとしましては、これにつきまして事務的に処理可能な方法でないと出せないわけでございます。そこで、その方法といたしまして、大豆なたね交付金暫定措置法という法律がございますが、この法律に基づきまして調整販売の対象になったものと、それから指定種子生産補助等で生産されました種子用大豆、こういったもので採種団体に販売される、これにつきましては系統も明らかでございますし、数量の把握もできるわけでございますので、したがいまして、この奨励補助金交付も、この交付金の制度に基づきます交付事務手続に準じまして、農協の系統なり、あるいは農協以外でも、集荷団体といたしまして商人系の集荷組織がございますが、これらの傘下にありますところの登録集荷業者、こういったものを通じて数量確認の上支払うということにしておるわけでございます。それ以外の方法につきましても、もちろん検討はしてみたわけでございますが、数量の把握が困難であるということから実行をしておらないような状況でございます。
  38. 野々山一三

    野々山一三君 まあ数量の把握ができにくいから、把握できやすい状態である農協として売り出されたものと、こういうわけですね。それなら聞きますけれども、大分前にモチ米を農協へ出して、今度は商社が売り買いして勝手に値上げをした事件がありますが、物は動かないで紙切れだけ、電話が動いただけ、ということで値上げしたような事例があるんですが、ああいうこととどういう関係がありますか。つまり、三年ぐらい前ですか、この委員会でも大問題になった、ああいうこととの兼ね合いでどう感じますか。大豆でも一緒じゃないですか。違いがあったらその違いを明確にしていただけりゃ、わかりゃいいんですから。
  39. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) いまお尋ねのことは、モチ米につきましてのいわば自主流通制度というのがございまして、自主流通制度に基づきます流通の仕組みがございます。これは食管法のかさのもとといいますか、規制を受けつつやるわけでございまして、その枠の中で動くということになっておるものだと承知をいたします。そういう仕組みで動くべきものであるところ、そこに手続の欠缺や違法な事態があったということであったかと記憶をいたしております。
  40. 野々山一三

    野々山一三君 結局、細かいことはやめにしますけれども、モチ米が食管法に基づきますもので、農業団体を通してこう出ていると、それが出た顔をしてまた戻ってきて、どっかへ行ってまた農協へ入ってくるようなかっこうが起こったためにああいう悪いことが起こったと、こういうわけですわね、簡単に言えば。その論理は大豆だって私は悪く言えばそういうことなんで、あなたの言われるのは、たてまえとしてその農業団体を通して大豆が売り出されたというものに対して、その数量を物差しとして補助金交付する、その結果は生産農家にいくわけですね、そうですね。金は。それに対して税金を免除してやろう、一定額免除してやろうと、こういうわけですね。そういう論理は大豆だって一緒じゃないですか。違う理屈があったら教えてくださいと言っているんですけれども、ちょっとそこのところはお答えがない。  それから、大臣がそういうところを通して出たら生産ができるという論理は一体積極的にどういう論理があるんですか。三百七十万トンから消費している日本で、四%ぐらいしか大豆がないわけで、それを六十年に向けて一三%にしようという計画があるんですから、あなたはどれだけ大豆をつくりましたねということをチェックすることが農政上できないんですか。できない理屈が私にはわからぬ。そしてまた、できる理屈が解明されるならば、生産計画というものがあるからできるわけで、あるからできるということは、とりもなおさずそれに対して単年度としてこれを税制上優遇措置を講ずるという理屈だけではどうもおかしい。そこで、まあ山下さんおっしゃるのは、おまえの言う理屈もわかるんで、一日も早くこういうものは時限立法じゃなしに恒常的な法律として考えたいというような趣旨のことを言われたと解するわけですけれども、それについて税務当局としてはいま申し上げたような理屈からいってどういうふうに解明されるんですかということ。なぜかと、こういうことを聞くのはなぜかというと、一番最後に山下さんがお読みになったやつの中の「稲作転換対策必要性に顧み、あえて反対しない」の「あえて」とは一体どういう言葉ですか、その解説をしてください。本当はやりたいけれどもしょうがねえということですか、いやだけれどもしょうがねえというんですか、どっちですか、両方……
  41. 山内宏

    政府委員(山内宏君) 大変厳しい点について御指摘を賜ってるわけでございますが、私どもも院の御指示をいただきましてから長期間にわたりまして私ども内部ないしは農林省との間でいろいろ研究をしてまいりました。  で、まず水田総合利用奨励補助金の問題について申しますならば、これは従来の稲作転換奨励補助金内容がほとんど共通して同じ形で配られることになっています。この問題につきましては、先ほどから再三御指摘を賜っておりますように、必ずしも納税者が一回限り受け取るものではないという点で、本来その一時所得と考えるのはかなりむずかしい問題であろうかと基本的には思います。ただ、しかしながら一方この補助金につきましては、本来米をつくりたい、ずっとつくって安定をした農業収入の確保をしたいというふうに考えておりますところの農民に対しまして、国の政策からいたしまして米をつくるのをやめていただいて、そのかわりに支給をするという、まあいわばその意味での補償金的な性格も含まれておるであろう、その辺のところを勘案をいたし、かつまた何回かに分けてはもらいますけれども、ずっと将来無期限というものでもない、その辺のところを勘案をいたしまして、そういったものについて一時所得というふうに見て課税の合理化をやろうというのが院の御趣旨であるならば、私どもといたしましても、最初に申しましたように、すらっとそれが一時所得になるということになりますと、非常に抵抗はあるわけでございますけれども、いま申しましたような点から考えていたし方がないんではなかろうか、そういう趣旨で「あえて反対しない」ということを申し上げておるわけでございます。政府の申し上げることは、こういう場合にかなりけちな言葉が多いわけでございますが、「あえて反対しない」というのは、そういう意味ではかなり私どもなりに気を配った申し上げ方かというふうに考えるわけでございます。  他方、まことに申しわけございませんが、麦、大豆につきましてこれまたずっと検討を続けてまいったわけでございますけれども、この点は先ほどから御指摘もございますように、売り上げの数量に対して幾らという形で支給されるものでございますので、先ほど申しました米の場合と異なりまして、要するにやりたいけれどもそれをやめて別な方に転換をするという性格でございませんし、それから売り上げの数量にスライドして支給をいたします補助金であります関係上、実質的にこれは価格の一部というふうに考えざるを得ないわけでございます。そういうふうなそもそもの補助金の支給の仕方が基本的に違うという点から考えまして、やはり税制として同じ扱いをするのはどうかというふうに考えた次第でございます。ただ、院の御趣旨十分私どもも考えておりますので、先ほど政務次官から御説明申し上げましたように、やはり税制においては差がつかざるを得ないと存じますけれども、片や財政措置においてできる限りのしんしゃくをしたというのが私ども考え方の結論でございます。
  42. 野々山一三

    野々山一三君 時間がなくなりましたから、一言だけ最後に伺いますけれども、米はつくりたいが、過剰基調であるので、他に転換をしてください、それには奨励金補助金を出しますが、税金を免除します。こういうのがたてまえですね。大豆はつくりたくないけれども、つくるのでしょうがないから、つくるように補助金を出してやるが、そのかわりに税金は考えてやらぬわい。つくりたくないやつをつくったからしょうがないわいと、こういう論理ですか。そのことだけちょっと確認して、あとは法律上の処理を考えますから、ずばり言ってください。
  43. 山内宏

    政府委員(山内宏君) 御説明が悪かったかと存じますが、基本的にやはりその受けます補助金性格が、片一方は米作を廃止をします。そのためにもらう、いわばある程度の補助的性格を持った補助金ということでございますので、補助金の配り方も、十アール当たりというふうな面積、あるいは反別に応じた支給の仕方をしておるわけでございます。片や麦とか大豆の場合は、これはあくまでも生産に伴う奨励補助金でございます。そういう意味から申しまして、やはり実質的に価格の一部と考えざるを得ない。つまり補償的性格というのはそこに認められないという点が、基本的に違うところであろうかというふうに考えております。
  44. 野々山一三

    野々山一三君 要するに、簡単に言うと、米は余っているんで、米をつくっても困るんでよそのものをつくってください、しょうがないからそれには銭をやります、税金はまけてあげます。片一方はつくってもらいたいけれども、つくると言うんだからつくらせたんだから、しょうがない、それは米をつくりたいやっとの差があっても、奨励だから銭をやるんで、税金はまけてあげません。そういうことですな。  そこで、農林省と山下さんにお伺いするんだけれども大豆はつくらぬことになつちゃってもいいというお考えなんですか。補助奨励という次元の言葉から見てどうなんですかということと、三百七十万トンも使っておるのに、十二、三万トンしかない、それでもつくらぬでもいいということなんですか。農業政策上、食糧政策上どういうことですか。そこのところをけじめをつけなくて、この問題の解決ができるんですか、ということをお聞きしたい、要するに、解決策を考えなくても大豆はできるんですね。間もなく二百万トンくらいになるんですね、というのならそういうふうに答えてください。
  45. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 大豆をできるだけ国内で増産をしたいという気持ちは、これは変わりはないわけでございます。したがいまして、大豆生産振興奨励補助金のごとく、一俵当たり三千円、来年はこれをさらに増額いたしまして三千五百円にするつもりでございます。そういう生産奨励措置をとるということを別途やっておるわけでございます。それともう一つ並行いたしまして、稲作転換を図るという政策を同時に実行しておるわけでございまして、その対象として大豆等国内でやはり生産を伸ばせるものを、転換先の作目として選ぶということも、これまた当然のことであろうと思います。そこで、一般に生産奨励をしたいという趣旨で出します一俵当たり幾らと、これは生産を伸ばすための奨励補助金でございます。稲作転換の方は、いま御説明ございましたように、これは大豆のみに限りませんが、反別で交付をいたしまして、そして稲作転換ができやすいようにする条件整備の一端である、かように考えておりますので、同じく、結局農家に渡るお金でございますけれども性格は異なるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  46. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 麦作等について、生産奨励をしてもっと増産してもらわにゃならぬことは、私も先生と全く同感でございます。そのためには、政府も諸般の施策を講じることであると思うわけでございます。ただ問題は、税制上の扱いにつきましては、先ほど両省から御説明申し上げておりますとおり、衆議院大蔵委員会におきましても本当に真剣に具体的に聴取いたしましたのですけれども、やはりこの奨励金補助金性格か異なるという——これは、物の見方につきましては、また単にいろいろ検討の余地はあると思いますけれども、ただいまのところ稲作についての問題と同様に解すべきではないと思うわけで、今回におきましても稲作転換についてのみこのような提案をさしていただいた次第でございますが、ただ農政上の方向といたしまして、奨励ということにつきましては、財政上各般の措置を講じなければならぬことは御指摘のとおりと思うわけでございます。
  47. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまのことをずっと聞いておりましたけれども、聞いていて何か昨年と同じでむなしい感じを受けますね。昨年のこの委員会稲作転換の減税の問題、補助金の減税の問題、このことから関連して、ここに座っておられる前委員長が「政府は、今後の農政進展に即応し、各種奨励補助等の施策及び税制上における必要な特別措置あり方について真剣に検討すべきものである。」そういう理事会の意見に対して、大蔵、農林両大臣並びに山下さんから答弁をいただいたことは、そのとおりですね。ところが、いまの野々山委員の御質問に対しての答弁を聞いていると、そのときも「具体的に真剣に」という言葉を使われて、また今回も「具体的に真剣に」ということで、何らの進展がないのです。何だか質疑するのがむなしい感じですね、これじゃ。これは奨励補助金等の施策、それが税制上における必要な特別措置として両方つながっているわけですね。何にも進展がないわけでしょう、これじゃ。だから、これは両省ちゃんとはっきりと真剣に検討するという答弁をしている。毎回毎回こんなことを繰り返して、また来年も同じことの質問をするのかと思うと、やらない方がましだということになっちゃうわけですね。何らの具体的な成果がないんじゃないですか。
  48. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) あるいは両省からお答えになるかと思いますが、私から申し上げますが、その点につきまして、昨年当委員会におきまして、私も各種奨励補助金等の施策及び税制上における必要な特別措置あり方につき真剣に検討することにつきましては、私からも申し上げたとおりでございます。しかし、具体的には、やはり昨年と変わらぬじゃないかというふうな御指摘でございますけれども、実は各種奨励補助金等の昭和五十一年の施策等につきまして具体的に聴取いたしたわけでございまして、そしてまた、それに関する税制上のあり方につきましても真剣に検討いたしたのでございます。それでなければ、とうていこのように御提案申し上げることはできないと思うわけでございます。ただ、そうしたことを見ましたところが、さらに税制上特別の措置を講ずべき施策が講ぜられるかどうかにつきましては、まだそういうふうな判断に到達していないというわけでございますから、今後農政進展に即応いたしまして、いろいろの施策が講ぜられまして、あわせて税制上の措置が講ぜられる場合には、これは当然検討すべきであるということは、言うまでもないことでございまして、私ども決していつも同じようなことを答弁申し上げるということではございませんので、ただ今回におきましては、十分検討した結果このような形に相なったということでございまして、真剣に具体的に検討いたしたことはどうぞ御了承賜りたいと思う次第でございます。
  49. 斎藤十朗

    政府委員(斎藤十朗君) 御指摘の点でございますが、先ほども申し上げましたように、大蔵、農林両省で具体的真剣に検討いたしてまいりました。先ほども御答弁申し上げましたが、生産奨励奨励金に対する税制考え方といいますのは、いま申し上げましたように、生産奨励するための上積みといいましょうか、その所得の上乗せという、所得そのものである、こういうような考え方から税制の減免にはなじまないんではないかということの結論に至ったわけでございます。一方、生産奨励を農業政策として進めていくために歳出面での諸政策を拡充いたしてまいりました。これらの具体的な政策の拡充については、事務当局からまた御説明をいたしますけれども、そういうことで行ってまいったというところでひとつお認めをいただきたいと思う次第でございます。
  50. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは提案者、具体的にこういうことになると、信用しないわけじゃありませんけれども、一体どういうことが議論をされてきたのか、その点がわからないと納得ができないわけですね。必要とあらば、衆議院の大蔵委員の皆さんに来ていただいて、一人一人に聞いてみなくちゃこれは進まないということだね。そういう点はいかがなんでしょうかね、その辺の内容を具体的に教えてください。
  51. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 先ほどから実は野々山委員、また先生にも申し上げておりますとおりに、いろいろの問題点につきまして具体的に検討いたしました。ただ、そうした一つの補助金なら補助金性格につきましてどうするかにつきましては、先ほど来私が御答弁申し上げていることが実は衆議院大蔵委員会におきましての結論でございまして、具体的にということは、やはりこれはもう当然具体的に、たとえば麦あるいは大豆生産奨励補助金についてこれをどういうふうに税制上見るかについての判断をいたしませんことには相ならぬわけでございますが、私どもとしては、ただいま御提案申し上げている水田総合利用奨励補助金につきましても政府意見を聴取いたしましたところが、さっきも政府が申しましているようにすらっとはいかないと、こういうことになる、ここに問題がございます。すらっというふうに補助金が出て、それが税制上非課税の扱いができるようなものとは、考えるかどうかにつきまして非常にいわゆる検討したわけでございますけれども、なかなかそれは、それを一時所得として見るということがすらっといかないとしたときに、まあ言ってみれば、やむを得ずこのような形になったわけでございまして、そのような議論の経過というものは、やはり具体的かつ真剣でなければこれは決定しないわけでございます。そのように御了解賜りたいと思う次第でございます。
  52. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 水田総合利用対策で、こういうことで稲作転換いろいろしてくるわけですけれども、いまのような御答弁を聞いていると、これは私は農林省自体一体稲作の方を中心というか、それを絶対に捨て切れないということじゃないんですか。その発想があるから税制上の方までどうも、転換の方まではやってもということで、しかしちょっとゆるめばすぐ稲作に戻そうと、こういうことが基本にあって言っているんじゃないかと思うし、今度の水田総合利用の問題でも生産量を削減するということだけは一生懸命やっていると、しかし、実際に適地適作をとってやっていくのかどうかということになると、御承知のように新潟県で青刈りを強行したようなことになる。  で、果たしてこれは適地適作なんだろうかと、そういうところをはっきりしているんだろうかなんということを考えると、一体お米について、あるいは農業全体の水田総合利用——今後農業全体の中での水田総合利用というものが、やはり米偏重を脱し切れないから、こういう税の問題についても偏ったというか、本当各種奨励補助金についても税制上のことを考えるべきだという、われわれの、この委員会理事も一致し、そうして委員長から発言のあったことまでがいいかげんに扱われているんじゃないかと、頭の中どこまでも稲作だけであって、確かに転換の作物もここは大豆、主要作物そのほかありますけれども、そこのところでちょこっと考えただけのことであって、実際に稲作転換して、きちっと今度は転換する、しないにかかわらず、大豆なり、麦なりのときの奨励補助金については税制上のものを考えるとなったらへんぱもはなはだしい、どこまで行っても農林省というのは、農林じゃなくて、米作省というふうに名前を変えた方がいいような感じを、この法律一つを見ても考えられるのですけれども、その点の基本的な姿勢をちょっと聞きたいのです。
  53. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 確かに米作につきまして、現実の姿は他の作目をつくるよりも米作経営をやった方が有利であると申しましょうか、つくりやすいという条件があることは否めないことでございます。しかし、そういう条件のもとで米作について放置をすれば大変な米の過剰というような状態が現出をしてくるということも事実でございます。したがいまして、私どもとしては、できるだけ水田総合利用いたしまして、国内で生産の増大を要請をされているような作目に転換をしていくという政策をとっておるわけでございます。五十一年もそういう形で水田総合利用を始めたわけでございますが、現実には水田転換を図るべき目標面積として十九万五千ヘクタールを想定したにもかかわらず、いろいろな事情がございまして、十七万七千ヘクタールの、実行率といたしまして九一%の水準に落ちついたということは、やはりどうしても放置をすれば農家の稲作復帰志向が強い、かようなことであろうかと思います。  さようなことではぐあいが悪いわけでございますので、私どもとしましては、これは五十一年のそのような経過も踏まえ、五十二年におきましてはさらに一層水田総合利用の対策を強化するということで、国内において生産の増大を要請されておる麦でございますとか、大豆でございますとか、てん菜でございますとか、飼料作物、さようなものには反別で一定の条件に当てはまる場合におきまして、反当一万円の追加奨励金交付するということにいたしまして、米の過剰を解消しつつ、国内で生産を増大する必要のあるものを伸ばしていこう、かような考え方で対処しておるつもりでございます。なお、このほかにこういった対策だけでは不十分でございますので、麦につきましても、大豆につきましても、てん菜につきましてもいろいろの施策を総合的に講じながら、所期の転作の目標を達成しつつ、国内で需要のある生産転換をしていくということにいたしたいと考えております。
  54. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 稲作転換の問題は定着性の問題だと思うのですね。四十六年から五十一年度まで八千二百八十八億円の補助金が出ていますが、稲作から他の奨励作物などに作付転換してうまく定着しているかどうか、この点についてお伺いしたいと思うのです。そこで、稲作転換対策から水田総合利用対策へ制度が移った昭和五十一年の二月四日の農林事務次官通達でもこう言っています。現在の転作の定着性は全体としてなお不安定だとありますね。現に昭和五十一年度の実績見込みではいまも言ったとおり、転換の目標が十九万五千ヘクタールだったのが達成率九一%です。さらに五十一年度にはもとの稲作に逆転換した農家さえある、こう聞いていますね。  そこで伺いたいのはさっきの点です。五十一年度稲作に逆転換した面積、それからどういう農作物から稲作に逆転換したのか、またどういう要因で逆転換したのか、この点もあわせてお伺いしたいと思います。
  55. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 稲作転換先の作物の定着性の問題でございますが、私どもたとえば野菜とか果樹などで、これは内地が多いわけでございますが、これらは私どもかなり定着性が強いというふうに見ておるわけでございます。また、飼料作物でも有畜農家と結びついた飼料作物等につきましては、やはりこれも定着性が強いんではないかというふうに考えておりますが、しかし全体として見ますると、やはり転換先の作物の定着性はかなり不安な要素が多いのが現状の姿ではなかろうかというふうに思われるわけでございます。  どのくらいが定着しておるのかということにつきましては、さような正確なもの、これは把握の仕方がむずかしいんで、定着性についていろいろ申し上げることはいかがと思いますが、たとえば永年性植物あるいは養魚池等はこれは一たん転換したものがさらに水田に戻るということはほとんどないというふうに考えられますので、これについて見ますると、大体全転作面積の中で三割近いものがあるということから、これらについては三割程度は定着をし、もとに戻らないのではないかということが言えます。それからなお、その他の作物を入れまして定着性を考えるに当たりまして、私どもいろいろな調査をやってみておるわけでございます。四十八年、四十九年、五十年と調査をやってみまして、それがいろいろと調査の仕方も違いますし、いろんな数字が出てくるわけでございますが、大体五割程度の数字がいずれの調査でも出てまいっておりますので、したがいまして、それらを総合して申し上げれば、現段階において転作の定着性は三割から五割くらいの間と、あえて数字を申し上げれば。これにはいろいろの留保条件が必要かとも思いますが、そのような姿ではなかろうかと考えております。
  56. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 逆転換内容について。
  57. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これは、従来転作で最もシェアの高かったのが飼料作物でございます。それから豆類もかなりの比重があるわけでございますが、これは北海道を中心に五十一年の場合に大幅に落ち込んだ、これらは稲作にしたというふうに思われるわけでございます。ちなみに数字を申し上げますと、五十年の実績では、飼料作物につきまして五万五千ヘクタールが約五万ヘクタールということでございます。それから豆類でございますが、小豆につきましては、前年二万一千ヘクタールが八千ヘクタールということで、これらの差は水田に復帰したものが多いのではないかというふうに考えます。
  58. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その戻った原因が何であるか、この点はどう把握していますか。
  59. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 一つには、米の過剰に対します認識と申しますか、考え方がやや安心をしたと申しますか緩んできたということが一つ一般的な雰囲気として言えるのではないかというふうに考えられます。そういう一般的な雰囲気と申しますか風潮の中で、やはり米作が年々、年によって変動はございますけれども生産者米価の値上がりがございますし、したがって、相対収益性が他の作物に比べまして有利であるというような、いわば価格関係所得関係の要因が一つあると思います。それからさらに、農業機械化が非常に進展をした。たとえば、近年におきましては機械化の中で、田植え機の普及が目ざましいものがございます。稲作経営の中で田植えの段階の機械化が従来むずかしかったのが、非常に容易になったということでございますと、かなりの面積を持っておりましても、雇用労力に依存をしないで稲作が田植えの段階でも軽くこなせる、かような条件から一層従来よりも稲がつくりやすい作物になったというようなことで、さような労力面の心配もなしに稲作ができますというような条件があるのではないか。さらにいろいろ申し上げれば、転作先の作物で余り同じ作物をつくっておりますと、連作障害が起こるとか、雑草の問題が起こる、そういうようなこともあわせて理由の一つに挙げられているのではないかというふうに考えます。
  60. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 答弁聞いておりますと、飼料作物でも、大豆でも、また野菜、雑穀あるいはソバ、いろいろあると思いますが、結局、農家としますと、転換奨励補助金があるから転換作物をつくっていく、こう見ざるを得ないのじゃないか、こう思いますけれども、どうでしょう。
  61. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) やはり御指摘のとおり、転換奨励のための奨励措置がとられておるということによって、一定の転作が維持され、あるいは確保されておるということは否めない事実だと思います。
  62. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 結局、稲作転換は定着性が乏しいということも出てまいりましたし、それから奨励補助金によってかろうじて維持されておると、こう言っても言い過ぎでないということになりますと、昭和五十三年度に打ち切りになる水田総合利用奨励補助金をとても打ち切るわけにはいかないと思いますが、どうでしょうか。そして昭和五十二年度の予約米限度数量も稲作転換目標面積も決まって、ことしの作付を目前に控えた農家ではこの点を大変心配しておるんです。  そこで、これについては農林省、大蔵省のひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  63. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 五十二年度水田総合利用対策の方向については、すでに予算でも御審議願っておるとおりのことで進めてまいりたいということで決まっております。なお、水田総合利用対策は一応五十一年度から五十三年度までの三年計画でやっていくことになっておりますが、五十三年度以降といいますか、五十三年度水田総合利用対策をどう具体的に展開するかということは、これは今後の問題でございます。私どもといたしましても、五十三年度の問題についてもいまから検討をするということに相なっておるわけでございます。内容的にどういうことにしなければならぬか、これからの問題だというふうに思っておるわけでございます。
  64. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大蔵省どうでしょう。
  65. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 米の生産調整に関連して、水田総合利用奨励補助金の取り扱いでございますが、ただいま農林省からお話がございましたように、五十二年度予算では、転作の特別加算という制度を設けて、昨年度九一%に終わった水田の転作の実効を上げていきたい、水田総合利用対策を強化したい、こういうことでございます。しかしながら、五十一年におよそ三年間ということで現在の水田総合利用対策が決まったわけでございますが、五十三年度どのようなあり方にすべきかということにつきましては、米の需給改善策の総合的検討の一環ということで、農林省でいませっかく御検討中であるようでもございまして、私どもといたしましても、その結果を伺って協議しながら五十三年度の問題を取り扱っていきたい、こういうふうに考えております。
  66. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そこで、結局結論としまして、こういう定着性が不安定であるという理由は、転換作物の収益率が低いこと、それからさらに価格変動の問題もあると思います。そこで、稲作から転換しても、稲作並みの収益率が得られるし、またその価格が安定していることがどうしても必要だと、こう思います。そういう意味で、昭和五十二年度には米と転換農作物との相対価格について、また転換農作物の価格を安定させる方法について抜本的に検討すべきである。こう思いますけれども、これについても農林省の答弁をいただきたいと思います。
  67. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 確かに、おっしゃるような稲作と畑作物との関係につきましては問題がございますので、私ども何も価格政策だけの問題ではないというふうに思いますが、価格政策も非常に重要な働きをするものであると認識しておりますので、最近の米の過剰傾向がますます強まりつつあるという事態を深刻に受けとめまして、省内でも価格政策検討委員会というものを設けまして、水稲と他作物との関係を含め農作物の相互間の価格関係の調整をいかに図っていくかという角度から検討を開始しておるところでございます。   〔委員長退席、理事戸塚進也君着席〕
  68. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 結構です。終わります。
  69. 田渕哲也

    田渕哲也君 まず山下先生にお伺いをしますが、この法案の目的を端的に御説明願いたいと思います。
  70. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 政府といたしては、昭和五十一年度におきましても、水田総合利用を推進するため、その一環として稲作転換を行う者等に対し奨励補助金交付するといたしておるわけでございます。この奨励補助金につきまして課税をどうするか。所得税及び法人税につきましてこの負担の軽減を図るためにただいま御提案申し上げているような所得税法人税に通ずるところの特別措置を講じておるものでございまして、この稲作転換対策必要性に顧みまして、税制上の措置をこのように講じさしていただいたものがこの趣旨でございます。   〔理事戸塚進也君退席、委員長着席〕
  71. 田渕哲也

    田渕哲也君 つまり政策的な目的としては、やや過剰的な傾向にある稲作を減らして、そうして不足しておる大豆とか麦とか飼料作物、こういうものに変えていこうという、そういう政策目的を持つものですね。
  72. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 稲作転換につきましては、農政の方向は先生指摘のとおりであると思うわけでございますが、まあそうした意味と、同時にまた、先ほども御説明申し上げましたとおりに、昭和二十六年以来稲作につきましては、課税上の特例を講ぜられておる経緯も十分考えまして、この昭和五十一年度からは水田総合利用奨励補助金と相なりましたが、従来の経緯もかんがみ、また同時に稲作転換というこの必要性にかんがみましての政策的な課税措置であると、このように考えておる次第でございます。
  73. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、そういう政策目的については、全く妥当だと思いますし、賛成するものでありますけれども、そういう目的のためにこの制度が本当に効果を上げておるかというと疑問を感じ得ないわけです。先ほどもこの定着率の問題で御質問がありましたけれども、答弁を聞きましても、その定着率は大体三割ないし五割ということであります。私は本当に、農業政策としてこういう目的を到達しようとすると、こういう法案だけじゃとてもこんなのは効果上げ得ないわけで、より抜本的なものが伴わなくては、こういうなのは本当に一時しのぎであり、へたをすれば死に金になってしまうおそれもあるんじゃないか、こういう気がするわけです。農民の方が有利な稲作から奨励金が出て減税措置も講じられるから、無理してほかの作物つくるけれども、しかしそれは一時しのぎであって、いずれまた将来は稲作転換した方が有利となれば転換するわけです。だからそういう状態を放置したままこういう制度だけつけるというのは、これは政策的には全くむだ金じゃないかと、私はそういう気がするんですけれども、これはいかがですか。
  74. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) いろいろ農政上の措置に対する財政上の施策がございますんでございますが、私ども税制ということにつきましては、私は衆議院でございますし、また本日は本院の大蔵委員会で御審議をいただいておるわけでございますけれども税制には税制独自の私は論理があると思うわけでございます。したがって、その観点から判断せねばならぬのでございますが、こうした稲作転換措置につきましても、予算上の措置は講ぜられておりますし、それに対しまして私ども議員の立場において税制上もしその措置を推進するために役立つようなことがあるならば、政策的な見地で議員提案という形においてもこういう措置を講じた方が適当であるかと思うわけでございまして、まあいろんな施策が両々相まちましてその方向に進むことが結構かと思うわけでございまして、税制上の措置もその一環であると思っております。したがいまして、いろいろいままでの逆転換等の御指摘もございますけれども税制面におきましては今回御提案申し上げている趣旨を実現さしていただくことが、やはり促進するにつきまして役立つものであるという判断いたしておるわけでございますがこれだけではとてもいけませんので、いろいろの総合的な政策が必要であるかと思いますけれども税制上としてはこの措置を講じていただくことが私ども肝要であると考えておる次第でございます。
  75. 田渕哲也

    田渕哲也君 農林省にお伺いをしますけれども、やはり転作の定着を強力に推進して、食糧の総合的な自給度の向上を図るためには、私はやっぱり従来のやり方を基本的に改めなければだめだと思うんです。まず稲作転換にしても、国から都道府県、それから市町村、そうして生産者というふうに上から転作計画面積を割り当てして配分する、こういう一律的なやり方じゃなくて、やはりその地域の特性を生かした農業生産の地域分担ということをやっぱり考えなくてはならないだろう。稲作に適していない土地に無理に稲作をつくるようなことはやめて、そういうところにはより適した作物を指導して変えていく、だから全国一律に何割減反で何割転換というようなやり方は改めるべきだ、こう思うわけです。  それからもう一つは、やはり稲作が有利だから農家は稲作をつくるわけです。私は、ほかの作物に転換する場合には単に現在稲をつくっておるところからほかの作物に転換するだけじゃ私はこれはだめだと思うんですね。やはりそれに応じた経営規模の問題とか、あるいはやり方の改善というか、構造的なものを変えていかなくてはだめだ、それと同時に、現在の価格政策はやはり米作偏重だと思うんです。だから米の食管会計における国からの持ち出し分を、やはり私はもっと総合的に利用する方法が考えられないのか、米だけでなくて、国民の食糧需給のために必要な大豆、麦あるいは飼料作物などのそれぞれの必要度に応じて、必要な施策を講ずるというふうな価格政策、新たな価格政策というものを、総合的な価格政策を考えないと、基本を変えないで、こういう一時的な奨励金や減税措置だけで物事を処理しようというところは、基本的に誤りがあるんじゃないかと、こういう気がしますが、いかがですか。
  76. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) まず第一に、水田総合利用における地域の特性に応じた進め方の必要性ということにつきましては、御指摘のとおりでございまして、私どもも県別に転作の目標面積の配分をやるに当たりまして、そのことも十分考慮をいたして配分をしておるわけでございます。  なおまた、農政の中で米の価格政策が非常にウエートを置かれておることは事実でございますが、私どもといたしましては食管におきます米麦価の価格関係というものについては、これは慎重に処理しつつも、食管における価格関係、逆ざやの段階的解消ということを農政の大きな目標に掲げながら進めようとしておるわけでございまして、したがいまして、そういうことを進めつつ他の作目についての生産振興をあわせて図ってまいるということを並行的に進めつつあるわけでございます。  そのような意味で総合的な価格政策の展開の必要性ということについては、まさに御指摘のとおりだと思います。  私どももそのような方向で慎重な検討の上具体的な政策を展開してまいりたい、こういうふうに思っております。
  77. 田渕哲也

    田渕哲也君 並行的に進めながらと言われますけれども、現在が並行的に進んでいないから問題があるわけですね。だからこういう提案されているような法律案が出されても、それはそれで私は全く無意味とは言いません。だからやらないよりはましだと思うんですね。あくまでもこれはやらないよりはましだという程度であって、やはり基本的なそういう農業政策というものが確立していない上にこういうものをやったって結局むだ金である。つまり日本の農業政策の基本から変えていかなくてはならない。牛の向きを変えるのに首だけねじっているようなもんなんです。放せばまた元に戻るわけです。だからそういう私は法案というものは、基本的にやっぱりこういう法案だけで問題を糊塗しようというようなこそくなやり方は改めてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  78. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 私ども農政の展開の方向としては、先ほど申し上げましたように、国内で米が過剰基調にあるわけでございますので、できるだけ誘導的施策によって転換を図っていくということが適当であろうと考えまして、各種奨励措置を講じつつ実行しておるわけでございます。その際に、まあたとえていえば、麦の問題、あるいは大豆の問題、こういうものも問題になるわけでございまして、大豆、麦につきましては、来年度予算では、従来二百億程度の予算でございましたものを、麦関係予算といたしまして、先ほど来問題になっております生産奨励補助金の問題も含めまして二百七十億を超えるような各種施策を講じておるようなわけでございます。大豆につきましても各種施策を講じることになっておりまして、生産振興奨励補助金を含めまして二十三億の予算を計上いたしておるようなことでございます。総合的な施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
  79. 野々山一三

    野々山一三君 農林大臣、いま問題になっておる法律そのもののいままでの質疑を御承知ないから答弁がしにくいのかもしれませんけれども、時間がないのでずばり伺いますけれども一言で言えば、つまり米はいわば過剰基調である。したがって、それを他の農作物転換をする。それには補助奨励をする、同時にまあその金に対して税金を免除してやる、こういう趣旨法律衆議院から来ているわけですけれども、去年安倍農林大臣が、端的に言えば、こういう趣旨のことを言っていらっしゃる。米は過剰基調である、したがって、政策的要求に基づく補償的な面を持つと。したがって、転換奨励金に対して税金を免除する。大豆とか麦とかというものは、あなたはどういうふうに御承知になるか知りませんが、端的に言えば、三百七十万トンぐらい日本で消費する。ところが自給量は十二、三万トン。そして昭和六十年までに及んで一三%ぐらいの自給量ということなんですけれども、それはそれといたしまして、増産対策を進める。いわゆる政策誘導的な措置であるから、そっちの方に対しては、団体を通して市中に流したものについて一定の補助金を与える、これは税は別なんだと、こういうことなんですけれども、その二つの点の片っ方は、米は余っておる、転換する、それには補助金もやりましょう、税金は免除してやりましょう。片っ方は、増産対策を進める政策誘導的なものだからと。そこの違いは一体どういうことなんですか。これが一つ。  それから、先ほども山下君に聞いたんだけれども、どうもお答えがないから怒っているんですけれども、つくりたくないものの大豆をつくらせるんだが、それは何も補償的なものではないから、税金を免除してやるとは考えねえと、こういうのが衆議院の諸君の言い分なんです。あなたは一体どういうふうにお考えなのか。つくらぬでもいいと言うならつくらぬ方がいいです。いいと言うのですか、つくると言うのですか。つくるんだったらどういうふうにつくるんですか。何年後はどういう計画でつくるんですか。それに対しては、時限立法でなしに、政府側としてどういうふうにお考えになるんですか。これは大蔵大臣にも関連して承りたい。  まず、第一問はそういうことです。
  80. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) いま野々山先生から、従来のいきさつ等につきましてお話があったわけでございます。で、私も、水田総合利用のための奨励補助金、これは米が過剰基調にある、このことが食管特別会計の大きな負担にもなっておりますし、農政全般の展開を図る上からも是正を必要とするものであると、こういうような観点もございまして、これを何とかして水田総合利用として転作等を進めていきたい。いま御指摘の麦でありますとか、あるいは大豆でありますとか飼料作物等、これぜひつくっていただきたいと、こういう作目の方に転換をしていただくために奨励補助金というものを出しまして、五十二年度予算におきましても、御承知のように、特別加算というものも上積みをいたしまして、それを強化してまいっておるわけでございます。  これに対しまして国会の衆参両院の諸先生方から、そういう政策目的から実施するのであれば、税法上においても特別な配慮をすべきである、こういうような御趣旨でこのような法律ができ、また今回その改正もなされると、こういうことでございまして、国会の皆さん方のお考えというものは、私ども非常によく理解ができるわけでございます。  そこで農林省といたしましては、その他の麦でありますとか大豆、飼料作物等、こういう自給率の低いもの、これの総合的な施策を講じまして自給度を高めていこうと、こういうことで、生産奨励金、振興奨励の助成金等も出しておるわけでございます。これはしかし、ある意味では農家の所得になるわけでございますから、価格の面等においても、再生産の確保ができるように、喜んでつくってもらえるようにという、価格の面からも考える必要があると。奨励金、価格政策あるいは土地改良、基盤整備等総合的な施策で麦、大豆等々の増産を図っていかなければいけない、こういうぐあいに考えております。  そういうような観点ではございますけれども、いま申し上げたように、農家の所得生産費の経費の一部に該当するものであるという考え方も、税務当局その他といろいろ詰めてみましたけれどもそういう議論もあるわけでございます。  そこで、前大臣当時からの当委員会の御指摘等も踏まえまして、ただいませっかくこの税の問題につきましても検討を進めております。しかし、いまだに五十二年度では結論が出ていないということを残念に思っておりますが、引き続き検討を進めておると、こういう段階でございます。
  81. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) ただいま農林大臣からお答えがございましたが、私も財政当局としてお答え申し上げます。  麦、大豆等生産奨励補助金等の取り扱いについては、大蔵、農林両省で真剣に、かつ具体的に検討をいたしましたが、麦等の生産振興対策といたしましては、歳出面における諸措置の拡充が図られているところであるので、当面税制面の扱いは従来と同様にいたしたいという結論に達しました。  なお、この問題につきましては今後とも真剣に検討してまいる所存でございます。
  82. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると大蔵大臣、農林大臣にも伺うんですが、私が伺ったのにお答えがないからそれを補足して申し上げると、米の場合には余っておるから、転作を奨励するという意味で補償的なものであるから、米に対しては税金を免除してやると。大豆、麦というものは足りないけれども、それには財政的にめんどう見るけれども税の方ではめんどう見ないと、こういうことですね。そこのところの意味がわからぬのです。もっと正直に、率直に言うと、あなた大豆食っているでしょ。どれだけ食べているんですか。日本でどれだけつくっているんですか。どれだけ足りないんですか。そこでつくってほしいということについては政策誘導的なものであるから、つくってほしいけれども、税金のことは知らぬと、それでいいんですかということを聞いている。  それからもう一つは、これは安倍晋太郎君の答弁ですけれども、「五十一年度以降等につきましては、この増産という大きな目標を貫徹するために、われわれとしても検討をしなければならないのではないか、こういうふうに考えて」いるから了解してくれと、こう言っている。これは去年の話です。おととしの話は、こういうことじゃ困るので、委員会としては、特に委員長桧垣徳太郎君の発言がありまして、これは単に時限立法じゃない、議員立法じゃない、税制的に抜本的に真剣に真剣に真剣に検討すると、こういうふうになっている。だから、一体、私は山下さんにちょっといやみを言ったんだけれども、あなたはどこの党に属して、どういう政治をやっていて、参議院と衆議院とどう違うんですかと、こう聞いたんだ。あなたも当時は党の幹部だったでしょう。どういうふうに検討したんですか。参議院でそれほどの真剣な意見が述べられておるのに、参議院の言うことなんか知っちゃいないわと、こういうことですか。そのことを二人でずばり答えてください。真剣に考えている、検討しているという言葉は何遍聞いても一緒ですから、そんな言葉は使わないでぼくを納得させる理屈を述べてください。
  83. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 先ほど私も申し上げ、また前安倍農林大臣からもお話しを申し上げましたように、過剰基調にあります稲作から水田総合利用によって必要な諸作物への転換を願う、こういう大きな政策目的のために出しております補助金でございまして、その他の作目の振興奨励のための補助金というものとは若干私は性格が違うものであると、このように認識はいたしております。しかし、御指摘のように、大豆であるとか、あるいは飼料作物であるとか、麦でありますとか、そういう物は国民食糧確保の観点からどうしても自給力の向上を図っていかにゃいかぬと、こういう大きな農政の目標もあるわけでございます。したがいまして、私どもは、生産奨励金でありますとか、あるいは集団育成の措置でありますとか、土地改良でありますとか、いろんな角度から総合的に麦や大豆、飼料作物等の増産を確保する施策をとってまいりたいし、今後もやってまいる考えでございます。その際、私は価格政策も非常に大きな要素であると、このように考えております。幾ら計画を立てて、米は余っておるから今度は麦をうんとつくってくれと、こう言いましても、やはり個々の農家におきましては、農家の所得との兼ね合いもあるわけでございますから、そういう点を、奨励金であるとか、価格の面でありますとか、あるいは生産の条件整備でありますとか、そういうものを総合的に手を打ちまして、そして稲作をすることも、麦作をすることも、農政所得については格差が余りないと、こういう条件整備を図って、そしてなだらかに転作等が円滑に行われるような環境づくりをしなければいけない、こういう考えを私持っておるわけでございます。その中の一環としていまの麦、大豆等に対する振興奨励金というようなものも出すわけでございまして、ある意味ではこれは農家の全体の経費なり所得に含まれてしかるべきものだと、こういう考え方が私にあるわけでございまして、そういう観点から、一方の、過剰基調のお米の転換を進めようという政策目的で、農家がある意味では好まないといいますか、ある程度抵抗のあります物につきましても大局的な立場で御協力を願っておると、そういう政策目的で出しておるものとはおのずからそこに違いがあると、こういう税務当局等には考え方があるわけでございます。そういういろんな角度からただいま大蔵省、農林省等におきまして討議を続けておると、こういうのが現段階でございます。
  84. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。  いま問題になっております麦に対する補助金、米に対する補助金、これは御指摘のとおりでございまして、性格の違うものだと私も思います。そこで……
  85. 野々山一三

    野々山一三君 いや、私は違うものだとは言ってないんですよ。
  86. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) そうですか。いや、私はそういうふうに、一方は先ほどからのお話で……
  87. 野々山一三

    野々山一三君 違うものだという議論もありますが、五十一年度以降は一緒のものとして考えましょうと言ったのが農林大臣安倍晋太郎君なんですから、あなたか一だから私の聞いていることと違っているんだ。
  88. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) いや、私は先ほどからお話を承っておりまして、麦に対する補助金は、これは麦の所得に上乗せをすると、補助金を。そういうようなものでございまするから、これは所得の延長であるというふうに考えるのです。それから米に対する方は、転換をするということに対して措置をするということでございますので、さような意味におきまして、麦に対するこれを所得というふうに見ますと、やはり税法上の問題がこれは起こってくると、こういうふうに考えます。
  89. 野々山一三

    野々山一三君 ちょっと時間がないから、一言だけ……。  大豆が足りないから大豆をつくってください、そのためにこれだけの補助金を上げます、それに対してさらにそれをプッシュする意味で税金をまけてあげましょうという次元になぜ立たないのですかということを聞いているのですよ。あなたと私とは顔の形が違う話をどうしてだということを聞いているのじゃないのです。こういう答弁を幾ら繰り返してもらっても、これは委員長、処置はつきませんから、私は、あの答弁では全く行き違いですから、この処理については理事会でひとつ協議さしてもらいたい。質問を留保します、時間が十五分ということですからね。いいですね。
  90. 安田隆明

    委員長安田隆明君) はい。
  91. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 昨年の二月十七日の委員会で私は相続税のことを質問しました。これは昭和五十年に相続税が改正になって、そうして専業農家も、農地に対する納税の猶予制度ができたりしてかなり助かったわけですけれども、この改正前と改正後とに相続をした人の納税にものすごい差があり過ぎるということで質問をいたしました。そういう点で、大体十倍程度になっているというのが、相続財産から見て、そういう一つの例があるということを申し上げたのです。何かの救済措置を考えたらどうかということで申し上げ、そうして、できれば施行の一年前はこの程度、二年前はこの程度というふうに段階に分けて、改正前に相続をした人々にとっての格差の是正を言ったわけであります。税は公平でなければならないということですから、何年も前にさかのぼれということじゃなく、そうしたらどうかということで質問をして、当時の大平大蔵大臣が、落差公平が伴うことになるわけでありまして、どこまで緩和ができるものか、そういった点について検討はいたしてみますという、そういう答弁があったわけです。これは一体どういうように現在まで検討はなされてきたのか、まずお聞きしたいのです。
  92. 山内宏

    政府委員(山内宏君) 御指摘の点につきましては、その当時もいろいろ議論ございましたが、まず一般論から申し上げまして、何と申しましても、税制改正を行いました前後においてある程度の差ができますのは、これは技術的にいかにも避けられない問題でございます。ただ、御指摘の時期におきましては、非常に大きな税制改正が行われたということに関連をして、以上のような御趣旨の御意見をいただいておるのだろうと思いますが、基本的に申しますと、やはりさかのぼって制度を改正いたしますということを繰り返してみましても、やはりいずれかの段階において何ほどかの差が生ずるのは、これはどうも技術上やむを得ない状態が起こります。これを避けるためには、本来余りそういうふうなある一時期において非常に大きな変動を伴うような改正を行うのではなしに、もう少し小まめな改正と申しますか、といったような形をやっていくというのが一つの解決方法かと思いますが、そういう点で、何と申しますか、長期的には解決をしていくほかはなかろうかというふうに考える次第でございます。  なお、昨年の改正の際の御指摘の問題点について申しまするならば、一般論を離れまして、申しまするならば、昨年は御承知のとおり、農業投資価格の納税猶予制度の改正に関連をいたしますものでございますから、技術的に申しましても、こういう形の改正につきまして、何回かに経過措置を設けながら本則に近づけていくということは技術的にはかなりむずかしい問題だというふうに存じます。  以上のようなことをいろいろ研究をいたしたわけでございますが、かつその当時も、なかなかむずかしい問題であろうが、というふうに前置きをしてお引き受けをいたしておったかと存じますけれども、研究いたしてみましたが、まことに申しわけございませんが、以上のような結論でございます。
  93. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一方できょうの審議している法律のように税の優遇を考える。一方でそうでないというような落差の起きるようなことがあったんでは、一つの政府の政策としても一貫性を欠くということにならざるを得ないのですけれどもね。だから、片っ方で一生懸命専業農家を育てよう、一方でつぶそうというふうな感じになるわけですからね。その点もこの前のときに申し上げたわけです。そのときに、こういうようなことについてどこまで緩和できるか検討したいという答弁だったわけです。確かにいま段階的にちょこちょこやるわけにいかないからということがわかったのですけれども、財産課税のことでありますから、やはりいままでのように改正から改正までの期間を——ものすごく長いわけです、いままではですね。それをもっと詰めてたびたびというか、行った方が、こういう物価も上昇が急激なときですし、路線価を見てもすごく上がってるようなときでもありますし、そういう点で相続税自体の改正というものについても、考えを、いままでのように改正から改正までのインターバルが長いというのをもう少し詰めるとか、何かそういう考え方はできないのかどうか、これは大蔵大臣から伺いたいのです。
  94. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) 今後税制改正が行われるでございましょうけれども、そういった税制改正に当たりましても、その改正の前後におきまして余り大きな負担の変動を生じないように配慮してまいりたいと思います。
  95. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がきたのでこれで……。
  96. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 税制上の措置以前の問題として、農政上の抜本的な問題として両大臣にお伺いしたいと思うのです。  大臣が見える前にすでに、稲作転換した農作物の定着性が不安定であるということで、むしろ稲作への逆転換すら行われているということが具体的に明らかになっておるわけであります。そしてその原因としては、転換作物の収益率の低さの問題と、もう一つは価格変動の問題です。  現に、先ほども答弁いただきまして、価格問題の検討を農林省としては始めているということですし、大臣も価格政策が大変重大であると言うのですが、問題はこの価格政策の中で、どれだけ転換農作物の価格補償が行われるかですね、そういう問題ですね。これについてはどのように具体的に考えておられるのか、その方向をひとつ示していただきたいと思います。  それから、大蔵大臣には、その関係でどうしてもこれは財政上の負担の問題は出てくるのですが、これに対してはどういう態度をお持ちかということですが、いかがでしょう。
  97. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 各作目によりまして、価格の取り扱い、形態が変わっておりますことは御承知のとおりでございます。所得補償方式をとっておりますものもございますし、パリティ計算でやっておるものもございます。また、安定基金等を設けまして安定帯をつくって、そして価格の支持政策をとっておるものもございます。また、不足払いというような制度をとっておるものもございます。まあ、いろいろ農業並びに対象の農作物の態様によりましていろんな価格の扱いをやってきておるわけでございますが、要は、私はいずれの形態をとろうとも、農家の所得につきまして余り格差のないようなものにしていく必要があると、これが基本であろうかと、こう思っております。  さらにまた、すでに自給率が相当高まってきて生産が定着しているものと、これから大いに伸ばしていかにゃいかぬものと、まあいろいろあるわけでありますが、そういうものにつきましては、価格政策とあわせまして、奨励金でありますとか、あるいは生産条件の整備、つまり、土地改良その他の生産条件の整備と、そういうものをあわせて行っていく必要があると、こう考えております。そういう点を総合的に勘案をして、そしてバランスのとれた、どの農産物を対象としても大きな所得の格差が生じないようにという目的のもとに、ただいま省内に価格政策の検討委員会というものをつくりまして、せっかく検討を進めておるところでございます。先生方の御意見等も伺いながら、今後重要なこの価格政策につきましての方向を決めていきたいと、こう考えております。
  98. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) 農林省において価格政策検討委員会を設けて、農産物相互間の価格関係の調整等の問題について検討を進めていらっしゃるようでございますが、今後、農林省とよく御相談を申し上げてまいりたいと思っております。
  99. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 農林大臣の答弁のように、格差のないようにしたいと、まさにそのとおりなんですが、問題は国の財政支出が必要になる場合がやっぱり当然出てくると思うんです。となりますと、これは大蔵大臣、大蔵省の方ではそいつはまかりならぬと、こうなりますと、せっかくの価格を本当に安定の補償してきてそのことが不可能になるんですが、その辺についてのお考えはどうですか。
  100. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) よく相談をいたしたいと思います。
  101. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 相談だけではなくて、問題は具体的に、私はむしろ積極的にやっぱり財政支出でもして補償していくという基本的態度が必要だと思うんですが、相談、相談だけでは、これはどうもはっきりしないんですが、明確に答弁できませんか。
  102. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) 御相談をいたしまして進めていきたいと思います。
  103. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これはもうだめです……。
  104. 田渕哲也

    田渕哲也君 時間がありませんので大蔵大臣並びに農林大臣に一つだけお尋ねをしたいと思います。この法案につきましてせっかく衆議院の御提案でもありますし、またやらないよりはましだと思いますからあえて反対はしませんけれども、ただ農林大臣も先ほど言われましたように、過剰ぎみの米作を転換をして、不足しておる大豆とか麦とか飼料作物に変えていくと、これはきわめて私は大きな問題だと思うのです。したがって、私はこういう法律で問題が解決するわけではないと思います。やはり食管制度も含めた総合的な価格政策の見直しが必要ではないか。それと同時に地域の特性を生かしたその作物に対する指導というものが強力になされなければならないし、またそれに伴って経営規模の拡大とか構造の改革ということも伴わなければならない。私は毎年こういうことが議員立法で出されて、毎年同じようなことが問題になり、審議するというのは、やはり農林省の、政府の怠慢ではないかと思うのです。そういうやはり総合的な農政のおくれではないか、こういうことを感じますけれども、その点についてお答えをいただきたい。  それから、大蔵大臣の方も、せっかくのこの特別の減税措置を講ずるわけですけれども、その政策目的に、あるいはそれの効果という面から見て私は先ほどちょっと疑問を呈したわけです。今回のこの提案理由の説明の中にも、政府は「あえて反対しない旨の意見が開陳され」たとある。「あえて反対しない」という態度はやはりこのこと自体の政策効果について余り期待していないということのあらわれではないか。もしこれがきわめて重要な政策目的、政策効果を持つものならば、私はこれは政府が率先して提案されるべきものではないか、このように考えるわけです。  この点について両大臣の御意見を求めたいと思います。
  105. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 御指摘のように、麦であるとか大豆であるとか飼料作物であるとか、国民の食糧の自給度を高めるというような観点から、生産対策あるいは構造政策あるいは価格の問題、また農業気象並びに農業立地の関係等からの地域の特性を生かすと、こういうような総合的な施策を進めなければ成果が上がらない。これは御指摘のとおりでございまして、私も先ほど来そういう趣旨のことを申し上げて、その目標に向かって鋭意努力をいたしておるところでございます。なかなか稲作等に対する農民の志向というものも非常に強い点もございまして、一挙に大きな成果をおさめるということに至っておりませんけれども、息の長い着実な努力でそういう方向に持っていきたいと、こういうことでございます。
  106. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。  政策効果はあると思います。しかし、税制の面におきましては必ずしも措置しなかったものであります。
  107. 田渕哲也

    田渕哲也君 ちょっと、もうちょっとはっきり言ってください。
  108. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。  政策効果はあると思います。しかし、税制の面からは考えますと、必ずしもすっきりした措置であると思っておりません。
  109. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 本案に対する質疑は再開後の委員会において続行することにいたします。
  110. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  この際、坊大蔵大臣から、財政及び金融等基本施策について所信を聴取いたします。坊大蔵大臣
  111. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) 昨年末にはからずも大蔵大臣を拝命しました。内外の経済情勢がきわめて厳しい今日、私は、その重責を痛感しております。  今後における財政金融政策につきまして、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。  世界経済は、石油危機を契機とする戦後最大の不況からようやく立ち直りつつあります。しかしながら、先進国の中にも、いまだに激しいインフレと国際収支の赤字を克服しない国があり、また、開発途上国においても、非産油開発途上国を中、心に国際収支の赤字に悩む等困難な情勢が続いております。  一方、わが国経済は、五十年春を底に緩やかな回復過程をたどっております。景気回復の足取りは昨年夏以降やや緩慢化しておりますが、景気の失速が懸念される状態ではないと考えます。  しかしながら、景気の回復状況には業種や地域により破行性が見られ、また、雇用面の改善がおくれ、倒産が増加する等なお解決すべき問題が残されております。  このような情勢にかんがみ、政府は、昨年十一月、公共事業等の執行促進等の措置を決定し、また、その効果を一層確実にするため昭和五十一年度補正予算を提出いたしました。  私は、これらの措置昭和五十二年度予算と相まって一部に見られる先行き不安感を払拭し、景気回復をさらに力強く、かつ、確実なものにすることを期待いたしております。そのためにも、五十一年度補正予算、五十二年度予算及び予算関連法案が一日も早く成立し、実施に移されることが緊要であると考えます。本委員会関係の諸法案につきましても何とぞよろしく御審議のほどをお願いする次第であります。  以上のような内外経済情勢の現状に顧み、私は、今後の財政金融政策の運営に当たり、インフレなき経済発展、財政の健全化及び世界経済への貢献の三点を重要な課題としてまいりたいと存じます。  第一に、景気の回復と国民生活の安定を一層確実なものとし、インフレなき持続的成長を達成していくことであります。  さきに述べましたとおり、我が国経済は長い不況から回復しつつあるとは言え、なお不況の傷跡ともいうべき問題が残されております。また、石油危機がもたらした構造変化にいかに適応していくかという問題もあります。これらの諸問題を速やかに解決していくためにも、均衡のとれた景気の回復を図ることが必要であります。  しかし、景気の回復を急ぐ余り、インフレの再燃を招くようなことは厳に避けなければなりません。物価の安定こそは、健全な経済活動を維持し、社会的公正を確保していくための不可欠の前提であり、私は、物価の安定に今後とも最大の努力を傾注する覚悟であります。  さらに、国際収支につきましては、今後、おおむね均衡に向かうものと思われますが、流動的な世界経済の現況にかんがみ、その動向については、引き続き慎重に注視していく必要があると考えます。  第二に、財政の健全化に努めることであります。わが国財政は、歳入の約三割を特例公債を含む公債金収入により賄うという諸外国にも例を見ない異常な事態に立ち至っております。  しかしながら、今後かかる大量の公債発行が続くようなことがあれば、公債残高の累増、国債費の増高等を通じて、財政が硬直化し、機動的運営が困難になるのみならず、その資源配分機能が阻害されるおそれなしとしないのであります。  また、大量の公債に安易に依存することは、財政の放慢化をもたらすおそれがあるほか、民間の資金需要を圧迫し、経済にインフレ要因を持ち込む危険をはらむものであります。国民生活の安定と経済の発展を図る上で、財政の果たすべき役割はきわめて重要であります。その健全性が失われるならば、わが国経済の円滑な運営が困難になるのであり、私は、そのような事態を恐れるものであります。  昭和五十二年度予算においては、景気回復をより一層確実にするという要請にこたえる一方、公債依存度については五十一年度に比し、これを引き下げ、財政の健全化に努めることとしております。もとより、財政の健全化は短時日の間に一挙に達成できる問題ではありません。私は、大量の公債への依存、特に特例公債への依存からできるだけ速やかに脱却するため、歳入歳出の両面を通じ、財政の健全化の推進に全力を尽くす決意であります。  第三に、世界経済の安定と発展に貢献するよう努めることであります。近年、各国経済の相互依存関係がとみに深まっておりますが、米国、欧州とともに世界経済の運営に重要な役割を担っているわが国としては、国力の許す範囲で世界経済の発展に貢献すべきことは申すまでもありません。この意味において、わが国が景気の着実な回復を図り、インフレなき経済発展の道を歩むことは、世界経済の安定的な回復に引き続き寄与していくものと信じます。  また、わが国は昨年十一月、IMFに対する一般借り入れ取り決めの貸付枠を大幅に拡大し、対英IMF借款にも積極的に協力してきておりますが、このような各国の相互支援等による国際協力を進めるとともに、開発途上国に対する経済協力についても引き続き推進してまいる考えであります。  さらに、自由貿易の精神に基づき、新国際ラウンド交渉を積極的に推進してまいる所存であります。  次に、当面の財政金融政策の運営について申し述べます。  昭和五十二年度予算は、以上申し述べました考え方に立って、財政の健全化に努めるとともに、景気の着実な回復と国民生活の安定を図るという二つの課題を達成することを主眼として編成いたしました。そのため、予算及び財政投融資計画を通じ、その規模については、財政体質の改善を図り、かつ、景気の着実な回復に資するような適度な水準を確保することとしております。  特に、現下の経済情勢に顧み、景気回復をより一層確実にするため、国民生活充実の基盤となる社会資本の整備等の公共事業費について拡充を図ることとしております。  その他の経費については、全体的には極力節減を図りつつも、財源を重点的、効率的に配分することに配意し、特に、社会保障関係費につき各種施策の充実にきめ細かい配慮を払ったほか、文教及び科学技術の振興、中小企業対策の拡充、経済協力の充実、エネルギー政策の推進、農林漁業施策の充実等各般にわたる施策の推進に努めております。  また、国鉄運賃等の公共料金等につきましては、受益者負担の原則に立ってその適正化を図ることとし、引き続き事業経営等の健全化を進めることといたしております。  さらに、地方財政については、地方団体へ交付すべき地方交付交付金の所要額を確保するほか、地方債の消化の円滑化を図るため、政府資金比率を引き上げる等五十二年度の地方財政運営に支障が生じないよう配意したところであります。  次に、税制面におきましては、最近の社会経済情勢に顧みて、所得税について負担の軽減を行う一方、税負担の公平を一層推進する見地から引き続き租税特別措置の整理合理化を進めるとともに、現行税制の仕組みの中で当面の経済運営の方向と矛盾しない範囲において、増収措置を講ずることといたしております。  まず、所得税については、中小所得者の負担の軽減を図るため、各種の人的控除の引き上げによる減税を行うことといたしております。その減税規模は、現下の厳しい財政事情にもかかわらず所得税、住民税を通じ約四千三百億円になっております。  他方、租税特別措置については、利子配当課税特例の見直しを行うことを中心として、企業関係特別措置についても、前年度の全面的な見直しを引き続き、整理合理化を推進するとともに、交際費課税を強化することとしているほか、印紙税及び登録免許税について定額税率の引き上げ等を行い、財源の充実を図ることといたしております。  なお、関税率及び関税制度につきましても、所要の改正を行うこととしております。  私は、この機会に所得税減税に対する考え方を申し上げたいと存じます。所得税減税につきましては、予算編成の過程におきまして、国民生活の現状から、あるいは景気回復の観点から、この際、大幅な減税を行うべきであるという御意見がありましたことは十分承知しているところであります。  これにつきましては、わが国の所得税負担は主要諸外国のそれに比しかなり低い水準にあり、今後、福祉その他の公共サービスの確保を図るためにも一税負担水準のある程度の引き上げが避けられないと見られる状況のもとで、所得税の大幅な減税を行うことは、将来における問題の解決を一層困難にすることになるものと考えます。特に、現在の財政事情のもとにおいて減税を行うとすれば、その財源は特例公債に求めざるを得ませんが、このことは現在の国民が将来の国民の負担において利益を受けることになり、安易に行うべきことではないと考えます。また、景気回復を図るためには、その政策効果及び財政の弾力的運用の観点から、公共事業費に重点を置くべきであると判断した次第であります。  しかしながら、他方今年度に引き続き来年度においても所得税減税を見送った場合には、国民の税負担感が高まることもまた懸念されるのでありまして、以上述べてまいりましたことを総合勘案いたしました結果、中小所得者の負担軽減を中心として今回提案することといたしました程度の減税を行うことが適当であると判断した次第であります。  金融政策につきましては、最近の金融情勢を見ますと、企業の資金繰りは、総じて見れば緩和基調で推移しており、当面の金融政策の運営に当たりましては、物価の安定にも配意しながら、必要な資金の円滑な供給を図ってまいる方針であります。  また、五十二年度におきましては、前年度に引き続き国債、地方債等公共債の大量発行を余儀なくされておりますが、その消化に当たっては、従来同様、市中消化の原則を堅持することとし、金融情勢等に十分配慮しながら円滑な消化に努める考えであります。また、国債管理政策に一層配慮しつつ、公社債市場の整備、育成のための積極的な努力を続けてまいる所存であります。  以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。  本国会において御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係法律案は、昭和五十一年度補正予算に関連するもの一件、昭和五十二年度予算に関連するもの十件、その他一件合計十二件でありますが、このうち十一件につきましては、本委員会において御審議をお願いすることとなると存じます。それぞれの内容につきましては、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどを重ねてお願いする次第でございます。
  112. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 本件に対する質疑は、これを後日に譲ります。
  113. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 次に、農業共済保険特別会計における農作物共済及び果樹共済に係る再保険金支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。坊大蔵大臣
  114. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) ただいま議題となりました農業共済保険特別会計における農作物共済及び果樹共済に係る再保険金支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和五十一年度におきまして、東日本を中心とする異常低温、西日本各地における暴風雨等により、水稲、麦、リンゴ等の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済保険特別会計の再保険金の支払いが著しく増加するため、同特別会計の農業勘定及び果樹勘定の支払い財源に不足が生ずる見込みでありますので、一般会計から、農業共済保険特別会計の農業勘定に四百五十二億六千六百六十一万円、同特別会計の果樹勘定に五十八億四千二百七十三万千円を限り、繰り入れることができることとするとともに、同特別会計の農業勘定における積立金を同勘定の歳入に繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、一般会計からの繰入金につきましては、将来、農業共済保険特別会計の農業勘定または果樹勘定におきまして、決算上の剰余が生じた場合には、再保険金支払基金勘定に繰り入れるべき金額を控除した残額をそれぞれ一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。  以上が、この法律案提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  115. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 本件に対する質疑は、これを午後に譲ります。  午後四時まで休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後四時八分開会
  116. 安田隆明

    委員長安田隆明君) ただいまから大蔵省委員会を再開いたします。  午前に引き続き農業共済保険特別会計における農作物共済及び果樹共済に係る再保険金支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案議題といたします。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 提出されておる法律案、わが党は賛成の立場でありますから、法案で書かれている財政措置についていま問題とはいたしません。きょうはこの法案に係る農業災害補償制度をめぐる状況について若干の質問をまず事務当局にいたしたいと思います。  初めに、昨年の大冷害について、北日本を中心とする水稲冷害について中間報告がまとめられていますね。その中で一体何を重点的に反省をされて、そしてその反省点に立って今後どういう対策を講じられようとしているのか明らかにしてもらいたい。
  118. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) お答えいたします。  昨年の冷害は御案内のとおり各地で観測以来の記録的な低温寡照でございまして、非常な不順な気象条件によるものであるというふうに考えられます。被害の程度は、一般的に申しますと日本海側に比べて太平洋側が大きい。また特に山間高冷地、水稲関係では冷水がかりの水田など平常の年でも生育のおくれがちなところで特に大きかったというものと承知いたしております。なお、ここ数年気象条件に恵まれまして、しかも一昨年、五十年が史上最高の大豊作ということもありまして、一部では適品種の選定なり、健苗の育成なり、あるいは適地の田植え、あるいは施肥等の肥培管理、さらには水管理等の基本的な技術の励行につきましてやや指導が徹底しない、そのことが冷害を大きくした面もあるというふうに考えられておるわけでございます。ただいま御質問のございました今後の対策といたしましては、このような昨年の冷害の体験を生かしまして同様の被害を回避するよう、一つは適地に適作物をつくる、それから適品種の選定、健苗の適植等の基本的な技術の励行について特に指導の徹底を図ってまいりたい。さらに温水施設等の土地基盤整備の推進を図る、さらにやや長期的な対策になりますけれども、耐冷性の品種の育成等試験研究の充実を図ってまいる、これらの対策を講ずることによりまして、同様の被害を受けることのないよう努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 この農業災害補償制度というのは、農業経営の安定を図って農業生産力の発展に資することを目的としていると、第一条にはそうあるわけですがね。で、昨年の冷害の場合に、この制度によってどれだけの効果があったかということを、私もずっと冷害地を見ましたから考えてみると、農林省の資料では被害見込み金額が四千九十三億円、これに対して支払い共済金は約一千四百七十六億円ですね、これは被害額の約三六%にすぎません。これは平均ですから、地域によってはさらに低い数字が出るのでしょう。これでは農業災害補償法の目的とされています農業経営の安定という面から見れば大変不安定、不十分、そういうものだと言わざるを得ないのですが、これで一体、法の趣旨に即しているというお考えですか。
  120. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 農業災害補償制度の趣旨は、ただいま先生のおっしゃったとおりでございますが、この制度につきましてはいろいろと御意見はございましょうけれども、私たちとしましては、今回の災害で千四百十六億円の共済金の支払いを年内に済ましたということは、この法律の最大限度の効果を発揮をしたのではないかというふうに考えておるわけでございます。被害金額と共済金の支払い金額を並べてみますと、非常に少ないような印象を受けるのでございますが、これは御存じのとおり、共済の場合におきましては一定の自己負担部分、これを三割、一筆を引き受けます場合には三割でございますけれども、そういう自己負担部分がございますし、あるいは地域によって農単がございますので、その数字と両方を比較して一概に効果が発揮してないというふうに直ちに断定することは、私たちとしてはいかがなものであろうかというふうに考えておるわけでございます。まあ、しかし、最近におきます農業や農村をめぐります情勢は非常に変わっておりますので、この制度につきましても、御案内のとおり、先般の国会におきまして補償内容の充実につきまして相当大幅な改正をいたしたところでございます。御指摘のように、農業災害補償制度がますます今後効果を発揮いたしますためには、私たちといたしましてもその整備内容につきまして今後さらに努力をいたす必要があるかと考えておる次第でございます。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 私も災害対策特別委員長を務めておってあなたの答弁何遍も聞いたことがあるけれども、私たちとしてはいかがなものかと考えておるということをあなたが強調されたって、反面から見てみれば、農業共済制度の普及率との関係では、たとえば十アール以上保有する農家でも加入していない、また加入していたがやめるという、そういうような話を多く聞きますよ。これが実態なんですよ。あなたの方の認識がどうあろうとも、農民の認識とそれに対応する実態というのはこれなんですね。その辺はどういうふうにお考えなんですか。
  122. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 農作物共済で加入漏れが相当あるじゃないかというお話でございますが、農作物共済の加入基準に達しておりますにもかかわらず、農作物共済に加入していない農家の実態というのは、最近における都市化、過疎化等の農村事情の変化に伴って地域によっては異なっておりますが、共済組合の事業運営が不振となって事実上休止の状態になっておるのは、私たちの承知いたしております限りでは二十五組合でございます。このような組合等につきましては事業実態を今後十分調査の上、事業を再開すべきものについてはできる限り早期に再開するように都道府県知事を通じて所要の指導をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 わずか三十分の時間ですから論議をし直しているいとまがありませんが、農林省、大蔵省は農家単位方式を推進しようとされている。そこで、共済掛金に一割程度の優遇措置をとる補助金を出しているわけですね。ところで、農家単位方式は農林省の思惑どおりには普及していない。これはもう間違いない。発足した四十七年は、予算、決算で見て達成率わずかに二四%である。翌年以降は目標をぐっと下げた、しかし下げたけれども、それでも達成率は平均五六%、半分をわずかに上回るというようなことにすぎない。結局五十年度普及の割合というのは一割ですよ。これはどう考えても制度的に農家の実情、農民の気持ち、そういうものにやっぱり適応していない、そうだからというふうに考えざるを得ないんですね。そうお考えになりませんか。
  124. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 確かにおっしゃるように農単方式の実施率は、昭和四十七年に事業を開始いたしましたときには面積の実施率で見まして六%程度であったわけでございます。それで逐年増加をいたしまして、おっしゃいますように五十年には一〇.二%まで上がってきて、五十一年には一一.一%までになっておるという実情にございます。事業開始時におきます実施目標を一八%程度に置いたわけでございますが、おっしゃるとおりこれはなかなかすぐに二〇%近くまで普及するということにはまいりませんで、私たちといたしましては、今後、農単方式になじみます米作中心の先進的な地域の平場農村に目標をしぼりまして重点的に実施をいたして逐次増加させる方針をとりたいと思っております。今後の推進としましては、先般の国会で全相殺方式の新設を見たところでございますし、また、全損耕地につきましては、農単方式よりも一筆単位の方式の方が共済金がたくさんもらえるという場合には、農単方式でありましても全損耕地については一筆方式をとり得ると。あるいはまた農単実施の組合につきましては一定の交付金を交付をするという、そういう新しい試みを加えまして、先ほど申し上げましたような重点的な地域につきまして着実にこの制度を推進してまいりたいというのが考えておるところでございます。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 農林省、大蔵省の考え方の中に、どうも農家単位方式の方が望ましいんだというお考えがある。それは私はどうもおかしい考え方だと思っているんです。端的に言って、一筆方式は小災害、農家単位方式は大災害向きだと、そういうふうに設定されていると言われておるんですが、これはともに私は欠陥があるんだと。その欠陥を是正するために足切りを改善するという要望がずっと出されているし、当該委員会などはそういう附帯決議何回もやっているわけですね。それに対して、保険とはそういうものなんだという感想がいろいろ書かれますよね。専門的なんでしょう、あなた方のものを読んでみるとそういうふうに書かれている。しかし農業共済を民間の保険と混同しては私はいけないと思う。これは釈迦に説法でありますが。政府の農業災害補償制度の柱であって、また農業共済は組み合わせができないということなんでしょう。そうすると共済組合ごとに一つしか選択できないということになる。だとすれば一筆方式の改善はどうしても必要だ、そう考えざるを得ない。と、農林水産委員会で足切り改善のための、さっきも言ったような附帯決議がずっとされているということとの関係からいっても、改善の方向の努力というものは約束されなきやならぬと思うのです。これはお約束になりますか。
  126. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 組合ごとに共済の方式をいままでは選択ができなかったんでございますけれども、全相殺方式を導入することに伴いまして、組合の地域の一部を指定をいたしまして、そこにつきましては全相殺方式をとり得るというふうに改めましたので、その部分につきましては両制度が同じ組合の中において、地域は異なりますけれども併存ができるというふうな改正をいたしたわけでございます。  そこで問題は、要するに足切り制度というのを将来どういうふうに考えていくかという一番基本的な問題になるわけでございますが、これは、まあ足切りがないということは、それは農家にとりましては一番望ましい状態であるのかもしれませんけれども、しかしやはり軽微な被害については農家が農業経営上自家保険すると。やはり農家が自家保険する部分を一定部分残しておくということが、通常言われますようなモラルリスクその他の問題を回避するためにも、やっぱり保険の仕組み上どうしてもまた必要なことではないかと思われるわけでございます。しかし、それじゃ三割を二割にできないのかとか、あるいは三割を二割五分に改善できないのかという問題がございますが、それは一方、共済掛金と絡んでくる問題でございますので、共済掛金の負担をふやさないでその足切り問題をどういうふうに片づけていくかという、そういう何といいますか、非常にむずかしい問題を含んでおるわけでございます。しかしながら私たちといたしましては、この問題につきましては補償内容の充実という、そういう観点からきわめて重要な問題でございますので、今後とも長期的な視点に立って慎重に検討をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 これ長期的な視点は結構ですが、非常に速い速度で検討されるということは約束できますか。長期的な展望に立って長期的に検討していくというのじゃ話にならぬわけですがね。端的に一言
  128. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) いつまでにどうというわけにはまいりませんが、やはり私たちとしましては、制度の基本の問題でございますから十分検討をさしていただきたいと思っております。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 少し実情をわきまえながらピッチを上げた検討ということに理解をまずしておきたいと思います。  そこで、農業共済制度を、各地の実情がどういうふうになっているかということを抜きにしてはこれは正確な議論はできません。そういう意味で資料の要求をしておきたいんですが、五十一年度分で各県別、方式別に被害額、単位当たり共済金額、共済掛金率、金額被害率、被害農家一戸当たり支払い共済金の一欄、これ出していただきたいと思いますが、よろしいですか。
  130. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 取りそろえまして提出をいたします。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 気象の寒冷化は今後十数年ないしは二十年ぐらい続きそうだという見方があるようです。農林省の専門家でありましょう農業試験場長のこの論文も、この五年から十年後がピークというような書き方をされています。当然いまから対象をひとつ設定をしながら対策をずっと練っておかなければならないわけですが、場当たりでない長期対策を考える必要があるのですが、それはそういうお考えでしょうね、当然。
  132. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 異常気象の関係でございますが、気象庁の見解によりますと、北半球の高緯度の地域におきまして一九四〇年ごろから寒冷化の傾向が見られる、一方、熱帯に近い低緯度の地域は逆に温暖化をしておる、気温の南北格差が増大をしておるという傾向がうかがえるということが報告されております。この南北格差が拡大いたしますと、寒波、干ばつ、豪雨等の異常気象が発生しやすく、高緯度地域の寒冷化傾向は今後当分続くであろうということも報告をされておるわけでございます。そういうことからいたしますと、今後引き続き変動の大きい天候が続くであろうということが予想されるわけでございまして、このため農林省におきましては、気象庁と緊密な連絡をとりますとともに、国の段階、各地域の段階、それぞれの農業気象協議会というものをそれぞれの段階に持っておりますので、それらの開催等を通じまして気象に関する情報の的確な把握に努めてまいっておりますが、今後そのような情報の把握にさらに一層努めてまいりますとともに、ただいまお尋ねのようなそういう気象変動に対してどういう長期的な農業施策として考えるかという点につきましても、基本的には抵抗力の強い農業を育てるという観点に立ちまして、一つは灌漑施設等の生産基盤の整備、二つ目には耐冷性品種の育成、三つ目には耐冷性の栽培技術の確立、このような恒久的な冷害対策に努めますとともに、またさしあたっては、立地条件に即した作物の選定なり、適品種、適栽培なりの技術、基本的な技術でございますが、そういうことに忠実な励行を図るように努力をしていくということが今後の対策としてやってまいらなきゃならぬものと考えておる次第でございます。なお、災害を受けた場合の救済制度の充実につきましても、これも当然図ってまいらなきゃならぬということで、このための各般の施策についても今後とも努力をしてまいるということは当然でございます。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 この異常気象に対する総合対策が必要なんですね、いまも言われるように。ところがその総合対策という観点から見ると、それを統合する権能といいますか、権限といいますか、各省庁に分散をしておって、必ずしも統合的に処理をする能力を保持していない、政府は。こういうふうに考えますが、これ大蔵省あるいは農林省それぞれの立場でいまのままでいいと思いますか。
  134. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 災害対策につきましては、御案内のとおり災害対策基本法が制定をされておりまして、この対策基本法に基づきまして政府各省の施策について対策を取りまとめることをいたしております。また、災害が具体的に発生した場合には非常災害対策本部を政府におきまして設置をし、適時適切な施策を講じていくということで、政府部内におきまして各省関係それぞれ連携を密にしながら対処をしてまいるという体制にただいまのところなっておる次第でございます。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 十分だと思っている、あなた方は。
  136. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ただいまの農林省から災害対策に関する各省の連絡ないし事務の調整の仕組みについてお答えを申し上げまして、私どももさような仕組みの中で災害対策の万全を期しておる次第でございますが、なお現実の行政の運用について改正をすべきところがあれば改善を図ってまいりたいというふうにいつも考えております。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと土地改良事業について伺っておきますが、五十二年度予算を含めて土地改良長期計画をずうっと繰ってみますと、ようやく半分終わったことになるわけですね。そこで事業の進捗率ですが、三〇・四%でしょう。計画年度の半分、五年を経て進んでいる率というのは三割、これではおくれ過ぎているとお思いになりませんか。いかがです。
  138. 森整治

    政府委員(森整治君) 全体の計画が十二兆、四十八年から五十七年までの十年間で。一兆が予備費ということになっております。前年約四割、五カ年で五十二年ということになっておりますが、それで言いますと、予備費も含めますと、一三%、それから予備費を抜きますと、三三・五%の進捗率ということに相なっておるわけでございます。ですから、若干四十九年、五十年の公共事業の抑制という問題が尾を引いておりまして、確かにおくれておるということはそのとおりでございますけれども、五十一年、五十二年公共事業を相当伸ばしてきておりますから、三三・五%というふうな進捗率に相なっておるわけでございます。  そこで今後の伸びを見ますと、あと毎年一五・四%ずつ過ぎていけば、十二兆円の十カ年の達成は可能であろうということになりまして、ことしは一二・四%ということになっておるわけでございますから、農業基盤整備費全体は。そういうことで一応私どもとしては今後この調子でいけば達成は可能なのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  139. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省ね、これ数字だけで言いますと、大蔵省は土地改良事業に五分の三の価値しか認めなかったということになると思うんですよ。それだけの、まあ実際問題いろいろ答弁がありますが、財政的な事情があるがゆえに、こういう状態になっている、これはもう間違いない、事実関係。そうするとそれだけの財政措置しかとらなかったということなんですが、今後事業を促進して計画を達成させる、そういう努力というものは財政的にも怠りなくやると、こう理解をしておいてよろしいのですか。
  140. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ただいま農林省からお答えのありましたように、現在まで予備費を除きまして土地改良十カ年計画に対する事業費は農業構造改善事業にかかるものを含めまして三三・五%でございます。これはいま和田先生からおしかりがございましたが、決して五分の三のウエートしか置かなかったというっもりではございません。四十九年、五十年に全体の経済の運営のためにいわゆる総需要抑制策をとりまして、その際公共事業の抑制を図ったということのあらわれも一つばあろうかと思うわけでございます。五十一年、五十二年と公共事業の伸びがかなりの程度図れるようになりまして、ことしについて申し上げますと、一般公共事業費の伸び二〇・七%に対して、農業基盤整備は二二・四%、かなり充実を図っております。農業全体としてまあ稲作に偏重した従来の農政から、総合的なと申しますか、新しい農政の方向に向かって総合的な農政を進めてまいりますためには、農業の土地条件の改善ということは当然必要でございます。私どももそういう線に沿って公共事業の中で農業基盤の充実の必要性はいつも頭に置いておりますし、ときどきの財政事情というものはございますけれども、その中で極力配慮してまいりたいというっもりでございます。
  141. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今回の共済再保険特別会計、農業勘定と果樹勘定で、その支払い不足といいますか、財源不足で合わせて五百十一億円というような不足が出てきましたけれども、五十一年度の歳入歳出の農業勘定、果樹勘定の内訳、またこの大幅な財源不足になった内容ですね、細かくひとつ教えてほしいのです。
  142. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 農業勘定につきましては、予算書にあらわれておることでございますが、繰り返しになりまして恐縮でございますが申し上げますと、歳入として再保険料が億円単位で申し上げますが、二億円でございます。それから一般会計から掛金の国庫負担として受け入れますものが三百九十二億円、それから水稲の病虫害の防止費の補助金、農家単位引き受け方式の実施費の補助金、これらの目的のために受け入れられますものが十三億円、雑収入十一億円、そのほかに再保険金支払基金勘定から四十三億円の繰り入れを受けます。それで歳入の合計が四百六十二億円。  それに対しまして歳出の方は農業再保険の支払いでございますが、これに二百二億円、それから農業共済組合の連合会及び共済組合に対する掛金の国庫負担金等として払いますものが百九十二億円、それから水稲病虫害の防止費なり農家単位の共済の実施費の補助金として払いますものが十三億円、そのほかに予備費五十五億を計上いたしまして歳出四百六十二億円。  もう一つの果樹勘定につきましては、再保険料の受け入れは一千四百万円でございますが、一般会計から掛金の国庫負担金として十八億円受け入れ、また再保険金支払基金勘定から十七億円の受け入れを行いまして、歳入の合計三十五億円でございます。  そのうち果樹の再保険金の支払い、再保険費として十億円、それから農業共済組合連合会の交付金、掛金の国庫負担金でございますが、これを五億円、予備費二十億円、合計三十五億円という歳出でございます。  ただいま申し上げましたように、農業勘定の支払いは、予算現額では二百八十一億円ということに相なるわけでございます。これは申し上げました再保険費が二百二億円と、それから予備費の五十五億円と、そのほかに執行が不用になりました金額が合算いたしますと二百八十一億円あったわけでございますが、異常災害の発生によりまして農業勘定の再保険金の支払い所要額が千四十八億円ということに相なりまして、七百六十七億円の金額の不足を生じました。そこで再保険金の支払い財源不足額七百六十七億円に対しまして積立金の三百十四億円を取り崩して歳入に受け入れ、残り四百五十二億六千六百万円を今回御審議をいただいております法律をもちまして、補正予算において財源措置を講じて一般会計から繰り入れさしていただくということを考えております。  果樹勘定でございますが、果樹勘定は先ほど申し上げましたように、非常に保険金の支払い予定額が少なかったわけでございますが、五十一年度の異常被害の結果、果樹勘定の再保険金の支払い所要額は八十一億円に達するものというふうに見込まれます。したがいまして、当初予算の十億円との差七十一億九百万円というものが支払い財源の不足に相なりまして、予備費使用等によって十二億円余を賄いまして、なお不足する五十八億四千三百万円を今回御審議をお願いいたしております法律によって一般会計から繰り入れるということを予定をいたしておるわけでございます。
  143. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 共済の支払いですが、支払いの共済金について損害の評価の見方に農林省の方と農家の間にずれがある、こういうことはよく言われております。で、農林省は統計調査部の減収量調査を信頼してほしい、まあこういうように言っているということですけれども、ことしのような遅く冷害が来る、こういうようなときには調査時期のときに対して最終の収穫時では相当変化が出てくる。そういう点、ことしは特に留意して十分な評価をしたのかどうか、損害評価をやったのかどうか、その辺をひとつ伺いたいんです。
  144. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 統計情報部の作物調査につきましては、生育の状況を十分確認して適期に減収調査を行っているところでございます。  東北地方におきます昨年の農業共済団体等の損害評価は、共済金の年内早期支払いということのために、ほぼ例年と同時期に開始をしておりますけれども、統計情報部の現地調査は、農業共済団体等の評価時期より約十日ぐらい程度を遅く行われておるということに相なっております。昨年の東北地方の稲作は生育時期が十日前後遅延していた実態から判断いたしまして、私たちとしましては統計情報部の調査は適期に行われたものと考えておる次第でございます。
  145. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最終収穫時と大分違うのじゃないかという声があるんです。その点はどうなんですか。
  146. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 一つは、共済の減収量の最終認定に当たりまして、統計情報部の調査データで修正するのは問題があるじゃないかという基本的な問題が一つございますが、保険事業の公平、適正な運用の確保という観点から、一般的には保険には査定あるいは認定ということが行われておるわけでございまして、農業共済につきましても保険の仕組みをとっております以上、査定あるいは認定があることはまあやむを得ないことであると考えておりますが、実際の運用に当たりましては、できる限り農業共済団体の損害評価の結果を尊重することをたてまえとして取り扱っておるわけでございます。しかしながら、災害の実態から見て、都道府県間に著しい公平を欠くようなことにならないように、統計情報部の資料を参酌して連合会の評価高を審査、認定をしておるというのが実情でございます。しかし私たちは、この統計情報部の資料は主として減収調査でございますが、資料をそのまま利用するということではなくて、これに一定の幅を設けて調査をしておるというのが実情でございます。
  147. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほど和田委員から三割のいわゆる足切りの問題について質問が出ていたのですけれども、足切り水準といいますか、それの引き上げ、かえって農家の負担をふやすから云々というようなのがありましたけれども、三割足切りということで、かえって掛け捨てという事態も起きることが多いわけでしょう。実際、耕地ごとに見ていって三割以上の被害が出る、そういうことは例外であるという場合もあるでしょうし、だからそういうことで一筆単位の引き受け方式、こういうのがそういう不満も出てくるわけですね、一つには。その点で、そういう水準を引き上げたらどうかというようなことがいつも言われている。先ほどの答弁だと、そのように三割を二割五分にしようとか、そう言われてもという御答弁で、苦しいことはよくわかるのですけれども、その辺、長期的にという話があったのですけれども、どういうように持っていこうと、政府からのあれをふやすとか、いろいろ考えなければならないでしょうけれども、その点、伺いたいのです。
  148. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) いわゆる足切りの制度をどういうふうに改めるかということは非常にむずかしい問題でございますが、考え方として言いますと、やはり軽微な被害につきましては、農家が農業経営上自家保険するということがやはり基本ではないか、それは一つの道徳的な危険を防止するという観点からもある程度の足切りというのが必要ではないかと思います。たとえば三割の足切りと言いましても、やはりその農家としてはできるだけ米をとる、収穫をするということがたてまえでございましょうし、また農家もそういうふうに努めるでございましょうから、やはりそこに一定の水準の、足切りというと非常に足が切られるようでぐあいが悪いのですけれども、一つの幅があることが必要なんではないかと、しかしまあ私たちとしましては現行制度でも、御存じのとおり、農家単位方式では二割あるいは全相殺では一割というふうに制度的にいろいろ工夫をいたしまして、そういうふうな改善を図っておるつもりでございます。しかしこの問題につきましては、一つは補償内容の充実ということが非常に大切な問題でございますから、やはり長期的な観点に立って十分検討してまいりたいと、かように考えております。  また、掛け捨ての問題がございます。確かに被害の割合の起こるところが少ないところにつきましては掛け捨て問題というのが非常に起こりますので、私たちは無事戻し制度というものを、そういうものにつきましては整備をしていきまして、なるたけ農家のためにこの制度が動くようにしたいと、そういうように心がけておるところでございます。
  149. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次は、いまの話でもよくわかるのですけれども、農家が進んでというか、農業共済にどんどん入って、農業経営というもの、農家経営というものをより安定にしていく、それは非常に大事なことだと思いますが、その国庫負担を一層引い上げてそうして入りやすくするというようなことはいかがですか、その点は。
  150. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 確かにお話のように、国庫負担率を上げるということは農家にとっても共済に入りやすいし、ということは農家の負担も減るわけでございますから、国庫負担につきましてはできるだけこれを引き上げるということが望ましいことは当然のことでございます。そこで現在、農作物共済につきましては五九・六%まで、約六〇%まで国庫負担が上がってきております。これは数十年前、あるいは制度発足当時から比べますと、相当の水準まできておるんではないか、蚕繭共済については五六・六%、果樹共済については五〇%というふうになっておりまして、他の共済事業と比較してもかなり国庫負担率は私は高い方ではないかと考えております。したがいまして、これをいますぐ引き上げるということは非常なむずかしい問題を含んでおるわけでございます。家畜共済の掛金、国庫負担割合については、さきの法改正によりまして、牛は二分の一、それから種豚につきましては五分の二に引き上げ、新たに肉豚についても三分の一の国庫負担を行うことにしたところでございまして、先般の制度改正の、また何といいますか、相当な成果と私たちは考えておるわけでございますが、恐らく農家の方々にとってはもっともっとという気持ちはそれは強いところであろうと思います。したがいまして、いまこれを国庫負担をさらに引き上げることにつきましてはなかなかむつかしい問題でございますが、特にいろいろ問題がございます畜産等につきましては、その畜産の動向も見ながら、慎重かつ十分に検討をしていく考えで、そうしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  151. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 四十九年から畑作物の共済、園芸施設共済、試験実施中ということですけれども、本格的実施は五十四年からというんですけれども、実施のめどと、試験実施の過程はどういうふうに経過とって来られたか、それからどういうものを畑作物では考えようとしてるのかですね、それをちょっとお伺いしたい。
  152. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 畑作共済の本格実施までのスケジュールをどのように考えておるかということでございますが、私たちは四十九年に試験の実施を始めたのでございますが、五十二年度におきましてはその試験実施成果、三カ年やってまいりましたので、それの取りまとめとそれから本格実施のための制度検討会を開きたいと思っております。そういたしまして、五十三年度法案国会に提出をいたしたいと思っております。まあ、幸いにして法律が成立いたしましたならば、五十三年度中はその制度の普及、推進を図っていきまして、五十四年に本格実施すなわち引き受けを開始するという、そういう段取りで取り進めたいと思っておるわけでございます。  畑作物共済につきましては北海道におきまして、バレイショ、てん菜、大豆、それから小豆、インゲンの五作物につきまして、鹿児島県及び沖繩県におきましてはサトウキビについて試験実施を行っておるところでございます。畑作物共済について本格実施に移るためには、おっしゃるような共済目的の範囲をどうするかという、そういう問題がございますが、そういう問題も含めまして、保険の内容等につきいろいろ検討を要する問題があろうかと思います。したがいまして、私たちといたしましては、先ほど申し上げましたようなスケジュールを精力的にこなしていきたいと思いますが、そのスケジュールから見ましても、最も速めましても昭和五十四年度になるものと見込んでおる次第でございます。なお、また五十二年度から本格実施制度の仕組みについて検討を行うことを予定しておりますが、その際にはこれまでの試験実施経過でありますとか、あるいは関係地域の意見等十分考慮して検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  153. 渡辺武

    ○渡辺武君 先ほど来、問題になっております農業共済の足切りの問題です。農民の方の強い要望は、せめて被害を受けた八割から九割ぐらいは共済で補償されるようにしてほしいというのが非常に強い要望なんですね。私どもはまあこれは急ぐ問題ですから、だからいま直ちに八割、九割といってもなかなか農林省の壁も厚かろうと思いまして、一筆方式の場合は現在の三割足切りをせめて二割程度のところまで引き下げたらどうだと、それから農家単位引き受け方式の場合、いまの二割足切りをせめて一割程度まで引き下げたらどうだというふうに要望したいんです。いろいろ先ほどできない理由などを挙げておられましたけれども、これは何もいまさら長期的視野に立って検討するという問題じゃないと思うんですよ。被害が起きて、これをどう救済するかという、いわば緊急差し迫った問題だと思うんですね。で、その保険制度、だから多少は農家に負担はさせるのが社会的通念だというような御趣旨のことを言っていますが、何も一〇〇%全部補償しろと言うんじゃないんです。そうでしょう。とにかく昨年の農産物の被害総額——私の手元にある数字ですと、四千九十三億、共済金の支払い総額は千百二十五億、つまり約三千億の損害が補償されていないんですよ。農民にとっての負担になっているんです。だからこれをもっと軽減しろということを言っている。その点どうですか。
  154. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御趣旨は非常によくわかるのでございますが、どの程度のところでどういうふうにやるかという問題がございます。それは先ほど申し上げましたように、一つは掛金と補てん率の問題でございます。それからもう一つは、そういうことでなしに、それは財政負担で処理をすべきものであるというお話が出るかと思いますが、実は五十二年度予算農業共済全体の予算は千八十四億に達しておるわけでございまして、相当力を入れておるということは御理解をいただけるのではないかと思うわけでございまして、御趣旨の点は十分胸に入れまして、今後検討してまいりたいと、かように考えております。
  155. 渡辺武

    ○渡辺武君 今後検討すると言うんですがね、急いでやってもらいたいんですよ、これは。あなただって、全く実情から離れているということがおわかりでしょう。四千億円の損害の中で、農家の補償されない部分が三千億円もあるというようなひどい状態というのは、これは農民のいまの実情に合ってないですよ。やっぱり総理大臣も施政方針演説の中で、自給力という言葉を使って、向上させると、これが基本方針だというような趣旨のことを言っているでしょう。こんな状態を放置していて、自給力の向上なんていうのはできるはずないんですよ。もう一つ、もう一回答弁してくださいよ、緊急にやるかやらないか。どうですか。
  156. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 被害額と共済金とを対比いたしますと、非常にお話のようなことに相なるわけでございますが、災害につきましての対策は御存じのとおりいろいろとございまして、一つは、共済金の支払いでございますし、一つは、明年度の経営費をどうするかという問題の天災融資法の発動の問題でございますし、それからもう一つは、農家の経営、農業経営がむずかしくなるような場合におきます自作農資金の維持の問題がございます。したがいまして、災害につきましての対策としてはそういうふうに総合的な措置を講じてまいっておるわけでございますが、共済の問題につきましては先ほど申し上げましたもろもろのむつかしい問題を抱えておるわけでございますから、その点につきましての十分な検討が必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。
  157. 渡辺武

    ○渡辺武君 とにかくもろもろのむずかしい問題がある、そのもろもろのむずかしい問題の一つとして、先ほどあなたが挙げられたのは、これは農家の掛金率の問題ですわな。しかし、これも実際を見てみますと、水稲の掛金率は全国平均昨年たしか三・九一%だったと思うのですね。ところが、四十六年の大災害を含むこの五カ年間の被害率は二・四八%くらいなんです。しかもこの被害率というのは年々下がってきているというような実情ですよ。実際の平均的な被害率に比べて、農家の水稲の場合ですよ、掛金率三・九一%というのはこれは私は高いと思うのですね。これは引き下げる余地があると思うのです、掛金率を。その証拠にはこの農作物共済の保険収支、これを見てみますと、約三百五十八億円の黒字になっているんです。だから農家は掛け捨てになってつまらぬということも言っているわけですよ。実情にこれまた外れているんです。そういうことを一つの理由として、足切りのこの率の引き下げということを困難だ困難だと言っている、これは全く農林省の方針というのがいまの農業の実情に合っていないと私は思うんだ。その点どう思われますか。
  158. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) おしかりを受けるかもしれませんが、実は私たちが足切り水準を引き下げた場合に、もちろん国庫負担も伴いますが、農家負担がどれだけぐらいふえていくであろうかということの一応の試算をいたしてみますると、足切り三割というところの十アール当たりの農家負担掛金は、現在足切り三割で共済金額は七万一千六百十円で掛金率が三・九一一%、国庫負担が五九・一%ということになりますと掛金総額が二千八百一円、こういうことになりまして、それの国の負担部分が千六百五十五円ぐらいになります。農家が大体千百円ぐらい負担するということになりますが、これを二割足切りにいたしますと大体六八%ぐらい掛金が上がるわけです。それから足切り一割にしますと約一九〇%ぐらい掛金が上がる。足切りなしということにしますと実は四・七倍ぐらいに相なるという問題でございます。したがいまして、もちろん国庫の負担の増加はそれに伴いますけれども、農家の方もそういうふうな実は掛金の増加を伴うわけでございまして、それはおっしゃるように、掛金率の三・九%は高いからそれを下げればいいというお話もございますけれども、それにもやっぱり限度があるわけでございますから、したがいまして、そういう足切り問題と、それから国庫負担の問題と農家負担の問題という全体的な問題を十分考えて、どの程度のところでどういうふうに処理をするのがいいかということは十分な検討を必要とするのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  159. 渡辺武

    ○渡辺武君 いろいろ条件を並べられましたが、問題は、農家に負担のあんまりかからないような、そういうことで災害の補償ができるようにということだと思うのですね。当然問題は国庫負担の問題になってくると思うのです。そのくらいのことを考えなきゃ、いまの、あなた、農業の危機なんというものは、これは解決できませんよ。改めてその点について答弁求めます。  同時に、もう一つ、もう時間がないんで一緒に伺いますが、農業共済制度を一番末端で支えている人たちですね。損害評価員、それから共済連絡員、この人たちに対する国庫補助に当たっての単価ですね。これあんまり低過ぎると思いますけれども、どんなふうに考えておられるか。
  160. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) まず損害評価員の方でございますが、これいろいろ考え方がございまして、損害評価員とか共済の連絡員は、共済相互扶助の精神でやっていくのだというのがわりあい基本に合った考え方であったわけでございます。したがいまして、その経費については国が実費弁償するんではなくて地元負担を原則にするんだというふうな考え方であったわけでございますが、共済連絡員につきましては、昭和三十五年度から、それから損害評価員につきましては、昭和四十九年度から補助の対象にいたしまして、自来その引き上げに努力をしてきておるわけでございます。実は五十二年度におきましても、金額は少ないんですけれども、引き上げ率といたしましては四〇%ぐらい引き上げたということでございまして、私たちとしましては、やはり災害の評価という問題に携わる損害評価員の方々の手当につきましては、今後やはり十分に考えてまいらなければならないと思いますので、今後も予算折衝の段階におきまして財政当局と十分協議をいたしたいと考えておる次第でございます。  それから、最初の点につきましては、私が先ほど申し上げましたいろいろむずかしい問題がございますので、私たちとしましても誠心誠意検討をさしていただきたいと思っておる次第でございます。
  161. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは時間もありませんので、簡単に質問したいと思いますけれども、これは大体共済保険でありますから、結局私は、危険を補償するための掛金と給付の関係、その運用がうまくいくならば私は農家の人は進んでこれに加入すると思うんです。しかも、これは国庫負担がかなり多額にあるわけですから、普通の保険に比べたらきわめて有利である、それにかかわらず農家の人の加入が少ないというのは、私は運用上に問題があるんじゃないかと思うんですね。その一つに、やはり先ほどから問題になっております足切りの問題があるのではないかと思うんです。だから、三割がいいか、二割がいいか、一割がいいか、いろいろ論議があろうかと思いますけれども、この辺の運用の改善ということはやはり必要ではないかと思うんです。これについて、改善の方向についてどう考えておられるのかお伺いをしたいと思うんです。
  162. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 農災制度は御存じのとおり保険制度でございますから、法律でその仕組みをずうっと規定をいたしてございます。したがいまして、私たちといたしましては、それに基づきます適切なる制度の運用ということについては常に必がけておるところでございます。また実際の運用上で農家負担の軽減を図り得る部分というものにつきましては、それはよく十分そういう面につきましての運用の改善は図っていくつもりでございますが、先ほどのような、まあ何といいますか、三〇%問題等につきましては、これは制度改正を要する問題でございますから、先ほどのようないろんな困難な問題がございますので、これらについては今後十分検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  163. 田渕哲也

    田渕哲也君 損害額に応じて全額補償する比例てん補方式というものの希望が非常に強いわけです。しかし、これは現実の問題としてなかなか実現はむずかしいだろうと思います。したがって、たとえば全損の場合に一〇〇%補償しろとは言いません。この場合に八〇%とか、その辺の補償でがまんしてもらうというのはやむを得ないかもわかりませんけれども、しかし足切りがたとえば二割ある、それまでは全く恩典が受けられないということになりますと、やはり掛け捨てという感じが広がるわけです。だから、若干この線を、二割足切りでずっと真っすぐに引くんじゃなくて、若干傾斜させるとか、そういう考え方はとれないわけですか。
  164. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) お話しのように比例てん補方式に改めるということにつきましては、なかなかこれを処理をするということは実際問題としてむずかしい問題でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、たとえば実損てん補率の引き上げを図るということで、従来は七〇%掛ける〇・九というふうなかっこうで、一筆方式につきましては実損てん補率が六三%でございましたのを今度七〇%に引き上げるというふうな、そういうふうな実質的な改善はいたしたわけでございますが、先ほど申し上げたような掛け捨て問題につきましては、私たちとしましては、現在の制度のもとにおきましてはやはり無事戻し制度の強化を図るということが一番でき得ることであり、また必要なことではないかと、こう思いまして、今回の改正におきましても制度改正の一環として無事戻し制度を拡充いたしますために、無事戻しすることができる限度額というものをずっと引き上げてまいりました。それから、同時に、無事戻し積立金と特別積立金を統合して特別積立金といたしまして無事戻しに充当できるというふうな形に改めたわけでございます。そのように改正をできるところは改正をいたし、あるいは改善をいたしまして、できる限り農家に受け入れられやすい共済制度にいたしたいということに努めておるところでございます。
  165. 田渕哲也

    田渕哲也君 無事戻し制度の場合は、現在までは大体三年間その被害がなければ大体掛金の三分の一戻ってくるというふうに伺っておりますけれども、今回は具体的にどのように改善されますか。
  166. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 三分の一が二分の一に改まったということでございます。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 まだ議運に問い合わせありませんから正確であるかどうかわかりませんが、農林大臣、何か訪ソされるような予定があるように承っておりますので、この機会に若干それらの内容について質問しておきたいと思うんですが、まずアメリカ、カナダ、オーストラリア、ECなど二百海里漁業専管水域の設定によってわが国が厳しい状況に立たされているわけですが、この国際環境をどういうふうに受けとめられ、認識をされているわけですか。
  168. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 海洋法会議でまだ結論が出ておりません段階におきまして、アメリカ、カナダ、それにソ連、EC、その他の国が二百海里漁業専管水域を国内法または宣言によって決定をしたということにつきましては、私ども非常に遺憾に存じておるところでございます。しかしながら、アメリカにおきましては、御承知のように、国内法で漁業保存管理法、これを制定をいたしまして、それにソ連がこれを認めるということで米ソの間で協定が締結をされた。日本に対しましてもアメリカは、この保存管理法を認めない限り、二百海里の中では操業させない。こういう強い態度で日本の対応を迫ってきたわけでございます。わが国といたしましては、こういう厳しい現実を踏まえまして、昨年六月以来交渉を続けてまいったわけでありますが、その結果、暫定協定並びに基本協定を締結をすることにいたしまして、基本協定につきましてはいずれ国会の御審議、御承認をお願いをすると、こういうことにいたしておるわけでございます。暫定協定につきましては、政府としては国会の御承認を得なければ最終的な態度が決まらぬわけでございますから、暫定協定としては政府間でいろいろ話し合いをいたしましたところの新しい操業秩序、これを民間団体であります大日本水産会等を通じまして米側の要求いたしますところの許可証の申請でありますとか、いろいろの手続をすることにいたしたわけでございます。  漁獲量の問題につきましては、わが方としては、できるだけ今日までの歴史的な実績を確保すると、こういう基本方針に基づきまして粘り強い交渉を続けてまいったところでございますが先般、アメリカ側は、長い日米間の友好関係の基礎の上に立ちまして、日本の過去の実績の約八九%に相当いたしますところの百十九万一千トンの漁獲量の割り当てをしてまいったわけでございます。  なお、入漁料を払うことになるわけでございまして、これは漁労船につきましてはトン当たり一ドル。なお、母船につきましてはトン当たり五十セント。さらに漁獲の船側渡しの価格の三・五%、これを入漁料として支払う、こういうことで妥結をしたわけでございます。漁獲量の割り当ての面からいたしますと、九〇%に近い割り当てを、実績を確保いたしたことではございますけれども、しかし、内容的にはアメリカの監視船の厳しい監督下に操業しなければならない、そういう状況等を見てまいりますと、きわめて厳しいものである、このように受けとめておるわけでございます。  今後、他の国との二百海里時代を迎えましての交渉が次々に迫ってくるわけでございますが、私どもは、厳しいこの情勢を踏まえまして、新しい日本の漁業のあり方、また、経営の合理化、国民の皆さんに対するたん白食糧の過半を供給しておる漁業の今後の充実、整備ということに力を入れていきたいと、このように考えております。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、わが国としては二百海里の漁業専管水域を設定するお考えなわけですか、これ。その場合にどういう条件のもとでやられるのか、決断をされるのか。  さらにもう一つは、領海十二海里というものの設定というものが二百海里漁業専管水域の前提となるのかどうか。  それからもう一つは、五月からの海洋法会議での方針は一体どういうことなのか。
  170. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) まず、領海十二海里の問題からお話を申し上げたいと存じます。  近年、日本の沿岸におきます外国漁船の操業によりましていろいろの沿岸漁民の操業上の制約も受けております。また、定置性の刺し網その他に対する漁具の被害というものも続出をいたしております。また、廃棄物の投棄等によりまして漁場が荒廃をしておる。こういうようないろんな深刻な被害が出ておるわけでございまして、政府としては沿岸漁民の利益を保護するという立場から、緊急に、一日も早く領海幅員を十二海里に拡張をしたい、こういう方針を固めまして、ただいま私が、総理の使命を受けまして国務大臣としてこの領海十二海里法の立法の作業を調整をし、進めておるところでございます。まあ一番関係の深いところはソ連でございますが、ソ連も御承知のように、すでに領海十二海里をとっております。私は、まず、この十二海里で沿岸漁民の保護を図る。次に、海洋法会議の動向等を見きわめながら二百海里専管水域の問題は慎重に考えていきたい。と申しますことは、御承知のように日本の近隣には韓国並びに中国が指呼の間に存在するわけでございます。現在日韓の間には日韓漁業協定あり、日中の間には日中漁業協定がございまして、比較的この漁業協定によりまして、西日本の遠洋底びき網あるいは一本釣り漁業その他の漁業が何らの摩擦なく円滑に操業がなされておると、こういう現況にあるわけでございます。そういう際に、日本がいち早く二百海里の専管水域を設定いたしますれば、韓国もこれに同調、これに対応して二百海里宣言をする、中国もすると、こういうことになりますと、せっかく日韓漁業協定なり日中漁業協定で操業秩序が保たれておるそれが根本から組み直すような事態になりかねない、こういうようなことも考えまして、二百海里漁業専管水域の問題につきましては海洋法会議の動きを十分注視しながら慎重に対処していきたいと、こう考えておる次第であります。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 二十八日から行われると言われる日ソの大臣交渉、あるいは三月十五日から日ソ漁業委員会に臨まれるわけですね。ここで、ソ連との交渉で、何か最低限ぎりぎり譲れない線というのはすでに大臣の頭の中にあるわけですか。
  172. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 御承知のように、昨年暮れにソ連は最高幹部会令によりまして二百海里宣言をやったわけでございます。すでに二百海里はしかれておると、こういう立場をとっておるようでございます。一方、御承知のように、日ソの間には日ソ漁業条約というものが存在をいたしております。そこで、新しい幹部会令である二百海里のこの事態と従来の日ソ漁業関係を規制する日ソ漁業条約、こういうものをどう一体かみ合わしていくかと、これからの日ソの新しい漁業関係の枠組みを決める必要があると、まあイシコフさんのお話を端的にお伝えをいたしますと、日本の漁業の責任者である私とイシコフさんが会うことが新しい時代の出発点である、それなくしては今後の漁業交渉に入れないと、こういうことをおっしゃっておるわけでございまして、いつもの場合でありますと、日ソ漁業交渉が煮詰まってまいりまして、最終段階において必要があればイシコフ大臣と農林大臣が会うというのがいままでのしきたりであったわけでありますが、今回はそのような状況で私がイシコフさんに会いまして、新しい二百海里宣言をした事態を踏まえて、これからの日ソ漁業交渉の枠組みについてお話し合いをすると、こういうことに決意をしたわけでございます。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵大臣、先ほど農林大臣からアメリカへの入漁料の話があったんですがね、総額二十億、まあ今後その他にも生ずるでしょうけれども、これに対する融資ですね、また中小漁業者への助成措置などについて、具体的に対策をすでに講ぜられていますか。
  174. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) 今回の漁獲割り当て量及び入漁料は当初の予想に比べましてわが国に有利に決定されてはおりますけれども関係業界にはなお少なからざる影響を及ぼすこと等も考えられますので、農林省とも十分協議をいたしまして適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  175. 和田静夫

    和田静夫君 そういう答弁だとすると、これ農林大臣ですかね、二百海里漁業専管水域の設定に伴って日本への割り当て量がアメリカから通告をしてきたんだが、これの評価自身はどうなんですか。
  176. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 私は、一番最初に締結をいたします日米漁業交渉、この成果というものは、今後の他の国との交渉におきましても一つの重要な下敷きになる、まあこう考えまして粘り強く交渉を続けてきたわけでございます。その結果は、当初予想いたしました実績の三〇%ないし二〇%の削減はこれは避けて通れないのではないかということが、どうにか一一%程度の削減でとどまったということは、これは日米の長い間の友好関係の上に築かれたものであり、また国民的な御支援の結果でもあると、このように考えてはおります。しかし、いずれにしても入漁料も払わなければなりませんし、向こうの監視船の監督下で厳重な規制のもとに操業もするということで、なかなか内容的には厳しいものであると、こう考えております。そこで、これが魚価にストレートに反映をするということになりますと、消費者である国民の皆さんにも大変負担になるわけでございますので、また、石油ショック以来日本の漁業経営は非常に苦しい立場に立っております、その上に入漁料の負担もあると、まあこういうようなことで、今回の漁獲量の削減、こういうものがもうもろに一挙にこれが負担としてかかってくるというようなことは何とかこのショックを軽減するような措置を講じてほしい、こう考えておりまして、大蔵大臣ともせっかく御相談をしておる、適切な措置を講じたい、こう考えておるわけであります。
  177. 和田静夫

    和田静夫君 その適切な措置は当然講ぜられなきゃならぬのですがね、いま御協議になっているその適切な措置を講ずる結論を出される時期ですね、いつごろまでに、これは大蔵大臣の方、取り運ぶつもりなんですか。
  178. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) このような措置の実施時期につきましては、米国二百海里水域法が本年三月一日から施行され、入漁料の支払いが前払い制となっていることから、五十一年度中に行う必要があると考えております。
  179. 和田静夫

    和田静夫君 続けて大蔵大臣。こういう情勢の結果魚の値上がりが非常に心配されるわけですが、値上がりをどういうふうにまず予測をされていますか。
  180. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) 今回のアメリカの漁獲割り当てを見ますと、一部魚種を除きましてわが国の伝統的実績尊重に関する主張もかなり取り入れられた割り当て内容となっておるため、わが国総漁獲量としてはこれまでの漁獲実績を大幅に下回らないこととなったので、このことによる水産物価格に対する影響は比較的少ないものと思われます。しかしながら、今後わが国遠洋漁業をめぐる国際環境は一段と厳しさを増してくることは避けられない……
  181. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 大蔵大臣がおっしゃったとおりでございますが、しかし、漁獲量が一割にせよ削減をされるわけでございますから、農林省といたしましては、この貴重な漁獲物はできるだけ最高度に加工あるいは保蔵、流通の問題等を改善をいたしまして、これが有効に国民生活に寄与できるようにいろんな施策を強化してまいりたいと、このように考えております。
  182. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) ちょっと途中で抜けましたが、いま農林大臣言われたとおりでございますが、要するに、そのことによりまして一段と厳しさを増すことは避けられないと見られるので、水産物の需給と価格の安定を図っていくために、沿岸漁場の整備だとか、あるいはサバ、イワシ等多獲性の魚の食糧消費、利用の拡大及びその加工利用技術の開発等について農林省とも十分協議して、遺憾なきを期したいと考えております。
  183. 和田静夫

    和田静夫君 いま出ました沿岸漁業の問題ですが、沿岸漁場の整備開発に七年間で二千億円、こういう投下計画があるようですが、これはどういう事業で、これによってどのくらいの漁獲増大を見込むんですか。
  184. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 私どもは海洋法会議の動向をにらんでおりまして、どうしても海外の漁場でとっております約四百五十万トン近い漁獲は相当量削減を余儀なくされる、これをカバーするためには、日本列島周辺の沿岸沖合いの漁場の整備開発を図る、あるいは深海その他の新しい漁場の開発を図る、そうして特に沿岸漁場開発整備によりまして資源をふやし、また栽培漁業等を盛んにしてそして海外で削減されます漁獲量を補完していきたいということで、五十一年度予算で二千億七カ年計画という沿岸漁場整備開発事業を公共事業として実施をすると、こういうことにいたしたわけでございます。  この栽培漁業、これは非常に各地とも成果をいたしておりまして、この投資によってどれだけの漁獲増を期待できるかということは、水産庁長官から御説明をさせることにいたしますが、専門家の研究によりますと、日本列島周辺に二百メーターよりも浅い部分、端的に大陸だなと申しますか、そういう海域が三千万ヘクタールあると言われております。現在増養殖その他に利用されておりますのは百五万ヘクタールないし百十万ヘクタール、こういう状況でございますが、これをせめて三分の一の一千万ヘクタールを開発利用するということになれば、将来沿岸の漁場で一千万トンの増産も可能であると、これ専門家が指摘をいたしておるところでございます。私どもはそういう方向を目指して第一次漁港整備計画、第二次漁港整備計画、逐次これを積み上げていきまして沿岸の漁場の開発と沿岸漁業、沖合い漁業の振興を図っていきたい、このように考えております。
  185. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) それでは、現在計画いたしております七カ年二千億円の沿岸漁場開発整備事業の成果等についてお答えいたしますが、現在この七カ年計画が完成いたしますと、私どもの計算では大体千二百平方キロぐらいの漁場が整備されるというふうに計算をいたしております。この開発事業と、さらに先ほど大臣からお話ございました栽培漁業の振興というものをあわせますと、現在の技術段階でははなはだ残念でございますけれども、大体六、七十万トン程度というふうに考えております。  今後の問題といたしましては、先ほど大臣がお答えしましたように、周辺の大陸だな等を積極的に開発するためには、さらに技術的に解決を要する問題等がございますので、それらをさらに急速に進めまして、私どもはこの増殖事業といいますか、漁獲量増大をさらに急ピッチに上げるという方向で努力をいたしたい、かように考えております。
  186. 和田静夫

    和田静夫君 これ一言だけで農林大臣結構なんですが、二百海里水域関係所要予算をちょっともらいましたので、この二百海里対策ということも踏まえて、今度の予算を大蔵との関係では農林大臣はどう評価されているのですか。
  187. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) この二百海里対策というのを広い意味で考え、また狭く直接な予算と、こういうぐあいに分析ができると思いますけれども、まず第一に、実績の確保ということで漁業外交を積極的に展開をしたい、特に二国間交渉、これを粘り強く展開する必要があると、こう考えております。そのためには、場合によりますれば大型の交渉団等の派遣も考えていきたいし、民間の業界が相手国の地域管理委員会等との接触も濃密にしていただく必要があろうと、こう考えております。大型の交渉団の派遣等におきましては、遠洋漁業ではやはり乗組員の方々の雇用問題、こういう問題も含んでおりますので、この交渉団の派遣等におきましてはそういう点も十分配慮してまいりたい、このようにも考えておるわけでございます。  それから、日米の交渉結果では先ほど申し上げたとおりでございますので、大きな減船、整理というようなことは回避することができたと考えております。しかし、どうしても削減をせざるを得ない漁船につきましては、海洋水産資源調査センターの方でチャーターをして今後の資源調査に当たらせる、あるいは南方の漁場に漁場転換をするとか、できるだけ減船によるところの損害、影響というものを軽減するような配慮をいたしておるわけでございます。  なおまた、これが日ソ交渉その他これからあるわけでございますが、相当の減船等が出てくるという事態もこれは予想されるところでもございます。そういう際におきましては、年度内にもいろんな救済措置予算措置というものを講ずる必要がある、こう考えておりまして、この点につきましては五十二年度予算には、具体的にそういう事態が起こっておりませんから、予算要求はいたしませんでしたけれども、そういう事態が発生いたしました際には、大蔵大臣と協議をしてできるだけの善処をすると、こういうことも両者の間で了解をいたしておるところでございます。
  188. 和田静夫

    和田静夫君 二百海里問題で大蔵大臣、準備室が農林省の中に設けられたわけですが、国内対策が、中小業者の育成など物価対策などではこれは一本化した体制がどうもないように見えるんです。今後そういう点非常に重要になってくると思っているんですが、大蔵大臣としてはどういう所信をお持ちですか。  それから農林大臣に、御存じのとおり北陸地方大変な雪害であります。もう災害と言っていい、単なる雪じゃない、当然融雪害などが予想されますね。これはきょうの法案との関係もありますが、十分これらが起きた場合の補償というのはお考えになっていましょうね。
  189. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 二百海里の水産状況ということのもとでの今後の物価対策でございますが、先ほど大蔵大臣からもお答えを申し上げましたように、関係の各省で連絡をとってやっていくわけでございます。物価につきましては経済企画庁が各省の調整をとっております。経済企画庁と関係の諸官庁ないし私ども財政を扱っております大蔵省、相互に連絡をとって遺憾なきを期してまいるということはもとよりであるというふうに考えております。
  190. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 北陸、北海道その他の豪雪の被害、これは相当深刻なものがあろうか、こう思っております。国土庁を中心に被害の状況の把握に努めておるところでございますが、農林省としても地方農政局その他を駆使し、また県当局とも緊密な連絡をとりながら被害の状況の把握に努めておるところでございます。現在のところ十億数千万円程度の被害があるという報告を受けております。しかし、農業関係の被害は融雪時に相当顕在化してくるわけでございますから、農地あるいは林地あるいは農道、林道、さらにまた農業のいろんな施設がございます。施設の被害、そういうものに対しましては、できるだけ敏速に災害の査定もいたし、必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。なおまた、いろんな金融措置その他等につきましても十分配慮する必要がある、こう考えております。
  191. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは最初に大蔵省に伺いたいんですが、ことしはこれだけの災害が起きている、そのために冷害そのほかでこんな、農業勘定で四百五十三億、果樹で五十八億というような巨額な繰り入れをしなければならなくなったわけですが、ことしと同じ災害、冷害があった場合は来年五十二年にはどのぐらい繰り入れなければならなくなりますか、全く金額は同じとして。
  192. 高橋元

    政府委員(高橋元君) いろいろ前提をおかないと出てまいらないことでございますが、五十二年度予算では五十一年度で使っておりました掛金率を過去の二十年の被害率により見直しをやっておりますので、五十二年度予算に基づきまして私どもいますぐお答えできませんですが、どのくらいの不足になるかはおよそ推算をいたすこともかなりむずかしいかと思います。恐らく本年度不足を生じました七百数十億という金額まではいかないかもしれませんですが、それにしてもかなりの金額の不足は生ずるであろうというふうに思います。
  193. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは仮定の質問ですからあれですが、計算をして後で見せていただきたいと思います。  それから、気象庁の長期予報課長さんに来ていただいたんでちょっとお伺いしたいんですが、先ほど農林省の答弁で高緯度地域の寒冷化、それから南北の温度差の拡大、こういうようなことでこういうようになったと。昨年は御承知のようにヨーロッパは干ばつ、非常に干ばつになりまして、日本はことしは冷害である。ブラジルの方は霜が降ったというように、全世界的に気象異常が起きているわけですけれども、一体ことしはこういうような農業共済、いままでの例にないほど再保険の繰り入れをしなければならなかったという事態が発生しているわけですね。一体これは先々これが定例化してずっと何年も続くのかと、新聞等ではそういうような記事が出ておりますし、そういう長期的な予報、一体こういうような地球全体が氷河期に入ったんではないかという声もある。それならそれなりの対応というものをわれわれ議員の方も考えなければならない、国会の方も考えなければならぬと思いますので、その点についてどういうように予報されているのか。ことしも異常な寒波がやってきて、いまだに三月の半ばを過ぎなければ春が来ないというような予報が出ておるようですけれども、こういったことが来年も再来年もその次も続くのかどうか、その点ちょっと長期にわたっての異常気象の状態についてどういうふうな見通しを持っておられるのか、ちょっとお伺いしたいのです。
  194. 青田孝義

    説明員(青田孝義君) 昭和四十九年の三月に気象庁は、「近年における世界の異常気象の実態調査とその長期見通しについて」という調査結果を発表しましたが、その中では、主に地球の特に北極を中心とした寒冷化に伴いまして、異常気象がここ十数年は頻発するだろうと。その異常気象といいますのは、特に低温とか干ばつ、そういった種類のものが、時と場所は変わりますけれども、世界の各地に起こるんではないかというようなことを発表しております。その状況は現在でも変わっておりません。  ただ、いま御質問にありましたようなことしは冷害がどうか、来年はどうかということになりますと、傾向的にはそういうことは言えますけれども、その点はもう少し詰めないと何ともお答えしようがありません。現在、三月十日発表ということでいろいろな資料を分析検討しております。ことしの夏については、ですから三月十日までに何とか結論を出したいと思っております。そのいろんな資料と申しましたが、資料のうちでもよい資料と、ことしの夏はよいんじゃないかという資料と、いや悪いという資料とがあります。そのうちの二、三申し上げますと、ことしの夏はよくないという資料には太陽の黒点が一つあります。太陽の黒点の極小期には、統計によりますと、九〇%ぐらいの確率で冷害が起こっております。太陽の黒点の極小期は、これは予想になりますけれども、去年だというようなこともありましたけれども、いまの活動の状況を見ますと、ことしかあるいは来年に延びはしないかというふうにも考えられます。したがって、まだ太陽の黒点の極小期は脱していない、ということは、かなりの確率でもって冷害の起こるおそれがあるんじゃないかと、そういうふうな資料もあります。  ところが、一方では、いやそうじゃないという資料もあります。それはたとえば秋の循環のうちで特にシベリアのたとえばウラル山脈、あの辺の付近の気圧配置を見ますと、これは来年の夏はそう悪くないんじゃないかというような資料であります。そういう資料もありますので、いまいろいろな資料を、最新の資料を集めまして、とにかく三月十日までに何とか結論を出そうじゃないかということでいま検討しております。特にことしの冬のような、戦後初めて、三十二年ぶりの寒冬という現象がこの夏に何らかの形で影響するだろうと思います。そういうことも含めましていま検討しております。ただ統計的には、寒冬の次の夏は冷夏であるというようなことは言えません。また統計的には何にも関係ありません。ですけれども、こんな異常な寒波のときには何らかの形で、それはいい面か悪い面かわかりませんけれども関係するんじゃないかということで、現在それも検討しておりますので、結論はまだ申し上げられません。以上です。
  195. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの、世界各地の状況は変わらない、それで日本の場合は三月十日まで分析、検討していると。よくないという点から言えば九〇%冷害の可能性があるし、黒点の上でです。それからよいというのでいけばそういうことはわからないと、こういう御意見なんですけれども、そうすると、ことしのような極端ないままで寒かった、こういう例、これが夏に響くというのは、そういった前例はいままであるんでしょうか。
  196. 青田孝義

    説明員(青田孝義君) たとえば明治三十五年がそうです。大寒冬です。それから大正二年も大寒冬です。それから昭和二十年。この年はいずれもその年の夏は大冷害となっております。ところが大正十二年、これも大寒冬なんですけれども、その夏はいい夏です。それから昭和八年も大寒冬なんですけれども、この年は冷害ではありません。そういうことで、あるときにはよくなり、あるときには悪くなるということで、統計的には有意な差はないわけです。しかし、何かこうつながっているはずですから、その辺のところはいろいろな資料を使いまして、これからの、夏はやはり秋から冬、春を経て夏になるんですから、これを、いろいろ経過を検討しまして、何とかりっぱな予報を出したいと、こういうように念願をしております。
  197. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの長期予報課長のお話でも、公算はかなり強いと見なきゃならないと思うのですね。それだけに先ほどから共済問題について、いろいろ掛金の問題であるとか、あるいは三割、二割の足切りの問題であるとかと出ておりますけれども、そういう点の改善は、本当にこれは取り組んでいかないとえらいことになってくるのじゃないかという気がするのですけれども、この点農林大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  198. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 農業共済制度の改善につきましては、さきの国会でも、国会の御審議をわずらわして相当の改善をしたところでございます。一筆方式の三割の足切りという問題もございますが、農家単位の方式もございまして、二割とか一割とかいうような給付もできるような制度も、皆さんのおかげででき上がっておると、こういうことでございまして、今後の問題につきましては、なお引き続き検討はいたしますが、当面、この適当な運用によりまして対処していきたいと、このように考えております。  なおまた、昨年の冷害の体験を十分私ども生かし、また反省をいたしまして、適品種の選択でありますとか、あるいは土地改良等の問題でありますとか、温水並びに灌漑排水等の問題でありますとか、あるいは適期に移植をするという問題でありますとか、土地づくりということなんかにも力を入れ、また、新しい耐冷性の品種の研究開発、そういう方面にも十分努力をいたしまして、できるだけこの冷害に対抗できるような対策を講じていきたいと、このように考えておる次第であります。
  199. 渡辺武

    ○渡辺武君 先ほど大臣、ソ連のイシコフ漁業相に会われるということをおっしゃいましたが、その交渉の内容ですけれども、どんな方針で臨まれますか。
  200. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) お会いをして向こうの考えをお聞きしませんと、いまここであらかじめ予断の上に立って方針を公式の場でお示しをするということはいかがかと、こう考えておりますが、しかし一番肝心な点は、新しい二百海里時代、そして一方におきましては日ソ漁業条約、こういうものもあるわけでございます。これをどういうぐあいに扱って今後の日ソ漁業交渉の枠組みを決めるか、これが非常に大事な問題だと、こう考えておりますし、なお三月十五日ころから始まりますところの日ソの漁業交渉、これはことしの、今年度の出漁を決める内容のものになるわけでございます。何とかしてこの今年度のサケ・マスあるいはカニ・ツブその他の漁船団が漁期を逸しないように出漁ができるように話し合いをしたいものだと、こう考えておりますし、もとより今日までの日本の実質的な実績というものを確保するように、そういう点に重点を置いてお話し合いをしていきたい、こう考えておる次第であります。
  201. 渡辺武

    ○渡辺武君 昨年の暮れだったと思いますが、私どもの党が全漁連の幹部の方と懇談しましたときに、北洋水域については共同管理方式というのはどうだということを提起したのです。全漁連の方々も非常に興味を示されて、これは検討に値するという御趣旨のことを言っておられたのですが、ソ連に対してそういうことを政府として提起するおつもりがあるかどうか。
  202. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 国際漁場という場合には、共同管理方式というようなことは一つの有力な考え方だと、こう思っております。ただ、すでにソ連は二百海里というものを幹部会令によって設定をしておる。これはもうすでに御承知のように、漁業専管水域の原則は余剰原則と、こういうことになっておりますので、その辺と、日本の今日までの実績、これをどういうぐあいに理解をしてもらい、ソ連側も妥当な実績確保の実現を期するか、そういう点が非常に重要な問題になろうかと思っております。  この二百海里の外の国際漁場という場合におきましては、共同管理方式などということも一つの……
  203. 渡辺武

    ○渡辺武君 オーバーラップしますからね。
  204. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) この点につきましては、オーバーラップするところもございますが、しないところもございます。いろいろ態様がございますのでよく研究していきたいと、こう考えております。
  205. 渡辺武

    ○渡辺武君 先ほど、大臣お見えになる前に、この農業共済の先ほどもおっしゃいました三割の足切り、あるいは農家単位の場合は二割の足切り、これを一筆方式の場合は三割から二割にと、農家単位方式の場合は二割から一割へと、この程度に下げることが、いまの農民の要求や実情に非常に沿った道じゃないかという趣旨の御質問を申しました。何分にも昨年約四千億円の被害があって、農民の実際の負担になったのは三千億、補償部分というのはほんの少ないのですね。非常に強い要求なんです。いろいろ昨年改善がありましたね。あったけれども肝心の足切りの問題については全然手がつかなかったということなんです。なお、これは急ぐ必要があると思うんですけれでも、やはり検討していただきたいと思うのですけれども、これが第一点。  それからもう一つは、農業共済で実際末端で苦労して働いておられる損害評価員、それから共済連絡員ですね、これに対する政府補助の単価が余りに実情からして低過ぎるんですね。五十二年度からは四割上がるというお話しですが、それでも千二百七十円にすぎない。ですから農業共済の方が、農民の掛金の中からこれを補てんするということをやっているんですね。全国平均で言いますと、損害評価員の場合は五千三百六十一円、共済連絡員の場合は四千七百六十九円と、かなりの負担をしているんですね。ですから、そういうことにならぬように、やっぱり国の補助単価をもっと引き上げて、少なくとも一万円くらいのところまでは引き上げる必要があるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  206. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 一筆方式の三割足切りの問題でございますが、この点につきましては、前回の法改正で選択的に農家単位のものもできるようにいたしましたわけでございまして、これを農民諸君の理解と協力を得まして、この制度をまず活用するということに努力をしてまいりたい。しかし、これは先生指摘のように、非常に被災農民にとりましては重要な問題でございますから、なお今後とも検討してまいりたいと、こう考えております。  また、そういう末端の仕事をいたします方々に対する補助が低いではないかと、こういう御指摘でございますが、この点は五十三年度予算の編成の際等におきまして、大蔵当局とも十分頭に入れておきまして交渉もして、話し合いもしてみたいと、こう思います。
  207. 渡辺武

    ○渡辺武君 昔は岡山県、いまは熊本、福岡、大分から四国の高知県に至るまで畳表をつくるイグサがずっとつくられているのですね。で、これは農業共済の対象作物になっているのかどうか、これを伺いたい。
  208. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 農業共済の対象にはなっておりません。
  209. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、その現地の農家の方々に聞きますと、何しろ農業共済に入ると掛金は高いし、それで災害に遭っても十分補償されないんでということで、かなりしり込みをするような意見もありました。やっぱりひとつイグサ生産の実情を農林省十分つかんでいるのかどうかという点も疑問になるわけですね。その点十分把握しておりますか。
  210. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 共済の関係につきましては、私どもから先に御説明をいたしますが、イグサにつきましては、昭和四十五年度から地域特産物の保険制度の調査対象品目に取り上げまして、農家の意向の調査でありますとか、被害状況というふうなものの調査を行ってきたわけでございますが、いろいろ被害率につきましての変動が大きいとか、あるいは料率算定に必要な基礎年数が足らないとかいうふうな問題のほかに、損害評価の面にもいろいろ問題がございますので、共済制度をしくには、さらに調査、検討を続けていきたい、私の方はさように考えておる次第でございます。
  211. 渡辺武

    ○渡辺武君 このイグサの生産ですけれども、これは一番寒いときに植えつけしまして、一番暑いときに刈り取るのです。大変な重労働なんですよ。ところが、米はもう田植え機までできているのに、イグサの場合は刈り取りから植えつけから全部手でやっている。機械化が非常におくれているという点があるのです。  それからもう一点は、値段がこう乱高下するのですね、だから農民の間からはイグサの需要がどのくらいかというようなことを農林省が発表してくれれば、それに応じたような生産ができるんだというような意見もあるんですね。同時に、岡山がしにせなもんですから、それで、熊本の八代その他でとったイグサも全部一遍岡山へ集めて、それから売ると、こういうような形で流通機構が非常に不整備なんです。それこれありまして、これらの問題を解決するために国がイグサ振興のための特別な法案をつくってくれないか、そしてイグサ振興のための対策を講じてほしいという要望が非常に強いんです。ひとつ検討していただきたいと思うが、どうですか。
  212. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) イグサの生産の安定の問題につきましては、中国農政局あるいは九州農政局等で十分実情を把握いたしまして、たとえば省力化、機械化の導入の問題でありますとか、いろんな面で改善をいたしますように指導してまいりたい、こう考えております。  法律の作成が必要であるかどうか、これらもそういう現状を把握した上で十分考えていきたい、こう思っております。
  213. 田渕哲也

    田渕哲也君 農業共済保険の再保険の一般会計からの繰り入れの特例につきましては、これは当然必要なことだろうと思いますし、賛成するものでありますけれども、ただ、大臣に一つお願いしたいことは、片や世界的に資源の有限時代に入っており、しかも、先ほどからいろいろ論議されておりますように、わが国のたん白源である水産資源というものがきわめて大きな制約にさらされておる、こういう中で食糧の自給率の引き上げというものはきわめて重要な課題だと思います。そして一方では高度成長のいわゆる挫折によりまして、財政的にも非常に苦しくなっておる。私は、農業におきましてもただ単に厚い保護を加える、補助金を出せばよい、そういった発想から転換すべき時期だと、このように考えるわけです。したがって、より大胆な構造改革というか近代化というものに取り組んでいかなくてはいけない。それから作物につきましても、その転換についてより計画的に取り組んでいく必要があろうかと思います。  そういう観点から、この共済保険制度について申し上げますと、やはり農家の人たちの努力が正当に報われるという制度にしなくてはならない。ただ単に厚い保護を加えたらいいということではないと思います。やはり一生懸命働いておる——ただ、農業というものは天候に左右されたりあるいは災害というものを受けたりしやすいから、不運な人に対して幸運な人がそれを補償する。それに対して国家の補助というものも必要でありましょう。そういう観点から、私はこの共済保険の運用の仕方についてより改善を加えていただきたいと思うわけであります。  先ほどから、この足切りの問題も出ておりますけれども、たとえばこの足切りで一筆単位方式ですと三割までの被害がなければ一銭ももらえない。三割被害出た人も三割の被害にとどめるために一生懸命努力されたかもわからない。その人も、今度は全損の人も全く同じ収入しか理屈の上からは得られない。私はこういうこともこれでいいんだろうかという疑問を持つわけです。だから、その被害を受けた場合には被害を最小限に食いとめる努力というものがやはりなされておるでありましょうし、そういう努力というものはそれなりに報われなければならないと思います。だから不時のいわゆる不運な人に対する補償を当然しなければなりませんけれども、同時にその努力に対する見返りというものも必要であろう。そういう観点から、私はこの足切りとこの補償率の問題ですね。やはり再検討する必要があるのではないかと思います。  それから、無事戻し制度につきましても、やはり災害がなければ幸運だということもありますけれども、私はそれなりに農家の人も努力しておる場合が多いと思うんですね。やはり冷害の被害を受けない種類を選ぶとか、あるいはそれなりの対策とか、そういう努力が実って三年間保険の給付を受けなくて済んだという場合も多いと思うんです。そういう面で私は無事戻し制度というものについてもより合理的に、より充実した制度にする必要があるのではないか、こういう面でこの制度の改善ということに積極的に取り組んでいただきたいと思うんです。  以上、意見も交えて申し上げたわけですけれども大臣のこれに対する決意のほどをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  214. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) 足切り制度の問題でございますが、軽微な被害につきましては、農民諸君の御努力によってこれを吸収していただく。また、モラルリスクの問題もございますのでございますが、そういう点はございますけれども、しかし、この共済制度を今後とも充実してまいるということは非常に生産農民にとっては重要な問題でございますので、前回の改正にとどまらず、今後とも引き続き検討を加えてまいりたい、このように考えております。
  215. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農業共済保険特別会計における農作物共済及び果樹共済に係る再保険金支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金等に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  217. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  219. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 一午前に引き続き、昭和五十一年度水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案議題といたします。  この際、委員長として一言つけ加えます。  昨年も前委員長より申し述べましたが、わが国の食糧自給必要性が大きな政治課題とされている折から、政府は、今後の農政進展に即応し、各種奨励補助等の施策及び税制上における必要な特別措置あり方について来年度以降速やかに真剣にかつ具体的に検討すべきものであると理事会において各党一致の意見が確認されましたことを重ねて申し述べます。  坊大蔵大臣
  220. 坊秀男

    ○国務大臣(坊秀男君) ただいまの委員長の御発言にありました御要望につきましては、政府といたしましても、過去の審議の経緯を十分配意しながら引き続き真剣かつ具体的に検討を重ねてまいる所存でございます。
  221. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 鈴木農林大臣
  222. 鈴木善幸

    ○国務大臣鈴木善幸君) ただいま大蔵大臣から御発言のとおり、過去の審議の経過を十分配慮しながら、引き続き真剣かつ具体的に検討を重ねてまいる所存でございます。
  223. 安田隆明

  224. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 衆議院大蔵委員会におきましても、ただいまの委員長の御発言につきましては、過去の審議の経緯を十分配慮しながら、引き続き真剣かつ具体的に検討を重ねてまいる所存でございます。
  225. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は順次御発言を願います。別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  昭和五十一年度水田総合利用奨励補助金についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  227. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 安田隆明

    委員長安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十六分散会      —————・—————