○内藤功君 私は、安宅
産業と伊藤忠の業
務提携、それから会社合併という問題に関連をして、
労働問題として
労働省当局はどのように認識をし、またこれからの対応を
考えておられるかという点についてお尋ねをしたいと思うんです。
この安宅
産業と伊藤忠の業
務提携それから合併ということが言われていますが、私はいろんな
資料をずっといままで調べてみた、社内の文書もずっと調べてみましたが、いわゆる会社間の合併というような
実態よりも、これはもう被合併会社である安宅
産業をいろんな部門別に、たとえば鉄鋼とか化学とか建材とか繊維とか、あるいは工作機械とか不動産とかいういろんな部門がありますが、部門
ごとにばらばらにして解体して、そうしてそのある部分は伊藤忠に吸収していく、ある部門は今度は期限つき、
条件つきというんですが、結局は手放すんだと思うが、期限つきで吸収していく、そしてある部門
——これが相当多いんですが、これはもう切り捨てていく、別の会社をつくるとか、あるいはもう企業としてよそに身売りしてしまうという形で、もう切ってしまう、こういういわば解体ですね、企業の解体を行っていく、これがもう
実態に一番合っているんだと。そうして、それをやっていく上で相当大量の、これか二が
労働省の問題であるが、人員整理というもの州安宅
産業に働いておられる方、それから関連企業、下請企業の従業員私の
考えでは約二千四百人従業員がおられる。それから関連企業は百数十社、二万人に及ぶだろう。こういう人の人員整理。つまり、その人の個人と家族を入れたら、六、七万人の人に及ぶ生活の問題になってくると思う。昔、三井三池の争議がありましたんですが、これは千二百人の首切りで、大問題、大ストライキに発展した。それに比べると、二千四百Aの従業員と二万人の下請
労働者の命の問題でありますから、これはもう社会問題だ。社会問題に必ず発展するというように思うんです。私はいまずっといろんな
資料を調べておりますが、幾つかの特徴があるんです。幾つかの点を言うと、一つは安宅
産業のこの
事態を招いた原因は、大きな原因、最も大きな原因は、NRC
——ニューファンドランド・リファイニング・カンパニー、このカナダの企業に対しまして安宅
産業の子会社、安宅アメリカが住友銀行から融資を受けてそこに金を貸した。その融資が約一千億円
——三億四千万ドルというものが、約一千億円というものが焦げついてしまった。これがだれがそれに原因があるのか。安宅
産業だけが責められるのか。それとも、金融筋に原因があるのか。どうして二年数カ月の聞こういう多額の、一千億円に上る焦げつきをどうして二年有半放置していたのか。その途中でなぜチェックしなかったのか。担保は一体どうなるか。そこに日本の政治家や政府は絡んでいるかどうかという実は大問題がある。しかし、これはきょうここでは直接の質問の材料にはしない。つまり、ぼくの言いたいのは、そういうような背景は
労働者、働く人たちには何の責任もないことなんです。そういう問題でいま人員整理がされようとしている。これが一つの問題。
それから二番目は、さっきぼくが言った二千四百有余名の従業員と二万名の関連下請企業の人たちが路頭に迷う、これが二点目です。これは大きいです、規模としては。もしこれが小さいという感覚だったら、ぼくは
労働省は大問題だ。
三つ目は、今度はもう予想される、それ自体がもういまから予想されるということなんです、確実に。五月の末にあれでしょう合併の正式本調印、十月一日に合併しようというんでしょう。それで、その間私は社内のいろんな文書も見ましたですよ。みんなとにかく人員整理が必要だという
方向へ向かって動いてきた。
以上、私は三点、その原因は
労働者にないこと、二番目は数が多いこと、三つ目はいまから予想されること、この三つをとりあえず特徴として言った。ほかには、政界が絡んでいる疑いのあること、それから大蔵省、通産省がこの合併にゴーのサインを出していたという問題もあります。しかし、これはきょうは言わない。こういう特徴のある人員整理がいままさに行われようとしておるときに、
労働省は一体どういう姿勢をとるべきなのか。やはりこれを詳しく
調査をして、そうして詳しく
調査をして、いやしくもこの社会問題として大きな解雇や人員整理の問題が起きないようにあらゆる手だてを尽くして、いまからこういう
労働者の路頭に迷うようなことのないように、十分な態勢をとっておかなくちゃ
いかぬと私は思うんですよ。
争議が起きて、そして首切りが出てきてから、たとえば保険でもって救えばいい、社会保障で救えばいい、これじゃだめなんです。これじゃ
労働省の意味はない。それなら保険屋になればよろしい。保険屋さんのやることなんです。それはそうじゃない。事前にどういうふうな姿勢でやるかという点を、私は
労働省当局のお
考えをしかとまず承っておきたいと思うのであります。