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参考人(
佐羽達也君)
全国保険医団体連合会の
幹事をしております
佐羽と申します。川崎で
内科を開業しております。したがって私は、開業保険医の
立場からのこの問題に対する
意見を申し上げたいと思うわけでございます。
それで
委員の
先生方に
参考資料をお回しいたしましたけれども、時間の
関係上、これについて一一御説明は省きまして、私の発言の中にそれを要約いたしますので御了承をお願いいたしたいと思います。
まず最初に申し上げたいことでございますけれども、この
救急医療の問題は、現在確かに大変な問題になっております。しかし、一体
救急医療だけが果たして問題なのであろうかと。
一般の、いわゆる普通の
医療は問題ないのかということを考えてみますと、まあこれは後で少し詳しく申し上げますけれども、いろいろ地域的な格差は確かにございます。しかし、多くの
医師や
医療従業員が、地域の
患者さんの要求に対して本当にまともな
医療ができずに苦しんでいる
状態というのがたくさんございます。こういうような
一般の
医療の問題も実は一方で大変なのでございますから、この
救急医療の問題だけでない、この基礎になる
一般医療の問題を根本的に解決することが、
救急医療の問題に必要であって、
救急医療の問題の部分的な手直しというふうなことでおさまる問題ではないんだということをまず申し上げたいわけでございます。つまり、
救急医療というのは、
医療のいろいろな矛盾がたくさんございますけれども、そういう諸矛盾の噴火口のようなものじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。
さて、
救急医療が一体いつごろからこんなふうに問題になったのであろうか。私も開業しまして
相当年数たちますけれども、少なくとも十数年前では余り問題にならなかった。なぜだろう。
患者さんもいまよりも確かに少なかったです。そして
医療機関もやっぱり相対的に
患者数に比して余裕ございました、これは統計
ごらんになればわかりますけれども。したがって、われわれも夜起こされても、翌日多少ちょっと昼寝をしてもそういう疲労を補うことができたし、そういう余裕もあった。また休日、往診に呼ばれても、大してこたえるというふうなこともなかったというふうに、以前はなぜ問題にならなかったか、現在なぜこんなふうに大きな問題になったかと、その理由や原因を正確にとらえることが、まずこの問題の正しい解決にとって必要ではないかということを申し上げるわけでございます。
そこで、この問題がなぜこんなに大問題になったかということについての理由を、私は大きく分けて二つあると思うわけでございます。
その第一が人口のはなはだしい偏在の激化、つまり御承知のとおり、たらい回しというふうな救急の大きな問題は、特に大
都市周辺の人口急増地帯で起きていることは御承知のとおりだと思います。そういうことで、これはやはりいわゆる高度経済成長政策と申しますか、が始まったころじゃないかと思いますけれども、大体
昭和三十五年以降ぐらいにこういう、特にいわゆる太平洋ベルト地帯と申しますか、そんなふうな言葉もございますけれども、そういう方向に人口が集中してきた。そしてそれに対する相対的なやはり
医師とのアンバランスということが、やはり第一の問題になるんじゃないかと思います。
それから第二には、やはり
患者さんの、国民の側の傷病がやはり何といっても
一般的に言っても増加している。最近、厚生省の国民健康
調査が出ましたけれども、五十年度の人口千人
当たりの有病率が一〇九・九人ですね。四十九年度より八・七人多くなった。三十年には三十八人であった。三十五年には四十七人であったというふうな、非常に多くなったという結果が出ております。特に今度の発表でも、十大
都市が一二〇・八人と、
一般の一〇九・九人よりも非常に多いわけでございますね。こういう点がやはり大
都市なり大
都市周辺の大きな問題であろう。また昨年東京都でもって
患者調査をなさいましたときにも、二人に一人は健康に不安を感じているとか、訴えているとか、四人に一人は保健薬を飲んでおるというふうな報告もあるわけでございます。このように十
年間に二倍になるとか、あるいは国民が総半病人というふうな言葉もございますけれども、そういうふうな
状態ではどうしても
医療需要は必然的に増加するのはあたりまえであろうというふうに思います。そういうふえた傷病の
内容はどういうことかと、まあ労働災害とか職業病とか、それから精神、神経糸の障害とか、脳卒中やがんや心臓病等の成人病などの慢性疾患、あるいは先ほどもお話しの
交通事故とか公害病とか、特にやはりこういういわゆる死因の原因としての疾病名として挙げられない、いわゆる心のゆがみと申しますか、ひずみと申しますか、最近では例の青酸入りのチョコレートとかコーラとかいうふうな問題もございましたけれども、そういうふうな子供から大人まで心のゆがみというふうな問題が非常に多いのじゃないかというふうに思われるわけでございます。
そうして
患者側の問題の第三点は、やはり労働者、国民皆さんが
医療が受けにくくなっているという
実情があるかと思います。まあこう言っては何ですけれども、私の身近な問題として知っておる限りでも、やはり大企業では労働時間中になかなか
医者に行かせてくれない。行かしてくれても、せいぜい企業内の
診療所に行かせてくれるぐらい。簡単に休むことはなかなかできない。また、やむを得ず休んでも、二、三日たつと会社から
電話がかかってきたり、係の方が呼びに来られたりして、お迎えが来たりすると、どうしてもなかなか休めないというふうな話をよく聞かされるわけでございますけれども、まあ中小企業だって、最近倒産が非常に多うございますから、その
実情は大企業と同じように、なかなか
医者どころではないというふうなことだろうと思います。
私の友人が、私、川崎の北の方ですけれども、南部の工業地帯の方で開業しておる友人が、昨年のことですけれども、昨年の中ごろでしたかな、だんだん
患者さんがとにかく減ってきたわけですね。調べてみると、特に夕方の
患者さんが減ってきているということで、よく調べてみると、大工場が結局残業が多くなってきて、週休二日制が一方でありながら、それを埋めるためというのですか、残業が多くなっているというふうなことで、その人は五時半までたしかやっておったのが、七時まで延ばして何とか
患者さんの要求にこたえ、こちらも何とか収入を減らさずにしたというふうな具体的な事実もあるわけでございますけれども、まあ実際に夜起こされたり、あるいは往診したりしまして、実はけさから会社でぐあいが悪かったのだというふうな例もままございますし、それからひどいのは、一週間前ぐらいからもうぐあいが悪かったというのが珍しくないような
実情でございますね。こちらの
参考資料にも出ておりますけれども、休日
診療所の統計でも、急病をたてまえとしておるというところが多いのでございますけれども、そうとは認められないようなものが結局かなりあるわけでございます。これは先ほどの恩地先生のスライドにもそういうふうなことが出ておりました。
それから、もう
一つ基本的な問題で、いまの国保やそれから健康保険の家族が三割自己
負担ございますね、前は五割だったからもっとひどかったのですけれども、三割の自己
負担さえ低所得層にはやはり家計の重荷になるというふうなことが現実にやっぱりあるのでございます。現に私の
患者さんでも心臓の動脈硬化、いわゆる冠硬化症でございますね、の人が長くかかっているのですけれども、月に一度しか来ないんですよ。もっと来いと言っても来ないんです。一度だけで一週間分の薬、それも二週間分は要らないと、一週間分だけくれと、で、薬を結局飲み延ばしといいますか、やっていたんでしょうけれども、昨年心筋梗塞を起こして死んだわけでございますけれども、あと半年長生きすればちょうど七十になって、例の老人の
医療費の無料になって死なずに済んだかもしれないというふうなわけでございますね。まあ、そのほかいろいろかかりにくい
事情というのもございましょうけれども、たとえば非常に過密化して、安い庶民住宅を遠くにしか求められないというふうなことから、結局住宅の
事情による通勤の距離が長いとかいうふうなことが、当然
医者にかかりにくいことの
一つの原因でもありましょうし、それからまた、
夜間や休日の急病は、先ほどもございましたけれども子供が非常に多いんでございますけれども、いわゆる夫婦共働きですか、ということが非常に私たちの周囲でも多いんでございますけれども、昼間はどっかに預けておく、で、なかなかわからなかった、平日には気づかなかったというふうなことでもって、夜とか休日に担ぎ込まれるというふうな例も結構ございます。
それからもう
一つ、やはりこういう人口の偏在というふうな問題の中でもって、核家族化と言われる問題ございますね。そういう中でもって若夫婦が、特にお嫁さんがふだんだったらしゅうとからいろいろ教わるであろうような適切な育児指導ですか、そういうものはやっぱり受けていない、まあ、日本民族は大体代々そういうものを受け継いできたらしいんですけれども、そういうことがない。逆に老人がまた置き去りにされて、夜発作を起こして呼ばれるというふうなことが間々あるわけでございまして、まあこういうふうにすでにもう
患者さんが
医者にかかりにくくなって制限されているということがございますので、まあ今度は健康保険法の一部改正案が国会にも出されるわけでございますけれども、その中でもって初診時一部
負担が二百円から七百円になると、引き上げて受診抑制ですね、というふうな案がございますけれども、そういうことをしないでもすでにもうとっくに制限されているんだというふうな
状態ではないかと、こう私思うわけでございます。
それから次に、やはりこの原因の大きな二つ目としまして、
医師や
医療機関、まあわれわれの側の
問題点でございますけれども、第一に、やはり先ほど申し上げましたようなそういう人口急増地帯における住民の数と
医師数の相対的な不足ですね。
医師数の方がそんなに伸びませんから、人口みたいに。相対的不足。これは統計でもって、たとえば東京の付近で言っても埼玉とか千葉とか神奈川、そういうふうなところでは急に非常に人口がふえている。それに対して
医師数がアンバランスであるとか、これも統計でもはっきりしておりますし、なおこういうことは大きな東京とかいうふうな規模の問題だけでなしに、小ちゃな規模でもって団地とかニュータウン等に非常にやはりわれわれの周囲でも多いんですね。やはり政府や自治体が、まあ自治体は余り人口集中方針をとっておるんじゃなくて、政府がやっぱりそういうふうなことでもって結局人口集中しちゃって自治体かえって困っているのかもしれませんけれども、
医療を初め教育だとか
交通機関だとか、はなはだしきは下水道に至るまでそういう配慮を行っているということですね。これはやはり小ちゃな規模でも大きな規模でも同じじゃないかというふうに思うわけでございますけれども。
医師側の第二の問題は、やはり
医療体制の質的な弱体化と申しますか、そういうことじゃないかと思うんですけれども、これはやはり地域によって大分違いがございます。
地方と都会では大分違いますけれども、特に先ほど申し上げたような人口急増地帯では非常にこれは顕著でございます。
それで、資料の中にもちょっと出してございますけれども、昨年神奈川県
医師会でもって
調査しました。まず第一に、
病院の空き
ベッドの
状態でございますけれども、いわゆる許可
ベッドの数が四万七千
ベッドあるんですけれども、そのうち九千二百
ベッドが空床なんです。この九千二百のうち国公立の
病院が四千五百十六空床なんです。ですから、特にこういうところの
ベッドは
救急医療の第二次応需と申しますか、そういうあれにかかわりが深いわけでございますけれども、そういうものが空床になって実際には
ベッドがないと同じであると、つまり
ベッドがないと断られるというのは、実は
ベッド不足ではなくて、
ベッドを活動させる
医師、
看護婦等の不足ですと、これは
医師会の資料にその言葉どおりに私申しているんですけれども、そういうことですから、まあよく公的
病院の病床規制の問題が出ますけれども、どうも必ずしもこういう規制が原因じゃなくて、原因はその働かせる人間の方にあるんじゃないかというふうな感じさえいたします。
それから、その同じく神奈川県の
調査でも有床
診療所の無床化が三〇%に及んでいる。もうすでに
患者さん入院できなくなっちゃったのが三〇%。それからまた長年習熟した
専門科ですね。これはみんな
医者にとってはなかなか捨てがたいものでございますけれども、これを捨てて転科、つまり
内科から
外科、
外科から
内科にかわるというふうな転科でございますね。転科をしたり、やっぱり最近のうちに転科をしようと考えている人が四〇%もあるというふうなことが書いてございます。大阪府の
調査でも、産婦人科のお
医者さんが千人以上おられたのが現在では三百余名になった、大体は
内科等にかわっておられるわけですけれども、そういうふうな事実で、これはやはり
手術すれば
赤字になるとか、あるいは入院させれば
赤字になるとかいろいろお話ございましたけれども、そのとおりのやっぱり健康保険の現実なんでございます。
最後に、やはり無床
診療所の、特に外来だけの
診療所が非常にふえているわけでございますけれども、こういうところの
実情をやはり申し上げたいと思うんですけれども、実際いろいろ私たちも統計とっておりますけれども、なかなかいまの健康保険のあれでは
看護婦が雇えないわけですね。外来の看護料というのは全然ないんですから
看護婦が雇えない。結局夫婦二人だけ。われわれよく農村のあれみたいにリャンチャン
医療なんという言葉も使っておりますけれども、まあ夫婦二人だけ、あるいはお手伝いさん一人。お手伝いさんと二人でもって働いて、妻がときどき手伝うというふうな形もだんだんふえてきている、そういうところでは必然的に結局診療以外の仕事を
医者自身もたくさんやらなきゃならない。そういうことも統計とってみましたけれども、月末、月初めには例の健康保険の請求事務、これなかなか大変なものでございます。われわれは女性のメンスに対して、これは
医者のオンスだというふうなことを言う人もいるわけでございまして、これも健康保険からは一銭の手数料ももらえない
現状でございますね。それだけでもって
相当なれない事務もこたえるわけでございますけれども、そのほかにも税務計算から、はなはだしきに至っては消毒の準備から掃除までやっているという人が結構調べてみるとあるんでございます。ですから、結局多忙でもって過労になると、一番大切な勉強もなかなかとる時間もないと、これも統計でこっちに出ておりますけれども。夜の往診なんか重なりますと、もう実際に冬なんか特にそうですけれども、うちじゅうが、家族じゅう睡眠不足になっちゃうんですね。それでもう私の娘なんかも開業医はいやだというふうなことで、ほかの職業の人に嫁ぎましたけれども、そういうふうなことで、本当になかなか零細開業医にとっては大変なことだということなんでございます。
それで結局、いまの中で申し上げましたように、こういう弱体化の主な原因は、やはり健康保険
制度のまだ悪さということを考えざるを得ない。いまも申し上げましたように、
手術をしても入院させても
赤字になる、外来の看護料も請求事務の事務手数料も認められないというふうな、そういうふうなことでもって、まあ全体の
医療費のあれを抑えるというふうな方法、つまり社会保障の後退といいますか、そういうふうなことを何とかしてやっぱり改めていただかなけりゃならぬじゃないか。
特に健康保険の点数の中で、一点だけ大事なことを申し上げますけれども、この休日診療について健康保険のあれが非常に少なかったんでございます。それがこういう問題が大分大きくなってから、たしか
昭和四十九年だと思いましたけれども、結構、
相当この部分だけは上がったんでございます。しかし、その上がったというのが、日曜日にやっている人がだれにも上がったんじゃなくて、公に認められているいわゆる休日急患
診療所とか、公に認められている当番医のところだけしか認められない、そういうことで神奈川の中でも、それまでは地域の人々のためと思って日曜、実は午前中結構やっていらした方もあるんですけれども、本当にこれは結局常態として日曜に診療しているというんじゃ認めないというんですね。余りばかにしているということで日曜診療をやめてしまったという人さえあるわけでございます。そういうふうな矛盾がたくさんあるわけでございます。
あと一言
医者の方の問題として、先ほど恩地先生が
専門医のお話をなさいましたけれども、確かにおっしゃるような特別な
専門医も必要なんでございます。だけれども一方において、やはり医学、医術の進歩について、それは確かにいろいろ分野が分かれているから
専門化せざるを得ないんだけれども、まあよく
病院でもって夜の
専門医がいないからというふうに断わられたというふうな話ございますね。そういうことを考えますと、余りに全部が
専門医化しちゃっても困る。
アメリカでは最近プライマリーケア、初療というふうな日本語になりますか、が大分叫ばれまして、つまり
内容は
専門化した
一般医というふうな問題でしょうけれども、その養成が大分盛んになって、そういう人が大分出てきたと。これは先ほどの恩地先生の方の
救急医療のあれもその分野の
一つに入るのかもしれませんけれども、日医の武見会長もその必要を唱えておられますけれども、確かにこの問題を医学教育あるいは再教育の過程でぜひ取り入れることがやっぱり必要な問題ではないかというふうに思うわけでございます。
その次に、大体
先生方のお話でもってある
程度出ておりますけれども、開業医が救急あるいは休日診療に実際にどのように参加しているかということですね。こういう苦しい
状態にもかかわらず、実際には
相当参加しているんだということで、少し資料古くて五十年四月一日現在のあれでもって全国の休日急患
診療所を百六十七カ所ですね、現在もっとふえておりますけれども、この百六十七カ所というのはもう全部一〇〇%開業医が実際に診療を行っているわけでございますし、それから救急告示
施設、それから休日
夜間急患センター、これは五十年の十月の統計ですけれども、全国に四千七百四十一、そのうちに
病院が二千九百二十、
診療所が千八百二十一あるそうでございます。そのうちの
病院の二千九百二十のうち私的
病院が二千百十八、約七二・五%でございますね。それから
診療所の千八百二十一のうち千八百十七、九九・八%、ほとんど一〇〇%が開業医が実際にはやっているんだと。そういう特別な
施設以外にも、前よりもちろん少なくはなりましたけれども、実際われわれは結構うちにおりますときには、日曜でも
夜間でもいろいろ
患者さんの急患のあるときには診察しているんだと、それだからこそいまこの
程度でもって済んでいるんだという、少し言葉が変かもしれませんけれども、そういう気さえいたします。
最後に、私時間も大分たちましたので結論的なことを申し上げますけれども、保団連としては
救急医療問題についてはさしあたり三つの問題を主張しているのでございます。第一は国や自治体の
責任による救急休日
医療体制の実現ですね。第二には協力するやっぱりわれわれのような民間
医療機関に対する適切な補助がどうしても必要であると。第三には、特にいま問題になっている第二次、第三次の応需
医療機関をぜひやっぱり国や自治体の
責任でもって
整備していただきたいと。この第二次、第三次応需の問題がいま非常に各地でも困っておりまして、うまくいっているところももちろんあるんでございますけれども、こういう
病院と
診療所とのとかく日常的に競合する
関係がややもすれば多いんでございます。そういうことなしにやはり
患者を取りっこするといいますか、部分的にはそういうところもあるんでございますけれども、そういうふうなことでなしに本当に密接な連携のもとに、やはり救急の問題でもそのような二次応需、三次応需の
医療機関、
病院をどうしても建てていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、あと私は冒頭にも申し上げましたような、やはり根本的に解決するためにはやはりどういう問題が必要かということを改めて申し上げると、ダブるようでございますけれども、最初に申し上げた人口の偏在化とか
都市の過密化というふうなことがどうしても問題があるんじゃないか。それからいま労働環境、生活環境、そういうあらゆる場において健康を障害する原因が、これはもう具体的に言えば切りがありませんけれどもいっぱいある。それからさらに先ほど申し上げたように、いろいろ病気になってもなかなかかかれない、かかりにくくする、治りにくくするいろんな要因、こういうものをやっぱりこれは企業ともども考えていただかなければいけないんじゃないか。やはり
医療体制全体に病気になってからじゃなしに、ややもすると病気にかかってそれを悪くするというふうなことがいまの現在でございますけれども、そうじゃなくて、もっと予防に力を入れるということがやはり基本でございますし、それからやはり悪くなったら治療手段を保障するところのいまの健康保険
制度ですね、これはもちろん国民健康保険も共済組合のあれも含めてですけれども、やはりまともに
医療ができるような、あるいはわれわれ
医師や
看護婦が
医療従業員が本当にその仕事を喜んでできるような条件の
整備、具体的に言えばやはり診療報酬の引き上げ、これを国庫
負担でもってぜひ早くやっていただきたい。これについてまた詳しく申し上げると長過ぎますから、まあそういうふうなことをやっていただきたい。それで、やはりそういうことをやるには基本に国の社会保障重視というふうな、福祉や社会保障を重視するような政策をどうしてもこういう不況のときこそとっていただきたいということでございます。
結論として、言うまでもなく命ほどとうといものはないのでございますから、それでまた
医療というものは、そういうことを申し上げちゃ何ですけれども、本来金がかかるものだというふうに私は思います。