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政府委員(橋本
道夫君) いま
先生の御
質問のございました点につきまして順を追って御説明いたしてまいります。
まず第一に第三次規制でございますが、これはことしの二月に五十一年度の固定
発生源につきましての低NOx技術及び脱硝技術の防止技術の評価の報告をいたしまして、それに基づきまして、第三次規制の案をつくって現在通産省といろいろやっております。この
一つの特性は、三次規制だけを決めたらいいという問題では実はございませんで、
先生の最後の方の御
質問にございました総量規制というものを、実は五十三年度から何とか着手をしたいということを考えておるわけであります。そのときに二重投資、三重投資を起こさせては非常にまずいという判断がございまして、防止技術の評価の報告の中にもございましたが、現在の防止技術は相当進みました。進みましたが、まだやはり結果としてわりあい効果に幅のあるものがございまして、
法律で決めますと、許容限度の幅の中に全部きちっとはめなければならないということになるところがございまして、そういう問題もひとつ頭に入れなければなりませんし、それから、実は非常にたくさんスペースを食います。既存の工場の中に、
先生方も一度ごらんになると実感を持っていただけると思いますが、膨大な施設でございます。膨大な施設でございまして、それでスペースが要りまして、ランニングコストがこれまたすごくかかるというしろものでございますから、できるだけむだな投資はさせないでやっていく。そのためには、総量規制と一体どういう
関係にするかということを調整しなければならないというような問題点がございますので、従来のような、一次規制はこうだ、二次規制はこうだというように、その年、そのときどきだけのものをやるというような問題ではございませんので、その点につきましていま通産省と鋭意詰めているところでございます。
通産省の方も、横に
局長お見えでございますが、非常に各局全部にわたり、きわめて広範な産業界にわたるものにつきましていま御
努力をいただいているところでございまして、私
どもは、率直な気持ちを申し上げますれば、五月中には何とかまとめ上げて、そうして明らかにして、地方自治体にもあるいは産業界にも、はっきり今後の進み方を示していくということをしないと、地方自治体と企業との間の非常にむずかしい問題にぶつかろうかと思います。そういうようなことで現在鋭意詰めておりまして、いずれそう遠くない時期に結果としてはまとまるものというように、通産省の方も御
協力いただいておりますので、これはまとまるものと信じております。
それから第二は脱硝の問題でございますが、脱硝の問題は、LNG等のクリーンのガスは昨年にはもうできるということで、五十年十二月の規制から、一部にはもう入ってきておりまして、実用基の問題も発電所の計画の中に入っております。それから今回のヒヤリングで
重油脱硝、これは半分汚れておるといういわゆるセミダーティーというやつですが、セミダーティーについて大体
めどがついたという判断でございまして、発電所につきましてはもうすでに数基電源開発審議会のときに
重油脱硝を入れるというものがあらわれておりますが、これは相当熟度が高くて、いずれこれは規制にもう近々入れられるものという判断を持っております。
ただ、御
指摘のございましたガラス溶融炉と焼結の脱硝は、特にガラスの方は少しおくれておりますが、焼結の方は、川鉄等にも
一つのケースとしてはございます。ケースとしてはございますが、これもまた非常に膨大なものでございまして、非常に問題のあるところで、ケースとしてやらせるということはわれわれも
努力はいたしまして、
一つの実例も見ましたが、それを現在実用基として基準の中に押し込むというには余りにまだ無理があるという判断でございまして、鉄鋼連の方もこれにつきましてのいろいろテストを続けておりますので、いずれ数年内と言った方が間違いないと思いますが、これは実用化のものに入ると思います。それからガラス溶融炉の方につきましても、研究組合をつくって大分進行してきておる状態でございまして、これはなかなか実用化というところまでにはまだまいっておりません。
次は、非常に低濃度のNOxの測定はどうなっているかということでございますが、これは七四年に、ザルツマン方式とそれからケミルミネッセンスの方式がJISで決まっているわけでございます。現在、ザルツマン方式によってやっております。このザルツマン方式の評価をいろいろこの数年にわたってやっておりまして、今度の、いま中公審に対しまして
判断条件につきましての諮問をしておりますが、その中でやはり測定法につきましての一部の改善というものがこれを織り込めるというように思っております。それからもう
一つのケミルミネッセンスの方は、確かに非常にりっぱなラボラトリーで高級な技術者がいてきっちりやるということならばこれは可能かというように思われますが、何分全国千カ所ぐらいのところに測定ステーションがあるわけです。そこで、すべての場所でその方式でやるということはまず現在の段階ではできないという
状況でございまして、一番むずかしい問題は、これは標準ガスというのがどうしても校正に要るわけでございますが、その標準ガスがまだJISの方ではっきり固まって供給できる体制にはないというところで、これはまだ現在のところ、行政のモニタリングステーションに実用化してどんどんいけるというところまでにはまいっておりません。機械としては次第にぽつぽつ入ってきております。ケースとしては使えるが、まだ全部に広く使えるというところではございません。ただ、両者の測定に若干相違がございますので、この点はやはり明らかにしなければならないというところでございます。
それからシミュレーションの方は、これは昨年十一月に現在までのシミュレーションの中間報告をいたしました。NOxのコントロールでNOからNO2に変わるというところが非常に厄介な問題があるわけでございますが、NOxとしてならいけるということはほぼ見当がついております。しかし、一方でまたNOがNO2に転換するというモデルについても
環境庁の方でも一部やっているのがございますし、通産省の方でもいま非常に
努力をしてやっているのがございまして、これはよい方式で実用化できるものがあればいつでもこれを取り入れたいということですが、私
どもの目標は、五十三年度の総量規制に着手をするというときには、いまの見当ではNOxというところではないだろうかというところでこのシミュレーションの方式の準備が進められておると、断定はいたしませんが大体そのような
状況でございまして、SOxの場合ほど詳細にできませんが、第一段階的な総量規制というのは可能であろうというように思っております。
それから総量規制の問題でございますが、これは五十三年度から着手をしたいということでございまして、この点につきましては五十年十二月、第二次規制をいたしますときに、窒素酸化物
対策の進め方という長期のスケジュールを私が通産の
局長と数度にわたりまして徹底的に話をし合いまして、大体五十三年度ごろにこれは手をつけたいと、完全合意というわけではありませんが、大綱としてはお互いにコンセンサスがあるというものでございますが、この総量規制の問題は五十三年度に何とか着手したいというのはどういうことになるかと申しますと、五十三年度やるということになりますと、やはり地域指定という問題がございます。そういうことで、五十三年度は一番早くいって地域指定が着手できるということをねらいとしておりまして、今度は、この総量規制では、本当にそれで規制が入るというところまでどれだけかかるかと申しますと、これは固定
発生源と移動
発生源、大阪の伊丹空港などでは飛行場も入ってくるということになりますので、そこらのところを全部をあわせて
検討しなければなりませんので、比較的シンプルなSOxでも約一年半かかります。私
どもはどう見てもまず二年は全体の計画をつくるのにかかると、こういうぐあいに見ております。総量規制によって地域差をはっきり織り込むことができますし、工場単位の規制ができるようになるということでございまして、これはまあ効率も高い、非常に合理的なものであるというぐあいに考えておりますので、総量規制につきましては五十三年度にその着手をするということで、現在、鋭意準備を進めておるところでございます
それから最後にNO2の一時間値をどう考えておるかという御
質問でございますが、これはWHOの専門
委員会がございまして、そのときにこのWHOの専門
委員会の合意として出てきましたのは、単時間値で急性
影響を一定度の安全性をもって防ぐ、三分の一ないし五分の一の安全性をもって防ぐということで、一時間値の〇・一を超えることが月一回以上あってはいけないと、あるいは一時間値の〇・一七を超えることが月一回以上あってはいけないということをWHOは出してきたわけでございます。これは維持することが望ましいというような条件ではございません。少なくともこれだけのものはできるだろうというような条件でございますが、この一時間値の問題が入ってまいりまして、従来、わが国の
環境基準の中では一時間値の一日平均値といたしております。で、今度の専門
委員会の御議論の中で一時間値をいかに扱うかということが非常に
一つの問題点になろうというように思っておりますが、国際的な合意のあるものがあらわれておるということは注目すべきであろうと思います。で、これは測定法の問題と、
あと一時間値をコントロールするのにどういうやり方が果たしてかなり確定的にできるかという両者の問題が絡んでまいりますので、今回の中公審の専門
委員会ではこの点の議論がされるものというぐあいに期待しております。