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政府委員(山岡
一男君) 最初に、今回の国会に
提案できなかった経緯につきまして御報告いたしたいと思います。
政府といたしましては、既存の建築物の防災対策の強化を図るため、これまでの国会におきます審議の際の問題点を踏まえまして、鋭意
法案の
作成に努力してまいりました。一方、
衆議院の
建設委員会におかれましては、前国会の経緯にかんがみまして設けられる予定でございました建築防災対策小
委員会にかえまして、
理事懇談会におきまして既存不適格建築物の避難対策について
検討を続けられてまいりました。
理事懇談会には、
建設省からば
既存建築物の防災性の向上のためにとるべきシステム及び技術的
基準についての考え方等について御
説明をいたしました。
自治省からは消防法の施行の
実情についての
説明がございました。
理事懇談会では数次にわたり真剣な討議が行われましたが、大筋につきましては政府の考え方につきまして御了解いただけたものと考えております。
理事懇談会は四月八日をもって一応打ち切られることになりました。政府の方で前向きに
検討せよということで終わったわけでございます。
なお、
理事懇談会におきましては、政府が最終的に技術的
基準を定めるに当たりましては、第三者機関によるオーソライズを
検討すること。それからさらに、スプリンクラーの設置が非常におくれているという点につきましての問題点の御指摘がございました。政府といたしましては、以上の経緯を踏まえまして、その後も引き続き
検討を重ねてまいりましたが、すでに先発している消防法によるスプリンクラーの設置の義務づけの猶予期間が到来したものにつきましても、相当程度未設置の
状況が明らかになったという点から、
一つには、本
法案は
対象建築物における未設置の
状況及びその原因等につきまして十分究明する必要がありますけれども、そのためにはさらに時日を要する見込みであること。
一つには、未設置の
理由の詳細につきましては、ただいま申し上げましたとおりさらに
調査を要しますけれども、企業が赤字または担保切れ等のためにやる気があっても資金の調達が困難等のものもあるということ。
一つには、スプリンクラーは防災性の非常に高い
施設でございまして、政府が現在考えている改修の技術
基準は、スプリンクラーが設置されていることと密接な関係があること等の事情にかんがみまして、当面スプリンクラーの設置の
状況等を見守りながら、引き続ききめ細かい
援助措置等を含む総合的な
検討を続けまして次の機会に
提案することが適当と判断し、今国会に
法案を
提案することを見送ることとした次第でございます。
このことは、新たにスプリンクラーの設置のおくれという新事態が生じたとは言いながら、さきの国会におきまして当時の中馬
建設大臣がなさいましたお約束を果たさないこととなりました。私どももまことに申しわけないことと存じております。政府といたしましては、既存の特殊建築物等の防災対策の重要性及び緊急性にかんがみまして、スプリンクラーの設置の
状況について、未設置のものについてはその原因をも含めて十分な
調査をした上で速やかに総合的
検討を行い、次期通常国会に所要の
法案を必ず
提案いたしたいと存じます。なお、それまでの間においても、建築物の防災対策は一日もゆるがせにできないものであるので、前国会で成立し本年秋ごろを目途に施行を準備いたしております改正建築
基準法案に盛り込まれております防災関係規定の確実な実施、
現行法の活用等によりまして防災行政の励行に努めることといたしたいと考えております。