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上田耕一郎君
昭和二十一年から
昭和五十年まで、警察庁の
調査で、これは二十四時間以内の死亡で二十九万九千百四十四人、約三十万人死んでいます。それから厚生省の
調査だと、二十四時間を超えた死亡者ですが、三十四万三千百九十四人、三十四万人以上死んでいるんですね。たとえば、宇都宮市の
人口が約三十三万八千人ですから、宇都宮市の
人口、一つ市がなくなっちゃうぐらい死んでいる。東京都の中で言いますと、江東区だとか、中野区だとか、豊島区だとか、三十万人ちょっと超える区の
人口が死んでいるというぐらいの被害が出ました。負傷者は警察庁の
調査によりますと千九十六万六千六百五十五人、つまり一千百万人の負傷者で、
人口十人に一人が自動車で負傷しているという大変な数字になっているわけです。こういう数字を見ておりますと、四千二百五十万台を少し減らして三千九百万台にするという見通しも、これはこういう数字に対して若干最近減っているからというので安心し過ぎている態度ではないかと思うのですね。われわれはこういう数字、三十四万人の日本人が自動車事故で死んでいると、十人に一人が負傷しているという事実に対して、まだまだ自動車ふえるだろうと、だから自動車
道路もふやさなければならぬということでいいのかどうか、これを本気でやっぱり考えなければならない時点に来ていると思うのです。
ところが、そういうところが
国民的
課題になっているにもかかわらず、今度の予算を見ましても、この法案を見てみましても、やっぱりどんどんどんどん
道路投資ばかり進んでいくと。
建設省は
道路省とも言われるぐらい、六〇年代ほとんど
建設省関係の投資総額の約六割は
道路投資だったわけで、最近少し減っておりますが、なぜこういうふうになってくるのかといいますと、車と
道路の悪循環ですね、雪だるま式に車がふえると
道路を延ばすと、自動車
道路がふえるとまた車がふえるという悪循環がとめどもなく進んでいる。この悪循環を支える財政的なシステムがあるわけで、この財政的システム、これが
道路の
特定財源方式という日本特有の方式であります。
この
道路の
特定財源方式というのは二つの制度から成っております。一つは、
昭和二十九年に臨時
措置法が成立されて以来、いわゆるガソリン税、こういうもの全額を
道路の
特定財源にしてくるという方式であります。
昭和五十一年度で見まして、この燃料税は
道路財源の約九〇%を占めております。五十二年度で八九%占めている。これに例の自動車重量税、これ、国分の八〇%がやはり事実上
道路のための
特定財源になっておりますが、これを加えるともう一〇〇%超えるということになっております。五十一年度はこの二つ合わせて一〇〇%より以上に一千億円以上余る、五十二年度も約一千億円近く余るという
状況になっているわけです。非常にやはり異常な
状況だと思うんですね。とにかく自動車が走る、それから税金が、もう全部
道路投資につぎ込む、つぎ込んでもつぎ込んでももう余るぐらいの
状況になってきている。
道路だからつくらなきゃならぬという財政システムがこのガソリン税、石油税などによる
特定財源方式、これが第一です。二番目は、
昭和二十七年来の有料
道路制度であります。この二つが、こういう
道路と自動車の雪だるま的悪循環の
拡大をやっぱり支えてきた財政的なシステムで、この問題をわれわれは今日の自動車公害、
道路公害の余りに激しさ、余りにこの激しい放置できない
状況から見て、この財政システムそのものにも手をつけ、見直さなければならない時点に来ていると思います。
きょうはもう時間がありませんので、私はこの二番目の有料
道路問題、その中のまたもう一つ有料
道路制度に絡まる問題で、いま有料
道路から多くの被害を受けている住民、さらには財政需要あるいは税金の減収その他で大きな被害を受けている自治体が取り上げております有料
道路に対する固定資産税の課税問題、これにしぼって若干の質問をしたいと思います。この問題は、昨年この
建設委員会でも取り上げられましたが、あの時点よりさらに問題点が進んでいると思いますので、お伺いしたいと思います。
第一は、例の
昭和四十七年に決まりました料金プール制の問題であります。
全国市長会その他はこの料金プール制の発足によって、例の
地方税法三百四十八条の公共の用に関する
道路という点に多くの問題が生まれてきた、もうすでに固定資産税非課税の根拠なしという主張を行っており、運動も繰り広げておりますが、これについて、まず自治省側の見解をお伺いしたいと思います。