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政府委員(
中江要介君) 中国との
関係について申しますと、この
大陸だな
協定の
北部の
部分はこれは
関係がないわけでございます。
北部境界画定は、これは
中間線で
日韓間で分けたわけでございまして、
南部の
共同開発協定、この
部分が中国との
関係の出てくる面でございます。
その場合に、
一つは、
韓国と中国との間には、先ほど申し上げましたように、
朝鮮半島と中国
大陸との間に横たわっております
一つの
大陸だなについて
境界画定の必要があるわけです。したがいまして、通常の
原則でいきますと、
韓国と中国の間は
中間線で
境界が画定されるべきものと、こういうふうに認識されますし、そのことには恐らくいずれの国も疑義のないところだろうと思います。したがって、この韓中
中間線というものがありまして、それがずうっと南下して自然の
延長の終わるところまで延びますと、これは
韓国と中国との間の
境界線。
韓国と中国がともに
自然延長論をとりまして、
日本には
大陸だなの
主張がないという
立場に立ちますと、もうそれでこの
東シナ海の
大陸だなの
境界は終わりになってしまうわけでございます。
ところが
日本はそれに対して、
日本からも
大陸だなの
主張ができるということで、北の方に押し上げてわが方の
主張をしておるわけで、それが
中間線ということになります。そういたしますと、
日本の
立場は北の方に押し上げますのは、
韓国に対して押し上げますと同時に、中国に対しても押し上げていくわけでございますので、韓日、中日、つまり
日本と
韓国、
日本と中国の
中間線というものがずうっと今度は琉球列島に沿って引かれるべきであるというのが
日本の
立場になるわけです。そういたしますと、どうもこの
大陸だなはちょうどエカフェが調査いたしますときに、国籍にかかわりなくこの
地域全体の
大陸だなを調査いたしまして、それに対して
関係国が複数でございますから、最も望ましい姿は複数国が相寄り相集まりまして、どこでお互いに線引きをして分け合うかという話をするのが常道であることはどなたもおわかりのことだろうと思うんです。
ところが、この
大陸だなに隣接しております国、あるいは相対しておる国の中には外交
関係がない、つまり、席を同じくして話し合うことのできない国がある。最も現在典型的な例は
韓国と中国でございまして、
韓国の方は、これは最初に
韓国がこの
地域の
開発のための
国内法を設定しましたときに、中国は
韓国に対して
異議を唱えたことがございました。これは
韓国が一方的にそういうところに手をつけるのは中国としては容認できない。これは話し合った上で決めなきゃいけないということを言った経緯がございました。そのときに、
韓国政府は直ちにその翌日に中国
政府に対しまして、これは
韓国としては初めて中華人民共和国という正式国称を用いた例でございますけれ
ども、
大韓民国政府は中華人民共和国
政府とこの
大陸だなの
境界画定について話し合う用意があるということを正式に公式
声明を出したわけでございます。ところが、中国はそれに応じて、それでは話し合いをしようとは言わなくて、それを無視したままになっておるわけでございまして、
韓国政府は中国とは話し合う用意があると、こう言っておりますけれ
ども、中国は御承知のような
立場でございまして、
大韓民国政府と正式に話をする
立場にはないと、こういう
原則論をいまでもとっておりますために、
韓国と中国の間では話ができないという
状況であります。したがいまして、韓中
中間線によってまず大きく東と西に分かれて、そしてその
韓国側の
部分について
日本が南から押し上げて
中間線まで
自分のものだという
主張をしたというのが今度の
交渉でございますので、基本的には、まず韓中
中間線の
韓国側の
部分について
日韓間で話をしたというのが今度の
共同開発協定であります。
そういう経緯でございますので、中国との
関係といいますと、韓中
中間線が韓中間で話し合った結果引かれた線でないという意味において中国の
意向が正式に反映されてないということはこれは事実でございますけれ
ども、韓中間で話し合うような国際政治情勢になるまでには一体何年待てばいいのかわからないという
状況のもとでは、
日本としてもあるいは
韓国といたしましても、双方が持っております海図の上でできるだけ詳細に測定をいたしまして、わが方として間違いないと思う韓中
中間線をまず前提といたしまして、その
中間線から
韓国側の
部分につきまして、改めて
日本と
韓国の間で南北の
境界をつくったというのがこの
共同開発区域の北西にわたっておる線であるわけでございます。したがって
日本政府は、本来ならば中国とも
韓国ともみんなと話し合って決めなければならない問題ではありながら、実際上の問題として話ができない。しかし、
日本は日中
関係というものを重んずるという
立場で、異例のことでございますけれ
ども、この
協定が正式署名される前に、つまり一般には明らかになります前に、一九七三年の一月四日でございましたか、七四年の一月四日に日中貿易
協定の署名のために訪中されました
大平外務大臣から姫鵬飛外交部長、つまり
外務大臣レベルで、近く
日本は
韓国との間でこういう
協定に署名することになりました。その
内容はこういうことで、この
協定を作成するに当たっては、いま私が申し上げましたように、中国の
権利を害さないように細心の注意を払ってあります、ひとつ御理解いただきたいということを申し入れました。
そのときの中国の反応は、中国としてはまだ
大陸だなに対してどういう
権利主張をするか、つまり
国際法上どういう
権利主張をするかということはまだ決めていないのでよく考えさしてもらいたいと、こういうことであったわけでございます。
その一月の三十日に署名の日取りが決まっておりまして、この署名に先立ちまして、
日本側から、かねて
外務大臣から御
説明しましたような
日韓間の
大陸だな
協定をいよいよ一月三十日に署名いたしますということを、東京では当時の法眼外務事務次官から陳楚大使、北京では橋本参事官から王暁雲
アジア局副司長、つまり
次長でございますが、これに申し入れまして、そして翌日一月三十日に
協定を署名いたしました。
協定の署名が終わったという正式の通報かありましてすぐに、今度は東京で私自身が東京の中国大使館の米国鈞参事官——もういま離任されましたか、米国鈞参事官を招致いたしまして、署名された
協定テキストの全文を渡して、また、その
協定に記載されている
内容を地図に克明に引き写したものも示しまして、こういうふうに
日本側としては線引きに当たっては細心の注意を払っておる。しかしそれにもかかわらず、
日本としては
原則的にはやがて中国との間にもこの
大陸だなの
境界画定の話をしなければならないわけですから、中国側でもし
日本と引き続き——引き続きといいますか、そのずっと
南部の
部分について
境界画定の話をするという御用意があるならばいつでもする用意があるということも申し添えたわけです。中国側は、その時点ではまだはっきりとした
大陸だなに対する
態度表明をしておりませんでした。
そこで、二月の四日だったと思いますが、私がその一月三十日署名の日に
説明してから五日後に当たりますか、二月の四日に、中国の外交部スポークスマン
声明というものが出されました。ここで初めて中国は、この
東シナ海大陸だなに
関連して中国がどういう
態度をとるかということを公にいたしまして、この
立場がいままで一貫して続いておる。
その
立場どういう
立場かといいますと、一口で言いますと、
韓国と同じ
立場で自然の
延長論、つまり中国
大陸から延びた
大陸だなが自然に
延長されて、それが終わるところまでが
自分の
大陸だなであると、こういう
主張をしている、これがはっきりいたしました。
もう
一つは、この
大陸だなは、
関係諸国の間で協議の上その
境界を画定しなければならない、そういう
立場でございます。これは先ほ
ども私が冒頭に申し上げましたように、この
大陸だなを囲んで存在しております
関係諸国がみんな集まって、そして話し合いによってどのように区分するかを決めるべきである、こういう
立場であります。そうしますと、今度は
関係国が話し合わないで、つまり
日本と
韓国だけでここを話し合ったのはこれは許せない、これは中国の主権を浸す行為である、こういうふうに言っておるわけです。
日本はそれに対しまして、中国の
原則的な
立場は理解ができますし、また、それは
日本の
立場でもあるわけですか、遺憾ながら現在の
状況では中国が
韓国と話ができない、同席しないという
立場をとっております以上、これは
関係国の間で話し合って
境界を画定することができない、それを待つことなく、
日本としては細心の注意を払って中国の主権を侵さないように線引きをしている。しかし、そうは言っても中国には中国の
主張があるでしょうから、いつでも中国とは話し合う用意があるということをいままで何回となく、国会
提出に先立ちまして、あるいは国会
提出の際に、中国側に繰り返し繰り返し申し述べてきております。ことしになりましても、今度の国会に
提出するに先立って同じ申し入れをいたしましたし、また先般は
衆議院の本
会議で、中国とこの話し合いを早く進めるべきであるという強い御要請の声も出ましたので、当時
外務大臣からも正式に国会で御
答弁がありましたように、
日本としては早急に中国にこの話し合いをまた申し入れようということで、早速北京の小川大使に訓令をいたしまして、
日本としては、
日韓大陸だな
協定の
締結に
関連いたしまして、この
東シナ海大陸だなについて日中間で話し合うことを提案するし、また中国側で用意があるならばいつでも、あすからでも協議に応ずるという趣旨を申し入れております。中国側はこれに対して、暫時検討させてくれということで、いま私
どもは中国側の反応を待っておるわけでございます。
そういうことで、残念ながらこの
大陸だなを囲みます国の間に、それぞれに外交
関係が満足な形で樹立されておりませんために、中国が希望するように、また
日本もできればそうありたいと思うように、
関係国の間に円満な話し合いによる最終的な
境界画定ができないという現状。他方、この
資源の
開発を早く急ぎたい、また、
韓国が単独
開発しようとしたのに待ったをかけたという経緯、そういったものを勘案いたしますと、ここでは中国に対して誠心誠意
日本政府の関心と
日本政府が選んだこの
境界画定の
方法について中国の理解を得まして、それをもとにして中国側でなお
日本と協議をするという
態度に決まりましたら、いつでも
日本としては応ずる用意があるということで臨んでおるわけでございます。
長々と申し述べましたけれ
ども、一口で言いますと、中国側はどういう
態度をとっているかといいますと、中国側は
自然延長論をとっている、そして
関係国の間で
境界画定すべきものであると、こういうことでございます。
なお、ちなみに、大きな
大陸だなの
境界画定をする場合に、全
関係国が集まって円満に
境界画定したという例はむしろ少のうございまして、
関係国同士で分割して
大陸だなの
境界を画定していくという例は
世界にもあるわけでございますので、今回のところはとりあえず
日韓間に
関連するところだけについて
境界を画定した、日中間の
部分は中国との話し合いができるようになりましたら、早速日中間で話し合いをしていこう、こういうことでございます。