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和田春生君 午前中の
政府側の
答弁に比べまして、かなり事態ははっきりしてきたわけでございますが、それに関連しまして特に二、三指摘をして、さらに
政府側の見解を確かめておきたいと思うのです。
といいますのは、新しい
国際ルールが、「互いに他の
船舶の視野の内にある
船舶の
航法」と、それから「あらゆる視界の状態における
船舶の
航法」と二つに分けたと、これは私たちから見れば大変いい方法だというふうに考えているわけですけれ
ども、特にこの狭
水道における航行に関しまして、「あらゆる視界の状態における
船舶」の条に入れたというものは——
現行法でも互いに視野のうちにある
船舶の
規定というものには
現行法の二十六条は含まれていないほどです。
結局、その点については今度の新しい
改正法の方が、立法技術の上で先ほど指摘したように、「あらゆる視界の状態における
船舶の
航法」の中から、狭
水道なんかのところの肝心のところがすぽっと欠落したように立法の形としてはなってしまったわけですね。それはもう、あっちへくっつけ、こっちへくっつけしたものだからそういう形になったわけです。
で、実は、これは非常に
航法上重要な問題は、たとえば夜間の航行という場合に、「
燈火」の項で、マスト燈やげん燈等についても、御
承知のとおり五十メートル以上の
船舶についてはマスト燈は六海里である、しかし長さ十二メートル
未満の場合には二海里である。げん燈についても、大きい船は三海里だけれ
ども、小型船については一海里であると。やっぱり見える範囲というものが違うわけですから、非常に天気のいい場合は別として、かなり視界の
状況は、それほどひどくは悪くないけれ
ども、ある程度よくないと、片方は見えているけれ
ども、相手が見えてないという場合があり得るわけです。
あるいはガスがかかっておって、高いところからは見えないけれ
ども、低いところからは相手船が見えているという場合もある。あるいは屈折した狭
水道や水路等において、見通しが悪い場合に、相互に確認できない場合がある。狭
水道というのは非常にそういう危険なところであるから、両方が互いに見合って、エンド・オンの状態でどっちへ避けるかというのは簡単だけれ
ども、片方は見ておるが片方は見えない場合もあるわけですね。
だから、「あらゆる視界の状態における」ということにして、その中に
規定を持っているわけであって、互いに見合っているという場合には、
一般的にいえば一対一の
関係のときであると。そういう点について、確かにいま
保安庁長官も
説明されましたけれ
ども、
現行法の
規定のまんまで
法律技術的に
解釈をしていくと、肝心のところが抜けることになるわけです。そういう点について、やはり十分徹底をしてもらうようにしないといけないということが
一つですね。
それから、いろいろと意見がございましたけれ
ども、漁船との
関係におきまして、午前中にも申し上げましたけれ
ども、
旧法の場合には、フェアウエーをオブストラクトしてはいけない、そういう権利を漁船に与えるものではないのだというふうに
規定されているわけです。ということは、航路や
航路筋を閉塞するような形でやっちゃいけないというものですから、この
規定を裏返したら、逆に船が通っておっても通らなくても、
航路筋においては漁業やっちゃいかんじゃないかという
解釈が生まれる余地があった。それが非常に問題じゃないかというので
議論した結果、今度はハッセージをインヒードしてはいけないのだ、そういうふうに
規定されたわけですね。だからそれが狭
水道の
航法に入ってきている。
そういう点を変に曲解をしたりしていろいろな
議論が行われる。そうして、肝心かなめの
衝突の予防と、海上交通の安全という
趣旨が横っちょに置きやられることでは困るわけです。そういう点についても十分
条約の制定の
趣旨並びに
条約条文にのっとって、きちんとした
解釈による行政指導をしていただきたい、こういうふうに思うわけです。その点いかがですか。