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神谷信之助君 いままでは、今日までの
捜査で、
PXLをめぐっては政治家に金が
流れていなかったと、
犯罪の
容疑を明らかにすることはできなかったという御
答弁ですから、そうだと思います。
しかし、私は思うんですが、
児玉は、御承知のように、第一次FX戦争のときには、金を積んで政治家に工作をし、そしてひっくり返すという、そういう大仕事をやったことを彼自身の著書でも明らかにしています。だから、そういう点を考えますと、今回の場合そういう疑いが全然ないというわけにはいかぬ。恐らく
捜査当局もそういう点では、
児玉からどこへ金が移ったか、あるいは小佐野からどこへ金が
流れたかということを一生懸命追及されたんだろうと思います。しかし、本人が言わない。そうすると、その周辺、
関係者、これから密度の濃い証言を取らなきゃならぬ。幸い
トライスターについては
丸紅、
全日空の
関係者から出てきたと。
田中の五億円にいたしましても、これは
田中自身は公判で否定をするんだと言っているように否定をしているわけですから。しかし、
丸紅や
全日空の
関係の方でそういう証言が出てきているという
状況だろうと思うんです。しかし、この
田中に渡った五億円についても
丸紅から渡っていますが、それがP3Cとは何の
関係もなかったということもまだまだ言い切れないんじゃないかという、そういう疑いをわれわれは、国民の側から言ったら、常識的に言うならば、持たざるを得ない。もう
トライスターについてはほぼ商談は終わっています。二十一機の
全日空に対する
トライスターの導入は決まり、もう正式契約も終わって、ほとんど、十八機ですか、十七機まで入っているんですから。ですから、もうこれの商談は済んでいる。しかも私企業間の問題ですから、契約の取り消しがいまさら起こるわけでもない。しかし、P3Cの問題はこれからの問題。ですから、P3Cをめぐる問題についても
田中に請託をしたんだということは、これは口が裂けても言えない。一兆円の商談をふいにするわけですから。しかし、何にもないということにはいかぬわけで、したがって、
トライスターについては一定の証言を得た。そういう形で、このP3Cの導入をめぐっての収賄罪の成立を極力避けてしまう、消してしまうという点は、これは普通に考えても十分考えられる。常識的に考えても考えられるわけです。そのために
捜査当局も、この点でそういう
疑惑、疑いといいますか、少なくともそういう角度からも一生懸命私は
捜査をされたと思う。しかし、なかなかこれはそういう証言を取れない。そういう条件が日本の内部にもある。それからアメリカの方も、これは日米軍事戦略から言いましても、P3Cの日本に対する配備、これは重要な課題になっているし、そして昨日ですか、アメリカの側から対潜作戦の強化を一層要求をされるという
状況も生まれてきていますから。したがって、そういう
意味からも、アメリカの側もこれはつぶしたくない。いみじくも稻葉前
法務大臣が、この
PXLをめぐる
疑惑の解明については、日米合作のP3C隠しというか、
PXL隠しがやられているので、なかなかこれの
捜査は困難だ、むずかしいということをしばしばおっしゃっていましたが、私は、この問題についての解明というのは、あるいは
犯罪容疑事実の立証というのは、きわめて困難であろうということは想像にかたくないと思うんです。
ところが、いま国民が一番大きい
疑惑を持っているのは、実はここの部分に大きい
疑惑を持っているわけです。
ロッキード社から金が
流れた、その七割は
児玉ルートに入っている。そして奇妙にも
児玉も小佐野も、いざ取り
調べをしようとすると病気になっている。
捜査がなかなかうまくいかないような仕組みが次から次と生まれる。こういう状態である。一体、これはいつになったら明らかになるかと。
児玉ルートについては一定の解明ができているとおっしゃる。それは公判廷で明らかにするとおっしゃった。ところが、
児玉も小佐野も、三月の公判の開廷は、病気を理由にして延期をして、六月になっている。六月になってちゃんと公判が開かれるかどうかという保証もない。公判になれば明らかになるだろうとおっしゃいますが、それじゃ、その公判は、具体的展望について一体どうお考えなのか。この辺は一体どうですか。