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1977-03-25 第80回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十五日(金曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 佐藤 信二君                 平井 卓志君                 矢田部 理君                 塩出 啓典君                 橋本  敦君                 三治 重信君     委 員                 石破 二朗君                 亀井 久興君                久次米健太郎君                 秦野  章君                 宮崎 正雄君                 久保  亘君                 野田  哲君                 相沢 武彦君                 峯山 昭範君                 神谷信之助君    国務大臣        法 務 大 臣  福田  一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君    政府委員        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務政務次官   塩崎  潤君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        法務省入国管理        局長       吉田 長雄君        国税庁徴収部長  安岡 正明君        国税庁調査査察        部長       系  光家君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        法務省刑事局総        務課長      吉田 淳一君        法務省刑事局公        安課長      石山  陽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、小巻敏雄君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。     —————————————
  3. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) この際、御報告いたします。  昨年十一月十二日の本委員会決定により告発いたしました鬼頭史郎に対する議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被疑事件につきまして、去る三月十八日検察当局から不起訴処分に付した旨の通知書が参りましたので、御報告いたします。  なお、本通知書は本日の会議録の末尾に掲載をいたします。     —————————————
  4. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 矢田部理

    矢田部理君 前回の当委員会質問をいたしましたが、答えがなかった部分について重ねてお尋ねをしたいと思います。  その一つは、先般当委員会報告がありました「ロッキード事件捜査処理に関する法務大臣報告」の中で、検事が取り調べ参考人の数等について記載がございますが、このうちいわゆるPXL、P3C関係についてそれぞれどの程度人数等を取り調べたのか、その内容、概況を明らかにしていただきたいと思います。
  6. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 前回報告いたしましたのは、検事調べた数は、ロッキード事件参考人の数は約四百六十名と申し上げております。この中でPXL関係がどの程度あるのかというお尋ねでございますけれども、この点につきましては、前回刑事局長十分検討をしたい、検察当局にも聞いてよく検討をしたいというふうに申し上げたわけでございますが、私ども局長指示によりまして検察当局とも十分協議をいたしました。  その結果を御報告いたしますと、ロッキード事件の中でPXL関係について何人調べたかというようなことの概数を申し上げるのは非常に困難でございます。と申しますのは、前回申し上げておりますとおり、ロッキード事件捜査過程で、PXL関係について犯罪容疑と認められるものはなかったということを御報告申し上げておるわけでございますが、もとより検察当局としては、その問題についても重大な関心を払って、あらゆる参考人につきまして、必要な、そういう問題についても事情が聞けるものは聞くということで必要な調べをしているわけでございますけれども、その捜査過程では丸紅ルート、あるいは全日空ルート、あるいは児玉ルート等犯罪容疑の関連でいろいろ調べておるわけでございまして、その中といわば混然一体になっておるのでございます。特に丸紅ルート及び児玉ルート関係者につきましては、御指摘の問題につきましても、十分脳裏に描きながらいろいろ捜査を続けたわけでございます。したがいまして、その中で何人PXL関係調べたかということを申し上げることは、証拠品を含めましてきわめて困難でございます。
  7. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとわかりにくいのでありますが、トライスター関係で、あるいはそれのみで調べ参考人がございますね。それからPXL関係でそれを重点に調べ参考人もあるはずだと思うのでありますし、同時に、その中間と申しますか、同じ参考人でも両者にかかわっていると思われる参考人と、大筋三通りぐらいに分かれると思うのでありますが、中間のいわば両方にまたがっている人たちについてはどちらに入れるかという問題はあるかもしれませんが、およそ何人ぐらいPXL関係調べたか、それからこれはトライスターとも関係があるのでダブっているというようなことで概数報告できませんか。
  8. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 先ほど来申しましておるように、PXL関係については、犯罪容疑捜査過程で認められなかったということを御報告申し上げておるわけでございます。そこで丸紅全日空児玉ルートにつきましては、それぞれ犯罪容疑が発覚いたしまして、検察当局としては鋭意その関係調べをしておる。しかし、その過程でなおPXL関係につきましても関心を持ちまして、いろいろ必要な事情を聞くべきものは聞くということをしておるわけでございます。  で、したがいまして、具体的に申しますと、たとえば供述調書に、そういう事情を聞いたからといってすべて供述調書に録取するということではございません。供述調書に録取するものは、その調べに基づいて後で証拠化しておく必要があるというものについてしておくのが普通原則でございます。そういうことでございまして、この中のどれとどれがPXL関係について事情を聞いたかというようなことを仕分けをするというのは、先ほど来申し上げておるように非常に困難でございまして、決して——実際捜査過程ではそういう状況でやっておるわけでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  9. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと明確にしてほしいと思うんですが、仕分けが困難だから報告できないということなのか、犯罪容疑の線が浮かばなかったので、したがって明らかにできないという意味なのか、それはどちらなんですか。
  10. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) PXL問題につきましても、重大な関心を払って必要な事情を聞いておるということは、先ほど来申し上げておるとおりでございます。したがいまして、しかしそれらの関係については必要な都度、丸紅全日空あるいは児玉ルート捜査過程でいろいろ事情を聞いておるということもあるわけでございまして、そういうものについてどれとどれがPXL問題について事情を聞いたものであるかということは調書その他の形でも残ってないものも大分あるわけでございまして、そういう意味仕分けは困難なので御理解いただきたいということを申し上げておるわけでございます。
  11. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、こう伺いましょう。それじゃ防衛庁関係者、現に防衛庁に勤務している者あるいはかつて勤務していた者も含めて、防衛庁関係者は何人ぐらい調べましたか。
  12. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 本来どの関係者を何人調べたかということは余り申し上げるべき性質事柄ではないと思うんでございますが、たってのお尋ねでございますので国政調査に御協力するという意味で申し上げますが、防衛庁関係者について事情を聞いたのは六名だと聞いております。しかし、その事情を聞いたのは別に特定犯罪容疑があるとかそういうことでは全くございませんで、いろいろな基礎的な経緯選定問題等をめぐる基礎的な経緯事情等について状況を聞いたというふうに承っております。
  13. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁関係者以外でPXL関係のみで取り調べ参考人はどの程度の数に上りますか。
  14. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) それは先ほどから申し上げておりますとおり、どれとどれがPXL関係について調べたのかということを区別することは困難でございますので、防衛庁関係者以外に何人調べたかということは申し上げておりません。  また、先ほど私が申し上げたことで誤解のないようにしていただきたいんでございますが、PXLについて何か犯罪の具体的な容疑があって防衛庁関係者調べたということではございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  15. 矢田部理

    矢田部理君 捜査テーマを決めてやるんですね。参考人事情聴取をするについてもあらかじめどんな内容を聞くかということを検察官は頭に描いて参考人の呼び出しをするわけでありますから、両方にまたがっている人もあることは私も十分理解できますが、同時にこのPXL関係だけで呼ぶという人も相当数あるはずだと思うんで、いまの課長答弁では納得できない。防衛庁関係以外で、しかもP3Cのみに限定をして事情を聞いた人、これは仕分けが困難でも何でもないでしょう。その程度のこと答えられませんか。
  16. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お答えいたしますが、ロッキード事件捜査というのは、ロッキード社からわが国内に工作資金流れたと、その工作資金流れを追及して、その流れを追及している過程犯罪容疑が認められるんならばそれを厳正に処理すると、こういう立場でやってきたわけでございます。で、私ども捜査と申しますのは、あくまでも犯罪容疑中心にして捜査権を行使していくと、そういうことでございまして、犯罪容疑が具体的にまだ浮かんでない者について、どれとどれを——あたかもその存在を前提にすることをしていろいろ調べをするというようなことは原則としていたさないたてまえになっております。あくまでもロッキード社資金流れを追及している過程でいろいろ犯罪容疑が出てくれば、それについての裏づけその他をするために背景事情等を含めて全部捜査すると、こういうたてまえでございますので、御理解願いたいと思います。
  17. 矢田部理

    矢田部理君 理解するわけにはいかない。逆に言うならば、防衛庁関係者六名程度調べただけで、PXL関係はほとんど捜査らしい捜査はやっていないということじゃありませんか。だから答えられないんじゃないの。説明はいいから結論だけ言ってください。
  18. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 再三申し上げておりますように、検察当局としましてはPXL選定問題につきましても重大な関心を払って機会あるごとに必要な調べは行っておるということは申し上げておるとおりでございます。ただ、その結果具体的な犯罪容疑は得られていないということを申し上げておるのでございまして、決してやる気がなかったというようなことではございません。
  19. 矢田部理

    矢田部理君 重大な関心を払ってやったと言うんならば、どの程度の規模の捜査をやったのか、参考人の数だけでなくて、そのために集めた資料が何点だったのか、もう少し明確にすべきじゃありませんか。言葉だけ走っちゃいけませんよ。中身がないから言葉だけでごまかすのか。また中身があるんならばあるらしく、もうちょっと具体的に輪郭を明らかにしてしかるべきじゃありませんか。再度答弁を求めます。
  20. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 重ねての御指摘でございますけれども、私の御説明が悪いのでおわかりにくいのかと思いますが、先ほど来申し上げましているとおり、どの者についてどういう調べをしたかというのはすべて供述調書等に残しておくものではございません。それから証拠品につきましてもそれぞれ有無相共通する点があるのでございまして、この証拠品はこの事件だということにはまいらないのが捜査実情でございます。そういうことで数を申し上げられないということを申し上げておるのでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  21. 矢田部理

    矢田部理君 じゃこういうふうに聞きましょうか。私は調書の数を聞いているんじゃないんですよ。PXL関係で何人ぐらいの参考人を呼んだか。その参考人が仮にPXLだけではなくてトライスターの方にも絡みがあったとしても、概数はどの程度人たちPXLについて調べたんだというぐらいのことは、渾然一体仕分け不可能、むずかしいという議論のほかに、できるじゃありませんか。押収した物件点数もここに中間報告には載せられているわけでありますが、関係資料が何点ぐらいだということも言えないんでしょうか。
  22. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 同じ答えになるかと思いますけれども前回刑事局長答弁以来、私どもとしては東京地検と十分その点について何とかはっきりできないものかということでいろいろ打ち合わせをしたのでございます。しかし、具体的な捜査をした検察当局におきまして、その仕分けが、工夫してみたけれども非常に困難であるということでございますので、法務当局としては何ともそれ以上のことは申し上げられないという実情にあることを御理解いただきたいと思います。
  23. 矢田部理

    矢田部理君 それじゃいま私が、前回は簡単に申し上げたんですが、幾つか質疑の中で問題点を出しましたので、もう一度東京地検と折衝して、明らかにするべきものはするという努力をしていただけませんか。
  24. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お答えいたします。  私どもとしては、国政調査にできるだけ御協力するという意味で最善の努力はいたすつもりでございます。しかし、従来、先ほど来申し上げましたような実情にありますので、その仕分けなり区画ができるかということは、見通しとしては困難だと思いますが、できるだけの努力はさらにしたいと考えております。
  25. 矢田部理

    矢田部理君 押収物件点数の中にはPXL関係は入っているんですか、いないんですか。
  26. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) PXL関係も、それから全日空丸紅トライスター関係もすべてこの証拠品関係には関係があるものもございます。
  27. 矢田部理

    矢田部理君 その点数は……。これは仕分け簡単でしょう。
  28. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) その点につきましても、証拠品につきましても十分協議したのでございますが、その仕分けはやはり困難であるということでございます。
  29. 矢田部理

    矢田部理君 供述調書は、仕分け困難論はぼくは理解しませんよ。調書内容を見れば両方にまたがっているか、それぞれ別個であるかぐらいはやる気になればできることですから。したがって、それは努力をいただくとして、それから参考人を呼び出すについて、調書は結果としてとらなかったにしても、何を聞こうかとねらいを定め、かつ、テーマを決めて参考人を呼び出すのがあたりまえのことでありますから、ただ何となく話を聞こうということで呼び出すわけじゃないんですから、それは努力をいただくとして、少なくとも押収物件物証等については、これはもうもっと単純に仕分けができるはずだ。その点も、あなたがいま知らないということならばやむを得ませんから、さらに努力をしていただく、検察庁指示ないし折衝をしていただくということを約束していただけますか。
  30. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) できるだけの努力はしてみるつもりでございます。
  31. 矢田部理

    矢田部理君 もっと具体的に伺いますが、田中前総理を逮捕、勾留して取り調べをしましたね。田中からハワイ会談やその後の白紙還元時の状況等について事情を聞きましたか。
  32. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねでございますけれども、具体的な特定の人に対してどのような事項調べたのかということを申し上げることはいたしかねるわけでございます。その点は捜査原則でございますので御理解いただきたいと思います。
  33. 矢田部理

    矢田部理君 逮捕、勾留した田中について逮捕段階あるいは勾留段階被疑事実があるわけですが、被疑事実以外の事項についても取り調べはしたのでしょうか。
  34. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 先ほど申しましたように、特定人物についてどのような事項にわたって調べたかということを申し上げることはいたしかねるのでございますけれども、もちろん捜査というものは非常に流動的なものでございますから、ある事項について具体的な容疑があってそれについて調べると、それで調べ過程でさらに必要な事項について、あるいは関連する事項について調べを進めていくということは十分あり得ることでございますが、先ほど申し上げておりますように、特定人物についてどのような事項にわたって調べをしたかということは、それを公にするということはいたしかねますので、どうか御理解いただきたいと思います。
  35. 矢田部理

    矢田部理君 まあ、ニュアンスはわかりましたので、さらに次の質問に入りますが、白紙還元時に重要な役割りを果たした人たち、この人たちについては当然事情聴取をしているんでしょうね、参考人として調べているんでしょうね。
  36. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 再三のお尋ねで、具体的な捜査中身についてどういうような範囲の者を調べたかということにわたるのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、捜査過程でどういう人物あるいはどういう範囲の人々を調べたのかということを申し上げるということは、将来の捜査において関係者協力を得られなくなる等のいろいろ不都合な事態を生ずるおそれがございますので、捜査というものの性質上その中身を申し上げるわけにはいかないということをお願いしておるのでございまして、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  37. 矢田部理

    矢田部理君 あなたね、この中間報告では犯罪の嫌疑はなかったと、容疑の線は浮かんでこなかったといっているんだから、そうならば一そうであるならば、私も特定名前を挙げているわけじゃありませんよ、白紙還元時にそれなりの役割りを果たした人たち、概括的に伺っているわけです。そういう関係者についても事情ぐらいは聞かなきゃ捜査をやったということにはならぬわけでありますから、その人たちからも事情は聞いて内容を詰めてきましたぐらいの話はできるんじゃありませんか。それともそういう関係者についてすら事情聴取をやっていないんでしょうか。
  38. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 繰り返しお答えいたします。  本件の捜査先ほどロッキード資金を、使途をめぐりまして捜査を行ったということでございます。それで特定人物調べたのかというお尋ねでないことは十分理解しておりますけれども白紙還元の問題で重要な関係があった者といえばおのずからやはり特定してくるおそれがあるわけでございます。そういう意味において捜査原則上、そういう者を調べたかどうかということは申し上げることができませんということをお願いしておるのでございます。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 容疑がなかったんなら言ったっていいじゃありませんか。
  40. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 容疑がなかったからというお話でございますけれども、確かにそういう点の差はあるかと思います。しかしそれが捜査過程特定の人を調べたと、あるいはこういう関係者調べたということを具体的に申し上げるということは、その事柄の結果のいかんにかかわらず、結局捜査中身を申し上げることになって将来の捜査においていろいろな関係者協力を得て捜査を進めていかなければならないという立場にあるわれわれ法務検察当局としてはぜひ御勘弁願いたいということを繰り返しお願い申し上げておるわけでございます。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 じゃちょっと質問の角度を変えますが、国民すべてがどうしてあの時期に突如として国産化白紙還元になったんだろうかということに疑惑を持っているわけですね。あの経過、いきさつについては当然捜査対象にしたのでしょうね。
  42. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御指摘の点については、検察当局としてもこのロッキード社問題をめぐっての全般的な問題についての一つ事項として重大な関心を払っておって、それについても常に脳裏に描きながら、具体的な犯罪捜査ということを進めたということは、再三申し上げておるとおりでございます。したがいまして、その点で御理解をいただきたいというふうに思うのでございますが、要するに先ほど来申し上げておりますように、ロッキード事件捜査は、ロッキード社から不正工作資金が流入した、それが丸紅ルート全日空ルート児玉ルートに分かれて金が入っている、その金は一体どこへ行ったのか、そしてその金の行く先に犯罪があるのかないのかと、そういう点を中心にして調べたのでございます。  そういうことで犯罪捜査権というのは行使できるのでございまして、一つの社会的な事象あるいは政治的な事象そのもの犯罪捜査対象にするということは、刑事訴訟法としても予定していないところであるということを、それは原則論でございますが、そういう原則があるということを御理解いただきたいと思います。
  43. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁に伺いますが、防衛庁関係者が六名調べられたということですが、どんな人たちが、どんな内容について調べられたのでしょうか。
  44. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ただいま六名の者が呼ばれておるということですが、私は具体的にはその六名の者がどういう者かというのははっきりいたしておりませんけれども、その中の一人に私がいたということは間違いございません。
  45. 矢田部理

    矢田部理君 あなたがいたことはわかりました。すると、あと五名でありますが、防衛庁自身PXL選定について、いろいろ疑惑が持たれている。したがって、内部的にもいろいろ調査を進めてこられたと思うんでありますが、当然のことながら、だれが検察庁に呼ばれた、検察庁にどういう資料を持って行ったというようなことは、内部的にわかっていると思うんです。したがって、さらにどんな人たち調べられたのか、それから防衛庁から提出をした資料、それは何点ぐらいなのか、その内容等について、もう少し詳しくお話をいただきたいし、かつても問題になっておりましたが、たとえば白川元統幕議長ども調べられているということはこの席でも出ていると思うんでありますが、もう少し自分だけのことでなしに説明していただきたい。
  46. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 当時私が参考人として事情を聴取されますときに、そのほかにどういう人が行っているのかというようなことは聞きましたが、当時総務課長あるいは防衛課長等がいわゆる新しい機種決定をするに当たっての経緯その他について説明をし、その関係のたとえばその部内の事務手続内容、そういうものについて説明したというふうに聞いております。
  47. 矢田部理

    矢田部理君 お名前は。
  48. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 当時の総務課長はたしか夏目総務課長だったと思います。それから防衛課長西廣課長だったと思います。
  49. 矢田部理

    矢田部理君 その押収された資料点数と、それから提出した資料点数とはどうですか。
  50. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 提出した資料がどういうものがあったかはわかりませんけれども、私の場合には提出した資料というのはございませんでした。
  51. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁全体として。
  52. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それはちょっといま私つかんでおりません。
  53. 矢田部理

    矢田部理君 調査をすればわかるわけですね。
  54. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) わかると思いますが……。
  55. 矢田部理

    矢田部理君 じゃ改めて次回に伺います。  児玉関係について伺いたいと思いますが、児玉が受け取ったお金の留保状況、使途関係については相当程度解明をしている、いずれ公判で明らかになるものと思うということですから詳細は公判にまちたいと思いますが、この前、このお金が政治家関係に、国会議員とか政治家に流れているかどうかについては、そこには流れていなかったということですか。その点まず確認的に伺っておきます。
  56. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) これまでの捜査の結果ではそのような事実は認められなかったということでございます。この間局長が申し上げたとおりでございます。
  57. 矢田部理

    矢田部理君 政治家以外にP3Cの売り込み等について児玉のお金が流れた可能性、これはいかがですか。
  58. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 本来、たとえばお尋ね児玉事件で申しますと、資金の所得税法違反、あるいは外為法違反でこれから公判が係属されるわけでございますから、その金の使途等について申し上げるということはいろいろ公判に支障がございますので申し上げないのが原則でございます。しかし、国政調査の推移にかんがみまして、ただいまの政治家に渡った点があるかどうかというような点は非常に重要なことだと思いますので、私どもの現在までの捜査過程で明らかになった点をあえて申し上げたわけでございます。それ以上、どういう関係者にどの程度の金が行っているか行っていないかということを申し上げることは、今後の公判に支障がございますので御勘弁願いたいと思います。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 政治家に流れた可能性はないんだとまで説明をして、じゃそれ以外に流れた可能性はどうなのかということについては公判論だという理由で断るのは、ちょっと首尾一貫しないんじゃありませんか。
  60. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 重ねてのお尋ねでございますが、去年十月十五日の中間報告におきまして丸紅全日空ルート資金流れについて、政治家との関係について御説明を申し上げたわけでございます。そういうこととの関係もあり、児玉ルートについて具体的にそのような事実があったかなかったかということを申し上げざるを得ないということでその点を御説明申し上げたわけでございます。要するにこの児玉に入った十七億につきましては、その留保状況、それからその使途状況についてかなり解明ができていることは申し上げたとおりでございますが、一部まだ不明な点が残っております。しかし、それがどういう状況にあるかということを申し上げることは、今後の児玉関係の裁判の遂行に影響がございますので、ぜひ御勘弁願いたいと思います。
  61. 矢田部理

    矢田部理君 留保しているお金、それから使ったお金、不明のお金、三つに区分をしているようでありますが、その割合はほぼどの程度ですか。
  62. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) その点は御関心の深いところかと思いますけれども、一部、相当程度解明が留保状況及び使途についてできたと。で、なお一部不明な点が残っておる、それが何%あるいは何割ぐらいになるのか、金額的に何割ぐらいなにるかというようなことは、まさしく今後の児玉に関する所得税法違反等の具体的な公判との関係がございますので、ぜひその点は御理解いただいて、この間御報告申し上げたのが精いっぱいであると、私どもとしてもできるだけ御協力を申し上げておるつもりでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  63. 矢田部理

    矢田部理君 公判を一々盾にして断っているわけですが、児玉の所得税法違反というのは、児玉に所得が幾ら入ったかがまさしく問題なんであって、それを留保しておったか、どう使ったかはその後の問題でしょう。したがって、私も幾らとか、具体的に内容を明確にしろと言っているんじゃなくて、およその見当を言っているわけでありますから、その程度のことが公判に支障があるというのは説得力に欠けるんじゃありませんか。
  64. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) このようなことを申し上げるのは非常に口幅ったいような言い方になるかもしれませんけれども、所得税法違反は、その年のその人に入った金額とそれから出ていった金額とのその差額について、課税所得として法律を適用して脱税になるかどうかという問題になるかと思います。したがいまして、入りと出というのは密接に関連しておるのでございまして、それがどういう構成になっているか、留保状況がどうであるか、使途状況がどうであるか等について公判の前に明らかにするということはいたしかねるのでございます。検察官は児玉の公判が開かれるならばその冒頭陳述においてその辺の必要な証明事実について詳細な陳述をすると思いますので、それ前に私どもでその内容を明らかにすることは、これはどうしても刑事訴訟法原則として許されないことでございますので、どうか御理解願いたいと思います。
  65. 矢田部理

    矢田部理君 概括的な内容も明らかにできない。児玉の公判の見通しはどうですか。
  66. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 次回は六月二日と予定されております。本人が御承知のように病気でございますので、その六月二日に開かれるかどうか、それは私も予測いたしませんけれども、いろいろ関係者からの申し立ても聞いて裁判所が六月二日に公判期日を指定しております。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 それは知っておりますが、病状等から見て今後の見通しはどうなっているのか。検察官としては当然、裁判所が決めることだとしても、公判維持の関係から、それなりに時期的なめどなりこれからの進め方については関心持たなきゃならぬわけですが。
  68. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御指摘のとおりでございます。検察官としましてはその病状の推移については十分関心を払っております。で、若干最近快方に向かっている兆しもあるようでございますけれども、やはり絶対安静、加療を要するということで、そのまま病臥に伏しているというのが現在検察当局の把握している実情でございます。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 その児玉でありますが、PXL関係についてどのようにお金を使ったかということについてはひとつおいでおいで、お金の使途関係については除外をして、行動として児玉自身がPXLを売り込むためにどんな工作をしたのか、それは当然児玉に対する取り調べ対象になっているわけでしょうね。その辺の取り調べ状況はどうなっていますか。
  70. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 児玉のどういう行為について捜査をしているかということは申し上げられませんけれども児玉が行っている時期的な問題もありますし、それから資金流れ関係で必要な事項については、児玉の行動についても十分詳細に調べていると思います。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 PXL関係についても当然のことながら調べているということですね。——まあ、そう伺っておきます。  それから、前回安原刑事局長に、いわばPXL関係についてもそれなりに調べてきたと、しかし容疑の線は浮かばなかった、そういうことであるならば、今後国政調査協力する意味でその関係資料を国会に提出してほしいと、こういう要請をしてきたわけでありますが、それについての考え方——これは後で理事会に諮っていただきますが——はどうですか。
  72. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 結論から申しますと、そういう意味での捜査資料あるいは捜査資料内容等を明らかにするという、あるいは御提出するということは非常に困難であるというふうに思います。これは非常に今後の検察運営等に支障があるばかりでなく、さらには、PXL関係については全く公判と関係ないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけど、先ほど申しましたように、証拠品にしましても関係者にしましても必ずしもそこは分けられないというところがございまして、そういう将来の検察運営及び今後の公判にも関係する部門はないとは言えませんので、具体的なそういう事件捜査結果の内容を国会へ提出するということは非常に無理がございますので、どうか御理解いただきたいと思います。
  73. 矢田部理

    矢田部理君 従来は捜査中だから捜査の秘密等もあるので出せない、それから公判になったものについては公判維持上出すわけにはいかぬと、こういう立て方であなた方は資料の提出を断ってきた。今度問題にしているPXL関係資料については、捜査をした結果、容疑の線が浮かんでこなかったということでもう捜査の秘密論は消えるし、したがってもちろんまた起訴もしてないわけでありますから公判維持の必要もないわけでありますから、まさに国政調査協力する意味で積極的にこの種内容資料を提供してもいいんじゃありませんか。将来の検察運営なんというまた茫漠とした理由を出してくることについては、特にこのロッキード事件を本当に解明するという立場に立つならば、聞けた議論じゃないというふうに思うわけでありますので、さらに、困難であるということは伺いましたけれども、まだ絶対不可能だという話でもなさそうなんで検討していただきたいと思います。私どもも理事会の方でもう少し具体的に、あるいは正式に要求すべく相談をしたいと思いますが、その点ひとつ再検討課題として残してほしいと思います。
  74. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) たってのお尋ねでございますけれども刑事訴訟法四十七条の規定の趣旨は、人権の問題と裁判の問題と捜査の問題と、三つの点から刑事訴訟書類の非公開の原則を定めておるのでございます。それで、捜査にどういう関係者調べたのかとか、あるいまその内容はいかんというようなことを明らかにいたしますことは、将来他の事件捜査を行う場合に、ああ、結局そういうことでは協力できないということで、協力を得られなくなってしまいますおそれがこれは多分にあるのでございます。決して私ども国政調査に御協力できないということでは、しないということではございませんで、できるだけ、中間報告なりあるいはこういう答弁を通じましてできるだけの御説明は申し上げておるつもりでございますので、どうか御理解いただきたいと思います。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 その四十七条の本文だけの話をしちゃだめですよ、まさにただし書きが問題になっているわけでありますから。しかも、容疑がなかったと言うなら、人権上の問題だって起こるはずがないんでありますから。そういう点で、強く再検討をするように求めておきたいと思います。  しかし、いままでの一連のあなたの答弁を聞いておりますと、どうも余り答えられない、出せない、これはだめだという議論が多いわけでありますが、結局、PXL関係については大した捜査調査をやっていないために出せないんじゃありませんか。どうも、あなたが内容を明らかにできない理由がその辺にありはせぬかと、私は非常に疑問を持っているわけです。たとえば、この間安原刑事局長は、そういうたとえば仕分けをして出すことなどは別に秘密でも何でもありませんから、作業上の問題ですという言い方で、そんなら作業を詰めれば出せるじゃないかという感じに発展させられる議論の下地のような答弁をされているわけであります。どうもあなたの物の言い方は、結局PXL関係捜査が不十分、十分にやっていないということから来ている答弁のように思われます。いずれまた、この問題は別の機会に取り上げることといたしますが、最後に、入管局においでをいただいておりますので、一、二点だけお尋ねをして、私の質問を終わります。  前回、海外渡航者リストを出してほしいということを概括的に申し上げているわけでありますが、海外渡航状況についての資料は秘密ではございませんね。
  76. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 出入国の記録は、すべての人の出入国の公正な管理という公共の目的……
  77. 矢田部理

    矢田部理君 秘密か秘密でないかだけ答えてください。
  78. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 一応私の立場から、これは守秘義務がございます。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 国会からの要求があっても出せない性質のものでしょうか。
  80. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 国政調査権に基づく要求に対しては、できる限り協力する立場でいままで処理しております。
  81. 矢田部理

    矢田部理君 したがって、国政調査上の必要から要求があれば、出せる性質のものということですね。
  82. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) ただ、非常に……
  83. 矢田部理

    矢田部理君 いや、まずその私の質問に対する答えを……。
  84. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) はい、技術問題がございます。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 技術の問題はいいから、まず……。
  86. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) できるだけ協力するというたてまえでございます。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、ある年次の国会議員の海外渡航状況についても、当然、要求があれば協力できる、協力するという立場にあるわけですね。
  88. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 非常に膨大な記録でございますので、いつ幾日、どの飛行機でと、こういう指定をいただかないと、なかなか記録は出てまいりません。
  89. 矢田部理

    矢田部理君 だから技術上、事務上の問題は大変だということはあっても、事の性格から見て、あるいは内容から見て、基本的には出せる性質のものでしょう。
  90. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 協力する方針でやっております。
  91. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、昭和四十八年から五十年にかけての国会議員の渡航リスト、もちろん渡航先、渡航の時期、渡航理由等について、ぜひ協力して出してほしいと思いますが、いかがですか。
  92. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) ただいまの御要望は非常に膨大なものでございますんで、たとえばその数が限定——ただ国会議員全体と申しますと、これは大変なことになるんで、ちょっとその辺の御要求がですね、具体的にお示しいただかないと、ここで私がお答えするわけにはまいりません。
  93. 矢田部理

    矢田部理君 いや、あなたの話は、基本的には協力をすると、しかし、事務上、技術上、なかなか量が、あるいは繁雑さ等も加わって大変だというだけの話でしょう。だから、時間をかければ出るんじゃありませんか。それとも、私がもう少し特定をすれば出しやすいということですか。たとえば四十八年から五十年当時の経歴で考えて、元政務次官のこの時期における渡航状況について出せと、あるいは元運輸委員のこの時期における渡航状況について出せと、こういう特定をすれば作業は少なくなりますから、それなら出せるということになりますか。
  94. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) もちろん、われわれが国政調査権に協力申し上げるのは、その委員会決定を待って、委員会から正式に御要求になった場合でございます。  それから、もう一つ申し上げたいのは、たとえば二年にわたる期間に何回と、これは非常にむずかしゅうございまして、ただいま申し上げましたように、いつどの飛行機で出たか出なかったかとかですね、その期間の問題もございます。したがいまして、そういう具体的に御要求を見ないと、すぐそれが出せるかどうかということは、ここでちょっと御返事申し上げられないということでございます。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 いや、ちょっと待ってくださいよ。事務上、技術上の問題はわかったんですよ。だから、ある程度時間をかければ出せない性質のものじゃないでしょうと。繁雑さや量があるから時間がかかるということは私も了解しましたが、基本的には出せると。同時に、事務上、量が多いから繁雑だということであるならば、もう少し私は限定してもよろしい。事実これまで、いつ何便で行ったかなどと聞かなくたって、小佐野であるとかコーチャンの出入国の状況とか趙重勲のそれについては、もう現に出しているんじゃありませんか。だから、基本的に協力しますという話だけ聞けばいいんですが、そういうことですね。
  96. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) はい。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 そういうことですね。
  98. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) そのとおりでございますが、限定していただければいつでも協力さしていただきます。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 限定してもらった方が出しやいと……
  100. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) はい、そうでございます。そういうことでございます。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 技術上、事務上出しやすいと、こういうことですね。
  102. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) はい。
  103. 矢田部理

    矢田部理君 それから、私の質問はこれで終わりますが、税務調査状況について——国税局見えておられますか——全日空その他について、児玉らは脱税その他で起訴をしたということでありますから、また田中については受け取った五億円について課税措置をとったということでありますので、そのことも含めてこれまでの税務調査の概況、簡単にお答えいただきたいと思います。
  104. 系光家

    政府委員(系光家君) お答えいたします。  児玉譽士夫につきましては何回か申し上げているわけでありますが、昨年三月、九月及び本年一月の三回にわたりまして、同人の昭和四十七年分ないし昭和五十年分の所得税法違反につきまして告発、起訴が行われているわけでありまして、またこれらの措置と同時に、昭和四十五年分ないし昭和五十年分につきまして所要の課税処理が行われているわけであります。  なお、児玉譽士夫の調査に関連しまして、同人の周辺あるいは関係法人につきましても、税務上の問題が明らかになったものにつきましては適正な処理を行っております。  丸紅全日空関係でございますが、丸紅に関しましては、問題となった金額を法人の計算に帰属させるべきかどうか、また全日空に関しましては、本事件に係ります簿外資産の収支の状況またその性質等につきまして、まだいずれも実態を完全には解明するまでに至っていないわけでありますが、公判の進行状況等も見守りながら、できるだけ早い時期に実態を見きわめまして適切な課税処理を行うというふうに考えているわけであります。現在のところそういうふうに申し上げておきたいと思います。
  105. 矢田部理

    矢田部理君 関連して久保委員から質問がございます。
  106. 久保亘

    ○久保亘君 いま国税庁に関する質問に関連をしてちょっとお尋ねをいたしておきますが、先般のこの委員会田中元総理の五億円の課税について御報告をいただいたのでありますが、その際、国民は法のもとにすべて公正平等という立場から田中角榮に対する課税処理も行われたと、こういうことで山橋次長ですか、御報告になったのでありますが、最近地方自治体で起こっております汚職について、その収賄に対する税務処理は脱税犯として処理されたと私どもは聞いておりますが、一点この例として、岐阜県の汚職についてはどういうふうに処理されたのか。特に岐阜県汚職の当事者であります和田某についてはどういう脱税の処理が行われたのか、簡単に御報告いただきたいと思います。時間ないからちょっと急いでやってもらいたい。
  107. 系光家

    政府委員(系光家君) 御指摘の案件は個別事件でありますので、余り具体的なことは申し上げられないわけでありますが、いままでのいろんな情報によりまして私どもがつかんでおるところによりますと、かなり期間がありまして、その中には課税の除斥期間がこの三月十五日で過ぎてしまった分、まだ過ぎていない分、いろいろあるわけでありますが、この三月十五日までに過ぎてしまった分につきましては、過ぎない時点におきまして適正な課税処理をしたと、こういうことでありまして、その後につきましてはまだいろいろ資料、情報を収集していると、こういうことでございます。
  108. 久保亘

    ○久保亘君 これらの問題については国税犯則取締法によって処理されたのかどうか、その点だけ明確にしてもらえばいいんですよ。
  109. 系光家

    政府委員(系光家君) この岐阜県庁の汚職に関連しまして、現在国犯法の査察の調査対象にはなっておりません。
  110. 久保亘

    ○久保亘君 和田という元参事ですか、この人に対する扱いは、少なくとも田中角榮の五億円に対する取り扱いに比べると違っておったのじゃありませんか。全く同じ扱いですか。責任持って答えてください。
  111. 系光家

    政府委員(系光家君) 異なった扱いはいたしておりません。
  112. 久保亘

    ○久保亘君 いずれも時効三年でやられておりますか。
  113. 系光家

    政府委員(系光家君) もともと申告があった分につきましては三年、無申告の分につきましては五年というのが除斥期間の計算でありますが、そういう法律の規定に従ってやっているわけでありまして、その意味で全く同様に扱っておるということでございます。
  114. 久保亘

    ○久保亘君 脱税犯としての重課税等が行われたということはありませんね。きちんと答えておいてくださいよ。
  115. 系光家

    政府委員(系光家君) 適正に処理したという意味で全く同様に扱っております。
  116. 久保亘

    ○久保亘君 全く同様に扱っている。
  117. 系光家

    政府委員(系光家君) ええ。適正に処理したという意味で扱っております。
  118. 久保亘

    ○久保亘君 わかりました。それでは私どももまた調査をして引き続き別の機会にお尋ねいたします。  終わります。
  119. 野田哲

    ○野田哲君 まず、三原防衛庁長官に伺いますが、このロッキード委員会の審査の対象として防衛庁所管のPXLの問題があることは御承知のとおりだろうと思うのです。このPXLの問題については、坂田前防衛庁長官とシュレジンジャー前アメリカ国防長官、この間で話し合われた日米共同作戦行動、この問題と非常に密接な関連を持っていると私どもは考えているわけです。  そこで、今後の審査の参考のためにまず冒頭に伺っておきたいと思いますが、三原防衛庁長官は、最近の情報によりますと、近々アメリカを訪問されるという計画があるやに伺ったわけでありますけれども、これは具体的にいつ、どのような形で訪米されることに予定をされているのか、まず、その点をお伺いいたしたいと思います。   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
  120. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。  私自身が訪米するという予定はいまのところございません。ただし、坂田前長官とシュレジンジャー前アメリカ国防長官との間におきまして両国の防衛関係の首脳者が年に一回定例的に会おうではないかということが合意をされたことは承知をいたしております。そういうことを考えてまいりますと、昨年はその実施ができなかったという事態がございます。ことしはどうするかということになるわけでございまするが、そういう合意のときから経過を考えてまいりますると、ことしやるとすれば日本の防衛庁長官がアメリカを訪問するという、そういうことになるかなあというようなことは、前坂田長官からもそうした引き継ぎがございましたし、そういうことは考えておるわけでございまするが、いま当面して、いつ行くとかというようなことについては予定を立てておるわけではございません。
  121. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、いまの段階では、この坂田前長官とシュレジンジャー前国防長官との間で年に一回会おうじゃないかということで訪問すること、あるいは向こうからお呼びをすること、そういう形で会おうじゃないかという申し継ぎは受けておるから、ことしは訪米する順番というか、ローテーションというか、そういうことになっているという、そういうことですね。
  122. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) そういうことでございます。
  123. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、その時期とかあるいはテーマとか、そういうものについては全くまだ煮詰まっていないんですか。けさの読売新聞の報道では、かなり駐韓米軍の撤退後の問題についてテーマを持って訪米されるということが具体的に報道されておりますけれども、全く白紙ということなんですか。
  124. 三原朝雄

    ○国務大臣(三原朝雄君) お答えいたします。  全く白紙でございます。考えておりません。
  125. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁関係者PXL選定作業について伺いたいと思うわけでありますけれども、昨年までの当委員会におけるPXL選定作業状況については、坂田前防衛庁長官言葉どおり受けとめると、P3Cクラスのものを予定をしていると、こういう話があったわけでありますけれども、現段階でこの選定作業についてはどういう状態になっておりますか。
  126. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 次期対潜哨戒機の選定作業の経緯でございますが、御承知のように、私どもといたしましては、五十七年ごろから逐次現在のP2Jが除籍になってまいりますので、それに合わせてできるだけ早く機種を選定し、対潜哨戒機能に欠落がないようにということで進めてまいっておるわけでございますが、昨年来といいますか、これは当初からの考え方でございますけれども、現在のP2Jよりももっと能力のあるもの、すなわち、具体的に言うならばP3C級の能力を持った対潜哨戒機がほしいということで検定作業を進めてまいっているわけでございます。  ところが昨年になりまして二つ新しい事態が生まれまして、一つはカナダがいわゆるP3Cではなく、P3C程度の機能を持ったCP140というものを採用することが決定したということがございました。それからもう一つの問題は、アメリカにおきましてS3Aという新しい対潜哨戒機が部隊に配備されるという問題がございました。この二つの事情からS3Aの機材についてのリリースというのがいままで行われなかったのが、昨年来これについての説明を受けられるような状況になったわけでございます。したがいまして、昨年といいますか、本年度でございますが、昨年からCP140の調査に行きましたり、あるいは、年末にはS3Aに搭載しております機材についての説明を米側から受けたりいたしました。そしてまたつい最近は、さらにこのS3Aの機材についての調査というようなことでアメリカにも行っているわけでございます。したがいまして、坂田長官のころ御答弁申し上げましたように、全部の機体を輸入するのか、あるいは全部の機体を国内開発でいくのか、あるいは搭載電子機器を輸入して開発した機体に載せるのか、その三つの選択についてなお検討を進めている状況でございまして、その結論をできるだけ早く出したいということで努力をしている状況でございます。
  127. 野田哲

    ○野田哲君 結論を早く出したいというのは、めどとしてはおよそいつごろを考えておられますか。
  128. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 一昨年の暮れの国防会議におきまして、五十二年度の予算に間に合うように結論を出したということを申し上げて御了解をいただいておりましたが、昨年来の事情によりまして、新しい事情が出てまいりましたので調査をいたしておりますが、私どもといたしましては、五十三年度の予算に間に合うように努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  129. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、いまの防衛局長説明ですと、現在の候補機としてはP3C、それに加えて新しい事情ということで、先ほど来の説明のあったCP140、それからS3A、この三つが大体選定対象になっていると、こういうふうに考えていいわけですか。
  130. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) P3Cというのは、オライオンという飛行機に電子機器を積んだものでございます。S3Aは、電子機器が新しいものに変わっておりまして、飛行機は小型のものになっております。CP140というのは、S3Aという飛行機に積んである新しい電子機器をP3Cの機体に積んだものでございます。私どもはこの三つにこだわっているわけではございませんで、選択の方法といたしましては、わが国で機体をつくって、そしてS3Aに載せてある機材を積むということの可能性の問題、それからさらに、電子機器を含めて国産開発ができるかどうかという可能性の問題、そういうものを含めて検討しているということでございます。
  131. 野田哲

    ○野田哲君 S3Aについてはカナダへ調査団を派遣されたと思うんですが、この調査団の報告はもうすでに受領されていると思うんですが、そういう状態になっていますか。
  132. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) カナダに調査に参ったのはS3AではございませんでCP140でございます。その内容につきまして、カナダに行きまして、防衛審議官の渡辺審議官以下五名で参りまして調査をしてまいりました。これが帰ってまいりましたのが昨年の十二月の六日でございまして、その後検討いたしまして、一応そのCP140の性能あるいは運用のやり方、そういうものについての、何というか、勉強の結果というものはまとめてございます。
  133. 野田哲

    ○野田哲君 法務省に伺いますけれども先ほど矢田部議員の質問の中で、PXL関係事情聴を行った者防衛庁関係六名と、こういうふうに報告がありましたけれども、この防衛庁関係六人というのは、事情聴取をした段階で防衛庁に現に在職した防衛庁の職員と、こういうことで理解をすればいいわけですか。
  134. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 先ほど防衛庁関係者事情を聞いた方は六名おると申しましたが、それは現在、その当時防衛庁の職員である方とその前にそうであった方と、両方含まれております。  なお、PXL選定については、先ほど申しましたように犯罪の具体的な容疑というのは別にない段階で事情を聞いておりますが、基礎的ないろいろな事情を聞いておる、そういう趣旨でございます。   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
  135. 野田哲

    ○野田哲君 前に防衛庁にいた方も含んでいるんだと、こういうふうな説明でありますが、そうするとその前に防衛庁にいた方を含んでいるんだということになると、そのとらえ方がいつの時点で防衛庁にいた人かと、こういうとらえ方が問題になってくるわけですけれども、端的に伺いますけれども、この前に防衛庁にいた方も含むんだということは、つまり昭和四十七年十月、あの前後、端的に言えば国産開発の白紙還元問題について、FXの問題等、いろいろ防衛庁と大蔵省と国防会議の間でやりとりがあった、その当時の防衛庁に在職した方で、退官者あるいは他省に変わっている、こういう人を含んでいると、こういうことなんですか。
  136. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) どういう時期に防衛庁にいた方かということを申し上げますのは、結局その関係者の御氏名を特定することにも結びつきますので御勘弁願いたいと思うんでございますが、先ほども再三申し上げましたように、この問題についても検察当局としては非常に関心を払っておったことは事実でございます。ただ、本件の捜査過程というのは、ロッキード社から資金流れてきて、その資金を一体だれが受け取ったのか、そしてその過程犯罪容疑があるのかないのか、そこがポイントでございます。捜査権犯罪捜査の当局としてはそこがポイントで調べておるわけでございます。そういうことでございますので、御指摘のような白紙還元そのものの問題を捜査そのものの対象にしているというのとはまたおのずから、犯罪捜査刑事訴訟法に基づく捜査というものの性質上、そこはおのずから異なるということを御理解いただきたいと再三申し上げているわけでございます。
  137. 野田哲

    ○野田哲君 これは、法務省の報告では容疑を見出すことはできなかったということなんだから、それなればもっと端的に答えてもらっていいんじゃないかと思うんです。  それでは角度を変えて伺いますけれども、大蔵省の職員、あるいは元職員であった人、これは事情聴取を行った人、何人いらっしゃいますか。
  138. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お答えいたします。  先ほど申し上げました防衛庁関係者を含めまして、官庁関係者は約数十名調べておるわけでございますけれども、その中にどういう関係者——各省庁の者で何人いるかということについては、具体的に報告は受けておりません。
  139. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁は六人いたということは答えられて、大蔵省は何人いたかということをお聞きするとなぜ答えられないんですか。
  140. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お答えいたします。  決して大蔵省関係者だからお答えできないとか、そんなことでは全くございません。前回矢田部議員からPXL関係調べをしたのは何人か、防衛庁関係者は何人かというお話もございましたので、その点については検察当局に照会をして、先ほど申しましたように事情を聞いた者は六人おるということをお答えしたのでございまして、大蔵省関係者が何人いるかということについてはそのとき聞いておりませんし、また報告を受けていないわけでございます。
  141. 野田哲

    ○野田哲君 官庁関係者数十名、で、防衛庁関係は前に聞いていたから調べて六人だと、こういうふうなことでお答えがあったとするならば、じゃ私が、この数十名というのは、官庁関係者数十名を各省別に内訳を報告をしてくださいと、こういうことでお聞きをすれば、これは後で各省別の人数については内訳は御報告を願えるわけですね。
  142. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お答えいたします。  たっての御指摘でございますので十分検討させていただきますけれども、いわゆるそういう官庁関係者について事情を聞いたと申しますのは、何も何か特定のその人に対して疑惑があるとか、そういうようなことではございませんで、そういう事情、いろいろな背景事情その他前提となる状況、そういうことについて事情を聞いて基礎知識を得ておくというようなことも捜査当局としては必要な場合もあるわけでございますから、ただその官庁関係者何人調べたと言うと、いかにもちょっと何というんですか、世の中では犯罪疑惑が何かあって調べをしているというふうに受け取りがちなものでございますから、私どもとしてはできる限りそういうことは避けたいというふうに考えておるのでございます。
  143. 野田哲

    ○野田哲君 私もその官庁関係何十名、省別に内訳をもらったからといって、これが犯罪容疑者として調べを受けたというふうな受け取り方をするつもりはありません。これは今後の審議の参考のためにぜひその内訳は明らかにしてもらいたい、このことを申し上げておるわけです。  もう一点そのことに関係をして伺いますが、PXLの問題について、事情を聞いた政治家、あるいは当時は政治家ではなかったけれどもその後政治家になった、こういう人の内訳がわかりますか。
  144. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 先ほど来再三申し上げておりますように、捜査過程でどのような人を調べたのかということは、捜査原則に照らしてお答えできないということを申し上げておるわけでございます。それはいまお話しのは特定の人の名前を挙げてのお尋ねではございませんけれども、結局はそういうことに特定につながるおそれもございますし、私どもとしましては、どういう範囲の人をどういうことで調べたかというようなことについては、どうか——これを公に明らかにするということは将来の捜査等の関係から非常に困ることになるということで、先ほどからお願い申し上げておるわけでございます。
  145. 野田哲

    ○野田哲君 これは先ほど矢田部委員質問に対して、防衛庁関係については六名ということで説明をされたわけでしょう。で、これについて防衛局長は六名の中には私が含まれておったことは事実でございますと、こういうふうに答えておるわけですから、だから私は、このいまの私の質問に対して、特定の人につながるというようなことでそういうことはできないという意味答えがあったわけですけれども、そんなことを私が聞いているんじゃなくて、防衛庁が何人という答え方ができるんであれば、大蔵省が何人とか、あるいは通産省が何人とか、そういう答え方も、これはいま内訳がわからなければ後日でもできるんじゃないかということと、官庁関係者がそういう答え方ができるのであれば、政治家についても、国会議員、現職の者が何名、いまは国会議員ではないが当時は国会議員であった者が何名、あるいは当時は国会議員ではなかったけれどもその後国会議員になった者が何名と、こういう分類での答え方は当然できていいはずだし、されるべきではないか、こういうふうに考えるんですが、重ねて伺います。
  146. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) たってのお尋ねでございますけれども、その捜査過程でどういう関係者調べたかと申しますことは、先ほど来申し上げているように、原則として、刑事訴訟法四十七条の精神から申しましてもそういうことは差し控えるべき性質のものでございます。で、将来の捜査の運営等を考えましても 関係者協力を得られなければ捜査というのは真相を解明できないのでございます。そういう立場に私ども法務検察当局はいるということをぜひ御理解願いたいと思います。  結局、国政調査にできるだけの御協力をしなければならないのも私たちの立場でございますけれども、どうか、その協力をする場合においてもいまのような限界があるということをぜひ御理解願いたいと思います。
  147. 野田哲

    ○野田哲君 この問題でこれ以上押し問答してもあれですから、これは資料として……
  148. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと関連しますが、官庁関係者については人数と場合によっては省別の内訳が述べられて、政治家関係については、取り調べたかどうか、取り調べたとすればどの程度の人数であるかが言えないというのは、一貫しないんじゃありませんか。あなたの理由づけは根拠ありませんよ。その内訳は出すべきだし、仮に内訳が出せないまでにも、政治家関係、過去、現在、その後も含めて、調べたか調べないかぐらいは明らかにできるでしょう。特に、PXL関係について政治家は調べましたと、人数はこのぐらいですというようなことが明らかにできないというのはおかしいんじゃありませんか。官庁や防衛庁については言える、政治家については言えない、今後の捜査に云々という議論は、全く理屈に合わない。もう一回答えてください。
  149. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) おしかりを受けたわけでございますけれども、私が申し上げた趣旨は、まず前回矢田部議員の御質問について刑事局長が、十分、その問題についてはできる限り、どこまで御協力できるか検討いたしましょうということで、私ども検察当局とも十分協議をいたしまして、そして御協力申し上げることができる限度として先ほど答えしたわけでございます。たってそういうお話があったのでございますが、さらに、先ほど来申し上げましているように、PXLの問題についてと、その他の全日空あるいは丸紅あるいは児玉ルート関係と、その仕分けなり区別というのが非常に困難である、そういうことでございますので、PXL関係で何人だれを調べたのかということ自体が非常にむずかしい御質問でございます。そのことができません、区別ができないのでその数字等を申し上げるわけにはいきませんということを申し上げておるのでございます。本来、ロッキード事件捜査過程資金が日本に流れてきて、その流れ過程犯罪容疑ある者についてはそれを的確に処理する、厳正に処理する、そういうことでこの捜査が行われてきておるのでございますから、その必要な限りはいかなる問題といえどもその捜査過程事情を聞いたりするということは幾らでもあるわけでございまして、PXL関係で政治家を調べたかどうかと。それは、政治家に限らず、だれを調べたかどうか、そういうことの人数なり範囲を申し上げること自体もなかなか困難なことだということを再三申し上げておるのでございまして、そこをぜひ御理解いただきたいと思います。
  150. 野田哲

    ○野田哲君 先ほど防衛庁関係の者六名ということを報告されたわけでしょう。それで、いま私がそのことについて聞くと、この六名の中には当時は防衛庁にいたけれども、後で、現在はほかの方へ変わっていると、こういうところまで答えられているわけですから、私どもこの問題の審査に当たってきた者にとっては、およそ、まあそこまでいけば、ああこれにはだれが含まれるなということはわかりますけれども、それ以上のことは私は言いませんよ。防衛庁だけが六名ということを出されたとすれば、ほかは出さないということになれば、これは三原防衛庁長官だって、何でおれの庁だけ人数出すんだということで、これはちょっと公平を欠くじゃないかということをお考えになると思うんです。だから、防衛庁を六名ということを言われた以上は、数十名の中には大蔵省が何人とかあるいは通産省が何人とか、省別に人数を明らかにされるべきではないか。同時に、これはPXLについては疑惑はなかったというところまで法務省が言い切られるのであれば、政治家についても、当時は政治家だけれども現在は政治家でない、あるいは、当時も現在も政治家、当時は政治家ではなかったけれどもいまは政治家になった、そういう分類でPXL関係だけで事情聴取をした政治家についても報告をされてこれは当然ではないですか、いかがですか。
  151. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 防衛庁関係者についての人数が言えるならばほかでも言えるんじゃないかというたってのお尋ねでございますけれども防衛庁関係者について申し上げたのは、先ほど来申し上げていることのほかに、さらに、私の記憶で間違いないと思いますけれどもロッキード委員会におきまして、前坂田防衛庁長官当時でございますけれども防衛庁の側の方から、いま検察庁事情を呼ばれて聞かれている者は何名いると、で、たしか名前も一部挙げてお話しになっていたように記憶しております。それで、そのように、それだけ事実関係もある程度公にされているということをも考慮いたしまして申し上げたのでございます。決して防衛庁関係者だけどうこうということで申し上げたつもりは全くございません。  それから、なお、昨年の十月十五日で中間報告いたしましておるとおり、おわかりのとおり、本件関係でその当時国会議員で調べをしたのは、本件関係者で、ロッキード事件ですが、全体で国会議員十七名であるということは申し上げたとおりでございます。
  152. 野田哲

    ○野田哲君 この点については、いまの説明では一貫性がないので、これは資料として私が法務省にいま質問をしたような内訳について提出を求めたいと思いますので、委員長の方でしかるべきお取り計らいをいただきたいと思います。
  153. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまの御要望の件については、後刻委員長理事打ち合わせ会で検討いたしたいと存じます。
  154. 野田哲

    ○野田哲君 先般、鬼頭問題について、裁判官弾劾裁判所の審理によって鬼頭判事補の身分問題については一応決着がついたわけでありますけれども、その背景とか具体的な事実のにせ電話事件等の経過とか、あるいは人脈等については依然として国民は非常に大きな疑惑を持っておるし、これを解明されることをやはり期待をしていると思うのです。  そこで、鬼頭問題についてのお伺いをいたしたいと思うのですが、法務省に伺いますけれども、鬼頭は、にせ電話事件の直前に香港へ旅行しているわけでありますけれども、この香港旅行の具体的な事実経過は取り調べの中で明らかになっておりますか。
  155. 石山陽

    説明員(石山陽君) 検察当局からその点に関し調べをしたということについての詳細な報告は、まだ私どもは受けておりません。
  156. 野田哲

    ○野田哲君 調べは受けていないということですけれども、この香港旅行が非常なやはり疑惑を持たれている。  そこで、じゃ具体的に一つ一つ伺いますけれども、鬼頭は薬のヒグチというツアーの一行に加わって香港へ行っているわけでありますけれども、このツアーの一行が香港で宿泊をしたホテルとは別のメーザン・ロードにあるミラマーホテルというのの一室を使っている、こういう有力な情報を私は持っておるわけでありますけれども、そういう事実について調査をされておりますか。
  157. 石山陽

    説明員(石山陽君) まず、せっかくの先生のお調べに対しまして水を差すようで恐縮でございますけれども先ほど来刑事局の総務課長が、まあ一般の捜査原則を申し上げておりますが、この事件につきましても、いわゆる鬼頭元判事補の取り調べの結果、現在渋谷簡易裁判所に、にせ電話事件に関しましては軽犯罪法違反としてすでに公判が請求されておりまして、近く公判が開かれる段階でございます。それで、いわゆるにせ電話事件犯罪捜査としての必要ないわゆる周辺事情あるいは背景というのは当然検察も調べておるというふうに私どもは確信いたしておりますけれども、いまの先生の御質問の要旨を私なりに拝聴いたしておりますると、どうもそれはいわゆる三木前総理に対し電話をかけたかどうかということを中心といたしますいわゆる官名詐称事件捜査範囲とはいささか離れて、もっと遠くにある背景のような気がいたすわけでございます。恐らくは、検察は犯罪捜査の観点からそのような遠く離れた事情までは調べは尽くすことはなかったんじゃないかというふうに私、考えております。
  158. 野田哲

    ○野田哲君 当時の報道で、鬼頭がツアーの一行と一緒に香港の空港に着いたときに数名の者が出迎えていると。で、出迎えに当たっては鬼頭という名前を表示をしたプラカードのようなものか何かを持っていた。で、現地の言葉では、鬼頭というのは、「鬼頭仔」という言葉があって、これは情報を売る男だという意味に通じるんで、大変これは印象に残っているという報道もあったわけですから、当然これは、このにせ電話事件に直接関係があるかないかはともかくとして、いま言われたように、周辺の問題として、出迎えた者が一体どういう関係の者であるのか、こういう点や、香港滞在中の行動について、特に私の調査したところでは、ミラマーホテルにおいてかなり国際電話を使っていると、こういう情報があるわけでありますけれども、その辺のことは調査対象にはなっていないのですか、これは。
  159. 石山陽

    説明員(石山陽君) お答えいたします。  そのような事実について取り調べたということにつきましては、現在まで全く報告を受けておりません。また私、それ以外の話としても、ただいま先生よく御調査なされたということで、私も初耳で大変申しわけございませんが、感服いたしておる次第でございます。
  160. 野田哲

    ○野田哲君 いや、それは私に感服されても困るんでね。事情、周辺背景を調査してもらわなければ、この問題は国民に疑惑を晴らすことにならないと私は思うのです。  もう一つ香港の問題について伺いますけれども、鬼頭は香港滞在中に、香港の領事館に犬丸さんという領事がいらっしゃいますが、この犬丸領事に対してしきりにコンタクトを求めたと、犬丸さんというのは中国語が非常に堪能な領事であるというふうに聞いておりますが、執拗に犬丸領事に会見を求めたと、しかし結局は犬丸さんは会わなかったと、こういう事情があるようでありますけれども、その辺の事実関係についてはいかがですか。
  161. 石山陽

    説明員(石山陽君) その点につきましても、私の方にはそのような関係について調べたという報告は受けておりません。  なお、一般論的に申し上げますれば、この種の犯罪捜査の場合には、もちろん検察の捜査の方法は具体的に千差万別ではございますが、恐らくは、その犯罪の成否ということに関します基本的事実の関係を先に取り調べ、そして犯罪が成立するものというふうに考えました場合には、まずその周辺的な背後関係としては共犯の有無ということが当然問題になるかと思います。もちろん、検察はその点につきまして十分配慮をしまして今回の起訴決定に至ったものと思いますが、今回の事件につきまして渋谷簡易裁判所に対します公訴事実によりますると、本件は一応鬼頭の単独犯であるという認定のもとに公訴状を提出しておりますので、ただいま先生が数々御指摘のような人間がもし検察の当時の捜査におきましていわゆる共犯関係の疑いがあるということでありますれば、当然捜査は尽くしたと思いまするが、どうも私なりの感触では、先ほど来申し上げましたように、それはかなり遠い背景事情になるのではないだろうか、恐らくは検察はそこまでは捜査は尽くしておらないのではないかと、また、尽くさないという意味は、捜査不備ではなくて、検察の捜査範囲を超えている問題ではないのかと、かように考えて御答弁申し上げておる次第であります。
  162. 野田哲

    ○野田哲君 鬼頭は、このにせ電話事件に関連をして、内閣調査室のある職員とかなり接触をした形跡があるという有力な情報がありますが、この点についての調査は行われましたか。
  163. 石山陽

    説明員(石山陽君) ただいま御指摘のような人に対していわゆる共犯等の疑いで捜査を尽くして、その結果がシロであるとかクロであるとかいうような報告を受理したことはございません。ただいままでのところ、一般的な問題といたしまして先ほど来申し上げておりますように、もしそのような共犯の疑いがある者というふうな関係について捜査が尽くされておりますならば、それはいずれ今後の公判の過程におきまして検察がどのような見方をしたかという点については逐次明らかにされていくことと思いますが、捜査を遂げました結果、単独犯として起訴をしているという点をひとつ御了承をいただきたいというふうに思います。
  164. 野田哲

    ○野田哲君 きょう実は最高裁の人事局長にぜひ出席を求めたわけですけれども、最高裁の仕事の都合でどうしてもということで、代理の方も含めて出席がなかったわけでありますが、これはやはり法務省の鬼頭関係の問題として伺わなければならないと思うのですが、鬼頭と非常に重要な関係があると、こういう疑惑を持たれている団体で日本民主同志会という団体があることは、これは御承知だと思うのです。なぜ日本民主同志会と鬼頭とが重要な関係があるかという疑惑を持たれているかということは、もう御承知だと思いますが、この日本民主同志会の代表者、委員長をやっている松本明重、この人の名前で出されている「日共リンチ殺人事件」という本、この中に、鬼頭が網走から持ち帰って入手した資料を提供をしたのではないかと思われる宮本共産党委員長関係資料が登載をされている方なんです。  そこで伺いますけれども、日本民主同志会が発行しているこの機関誌で「志道」という本があります。この「志道」という本を見ると、昨年の十一月の十一日——このくだりの日誌があるわけです。「日民同本部日誌」というのがあります。この十一月十一日に——この十一月十一日というのは、これは委員長も記憶に鮮明だと思うんです。その翌日十一月十二日に鬼頭を本委員会に証人として喚問をすると、こういうことになっていたわけであります。その証人喚問の前日の十一月十一日に、日本民主同志会の石津という副委員長、それから山田中執、中川青年局長、それから杉岡中執、こういうメンバーが最高裁を訪問して人事局長と面会をした記録が載っています。どういうふうに書いてあるかといいますと、日民同石津副委員長、山田中執、中川青年局長、杉岡中執、十時最高裁を訪問、人事局長に面会、日民同の正しい運動状況説明並びに早期解決を要望し、同局長の好意ある態度に感銘し辞去したと、こういうふうになっているわけなんです。  この点について、これはどう考えたって、通常の場合最高裁の人事局長に日民同という団体がその運動方針を説明しなければならない事情というのは、常識的には考えられない。当時私も本委員会で、鬼頭と日民同には脈絡があるのではないかということを、一番鬼頭問題が最初に議題になったときに指摘をしているところであります。その日民同の最高幹部の人たちが最高裁の人事局長に鬼頭の証人喚問の前日に面会をしている。これはやはりきわめて重要だと思うし、注目すべき行動だと思うのですが、この間の経緯について事情を聴取をされたことがありますか。
  165. 石山陽

    説明員(石山陽君) どうもこれも初耳のお話でございます。それで、いまのところ、その日民同が最高裁事務当局を訪れたかどうか、どのような話をしたかということは、端的に申し上げまして、先生も先ほど冒頭におっしゃったとおり、本来やはり最高裁の事務総局の方からお答えするべき事柄であると思いますし、法務省にその関係で横の連絡等は一切いただいておりませんので、事実関係としてまず承知いたしておらぬわけでございます。  それから捜査の観点で思いつくままに申し上げますると、その日民同が、本件の犯人である鬼頭元判事補との関係におきまして、何か最高裁事務局にそのようなことをしたのか、鬼頭問題のために行ったのか、運動方針のために行ったのか、そのような関係で何か刑事上の犯罪捜査対象になるということがありますれば、検察庁も当然捜査をし、あるいはその結果を報告してまいるかと思いますが、ただいままでのところ、そのような観点からの報告は全く受け取っておりません。
  166. 野田哲

    ○野田哲君 日民同については、これは当然鬼頭との関連というものを、これは一応疑惑を持って考えなければならないと思うのです。出るはずがない、鬼頭しか入手していないものを本に出版して出しているわけですから、これは当然疑惑を持たなければならないと思うのです。そういう団体が、通常の場合、最高裁の人事局長に日民同という団体が会わなければならない必然性というのは全くないですよ、これは。これはやはり機会を見て後でまた最高裁の関係者から伺いたいと思うのです。  引き続いて鬼頭の問題で伺いたいと思うのですが、鬼頭は八月十日の日に読売新聞の記者に対して、私の名前が漏れては困ると、もし名前が漏れてガサを入れられると、リンチ事件関係の膨大な資料が出てくる、こういうふうに語っている。これは新聞に報道されているんですが、鬼頭の問題で家宅捜査をやられたというふうに聞いておるんですが、これはどことどこをやられたんですか。
  167. 石山陽

    説明員(石山陽君) 検察が具体的事件捜査に際しまして、どの程度捜査を、具体的な手段、場所、対象として行ったかということに関しましては、先ほど総務課長が申し上げているように、原則的には特に裁判が進められる予定のある事件につきましては申し上げかねるわけでございますが、たっての御質問でございますので、国政調査に御協力申し上げる趣旨で簡単に申し上げます。  第一点は、いまの捜査の、捜索の対象個所でございますが、これは三カ所でございます。そして、鬼頭判事補の京都地方裁判所におきます裁判官室、それから京都の鬼頭裁判官の官舎、それから名古屋の鬼頭裁判官のいわゆる自宅と称されるマンション、以上三カ所であります。
  168. 野田哲

    ○野田哲君 鬼頭が読売新聞に語っている、宮本関係の膨大な資料が出てくるので困るという、この宮本関係の膨大な資料というのは、出てきましたか。
  169. 石山陽

    説明員(石山陽君) そこまでだんだんと御質問が進んでまいりますると、私も、からを固くせざるを得なくなるわけで、まさにこれらの事件につきましては、当時各事件がそれぞれ競合いたしまして、一括して東京地方検察庁におきまして取り調べをいたしたわけでございまして、その結果、それぞれの事件について起訴あるいは不起訴の処分をなされ、起訴の事件関係につきましては、もちろん今後公判廷における証拠の立証という観点からそれらの資料が使われることがございますので、いまその証拠の内容にどのようなものがあったか、それがどのような種類のものであるか、数量はどうかという点につきましては、同じくお答えをいたしかねる次第でございます。
  170. 野田哲

    ○野田哲君 問題を変えて、入管局長に伺いたいと思いますが、パスポートの取り扱いでありますけれども、まず原則的なあれを伺っておきたいと思うのですが、ある人が——民間人ですよ。純粋の民間の人ですけれども、ある人が政府機関の審議会の委員とか、あるいは公社、公団等の経営関係委員になるとか、こういうポストについた、そして、そこで公用旅券を申請をした、こういうことになりますと、これは数次往復の公用旅券というものを一回申請すれば五年間は取得をしている、こういう状態があるのですか、ないのですか。
  171. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) ただいまの御質問は外務省の所管の問題でございますので……。
  172. 野田哲

    ○野田哲君 通関手続について伺いますけれども、いまの問題は外務省の所管だと言いましたけれども、入管を担当しているあなた方としても——もう一回前の問題に戻りますけれども実情を承知をされているはずなんだと思うんですが、どうなんですか。
  173. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 私は、何年間有効だったか、ちょっといま承知しておりません。
  174. 野田哲

    ○野田哲君 そういう場合があるんじゃないですかということを聞いているんですよ。五年間。私も現に持っておりますけれども、公務のために一回外国へ旅行する、そのときに数次往復の旅券を申請をしてもらった場合には——ある公社、公団、政府機関の審議会の委員、こういう方で、そのことで一回公用旅券を申請をすれば五年間は所持している状態というのは、これが次に行くときに公用であろうと私用であろうとにかかわらず、五年間は公用旅券を所持しているという状態は続いているという状態があるでしょうか、ないでしょうか、こう聞いているのです。
  175. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) これは外務省の所管でございますけれども、私の承知いたしております限りは、公用旅券をもらった場合には、あくまで公務の期間中でございまして、その公務の目的が達せられたときは、そのパスポートは返還するようになっていると思います。
  176. 野田哲

    ○野田哲君 だから、任期が五年なら五年、——五年という任期は余りないと思うのですが、三年とか四年とかという任期があれば、その任期期間中は持っている、こういう場合があるということでしょう。
  177. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) その役柄でパスポートを発行するのではなく、たとえば海外で公の国際会議があるとか、それに出席するためにその期間中有効な公用旅券が発行されると私は了解しております。
  178. 野田哲

    ○野田哲君 だから、一回そういうポストにある人が数次往復の旅券を入手した場合には、その役職の任期期間中は所持し得る状態もあるということ、あるいはそういうことはあり得ないということか、そのことだけ聞けばいいのです。
  179. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 私はつまびらかな知識は、いま所管しておりませんので、ございませんけれども、私の承知しているのは、原則は、一つの目的の期間中だけで、その方のポストの期間中という発行の方法はとっておらないと思います。
  180. 野田哲

    ○野田哲君 最後に出入国の手続の具体的なことについて伺っておきたいと思います。  つまり、それは公用旅券を持った者が何人かで入国をする。外国から日本に入国をする。その場合には、入国手続の書類やパスポートを、公用旅券である場合には一かためにして入管手続のところへ行って、数名の者がおる場合に、これを一々写真と対照しチェックをしないで、一束にして通関をさしてしまう、通関というか、入国をさしてしまう、こういう取り扱い、公用パスポートを持っている数名の者が一かたまりになって入国したときは、そういう扱いをすることがありますか。
  181. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) たとえば国賓とかの場合ですね。そういう場合は、あらかじめその国の在京大使館から連絡がございまして、だれだれが入国されるので、大使館員がまとめてパスポートを集めて手続をすることがございます。
  182. 野田哲

    ○野田哲君 国賓というようなことでなくて、たとえば外交官の身分を持った者が三人とか四人とか一かたまりになって入国をしてくる。その場合に、代表者だけでかためて提示を受けて済ましてしまう、こういうようなことがありますか。
  183. 吉田長雄

    政府委員吉田長雄君) 場合によってはございます。
  184. 野田哲

    ○野田哲君 終わります。
  185. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 午前中から議論を聞いておりまして、いろいろと問題が出てまいりましたが、私はきょうは法務大臣に主に質問したいと思います。  昨年の二月にこの問題が米上院の外交委員会多国籍企業小委員会ロッキード社の対外工作資金というのが公表されましてから、わが国の政界を揺さぶるような疑獄事件としてこのロッキード事件が大きくクローズアップされてまいりました。そこで、私はきょうはこの問題について、まあ何回も当委員会で議論されてまいりましたけれども、やはり多少政府の方と私たちの質問する方と食い違いがある、認識に多少の食い違いがありますので、この点は一遍ただしておきたいと思います。  まず初めに、法務大臣、ロッキード事件というこの事件に対して、大臣は、これはどういうふうな事件であると、こう御認識になっていらっしゃいますか。
  186. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私は、これは最近この十年間くらい特に世界各地において伸びてきた多国籍企業というものの過当競争といいますか、売り込み競争というか、そういうことに端を発した事件であると、しかしながら、それに関連して、政治に関係する者、政治家あるいは官僚その他政治に関係のある者が犯罪容疑をもって巻き込まれたという事件がこの事件であると、このような認識のもとに、これは徹底的に国民のために解明をいたすべきものであると、このような認識を持っております。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの問題について、全く同じ質問ですが、吉田課長どうですか。
  188. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 私どもといたしましては、この事件についてはあくまでも真相を解明して検察としての責務を果たすということでまいったわけでございます。大臣が申し上げたとおりでございます。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、大臣、確かに大臣がおっしゃったように、この十数年来のいわゆる多国籍企業の、大臣がいまおっしゃいました、要するに過当競争に端を発した事件であると、その事件に政治家や官僚が犯罪容疑をもって巻き込まれてしまったと、こういうふうに大臣はおっしゃいましたが、吉田課長も大臣と同じ考えでこの真相の解明に努力をしていると、こういうふうにおっしゃっているわけであります。  そこで、大臣、端的にお伺いしますが、多国籍企業は何をわが日本の国に売り込もうとしたんですか。
  190. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 今回の事件においては航空機でございますが、多国籍企業というのは非常に多種多様な内容を含んでおりますから、そのほかにも売り込み競争がなかったとは言えない。もちろんあるでしょう。あるが、そういうことについて、いずれにしても、政治家あるいは官界の者が巻き込まれるということは、これはもうわれわれとしては許すべからざることであると、こういう見地に立っておるわけであります。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 多国籍企業といいますと、いま大臣がおっしゃいましたように、非常に範囲が広うございますので、今回の事件にしぼって質問をしてまいります。  大臣はいま、航空機を売り込むと、こういうふうにおっしゃいました。航空機というのは今回はロッキード事件ですから、ロッキード社の航空機と、こういうふうにしぼられますね。これはそのとおり御認識ですね。
  192. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) ロッキード事件でございますから、ロッキード社の航空機の売り込みと了承をいたします。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はあたりまえのことを聞いているわけなんですけれども、このあたりまえのことがどうもいろんな質疑の中で忘れ去られてしまうので、私は再度確認をしているわけです。  その航空機ですけれども、今回特に対象になったロッキード社が大変な賄賂を使って、これは後で申し上げても結構なんですが、二十五億五百四十万円というような、いま判明した分だけでもこんなに大変な賄賂を使ってロッキード社が日本に売り込もうとしていた航空機は、何という航空機でございますか。
  194. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御承知のように、トライスターでございます。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはトライスターだけですか。
  196. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 私ども検察当局としていろいろ捜査過程で確認できておるものが、その不法行為との関係で確認できているものがトライスターだということで、トライスターだとお答え申し上げたわけでございます。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういう答弁は、大臣、納得できませんよ。私は、犯罪容疑とか、そんなことを言っているのじゃないのです。大臣、そうでしょう。大臣は、この問題に端を発したのは多国籍企業の過当競争に端を発したものであると。そしてロッキード社が日本に売り込もうとしておった航空機は一体何と何か。犯罪容疑は確かにトライスターだけかもわかりませんよ。けれども、実際問題、今回の調査の段階で、捜査の段階で、現実に児玉ロッキード社の契約あるいは丸紅ロッキード社の契約、この中からロッキード社が何という航空機と何という航空機を売り込もうとしておったかということは、明白な事実じゃないですか。あなた方が犯罪容疑トライスターしかないなんていう、——犯罪容疑のことを聞いているんじゃないのです。ロッキード社が日本に売り込もうとしていた航空機は何かと聞いているのです。
  198. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御質問を誤解して申しわけございませんでした。  ロッキード社が売り込もうとしておるのは、トライスターばかりじゃなくて、対潜哨戒機等も入っていると承知しております。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 事実、これは課長がおっしゃったように、P3Cを初め、契約やいままで出てきたいろんな事実関係から見ただけでも、トライスターとP3Cにほぼしぼられていたということも、これは事実でしょう。
  200. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お答えいたします。  またおしかりを受けるかもしれませんけれども、私どもが承知しております、ここで責任を持ってお答えできますのは、犯罪捜査過程で確認できて、そして、起訴なり処理をしたものについて、それがロッキード社がどういう趣旨で国内に金を流したか、何のためにそういうことをしたのかと、そこがまさしくトライスターであるということが確認できておりますので、そのことは公訴事実にもはっきり出ておりますので、それで申し上げておるのでございまして、あるいは御指摘のように、P3Cも含めてロッキード社が日本に対しての工作を集中的に行ったと、あるいはそうかもしれませんが、私どもが責任を持ってお答えできる範囲でいま申し上げたわけでございます。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 課長ね、勘違いしないで答弁してもらいたいね。非常に短い時間でやるわけですから、質問の趣旨にぴたっと答えてもらいたい。なぜかと言いますと、私は犯罪容疑の何のかんのと言っているわけじゃない。ロッキード社が日本に売り込もうとしていたのはトライスターとP3C等と、あなたは先ほど「等」をつけたから、「等」じゃなくって、P3Cとトライスターの二つにしぼられておったんじゃないかと、こう質問したわけです。そしたら、またもとへ戻った答弁をしますね。ちょっとおかしいんじゃないですか。
  202. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 私のお答えがあいまいなために再三のことで申しわけありませんが、恐らく御指摘のとおりだと思います。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、これは大臣でも結構なんですが、具体的な数字になりますと事務当局で結構ですが、トライスターは現実に何機日本に売り込もうとしていたわけですか。そしてトータル金額は幾らでございますか。
  204. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 犯罪捜査過程で明確になっているのは二十一機でございます。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 トライスターは二十一機。金額を言いませんので私の方の概算を申し上げますと、千二百六十億と言われておりますね。P3Cについてはどういうふうに御認識されていますか。
  206. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) P3Cについては、具体的な数字は報告を受けておりません。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、それじゃ、あなた方は報告を受けてないとおっしゃいますから、私から申し上げますと、P3Cについては、P2Jの後継機として現実の問題としてこの会場でも議論になりましたし、また児玉の契約では五十機という数字が出てまいります。そういうふうないろんな数字等、あるいは防衛庁の発言等から見ますと、P3Cは百機であるということは、これは既定の事実であります。そうしますと、P3Cについては一機七十数億円から八十億、あるいは実際日本でライセンス生産をすれば一機百億と言われていますね。私たちが、素人ですけれども、概算しましても、P3Cのこの商戦が約一兆円になるということはほぼ認めるわけでしょう。これはどうなんですか。
  208. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 具体的な数字を挙げての御質問でございますが、私ども具体的な数字をいまこの席で聞かれ、あらかじめ準備をしておればお答えできるわけでございますが、具体的な数字について、いま幾つになっているということをお答えする資料をいま持ち合わせておりません。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、課長からの答弁ですから、その点についてはあらかじめ資料を用意していないから答弁できないとおっしゃっておりますので、次回の委員会であらかじめ資料を用意して答弁してもらいたい。  その点は後ほど答弁いただくとして、これは大臣に政治家としてお伺いしますが、この問題は、このトライスター二十一機、千二百六十億、P3Cが百機で一兆円というのは、これはわれわれの大まかな数字ですから、これはそのとおりだとは言いません。しかし、ロッキード社が日本にこういうふうなP3Cを売り込もうとしていた事実は、これはもう明らかになっております。  そこで、大臣、当面の目標はこのトライスターであったにしても、その後これはP3Cが必ず本命として出てくるということは一般常識で考えられることなんですけれども、これは大臣どうです。
  210. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) まあ一般の常識として考えられることではないかとおっしゃいますが、われわれ法務当局としては、これが犯罪になるかどうかという面からこれを見ていくわけでありまして、そういう意味では、このPXLについてはこれは犯罪容疑がなかったと、こういうふうに、取り調べの結果、そういう結果が出てきたんだと私は了承をいたしております。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは大臣ね、そういうふうに答弁をされるから困るんで、法務当局としてはというんじゃなくて、やっぱりこれは前置きを私しましたように、これは当然私は、事務当局からも答弁がございましたように、ロッキード社トライスターとP3Cを売り込もうとしておったということは、これは認めておるわけですね。それで、少なくともトライスターの面で犯罪容疑が出てきたと。しかしP3Cについては犯罪容疑がなかったと。私は吉田課長のずっと午前中からの答弁を聞いておりますと、PXLについては疑惑がないとか、それから犯罪容疑がなかったとか、それから白紙還元そのものが捜査対象とはならなかったとか、こういうような答弁を繰り返しているわけです。これは非常に大きな問題を含んでおりますね。やっぱりね。ただ単に犯罪容疑がなかったから、あるいは現在までの捜査の段階で疑惑がなかったとしても、これはやっぱり白紙還元という事実もありますし、また、この契約の中身のいろんな問題もいっぱいあるわけですね。ですから、法務当局だけのいわゆる判断ではやっぱり困るわけです、これはね。要するに、この具体的な事実に対して国民が現実の問題として疑惑を持っているわけです。その疑惑を解明する義務がわれわれにはあるわけですね。ですから、そういうふうな点からいきますと、これは一般常識から考えても、大臣ね、これは何も法務当局としてでなくて結構です。政治家の福田先生としてでも結構なんですよ。現実の問題として、これはトライスターとP3Cが、この両方が売り込みの対象になっておったという事実は事務当局は認めているわけですから、現実の問題として千二百億の商戦に力を入れるか、その後の一兆円近くのものに、商戦に力を入れるかということは、当然このP3Cにも力を入れるということはあたりまえのことじゃないですか。こんなあたりまえのことも、これは認めるわけにはいかぬのですか。
  212. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) ロッキード社がどのような目的を持っておったかということにつきましては、まあコーチャンの証言録といいますか、朝日新聞が出したあれにも載っておりまして、そういうような意図を持っておったと私は承知はいたしております、もちろん。しかし、そういうことについてわれわれが一体どれだけ事実を知っておるか、また知っておっても言えるかと、こういう問題があるわけであります。私は法務大臣としていままでに報告を受けておるのは、P3Cについてはそういう容疑がなかったという報告を受けておりますが、それ以上の報告を受けておりません。また、ロッキードがどのような方法をもって、どのような形で売り込みをやってきたかというようなことについて何も公式の報告を受けておらないのであります。で、もちろんこれを解明しなければならない。解明することは国民が要望しておるところではないかとおっしゃれば、ごもっともでありますが、しかし、私はやはり国務大臣という立場から見て、間違ったことを言ったり、あるいは自分が知らないことを知っているような顔をするということは、これはいけないことだと思っておる。いまのところ私はそれだけの事実しか存じておりませんので、正直にお答えをいたしておるつもりでございます。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは大臣、非常に大変な誤解を大臣はしていると私は思うのですよ。このPXLについて疑惑はなかったと報告を受けておると。ということは、PXLについては疑惑はなかったというのは、これは言うと、一〇〇%疑惑はなかったということになりますよね。これは一〇〇%なんですか。
  214. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) PXL選定問題についても重大な関心を払ってロッキード事件捜査を行った結果、犯罪容疑と認められるものは現在ないという御報告を申し上げております。それで、これ一〇〇%かどうかというお尋ねでございますが、検察庁のとにかく捜査過程、現在までの鋭意捜査した過程では、そのような犯罪容疑が認められなかったということを申し上げておるのでございまして、その他それが政治的に見てどういうことかというようなこととはまた別問題でございます。あくまでも、刑法その他の犯罪容疑は認められなかったという御報告を申し上げておるわけでございます。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは大変な違いがあるじゃないですか。PXLについて疑惑がなかったというふうに大臣答弁していらっしゃるわけですよ。疑惑はなかったということは、いま課長が言うたのと大臣が言うたのは全然違うじゃないですか。要するに、法務事務当局はいままでPXLの問題についてずっと捜査をしてきたと。捜査をやってきたけれども犯罪と認められるものは現在のところ見つかっていないわけです。現在のところ、なかったわけですよ、現在までのところ。ということは、まだ何かせにゃいかぬことがあるわけですよ、これ。多少余韻があるわけですよ。大臣の答弁だと全く余韻がないですな、これ、言うたら。ですから、そういうふうなのは、新聞やいろいろ報道関係の記事になってしまうと、一〇〇%PXLについてはシロだったと、こうなっちゃうわけです。そうすると、そんなばかなことがあるかと、われわれもそう思いますし、現実の問題として、このロッキード社がP3Cに対して何にもしていなかったわけないだろうと、こういう疑問が現実に出てくるわけですよ。ここのところはやっぱりこれから私具体的にいろいろ申し上げますけれども、これは解明しなくちゃならないところなんですよ。わが参議院のロッキード委員会PXLに焦点をしぼって、この一年有余の間やってまいりましたけれども、この点にずうっと焦点をしぼってきているわけです。それをまだ大臣が——いま事務当局の言っているのとは違いますよ、実際問題ね。吉田課長が言っているのは、いままでずうっと捜査をしてきた、いままでのしてきた段階の中では犯罪を構成するものは認められなかったというふうに言うておるわけですよ。大臣は、PXLについて現在まで——現在までなんて入っていない。疑惑はなかったと、さっきおっしゃった。ちょっと違うんじゃないですか、大分ね。ですから、ここら辺のところはやっぱりはっきりしていただきたいと思いますし、この点についてはやっぱり今後の問題としても私は大事な問題だと思うんですよ、いかがです。
  216. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私のお答えが舌足らずであったらお許しを願いたいのですが、私が申し上げておるのは、事務当局が申しておるところ、また、ただいまあなたが御指摘になったのと同じ意味と御解釈を願いたい。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、私は大臣、少なくともPXLの問題についてはまだ解明されていないと、そう現実にとりますし、私自身そう解釈して、さらに質問を続けていきたいと思います。  時間の関係がありまして、また大臣が最後の方でいらっしゃらない関係がございますので、ちょっと質問を飛んでやりますが、まず、最近の新聞報道によりますと、アメリカの連邦捜査局、あるいは米財務省などが、特にロッキード事件に関連をいたしまして、小佐野賢治さんですね、小佐野賢治氏の周辺捜査を開始したと、こういうぐあいに報道されております。この点については、政府あるいは捜査当局はどの程度掌握していらっしゃるのか、お伺いしたい。
  218. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) せっかくのお尋ねでございますが、そのような具体的な事実関係については承知しておりません。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 承知していないといいましても、現実に報道されているわけですから、報道されて大分たつんですが、いまだにこういうものに関心を持って見ていらっしゃらないということですか。
  220. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私は非常な関心を持って、新聞にそういうことが出るたびに注意はさしておりますけれども、具体的な事実は明らかになっておらないというのが実相でございます。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、もう一点。  ワシントンの連邦地裁大陪審も、去る十五日ロッキード社のA・H・エリオットですね、元東京支社長ですが、この人を重要証人として喚問して、三時間以上にわたって対日売り込み工作、工作資金のアメリカヘの還流、こういうふうな問題について詳しい事情聴取を行ったと、こういうふうに報道されております。この点はどうですか。
  222. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) その記事も見まして、実はうちの方から向こうの大使館へ行っておる者がおりますから、それを通じて、こういう新聞報道があるが真偽のほどを確かめろということを実はすぐ言ってやってあるのでありますけれども、大陪審といいますか、向こうはなかなかそういう点では秘密は厳守されておりまして、とうていそのニュースをつかむことはできないと、こういう返事をもらっております。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは何も秘密をつかむとか、そんなんじゃなくても、現実に日米司法共助という、そういうようなこともございますし、あるいは嘱託尋問が、現実にやりましたですね。その後嘱託尋問で得られなかった新しい事実なんかも現実の問題としてこれは出ている可能性はあるわけですね。可能性としては。ですから、そういうような問題も含めて、当然私は大臣、法務省から現地へ行っている人にそういう指図なりをして、訓令かなんか出して、あるいは調査を命じて、これはこういうような点については逐一調査できるような体制になっているんですか。
  224. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 大臣からの御指示もございまして、刑事局で照会をして、結果が先ほど大臣の申されたとおりであります。  アメリカの裁判所の大陪審手続と申しますのは、起訴するかしないかを決める手続でございまして、いわば捜査に匹敵するものでございます。そして裁判所が行う手続でございますので、司法共助——ども実務取り決めと言っておりますけれども、その司法取り決めをする相手方は、私ども法務省と向こう側の司法省とやっておるわけでございます。裁判所というのは、その司法取り決めとはまた別のたてまえである。嘱託尋問は日本側の司法の共助をしていただいた手続によってやったわけでございますが、ただいまの大陪審手続は全くアメリカの独自の容疑に基づいて大陪審手続が行われている。その大陪審手続の内容については一切これを明らかにすることができないということの回答を得ているのでございます。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、現実の問題として新しい動きがあるわけですからね。これはやはり重大な関心を持って対処していかなければいけないと考えます。  そこで、今回のこういう事件の再発防止という問題は、これは重要な問題なんですけれども、先般から、大臣、塩崎法務政務次官を、こういうふうな事件の再発を防止するために、欧米にその実情等の調査のために派遣すると、こういうような報道がなされておりますが、これは実際問題として、その時期とか人員とか、あるいは調査国ですね。そういうことについては決まっておりますんでしょうか。あるいは、もう派遣することは決めたんでしょうか。そこら辺のところはどうでしょう。
  226. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 先ほど私が申し上げましたとおり、このロッキード問題というのは多国籍企業の一つの過当競争から出てきた問題であるという認識からいたしまして、こういうものを防遏するには、実を言うと、国際的な、少なくとも私の考えでは、先進国のうちでもアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツと日本というような国々の間で、こういう問題についての一つの国際的な取り決めができれば非常に効果的ではないかという私は考えを持っておるわけでありますが、たまたまアメリカにおきまして、この多国籍企業の問題をどう取り締まるかということについての検討が始められたという話を聞きましたので、日本は、われわれとしても当然大きく関心を持たなければならない問題である。したがって、その意味で塩崎政務次官に、時期を見てひとつ調査してもらうためにアメリカあるいは欧州へ行ってもらおうということは決めましたけれども、その日時、人員等はまだ決まっておりません。
  227. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはその時期は決めてないということでございますが、見通しとしては大体いつごろとお考えですか。
  228. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 大体四月中にはと思っておるわけでございます。
  229. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 やっぱり行く先はほぼ限定されてくると思うのですが、これはどうでしょうか。
  230. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) まだそこまで打ち合わせはいたしておりません。
  231. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは大事なところでございますから、もう少し……。  これはカーター政権になりましてブルメンソール米財務長官というのが先般のアメリカの公聴会で証言をしまして、「政府としては腐敗した対外支払いを直ちに公表することが贈賄などの腐敗防止に対する極めて効果的な抑止策になる」、こういうように考えていると述べられているわけですけれども、これは従来のキッシンジャー外交の国務長官、司法長官あてのいろんな書簡等の従来のアメリカの考え方からすれば、まるっきり百八十度転換したような考え方なんですけれども、実際問題として、こういう腐敗防止のためには、こういう賄賂外交といいますか、こういうような過当競争を抑止するためには、確かに、直ちに公表するという非常に重要な問題を含んでおりますし、こういう姿勢が私はこういう事件を抑止する一番の策になると考えております。大臣はこの点についてはどうお考えですか。
  232. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) その記事も読んでおりますが、一つの考え方であると思っております。しかし、これがアメリカ政府の全体としての方針として決まったかどうか。それからまた、アメリカだけがそれをやってそれで問題が片づくのかどうか、いろいろの問題はまだ残されておるんではないかと私は承知をいたしています。
  233. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) その辺でいいですか。——大臣、どうぞ。
  234. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは先ほど質問に移りますが、PXL選定に関連をいたしまして犯罪容疑がないと、これは私先ほど答弁を聞いておりまして、PXLについて白紙還元という問題については、白紙還元そのものは実際問題として捜査対象となっているんですか。
  235. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 先ほども再三お答えしたつもりでございますけれどもロッキード事件捜査は、ロッキード社からわが国内に資金が流入した、その資金の入り方、それからその趣旨にいろいろ疑惑がある、それでその資金の使途を鋭意追及したわけでございます。そして、その資金の使途の関係で明らかになった犯罪についてはこれを厳格に処理したということでございます。その資金流れPXL関係資金流れたということがあって、そして犯罪容疑が認められるというような状況は現在認められていないということを申し上げておるわけでございます。  トライスターについては、再三申し上げているように、トライスターの販売の売り込みに関連いたしまして資金流れて、その資金の趣旨がそういう趣旨で、そして犯罪、その中に受託収賄、その他の犯罪が認められたのでこれを処理した、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  236. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、白紙還元そのものは捜査対象にはなってないわけですね。
  237. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) どういうふうにお答えしたらよろしいのか、先ほど来申しましたように、そういう資金流れを通じまして、その資金流れの趣旨、背景、どういう角度からのそれが性質のものか、そういうものを調べるに当たって必要な事情として、その前提条件あるいは背景事情等については十分な捜査をしたということでございます。  それで、御指摘白紙還元の問題についてそのような意味で全然検察当局関心を持っていなかったかというと、そうではなくて、そういう問題も含めて、背景事情その他動機等々を、その資金性質、趣旨を特定する、確定するに当たって必要な調べはしているということでございます。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、当然背景の調査をやっているということであれば、なぜ白紙還元されたのかという問題については、もうすでにちゃんと捜査し、調査していらっしゃるわけですね。
  239. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 先ほど申しましたように、必要な捜査は行っていると思います。ただし、白紙還元PXL問題の白紙還元それ自体の問題は防衛の問題であり、あるいは政治的な問題でありまして、そのこと自体そのものを捜査対象——犯罪疑惑が何もなく、犯罪捜査に必要でないのに、そのものを捜査対象にしているかというお尋ねであれば、そういうことは検察当局としてはやっていませんし、刑事訴訟法の許すところではないということになります。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、これは法務省から二回に出ている報告でもわかりますように、PXL関係については疑惑はなかった、こういうふうになっているわけです。したがって、疑惑がなかったというその疑惑中身は、白紙還元の問題についてもちゃんと捜査をしたのか、こういうふうに言いましたら、ちゃんと背景についても捜査をした、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、実際問題として当ロッキード委員会のわが参議院の方の委員会でこの問題についてはずうっと審査を続けてまいりました。続けてまいりました背景は、私が質問の初めにもいたしましたように、ロッキード社が日本に売り込もうとしておった航空機はトライスターだけではない、P3Cを含んでいるということは、もう再三申し上げますけれども児玉の契約書あるいは丸紅の契約書からもはっきりしているわけですね。そうしますと、その流れ資金、これはたとえば賄賂としてあっちこっちいっているわけですけれども、それは確かにいま表にあらわれている分については少なくともトライスターの分である、あなた方はそう判断をしていらっしゃるわけです。しかしながら、このP3Cの方はそこまで話が進んでいなかった。いなかったから犯罪容疑がなかったかもわかりませんけれども、しかし、犯罪の前段階として白紙還元されたということはもう明らかなんです。そうしますと、私たちはそこのところを明らかにしなくちゃいけませんね。そこで私たちは、政治的道義的責任をさんざん追及するために当委員会で、白紙還元の時期とか、疑惑とか、そういう資料とか、そういうような問題についていろいろ要求をしているわけです。ところが、あなた方は、いままでそのPXLの問題について捜査の中では容疑は認められなかったというのですから、それならそれで容疑が認められなかったら認められなかったで、いままで調べたその中身ですね、PXLについての背景、こういうようなものについては少なくとも当委員会で詳細に説明していただいてもいいんじゃないでしょうか。
  241. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) まず、本件のロッキード捜査のことについて申し上げたいのでございますけれどもロッキード社から入った日本に対する工作資金、その工作資金というのは一体どういう性質であり、どういう目的のものであるかということを調べ、そうしてそれがどこへ使途として流れていったかということを調べて、その過程PXL問題についても重大な関心を払いつつ、そういう捜査を行ったと。そして捜査の結果、その趣旨は起訴をいたしましたようにトライスター関係であるということが捜査の結果明確になったわけでございます。そして、PXL問題との資金的な結びつき、金銭的な結びつきは認められず、犯罪容疑としてPXL問題について認めることは現在までの捜査の結果はそのような事実はないという報告を受けているということを申し上げておるわけでございます。  そこで、そういう捜査の経過を明らかにしろということでございますけれども先ほど来申しましておりますように、このロッキード資金捜査過程捜査を行っておって、それはPXL問題、これは丸紅ルートだというふうに、はっきり区別ができるような性質のものではございません。検察当局としては捜査をする場合にいろんなことを頭に置いて捜査を行う。そのためには必要な基礎的な調査も先に行っておいて、それからやると。いろんな手段、方法、綿密な計画を立ててやるわけでございますけれども、それらの捜査をした結果を、その捜査内容はどうなったのか、これを明らかにしろと言われましても、そのようなことになれば将来の捜査の運営というのに重大な支障があるということを懸念されますので、できるだけの御協力はするつもりでございますけれども報告で申し上げたような捜査経過になって処理を終えているということを申し上げることで御勘弁いただきたいと思います。
  242. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、私はね、課長、そういう答弁では全く納得できませんね。あなた方は、ロッキード社工作資金というのはその工作資金がどういう性格でどういうものであったかと、そこに焦点をしぼっていままで捜査をやってきた、こうおっしゃっているわけですね。それは確かにそのとおりだと私は思うんですよ。しかしながら、現実の問題として、トライスターとP3C、この二つしかないわけですから、ロッキード社の売り込みの問題についてはね。ですから、あなた方は、たとえば丸紅ルートとか全日空ルートとか、それぞれのルートの問題、資金ルート、いろんな区別があると、しかしそういうようなものはここで発表できないと、また区別できないと、こう言うているわけですね。しかし、その裏では、今度は、工作資金の性格とかそういうものについては、いやこれはトライスターのものですと、はっきり区別しているわけです。トライスターのものであるということとP3Cのものであるということは、はっきりそこだけは区別しているわけですよ。ところが、そのほかの問題については一切区別していない。私は確かにそこでは、これはトライスターの賄賂だぞと言って送ったにしても、そうであったにしても、現実の問題としてこの千二百億の商売と一兆円の商売とのこの商取引からいっても、裏には必ずこういうものが控えているということを頭に入れてのトライスターの賄賂だと私は思うんですよ。そういうふうな区分というのは、それは犯罪上は、これはトライスターと表に書いてあるから、書類にね、なってあればそうかもわかりません。あなたのおっしゃるとおりかもわかりませんが、厳密に言うと、そういう区別はできないはずだと私は思う。この点答弁もらいたい。  さらに、私は時間が余りございませんので端的に申し上げますが、現実の問題として、PXL選定の経過ですね。これは現在まで政府は犯罪容疑認められずということで、そういう報告で現在までずうっと来ているわけです。しかしながら、現実の問題としてはそうじやなくて、昭和四十七年の十月九日の国防会議におけるPXL国産化問題というのは、この国防会議の席上で突如——突如ですよ、突然白紙還元決定しているわけです。これは証人喚問等で明らかな事実でありますね。しかも、なぜ白紙還元をしたかと言いますと、この国産化計画を中止すると、中止するということでロッキード社はその目的の大半を達成すると、こういうように考えられるわけです、現実の問題として。このことはその後の経過から見れば十分そういうふうなことはうかがえる事実だと私は思うんですよ。そういうふうないろんな観点から見てね、当然私は、そこら辺のところは法務当局がわれわれにもっと協力してもいいんじゃないかと思う。犯罪事実がないとすればするほど、それなら犯罪容疑をかけられた人たち容疑を解明するためにも、いままでのことを全部明らかにした方が、要するに容疑をかけられた人の疑いも全部晴れると、こうなりませんか。
  243. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 私の説明が下手なためにいろいろ誤解を招いておるのかもしれませんで申しわけないと思っておりますが、まず、いまのお尋ねの前提の問題といたしまして、実際問題として、P3Cの問題がこれだけあるんだから、トライスターだけの趣旨の背景にはそういうものもあるんじゃないかという御指摘でございますけれども検察庁捜査というものは、まさしく、たとえば受託収賄——受託収賄という収賄が成立するかどうかというのは、まさしく趣旨がどうであったかということが一番大事なところでございます。その趣旨を明確にするために、その真相を解明するために、いろんな関係人を調べ、いろんな証拠品検討して、そしてトライスターの販売の関係の趣旨であるということが確信を持てたので、そういう趣旨で起訴をしておるのでございまして、検察当局は、その認定をするに至るまでの捜査過程ではいろんなことを考えて、そしていろんな可能性も考えて十分捜査を尽くした結果、トライスターの売り込みに関連しているということの認定になったわけでございます。  それから、このPXL問題につきましては、先ほども申しましたように、私ども検察当局の責務というのは、犯罪の存否を明らかにして、それに対して適切な捜査権を行使して、そして起訴、不起訴を決定すると、そして公訴維持を図るというところに私どもの職責があると考えております。それ以上のことを私どもとしてはできないのでございます。それで、私どもとしましては、その犯罪容疑があるかどうか、それは、ロッキード工作資金が国内に流れて、いかなる趣旨でどこへ流れたのか、そこがまさしく犯罪容疑に関連してくるわけでございます。その結びつきがPXL問題との関係では認められなかった以上は、PXL問題についての捜査権の行使というのにもおのずから限界があるわけでございます。それは私どもが、犯罪とは何も関係なく、どんなことでも調べていいんだというたてまえになっているならば、それはできるでございましょうけれども、そういうようなことになれば、これはむしろ大変なことになると思います。検察当局の仕事を逸脱したものでございますし、そういうようなことはあってはならない。むしろ、そういうPXL問題白紙還元について問題があるとするならば、その問題は国会で御調査なさるなり、また担当の官庁において御調査なさるなり、そういう問題でございまして、私ども検察当局に、犯罪捜査容疑がないのに、それを全部明らかにしろと申されても、これはできないことでございまして、その点ぜひ御理解いただきたいと思うのでございますが……。
  244. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやね、私はあなたの言うことを理解しないと言っているわけじゃない。その工作資金という問題についてですよ、実際問題としてロッキード社から入ってきた二十数億円という資金が、これが一〇〇%いわゆるトライスターのものである、こういう判断をあなたがしていらっしゃるわけですよ。われわれはそうじゃないと、そうじゃないんじゃないか、これはね。そこのところだけあなた方はすぱっと線を引いていらっしゃいますけれども、そうじゃなくて、ロッキード社は初めからトライスターとP3Cを売り込もうとしていた事実は現実あるわけです。ですから、私は、このトライスターのものであるということは一〇〇%わかるけれども、その裏にやっぱりP3Cの問題についても全くゼロとは考えられないじゃないか、こう言っているわけです、私はね。もしあなた方が一〇〇%もうこれは全然P3Cについては何にもないと言うのであるならば、いままでのわが委員会でも疑いをかけられた人がいっぱいいるわけですね。白紙還元ということでロッキード社の目的が達成されるわけですから。要するに、国産化方針がずっと進んできたものが国産を中止するということになれば、それだけでもうロッキード社の目的は九割方達するわけですからね。そういうような意味では、私はそこのところだけ、何といいますか、資金のルートのところだけは、あなた方はすぱっと線を引いてしまって、下の方のいろいろわれわれに説明するところでは一つもすぱっとしてない。だから私は、そこのところをはっきりしてもらいたい、こう言っているわけです。
  245. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 本件のロッキード事件におきまして、いわゆるピーナッ、ピーシズ領収書、ユニット領収書、あるいは児玉に入ったいろいろな領収書等からこの事件が端緒を得て捜査を開始したわけでございます。それで、それらの金の使途を、もちろん検察当局としては、PXL問題等も頭に置いて、そしてこの趣旨は一体何であるかということを関係人についていろいろ事情を聞いて、その調べた結果が、先ほど申しておりますように、起訴しておりますように、トライスター関係であるということが明確になった。その捜査過程では、いろんな角度から検察庁としては必要なことは事情を聞き、基礎的な資料も集め、そういうことはやっておるはずでございます。ですから、捜査過程ではいろんな可能性も考えて捜査をし、その結果、証拠物、関係人、嘱託尋問、その他各般の証拠を総合した結果、すでに起訴しておりますように、受託収賄の関係はまさしくトライスターの問題である、あるいは全日空についてもトライスターの売り込みに関連したものであるということが明確になりましたので、ですから、結論は明確で過程がはっきりしないじゃないかとおっしゃいますけれども過程こそまさしくいろんな可能性を考えて、おっしゃるようなことも考えて、そして捜査をしたのでございますから、非常にその中身は区別できない。これはトライスターの証拠、これはPXLの証拠、そういうふうに区分けができないのはそういうわけでございまして、捜査というのは性質はそういうものであるということを御理解いただければありがたいのでございます。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ多少質問のあれを変えますが、いずれにしましても、これはPXLの問題を当委員会で相当やってまいりました。現実の問題として、私は、白紙還元になったその前後のいきさつ等も含めて、やはりこれはそこのところからもう一回きちっと解明をする必要がある、こういうふうに思います。  そこで第一は、何と言いましても、関係議員、関係会議員ですね。当時国防会議にかかわっておりました国会議員の証人喚問というのがどうしても必要だと私は思います。  それから第二番目には、いまも、先ほどからずっと申し上げてまいりましたように、このPXL関係については、その捜査資料を国会に報告をしてもらいたい。そうでないと、いままでの捜査当局のわが委員会に対する報告は、行数で二、三行、字数にして百字とか、本当にそんなばかな報告では、これはわれわれ納得できませんし、もしあの司法当局の皆さん方がやった取り決めでもなければ、われわれは立法府として直接アメリカに対してお願いもし、要望もし、あるいは現地へ飛んで行くこともできるわけです。そういうような道もあなた方はふさいているわけですから、少なくともそういうような意味では、あなた方はPXLに関する全貌をわが委員会に詳細に報告する義務がありますよ。  三番目には、やはり何といいましても、この児玉資金ルートの解明と、こういうように、これからの道として三つに分かれると私は思います。  そこで、現実の問題として、いま課長からもお話がございましたけれども児玉への十七億二千四百三十四万円、これは領収書四十六枚分ですがね。これと、それから田中角榮の五億円、これは丸紅のピーシズ、ピーナツ分ですね。それから運輸関連の政治家へのいわゆる三千万円、これは丸紅領収書の三十ユニット分ですね。それから全日空への九千万円、これは九十ユニット分ですね。それから全日空へ一億六千百六万円、これはオーストラリアの宣伝飛行の分ですね。二十五億五百四十万円、これだけ現実に入ってきているわけです。私が調べ範囲でもこうなっていますがね。その中で、先ほどからも問題になりました児玉ルート、いわゆるこの工作資金量全体の七割を占めているわけですね。これが実際問題としてどういうふうになったのかというのは、これを解明しない限り、これは実際問題としてロッキード事件を解明したということには私はならないと思うのです。  そこで、この問題については、先般の委員会でも、この十七億の中身はいわゆる政治家には流れていないと、そういうふうな意味の発言がありましたが、これは新聞報道で私は言っておりますので、「児玉ルートの十七億円政界には渡らず」と、これは前の安原さんのときの答弁なんですけれども、これは私はちょっとやっぱり間違っているのじゃないか。要するに、現在まで児玉譽士夫に入った十七億円の使途について捜査をしたけれども、要するに国会議員に渡ったものはいままでのところ判明しなかったということであって、実際はこれからどうなるかわからない。現実に本人が病気で寝ておるわけですからね。そういうような意味ではそういうことだろうと思うのですが、そこら辺の点もあわせて御答弁いただきたい。
  247. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) まず、証人喚問の問題については、国会の問題でございまして、私どもの意見を申し上げるべきことではないと思いますので、差し控えさしていただきます。  それから、捜査資料についてこれを明らかにせよということでございますが、これにつきましては、先ほど来再三申し上げておりますように、刑事訴訟法四十七条ただし書きに、公益上の必要その他の事由がある場合には、相当と認められる場合には、この限りでない、ということがあって、国政調査に御協力すべき道があることは御指摘のとおりでございますけれども、それにもおのずから限度がありまして、それが将来の捜査あるいは検察運営、あるいは人権その他に関係がある、あるいは裁判そのものの証拠として将来使う予定のもの、そういうものについては、これは少なくとも現段階でそのような資料を提供するということは遺憾ながらできがたいということを申し上げざるを得ません。  それから、児玉ルート関係で、政治家に金が流れたということは認められなかったという趣旨の安原刑事局長答弁は間違いないかということでございますが、そのとおりでございます。これはただいま御指摘のように、いままでの捜査の結果判明した限りではそのような事実は認められないということでございます。
  248. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは課長ね、時間がございませんので端的に申し上げますが、この児玉ルート資金の性格ですけれども、これは私はロッキード社からわが国へ流入した秘密工作資金二十五億五百四十万円のうち七割を占めるこの十七億という、十七億二千万円ですか、という資金は私はこれだけのお金が児玉に入ったその背景は一体何か。これは先ほどから何遍も私申し上げておりますように、これはロッキード社トライスターとP3Cの売り込みの謝礼だと私は思うのですよ。そうとるのが私は順当なんです。実際問題トライスターというのは一千二百億ですね。後のP3Cというのは一兆円を超える大変なあれなんですから、これは一般常識で考えたって、これは当然児玉に対する、次期対潜哨戒機の国産化を変更さしてそしてその後P3Cを売り込むための前段階の一つ工作資金である、当然私はそういうぐあいにとるべきであるし、当然そのための謝礼である、そういうぐあいにとるのが私はあたりまえだと思うのですよ。これがどうして、しかも十七億の中身があんまり解明されていないうちに、しかもそういうような中に、P3CはシロであるとかP3Cは全く対象ではないとかいろんな答弁先ほどから出ておりますけれども、これは私はやっぱり先走りであり、大きな問題である。疑惑は全くないなんということは、逆に言えば全く考えられない。そう考えるのが私は順当であると思いますし、私はそこら辺のところをきちっとしなければいけない、こういうふうに思います。  さらに国税庁関係質問をしたかったんですけれども、時間がございませんのでこの質問は次回に譲りますが、いずれにしてもそういうふうに児玉のいわゆる資金の性格について考えるのが私は至当である、そういうふうに思うのですけれども、いかがでしょう。
  249. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 再三のお尋ねでございますけれども検察庁としてはいろんな角度、可能性を考えて捜査をした結果、トライスターの売り込みに関連しているという認定をして処理をしているわけでございます。
  250. 神谷信之助

    神谷信之助君 小佐野賢治に対する五十二年一月二十一日の公訴事実、これによりますと「四八年二月初旬ころロスアンゼルス空港でコーチャンの指示を受けたクラッターから、ロッキード社の右児玉に対する支払金員の一部である米国通貨二〇万ドルを受領した」ということで、外為法違反で公訴請求をなさっております——間違いました。そうじゃない。証人の証言の偽証ですね、これで起訴されているわけですが、この偽証で起訴されている内容の中にこの事実が明記されています。先般、わが党の橋本議員がこの問題についてただしましたときに、安原前局長は、この内容についてはいずれ外為違反及び所得税法違反の公判の中で明らかになるという答弁をされています。としますと、外為及び所得税法違反でこの問題に関連するといいますと、児玉に対するこの件に対する公訴請求をした、そういう事実の中にこの二十万ドルの問題も含まれているというように考えざるを得ないと思うのです。そういう点で考えてみますと、五十一年の六月四日請求されている四十八年六月十四日から十二月十二日に至る間、前後四回にわたって一億三千八百万円、これを受領した、これが外為法違反に該当するという公訴請求があります。時期はちょうどこの時期でありますが、したがって、この二十万ドルの受領は、児玉の受け取るべき金員の一部と言われるこの二十万ドルは、この一億三千八百万円の中に含まれていると考えるのが至当ではないかと思いますが、いかがですか。
  251. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) この小佐野がクラッターから受け取った二十万ドルの使途等につきましては、これから始まる小佐野の偽証の公訴事実の内容そのものでございますので、その内容についてお答えするわけにはまいらないわけでございます。このことは安原刑事局長も申し上げたはずでございますし、さらに児玉の所得税法違反等とも関連をしてまいりますので、そういう意味からもこれからの児玉の公判の立証にも関連をする部分があるのでお答えを差し控えさせていただきたいということで申し上げておったわけでございますので、まさしくこの二十万ドルがただいまの御指摘の公訴事実の金額の一部であるかどうか、なしているかどうかというのはまさしく公訴事実の内容で、これから立証しようとする問題でございますので、答弁は控えさせていただきたいと思います。
  252. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの答弁は、当時の安原局長答弁とはちょっと違うのですよ。安原局長はその偽証罪の問題は全然言ってないのですよ。偽証罪の問題では、この事実は公訴事実の中に明らかにしているんですから、受領したかどうかということを問いただしたのでもありませんし、受領した事実は公訴事実の中で明確になっているのですよ。そこでいま私、それに対してこの問題で橋本議員がお尋ねをしたら、そうすると、安原さんの答弁は、相当、所得税法違反あるいは外為法違反の冒陳あるいは立証の段階でいま御指摘のことが明らかになるだろうと、こう言っておるのですよ。ですからこれは外為もしくは所得税法違反の児玉関係であるとするならば、その時期、すなわち四十八年の十一月当時、児玉が外為法違反で金品を受領したということになるならば、これは当然五十一年六月四日請求の一この四十八年六月十四日から十二月十二日に至る前後四回にわたって一億三千八百万円受領したからこれは外為法違反だということで公訴請求をされている。だからこの中に入るというのが当然じゃないかと言っているのですよ。
  253. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねは結局所得税法違反や外為法違反、特に所得税法違反の所得の内訳、内容ということになるのでございます。
  254. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、ぼくは所得税法違反じゃない、外為法違反の一億三千八百万円のうちに入っているのかと聞いておる。所得税法違反の問題はまだ聞いてないのです。
  255. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) しかし所得税法違反と外為法違反がまさしく、外為法違反で入りましたその資金、それがまさしく所得税法違反でもあるわけでございますので……
  256. 神谷信之助

    神谷信之助君 イコールじゃないでしょう。
  257. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) もう全くその重なっておる部分がございまして……
  258. 神谷信之助

    神谷信之助君 金額はそれぞれ違いますよ。
  259. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) それ、所得税法違反と外為法違反の問題は全く密接不可分の問題でございます。と申しますのは所得になった経緯が外為法違反に問われているのでございます。したがいまして、その内訳を申し上げますことはまさしく所得の内容を裁判がある前に言わなければならないということになるのでございまして、そういう意味で、御勘弁願いたいということを申し上げておるのでございます。  で、安原刑事局長は偽証——小佐野の偽証のことは言わなかったというお話でございますけれども、やはり小佐野自身を偽証で起訴しておるわけでございますから、この二十万ドルの性質だとか使途とか、そういうものは当然二十万ドルを間違いなく受け取っているかどうかということに関連する事柄でございますので、まさしく公判の関係で立証する事実に関連する事項でございますので、そういう意味でもその点は御勘弁願いたいということをお願い申し上げておるわけでございます。
  260. 神谷信之助

    神谷信之助君 それではちょっと法律上の見解をお伺いしますけれども、小佐野がロサンゼルス空港で二十万ドルを受け取りましたが、これは本邦において受け取っているわけではないんですから、二十万ドルを小佐野がロサンゼルス、そこで受け取ったその事実そのものは外為法違反にはならないわけでしょう。
  261. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 小佐野について外為法違反の容疑を確認することはできませんでした。
  262. 神谷信之助

    神谷信之助君 違反の容疑を確認することができなかったということは、その二十万ドルがそのままアメリカで消費されたか、あるいは日本に持ち帰られたか、あるいはアメリカで使って日本において別にその相当金額を小佐野が児玉に渡したか、この辺の事実がつかめなかったということが外為法違反として明らかに容疑を確立することができなかったという意味と受け取ってよろしいですか。
  263. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 検察当局としては、この二十万ドルの使途あるいは性質、こういうものについてもでき得る限り捜査をして、ある程度使途についても解明ができていると思います。しかし、そのどういうふうに使われたのかということを、その内容をいまここで申し上げることはできませんので、御理解願いたいと思います。
  264. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうもなんですね、法律の解釈の問題としてお聞きをしてもはっきりしないわけですが、それじゃ別の角度から聞きますが、この二十万ドルはロッキード社から児玉に支払う金の一部であるというふうに公訴事実が明記をされています。したがって、まあロッキード社からその金が渡ったということになるわけですから、受領したかどうかは別にして、そういうこと、支払うべき金員の一部ということが書かれていますから、当然それに対する児玉の領収証がロッキード社に行っているであろう。児玉の領収証を見ますと、四十八年の十一月三日に二千六百五十万円、同一日付で二枚領収証があります。計五千三百万円になります。レートの関係もありますから、ほぼ六千万円、二十万ドル相当に近いものであると考えられるわけですが、これにこの領収証と密接な関係があるというように考えてよろしいですか。
  265. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) どうも再三、まさしく捜査をしたその証拠の内容に関連する事柄お尋ねなんでございますが、そのような報道がなされておることはもう十分承知しておりますし、児玉の領収書の日時等の経緯も十分承知しております。それとの結びつきがあるかないか、それに見合うものがあるのかどうか、こういうお尋ねなんでございますけれども、その点についてはどうか御理解いただきたいんですが、やはりまさしく小佐野や児玉についての今後の公判で明らかにすべき事項、冒頭陳述で明らかにするべき事項でございますので、裁判所で裁判がまだ始まらない前に法務当局がそれはこうなっているということを公表するわけにはまいらないのでございまして、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  266. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は法務省当局のそういう立場は十分理解をするにやぶさかではないんですが、しかし、児玉−小佐野ルートがいまだに解明をされていないと、そしてかりに犯罪容疑がないとしても、われわれ国会としてはこのロッキード事件をめぐる政治家やあるいは高級官僚の政治的道義的責任の追及をする、明らかにする責任を持っているわけですよ。いま捜査中であるとかあるいは公判を維持するためにはできないということで一切のことが明らかにされないとなりますと、われわれは何も知らされずに、ただうわさや推測だけで疑いをかけていかなきゃならぬという、かえって基本的人権を侵害をするようなことにならざるを得ないわけです。昨年の二月以来、この問題が明らかになってからも相当長期にわたっているわけですから、一年を超えているわけですから、われわれはひとつこういう点ははっきりさせなきゃならぬと思うのですがね。特に小佐野は偽証罪ですからね。だから、その金を小佐野自身が使おうが使うまいが、どうしようがということは、この偽証罪の成否にとってあるいは公判の維持にとって直接的な影響を持つわけではない、というように思うのですがね。ですから、そういう意味から聞きますが、この二十万ドルはその後どういうように小佐野が使ったのかという点についてはお答えいただけるんじゃないでしょうか。児玉に渡したのかあるいはアメリカで使ったのか、一体どうなったんだということはお答えいただけるんじゃないでしょうか。これは偽証罪の成否に何の関係もないことじゃないですか。
  267. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 小佐野に対する公訴事実は、御指摘のとおり偽証でございます。その偽証の一つの事実として二十万ドルを受領したということを公訴事実にうたっているわけでございます。この二十万ドルを受領したことと、それの使途とは直接関係がないんじゃないかというお話でございますけれども、やはりそれは先ほど申しましたように、使途なり性質なり、そういうものはまさしく受領したことの裏づけとなる事実でございまして、私どもこれを直接事実、間接事実という言葉で申しますれば、密接不可分な間接事実でございます。そういう事実につきまして、公判の前にこの金はこういうところに使ったのである、こういうところに渡したのであるということを申し上げれば、結局受領した事実そのものについてその存否を明らかにする、その証拠はこういう証拠であるということを公判の前で明らかにする結果になるわけでございまして、そういう意味で、ぜひ公判まで御勘弁願いたいと、公判では必要なそういう点については検察官としては具体的に証明しようとする事実を明らかにするわけでございますから、そういう経緯は恐らく明らかになるものと考えております。
  268. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、この二十万ドルを受領したことは公訴事実で明らかになっていますね。というのは、その二十万ドルの行方については解明されているということでありますか。
  269. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 必要な解明は検察当局で行っております。
  270. 神谷信之助

    神谷信之助君 いままではこの二十万ドルの解明がされているかどうか明らかになっていなかったわけであります。解明されているということが明らかになりました。これ、解明されている、その内容については公判維持のために述べることはできないということでありますから、これ以上の追及はやめたいと思います。  次に、先ほどお話がありましたが、報道によりますと、FBIあるいはSEC、さらにワシントン連邦地裁の大陪審、これらがロッキード社の関税法違反ですか、あるいは商業活動の不実記載、あるいは政治献金の不正申告、あるいは政府に対する虚偽申告罪、いろんな角度から捜査をしている。その中で、すでにクラッター、コーチャン、トム・バロー、エリオット、フィンドレー、こういったいろんな人たちが喚問をされ、調査が進んでいる。そして起訴も近いんではないか、あるいはさらにこの解明が進めばP3Cに対する疑惑も一部明らかになっていくんではないかという、そういう報道が各紙によっていろんな角度からなされています。こういう問題については、先ほどもお答えがありましたが、もう一度確認のためにお伺いしますが、当然捜査当局は重大な関心を持って見ておられると思いますが、その点はよろしいですか。
  271. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 前回の御報告でも申し上げましたように、一月二十一日処理後、児玉たちの病状はもちろん、米国証券取引委員会における調査結果等も十分関心を払って、そして新しい事態があれば解明のために必要な措置を講ずるというふうに申し上げておるのでございまして、検察当局は十分その点について関心を持っております。そのうちの一部につきましては、先ほど法務大臣からもお答えいたしましたとおり、大陪審の手続は中身がよく——これは裁判所が行う秘密の手続でございまして、これは厳重に守られておる手続でございます。これは照会してもどうにもその中身を知ることはできません。すでに実務取り決めがございますので、公表されなかったりなんかして、司法省あるいはSECで調査したものでさらに必要があるものについてはもちろんこれを入手できるわけでございまして、そういう御指摘の点については十分な関心を払っております。
  272. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどちょっと取り上げました二十万ドルですね、この問題のもとは、以前にもこの委員会で私が質問いたしましたが、例の昭和四十七年の紛失小切手十四枚、合計百六十六万六千六百六十七ドル、約五億円です。これが紛失をして、その翌年四十八年の五月の中旬から六月中旬にかけて、その分として四億四千万円が児玉の手に改めて渡る、これに対する領収書もあるわけでありますが、こういう問題がある。この問題については、五十一年の五月の十日に、四十八年の五月中旬から六月中旬の間、四億四千万円受領した問題について外為法違反で公訴請求をなさっています。この問題で、そういう点を、確認を前回もしておりますが、この四億四千万円がそういう経過と密接な関係にあった内容の外為法違反の事件であるということについては当時お伺いしておりますが、確認をしておきたいと思いますが、そういう点でよろしいですか。
  273. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御承知のように四億四千万の性質、それに関連して五億円の小切手の紛失、そういう問題が種々報道され、お尋ねがあったことは事実でございますけれども、私どもといたしましては、児玉に入った外為なり所得税法違反の当該金額はまさしくそれであるというふうに証拠の内容として御説明申し上げたことはなかったと思うんでございますが、私どもといたしましては、その点はやはり裁判の前では控えさせていただきたいと思っております。
  274. 神谷信之助

    神谷信之助君 これもなかなか明確におっしゃっていただけませんが、この五億、当初の五億と四億四千万の差額がちょうど二十万ドル——六千万円に当たるわけです。そうしますと、その前のこの小切手紛失事件というのは非常に疑惑に満ちた事件である。これはそのときの委員会で、私は、その紛失小切手が警察に盗難の届けが出たけれども実際にはとうとう見つからずじまい、そしてこれの支払い停止が相当おくれて手続がとられたといういろんな問題を提起をしたわけでありますが、いまアメリカの方で、実はこの紛失小手切を含めましてアメリカに還流をされてアメリカの政治工作に使われたのではないかという、いわゆる還流資金として使われたのではないかという点でも捜査をされています。したがって、これはまさに日米両国にわたる疑惑がこの点でも非常に明確になるわけですが、そういう点について先ほど重大な関心をお持ちだということでありますが、この第二次の調査報告書を見ますと、「今後、ロッキード事件についての国会の国政調査等事態の推移に関心を払うことはもとより、将来、関係人の病状が回復し、あるいは米国証券取引委員会調査結果を入手するなど特段の事情の変化が認められた場合には、さらに解明のため必要な措置をとるものと考えます。」というようになっています。ここでは米国証券取引委員会——SECの調査結果を入手するという点が特に特記されています。この内容は、先にとりあえずお聞きをしますが、例のロッキード社の社外重役による調査ですね、これは三月十四日に当初は提出される予定が五月に大体延びてきているんですが、このことを意味しておられるわけですか。
  275. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) ロッキード社に対してSECが調査結果の報告を出すように命じて、その調査を行っているのが御指摘の社外重役と申しますか、何人かの関係者で集まって委員会をつくってやっておるようでございます。で、この報告はSECに提出されますと、SECで、証券取引委員会でこれを公表するというふうに聞いております。公表されれば、これはもう当然内容がわかるわけでございますから、もちろんそういう内容については、私どもとして、検察庁は十分関心を持っておりますけれども、そればかりじゃございませんで、公表されれば当然のことですし、さらにSECがその後ロッキード事件の不正工作について調査を進めて、それについて対日関係で新しい事実が出たというようなこともあるかもしれませんので、あるとすれば、そういうことについても十分な関心を払っていって、あれば必要な資料は要請して、これを提供を受けるというようなことも考えて、その報告ではそのようにうたっておるわけでございます。
  276. 神谷信之助

    神谷信之助君 この文章だけですと大変消極的に受け取れるわけなんで、まさかそういうことはないだろうと思って、もう一度念のためにお伺いしますが、だから、アメリカの方で入手している一切の公表、非公表、非公開を問わず、一切の資料について積極的に日本側としては提供することを要求をする。要求しておられる。また日本側の方も、当然今日までの捜査段階で、まだわれわれには公表されていないといたしましても、アメリカの捜査にとって必要であろうと思われる資料は積極的に提供をする。これは公判その他捜査上の必要以外には公表することができないことになっていますから、そういう意味で日米双方が、あの司法取り決めに基づいて積極的に、この日米両国にまたがる疑惑の解明に共同して、協力をして進めていくという、そういう態度で今日まで進めておられる。また、今後もそうされるのか。この辺、ひとつ確認しておきたいと思います。
  277. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) まさしくそのとおりでございます。実務取り決めは、まさしくその精神でつくられておるものでございます。それを実行しております。
  278. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次にお伺いしたいと思いますのは、まだ解明し切れていない児玉ルート、小佐野の問題ですが、児玉ルートについては相当部分解明をして、あと未解明部分が残っているということなんですが、その金品の流れるルートの解明を通じて、児玉、小佐野がどういう役割りを果たしたかという点については解明をされておられるわけですか。
  279. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 児玉、小佐野の犯罪捜査を、所得税法違反あるいは偽証ということで捜査を行って起訴しておるわけでございますが、それに必要な両名のいわゆる国内における行動等については、もちろん十分捜査をしております。
  280. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは先ほども大分議論になっておりましたが、児玉ロッキード社とコンサルタント契約を結んで、そして年に五千万円コンサルタントの契約料をもらっています。このことは事実ですね。
  281. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) その点は、お尋ねのとおりでございます。  で、この児玉、小佐野両名につきましては、再三申し上げておりますように、本人たちが、病状が長くてかなりの重症でございまして、その調べも一回一時間前後で、しかも医師の立ち会いのもとで行うというような調べを続けておる非常に悪条件でございます、正直申しまして。その悪条件のもとで、できる限度でその解明をしているというふうに御理解いただきたいと思います。
  282. 神谷信之助

    神谷信之助君 年間五千万円の嘱託料といいますか、これを受け取っているということは契約書に明らかであります。その契約には、トライスターの売り込みもP3Cの売り込みも両方明記をされている。したがって、成功報酬はトライスターについては幾ら、あるいはP3Cについては幾ら、十五機については幾ら、二十五機については幾ら、あるいは五十機については幾らとあります。いわゆる嘱託料といいますか、これは年間五千万円、そしてロッキード社の製品の販売、これについてはいろんな情報から一切のものを提供を要求している。それに対する嘱託料として五千万円が出されている。そこで、検察当局もその信憑性を高く評価をしておるコーチャン証言によりますと、その契約に基づいて児玉がきわめて有能なコンサルタントとしての役割りを果たしたということを証言をしております。このことは事実としていままで委員会でも何回か確認をされていると思いますが、お認めになりますか。
  283. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御指摘のように、コーチャン証言と申しますか、コーチャンの回想録等でそのようなことが言われておることは私も承知しておりますけれども児玉がそれだけ有能であったかどうか、まあそこはその児玉の行動の評価の問題で、私からそれについて論評を加えるというのは適当じゃないように思いますけれども、常識的には、これだけの大量な金額が児玉に入っているというところから見れば、ロッキード社としてはずいぶん児玉に対して期待するところが大きなかったのではないかと、私は個人としてはそう思います。
  284. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、トライスターの売り込みは、これは私企業——私の企業同士の取引の問題です。もちろん、しかし、それについては日本の航空行政上のいろんな制約がありますから、売り込みを成功させるために航空行政に対するいろんな影響力を行使をしなければならないという問題が起こって、すでに贈収賄で起訴されているような事件が解明をされたということだと思う。一方、P3Cの方は、これは私の企業間同士の取引ではない。これを購入するかどうかはまさに日本政府そのものが決める問題。したがって、きわめて純政治問題であり、また政府レベルの問題だと言わなければなりません。いま、個人としてはお認めになりましたように、また、これはコーチャン回想録じゃなしに、証言にもちゃんと出ておりますからね、有能な役割りを果たしたということは。ですから、そういう役割りを果たして、しかもそれだけの巨額の金を児玉に渡しているわけですから、まあ常識的に見てといいますか、論理的に見ても、当然政治家へのいろんな働きかけがあったと考えてもこれは普通ではないかと思う。少なくともその可能性は大きいというように判断するのが至当ではないかというように思いますが、その点はいかがですか。
  285. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御指摘のように、コーチャンが多国籍企業チャーチ委員会で証言をした内容にその趣旨のことがあったように思います。で、児玉の演じた役割りなんですけれども、非常に大きかったのではないかということでございますが、先ほどと同じようなお答えをする以外にちょっと私としてはお答えのしようがないのでございますが、要するに、これだけの契約をして、それに基づいて大量の金員が毎年度入ってきていると、そういう状況でございますから、それで、そういう役割りにつきましても恐らく公判で明らかにされるものだと私は思っております。
  286. 神谷信之助

    神谷信之助君 公判でそういう点が明らかにされるだろうと——特にいま私が問題にしているのはPXLについての問題であります。そうしますと、私どもさっきお尋ねしたのは、PXLの機種選定をめぐる問題というのは日本政府の問題であり、純政府レベルの問題だ。したがって、当然論理的に言うなれば政治家への働きかけがあったであろう、その可能性は少なくとも大きいではないかという質問に対して、その内容は恐らく公判廷で明らかになるであろうというお答えですが、それでいいんですか。
  287. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) どうも失礼いたしました。PXLとの関係で申し上げたのではなくて、これだけの大量の金員が入って、それについて資金的な裏づけをした趣旨は一体何であるかということは法廷で明らかにされるであろうと申し上げたのでございます。ちょっと質問を間違えておりまして申しわけありませんでした。  で、御質問の点につきましては、そういうPXL関係でも児玉が何か相当な役割りを演じたのではないか、あるいは政治家も含めて演じたのではないかということでございますけれども、その点については、いままでの捜査過程内容に関連することになりますので、そういうことがあったかないか、あるいは恐らくそうではないかというような私の考えを申し上げるべき事柄ではないと思います。
  288. 神谷信之助

    神谷信之助君 いままでは、今日までの捜査で、PXLをめぐっては政治家に金が流れていなかったと、犯罪容疑を明らかにすることはできなかったという御答弁ですから、そうだと思います。  しかし、私は思うんですが、児玉は、御承知のように、第一次FX戦争のときには、金を積んで政治家に工作をし、そしてひっくり返すという、そういう大仕事をやったことを彼自身の著書でも明らかにしています。だから、そういう点を考えますと、今回の場合そういう疑いが全然ないというわけにはいかぬ。恐らく捜査当局もそういう点では、児玉からどこへ金が移ったか、あるいは小佐野からどこへ金が流れたかということを一生懸命追及されたんだろうと思います。しかし、本人が言わない。そうすると、その周辺、関係者、これから密度の濃い証言を取らなきゃならぬ。幸いトライスターについては丸紅全日空関係者から出てきたと。田中の五億円にいたしましても、これは田中自身は公判で否定をするんだと言っているように否定をしているわけですから。しかし、丸紅全日空関係の方でそういう証言が出てきているという状況だろうと思うんです。しかし、この田中に渡った五億円についても丸紅から渡っていますが、それがP3Cとは何の関係もなかったということもまだまだ言い切れないんじゃないかという、そういう疑いをわれわれは、国民の側から言ったら、常識的に言うならば、持たざるを得ない。もうトライスターについてはほぼ商談は終わっています。二十一機の全日空に対するトライスターの導入は決まり、もう正式契約も終わって、ほとんど、十八機ですか、十七機まで入っているんですから。ですから、もうこれの商談は済んでいる。しかも私企業間の問題ですから、契約の取り消しがいまさら起こるわけでもない。しかし、P3Cの問題はこれからの問題。ですから、P3Cをめぐる問題についても田中に請託をしたんだということは、これは口が裂けても言えない。一兆円の商談をふいにするわけですから。しかし、何にもないということにはいかぬわけで、したがって、トライスターについては一定の証言を得た。そういう形で、このP3Cの導入をめぐっての収賄罪の成立を極力避けてしまう、消してしまうという点は、これは普通に考えても十分考えられる。常識的に考えても考えられるわけです。そのために捜査当局も、この点でそういう疑惑、疑いといいますか、少なくともそういう角度からも一生懸命私は捜査をされたと思う。しかし、なかなかこれはそういう証言を取れない。そういう条件が日本の内部にもある。それからアメリカの方も、これは日米軍事戦略から言いましても、P3Cの日本に対する配備、これは重要な課題になっているし、そして昨日ですか、アメリカの側から対潜作戦の強化を一層要求をされるという状況も生まれてきていますから。したがって、そういう意味からも、アメリカの側もこれはつぶしたくない。いみじくも稻葉前法務大臣が、このPXLをめぐる疑惑の解明については、日米合作のP3C隠しというか、PXL隠しがやられているので、なかなかこれの捜査は困難だ、むずかしいということをしばしばおっしゃっていましたが、私は、この問題についての解明というのは、あるいは犯罪容疑事実の立証というのは、きわめて困難であろうということは想像にかたくないと思うんです。  ところが、いま国民が一番大きい疑惑を持っているのは、実はここの部分に大きい疑惑を持っているわけです。ロッキード社から金が流れた、その七割は児玉ルートに入っている。そして奇妙にも児玉も小佐野も、いざ取り調べをしようとすると病気になっている。捜査がなかなかうまくいかないような仕組みが次から次と生まれる。こういう状態である。一体、これはいつになったら明らかになるかと。児玉ルートについては一定の解明ができているとおっしゃる。それは公判廷で明らかにするとおっしゃった。ところが、児玉も小佐野も、三月の公判の開廷は、病気を理由にして延期をして、六月になっている。六月になってちゃんと公判が開かれるかどうかという保証もない。公判になれば明らかになるだろうとおっしゃいますが、それじゃ、その公判は、具体的展望について一体どうお考えなのか。この辺は一体どうですか。
  289. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 公判のことでございますが、児玉の公判は六月二日と指定されております。それで、先ほど申しましたように、児玉の病状は若干いい方に向かっているようでございまして、あるいは二、三カ月たてば法廷へ出廷できるかもわからないという診断が出ているようでございます。で、検察官としては、児玉を所得税法違反及び外為法違反で公訴を提起しておるのでございますから、その立証には万全の準備をしておるわけでございまして、自信を持って対処したいと考えております。  それで、児玉のところに入った資金についての流れ、これについて国民が重大な疑惑を持っていると、国民の皆さんがそういう疑惑を持っているということは、確かに御指摘のとおりでございます。だからこそ、検察庁としては、児玉の病気その他非常に悪条件が重なって、関係者も死亡しているということは御承知だと思いますけれども、そういう悪条件の中で法の許す範囲内で万全の調べをしたのでございます。その結果、報告で申し上げたとおり、相当部分の解明ができたと。なお一部については未解明の部分が残っておりますけれども、その相当部分を解明したところでは、御指摘のような、政治家に渡ったり、あるいはPXL関係との結びつきが出てきたり、あるいはさらに新しくその先に犯罪容疑が認められるというような状況が、現在のところは認められていないということでございます。しかし、今後ともこの点については関心を払って、諸般の状況の推移を見ながら、アメリカの先ほどの御指摘のような動きも見て、必要な資料は取り寄せて十分検討して、それで適切な措置をするということで検察庁はおりますので、ひとつそういうことで御理解いただきたいと思います。
  290. 橋本敦

    ○橋本敦君 関連。  P3C問題について最も基本的な部分を私は明らかにしてほしいと思うのです。つまり、児玉とロ社との間でP3C売り込みに関する修正契約書もある。これはもう検察庁はつかんでおられる。そこで私は聞くんですが、犯罪容疑はなかったと言うけれども、少なくともロッキードのコーチャンと児玉がP3Cの売り込みに関して相談をし、協議をし、売り込み戦略を考えたと、この事実自体は私は検察庁はもうつかんでいるはずだと、こう思いますがいかがですか。この事実がはっきりしなければ、そもそもあの契約書自体を否認することになりますよ。こんなこと、つかんでないってことはないでしょう。
  291. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) もちろん、コーチャンの日本国内における行動、その目的については、検察庁は十分できるだけの調べをして、嘱託尋問でもその点で明らかになっていると思いますけれども、その内容について、どういうふうにしたのかしないのか、どういう内容かということは、ここではお答えできないんでございますが……。
  292. 橋本敦

    ○橋本敦君 どうしたかはいいです。売り込み戦略について嘱託契約があり、契約書があり、ロッキード社児玉がP3Cの売り込みについても協議をしたと、この事実はあったということぐらい、これははっきりしていいじゃないですか。何のために契約書をチャーチ委員会公表したんですか。この点だけはっきりしてください。内容はいいです。どんな協議はいいです。
  293. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御指摘のような契約書があることは、もうそのとおりでございますけれども、それに基づいてそういうことがあったかなかったかと言うことは、結局捜査内容について申し上げるということになりますので、御勘弁願いたいと思うのでございますが……。
  294. 橋本敦

    ○橋本敦君 売り込みについてコーチャンと児玉が相談をしたかどうか、これは契約書が公表されているんですから、それとの関連事実ですよ。これさえ検察庁はつかんでいないと言うのですか。コーチャンは私に、児玉と売り込み戦略について協議したと、私がロッキードのバーバンクに行ったときに言いましたよ。児玉がコーチャンとP3Cの売り込みについても協議をした、相談をしたという事実があったということは、チャーチ委員会があの契約書を公表しているときから、だれにもわかることなんですよ。この事実さえつかんでいないと言うなら、これはもう捜査は徹底的な不備ですよ。その点どうなんです。内容は聞きません。そのぐらいのことははっきりしてください。
  295. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 捜査していないとは決して申しておりません。契約書に基づいて彼がどういう行動をとったかということは、もう当然捜査対象になっておるわけでございます。これは検察当局では十分明らかにしていると思います。ただ、それを……
  296. 橋本敦

    ○橋本敦君 犯罪が成立するかしないかはいいです。
  297. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) そこで協議をしたのかどうかという、そういう事実の有無を答えろということでしたら、結局捜査内容に関連するので申し上げられないんだけれども、そういうものは、当然、契約書に基づく児玉の行動については全部必要な捜査は遂げ、コーチャンの捜査は遂げておるということを申し上げたかったのでございます。捜査は十分しております。
  298. 橋本敦

    ○橋本敦君 よろしい。それじゃ最後に聞きますが、P3Cについても売り込み戦略を協議しなかったと、こうは検察庁は考えていないと、そういうような事実は全然ないとは検察庁は言わないと、これだけはっきりしてください。これで終わります。
  299. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) コーチャンの対日工作の意図、目的、それらはすべて捜査対象になっておるわけでございます。恐らく、契約書等から推測するに、御指摘のとおりだと思いますけれども、実際にそうかどうかということになりますと、捜査内容だからお答えできない、こう申しておるわけです。
  300. 橋本敦

    ○橋本敦君 また時間があれば聞きます。
  301. 三治重信

    ○三治重信君 午前中から休みなく引き続いての質疑でお疲れのことだと思うのですが、この簡単な法務大臣報告を拝見すると、また、きょうの朝からの質疑を通じての感じでも、検察当局は、大体この法務大臣報告で、ロッキード事件のあらゆる問題を一応もう捜査をしてしまって、この裁判の準備もできた、こういうことを言おうとしているというのですか、そういう態度が十分あらわれているんじゃないかと思うのですが、そういうふうに理解していいわけですか。   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
  302. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 捜査本部は現在も存続をして、事態の推移に関心を払って、必要な資料は入手に努めて、新しい容疑が出れば事案の解明に努めるという態度でございます。ただし、現在のところ、公判に全力を注いでおりまして、その公判の維持のために必要な作業を行っているということでございます。しかし、先ほど申しましたように、いろんな資料は今後とも入手に努めて新しい事態に備える、そういう段階でございます。
  303. 三治重信

    ○三治重信君 それは表面上のことで、実際はもう、大体検察当局とすれば、いままでのあらゆる情報において調べるところは調べ尽くして、裁判の証拠固めなり、それに対する対策に精力を費やしている、こう理解せざるを得ないわけなんですが、そういうふうな捜査の継続ということを言われると、まあ六月二日に児玉の方の裁判が始まるとなると、それまでに児玉氏が健康回復するというような、相当捜査ができるというような状態になれば、さらにそういう場合は捜査が行われると理解していいんですか。もう裁判の日にちまで決まっているし、起訴状や何かも決まっているんだから、別にそこで改めて取り調べとか何かはもうやらないのだ、こういうふうなのが普通じゃないかと思うのですが、どちらなんですか。
  304. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 報告で明らかにいたしておりますように、本人たちの病状が回復するなども一つの推移の現象として検察庁は見ておるわけでございます。しかし、検察庁がどういう形でどういう時期にどのような調べを行うかということは、その具体的な状況で、やっぱり公判との関係もございますし、そういうことで検察庁が判断をする、恐らく適切な判断をするものと私は期待しております。
  305. 三治重信

    ○三治重信君 それからもう一つ。これは聞くのもやぼかとも思いますが、この調査報告だと、小佐野も児玉も、結局、いわゆるロッキード事件で汚職事件には関係してないような起訴になりゃせぬですか、この文章からいくと、全日空ルート丸紅ルートのように賄賂関係とかそういうふうな汚職の問題に全然触れない、また、そういうことがないというふうなことなんですから、小佐野さんは自分の発言についての偽証罪だし、それから児玉は、秘密代理人として契約をして、それについて金をもらった、しかし、それは所得として報告してなかったから所得税法違反で起訴されると。そうなると、ロッキードのいわゆる汚職事件をいろいろ解明してやってみたんだけれども、今度の報告書から見ると、起訴関係は汚職とは全然この二人は関係ないんだ、こういうふうに常識的に理解をしていいわけですか。
  306. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 結論として、おっしゃるとおりでございます。児玉に入った十七億の資金の行方、どこにどう使われ、どこにあるのかというようなことについては、詳細鋭意調べた結果、その過程にさらに収賄とか贈収賄の事件とか、そういう容疑が認められておりません。で、そういう意味では、おっしゃるとおりでございますが、検察庁としてはいろんな可能性も十分考えて調べをした結果、こうなっているわけでございます。  なお、小佐野につきましては、田中元首相の受託収賄の事件で、冒頭陳述で一部小佐野の名前が出てきておることは御承知かと思います。
  307. 三治重信

    ○三治重信君 そうしますと、今後、新しい裁判の関係だと、所得税法違反の、いわゆる何と申しますか、税法違反しか解明されなかった、こういうようなことになるんですが、それで、所得税法違反のことについてちょっとお尋ねしますが、秘密契約だろうが何だろうが、契約があって、そうして外国会社だろうがどこからでも所得を得れば、まあ所得を申告しなければ所得税法違反、こういうことで児玉が大変な脱税違反事件で裁判にかけられるわけなんですが、これはいままでのいわゆる脱税事件として、ロッキードと結びついているからいかにも汚職事件の関連みたいにとられるんですが、これは汚職事件でない、むしろ児玉個人の所得税法違反だと、こういうふうになりますと、今度新しくこの間報道された田中前総理の賄賂の五億円についての所得が申告されなかったというんですか、所得税法違反で追徴すると、こういうのは、やはり裁判の性質からいくというと、賄賂の所得も所得税法違反でかけるとなると、裁判上はどちらも同じような裁判として国税庁はやっていくと、こういうことになるわけですか。   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
  308. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お尋ねは、田中元総理に対する五億円の税の取り扱いをどう考えているのかということでございましょうか。で、課税の問題については国税当局から先ほど答えしておるところでございますが、この五億円というのは検察当局は賄賂と認定しておるのでございます。賄賂につきましては、御承知のように、刑法百九十七条ノ五によりまして、有罪裁判があったときには必要的に必ず没収または追徴をされるべき性質のものでございます。したがいまして、収賄罪で公訴を提起しておるわけでございますから、有罪になれば全額没収または追徴されるようなものにつきまして、さらに脱税として刑事責任を問うというのは適当でないと判断して刑事処分はこれは行わないと。また、国税当局とも十分その点は協議いたしまして、告発もございません。
  309. 三治重信

    ○三治重信君 あれ、何というんですか、国税庁は何か一部五億円の賄賂に対して四億円の追徴金、所得税法違反というんですか、それで追徴するということじゃないんですか。
  310. 系光家

    政府委員(系光家君) 田中元総理が受領しました五億円につきましては、課税上の問題と、これを脱税事件として告発するかどうかといったような二つの問題があるわけでありますが、課税上につきましては、従来からしばしば私どもの方の次長がお答えしたわけでありますけれど、適正に課税上の処理をしたということでございまして、この件につきましてさらにいわゆる逋脱犯としての告発をするかどうか、刑事責任をも追及するかどうかという点につきましては、ただいま法務省刑事局の吉田総務課長からお答えがあったように、両者で協議して先ほどのような考え方を国税庁もとっているわけでございます。
  311. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、こういうような賄賂の収益は所得税法違反としてはやらないんだと、従来どおりやらないんだということの理解で——何かやるようなふうに報道されているというふうに理解しているんですが、その賄賂にまで課税するように今度新しく方針が変わったのかと思って、その点聞いたんですが、そうすると、賄賂に対する所得税の追徴ということは従来どおりやらないんだ、こういうふうに理解していいわけですか。
  312. 系光家

    政府委員(系光家君) 一般論として申しますけれど、賄賂につきましても課税はすると、しかし刑事責任は問わないと、こういうことでございます。
  313. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、この脱税事件のやつは、課税もするけれども、それはまた一つ犯罪行為として別途に処罰をすると。賄賂の方は、別の方の収賄罪で問われているから、それはお金だけ、五億円に対する税金としてもらえばいいと。だからその点は、脱税事件で起訴する場合には、脱税事件として刑事上の罪があるのと、脱税によるものを所得税としてまた金を国税庁はもらうと。そうするとその点は両方とも、罪と所得税を国税庁がとるというものとは両立すると、こういうふうに解釈していいわけですか。
  314. 系光家

    政府委員(系光家君) 一般に、こういう税務上と刑事上両方問題があるわけでありまして、納税はしてもらう、課税処理はするけれど、必ずしもいわゆる脱税犯としての扱いにまでは至らないという事案はたくさんあるわけでありますが、賄賂につきましては、先ほど法務省の方から説明がありましたように、一方において収賄罪としての刑事責任を追及しておりまして、またその判決が確定しますと、これは必要的に追徴ないし没収されるわけでありまして、その事件におきましては課税処理もまたさかのぼって訂正をするということになるわけでありますが、そういったような性質でありまして、当面課税措置はするけれど、刑事責任を追及する意味での告発はしないと、こういうことでございます。
  315. 三治重信

    ○三治重信君 わかりました。そうすると、これが賄賂と判定されると、それは課税はしたんだけれども事実上没収になるから税金はゼロになってしまう。そうすると、それが収賄罪じゃないと——これは田中事件とは別に仮定の問題として、賄賂で起訴された、それに対して、何億という賄賂だったから税金をかけたと、しかし、それが賄賂でないと裁判で確定して初めて税金が取れる。しかし、賄賂となれば全額没収だから税金はゼロだという場合の、その賄賂でないと判定された場合の性質でいけば、それがなれば税金として取れると。しかし、それがほかの政治献金というような場合には、また新しく、何と言うんですか、それを裁判にしなければ、そういうものは一たん賄賂でないと決めたのだから、それは追徴金のやつは、また取る原因が違ったからそれはもう取れないんだというのか、それが賄賂であろうが、政治献金であろうが、とにかくその本人のポケットの中に入ったやつなんだから、税金は賄賂以外のときには税金が取れるんだと、こういうふうに解釈をして、そこへ税金をかけられたわけですか。賄賂だとゼロになっちゃうわけですがね。
  316. 系光家

    政府委員(系光家君) 一般論として御説明するわけでありますが、賄賂につきましては、収賄罪の有罪が確定しますと、没収または追徴されますので、課税の対象となる所得となるかどうかと、そういう意見もあるわけでありますが、現行の税法におきましては、現実に収入を得ている場合には、これにより生ずる所得を課税の対象としているわけでありますので、この場合、その収入の起因となりました行為が適法であるかどうかといったようなことは問わないと、こういうように解釈されるわけであります。賄賂につきましても、それにより所得が生じておれば課税することとなるわけでありまして、ただ、収賄罪が確定しますと、賄賂が没収とかあるいは追徴されたときには、その課税額は是正するということになるわけであります。現在問題になっている事案につきましては、このような法律的な問題のほか、税務処理上必要な実態を把握するといったような問題もあったわけでありますけれど、国税当局といたしましては、刑事公判の冒頭陳述に表現された検察当局調べとか、あるいは公判の状況といったようなことも税務処理上の一つの重要な情報資料一つというふうに考えまして、そして課税庁としての立場から税務処理上の実態を把握しまして、全部を総合判断して処理をしたということでありまして、現在の段階でこれは検察当局で収賄罪で起訴しておるわけでありまして、これは賄賂であるという前提で、しかも課税をしておくと、こういうことで課税をしたわけでありまして、賄賂でなくなったらどうこうといったようなことを考えて処理をしたわけではないわけであります。
  317. 三治重信

    ○三治重信君 そうしますと、このロッキード以外でも、最近地方の県、市で相当汚職事件がふえてますわね。そういうような場合でも、相当な金額になってくると、みんなそういうものを賄賂汚職者に国税当局は査定をしては、どんどん課税をされているのが一般なんですか。
  318. 系光家

    政府委員(系光家君) 従来は、賄賂につきましては、先ほどから申し上げておりますように、収賄罪で起訴された人たちの大部分の者が有罪になっておりまして、課税処理をしましても後日の是正をしなければならない。いわば、課税、そしてさらに後で訂正するといったような事務的な煩わしさがあったわけであります。そういうことも考えまして、従来は実際には課税はしてなかった。さらにまた、所得の種類が場合によって一時所得に該当するといったようなこともあるわけでありまして、そういう場合には一時所得の特別控除という制度がありまして、現在これ、五十万でありますが、そういうことの規定が働きますので、少額なものにつきましては実際問題として課税にならないということもあったわけであります。さらにまた、収賄というものが発覚しますと、刑事公判が確定する前にそれを贈賄者の方に返すといったようなことなどもあったわけでありまして、そういったようなことで実際は課税をされていなかったというケースが多かったわけでありますが、今回のものは非常に金額も大きいといったようなことがありまして、除斥期間も迫っているといったようなことで、適正な処理をしたというふうに考えておるわけでありますが、今後はやはりその実情に応じまして、今回のものが一つの基準ということになりまして適正に処理をしていくと、こういうことになろうかと思います。
  319. 三治重信

    ○三治重信君 じゃこれで最後にしますが、こういうふうになって、だんだん何というんですか、汚職事件といいますか、犯罪事件も金銭的なものがだんだん多くなってくると、検察当局も結局、そういう洗っていく金額の中身が、税法違反といいますか、事件が相当、みんな今度はいまのような考え方と全部うらはらになって進行せざるを得ないようなことになると思うんですが、そういうことについて、検察当局というのは、国税当局と、そういう問題の捜査をどういうような限度にするか、そういうもののやつについては、検察だけでいってもなかなか汚職の問題で十分いかない場合もあるし、国税だけのあれでもいかないし、両方一緒にやれば非常にそういうもののお金の出どころや処理の仕方が十分両方ともがよくわかるようなことが出てくるだろうと思うのですが、そういう新しい事態に対処するようなことは考えておられるのかどうか。また、そういうことはすべてもう最近の汚職の性質にかんがみて、国税とはあらゆる事件において金銭にまつわることについては十分関連をとって相互に補完し合ってやっているのか、その点の実際のところを、最近変わっているのか、それはもう昔からと同じなのか、少し説明していただいて、質問を終わります。
  320. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 御承知のように、ロッキード事件捜査は昨年の二月二十四日に強制捜査が始まった。そのときに東京国税局も同時に強制調査を並行して行われたということで、共同してこの事案の真相の解明に、それぞれの違う立場で行ったわけでございます。で、国税当局と検察当局とは、性質、職責がおのずから違いますけれども、法令の許す範囲内で必要な協力を行って、そして事件の適正な、広い意味での適正な処理をしたいと、そういう点は検察当局としても今後とも同じような考えでいくものと思います。
  321. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十五分散会      —————・—————