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市川分科員 大事な問題なので、本当はもうちょっと明快に詰めたいところなんですが、時間がございません。
次に、
基地の問題でございますが、端的に言って、神奈川県は非常な
基地県で、
基地が多いわけでございます。私の
地元である
横須賀なんかでもずっと
基地の問題を抱えてきたわけですね。たとえば、
横須賀の場合で言いますと、旧軍港市ということで、おぞましい刻印を市民は押されて
戦前生きてきた。戦後平和憲法ができて、
日本が平和に生きていくのだという平和宣言をした。その平和宣言に基づいて、議員立法並びに
住民投票にかけて旧軍港市転換法という
法律が成立した。これからは
横須賀は、そういう旧軍港というおぞましい印象を全部払拭して、平和産業港湾都市として生まれかわって生きていくのだ、こういう強い
住民の意思によってこの
法律が出てきたわけでございます。
しかし、その後の経過を見ますと、現実には旧軍港はそのまま米軍に
接収されて、今日に至るまで軍転法の精神というものは事実上は踏みにじられてきたと言っても過言ではない
状況にあるわけですね。そこのところへもってきて、せっかく米軍
財産が
返還されてくる、そういう
意味では、
住民の三十年間の悲願、
横須賀を平和な町にしていくんだという戦後の時点で決意した、その決意を実現する最も絶好のチャンスがやってきたわけですよね。米軍の
財産が返ってきた。ところが、また国はこれに厳しい条件を課して、それを助けないということであってはならないのではないかというふうに私たちは思うわけです。その点十分に考慮していただきたいと思うのです。
そういう背景を持ちながら、現在神奈川県の
基地に対して
基地交付金あるいは調整交付金というものがございますが、県の調査によりますと、発足した三十二年から五十一年までで総額約五百九十九億円になっております。これが、対象資産を固定資産相当額で計算しますと八百二十九億円、差額が二百二十八億円でございます。こういう交付金の不足というか、問題が起きてくるわけでございます。同時に、これを物価指数によって五十年度ベースで換算してみますと、実に五百億という差額が生まれてくるわけでございます。こうした実態があるということ。
さらに、
横須賀市の場合で考えてみますと、五十一年度分に限っても、
基地交付金が六億三千万、調整交付金が九千五百万、合計七億二千五百万。しかし、これを固定資産相当額で計算しますと、十億六千万という金額になるわけでございます。その差額は約三億三千万。さらに、交付金の対象から外れている防衛施設に対する固定資産相当分を推定で計算してみますと、四億九千万、トータルしますと
横須賀市では本来十五億円の交付金をもらってもいいのではないかという立論がここから生まれてくるわけでございますが、現実には半分以下の七億余円ということになっているわけですね。
そうすると、
基地がある、市民は有形無形の被害を受けている。軍転法をつくって平和な都市にしようと思ったら、
日本の
政府がアメリカに駐留を認めて、ずっとそのまま独立した後も
日米安保条約によって
基地として提供されたまま。したがって、平和な町に生まれ変わるチャンスはずっと逸したまま来ている。しかも、交付金の実態は固定資産相当額もいただいてないという
状況です。市はまた別の計算をしているわけですが、もしこの市域の約六%に上る
米軍基地と防衛庁の施設
地域について、中
規模程度の企業誘致というか立地をした場合、
横須賀市に法人税等を含めてどの程度の
収入があるかという計算をしますと、約三十六億円でございます。はるかに上回る。もちろんあの
地域がそのまま企業立地に向いているかどうかは別の
議論といたしまして、こういうことを考えますと、この交付金というものをもっと増額をするという方向を考えなくては、
基地のある
住民に対する
基地対策が十分であるということにはならないのじゃないかと思うのですが、その点について御見解を賜りたいと思うわけでございます。