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1977-03-15 第80回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十五日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 伊東 正義君       足立 篤郎君    片岡 清一君       井上 普方君    栗林 三郎君       柴田 健治君    田畑政一郎君       土井たか子君    池田 克也君       西中  清君    二見 伸明君    兼務 愛野興一郎君 兼務 安島 友義君    兼務 加藤 万吉君 兼務 水田  稔君    兼務 山田 芳治君 兼務 小川新一郎君    兼務 武田 一夫君 兼務 玉置 一徳君    兼務 寺前  巖君 兼務 藤原ひろ子君    兼務 大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         科学技術庁原子         力安全局次長  佐藤 兼二君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    栗原 昭平君         通商産業大臣官         房審議官    織田 季明君         通商産業大臣官         房会計課長   小長 啓一君         通商産業省立地         公害局長    斎藤  顕君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         工業技術院長  窪田 雅男君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       武田  康君         資源エネルギー         庁石炭部長   島田 春樹君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         中小企業庁長官 岸田 文武君  分科員外出席者         科学技術庁原子         力局動力炉開発         課長      内田 勇夫君         大蔵省主計局主         計官      吉居 時哉君         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         大蔵省銀行局総         務課長     宮本 保孝君         大蔵省銀行局特         別金融課長   藤田 恒郎君         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      久保庭信一君         農林省農蚕園芸         局繭糸課長   池田  澄君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      内田 禎夫君         労働省労働基準         局賃金福祉部賃         金課長     小田切博文君         労働省職業安定         局雇用政策課長 小粥 義朗君         自治省行政局行         政課長     鹿児島重治君         消防庁危険物規         制課長     矢筈野義郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   井上 普方君     土井たかこ君   石野 久男君     柴田 健治君   二見 伸明君     池田 克也君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     栗林 三郎君   土井たかこ君     井上 普方君   池田 克也君     西中  清君 同日  辞任         補欠選任   栗林 三郎君     田畑政一郎君   西中  清君     二見 伸明君 同日  辞任         補欠選任   田畑政一郎君     石野 久男君 同日  第二分科員愛野興一郎君、安島友義君、山田芳  治君、寺前巖君、第三分科員大成正雄君、第五  分科員加藤万吉君、武田一夫君、玉置一徳君、  藤原ひろ子君、第六分科員水田稔君及び小川新  一郎君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計予算通商産業省所管  昭和五十二年度特別会計予算通商産業省所管      ――――◇―――――
  2. 伊東正義

    伊東主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算通商産業省所管について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  3. 愛野興一郎

    愛野分科員 まず、大臣がお見えでありますから、大臣にお伺いをいたしたいと思います。     〔主査退席二見主査代理着席〕  資源エネルギー長期的展望に立った変化時代に当たりまして、再びまた石炭が見直されてきておるというのはもう今日の常識になっておるところであります。そこで、エネルギー事情変化対応して、石油が中心になる以前に石炭が非常なエネルギー中心であったのはもちろんでありますけれども、その際いろいろと鉱害を受けたところがまだまだ取り残されておる。したがって、これから年間二千万トン、二千五百万トン、三千万トンと将来またずっと石炭を採掘していく、あるいは液化ガスにかえていくというような場合におきまして、過去における石炭鉱害の問題を、できるだけ地域住民が安心するように復旧をしていただかないと、これに対する地方対応なりあるいはまた地域住民不安感というものがなくならぬ、こういうふうに思うわけであります。どうも最近は掘る方が前向きであって、鉱害復旧の方は後ろ向きのような論争が行われておる。極端に言いますと、鉱害復旧予算等は、これはもう前向きじゃないから余り考えなくてよろしいというような、過去において石炭産業関係のなかったような地域の人はそういう暴論まで吐くような時代になってきておりはせぬかということを心配をいたすわけであります。  そこで、本日は政府委員に元佐賀経済部長をしておられた方もおられるわけでありまして、佐賀県は本当にもう二十数年前までは石炭と米だけの県であったわけでありますから、非常な関心を持っておるわけであります。そこで、五十二年度におきまして鉱害復旧予算措置もしてもらったわけでありますが、抜本的に五十二年度鉱害復旧施策というものはどういうふうになされようとしておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 愛野先生お答えいたします。  先生お話のごとくに、かつて戦時中、日本といたしましては非常出炭あるいはまた、ことに石炭につきましては大変掘れ掘れということで国を挙げて動員せられたのでございまして、先生佐賀県を初め福岡、長崎県等々皆同じであります。私の山口県も御多分に漏れず薄層に至るまで掘ったのであります。また、戦後におきまする日本の復興もまず石炭から立ち上がって今日の日本の再建がなされたということを考えますると、エネルギー源としての石炭歴史的背景、さらにまた、いまOPECの問題以来こういうふうになってまいりました日本エネルギーを再び支える国産の根幹をなしますものはやはり石炭である、かような意味合いから、その掘った跡地の鉱害というものもまた惨たんたるものがあるのでございまして、九州山口地方におきまするその復旧の問題につきましては、いまなお非常に深刻な問題を抱えておる次第でございます。  しかし、この鉱害対策に対しまして、政府昭和四十七年十二月に鉱害復旧長期計画を策定いたしまして、昭和四十七年度の当初における残存鉱害量を一応千七百億円、これは四十七年の価格表示でありますが、と推定いたしまして、臨時石炭鉱害復旧法有効期限昭和五十七年七月三十一日までの十ヵ年間に残存鉱害の完全な処理をいたそう、この計画のもとに今日遂行されてまいっておるものであります。また、政府といたしましてもこの方針に沿いまして、法の期限内に長期計画の達成を図るべく今後ともに最大限努力を払って、ただいま鋭意その処理に当たっておる次第でございます。
  5. 愛野興一郎

    愛野分科員 いま大臣から御懇篤な御説明をいただいたわけでありますが、四十七年度残存鉱害推定が一千七百億円である、そして十ヵ年間で完了するように鋭意努力をしていただいているということであります。  そういたしますと、本年度は大体どのくらいの予算をつけていただいておりますか。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 鉱害復旧事業遂行いたしまするための所要経費でございまするが、五十二年度は三百七十六億三百万円、対前年度比一六・八%増ということに相なっております。
  7. 愛野興一郎

    愛野分科員 政府推定をされておる残存鉱害量と、さらには市町村鉱害被害をこうむっておる残存鉱害量とは、著しく乖離があるわけであります。乖離がないといたしましても、残存鉱害復旧は本当に計画どおり復旧完了をする自信がおありなのか、またその自信がおありとすれば、その裏づけとなるものは何なのか、そこら辺をお伺いいたします。
  8. 田中龍夫

    田中国務大臣 本年度予算遂行に対しましても、また残存の年次に対しまする今後の対策並びにその資金の問題に対しましても、政府といたしましては全力を挙げてこれが遂行をいたしまするが、なお先生からの御指摘の地元負担並びに詳細な部面につきましては、担当の政府委員からお答えをさせていただきます。
  9. 島田春樹

    島田政府委員 残存鉱害量でございますが、ただいま大臣お答え申し上げましたように、四十七年度当時の計画では千七百億円というふうに一応想定し、これを十ヵ年計画処理を図るという方針で現在努力をしているところでございます。現在のところ、四十七年以降いろいろ復旧努力をいたしてまいりましたその実績、ただし、その一方復旧費上昇分というものもございますので、そういう点を加味いたしまして試算いたしますと、五十一年度残存鉱害量は約二千七百億円程度かというふうに一応考えられます。一私どもといたしましては、こうした厳しい情勢に置かれているということを十分に認識しながら、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、この法の期限内に処理を完了すべく最大限努力を払うという決意で現在やっておる最中でございます。  ちなみに本年度におきましも、いろいろの予算制約がございますけれども、先ほどから大臣お答えいたしましたように、五十二年度には三百七十六億、前年度対比一六・八%という予算を計上いたしておる次第でございます。また、これを鉱害復旧事業資金補助金という点で見ますと、その重要性にかんがみまして三百十億、前年度比で二一・三%という予算を一応計上するというようなことで、鋭意努力をいたしておる次第でございます。
  10. 愛野興一郎

    愛野分科員 金目で御説明をいただきますと、途中の物価の変動で、ふえたのか減ったのかちょっとわからぬわけでありますから、これを金目じゃなくて面積で言いますとどういうぐあいになりますか。
  11. 島田春樹

    島田政府委員 やや詳しく申し上げますと、工事種別で見ました場合に、金目でまず申し上げますと、農地につきましては百三十九億ということで、三三・六%でございます。それから、公共施設では三十七億七千四百万、二一・六%、家屋につきましては百三十三億二千四百万円、一・六%です。本年度におきましては、民生直結家屋復旧促進にも十分配慮をいたさなければなりませんが、従来ともすれば復旧のおくれの目立っております農地復旧予算に特に重点を置きまして、工種別復旧進捗度の是正を図るというかっこう処理をいたしております。ただ、物価関係で、工事ごと物量ベースでどのくらいの伸びになるか、ちょっといま手元に資料がございませんので……。
  12. 愛野興一郎

    愛野分科員 残存鉱害量は、たとえば鉱害認定地区がまたずっと認定がなされておるわけでありますが、順調に減っておるかどうかというのは、後でひとつ資料をお願いしたいと思います。  もう一つは、鉱害復旧が旧炭鉱の有資力で済んだ分、あるいは昔金銭賠償で済んだ分、こういったところが、またその後非常な再鉱害になっておる。圧密沈下によって標高がまたどかんと落ち込んでみたり、いろいろ弊害が出ておるわけであります。そこで、これは一遍復旧をしたから再復旧をしない、あるいはまた金銭賠償で済んでおるから復旧をしないといいましても、そこに住んでおる現地住民は、実際その被害地区に住んでおるわけでありますから、水田は陥没し、自給率を高めなければならぬ時代において、これはもう米もプラスアルファも何にもできない。あるいは家は傾き、非常な湿地帯になるわけでありますから、健康にきわめて悪い、しかし、何ら救う手だて、拾う手だてがない、こういうのでは困るわけでありますが、こういうものについての再復旧を制度化する、ないしは何か方法というものはないものかどうか、その辺をひとつお伺いをしておきたいと思います。
  13. 島田春樹

    島田政府委員 いまお尋ねの問題でございますけれども、一たん復旧を完了いたしました物件につきましては、法律上、一応鉱業法における損害賠償義務が消滅しているということになりますので、原則として再復旧は行わないことにいたしておる次第でございます。ただ、いまお話のありましたようにいろいろ問題がありますが、特に圧密沈下あるいは地下水位上昇等やむを得ない事情によって、すでに行われた工事の持っていた効用効果が不完全になっている農地というような場合につきましては、私どもといたしましては、追加工事というかっこうで一部再復旧を行っておるという次第でございます。
  14. 愛野興一郎

    愛野分科員 ただいまの御答弁は、たとえば農地等のようなものは、一遍鉱害復旧が済んだ後でも、そういった現象が見られた場合は追加工事ということでやっていただくと、こういうことでよろしゅうございますか。
  15. 島田春樹

    島田政府委員 いま申し上げましたように、全部というわけではございません。いろいろ要件がございますが、一定要件に該当する場合につきましては一部再復旧を行うということになっておるわけでございます。
  16. 愛野興一郎

    愛野分科員 そうしますと、たとえばA、B、C地区とある、そうしてA地区B地区を復申して、C地区をいま復旧中であるとこうしますと、  一番最初に復申したA地区がまた一メートルばかり沈下した、こういう場合には追加工事復旧する、こういうことでございますか。
  17. 島田春樹

    島田政府委員 鉱害基本計画をつくる際にそういう点については十分考慮して計画をつくるわけでございますが、事情によりまして関連してやらなければならぬ場合というのは、関連工事というかっこうで取り上げる場合がございます。ただ、これはいま申し上げました追加工事とは別のかっこうになっております。
  18. 愛野興一郎

    愛野分科員 そういたしますと、追加工事と、それから先ほど言われた追加工事じゃない意味の関連工事と、二つ方法があると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  19. 島田春樹

    島田政府委員 それぞれ一定要件というのが定めてありますが、その要件に該当する場合にはそういう二つの場合があり得るということでございます。
  20. 愛野興一郎

    愛野分科員 そうしますと、この要件を備えておるかどうかということを具体的に調査をしていただくという手だては、これは容易にできるわけでございますね。
  21. 島田春樹

    島田政府委員 現地実情ケース・バイ・ケースで調べまして処理をいたしておる次第でございます。
  22. 愛野興一郎

    愛野分科員 この問題は、佐賀県は、言うなれば、古く、もう一番最初復旧をしたところとかあるいは金銭賠償をしたところとかは、もうほとんどそういう現象が言われておるわけであります、ほとんどというのはちょっとオーバーかもわかりませんが。しかし、現実に、先輩の井手以誠先生のように自分で現地を見てみますと、本当にやはり再復申しなければならぬようなことにもなっておるわけでございますね。そういうところが、いろいろな制約でできないというのが実情であります。また、できないのみならず、後から後から新しいのが出てくるわけであります。そこで、ただいまは何ら策なきにしもあらずという、こういうふうな御答弁であったというふうに理解をいたしますので、ひとつ今後よろしくお願いを申し上げておきたいと思うわけであります。  それからもう一つは、鉱害の未認定地区認定に申し込んで、そして当局科学認定調査をやっていただく、これがもう少し早く結論が出るようにできないものか。これは、もし鉱害認定されない場合は、何らかの方法水田とか畑地とか家屋とかは復旧しなければならぬわけであります。たとえば、鉱害による地盤沈下じゃなしに地下水のくみ上げの地盤沈下であるとすれば農林の方の地盤沈下対策の方でやらなければいかぬわけでありまして、いずれにしも余りにも時間が長期にわたって、そうして、せっかく期待しておる結論がどうかといいますと、これは佐賀県の場合と思ってもらっちゃ困りますが、結論はほんのちょっぴりしか鉱害じゃなくて、あとは鉱害以外の地盤沈下である、こういうふうにやられたのでは、本当にそこに住む住民にとっては非常に困るわけであります。同時にまた、その結論が出た後、大臣認定証というものが出るまでの時間が非常にかかる、こういうわけでありますから、もう少し、何とかひとつ鉱害科学認定調査を早急にできないかということをお伺いをしたいと思います。
  23. 島田春樹

    島田政府委員 地元実情からいたしまして、また、実際にそういう状況に置かれる方々の立場からすれば、もちろん一日も早くそういうものについての処理をしなければならない、これは当然でございます。ただ、先生承知のように、実際に鉱害との因果関係につきましては、なかなか複雑な状況にございますので、因果関係等を調べるにつきましても、学識経験者の力もかりなきゃいけませんし、また、ボーリング等調査もしなければならないというようなことで、いろいろ検討いたし、そういう結果を出すためにどうしてもやはり時間がかからざるを得ないという実情はあるわけでございます。私どもといたしましては、やはり十分調べまして原因究明しませんと適切な対策も打てないということでございますので、そういった事情はございますが、なるべく早く結論を出すように、一層努力いたしたいと思いますし、そういうことで今後も対処していきたいというふうに考えております。
  24. 愛野興一郎

    愛野分科員 時間が参りましたので、最後に北方町の旧明治西杵炭鉱赤水鉱害についてお伺いをしたいと思いますが、これはもうすでに御当局現地十分ごらんになって対策を考えていただいておる、こういうふうに思うわけであります。ただ、被害地区がいわゆる稲作の播種時期を前にして、一体どうなるのかということを非常に心配をいたしておるわけであります。  そこで、昨年の国会でも多賀谷先生かどなたかがたしか石特質問をされたと思うわけでありますが、この明治西杵赤水対策についてはどういうふうに処理をしていこうとしておられるのか、この辺をお伺いをしておきたいと思います。
  25. 島田春樹

    島田政府委員 いまお尋ねのありました件は、新明治鉱業西杵炭鉱坑内水と思われる鉄粉等を含みました水が農業用水路に流入しておって、稲の発育を阻害するおそれがある、また、一部の田面に赤水が湧水し、湿田化現象を起こしているというような問題でございますが、この赤水石炭採掘との因果関係究明、それからその対応策検討のために、現在、現地におきまして九州大学の先生方等に依頼いたしまして、ボーリング調査を行い、また水質分析をする等、鋭意原因究明を急いでおるわけでございまして、早急に調査結果をまとめるように努力をいたしておる最中でございます。  今後の対応策をどうするのかという点につきましては、本件の被害調査の結果鉱害であることが明らかになりました場合には、いまお話のありましたように稲作の時期でもありますので、稲作に支障を来さないよう、早急に対応策を講ずる必要があるというふうに私どもも考えておりまして、その方法等につきまして、現在関係方面とも検討を急いでおるというのが現状でございます。
  26. 愛野興一郎

    愛野分科員 最後に、この石炭鉱害復旧の問題というものは、被害地区住民皆さん方にとってみれば、これは本当にまさに公害そのものでありまして、みずからが石炭を掘っていただきたいという要求をしたわけでもありませんし、また、先祖伝来の美田を、無計画にむちゃくちゃに石炭を掘られたために、水田が陥没し、家屋が傾くというような事態になったわけでありますから、たとえば通産行政の中において、大蔵から金がとりにくいから余り物を言えないというようなことでは、そういうことはないと思いますが、それでは現地で泣く住民にとっては全く困ったことになるわけであります。私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、一昨年は前の河本通産大臣が二回も三回も佐賀県においでになった。政務次官が二人も二回も三回もお見えになった。そしてその随行として本省並びに出先の各局もたくさんお見えになったわけであります。そこで、これはもう本当に画期的に鉱害復旧をなされるのであろうと期待をいたしておったら、対前年度比ではどちらかというと減ったのじゃなかろうかと思うくらい、ちょっぴりしかつかなかったというようなことで、全くそこから地域住民の不安並びに人間公害まで発生をしておる、こういうのが実際は実情であるわけであります。  そこで、今回は九州山口石炭事情を十分御承知をいただいておる新通産大臣が出現をされたわけでありますから、私ども九州地区としては心からなる期待をいたしておるわけであります。  今後の石炭政策基礎にあるものは、やはりその前の石炭時代における鉱害復旧をまず完全にやっていただくということが、これが新しい石炭政策の見直しの基礎である、こういうような観点から、ひとつ今後とも胸を張って、鉱害復旧に関する限りは、御当局におかれても大蔵省と折衝をしていただきたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  27. 田中龍夫

    田中国務大臣 仰せのとおり、鉱害の問題は何かすでに済んでしまったように思い違いをしておられる方が非常に多いのでありますが、御承知のとおりに、鉱害復旧の当初、一応終わったと認められましても、御案内のとおり、それから後、第二次、第三次というような事態が出てくる場合もありますので、なかなか後の復旧はむずかしい。これにつきましては、現地産炭地方々におかれましても、あるいは産炭地振興によりまする土地造成で、工場の誘致でありますとか、あるいは炭住の問題の後始末でありますとか、たくさん市町村負担も重なっております。こういう中におきましても、私どもひとつ鋭意この問題につきましては全力を挙げて努力をしなければならぬ。われわれ産炭地の者は思いを新たにして考えておる次第でございまして、ちょうど三月二十日は佐賀の方に参りますので、またひとつ現地愛野先生にお目にかかりまして、よく事情も承りたいと存じます。
  28. 二見伸明

    二見主査代理 これにて愛野君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田健治君。
  29. 柴田健治

    柴田(健)分科員 三十分間でお尋ねを申し上げるのですから、ひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。私は日本鉱業政策の問題に触れていきたいのですが、時間がございませんから、またいずれ機会を改めて日本鉱業政策のあり方をお尋ねしてみたい。  きょうは、御承知のように岡山県の久米郡柵原町の東洋一の硫化鉱鉱山として六十年の歴史を持ってきた柵原鉱山、要するに経営者同和鉱業株式会社なんですが、この柵原鉱山が過去何回となく経営合理化をやってきて、四十七年の十月五日に大合理化をして、そのときに約九百名の人員整理をやり、現在残っているのが三百六十名ですが、その三百六十名をまた昨年の五十一年十月五日に、要するに四年後にまた合理化の通告をしてきた。それで四十七年の十月五日の確認書に基づいて会社はそれを忠実に履行したかどうか。われわれはその確認書の中身を検討いたしてみると、会社のこのやり方というものは誠意のない、その確認書はただ一片の申し入れという程度の約束だというような軽い気持ちで処理をしておるようにわれわれには感ぜられるわけでありまして、余りにも会社の無責任さというか、誠意のなさにはびっくりしておるわけです。それだけに四十七年十月五日の確認書、これは町も県も十分知っておったわけですが、企業の方はその約束を十分守ってくれる、こう高く評価し信頼しておったのが、昨年十月五日の今度の合理化案ではまことにびっくりするような姿勢なんであります。これでは大変だというので、地域住民なりまた町の議会また執行部、県の方もいま現在大騒ぎをしておるのが実情であります。これに基づいて順次お尋ねを申し上げたい、こう思うのであります。  この柵原鉱山六十年の歴史の中で、戦前戦後を通じて御承知のように肥料の中で硫安、この硫安の生産量というのは日本一を誇って相当の食糧増産に対する役割りを果たしてきたわけですが、それだけにこの地域住民なり町の当局も常に行政の基本は柵原鉱山というものを基軸にして行政のあり方、運営をやってきた。たとえば、水道施設一つつくるにしても学校施設一つつくるにしても、そしてまた道路整備をするにしても、あの柵原町には吉井川の本流が流れているのですが、他町村では見られぬくらい県と町はあの小さい狭いところに三つも四つも橋をかけて、あの本流に橋を一つかけるにしても相当の協力をしている。それはやはり柵原鉱山というものを基軸にして行政をやってきたその歴史。それから病院一つ経営するにしてもそうだし、すべてが同和鉱業という企業を対象に物を考えてきた。ところが今度それが大きく根底から崩れていこうとするのでありますから、人口が思い切って減ってくる。それだけに学校、水道、下水、道路――道路でもいろんな道路がある、それは林道であろうと農道であろうと名前は変わっておってもやはりそこに鉱山というものを結びつけて考える。それだけに借金が相当残っておる。要するに負債が残っておる。借金は残るわ、今度は合理化でもう廃山に等しいような、百六十名の中で九十名しか残さない、あとは全部だめだ、こうなるのでありますが、九十名ではいよいよ採掘はできない。要するに保安要員だけ残して留守居役だけである。こういう実態でありますから、町に対する行政、財政全般的に重大なる影響を与える、こういう状態であります。この問題については社会党の国会議員団、板川さんを団長とする調査団がきょう、あす現地を見て、そしてあすは岡山県の県庁で知事以下各関係課長が出て、県でできることはここまでですよ、これ以上は国の方でやってもらいたいという要望が出てくると思うのですが、町と県と国、この三者、そして企業、この四者一体となって解決しないとこれはもう解決しないという見通しをわれわれは持ってお尋ねを申し上げるのでありますから、本件について通産省がどれだけ現状を把握しておられるのか、まずお尋ねをしたい、こう思うのであります。
  30. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、同和鉱業の柵原鉱山柵原町とまさに地域社会として一体的な歴史を持ってきておるわけでございまして、かつて一万五千人であった柵原町の住民は、現在八千人程度に減っておるとは聞いておりますが、その中でも柵原鉱山関係者だけでも千二百人おるということでございます。また柵原町の財政の二五%までが同和鉱業の柵原鉱山から徴収されておる、町の財政に大きく影響を与えておるわけでございまして、そのほか、これまた御指摘のように病院あるいは鉄道等経営いたしまして、まさに地域と一体化した鉱山であったわけでございますが、その後オイルショック後の長い不況期に入りまして硫酸の需要が減ってきた。それに加えまして鉱害対策としての排煙脱硫が進むに従いまして、また一方で製錬硫黄の増産というようなこともありまして、いわゆる過剰硫酸問題というものを引き起こした結果、今回柵原鉱山といたしましては縮小計画を提示せざるを得ない段階に来ておるということでございます。まさに地域全体の問題でもあるわけでございますので、私たちといたしましてはそういった点に着目して対策を立ててまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  31. 柴田健治

    柴田(健)分科員 私たちは四十七年に確認書を取り交わした時分に、企業は見通しというものを持っているだろう、こう判断した。あれだけの企業でありますから、企画室があって、企画部があって、国際的な市場の流れ、また消費の見通しそういうもの、国内の鉱業政策からくるいろんな資源の開発、探鉱、採鉱、いろいろの見通しというものは立てておられたと思う。それを四年間何もせずにおいて、いま不意打ちを食わせるような、抜き打ち的やり方。考えてみると、資本の論理だけで、損か得かだけで判断をして、地域住民のことは一切考えない、地方公共団体のことは一切考えないという一方交通のやり方について、われわれは強い不満を持っておるわけです。私はいまいろいろのことを言う時間がございませんが、当面、去年の十月五日に通告して十一月三十日までに回答しろ、こういうまことに強圧的な姿勢を出す、それで町なり県が中に入ってそれでは困るということで、昨年の十二月に一時通告を撤回をして、それでいま撤回の状態、白紙になっておるわけですが、聞くところによると、この三月三十一日の最後通告で、一方交通で強行実施をやろう、こういう姿勢が見受けられるので、それをさしてはならない、大混乱が起きる。片上鉄道という鉄道で、岡山県の県政振興計画の中で東備地域という名称を使っておるのですが、この東備地域における交通体系が根本的に崩れてしまう。月に十万人運んでいるのですが、この十万人の交通料金と硫化鉱の鉱石の運賃と半々ぐらいの収益を上げているのですが、問題は、鉱石全部だめになったらこの片上鉄道というものはもう廃止するよりしようがない、運営が困難である、これは火を見るよりも明らかでありますから、これは当然廃止せざるを得ない、こういうことになる。これらを含めて大混乱が起きますので、できる限り円満解決するまでは強行実施させないように、通産省は適切なる指導をとってもらいたい。とれるかどうか、ひとつ明快な御答弁を願いたい。これは大臣からひとつお願いしたい。
  32. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまるるお話がございましたごとくに、柵原地区そのものが同和鉱山と一体でありましたところが、不況によりまする縮小の問題から大変な苦境に立っておるということはよくわかる次第でございます。この分離縮小いたしました地域社会におきまするその深刻な影響も、先生からのお話で篤と拝承いたした次第でございます。  なお、地元の県、市町村あるいは労働組合等とも十分に話し合いを行ってまいりまして、そしてこれが何とか地元の救済の、同時にまた円満裏に話が進みますように、経営者を指導してまいらなくちゃならぬ、かように存じておる次第でございます。
  33. 柴田健治

    柴田(健)分科員 それから、三月三十一日に強行実施させないように通産省は適切な指導をして、円満解決できるように最大の配慮を願いたいと思うので、その点をもう一回確認しておきたいと思う。
  34. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のように、地元の県、市町村、労働組合等と十分話し合いをするように指導したいと考えるわけでございますが、先ほどお尋ねの片上鉄道につきましては、御承知のように毎月千五百万円程度の赤字を出しておるわけでございますが、この鉄道につきましては、今回の縮小案とかかわりなく継続するという方針を、われわれとしては報告を受けておるわけでございます。
  35. 柴田健治

    柴田(健)分科員 会社の報告というのは、正直言うて、長官、当てにならない。いままで守ったことがない。だからそれだけ不信感を持っているのですよ。それから、現実に実行行為の中で具体的に信頼ができるような姿勢が出てこない限り、報告だとか文書通告だというのは信用しない、そういう経過があるから、われわれは非常に不信感を持っている。たとえば岡山製錬、岡山港の近くに第二期製錬工場をつくっている。それで県に対する約束は、柵原鉱山硫化鉱を全部あそこで処理いたします、こういう約束で、それで県はあの港湾整備事業についても、あの辺の環境整備にしても全面的に協力した。ところが、ふたをあけて今度は稼働をしてみると、よその県から硫化鉱を持ってくる、地元はもう半分しか使わない。こうしてペテンにかけてくる。ペテンにかけて県なり、町村にいろいろ行政に協力さしておいて、運営の面においたら今度はペテンにかけるからもう信用できない、こういう実例がある。長官、それは確認しておりますか。
  36. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の岡山製錬所の第二期計画、これは月間二万トンの焙焼能力を持っているわけでありますが、まさにこれは御指摘のとおり、柵原の鉱石を増量処理するという目的で計画したものとわれわれも承知いたしております。ただ、計画を策定いたしました以降、いわゆる石油危機に際会いたしまして、硫酸需要が非常に停滞したということ等もございまして、第二期炉は完成いたしたものの、現在操業を停止しておるというふうに承知いたしておるわけでございます。  会社側といたしましても、当初第一期炉の原料を柵原の鉱石に切りかえようということで、柵原対策の一環として検討したようでございますが、第一期炉はいわゆる湿式製錬法でございまして、柵原の鉱石は乾式製錬法を必要とするといったようなところから不可能という判断で、御指摘のような事態になっておるということでございます。
  37. 柴田健治

    柴田(健)分科員 万一あれが会社の一方通告で合理化を進めた場合には、われわれが予測しておる判断では地域に大混乱が起きるという、非常に悲劇的な事態を迎えるのではないかという判断をしておる。理由は、たとえば長い六十年間で掘っておって大変な空洞ができておるわけですが、干ばつ、地盤沈下というものが起きた時分には、この上に吉井川という、毎秒平時五十トンから百五十トン、少ないときでも流れている、大洪水の時分にはもう二千五百トンから三千トン流れている川ですが、吉井川の流量から言って、これは水圧でいつ地盤沈下するかわからない。そうすると大変なことになるし、そういう公害問題が出てくる。これらを予測すると、ちょっとやそっとで、はい、そうですかと言うて了解ができるようなものではない。こういう判断に立っておるわけですから、それだけに通産省も真剣に考えてもらいたい、こう思っておるわけです。この点についての考え方を聞いておきたい、こう思います。
  38. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いやしくも一方的に通告で打ち切るといったことのないように、また、先ほどお話がございましたように、調査団が現地に赴いておられるということでもございますので、そういった調査結果等をも勘案しながら、経営サイドに対して強い指導をしてまいりたいと思います。
  39. 柴田健治

    柴田(健)分科員 私は、日本の工業政策が十分とは言えないので、いまこの論戦は避けますけれども、何としても日本の食糧政策の問題、国際農業にどう協力していくかという肥料の問題、硫安の消費拡大、たとえば通産省は農林省へ呼びかけて土壌改良法をつくらして、有機質を使い、硫安を使って昔のように地力を高めるために一つの制度改正もやっていくというような、そういう国の、政府全体の中で硫安消費を考えたらどうかという考え方をわれわれは持っているわけですが、これはいずれ改めて論議するといたしましても、私は農林委員会におりますからそういう問題も論議をしてみたい、こう思っておるのですが、とにもかくにもいまの現状では見通しが暗い、こう判断せざるを得ない。そうした場合、あの会社が持っているいろいろな施設を使って他の企業を誘致するかどうか、他の企業を興すかどうか、ここに問題として提起をし、考えてみなければならぬだろう、こう思う。その場合、会社が、ただ自分の施設はそれだけ権利があるのだからと言うて固執するということになれば、これは地域住民に対しても私は申しわけないので、全部投げ出す、もう全部使ってください、町も県も国も三者一体となって、会社はできるだけ協力しますから、ほかの企業が興せられるものなら企業誘致してください、こういう姿勢があってほしいと思うのですが、あるかないか、これは会社がおらないのですから、そういう点は通産省の方で十分確認してもらいたい。これが第一点。  それから、通産省としても、御承知のように地域振興整備公団が、いま津山圏域の中で、勝間田でいま工場公園の建設をやっている。西部で津山を中心にやる。ところが津山圏域というのは一市十五ヵ町村で構成されておる。それから屎尿処理なりごみ処理なり消防なり、また農業政策なり農業の施設の中では、この大規模農道であろうと大規模林道であろうとカントリーエレベーターであろうと、そういう営農に関連する施設を含めて津山圏域構想の中で順次実現をやっておるわけですね。  それから、工場公園の方も地域振興整備公団の方もそういう考え方で、通産省の意をくんで、柵原町は一市十五ヵ町村の区域内でありますから、早急に調査をして、区域拡大をすべきではないか。たとえば会社が持っている工業用水、生活用水、たとえばその工場用地なり施設なり電力なり、いろいろなものを持っておるのですから、膨大な投資をしなくても、安易というわけにはまいりませんが、そう投資しなくても、他の企業が誘致できるんではなかろうか。それから、離れたところなら別としても、一圏域の中ですからね、ちょっと指定区域を広げる、拡大する、こういうことでひとつ通産省の方も地域振興整備公団の方へ呼びかけて協力してもらう、そのためには下からの積み上げが大切でありますから、町村長の方にも、また県の方にも呼びかけて、そういう体制づくりをさせるように指導できるのかできないのか、それに伴う調査はできるのかできないのか、この点をひとつお答えを願いたい。
  40. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御質問の前段について私がお答えいたします。  柵原対策と申しますか、地域対策といたしまして最も有力な手段は、やはり企業の誘致ということになろうかと思います。適当な企業の進出することが検討される段階におきましても、われわれは会社側に全面的にこれに協力するように指導いたしたいと思います。
  41. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 地域振興整備公団が造成するいわゆる中核的工業団地は、地域開発の核ともなるべき、おおむね百ヘクタール以上の規模を有する工業団地を、地方公共団体の要請に基づいて造成するということでございます。  現在、先生ご指摘のとおり、地域振興整備公団は岡山県の勝央で、九十六ヘクタール中核工業団地の造成中でございます。また、津山工場公園構想に基づきまして、久米町及び津山市東部地域を工業団地候補として調査中でございます。柵原町での団地造成につきましては、いまのところ私どもは話は聞いておりませんけれども先生御指摘の点は大変大切なことだと私どもとしても判断いたしますので、地元とよく相談してみたい、このように考えます。
  42. 柴田健治

    柴田(健)分科員 それぞれ組織があるわけですから、町なら町という組織、それから津山圏域の津山市長が会長として一市五郡で、そういう工場公園また工場適地の場所の選定、そういう点に全面協力しておるわけですから、そういう組織の機関に協議してもらう。     〔二見主査代理退席、主査着席〕 そして、県なら県も会う。会社も、同和鉱業という一つの企業だけで解決しようとする姿勢でなくして、たとえば日経連があるだろうし、経団連があるわけですから、その組織の中へ持ち込んで、うちの企業はこういうところで困っておるんだが、ひとつ協力してもらえぬかというくらい、企業の方もそういう経団連という組織の中に持ち込んで、ほかの企業に協力を求める、それでお互いに出資し合ってでも、合弁会社をつくってでも新しい企業を興していくという、そういう指導を通産省はしてもらいたい、こう思うのですね。  それから、ただ同和鉱業だけを責めるのではなくして、同和鉱業に力を入れさして、経団連という大きな日本の経済を動かすような組織があるわけですから、その組織の中に持ち込んで一つの企業を興させるような、そういうものを通産大臣はやってもらう、そういう役割りをしてもらうのが大臣の任務ではなかろうか、こう思うのですが、ひとつその点、大臣の御見解を聞きたいのです。
  43. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまも非常に重要な問題につきましての御示唆があったわけでございます。われわれ、こういうふうな地元の問題に対しましても、総合的に包括的な施策のもとに、あるいは工場の誘致に対して積極的に御協力をするとか、あるいはまた、現地市町村、自治体に対しまするいろいろな負担の軽減を図りますとか助成をいたしますとか、そういうふうな総合的な姿においてこれらの問題に対処させていただきたい。こういうふうな問題は、特に高度成長下におきましてはなかったものも、これからの低成長の時代におきまする構造的な問題といたしまして当然これからも出てまいる問題でございます。これらにつきまして、ひとつ積極的に努力させていただきます。
  44. 柴田健治

    柴田(健)分科員 もう時間があと五分足らずですから締めくくりをしておきたいと思うのですが、われわれ社会党も、板川議員が団長で七、八人、きょう、あす現地に行って、町村の意向、住民の意向、そうしてまた県の意向を十分聞いてまいります。社会党も組織を挙げて協力をしていきたい、こう思っておりますから、ひとつ通産省の方も、ただ通産省のエネルギー庁であるとか立地公害局であるとかという小範囲の行政部門でなしに、大臣がみずから本問題を政治的な判断、行政的な判断、また大衆的な判断、この三位一体となってまとめていくような力添えをひとつ願いたい。これをお願いしておきたいのです。  それから、この問題については早急に手を打ってもらわなければなりませんので、通産省としては、まず当面県の方にどういうことをやっておるのか、県の方はいままで報告を受けておられると思いますけれども、ひとつ直ちに県なり町へ通産省独自の調査員を派遣してもらって早急に意見をまとめてもらう、意思統一をしてもらう、それにこたえるためにわれわれは協力は惜しまない、そういう気持ちを持っておりますから、早急に調査行動を起こしてもらいたいと思うのですよ。その起こす日程がわかればちょっと聞かしてもらいたい。それをもって質問を終わりたい。二つの点を……。
  45. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまのお話によりましても、諸先生現地においでになって、現地の実態をよく把握せられ、また、再建方策等についてもいろいろと地元と御相談に相なると思いますが、わが方におきましても、御案内のとおりに、県あるいは自治体との間におきましては、通産局長もきっと御案内をいたしていろいろ御協力を申し上げておると存じますが、なお、御指示によりまするいろいろな措置をこれから鋭意とらしていただきます。
  46. 柴田健治

    柴田(健)分科員 以上で終わります。
  47. 伊東正義

    伊東主査 これにて柴田君の質疑は終了いたしました。  次に、栗林三郎君。
  48. 栗林三郎

    栗林分科員 二つの点をお尋ねしてみたいと思います。一つは小規模経営改善資金融資制度に関する問題、それからもう一つは、中小企業者のための信用補完制度、その中の一つである信用保証協会の運営強化に関する問題、この二つについてお尋ねしてみたいと思います。  中小企業の中でも特に零細な小規模企業を対象として経営の改善を図るため、無担保、無保証人による融資を行わんとする制度でありまして、この制度は、たしか昭和四十八年から施行されておる制度であると承っております。したがって、この制度は、無担保でもありますし、保証人がなくてもよろしいという制度でありますから、多くの零細企業者からは大いに歓迎されておられる制度であろうと思います。私どもも大賛成でございます。今回この改善資金の融資総額は前年度の三千五百億に比しますと約三四%ほどの大幅な増量を示しております。四千七百億計上されておるわけであります。かつ対象企業も従来よりはやや拡大されておられますし、商業、サービス業の場合はいままで常時雇用二人以下が五人以下に拡大されました。それから製造業の場合は、これもいままでは五人以下であったものが二十人以下と拡大されたのであります。先ほども申し上げましたように、この制度は零細な企業者にとっては大変歓迎される制度でもありますから、かなり資金の需要者は多いだろうと思うのであります。圧倒的に希望者は多かろうと想像されますが、現時点におけるこの融資の消化実績はどうなっておりますか。ひとつ簡潔にお答え願いたいと思います。
  49. 岸田文武

    ○岸田政府委員 今年度の小規模企業経営改善資金の枠は、いまお話しございましたように、三千五百億円でございます。これの消化状況につきましては逐次私どももフォローをいたしておりますが、今年はいろいろな不況の影響を受けまして、企業の設備投資の意欲が必ずしも活発でない等の事由によりまして、若干今年度は消化できない部分が残るのではないかと予想いたしております。
  50. 栗林三郎

    栗林分科員 余り細かい数字はよろしゅうございますけれども、もうすでに今年度は一期、二期、三期は割り当て済みだと思います。四期は割り当て高、まだ実績が出ておらぬと思いますが、第三期までの割り当てとそれの消化の状況はそこでおわかりであればお知らせ願いとう存じます。
  51. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ちょっとお示しのような形でまとめました資料ではございませんが、第四・四半期も含めまして私ども一が今年度の消化状況を予測いたしておりますが、それによりますと、三千五百の枠に対しまして一割以上の未消化部分が出てくるのではないかと予想いたしております。
  52. 栗林三郎

    栗林分科員 いまの答弁ですと、やや不明瞭だと思いますが、突然お尋ねするわけですからそういう細かい数字まではどうかと思います。けれども、すでに第三-四半期までは割り当てをされまして、それの実績は上がっておるはずでございます。私ども承知しております。それによりますと、第三期までの実績消化は二千二百四十四億と私は承っておるわけであります。そうしますと、三千五百億の資金量であります、予定量でありますから、あと千三百億が消化されますと三千五百億が全部消化された、全部融資された、こういうことになるわけでございます。したがいまして、第三期までの消化は二千二百四十四億でありますから、残り約千三百億、第四・四半期中に、年度末までに全部融資ができるでしょうか。消化ができる見込みでしょうか。もう少しはっきり御答弁願えれば幸いです。
  53. 岸田文武

    ○岸田政府委員 資料を見ますと、第三・四半期までの消化実績は、先生おっしゃいましたとおりでございます。第四・四半期につきましては、私ども目標といたしまして、千二百五十六億の枠を予定いたしておりますが、いままでの消化の状況また申し込みの状況等を勘案いたしますと、第四・四半期についてばかなりの未消化部分が生ずるのではないかと予想いたしております。
  54. 栗林三郎

    栗林分科員 いまかなりの未消化部分が出ることが予想されるというお答えですけれども、その理由の一つに、不況あるいは設備投資が鈍っている、こういうような理由が述べられておりますけれども、これはあなたのおっしゃることは私当たっていると思う。そのとおりだと思います。しかし、特に中小企業、零細業者、私は地方の田舎町に住んでおる者でありますけれども、そういう零細な小売商人、零細な業者は仕入れ資金に困っておる。わずか百万、百五十万の決済資金に困っておる。金繰りに非常に困っておるわけでございます。ですから、こういう零細企業の場合は資金需要がないなんてことは絶対あり得ないわけであります。あなた方は、中央のりっぱな建物の机の上から見ておるからわからないかもわかりません。ばかの一つ覚えのように不況だ、設備投資が鈍っておるということで、私はこれは見逃せない問題だと思うのですよ。むしろ不況になれば不況になるほどそういう小売商人とか零細な業者は資金繰りに困るのです。私も小さい金融機関に長い間関係してきた者でありますが、年末になりますと、五十万、七十万の資金繰りのために多くの皆さんから相談を受けておる。そういうことを私は長い間経験をしてまいった者であります。それでありますから、むしろ今日のような不況、不景気の場合は、こういう零細業者も金繰りは好況時代よりも苦しいのです。ですから、資金需要がないなんてというようなことは、これは私は理由にならないと思う。ですから、こういうような状態で、せっかく三四%も資金量が増大した、三千五百億から四千七百億に増大はしたが、これも今年度と同じような二の舞を踏むような状態では何にもならないと思う。今年度はこの四千七百億を完全に利用してもらう、融資をする、消化をする自信がございますか。
  55. 岸田文武

    ○岸田政府委員 今年度三千五百億円の枠を用意いたしました。これはその前の年が二千四百億でございますから、思い切って増額いたしたわけでございます。私どもは、零細企業のいま苦しい経営を何とか元気づけて経営を安定させていきたい、こういう気持ちから、資金のバックアップという面では万全を期したいという気持ちで、前年の二千四百億から三千五百億まで大幅な増額をいたした次第でございます。それを何とかうまく使っていきたいという気持ちでは先生と私も変わることはないと思います。ただ、先ほど申しましたように、若干の使い余りができるという点は、私どもはやはり不況といいますか、景気の中だるみの影響がかなり大きいのではないかと思っておるところでございます。その中でも、一般の資金需要に比べますとこのいわゆるマル経資金に対する資金需要はなお強いわけでございまして、国民金融公庫の普通枠の貸し出し状況と比べますと、やはりマル経の伸びはそれよりはかなり高い水準になっております。それでもやはり若干の未消化が今年は生じそうな予想になっておりますが、五十二年度におきましては、私どもせっかく四千七百億という枠を用意をしておきましたものですから、これがうまく生かされるように私どもも十分気をつけていかなければならないと思っておるところでございます。
  56. 栗林三郎

    栗林分科員 私は、未消化の原因は、重ねて不況を口にされましたけれども、それを否定するものじゃないのですよ。しかし、逆に不況になればなるほど零細な方々資金需要が多くなるのです。この事実を申し上げましょうか。  私は小さい金融機関に長い間世話になってまいりましたが、その機関で、年末預金もかなりふえました。貸し金もふえた。預貸率は八二%、いまだかってないほどの高率を示しておるわけです。不況になればなるほど地方における零細な業者は資金繰りに困るんです。これが一番のいい証拠でしょう。こういう事実から考えますと、不況不況ということを理由にして不消化の弁明にはならないと私は思う。私は、未消化になっておる理由は別にあると思う。どこにあるのか、この未消化の原因を真剣に考える必要がある。もしも欠点があればその欠点を是正する、そういうようなこの制度の運用について、実施について反省すべきものがあるではないだろうか、かように私は思うわけであります。  その反省すべき点として指摘してみたいことは、一つは、この資金は商工会議所やあるいは商工会から推薦をされた者に対して国民金融公庫が融資審査を行って貸し付ける、融資をするという、そういうやり方でございますが、この商工会あるいは商工会議所に配置されておる指導員の指導が余りにも細か過ぎる、いわゆる指導でなくて、その業者の経営のプライベートに関する分野まで、範囲まで入る、いわゆる指導でなくて介入というような状態が起きておるではないだろうか。介入といったような状態になりますと、これは指導の領域を越えるわけです。そうなりますと、せっかくのよい制度だけれども、ここまで干渉されるようなうるさい指導であるならとても御免だ、こういうような、やはりこれを拒否する気持ちが私は浮かんでくると思う。現に私はそう伺っておるわけです。ですから、無保証人、無担保、それに対して国費をもって貸し付ける制度でありますから、その経営指導は十分なされなければならないが、しかし、だからといってその個人営業に深く介入する、干渉するということはどうかと思うわけであります。ですから指導員の指導について、何かそういう欠陥をお認めになりませんか。この点をひとつ伺っておきたいと思います。
  57. 岸田文武

    ○岸田政府委員 全国に中小企業は約五百万事業所がございますが、その大部分が小規模企業者であり、さらにまたその相当部分が従業員五人とか二人とかいった層でございます。これらの層はいわば日本産業の基盤をなす役割りを期待されておるにかかわらず、現実には経営上なかなかむずかしい問題をたくさん抱えておる。何とかこの小規模の企業の方々が活力を持って経営に当たっていただくというごとのために、私どもも、中小企業政策の中で小規模対策については特に最大の重点を置いて進めておるところでございます。  その小規模対策の中でも私どもが柱として考えておりますのは、商工会、商工会議所を通ずる経営指導でございます。自分自身の力では知恵もなかなかわいてこない、また実際に活動する場合の手だてというものについての知識も不十分である、こういった場合に、商工会、商工会議所の経営指導員が親身になって相談に乗ってあげられるということは非常に大きな柱ではないかと思っておるところでございます。私どもはこの指導体制というものを頭に置いて、それを金融の面から補完する意味合いでいわゆるマル経資金制度を用意いたしました。  その趣旨は、経営指導によってその企業の問題点あるいは今後の方向というものを明らかにし、それを具体的に進めるための資金としてマル経資金が用意されておる、こういう仕掛けがいまの制度の一つの特色になっておるわけでございます。したがいまして、この経営指導員の指導というものは企業のある程度の中身に入り、その実態を十分指導員としても把握をして、そしてそれがどういうふうに向かっていったらいいのか、そのためにはマル経資金がどういうふうに生かされるかというところまでいくことがやはり必要なのではないかと思っております。ただ、お話のように、それが行き過ぎになって企業の干渉になるというような感を持たせることは決して適当なことではございません。むしろ中小企業の方々からざっくばらんに相談相手になり、企業の中身までさらけ出して相談をした値打ちがあったというふうに思えるようにすることが大切だと思っております。
  58. 栗林三郎

    栗林分科員 指導員の指導の態度ばかりを私、批判しておるように申し上げておるわけですけれども、これは融資の推薦要綱が示されておりますね。商工会なり商工会議所から推薦をする場合の幾つかの条件があります。私がこれを見ましても頭が痛くなるような条件です。ここまで介入されるなら、私でもいやになる。別の方に、これは仕方がない、高利貸しにでも飛び込むほかになくなりますよ。私は、この推薦要綱の条件の中に経営指導員の経営指導に基づいた経営、生産、技術、取引上の改善の実施に必要な資金云々と書いてある。してみると、経営も生産も、技術、取引関係、一切のものに指導員が関係する。まあ指導は私は結構だと思うが、ややもすると、ここまでいけば自分の経営か指導員の経営か、全く自主性のなくなる経営になってしまう。自主性を失ってしまう。それですから、指導員の経営指導に基づいた経営、生産技術、取引、こういうことになりますと、これは指導員を主体とした経営改善で、業者を主体とした経営改善とは受け取れないわけです。この指導要綱は、実際はどう運用し、どう指導されるわけですか。  あわせて、今度は六ヵ月指導を受けた者でなければだめだ、こうなっている。そうしたらきょうあすには間に合わない。六ヵ月指導を受けてようやく推薦される。これもまたどうかと私は思うのですけれども。何かそういうところに実勢に合わないような感じがしてならないわけです。そういう点についてはどうお考えになりますか。
  59. 岸田文武

    ○岸田政府委員 商工会、商工会議所の経営指導は、お話にもございましたように経営合理化であるとか記帳の整備であるとか技術の改善であるとか情報の提供であるとか、各般の面にわたりまして中小企業者の悩みを解きほぐすというところに意味があるのではないかと思っておるわけでございます。  特にマル経資金に関連をする指導といたしましては、一つ経営計画の問題、すなわち、たとえば設備をこれから入れていきたいというところで本当に採算に乗るだろうかどうだろうか、あるいは返済計画がうまくいくだろうかどうだろうか、こういったことについてよく相談に乗り知恵もかしてやる。それから他の面といたしましては記帳の整備という問題、すなわちいままでとかく大福帳的な経営をしておったのを、帳面を整備することによって企業の実態を明らかに、同時に問題点を明確にし、そして今後の方向を明らかにする、こういった方向、これらの点について特に力を入れて指導をやっておる次第でございます。  これについて要綱では、原則として六ヵ月の経営指導を前提としてマル経資金が供給されるという形になっておりますことはいまお話しのとおりでございます。この六ヵ月という期間は、いわば初めて経営指導員と小規模企業とが接触をして、それから企業の実態についていろいろな話を聞き、また相談に乗って、大体この企業ならこういうふうにやったらいい知恵が、またいい方向が浮かび上がるということについて企業も得心をし、また経営指導員もそれならということで太鼓判が押せるようになる、そのための必要な期間として一応の目安を六ヵ月に置いたわけでございます。字句にもございますように「原則として六箇月」ということになっております。したがいまして、非常にデータがそろっておりまして実態も明らかである、そしてそれによって問題点も方向も簡単に把握できるというような場合には、この六ヵ月の期間を短縮し得る道が開かれておるかと思っております。
  60. 栗林三郎

    栗林分科員 先ほども申し上げましたように、これは国の資金を無担保、保証人なしで貸し付けるわけですからそうでたらめなことはできませんので、そういう行政指導は必要であることは私も十分承知しておりますが、それが行き過ぎにならないように、その個人の自主性を失わせないようにもっと上手な指導をされるようにしていけば、零細な業者が、初めは大歓迎でしたから、本当に喜んでこの制度を利用するのではないか、どうか多くの皆さんからこの制度が喜んでどんどん利用されるように、そういう方向へひとつ指導を進めていただきたい、このように御希望申し上げておきます。  さて、ここで、未消化資金という現実を前に三四%の資金がふえた。だからこれ以上ふやせということは今度私の立場からなかなか言いにくいのですけれども資金量をふやすよりも私はまず貸し出しのそれぞれの限度の引き上げを強く要望したい。  設備の場合には、二百万円が今度五十万円ふえまして二百五十万円、このように増額されております。しかしいまのこういう物価高、貨幣価値のずっと下がっているいまの経済の状況の中で、何ぼ零細な業者でも二百万や二百五十万で一体どこを改善できますか。これは余りにもみみっちい金額だと私は思う。ですから、二百万が二百五十万に増額されたことは私も歓迎しますけれども、この限度をもう少し大幅に引き上げて、せめて五百万程度まで引き上げてもらえないものか。運転資金の場合は百五十万が据え置かれておるわけであります。これもやはりもう少し引き上げて、三百万程度までこれを引き上げる必要があるのではないか、かように思うわけであります。  私、これを申し上げるのは、こういう事実からでございます。信用金庫の連合会では二百万まで無担保、無保証人で貸し付ける制度が去年より実施されております。これは全国連合会の制度でございますけれども、旭川の信用金庫では百万まで無担保、無保証人で融資をする制度がおととしから実施されております。さらに、信用保証協会などの保証業務の中でも、百五十万までは無担保、保証人なしでこれを保証してくれる、こういうようになっておるわけでございます。民間の信用金庫ですらも二百万、地方における小さい金庫でも百万無担保で融資をしておる。政府出資の機関の制度が百五十万までしか融資ができないというのでは、余りにもみみっちい、余りにも小さ過ぎるではないでしょうか。  この際、時間がありませんから、ひとつぜひこの限度の引き上げを積極的に考慮してもらいたい。そうして願わくは、この融資期限もそうでありますが、設備の場合は三年が三年六ヵ月、六ヵ月の据え置きが認められておるようでありますけれども、この融資期間につきましてもいま少し延長する必要があるのではないか、かように私は考えますので、この点もひとつ積極的に御検討を願いたい。  ただし、そうなりますと、勢い資金量の問題が出てまいります。それによってみんなからこの資金利用がどんどん多くなって消化をされるというぐあいになったならば、政府はひとつ喜んでこれに必要な原資を与える、資金を回す、そういう積極的な制度の運用を特に図っていただきたい。  この資金量の増大、限度額の引き上げ、あるいは融資期間のさらに延長、これらについては一体大臣はどうお考えになりますか、最後にひとつ大臣の御所見を承って質問を終わりたいと思います。
  61. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま長官からるる御説明申し上げた次第でございますが、先生の御指摘のようにこの無担保、無保証という制度は、私は零細な小規模企業者にとりましては実は非常にいい制度であると思っておるのであります。しかしながら、これが消化し切れないという理由にもいろいろと御指摘のようなお話がございます。と同時に、また、冷え込んでおりまするこの当面いたしました経済界の状態では、これはなかなか、仕事自体がないというようなうらみもなきにしもあらずでございまするが、ただいま御指示ございましたような貴重な御意見につきまして、私どもも鋭意これが制度のなお一層の拡充強化をしてまいりたい。同時に、この対象の拡充なり限度額の問題につきましてもまた検討させていただきとうございます。
  62. 伊東正義

    伊東主査 栗林三郎君の質疑はこれで終了いたしました。  次に、池田克也君。
  63. 池田克也

    池田(克)分科員 私は、通産大臣に、プロパンガスに関する事故の問題についてお伺いをしたいと思います。  御承知のとおり、三月十二日に横浜市の港南区で大きなマンションがプロパンによる爆発事故を起こしました。ことしになってからでも、一月四日に江戸川区のマンションで十一人の重軽傷者を出している。二月十九日に足立区で三人が死んで、七人が重軽傷。三月七日には重軽傷六人が出ており、三月十二日、先ほどの横浜の港南区の事故の日に、座間でまた親子三人がふろで窒息死。これはいろいろ事情はあると思うのですが、非常に大きな事故が頻発をしているわけであります。こうしたニュースに接しられて、大臣の率直な御感想をまずお伺いをさせていただきたいと思います。
  64. 田中龍夫

    田中国務大臣 このプロパンガスのいろいろな爆発事故に対しまして、私どももこのごろ余りにも頻繁でございますので非常に心配もいたしておったのでございますが、先日愛媛の方に参りました際にも、業界の方からもまたいろいろと陳情を受けまして、なおまたいろいろな保安上の問題あるいはまた規制の問題、さらに責任の問題、いろいろとお話を聞きました。  私は、きょうは先生の御質問もございますので、実は後ろにおります私の秘書官はこの間までその方の担当課長をいたしておりましたので、またいろいろと秘書官からも話を聞いたりなんかいたしまして、この問題につきましてもいろいろと貴重な御意見、御注意も本日は伺えるもの、かように喜んで参った次第であります。
  65. 池田克也

    池田(克)分科員 注意や意見を聞きたいと大臣は喜んでいらっしゃったというお話でございますが、この問題に関しては非常に急を要するのじゃないか。これはデータですので局長さんもしくは政府委員の方からで結構ですが、この数年間、家庭用のプロパンガスはどのくらいの数で売れてきているのか、ありましたらひとつ資料を出していただきたい。
  66. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず世帯数でございますが、プロパンガスにつきまして、最近五年間の推移を申し上げますと、昭和四十六年千五百五十五万世帯、四十七年千五百九十九万世帯、四十八年千六百二十四万世帯、四十九年千六百五十四万世帯、昭和五十年が千七百二万世帯で、四十六年当時に比べましてかれこれ一・一倍ぐらいになっているかと存じます。これは毎年九月時点におきまして、二人以上の世帯数について調べたものでございます。
  67. 池田克也

    池田(克)分科員 同様に、いわゆるガス、都市ガスを使っておられる家庭のデータがわかりましたら、最終の、現時点におけるものだけで結構でございます。
  68. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 一般ガスにつきまして、これは毎年の十二月末のメーターの取りつけ件数でございますが、昭和五十年におきまして、千三百八十万戸でございます。
  69. 池田克也

    池田(克)分科員 いわゆる都市ガスが千三百万、プロパンガスが千七百万、プロパンガスの普及というものははるかに大きくなって、今日の家庭用のエネルギーの主役を占めている、こういう状態でございます。  しからば年間の事故件数ですが、できればプロパンガスといわゆるガスを対比してみたいと思うのです。一番新しい一年間の分で結構ですが、資料がありましたら聞かしていただきたいと思います。
  70. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 昭和五十年度に関しまして都道府県から報告がございました事故件数は、自殺を除きまして四百九十七件でございます。
  71. 服部典徳

    ○服部政府委員 一般ガス事業の事故の関係でございますが、ガス事業法施行規則によります事故報告のあったもの、五十年度で百三十九件でございます。
  72. 池田克也

    池田(克)分科員 いま伺いますとプロパンの方が、これは使っている家庭が多いんだからということもありましょうが、約五百対百四十ということでございます。しからば、プロパンが危ないからと言っても、ないところはどうにもならないのですね。つまりほかにかわるものがない。じゃ、炭がいいか練炭がいいかと言っても、今日の時勢ではそれは無理だ。結局のところこれだけの事故が出てきている。これを一体どのように分析をするか。プロパンについてだけで結構でございますが、この事故原因について分析がされていると思います。私ども資料を得ましたが、当局の方からのお答えをいただきたいと思います。
  73. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 先ほど申し上げました昭和五十年度の四百九十七件に関しまして、事故の原因別に分析をした結果がございますが、まず第一に、消費者が十分注意をしてその使用方法に誤りがなければ防ぎ得たのではないかと思われますものが七〇%でございます。次に、販売店の保安サービスが徹底しておれば防ぎ得たと思われるものが約五%、それから販売店の処置のミスがあったと思われるものが約四%、器具の欠陥が原因となったと思われるものが約一%でございます。その他及び原因不明というものが二〇%ございます。
  74. 池田克也

    池田(克)分科員 消費者のミスが七〇%、こういう状態で、調べた結果はそうなるのでしょうが、火元は確かにミスを犯している。しかし昨今の報道を見ますと、火元におけるミスによって周りが本当に思いもかけない、寝ている最中に物が吹っ飛んでしまう、けがをする、亡くなっている件数もあるわけです。私は、このプロパンガスについて業界も一生懸命にやっているということも承知しております。いまや消費者のミスというだけでは済まされないところに来ているのではないか。これについて、たとえば事故が起きた周辺の人たちに対する責任あるいは補償という問題について、これは大臣に、他の所管との関係もありましょうが、概括的な御見解でも結構でございますが、どういう状況になっているかお伺いをしたいのでございます。
  75. 田中龍夫

    田中国務大臣 ちょっとその件につきまして、もう一件局長からお答えさせます。
  76. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 御指摘のとおり、LPガスの事故は不特定の第三者に被害を及ぼすという点で非常に大きな社会的問題だと思います。この第三者に及ぼす事故をどのように防ぐかということにつきまして、すでに制度化したものもございますし、現在審議会等におきまして、保険によるカバーはどのように可能であるか等も審議していただいておるというふうなことでございます。ただ単に、そういうふうな保険等のカバーによって後の賠償が行われればそれでいいというものではございませんけれども、消費者のミスあるいは器具の欠陥等によって起こりました事故を、とにかく第三者被害をカバーする方向といたしまして、現在それらの点の普及に努めておるというところでございます。
  77. 田中龍夫

    田中国務大臣 消費者におきまする事故防止を抜本的に強化いたしまするために、現在高圧ガス及び火薬類保安審議会におきまして、今後のLPガス消費者保安体制のあり方につきまして、早急にまとめていただくように検討をお願いいたしておるところでございます。  なお、通産省といたしまして、同審議会の答申を得次第、その方向に沿いましてLPガスの消費者保安体制の強化を図ることにいたしております。
  78. 池田克也

    池田(克)分科員 通産省の方もいろいろ手を打っておられるのでしょうが、消防庁お見えになっておられますか。――消防庁は現実に事故が起きれば始末をしなければならない、これまた大変な手数がかかるわけです。地方自治体、町村で消防の活動が行われているわけですが、このプロパンガスの事故対策について、消防庁としては、どういう対策や考えを持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  79. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 プロパンガスの規制は、液化石油ガス法に基づきまして通産省の所管でございますけれども、私どもといたしましても、プロパンガスによる火災、爆発その他中毒等の災害があった場合に備えまして、火災予防条例ないしは行政指導によりまして、そういう事故のないように、消防職員、所轄を通じて徹底するよう図っておりますが、さらに、先ほどお話がありましたように、他に関係のない第三者に災害を及ぼすという、そういう非常に危険性の高いものでございますので、お互いにそういうことのないように、一人一人防災意識を高めるよう、春秋の火災予防運動週間を通じまして国民の皆さん方に訴えている、こういう実情でございます。
  80. 池田克也

    池田(克)分科員 いま大臣から、審議会に諮問をして検討さしておる、こういうお話でございました。調べてみますと、このプロパンの事故というのはどうも一月、二月というような冬のシーズンにわりと集まっている感じを持つわけであります。したがって、そうした審議会の答申を得、対策をお立てになるというのですが、いつごろまでに、昨今起きていることに対する何らかの手だてというものが出されるのか。私はかなり急ぐと思うのですが、そう急いでもまた十分煮詰まらないかもしれません。大枠のめどでも結構ですが、これについてお答えいただきたいと思います。
  81. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 大体この四月中くらいには結論をいただきたいというふうに考えております。
  82. 池田克也

    池田(克)分科員 先ほど局長の方からの答弁の中で、普及に努める、こういうお話がございました。確かに消費者ミス、こういう問題を見てみますと、いわゆる知識が足りないということがずいぶんと感ぜられます。大都市の周辺におきましては、従来は都市ガスを使っていた、その方々がプロパンガスを新しく家を建ててお使いになる、こういうケースがあるわけです。  私は東京の世田谷区というところに住んでおりますが、一部地域そういうところが続出しております。御本人は全く意識せずに事故が起きている。また、漏れたと気がついて窓をあける。都市ガスの場合、窓をあければガスが出ていくわけですが、このプロパンの場合は非常に重いものですから出ていかない。結局のところ事故に至らないまでもひやりとすることはしょっちゅうである、こういう声であります。こういうような状態で、普及という以外にない、こういうお答えもあろうかと思いますが、この普及に対する予算というのは一体どういう処置がなされているんでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  83. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 予算を大きく分けまして、現在、液化石油ガスの消費者保安センターが高圧ガス保安協会の中にございますが、そこにおける予算を生かしまして、まずそれらの研究費でございますが、研究所の建設費及び研究の業務費といたしまして五十二年度予算で約二億百万円でございます。次に、消費者保安啓蒙事業費といたしまして五十二年度で五千二百万円の予算を計上しております。
  84. 池田克也

    池田(克)分科員 研究施設をおつくりになって原因究明をするということと普及をするということとは違うと私は思うのです。いまお伺いしたのは普及に関する予算です。純粋に普及に関する予算ということになりますと五千二百万円というお答えであります。千七百万軒が使っているプロパンガスの事故の七割も消費者ミスであるといういまの御報告であります。それに対して五千二百万円、割り算すれば一軒当たり三円ぐらいの普及費であるということになるわけですね。余りにもこれは少ないのじゃないか。これだけの事故を起こし――単に事故だけじゃなく社会不安ですね。プロパンを使わなければならない人たちが多いのです。ほかに手だてがないのです。そうした人たちにとって、せっかく建てたマイホーム、まだローンも返さなければならない、これから先、長い長い時間を経て自分のものになっていくわけです。恐らく生涯の生活がかかっていると思うのですね。そういう方々に対してこのプロパンガスの事故というものは絶滅しなければならない。アメリカ、ヨーロッパなどではほとんど事故がないということも聞いております。私はそういう意味で、この五千二百万という予算は、本気になって通産省が要求をし、この社会不安を解消するために盛り込んでいる予算ではないと思うのですね。どうもおかしい。この予算の額を大臣は御存じだったと思いますけれども、これは本当のお気持ちを聞かせていただきたいのですが、いまこの時点になって、これで国民に対して十分役所としては知識啓蒙をやっていると言えるのでしょうか。大臣の御見解をぜひ伺いたいと思うのです。
  85. 田中龍夫

    田中国務大臣 御指摘の問題でございまするが、結局いろいろな啓蒙あるいはまた注意その他のPR、こういうふうなものの資金として計上されておると存ずるのでございますけれども、これだけの対象が、全国民の中の相当なウエートを占めておるということから、なお至らざる点も多々ございまするが、これから鋭意努力いたしたいと思います。
  86. 池田克也

    池田(克)分科員 大臣努力されるというので、それ以上この問題は深く追っかけないことにしたいと思いますけれども、なお一つ伺いをしたいのでありますが、今回この問題について五千二百万と伺いました。その内訳をぜひ聞かしていただきたいと思うのです。
  87. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 五千二百万の内訳でございますが、テレビ、ラジオ等の放送費用が四千二百万、教員保安教育講習会が九百万、保安担当者講習会が百三十万、ほぼでございます。
  88. 池田克也

    池田(克)分科員 テレビが四千二百万、非常に少ないということを指摘させていただきたいと思います。今日、民放の時間の枠から考えますと、余りにも少ない。小さな商品を売るだけでも四千万、一億、金をかけている業者はいっぱいおります。本当にこの問題について、私は時間がありませんので追っかけられませんが、指摘をさせていただきたいと思うのです。ここで九百万という教育の予算のことが出ております。私が伺いましたことによりますと、何か教育、つまり文部省の方と関連を持たれて、そうして普及をされる、こういうことでございますが、その点をお伺いをしたいと思います。
  89. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 保安啓蒙活動の一環として、学校教育におけるLPガスの保安啓蒙の必要性が非常に強い、高いというふうに私どもとしては判断して、小中学校の先生にLPガス保安講習会を開催していただくということのための予算を先ほど申し上げたわけでございますが、このほかにも、学校教育において、LPガスに対する保安教育をぜひ取り組んでいただきたいということを文部省当局にも強く強くお願いしておるところでございます。
  90. 池田克也

    池田(克)分科員 文部省見えていますでしょうか。――いま通産省の局長の方から、文部省にLPガス保安のための普及教育の協力を強く強く要求をしている、こういうことでございまして、文部省はこれについて受け入れるおつもりなんでしょうか。
  91. 久保庭信一

    ○久保庭説明員 御説明申し上げます。  文部省におきましては、LPGが家庭生活の熱源として大変重要な地位を持ってきていることを考えまして、学校教育におきましても、家庭科における調理用熱源の取り扱いの一環として、その取り扱い方を指導しているなど、現在でも配慮しておるところでございます。今後とも、このような御質疑重要性から、十分に配慮してまいりたいと思う次第でございます。
  92. 池田克也

    池田(克)分科員 昭和五十年の三月十八日、ちょうど二年前です、社会党の佐野進さんがこの問題を聞いております。そして「関係業界とも協力いたしまして学校の教育用の副読本にこれを採用していただく、それから学校等に壁新聞を張っていただくとか、それからポスターを張っていただくということで、これは児童生徒にも子供のときからこの観念を植えつけていただく」二年前にこの問題は出ておりまして、佐藤政府委員からの答弁であります。非常になまぬるいと思うのですね。いまここまできて文部省と連携をとる。文部省にもう一遍お伺いをしたいのですが、正規の授業の中でこれが取り上げられるのでしょうか。
  93. 久保庭信一

    ○久保庭説明員 先ほど御説明申し上げましたように、現在におきましても、正規の教科でございます家庭科の中で取り扱いをいたしておるところでございます。
  94. 池田克也

    池田(克)分科員 学校教育で取り上げられる、いまでもやっていらっしゃるということでございますが、いま予算がついておりまして非常に少ない額でございます。何か先生方を夏に集めて講習をする、こういうようなことを通産省の方で計画をされていらっしゃるのですが、そのとおりでしょうか。
  95. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 この夏に実施する予定になっておりまして、ただいま文部省と事務的に詰めておるところでございます。
  96. 池田克也

    池田(克)分科員 それは第何回目の講習なんでしょうか。
  97. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 予算としまして、ことし初めてその予算がついたということでございます。
  98. 池田克也

    池田(克)分科員 おかしいじゃありませんか。文部省はもう家庭科の中でその問題を取り上げているという返答だ。通産省はいまから先生方に話を始める、そうなってまいりますと、文部省は勝手にやっていたのか、通産省との連携はことし初めてなんでしょうか。
  99. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 先ほど文部省の方から御答弁ございましたように、文部省の教育の内容としてはすでにそういうことを取り組んでいただいておるわけでございますが、それに上積みとしまして、先生方にぜひこの問題を強く認識していただかなければならぬ、こういうことから、この夏の講習会というものをことし初めて予算化をしたということでございます。
  100. 池田克也

    池田(克)分科員 先生方に話をしないでどうやって学校は教えるのでしょうか。私は、その問題はやっていらっしゃるのですから何も文部省を責めるつもりはありません。今回初めて予算がついたことも、ないよりはましだと思います。しかし、二年前に本院の委員会で取り上げられている問題が、二年も後になってようやく予算がついて、しかも文部省との連携はよくないと思います。局長がよくよく文部省に頼んでやってもらうというようなこと。これは私は行政官庁としてもっと早く連携をとって、そんなに授業時間をとる問題じゃないと思います。また都市ガスの地域もあると思います。両面あろうと思います。このプロパン地域という問題は必要なところからはぜひ早急に手を打っていただきたいと思うのです。  時間がありませんので最後の問題になりますが、いまわずか五千二百万の予算、大変なことだと思います。これはやはり私はマスコミに協力を求めなければならないと思う。何も新聞でも雑誌でも広告スペースを買って、この保安対策、知識の普及をしなければならぬというだけじゃございません。マスコミも心配していると思います。これについて、私はこれは大臣のお考えをお伺いしたいのですが、マスコミにも協力を求めて、この問題は特に政治、社会面だけじゃない、婦人家庭欄等にも大きな影響があるわけです。婦人雑誌あるいはまた週刊誌等にも呼びかけてこうした問題を取り上げていく、そうしなければ解決していかない、こういう気持ちを持っているわけでございます。その点の大臣の御見解を伺いたいと思います。
  101. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  この五十一年度の実施の場合におきましても、高圧ガスの保安協会によります啓蒙宣伝事業でありますとか、その他液化石油ガス関係業界の啓蒙事業でございますとか、その他保安デーを毎月いたしておりますとか、いろいろとPRいたしております。それからまた、ただいま御指摘のように、政府のこういつたLPガスその他の啓蒙は、各省、通産省は通産省で広報機能を持っておりまして、そちらの方の予算もいろいろとつけてございますが、同時にまた、内閣は内閣としての総務長官のところの広報機能、その他いろいろとパンフレット等の経費も、つまり通産省といたしましてのPR予算プロパーでなく、外縁的にいろいろなPR経費もあるわけでございまして、それをいまここで集計してということは私まだ存じませんが、私も総務長官をいたしておりましたので、政府の広報機能につきましてなお一層連絡いたしまして普及徹底を図りたい、かように考えております。
  102. 池田克也

    池田(克)分科員 いま大臣から政府の広報予算を増してもらって広報、普及に努める、こういうことでございますので、ぜひそれをお願いしたい。  いま私お伺いしたマスコミ等に協力を求めるお考えはないでしょうか。
  103. 田中龍夫

    田中国務大臣 これはもうぜひ御協力いただかなければなりませんし、特に家庭関係のお茶の間まで、奥様方に至りますまで普及徹底させなければなりませんのは、特にテレビその他を活用いたしたい、かように考えます。
  104. 池田克也

    池田(克)分科員 時間が大変乏しい中でのお話でございまして、本当に五千二百万というこれだけの広報予算で千七百万人、家族を入れればもっとでございますが、これだけの命を救えるか、業界に余りおんぶし過ぎているんじゃないか。確かに業界のセールスをされる零細な企業、その企業から売るたびごとに説明させている、こういうお話も私調査の段階で伺いました。しかし業者の方方は忙しい、しかも、いわゆる商人としての立場でお客に対して注意を喚起するということは非常にしにくい立場だと思うのです。しかも相手が奥さんであったり、子供たちや、あるいは場合によって留守番にいらっしゃるお年寄り等にまで、この問題を徹底しなければ改善されない非常に多くの問題をはらんでおりますので、ぜひ広報予算等を大きく改善をしていただきたいし、一刻も早くこの事故の絶滅、さらに業界も深刻に考えていらっしゃると思うのですが、国民の安全のために配慮をしていただきたいことをお願いいたしまして終わりといたします。ありがとうございました。
  105. 伊東正義

    伊東主査 池田克也君の質疑はこれで終了いたしました。  次に、土井たかこ君。
  106. 土井たか子

    ○土井分科員 どこの家庭でも使われております石けんと洗剤、きょうはこの問題に対しての表示のことを一つお尋ねしたいと思うのですが、大臣の御家庭でも石けんや洗剤は日常使っていらっしゃると思うんですが、実は石けんについては、家庭用品品質表示法という法律からいたしまして、この品質表示の指定品目にいままで入っていなかったわけであります。ところが合成洗剤については、いままで成分による分類はなくて、単に合成洗剤という表示がなされて今日まで来たわけです。私たちは、この合成洗剤の中身については大臣も御承知のとおりで、大変に有害性、有毒性というのが、おむつかぶれの例を挙げるまでもなく、それから、台所に立って毎日水仕事をしている主婦の手がどうにもならないぐらい荒れてしまうというふうな問題を取り上げるまでもなく、いつもこれは取りざたされているわけでありますが、この合成洗剤についても、今回石けんについて品質表示をやると同時に、新たに石けんとあわせて、合成洗剤、石けんで六種類に区分をされるというふうなことになるらしゅうございますが、この中身についてあらましのことをひとつ御説明賜りたいと思うのです。
  107. 織田季明

    ○織田政府委員 ただいまお話のありましたように、昨年の十月八日に施行いたしまして、告示によって分類いたしております。  その分類の大ざっぱな中身といたしましては、日本工業規格によりまして純石けん分、それから界面活性剤、こういう観点から二つに分けまして、そのうちそういうものが五〇%以上あるものと以下のもあに分けまして、以下のものを洗たく剤、以上のもののうち二種類に分けまして、たとえば洗たく石けんにつきまして、界面活性剤が三%未満のものにつきましては洗たく用石けんというふうに、それからそれ以上のものにつきましては洗たく用複合石けん、それから五〇%以下のものにつきましては、先ほど申し上げましたように洗たく剤、それから合成洗剤につきましては洗たく用合成洗剤、洗たく用複合合成洗剤、三番目が洗たく剤というふうに分けたわけでございます。以上でございます。
  108. 土井たか子

    ○土井分科員 実はこれは、大臣、いま聞いただけでも頭が痛くなるくらいにわけがわからぬのであります。石けんについては、表示事項の品目を、いまもよく耳をあけて聞いておりますと、台所用と洗たく用とに大別されている。洗たく用のものについてはさらにこれを細分して三つに分けていますね。洗たく用石けんと洗たく用複合石けんと洗たく剤、括弧して石けん、こういうふうに三つに分けて表示されることを考えていらっしゃるらしいのですが、どうもこれは消費者からすると紛らわしくてよくわかりません。恐らくは大臣の御家庭でも、奥さんはこういう表示をごらんになっておわかりになるかどうか、私は疑問だと思うのです。恐らくわかりにくいとまずおっしゃるでしょう、紛らわしいとおっしゃるでしょう。まず第一に、この表示のやり方自身がまことに紛わしいという点からすると、家庭用品品質表示法の第一条にもとります。「一般消費者の利益を保護するごと」とございますから、利益保護というのはやはりわかりやすくするというのが利益保護じゃないでしょうか。いままで石けんと分かれていたのは合成洗剤だったのですよ。石けんは純石けんを指して石けんと言う、これが消費者の常識であります。ところが今回石けんの中には純石けんでないものがどんどこどんどこ入ってきて、合成洗剤が石けんと合体をして、そしてそれを称してなおかつ石けんというのですよ。わからないですね。この三つの分類について私は特にお尋ねをしたいのですが、最後の洗たく剤に当てはまるものは、たとえばどういう石けんですか。
  109. 織田季明

    ○織田政府委員 先ほど申し上げましたように、洗浄作用と申しますか、洗ってきれいになる作用をいたしますものが純石けん分あるいは界面活性剤でございますが、これらが五〇%以下のものでございます。
  110. 土井たか子

    ○土井分科員 それは消費者の立場からしたら、そんなものわかりやしませんよ。具体的に今度の分類によって、洗たく用石けんと洗たく用複合石けんを除くほかの洗たく剤というのはどんなものだろう、具体的にこんなものとおっしゃってくださらないと、それはさっぱりわかりませんね。
  111. 織田季明

    ○織田政府委員 化学的な話になりますので、ちょっと専門家に答えさせたいと思います。
  112. 内田禎夫

    内田(禎)説明員 消費経済課長でございます。やや細かいお話でございますので、かわってお答え申し上げます。  ただいま審議官がお話し申し上げましたように、洗たく剤という名前をつけましたものは、これはJIS規格に達しないものを石けんあるいは合成洗剤ということで表示をさせて売らせることは適切ではないということで、石けんとか合成洗剤とかいう名前ではなくて洗たく剤という名前を使って売らせる。しかし、それの成分が脂肪酸塩の系統、つまり純石けん分を主体としたものであるか、あるいはそれ以外の界面活性剤を主体としたものであるかという違いがございますので、その違いを石けん系であるとかあるいは合成洗剤糸というような系統を示すということで名前をつけさせまして、表示をさせるということでございます。したがいまして、これは消費者の方から見まして、物の違いというものを正しく識別していただくためにそういう区別をしているわけでございます。  具体的に言えば……
  113. 土井たか子

    ○土井分科員 わからないですよ。こんなに細分して洗たく剤というふうな分類名を見た場合に、一般消費者はどういうことを考えるか、これをお考えになっていらっしゃいますか。一般消費者からすると、洗たくに使うすべての化学物質の総称として洗たく剤と、こう考えているのです。中身がどういう特徴があるかなんて、そんなものはわかりません。非常に紛らわしい。かえってこういうことをお決めになったことによって間違われるきらいがある、紛らわしい、こういうことが言えるのではないかと思いますが、大臣、どのようにお考えになりますか。
  114. 田中龍夫

    田中国務大臣 私も余り洗たく剤のことについて詳しくはございませんが、しかしやはり審議会の答申を得てかような結果に相なったのであろうと思います。しかしながらわれわれは素人でありまして、学者や審議会の専門家の方々がお考えになればなりますほどにかえってむずかしくなったのかもわかりません。しかしながら、いろいろと界面活性剤の場合には手が荒れたり、あるいは子供さんがなめたりしてはいけないというようなきめの細かい注意からかようなことに相なったのだろうとそんたくいたすのでございまして、先生の御注意のほどは確かに私どもも感を同じくするものがございますが、やはり審議会の答申というものは、今日まであらゆることをおもんぱかって決定いたされたのであろうと類推いたす次第でございます。
  115. 土井たか子

    ○土井分科員 本来これは審議会の答申を得れば何でもそのとおりにしなければならない、審議会の方がかえって紛らわしいような表示にしろというふうに言われたらそのとおりにしなければならないというのは、大臣としてはやはりその職務からいたしまして、本当に消費者の生活を守るこの家庭用品品質表示法に従った行政措置であるかどうかというのには、私は疑いを抱かざるを得ません。  大臣もいまお認めになるように、これは本来石けんの品質表示基準ということを考えていったら、たとえ三%未満のものでも界面活性剤を添加した場合は、石けんというのは常識から考えてどうも表示としては正しい表示とは言えない、こう一般は考えます。  今回、この表示の中身を見ますと、純石けん分が五〇%以上であり、かつ純石けん分以外の界面活性剤が三%未満のものというのについては、洗たく用石けん、こういうふうに呼ばせる、こうなっているわけですね。  本来、石けんというのは、大臣、これはどうでしょう。一般的に考えまして、いろいろな、こういうふうな、いまここで言う合成洗剤と言われるようなものが入っていない純石けんを指して石けんというふうに一般的には認識をしてきたのじゃありませんか。
  116. 織田季明

    ○織田政府委員 従来の市販されておりました石けんにつきまして分析いたしてみましたら、純粋に石けんだけというものはむしろ少なくて、若干の界面活性剤が含まれておるものが多うございます。これは、製造工程の関係もありまして、中小企業のメーカーの場合は、合成洗剤をつくった後でまた石けんをつくる場合、努力しても若干の合成洗剤が含まれる場合が多うございまして、先ほど申し上げましたように、従来石けんと言われたものの中にも界面活性剤が含まれておるものが少なくない、そういう事実に着目いたしまして、三%未満のものは洗たく用石けんということにしたわけでございます。
  117. 土井たか子

    ○土井分科員 それは、製造工程から考えるとそういうことが過去あった。そこで、今回の分類からすると、だからというので界面活性剤五〇%以上のものについて複合石けんと新たに表示を設けて、これも石けんと呼ばせるように拡大していくというのは、どうも私はいただけないと思うのです。問題が違いますよ。製造工程からするとそういうものが石けんの中に過去入っていた。したがって石けんについては、今度は五〇%以上になるものについても石けんと呼ばせるというふうに持っていくこと自身が、これはちょっとおかしいじゃないですか。表示の方法として、石けんは石けんで、合成洗剤は合成洗剤なんです。過去、このことに対しては一定のもう目安が消費者の中にもある。今回、こういうふうな類別の仕方をされることによって、混乱はあっても決してこのことに対してスムーズに私はいかないと思います。大変これは混乱が出てくるのじゃないですか。
  118. 織田季明

    ○織田政府委員 お言葉でございますが、従来の複合石けんのような、三%以上のものも石けんとして売られていた、そういう事実に着目してこういう分類をしたつもりでございます。
  119. 土井たか子

    ○土井分科員 それは、石けんについては三%以内でなければならないということにして、それ以上については石けん外の取り扱いということに分類すればいいんじゃないですか。つまり、石けんとそれからいまの合成洗剤という分類で事足りるんじゃないか、このように考えますけれども、ことさら今回のこの表示というのは混乱を呼び起こすための表示でしかない、このように私は思います。いかがですか。
  120. 織田季明

    ○織田政府委員 結局、私の方の考え方といたしましては、合成洗剤の方が多いか、界面活性剤の方が多いか、純石けん分の方が多いかという観点から分類をいたしまして、複合洗たく石けんにつきましては、三%以上であるけれども、純石けん分が非常に多いから石けんということで分類をしたわけでございます。
  121. 土井たか子

    ○土井分科員 通産省の方がこういう分類をなさる場合には、いろいろとこのいまある業者の製造工程を考えて、このように分類していった方が業者のためによいであろうという分類をなさることが、私はいろいろな問題に対して表示をお考えになる基本姿勢であってはならないと思っているのです。表示を考えるときには、ちゃんと家庭用品品質表示法という法律がございまして、この第一条では「家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護すること」こう書いてあるのですよ。この「適正化を図り」というのも、一般消費者の生活を保護するというところに重点を置いて、適正をやはりお考えいただかなければなりません。いまこういう表示のやり方によって消費者というのは果たして保護されるのかどうか、利益が保護されるのかどうか、これは私は大変に問題が多かろうと思います。  たとえば、大臣こうですよ。果汁一〇〇%でなければいまジュースと表示してはならないとなっております。御存じだと思います。それから、食酢の例なんかを見ますと、表示基準では、合成酢酸がわずかでも混入したものはすべて合成酢となります。純石けん以外の界面活性剤が含まれたものは、すべてこれは合成洗剤の範疇に入れて考えていいのではないか、このように考えるのが私は消費者の生活の認識だと思います。  こういうことからかけ離れて、製造工程でどうだこうだ、製造工程から考えると、過去にこういう石けんがあったからこれについても石けんと言わなければならない、こういう表示のやり方というのは、消費者に目を向けて、消費者の方に対してこたえている表示の考え方ではないと私は思いますが、大臣いかがでございますか。――大臣が答えてください。
  122. 田中龍夫

    田中国務大臣 先ほど審議会の貴重な答申をいただいたということを申しましたが、審議会には消費者団体の代表の方々も皆入っていらっしゃって、そうしていろいろと御審議をいただいたと存じます。しかし、私どももどうも余りむずかしくなりますと、かえってわかるものもわからなくなってしまうのですが、やはり消費者の方々の貴重な御意見というものは尊重されておる、私はかように思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
  123. 土井たか子

    ○土井分科員 これは客観的に考えても、いまことさら混乱を呼び起こすような表示のやり方にお金をかけて、いろいろと行政指導をおやりになって内容を徹底するようにやられるということが消費者の利益保護になるかどうか、これをひとつもう率直にお考えいただきたいと思います。  そうして、いま大臣がおっしゃった、審議会というので消費者の代表も入って審議をされた結果であるからというふうにおっしゃっておりますけれども、この審議会の場合にも分科会での討論というのがたったの一回きりで、委員会では決定されるのについて十分な審議がなかったという過去の経緯があるようでありますよ。これはひとつ大臣調べてみてください。あるようであります。  いろいろこういう問題に対して、やはり消費者自身がどう考えるかが十分にくみ取られた意見というものを内容に織り込んで、どうすべきかということが考えられていなければ、表示の問題についてはこれはやはり消費者からするといろいろな異論が出てくる。もうすでに大臣のところにも、これはいまのまま黙っておりますと来る四月の七日から実施されるわけでしょう。こういう表示というのは困りますというようないろいろな申し入れがたくさん来てはいませんか。また、いろいろ大臣考え直してみてくださいというふうな陳情を持ってこられる方がたくさんおありになりゃしませんか。本当に消費者の意見というものが考えられて、審議会で言われたことが正当な中身であるならば、こういうことにならないだろうと思うのです。全国で私はこの声をたくさん聞きますよ。  したがいまして、大臣、これはお家に帰って奥様にもお尋ねになったらいかがかと私は申し上げたいくらいであります。まことにわかりにくいですよ。洗たく用石けんを買いにいって、石けんの中に純洗たく用石けんと洗たく用複合石けんと洗たく剤石けんというのがある。こんなわかりにくい話はないのです。こういうのは簡明をもって要とする。だれが見ても一目瞭然よくわかるという中身でなければ困るのです。どのように大臣お考えになりますか。
  124. 織田季明

    ○織田政府委員 いまの言葉の問題で、もうちょっと簡単なという点はずいぶん議論したわけでございますが、そういういろいろな議論の結果こういう結論になった次第でございます。  なお、こういう分類がいいかどうかにつきましてもずいぶん議論いたしまして、この分類の中身については、界面活性剤をこれだけ、純石けん分をこれだけということを書いてございますのでおわかりいただけるのではないかというふうに考えておりますが、いろいろ御意見をいただく中の大部分の方は、合成洗剤というのは罪悪を犯したもの、罪人であるというような観点があるのではないかと思われるのがずいぶんあるわけでございますが、そういうことを離れまして、ずいぶんいろいろ検討した結果つくったもので、わかりやすくしたつもりでございますが、なおPRに努めたいと思っております。
  125. 土井たか子

    ○土井分科員 これは幾らPRなすったってわかりっこないです。たとえば、こういうことに対してどうお答えになりますか。一番最初に私が質問申し上げた、洗たく用石けんでもない、洗たく用複合石けんでもない、洗たく剤石けんというのはどんなものかと言ったら、洗たく用石けんでもなくて、洗たく用複合石けんでもないその他のものについてこれを洗たく剤石けんと言うというのが、恐らくは答弁を要約すればそういうことになると思うのです。  で、この洗たく用石けんではどういう中身かというのが一応決められています。なかなかむずかしいですが、決められています。それから洗たく用複合石けんも一応決められています。それ以外のものとなると、そこから外れて粗悪品が出回らないという保証はどこにもございません。一般の消費者からしますと、それでも石けんと書いてあるのですから、石けん全体に対して、安全であるべき製品に不安をいたずらに持つということをどうしてPRなさっていくのですか、大丈夫ですといってもこれは不安は消えやしませんよ。どこまでいったってこういうことについては、やはり表示からしてみんなは不安を持ちます。これは石けんと書いてあるけれども夫丈夫なんだろうか、こういうふうに考えますよ。私は、石けんの今回の類別というのはまことにいたずらに要らないことをなすっているような感じがしてならないのですが、大臣、どうお思いになりますか。
  126. 田中龍夫

    田中国務大臣 昔から法三条という言葉がありまして、政は簡なるを要すると論語にもあるので――ただいま先生かお引きになった。しかしお別口な方が余りむずかしい御議論をなさると、わかりやすいことがだんだんむずかしくなってしまうのじゃないかと思うのです。しかしながら、そこで合成洗剤の毒性というものが大衆に対して与える影響があってはいけないという、私はやはり非常な老婆心と申しますか、いろいろと慎重にお考えになった末に、だんだんむずかしい言葉、むずかしい表示になってしまったのじゃないかと思うのでありますが、われわれのような大体ぽっとした人間には、石けんと合成洗剤しかわからないのですけれども、そういうふうな貴重な反省もやはり今後取り入れていかなければならない。私ども決してこの名前にこだわるわけではございませんが、しかし一応は審議会の貴重な御意見を尊重いたしたということはひとつ評価していただきたいと存じます。
  127. 土井たか子

    ○土井分科員 それは評価というのは内容があって評価をいたしますが、実情にそぐわない内容である限りは、これは評価がどうもむずかしいですね。  大臣、ちょっとこれをひとつごらんいただきたいと思うのですが……。ここに持ってまいりましたのは、いろいろ宣伝文が出ておりますが、これもひとつごらんいただきましょう。ここに「天然油脂で作った最も無公害型の複合石鹸」と書いてありまして、そしてこのPRに「手荒れ、皮ふ障害が強く、水質汚濁の一原因と言われる合成洗剤はやめましょう!」こう書いてあるのですよ。あたかも、これを見ますと、消費者からすれば、ああ石けんだなとだれでも考えるわけでありますけれども、しかし、これに合成洗剤がはっきり使われていることは間違いございません、ここにちゃんと資料がございますから。間違いないです。そこで使われている表現は「複合石鹸」という表現なんですよ。大臣のお手元にもそのPRの文章をお渡ししてあるわけですが、「複合石鹸」と書いてあるわけです。しかも、この製品のサンプルなんですが、裏を見ますと、「サンアルファーKは米国産高級牛脂を原料として使用しています。」こう書いてあるわけです。したがいまして、これからしますと非常に質のいい石けんだというふうに消費者からしたら思います。しかしこれには、もうすでに先ほどから申し上げているとおり、合成洗剤が使われて、しかも表現に「複合石鹸」という表示があるのですね。複合石けん、消費者は石けんだと思う。表示には「複合石鹸」と書いてある。しかもこれが出た日は一体いつであるかというと、今回の告示が出される以前の昨年の一月十六日でございます。一月十六日、すでに業者の方が、こういうふうな取り決めをなさる以前に、こういうふうな表現で、石けんに合成洗剤を入れたものをサンプルにしろ町中に出しているという事実があって、それからあとこういうふうな決め方をなすったんじゃないかというふうに思わざるを得ない。大体これに対して石けんと言うこと自身、いま私は表示からいうと不当表示だと思いますけれども、すでに告示をお出しになる以前に「複合石鹸」という表示でこれを売っているというこの事実は、これはまことに私は黙っているわけにはいかない事実だと思います。  そうしますと、通産省とされては、業者側のいろいろないまのこの問題に対しての御都合、またメーカー側の製品をつくる工程から考えていって、こういうふうにした方がより表示の上ではメーカーに対して便宜であろうというふうにお考えになった上で今回の表示をなすったのじゃないか、こういう疑惑を招きますよ。どこまでも通産行政というのが消費者の立場で物を考え、消費者の利益を保護していくという立場で進められるのならば、私は今回のこの表示に対して、単にややこしい、わかりにくい、むずかしいと消費者からしたらいたずらな混乱が巻き起こるのではないかというばかりではなく、もう一つ、業者やメーカー側の御都合によってこれは考えられたのではないかという側面、これは一般消費者は知っておりますから、おかしいじゃないかという声になっています。やっぱり正すべきは早く正したがよい。しかも時期からいたしますと、四月七日からの実施が予定されているのですよ。目の前でございます。ひとつ大臣はこれに対して英断をもって当たられますように、御見解を賜りたいと思います。
  128. 田中龍夫

    田中国務大臣 大変いろいろと御注意をいただきましてありがとうございます。私も本日のお話を、帰りましてよく検討いたさせます。
  129. 土井たか子

    ○土井分科員 そういう御答弁ですから、もう追い打ちをかけて申し上げるまでもございませんが、四月七日からの実施でございますので、これはやはり目の前でありますから、実施をひとつやめるとか、もう一度これは再検討するとか、あるいはもう一つ進んで白紙撤回にするとかいうふうな方向での取り組みが私は必要だと思いますが、その点に対して何らかいま承ることができればひとつ大臣からの御見解をお示しいただきたい。
  130. 田中龍夫

    田中国務大臣 私もこの席で先生からそのお話を聞いたばかりでございまして、なおまた、本件が決められます当時は私はまだ就任いたしてもおりません。もちろん、いまのこの貴重なお話に対しまして、役所の方におきましても検討をさせたいと、かように考えております。その結果につきましては、また私、いろいろと審議会の関係もございましょうから、よく調べてみます。
  131. 土井たか子

    ○土井分科員 ありがとうございました。終わります。
  132. 伊東正義

    伊東主査 これにて土井君の質疑は終了いたしました。  次に、田畑政一郎君。     〔主査退席井上(普)主査代理着席〕
  133. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 私は、繊維問題と原子力問題で質問いたしたいと思います。  最初に、原子力の関係についてお伺いしたいと思います。  技術的なことは専門の委員会でやっていただくことにお願いいたしまして、二、三点疑問の点をただしたいと思うわけであります。  まず最初に、核燃料、特に原子力発電所に使う核物質でございますが、これが陸上によって輸送されておるその実績、そういったものとか、あるいはそれを請け負う会社の名前、そしてまたその運搬方法等につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  134. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 核燃料物質の輸送問題、特に御指摘の陸上輸送につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、遵守されるべき技術上の基準というものを定めてございます。それが一般輸送業者によっての陸上輸送ということになりますと、より具体的には、運輸省令によります車両運搬規則に準拠しまして、それに業者を従わせるというような方法によってその安全性は確保されているわけでございます。  なお、具体的な輸送に当たりましては、その輸送されるべき物そのものにつきましては、具体的に安全審査をいたしまして、それで安全の確認ということをいたしておるわけでございます。  なお、御参考までに申し上げますと、そのときの安全審査に当たりましては、原子力委員会で決めております輸送上の安全基準というのがございまして、それに基づいて審査をしておるというのが現状でございます。
  135. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いままでにどれくらいの陸上輸送をやっておりますか、回数で。
  136. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 核燃料物質と申しましてもいろいろの種類があるわけでございますが、たとえば一番問題になります軽水炉の燃料等の輸送状況について申しますと、四十八年度には十八回、四十九年度においては二十六回、五十年度においては二十回、それから五十一年度においては十八回というような状況にございます。
  137. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これを請け負っている会社はどこでございますか。
  138. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 具体的な輸送専門業者といたしましては、日通、それから上組等がございます。
  139. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 「等」ということは、まだほかにあるのですか、二つだけですか。
  140. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 なお大手といたしましては日立モノレールがございますが、大体その三社が大手であると考えていただいて結構でございます。
  141. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 それでは、陸上輸送の回数がだんだんふえているわけでございますが、その陸上輸送の途上において、たとえば、核燃料だけではございません。いわゆる核燃料を運搬しておる自動車、そういったものを含めまして、事故が発生いたしました実績といいますか、件数は過去においてどういうものがございますか。
  142. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 現在まで私どもが了知しておりますのはただ一件でございまして、具体的には昭和四十七年四月二十三日、千葉県柏市において国道六号線上においてのトラブルがあったというのを了知しております。
  143. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 どういうトラブルですか。
  144. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 具体的に申しますと、核燃料物質を積載した大型貨物自動車二台が、国道六号線上を連続して進行しておりましたところ、後車の運転手が運転ミスを犯しまして前の車に追突したということでございます。
  145. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 そうすると、核燃料を積んでおりました車に追突した、こういうことでございますね。
  146. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 お話しのとおりでございますが、ただしそのとき……。
  147. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いや、それだけで結構でございます。  さて、そこで、この核燃料はキャスクに入れて運搬をすることになっておるわけですね。これは「容器並びに包装」と書いてございますが、そういうものに入れて運搬をすることに相なっておるわけでございますが、そういうキャスクの数量、あるいは安全性と申しますか確度、そういうものを科学技術庁においてきちんと検査をしておる、把握しておる、そういうような仕事はどの程度行われておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  148. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 核燃料物質の輸送の問題につきましては、御指摘のとおり一番の問題は、輸送されるべき物そのものが安全であるかどうかということが一つ、それから運送途上における積載方法なり運搬の方法がどうかというのが具体的なポイントかと思います。  御指摘の前段の問題につきましては、私ども現在、先ほどお話し申し上げましたような物のチェックに当たりましては、国際原子力機関が一九七三年に放射性物質の安全輸送規則というものを実は定めております。わが国といたしましては、原子力委員会が五十年一月二十一日にその国際安全基準というものをもとにいたもまして、国内版というものをつくっております。現在はその基準というものをもとにいたしまして個別の輸送物、つまり、そこに運び込まれる燃料体それからそれを入れます容器、それを一体的に考えまして、それの安全性がどうかということを逐一検討しておるというのがその実態でございます。
  149. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 その中で一つだけお伺いいたします。  この燃料体の入れ物は大体何年もつ、何年したらこれは廃棄するというようなことは何か決めてあるのですか。
  150. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 御案内のように、原子力の、特に輸送問題等につきましては、従来余り経験しなかった今後の問題なわけでございますが、現在のところ考えられますキャスク、これは個々によって事情は異なると思いますが、一般的に申しまして、約十年ぐらいの耐用年数というものが考えられるのじゃないだろうかというふうに考えております。
  151. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いまお聞きいたしましたとおり、たとえばこの容器であるならば十年とかこの容器であるならば十二年とか、しかもその期間において適宜これを検査するといったようなきちんとした方向というのはどうも定まっておらないようでございます。  ところで、私が申し上げたいのは、いまお話がございましたように、原子力発電所がだんだんふえることに従いまして、核燃料物質の陸上輸送ということが非常にたくさん行われるようになってきております。しかも、わが国はアメリカと違いまして、車の密度その他も非常に激しいわけでございます。そういったことを考えますると、この陸上輸送問題というのについては考えなければならぬのじゃないか。将来必ず何らかの事故が発生する、あるいはまた核ジャックなどというものが言われるような世の中でございますので、核燃料というものあるいは核燃料の破損したようなものにつきましては、これは全部海上輸送に限るべきではないかというふうに私は考えるわけでございます。そうして、その核燃料を運ぶ容器につきましても、やはりもっと厳格な検査が行われるべきであると考えますが、この点に関しまして、いかがでございましょうか。
  152. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 確かに御指摘のとおり、原子力の今後を考えた場合、より具体化する問題はこの輸送問題だろうと私どもも思います。ただし、その際考えられますことは、新燃料の場合とかそれから使用済みの燃料等々によりまして、その事態、内容によって必ずしも画一的に一切合財海でなければだめだということにも相ならぬかとは思います。たとえて申しますと、新燃料でありますと、輸送する量等から申しますと、また内容となりますその安全の、放射能の強度の問題等を考えますと、むしろ陸上輸送の方が望ましいじゃないだろうかという考え方も一つあります。ただし、御指摘の使用済み燃料等の問題になりますと、大きなキャスクに入れて輸送するわけでございまして、具体的に申しますと、取り扱いも大体七十トンないし八十トンのキャスクを使うわけです。これを、具体的な実態も考えますと、およそ陸上輸送には耐えがたい、そちらの問題から来ます一つ制約もございまして、先々の見通しとしましては、そういう面から言っても、恐らく大体は使用済み燃料に関しましては海上輸送にならざるを得ないというのが先々の見通しじゃないだろうかというふうに考えます。
  153. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 私が申し上げておりますのは、まだ使わない燃料棒につきましても、できる限りこれを海上輸送に移していくという考え方を持って進んでいただきたい、それがいいんじゃないか。  それからもう一つ。先般、先年の十二月に輸送されました美浜一号炉からの破損した燃料棒でございますね。こういったものの輸送も陸上輸送によって行われておる。もしこれが事故が起きたらどうなるのか、そういうことを考えますと、こういったものにつきましても、できる限りこれを海上輸送に移していくというような考え方で進んでいったらどうかということを御質問申し上げておるわけでございます。
  154. 佐藤兼二

    ○佐藤(兼)政府委員 具体的な美浜の破損燃料の東海村までの輸送問題でございますが、この際は、先ほど申しましたような一般的な行政の措置によりまして、具体的な物に関しましては私どもが安全確認をいたしまして、それで運輸省による輸送許可というものを得て東海村まで運ばれたということでございまして、それ自体に関しましては、安全上支障がなかったのだろうというふうに私たちは考えております。  なお、今後の一般的な行政の考え方といたしましては、いろいろやはり問題がございます。今国会におきましても、私ども規制法等の改正を考えておりまして、すでに御提案申し上げておるわけでございますが、基準の遵守、確認ということをより明確にしたいということ、それから、確認された場合において内容的に非常に問題があって、是正をさせるべきだということにつきましても、そういうものを法制的にはっきりさせて対処をするというようなことを現在考えておるところでございます。
  155. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これは今度改正案が出ておりますが、もうこれは外国でも問題になっているわけですね。こういうものの輸送について盗難があった場合にどうするか、事故があった場合にどうするか。特に盗難に対しましては警察力を行使するということが言われておるわけです。結局、原子力発電所をつくればつくるほど、いわゆるファッショ的な警察行政的なものが進んでいくという面があるということは指摘されているわけなんですよ、したがって、これは陸上輸送にゆだねればゆだねるほど、あなたのところの改正案に出ているとおり、都道府県公安委員会の協力を得るというようなことになるのであって、でき得る限りこれを海上輸送にすればそういうことはない。そういうことを考えてみますると、私は、これは新燃料であれ廃棄物であれ、あるいは折損燃料であれ、可能な限りこれを海上にして、そうしていわゆる警察国家的な色彩というものを人々にうかがわしめないようにするという考え方の方が正しいのではないかと思います。したがって、この点についてはぜひあなた方もよくお考えをいただきたいというふうに要望をいたしておきたいと思います。  それから次に、原子力発電所の集中化問題でございます。  御案内のように、福井県あるいは福島県等はどういうものでございまするか、原子力発電所がどんどん建っておるわけでございまして、もちろん一ヵ所に何ヵ所も発電所が建つということは企業のぺースとしては大いにメリットがあるわけでございますが、こういうように、いわゆる原子力発電所が集中建設されるということが果たして望ましいことであるのかどうかということについて、まずお伺いいたしたいと思います。
  156. 武田康

    武田政府委員 先生御指摘のように、福島、福井の地区では、それぞれ数台ずつ現実に動いておりますし、あと建設しているものがそれぞれございます。したがいまして、福井県地区というふうな感覚でとらえますと、運転中、建設中合わせて七基、八基でございますか、そういう原子炉があるわけでございます。  いまの集中ということでございますけれども、実は原子力発電所、これは原子炉ごとでございますが、発電所の建設を行いますときには原子炉の安全審査会で安全上のチェックをいたしておりまして、その際には、仮に複数の原子炉が相互に影響するというようなことが想定されるという場合には、それも考慮して安全審査が行われているのが現状でございます。     〔井上(普)主査代理退席、主査着席〕 安全審査に引き続きまして、建設、運転に当たりましての監督等も現在法規に従いまして厳格にやっているところでございまして、そういう意味では、現在許可されているものに限定して申し上げれば、そういうチェックを終わった後のものでございますので、安全の確保なり環境の保全という観点から問題はないものと考えております。
  157. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これはいろいろ問題があるわけですけれども、時間がございませんので次に移りたいと思いますが、そういうことで、地方自治体の中に、原子力発電所が次々につくられるわけでございます。その場合に地方自治体というのは、この原子力発電所に対してどのような権能を持っているのかということでございますね。一つ例を挙げて申しますと、先般美浜の一号炉が燃料棒の折損事故を隠蔽していた。ところが、この隠蔽していたことにつきまして、一体地方自治体というものに対してはどうなるのか。地方自治体は企業との間に協定を結んでおります。だから、事故があったら直ちに知らせ、こういうことになっている。ところが現実にはやはり国に対して知らせてこなかったように、地方自治体にはまだまだ知らせてこない、こういう関係になっているわけですね。  そこで、私がここで要望いたしたいと思いますことは、いわゆる国が許認可をする場合において、地方自治体に対しても、その条件として、事故その他の重要な問題についてはこれを通報連絡しなければならぬということを、やはりはっきりと国の方針として明確化していただかないと、福井県なんか九つから原子力発電所がいま動こうとしておる。そのほかにまだ四つつくってくれと言っておる。幾らでもつくるわけなんです。そうして、もう少数の住民を金で買って、あとどんどん広げていく、こういう状況ですね。そういう場合に、県全体としては、通報も受けることができない、連絡も受けることができないということでは困るわけでございまして、この点ははっきりさすべきではないかと思うのでございます。  それから、二つ目には立ち入り調査の問題でございます。やはりその所属している自治体が立ち入り調査もできないということでは、これは何のためにこんなものをつくるかということになるわけでございます。当然国は、地方自治体が立ち入り調査のできる権限を与えておくべきではないかというふうに思うのでございます。この点を法律に明確に書いてもらいたいということでございます。  それから、次に放射能の測定でございますが、この放射能の測定の結果を公表することにつきましても、やはり国の責任を持った指導でこれを行っていくというぐらいのことは、はっきりと国として出していただかなければならないのではないかというふうに考えるわけでございますが、この点に関していかがでございましょう。
  158. 武田康

    武田政府委員 第一点の、美浜の折損事故に関連いたしまして自治体に何らのインフォメーションもなかった、こういうことでございますが、それと関連いたしまして、自治体との間の協定とのかね合いでございます。現在、福井県、関係市町村、それと当該原子炉の設置者との間で、いわば地元との協定というものができておりまして、現在の協定によりますと、発電所に故障が発生しましたときには、そういうことを発生後直ちに自治体に連絡するという協定になっております。一方、その協定は、当初結ばれましたときが昭和四十六年でございますけれども、その昭和四十六年から現在まで五年半の間に何回か改定されておりまして、事務局に調べさせましたところ、四十八年当時は実は連絡体制につきまして現在の協定のような精緻な決めがなかったようでございます。そこで、私どもといたしましては、原子力発電所の立地、運転というものは、当該地元自治体、住民方々の御理解と御協力のもとで初めて成り立つものでございまして、こういう原子力発電所立地並びに運転に伴いますいろいろな事項に関しまして、当該地元の自治体と電力会社とがお互いに協定を結びまして、たとえばいまの報告等も中に含まれるべきものと思いますけれども、そういうことで電気事業者の方は正確な情報を地元に差し上げ、一方自治体の方はそれを見て判断するというような、理解と協力のベースになるようなものというのはぜひとも必要だと思い、かたがた、協定を結ぶ以上、その協定を厳格に守るようにという指導を、電気事業者に対しましてしているところでございます。  第二点の立ち入り調査でございますけれども、これまた、現在の協定の中では立ち入り調査という条項がございまして、異常な事態で特に必要があると認めますときには、自治体の職員が立ち入り調査ができるというような規定がございますのが一般的な地域協定、これはどの場所でもそうでございますが、そういうかっこうでございまして、これにつきましても、私どもといたしましては、原子炉設置者である電気事業者に対しまして、そういう協定に定められたことを遵守するようにという指導を従来からしているところでございます。  それから放射能測定につきましても、これは、電力会社自身が測定するのもございますが、同時に、協定等に基づきまして、地元方々と測定する、それから、その測定した結果を評価し、それで公表するというようなファンクション、機能を持ちます委員会なり何なりを、県なり関係市町村でお持ちであるというのが一般的な例でございまして、それにつきましても、科学技術庁と私ども協力いたしまして、そういうようなことで、その測定結果を出すようなことを、国の考え方としても指導しているのが現状でございます。
  159. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 福井県のことを聞いているわけじゃないんですよ、一つ例は申し上げましたけれども。やはり国が、そういう原子力発電所をつくっている自治体の立場というものを尊重するような国の方針というものを明確に決めたらどうかと、こういうことなんです。たとえば、事故が起きたときは直ちに自治体に、国に報告するだけではなくて自治体にも同様の報告をする、あるいはまた、立ち入り調査につきましても、自治体の調査を拒んではならないということを国の方針として明確にしてもらう。これは福島県でも福井県でもみんな一緒ですよ。それなしに、ただ持ってきて、金だけ渡せばいいんだというようないまの国のやり方というのは、余りにも自治体の立場というものを無視しているんじゃないかということを申し上げているのであって、その点をあなたの方で改正するとか、方針を定めて進むとかという気はないのかどうかということを聞いているわけなんです。一言で答えてください、もう時間がございませんから。
  160. 武田康

    武田政府委員 事故その他につきまして、国に対する報告と同様に、まさに同時に関係自治体に報告するというようなことを指導いたしておりまして、最近はほぼ守られてきているようなかっこうでございます。
  161. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これは私、この法律の中にもそういったものをやはりきちんと含まれて出していただきたいということを要望いたしておきたいと思います。  それから、もう一つ伺いしたいと思いますのは、原子力発電所の建設予定地に対する調査でございますが、実はこれは福井県の問題です。福井県に、御案内のとおり高速増殖炉「もんじゅ」という原子力発電所の要望が来ました。一応調査を行うことを県は決定いたしました。ただ、そのときの県の決定は、調査と原子力発電所の受け入れとは別問題であるということを、県議会も知事もこれは確認をして調査を認めているというのが現在の状態でございます。この調査段階というのは、まだ建設段階ではないと私は思うのでございます。ところが動力炉・核燃料開発事業団、国が相当金を出しているわけでございますが、ここではこういう宣伝のパンフレットを毎月一回ずつ発行しているのです。これは一号、二号、三号でございます。そうして、建設の調査が認められると同時に、毎月二万部の部数を発行いたしまして、青年団、町内会を含めましてこれを配布しているわけでございますが、これは先ほどございました不当広告と申しましょうか、あるいは誇大宣伝といいましょうか、そういうものでございます。まずこれを言いますと「信じたくない話ですが、ある日電気がなくなってしまう。「こんな心配のない日本」にしたいと思いませんか。」と書いてある。ある日電気がなくなってしまう。そうして中には、結局高速増殖炉の宣伝が入っているわけでございますが、ここに「堺屋太一 作家・某中央官庁勤務 著書「油断!」」とこうなっておりまして、この人が、ある日アラブで油をくれないということになりますと、二百日途絶すると、三百万人の日本人が死亡して国民財産の七割を失う、こう書いてございまして、そのために高速増殖炉が必要なんだということの宣伝文句でありますね。これは一体どういうわけですか。労働省ですか、科学技術庁ですか、これはどこの官庁の人が書いているのですか。いかにもセンセーショナルな、言うならば大事件が起こるようなことをして、そうして高速増殖炉を正当化しようとしているわけですね。まだ県民はそこまでいっていませんよ。福井県の知事だってそこまで考えてないんです。それにちょっと調査を認めさせて、風向きや潮流や地盤の問題を調べさせると、すぐこう出てくる。これは第三号です。一番最後にどう書いてありますか。「このゆたかな電化生活を先々までお約束できるのは、プルトニウム燃料があるからです。」と書いてある。もう水力電気も要らないし石油の火力電気も要らない。こういう宣伝物をどんどん出しているということは非常に問題があると私は思うのです。だからこの点ははっきりさせていただきたい。私の希望で言えば、これは直ちに中止していただきたい、少なくともきちんと許可が出るまでは、調査が終わるまでは、こういうものは中止していただきたいということをお願いいたしたいと思います。
  162. 内田勇夫

    内田(勇)説明員 ただいま御指摘の点についてお答えいたします。  動力炉・核燃料開発事業団は高速増殖炉、新型転換炉及び核燃料の開発を目的といたしまして、動燃事業団法に基づきまして昭和四十二年に設立された事業団でございます。これは、御指摘のように福井県の敦賀市白木地区を高速増殖炉の用地として適地かどうかということを調査するために、自然公園法等の所要の許可を福井県知事から得まして、現在、昨年七月から現地調査をいたしております。  それで調査の内容は、ただいま先生からも御指摘ございましたように、まず一番目としまして気象観測用施設等を設置いたしまして、風向、風速、雨量及び気温等を調査する気象調査。第二といたしましてボーリング等による岩盤、地表等の地質調査。それから第三番目といたしまして、敷地付近の海流、海水の温度等の測定を行います海象調査、この三種類の調査を実施しておりまして、この高速増殖炉サイトにおきます環境への影響の評価及び敷地条件の確認等のための諸データをとることを内容とした調査を行っております。  ただいま先生御指摘のPRの点でございますけれども、高速増殖炉の開発は将来の新型動力炉として開発を行うという方針で進めておるものでございますし……。
  163. 伊東正義

    伊東主査 ちょっと待ってください。通産大臣が本会議へ入らなければいかぬものですから、もうこれで……。
  164. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 通産大臣は行っていただいて結構です。  このパンフレットについてあなたはどう思うのですか。説明は要らない。
  165. 内田勇夫

    内田(勇)説明員 このため動燃事業団におきましては、高速増殖炉の将来の役割りとか、安全確保の考え方及びわが国における研究開発の状況等についてパンフレットをつくりまして、広く国民一般の理解を得べく広報活動を実施しているというふうに了解しております。  ただいまその内容の点を御指摘ございましたけれども、その内容というのが、もしただいま御指摘のような誇大広告といったような表現がございまして、そのような点で誤解を招くというような点がございます場合には、今後そのような点がないように指導してまいりたいと考えております。
  166. 伊東正義

    伊東主査 それでは、もう時間ですから、一言にしてください。
  167. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 こういうふうに図が出ているのです。毎回出ているのです。これは敦賀湾につくられるところのいわゆる高速増殖炉の図なんです。だから、まだできていないのにもう見取り図はできているのです。私、新聞もたくさん持ってきています。読売も毎日も朝日も全部書いています。見取り図が出ていると書いてあります。こういうことをやっていたのでは、この調査というのは一体何のためにやるのかということを疑わざるを得ませんね。いまあなたは正当な広告だ、宣伝だと言うけれども、そういうふうには受け取れないですね。地元は全部受け取っていません。しかも地元へ重点的にまいていることは間違いないのです。だからこういうことをやられたのでは、せっかく地元が立地調査を認めても、それをいいこと幸いにしてどんどん押しこくってくる、こういうやり方は私としては納得できません。そのことを申し上げておきます。
  168. 伊東正義

    伊東主査 これにて田畑君の質疑は終了いたしました。  午後二時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時五分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十一分開議
  169. 伊東正義

    伊東主査 休憩前に引き続き会議を開きます。通商産業省所管について質疑を続行いたします。西中清君。
  170. 西中清

    西中分科員 私は、繊維産業、とりわけ丹後筆の絹織物業者が今日非常な不況に襲われている点について、大臣のこれに対する処置をお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、丹後は最大の絹織物の産地でありますけれども、不況そして先行きの不安によって全般的に節約ムード、消費の冷え込み、こういったところから特に呉服の需要は著しく減退しております。それに加えて、生糸の一元化輸入、さらには外国産の絹織物の輸入の急増等によって、糸高製品安、こういう事態に落ち込んでおりまして、目下絹織物業者は赤字経営を余儀なくされておるのであります。そして、倒産とか廃業、こういったものが増加する傾向は著しいものであります。  ここで私がお伺いをいたしたいことは、昨年の八月の十九日に七項目にわたる絹業安定緊急対策が制定されましたけれども、その実施と実効のほどはどうなっておるのか。少なくともこの対策がこうした絹業の各地域において効果を果たしたということはほとんど認識されないわけでございますけれども。これは項目としては七項目にわたっておるわけですが、これを一つ一つ聞いておりますと時間がありませんから、まず第一に、第一項目であります「設備共同廃棄」、これはどのような実績があるのか。  第二点は、第二項目の「他産業への転換」、この件は何件ぐらい実施をされたのか。これによって織機や人員の減員はどの程度進んだのか。  それから第三点は、絹製品に関する新商品、新技術の開発は昭和五十二年度に配慮をするということが述べられておるわけでございますけれども、今回の予算の中に具体的にどのような施策が予算化されておるのか。  それから第四点は、運転資金の融資等はどういう実績があるのか。  この点について簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  171. 藤原一郎

    藤原政府委員 いまお話のございました昨年の八月の三省了解事項七項目に基づきまして、絹業安定緊急対策を進めておるわけでございます。いまお示しの項目につきまして簡単に御報告を申し上げます。  まず設備共同廃棄事業の関係でございますが、これにつきましては、日本絹人繊織物工業組合連合会におきまして傘下の七組合から約六千九百台の織機の設備共同廃棄を予定しておりまして、現在計画の詳細を検討中でございます。政府といたしましても、業界、地方公共団体とも十分連絡をとりながら円滑な実施につきましてきめ細かく対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。  それから転換の問題でございますが、これは言うべくして現実にはなかなかむずかしい問題でございまして、私どもといたしましては、繊維工業構造改善臨時措置法に基づきますところの構造改善事業の一環といたしまして、絹業の転換を促進いたしますために、絹業転換事業臨時措置実施要領というものをつくりますとともに、また一方、中小企業事業転換対策臨時措置法に基づきます指定業種ということにいたしまして、現在、可能なものにつきましては事業転換の促進を図ってまいりたい、このように思っておりますが、現実にはやはり他産業への転換といいますものはなかなかむずかしゅうございまして、実績はいまのところまだございません。今後、事態の推移に従ってやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。  それから三番目の絹製品の需要振興、生産技術の開発の関係でございますが、関係業界におきまして絹製品需要振興協議会というのが先般設置されまして、業界が一体となりまして需要動向調査とか求評会の開催とか、あるいは需要開拓等の事業を行いまして需要振興を図ることといたしております。政府といたしましては、これらの需要振興事業を推進いたしますために、繊維工業構造改善事業協会の振興資金に本年度予算をもちまして一億円の出資を行うことにいたしております。このほか、生産技術の開発につきましても、中小企業の技術改善補助金とかあるいはその他の助成金を積極的に活用してまいりたい、このように考えておるわけでございます。  その次にお話のございました運転資金等の確保の件でございますが、これは、政府系の中小企業金融三機関が在庫凍結等に必要な資金にかかる融資を優先的に行うとともに、借り入れ限度及び据え置き期間の弾力的運用を図りまして、実は五十一年の九月から十一月まで一応百億円の資金を用意したわけでございます。実績といたしましては約二十億円、二十一億円弱の融資を行ったことになります。
  172. 西中清

    西中分科員 いまの御説明を聞いておりましてもわかりますように、大臣もよくお聞きおきいただきたいと思うのですが、まず第一番目の問題は、これは共同廃棄ができる地域はまだいい方なので、その力もないようなところは、これにすでに行き詰まっておる。第二点の問題点は、実績がゼロである。第三の絹製品の新しい商品技術等の開発、この措置につきましても、従来の制度にのっとってというような非常に甘い対策しか打たれておりません。そして第四番目、たくさんの産地があるわけでございますけれども、いまお話があったように二十億円。何が基準で二十億になったのか私は知りませんけれども、一例を挙げますと、丹後の機業、この地域において、金融公庫に問い合わせをしても、そういうことについてははっきりした数字がない。現実に去年の九月から十一月までにこの措置がとられておるとするならば、五十年よりも何らかのまとまった数字が出てこなければならない。私はこれを見ましたところが、この期間の融資件数というものは、国民金融公庫の舞鶴支店で五十年が二百六十六件、五十一年この緊急措置がとられて二百八十一件、わずかに十五件です。これは総計です。絹織だけの問題ではなくてこの支店の扱いがこれだけなんです。そして、いま三公庫全体で二十億というお話がありますけれども、国民金融公庫一つとりますと二億何がしか、こういうわずかな対策しか行われておらないというのが実情でございます。実際この絹業地帯の厳しい状況の中で、これだけの緊急対策が打たれておるけれども、事実上はほとんど何もなされていないに近いのじゃないでしょうか。これはどうでしょうか。
  173. 藤原一郎

    藤原政府委員 いまお話がございましたが、例の緊急融資につきましては、政府といたしましては三公庫で百億円の枠を用意したわけでございますが、その中で現実に融資申し込みがありまして融資が行われましたものが、在庫凍結資金、減産資金を合わせまして約二十一億、こういう実績になっている、こういうことを申し上げたわけでございます。
  174. 西中清

    西中分科員 ですから、ここで大臣にお考えいただきたいことは、この緊急対策が単なるペーパープランであって、現実の絹業界には大して役に立たなかったのではないか。また、融資を百億という目標にしても、実際は使われない、使う余力がないのだ、こういう実情だということを私は言いたいのです。この点についてどうお考えになりますか。
  175. 田中龍夫

    田中国務大臣 先般も京阪神、また名古屋の方に参りまして、特に繊維関係の皆様方ともいろいろと御相談をいたしたり、お話を承りました。ただいまもお話のあったごとく、本当に冷え切ったと申しますか、この絹業関係におきましては皆様方も悩みに悩んでおられる。何とかしてこの現況を打開しなければならない。本当に思いを新たにして帰ってまいったような次第でございますが、また皆様方と御一緒に――これはもう役所だからできるということでもありませんし、また業界の方々に御一任してできることでもない。本当に国を挙げて業界を挙げて、われわれ一体となってこの難局に当たり、同時に少しでも打開していかなければならない、かように考えております。
  176. 西中清

    西中分科員 ですから、私は一つはやはり現状認識というものについて非常に甘いものがあるのではないかというように思うわけですね。少なくとも、繊維全体がよくないことはよくわかりますけれども、とりわけこの絹業というものは、一元化輸入等の問題があって、また二国間協定の問題があって、他とは非常に違った要素を含んでおるわけですから、その辺のところを十分配慮をして対策をお願いをいたしたい、こういうように思うわけでございます。  そこで、糸の問題についてお伺いをいたしますけれども、いずれにしても近々のうちに基準糸価というものが決められるでありましょう。その基準糸価を決め、養蚕農家の生活を守る、それはそれなりの意味はあったと存じております。ここで、その値段が毎年毎年何パーセントずつか上昇しておるわけですね。ここに至って、絹織物の需要の実態からその値段を判断した場合には、現在の価格以上のベースで上昇していくとするならば、いよいよ実勢の市況とは非常に差があるということは、これは客観的に見て否定できない事実だろうと思います。この糸高というものが今日この不況の中で一層の消費の減退を招いていく、こういうことは必至の状態であろうと思います。これで毎年毎年こういう基準糸価というもの上昇していくとするならば、結局は絹業者が倒れる、絹業者が倒れることはひいては養蚕農家も衰微をしていくという、こういう相関関係があるのではないかと私は思います。したがって、少なくとも農家を守り、さらにはまた企業を守る、機屋さんを守る、こういうことからいくならば、この辺でやはり糸価の問題については抜本的に考え直す必要があるのではないかと思います。やはり農家の生活のためにはこれは当然毎年上げていかなければならぬでしょう。私もそれを否定するものではございませんけれども、だからといって、ではそのしわ寄せを一切機屋におっかぶせるというやり方は、いよいよ限界に来たのではないかという意味でございます。したがって、双方が生きていくためには、このあたりでやはり、過去にも何度か検討されたと聞いておりますけれども、不足払いまたは助成金、そのほか課徴金等々、こういった点についてもう一度考え直して、農家の糸価は保証する、そうしてまた安い糸を機屋にも渡す、こういった考え方をここらあたりでもう一遍考え直さなければならないのじゃないか、私はそう思っておるのですけれども、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
  177. 池田澄

    池田説明員 養蚕農家といいますか、蚕糸業の振興の観点から繭糸価格安定法がございまして、これに基づきまして糸価の安定あるいは繭価の確保というようなことを図ってまいっておりますけれども、生糸という商品特性からまいりまして、需要者であります絹業を無視してこれはまたあり得ないというふうに私どもは考えております。現在の制度のもとにおきまして、三月中にまた基準糸価、五十二生糸年度において適用されます基準糸価を決めなければならぬわけでございますけれども、この場合におきましては、生糸の生産条件及び需給事情その他の経済事情を見まして、適正な水準に安定させるという趣旨でこれを決めていくことにいたしております。  特に、現在の状況を見ますると、先ほど先生の御指摘がありましたように需要サイドの苦しさ、こういったものもございますので、それらを総合勘案をいたしまして、この月末に開かれます蚕糸業振興審議会価格部会におきまして十分検討の上、適正なものとしてまいりたいと思っております。  なお、長期的な問題といいますか、別の制度を新たに考え直す時期じゃないかという、こういう御指摘につきましては、これは先ほど先生もおっしゃいましたように、昨年あるいは一昨年といいますか、いろいろと通産省とも検討してまいりましたけれども、現段階におきましては、その財政負担の問題あるいは有限性の問題等々ございまして、なかなか新しい制度の実施というものに困難が非常に多いということになって現在に至っておりますけれども、もちろん現在の繭糸価格安定制度がすべてというふうに私どもも思っておりませんので、今後とも将来と申しますか、長期的な観点からの新しい方策、こういったものについては十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  178. 西中清

    西中分科員 通産省も御検討いただけますか。
  179. 藤原一郎

    藤原政府委員 私どももその点先生と同じような感じを持っておりますので、農林省と協力いたして検討してまいりたいと思います。
  180. 西中清

    西中分科員 この価格の決定ですが、現在蚕糸業振興審議会繭糸価格部会、こういうところで決められておるようでございます。以前の状況でございますと、農家サイドといいますか、農林省サイドというか、そういうメンバーで決めていかれるのも一つ方法だろうと私は思うのです。しかしこういうように状況は変わってきましたから、消費者の立場というものについての意見も反映されなければならぬと思うのです。現在消費者の方は委員何名中何名が消費者側でありますか。その点について……。
  181. 池田澄

    池田説明員 実は、繭糸価格安定法に基づきます価格等を処理いたします機関といたしましては、昨日蚕糸業振興審議会の総会が開かれまして、そこで繭糸価格部会というものを設置いたし、その属すべき委員の数を決定いたしております。これはたてまえ上はあくまでも、そこに属する委員の方々はすべて学識経験者ということになっておりますけれども、いま先生の御指摘になりましたように、需要者サイドあるいは生産者サイドというふうに強いて分けてまいりますと、流通あるいは需要サイドという点の方々は従来より増加いたしまして、約七名というふうに考えております。  なお、部会の総数は二十名ということに相なっておりまして、中立委員あるいは生産者といいますか、生産サイド的な委員というような観点から比較してみますと、むしろ多いかあるいは少なくともバランスはとれている、そういうふうに努力してきたつもりでございます。
  182. 西中清

    西中分科員 まあ、見方によってこれはいろいろ変わると思うのですね。しかし、明らかに消費者側と感じられる人は西陣織物工業組合、日本絹人繊織物工業組合副会長、それから京都織商組合理事長、大体この辺ではないかと私は思います。あとは第三者的な立場の人が若干含まれてきて、どちらかと言えば、消費者の方か、農林省の方か、生産者の方かというような判断のむずかしいところです。もう少し状況変化とあわせてこの委員の編成がえを考えられた方がいいのじゃないか、どうでしょうか。
  183. 池田澄

    池田説明員 繭糸価格部会の委員構成につきましては、通産省等からも従来からいろいろ御希望がございまして、そこでいま御指摘になりました西陣の滋賀さんを新たに加えまして、それからいま先生の御指摘以外の方にも、たとえば木村一郎さんなどという、これは裏地の方でございますけれども、そういう方々も含めますと、やはり六、七名は数えられるのではないかというふうに思っております。
  184. 西中清

    西中分科員 時間もありませんから、次に参ります。  二国間協定についてお伺いしたいと思います。  日韓生糸絹織物貿易取り決め交渉は十日、十一日に行われたわけでございますが、現在機業の皆さん、機屋さんは、少なくとも国内市況が回復するまでは絹織物、絹縫製品の輸入等は停止をせよ、強い要求でございます。また、たとえそれがもしも無理な要求とするならば、少なくとも輸入数量をうんと抑えてもらいたい、こういう要求が強いわけですね。日本の国内の絹織物業者が減産に次ぐ減産をしておる。丹後の場合ですと、恐らく来年五十二年度昭和四十一年のベースまで下がってくるだろう。これほどのすごい減産をしながら生きていこうと苦労をしておるわけですね。この点で、交渉に当たる政府の基本姿勢及び現在までの交渉の経過、特に韓国は現在輸入量をどの程度にしてほしいというような主張をしておるのか、その辺のところを御説明願いたいと思います。
  185. 藤原一郎

    藤原政府委員 先般韓国におきまして日韓絹交渉、本年五十二年度分の第二回をやったわけでございまして、非常に主張に開きがあったわけでございますが、その国内事情なりその産業の置かれた状況につきましては、非常にお互いに状況の理解はいたしました、こういうことでございますが、双方絹織物につきましては、韓国はやはり昨年実績よりは少なくとも相当程度上回ってほしいということでございますし、私どもの方は、国内が減産をしておる状況であるので、来年度は前年度実績よりは少し下回ってほしい、こういう交渉でございますので、非常にその間開きが大きゅうございまして、結局交渉の数字としては物別れということでございます。ただお互いに状況自体は非常に深く認識をしたということでございますが、四月に入りまして、再度また交渉をしよう、こういうことでございます。
  186. 西中清

    西中分科員 いずれにしても、総枠において抑える、これは一つのねらいでございましょう。もう一つは、絹織物や二次製品、これがふえますと、機屋さんは困る。簡単なことですけれども、それだけに生糸の輸入を枠をうんとふやしていただく。総枠で、その中で生糸をうんとふやす、これが何といっても交渉の大きなポイントでなければならない。また、そういうような要望が非常に強いわけですね。それからもう一つは二次製品、これがどんどんふえてくる、こういう状況でございますが、いかに二国間の協定を生糸、撚糸、そして絹織とやってきても、二次製品がふえればまた同じ事態でございます。ですから、交渉の協定品目として、二次製品まで加えておるのかどうか。いまそういう主張をしておるのかどうか。その点について御答弁を願います。
  187. 藤原一郎

    藤原政府委員 最初のなるべく生糸でというお話でございますが、これは従来から生糸原則といいますか、なるべく生糸ということで交渉方針といたしておりますことは変わりがございません。  それから製品でございますが、二次製品につきましては交渉の内容の中には含まれておりません。現実問題といたしまして二次製品につきましては、現在私ども把握しております限りではそれほど入っておりませんし、またそう急増するという見込みもないのではないかという認識でございます。
  188. 西中清

    西中分科員 その点がまた新たな問題として目に見えてきておる段階でございますから、交渉の中で少なくとも新しい議題としてのせてこのような努力をお願いしたいと思いますが、その点どうでしょうか。
  189. 藤原一郎

    藤原政府委員 交渉項目として挙げるということは当面考えておりませんが、これがせっかく抑えました織物その他の脱法的な形で入るということは厳に自粛してもらうようかねてから申しておりますし、今後もそのつもりでおります。
  190. 西中清

    西中分科員 次に、実需者売り渡しについてお伺いをしたいと思います。  これはとかく昨年の実績の中で批判の多い、要するに計画的でないとか、糸が悪いとか、いろいろ問題がございました。この五十二年度ではどういう計画なのか。さらにはまた、この実需者売り渡しの数量の問題、これは要望が非常に強くて、できれば四万俵してもらいたいというような声が強いわけですが、その点について御答弁をお願いしたい。
  191. 藤原一郎

    藤原政府委員 実需者売り渡しにつきましては、五十一年度一万四千俵実施したわけでございます。いまお話がございましたように、確かに初年度であります五十一年度は必ずしもスムーズに実需者割り当てがいったというふうに考えておりません。そこで来年度につきましては農林省と通産省と先般来話し合いをいたしておりまして、四半期別にあらかじめ決めました数量を計画的に実施したい、このように考えています。総量につきましては、まだ生糸全般の輸入総量というものが決まりませんので、数量についてはちょっとまだお話申し上げることはできません。
  192. 西中清

    西中分科員 一応の心づもりとして、農林省なり通産省としてお話し合いになって、来年はこういうふうにしようじゃないかという一応の計画はあるのではないかと思うのです。その点はどうでしょうか。
  193. 藤原一郎

    藤原政府委員 数量につきましては、二国間交渉もいろいろ控えておりましてちょっと申し上げかねるので、御勘弁いただきたいと思います。
  194. 西中清

    西中分科員 それから保税生糸は、これは枠の中に入るのか、入らないのか。これはせっかく好評な一つの制度といいますか扱いになっておるけれども、これがふえればそれだけ実需者売り渡しの分が減るという、非常に痛しかゆしという、こういう面があるわけですね。協定の中に入ると困る、こういう希望があるわけですけれども、その点はどうなんでございましょう。
  195. 池田澄

    池田説明員 保税の問題につきましては、主として中国の問題でございますけれども、中国との二国間の合意に従いまして運営する過程におきまして、本年度といいますか五十一年度におきまして確かに問題がございました。その経緯につきましてはいろいろございますが、要するにわが国に輸入いたします生糸の量を何ではかるかということにつきまして、双方合意いたしました線がいわゆる通関統計といいますか貿易月報でございました。この統計でまいりますと、自動的にといいますか、当然にその中に保税が入ってしまうということで今日に至っているわけでございますが、しかし保税につきましては一元輸入からも外されておりまして、これが世界全体の絹需要等におきますその拡大、こういった面に大きな意味も持っておるものでございますから、私どもは今後中国と十分保税の問題の扱いにつきまして、わが国の保税関係業者といいますか、そういう産業の振興という観点からも話し合ってまいりたいというふうに思っております。
  196. 西中清

    西中分科員 時間もなくなりましたので、三点まとめて御質問します。  一つは、蚕糸事業団、これは農林省の方のおつくりになった事業団ですから、農林省の方ばかりがやるのはあたりまえと言えばそれまでなんですが、少なくとも絹業についてのいろんな施策もしていくという背景がありますから、通産省ないしは絹業界の代表をこの役員の中につけ加える気持ちはないかどうか。  それから、生糸一キロ当たりに二百五十円の手数料というか、これは生糸相場に対応してのお金でございますけれども、取っておられる。これを全額というのではなくて、たとえ一部であっても何とかもう少し需要の拡大等の方にお金を使うような方式――現在予算化されておる一つの案として載っておるのは、三百万円ほどの鼻くそみたいなごくわずかなものでございまして、これじゃ着物の需要の拡大には役に立たない、こう思うわけです。その辺の改正、改革をする気持ちはないか、これが一点。  第二点は、先ほど融資の問題でお話をいたしましたけれども、事ここに至ってはかなりの倒産が見込まれる今日、政府系の三機関の借入金については思い切った長期の返済猶予、こういった措置をとるべきではないか。同時に、十年返済、三・五%の低利、こういうような特別な融資制度を要望する声も強いわけでございますけれども、その辺のところはどう考えておられるか。  それから最後に、先ほども私は冒頭に申し上げましたけれども、養蚕農家と絹業者が生きてくためには、双方がともに共存共栄するためには、現在の価格決定のシステムであるとか審議会の内容、こういうものではもう対応し切れない。ですから双方が一緒になって将来の展望を開く長期ビションをつくるような蚕糸絹業審議会――どれかを改組するとか、いろんな方法があるかと思いますが、両方がともに生きていくための新しい長期的なビジョンをつくるための審議会を設置されるつもりはないかどうか、この辺のところをお伺いいたしたいと思います。
  197. 池田澄

    池田説明員 御質問の一点と二点について私の方からお答えいたします。  まず一点の、事業団の運営の関連におきます組織の問題でございますけれども、事業団の運営につきまして基本的な方向を決めてまいりますものに、日本蚕糸事業団の運営審議会というものがございます。ここで審議いただきました基本線に沿いまして役員といいますか、執行部でそれを現実に移していくということでやっております。この運営審議会にはできるだけ需要者、要するに絹業サイドあるいは流通関係の意見を反映すべく、先ほど先生の御指摘にありました丹後や西陣、こういったところの代表の委員を加えて十分意見を聞いております。今後ともこの運営審議会の適正な運用を通じまして、需要サイドの意見の反映といいますか、先ほど先生おっしゃいました蚕糸あるいは絹業の共存という観点から進めていきたいというふうに思っております。  それから二番目の、実需者売り渡しに際しまして事業団が徴収いたしております。キログラム当たり二百五十円の件でございますけれども、これは純粋には経費、コスト的な考え方ではじいておるものでございまして、その一部は事業団の一般的な運営経費、もう一つは法律の規定によりまして、国内の糸価が低落しているときには、供給過剰でございますから、実需者売り渡しといえども一時調整保管をすることに相なっております。これに要する経費、すなわち生糸というものは非常に高額なものでございますから、思ったよりかかります。ただ、そういう事態はしょっちゅうあることではございませんから、一定の確率でこれを組んで計上いたしております。そういう意味では過去に、昨年十月と十二月に実施いたしました例を見ましても、途中でちょっと、いよいよ調整保管をしなければいかぬかなという事態はありましたけれども、幸いにしてそれがなしに済みました。  そこで、これらはもう少し長期検討していかなければいけませんけれども、もしそれが収益というかっこうに相なりますれば、法律の規定によりまして、これを助成事業、すなわち需要増進の面への活用ということに十分配慮してまいりたいと思っております。
  198. 藤原一郎

    藤原政府委員 緊急融資の関連について御説明申し上げます。  既往債務の返済問題でございますが、これにつきましては、かねてより個別ケースごとにきめ細かな措置をとっておるわけでございますが、特に今回非常に事態が急迫いたしておりますので、既往債務の返済については特段の配慮をするよう、また期限が参りますものにつきましては、期限が参りました時点におきまして期限延長あるいは中間据え置きとか、いろいろな返済方法の変更につきましてもきめ細かくやるよう指導をいたしております。  なお、運転資金につきまして、お示しのような非常に有利なものにつきましてはなかなか困難であろうかと思いますが、在庫凍結その他によりまして、それを担保といたしますような運転資金の融資というふうなことも方法として考えておりまして、これも具体的ケースに即しまして進めてまいりたい、このように考えております。  それから最後の点につきましては、私どもも生糸、絹業一体といいますか、それに今後の方策を見出していきたい、このように考えておる次第でございます。
  199. 西中清

    西中分科員 終わります。
  200. 伊東正義

    伊東主査 これにて西中君の質疑は終了いたしました。  次に、安島友義君。
  201. 安島友義

    安島分科員 私はエネルギー、特に電力の安定供給の確保と資源有限時代に対する政府の所信についてお伺いしたいと思います。時間の関係上大きく三つに分けまして私の質問を行い、おのおのについてそれぞれ所管大臣等より所信をお伺いしたいと思います。  まず第一は、政府エネルギー需給計画は信用できない、余り言葉はよくないですが、いいかげんではないのかという疑問を感じるわけでございます。  政府は、去る五日に総合エネルギー対策推進閣僚会議を開いて、最近のエネルギー情勢の変化対応してわが国のエネルギー安定供給確保を図るために、一昨年末、政府が決定した昭和六十年度目標の長期エネルギー需給計画を抜本的に見直し、新たに昭和六十五年度をめどとして計画を策定することを正式に決定したと伝えられております。わずか一年半前に策定した長期計画がこのように簡単につくり直しをしなければならないというのはまことに遺憾であります。かつ、非常に頼りない限りなんです。周辺の条件が急激に変わったのか、あるいは計画自身がもともと適切さを欠き具体的でなかったか、あるいは実現性を無視していたか、このいずれかではないかという感を深くするものであります。この計画を策定した当時は、オイルショックというきわめて厳しい国際情勢の変化ということももうすでにはっきりしていた段階でございます。それから原子力発電所建設に伴う諸問題についても、ある程度これらの計画を策定する上において、今後どうなるであろうかというおおよその見通しもついていたはずであります。加えて、これまでの高度経済成長政策が破綻してもう低成長時代に入ってきている、こういうようなことを総合的に考えますと、基本的にこの需給計画を策定した五十一年末と今日で急激な変化があったとは考えられないのです。結局、前に指摘しましたように、計画が不十分であった、あるいは高度経済成長から急激に低成長に移行することは、わが国経済の構造的な体質の面から無理がある、つまり、経済の実質成長率を、無理があるのを承知の上である一定方針を決め、それにエネルギー需給計画を無理に合わせたのではないか、こういうふうに考えるわけであります。世界のどの国よりも、わが国にとってはこのエネルギー問題は非常に重要かつ深刻な問題であり、国民がいま重大な関心を払っているときに、このような長期計画がずさんなものであっては国民は安心できないわけです。大臣は、この五十年末に作成した計画をかくも早期に改定しなければならなくなった理由をどのように考えられておりますか。また、その理由を反省して、それを次の計画にどのように反映させるのか。まずお伺いしたいと思います。
  202. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの御質問でございますが、昭和五十年十二月の閣僚会議において決定を見ました六十年度計画なるものは、御案内のとおりに、日本がこれから歩むべき、いわゆる低成長時代における確保すべき努力目標、かように申して過言ではないと思うのでございます。ところが、最近のエネルギーの情勢につきましては、次のような問題が生じております。  すなわち、石油代替エネルギーの開発、なかんずく原子力発電の開発でありますとか、LNGの導入等が目標どおりの達成がなかなか懸念せられるような状態にある。また、電力についても電源立地のおくれが見られ、中期的には、一部地域、たとえば北海道、中部あるいは中国等では電力不足の到来するおそれがあるなどの電力需給の逼迫も危ぶまれておるような状態であります。  なお、昭和五十年八月に、総合エネルギー調査会答申において見込みました原子力発電の開発目標、四千九百万キロワットは、当時の電源開発長期見通しの積み上げを踏まえて、関係者の努力目標として決められたものでございます。  御案内のとおりに、その後における原子力の関係も、カナダとの外交交渉あるいはカーター新政権とのこれからの対米交渉等の外交的努力も踏まえ、さらに国内におきましても、ただいま申しましたような各地の原子力発電の進捗状況、ことに、石油危機に伴いますこれが対策としての国内資源、水力あるいは火力その他エネルギー源と思われる諸種の問題等を考えましても、この六十年を目標といたしました努力目標なるものを、この段階において改めて見直さなければならないという客観的な情勢を踏まえて、ここに政府挙げてこのエネルギーの問題に取り組もうという体制を整えたわけでございます。  さような姿におきまして、総理府を中心としたエネルギーの推進対策閣僚会議を頂点といたしまして、通産省を中心とする推進対策本部の組織を各省庁挙げて整備いたしますと同時に、総合エネルギー調査会の基本問題懇談会をさらに整備充実して見直しをやろう、それには、まず総論よりも具体的な問題を取り上げ、同時に、これが実践に移るためには、一つには国民大衆の方々の心からなる共鳴と御協力が前提としてなければなりません。その次は、これに必要な財源、資金の問題をどうするか。御案内のとおりに、先般の原油につきましてキロ百十円といったような、ああいう関税に暫定的に依存するような姿でありましては、本格的なエネルギーに対処することはできない、かようなことからこれを洗い直して、抜本的に財政資金計画もこれから真剣に練っていこう、こういう状態でございます。
  203. 安島友義

    安島分科員 短時間の間で問題を指摘するのには余りに大き過ぎる問題なので、いまの説明にやや抽象的で納得しがたい点がありますが、次に進ませていただきます。  次に、政府エネルギー行政がきわめて貧困ではないかという点で問題を指摘したいと思うのです。  特に日本の置かれている立場を考えますと、福田総理を初め、いろいろな機会に資源有限時代ということを強調され、非常に大変だと口では言っているのですが、本当に国民は政府が言われるようなことを実感として受けとめているのか。それから、国民に対して常に協力を要請しているけれども、これはただ単に協力を要請する性格のものではなくて、政府が確固たる方針と見通しを持って国民の前に明らかにして、そこで初めて具体的に協力を要請するという手順があるわけでございます。  アメリカはすでに、カーター大統領が議会に提出しました一九七七年度予算教書では、前のフォード大統領の予算案を修正して、新政権の財政経済政策の方向を明らかにしております。アメリカは共和党から民主党へと政権がかわったわけですけれども、新政権発足後まだ一ヵ月程度というような時間的な制約の中で、十分な検討までいってないとはいいましても、カーター大統領が積極的に、長期の戦略的な視点から、総合エネルギー政策を重視しているのは注目に値してよいと思うのです。  それから、西ドイツの場合も、日本と同じように原子力発電計画にいろいろな問題が生じておりまして、これは予定どおり進みそうもないということに対応して、石炭を初め、在来のエネルギーを再評価して、十二億マルクの資金を投入して非核エネルギーの研究開発を行うということを私は新聞報道で見たわけです。  こういうように、日本よりもどちらかというと恵まれたと考えられる立場にある国々が、エネルギー問題に対して積極的に真剣に考えているというのに比べますと、日本の場合はどうも口先だけで、計画そのものに本当に国民を納得させるだけのものが示されていないというのは非常に残念でありますし、対応が非常におくれているのではないかと考えるわけです。  先般、国際エネルギー機関、IEAですかに出席して、石油問題等では諸国の批判を受けたり、あるい原子力発電所は事故が続いている、それからオイルはどう考えても、これは今後ともに確実に値上がりは避けられない、こういうような状況の中で、行政の不手際、見通しの甘さというものを、政府のこれらの行政がきわめて貧困であるということを、私は指摘せざるを得ないのであります。電力の安定供給を求める国民のそういう立場からすると、非常に頼りない、不安がつのるわけであります。特に政府は五十二年度予算の中で、エネルギー長期計画実現のために一体何ほどの努力をされたというのか、具体的に示していただきたいと思うのです。これは将来の問題も含めて、先ほどから強調しておりますように、長期的なエネルギーの需給計画の策定というものは、やはり国民の合意を得る前提としての、政府のそういう努力というか、あるいは決意というか、あるいは的確な見通し、そういうものが必要であると考えるわけです。そういう点から考えましても、これからの電力の安定供給の確保を図るという上においては、伝えられるところによりますと、今後十年間に約五十兆円も所要資金は必要である、これは試算の段階ですが、そう言われることが伝えられているわけですが、これはすべて財政支出で賄わないにしても、この膨大な資金をどう調達するかというような問題あるいは先ほどから強調しておりますような、こういう長期的な見通しの上に立って計画を策定し、こういうことで政府努力をしますから、国民の皆さん、よろしく協力をしてくださいというような、いわゆる国民に対する信頼をつなぐに足りるだけのそういう計画を示して国民の協力を求める、こういう点が非常に欠けているように思われるわけでございます。  特に、日本の産業構造上の問題からして、省エネルギー対策というのは、これはなかなか時間のかかる問題であります。そういうことが私たち国民の消費電力というものに大きな影響を与えるようなことは許されるべきではございませんので、そういう点からもこの計画というものの早期な、明確な方針を示してもらうと同時に、次に新エネルギーの開発という問題について、若干続けてお伺いしたいと思うのです。  特に新エネルギーとして、四十九年度よりナショナルプロジェクトとして推進しておりますサンシャイン計画、地熱利用はわが国の将来にとってきわめて重要な意味を持つと考えますが、一体いつごろを実用化の目標として考えておるのか。またこれが実用化の段階には、いわゆる電力需給計画の中にどの程度の比率といいますか、そういうものを持つものなのか。たとえて言うならば、この研究開発が長期的なエネルギー需給計画の上で、どの程度の実効果を持つとお考えになっているのか、この辺のところを明確にお伺いしたいと思うわけでございます。
  204. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御質問に相なりました中で、まずもって申し上げたいことは、この六十年を目標にいたしました計画、これとてもずっと続けて、この目標に向かって努力も続けておりまするし、またこれを見直そうという際におきましても、本当に精密な、いろいろと検討を加えた上における今回の措置に相なった次第でございます。つきましては、担当のエネルギー庁長官も参っておりますので、政府委員から先生の御納得のいくような御回答を申し上げたいと存じます。
  205. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいまいろいろと御指摘があったわけでございますが、順次お答え申し上げたいと思います。  まず、総合エネルギー政策というものは、やはり整合性と実効性を持ったものでなくちゃいけないということでございまして、先ほど大臣お答えいたしましたように、その方向に即してこれから見直しを始めようという段階でございます。その場合に、わが国のエネルギー供給構造がきわめて輸入依存的であり、きわめて石油依存型であるということの認識が第一かと思うわけでございます。  第二には、わが国におきましては、年々労働人口が増加してまいります。あるいは社会も老齢化が進んでまいります。そういった場合、完全雇用あるいは福祉政策の充実という観点に立ちますと、やはり適正な経済成長というものを維持しなければならない。少なくとも私は、この日本の一次エネルギーの供給構造と適正な経済成長の維持ということを前提として考えますならば、エネルギーの安定供給あるいは安定確保というものがそれの最大の前提になってくる、こういう認識を持っておるわけでございまして、そういった認識に立ちまして、従来、ともすればこれを実行に移す具体的手段に欠けておったうらみのあるエネルギー需給の見通しというものの見直しに入っていきたい、かように思うわけでございます。そういった線に立ちまして、先ほども先生から御指摘がございましたように、国民の理解と協力を得ていきたい、こういうことでございます。  それから省エネルギーの問題でございますが、これにつきましては、先ほど御指摘の、六十年の需給バランスにおきましても、六十年時点におきまして九・四%、石油に換算いたしまして八千万キロリットルの節約効果を前提として、あの需給バランスが組まれておるということでございます。具体的には、エネルギーの使用を効率化して、あるいはエネルギーの節約を図る。さらには排熱等の再利用を図るための技術開発をする。時間の関係もございますので詳細は省略いたしますが、そういった方向で省エネルギー政策を進めておるわけでございます。今後もそういった方向でさらに検討を進めたい、かように思うわけでございます。  それから電力でございますが、電力につきましては、かつての冬場よりも、むしろ夏場における冷房需要が非常に高くなってきておる、あるいはエネルギー需要の電力依存度が高くなってきておるという傾向からいたしまして、各社、計画どおりに立地が進まない場合には、先ほど大臣も触れましたように、地域によっては供給不足になるおそれもあるわけでございますが、われわれといたしましては、まず第一番に、さようなことにならないように地元との信頼関係を確立するとか、あるいは電源開発までに諸般の手続が要るわけでございますが、この手続をできるだけ効率的に進める、あるいはいわゆる電源三法を活用いたしまして、地元に対する利益還元といったようなことも含めまして電源立地を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。そういった場合にも、供給不安定になった場合には、いわゆる広域流通の線に従いまして、他地域からの電力融通によって賄いたい。それでもなおかつ、万々さようなことがあってはならないわけでございますが、供給不足になる場合は、まず大口需要家の需要を調整いたしまして、少なくとも家庭用への影響というものがないように努力いたしたいと考えておるわけでございます。  一応私の関連といたしましてはそういったことでございます。
  206. 窪田雅男

    ○窪田政府委員 新エネルギー研究開発、いわゆるサンシャイン計画に関して申し上げます。  この計画は、発足後三年を経過いたしましたが、研究開発はおおむね順調に進展しておりまして、一部の技術につきましては、基礎研究の段階からプラント開発の段階に進むものも出てきております。五十二年度は電源開発株式会社にテストプラントの開発を委託いたしまして、初年度は主として詳細設計の段階でございますが、開発を進めていく所存でございます。
  207. 安島友義

    安島分科員 重要かつ緊急な課題であります。いままでのそれぞれの御答弁については、どうも何か私が質問をしているのと必ずしもかみ合いませんけれども、とにかく強く国民の期待にこたえられるような確固たる方針、明確な見通し、そしてそれをどう進めていくか、国民にまた具体的に何を教育しようとするのかというふうな点をもっとはっきりさせていただきたいということを要望しておきます。  時間の関係から次に国内資源の活用という問題についてお伺いしたいと思います。  私は茨木県の日立で生まれたわけですけれども、日立は御承知のように東洋一の大煙突と言われる有名な日立鉱業と日立鉱山がございます。良質の銅の産出地として有名でございましたが、七十年にわたる採掘の末、今日では従業員数も非常に少なく、かつての有名な日立鉱山もいまさびれるばかりでございます。最盛期には八千名以上の従業員がおりまして山を中心に大きく発展したわけですが、いまはもう見る影もなくさびれております。この十年間その縮小はさらに決定的となりまして、従業員にとって非常にお先まっくらの状態でございます。この十年間にどういうふうに推移したかといいますと、昭和四十年と五十二年の比較でございますが、従業員数の場合は昭和四十年二千七百名だったのが現在はわずかに二百九十名、採掘量は月五万七千八百トンだったのが現在では一万三千五百トン。それからコストの面では、これも同じく四十年を基準にしましてトン当たり三十万円だったのが現在では五十六万から五十七万円。建て値の問題としては三十一万から三十二万ぐらいだったのですが現在は四十四万。今度はこれまでに大きく投下した社会資本の状況を振り返ってみますと、住宅の場合は昭和四十年二千九百五十六戸ございましたのが、現在は利用しているのがわずかに三百七十五戸。商店は二十ございましたが現在は十一、小学校生徒数では当時千五百名おりましたのがわずかに現在六十。中学校は当時は五百名おりましたのが現在は廃校になっている。こういう状況でございます。  私は特に強調したいことは、先般の本会議において低成長時代の雇用問題に対して総理や関係大臣質問をしたわけですが、これからの日本の方向というものはかなり多角的な政策の組み合わせといいますか、いろいろな面でこれまでの高度経済成長時代のようなやり方はもう根本的に考えなければならないのではないかという面、企業任せで企業の採算主義でいったならば、日本の金属鉱山という金属鉱山は独力でやっていけるような鉱山はもうほとんど数えるくらいしかないような現状でございます。しかもこういう金属鉱山というものはもう皆さんの方が専門ですから御承知と思いますが、一たん操業を停止しますと次に再び操業開始するのには大変なお金や労力を必要とする、そういうわけでございます。現在も人数は見る影もないような少ない状況でございますけれども、それでもやはり保安確保の点からかなり多くのいわゆる人員やお金をかけてやっているわけでございます。特に多くの社会資本を投下しながら、政府のこれらの政策に対する一貫性が欠けているために、労働者や家族が大幅に移動を余儀なくされているばかりじゃなくて、地域的にも地方都市の財政の問題、あるいはこういう社会資本を大きく投下しながら全然それが利用されていないというふうないろいろな問題等を含めて考えますと、この際はいままでとは違った面で根本的に考えるべき問題ではないかと思います。これまでいろいろな方法を講じてこの操業を維持しているわけですけれども、平均年齢は年々これは新採がございませんで年とるばかりで、現在はすでに四十五歳に達しようとしている、そういうような状況の中で特にいま日立鉱業所等で強く望んでいることは、長期的展望に立った助成策でございます。特にS源対策と言われる問題ですが、硫酸の過剰はいまや銅、亜鉛の製錬鉱業への重大な影響を及ぼしております。このような問題に直面して先ほどから申し上げましたように、もうどうにもならないいろいろ多角的な経営の中ですでに硫酸の問題すらもいま非常に重大な危機に陥っている。需要の喚起や開拓、輸出の拡大あるいは備蓄策等切実な要求をこれら業界、労使こぞって望んでいるわけでございます。多角的な今日の資源有限時代の中で国内資源の見直し、そして企業ベースによらざる面でもっと積極的な助成策を講じて、雇用の面あるいは地域社会に及ぼす影響、社会資本のむだ遣いにならないような総合的な施策の観点から、今日政府が思い切った助成策を講ずべきであると考えますがいかがでしょうか。
  208. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまるるお話しいただきました金属鉱山、なかんずく銅、さらに硫酸の問題等非常に重大な問題でございます。  なお、本件に関しましては担当の係官も参っておりますので政府委員からお答えいたします。
  209. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず地下資源というのは本来有限なものであるわけでございますが、先進工業国における経済成長あるいは資源産出国における資源ナショナリズムといったような背景から、昨今資源有限時代ということが非常に強く言われておるわけでございます。こういった中におきましても国内資源を有効に利用していく、活用していくということはきわめて重要な問題であろうと思います。そのためにも鉱量を確保していくということが一つの大きな柱になってくるかと思います。そのためには従来からも実施しておりますが、広域調査、精密調査あるいは企業探鉱、こういった三段階方式を従来以上に力を入れてやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それからこういった地下資源におきましては、特に地域経済あるいは地域社会と密着しておると申しますか、ともにあるといったような状態でございます。そういったことも認識に置きまして、地下資源対策、国内鉱山対策を進めていくべきであろうと考えるわけでございます。  それから、ただいま硫黄、硫酸の問題について御質疑があったわけでございますが、御承知のようにオイルショック後の長い景気の停滞期におきまして硫酸なり硫黄の需要が落ちておるところに加えまして、特に昨年の初め以来、いわゆる脱硫硫黄あるいは製錬硫黄というものが増産されてまいりまして、非常に需給が混乱いたしたわけでございます。昨年八月、総合硫黄懇談会等を設置いたしましていろいろと対策検討いたしておるわけでございますが、そういった対策検討の過程におきましても、関係業界におきまして営々として輸出努力に努めた結果、昨今では昨年の初めごろの最悪の事態をようやく脱しかけてきておる、まだまだ予断を許さない状況ではございますが、いささかなりとも改善の兆が見えてきたといったふうな認識をいたしておるわけでございます。  それから備蓄の問題でございますが、これも五十一年度から銅、鉛、亜鉛といった非鉄金属につきまして三百億円の範囲内におきまして備蓄を実施し、これに対して利子補給を実施いたしておるわけでございますが、五十二年度を平年度化いたしまして三百億円の事業規模の範囲内において利子補給を続けていく、かような形で、全体的な背景の中にまた個別の具体策を実効的に進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  210. 安島友義

    安島分科員 時間が来ましたので、一言だけ。  私の実態認識と答弁との間に必ずしも一致しないものがございますが、時間が参りましたから、ひとつ総合的に強く助成策を講じられることを要望いたしまして質問を終わります。
  211. 伊東正義

    伊東主査 これにて安島君の質疑は終了いたしました。  次に、山田芳治君。
  212. 山田芳治

    山田(芳)分科員 私は繊維産業、特に絹織物の産地である丹後機業の問題一点にしぼってお伺いをいたしたいと思います。  皆さんも御承知のように、絹織物におけるわが国の最大の産地である、丹後ちりめんの産地である丹後機業地というものが非常な不況に陥っているわけでございます。丹後織物と言われる丹後機業は、遠くは奈良時代に手機で始まったわけですが、それ以来幕末においては二千五百台あるというぐらいに非常に古い歴史を持っている、民族衣装を生産してきたわけであります。現在は機の台数が四万五千六百台、事業所が一万六百、生産量は最高能力で千二百万反織れるという形になっておるわけでございますが、現在の状況は、御承知のように外国からの生糸、撚糸及び絹織物の輸入に伴って非常な危機に陥っております。一つは国内の消費の低下という問題があるわけでありますし、一方では安い織物が入ってくる、こういう形になっている中で、いわゆる原料高の製品安という形になって、このまま放置するならば完全に壊滅的な状況を呈することは火を見るより明らかであります。  そこで、この丹後機業と言われる丹後地方というのは、農業と機との兼業あるいは機専門という地域でありますから、もし丹後機業が本当に危機に瀕すれば、この地域は他の地域と同じように完全に過疎地域になってしまうというような大変な問題を呈する状況になっております。原因はいま私が申し上げましたように、もちろん一つは国内の消費の減退という問題があることは事実でありますが、もう一つ大きな原因としては、何といいましても輸入の問題であります。資料を見ますと、大きく言って現在は生糸と撚糸と織物が三分の一、三分の一、三分の一で輸入をされております。わが国の生糸の需要というのは約四十五万俵と言われておりますが、これはこれでいいのかどうかはわかりません、このように消費が減退しておりますから四十万を超える程度にするべきであるという意見もありますが、いずれにしてもわが国内の生糸の生産量は三十万俵をやや下回る状況に減ってまいっております。ですから、あとどうしても十万俵を超える程度のものは輸入せざるを得ないわけでありますが、絹織物の輸入というところに問題があるわけであります。生糸は一元化輸入という形で、蚕糸の価格が一応一万二千百円で安定をされている関係で、どうしても韓国なり中国においては撚糸並びに織物として生糸一元化輸入の枠から外れた形で輸入をするという形になっているわけであります。したがって、問題は生糸の輸入総量もさることでありますけれども、撚糸並びに絹織物の輸入というものをどうするかという問題になると思うのであります。こういう状況でありますから、昨年の十二月に稲葉秀三氏を会長とするところの繊維工業審議会の部会から「新しい繊維産業のあり方について」という提言があったわけでありますが、しかし、これはどう見ても絹織物の関係については余り触れられていないように思うわけであります。  私ども後で若干の細かい点について質問をいたしますけれども、まず大きな質問として、いま私が申し上げたことについてはもうつとに御承知のことでありますから、これ以上繰り返しません。絹織物の日本最大の産地、すなわち国内需要の半分を占めるこの丹後機業というものの荒廃というのは、今後の日本の繊維産業ことに絹織物の需給にきわめて大きな影響があるわけであります。通産省、農林省を含めて政府としては、丹後機業というものがこういうきわめて厳しい実態であるということについて、累次にわたって地元から、またわれわれも超党派的にいろいろと要請をしているわけでありますが、もうここまで来ますと、いろいろの細かい質問をいたしません。どういうふうにあったならばこのわが国最大の絹織物の産地である丹後機業というものが生き残っていけるのか、暮らしていけるのかということについての、政府としての具体的な提言について、ひとつこの際お聞かせをいただきたいというふうに思うわけであります。
  213. 藤原一郎

    藤原政府委員 単一の産業が産地を形成しておりまして、地域経済に大きな比重を占めております場合、特に丹後のような場合でございますが、その産業の動向が地域社会に大変大きな影響を及ぼすということにかんがみまして、そういう場合におけるその地域産業の活力を維持するということが非常に重要であるというふうに私どもは考えております。  ところで丹後の絹織物のような場合、やはり産地産業の構造改善というものを推進しまして競争力を強めませんといけませんということでございまして、体質強化を図る必要がございます。新繊維法に基づきまして、いまお話のございました構造改善事業を積極的に推進いたしまして、産地外の機業も含めまして異業種との連携を図るとか、知識集約化を進めるというふうなことで絹製品の需要振興を図るということが何よりも必要であろうか、非常にむずかしいことでございますが、そのように考えております。  また、このような場合、構造改善の過程においきまして、やはり発展性の高い分野へ転換する企業というものも出てくる可能性が別途あるわけでございまして、その際には、最近成立いたしました、中小企業の事業転換助成法を初めとする諸施策等を活用いたしまして、そのような方策もある程度考える必要があろうか、このように考えます。
  214. 山田芳治

    山田(芳)分科員 構造改善を進めなさいというのは、もっと具体的に言うと機の台数を減らしなさいとこういうことでございますか。  それからもう一つ、事業に転換をしなさいと言うけれども、御承知のように丹後のようにはるかに大都市とは遠隔の地にある、そういう気候であるがゆえに、またちりめんというような産業が発展をした地域であるということを考えると、現在は、先ほど申し上げましたように農業と機しかない地域に何を一体転換をするのかということについて、ただ単に転換資金は用意した、転換をしなさいと言ったって、できるはずがないんでありますが、そういう点もっと親切に具体的に、いまの内容をもう少し掘り下げて、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  215. 藤原一郎

    藤原政府委員 丹後におきまする絹織物業、これを健全な姿で振興させていきますという場合に、確かにおっしゃいましたようにある程度織機を減らすといいますか、共同廃棄のような事業も必要でございましょうし、あるいは縦形の垂直的な連携といいますか、事業主との連携を図りまして、老朽化をするというふうなことで、絹製品の新しい需要の開拓に進むというふうなことも、それ自体として必要であろうか、このように考えるわけでございます。  地域産業といたしまして、いま申し上げました事業転換につきましては、確かにいろいろ周辺にむずかしい条件がたくさんあるかと思いますが、地域開発問題ということの一環として総合的ないろいろな手段を用いて考えてまいりたい、このように考えております。
  216. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それなら具体的にもう少しお伺いをすると、現在の機の台数が四万五千台程度ある。機もずいぶん生産調整をしておりまして、もうすでに七百万台以下、六百七十万台程度まで五十二年は減反をしていこうというような努力をしている。もちろん、機の台数を減らすことも減反をするということも同じことであります。そういう意味ならば、全国的に見てどのくらいの反数というものが妥当であるのか。これは丹後だけではとてもわかりません。全国的に見て、この産地にはどのくらいであるか、この産地にはどのくらいであるかというそういう指標というか、そのくらいの需要というようなものは、通産省でおつかみになっておられるだろうと思うのですが、現在丹後は、そういう意味ではもう六〇%台の減反を強いられておるという状況ですが、一体どの程度ならば、全国的需要から見て適切な生産数量であると考えておられるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  217. 藤原一郎

    藤原政府委員 生産数量の具体的な産地ごとのめどというのは、実は私どもも、算定することは非常に不可能であろうかと思います。品物によりましてそれぞれ需要が異なるわけでもございますし、また需要自体が、私ども需要振興を考えておりまして、なるべく絹織物の需要をふやしたいというふうに考えておりますので、どこで何反過剰だということを頭から決めることは不可能であろうと思います。
  218. 山田芳治

    山田(芳)分科員 したがって、どのくらいかわからないけれども、減らせ減らせではこれも困るわけでして、ひとつそういう点の親切な指導をしてほしいということを申し上げているわけです。  それから、他の製品の開発というお話があったけれども、それじゃどういうものにやるか。たとえば着物離れをしているんだから洋服にと言ったって、そんなものちりめんで全部洋服に変わるはずもないわけですし、それとは違った製品にという問題も、それはあるでしょう。だから、個々の企業としては、そういうことによってうまくいくかもしれないけれども、私は、丹後機業全体としてどう進むのかということになれば、ある程度いま言ったように減反をして構造改善をという――構造改善と言うと、いかにも合理的にうまく見えるけれども、要するに減反をしなさいということだと思うんです。だからそれは、できるだけのことはやっていくにしても、これは一体どの程度であれば大体いけるのかというめどもなしに、ただ単にそのときそのときの需要供給の関係でやっていくということでは、これは産地のものが個々の、一万からの事業所に分かれているわけですから、指標を示してやらなければ、なかなかこれもできないではないかということになるんじゃないだろうか。  それからいまお話がありましたように、新製品についても、それじゃ政府あたりでどういう試作品をつくったらどうかとかいうようなアドバイスもないものだろうかというふうにも思うし、もちろん他の産業にということになれば、これも個々の機業で何らかのそれぞれの縁故なり何なりを見つけて、しかるべき転業ができるところはいいけれども、これだけ十数万人が関与しており、事業所からしても一万ある、四万五千台もあるというような一大産地、それがなかったらその地域はなくなるというような状況の中では、もう少し親切な指導をしてやるべきであるというふうに思うのですが、いまの御答弁をいただいていると、きわめて抽象的かつ非常に不親切なように思うのです。なかなかそれはむずかしいんだというふうにおっしゃるのかもしれませんが、そこらあたり、もう一度ひとつ親切にお答えいただけないかどうか。
  219. 藤原一郎

    藤原政府委員 先生お話のとおり、非常に実態はむずかしいわけでございまして、できる限りの手を尽くして私どももやってまいりたいと思っております。特に需要振興の面につきましては、いろいろ新しい製品の方の開発ということもどうしても必要でございまして、中小企業の技術改善費補助金とか、あるいは技術開発研究費補助金というふうな制度もございまして、いろいろ新しいものの開発に助成してまいりたいというふうに考えておりますので、いろいろ制度を御利用願いますよう、私ども努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  220. 山田芳治

    山田(芳)分科員 どうも余り納得をしませんが、時間がございますから、二、三具体的な問題で質問をしたいと思います。  いま、ソウルにおいて二国間協定が進められているわけでありますが、この点については政府においていま言った国内の状況を十分勘案をして、わが国の機業地の関係者がひとしくこれを注目をしているわけでありますから、本当にわが国の機業者の立場に立って、ひとつ十分な交渉をしてほしいという激励をまず申し上げるわけですが、内容的に言って、先ほど申しましたように十五万俵の三分の一、三分の一、三分の一というものを、できるだけ一元化輸入のところの生糸でやってもらうように、政府努力によって、できるだけ撚糸は生糸にという形で、撚糸の分は減りつつあるということば結構なことでありますが、絹織物もできるだけ生糸で輸入をするという形に持っていってもらいたい。われわれは目標として、いま五、五、五というものの五を、せめて絹織物については三程度までは何とか減らして、そのかわり生糸の面でふやすという形でやってもらいたい。関係者のもっと減らしてほしいという意見もありますけれども、当面その程度にしてもらうように、ぜひ政府に言ってほしいという声が強いわけでありますので、この点ひとつ織物でなく、できるだけ生糸に、それは撚糸も絹織物も含めて生糸換算するわけでありますから、生糸で輸入をするということなら、これは国内需要に見合う程度の輸入というものは避けることはできないわけですから、この点についてはいかがなものであろうか。
  221. 藤原一郎

    藤原政府委員 今月の十、十一日とソウルで第二回の交渉をいたしまして、一応この交渉は物別れになりまして、また四月に入りまして交渉し直すことになるわけでございますが、交渉方針といたしましては、お話のとおりなるべく織物を減らし、なるべく撚糸を減らし、なるべく生糸というふうな、生糸原則というふうな方向へ持っていくべく努力をいたしておるところでございます。
  222. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それから蚕糸事業団の関係で繭糸課長に伺うのですが、実需者割り当て輸入生糸の購入手数料がいまキロ当たり二百五十円、一俵にしますと一万五千円、大体三万俵とすると四億五千万ということになりますね。二百五十円が非常に高いではないか、五十円くらいにしていくべきではないか、それほどの倉庫料や手数料は要らないはずである、したがって、どうしてもこれをお取りになるなら、いまお話のあったような新製品の開発とかあるいはまた販路拡張という、絹織物の需要増進対策費というものにこの四億五千万の大部分をひとつ充当してほしい。でき得べくんば当面、五十二年あたりには一億円くらいのものを絹織物の需要増進のために、絹織物業者の団体等にぜひ充当をするという方向は考えられないのかどうか、その点についてぜひひとつ考えてもらいたいという要求が盛んに織物業者からございます。したがって、その大部分を織物業者に返還をする、返還の方法は、いま言ったように新製品の開発あるいは需要の増進をするための宣伝を含めたいろいろの催し物等に対する援助等にこれを使っていくべきではないかという意見があります。まあ大部分と言いましても、いま言いましたように当面、一億なら一億程度のものを五十二年度において充当してもらいたい。蚕糸事業団の五十二年度における買い入れは大体三万俵ということでありますから、いま言った四億五千万のうち当面一億くらい出したらどうか、こういう要求があるのでありますが、私ももっともだというふうに思います。いまの局長の答えからいっても当然、そういう方面にこういう手数料を使っていくということが時宜に適しているというふうに思うのですがどうでしょう。通産省、農林省両方からひとつ御答弁ください。
  223. 池田澄

    池田説明員 実需者売り渡しにおきます手数料につきましては、事業団の一般的な運営の経費のほかに、法律によりまして一定の条件、すなわち国内の糸価が低落するというようなときには事業団が一時調整保管をしなければならない、このコストを見込んで算定しているわけです。  ただ、これは過去からの一定の確率で算定いたしておりますから、こういう事態が発生しないということも当然考えられるわけです。ただ平均的には現在短期的に需要が非常に複雑な変動をいたしております。たとえば昨年六月段階では、事業団は六千俵しか持っておりませんでしたけれども、その後の全体の需要停滞のもとで三月末には四万五千俵を抱えざるを得ない、こういうような非常に苦しい需給事情にございます。そういうもとで実需者売り渡しをやってまいりますと、短期的に非常にスムーズに需給調整機能が果たし得ないものですから、価格が低落するという事態も当然予想されるものでございますから、そのときのコストを見込んでこれを算定いたしておるわけです。  もしそういう事態が出てまいりませんとすれば、全額じゃございませんけれどもそれ相応の利益金と言いますか、そういう形態が発生してまいります。これにつきましては、日本蚕糸事業団というのは繭糸価格安定を目的といたしておりまして、価格安定という非常にリスクの多い仕事をやっておるために法律上のいろいろの制限がございますけれども、その法律に基づきまして、利益金が出てまいりますればそれを助成事業に使うことができるようになっております。その助成事業の一環といたしまして本年度から需要増進関係、こういうことを試みておりますので、今後もこの助成事業の一環というかっこうで需要増進については十分配慮してまいりたいというふうに思っております。  なお、事業団は特殊法人でございますし配当規定等もございませんから、もしそういう見込んだ経費がそこまでいかないということになればこれは浮いてまいりますので、その活用についてはいまの先生の御趣旨に沿ってまいりたいというふうに思っております。
  224. 山田芳治

    山田(芳)分科員 通産省も同じ意見ですか。
  225. 藤原一郎

    藤原政府委員 私どももできるだけ利益が上がりましたならば、速やかに需要増進に使っていきたいと思っております。
  226. 山田芳治

    山田(芳)分科員 そういう意味で、いま通産省の局長さん言われたように新製品の開発とか新しい需要の開拓に、そういう利益があればひとつぜひ回してもらいたい。利益があればと言いますけれども最近、一万二千円前後でわりに安定をしているのではないかと考えられるので、これは二百五十円という額が非常に高いという声が非常に強いので、これはぜひひとつ善処をお願いいたしたいということを申しまして、時間が大幅におくれているそうでありますから先に進みます。  滞貨融資制度をひとつ考慮してもらえぬか、六分五厘以下の低利にしてということですが、とにかくいま、非常に困っている。滞貨があるわけです。もちろん製品担保になるわけでありましょうけれども、この点については一体どうでしょう。
  227. 藤原一郎

    藤原政府委員 滞貨融資につきましては先般、緊急対策として考えました際に、在庫凍結いたしまして、これを担保にいたしまして運転資金を融資するという方式でやっていきたい、このように考えております。
  228. 山田芳治

    山田(芳)分科員 利子はどのくらいですか。
  229. 藤原一郎

    藤原政府委員 利子は普通の通利でございます。
  230. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それを下げるわけにいきませんか。
  231. 藤原一郎

    藤原政府委員 いまのところちょっと困難であるかと思います。
  232. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それではこの丹後の危機は救えないのでして、三十億程度でいいのでありますが、ぜひ低利の滞貨融資制度を新しくお願いしたいというのが産地のみんなの一致した意見であるということを強く要請をしておきますので、ひとつ今後配慮をしてもらいたい、このように思います。  それから、こういう提言ですが、これは一体どういうふうにお考えになられるかということでありますが、もうここまできますと、輸入というものをいわゆる一般の商社にお任せをしているということではとてもいかぬ、丹後機業の組合が直接輸入業者になってひとつ自分でやろうじゃないかという声があるわけでございます。要するに繭糸課長さんのお話だと、たしか百三十社くらいの取扱業者があるわけですね。そしてそれぞれ韓国なり中国との窓口との間において輸入の契約をしながら、瞬間タッチのもあるでしょうし、買い入れのもあるでしょうが、そういう形で生糸の輸入をしておる。しかしもうここまできたら、組合自身が直接輸入業者になって、生糸の輸入をしていくという段階までいかないと、なかなかうまくいかないのじゃないかという提言がありますが、そういうことについて通産省なり農林省の御意見はどうでしょう。
  233. 池田澄

    池田説明員 生糸の輸入に限りまして御説明いたしますと、わが国生糸の一元輸入をやっておるということでいろいろと批判はございますけれども、現在の非常に大きな供給国でございます中国、韓国それからブラジルというところを見ますと、その内容は違いますけれども、大体大勢といたしますとほぼ一元輸出という形態に近いものだと思っております。そういうことからいきまして、これは非常に具体的な問題でございますから、具体的に検討し、詰めてみなければわかりませんけれども、その輸出国がそういうものを相手にすると言いますか、そういうものに任せるというようなことをするかどうかという問題があると思います。現在は、事業団で輸入を委託いたしております企業につきましては、一応過去の取扱実績に応じて行ってまいっております。そういう点からいきまして、本件は今後の問題として検討さしていただきたいというように思います。
  234. 山田芳治

    山田(芳)分科員 ここまで来ますと、はっきり言って繊維業界の流通というのは御承知のように非常に問題があるわけですね。ここではもう時間がありませんから言いませんが、流通のコストだけでも下げていかなければ、製品が安いのだから原料も安くしなければいかぬという気持ちから、そういうふうな声まで出てきているわけです。またそれもできます。こう言っているのですから、過去の数量がゼロだからだめですというようなことではなく、せっかくそういうふうにしてでも立ち直っていこうという気持ちのところは、ひとつぜひ現実的に具体的に、相談に行くときには相談に乗って、前向きで対処していただけるかどうか、ひとつその点お伺いしておきます。
  235. 池田澄

    池田説明員 非常に具体的な問題だというふうに先ほど申し上げましたけれども、本件、たとえば丹後という非常に大きな産地でございますし、あるいは工業組合等にまとまりますと非常に力も強うございますから、そういうところが既存の輸入商社等を活用いたしまして輸入してくるというような形態も考えられると思います。現在の実需者売り渡しというものにつきましては、ほぼそれに近い形態、すなわち一定の数量で各産地に配分をいたしまして、その数量の範囲で実需者であります機屋さんあるいはその団体が輸入業者に輸入をお願いしていくというかっこうをとっておりますので、先生の御指摘の姿に一歩近いものじゃないかというふうに思っております。そういった点がございますので、今後具体的な問題で私どもの方に参りますれば、もちろんいろいろと御相談してまいりたいと思っております。
  236. 山田芳治

    山田(芳)分科員 時間が来たそうでありますのでやめますが、またいずれ商工委員会等で時間をもらってゆっくり質問したいと思いますけれども、要するに丹後機業というわが国における最大の絹織物の産地――表生地です。もちろん裏の方も非常に問題になっておりますが、表生地の産地が非常な危機になっているということで、大変な問題になっております。だから、これについてもっと、それは確かに輸入にしなければいかぬというような原則論で言えば、アメリカはカラーテレビも鉄鋼も、非常な輸入――こちらから言えば輸出、向こうから言えば輸入の禁止の問題で、いろいろ協定をしようとしているわけでありまして、いろいろ問題がある。こうなってきたら、やはり原産地の住民の立場に立って、政府はいろいろな国内的あるいは国際的な問題をあわせて十分対策を練ってもらわなければ非常に不安であるということで、非常に困っております。最後大臣、一言だけお答えをいただきたい。
  237. 田中龍夫

    田中国務大臣 本日はたまたま京都の御出身の皆様が、みんな深刻な繊維の問題につきまして異口同音に非常に切々として御主張いただきましたことを私どもも胸の打たれる思いがいたします。  私ども通産行政というものは、皆様方の本当に落ち込んだいまの姿を何とかして手をとって救い上げて、そしてともどもにこの打開を図ってまいるというのが私どもの行政の本旨でございます。どうぞいろいろと御意見も率直に御主張いただき、また私どもと一緒にひとつ対策を真剣に検討していただき、同時にまたその決定に当たりましては、業界挙げてひとつ御協力のほどをひとえにお願いをいたします。
  238. 山田芳治

    山田(芳)分科員 以上で終わります。
  239. 伊東正義

    伊東主査 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  次に、藤原ひろ子君。
  240. 藤原ひろ子

    藤原分科員 私、日本共産党の藤原ひろ子でございます。  四十八年の石油ショック以来引き続く不況の中で、とりわけ繊維産業、その中でも和装産業の不況は大変深刻でございます。  西陣織工業組合の滋賀理事長は、西陣業界は戦後例を見ない不況だと、次のように述べておられるわけでございます。  石油ショックによる総需要抑制政策のなかで、初期においては比較的順調に推移いたしましたが、基幹産業がようやく景気回復にむかう頃になって、商況は著しく悪化してまいりました。仮需要の減退から流通在庫は極端な減少をみせ、その部分がメーカー在庫として皺寄せられているのが現状であります。このようにおっしゃっております。  また全国の染め呉服生産シェアで約九〇%を占めます京友禅の岩田京友禅連合会長の報告によりますと、五十一年度の生産高は千四百九十二万反で、対前年度比八・八%の減産になった、こういう事態が起こっております。  こういう中で、たとえば西陣の賃織り業者の方ですけれども、働き手はこのAさんと妻の二人で、織機を二台使っておられます。縦糸の横を通ります杼というのがありますが、それが八段に両側にあるのを両八丁と申します。この両八丁を二台持っておられる。子供が二人、こういう中で四十八年から五十一年の総売り上げを出していただきました。そういたしますと、総売り上げが四百五十七万円。四十九年も同じでございます。五十年と五十一年も同じで五百十七万円。この中で手取りはどうかと言いますと、四十八年と四十九年は三百二十万、五十年と五十一年は三百六十二万。もう一人、Bさんという、これも賃機業者でございます。この方は、この方と奥さん、織機を三台、これは両八丁二台と両六丁を一台、子供が二人ある方でございます。この方の総売り上げは四十九年が六百五十九万円、この中で手取りは四百六十一万円です。五十年には七百八十二万五千円、手取りは五百四十八万円。五十一年は六百八十四万九千円、手取りは四百八十万円というように、だんだんと手取りは下がってきているわけです。このお二人の方は、いままでの生活水準を維持するために、いままでは八時間織れば生活できたのでありますけれども、最近では十時間から十二時間織らなければならない、こういう事態になっているわけです。  繊維産業といいますのはその多くが中小企業ですが、多様化した国民の衣料需要を満たすためには、多品種、少量生産に適した中小企業がどうしても必要でございます。日本の繊維産業は絹産地、綿産地、羊毛産地など、業種ごとに伝統的な地場産業として産地を形成し、地域経済の中心となって社会的、文化的にも大きな役割りを果たしてまいりました。西陣であるとか丹後であるとか、それは最も典型の一つでございます。繊維産業のつり合いのとれた発展を図ることは日本経済の発展だけではなく、地域社会の発展にとっても大変不可欠なことだと思います。とりわけ京都におきましては、古都として深く、広く文化的な伝統に支えられ、日本を代表する伝統産業としての和装品、繊維産業が発展をしてまいりました。たとえば日本画家と西陣、友禅とは深く結びついて発展してきたわけです。日本の繊維産業が破壊をされ京都の繊維産業が衰退するというようなことは、このような日本の伝統を破壊することになるんだ、こういうふうに思うわけでございます。政府は和装産業を守るために今日までどのような対策を立ててこられたのか、お答えを願いたいと思います。
  241. 藤原一郎

    藤原政府委員 和装産業につきましての対策はどうか、こういう御質問でございますが、お話のとおり和装の需要の非常な停滞ということで、わが国の和装産業経営、全体的に大変悪化しております。昨年の夏、八月でございますが、このような事態に対処いたしますために、大蔵省、農林省、通産省、三省の了解事項といたしまして絹業安定対策を決定いたしたわけでございます。政府といたしましてはこの安定対策に基づきまして、一方では和装製品に対する需要の振興というふうなことを第一図らなければならない、他方では設備がやはり過剰というふうなことでございますので、設備過剰の解消を進めるために設備の共同廃棄事業あるいは繊維工業以外への需要転換といった長期的な視点に立った対策をもあわせて検討いたしておるわけでございます。原料面につきましては、輸入生糸の実需者割り当て売り渡し制度というふうなことで制度の改善を積極的に推進いたしております。そういうことでわが国和装産業の発展に取り組んでまいりたい、このように思っておりますが、なお絹糸、絹織物の輸入増大に対しましては、引き続き主要国との二国間協定により対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  242. 藤原ひろ子

    藤原分科員 いまおっしゃいました昨年の韓国との二国間協定に基づく韓国側の自主輸出規制、わが国から言えば輸入規制ですけれども、これはことしの三月、つまり今月で一年を迎えるわけです。日本の通関統計によりますと絹織物は合計いたしますと一千百万七千平方メートル、こういうふうになっており、すでに枠を超えているのですけれども、通産省はこれに対してどのような対策をとってこれられたのでしょうか。
  243. 藤原一郎

    藤原政府委員 韓国からの絹織物の輸出自主規制の問題でございますが、これは七五年から七六年にかけまして韓国の絹織物が急増傾向にございます。韓国と交渉を重ねまして、昨年の四月から本年三月の一年間の韓国側の輸出自主規制ということを合意したわけでございますが、韓国側はビザの発給により輸出自主規制を行う、こういうシステムでやってまいったわけでございます。通関数量につきましては若干規制前の船積み分の入着等もありまして、やや高水準となった傾向はございます。このため昨年の暮れになりまして、私どもの方の官房審議官をソウルに派遣いたしまして、改めて輸出自主規制の実施状況について協議を行ったわけでございますが、韓国側もわが方の事情を理解をしてくれまして、年度間を通じて自主規制水準の範囲内に抑制することを約束してくれたわけでございます。この一-三月期分を加えた協定期間、総輸入量につきましてはもちろん現段階で正確な数字はまだわからないわけでございますが、一応韓国側の自主規制による船積み数量は一九七五年の実績千二百四十六万平方メートルの内枠でおさまるというふうな感じでおるわけでございます。
  244. 藤原ひろ子

    藤原分科員 約束をされたということでございますが、自主規制の枠が守れなかった場合、いまの統計で見ますと、本当に危ないというふうに私は思うわけですけれども日本政府はどのような対策をとられるのですか。今年度の輸入超過分を来年度の枠の中に組み入れるというようなことをおやりになるのですか、いかがでしょうか。
  245. 藤原一郎

    藤原政府委員 実はいま申し上げましたように、暮れに官房審議官が参りまして、向こうと強く交渉をいたしました結果、二月、三月につきましては、先方は非常に自粛をするということで、協定枠内におさまるという見通しでございます。
  246. 藤原ひろ子

    藤原分科員 もしおさまらない場合はどうなさるのですか。絶対におさまるわけですか。
  247. 藤原一郎

    藤原政府委員 それは数字のことでございますし、初年度のことでございますので、昨年の規制を始めます前の分のずれ込みというふうなものが多少ございますかと思います。したがいまして、正確に規定数量を一つもオーバーしないということは必ずしも言えませんが、大体その線におさまるだろう、こういう考え方でございます。  なお、来年度の交渉に当たりましては、もちろん本年度の実態を踏まえまして交渉をするわけでございます。
  248. 藤原ひろ子

    藤原分科員 日本の場合に、今年度に引き続きまして減産をせざるを得ない状況、こういうことにあるわけですけれども、今日韓国産のものが同じ程度に入ってくるというだけでも困っておりますのに、枠を広げると大変な状態になります。政府が現在行っております二国間の交渉で、日本の減産見込みに合わせて輸入枠を減らすという交渉をなさるのですか、いかがでしょうか。
  249. 藤原一郎

    藤原政府委員 韓国との絹糸、絹織物に関する交渉でございますが、すでに一回、二回と、二回やっておりまして、現在までのところ、私どもとしては、絹織物については昨年度実績よりも減らすという方針で交渉をいたしております。韓国側は、当然だと思いますが、向こうの事情で、昨年度よりふやしたい、こういうことでございますので、当然なかなか話がつきません。したがいまして、先般終わりました交渉では、一応物別れでございますが、お互いに国内事情その他十分に話し合いをいたしましたので、相当認識は進んでおるわけでございますが、四月に入りまして再度第三回の交渉を始める予定でございます。
  250. 藤原ひろ子

    藤原分科員 減らす方向でがんばるということでございます。一層御奮闘いただきますように、私は深刻な具体的な例を挙げておきたいと思います。  さきにも述べましたように、絹産地では親機はもちろんのこと、賃機の場合は不況の波をもろにかぶっております。たとえば整経業を営んでおられる方です。整経と申しますのは織物の縦糸をそろえるという仕事でございますが、この方は七人家族で、その中で働いているのは夫婦だけ、そして五十一年の八月ごろから仕事がなくなってきたために、月四十万円ぐらいの売り上げが二十万に落ち込んでしまい、生活ができない、こう言っておられます。奥さんが内職をしてやっと生活をしている、こういう状態にあるわけです。このように、西陣織にはたくさんな工程があるわけですけれども、その工程によって仕事がない、こういうところも出てきているわけです。昨年の枠の以内に絶対に抑えることが何としても必要だということを私は強く指摘をしておきたいと思います。今日輸入規制を強化するとともに、国内の需要の増大を図っていくということが基本的に重要であるということは言うまでもないことでございます。いまのままの状態で需要の回復を手をこまねいて待っていたのでは、回復するまでの間に倒産が続出する可能性があるわけです。このために、日本絹人繊織物工業会は緊急対策として要望書を政府に提出をしておられます。その一つに「制度融資に係る既往措入金の償還猶予ならびに返済期限延長等について」こういう要望が出ております。それからもう一つ「操短資金及び不況克服のための長期低利融資について」、これを出しておられるわけです。中身はお手元にあると思いますから、時間がありませんので割愛をいたしますが、これに対して通産省として具体的にどのように考えておられるのですか。お尋ねをいたします。
  251. 藤原一郎

    藤原政府委員 政府関係三機関の既往の累積債務につきまして、これの返済猶予というふうなことにつきましては、かねてからきめの細かい対策を講じているわけでございますが、去る二月二十四日、通達を出しまして、さらに返済猶予につきましてきめ細かく対策を講じるとともに、期限の問題につきましても、弁済期限が来ましたものにつきましては、弁済期限の来た時点においてさらに期限延長その他返済条件の変更というふうなことを親切に指導するよう通達を出したところでございます。
  252. 藤原ひろ子

    藤原分科員 この不況の中で西陣の業者や織物労働者は一丸となりまして、日本歴史的な伝統工芸品であります西陣織を継承発展させようと懸命な努力をしておられます。西陣を守り伝統産業を守る対策といたしまして、経営安定基金の創設、これも一つ方法であるといま思考されているわけです。不況対策の場合に適用できます基金制度といたしまして、租税特別措置法に特定の基金に対する負担金の必要経費算入の特例というのがあるわけでけれども、その六十六条の七、これが適用を考えられるというふうに私は思うのですけれども、この適用の条件につきまして大蔵省から御説明いただきたいと思います。
  253. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の六十六条の七は、特定の基金に対する負担金を損金に算入するという特例措置でございます。通常でございますと、出資金のような性格を持つ支出は損金に算入されないわけでございますが、特別の場合にはその課税の特例といたしまして損金の算入を認めようという租税特別措置でございます。したがいまして、課税上特例措置を講ずるということでございますから、当然いろいろと厳しい条件がついておりまして、その条件は一口に申し上げますれば、公共的な性格の強い業務を目的する基金に対してのみこの特例措置を適用するということでございます。したがいまして、この措置の対象となります基金の業務が、たとえば法令の規定に基づいて行われていることが必要であるとか、そうでない場合には、この基金の相当の部分、五〇%以上ぐらいの部分が国または地方公共団体の補助金が出ているというようなことが要件とされております。  また業務の目的につきましては、政令にいろいろ定めがございまして、公害防止または公害の損失の補償金、あるいは備蓄等によりまして価格の安定を図るための基金、それから信用保証のための基金、それからただいま先生御指摘のありました「伝統的な技術又は技法等を用いて製造する工芸品産業の振興に資するための業務」といったものがこの業務の目的として政令で定められております。いま御指摘の点は、具体的な内容について詳細存じませんので、また具体的な内容をお伺いした上で検討してみたいと思います。
  254. 藤原ひろ子

    藤原分科員 要するに国または自治体が半額出資するものでないと、この租税特別措置法の適用は受けられない、こういうことを御説明になったわけでございますね。現在、地方自治体の財政はどうなっていると認識をしておられるのでしょうか。地方自治体は軒並みに赤字に転落をしております。財政の運用は大変苦しくなっております。まして京都のような中小企業を中心といたします自治体におきましては、中小企業が不況になれば地方自治体の財政も同じように苦しくなるわけですし、現に大変な苦しみの中でいるわけでございます。そんな自治体に半額出資などと条件をつけても、そう簡単に実現するはずはないわけです。  そこで通産省にお尋ねをいたしますが、伝統産業の経営を維持するための経営安定基金の創設について減免措置がとられるような方法について検討したことがあるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  255. 藤原一郎

    藤原政府委員 今日まで具体的な案について私どもまだ聞いておりませんので、検討もいたしておりません。
  256. 藤原ひろ子

    藤原分科員 ぜひともこういったことを御検討いただいて研究をしていただきたいと思います。  先日お部屋へ来ていただいて話し合ったわけですけれども、これは大蔵省のすることだというようなお答えもあったわけなんです。この大蔵省とか国税庁とかは、いかにして税金を取るかということばかりを考えるという省庁でございます。そんなところに税金を取らない方法を考えなさい、こう言いましても、そう簡単に言うことを聞いていただくというはずがないと私は思うわけです。ここではどうしても、伝統産業を守るために専念する立場の通産省に考えていただかなくては実現は見られないわけです。聞いておりませんとか知りませんとかおっしゃらずに、ぜひとも御検討いただき、研究をしていただきたいと思います。  そして、昨年五月十四日にわが党の寺前議員が質問主意書を出したわけです。この五番目に「丹後織物業界が、不況期の自衛手段として行っている振興基金に対しては、課税客体から除外すべきであると思うがどうか。」こういう質問を出しております。そうしましたら、六月一日の答弁におきましては「社団法人たる振興基金については、特定の収益事業を営んでいる場合以外は、法人税は課税されないこととなっている。」こういうふうに書かれているわけです。これをもう少し具体的に検討をし、研究をしてくださいというふうに私は言っているのです。どうでしょうか通産省。また大蔵省はこの点についていかがでしょうか。
  257. 藤原一郎

    藤原政府委員 いま先生お話しの件は、私、実は残念ながらちょっとはっきり承知しておりませんので、大蔵省の方から御返事申し上げます。
  258. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 ただいまのお話は詳細存じ上げておりませんが、課税関係についてだけ申し上げますと、公益法人の課税関係がどうなっているかということについてのお答えの部分ではないかと思います。したがいまして、その公益法人あるいは基金に対する組合員の拠出金についての課税関係の表現はまた少し違ってくるのではないかと思います。
  259. 藤原ひろ子

    藤原分科員 この点、通産省も大蔵省も少し詳しく研究をしていただいて、何とか減免措置に持っていけるという方法を考え出していただきたいと思います。  それから、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、これが昭和四十九年に制定をされているわけです。この中では、伝統的工芸品に指定をされました事業者の組合は振興計画をつくるということになっております。この伝産法の第四条では「従事者の後継者の確保及び育成」こういうものとともに、九号で「その他伝統的工芸品産業の振興を図るために必要な事項」を定める、こういうことになっております。そしてこの第四条を推進するために、第七条には「税制上の措置」といたしまして「国及び地方公共団体は、認定振興計画に基づく事業の実施を円滑に推進するため税制上必要な措置を講ずるものとする。」こういうふうに定めているのですから、通産省としても当然のこと大蔵省とこの問題について真剣に検討すべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  260. 藤原一郎

    藤原政府委員 伝統産業振興法に基づきます振興計画というものにつきまして、西陣の計画についても現在聞いておるわけでございますが、お説のように法律に基づきます可能な限りの措置をとってまいりたい、このように思っております。  なお、経営安定基金をその中で認めてこれに減税措置、こういうお話のように承知いたしますが、この点につきましても検討はいたしたいと思っておりますが、伝統産業につきましては、一般的に言いまして本来地元の非常に重要な産業でございまして、都道府県なり自治体においてやはり相当力を入れていただかないといかぬ筋合いのものでもあろうか、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  261. 藤原ひろ子

    藤原分科員 あらゆる面から検討を約束していただいたわけでございますが、ぜひ急いでお願いをしたいと思います。  同時に、いまおっしゃった地元の地場産業であるから地方自治体が奮闘せよ、こういうことです。おっしゃるとおり、京都府におきましても京都市におきましても本当に必死になってやっているわけです。このためにはもっと地方交付税率を上げていただくというようなこと抜きにはできないわけでございます。先ほど述べましたような中での実態で、地方自治体半分持ちなさい、こういうことは大変無理だということを申したわけでございますから、ぜひとも通産省は大蔵省と御相談いただいて、経営安定基金の減免措置が一日も早く実現するように再度お願いをいたします。大変零細な経営基盤の上に立ちます伝統産業は、経済の変化に一番弱いところです。不況になりますとすぐにその被害を受けるというのは御存じのとおりです。こういう被害から経営を守り、伝統産業を育成していくためには、当面このような経営安定基金制度をつくり、減免措置をもってこれをカバーする、そのためのあらゆる努力をするということが通産省の親心というものではないでしょうか。通産大臣日本民族の誇るべき伝統産業を守るために、私がるる述べてまいりました問題についてぜひとも前向きに誠意をもって御検討を願いたいし、各部署に急いでやるという御指示をいただきますようにお願いをいたします。その用意があるのかどうか、最後大臣の明確な御答弁を聞いて、私の質問を終わらせていただきます。お願いいたします。
  262. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまるるお話しになりました京都の西陣、これはもう日本の伝統工芸といたしましてもぜひとも私どもが守っていかなければならない、かように考えておる次第でございますが、御多分に漏れず繊維関係の非常に冷たい風が吹いておるのみならず、後発途上国の韓国その他から突き上げられてまいっておるというような苦境に立っておられる次第を篤と承知をいたしております。  なお、御要望の伝統工芸についてのわれわれがとっておりまする振興対策あるいはまたその維持のための諸方策、これらをさらに十分に担当の者とも検討いたしましてできるだけ御希望に沿いたい、かように存じております。
  263. 伊東正義

    伊東主査 これにて藤原君の質疑は終了いたしました。  次に、小川新一郎君。
  264. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私は、大型小売店が地方の中小都市に進出するようになってから地元の小売店との間にいろいろとトラブルが多く発生しておりますことは周知の事実でございまして、一つの社会問題化しておりますが、この問題について二、三お聞きしておきます。特に都市の規模から見て過大と思われるような規模での出店計画が目立っております。また、大規模小売店舗法の網の目をくぐるように、法律の対象とならない基準面積千五百平米未満の中型店の進出がふえておりますが、埼玉県の例をちょっと申し上げますと、私の住んでおります川口は人口が三十二万でございますが、千五百平米以上が六店舗、以下が二十六店舗ございます。埼玉県は百九ございまして、計画申請中が四十三、それから中型店舗は県が三百八十六店舗、計画申請中四十二店舗、こういう状態になっております。  そこでまず第一にお尋ねいたしますが、大規模小売店舗法の規制外のスーパーストア、中型店舗の規制をする条例や指導要綱をつくっております地方公共団体は全国でどのくらいありますか。
  265. 織田季明

    ○織田政府委員 条例と要綱に区別できますが、条例につきましては県で一つ、その他でたしか六市町村ではなかったかと思いますが、あと要綱のようなものをつくったところが県で十三、市で十四だったと思います。
  266. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ただいま御答弁いただいたのは自治省、通産省、どっちですか。
  267. 織田季明

    ○織田政府委員 通産省でございます。
  268. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 もう少し明確に御答弁いただ・きたいと思うのです。これは大事なことでございますので、幾つあるかぐらいではちょっと迷惑でございます。  自治体が制定した条例のうちで、罰則規定を盛り込んであるのはどことどこの条例でございますか。
  269. 織田季明

    ○織田政府委員 熊本県だけでございます。
  270. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 熊本県は昨年の九月三十日、熊本県小売商業活動の調整条例をつくりましたが、その条例によりますと、大規模小売店舗法の規制を受けない売り場面積千五百平米未満三百平方メートル以上の中型スーパーを新設する場合、着工四ヵ月前までに知事に届け出をする義務をつける、スーパーが進出する地元商店街に大きな影響を及ぼすおそれがあると知事が判断すれば、知事の諮問機関として新設する小売商業活動調整審議会に意見を聞くことになっておりますが、その上で開店日の繰り上げ、繰り下げ、売り場面積の縮小を勧告、従わない場合は命令を出し、命令に反したスーパーは十万円以下の罰金を科すことになっておりますが、そのとおりでございますか。
  271. 織田季明

    ○織田政府委員 そのとおりでございます。
  272. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 罰則規定を盛り込んだ熊本県の条例は、地方自治法、大規模小売店舗法、小売商業調整特別措置法に照らして違法であるのか、違法でないのか、これはまず自治省からお尋ねします。
  273. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 お答えいたします。  地方自治法の十四条第一項に、法律に違反しない限りにおきましての条例を制定することができる、かように書かれておるわけでございます。当該条例が法律に違反しておるかどうかということにつきましては、大規模店舗法に定めます千五百平米以下の規制がいわゆる商業地域であるかどうかという判断にかかってくるわけでございます。私どもは、県がそれを白地と考えて条例を制定したもの、かように理解をいたしております。
  274. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 通産省の御意見はいかがでございましょう。
  275. 織田季明

    ○織田政府委員 大店法につきまして、千五百以下が白地かあるいは敷地の中かという問題がありまして、違法ではないかという気持ちも持っておりますし、また大店法とは別でございますが、小売商業調整法におきまして勧告調整ということをやっておりますが、罰則なしでやっておりますことから考えまして、これと似たような条例について罰則を設けて施行するということは違法の疑いがあるんではないかというふうな感じを持っております。
  276. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうしますと、通産省では、違法であるとは思わないが違法の疑いはある。
  277. 織田季明

    ○織田政府委員 はい。
  278. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 疑いがあるときはどういうふうにするのでしょうか。
  279. 織田季明

    ○織田政府委員 これは運用の実態とも関係いたしますが、関係方面とも相談をしている次第でございます。
  280. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 自治省は、違法の疑いがあるのですか。
  281. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 直ちに地方自治法に違反するとは考えておりません。
  282. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 通産と自治との見解が統一とれておりませんけれども、私は、こういう大事な問題に、通産、自治の見解が全く違うという考え方に立って質問を続けることでございますので、お計らいをいただきたいと思うのです。これは統一見解を出していただく必要があると思うのでございます。大臣、通産省としては疑義があると言う。自治省としては疑義がないと言う。一体どういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。
  283. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま両省の間に見解の相違があった次第でございまするが、なおこの点は政府間におきまして速やかに意見の統一をいたしたいと存じます。
  284. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは委員長にお願いするのでございますが、非常に大事な問題でございますので、主査の報告の中に、政府の見解が通産省と自治省とは食い違っておる、これに対する調整もしくは統一見解、こういった問題を予算の委員会の締めくくり総括質疑までにお出しをいただきますよう御配慮いただけますでしょうか。
  285. 伊東正義

    伊東主査 小川君に申し上げます。  いま田中通産大臣から、速やかに統一見解を政府としてつくりたいという御回答がありましたし、それにつきまして、私は予算委員会の理事会に諮りまして、これはまた理事会で相談して御返事申し上げます。
  286. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そこでもう少し話を詰めていきたいのでございます。  法を越える規制内容と言っても、中型店の規制は、はっきり明文化した法律自体がない。また小売商業調整特別措置法で言っている中小小売店と他の事業者との締結を、小売店同士のトラブルを規定するには無理があるのではないかという考え方、また条例の内容が好ましくないものだとしても違法ではないという見解、これが大体違法でないという見解を持っている側なんでございますが、いかがでございましょうか。
  287. 織田季明

    ○織田政府委員 初めの千五百以下につきましては、行政指導によりまして今後とも従来にも増して調整を図っていきたいと思っておりますし、また小売商業調整法の活用も一段と図っていきたいと思っております。  では、そういう観点から考えて、条例あるいは要綱等によって行政指導のようなことをやっていることについてどう考えるかという点でございますが、小売商業調整法あるいは大店法の精神から言って望ましいというほどではありませんが、地方の実態に即して検討し、実行していることですから、ある程度はやむを得ないかということで考えておる次第でございます。
  288. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 法律以上の規制を盛り込んだ条例は地方自治法違反ではないかという考え方、それから大規模小売店法自体が形骸化する、また大規模小売店法の対象外の中型スーパーの規制は、熊本県のような条例をつくらなくても小売商業調整特別措置法でできる。この法律では知事の権限を勧告するまでとしており、罰則まで設けている熊本県の条例は、法律の範囲を越えている段階で条例をつくったということで違法である、こういう意見が出ておりますが、自治省はこれに対してどうお答えいただけますか。
  289. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 具体的な条例が法律の範囲を越えるかどうかということにつきましては、個々の条例ごとにそれぞれの法律に照らして判断すべきものだと思います。したがいまして、具体的な問題につきましては、熊本県の条例が大規模店舗法の範囲を越えるかどうかということにつきましては、法律の趣旨を十分にそんたくして判断すべきである、かように考えます。
  290. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 法律の趣旨をそんたくするという意味は、どういうふうに理解するのでございましょうか。
  291. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 先ほど申し上げましたように、法律が規制している範囲というものがどの範囲であるか、したがって、当該条例がその範囲の中のものか外のものかということを十分見きわめて判断いたしたいと思います。
  292. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 自治省としては、熊本県の罰則は範囲外なのか範囲内なのか、どう理解していますか。
  293. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 第一義的には、大規模店舗法の趣旨の解釈という問題になろうかと思います。私どもも、従来、他の立法措置とそれから条例との関係から類推いたしまして、私ども自治省といたしましては、大規模店舗法には直ちにこの条例を違法とする根拠規定はない、かように理解しております。
  294. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 熊本県小売商業調整条例は、罰則規定なる厳しい内容を盛り込んでおります。その運用いかんによっては新規参入を阻止し、ひいては消費者の利益をも損なうなど、競争制限、不当な取引制限など、独禁法に抵触するおそれがあるという意見がありますが、公正取引委員会はどのような見解を持っておられますか。
  295. 吉野秀雄

    ○吉野政府委員 公正かつ自由な競争を促進しようとするいわゆる競争政策上の立場から申し上げますと、新規参入の阻止につながるような条例の定めにつきましては好ましくないというふうに考えております。
  296. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そういたしますと、熊本県の条例は好ましくない、疑義がある、公正取引委員会ではそういうように理解しているのですか。
  297. 吉野秀雄

    ○吉野政府委員 熊本県の条例が大店舗法の目的の範囲内のものであるか範囲外のものであるか、非常にむずかしい問題でございますが、仮に範囲内のものであるとした場合においても、その限度は必要最小限度にしぼるべきだというふうに考えております。
  298. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そうしますと、公正取引委員会では、現実には調査をするとか、この問題について何らかの措置を講ずるとか――あなたの方ではただ静観しているだけでございますか。
  299. 吉野秀雄

    ○吉野政府委員 現在のところ、熊本県の条例の内容については承知いたしておりますが、それ以上具体的に調査を進める、あるいは所要の措置をとるというところは、いまのところ考えておりません。
  300. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 内閣法制局、来ておりますか。――内閣法制局お尋ねいたしますけれども、通産、自治、公正取引委員会、ただいま私は三者に聞きましたが、ニュアンスがそれぞれ違っておりますので、法制局の見解はいかがでございますか。
  301. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  大規模小売店舗法、大店法の第二条第二項におきまして、大規模小売店舗を定義するに当たりまして、その面積につきまして、小川委員御存じのように、指定都市については三千平米、それ以外の区域については千五百平米というふうに明確な数量で規制対象を定めているというところから見ますと、同法の制定時には、少なくとも条例による規制を予定してはいなかったというふうに考えられると思います。  ただ、小川委員御指摘のように、千五百平米を少し下回るような店舗が相当多数に出てきているというような現在時点で、法解釈として、指定都市以外の区域で千五百平米以下のものを条例で規制することが一般的に直ちに違法であるというふうに決めつけるということは必ずしも合理的とは言い切れない場合があるというふうに考えます。
  302. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大分明快になってまいりました。統一見解も出すということでございますから、いまこの委員会のやりとりを聞いておって御判断をいただく以外、私もここで両者のメンツをつぶすような質問を続けるわけにいかないし、ただ、この判断は、それぞれ聞いている者、議論している者、お互いにそれぞれの立場に立っておやりになっておられますから、私は、先ほど委員長にお願いしたような形態をとっていただくことが最も好ましく、円満であると理解いたしておりますので、この問題についてはこれで打ち切らしていただきます。  したがって、現行の店舗の基準面積千五百平米を引き下げる、この方が先決であると思いますが、大臣、これはいま言った疑義があるとかないとかの問題とはまた別の観点から、いまの法律改正という問題をどうお考えでございますか。
  303. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの面積の改定でございまするが、現在のところその必要はないのではないか。と申しますることは、あとは商調法によりまする調整作業にゆだねてこの点を解決いたしたい、こういう今日までの通産省の見解を改めて申し上げておきます。
  304. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そういたしますと、こういったいろいろなトラブルが起きたり、こういった自治体においていろいろな条例を作成しなければならないように地域間におけるところの商業競争というものが過当に陥ったり、また不当な行為が続出したりするような問題の中に、こういった大型店舗の問題も含まれてきていることは周知の事実でございますので、大臣の御決意は千五百平米以下にはがんとして改正しないのだ、あとはそれらの関連の諸法によって任せればいいのだ、こう私は理解せざるを得ないのでございますけれども、こういった問題が起きてくる背景というものをよくよく御理解いただきまして、もう少し柔軟な御答弁をいただけないものでしょうか。
  305. 田中龍夫

    田中国務大臣 この問題は、私は各地方に参りましてもいろいろと聞くところでございますが、現在の大規模店舗法の問題が、小売関係におきまする調整の問題で大体一つの基準線を決めて、それ以上は全国的なスーパーでありますとか、あるいはデパートでありますとかというふうな関係で特に営業時間あるいは面積その他を規制をいたしておるような次第でございます。同時にまた、その間に小売業者といたしましてのいろいろな地元におきまする、現地に適応性を持たせるというような意味もございますので、われわれといたしましては、各県あるいはまた市町村との、さらにまた商工会議所等、これらの小売の問題につきましてはよく協調をし合いあるいはまたその間の話し合いを遂げながら、消費者の利益というものを特に配慮いたしながら、大規模店舗と小規模店舗とのそこに調整を遂げてまいる、これが現在われわれが考えておりまする線でございます。
  306. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 結局千五百平米以下、時によっては三百平米、この間の野放しがいろいろとこうした地方公共団体独自の――憲法で保障されております地方自治の本旨に従って条例作成という地方議会の権限の最大、フルに使ってやる、それが法律の範囲を超えているか超えていないか、またそれがいろいろな問題に抵触するかしないかの議論が出ているので、大臣、明確に統一見解を出されることを望むとともに、この問題をひとつ御検討いただきたいと思います。  次に私は、中小企業の金融機関問題でお尋ねいたしますが、昨今の中小零細企業の不景気の問題によって倒産や減産を余儀なくされ、雇用労働問題にまで発展する中で、中小企業向けの金融制度として一般に市、県、国、どこの金利が安く、どこの金利が平均して最も高いのですか。
  307. 岸田文武

    ○岸田政府委員 恐らく中小企業が現実に適用になる金利を念頭に置いてのお話であろうかと思います。私ども見ておりますと、やはり中小企業の利用する金融機関としては信用金庫、信用組合がその大宗でございます。それに続いて相互銀行、地方銀行、都銀、こういった順序で続いております。一方、その一角にございまして国民金融公庫、中小公庫あるいは商工中金などの政府関係の金融機関がそれぞれの政策的目的を担っておる。  その間の金利でございますが、私ども総じて見ておりますと、国民金融公庫、中小企業金融公庫の資金は、いま御承知のとおり八・九%で貸し出しております。これは信用組合、信用金庫等と比べれば大体ほぼ同じ程度か、若干いいというような水準ではないかと理解いたしております。
  308. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは大臣も聞いていただきたいのですが、全国銀行貸出約定平均金利は、全国銀行の平均では、昭和五十年十一月末八・七二一%から八・一九%に下がっております。同じく都市銀行は八・六四一%から七・九七六%に下がっております。地方銀行においても八・八〇七%から八・二七二%に下がっております。これに対して政府系の金融機関である国民金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業金融公庫はおおむね年利八・九%、これは高いと思うのですがね。いかがでしょうか。大臣、どうですか。簡単で結構です、高いか安いかだけで。
  309. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの私に求められました見解でございまするが、その点につきましては、今後、商工中金を初めといたしまして、三金庫の政府機関のことにつきましては、十分に検討いたしたいと存じまするが、ただいま政府委員の方もおりますので、大蔵省からもお答えをいたしましょう。
  310. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 いま先生御指摘がございました民間の金融機関の金利、確かにおっしゃるとおりでございます。ただ、御指摘のございました国民金融公庫、中小企業金融公庫は、長期の金利でございます。大体、平均貸付金利が三年前後ということになっておりますので、この場合には民間の金融機関は長期のプライムレートをとって考えるべきではなかろうか。この場合には九・二%でございますので、それに比べれば依然として政府系金融機関の金利は安いのではないかというふうに考えます。
  311. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そういう数字のトリックはこっちでよくわかっていますので、ここで私にはそういうことを言わないでいただきたいのですよ、私もよく調べてきょう発言しておりますので。あなたの方の言い分は言い分として聞きます。民主主義ですから。何もかもだめだと否定しているわけではありません。でも、高いことは事実なんです。だから、政府系統の金融機関は、一般民間や、そういった組合、信用金庫より下げなければいかぬということを申しておるのでございます。  時間がございませんから飛ばしまして、大蔵省、ちょっとついででございますが、郵便貯金の金利の引き下げについて正式に郵政省に対して要請したのかどうか、どのような状況になったとき要請するのか、また、郵政大臣は郵政審議会に貯金の金利引き下げ問題について諮問したのかどうか、こういう問題なんでございます。ちょっとこの委員会ではあれではございますが、私は、中小企業金融関係の金利の問題に絡めて、また、国民の目減りという問題に非常に関心を持っておる一人といたしまして、本日はあえて聞かせていただきたいのでございますが、いかがでございますか。
  312. 宮本保孝

    宮本説明員 今回の件に関しまして、私どもが郵政省に引き下げを要請したことはございません。それから、どういう場合に要請するかというお尋ねでございますが、これは先行き何とも申しかねますけれども、国民の目減りのいろいろな問題もございます。物価の問題もございます。それらの問題と景気を振興させるために金利をどれだけ下げる必要があるかというバランスの問題で考えまして、どちらが優先するかという点で考えてまいりたい、こう思っております。
  313. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 最後お尋ねいたします。  郵便貯金や年金などの政府の財政投融資の原資でございますが、中小企業向け政府系三金融機関の金利の引き下げというものが、いつ、どこで、どのような状態のときに下げられるのか。これは中小企業の金融を扱っている問題といたしましても、また、中小企業といたしましても非常に関心が高いのでございます。どのくらいの引き下げを行うのか、またいつどのような状態になったときに引き下げられるのか、中小企業庁長官、いかがでございますか。お答えむずかしいでしょうか。これで私の質問を終わりますが、親切な答弁をひとつ期待して、時間内にやめさせていただきますので、よろしくお願いします。
  314. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お話がございましたように、いまの中小企業は相当大きな借入金を持っておりますし、その金利負担経営にとって大きな問題になっておるわけでございます。少しでも安い金利を利用したいと思うのは、いわば中小企業として当然のことでございます。私どもは、政府関係金融機関の金利を見ておりまして、それが引き下げられるような環境になったときには、大蔵省ともよく打ち合わせをし、少しでも金利負担の軽減の機会が得られるように図ってまいりたいと思います。
  315. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 終わります。
  316. 伊東正義

    伊東主査 これにて小川君の質疑は終了いたしました。  先ほど問題になりました政府の統一見解は、ひとつ早急につくっていただくことを希望いたしますし、予算委員会での取り扱いについては理事会で協議いたします。  次に、大成正雄君。
  317. 大成正雄

    大成分科員 私はまず、いわゆる中型店と言われるスーパー等の進出に対する指導行政について、御質問を申し上げたいと思います。  ただいま小川議員からこの問題についての御質疑があったわけであります。そこで、まずお伺いいたしますが、大店法の立法時の附帯決議として、千五百平米あるいは三千平米等の床規制値以下のものについても、これに準じて指導を行えという附帯決議があったはずでありますが、この附帯決議に基づきまして、規制値以下のいわゆる中型店舗に対して、いままで具体的にどのような指導行政を行ってきたかをまずお伺いいたします。
  318. 織田季明

    ○織田政府委員 お話しのように基準面積は、大都市で三千、それ以外の都市で千五百平米でございますが、まず数にいたしましてどれくらいあるかという点を申し上げますと、基準面積千以下はちょっと私ども資料がないのでございますが、千から千五百、それから十大都市の千から三千まで、この店舗を合わせた合計が二千七十七店でございまして、そのうちスーパーが千三百三十六店でございます。このうち私の方に話が持ち込まれたものについて調整といいますか、行政指導を行っているわけでございます。具体的な数字につきましてちょっと持っておりませんが、百件か百五十件くらいではないか。はなはだあいまいな数字で申しわけありませんが……。
  319. 大成正雄

    大成分科員 近年いわゆる中型店に対するトラブルが全国各地に頻発をしておりまして、全国知事会あるいは商工会議所、商工連等から大型店法の改正についての要望がしきりでありますが、大型店法を改正するということになりますと、これまた大変なことでございましょう。そこで、商調法の十五条の適用を強化する、これを活発に適用していくという以外に方法はないと思うのですが、いかがですか。
  320. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども中小企業をお預かりしておりまして、最近非常に大きな問題として浮かび上がっておりますのが、やはり小売店の問題でございます。私どもといたしましては、これが何とか円満に解決をされるようにこれからも精いっぱいやっていかなければいけないと思っております。そのための手段といたしましては、先ほどお話のございました大店法の附帯決議に基づく指導という手段と、もう一つは、いまお話がございました商調法第十五条から十八条の規定に基づくあっせん、調停、勧告といった措置が当面用意されておるわけでございまして、これらの二つをいかにうまく使っていくかということがこれからの課題ではないかと思っております。
  321. 大成正雄

    大成分科員 ただいま長官の御意見のようなことがもうすでに具体的に活発に行われているならば、先ほどの小川議員のような質問も恐らく出てこなかっただろうと思うわけであります。むしろそういった措置が遅過ぎるというふうに私も考えるわけでございます。  そこで、この十五条の適用をめぐりましてはいろいろな問題があります。  まず第一には、末端商工団体のいわゆる商調協と言われる機能でございます。この商調協は法制化されたものでなく、指導要綱によって会議所、商工会等で設置されているものでございますが、大店法の諮問にこたえるということだけでなく、その地域一般の商業問題の調整も行うというふうに指導要綱の中にはあるはずであります。この商調協の機能というものをもう少し活用すべきだと考えることが第一点。  もう一つは、商調法十六条では都道府県に調停員というものを設けることになっておるわけでありますが、この調停員の活用というものが非常に不十分であることが第二点。  それから第三番目には、各都道府県に商業問題の調整を扱う担当官がおらないということ、分野調整の問題あるいは床、営業時間、休日制等をめぐる大店舗と小規模小売業とのトラブルの問題、それらすべて調整の問題でありますが、そういったものを扱う中小企業庁の出先の担当官が末端の都道府県におらないということ、このことが非常に問題だと思うのですが、その点についていかがでありますか。
  322. 織田季明

    ○織田政府委員 初めの商調協の活動でございますが、御質問のありましたように、いろいろ活動の範囲を広げてまいりまして千五百以下の調整について活動することについては何ら差し支えないし、われわれもそういうことで活用を図っていきたいと思っております。  それから調整官の問題でございますが、本省につきましては、五十二年度予算が通過すれば商業関係の調整官、これは仮称でございますがそういうものが設けられる予定になっておりますので、今後は地方についてもそういう調整官のような、いま先生からお話がありましたような調整をやる役職の人を設けたいと思っております。努力したいと思っております。
  323. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほど商調法の十五条から十八条について御説明をいたしましたが、実はこれの運用状況はどうかということを振り返ってみますと、この条文を正式に使った事例は一件でございます。それからこれがあることを背景にして事実上の調整が行われたケースはかなりの数にのぼっております。それにしても現実にいま紛争は各地でたくさん起こっておる。それに比べて活用が不十分ではないか。私どもも実はその点を反省いたしておるところでございます。やはりせっかくこういう制度が設けられているのであれば、これがうまく使えるようにこれから工夫をしていきたい。少し部内でもいま議論をいたしておりまして、その整理ができましたならば何らかの通達を用意してはどうか、こういったことを議論しておる最中でございます。その議論の過程におきまして実際どういうふうなやり方をやるかというようなことも議論いたしておるところでございますが、いまお話ございましたように、やはり地元の意見を公平に反映する仕掛けというものを今後の運用の中にうまくはめていくということが有効であろう。その一つの例としましてたとえば商調協を使うなどの方法が考えられてしかるべきではないかと思っておるところでございます。また調停員の実際の活動におきましてもやはり地元の意見をどう吸い上げていくのかというようなことを考えておくことが同様に必要ではないかと思っておるところでございます。     〔主査退席、片岡主査代理着席〕  それからなお府県の体制がそれらの新しい適用に対して十分受け入れられるものであるかどうかということでございますが、私もかつて大阪府に勤務いたしておりまして、実は小売店の出店問題でいろいろずいぶん議論に参加をしたことがございます。私はいまの各府県の商業担当課はこういう問題についての勉強なり理解というものがかなり進んでおるというふうに考えておりまして、これらの方々とよく連絡をとりながら今後の体制づくりを考えていきたいと思っております。
  324. 大成正雄

    大成分科員 時間がありませんので結論をはしょりますが、ともかく都道府県に商調法十六条による調停員そのものをまだ委嘱しておらないという県も大分あるわけでございます。ともかく一日も早くこの中型店といったスーパー等の進出のトラブルをなくしていく。また処理のための統一した指導方針を早く明らかにしていく。このことが非常に大事だと思うのでありまして、一にかかってこれは法行政の問題もありますけれども、中小企業庁の姿勢やその取り組み方の問題だというふうに私は理解をいたします。どうかひとつこの商調法十五条の運用というものをもっと活発に勇敢にやっていただくと同時に、それに対応した都道府県の行政の組織なりあるいは商工団体の体制づくりを一日も早くやってほしい、このように希望いたしましてこの問題を終わりたいと思います。  次に、エネルギー関係について承りたいわけでありますが、時間がありませんから幾つかの問題だけにしぼってお聞きしてまいりたいと思います。  まず第一に、商工委員会におきまして私も御質問申し上げたわけでありますが、政府エネルギーに対する長期的な計画というものはまだ修正したものとしてわれわれにお示しになっておらないわけでありますが、いつごろ新しいエネルギー計画というものが示されるのかを承りたいと思います。その点からまず承ってまいります。
  325. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 エネルギー計画と申しますか現在われわれが持っております昭和六十年度に対するエネルギーの需給バランス、これについて見直しの作業に入った段階でございまして、最終的には来年の夏ごろまでかかろうかと思いますが、中間的にはことしの七、八月ごろまでにまとめてみたい、かように考えております。
  326. 大成正雄

    大成分科員 それまでは現計画を推進することに理解してよろしいのでしょうか。
  327. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 これはちょっとくどくなりますが一昨年の八月に総合エネルギー調査会から答申のあったものでございまして、一昨年の十二月に策定されました総合エネルギー政策の基本方向の参考資料としていわゆる官民の努力目標として掲げられたわけでございまして、いわゆるリジッドな計画といったようなものでございません。そういったところからわれわれといたしましては計画の見直しのいかんにかかわらず現状に即して最大限努力を傾注していくということになろうかと思います。
  328. 大成正雄

    大成分科員 では具体的に電力問題でお聞きいたしたいと思うのでございます。  最近業界においてはいわゆる八十年代危機説というようなものが出てきておるわけでございます。また電源の多様化計画というものもこの三月末ぐらいまでには打ち出されるというふうに承っているわけですが、この点はいかがですか。
  329. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いま八十年の危機と言われましたのは、いわゆる石油の増産限界がそのころに来るのじゃなかろうか、しかも新しいエネルギーとして考えられております水素エネルギーあるいは核融合あるいは太陽熱といったようなものの利用技術が、その時点ではまだ確立されないと申しますか実用化にならないのじゃなかろうかといったようなところから世界的にエネルギーの谷間と言われておるわけでございます。そういった中で電力についてどうかということでございますが、電力につきましては、昨今エネルギーの需要が電力依存を高めてきておるわけでございまして、これは非常にクリーンエネルギーであるあるいは使いいいあるいは瞬時にして利用できるといったようなメリットもございます。また一方では、夏場のピーク時における電力需要もふえてきておるといったようなことから昨今需給が逼迫してきておる。各社が計画しておる立地点が確保できない場合には地域によっては供給不足を来すのじゃなかろうか、こういう観測でございます。
  330. 大成正雄

    大成分科員 であるとするならば、中央電力協が昨年の四月にいわゆる電力危機不可避論というものを出しているわけですが、中央電力協等のこの危機感に対しては長官はどのようにお考えになりますか。
  331. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いずれにいたしましても電力の供給不足を来さないようにというのは当面のわれわれの努力目標でありまして、たとえばSOx、NOx、あるいは温排水、こういったものに対する環境対策を強化すると同時に、特に原子力発電といったものにつきましては安全性、信頼性を確立していく、そういった方向で供給不足を来さないように努めたいと考えておるわけでございます。
  332. 大成正雄

    大成分科員 次に、電力料金について承らせていただきたいと思います。  昨年の六月-八月の間に全国平均二八・七%の料金改定を行ったわけであります。その後OPECの二本立て値上げ等がございまして、平均七、八%、こういったことでありますが、五%の原油値上げがGNPに対して約五千億円、これは予算委員会あるいは商工委員会等の御答弁の中にあるわけですが、この結果が卸売物価に対して〇・六%、消費者物価に対して〇・三%というような寄与をするということが言われております。また同時に、OPECの値上げの元売り各社のコストアップが六%ないし九%、このように言われておるわけでありますが、当然昨年の六月-八月の時点で認可を受けた電気料金はこのコストアップに耐えられないものだと私は考えるわけでありますが、この点いかがお考えでありますか。
  333. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま石油会社と電力会社の間で価格交渉が進められておる段階でございます。ただ、昨年われわれが電力料金の改定を認める段階におきましては、会社側の要請といたしまして原油が五%上がるだろうということで申請があったわけでございます。その時点では、まだOPECの総会も開かれていないといったような関係もございまして、ゼロ査定をいたしておるというのが現状でございます。御承知のように、現在の石油火力は全体の火力の八五%、と申しますことは、電力の六〇%までが石油によって供給されておるといったようなこともございますので、これを吸収するにはなかなか大変だろうと思いますが、われわれといたしましては電力各社が企業努力によってこれを耐えるように指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  334. 大成正雄

    大成分科員 さらに、OPECにおいてはこの年内五%ぐらいの値上げも予想されるというような情勢下にあるわけでありますが、いわゆるその暫定料金というものが企業努力によって耐えられるかどうかの考え方を承りたいと思います。
  335. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 われわれといたしましては、電力各社の料金改定を認める際には一定の原価計算期間というものを前提といたしまして、その間における総括原価をはじき出しておるわけでございます。そういった原価計算期間を一応前提としておりますが、われわれといたしましては公益事業的性格を前提といたしまして、極力企業努力によって長くその水準を維持するように指導いたしておるところでございます。
  336. 大成正雄

    大成分科員 次に、日米首脳会談等の関連について核燃料のリサイクル問題について承りたいと思うのでございますが、近日行われる日米会談において、この核燃料リサイクル問題は主要な議題として取り上げられると思うのでありますが、通産大臣の考え方をひとつ承りたいと思います。
  337. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりにわが国のエネルギー事情は、ほとんど、わずかなものを残しまして全部海外に依存をいたしておるという非常に脆弱なものであります。その中におきまして、特に九九・七%という海外からの石油の依存度であります。こういうことから、どうしても国内的なものを持たなければならぬ、こういう点で、石炭と水力と火力やなんかがございますが、その中におきまして最も将来を期待するのは原子力発電であろうと存じます。その中で、その原料でありまするウランの問題では、御承知のとおりにカーター新政権に相なりましてから、インドの核爆発の問題を契機に核拡散ということを非常に懸念をする余り、再処理問題につきまして米国の見解が、公式かどうか存じませんが新聞等で出ております。  さて、これらの問題につきまして、わが国といたしましてはウランの処理をあるいはアメリカに、あるいは英仏に頼っておるのでありますが、この燃やしました後のプルトニウムの再処理という問題が、日本にとりましては非常に重大な問題であろうと存じます。こういう点で、今回の総理の訪米を機会に、私どもはこの再処理工場、少なくとも発足間際になっておりまするこの工場の平和利用のための発足と、それからさらに将来に向かっての、これは民間のものでありまするが第二再処理の工場をぜひつくっていかなければならぬ。こういうようなプルトニウムに関しまする再処理の問題を、大きなエネルギーの問題としてわれわれは受けとめておる次第でございます。
  338. 大成正雄

    大成分科員 動燃の処理工場の問題あるいは英仏との共同処理問題あるいは民間の第二処理工場の問題、それらも含めまして多国間においてある程度この問題は解決せざるを得ないというふうに考えるわけでありまして、福田さんが訪米されてカーターさんとの間にこの問題の完全な一致を見るということはなかなかむずかしいようにも思うわけでありますが、そこで、これまた年内開催されるロンドン会議に対して政府としてはどのようにお考えであるかを承りたいと思います。
  339. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いわゆるロンドン会議におきましては原子力利用に関する資材、器材等の対外移転の規制について話し合われておるのが現状でございます。ただ御指摘のアメリカにおける核拡散防止との関連において、新しい核政策がどうなるかといったような状況いかんによっては、やはりこのロンドン会議でも論議される可能性はあるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。
  340. 大成正雄

    大成分科員 終わります。
  341. 片岡清一

    ○片岡主査代理 これにて大成君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  342. 水田稔

    水田分科員 現在の石油化学の状態というのは、オイルショック以来大変操業度が落ちてきた、五十一年度でこれをエチレンで見てみましても、操業率七四%、業種によっては六〇%台というのもあるわけであります。その中で特に私はアンモニア、尿素の関係について質問をしてみたいと思うのですが、特に肥料というのは国内の需要はほぼ一定しておって、ほとんど輸出ということで今日までやってきた、ところがその輸出先であるアジアの諸国というのが一番インフレによってドルがなくなる、そういう外貨事情の悪化とか、あるいは欧米の諸国から輸出する、そういう中で日本のこの地域に対する輸出の占拠率というのは大変低下してきておる。そういうことをとらえながら、産業構造審議会の化学工業部会というのが昨年七月に答申を出しておる。そして特にそのことが今日、業界としてもこれに基づいてか、あるいは通産も指導しておると言えるかどうかわかりませんけれども、少なくとも具体的に動いてきつつある。そういう中では、たとえば尿素は五〇%、アンモニアは三〇%の設備廃棄の問題であるとか、そういう問題が論議をされておるようでありますけれども、そういう実態について今日、通産省の方ではどういうぐあいに状況を把握しておられるのか、あるいはどういう対処をされようとしておるのか、まずお聞きしたいと思うのです。
  343. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 御指摘のとおり、尿素は大半が輸出向けでございます。おおむね日本の尿素の約七割が輸出され、そのまた七割が中国に輸出されておったというようなのが、石油危機以前における概括的な状況でございました。ところが、昭和五十肥料年度以降、肥料の国際需給が著しく緩和をいたしてまいりました。また輸入国におきましても自給度が向上したり、あるいは四十八、九年ごろ買い過ぎて在庫がたまったりいたしましたために輸入需要が非常に減ってまいりました。また価格も、ピーク時には四百ドルくらいまでまいりましたのが、昨今は百ドル台に落ちてしまうというようなことでございまして、そういうふうに輸出依存が非常に高かった産業の輸出が急速に落ちてしまいましたため非常な不況に陥っておるわけでございます。しかもこの肥料工業の主たる原料はエチレンあるいはLPG等でございますが、石油危機以後この価格が四倍ないし五倍に高騰してしまうというようなことでございまして、コストの大変な上昇にもかかわらず価格の方はそれに見合っていないということで、全般的にいわば構造的とでも申すべき不況に坤吟をいたしておる次第でございます。これにどう対処すべきかは、先生の御指摘になりました産構審の答申等々を参考にいたしまして今後検討を続けていきたいと考えております。
  344. 水田稔

    水田分科員 今後の検討と言いましても、現実に各企業では具体的に何とかしなければならぬ、やろうとしている、そこに働いておる労働者も現実に首の問題を心配しておる、そういうことですから、そう時間をかけての検討ということでは困るわけでありまして、そこで、この答申に載っておりますね、たとえば一つは、輸出会社の機能を強化する。これは赤字のときにやって、四十八年に一応赤字の解消は、全部の償却は済んだわけですが、そのときにできた会社なんですが、これの機能を強化、こういうことが書いてあるわけです。具体的には輸出会社の機能の強化とはどういうことを考えられているのか、お聞きしたいと思うのです。
  345. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 日本硫安輸出株式会社は従来からわが国の肥料輸出体制の中心となっておるものでございますけれども、その会社の性格上余り競争的ではないために、マーケットの開拓等に関しましては必ずしもその機能が十分に発揮されていない恨みがございます。そこで、そういう面の機能を強化するために、商社を通じての輸出市場の情報収集に努める、あるいは商社の活用によって輸出市場開拓及び既存市場における日本のシェアの確保というようなことを行うように指導をいたしております。換言すれば、独占的な会社でありますために商活動が必ずしも十分でないという欠点を補うために、商社機能を活用するというような方向で機能の強化を図っておる次第でございます。
  346. 水田稔

    水田分科員 さらにその中に、また経済協力の充実により輸出を促進する、こういうぐあいに書いてあるわけです。輸出の関係を見ますと、たとえば硫安が四十九肥料年度でアジア地域で八五%の輸出が五十年には四六%、尿素は五三%が三一%と大幅に下がっておるわけです。それからもう一つは、この輸出の中に占める経済協力の引き当ての率を見てみますと、たとえば四十七年度の肥料年度では全体の中で経済協力は一四%、これが五十年の肥料年度で見ますとわずかに二%に下がっておる。さらに賠償なり準賠償で出た肥料というものも大体賠償が終わってくる。そういう点から諸外国の援助の仕方に比べても日本の援助のあり方というのは非常に低いのではないか。そういう点について、この答申では経済協力の充実により輸出を促進する、こういう言い方をしておるわけです。もう一つは、五十二年度約六十億円の農業経済援助ですかを考えているようですが、その中で一体肥料がどれだけ考えられておるのか。それからもう一つは、肥料というものがアジアの諸国で単年度だけ援助でいく、翌年からはすぐキャッシュで買いなさい、こういったところで、現状としてはその国の経済力がついてくる、そういう長期に肥料を使うという条件をつくらないことにはなかなかうまいぐあいにいかないと思うのですね。だからことしだけのことではだめだと思うのですが、その先についてもお考えがあればひとつ聞かしていただきたい、こう思います。
  347. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 先生御指摘のように、基礎産業局といたしましては経済協力を通じてできるだけ肥料の輸出をふやしたいわけでございますけれども、ただ、日本の現在の制度におきましては、肥料はひもつきの経済協力という制度にはなっておらない次第でございます。OECDのDACにおきまして、エードアンタイイングという基本方針が決められており、日本もそれに従っておるわけでございます。したがいまして、日本の経済協力の中で、先方が、肥料を送ってもらうのかあるいはほかの品物を送ってもらうのか、この辺は被援助国の選択にゆだねられているというのが実情でございます。したがいまして、日本の場合は肥料をねらい打ちにしたような経済協力というやり方は制度上非常にむずかしいわけでございます。  それから、明年度予算におきまして六十億円の農業開発援助資金が計上されておるわけでございますが、これは農薬と肥料それから農機具、これがバスケットに入っておるわけでございます。そのうちの肥料の割合がどういうふうになるかということにつきましては現在のところまだ未定でございます。またこれにつきましては、先ほども申し上げましたように、被援助国等の意向をくむ必要がございましょうし、したがいまして、現段階におきましては肥料が幾らになっているかということは申し上げられないと申しますか、要するにわからないわけでございます。
  348. 水田稔

    水田分科員 いまの答弁では、たとえばこれに基づく通産として、経済協力の充実により輸出を促進するということは答えとして出てこないですね。  それから私はもう一つ聞いています。単年度の経済援助だけでは効果を期待することができない、来年度以降、一体どういう考え方なのか、この二つをお聞きしたい。
  349. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 まことに残念なことでございますけれども、いまの経済協力制度というのは肥料にひもつきになっておりませんので、そしてこの制度を変えるということは非常にむずかしいと思いますから、とにかく経済協力という大きな枠の中でできるだけ肥料の経済協力がふえるように、これはたとえば被援助国等に働きかける必要もございますし、あるいは政府部内での調整もございますが、そういう方向で努力をしていきたいと思っております。  それから単年度の問題につきましては、いまの六十億の農業開発資金、これが来年度もその次の年もつけられるものとわれわれは期待はしておりますけれども、それがつけられるということは予算編成の問題であり、立法府がその予算を認められるかどうかの問題でございますから、これは必ず続くというふうには私たちとしては申し上げられないわけでございますが、ずっとそういうものが続いて、その中で肥料の援助が継続していけるようなことをわれわれとしてもそういう方向で努力はしたいと思っております。
  350. 水田稔

    水田分科員 十分納得できるところまで答弁をいただいておりませんが、あとまだ詰める人が控えておりますので、そちらに譲りたいと思います。  そこで国内の問題で、これはまだ通産はそこまで詰めてないかもしれませんが、たとえばの話ですが、構造不況産業に対して日本開発銀行の資金で産業調整金融、これは仮称で、筆をとった人がそういう名前をつけたんでしょうが、何らかのそういう措置を考えるというお考えが通産省にあるのかどうか。  もう一つは、その中に、税制の面でも何らか考えなければならぬのじゃないかというようなことが報道されているわけですけれども、いま構造不況産業に何らかの手を打たなければならぬということだけはみんな考えていると思うんですね。ですから、どういうことで、いま私が申し上げたようなことをずばり考えられているかどうかは別として、考えておられる構想があれば聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  351. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 産業金融の問題につきましては、通産省の場合には産業政策局というところで検討しておるわけでございますが、いま先生のおっしゃいましたような産業調整金融について検討されているということは、私は存じておりません。
  352. 水田稔

    水田分科員 これは報道でこういうことがあったから、こういうことを私が申し上げたんですが、何らかの、たとえば金融面かあるいは税制面か、何らかのことを考えなければならぬ段階に来ておると判断されておるのか。それで、そういう名前は何でもいいんですよ。どういう形で、この構造不況産業に対する対応を通産省はしようとしておるのか、そのことを聞かしてもらいたい、こう言っておるんです。
  353. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 構造不況産業一般について、いろいろな税制、金融をとる必要があるかどうかは今後の検討事項だと思いますが、私は現段階において、まだ特別な構想を申し上げるような段階には至っておりません。
  354. 水田稔

    水田分科員 検討する段階に来てないというのは、われわれもっと非常に深刻な、特にそこに働いておる労働者というものは、現実に新聞報道でどんどん、五〇%あるいはポリエチフィルでも半分はとにかく会社が減すんだ、こう言われておる。現に会社によっては、国内でだめだから、おまえはイランへ行け、こういうふうなことで大変な自分の生活の環境の変化を甘受しなければならぬ。現実に企業もそうだし、労働者もそうなんですよ。その中でまだ検討する段階でないというような答弁というのは、どうしてもうなずくわけにはいかぬと思います。こういうことに対して、何らかの検討をするというお考えがあるのかどうか、もう一遍聞きたいんです。
  355. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 私の立場では、一般的なそういう不況産業に対する金融及び税制上の措置について検討する立場にありませんので、それはお答えを勘弁していただきまして、ただ私のところの所管の、たとえば肥料産業であるとか平電炉産業とかいろいろ不況産業がございますが、そういうものに対してどうするのかという御質問でございますならば、まず肥料につきましては、いま業界で設備の封印その他についていろいろな御検討をなさっているようでございます。私は正式には聞いておりませんが、いろいろ御検討をなさっておるようでございますから、そういうまず業界の方の対策をよくお伺いした上で、その対策を進めるに当たって、どのような金融上の措置が必要であるか、あるいは税制上の措置が必要であるかというようなことを検討さしていただきたいと思っております。
  356. 水田稔

    水田分科員 時間の関係がありますから、もう一つだけお伺いしておきたいのは、肥料に関してこれはUNIDOの方での話で、これは結論が出たということではないけれども、何回かの会議を通じて、さらにことしの五月の理事会等でも当然そういう問題が出ると思うんですが、将来に向かっていわゆる発展途上国が肥料を自給自足へ持っていきたい、これは日本としても否定はできないことだろうと思うんです。ですから、長期的に見た場合に肥料産業というものがどうなっていくのか、あるいはどうしなければならぬのか。国内の肥料は当然確保する。それから当面の方向としては、先ほど来論議したように、まだまだ肥料が使える地域に対する輸出ということも考えなきゃならぬけれども、そういう国際的な中における日本の肥料産業の持つ役割りとかそういうもので、通産省としては、このUNIDOの動きに対して将来的にどういうお考えをいま持っておられるか、お聞きしたいと思うんです。
  357. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 UNIDOは先生承知のとおり、先進国から発展途上国に対しまして工業の技術とか資金とかの移転を円滑化いたしまして、発展途上国の経済の向上発展に資する。それを先進国と発展途上国の間で協議するシステムをつくり上げるということを目的としておりまして、しかし一般論をやっておったのではいたし方がございませんから、その中でまず肥料を取り上げて、肥料についてどうしたらいいかをモデルケースとして勉強しようということでございます。最近、政府のみならず民間からも、それから労働組合の方も一緒にウィーンへ参りまして、そこでいろいろ検討をしておりますが、現段階におきましてはまだ何も結論は出ておりません。  そこで、しかし一般的な方向として申し上げれば、われわれとしましては、発展途上国における食糧増産は地球的な規模で食糧不足も恐れられているわけでありますから、そういう方向ではどうしても長期的には協力するという基本姿勢は必要であろうというふうに考えます。  しかしながら、これもまた余り無軌道に進みますと、日本国内の肥料産業に対して強烈な打撃となってはね返ってくるというおそれもございまして、その辺の兼ね合いは非常にむずかしいところでございますけれども日本の肥料産業は輸出にウエートがかかり過ぎておる姿というのは次第に改めて、しかしながら日本の国内の肥料の供給を安定的に行うためには、肥料産業というのはどうしても必要でございますから、内需をまずよく踏まえた上で、また輸出市場につきましても余りにも間口を広げないで、着実に日本のお得意として押さえておれるような市場については、将来ともサービスを続けていく。非常にむずかしいことでございますが、そういう方向で考えたいと思っております。
  358. 水田稔

    水田分科員 時間がありませんので、先ほど来論議しておりますいわゆるアンモニア、尿素関係、この関係に働いておる労働者、それからこれはまだまだ確定的なものじゃないのですが、業界の動きで全部は言えませんけれども、すでに人員整理とかあるいは配転とかいう問題が起こっているところもあります。しかし、肥料業界全体の動きの中で、そこに働いておる労働者がどのくらいおるか、肥料関係だけ、そしてこういう廃棄とかあるいは削減という中で、どの程度の労働者がそこからはみ出していくのか、その点労働省どういうぐあいに人数的につかまえておられるか、お伺いいたします。
  359. 小粥義朗

    ○小粥説明員 現在化学肥料製造業に従事している常用労働者数としましては、約一万五千人というふうに私ども承知をいたしております。その中で、アンモニアあるいは尿素という関係の数字で申し上げますと、約千五百人ぐらいかと存じております。ただ、これがこれからの合理化その他の関係でどの程度、いわゆる余剰労働力として出てくるのかという点は、なお詳細について関係省庁とも連絡をとりながら、数字その他については確認をしていきたいと思っております。いずれにしましても、そういう過剰労働力の問題が出てまいりますと、当然雇用対策としての対応が必要になりますので、その点についてはまた雇用安定資金等の対応策で考えていきたいと思っております。
  360. 水田稔

    水田分科員 いま答えられたのは直接製造現場におる人だけの人数ですか。たとえば一つの工場が廃棄されれば、それに関連する工作部門であるとか管理部門というのは当然それについていくわけですからね。それからもう一つは、現実にすでに人員の整理が具体的な日程として上がってきておるところがあるわけですから、そういう中で、業界全体の動きの中で、いま言われた数字では、そんななまやさしいものでは私はないと思う。少なくとも万の単位になる労働者がこの肥料だけで影響を受ける。労働省がそういうつかまえ方をしておるのでは、この大変な再編をやらなければならぬのに対応できないと思います。それ以上の数字を持っておられませんか。
  361. 小粥義朗

    ○小粥説明員 いまお答えしましたのは、御指摘のように直接部門の数字でございます。そうした作業の合理化に対する私どもの考え方としては、まずはできるだけ失業を出さないようにということを基本に置いて対応していきたいと思っております。その面では雇用調整給付金制度がございまして、実は肥料関係の企業からも雇用調整給付金の業種指定等の話もございます。個別企業間の話でございますので、業界としてのまとまったデータその他をいただくようにいま話もしている段階でございます。そういう中で具体的な数字その他も詰めていきたいというふうに考えております。
  362. 水田稔

    水田分科員 労働省のつかまえ方、情勢の判断というのは非常に甘いと思うのです。そんな甘いものじゃないので、私は雇用安定資金でこれだけのいまの石油化学全体が、これから石油は四倍、五倍に上がり、さらに毎年のように一割も上がっていくという中で、石油化学産業がいままでのような形で存在することはなかなかむずかしい状態になってくる。大変大きな転換をやるわけですからね。その中で従来とってきた提案、対策で事足れりというのは甘いと私は思います。そんなことでできるわけがないのです。私は、そういう点をまず労働省がきちっと受けとめて、そしてそれに対する対応策を企業に対しても、大変大きな転換ですから、それは通産が考えなければならぬと思うのですよ。しかし、それに対応するだけのことを労働省が考える考え方、いまから対応してもらわなければ十分対応できない。労働者だけが犠牲になるような形で産業の再編成がやられる、こういう危険があると思うのです。時間がもうありませんので、あとは詰めてまたちゃんとやる段取りをしておりますから、その方に譲りまして、私の質問を以上で終わります。
  363. 片岡清一

    ○片岡主査代理 これにて水田君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一徳君。
  364. 玉置一徳

    玉置分科員 私の質問しようとしたことも同僚議員からの重複が相当あるらしいので、できるだけ要領を得たもので質問したい、こう思うので、よろしくお願いします。  通産当局にお伺いしたいのですが、わが国の繊維産業は、別に西陣、丹後の絹織物の産地だけじゃなしに、紡績から化繊から、つまり川上から川下に至るまで、どの業界も季節的な一時的な不況というよりは、三年数ヵ月にわたる不況でございますので、全く構造的な不況に呻吟しておる、こう言わざるを得ないと思うのです。  そこで、まず第一に、やはり過剰な生産と申しますか、在庫その他流通の過程に至るまで見込み生産による特色と申しますか、仮需要の発注方式でいかれますから、いずれも過剰な形に出ております。その上に東南アジアの近隣開発途上国の追い上げもございまして、輸入も今日までの実績をある程度認めざるを得ないというようなことも思います、なかなかむずかしい問題に遭遇していることは御承知のとおりであります。  そこで、これを一応構造的な過剰生産から来る問題だということで取り上げてみますと、やはりこの際思い切った施策をすべての繊維製品にわたって講じざるを得ないのではないか。流通にもメスを入れざるを得ない。こういうように考えてみますと、きょうは主として絹織物の問題にしぼりまして御質問をしたいのですが、現在まことに不況だから、一つは現在の不況に対する資金的な手当てをお願いをしたい。二番目は、構造改善から日米繊維交渉その他、きょうまで相当な制度資金をお借りしておりますが、これの繰り延べもしくは延期をお願いしたい、こうおっしゃっておいでになるわけであります。実情もそのとおりだと思いますが、果たして本当に延べ払いもしくはずっと延期をしてもらいたいというときに、現在皆さんで自信のある方法としてはどの程度のことができるか、具体的にひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  365. 藤原一郎

    藤原政府委員 いま先生からお話しございましたように、非常な不況に繊維産業全体があるわけでございますが、特に絹の関係は一段とその苦しさも深い、こういう状態でございます。  いまの資金の問題でございますが、既往債務の繰り延べの問題と、それから現在非常に過剰な在庫になっておりますので、その在庫資金といいますか運転資金の融資の問題と、大まかに分けますと二つばかりに分けられるのではないかと思います。  政府機関関係から融資しております関係資金、相当な量に上っておりますので、債務繰り延べ問題というのは大きな問題になろうかと思います。繰り延べにつきましては、かねてから三機関個別ケースごとにきめ細かな措置をとっておりますが、ここへ来ましてまた非常に問題が大きくなってまいりましたので、実は去る二月二十四日、私どもの方の中小企業庁の課長大蔵省の特金課長と連名をもちまして三機関に通達を出しまして、さらにきめの細かい繰り延べ措置をとるように、また期限の問題がございまして、だんだん繰り延べてまいりますと最終的に非常に大きなものが累積をする、こういうことになりまして、期限が来た際の返済問題について非常に心配をしておられるというのが実情でございますので、その点につきましては期限が来ました点において、あらかじめ期限を延ばすということは非常にむずかしいのでございますが、期限が来ました点におきまして返済条件の変更といいますか、さらに延期なりあるいは条件変更というふうなことを個別に御相談を申し上げるようにというふうな通牒の内容になっております。  それから二番目に、運転資金関係でございますが、これは相当の在庫がたまっておるということでございまして、その面から金融が詰まってまいります。そこで在庫を凍結いたしまして、それを倉荷証券担保というふうな方法でさらに運転資金の金融をする道をつけたいということで、これも個別に必要なものについて具体的に当たっていこう、こういうことを考えておる次第でございます。
  366. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、たとえば具体的な例を一つ挙げて御質問するのですが、民間の金融機関ですね、あそこにはあそこの地場の信用金庫がございますのは御承知と思います。そういう民間企業でお世話をいただいておるそういう既往の借入金の返済猶予もしくは繰り延べ等につきましても、通産当局大蔵省とよく御相談をいただいて、そういう通牒なりあっせんをせなければ、私はちょっとこれは、政府系三公庫だけじゃなしに、むずかしい問題があるんじゃないかと思うのですが、そういうことについてどのような働きかけをいましておいでになるか、あるいはしようとしておいでになるか、どちらでも結構ですから、御答弁いただきたいと思います。
  367. 藤原一郎

    藤原政府委員 お話のとおり政府関係機関だけではございませんで、市中一般の金融問題、非常にあるわけでございます。不況状態になりましてから、不況対策といたしまして、主として中小企業庁が中心になりまして、各通産局に話をいたしまして、通産局ごとに地域別の金融懇談会というものをつくりまして、そこで個別の御相談に応じる、こういう方法をいまとっておるわけでございますので、今後また地域別にさらにきめ細かくそういう方法で進めていかなくちゃならぬだろう、かように考えております。
  368. 玉置一徳

    玉置分科員 個別の相談を――実際問題としては個別の相談しか最後はないと思うのですけれども、あらかじめ全般の様相をあれいたしまして、地方の財務局等々も一緒に加えて、金融機関、その他、業界の代表と申しますとなんですが、あそこに丹工連、西陣織物工業組合等ございますから、そういうものとも全般的なあれもしてあげておかぬと、金融機関というのはなかなか期日が来てからでないと話ができぬ。期日が来てから行きますという形では信用の問題もあるから非常に無理をするんじゃないかということを懸念するわけでございますので、一般的な問題として、通産局なら通産局と同時に財務局も一緒に入りまして、そういった問題を、業界とだけの懇談会じゃなしに、詰めていただいたもので業界との懇談会をしていただいておいた後、個別の御相談に応じますという形でないと、実際は行きづらいんじゃないだろうか、こういう感じがしてならないのです。そういうこともひとつやっていただけるかどうか。
  369. 藤原一郎

    藤原政府委員 おっしゃるとおりかと思いますが、いまお話しになりましたとおりではございませんが、大体そういうふうな御趣旨に沿った形で通産局ベースで実は話を進めておるわけでございますので、さらに御趣旨に沿えますよう進めてまいりたいと思います。
  370. 玉置一徳

    玉置分科員 この件に関しましては、予算が参議院に参りましてわれわれに若干の時間的余裕ができましたら、具体的に地域を歩いてみまして、金融機関等々どのようにやってくれているか、それを見て回ってみたいと思います。そのときにや、っておらないようなことでは、またお小言を言わざるを得ないのじゃないだろうか、こう思うから、そのことを承知答弁をしていただいておる、こういうように私は解釈をいたします。  それから一番大事な共同廃棄事業ですが、これは御承知のとおり四府県以上がまたがってすることが本当の実効を上げるゆえんだと思います。だから、そういうような内規をお取り決めいただいておるのはちっとも変じゃないと私は思うのですが、この間、繊維製品のあらゆる団体に来ていただきまして、二日間にわたりまして事情聴取をいたしましたところ、府県によっては、自分の方が、事業団体が一割一分二厘五毛を持ちますからやらしてください、つまり、いまののは、府県を通しましてきますと、府県も非常に財政に苦しんでおいでになります。だからといって、いやだというのは言いにくい。つい事務が渋滞して動きがとれなくなってしまうおそれが非常にありますと、率直な御意見が、ある団体から出ておりました。ここの団体ではないのですが。そういうような意味で、共同廃棄というのは現在も非常に困難なものを残存業者でやろうということであります。本当は踏み切るのになかなかむずかしい問題のところも、くつ下やいろいろな縫製加工等にはあることをわれわれも承知をいたしました。だからというて、共同廃棄に踏み切ろう、そうしなければ構造的な問題が片づかぬという決意までしておるようなところでは、条件だけは弾力的に本当に扱ってあげないと、せっかくのあれを冷めさしてしまったのでは、こういう心配をこの間懸念をいたしました。幸い、この間お話を聞きますと、丹後の方では大体うまく御指導をしていただいておるような感じがいたしますので、詰めちゃいきませんけれども、繊維製品全般としては、あるいは地域によりましても、国全般としてはこの規定だけは弾力的にある程度してあげないと、これだけ疲弊のどん底に入りますと事実むずかしい問題もあるのじゃないだろうか、こう思いますので、地域によりましてはひとつそういう取り計らいをお願い申し上げたいと思うのです。  そこでもう一つ、ついでに輸入の問題でありますが、御努力いただいておることはよく承知いたしております。細かいことは申しませんけれども日本は由来繊維の輸出国でありました。繊維の輸出が一番ドルなりなにをかせいできたわけであります。したがって、日本の繊維製品の輸入についてはそう関心を払わなかったのも当然だと思います。その意味ではアメリカや欧米の諸国に比べて関税も低うございますし、ことに日本が輸出国としての立場から一括関税の引き下げあるいは特恵関税のというような問題をむしろ提起しておることも御承知のとおりであります。この際、ただ構造改善をやりまして、せっかくの自主努力によりまして安定した繊維産業の将来を生み出そうと全国的に努力をいましつつあるときであります。この場合には諸外国も納得していただけるようなやり方でもって繊維製品の日本の安定帯に上るまでの間の措置はあってしかるべきじゃないだろうか、こういうように感じます。一括関税引き下げの場合にも繊維製品は除くとか、繊維製品に関してはその半分だとか、特恵関税の適用も、構造改善が終わって日本の繊維業界が安定を取り戻すまでの間だけはひとつ御勘弁をいただきたいとかいうような措置がとられなければ、せっかく構造改善をやっているけれども、それに対して幾らでも開発途上国から入ってくるという形では無理じゃないだろうかという感じが私はいたします。ニットにいたしましても、前年度四六%近いような、数字は若干違っておるかもわかりませんが、輸入を見た年があったように思います。それが、たとえば四割安いものを売りまして、残り半分はもう原価で売る、これがバーゲンだと思うのです。だから、バーゲン、バーゲンが続くものでありますから、繊維製品に対する国民一般の、価格に対する信用というものがなくなってまいりました。この間高知へ行っておりました。高知へ行きまして、一番目抜き通りの専門店街を歩きました。ちょうど五割引きというごつい広告がどこの繊維製品屋にも張ってあります。聞いてみたら、二十日ほど前までは三割引きとみんな書いてあった。そうやっておろしていくのですから、もうしばらく待っておったらもっと下がるんだ、こういう感じを持つところに需要を振起しないゆえんも一つあるのじゃないだろうかという感じが私はいたします。いずれにせよ、これは生産過剰と流通の過剰、そしてこのニットの場合には輸入のあれがあったのじゃないだろうか、こう思いますので、少なくとも繊維工業審議会の中に需給貿易部会というのがございますが、ある意味ではまだ開店休業のような感じがいたしますが、速やかにこれが活動できるように通産省としてはやるべきではないだろうか。そうして、それの数字に基づいて相当な輸入並びに流通の計画を立てないと、安定帯が見出し得ないという感じがするのでございますが、どういうようにお考えになっておるか。関税一括引き下げから外し得るか、輸入の、昔からの輸出国時代のものを欧米並みに何かの機会に直していくか、特恵関税から新たに供与するときには何らかの配慮をするか、需給貿易部会を速やかに発足さすか、これだけのことについてお答えを願いたいと思います。
  371. 藤原一郎

    藤原政府委員 お答え申し上げます。  最初に関税の件でございますが、お示しのとおり、わが国は元来繊維の輸出国でございまして、いまや輸入に相当悩むという事態に立ち至ったわけでございます。したがいまして、関税が相対的に繊維品については低いということもお示しのとおりでございます。  そこで一括引き下げ問題、新国際ラウンドに関連する問題でございますが、新ラウンドにおける一括引き下げ交渉につきましては、実はまだ、どういう方式でどういうふうに持っていくかということについてなかなか決まりかねているような状況でございます。ただ、私どもといたしまして、日本全体として新ラウンド、関税一括引き下げ交渉ということに臨んでおります関係もございまして、これを上げるということはやはり非常に困難であろうかと思います。実際の具体的な取り扱いにつきましては、なおいろいろ工夫をしてまいりたい。その中で先生お示しのような御趣旨もできる限り生かしていきたい、かように考えておる次第でございます。  特恵につきましても、年々開発途上国側の非常に強い要請がございますので、なかなかむずかしい問題でございます。現実には特恵にかかわります輸入は、五十年度におきまして全輸入の三%程度でございまして、実は余り大きなウエートは占めていないわけでございまして、これも非常に問題の多い品目につきましては特恵税率を一般の特恵の二分の一にとどめるなどの工夫をしていきたいと思っております。今後とも、特恵関税制度運用に当たりましても、国内産業に大きな被害を与えることのないよう十分配慮してまいりたい、このように考えておる次第でございます。  さて、最後お話のございました輸入の動向の把握の問題その他でございますが、昨年来繊維工業審議会の提言の基本的方向に沿いまして、輸入を含む需給の安定を図りますために体制を進めてまいりました。いま先生お示しの需給貿易部会というものも本年早々につくったわけでございますが、かねて先生の御要請もあります、実際にこれの輸入のチェックをする委員会ということで、実は明三月十六日需給貿易部会を開きまして、同部会に特定品目の需給混乱にかかわるところの問題点の調査、整理等を行います調査小委員会を設置することにいたしまして、需給貿易の動向の検討を行ってまいりたい、こういうことにいたしております。  また、関係者間で需給見通しを作成いたしまして、需給の安定に資するために繊維需給協議会を開催するということにいたしまして、目下準備を進めているところでございます。  このように、今後これらの体制を弾力的機動的に運営いたしまして、問題の解決に資してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  372. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、もう一つは、生糸の一元化輸入ですが、これはまあ機屋さんにはまことに評判の悪い制度でございまして、ことに蚕糸安定事業団ですか、これの去年やりましたその売り渡しのやり方が非常に織物業者の希望にかなってないということが一点。やはり必要なものを必要な時期にあらかじめ計画的に、皆さんに明示しておいたとおり、皆さんの意見を聞いて、それに基づいて明示をしておいたときにやらなければいかぬ。必要じゃないものがよく来てみたり何やらするようなことでは、これはひとつ厳に今後の運営について農林省に申し出ていただきたい、こう思います。  と同時に、農林省も来ていただいておるわけでありますが、私は先ほどまで蚕糸業者の方々からいろいろな御注文を受けるときに、やはり蚕糸業者と機屋さんとがどちらも成り立つような相互依存の関係でないと、蚕糸業者が全滅してしまうようなことになれば、これからやはり付加価値の高いものしか持ってこないと言われたときに、どうともなりませんぞということを言うのです。基準価格をもう上げないでくれというようなことはどんどん要請が来ておりますが、そうもならぬ問題もあるでしょう。しかしながら、私は、農政費に思い切って金を突っ込むことによって、将来は基準価格はほとんど上がらない、横ばいである、むしろ毎年下がっていくというような日が一日も早く来ることをこいねがっておるわけでありますが、農林省としてはどういう方法でそれが技術改良から蚕糸の農家の安定のためにお尽くしいただいておるか、これについてひとつ御答弁をいただきたいのです。
  373. 池田澄

    池田説明員 お答えいたします。  まず最初の、一元輸入の一環として行っております実需者売り渡しにつきましては、昨年十月あるいは十二月と実施してまいりましたけれども、準備の不足その他、何しろ初めての事業でございましたから、いろいろと機屋さんの希望どおりに進まなかったという問題があったことは事実だと思います。いろいろと御批判はありますけれども、この事業は、このやり方はやはり機屋さんの希望する線には沿っておるものというふうに思っておりますし、いろいろ批判されております。たとえば希望の繊度なり品位のものが予定どおり手に入らないという問題につきましては、私ども、この実需者売り渡しはそもそも実需者の発意から動く、そういう制度であるということからいきますと、準備期間、かなり前もってその実施の内容を明らかにすれば徐々に解決していくものじゃないかというふうに思っております。そういう意味では、実需者とも今後十分打ち合わせをして、あらかじめ余裕を持った調子でやっていきたい、こう思っております。  それから二番目の問題でございますけれども、蚕糸業の振興を図ってまいりますには、価格政策、要するに行政価格を決めてそれを維持していくというだけではもちろん十分じゃございませんので、生産対策あるいは流通対策を総合的に実施してまいりたいというふうに思っております。わが国の養蚕は、先生御存じのように、非常にすぐれた技術と高い生産、物理的な段階では生産性が高いものでございますけれども、非常に労働を食う生産部門でございます。そういう点からいきまして、労働費を何としても下げていかなければいかぬということがポイントだと思います。幸いにいたしまして、人工飼料あるいは桑の栽培につきまして新しい技術が開発され、普及に移されつつございます。こういったものを中心といたしまして、すでに五十二年度予算に生産対策を非常に充実した内容で要求させていただいておりますけれども、生産面に大いなる力を入れて、先生のおっしゃるように、国際的な場においても恥ずかしくないものにしていきたい、こう思っております。
  374. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで最後に、農林省と通産大臣にひとつ所見をお伺いしたいのですが、まず農林省。  蚕糸事業団の瞬間タッチ――みんな瞬間タッチと思い込んでいます。手数料二百五十円は非常に過酷である、怨嗟の的であるということだけは、ひとつ十分承知をしてもらいたい。これはやはり消費者である需要者の機屋さんあっての蚕糸事業団であることも事実でありますので、その分をできるだけ、あなたの方は、ガラス張りでやっています、それはだれでもわかっていることだけれども、ガラス張りでやっていなかったらえらいことです。そういうことはないと思いますが、ひとつなるべく安くしていただきたい。幾らまで安くしてもらいたいということは言えませんけれども、そして絹織物の余剰分を絹織物の振興のためにひとつ十分活用するようにお願いをしたいと思うのです。  大臣最後に所見をいただきたいのは、本当に弱っております。このままではどうともならぬところへ落ち込むことも事実であります。これは別に絹織物業界だけじゃないのでしょうけれども、繊維製品全部が、お互いに一遍ここで政府も国会も機屋さんも労働者も打って一丸となって、繊維業界あるいは機屋業界の絹織物業界の安定帯を見出すために全力で投球せないと、本当に将来に大きな禍根を残すのじゃないか、こう思って私は心配をいたしております。その意味で、他省にまたがることもたくさんございますけれども、ひとつ十分根回しをしていただきまして、やはり所管は通産大臣のところにございますので、なるほどようやっていただいておる、結果のいかんよりは、むしろその努力の、お互いに見合いしているわけでありますので、そういう意味でひとつ十分の御配慮をいただきたい、こう思うのです。農林省は蚕糸安定事業団の、いろいろな消費者の十分の意見を聞きながら、計画的な、配分じゃなしに仕事の仕方をしていただきたい。農林省並びに最後大臣から御所見を承って終わりたいと思います。
  375. 池田澄

    池田説明員 いまの御指摘がございましたように、日本蚕糸事業団は従来から蚕糸関係中心にして運営してきた特殊法人でございますけれども先生御指摘のとおり、実需者といいますか消費者抜きでは養蚕あるいは蚕糸の振興というものはないことでございますので、先生の御指摘については十分今後とも配慮してまいりたいといいますか頭に置いて事業団の運営に努めてまいりたい、こう思います。
  376. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御指摘のごとくに、まさに過去百年になんなんとする日本の振興の中核が民族産業でありますこの繊維産業、ことに伝統豊かな京都を中心といたしました西陣その他、いまや大変などん底にあると思います。かような意味合いにおきまして、いま先生が言われましたように、国民の声としてひとつ繊維産業を何とかして立て直さなければならぬ。これこそわれわれの日本国民のまさに悲願であり、声である、かように存ずるのでございます。どうぞよろしく御協力をお願いします。
  377. 片岡清一

    ○片岡主査代理 これにて玉置君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤万吉君。
  378. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いまお話にもありました繊維産業、天然の繊維産業もさることながら、化学産業、化学石油を中心とする繊維産業も同様な条件にあります。先ほど同僚の水田議員が質問をいたしましたが、特に石油を基礎とする産業の分野は大変不況な条件に追い込まれております。化学工業部会の答申の「深刻なる」という表現がそのまま業界全体に通ずるというふうに実は私は思っているわけです。  そこで、これはひとつ大臣にお聞きをしますが、ここで石油価格の値上がりがございますね。日石が二千円、他は大体二千四百円。これは原油価格の値上がりが原因だと石油業界は言っているわけです。ところが、昨年度末の決算あるいは今年度三月の石油会社の期末決算、もう新聞で御存じでしょうが、戦後最高の利益の計上でございますね。灯油関係については、政府方針で据え置くという方向が業界の方でも大体定まっていますが、それから出るナフサ等については大変な値上がりをもって化学工業関係の会社や化学工業界といいますか、とてもこの価格を受け入れるわけにはいかない、こう言っているわけです。現実に高圧、中圧のポリエチレン関係の業界では、昨年の値上がりがようやく吸収できるかどうかという状況なんだ、加えて、今日のナフサの末端価格は恐らく二万七千八百円以上になると思いますが、とても吸収できない、こう言っているわけですよ。どうでしょうね、大臣。私は、どういう誘導政策があるかわかりませんけれども、いまの石油価格の値上がりからくる石油化学工業関係の吸収でき得ない状況、不況の状況から見て、私は、価格の問題について政府が誘導的な政策をとるべきではないか、こう思うのですが、今回の石油価格の値上がりについて大臣はどのようにお考えになり、また対処しようとされておりますか。
  379. 田中龍夫

    田中国務大臣 敗戦後の日本が、あのどん底から立ち上がったのは、われわれ国家再建の上から言いまして、一番付加価値の高いペトロケミカルというもので国家の再建をしなければならぬ、これは安定本部のときの再建計画のトップでありました。御案内のとおりに、今日まで隆々として伸びてまいりましたこのペトロケミカルが、OPECの値上がり以来、御案内のとおり実は非常な苦境に立って、油の問題が、エネルギーというよりも今度は原料としての油というものが本当に考えさせられる段階でございます。その間において、特にナフサの価格というものが国際的なコストと比べまして非常に高いということが、そういう点ではそれなりの問題であろうと私は存じます。  お話の、この原料としての石油、ことにナフサ価格の問題につきましては、われわれこれを何とかしなければならぬ。お話のように、行政指導なり価格の安定をどうするかという重大な御質問でございますが、これらにつきましてもひとつ真剣に検討をさせていただきたい、かように存じております。
  380. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 需要と供給、それぞれの業界が大変対立をしておりますから、やはり産業全体の動向、石油化学産業の動向を見ながら通産が価格調整をする、あるいは四月一日から、こう言っております。現実に化学工業界に影響が出てくるのは恐らく九月ごろになるでしょう。したがって、その期間を延期する。いろいろな方法はあると思いますが、ぜひ価格調整、いわゆる価格が吸収できるような条件をつくってもらいたい、こう思うのです。  石油化学産業は御承知のように装置工業ですから、人件費の面でコストを切り詰めてこれを吸収することはほとんど不可能なんですね。したがって、いわゆる原料供給価格が大変大きな比重を持って作用する。石油業界の方では、市場の乱戦だ、したがって、そういう企業努力というものを要求してこの価格を吸収しよう、こう言っていますが、実際問題としては、大臣承知のように、こういうような石油業界、あるいは繊維業界、化学工業業界は不況ですから、とてもそういう条件を吸収できる社会的基盤がないのですよ。となれば、それで生産活動をしている以上、その業界を操業を続けさせるにはどうすべきかというのは、当然国の施策として取り上げるべき問題だと私は思いますので、ひとつこれは大臣にそういう角度でのお骨折りをぜひともお願いをしておきたいというふうに思います。  先ほど化学産業のうちで化学肥料について水田議員から話がありました。その中で、一つは、わが国の経済協力についてというお話がありまして、答弁では、無償借款を含めて六十億、農業機械、農薬あるいは化学肥料、どれがどういうふうに分配になるかわかりませんが、そういう形でいま政府案を組んでいる、こういうお話でございました。  二国間の借款の条件はUNIDO等の会議から見て一定の役割りを果たすでしょうけれども、これからは、発展途上国に対して総体としてわが国がどのような経済協力関係を持つか、こういうことになってくる可能性が非常に強いんじゃないかと私は思うのですね。すなわち、農業肥料、機械、あるいは農業技術、それぞれの発展途上国が持つ社会的な基盤に対して、わが国がどのような経済協力をするか、二国間をもっと広い範囲でとらえ、同時にそれに対するわが国の経済協力が必要ではないか、こういうように思うのです。いまとられている政策は、先ほども指摘がありました二国間における機械、肥料、農薬等を含めての借款。どうでしょうか、UNIDOあたりとの連携をもっと強めて、国際的な単位としての経済協力を進めるべき時期ではないか、こういうふうに思うのですが、これまた大変高度な政治問題ですから、大臣答弁をいただきたいと思います。
  381. 田中龍夫

    田中国務大臣 先ほど局長がお答えいたしました御質問の内容が、どちらかと言いますと、ケネディ・ラウンドを基調にいたしました食糧と同時に化学肥料の問題であろうと思うのであります。その意味で経済協力という言葉を使っていらっしゃると思います。もちろん、さような意味で後発途上国に対します肥料の援助というものは、当然われわれがいたさなければならぬ問題であろうと思いますが、もう一つ、経済協力の内容をなしておりますものは、化学肥料に対するプラント輸出の希望が非常に多いのです。ことにアジア各国。私は、プラント輸出というものをよほど真剣に考えていかないと、われわれは目先の問題でプラントをエクスポートしますけれども、今度、それから出てくる製品ということになると、化学肥料関係のマーケットというものを同時にそれだけ失うことにもなります。反面、また、日本がその要請にこたえないで、出さなかったならば、これは国際的には非常に激しい競争ですから、ヨーロッパなりアメリカなりがそこにセットを置くというようなことになります。でありますから、後発途上国に対します経済協力の中で、現物の肥料のほかにプラント輸出をどう考えるかということは、私は、改めて御検討を願いたい。ことに産油国、いまのOPECの各国等はそういうふうな面を非常に主張しておりますし、近くは韓国に出しました。Zフントの問題も、こちらのマーケットを失い、逆に侵食されるというようなかっこうでございます。経済協力には、そのはね返りとして、化学肥料の工場がいまの非常に経営の苦しいところへ輪をかけて苦境に陥らないようにしたい、かようにも考えます。
  382. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 プラントの輸出の問題を含めまして、インフラストラクチュアといいましょうか、そういう体制で対処するという方向をぜひ強めてもらいたいと思うのです。私は、これは単に通産だけではないと思うのですね。そういう形での経済協力ということになりますと当然各省にまたがる、あるいは外務省との関係も当然起きるわけですから、肥料の輸出市場が非常に大きいという課題から見ても、できれば各省にまたがる一つのそういう対応策をつくるプロジェクトチームのようなものを通産が指導してつくってもらえないだろうか、私はこういうふうに思うのですが、大臣の方で検討していただけますでしょうか。
  383. 田中龍夫

    田中国務大臣 プラント輸出あるいは大型のプロジェクト等につきましては、窓口は、外務省が折衝に当たります。それからまた、おのおの、こういう肥料の問題なんかは農林省、あるいはまた車両なんかにつきましては運輸省がいたしますが、現実に通産省が、御案内のとおり、対外経済協力の詳細な、具体的なプランニングはすでにいたしておりますので、お手元にも、ごらんになったかと存じますが、海外経済協力の問題点という、日本としては一番基本になっております文献は、毎年白書同様に通産省から出しておりますので、どうぞ御参考にしていただきとうございます。
  384. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 先ほど、肥料産業の不況を克服する中で金融機関、産業調整金融公庫、これは答弁にもありましたように、省として直接介入している問題ではなく、むしろ業界がそういうものを望んでいるという形だろうと思うのですが、いま硫安のスクラップアント転換――ビルトと私は言っていませんが、転換という形の中で、今度十九億四千万開発銀行の融資をされましたね。通産の言によればということで各報道機関がやっておるのですが、いま硫安の転換に伴う必要資金、業界では二百六十億ないしは二百七十億と見ておるようですが、それの六〇%は政府資金の融資で行うということが通産の側の意見として報道されておるのですが、この硫安の合理化計画、これに対してそういう形で、通産は、スクラップアンド転換の方向、いわゆる合理化資金を提供する用意があるのですか。特にこの十九億四千万の今年度の融資に伴う延長としてそういうように見ているのかどうか、答弁をお願いしたい。
  385. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 硫安の減産につきましてはおおむね三年間の年月をかけまして減産を推進する計画でございまして、初年度は十七億という予算を計上いたしておりますけれども、全体としては五十万トンの減産を計画しておりますが、まだ全体の数字についてははっきり決まっておりません。全体の金額につきましては決まっていないという状況でございます。
  386. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 全体の金額は、業界でどういう形での転換をするかということになるわけですから言えないと思うのですが、必要額の六〇%を政府資金で融資をする、そういう態度を通産では決めていると報道しているのですが、これは事実ですか。
  387. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 五〇%でございます。
  388. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと硫安についても、これは尿素についても高度化成についても言えることですが、いわばこういう不況あるいは海外市場の狭隘化に伴って、スクラップアンド転換という方向について通産は相当有力な誘導政策をとっておると私どもにはうかがえるわけですね。したがって、先ほど同僚の水田君が質問しましたように、もしも業界がそういう産業調整のために必要な金融公庫をつくるということになれば、通産は、前段の誘導政策がある限り私はそう持っていかざるを得ないと思うのですよ。これは前例もあるわけですね。私の調べた範囲ではポリエチのフィルム業界が四十九万トンの産業破棄をやったときに、プロモーター通産で指導されたんだと思うのですが、総必要額が三百億円、その資金政府資金、中小企業金融公庫あるいは地方自治体の資金を借りてこの産業転換を行った、こういうことが言われておるわけですね。したがって化学肥料関係の生産転換に伴う必要資金は、いまの調整金融公庫の問題も含めて、あるいは政府はそういう形で誘導的に関与し、また同時にそれを助成していくという態度をとられるわけでしょう。どうでしょうか。
  389. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 一般的には先生のおっしゃいましたように減産なり転換なりが円滑に行われるようにいろいろな努力を尽くしたいと考えております。ただ御承知のように不況の産業が非常にたくさんございまして、他方、財源は限られておりますので、どれくらい十分なことができるかということについては別途問題がございますけれども、非常に苦況に立っておる産業につきましてはその業界の状況等もよく聞きまして、できるだけ実態に即した政策をとりたいと考えております。
  390. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 念を押すようですが、尿素の海外市場の問題から見てもあるいは高度化成の市況から見ても、あるいは硫安の発展途上国の新しい設備設置等から見ても、これは不況という問題よりもむしろ国内の産業としてはややスクラップ的な方向を憂慮される産業ですから、そういう意味では不況と相重なる条件をしっかりと見きわめていただいて、大臣の方でもこの業界の要望に対しては対応していただきたいと思うのです。     〔片岡主査代理退席、主査着席〕 そこでこの場合に産業政策、たとえばラクタムの硫安の生産量を縮小するという産業政策の転換は行われるにしても、今度問題はそこに働く労働者ですね。職種転換できればいいですよ。しかし実際には職種転換ができない。事実上合理化されて、希望退職という名の首切りをせざるを得ない、こういう条件があるわけです。そこで、もしそこまで誘導政策をとられるならば、労働者がそういう形で首切りにならないようにその誘導政策、たとえば開銀の政府融資についても、そういう面まで含めて業界に指導されることが必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。もちろん個別の対象案件によって違うでしょうけれども、たとえばあるところに転勤する、そこに社宅がない、それに対してはこの開銀の政府融資を使いなさい、これも一つの救済の方法ですね。これは一例ですけけれども、そういう形の範囲を広めてこの政府資金を使用するように業界を指導されるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  391. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 失業を生じせしめることは最も避けるべきことでございまして、行政といたしましてはその面では最大の努力を払わなければならない、これはきわめて明らかであろうかと存じます。個別の業界、個別の企業につきましても、できるだけ配置転換とかその他摩擦を起こさないような形で産業転換を行っていくことが基本的に望ましいと存じます。そういう方向でできるだけ指導をいたしたいと考えております。
  392. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 今日では私どもの見解が正しかったということになるわけですが、実はいまから十年ちょっと前に、私がエチレンの三百万トン計画について過大設備じゃないか、過当競争が起きて、当時の状況から見てもそれほどの設備というものは必要がないのじゃないかという追及をしたことがあるのです。このエチレンの大型化の過程にも――実はこの場合はどちらかといえば次から次と生産が拡大するという条件の中でございましたから、合理化問題があってもいわば吸収できるという条件の中であったわけですね。今度の場合は逆の条件の中で合理化問題が出るわけですから、特に重大な配慮をひとつ払っていただきたいと思うのです。  そこでこれは労働省にお聞きしますが、先ほど聞きましたらそれに対する直接の対象労働者は一万人前後だというお話でした。労働省に事前に質問の通告もしてあったわけですから、いま少し正確に、しかも二人の議員がこれほど口をそろえて重要な課題だと言っていることですから、少ししっかりと資料を調べ、対応策を出していただきたいと思うのです。  いま私手元に持っていますが、対象労働者は常用労働者で二万三千七百十五人です。それからアンモニアが千三百七十九、尿素が五百九十三、硫安が四百七十六、高度化成が千百二十三、対象は直接対象が約三千人超えますね。これがいま言いましたように生産制限の中でどうなるかという問題があるのですよ。そして個々には三井東圧であるとかあるいは堺化学であるとかいろいろ出ているわけです。私は事前に通告してあるわけですね。この辺のところまできちっと調べてもらいたいと思うのです。労働省にいかに熱意がないかということがわかりましたけれども、これじゃ困るので、そこでこの労働者がいろいろ合理化の対象になっていくわけですから、これからの形として労働省としてはこれの雇用対策について特に監視をしていっていただきたいと私は思うのです。  同時に、昭和四十五年の四月九日、参議院の農林水産委員会において肥料価格安定等臨時措置法の一部改正をされたときに、私ども与野党の議員の方にお願いして附帯決議をつけたのですね。この場合は価格を中心にしての問題でありましたが、同時にそれぞれの肥料プラントの拡大、合理化問題等が内包されまして、そのときに最後の附帯決議として、「アンモニア系肥料工業第二次合理化計画の実施にあたつては、その過剰人員対策につき、万全を期するよう指導すること。」これは院の決議として実は上がったわけです。私は、肥料産業については、国の介入といいましょうかあるいは援助といいましょうか、この制度が非常に強い業界でありますがゆえに、それだけに今度のこの硫安の生産削減の問題も含めて、合理化問題に対しては、四十五年に附帯決議をいたしましたこの第五項につきましては今日でも、条件は違いますよ、業界の条件は違いますけれども、事人員の合理化という問題に関する限りはその条項の適用がされてしかるべきだ、この附帯決議の趣旨をそのまま生かすべきだ、こういうように思いますが、いかがでしょう。これは労働省と、できれば通産の方からも先ほどの経過を含めて御返事いただきたいと思うのです。
  393. 小粥義朗

    ○小粥説明員 雇用の安定は、今日私ども最大の課題として取り組んでおるところでございますし、化学肥料産業について同様の問題が出る場合、雇用の安定にまず最大の努力を払うことは当然であるかと思います。
  394. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうじゃないんだよ。ぼくの言っているのは、第五項の確認が今日でも生きるのじゃないか、したがって、この確認についてどういうように今日の条件の中でも生かせるのか生かされないのか、私は生かすべきだと思うが、どうかということですよ。
  395. 小粥義朗

    ○小粥説明員 仰せのとおりでございます。
  396. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 同じでございます。
  397. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 わかりました。この第五項は、当時としては肥料価格に伴う合理化問題に発生した案件でございますけれども、今日は業界の条件は逆ではありますが、ぜひこの第五項については、事労働者に関する問題ですから、いまの再確認をしていただいて、ぜひ配慮していただきたいと思います。  最後に、私は、これはきょうは質問というより余り申し上げたくなかったことなんですが、労働省がいま少し労働者の首切りという課題について目を光らせていただきたいと思うのですね、化学産業に限らず。そこで私は、この合理化計画の進行が恐らくここずっと、どのくらいかかりましょうか、たとえば各社で労使間で交渉等が行われているようであります。問題の提起が行われているようであります。そこで、国会の私ども調査をする意味においても、できれば三ヵ月に一度ないしは二度ぐらい、この化学産業、特に化学肥料関係の各社間の合理化の進行状況、こういう問題について私ども調査の報告をいただきたいと思うのですが、労働省の方でそういう私どもに対する協力が願えるでしょうか。
  398. 小粥義朗

    ○小粥説明員 私ども、先ほどの水田先生の御質問にもお答えしましたが、雇用調整給付金の問題をめぐってのいろいろな動きもございます。さらに、労働団体の方にもナショナルセンターの方にも、そうした面で実は接触を持ったわけでございます。したがって、これから具体的にそういう雇用不安の問題が出てくる場合、当然私どもとしても対応策を用意しなければならないわけでございます。いま先生の御指摘の点はそのようにいたしたいと思います。
  399. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私ども、率直に言って相当関心を持ちながら見詰めておりますので、私どもが再質問をしないでも済むように、ぜひ通産を含めて御指導、御協力をいただきたい、こういうように思います。どうもありがとうございました。
  400. 伊東正義

    伊東主査 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。  次に、武田一夫君。
  401. 武田一夫

    武田分科員 私は、戦後最大の不況の中で、いまだに低迷状態から脱出できない中小零細企業、特にその中でも下請の企業の方々の苦労というのは、これは痛くはだで感じている一人でございますし、私のいる宮城県というのは東北の中心とは言いながら典型的な中小零細企業の県でございます。そういう多くの一生懸命働きながら苦労している方々、そういう下請企業の保護育成という面につきまして、二、三の角度から、政府はどのような保護育成を考えているか、いろいろお聞きしたいと思うわけでございます。  まず大臣が五十二年度予算について、通産省予算は一般会計で前年度比四・三%増であるけれども、中小企業関係予算として一一・八%増で十分期待にこたえられる、こういう予算を獲得した、このように答えられておりましたが、この中身は果たしてこの中小企業の窮状を救うための実効性を期待できる予算の中身であるかどうかという問題で非常に疑問なんでございますが、二次、三次、四次と下請企業がたくさん苦労している、そういうところにの配慮、これはどのような配慮をなさっているか、まずその一点をお聞きしたいと思います。  それからまた今後この調子でいきますと長期化するような不況だというのが一般的な見方でありますので、そういう不況の中でそういう企業を守り育てるために、どういうような具体的な方策をお考えであるか、この点をお聞きしたいと思います。
  402. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに今日の経済が非常に冷え込んでおるということから、特に信用力の少ない中小企業に対しまするそのひずみというものは一番深刻にあらわれておると存じます。ことに日本の企業全体を考えてみましても、あるいはまたそれに就労しておられる労働人口を考えてみましても、今日、中小企業の労働人口は三千数百万、家族を入れますれば国民の大半が中小企業である特質を持っています日本でございますから、この景気の問題は即中小企業の問題である、同時にまた中小企業をいかに守り、いかに助けていくかということは、これこそ日本経済の本当の取り組むべき最大の案件であろう、こう思います。  御案内のとおりに、中小企業の対策につきましては、金融の問題あるいはまた雇用の問題、税制の問題いろいろございまするけれども、一応商売の金融という問題を考えてみますると、これは大体、中小企業の借入金の全体を一〇〇とするならば、九〇%が民間の金融機関に頼っておる、それからその中では約半数のものが、これが民間ではありますけれども中小企業のあるいは相互銀行、信用金庫、信用組合、こういうところ、それからあと一割くらいが政府関係の三機関の金融でございまして、商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫あるいは環衛金庫、こういうものであります。  それで、そういう中におきまして、政府関係三機関の金融の問題については、これはもう御承知のとおり全力を挙げてこの融資の問題については考えておりますが、その資金枠は大体三兆六千億というような相当の量になっております。それから半面また民間の金融機関に対しまする信用力を補完するという意味におきまして、いわゆる信用補完制度、信用保証協会でありますとか、公庫がございます。そういう点で、さらに倒産のことを考えました場合におきましても、この一月、二月の倒産は依然として多い。これに対しましても、きめの細かいと申しますか、われわれ通産省、中小企業庁といたしましては、全力を挙げてこれらの金融あるいはまた転換その他、きめの細かい施策をいたしておる次第でございます。なお、先生の御指摘のような――何か特段の御質問がございますれば、担当の中小企業庁長官も参っておりまするし、詳細にお答えをいたします。
  403. 武田一夫

    武田分科員 時間がありませんので大臣にもう一つお聞きしますが、昨日不況対策の一環として公定歩合を〇・五%引き下げた。今後さらに〇・五%再引き下げの要求が高まっているということですが、大臣としてこれはどういうふうにお考えになられるか、簡単で結構ですが、お考えをひとつお願いしたいと思います。
  404. 田中龍夫

    田中国務大臣 先般鉱工業生産指数の報告を申し上げた際にも、景気の回復というものが何しろ一番大事であるという点から申しまして、金利政策というのが重要であるということをわれわれも公にいたしております。なおまた、投資減税、税制の面から見ましてもこういうふうな協力をぜひ必要とする、かように考えております。
  405. 武田一夫

    武田分科員 次に移りますが、最近の金融機関等の中小企業景気状況調査をいろいろ見ますと、どうも需要不振による倒産というのが目立っておる。そこで、中小企業の仕事の量を確保してやるということがこれは大事な問題でございます。そういう意味で、どうしてもそのしわ寄せがそういう下の方、下の方と来ますが、そういうことを考えますと、今回かなりのお金を公共関連事業に使うということでございますので、そういう面の配慮というものを私はひとつお願いしたいと思います。  それで、現在行われておる一括発注制度というのが、どうも下の方の企業の方々に仕事が行かないという、そういう大きなネックになっているんじゃないか。こういうことを考えますときに、これは何か改める必要があるんじゃないか、私はそう思います。そこで、私は、それをたとえば分割発注制度とか、あるいはまた地元の中小企業優先の入札制度あるいは共同受注とかいうようなそういうもので、そういう仕事がとれない、入ってこない、そういう企業に対する保護というものはこれはぜひ必要ではないか、こう切実に思うわけでございますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  406. 岸田文武

    ○岸田政府委員 お話にもございましたように、中小企業の本当の声は少しでも仕事が欲しいということだろうと私どもも肌身に感じておるところでございます。その仕事の中で、官公需の部分というのは政府努力をすれば引き上げが可能であるという部分でございまして、この官公需における中小企業の機会の確保ということにつきまして、従来も一生懸命やっておりましたが、特にこの不況の時期におきましては私どもも特段に力を入れて推進をしてまいったところでございます。  従来は、関係各省、とかく中小企業への発注についてはしり込みする傾向もございましたが、最近はかなり理解が進んできておるような感じがいたしております。具体的な手段といたしましては、いまお話がございましたように、分割発注であるとかあるいは共同受注、こういった点は特に大切なやり方ではないかと思っております。  分割発注につきましては関係各省にも協力方をいろいろお願いをしております。現に、中小企業庁自身でも、先般、振興事業団の研修施設の発注をいたしましたが、その際には、電気まわりであるとかエレベーターであるとか区分をしまして、中小企業にもかなり注文が行くような工夫をしまして、成果を上げたと思っているところでございます。  また、共同受注の問題につきましても、いま官公需適格組合という制度を設けましてその推進を図っております。組合の数が昨今でもう百三十を超えておると思います。個々の中小企業では注文がとれないのを、組合でまとまってとるという形をぜひとも推進したいと思っておるところでございます。どうもいままで見ておりますと、組合でやると本当に品ぞろえが確実であるか、あるいは最後まで責任を持てるかというような不安がございましたようですが、そういった不安を除去いたしまして、これなら自信を持って推薦できるというような組合づくりということをやってまいりたいと思っております。昨年の秋に防衛庁からかなり大きな注文が中小企業の組合に発注をされまして、これがまとまったというような成果も上げております。今後とも力を入れてまいりたいと思っております。
  407. 武田一夫

    武田分科員 それはひとつ一日も早く実現をして、安心して仕事が手に入るというような体制をお願いしたいと思います。  ところで、こうした不況が長引きますと、どうしてもやはり、大企業より下請の再編成というのが静かに、深く進められておるようでございます。特に、業種によっては不況の影響がありますものですから、親企業の内製化というのが進められまして、外注割合が非常に低下して、下請企業に仕事が来なくなったという悩みの声をたくさん聞いております。宮城県を中心とした東北の場合、これは下請企業振興協会というのが仙台にあるわけです。それでこういうものを発行しておるわけです。あと各府県にもいろいろ電話等あるいは直接に聞きましたが、これらを見てみましても、たとえば宮城県の例を見ますと、五十年が発注申し出が百五件、受注申し出が百三十七件、五十一年二月末現在、発注九十八件、受注百三十件というふうに厳しくなっている。これはどこの県もみんな同じです。こういうふうなことを考えますと、こうした下請再編成のもとで行われている不当な取引の削減及び停止、こういうものは避けられないというのが実情ではないか、私たちはこう肌に感じます。こうした不正な取引に対して行政指導、監督というのが十分になされなければ、やはりこういう通達をしておりますという一片のそういうものだけではこれはどうしようもないのではないか。そのための悩みというものはたくさんあります。これは後でまた関連して質問しますけれども、そういうものに対する具体的な方策というもの、考えておると思うのですが、それについてひとつお聞きしたいと思うのでございます。
  408. 岸田文武

    ○岸田政府委員 下請の問題は中小企業の中でも特に零細な層でありまして、私どもも、この不況の中で下請企業がどう生き延びていくか、そして将来健全に育っていくためにはどういうことを考えていかなければならないかということをいろいろ努力をいたしておるところでございます。  下請企業の動向につきましては、私どもも毎月アンケート調査を実施いたしております。それを見ますと、昨年から少しずつ仕事はふえてきておるようでございますが、なかなか下請加工賃が上がってこない、その間原料あるいは人件費等が上がってくる、経営としてはなかなか苦しいというような実情ではないかと思っております。親企業と下請企業というのは本来は持ちつ持たれつの関係でございますが、それが、せっぱ詰まってまいりますとなかなかその理想のとおりにいかないケースも出てまいります。しかし私どもは、やはり長い目で見れば、しっかりした下請を育てていくというのは親の責務ではないかと思っておるところでございまして、こういった下請関係をより適正なものにしていくということのために、先ほどお話しございました下請振興協会を通じて取引条件の改善についての指導をする、あるいは私どもも下請の実情についてチェックをしまして、それらによって少しでも改善をする、こういった努力をいま重ねておるところでございます。
  409. 武田一夫

    武田分科員 そういう仕事の問題と同時に、これはもう一つ大きな問題は代金の問題です。これもやはり宮城県の例を申し上げますと、どうも親事業者というのに指導の徹底というのがなされていないのじゃないかというような感じがしてなりません。五十一年十月のアンケートによりますと、支払い内容は全額手形というのが、これは五十年が二六%が五十一年二月には二七・七%にふえています。こうした傾向、これはほかの秋田、山形等東北各県に至っては顕著に見られます。ですから、こういう点の対処というものの姿勢が非常に弱いのではないか。一生懸命やっているというけれども、それはそう効果が出ていないのじゃないか。私は現金支払い部分の法定化を図るべきだと考えておりますが、この点について大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
  410. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私からお答えをさしていただきたいと思います。  現金払いの比率を少しでも高めて、そして下請の人の資金繰りが楽になるようにしていきたい、これは私どもも基本的な考え方としてそのように思っておるところでございます。具体的に申しますと、下請中小企業振興法に基づきまして振興基準というものを定めておりますが、その中でもいまのようなお考えを生かした考え方が入っておりますので、これを何とか徹底をしていきたいと思っておるところでございます。ただ、現実には各種の下請によって実情がさまざまでございます。その辺についてむしろこの際法定化してはどうかというような御意見も私ども前々から伺っておるところでございますが、取引の実情がかなり違っておりますことに加えて、現金比率を法定化すると今度は支払い期間が延びる、いわば親企業の資金のもとというものが一つでございますので、片方を抑えれば片方へしわが寄るというような関係もございまして、私どももこれはどうしたらいいものだろうかと悩んでおるところでございます。むしろ、そういった問題を抱えておる親企業については、少し特段の資金的な応援をして、期間の長い手形を出したり、あるいは現金比率が非常に低くなったりというようなことがないようにできるような仕掛けを考えていきたい、こういうようなつもりでいま勉強いたしておるところでございます。
  411. 武田一夫

    武田分科員 ひとつ一生懸命勉強して答えを出していただきたい、こう思います。  さらに、現行の下請法では親事業者が下請事業者から物品などを受け取った日から六十日以内で下請代金の支払いを義務づけてあると思います。ですが、これもまた大変に違反が多い。たとえば、アンケートによりますと、昨年一〇%あったのがことしになって一〇・五%。手形サイト八十一日以上から百八十日以内が二%から二・四%、こういうようにこれもやはりふえているわけです。堂々とこういう取り決めが破られているわけです。ところがおもしろいことには、このアンケートでもわかるのですが、そういう苦情処理というものが相談を引き受けますと、いらしてくださいと言っているが、こういうところには全く来ていないわけです。そうして、それに対して何もしていません。要するに泣き寝入りですね、われわれに言わせれば。それが五十年十月のとき七%だったのが五十一年十二月では二二・五%もふえています。こういうところを見ますと、やはり下請企業の宿命的な弱さ、それを言えば必ずどこからかばれてしまう、仕事は来ない、仕返しがこわいというような観念を強力に持っています。特に東北の人間というのは非常に内気なものですから、大都会から来た方々にちょっとやられますと、本当に泣き寝入りが徹底しています。仕事を一生懸命やる、そういう国柄の善良な方々を仕返しというような暗黙の中のそういうものを与えるような制度であるならば、これは悪だと思いますので、その点についてひとつ徹底した指導といいますか監督といいますか、それを私はお願いしたいと思うわけです。それが一点。  それから、私は現在の手形割引の業務につきましては、商工中金でなく、いわゆる中小企業金融公庫並びに国金などそういう政府関係の機関にも手形割引業務をさせて、その中でそうした親企業の不正をチェックさせるような体制というものを考えたらどうか、こういうふうに思うわけですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  412. 岸田文武

    ○岸田政府委員 下請に対する支払い条件の適正化につきましては、御承知のとおり下請代金支払遅延等防止法というものがございまして、納品後六十日以内に支払えということ、その他不公正な方法にわたるようなことをチェックするというような制度が用意をされております。この運用におきましては、公正取引委員会と中小企業庁が協力をいたしまして、たとえば五十年の実績で申しますと、中小企業庁関係調査対象事業所が二万八千余り、これについてのいろいろな調査をしました結果、違反容疑事業所が四千余りというような実情でございまして、その容疑事業所に対しましては適時指導をし、また是正の措置を講じているというような状況でございます。私どもは、この施行につきましては、今後とも特に力を入れていく必要があるだろうと思っておりまして、実は人員の増強についても逐次図ってまいりまして、五十一年度は恐らく前年の二万八千件に対しまして約三万二千件程度の調査が行われるのではないかと思っておるところでございます。  第二点にお話のございました手形割引を中小公庫あるいは国民公庫で行わせることが考えられないかという点でございますが、実は手形割引といいますのは、ふだんその企業と当座預金勘定でも持って、日々の仕事についてのおつき合いがある場合に初めてできるのではないかという気がいたします。その点国民金融公庫なりあるいは中小企業金融公庫は民間の金融機関の補完機関といたしまして、いわばスポットでおつき合いをするという関係になっておりますので、どうも手形割引までそれにカバーさせるというようなことは、ちょっと考えにくいのではないか。むしろ商工中金なり民間金融機関の手形割引をいかに円滑化していくかということを中心に今後考えていきたいと思っております。
  413. 武田一夫

    武田分科員 大臣にお聞きしますが、去る二月三日ですか、中小企業庁が中小企業の倒産防止の総合対策としまして、一つ、中小企業金融三機関の融資を上期に集中させるというのが一点、それから二点は、倒産関連特別保証制度の指定の弾力化、小口倒産に都道府県の制度融資を受けやすいようにする、こういうのを二月三日の通達として措置を打ち出しているわけですが、これは考えてみますと、中小企業を本当に守るようなものであるかというのは、これはちょっと考えなければならない。上期に融資を集中させるとすれば、下期に対する具体的な方策というのはどういうものか、これはやはり仕事をする方向としては、これは知らなければならない、知りたい問題でございます。また、中小企業の方々も担保は底をついておりまして、借りられるものも借りられないという窮状に立たされておるわけでございますので、こういう点に目をつぶってはならないと私は思います。そういう意味で、金融機関の厳しい担保の評価を緩和してやるというようなことがなければならないのではないかという点を考えるわけですが、大臣からお伺いしたいと思います。
  414. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまお話の二月三日でありますか、それは中小企業庁の方から各通産局に出しました指導の通達であろうと存じます。それから御案内のとおりに、この零細企業に対しましては、無担保、無保証という金融の制度、これは国民金融公庫の方でいたしますけれども、大体四千七百億という枠組みがございまして、それがお話のように積極的に足りないというよりも、むしろ仕事がないということがかえって私は非常に困った問題だと思っております。  ただいまの通達の問題につきましては、長官から詳細にお答えさせましょう。
  415. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私どもは倒産対策については従来からいろいろやってまいりましたが、いわばそれらを少し体系的に整備をしましてもっとうまく進めていくということのために、お話にございましたような通達を先般用意した次第でございます。ポイントといたしましては、通産局を中心に、財務局なり日銀なり、あるいは政府関係金融機関の出先なり、さらに県、こういったところが定期的に会合をいたしまして、事前に情報をよく交換をして機動的に動けるようにするということを第一といたしまして、そのほか、いまお示しにございましたような対応策を用意した次第でございます。私どもは、この通達以後、各県、各通産局でいまいろいろ打ち合わせが進んでおりますので、かなり体制の前進が図れるのではないかと思っておるところでございます。
  416. 武田一夫

    武田分科員 最後に不況下における雇用対策についてお聞きしたいのですが、春闘の声が聞かれていまして、いろいろとこれからまだ話題がたくさん出てまいりますけれども、倒産して職を失った方々はそんな騒ぎどころではないわけでございます。そういうたくさんの職を失った方々に対する雇用対策につきまして、総合的雇用対策といいますか、そういうものを考え、高年齢者雇用、あるいはまた日雇いの方々の問題もあります、パートタイマーの方々でも生活を支えている方がたくさんおります。そういう総合的な雇用対策というものを確立しなければならないのではないか、この点についてお伺いしたいわけでございます。
  417. 小粥義朗

    ○小粥説明員 従来の雇用対策につきましては、どちらかといいますと出てきた失業者に対する対策という後追い的な傾向が強かったわけでございます。これからの経済情勢を見まして、できるだけ失業を出さないようにしていくということを基本に置いて対策を進めていこうと考えております。  具体的には、五十二年度に雇用安定資金制度というものを実施したいということでいま準備を進めておるところでございます。それ以外に、特に失業のしわを受けやすい高齢者あるいは身体障害者の方々の雇用安定を図るために、これは昨年十月からそういうような法律に基づきまして雇用率制度等も発足いたしております。そうした面をあわせて円滑に実施することによって対応していきたいと考えております。
  418. 武田一夫

    武田分科員 時間がまだ三分ばかりありますので、ひとつこれは追加してお聞きしたいのですが、これは下請企業の問題と関係あるアメリカのカラーテレビの問題です。これは大企業などは、大手メーカーはそういうことを予想してある程度準備していたんじゃないかと私は思いますが、東北などはそういう下請のメーカーが非常にあるわけです。そういうところに及ぼす影響というのは相当深刻なものがあると考えられます。それで、そういうところに対する対策というのをいかに考えているか、これは大臣にちょっとお聞きしたいと思うのです。
  419. 田中龍夫

    田中国務大臣 まず、アメリカのカラーテレビの問題につきまして今回非常に厳しい勧告があったわけでございますが、それに対しましては直ちに政府関係の事務当局といたしまして交渉を開始いたしておるわけでございます。その中には、考えられるいろいろな――アメリカにおける交渉は別といたしまして、お話の点はそれによって下請の関係が非常に苦しいことになりはしないかということでございますが、ああいうふうな電機部品と申しますものは非常に零細な下請が膨大なものでございます。そういうところにできるだけしわが寄らないように、まずもってアメリカがそうなりましても他の面において全世界になお販路を求めていくとかなんとか、生産のしわが寄らないように守っていかなければならぬ、かように考えております。
  420. 武田一夫

    武田分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  421. 伊東正義

    伊東主査 これにて武田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。
  422. 寺前巖

    寺前分科員 朝から京都の農村部の丹後ちりめんという問題でいろいろ各党の皆さんからお話があったと思うのです。私は最後にその丹後ちりめんの問題について重ねてお聞きをしたいと思います。  先日、京都の方面の新聞を読んでいますと、中郡というところのことしの春卒業する十五歳の子供さんが投書をしておりました。「今春、中学校を出ます。去年の今頃は、高校の全日制をめざして勉強に励んでいました。しかし、丹後地方の主産業であるちりめんが売れず、倒産が相次ぎ、両親もそのあおりをうけ困っています。そこで僕は、全日制をやめて、定時制に行くことに決めました。両親は、今も全日制をすすめてくれますが、僕は、自分で選んだ道をいこうと思います。定時制へ進学する人は、全国にたくさんいるはずです。多少つらいこともあるでしょうが、その人たちと力を合わせて頑張りぬくつもりです。」沢春彦君です。中学生がこういう投書をするのはよくよくのことだと思います。  先日も丹後地方の町長会なり議会議長会なり織物工業組合の代表の方々がおいでになりました。昭和四十七年当時には一千万反を織っていたちりめんは、五十一年には七百二十一万反、そしてことしは六百七十四万反という計画を産地が立てる。このような織物労働者や業者の自主努力にもかかわらず、丹後はますます苦境に陥っております。  峰山というところにあります職業安定所の調べでは、昨年一年間繊維労働者の解雇数は三百七十七人、ことしは一月だけですでに百二十二人と急カーブでふえております。深刻な事態が生まれてきております。それだけに、日本の伝統的なこれらの産業を守ってもらうために政治の力をかりたいというのは当然の気持ちだと思います。何はさておいても輸入を規制してもらえないのか、これが最大の声となっております。  そこでお聞きいたしたいと思います。昨年の日韓絹交渉で、七六年四月からこの三月までの一年間に限って、七五年一-十二月並みの水準で韓国側が自主規制するという約束であったと思うんです。約束どおり守ることができたのかできなかったのか、これが第一点。第二点、現在進行中の日韓交渉は、この点についてどうなっているのか、どうさせようとしておられるのか、その中身について簡単に要領よく御説明をいただきたいと思います。
  423. 田中龍夫

    田中国務大臣 交渉の経過並びに経緯につきましては、政府委員の方からお答えをいたします。
  424. 藤原一郎

    藤原政府委員 日韓の関係の絹織物の輸入問題でございますが、昨年の四月、日韓交渉詰まりまして、七五年水準で韓国側が自主規制をする、こういうことになったわけでございますが、七六年度四-三でございますが、まだ三月全部終わっておりませんので、数量的に正確に守られたかどうかということはまだ簡単に把握できませんが、従来の経緯から見ますと、昨年の暮れあたり大分多いような感じがございまして、これでは約束量をオーバーするんではないかということで、暮れに私どもの審議官を派遣いたしまして交渉いたしました。一、二、三月、少し自粛をしてもらうということで、大体協定どおりの枠内におさまるという見通しをいたしております。  来年度の交渉につきましては、すでに二月初め、それから三月十、十一日と二回の交渉を持ったわけでございますが、韓国側はやはり前年度よりも多くということを当然要求しておりますし、わが方といたしましては、いまお示しのように非常に苦境にございますので、国内も生産調整をするような状態でございますから、前年よりもさらに減少した数量で協定をつくりたいということで交渉をいたしております。したがいまして、第二回の交渉まででは、意見合わずということで物別れになっておりますが、四月に入りますと、第三回の交渉をいたすつもりでおります。方針としては、いままでの方針を踏襲するつもりでおります。
  425. 寺前巖

    寺前分科員 その交渉はうまくいく見通しを持っておるのかどうか、これを重ねて聞きたいと思います。  それからなお、京都の絞工業協同組合から政府の方に対して、陳情が二月九日付で出されたと思うんです。私は、その申し入れの文書をここに持っておりますが、これがまたきわめて重要な問題提起をしていると思います。すなわち、こう書かれています。   絹織物の輸入規制は、生糸輸入の増加から蚕糸業を保護するために実施された生糸輸入の一元化が、生糸が規制されるならば撚糸の輸入へ、撚糸が規制されると、次には絹織物の輸入が急増するという悪循環の中で行なわれたのでありますが、その結果は、規制対象外の絹織物、さらには製品の輸入急増を招いており、今やその影響は、国内絹織物業界のみならず、絹織物を原材料とする絹製品製造業界にまで広汎に広がるに到っております。   輸入規制対象外品の輸入急増の実態   日韓両国間で協定された輸入規制は、関税率番号五〇、〇九に該当するものについて、昭和五十二年三月末までの一ヵ年間において、千二百四十万六千SMと定められたのでありますが、先ず発生した事態は、昭和五十一年一月から三月までの規制直前の時期において、統制経済的な独特のムードと思惑によって、別表(1)の如く、絞り加工品、絞り製品が四千百十一万ドル余も輸入され、五十年一月-十二月輸入実績八千三百十一万ドルの約四九・五%もの莫大な量が入荷しております。   次いで、規制対象である五〇、〇九に該当しないもの、たとえば白生地に絞り加工をし、仮絵羽(仮仕立)をしたものは、六一、〇二として取扱されるため、五〇、〇九に該当しないものとしての輸入が激増し、別表(1)の如く、五十一年一月-十二月において一億五千百十七万ドルと五十年一月-十二月実績の一八一・九%にも達するものが輸入されるという異常な事態となっております。   これらの五〇、〇九該当以外のものの輸入激増は、単に絞り加工品のみでなく、染色を行ない、完成製品化したものが増加し、政府間協定によって自主規制を行なっている韓国側業界の少しでも付加価値の高い製品を輸出しようという意欲と相俟って、従来絞り製造を行なっている絞り専業者以外の他の和装品業界、和装流通の各段階の業界までが安易に輸入を行なう事態となっております。   さらに、今次の輸入規制によって、韓国側絞り業界では、日本産絹織物を使用する逆委託加工については、きびしい事前審査制を実施し、事実上日本産絹織物の加工貿易が締め出されることになっております。   これらの事態は、一つには前年比二倍にも達する輸入と完成製品輸入の増大によって、国内の絞り産地は、連携、関連をもつ各加工業界すべてを重大な危機に陥れつつあり、さらに完成製品の輸入が増加すれば、消費される市場が日本国内に限られているため、国内産地は壊滅的打撃をうけることは必至であります。  以下ずっと書かれております。すなわち糸でしぼる、練りが入っている、その次は練りを事前協議制にする、そうしたらその次は白生地で、今度は自主規制で話をする。だけれど、完成品、付加価値の高いものを向こうでつくってどんと輸入してくる。こういうふうにして、結局市場は、相変わらずそうやって泣かされていくんだ。本当に日本の市場、日本の産業界を守るためにどうするかと言ったら、全面的な対策を組まなければいけないんじゃないか、五〇、〇九だけを対象にするような交渉ではこの分野は防ぐことができないではないかというのが、この文書の提起だと私は思うんです。  ちなみに、韓国の織物原糸輸出組合の年度別絞織製品品種別輸出実績状況というのを調べてみました。明らかにPCの分野で見ても一九七六年の上半期だけで、これらの品物は一九七五年実績に近い数字が合計でも出ております。特にこれで見ますと、帯揚げ、兵児帯、ゆかた、羽織、着尺、中振、こういう分野はほとんど上半期だけで同じ輸出をやっているということを韓国自身が数字を出して明らかにしています。とすると、私は本当に日本の産業を守るための規制をいまの対象物だけでやっておって果たしていいのか、疑問に思わざるを得ないのです。  そこで、お聞きをいたします。一体こういう実態になっているということを日本政府としてはちゃんと調査をして知っているのかどうか、ちゃんと調べるように機構的にもなっていて調査をしておるのかどうか。韓国の輸出組合の方はちゃんとそういう数字を発表している。日本の方は対応する数字をちゃんと準備できているのかどうか、事態を知っているのかどうか。知っているとするならば、その問題は当然日韓の交渉の舞台に乗せなければならないはずです。それは一体どうしているのか、御説明をいただきたいと思います。
  426. 藤原一郎

    藤原政府委員 御質問お答え申し上げます。  最初に、先生第一番に御質問になりました日韓交渉の見通しの件でございますが、この点につきましては、何しろ相手のあることでございますから、どうするとはっきりいま断定的に申し上げることは非常に困難でございますが、いずれにいたしましても先ほど申し上げましたような方針で強硬に交渉に臨むということを申し上げておきたいと存じます。  それから、いま絹織物の規制に伴いましてふえてまいりました二次製品の輸入の問題の御質問でございますが、知っておるか、統計があるかというお話でございますが、それにつきましては、いまお話しになりました分類と必ずしも一致いたしませんが、関税番号で言いますと、五八〇五の〇九〇とか、五八一〇の〇九〇、六一〇一の二二九、六一〇二の二八四というふうにずっと分けて、関税番号に従って一応統計は把握いたしております。  それで、二次製品につきましては非常に急増というお話がございましたが、二次製品の輸入につきましては、その主要なものについて見てみますと、七三年約一万三千ダース、七四年約九千ダース、七五年約三千ダース、七六年約一万二千ダースというのが主要なものでございまして、七三年、四年というものが不況の関係もありまして、非常にダウンしてノーマルな姿よりも落ち込んでおったということでございまして、七六年の一万二千ダースは、従来の経緯からいたしますと必ずしもそんなに多い量ではございません。全体の絹関係の輸入から言いますと、二次製品につきまして今日の段階で規制をする必要まではなかろうというふうに考えておる次第でございます。
  427. 寺前巖

    寺前分科員 向こうの輸出組合がちゃんと資料を出している、こういうふうにつくっていますよと。羽織について言うとこうこうですよと、ちゃんと全部数字を出しているんだよ。すると、もう明らかに去年あるいはおととしと比べてみて、上半期だけでそれに匹敵するような状況が出ている。あなたのところの統計の問題について通関統計から整理したやつをこの間聞かせてもらったのです。あわてて計算しているのです。あの通関統計だけではこういう整理の仕方はできませんと担当者が言っている。私は、これは通関統計だけの話じゃなくして、本当にその産業を守ろうと思ったら実態的にこういうものに対応できる統計のとり方を研究する必要がある。私は、そこを再検討して、統計のとり方、あり方も少し研究してもらう必要がある。だから心配ないなんというようなことを言っているのでしょう。心配のないものが、業界がわざわざ出てきて言うでしょうか。私の方の丹後のちりめんで言うたら喪服、日本の喪服の六割はあそこでつくっているのです。加工場で染めもやるのです。ところがこのごろは向こうで安く織物を織って、染めも向こうでやって、それが大量に入ってくる。こういう事態にまでなってしまっているからいま大騒ぎになっているのですよ。あなたたち現場へ行って実態を知っているのですか。だてや酔狂でこういう団体の人が問題を提起しに来ているのじゃないですよ。私は率直に言って、こういう事態にあることを日本の統計がわからないようなやり方になっているところに一つの問題がある。すぐに研究して改善するために、日本の産業を守るために、大臣どうでしょうか、見直してもらいたいと私は思うのです。そして同時に私は、二次製品の問題、完成品の問題、逆にいままでこちらでつくった物を向こうへ行って染めて持ってきておったというやり方すらも向こうはとめてしまって、一切向こうで付加価値をつけて持ってくるのだ。向こうにすれば、日本からプラント輸入をやったりいろいろやっているのだから、当然付加価値の高い物をこっちへ持ってきたいというところでそういうふうに変わっていくだろうということは、それは想像にかたくないですよ。そういうことになってきてこの分野が市場に一つの障害になってくることは、もうきわめて不安をもたらす重要な内容であるだけに、日韓交渉の中でも、これについてもう一度関係業界の皆さんにも集まってもらって、日韓交渉の上においてこの問題について検討しなくてもいいのかどうか。私は、政府自身が交渉をやる以上は、問題提起しておられる関係業界とひとつ相談をしてもらう必要があるのじゃないか。いかがでしょう、大臣お答えをいただきたいと思います。
  428. 藤原一郎

    藤原政府委員 技術的な面がありますので、先に御説明を申し上げたいと思います。  通関統計で把握できます繊維二次製品はBTNの四けたベースの大分類と、中分類及びBTN七けたベースの細分類でございます。これはそれぞれその分類項目が定義されておりまして、一般的な商品分類とかあるいは俗称の分類とは必ずしも一致しないわけでございますが、しかしそれは、だからカバーが非常に低いというわけではございませんで、分類の仕方の問題であろうかと思います。  なお、これでは必ずしも不十分という点も考えられますので、補完する目的をもちまして、四十九年度以降、輸入インボイス統計を整備しておりまして、これでもって通関統計の分類に足りません点につきましては、品目別、素材別にさらに分析をいたしておるというのが現状でございまして、必ずしも現在の把握体系が不十分であるとは考えておりません。
  429. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  日韓問題のいろいろな面におきまして、特に後発途上国と申しましょうか、後進国といいますか、つまり繊維関係その他が安い労賃その他に加えまして、だんだんと技術が高度になってまいりまして、そしていまのような現象が起こってまいっておりますことは非常に遺憾でございます。  なお、そういう問題につきまして、それこそ実務者会談と申しますか、日韓交渉におきまして政府政府のいろいろな交渉がございますので、その際に特に厳重にその点は規制をいたさなければならぬ、かように考えます。
  430. 寺前巖

    寺前分科員 関係業界とこの問題について懇談をされる意思はないのかどうか、大臣にお聞きしたい。  それからいま大したことないと言うが、ゆかたについて韓国の資料を読みましょうか。一九七二年のPCで五万二千七百七十七、その次は八万四千二百二十八、その次は十一万一千九百、そして一九七五年が十四万七千五百三十、そして一九七六年の上半期で十五万八千九百五十六、ずっとそうやって上半期だけでそこまできてしまった。物によっては、それは局長の言われるようなものもあるけれども、やはりこの問題は重大な段階にきている。だから大臣関係業界の皆さんにぜひともお会いになって、これは真剣に御検討いただきたい。それを重ねて提起したいのですが、どうでしょう。
  431. 田中龍夫

    田中国務大臣 先般来、繊維業界の皆さん方ともたびたびお目にかかっております。その際におきまする韓国、中国、台湾等の方からの、いわゆる後進性のある地域からの突き上げが非常に厳しいということもよく了知いたしておる次第でございますが、なおこの点につきましては、近く中国、韓国との生糸の問題、その他いろいろな交渉がございますので、政府といたしましては厳重にこの点の規制をいたしたいと存じます。(寺前委員「業界との御懇談はどうですか」と呼ぶ)先般来もお目にかかっておりますが、いつでもお目にかかります。
  432. 寺前巖

    寺前分科員 こういうふうにして市場が狭くなってくるとどういうことが起こるかというと、次には、一番末端で賃機を織っている人のところへしわ寄せがずうっとくるものなんですよ。どういう形でくるかというと、けちがついてくる。難引きということでけちがつくのですよ。これは大変なんです。どこから見たってどこに難があるのかわからないものを、難があると言って下へぐっとかぶさってくる。大体この業界は親機から賃機に仕事がきておるんだから、一番末端の人は賃織りをして持っていったらその工賃をもらって生活するわけです。そこで親機に行ってしまっているはずなのに、親機からもう一つ上の問屋へ行って、そして問屋から今度は染め屋へ行く。染めてしまったものを、もとが悪かったからと言ってわあっと賃機のところまで、これは難があったんだと言って天引きをされる。こういう事態がいまものすごく広がってきておるのです。工賃どころか逆に赤字になってしまって、自分から金を出さぬならぬところまできてしまっている、難になっている品物について買い取れと来るのだから。これは大変ですよ。こういう事態がいま非常に深刻になっている。  大臣、これを見てください。――これはある人の月のものですよ。名前を消しておきましたけれどもね。それを見てもらったらおわかりだと思うのです。十反で工賃として一万八千円手に入りますよ、ところが九月の難引きの残が七千円ありますよ、十月分は三反難がありましたから、これは買い取ってもらわなければいけません、五万一千円ですよ、したがってあなたのところは工賃を渡すのじゃなくて、逆に四万円払ってもらわなければなりません、難の品物をどうぞ適当にお売りください。売らされるのですよ。結局市場が狭くなってきているから、理屈をつけて末端へ持っていって、そして外交員にさして、問屋やら上の方の関係者は自分らを守るために責任を下へ持っていくというやり方が現実に横行してきているわけです。たまらないとみんな言っている。  私はその一つの例をそこに持ってきてお示ししたわけですけれども、こういうようなことは大変な問題だと思う。これはいろんな角度から私は問題だと思うんだけれども、まず通産省はこの問題についてどういうふうに対応しようとしておられるのか、どう指導して、具体的に対応をどうされようとしておるのか。あるいはまた公取も、下請代金支払遅延等防止法その他の関係があるから、何らかの措置ができると思うのだけれども、そこはどう考えておられるのか。労働省は家内労働法の角度から見てどう考えておられるのか、それぞれいまやっておられることを簡単に報告をしてもらいたいと思うのです。
  433. 藤原一郎

    藤原政府委員 いまの難引きないしは返品の問題でございますが、これは難引きといいます際には必ず難点を申し立てるわけでございまして、そのためには検査体制ということが基本的に問題であろうかと思います。丹後の組合にありましては、組合の生産する織物につきまして、品質の向上とか取引上の混乱回避を図るために、自主的な検査を実施しております。したがいまして、この中に返品対策委員会とかあるいは必要な場合には、京都府の織物指導所というふうなところの協力を得まして原因究明を行い、その結果を踏まえて組合が親機あるいは卸売業者と協議して解決に努力をしているという状態と承知しております。  ただ丹後の産地のように、白生地を生産いたしまして染色段階を他企業に依存する場合におきましては、白生地として合格品と判定されたものが、いまお話しのように、染色段階の糸むら等が原因となりまして、染色後クレームがつきトラブルとなるケースも考えられますし、また組合と卸売業者との検査基準が相違することによるトラブルというようなことも発生することが考えられるわけでございますが、このようなケースにつきましてその責任の所在の判定ということが困難になることも予想されるわけでございます。  いずれにいたしましても、この種の問題は、親機と卸売業者との当事者間の誠実な話し合いにより解決を図ることが基本であるかと、このように考えておる次第でございます。もちろん必要な場合には下請代金法の活用と繊維業界の取引の改善につきまして、別途措置をする必要があるかと思いますが、基本的に繊維の取引につきまして、絹にかかわりませず、全体について非常に問題が多うございますので、現在繊維取引近代化憲章を普及いたしまして、具体化の促進等を図ってまいっておるわけでございます。
  434. 伊東正義

    伊東主査 ほかの省ありますか。――長谷川取引部長
  435. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えします。  先生のおっしゃいましたように、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに返品する、これは下請法違反になります。  ただ本件につきましては、残念ながら私どもはまだ実態を承知しておりませんので、中小企業庁あるいは通産省と協力しまして、実態を調査の上しかるべき措置をとりたいと思っております。
  436. 小田切博文

    ○小田切説明員 家内労働法におきましては、品物を業者が受領した後に一ヵ月以内に工賃を支払わなければならない、工賃を支払った後に軽度の不良品が発見されたというようなことで難引き等を理由に、翌月以降支払うべき工賃につきまして減額をして支払うというようなことになりますと、これは家内労働法に規定しております工賃の全額払いの原則に違反することになりますので、法律違反ということになります。私どもはいま現地の局に調査を命じておりますが、調査の結果違反の事実がありましたら、改善方を指導いたしたいというふうに考えております。
  437. 寺前巖

    寺前分科員 それじゃもう時間が来たようなので……。いま通産省の局長が話し合いでとおっしゃったけれども、親機と賃機との問は、仕事がもらえぬようになったらかなわぬと思うから、話し合いというわけにいかぬのですよ。ここに問題があるわけなんです。それだけにこれは強力な行政指導を必要とする。私は、この決意のほどを大臣に一日お願いをしたい。  せっかく農林省がお見えになっておるので、これは避けて通るわけにいきませんので、一言だけお答えをいただきたいと思うのですが、外国からの糸を織物業者に実需者売り渡しというのをやっているけれども、これは農民を守るために生糸の一元介入をやっておる。ところが業者は安い糸を欲しいというところで、妥協の産物としてそういう制度ができたと思うのです。それができて、昨年二回、一万四千俵ですか出されていると思うのですが、引き続いてことしもやるのかどうか、やるとするならばその量は一体何ぼをめどとするのかというのが一言。  それからもう一つは、業界の中に、二百五十円も取らなくてもいいのじゃないか、みんな困っているときなのだから、むしろ不況のときに助成措置というのか、そういうものに積極的に打って出てもらう必要があるのじゃないかという声が出ております。これに対して一体どう措置をとられるのか簡単にお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  438. 池田澄

    池田説明員 まず最初の実需者売り渡しでございますけれども、これは昨年八月の繭業対策の一環として実施しておりますが、先生御指摘のとおり二回ほどやりました。初めての事業でございますから実施に際しまして余裕がなかった、こういった点がございまして、実需者の方から欲しい糸の種類なり繊度というものが手に入らなかったとか、あるいは欲しい時期に入手できなかったとかいろいろ批判がございますけれども、これは運用といいますか、あらかじめ余裕を持って計画的に実施していけば避け得る面じゃないかと思っております。そういう観点から五十一年度、四月以降につきましては、通産省とも十分相談いたしましてできるだけ四半期ごとに分けまして、と言いますと年間四回になるわけでございますけれども計画的にできるだけ余裕を持って実施していきたい、こう思っております。  なお量につきましては、先ほどからいろいろとお話が出ております中国、韓国というところ、これは大口でございますけれども、いまなお交渉中でございますからどれだけの生糸――特に関係いたしますものは現在かなり大量に入っております撚糸、これを減らして、できるだけ生糸で入れていくということになってまいりますと、その実需者売り渡しもかなりの量が確保できることに相なると思いますが、そういう輸入全体の姿がまだ確定いたしておりませんから、ここではっきりした形で量について申し上げるわけにはまいりませんので、その辺はひとつ御了解いただきたいと思います。  それからもう一つ、二百五十円の手数料の件でございますが、昨年来、需給が非常に短期的に複雑に動くというのが大きな問題になっておりまして、現在、二国間協議のもとで昨年来輸入いたしました生糸はことしの三月末で、約四万五千俵ほど事業団が在庫として保有せざるを得ないという事態になっております。そういう中で実需者売り渡しを行いました場合に、価格が低落いたしましたときには、一時事業団が調整保管をしなければいかぬ、こういうコスト等を見込んでこの金額を決めております。もしそういう事態が発生しないとなりますれば、事業団の一応の利益金として出てまいりますけれども、その場合にはこれらの利用、活用につきましては、法律に従いまして助成事業として活用してまいりたいと思います。その一環といたしましていま先生の御指摘になりました需要増進関係、絹の消費拡大、こういった面にも十分配慮してまいりたいと思っております。
  439. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御指摘のございました賃機に関しまするクレームの、返品の問題につきましては、それこそ二月の四日に、地方通産局に対しまして、こういうふうな下請その他零細な機業に対しまして本当に親切に親身になってお世話をするように、特に通達もいたしておる次第でございますので、早速これらに命じまして現地の方も調査をいたしたいと思います。
  440. 寺前巖

    寺前分科員 どうもありがとうございました。
  441. 伊東正義

    伊東主査 寺前君の質疑は終了いたしました。  昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の特段なる御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後八時十五分散会