○
村山(喜)
分科員 私は、石原
長官に二点ほど具体的な問題で質疑を行いたいと
考えております。
まず第一点は、鹿児島湾北部の水銀汚染の問題についてでございます。
この問題は、
長官も御承知のように、五十年の四月に、鹿児島県が環境調査を行いました報告書を出しているわけでございます。これの調査結果は、「
総合的考察」といたしまして、魚介類の高濃度汚染の主たる原因は、火山活動に伴う水銀の排出によるとともに、湾奥のいわゆる閉鎖性水域であることの結果から生まれたものであろう、こういうふうに
考えるのが適当であるという判断の基礎を示しているわけでございます。
それに対しまして、五十一年三月、文部省の
総合研究班の東京工大の小坂丈予先生がいろいろな角度から調査を行いましたその結論は、海水中の水銀を含めた他の重金属は、外洋に比べれば若干高濃度であるとはいうものの、異常に高濃度のものは発見されていない。これは一年間の
総合研究の結果であるけれども、そのようなわずかの期間の中では十分の
成果を上げることは困難である、したがって、今後の調査
研究に待たなければならないのだが、潜水によって海底火孔の
状況等の調査を行うならば、より
効果的な判断ができるのではなかろうか、こういうようなことで、これは断定をいたしておりません。
ことしの
予算の中で、
環境庁の
水質保全局の方と水産庁の方、それに文部省の
予算、こういう形で
予算がそれぞれ計上されております。
そこで
長官、小坂先生の報告書によりますと、潜水船を入れて火孔の状態等を調べてみたらどうだろうかという提言がございました。地元の方でもこの問題は非常に重大な関心を持っております。というのは、特定の魚種でありますが、その水銀汚染魚は、とりましても市場に出すことはできません、捨てなさいということになっております。漁業で
生活をしている
人たちもおります。沿岸の住民は非常に不安を感じている。第二の
水俣病になるのではないだろうか、その原因は一体どこにあるのだろうか。この問題の解決を科学的に処理するのは、当然国の国民に対する一つの責任でもあろうということで、
科学技術庁に「しんかい」という潜水船がありますので、これによって海底噴気の状態を調査してみたらどうかという投げかけをしたわけです。
ところが、
長官も御承知だと思いますが、この「しんかい」は七年間使いまして、ことしの三月末でもう任務を終了する、後は解体をして、これから二千メートル級の潜水船をつくるんだというので、ことし二億ほど
予算がついているようでございます。じゃ、ほかにそういう潜水船があるのかと調べてみたら、国の所有物はないのです。「はくよう」という六トンの小さな船が特殊法人にございます。それでも活用をして調査をしてみたらさらに的確な結論が出るのではないだろうかと私は
考えているわけです。六トンの小さな潜水船でございますから、前の「しんかい号」に比べたら持ち運びもきわめて軽易でございますし、そういうような立場から利用をするならば、「しんかい号」であれば四千万円くらいかかるであろうと言われておりますが、「はくよう号」であればその十分の一くらいの金で済むのではないだろうかと私は思うのです。
これは
環境庁の任務、分野でございますから、
環境庁と水産庁が——魚体にそういう有機水銀が蓄積をされる過程というものは水産庁で調べるとして、そういう湾の奥が汚されて水銀汚染魚がとれるような状態、
水質汚染、環境汚染という問題は、
環境庁長官の方でそういう住民の期待にこたえて真相究明を願う、これがことしの
予算の中でできるであろうかということについて若干の懸念を持っておるのです。あれは七百数十万だったと思いますが、限られた
予算の中でどの程度のものができるのか、そしてまた、この真相究明にかける
長官の熱意をひとつお聞きをいたしたい、私はこういうふうに
考えておりますので、事務当局の方から事務的に
説明をしてもらった後でも結構でございますが、
長官の取り組みの意欲的な姿勢を明らかにしてもらいたい、こう
考えるわけです。