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楢崎委員 いまのホール・ボデー.カウンターではガンマ線しかだめなんですよ、
局長、あんなに言っているけれども。それは後でお調べになるさっきの点と一緒に報告してもらいたいのですけれども、結局内部被曝にとって大事なアルファ線やベータ線をはかれない、それをまず明確にしておきたいと思います。
そこで、いまこの被曝と病気あるいは死亡との因果
関係について国際的に一生懸命検討されておるのです。ローレンス放射線研究所の有名なタンブリン博士は、その研究の結果、内部被曝はそのときの外部被曝の五倍から十倍だ、そう
指摘しておる。とするならば、この表にあらわれた被曝線量は五倍から十倍してみないとわからない、判断できない、こうなります。十倍すればほとんど許容線量を超える、こういう結果が出る。つまり逆に言えば、いま国際的に言われておる年間五レムあるいは三カ月三レム、この許容線量は高過ぎる、もう少し低くしなければならない、十分の一にしなければならないということがいま言われておるのですね。だから、この電力会社が許容線量として以下だと言っている、このことにまず問題があるということを宇野長官ひとつよく
認識をしていただきたいわけです。後ほど労働省の昨年十一月に出しました——これもやっと出した。労災認定基準の場合の被曝の
関係を改めて放射線量と絡めて出してまいりましたね、これも私は後で
指摘をしますけれども、この因果
関係というものが、やはり放射線が直線的に入るんだ、ちょっとでも被曝を受けたらこれはもう因果
関係ありと見る方が正しい、もしそうでないならばそうでないという挙証責任は事業者側にある、こういうことなんです。
そこで私は、この表の中から被曝線量のもうとても少ない方、少ないけれども実際にはどういう
状態であるか、その例を一、二挙げたいと思うわけです。これはここに書いておるとおり、別表の3の二です。名前は全部わかっておりますけれども、御家族等の問題もあるし、プライバシーの問題もありますから名前は伏せます。お医者さんの名前も伏せます。この少ないけれども実際には本人はどういう
状態であったか。
これは敦賀原発のS氏の場合であります。住所北海道、死亡年月日五十年四月二十五日、三十四歳で亡くなられた。所属は北海道電力、職務
内容は定期検査研修、被曝線量は〇・〇三レム、作業期間は四十五年十月三十日から四十五年十一月二十七日、死因は慢性骨髄性白血病、被曝手帳の保管場所は原電、こうなっています。このSという方は北海道電力の原子力部の計測の技術者でありました。北電は岩内に原発をつくる計画がある、その教育訓練のために四十五年九月三十日から行われた敦賀原発の定期検査の研修に派遣をされた。約一カ月出張しておるのですね。そして定期検査に立ち会った。この定期検査のときが実は非常に危険なんであります。そして、その後本人は、四十六年から約二年間、
日本原電に出向しておるのです。やっと本人が白血病であることがわかったのは、出向した四十六年の健康診断のときであった。四十八年からだんだん症状が悪化をいたしまして、北海道大学の付属病院で亡くなった。病名は慢性骨髄性白血病であります。残された遺族の方がこの被曝との因果
関係を非常に心配をし、問題にし始めたところが、昨年の四月一日付でその未亡人を北電の正式社員として採用した。これはほかにも例があります。文句を言うとその未亡人を雇うのですね。悪く
考えれば口封じということになるでありましょう。これが
一つの例であります。
次に、別表5の1であります。これは私は過去診察をされた、あるいは死亡診断書を書かれたお医者さんに全部照会をいたしました。約半数が返ってきました。このお医者さんの回答を見ますと、非常に良心的なお医者さんと、木で鼻をくくったような回答をしたお医者さんとあります。非常に顕著であります。それで、このお医者さんから来ました来信によって別表5は書いておるのですね。
たとえば神戸市のE氏の場合です。これは美浜。〇・〇二レム、この人は膵臓ガンです。そして詳しくここに書いておるとおりでありますが、もちろんこれは被曝と病気の因果
関係についてはそれ以前に診察していないからわからない、これは本当だと思いますね。だから、元ABCCなりあるいは放医研あたりの権威ある専門家に聞かれた方がいいのではないか、これは私正直だと思うのです。
ところが、同じ方が三菱の神戸病院にもかかっておる。この神戸病院の返事は、ほかにいろいろ私は聞いておるのにそれは何も書かないで、ただ一点書いておるのは何か。放射線被曝と病気との因果
関係はなかった、そのほかのことについては医師の守秘義務があるからだめだ、こういう回答ですね。
私はこの二人のお医者さんの回答ぶりを見まして、同一人物に対する二つの病院の
対応の仕方、まことに特徴的であります。実は、入院加療をして、死亡診断まで書いたのは海星病院の方です。だからこっちの方が詳しい。三菱病院の方は一番最初にちょっと見せに行って初診をしただけですよ。初診をしただけのくせにこういうふうに因果
関係がないと言い切っている。詳しく診ておって、そして最期死に水までとったお医者さんの方は、因果
関係についてはよくわからない。なぜか。はっきりしているのです。三菱の神戸病院は三菱重工の病院だからです。つまり隠匿をしようという理由、それ以外にないわけでしょう。もし因果
関係が問題になると、親元の三菱重工の責任が問われるからでありましょう。だから、非常に良心的なお医者さんはそういうふうでにわかに判断はできない、これが
世界の大勢でもあるわけですね。
そこで、今度はこの表で全然被曝がゼロの人がありますよ。ゼロの人は全く
関係なかったか。具体的に当たってみましたら、これが別表4です。別表4にあります。どういう症状になっているか。これは作家の吉原公
一郎氏の
調査結果ですから、すでに明らかにされておりますので、氏名もここに明らかにしております。
この方もリンパ腺腫瘍、すなわち白血病です。ここに報告しておるとおりです。最初の症状は死亡する一年前、そして食欲不振、倦怠感、胃の調子が悪い、のどのリンパ腺がはれる。そして病院側は、これでもそうですけれども、病院側は被曝の事実があったというのをほとんど知らない。なぜならば、大臣はいろいろおっしゃっているし、
局長もおっしゃっているけれども、本人たちはこの放射線管理手帳というのを持たないのです。被曝手帳を持たない。だから自分がわからないから、お医者さんがわかるわけがない。もしわかっておれば別の治療方法もあったろうということをおっしゃっているお医者さんもある。
それから今野忠という方です。この方もこれに書いておるとおり。つまり、その原発に働きに行っておる途中でだんだん鼻血が出てきた、これが急性骨髄性白血病。この表で、たとえ被曝線量がゼロの人でもこういう症状です。白血病です。つまり、ここに出ておる外部被曝線量では問題にならない。内部被曝線量こそ問題である。そして内部被曝線量はホール・ボデー・カウンターでやっていると言うけれども、全部やっていない。私、調べた。社員の人はやっております。下請労働者はやられていない。つまり使い捨てなんです。
それでまたこういうことを学者は言っているわけです。放射線の被曝は、線量の合計が同じでも、短期被曝の方が長期被曝より影響がはるかに大きい。すなわち、被曝線量のほかにどれだけの期間にそれを受けたかが大きな意味を持つわけです。だからこういう表ではわからない。この期間のうちのどこでどの現場で何時間働いたか、そしてそのときの空間線量はどうであったか、またその近所のいろいろな機械についている表面の被曝率はどういう
状態であったかということまで見ないと、簡単には判断はできないのですよ。さらに、放射線による急性の障害では、致死量と影響を与えない量との間、つまりちょっとの量の間でも余り大きな開きはない、急性の障害の場合。その例が先ほど挙げた三十四歳の方です。短期間に浴びている。致死量を浴びたかどうかは問題じゃないということになるわけであります。
それから、次に被曝手帳。この被曝手帳は、作成義務というのは法的な強制力はありますか。