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○坪川
委員長 これより会議を開きます。
まず、
理事の
補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動により、現在、
理事が三名欠員となっておりますので、その
補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、
委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
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○坪川
委員長 昭和五十二年度一般会計予算、昭和五十二年度特別会計予算及び昭和五十二年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。
去る十一日から審査を行ってまいりました分科会の審査は、昨日をもって全部終了いたしました。
この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
まず、第一分科会主査木野情夫君。
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○木野
委員 第一分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
本分科会の審査の対象は、昭和五十二年度総予算中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府のうち、経済企画庁及び国土庁を除く分、法務省及び他の分科会の所管以外の事項でありまして、去る三月十一日から十五日まで、日曜日を除く四日間慎重に審査を行いました。
質疑者の数は延べ六十名、質疑時間は三十一時間余りに及びましたが、各分科員の協力を得まして、円滑に審査が行われました。
質疑の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは簡単に質疑事項を報告することといたします。
まず、国会関係では、衆議院事務局職員の人員増、勤務条件、給与改善問題、国会図書館については、講堂の使用問題、非常勤職員の待遇改善について質疑が行われました。
総理府本府、内閣法制局関係では、婦人問題で、婦人の日の設定、国際婦人年の国内行動計画、恩給関係で、受給権と通算制、従軍看護婦の問題、義勇兵役法の法体系、戦災者に対する援護措置、同和関係で、特別措置法の期限延長と予算措置、差別刊行物の規制措置、狭山事件、その他では社会保障制度審議会の運営等について質疑が行われ、行政管理庁、北海道開発庁、沖繩開発庁、警察庁、人事院関係では、補助金制度の再検討と行政改革、北海道総合開発計画、沖繩の地籍問題、警察の職務のあり方、自動車の運転免許制度の再検討、暴走族対策等交通取り締まり、公務員試験と任用問題について質疑が行われました。
防衛庁関係では、国防会議の改革問題、在韓米軍の撤退問題と新韓国条項及び在日米空軍との関係、自衛隊の射撃訓練の強化策、自衛隊の施設関係で、首都施設の整理問題、岡垣射爆場の使用期限の遵守、大分弾薬庫の安全対策、自衛隊基地の騒音対策では、美保、築城、入間の各基地について、米軍基地の返還と跡地利用関係では、多摩弾薬庫、立川、関東村住宅地、所沢、柏通信所、横浜市内施設、相模原医療センターの各基地について質疑が行われ、このほか、岩国基地周辺住民の安全対策、駐留軍労務者の対遇と既得権の確保策、沖繩の放棄請求権の処理方針、在日米軍の犯罪防止策等について質疑が行われました。
環境庁関係では、環境アセスメント法案の提出時期、公害健康被害補償制度の認定指標とNOxの関係、環七沿線住民の振動被害対策、エネルギー消費量の増大と環境保全、新大隅計画、成田空港の環境基準、ビーナスライン、南アルプス・スーパー林道の建設、生駒山系の乱開発、伊豆七島、小笠原諸島等の自然保護対策、国立公園内の住民生活と特別地域指定の問題、水質汚濁関係では、瀬戸内海環境保全臨時措置法の後継法問題、伊勢湾の汚濁防止、鹿児島湾の水銀汚染問題の質疑が行われ、このほか、水俣病対策、廃棄物の最終処理場問題等についても質疑が行われました。
科学技術庁関係では、エネルギー対策の基本認識と核燃料の確保策、原子力船関係で、原子力船の開発推進策、「むつ」の修理港及び母港問題、宿毛湾の石油備蓄基地構想と漁業対策等について質疑が行われました。
最後に法務省関係では、再審手続きの緩和と人権擁護問題、国籍法等における男女差別規定の是正問題、厚木基地の騒音対策と人権問題、狭山事件と人権問題、登記事務の促進化と人員確保策、国土調査法による地番変更と登録免許税の問題等について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
-
-
○
金子(一)
委員 第二分科会の審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会の審査対象は、昭和五十二年度総予算中、外務省、大蔵省及び労働省所管のものでありまして、去る三月十一日から十五日までの間、四日間にわたり慎重に審議を行い、その間、質疑者は延べ四十四名、質疑時間は約二十三時間余に及びましたが、分科員各位の御協力により円滑に審議を進めることができました。
その詳細は、会議録を御覧願うこととし、ここでは簡単に主な事項について御報告いたします。
審査は、まず各省当局より、予算概要説明を聴取した後、質疑を行いました。
最初に、外務省関係については、日本の安全と米国、中国、ソ連との関係、南北朝鮮問題、在韓米軍の撤退と平和維持の認識、日韓大陸棚協定と海洋法会議における経済水域との関係、金大中氏事件の調査、日韓癒着問題の調査、対韓経済調査派遣団の報告、日中平和友好条約の締結促進、日ソ漁業交渉と漁業専管水域の取り扱い、日米首脳会談の議題と核燃料再処理問題、国際人権規約の早期批准、ベトナム経済援助、領海法案における国際海峡の取り扱い、新島誕生による国際法上の取り扱い、財団法人国際学友会の東南アジア留学生寮の閉鎖問題、海外子女教育のための派遣教員の身分保証、成田空港と外国航空
会社の移転問題等、広範多岐にわたり質疑が行われました。
また、大蔵省関係では、都市交通に対する財政資金投入の必要性、国民金融公庫の融資運用のあり方、小企業経営改善資金融資制度の検討、歩積み両建て、付加価値税、国有資産等所在市町村に対する交付金及び納付金の引き上げ、中小企業経営者及び農業法人に対する相続税の優遇措置、戦時災害を支給事由とする遺族年金の取り扱い、米軍基地返還に伴う跡地利用問題、農林省畜産試験場の跡地利用問題、国内産葉たばこ生産のあり方、生命保険外務員の待遇等について質疑が行われました。
最後に労働省関係については、職業訓練校のあり方、身体障害者の職業訓練、定年延長対策、生活保護基準と最低賃金制、六億クロム等化学物質による労働安全対策、建設労働者に対する雇用改善、沖繩の失業対策、VOA従業員の解雇に伴う退職金の取り扱い、同和地区住民の雇用対策、季節労働者に対する雇用保険金の取り扱い、労災保険の適用をめぐる不正行為、建設業退職金共済制度への加入実態とその運用、造船不況に伴う職業転換給付金の取り扱い等、多くの点について熱心に質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
-
-
○笹山
委員 第三分科会における審査の経過について御報告いたします。
本分科会の審査の対象は、昭和五十二年度総予算中、厚生省及び自治省所管の事項であり、去る三月十一日から十五日まで、日曜日を除く四日間にわたって慎重かつ真剣な審査が行われました。
質疑者は延べ四十六名、質疑時間は約二十四時間に及びましたが、分科員各位の協力により円滑に審査を進めることができました。質疑応答の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては会議録に譲ることといたしまして、ここでは簡単に質疑事項の主なるものを御報告するにとどめたいと思います。
まず、厚生省関係についてでございますが、第一に、年金問題に関しましては、年金支給月の改善、厚生年金額の引き上げ、厚生年金の支給制限の緩和、福祉年金の所得制限の緩和、大規模年金保養基地の設置等について質疑が行われました。
第二に、社会福祉対策につきましては、保育所についての国庫負担のあり方、保育所の整備と運営費の改善、保母の確保、民間社会福祉施設職員の処遇改善、視覚・聴覚障害者対策、消費生活協同組合の育成、いわゆる中国引き揚げ孤児の日本語教育と就職、生活保護における高校生の扱い等について質疑が行われました。
第三に、医療保障の充実につきましては、医療制度の抜本改正、救急医療体制の整備、僻地医療対策の推進、小児専門病院の整備、沖繩の医療供給体制の整備、医療関係者の確保等、医療供給体制確立の見地から質疑が行われました。
その他、精神障害者対策、循環器疾患対策、アルコール中毒患者対策、ナルコレプシー症、三角筋拘縮症患者対策、東京スモン病訴訟の和解問題、原爆被爆者対策、優生保護法の改正、虫歯と砂糖摂取量との関係、医薬品の安全対策の強化、人工甘味料サッカリンとカビ防止剤OPPの安全性等の諸問題について活発な質疑が行われました。
次に、自治省関係についてであります。
第一に、地方財政対策につきましては、地方財政の骨格にかかわる地方財政計画、地方財政収支試算の問題点、さらに、行政事務と税財源の再配分、地方団体金融公庫構想、予算修正の地方財政に及ぼす影響、地方交付税のあり方と交付税率の引き上げ、起債の自由化、縁故地方債の消化、過年度債の政府資金による借りかえ、地方超過負担の解消、人口急増地帯の財政対策、公共事業消化のための地方財政の強化、同和対策事業に対する国庫補助の拡大、新東京国際空港の建設に関連する周辺市町村財政対策、筑波研究学園都市の建設に関連する周辺町村財政対策等について質疑が行われました。
第二に、地震等の災害対策につきましては、地震の予知、防災、救援体制の確立、地震対策事業にかかわる地方負担の軽減、豪雪対策、石油コンビナートの防災対策、山火事対策、病院、福祉施設等における消火設備の設置等について質疑が行われました。
その他、地方自治体の給与と勤務時間の適正化、地方自治体の土地先行取得、農地の宅地並み課税の廃止、地方公営交通事業対策の推進、在宅投票制度の運営の改善、汚職事件再発防止策としての公民権停止の強化、銃砲所持の取り締まり、消防団員の処遇改善等の諸問題について活発な質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
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○伊東
委員 第四分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会の審査の対象は、農林省及び通商産業省の所管の予算でありまして、去る三月十一日から十五日までの四日間にわたって慎重な審査を行いました。
質疑者の数は延べ六十八名に及びましたが、各分科員の協力を得まして円滑に審査が行われました。
質疑の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては、会議録に譲ることとし、ここで簡単に概要を報告することにいたします。
まず、農林省関係におきましては、国民食糧の自給度の向上が取り上げられまして、農用地の積極的な開発と
水田裏作の土地の総合的な利用対策、あるいは農業生産基盤整備事業が大幅におくれておりますので、これを解消すべしという御意見、今後の稲作に対する基本方針をどうするか、あるいは小麦、大豆、サトウキビ等の畑作物に対する抜本的な奨励策等が議論されました。
次いで、農業の健全な発展と農業者の経営安定対策につきまして、畜産物、野菜、果実及び繭等の価格の安定対策、適正な価格をつくれという御要求、農業共済制度、その中の果樹共済制度等の損害評価の適正化、損害評価員の待遇の改善、対象品目をお茶とか特用作物に拡大する問題、あるいは畜産物、サクランボ、生糸等の国内農産物と競合する農産物の輸入方針をどうするか、あるいは農業後継者の育成対策、農業機械の安全性の強化と労働災害を受けた農民の救済制度、農薬の安全性の強化等が問題になりましたが、特にここで問題になりましたのは、原料乳の限度数量を超えた加工原料乳の取扱いをどうするか、これにも財政支出をしてもらいたいということが取り上げられたのでございます。
次に、山村振興及び過疎対策につきまして、大規模林道の整備事業の促進と国庫補助を三分の二から四分の三に上げるべしという強い意見、シイタケ等の特用林産物の振興を図って山村の振興を図るべし、あるいは林業労働者の常勤化、白ろう病対策、松くい虫の防除対策、あるいはここで同和対策等が問題として取り上げられました。
次に、水産関係で、二百海里の漁業専管水域時代に対応する諸施策としまして、領海十二海里を早急に設定すべしという議論、北洋の海域における漁業の安全操業の問題、日ソ漁業交渉における実績の確保、あるいは他国の二百海里水域に入る操業のための入漁料に対し国庫助成をしてもらいたい、あるいは二百海里時代に対応した日本の沿岸、沖合い漁業の振興対策、また二百海里時代を迎えますと外国から魚類の輸入をすることが必要ができてくるんじゃないか、その場合の輸入の方針をどうするか、あるいは第六次の漁港整備計画の進め方等の質疑が行われたのでございます。
次に、通商産業省関係におきましては、中小企業対策としまして、下請代金支払遅延等防止法の運用を適正に図ってもらいたい、あるいは中小企業と大企業との分野調整法の早期成立の問題、小企業経営改善資金の融資枠の拡大と融資条件の緩和の問題官公需の発注をもっと中小企業にたくさん発注してもらいたいと問題、それから特に大規模小売店舗法と商調法、小売商業調整特別措置法に関連しまして、熊本県の小売商業活動の調整に関する条例が罰則を設けたということにつきまして、違法であるかどうかということで問題が出まして、統一見解を政府として早急に出してほしいという意見があったわけでございます。
次に、繊維産業の不況対策につきまして、日本と韓国との繊維交渉の見通し、その場合に、なるべく生糸をよけいにして、織物とか加工のものは少なくしてもらいたいという御意見、この外国からの織物の輸入が大島つむぎとか西陣とか地方の伝統工業品産業と非常に摩擦を生ずるので、日韓の繊維交渉については十分その点を踏まえて交渉してもらいたいという御要望が特に強くあったわけでございます。また、繊維業界の近代化対策あるいはこの不況対策のための今後の行政指導を強力に行ってほしいという意見がございました。
消費者の対策としましては、特に家庭用品の品質の表示法がどうも実情に合わないじゃないか。特に最近の石けんのような問題があるので、これは十分に検討してほしいという意見がございました。
なお、
資源エネルギーの関係につきましては、石油備蓄の対策の進め方、あるいは核燃料サイクル計画の見通しの問題、原子力発電の安全管理対策の問題、プロパンガスの事故が起きておるので、これの対策を十分に立てるべし。長期なエネルギー対策として、サンシャイン計画の推進、総合エネルギーの長期需給見通しのしっかりした見通しを策定してもらいたい等、広範多岐にわたるきわめて熱心な質疑が行われたのでございます。
以上御報告申し上げます。
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○坪川
委員長 次に、第五分科会主査稻村左近
四郎君。
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○稻村(左)
委員 第五分科会における審査の経過について御報告をいたします。
本分科会の審査の対象は、昭和五十二年度総予算中、経済企画庁、国土庁、郵政省及び建設省の所管についてであります。
審査は三月十一日から十五日までの日曜日を除く四日間で、質疑者は延べ四十九名、質疑時間は二十五時間余に及びましたが、各分科員の協力を得まして、円滑に審査が行われました。
質疑の内容はきわめて広範多岐にわたっておりますので、その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは簡単に質疑事項を御報告することにとどめます。
まず最初に、郵政省の所管について申し上げます。
第一に、郵便貯金の利率の問題でありますが、今回の公定歩合の引き下げに伴って、郵便貯金の金利を連動させるのか、特に庶民の零細な金を預かっているのであるからそれについては慎重に配慮すべきであるとの立場から質疑が行われました。
第二に、郵便局及び貯金局についてでありますが、特定郵便局を見直す時期に来ているのではないか、また地方貯金局についてもこれを統廃合すべきでないか、またスト処分対象者の昇格、昇任については格差をつけているのでないかとの質疑があり、その他、中学、高校生のアルバイト問題、記念切手の発行についても質疑がありました。
第三に、電話関係につきましては、同一行政区域内における市外局番電話を早く市内局に編入すべきであると思うがどうかとの質疑がありました。第四に、テレビ放送関係につきましては、教育番組の編成のあり方、山間地区の難視聴対策等について質疑がありました。
次に、建設省並びに国土庁所管について便宜上一括して申し上げます。
第一に、道路関係につきましては、四国横断、北陸、常磐の各高速自動車道の建設状況、東京湾岸道路並びに横断道路の建設問題、国道一号線、二号線、十八号線、二十四号線、五十二号線等のバイパス建設の促進、東富士有料道路建設の計画、本四連絡橋の着工時期、自動車道の騒音防止対策、豪雪地帯の融雪対策、その他道路管理体制等について質疑が行われました。
第二に、治水関係につきましては、大井川水系の長島ダム、笹間川ダムを初め、利根川、天竜川、紀の川、吉野川各水系のダムが地元に及ぼしている諸問題等について質疑が行われました。
第三に、総合開発関係につきましては、琵琶湖総合開発の見直し、奄美総合開発の進捗状況並びにその継続、筑波、加茂の学園都市の建設促進等について質疑が行われました。
第四に、地震対策につきましては、大都市における地震対策、東海地震の可能性、コンビナート災害の危険性について質疑が行われました。
第五に、災害復旧対策につきましては、昨年の十七号台風による災害復旧の進捗状況、長良川、鶴見川の改修計画、有明海北岸の地盤対策のほか、いわゆる個人災害の救済制度確立の見地から質疑が行われました。そのほかに公営住宅建設の促進、宅地開発に伴う地方負担の問題、市街地区域内農地への課税問題、建設業協同組合の振興、天皇在位五十年の記念公園建設地の選定、飛鳥国営公園建設の見通し等について質疑が行われました。
最後に、経済企画庁の所管について申し上げます。
経済政策の策定方式を改善するため、経済基本法を制定せよとの立場からの質疑があり、また五十年代前期経済計画と今後の食糧政策、造船業界の不況対策並びに離島の物価対策、公共料金値上げの国民生活に与える影響等の問題について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
-
-
○
始関委員 第六分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会の審査の対象は、昭和五十二年度総予算中、文部省及び運輸省所管のものでありまして、去る三月十一日から十五日までの間、四日間にわたって慎重に審査を行いました。
この間における質疑者数は延べ六十一名、所要時間は三十二時間余に及びましたが、分科員各位の御協力によりまして、円滑に審査を進めることができました。
その詳細は会議録をごらん願うこととし、ここでは簡単に概要を御報告いたします。
審査は、まず、各省当局より予算説明を聴取した後、質疑を行いました。
最初に、文部省関係について申し上げます。
第一点として、人口急増地域における過密教育解消のための施策、特に高校新増設に関する用地取得及び建物の整備に対する助成の強化拡充、地方公共団体の超過負担要因たる単価差、交付差、対象差の解消等についてであります。
第二点としては、社会問題になっている学習塾の過熱状態の改善について、文部省が行った「児童生徒の学校外学習活動に関する実態調査速報」との関連等から、学習指導要領の改訂、高校及び大学の学校間格差の是正、さらに学歴偏重社会の問題等をも含めて広く、これが対策について質疑が行われました。
第三点は、学校災害対策についてであります。
昭和五十年における学校災害の実情は、負傷約八十九万五千件、廃疾五百六十八件、死亡二百四十七件に及んでおり、学校教育の円滑な実施を図るため、日本学校安全会の給付内容の改善はもとより、本制度にかわる制度の創設の必要性について質疑がありました。
以上のほか、高校教育の義務化、私学助成の拡充、奨学資金制度及び日本私学振興財団貸付事業の拡充、特殊教育のあり方、養護教諭の位置づけと充足、学校給食の整備充実、体育・スポーツの振興等について熱心な質疑が行われました。
次に、運輸省関係について申し上げます。国鉄関係については、財政再建対策、運賃改定、東北
上越等新幹線の整備促進及び環境保全問題、大阪外環状線の建設計画の促進、山陰線、関西本線等の複線電化問題、落石等による交通事故防止対策等多くの問題が集中し、さらに、新東京国際空港の建設をめぐる諸問題、大阪国際空港へのエアバス導入計画と公害対策及び周辺整備、地方空港の整備、首都圏における地下鉄の建設促進等交通輸送体系の整備、造船産業の不況対策、航空大学校のあり方、気象通報所の廃止、沿岸小型船舶職員の海技免許と航行区域の規制措置、瀬戸内海及び境港における埋め立て事業の実施、水俣湾のヘドロ処
理事業と漁業規制、沖繩県交通方法変更対策、離島航路の整備等、広範多岐にわたって熱心な質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○坪川
委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。
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○坪川
委員長 この際、昨日本院で承諾いたしました予算の内閣修正について、政府の説明を求めます。坊大蔵大臣。
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昭和五十二年度一般会計予算修正書
昭和五十二年度特別会計予算修正書
〔本号末尾に掲載〕
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○坊国務大臣 政府は、さきに、昭和五十二年度予算を国会に提出し、御審議をお願いいたしているところでありますが、すでに、本会議において御説明いたしましたとおり、このたび、一般会計予算及び厚生保険特別会計等四特別会計の予算について、所要の政府修正を行うこととし、院の承諾を得ましたので、ここに改めてその内容について御説明いたします。
第一は、一般会計歳出予算において、各種年金、恩給等の改善実施時期の二カ月繰り上げのための所要額五百七十億円、生活保護費等に関する措置のための所要額六十四億円、合計六百三十四億円を修正増加することとしたことであります。
第二は、これらの歳出の修正増加の財源に充てるため、予備費六百三十四億円を修正減少することとしたことであります。
なお、特別会計予算につきましても、以上申し述べた措置に関連して、厚生保険特別会計等四特別会計について、所要の修正を行うことといたしております。
以上をもちまして、昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算の修正についての説明といたします。
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-
○
安宅委員 きょう集中審議に際しまして、参考人としておいでになった方に対して、本当に御苦労さまでございます。私からも心からごあいさつ申し上げたいと思います。
きょうは、対韓経済協力の問題でいろいろな疑惑があるということを、私は数年前からこのことについて取り組んでおったのですが、新韓碍子という
会社があります。これは特殊高圧の碍子をつくる
会社ですけれども、倒産いたしまして、韓国においてまだ動いておりません。これは輸銀の援助があり、韓国の第二次五カ年計画の中に入れられた民間借款の一つであります。金額は三百万ドルです。正確に言えば二百九十九万九千七百五十ドルですか、こういう借款ですから、全体の巨大な金額に達する対韓援助の中で見れば、九牛の一毛にすぎないかもしれません。しかし、このことについて、最初副
社長であった宋栄淳という人、後で
社長になった人ですが、この人のいろいろな私に対する訴え、こういうものをしさいに検討してみますと、この巨大な金額に達する対韓援助というのは、こういう
会社が一つのモデルみたいなもので、普通、外為法の脱法行為やいろんなからくりが必ず伴っている。したがって、新韓碍子はその一つにすぎない。この問題を一つの例にして全般に及ぼすことは、そうならないじゃないかという論者があるかもしれませんが、そうではない。ほとんどこういうやり方で、以下述べるやり方で、きょう審議してもらうやり方で、証言をしてもらうやり方でやられているというところに、日韓経済協力の黒い汚い部面が暴露される、私ははそう確信をしているわけです。この前の本
委員会でも申し上げましたが、このことは私の信念であり、国民の正しくこの問題を解明しなければならないという希望に沿うことだと思うので、あえてやらしていただきます。
まず第一番目に、政府に聞きますが、たとえばここに一つの契約書があります。これは、日商岩井の
会社の中で、宋栄淳という当時の新韓碍子の代表者と、いわゆる日商・アメリカン・コーポレーション、つまり日商アメリカの在外法人ですね、この
会社と貸借関係をした契約書です。なぜ契約したかといいますと、日本の輸銀は、頭金普通平均一〇%を危険負担として出さなければ貸さない。韓国では、外貨の持ち出しというものを極力避けるために、一〇%の頭金が必要だなどという金は借りぬでもよろしい、こういうことになっている。だから金は出せない。結局商社は、商社融資のやり方でやらざるを得ない。立てかえてやる。立てかえてやるにも、当時は外貨が、四十四年前ですから、非常に窮屈な時代。日本の政府は、大蔵省に届け出しても、これは許可しない。したがって、アメリカ日商と宋栄淳という人との非居住者同士の契約でやったことにして、日商岩井の社屋でやる。しかも、サインした人は私はだれか知りませんけれども、日商アメリカン・コーポレーションの代表者のモリという人がサインしているごとく見せかけておりますけれども、これは、代理人がサインしていますね。そういうフォアが書いてありますから、代理です。これは河原さんという、きょうおいでになっておると思いますが、この人が持ってきてタイプで全部やって、そして宋さん、こういうふうにしようや、早く輸出承認もらうために頭金を出さなければだめなんだから。そのとおりだ。そこで総括的な話し合いがあったと私は想像いたしますけれども、そういうことでやられたんですね。こういうからくりをやる。
宋という人は——今度全部日商岩井が仕事をやってしまっておりますから、ニューヨークから日本の外為銀行を通じて、日商岩井に頭金一〇%が入ってくる。いつ入ってきたかわからない。振出人は宋栄淳という韓国人であります。その当時は、アメリカに行ったことはない。理屈を言えば、不在の者がだれかの指図で送金される。振出人は宋栄淳、ニューヨークにいない。そして、その送金によって輸出貨物の荷受け証明書が出される、こういうことになるわけです。こういうからくりをやる。そのたびにいろいろな費用がかさむ。
しかも、この契約書では六%の利息だと書いてありますが、事実一〇%の利息を取っておる。アメリカ日商は、それでも四%ずつ、いながらにしてもうけているわけですね。そうして、その利息をまた経済援助の金に上乗せしている。ここからもう問題があるんですね。こういうことをやらなければ、日韓の経済援助というものはできないんだということを担当者はみんな知っている。ただ知らないことに、たてまえ上なっている。だから、私どもは知りませんと言う。ただそれだけのことではないかと思うのです。にやっと笑って、実は知っていますと非公式の場では言います。大蔵大臣、通産大臣、外務大臣、こういうことは、あなた方はそういうしきたりになっている、慣行になっていることを知っておりましたか。
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○坊国務大臣 輸銀が相手方に融資をするに当たりまして、頭金の有無だとかそういったようなことについて審査をするということは、これは輸銀としてはどうしてもやらなければならないことである。ところが、その頭金がどこからどういうふにして入ってきたかというようなことにつきましては、輸銀としてはそこまで立ち入るということではなかろうと思いますが、しかしそのときに、韓国の事情によってそういう韓国から送金をするということが禁止されておったかどうかという、その事実についてはこれは知らないということであったと思います。もちろん、私ではございませんけれども。
-
○
安宅委員 私はそんなことを聞いているんじゃないので、ちょっと注意しておきますが、理屈は要らないんです。知っていたか知らなかったか、ただそれだけで結構です。時間がありませんので。
-
-
○鳩山国務大臣 外務省といたしましても、頭金がどのように金繰りをつけられているかという点につきましては、知り得る立場になかったわけでございます。
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○
安宅委員 何回も言いましたけれども、こうして不実企業になり、また不実企業にもならないで、ひよこのときから食われたとあの人は言っていますが、そういう
会社の金は支払い保証を韓国の外換銀行なりそういうところがやりますから、輸銀にはきちっと返ってくる。すべて韓国の国民、南朝鮮の国民の負担になる。民族的な反感がそこで出てくる。何が経済援助か、資本の進出であり経済侵略ではないかということになる。基本はここなんですね。そこさえあなた方わかってもらえばよろしい。特に日韓協力
委員会は、いろいろな局面でしょっちゅうソウルあたりに行って、この問題にタッチしておられる通産大臣が知らなかったなどと言うことは、後で証人喚問などを私がやった場合に、あなたが本当に知らないと言うならば、知っていることを後で私は明らかにしてみたいと思いますから、いまの答弁を訂正する意思はありませんか。
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○
田中国務大臣 知らないものは知らないのでございます。
-
○
安宅委員 それでは、まあいいでしょう。
それで、お伺いしますが、日商岩井さん、
社長さんおいでですか。——どうも御苦労さんです。
あなたの方で取り扱った対韓経済協力の実績ですね、件数、金額。できるなら、大体どれぐらいの利潤があるかということについてちょっと言っていただけますか。
-
○辻参考人 お答えいたします。
数件ございます。利益率はこれも大体数%、五、六%ぐらいになっておるように承っております。
-
-
○辻参考人 利益の総計でございますか。
-
-
○辻参考人 ちょっとお待ちください。——契約金額は約二千六百万ドルになっております。
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○
安宅委員 日韓条約による無償三億ドル、有償二億ドル、民間借款三億以上、そのうちの無償だけであなたの方の
会社、大体これは円建てですから二十八億三千三百二十二万五千円ぐらい。だから、やはりそれだけになるでしょうね。わかりました。
この輸出承認を求める場合の契約ですが、新韓碍子とどういう契約を大体されました、金額にして。
-
○辻参考人 約三百万ドル弱でございます。
-
○
安宅委員 これは機械代金だけで三百万ドルですか。その詳しい内容をちょっとだけ……。それからそのほかに新韓碍子に四十五万ドルの建設資金の一部を融資していますね。利息を除いてどれぐらいになりますか。
-
○辻参考人 プラントがワンセットで二百八十四万四千九百ドル、それからスーパーバイズフィーが十五万四千八百五十ドルでございます。
-
○
安宅委員 そんなことで時間を食っていたら——まあいいですよ、後でわかりますから。これはまあいいでしょう。
それで
朝日碍子株式会社の中尾さん、お伺いいたします。
お伺いいたしますが、技術協力を、初め新韓碍子が日本碍子に頼んでおったのをあなたの方にかわった理由と、これに取り組まれてからあなたは非常に、何といいますか、日韓協力、技術者として、またこういうりっぱなものをつくるという夢といいますか、非常に意気込んでやられたようですが、その間の事情などを述べていただければ大変ありがたいと思います。
-
-
○中尾参考人 私どもが朝日碍子として新韓碍子の要請を受けましたのは、朝日碍子としてははなはだ身分不相応だと、私はもう初めからそう思っておりました。私はちょうどそのころ、これは宋
社長が第一回に私の方に参りましたときから始まったのですけれども、とてもそういう仕事に取り組むような私の健康状況ではなかったわけでございまして、非常にそういう問題について迷惑に思いました。しかし、第一回、おいでになっていろいろ事情をお話しになり、第二回目にさらにおいでになったときに——第一回の事情について、私はお目にかかりませんでした。というのは、私はとても問題にならない、そんなものに取り組むだけの私の健康状況ではなかったものですから。実は私、その当時胃潰瘍を手術しまして、退院したばかりでございました。そういうことでございましたので、初めはお目にかからなかったのですけれども、第二回においでになったときにその事情を聞きまして、まあ私としては本当に無謀なことだと思いますけれども、どちらかと言うと義憤に燃えてという形で私は引き受けました。
会社の状況から言いましても、とうてい引き受けられる事情でなかったのですけれども、
社長に、どうしましょう、私はこういうぐあいに思いますと話しましたところが、やれるならやるかというお話で、実は私、当時専務でございまして、ただいま、もう十年ほど
会社の方の仕事もようできないでようやくこの程度になりましたような事態でございますので、普通の取締役として残ってはおりますけれども、そういうような事情でありました。
この新韓碍子が日本碍子との間でどういうことがあったのか、私も知りません。日本碍子がどうして、新韓碍子の仕事をやろうと言いながら途中でこれを打ち切ったという理由は、私は何も知りません。ただ、その打ち切られたことが韓国と日本の間における国民的感情のところを考えますと、私は当然韓国に対して日本はもっと親切でなければいかぬじゃないか、そういうような義憤に燃えて、よしやろうと。
ところが私、そういうぐあいで、とても完遂することはむずかしいとは思いましたけれども、一遍医者に相談しようと思って、相談しに行きましたら、医者はいいだろうと言いますし、取り組んだわけです。実はそのころもうすでに、胃潰瘍を手術しますときに輸血をしましたので、その輸血のための肝炎が起こっておったようです。しかし、それは後でわかったのですけれども、そういうようなぐあいで取り組んだことが、だんだん悪い状況に私の体を持っていきました。
もともと私、トンネル窯をつくるということを予定はしておったわけなんですけれども、トンネル窯はとうてい自分の力でできない、こう思っておりました。ところが、そのトンネル窯を頼もうと思っておる
会社のつくったものが余りどうも調子がよくない、ある
会社でよくないということを聞きまして、よく調べますと、なるほどどうも少々困った問題もあるという話で、それならば、そんな困るようなもの、どちらかと言うと余りよくないものを設置するということは私として良心的に許されないので自分で設計しよう、自分でつくろう。それは私自身自分の
会社に設計してつくりまして現在運営しておりますけれども、それ以上にさらに悪いところもひとつ是正してもっといい窯をつくろう、こういうことで取り組んだわけでございます。ところが、それが大変なことになりまして、実はもうほとんど私の顔ははれて、立って設計ができなくなりまして、いすに座布団を持っていって座って設計をする、そういう状況であったわけです。そんな状況であったものですから、やむを得ず私も入院を勧められてもそれを押してやったわけです。その後、一応いろいろの段取りができまして入院をしましたけれども、入院しても完全に治らない状況で期限が来まして、どうしても早く韓国の工場にトンネル窯をつくる——これはどうも、やはり宋
社長が融資をしてもらうためにはどうしても設備がこういうぐあいに進んでいるのだよ、これだけできたのだ、こういう事実を示すことによって融資を得よう、こういう心があったのだろうと思います。私もそれもよくそんたくしまして、全力を尽くして早くこれを完成するようにしたわけでございます。ところが、今日のような状況になってまことに残念でございます。
-
○
安宅委員 どうもありがとうございました。
それで中尾さん、あなたは
川崎重工から、あなた方が担当する機械部分だけでですが、約一億五千万円でひとつやってもらうように枠を指図されて、とてもそれじゃ物価の関係でできないというので、大体一億六千五百万円ぐらいだとできるというので、機械の明細書を全部
川崎重工に示した、それを送ってやった、こういうことが経験あられると思いますが、いかがですか。
-
○坪川
委員長 先ほど中尾参考人を朝日碍子
社長と申し上げましたが、失礼いたしました。取締役であることを訂正させていただきます。中尾参考人。
-
○中尾参考人 最初承りましたときには、次に百トンの生産をする設計をせよ、こういうような要求でありまして、幾らの金額の程度で機械を納めよ、こういうような話は全然ありませんでした。ただし、いろいろ機械を設計してノーハウを決めました後で見積もりました結果は——私これをずっとメモしておったのですけれども、不幸にして私がこちらへ臨時にちょっと帰ったときに、もうすでに向こうが建設できなくなりまして、もうちょっと韓国に来るのを待て、こういうことになりまして、私の書類は一切——一切と言っちゃ悪いですけれども、技術的な問題それから建設に必要ないろいろの資料を書いたものは工場の中に置き去りになっておりまして何にもわかりません。それで一億五千万であったのかあるいは一億六千万であったのか、私はどうも覚えが悪いものですから、はなはだ失礼でございますけれども覚えがありません。しかし大体そんなものであったろうという気がいたします。
-
○
安宅委員 なおあなたのところの技術指導料、これは技術料と言いますか、これは三千万円だったのじゃないですか。
-
○中尾参考人 はい、それは三千万円です。
-
○
安宅委員 はい、よくわかりました。
これは、中尾さんが義憤を感じたということば非常に重要なんですけれども、通産省にお伺いいたします。
これは
藤原さんという人でしたかな、この間、中小企業を助けるために、いろいろ問題があってそういう影響が及ばないように、そして輸出承認が出るのがおくれたと、こういうふうに承っております。こういう話だったのですが、そうじゃない証拠を私いま言おうと思うのですが、日本碍子が初め計画して、こういうものでやったらどうかという文書があるのです。それによりますとひどいものですよ、それは違うのですね。最初新韓慮子では、いろいろ中尾さんがいま言ったように百トンの窯の話が出ましたけれども、大体新韓碍子としては第二次五ヵ年計画の関係もありまして、特殊高圧碍子を中心にしてつくるんだということで、十二品目ぐらい挙げて日本碍子にどういうぐあいになるかということを伺っているのですね。ところが、日本碍子の海外事業部のプラント課長の五十鈴さんという人から回答が来まして、これを見ますと、たとえば六千九百ボルトですね、こういうものは二年間で完成する目標だ、ピン碍子も、これは二万ボルトですが、これは三年ぐらいで生産ができるように完成するんだ、こういう回答が来ていますね。ところが、八万ボルトぐらいになりますと、これは六年間以後しか生産できないという、そういう回答があるのですね。これは「韓国新韓碍子製造品種別完成目標期日」というのがあるのです。この文書があるのです。後で見てもらってもいいのですが——少しありませんか。もし何だったら、通産省の方にいまの——これです。
藤原さんだけに見せていいですよ。
藤原さんきょう来ていますか。後で大臣に見せてもらってもいいですよ、それは。あなたの方しか関係ないのですから……。
それから、たとえば十四万ボルトのポスト碍子なんというのは、これは十年間以後しか生産できないものだ、こういう回答ですよね。たとえば壁貫碍子なんというのは、そういうものは八年。つまり、特殊高圧碍子は十年ないし八年で完成する方針にしたらどうか、日本の中小企業が主に生産しておるものは、こういうのは二、三年でやれるようにしよう、こういう文書なんです。これは。日本碍子がそういうことを言っておるのですよ。そうしておいて、陰ではそういうことを言いながら、表向きは何をやったかといいますと、中小企業の人たちは困るんだということを言って、開いたこともない電磁器協会などというものの臨時総会を開く。新韓碍子のためにのみ開いておるのですね。こういう悪らつなことを日本碍子というのはやっているのですよ。こんなばかなことは私は許すことはできないと思うのです。そして、その電磁器協会の
委員長はだれか、日本碍子の専務です。顧問に
社長が就任しているのです。言うなれば電磁器協会なんというのは日本碍子が動かすことができる。もちろん碍子業界でも八〇%から九〇%が日本碍子のシェアですね。これは独占禁止法だってそのままにしておけないようなそういう力を持っている。そういうところでもって盛んにあおっているのですね。だから私は実名を挙げて、この間日本碍子が動いたときに、自民党の二人の方、失礼でありますが実名を挙げて、そしてこの
委員会で論じたことがあります。これはあなたの方ではどう思いますか、この文書を見て、
藤原さん。
-
○
藤原政府
委員 お答え申し上げます。
いまお話しいただきました日本碍子の表でございますが、これはどういう性質のものであるか、私ちょっとまだ了解いたしかねる点がございますが、輸出承認がおくれましたことにつきましては、先般御説明いたしましたように、当時中小企業……。
-
-
○
藤原政府
委員 そういうふうな動きについては私ども承知しておりません。
-
○
安宅委員 だけれども
藤原さん、もう一回聞きますが、これは大臣に聞いた方が——あなた詳しいから聞いているのですが、こういうことを内緒で言っておいて、表向きでは中小企業が生産する低高圧碍子を新韓碍子が生産されたら困る、逆輸入されると困る、こういうことを宣伝しているのですね。新韓碍子はそんなものつくらないと初めから言っているのです。韓国の経済企画院も、そういうものは韓国における中小企業を守るためにも、それをつくる場合には商工部長官の許可を得るということを、ちゃんと文書が初めから出ているのです。それは知っておりましたか。
-
○
藤原政府
委員 最終的に輸出承認をいたしました際におきましては、そういうふうなことになったと承知しております。
-
○
安宅委員 そんなことばありませんよ。それは輸出承認を求める前に、初めからこの文書があります。これは添付して申請出していますよ。これは汚いもので私は複写しませんでしたが、これは経済企画院からの文書です。それでこの翻訳を一部やりますと、「特例高圧得子を主生産としてその他は商工部長官の承認を得なければならない」。初めからこういう条件つきでそういう申請を出しているのです。そして向こうの支払い保証をとるための書類にも全部それは書いてありますから、この輸出承認をするためにはこういう文書も全部使ってきているはずです。知らないなんて言わせない。それで私は申し上げますが、ここでからくりがあるのです。土谷直敏という当時重工業品の輸出課長をしておった——これはある新聞によればその後だから関係ないのじゃないかと書いた新聞がありますけれども、そんなことはありません。これは何かというと、その前は窯業関係の課長をしておったのですから、結局この碍子関係とは非常に関係があるわけですね。雑貨第一課長というのでしょうかね、そういう仕事をやっているこの人のところに陳情書がたくさん出ているのです。それでこの土谷という人はどういう役割りをしたかといいますと、そういうことを知っておりながら、日商岩井に対して、国内碍子メーカーの反対にあって困っておる、輸出承認書を出すための保証を求めたい、そういうものを出してくれというふうに言われて、日商岩井は四十三年十一月二十七日に機械輸出部長の名で、黒田さんという判こが押してあります。土谷直敏課長に文書で、こういうことになり御迷惑をかけておりましたことを深くおわびを申し上げますとおわび状を出しているのです。そしたら今度土谷さんはどういうことをやったかというと、それだけでは足らないから新韓碍子が同じ文書を出せと言われて、新韓碍子が四十四年二月三日付で新韓碍子の文書を添付して、やはり黒田保さんの名前で、重工業製品課御中というので、そういうことをやらないようにしますということを文書で出していますね。これは河原さん知っているでしょう。そうしたら今度、それでも足りないというので、大使館の確認をとりたい、そのために四十四年の五月二十日に十時から通産省の会議室で会議を開いている。土谷さんはいろいろなことをぐじぐじ言っているようですが、きょうは時間がないから言いません。そして結局どうなったかといいますと、もう一回韓国政府の三年間は低高圧碍子はつくらないという保証をとってもらいたい、こういうことを言っているのです。だから、そういう文書が先に出ているんだと言っても、どうしても反対をしている日本碍子や政治家が介入して困っているので、頼むからと言われて、仕方がないからもう一回今度は韓国政府の経済企画院長官の文書をまたもらわされているのです。内容を見たら最初に出したものと同じ内容です。もとに返ったわけですよ、そういう工作をしている間に。その間に一年半たっている。その事情は河原さん御存じですか。あなたの方で知っているんじゃないでしょうか。
-
○河原参考人 河原でございます。
お答えいたします。
そのようないきさつがあったことは記憶しております。細かい書類上のあれははっきりしておりませんけれども、いろいろそういういきさつがあったことは記憶がございます。
-
○
安宅委員 ちょっと……(資料を示す)
それで通産省に要求いたしますが、いま、日用品課だったと思いますけれども、そこにその当時の業界からの陳情書など一件書類があるということを私らは聞いております。したがって、こういうものをできるだけ資料として出してもらう、これはどうですか。
-
○
藤原政府
委員 お答え申し上げます。
この前も御答弁申し上げましたが、中小企業近代化促進法に基づきますあれをやっておりましたので、その関連もございまして、中小企業の方から進出につきましていろいろ陳情があったことは承知いたしております。陳情書等確認いたしまして、必要なものがございましたらお出ししてもよろしゅうございます。
-
○
安宅委員 これは後でないと言われると困りますから、どこにあるかということは大体わかっているのですが、後であなたと打ち合わせをしたいと思います。
それでこの土谷直敏という人を参考人に呼ぶように私要求したのですが、これは運営上切られてしまいまして残念ですけれども、この人の役割りというのは非常に重要です。したがってこの間の問題で申し上げたように河原さんが、土谷さんから、
渡辺、早稻田両氏からクレームをつけられて困っておる、こういう話があって、岸さんを使う、田舎のへぼ代議士ではだめだという話を、あなたの
会社の七階ですか十階ですか、ちょっと議事録を持ってこないので忘れましたが、そこの応接セットのところで話し合った、こういうことになっておるのですが、あなたはそういうことを宋さんに言った覚えがありますか。
-
○河原参考人 お答えいたします。
そのような事実はございませんし、いかなるあれもやっておりません。
-
○
安宅委員 その場合に、私この間言わなかったのですが、田舎のへぼ代議士より大物を使う、それはだれですか、岸信介だ、あなたは岸というので敬称なんか使わなかったと言っておりますが、そして指を丸めて金の表示をして、ただしこれはかかるぞと言った。ところが、そこまで言いましたけれども、岸さんにどういうふうにしてやるのですかと言ったら、うちの海部が非常に仲がいいのでその人を使ってやる、こういうことまでおっしゃった。こういうふうに証言があるのですが、きょうは参考人ですから、どのように答弁されても構いませんけれども、これらに関する記憶は全然ありませんか。
-
○河原参考人 そのような事実は全くございません。
-
○
安宅委員 これで私は、時間がどんどん進んでいますから——大体いまの文書の往復でもわかるとおり、日本においてなぜ輸出承認がおくれたかということは、土谷という人が、韓国の政府の承認まで一課長が保証を要求して——前に出しておる文書と同じ回答しか最後には来ないのですよ。何にもならないんですけれども、それで今度輸出承認を出しているのですね。こういうやり方は非常にあくどいやり方だ。私は義憤を感ぜざるを得ない。何らかの機会にこの人を私は証人なり参考人なりに呼んで徹底的に聞いてみたい。
委員長、そういう配慮はひとつ
理事会などで協議してもらうようお願いいたします。よろしゅうございますか。
-
-
○
安宅委員 何にもならないことを一年間ぐるぐる回っているのですね。これ全部書類で傍証はわかるわけですから、書面で。
それからついでに日商岩井さんに聞いておきますが、この新韓碍子の輸出契約について輸出承認をとられる、そのときにあなたの方でお出しになったこれは輸出承認申請書ですね。輸出承認申請書、ここにございます。これは添付書類もあるのですが、この金額の中には機械が部門ごとに全部一品ずつ書いてありますね。そして積算の基礎がきちっとしておって、そしてあなたの方では承認をもらっているわけですね。この中にリベートだとか、いわゆる政治献金であるとか、そういうものはのせられているのかどうか、実際上は。積算の基礎はこのとおりだけれども、それをちょっと聞きます。
-
○河原参考人 お答えいたします。
プラントの金額の中には、利益、管理費、その他の費用は全部入っております。政治献金は入っておりません。
-
○
安宅委員 それでは
社長にお伺いいたしますが、初めに日本碍子がコンサルタントの役割りをして、三百万ドルのいろいろ計算をなさったようですね。あなたの、自社の能力でもやったと思いますが、先ほど朝日碍子の中尾さんがおっしゃったように、分に過ぎた実は事業だった、こうおっしゃいましたが、このことについて言うならば、これは文書が出ておりますけれども、一九七一年ですか、新韓碍子から日商岩井に対して文書が出ていますね。これですね。「
日商岩井株式会社化工機械輸出部河原進二次長貴下」、「新韓碍子工業株式
会社代表
理事宋栄淳」、このうちの七項目、これ、非常に重要なことが書いてあるのです。ちょっとこっちへ来ていただけますか。
委員長、いいですか。
-
-
○
安宅委員 この文書になぜ返事をお出しにならなかったかということ、一つ。
それからもう一つは、この七項目にどういうことが書いてあるかといいますと、「四十一年六月三日本契約締結当時、本プラントの製造技術指導を日本碍子株式
会社にコンサルタントをお願いする予定で推進されたことは周知の事実であります。これは弊社の製造品目が、送配変電用特別高圧碍子類及び電車線路用碍子とこれらの金具工場設備一切の内容からして、日本碍子のコンサルタントが妥当であったからでした。然し、最終的には上記社はこれに応ぜず、代りに朝日碍子工業株式
会社にお願いすることになりましたが、朝日碍子がコンサルタントを引き受けるに際し、弊社の当初の製造品目とは大巾に限定された製造品目となり、従つて施設機械も減少されたわけです。然るに当初の仕様は大巾に変更減少されたにも拘らず、これらの変更仕様によるプラントの価格調整は行つておらない点は、今後の課題として残されております。」、こう書いてある。よござんすか。ですから、三百万ドルというものに対する、当初輸出申請書に書いたこのものと、内容は全部変わっているのではないですか。
けさ毎日新聞を見たら、あなたの方で、私らは知っておりますけれども、裁判所に出した書面とまるきり変わっているということが書いてありましたよね。これは、先ほどリベートその他政治献金なんかも入っているのですかと私が聞いたものと関連するのですが、大幅に変わったはずですが、いかがですか。二つ目。どうぞ……。
-
○河原参考人 お答えいたします。
このプラントの引き合いは、当時、いま
安宅先生が日本碍子の名前を言われましたけれども、日本碍子とのお話は、これは
川崎重工業株式
会社が全部やったことでございまして、朝日碍子も私の方とは直接関係がございません。私の方は、
川崎重工業と朝日碍子との協力関係において、この信頼関係で、これはりっぱなプラントができるという確信において引き受けて川重から持ち込まれたものでございまして、私の方から日本碍子云々ということについては一切関係ございません。
-
○
安宅委員 そうすると、これも
委員長残念なんですが、
川崎重工を参考人として申請しようとしたのですが、そんな前例がない、そんなたくさん
安宅君と言われて、二人にしたのですけれども、結局どうなっているかといいますと、ここにたとえば電気部分の工場設備の裸値段がちゃんと書いてあるのがある。これはやはり川重ですよね、河原さん。川重です。あなたのところは何も言いません、私は。それから、その他の部分もございます。ですから、あなたの方のこの輸出承認書に書いてあるものと照らし合わせれば一遍でわかるのですよ。わかっているのです。だけれども、きょうは時間がありませんから、そんなことをぼくはつつきたくないのです。しかし、川重がやったのだといっても、川重とあなたの方で、お互いマージンもありますし、値段の協定、品目の協定、こういうものになるのだということについて、たとえば、少なくとも輸出承認申請書に出したものと現在の実態が違うものは御相談なさらなければならないはずではありませんか。ただ朝日碍子なんかには、枠を示してこれでやってくれ、それで技術料を三千万円やる、それから淡路産業だったら、淡路産業には恐らく私は一千万円ぐらいだと思いますね、朝日さんが三千万円くらいだから、推定でございますが、こういうふうになるのがあたりまえじゃないですか。したがって、それがそうでないのかどうか。それから淡路産業の分は、朝日さんが三千万円だから一千万円ぐらいだろうと、私推定で申し上げましたが、その技術料は幾らだったか。あわせてお答えください。
-
○河原参考人 お答えいたします。
朝日碍子三千万と淡路産業の件でございますけれども、これは全部川重が手配しましたので、金額的には私は一切関係ございません。私の方から契約関係もございませんし、川重の下請としてやっておられたはずであります。
-
○
安宅委員 そうしますと、川重と全然相談もなさらないし、そういう値段の問題で三百万ドルをどういうふうにして納めるかとか、どういう機械がつくられるのか。ただ、あなたらは輸出代行業者だから、理屈を言えばそのとおりですけれども、あなたのおっしゃるとおりですよ、しかし全然知りませんなんということで、あなた参考人としておいでになっておるから結構ですがね、後で議事録に残るのですからね。これは気をつけて答弁していただきたいのですよ。
あとの問題、まだまだある。どうなんですか。全然そういう相談もなされない。これぐらいのあれで
川崎としては
川崎のマージンがある、日商岩井さん、これぐらいは見てくださいとか、そういう話も全然しなかったのですか、どうです。
-
○河原参考人 この商談は、新韓碍子、宋栄淳さんと
川崎重工で当初進められておりまして、大体骨格ができた時点において商社に訪ねてまいったものでございます。したがいまして、私は機械の内容その他についてはやはり商社としては技術的な判断能力は持っておりませんので、それが全部
川崎重工のあれと宋栄淳さんとの打ち合わせのもとについてやった次第でございます。
-
○
安宅委員 この論争はもうやめましょう。あなた方に、
社長さんにも申し上げますけれども、日商岩井という天下に名だたる総合商社、多国籍企業が、その代表者が、そういう答弁をされては困るわけでして、あなた方はこの問題に関する限りはさまざまな疑惑がいま持たれておるのですから、実際持ち上がっておるのですからね、日商岩井、疑惑にこたえなければならない責任があるのです。経済界に大きなシェアを占めるあなた方の道義的な責任でもあるのです。あなた方は日本国民の金を使って、そして輸出を承認されている商社なんですよ。三百万ドル、これはあなた方の仕事から言えば九牛の一毛にしかすぎないかもしれない。しかし日韓経済協力に関する限り、先ほど一番最初に言ったように、いろいろなからくりをしなければどうにもならない状態、これはちゃんと商慣行になってしまっている。同じようなでんで皆やっておる——皆とは言わない、大部分はやっておる。そういうことから言っても、このことについてはっきりした責任ある答弁をしていただかなければならないのです。
さっき河原さん、返事はなぜ出さなかったかということについては答えなかったのですが、それはどうですか。ちょっとだけお伺いしておきます。先ほどの文書になぜ返事をお出しにならなかったのか。
-
○河原参考人 申しわけないのですけれども、御質問の趣旨がよくわかりませんものですから、ちょっともう一度、あの手紙に対する返事でございますか。(
安宅委員「返事」と呼ぶ)これはあくまで宋栄淳
社長と川重と当社と三者で協議の上取り決めたものでございまして、実際にそれを、新韓碍子の宋栄淳
社長の手紙にお返事をしなかったということについては、当時の事情ははっきり記憶しておりませんけれども、すべて三者の協議の上やったことでございます。
-
○
安宅委員 三者で協議をやった部面もありますね。たとえばいわゆる技術料であるとか、いろいろなことがございますね。しかし機械代金その他についてはあなたが売り手でございますよ。宋さんというか新韓碍子は買い手でございますよ。元の値段を相談して売るばかはいないですよ。そういうこと、全部ここで書いてあることが相談してやったことだから返事を出さないという理由にならない。そんなことないでしょう。元の値段を全部教えて、そうしてこういうことで利益を山分けしようなんという商売はない。元の本当の裸の値段というのは川重とあなた方が知っている。あるいはあなた方も知らないと言うかもしれないけれども、その連関はきょうは追及していたら時間がなくなりますからやめます。しかし、少なくとも宋さんに対して、あの文書に書いてあることすべてが相談をして決めたことだなどということでは理屈にならない。買い手は本当の元の値段なんというものを知らされないで買うのが普通ですよ。ああ日商岩井はこれぐらいもうけたんだろうなということに考えているのかもしらぬけれども、そんなことを言うばかはいないですよ。あなたは商売人でしょう。そんな答弁しないでください。
それで中尾さんにお伺いいたしますが、この間
社長さんもおいでになっていただいたのですが、この日程が壊れてしまいまして、あのとき私の部屋においでくださったものですから、それで話に出たのですけれども、これぐらいの金をつぎ込んで、三百万ドルもつぎ込んでこんな
会社しかできないのかなと思ったという話が出ましたが、あなたの感想をちょっと述べていただきたいのです。
-
○中尾参考人 お答えします。
私ども、どの範囲の設備について三百万ドルが使われるかという内容は全然知りません。ただ、私どもが見積もった機械の状況から考えますと、三百万ドルというものは相当大きな金額であって、機械をこのくらい据えつけてやる仕事が三百万ドルでできないというのは少々どうも腹に落ちぬところがあるということは私どもも内々話しておりました。それは事実です。
-
○
安宅委員 ついでだから、ちょっと中尾さんにお伺いしますが、さっき電磁器協会の臨時総会の話をいたしましたが、その総会の席上、名指しはされなかったけれども、新韓碍子などという
会社のプラントに協力をするということはもってのほかだというようなことを言われて、憤然としてあなたが、私の信念はこうだということを申されて、協会から除名するんならしてみろと言ったかどうかはわかりませんが、それに近いようなお言葉で、そんなばかなことはないということで、じゅんじゅんとしてこれらの人々を説得されたということ、私どもの情報によれば大体そうなっているのですが、そういうことがございましたか。あったかなかったかだけで結構ですから、お答え願いたいと思うのです。
-
○中尾参考人 はなはだ僭越なお話で、そういうことがありました。
-
○
安宅委員 こんなことを言っては失礼ですけれども、日本碍子の横暴というものをあなたが日ごろかちっと来ておったということも影響しているのじゃないでしょうか。
-
○中尾参考人 電磁器協会という会がありまして、その会長は日本碍子が会長でございます。それで招集されましたのは、新韓碍子に協力するかしないかという問題がいま業界でやかましくなっている、そのことについて相談をするから集まれ、こういうわけで行ったわけでございます。ところが、それに対して、なるほど私どもやり玉に上がったわけなんでございまして、協力することをやめよう、こういうような話でございました。しかし、私は申しました。
社長をおいて私は申しました。私どもは、新韓碍子を助けて韓国に工場を建てるということは、この話において私はどうしても手を引くわけにいかない。だから、もしあなた方が業界こぞってこれに反対して、これに賛同しないものは除名すると言われるなら結構です。どうぞ除名してください、こういうことは申しました。
-
○
安宅委員 それで、日商岩井さんに責任ある答えをしてもらわなければならないなということを私、申し上げたのですが、
委員長、これを日商岩井さん、大臣の方に。——これは、ただいまお渡ししました資料は、先ほど言ったように輸出承認書に書いた積算の基礎とは違いますね。それで相談された一部があると言いましたね。たとえば副資材費であるとか、この裏の方に書いてありますが、小さなところを見てくださるとわかりますが、大体機械代が二百十一万ドルですね。副資材代、これはリストが別にちゃんと書いてあるのですが、きょうは持ってきませんでしたが、あとこれと八番目にOPと書いてありますね、これはオーバープライスのことです。これはコミッションはあなた、大体どれぐらいになるかというのでいろいろ相談されております。このことについては私認めますよ。これが十五万ドル、大体これを合わせると二百五、六十万ドルになるのですが、そういうことを頭に入れて純然たる機械代金の総額が、この大きい方のページで見ていただきますが、二百十一万ドル。めんどうくさいから私後で全部円に直したのです。三百六十円レートで直してみました、当時はそうだったですから。これは「縮減されたもの」と左の方に書いてありますが、輸出承認書のリストとは違う、こういう意味です。この二百十一万ドルのうち碍子工場部門、これは先ほど朝日碍子の中尾さんがおっしゃったように大体一億五千万円ぐらいだった、こう言っていますね、そして三千万の技術料はそのとおりだとおっしゃっていますから、これが合計一億九千五百万円。金具工場分——これは資料があるのです。これははっきりしていますね、八千三百七十六万円です。それで恐らく朝日さんが技術料は三千万円だから、淡路産業というのが見積もりをしておりますから、そこには一千万円くらいだろう。これは推定でございます。そして大体ここは九千三百七十六万円。そしてあと
川崎重工が直接製造した機械類が若干あるのですね。これは私ら完全な資料はまだないのですけれども、大体推定して一千万円弱だと私ども見ています。違ったら相当これは数字が狂うことになりますが、これを一千万円にして、そして合計二億八千八百七十六万円、そういうことになる。そのほかに日商岩井のマージンは常識として、先ほど
社長が五、六%もうかっていると当初の答弁にございましたが、三百万ドルの一〇%ぐらいだろうと見まして、そうすると大体一億円、こうなる。川重はどうなったか私は知らぬとあなたの方で言いますが、川重がきょう来てないのは残念ですけれども、これも大体常識の線で利潤が一割と見て一億円、大変もうかったことに計算してやっているのですよ。そして合計四億八千八百七十六万円。もっとも、もうけが少ないというのだったらこれは減るのですから。
結局どうなるかというと、二百十一万ドルというのは七億六千万円ですから、七億六千万円からいま言ったものを差し引いた、四億八千八百七十六万円はイコール約二億七千万円ということになる。この二億七千万円というのだけじゃないのですよ。あと裁判であなた方係争中でございますが、さっき言ったオーバープライスの問題だとか、それから商社が当然負担すべきものを、代金というか、いわゆる負け勘定というところにぶち込んであって、ひどいことには頭金の立てかえの金利、八万八千百八十三ドルも入っておるし、これはおかしいですね。だけれども、おかしいといったっておかしくないといったって入っていることは事実だよ。それからもっとおかしいのは、あなたは輸出業者でしょう、輸出業者が自分の金から輸出保険掛けるのがあたりまえなのに、新韓碍子の機械代から払うということになっておって、それも負け勘定の中に入れておりますね。それからもっと言うならば、これは宋さんの証言なんですけれども、建設資金四十五万ドルを貸したとき、おくれて送金しながら、期日どおりに送金したということにした金利の差が約一万ドルくらいある。それから技師を派遣する費用、この残額が五千四百十三ドルある。それから海上運賃の実費と予算計上額、つまり負け勘定に入れておったものとの差が大体二万七千ドルぐらいある。そのほかに、これは私この前の
委員会でも言ったのですが、問題があるとは思いますけれども、これはあなた方は謝礼金を払うと宋さんに約束していますね、五千四百万円。これもオーバープライスから払ったことになっているというので、裁判で争っているようですね。謝礼金というものはそんなところから出すものじゃないですよ。そういう契約もしていないでしょう。そしてオーバープライスはドル建てなのに、五千四百万円というのは円でしょう。そういうことを何か裁判で争って、これもまだ払っていないのですよ。
そういうことになったら大体どういうことになるでしょうか。三億七千八百十六万円、これは欄がないから左の方に矢印をつけて書いてあります。三億七千八百十六万円、私の計算によればそういう金がどこに消えたかわからないのです。大蔵大臣、よござんすか、わからない。これは三百万、二百九十九万九千七百五十ドルの輸出証認ですから、金利も全部入っていますから別として、その約三百万ドルというのは何かというと、大体計算すれば十億五百万円くらいですね、そうじゃないですか。どうも単位間違ったかな。そのうちの約三億八千万円という四割近い金が、機械にも行かない、謝礼金としても払っていない。日商岩井が全日空みたいに裏金をつくってでもいない限り説明のしようがないじゃないですか。日商岩井、どうですか、何か反論ありますか。先ほど、ほかに資料があると私言いましたけれども、川重の方も呼ばなければならないのですよ、本当のことを言うと。なぜかと言うと、裸の値段というものを出した資料を私は持っているのです。川重さんおいでにならないから、こっちはまだ知らないと逃げるから、きょう出しません。わかっている部分もわからない部分もあるのですが、「推定」と書いている方はわからない。そういうことで私申し上げておりますから、十分に反論するところあるのではないかと思いますが、どうですか。
-
○河原参考人 河原でございます。お答えいたします。
この数字の内容につきましては御不審があるかと思いますけれども、現在現存しております新韓碍子株式
会社、これは破産しておりません。七〇%韓一銀行が管理しておりまして、それで韓一銀行との信頼関係等もございますし、それから係争中の問題もございますので、これについてはコメントを御遠慮させていただきたいと思います。
それからもう一つ、ちょっと私、気になりましたのは、保険料のことでございますけれども、輸出保険料というもの、これは政府保険でございまして、輸出代金延べ払いに関する代金保険でございまして、これはわれわれは通常この本件に限らずあらゆる取引にコストとして計上しております。
それ以外のことについてはいま申し上げました理由で御遠慮させていただきます。
-
○
安宅委員 自分が主張する部分はちゃんと主張して、裁判があるから、係争中だから、それから韓一銀行の——裁判の係争中なんか、五千四百万円の謝礼金のことだけだ。そうでしょう、あなた。どうです。河原さん。係争中は五千四百万円の裁判。係争中だってそれだけでございましょう。
-
○河原参考人 お答えいたします。
五千四百万の係争中でございますけれども、五千四百万が契約に入っているか入っていないかということで係争しておりますので、その契約のストラクチュァについても違ってまいりますので、御返事できません。
-
○
安宅委員 それでは
委員長、この人に見せる書類があります。(「証人に切りかえろ」と呼ぶ者あり)もう十分しかないからね。——どこにあるのかわからなくなっちゃった。あなた、ばかみたいなことばっかり答弁するから……。
それは、裁判に出して争っている金利の送金をした日にちと、それから金額をずらっと、あなたの頭金の分の返済、十五回ですか、分けたものを、それの返済月日、ずっと書いた書類とかたくさんあるのですが、それを私、きょうここへ持ってこなかったのは残念ですけれども、あるとしたならば答えなければならないと思いますよ。係争中のは五千四百万円であって、機械本体は韓一銀行との関係があるから言えないというのが主たる理由ですか。どっちかはっきりしてください。
-
○河原参考人 韓一銀行が主たる銀行でございまして、七〇%株を保有しておりまして、現在破産はしておりませんけれども中断しております。それとの契約関係で、現在新韓得子とは関係のない方からの申し出については、そういう新韓碍子との信頼関係によって公表できません。お答えを御遠慮させていただきたいと思います。
-
○
安宅委員 私は、新韓碍子でもありません。国会議員です。それから言われても答えないということですか。
-
○河原参考人 第三者に公開するのは御遠慮させていただきたいと思います。
-
-
○坪川
委員長 ただいまの
安宅君の御質疑でございますが、重ねて河原参考人、その間の事情を再答弁願います。
-
○河原参考人 いま申し上げました二つの理由で御遠慮させていただきたいと思います。(「証人に切りかえましょう」と呼ぶ者あり)
-
○
安宅委員 証人に切りかえる前に言うことがある。
たとえば、二百十一万ドルの機械代というのは、あなたの方で相談をなさった、後ろに書いてありますね、この分。それから副資材費、海上運賃、技師の派遣費用、金利その他の費用、それから自動車二台買うというのだかの費用、韓国技術者の研修費用、オーバープライスの分け方の問題、税金の保留分、韓国……、これは商工部の指導によってと書いてありますが、こういうものについての分はお互いに相談したことですから、これは言えるのじゃないですか。——それじゃ、認めるか、認めないかだけ言ってください。
-
○河原参考人 ここに添付してございますプラント代金明細につきましては契約書には添付されておりませんし、これは契約を調印するまでの経過においてつくりましたメモでございまして、私の方としてはこれを契約の明細ということを申し上げるわけにはいかないと思います。
-
○
安宅委員 では、その宋という人と係争中の裁判に出した準備書面その他によって明確になっておりますが、これは毎日新聞にも書いてありますけれども、その準備書面であなたの方で出した金額は認めますか。——言いたくなかったら、認めるか認めないかだけでもいいよ、言いなさい。
-
○河原参考人 裁判所に出した数字につきまして、いまちょっとここで記憶ございません……(「だめだ、そんなことでは」と呼ぶ者あり)残念ながら。
-
○
安宅委員 何だ、そんな。記憶にあるかどうかは別として、裁判所に出した準備書面やその他のあなた方主張したそういうもの、公表しているもの、全部数字出ていますね。私、きょうは持ってこないがあるのですよ。その分は認めるかというのです。
-
○河原参考人 裁判所に出したものは認めます。
-
○
安宅委員 わかった。
それから、さっき言った朝日碍子に対する技術料三千万円、それから淡路産業の分八千三百七十六万円、こういうはっきりした数字は認めますね。
-
○河原参考人 朝日碍子の支払いの関係については、当社は
川崎重工経由でございますので、私の方から何ともお答えいたしかねます。
-
○
安宅委員 こういう
会社が日本の対韓援助の主力をなしてやっているということははなはだ残念です。きょうは参考人だから大きな声を出すまいと思いましたが、遂に大きな声を一回出してしまいましたけれども、これは国民が了承するはずがありませんよ。
委員長、これは証人に切りかえてでももう一回全部書類持ってきて、今度は一々やりますから、そういう手配をしてもらいたい。いかがですか。
-
○坪川
委員長 河原参考人に申し上げますが、協力の意味において、でき得る範囲内において御答弁をさらに願います。(
安宅委員「責任者、
社長が答弁してくださいよ、あなたの金で商売しているんじゃないじゃないか」と呼ぶ)
-
○辻参考人 私といたしましては、この書類はただいま見せていただいたばかりでございまして……(
安宅委員「いや、私が計算したのでございますからね、つたない頭で」と呼ぶ)それで、しかもこれ「推定」と書いてございますので、私としてはよく吟味した上でないとお答えできません。
-
○
安宅委員 いつまでに吟味できますか、ここの辺がおかしいとか、ここの辺が違うとか、大体こんなもんだとか。商売人でしょう、あなた。ちょちょっと見たらわかるのじゃないでしょうか。どうですか。
-
○辻参考人 まことに残念でございますが、私、こういう機械類、プラント類の専門家でございませんので、この書類を拝見いたしましても直ちに判断をいたしかねます。
-
○
安宅委員 もう時間も来ましたからあなたに最後に要求いたしますが、その前に日商岩井の
社長に私、ぜひ答えてもらいたいことがある。あなたの方は南ベトナムの方に鶏三羽に何とやらと評判になったくらい岸さんの系統とは非常に近しい
会社でございまして、私がこういうことを質問をして、あなたのお気にさわるかもしれませんが、自由民主党の中の後援会に、どなたとどなたか名前は結構ですから、どれくらいの数の後援会にお入りでしょうか。会費として納めたりなんかしている人数です。正式の政治献金なんというものじゃなくて、後援会に入っている数。
-
○辻参考人 はっきり記憶がございませんが……(
安宅委員「七十ぐらいじゃないですか」と呼ぶ)あるいはそれくらいあるかもしれませんかと存じます。
-
○
安宅委員 それでぜひ聞きたいのですけれども、
日商岩井株式会社が昭和四十一年以来ずっと政治献金をした資料がございますが、これには一番大もとだと思われる先ほど海部さんを使ってという話まで私は相当の責任ある立場で申し上げているのですけれども、やった岸さんの系統には全然ないのですね。だから何ぼの後援会に加入しておられるかと私は聞いたのであります。岸さんの後援会には入っておられますか。
-
○辻参考人 入っております。
-
○
安宅委員 岸さんの後援会費は、一年間会費幾らですか。
-
○辻参考人 記憶ございませんが、もし御必要なら後刻お答えしてもいいことでございますが。
-
○
安宅委員 そう参考人がおっしゃっていますから、ひとつ後で
委員長の方に報告させるようにして配慮していただいて結構ですか。
-
-
○
安宅委員 それでお伺いいたしますが、政治献金としては一つも書いてないところにかえって私は疑惑を感じたわけであります。正直に報告している人の名前をわざわざ出すとかえっておかしくなりますから私、出しませんけれども、金額をきちっと出している人、それから全然出さない人、大変あるのですが、そういう意味であなたは、承るところによると
会社でこの問題でいろいろ討議をなさったようです。そのときに、海部さんを出すかどうかなんという話が出て、こういうことについては、私は権力はいま握っているけれどもという立場なんでしょう、それは言葉に言われないけれども、もうやめる前で本当のことを私は言ってきたい、弁護士連中は、それはすっとぼけた方がいいというので大議論になったということも私は聞いているのですが、どうかひとつそういう意味で、大変きょうは正直な、この後援会のことについてはある程度おっしゃっていただけたことについて敬意を表します。
ただこの問題、
委員長、最後ですからお願いいたしますが、いまの河原という人の答弁、これは時間がないので飛ばしたところ相当ありますよ。だからこういう日本碍子との関係、政治介入したときのいきさつ、それから土谷さんを入れた通産省における会議の内容、その他河原という人が関与したものが非常に多いのです。しかも、岸さんの名前を挙げ、あるいは海部さんの名前を挙げて、そして指を丸めて金の表示をして、これがかかるぞというふうなことを言い、そして
渡辺さんと早稻田さんを田舎のへぼ代議士と言った。これは重要な人間で、だからああいう態度だろうと私は思います。これは
川崎重工株式
会社も含めて、いまの日商岩井、今度いろいろこれは整理しなければなりませんが、それを中心とした人々を証人として喚問することを強く要求いたします。
-
○坪川
委員長 いまの御提議になりました点につきましては、
理事会においてそれぞれ協議させていただきます。もう時間が参りました。よろしゅうございますね。
-
-
○坪川
委員長 これにて
安宅君の質疑は終了いたしました。
午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
————◇—————
午後一時二十四分
開議
-
○坪川
委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
石野久男君。
-
○
石野委員 通産大臣にお尋ねしますが、去る五日ですか、福島県の原子炉で事故があって、一人死亡したというふうに聞いておりますが、そういう報告を受けていますか、詳細をひとつ聞かしてください。
-
○
田中国務大臣 お答えいたします。
報告は受けておりますが、政府
委員からお答えいたします。
-
○橋本(利)政府
委員 お尋ねのような報告を受けております。
被災者は、同僚二名と三号機の濃縮廃液系配管の修理作業を実施いたしておったわけでございますが、作業交代のために同僚の一人に工具を手渡した直後に足を踏み外して墜落したと聞いております。
-
○
石野委員 情報によると、ちょうどその時点でアラームが鳴って、非常にあわてたというようなことも聞いておりますが、そういうことはございませんか。
-
○橋本(利)政府
委員 いまのところさような報告を受けておりませんが、さらに確認いたしたいと思います。
-
○
石野委員 本人は墜落して即死ですか。どんな状態なのですか。
-
○橋本(利)政府
委員 即死ではございませんでして、その後亡くなられたと承知いたしております。
-
○
石野委員 その間の事情をもうちょっと詳しく説明してください。
-
○橋本(利)政府
委員 被災者は、日電工業の萩原さんという三十八歳の方でございまして、労働基準局と警察の現場検証はすでに済んでおると聞いております。
-
○
石野委員 労働大臣の方はこれについて承知しておられますか。
-
○
石田国務大臣 私もその事故のあったことは承知しておりますが、詳細は基準
局長からお答えいたします。
-
○桑原政府
委員 お答え申し上げます。
本年三月五日、東京電力福島第一原子力発電所構内におきまして、東北技工の労働者の死亡災害につきまして、東北技工の方から当該基準局が報告を受けております。
詳細は現在調査中でございますが、私どもの現在受けている情報におきましては、配管の修理作業で作業所のはりから墜落して亡くなられたというふうに聞いております。
-
○
石野委員 まだ細かい情報が十分に入ってないようでございますが、これは単に足を滑らして落ちたということだけであれば過失でございますけれども、私どもの承知しているところでは、作業中にアラームが鳴って、それで若干あわてたり何かしたということが足を滑らせる原因になっているようにも聞いております。
この問題は、労働省の方も、それから通産省の方も、もっと詳しく調べて後で報告を承りたいと思うのです。
私は、原子力については、いま日本のエネルギー政策の中では原子力を純国産という形で非常に重要視しておりますけれども、同時にまた、この仕事についての安全確保という問題は非常に重大だと思っております。そういう意味で、私どもは、原子力設置者の安全性に対する構えというものをきわめて重大視するわけです。せっかく
福田総理がアメリカに行って核外交の中で再処理工場などの場を確保しようという段階のときに、国内において私どもがこういうことを言うのは、政府にとってもいささか意に沿わないことであろうかと思いますけれども、むしろわが国の国民の健康を管理し、そして本当の意味におけるエネルギーの将来を確立するためには、原子力の安全性の問題をもっと重大視しなければいけない。特に私どもが原子力問題について考えなければならぬことは、原子力の事故というのは他の産業と違って非常に永続性があって、しかもそれが全地球的に問題を残す。こういう問題にいまにして思いをいたしておかないと、われわれの今日犯す災害はわれわれの子供や孫の代にまで全部その負担を残していくことになる。これはもう避けて通ることのできない大きな問題であるということを戦争以上に私どもは重大視しなければいけないと思うのです。そういう意味で、私は、設置者の安全性に対する心構えの問題はきわめて重大だと思います。
わが国における原子力については、原子力基本法があって、そこでは、他の法律と別個な扱いで、すべて安全性の確保のため、あるいは兵器利用などを防ぐための施策をしておりますが、先ほど来問題になっております美浜発電所第一号機の問題はきわめて重大でございます。
きょうは参考人として
伊藤副
社長さんにおいでいただいておりますが、大変忙しいところ御苦労さまでございます。きょうは
伊藤副
社長にいろいろ、幾らかきついお尋ねをするかもしれませんけれども、いまのような趣旨において私はお話を聞きたいと思いますので、ひとつそういう意味でお答え願いたいと思います。
参考人にお尋ねしますが、事件がこういう状態で四年間も隠匿されたという事態は、いまやもうほとんど明らかになっておりますが、あなたの原子力に対する今日の心境を、また施設者としての心境をまず聞かしてもらいたい。
-
○
伊藤参考人 お答え申し上げます。
当関西電力の美浜第一発電所第一号機の昭和四十八年時点におきます定期検査に際しまして、燃料の取り出しをいたしておりました途中で燃料体の一部に損傷を与えましたことにつきまして、その当時、作業中の事故であるという判断から関係御当局に対して御報告を申し上げませんでしたが、先般、関係官庁の皆様方から統一の御見解をちょうだいいたしまして、その当時の私どもの判断は適切ではなかった、法によります報告の義務を怠ったものであるという御指示をちょうだいいたしました。
このことに関しまして、私どもとしまして、いま先生がおっしゃいましたように、原子力の安全管理が原子力開発上最も重要だということを痛感いたしますやさきにかような不始末をいたしまして、当面原子力開発に重点を置くべき時期に原子力開発に対して不安感を醸成するような事態を起こしましたことは、まことに申しわけなく深く反省をいたしておる次第であります。今後二度とかようなことを繰り返さないとともに、一層、原子力の運転、管理、安全につきましては格段の努力をいたしまして、問題を起こさないようにいたしたいと考えております。
以上であります。
-
○
石野委員 参考人は昨年の暮れに、通産省の立入検査がありました後、事件がこういう事態だということがはっきりした段階で、記者団の皆さんに対して、いまの時点で考えると発表すべきだったと考えているということを言われております。いまの時点で考えればということの意味は、その当時の時点といまと大分違っているということでしょうし、ただいまの話では、燃料棒引き出し中の事故だと思っておったというお話もございました。これは従来そういうふうに発表されておりますけれども、当時、事故を発表しなくてもいいという決断を下したのはどなたでございますか。
会社としてはどういう機関を通じてそういう決断を下されましたか。
-
○
伊藤参考人 お答えをいたします。
先生の御質問のさような判断をいたしましたのは、当該原子力発電所長並びに本店の原子力部長であるというふうに判断をいたしております。
-
○
石野委員 参考人は、電気事業、原子力発電事業をやっておりますから、当然のこととして原子炉の規制法は十分に頭に入れていらっしゃるだろうと思います。あるいはまた、電気事業法における定期検査のことについても頭に入れていらっしゃると思うのです。あなた方があの事件を発見した当時、あれは何ら報告しなくてもいいという判断をどういう法的根拠においてなさいましたか。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。
当時、この事件の内容につきましては、本店幹部まではその実態が明確に報告されてなかったのであります。御承知のとおり、燃料体四十体を取りかえる予定でございましたが、燃料棒の製作上の問題がございまして、四十一体を取りかえなければいけなくなりましたし、そのための対称燃料体の一本並びに漏洩しました燃料体がございましたので、この燃料体とそれの対称性のもの合わせて四十四本の取りかえが必要であったわけでございます。当時、手持ちの燃料は四十二本でございましたので、二本不足であるために、これを追加購入する必要があるということは本店に上申されておったわけでございますけれども、そのときに、取りかえ燃料の中に一部破損燃料があったということは、その上申の中には明記されていなかったわけでございます。したがいまして、報告の義務はあくまでも原子力部長の判断に任されるべき状態にあったというふうに判断をいたしております。
-
○
石野委員 いまの判断をしたのはその部長さんであったりなんかするでしょうけれども、いまお話がありましたように、二本の追加燃料の必要性が出てくるということになりますと、これは当然のこととして設置の許可の二十三条二項七号の問題に関係してまいります。それは同時に二十六条の二項の事項変更の届け出をしなければなりませんが、それはやっておりますか。
-
○
伊藤参考人 ただいまの御指摘の事項変更につきましては、その関連の書類を監督官庁に提示いたしまして、御許可を得た上でその処理をいたしております。
-
○
石野委員 その届け出をするときの理由書の中に、たとえばC34の問題はどのように記入されておりますか。
-
○
伊藤参考人 私自身その届け出の内容を見ておりませんので、妥当を欠くかもわかりませんが、当時の状況から推察いたしまして、恐らくこういうふうに申し上げていたのではないかと思います。
それは、当然第一領域にございました燃料四十本を取りかえるべき予定でございましたが、これは非加圧型の燃料でございまして、非加圧型の燃料が当時四十一本ございまして、その中の二十本にコラプスが起こったという状況でございますので、四十本では足りなくて、やはり四十一本は当然取りかえるべきだということでございますが、その一本は炉の中央にございまして、その中央にございますもののかわりといたしまして、第三領域にございます燃料一本をこれに充当いたしまして、炉の燃焼のバランスをうまくいたしますために、さらに中央に持ってまいりました燃料棒の対称になります燃料棒を取り出したということになっておりまして、その最終的な燃料棒の番号は、先生の御指摘のC34ということを明記いたしましてお届けをしておるものというふうに存じております。
-
○
石野委員 通産省にお聞きしますが、その届け出は、C34についてはそういうふうに届け出が出ておるのですか。
-
○
武田政府
委員 先ほど御指摘の原子炉等規制法二十三条の許可の問題は科学技術庁がやっておりますので、私どもの方も当時科学技術庁に話のあったことを同時に聞いたかと思われますが、科学技術庁の方から答弁していただくのが適切かと思います。
-
○伊原政府
委員 お答えいたします。
法二十六条に基づく変更の許可申請が出ております。それに、さらに先生御指摘の届け出も受理をいたしております。この変更の申請に基づきまして、新しい炉心につきましての安全性の検討もいたしております。
なお、変更の理由といたしましては、「取り替え燃料のうち第四領域燃料に濃縮度の異なる燃料体を追加するため」、こういうふうになっております。
-
○
石野委員 いま一度聞きますが、C34がその一体になるわけですね。従来、昨年八月二十五日、十月一日の本院における答弁の中では、その集合体について、中心に一本持っていって、それの対称として一本また入れなくてはいけないから新たなものを入れたという説明は確かに行われているのです。しかし、その時点でシッピングの事故のあったのはC33である、C34については全然そういうことは報告されていないというふうに承っておりますし、いま
伊藤参考人から言われたような内容が、理由の中にC34の実態が示されておるかどうかを私は聞いているのですから、そこを明確にしてください。
-
○伊原政府
委員 一本一本の燃料体の移動については記載されておりません。
-
○
石野委員 参考人にお尋ねしますが、あなた方は、この問題は周辺に放射線影響を与えていなかったから大したことはない、こういうようなことでございますけれども、当時、皆さんはこの事故を発見したときの具体的な調査あるいは記録というようなものを完全にとっておりあるいは保管しておられますか。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。
その前に、先ほどお答え申し上げました中で一部訂正をさせていただきたいと存じますが、お役所に出しました書類の中にC34ということを明記したように申しましたけれども、それは明記はされていなかった。私は書類を見ておりませんので間違いを申し上げまして、申しわけございません。
ただいまの御質問にございますその事故発生前後並びに事故発生に至ります間の放射線関係の諸資料につきましては、その時点において技術的な可能な限りのいろいろな書類は整備されていると思います。ただ、その後、いろいろな測定その他のものもこの数年間相当進歩いたしておりますので、現時点で考えましてすべてが完璧であるというふうには申し上げられないというふうに考えます。
-
○
石野委員 規則の六条の「記録」の中には、運転記録を皆さんが記録して保管しておかなくてはならぬことがたくさん書き込まれております。これに関する記録は現在保管されていますね。
-
○
伊藤参考人 法でお定めをいただきました関係の書類は全部整備されておるというふうに存じております。
-
○
石野委員 私は、作業日誌とか運転記録に関係するいろいろな問題について資料の要求をしておりますけれども、なかなかいままで出してきていただいていない。この機会に関西電力から、少なくとも当時コラプスの発生した二十体についての実態資料、あるいはまた燃料棒の外観検査の結果がどういうふうになっているか、あるいはシッピングデータの結果がどうなっているか、水中テレビ検査の状態はどうか、炉内の放射能濃度の測定データ、こういうふうなものは後で資料として出してください。よろしゅうございますか。
-
○
伊藤参考人 ただいまの御指摘の資料につきましては、関係御当局を通じまして御提出をさせていただいたらいかがかと思いますが、それでよろしゅうございますか。
-
○
石野委員 あなた方の当時の保安規程の九十八条の記録なども当然そのときに出してください。当時、この事件が起きましたときに、皆さんは非常に軽微な、非常に軽い事故だというふうにお考えになったようでございますけれども、その当時、破片の収集をしたり、あるいは水中カメラで見たりしておりまするから、相当事故の実態というものは掌握していたでしょうが、その時点でもあなたの
会社としては大した事故じゃないんだというふうに御判断なさっていたのですか、どうですか。いま一度ひとつ……。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。
お尋ねの件でございますが、その当時の事故発生直後の状態におきましては、私どもはその内容をよく承知いたしませんでしたので、私、直接の判断でそういう今日のような結果になったというふうに考えておりません。ただ、現場担当者並びに本店の担当者その他がいかにその状態を判断したかということでございます。ただ、かねて申し上げておりますように、発電所が運転開始しまして以来、周辺のモニタリングステーションあるいは保安規程で決められております放射能の放出、これは液体とそれから気体とございますが、ともに非常に少ない状態で推移いたしておりましたし、それから原子炉がございます。原子炉の中の冷却水の、特に燃料棒の破損を指示いたしますインディケーターでございます沃素の濃度も、保安規程で決められました数値の約五十分の一程度で、非常に安全に運転が続けられていたものと、現場発電所担当者、本店の関与します者もさように考えておりましたので、燃料棒の破損が発生いたしました時点には、自分たちの不手際で壊れたという感じを非常に強く持っていたものと思います。したがいまして、それまでの間におきまして、現在時点におきまして、関係御当局、特に原子力研究所でいろいろお調べがまだ進行いたしておりますので、まだ最終的な結論はわれわれとしても申し上げられないし、そういう調査の状態にあると思いますけれども、現時点で考えました時点とその時点では解釈のポイントがかなり違っていたと思いますので、私どもといたしましては、その時点の事態の解釈なり判断が、確かにいま振り返って考えましたら、非常に申しわけない不十分な判断であったということを深く後悔している次第であります。
-
○
石野委員 この事故があって、早急に皆さんはその破損された燃料棒のジルカロイやあるいは散乱しておるペレットの回収作業をおやりになられた。その回収作業はどういうような作業をなさいましたか。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。
私自身といたしましては、昨年の田原さんの書物を拝見いたしまして以来、これは大変なことだということを感じまして、その時点におきまして、その当時の情勢なり何なりを徹底的に究明いたしたわけでございまして、その結果として私が承知いたしましたことを申し上げたいと思います。
当時は、やはり現場で取り扱っておりました者は、取り出し時点におきまして壊したものという観点が強うございましたので、そのときにこぼれ落ちておりました燃料棒の破片とかあるいは中にございますウランペレットの破片というふうなものは、大体炉内に落ち込んでおるものという判断をしたと思います。したがいまして、燃料集合体は全数使用済み燃料の池に落ち込んでおりますので、その時点でシッピングのテスト、ペリススコープまたは水中テレビで異常がないかどうかということを点検いたしております。ただ、いまから四年前のことでございまして、特に燃料棒の検査につきましては、実は四十八年の前第一回の燃料検査のときには燃料棒の検査は特にいたしておらなかったような状態でございます。私どもも、燃料棒はそう壊れ、問題が起こるものとは感じておりませんでしたし、百四十一体の中で、八体だけウエスチングハウスが来まして簡単に外観検査をして帰っております。さようなもののようにその当時では解釈しておったわけでございますが、その後アメリカにおきましていろいろコラプスだとか漏れだとか、そういう事故があることがわかりましたものですから、これだけではいけないということで、四十八年に第二回の定期検査の過程におきまして、われわれとして整えられるだけのいろんな器具、道具をそろえまして検査をいたしたわけでございます。したがいまして、その時点におきまして、炉内に落ちておりましたのは、これはつかみ取りますような工具ともう一つ、まあエダクターと申しまして、簡単に申しましたら、バキュームクリーナーのようなものでございますけれども、吸引装置を模しましたもので、つかみ取りがたい炉底に停滞しておりますものは、実は炉の中には、御承知のように燃料棒以外にいろいろな複雑な内部構造物が入っておるわけでございますが、これを全部取り出しまして、完全に炉底にあるものを掃除できるような形にまで作業をいたしまして掃除いたしたものでございますから、その当時におきましては、問題になるものは一応回収し得たというふうに判断をしておったわけでございます。
-
○
石野委員 そのとき、たとえばそのバキュームのようなもので水を吸い取った、そういう水、いわゆる第一次冷却水はどういう処置をなさいましたか。
-
○
伊藤参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の点は、いま申し上げましたエダクターと称する装置、やはり吸い上げる装置のことにつきまして御懸念をお持ちいただいていることだと存じ上げます。私も、その点につきまして、もし吸い出しまして吸い出した汚い水をそのまま外へほうり出しておったら大変だ、かように考えましたから、実はその点をよく聞いてみたわけでございますけれども、その機械は、吸い上げました水はもう一度炉の中に戻しておりまして、循環をいたしております。循環の過程におきまして、その吸い上げる機械の中に網目のようなものがございまして、そこに吸い上げた物質が付着するというふうな構造でございまして、決して、その汚かったかもわからない水を発電所の外に放出するというふうな事態は起こっていないということを確認いたしております。
-
○
石野委員 そういうような状態で、炉内の破片物質なり散乱物質を全部回収するということについての全量回収の判断をなさいましたその基礎になるデータというものがあると思いますが、それは記録として残しておりますか。
-
○
伊藤参考人 ただいまの御質問に対しまして、完全な記録は残っているとは申しがたいと思います。最初に申し上げましたように、こぼれ落ちましたものは炉底にあるという前提でございましたので、いろいろな道具を使いましてそれを回収しましたから、一応全部回収したものという認定をしたと思います。したがいまして、ことしになりましたか昨年の暮れだかちょっと記憶いたしておりませんけれども、今回精密に御検査をいただきます過程におきましては、わざわざ水中におきましてその散乱いたしました物品をはっきり計量をしていただいたわけでございまして、この時点におきまして、いろいろ欠損のある事態をわれわれとしても明確に把握したわけでございまして、当時といたしましては、炉内に落ちたものを回収するということと、それから取り出しました燃料棒は全部水中テレビ並びにテレスコープで検査をいたしております。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、その当時のそうした道具は、現在の時点におきましてはまだ非常にきれいに明確にうまく見えるというふうな道具ではございませんでした。しかも、こういう作業は水の中にありますのを検査するわけでございますから、非常に明瞭にこれを見るというわけにはいかないものでございますので、ただいまのところでは、先般の御検査によりまして多少の異物なりペレットが、恐らくそういうものはないと思っておりましたところに少しひっかかっているものがあるということが最近発見できたわけでございますけれども、その当時ではそこまで明確な検査をできるような状態でございせんでしたので、一応回収できて、問題はないものと判断したということが実態でございます。
-
○
石野委員 科学技術庁長官あるいは通産大臣にひとつどうしても注意を喚起しておかなくちゃいけないと思いますことは、ただいまもお話しのように、当時はこれで大丈夫だと思ったやつが、いろいろなそごがあるわけです。それで、実際問題として、散乱したものがこんなところにはと思ったところにくっついているという事実が発見されているということです。こういう問題についての炉の管理、監督、検査、立ち会いという問題にもう少し綿密に意を注がなければならないという問題がこういうところにあることが明白になっていると思うのです。私はやはりこういう問題について、所管大臣としてどういうようなお考えをなさっておられるか、この際ひとつ所見を聞かしておいてもらいたい。
-
○
田中国務大臣 お答えをいたしますが、先生の御注意によりまして、われわれも改めていろいろな問題を知ることができました。なお、ただいまの参考人の供述等によりましても、この安全性並びに管理、監督というものをなお一層さらに整備しなければならぬ、かように思いを新たにいたしております。
-
○宇野国務大臣 過般来申し上げておりますとおり、非常に重要なことだと思います。科技庁といたしましては、立入検査後直ちにこの問題をいろいろ検討いたしております。現に、現物に関しましてはただいま原研で調査中で、三月末に大体その調査の結果が出ると思います。その調査結果を待ちまして、さらに専門家に詳しく審査をさせたい、かように存じております。それと、
会社からも、過般われわれが厳重注意を喚起いたしましたときにいろいろと指示をいたしておきましたが、その回答も昨日いただきましたから、そうした今後の改善内容を破損個所の審査と相まって並行して、さらに緻密な調査をいたしたい、かように存じております。
-
○
石野委員 参考人はその当時、関西電力として、ウエスチングハウスにどういう報告をし、あるいは関連産業である三菱原子力工業といいますか、三菱に対してはどういうような協力作業を求めあるいは指示をもらっていたか、その時点の状況をひとつ話してほしい。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。具体的な指示その他の事項の明細につきましては明確に追跡しておりませんから、いま私の感じ取っている点だけで一応お答えさせていただきたいと思います。
当該美浜の一号発電所の機械につきましては、原子炉につきましてはウエスチングハウスからの供給でございまして、発電機につきましては三菱の供給でございます。ただ、ウエスチングハウスが核的安全性を含めまして発電所の機能に対する総括責任を持つという形で契約をいたしておりまして、当社といたしましても、日本におきましても最初のPWR型の機械であったわけでございます。したがいまして、この事故につきましては、契約の時点、保証期間というものがございますが、この機械は四十五年に運転を開始いたしまして、四十八年の事故でございますから、保証期間は過ぎております。ただ、先生も御承知のように、四十七年に蒸気発生器の漏洩事故を起こしまして、それに関連いたしまして四十八年時点にもその問題は継続をいたしております。四十八年時点におきましても、私どもは定期検査に伴いまして蒸気発生器の内容を検査いたしましたところ、予想に反しまして大きな蒸気発生器のチューブの減損の問題が起こっておりましたので、これは保証期間を過ぎておりましても、やはりウエスチングハウスとしての運転上の指示その他に問題があったのではないかということで、先方の方もその関連で大ぜいのウエスチングハウスの技術者が定期検査の当時に現地に来ておったわけでございます。
それから燃料棒に関しましては、これは五年間その燃料棒の健全性につきましてはウエスチングハウスの責任がございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、第一回の定期検査のときにはほとんど燃料棒の検査が行われておりませんでした。ところが、燃料棒につきましては、アメリカの先行発電所におきましていろいろ問題が起こっておりますので、特に当社の要請ではなしにウエスチングハウスとしましても、ウエスチングハウスがつくりました最初の、現在では中型でございますけれども、当時では大型の燃料がどうなっているのかということを先方としても自主的に見たいということで、燃料関係の者が来ておりましたし、私どもはやはり五ヵ年間の保証の問題もありますから、あわせて来ておったということでございます。したがいまして、ウエスチングハウスの技師は、特に燃料に関連しておりました技師は、この状態を見まして、自発的にこの状態を本社の方に連絡したというのが実態であるというふうに考えております。
-
○
石野委員 三菱やウエスチングハウスからはことさらにこの問題についての作業指示というようなものはなかったのですか。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。
後から私がいろいろ聞きました状況では、ウエスチングハウスといたしましては、その状況を本社に連絡いたしております。それからしばらくいたしまして、燃料棒を抱え込んでおります燃料保持枠と申しますか、外側にございます枠組みでございますけれども、ちょっと適当な言葉がいま出てまいりませんが、その枠組みは丸いかっこうのものでございますが、完全に丸ではございません。大体外を囲っておるものでございますけれども、幾つかのピースに分かれておりまして、そのピース、ピースの組み合わせのところは完全に溶接その他で密着した構造ではございませんので、その間の間隙をある程度調節した方がいいではなかろうかという指示が参りまして、ウエスチングハウスとして自主的にその調整を行った。それで、それの補助役として恐らく三菱重工はこれに参画しておったんではなかろうかというふうに思います。
-
○
石野委員 その際、関西電力は、監督官庁である通産省にはそのことは全然報告も、あるいはまた指示等を仰ぐような処置はしなかったのですか。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。
その当時、通産並びに科学技術庁御当局にはその作業をいたしますということは御報告はいたしておりません。比較的軽易な、修繕作業と申しますよりは、メーカーが持ってまいりましたものの調整が多少不十分であったから調整をするんだというふうに解釈をいたしまして、構造その他大きな変革のあることではございませんので、特に届け出だとか御許可を得る対象のものではないというふうにその当時は解釈いたしておりました。
-
○
石野委員 参考人は先ほど第一回の定期検査のときには燃料検査はしなかった、こう言っておりますけれども、これは実は私が四十八年の六月にあなたのところへ調査に行きましたときもらった資料です。この資料の中には、昭和四十六年十一月、第一回定期検査、同時に第一回の燃料検査ということが書き込まれてあるのです。いまのお話はこれとは大分違いますから、多分思い違いしているかどうかだろうと思いますけれども、やはり第一回定期検査のときにも燃料検査をしておるという報告を私は受けております。これは思い違いだろうと思いますが、そういう間違ったことを余り言わないようにしてください。
それから、やはり私が四十八年六月にあなたのところへお伺いしたとき、そのときあなたは、まだ専務取締役でした。
鈴木さん、それから浜口、
田中、青木、宮本、土屋、岡野という方々とお会いしたのです。この時点では、燃料集合体の入れかえの問題等全部いま参考人の言ったような事実が書いてあるのですが、いわゆる燃料棒折損事故というものが全然ここには片りんだにあらわされていない。いまいろいろのお話を聞いていると、事故は非常に過小な軽微なものだという見方をしているけれども、事実はそうじゃない。現実に、日本原子力研究所のホットラボによる検査を通じてみましても事故は非常に大きく、これをもしこのまま経過すれば、やはり炉は大変な、予想しない事故に発展するであろうという内容を含んでいるものだというように私は見ております。参考人はそういう問題についてはどのような見解をなさっておりますか。
-
○
伊藤参考人 お答えいたします。
最初に先生がお見えいただきました当時差し上げました資料の中に、第一回の燃料検査をしたということが書いてございました。(
石野委員、資料を示す)これは先ほど申し上げましたように、百二十一体の燃料棒を全数検査したわけではございませんで、その中で抜き取りで八体だけを検査いたしましたことを検査と申し上げたと思います。私といたしましては、いまから考えまして、さような検査は検査をしたと申し上げるほどの検査ではなかったというふうに現時点では認識いたしておりますから、検査をしなかったというふうに申し上げたわけでございまして、ちょっと表現が悪うございましたことをおわびいたします。
-
○
石野委員 いずれにしましても、私は昨年八月二十五日に、本件を事実究明ということで質問しました。その時点で、政府があなた方から得た資料によって燃料棒の入れかえ作業の問題の説明をしております。説明の中には、全然C34の折損事故というものも出ておりませんし、また同時に、あなたの方から出てきておりますシッピングデータがここにありますが、このシッビングデータを見ますると、C34というのは全くリークはない、平常な姿に数字は出ているのですね。これは事実問題としてC34はシッピングをやったのですか。このデータはシッピングをやった結果のデータなんですか、どうなんですか。その一点だけをひとつ明確にしてください。
-
○
伊藤参考人 シッビングテストは燃料体全数にわたって検査をいたしておりました。そのお手元に差し上げておりますシッピングのデータは、シッピングのテストをいたしました結果だというふうに承知しております。
-
○
石野委員 私は余り専門家ではありませんけれども、あなた方の出されたシッピングというものの——ここにシッピンク装置はこういうことをやるんだということを書いてある。これはいわゆるピンホールを見つけ出すということが目的なんですね。C34はすでに破損しているのですよ。ばらばらに壊れているのですよ。そういうもので、シッピングをどんな形でやるのですか。事実問題としてそんなことをやるのですか。やったのですか。
-
○
伊藤参考人 御指摘のとおり、その時点で破損は確認いたしておりますので、漏れがあるかないかというテストにはなっていないと私も思います。ただ、何でシッピングをやったかと申しますと、もしそれが——破損いたしておりますから、まだいろいろ漏れているのかいないのかということをやはり調べた方がいいという見解で、ほかの燃料体と同様なシッピングテストをやったものというふうに考えております。
-
○
石野委員 参考人はそういう説明をされるけれども、事実問題としてぶっ壊れている燃料体にシッピングをどういう形でやるのですか。そんなことできっこないでしょう。事実問題として、この数字は後からつけ加えるかどうかしたのとは違いますか。
-
○
伊藤参考人 御承知のように、美浜の燃料集合体でございますけれども、百七十九本の燃料棒が組み合わされておりまして、その中の上部の一部分、二本だけが欠損をいたしておったわけでございます。それでシッピングテストと申しますのは、その燃料棒をある箱のような入れ物の中に納めまして、漏れているか漏れていないかを検査する道具によって検査するわけでございまして、その道具の中には、そういう状態でも十分入り切れるものだというふうに考えております。
-
○
石野委員 これは細かいことを——事実問題として、シッピングは何月の幾日にやりましたものですか。
-
-
○
石野委員 科学技術庁、通産省にあなた方が報告した内容というのは著しく事実と違っている。これをこのまま議事録へ残しておくということは私はまずいと思うのです。ここでは、八月の二十五日は
武田審議官と
高橋発電課長が答弁をしております。その時点ではまだ明確にわかっておりませんで、若干の推測が入っている。それから十月一日の段階では、橋本エネルギー
庁長官が主として答弁をなさっておられる。そこではいわゆるC34に相当するであろう第三領域のものを中心部に持っていったから、だからそれに対称する見合いのものを入れかえたというような云々のことであって、結局第三領域ではC33一本のピンホールだけが出ておって、あとは全然事故がないことになっている。これは事実と相反します。こういう報告をあなた方はなさったのですか。
-
○
伊藤参考人 七月の末に田原さんの御本が出まして、その中に記載してございますのは、燃料棒が溶融しておった、それから中国の原爆が行われた時点に汚い水を一挙に捨てた、こういうふうな事態が書いてあったわけでございまして、私どもとしましては、そういう事態が本当にあったのかなかったのかということがまず重大な問題でございまして、その間の追及をいたしておりました。その時点におきまして、先生から八月の二十五日でございましたか国会で御質問がございまして、関係御当局に対しましては、その関連のいろいろな所見につきましてわれわれの考え方を申し上げておったわけでございまして、関西電力といたしましては、十二月の三日、現地に立入調査をいただきまして、その結果はっきり破損があったということを御認識いただきますまでは、当社といたしましてはさような破損の事実があったということは御当局に対して申し上げておりませんでしたので、関係御当局の先生に対する御答弁は、破損があるということを御承知なくて御返事になっていたのではないかというふうに思います。
-
○
石野委員 私はもう時間が多くございませんからこれ以上なにしませんが、これは通産大臣あるいは
科学技術庁長官にもなにしてもらいたいし、それからきょうは自治省並びに環境庁のそれぞれ長官おいでいただいておりますが、関西電力がかくのごとくに事実を誤認しているといいますか、私たちからすれば誤認じゃなくて隠蔽しているのです。むしろ、事はささいなことであるということよりも、これを発表しなかったというのは、少なくとも政府当局の答弁からすると、私は関西電力には炉を運転するだけの資格はないのではないかということを申し上げた。そうしたら政府の方は、いや長い経験を持っているから、このくらいのことでその資格がないなんというのはもってのほかだという答弁でございます。それだけの経験がある原子力施設運営者であるならば、燃料棒の破損事故をああいうふうに過小評価するということはもってのほかだと思うのですよ。同時にまた、田原氏も言っておるように、やはり中国の水爆実験のときにフォールアウトがあったときに、恐らく古い第一次冷却水を取り出したものの一部分を吐き出したのじゃないだろうか、そのことはコバルト60とマンガン54との比較の、東側の原発敦賀発電所、それから西側にある美浜の発電所の出口のところの比較では、美浜の方がコバルト60がはるかに多いのだ、これはどうも事態はただごとじゃないというのが田原氏の指摘でございます。その指摘されている事実は、別段田原氏がそれをつくり出したものでも何でもなくて、これは福井県とあなた方とがやっている環境調査の会議で出したデータですね。こういうような事実から見ますると、監督官庁としての通産省あるいは科学技術庁はもっと厳しい監督をせねばならぬと同時に、自治省は、こういう事態があっても関西電力は福井県に対してもあるいはまた美浜口に対しても全然報告一つしてないのです。いわゆる保安協定、安全協定をしておりますその事実を全然履行していない。同時にまた一方では美浜の発電所は、このパンフレットの中に、その放水口のここのところはかくのごとくりっぱな海水浴場でございますという宣伝をしているのです。田原氏がこの「原子力戦争」という本で、グラフまで出してコバルト60の放出量が非常に多いことを指摘しているということを考えると、こういう宣伝の仕方というのは非常に誤らせます。危害を及ぼす危険があります。こういうようなことはもうやめなさい。関西電力がこういう写真を使うことはやめた方がいいですよ。これだけの不遜なことをやっておって、堂々と、この近在に若い子供たちの海水浴場でございますなんというような、こういう宣伝はすべきじゃない、このように思います。各大臣の所見を、この際聞かしてもらいたい。最後に関西電力の参考人の御意見を聞かしてもらいたい。
-
○
田中国務大臣 貴重な御指摘をいただきました次第でございまして、今後さらに厳重な監督をいたします。
-
○宇野国務大臣 本件に関しましては先ほども申し上げましたが、さらにこの問政府の統一見解の際にも厳しく関西電力には回答を求めておりますので、今後科学技術庁といたしましてもそういう姿勢で臨みたいと思います。そして、いやしくも原子力開発が、今後民族の、言うならば死活問題であるという観点に立てば立つほど、安全ということをまず守ってもらわなければいけない、これが私の従来からの主張でございますから、その線で今後も臨んでいきたいと存じます。
-
○
小川国務大臣 住民の福祉という観点から、地方公共団体が締結しました契約が遵守されないということはまことに遺憾なことでございます。自治省としても重大な関心を抱かないわけにまいりませんから、電力行政、原子力行政の主管官庁に対しまして善処を要望いたしまするし、今回の件に限らず、重ねてこのような事態が起こりませんように注意を喚起するつもりでございます。
-
○石原国務大臣 どこの国でも、先生が先ほどお示しのように、原発に関しまして白砂青松の中に建物があって子供が無心に遊んでいるという写真がございます。これをやはりうそにしてはならないと思います。それで、いたずらな周囲住民の疑心暗鬼と申しましようか、恐怖によるストレスもやはり環境の問題でございまして、放射能によります汚染の環境にわたる調査は、いまの法体系では科学技術庁の問題になっておりますけれども、やはり科学技術庁と密接に連絡をとりまして、こういう事故が隠蔽なり報告されずにいて大きな事故につながらぬよう、また周囲の住民がいたずらな恐怖心を持たないように努力していくつもりでございます。
-
○
伊藤参考人 先生からいろいろ厳重な御注意をちょうだいいたしました。私どもといたしましても、今後原子力の安全につきましては従来以上に万全を尽くして努力をいたしたいと思います。
ただいま御指摘のあったことにつきましては、溶融の問題はなかったということははっきり関係御当局から御認識をいただいておりますし、それから、その当時、汚い水を、炉水を外へ出そうと思っても出せないような物理的構造になっておりますので、さような事実はないと確信をいたしております。
それから、パンフレットにつきましていろいろ御指摘をいただきましたけれども、当該の海水浴場は、原子力発電所建設前から存在いたしておりました海水浴場で、原子力発電所が引き続いてできまして、運転を継続している過程におきまして大ぜいさんがお見えいただいているのが現実でございます。
-
○
石野委員 もう一つ足りないよ。注意を受けたことに対して社内でどのような処置をしているかということ。
-
○
伊藤参考人 この問題を起こしましていろいろ御批判を受けておることに対しましては、私自身を含めましてその当時の責任者に対しまして、それなりの処罰なり処置が行われております。(
石野委員「行われてないじゃないか」と呼ぶ)ちょっと資料を持ってまいりまして御説明してよろしゅうございますか。失礼します。——お答えいたします。
十二月十五日付をもちまして、責任者六名の社内処分を行っております。私、
伊藤につきましては厳重注意、専務取締役佃につきましては同じく厳重注意、原子力室担任取締役濱口に対しましては戒告、福井原子力事務所長、支配人
田中に対しましては同じく戒告、当時の発電所長で現在嘱託になっております宮本に対しましては戒告、それから原子力管理部次長で当時の発電所の原子炉主任技術者でございました北村に対しましては、譴責の処分をいたしております。その後、御当局におきまして免状返還の御要請を受けております。
それから、これを行いましたのは十二月十五日でございまして、その後の事態におきまして状況に変化が起こっておりますので、ただいま申し上げました以上の処分をいたすべくただいま準備をいたしておる状態でございます。
-
-
○
二見委員 私は、インドネシアのLNGの輸入にまつわる問題と、午前中も新韓碍子の疑惑についての質問もございましたし、私の後にはソウルの地下鉄の問題についての質疑も行われるわけでありますけれども、また、現在はロッキード事件が公判中でありますが、こうしたいかがわしい問題が叫び起きないような腐敗防止対策といいますか、そういうものについての質問、考えを申し述べたいと考えております。
しかし、本論に入ります前に、一つ確認だけしておきたいことがございますので、ロッキード事件に関連いたしまして一点確認をしたいと思います。
それは、ロッキード社の社外重役七人による特別調査
委員会がすでに設置をされておりまして、調査活動が続けられております。三月十四日だったと思いますけれども、参議院のロッキード調査特別
委員会で安原刑事
局長から、この社外重役による調査結果は今月末までにロッキード社の役員会に提出され、後SECに提出されるので、五月一日以降公表されるであろう、こういう御答弁があったというふうに新聞報道で承知いたしておりますが、まずこの見通しについては、このとおりで間違いがないのかどうか、法務当局にお尋ねします。
-
○安原政府
委員 特段の事情の変更のない限りそのとおりでございます。
-
○
二見委員 いま、ちょっとひっかかる御答弁でありましたけれども、特段の事情というのは、何かすでに想定をされておるわけですか。
-
○安原政府
委員 外国の
委員会のやることでございますので、念には念を入れて申し上げただけでございます。
-
○
二見委員 五月一日以降のしかるべき時期に公表される、その資料についてはかなり膨大なものになるだろうと予想されておりますけれども、恐らくSECが発表するものはダイジェスト版だろうと思います。
それで外務省にお尋ねしますけれども、ロッキード社からSECに提出されたロッキード事件にかかわる調査結果のすべての資料をわが国に提供するように要請をされる意思があるかどうか。これは外交ルートを通じておやりになるのか、その点いかがでしょうか。
-
○山崎政府
委員 ロッキード社の特別調査
委員会の報告書は、いまおっしゃいましたとおり、四月中にはワシントンの連邦地裁及び証券取引
委員会に提出され、五月一日以降に公表される予定と聞いております。従来から聞いておりますところでは、この特別調査
委員会の報告書が出ましても、証券取引
委員会でその内容を検討し、そのまま公表するか、あるいは証券取引
委員会の判断で公表に当たって若干の考慮が加えられるかどうかということはまだ決まっていないと言っております。しかし、いずれにしても、それが全部伏せられることはないと私は思いますので、一応原則として公表されるものとわれわれは考えております。したがいまして、これがアメリカの中で公表されました場合には、もちろん日本政府としてはできるだけ速やかにその報告書のテキストを入手いたしたいと思っております。そして国会から御要請があれば、そのテキストを国会にも提出するように取り計らいたいと考えております。
-
○
二見委員 法務大臣にお尋ねしますが、公表されれば、それを全文取り寄せて、国会の要請があれば国会に提出するというのがいまの外務当局の御答弁でありますけれども、法務大臣もいまの外務省の見解には御賛成いただけますか。
-
○安原政府
委員 公表されるものについては何らこれを妨げる理由はないわけでございますし、いま山崎
局長の御答弁のとおり、仮に何か公表を控える部分があるといたしました場合におきまして、検察当局としてその点についてなお知りたいという要請をいたします場合には、御案内の司法取り決めによりまして秘密扱いのもとに入手することも可能でございます。
-
○
二見委員 そうすると、公表された部分については国会に提出することは差し支えがない、公表されなかった部分については必要に応じて取り寄せるということですか。これは、公表されない部分も全部取り寄せるのがあたりまえだろうと私は思うのです。
-
○安原政府
委員 それは相手国のあることでございますが、少なくとも、相手国との協定、取り決めの中で、秘密取り扱いならば提供することは向こうもコミットしておるわけでございますので、検察当局としては、そのような方法によって入手することは可能であると申し上げたわけでございます。
-
○
二見委員 ロッキード社がSECに提出する書類というのは、本来からいくと、司法共助とは無関係のものだったろうと私は思うのです。だから、私は、法務大臣に御答弁いただきたいわけでありますけれども、本来であるならば、ダイジェスト版ではない全資料を日本政府としては取り寄せるように取り計らわなければいけないだろうし、もし、いまの安原刑事
局長の御答弁にありますように、伏される部分があるとするならば、伏されないように働きかけていかなければならないのじゃないかと私は思いますけれども、法務大臣は、これはあくまでも相手のことだからということで手をこまねいて見ているだけにするわけですか。どうでしょうか。
-
○
福田(一)国務大臣 ただいま刑事
局長がお答えをしたところでございますが、私の承知しておるところでは、この資料は公開するとSECは前から言っておったと思うのでありまして、公開されるものと私は心得ております。その段階において何らかの事情で公開されないというような場合があったときに、どういう事情があるのか、それを踏まえながら、いま刑事
局長が申し上げたように公表をするということは結構なことだと思っております。
-
○
二見委員 要するに、公表されない部分があればあるだけ、私たちはその部分についてさらに不愉快な気持ちも起こしますし、われわれの知らない、公表されないところに、もっとわれわれに知られては困るようないかがわしいことがあるのじゃないかというような、場合によってはよけいな推測もされるわけであります。したがいまして、この資料に関しては、一点の曇りもないように、すべてわれわれ国民の前に明らかにされるように努力をしていただきたいと思いますし、これは恐らく法務省の方からも接触するでありましょうし、あるいは外交問題ですので、外交ルートも絡んでくるのではなかろうかと思います。幸い外務大臣は総理と一緒に訪米されるわけでありますけれども、きのうの分科会では、この訪米の目的は、二国間のいろいろな問題について話し合うわけではない、主たる目的は、これからの世界をどうするかというかなり次元の高いお話し合いをするんだ、だから、二国間のいろいろな懸案事項については主たる議題ではないとおっしゃいましたけれども、私もその点は了解はいたしますが、どうせ行くわけでありますから、ロッキード事件に対する日本国民の抱いている感じ、ロッキードの社外重役による特別
委員会の調査結果を全部公表されることは、日本人は、日本の国の民主主義を蘇生させるためにも必要なんだということを、何らかの折にその意思を伝えてもらいたいと思いますけれども、その程度のことはおやりいただけますか。
-
○鳩山国務大臣 法務当局ともよく御相談をいたしたいと思います。
それから、先ほどすべての資料というお話がございましたか、私どもからいたしますれば、今度の事件は日本以外のほかの外国のこともずいぶん関係しておるやに思います。その点は御関心はないものと了解してよろしいかと思いますが、そのように相談して決めたいと思います。
-
○
二見委員 それでは、本論に入りたいと思いますけれども、インドネシアのLNGの輸入にまつわるいろいろな問題であります。
このLNGの輸入にまつわる問題に入る前に、たとえば日韓経済協力にしろ、あるいはインドネシアとの経済協力にしろ、日本と開発途上国との経済協力にはいままでいろいろなうわさがつきまとってきているわけです。たとえば、日本とインドネシアとの間の経済協力というのは、一九六六年から七五年の十年間で、円借款供与で総額五千七百八十九億五千六百万円という大変な額に上っておりますし、インドネシアの経済協力に限ってみても、政府借款が決められる段階では高度の政治的な判断があったとか、あるいは強力な政治圧力が介在したとか、いろいろなうわさがあるわけです。
〔
委員長退席、
田中(正)
委員長代理着席〕
たとえば、インドネシア高官と日本政府高官が、日本が輸入する石油一バーレル当たり三セントの利権料を取り合っていたとか——うそか本当かわかりません。あるいはスカルノ政権からスハルト政権への交代をめぐって、新しい利権ルートづくりが両国高官の間で図られたとか、あるいはプルタミナのストー前
総裁をめぐって利権ルートの暗躍があったとか、インドネシアだけに限っても、真偽のほどは別としていろいろなうわさがあるわけです。これはインドネシアばかりではない。きょうの午前中の質問でもあり、私のこれから後の質問でも行われる日本と韓国との間にも、取り決めをすればリベートがあったのじゃないかといううわさがずっとつきまとってきているわけです。私はそうしたうわさを信じたいとは思いませんし、そんなうわさはうわさだけであって根も葉もないことだと思いたいわけであります。しかし、考えようによっては、火のないところに煙は立たずということわざもございますので、そういううわさを聞くたびに非常にいやな思いがする。
きょうは幸い、最初に各大臣に感想を承りたいわけでありますけれども、別に私たち野党の方の耳が特別いいわけではない。耳の聴力のぐあいも私たちも大臣も余り変わりはないだろうと思います。そうしたいまわしいうわさを——真偽は別にします。うそ、本当ということじゃなくて、そういううわさをかつて耳にされたことがあるのかどうか。もし耳にされたとするならば、自分でああいやなうわさだなと思って、事実であるか事実でないか確認されたことがあるのかどうか。そこら辺をまず各大臣に承りたいと思います。ちょうど並んでいらっしゃる順に、大蔵大臣からずっと承りたいと思います。
-
○坊国務大臣 うわさについてはときたま聞かぬこともありませんけれども、私どもといたしましては、さようなことはまずあり得ないことだというふうに受けとめております。
-
○
福田(一)国務大臣 そういううわさは聞いておりますが、私の立場から言いますと、犯罪容疑があるかどうかということに重点が置かれておるわけでございますから、それぞれの担当の行政の面においてまずただすべきものはただすというところで始まるべきではないかと思っております。
-
○
田中国務大臣 お答えいたします。
ただいま先生が仰せられたごとくに、かようなことはあってはならないことだ、かように存じておりまするし、また、そういうことは絶対に信じたくはないのでございます。同時にまた、後発途上国に対しまする援助でありますとか、あるいは隣邦に対しまする親善友好、こういうことから申しまして、同時に経済援助、経済協力ということはしなければならないことでもございますので、そういうことが絶対にないように、われわれは全力を挙げて、正常なものとしてこれを純粋に事務的に扱ってまいりたい、かように存じております。
-
○鳩山国務大臣 残念なことでありますけれども、民間の取引にはリベートというようなことが間々行われているということはずいぶん聞いたことはあるわけでありますけれども、具体的な話としては、国会で御審議を通じましてずいぶん聞いておるだけでございます。
-
○
二見委員 やはり私たちと耳の聴力は同じでございまして、真偽のほどは別として、いろいろな忌まわしいうわさはお耳に入っているということがわかりました。
ところで、通産当局にまず御説明をいただきたいと思いますが、インドネシア、プルタミナのLNGは、当初の予定では今月から入ってくる予定でございましたけれども、実際はどうなっておりましょうか。
-
○
田中国務大臣 インドネシアのLNGの輸入に対します計画は、平年度で七百五十万トンのLNGを二十三年間にわたりましてプルタミナから日本の電力
会社等が購入するものでございまするが、このプロジェクトの成立いたしますまでの経緯、並びにただいま先生が御質問に相なりました件等は、詳細政府
委員からお答えいたします。
-
○橋本(利)政府
委員 ただいまインドネシアLNGはいつごろから輸入開始できるかというお尋ねでございました。現在までのところ、束カリマンタンのバダク基地の液化設備のA系列だけは二月末までに完成いたしておりまして、試運転を実施しておる段階でございます。さようなところから、試運転が順調に進みますと、ことしの夏ごろには第一船が入港する予定でございまして、具体的な月日等につきましては、三月二十二日からプルタミナと日本側ユーザーとが東京で話し合いに入る、こういう予定になっております。
-
○
二見委員 さて、このプルタミナのLNGについては、日本の政府借款あるいは輸銀の絡んだ民間融資が行われているわけでありますけれども、その前にひとつお互いの認識を確かめ合うという意味合いから、まず、このプルタミナというものについてどういう性質の——これは国策
会社ですけれども、大体経理内容だとかいろいろな、大分苦しいなんという、百億ドルの赤字を抱えておるとか、それが六十億ドルに減ったとか、いろいろなうわさもありますけれども、まず、プルタミナというのはどういう
会社なのか、これをひとつ簡単に御説明いただきたいのです。その説明が終わりましたら、その次に今度、プルタミナというのは金払いが大分悪いらしくて、世界各地で裁判問題を起こしておりますね、船の用船料を払わなかったというので。そうした裁判問題が一体どういうふうになっているのか。この二点について、まず概略で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
-
○橋本(利)政府
委員 プルタミナはインドネシアの国営石油
会社、その頭文字をとってプルタミナと申しておると思います。現在の
総裁はハルヨノ氏でございます。ここ一、二年プルタミナの経営状況、財政事情が悪化いたしております。われわれが伝え聞くところによりますと、いろいろ理由もあるようでございますが、本来の石油事業のほかに事業規模を広げて、そのために短期資金でもって長期資金を賄っておったといったようなこともございまして、一時不渡りを出したといったようなことも承知いたしております。その後、インドネシア政府といたしましては、政府が直接この監督に乗り出す、いろいろと事業の整理縮小を図るといったようなことで、再建、いわゆる建て直しに努力をいたしておるということでございまして、第二番目に御指摘のような問題点につきましても、インドネシア政府当局が直接いろいろとコントロールしておるといったようなことから、漸次改善されていくものと考えておるわけでございます。
-
○
二見委員 もう一点やはり御説明いただきたいと思いますけれども、プルタミナの前
総裁はイブン・ストー氏でありますけれども、伝えられるところによりますと、このイブン氏は現在インドネシア国防治安省やあるいは最高検の取り調べを受けているという報道を私は見たわけであります。このイブン・ストー氏というのは、かつてはインドネシアにおけるもう一人の大統領と言われた大変な実力者だそうでありまして、日本がプロジェクトを組む、円借款をする、民間融資をする、その取り決めたときの
総裁がイブン・ストー氏であります。その第二の大統領と言われた実力者が現在取り調べを受けているという報道を耳にしたわけでありますけれども、一体どういうような内容でもって現在取り調べを受けているのか。その内容がもしおわかりになっておりましたらば、御説明いただきたいと思います。
-
○橋本(利)政府
委員 ただいま御指摘の点は、私たちも新聞報道では承知いたしておりますが、その具体的な内容あるいはそれが事実であるかどうかということは、寡聞にして存じ上げておりません。
-
○
二見委員 一度これをお調べの上、後日資料として御提供くださるようにお願いをしたいと思います。よろしゅうございますか。
-
○鳩山国務大臣 できる限り情報をとってみたいと思います。
-
○
二見委員 LNGの開発プロジェクトを結んだいきさつについて、月日順といいますか、年代記風にずっと一度述べていただけませんか。これは、昭和四十七年の春に、たしか私の聞いているところでは、モービルが日本に売り込んできたのじゃないかと思います。あるいは違っていたら御訂正いただきたいのです。そして日商岩井がいいじゃないかというようなことになった。そこら辺がそもそものプロジェクトが組まれる一番大もとだったと聞いておりますけれども、しかし、これが具体化されたのは四十八年からですね。四十八年からの経緯について年代記風にすうっと一度言ってみてくれませんか。
-
○橋本(利)政府
委員 四十七年春当時モービルから働きかけがあったかどうかはまだ確認いたしておりません。ただ、当初、御指摘のように日商岩井が東カリマンタンと北スマトラ、この地域で産出されます原油に伴って発生するいわゆる随伴ガスにつきまして、これを液化する構想をもって現地でいろいろ交渉を進めておったと承知いたしております。ただ、この計画が具体化するに伴いまして、一企業のみでは扱い切れないような大規模なプロジェクト案件になってきたといったような事情がございます。一方におきまして、インドネシア政府も、経済協力として政府間ベースで本件を取り上げたいという意向を、当方にと申しますか、日本サイドに申し入れてきたわけでございます。日本側といたしましても、いわゆる公害対策としてのクリーンエネルギー、エネルギー資源の確保といった観点から、重要な案件であるということからいたしまして、両国で話し合いを続けた結果、四十八年の四月にそういった方向で基本的了解に到達したわけでございます。その前後、日本側のユーザーの五社もプルタミナといわゆる当事者交渉に入りまして、四十八年の二月にはプルタミナに対してレター・オブ・インテントを出しております。その後累次の交渉を経まして、四十八年の十二月に日本側ユーザーの五社とプルタミナとの間に販売契約が締結されております。それから年を越しまして、四十九年の二月には、日本・インドネシア・エル・エヌ・ジー、いわゆるJILCOと略称いたしておりますが、本件に対する融資窓口として設立されております。同じく四十九年の五月には、JILCOとプルタミナの間に融資契約が結ばれております。その後五十年に至りまして、六月のことでございますが、プルタミナがJILCOに対しまして追加融資の要請をしてきた。その後一年近い交渉がございまして、五十一年の六月に決着し、それに伴いまして五十一年八月には一部売買契約、融資契約等についての改定が行われる、かような経緯をたどっております。
-
○
二見委員 ただいまのを整理すると、こういうふうになりますか。まず、昭和四十八年の二月にユーザーがレター・オブ・インデントを出した。要するにこのレター・オブ・インデントというのは買い付け同意書、意向書みたいなものですね。買いたいけれども売ってくれますかというような趣旨の手紙ですね、これは。これが四十八年の二月に出された。そうしたらば、一カ月後の三月にインドネシア政府から日本政府に対して、これはひとつ政府間ベースでやってもらえないだろうかという経済協力の要請が一カ月後の三月にあった。そしてそういう要請があったものですから両国間で話し合いが行われて、四月二十日に両角、当時の通産事務次官ですか、それと向こうのラディウス商務大臣との間で基本的な点で一致を見た。基本構想を検討して大体了解に達した。九月から十月にかけて、今度はインドネシアヘの官民合同調査団を派遣して、プロジェクトがうま味があるかどうかというようなことが調べられた。そして四十八年十一月の二十二日から十二月一日までの間に、十日間両角特使がインドネシアを訪問いたしまして、LNGプロジェクトの基本的な合意にこのときに達している。そして十二月三日にユーザーとの間で、インドネシアと日本側ユーザーとの間で売買契約が成立をした。その後、今度は、暮れに押し詰まって十二月二十三日から二十六日の間にストウ
総裁が日本にやってきた。ラディウス大臣がやはり日本にやってきた。これは円借款についていろいろな要請をしたいために日本にやってきたと私聞いております。そして日本としては、最終的には十二月二十八日に、当時の総理大臣は
田中総理でございましたけれども、
田中総理の東南アジア訪問に合わせて、インドネシアに五百六十億円の円借款をしようということが決まったのが十二月二十八日である。そして翌年の昭和四十九年一月十六日に
田中・スハルト共同声明でその点が公にされて、二月二十八日に先ほど御説明のあったJILCOが設立をされて、三月十六日にLNG円借款五百六十億円に関する交換公文が取り交わされて、五月十七日には民間融資八億九千八百万ドルについての契約が行われた。大体こういう経緯だろうと思います。もし違っておりましたら御訂正いただきたいのですけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか、大体。
-
○橋本(利)政府
委員 いま先生がお述べになった中で、ストウ氏とスハルト大統領の来日の問題については確認いたしたいと思いますが、その他の点につきましては、いまお述べになったとおりだとわれわれも承知いたしておるわけでございます。
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○
二見委員 ところで、このインドネシアLNGの疑惑といいますか、問題点というのは、この値段にあるわけです。たしか河本前通産大臣も、少しこの値段は高いんじゃないかという発言を国会でされたように記憶しておりますけれども、このインドネシアLNGの値段のほかのLNGに比べて高いというところに私は問題があるだろうと思います。
それで、もう一度お尋ねしますけれども、インドネシアのLNGの価格というのは幾らですか、これは。プルタミナの天然ガスの価格は幾らでしょうか。
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○橋本(利)政府
委員 まだ具体的に幾らと申し上げる段階ではございませんが、少なくともインドネシアのローサルファ原油とほぼ同額、同等程度というふうにわれわれとしては理解いたしております。と申しますのは、先ほど申し上げました四十八年十二月の売買契約の中でLNGの価格決定方式についての規定がございまして、それは大きく二つに分かれておりまして、一つは輸送要素といま一つはLNG要素でございます。輸送要素の方は実費に基づいて計算する、それからLNG要素の方は、九〇%まではインドネシア産の原油価格にスライドし、あとの一〇%分につきましては年率三%で考えていく、こういうふうになっておりまして、当時の時点でこの算式によって計算いたしますと、これはバレル計算でいたしますと五ドル八十ぐらいになろうかと思います。当時のミナス原油がバレル六ドル程度でございますので、当時オイルショックの直後でございます。まずまずの価格ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
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○
二見委員 この価格の問題は、たしか先国会でも議論があったと思いますけれども、昭和四十八年四月二十日、両角・ラディウス会談のときに提示された額というのは、FOB価格が六十五セント、それにフレート、運賃ですね、これが三〇セント、計九十五セントという数字が出されたんじゃないですか。
まず、昭和四十八年四月の段階での価格を議論したいと思いますけれども、FOBで六十五セントという数字が示されたんじゃないですか。どうでしょうか。
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○橋本(利)政府
委員 私たちが承知いたしておりますのは、百万BTU当たりCIF九十五セントというような数字があったやに承知しております。
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○
二見委員 百万BTU当たり九十五セント、その内訳は、FOBで六十五セント、フレート三十セントであります。FOB六十五セントというのは、昭和四十八年四月の段階では高いんですか、安いんですか、これは。
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○橋本(利)政府
委員 これは、高いか安いかということの判断は非常にむずかしいわけでございますが、当時の事情を若干申し上げますと、イランのカーグ島におきまして同じくLNGのプロジェクトがあったわけでございます。その際、日本側の立場といたしましては、九十五セント以下ならば実現の可能性があるというふうに考えておったわけでございますが、フィージビリティースタディーの結果、九十五セント以下にはならないといったような事例もございまして、それがちょうど四十七年の五月、かれこれ一年ほど前のことであったわけでございますが、そういった数字を参考として九十五セントといったような数字について話し合いがあったんではなかろうかと思うわけでございます。
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○
二見委員 それでは、昭和四十八年当時、日本はアラスカとブルネイからLNGを輸入をしておりますね。日本で輸入しているのは、これはCIF価格です。船はみんな向こう持ちですから、CIF価格です。四十八年当時アラスカとブルネイから百万BTU当たりCIF価格で幾らで輸入していたのですか、日本は。ついでに、四十八年だけじゃなくて、四十八、四十九、五十、五十一年ぐらいまでの年次別に百万BTU当たりのLNGの価格もあわせてお知らせください。
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○橋本(利)政府
委員 私たちがとっております数字は通関統計の数字になるわけでございますので、まずアラスカについて申し上げますと、四十七年当時は八千四、五百円から九千円ぐらいになっております。それから四十八年はかれこれ八千円前後、四十九年は、前段が九千円から一万円ぐらいでございますが、後段になりまして一万五千円ぐらいになっております。それから五十一年につきましては、当初二万五千円程度から、昨今では二万六千円程度になっておるわけでございまして、これをアラスカにつきましてBTU換算いたしますと、四十四年から四十七年当時は、百万BTU当たりCIFベースで五十二セントでございますが、その後四十九年時点で六十八・四セント、五十年では百十セント、順次上昇してまいりまして、最近では百九十ないし百九十五セントぐらいになっておるのじゃなかろうかと思います。
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○
二見委員 そうすると、たとえば昭和四十八年は五十二セントですね。
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○橋本(利)政府
委員 ただいま申し上げました数字は通関統計から換算いたしたものでございますが、五十二セントは、四十四年の暮れから四十七年の四月ごろまでの入港分についての試算値でございます。
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○
二見委員 実は、これはレートの換算がありますので、多少の違いはあると思うのです。私も通関統計から四十八年の百万BTU当たりの価格を、一ドル二百六十六円という当時の、かなり高い時代でしたから、それで計算しましたならば、アラスカのLNGというのはCIFで六十セントなんです。もう少しレートを安くすれば、二百七十円とか二百八十円にすればこれは変わってまいりますけれども、二百六十六円でやると六十セントになる。そうすると、四十八年の四月二十日に両角・ラディウス会談で提示されたFOB価格というのは六十五セントなんです。FOBプラスフレートでいくと九十五セントなんです。片方はCIFで六十セシト、あるいは六十セントよりもちょっと安いのです。百万BTUで三十五セント以上違いが出るのです。事務当局に伺いますけれども、一セントというと、二円六十銭とか二円八十銭というと、われわれはえらく安いじゃないかとばかにいたしますけれども、百万BTU当たりの一セントの違いというものは、日本がインドネシアから輸入する七百五十万トンのLNGに引き当ててみると、大変な額になるのじゃないですか。もしアラスカとの差が、四十八年に三十五セントの差があった場合、一セント高いか安いかで、七百五十万トン輸入した場合にはどのぐらい違いが出るのですか。
〔
田中(正)
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○橋本(利)政府
委員 ちょっと即座に計算できないわけでございますが、百万BTUは〇・〇一九トンになるわけでございます。したがいまして、五十一ないし五十二倍いたしますとLNGのトンになる、こういうことになろうかと思います。価格ベースでいきますと、百万BTU当たり単位価格に対しまして五・九倍するとバレル当たり、それを六・三倍するとキロリットル当たりの単価になるわけでございますので、この計算、いま即座に私、できませんので、別途計算いたさせたいと思います。
-
○
二見委員 結構です。アラスカとの差を、四十八年に三十五セントの違いがあるとすると、これはドルに直しますとトン当たり十八ドル二十セントの違いになるのです。そうすると、日本では年間七百五十万トン輸入いたしますので、三十五セントの違いというのは一億三千六百五十万ドルの違いになるのです。邦価に直しますと三百六十三億円です。そういう大変な高い価格になるのです。だから、これは単に一セント、二セントの違いというのは、LNGの場合には非常にばかにできない問題なんです。
もう一点、別の角度からお尋ねしますと、四十八年九月六日にプルタミナはアメリカのパシフィックライティング社というところと仮契約をいたしましたですね。これはFBOですけれども、幾らだと言われておりますか。
-
○橋本(利)政府
委員 私たちが承知いたしておりますのは、FOBで六十三セント、それに対しまして毎年二%のエスカレーションクローズと通貨調整の条項がついておるというふうに聞いております。
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○
二見委員 両角さんがラディウスさんと話を取り決めたときの値段がFOBで六十五セントなんです。プルタミナとアメリカのパシフィックライティングと決めたときが、片方は四月、ライティング社の方は九月です。五ヵ月のずれがありますけれども、そのとき決めたのは六十三セントで、アメリカの方が二セント安いんです。百万BTU当たりで一セントの違いというのは、一トンで約五十二セントの違いです。七百五十万トンを日本が輸入するということになりますと、一セント違うということは三百九十五万ドルの違いです。日本の値段に直すと十一億円の違いです。二セントの違いということは二十二億円です。プルタミナに建設するLNGのプロジェクトというのは、日本の金でしょう、これは。なぜ日本はアメリカよりも高い金で買わなければならぬのですか。なぜそういう取り決めというか、そういう合意を四月二十日の時点でしなければならなかったのか。おかしいじゃないですか。出発がおかしいんじゃないですか、このインドネシアのLNGというのは。最初からボタンがかけ違っているんじゃないですか。どうですか。
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○橋本(利)政府
委員 伝えられるパシフィックライティングの契約価格は、先ほど申し上げたように六十三セントでございますが、当時のミナス原油がバレル当たり三ドル七十二セント、百万BTU当たりにいたしまして六十三セントということで、当時のミナス原油に横ばっておるというふうに私たちの方は聞いておるわけであります。
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○
二見委員 私はミナス原油との関係を言っているんじゃなくて、両角さんとインドネシアで取り決めた値段とインドネシアとアメリカの
会社との間で取り決めた値段と、なぜ二セントの違いが出たのかと、しかも、このプロジェクトというのは、追加融資も含めれば十四億ドルでしょう。そのうち五百六十億円というのは基金を通しての円借款です。約二億ドルは。残りの約十二億ドルというのは輸銀を中心とした民間融資でしょう。もとになっておるのは全部私たち国民の金ではないですか。それで向こうにあれだけの設備をつくるのです。アメリカは、このパシフィックライティングという
会社は、その設備をつくるのに日本と同じだけの貢献をしたのですか。私は、これはエコノミックアニマル的な発想で言っているんじゃないんです。どうなんですか、やっぱりおかしいんじゃないですか、これは。日本が最初から取り決めた値段に、向こうで合意してしまった値段に、出発に誤りがあったんじゃないですか。
-
○橋本(利)政府
委員 両角・ラディウス会談におきましては九十五セントという数字が出ておったと承知しておりまして、仮に運賃を三十セントとすればということになろうかと思います。それからパシフィックライティングにつきましては、私たちが承知している限りでは現在まだアメリカの連邦動力
委員会から許可がおりておらない、仮契約の段階であるわけでありますが、将来、現実のものとしてパシフィックライティングがインドネシアのLNGを輸入する場合には、それに即応して工事費等の分担をさせる、それを当方に対して期限前償還に充てる、かような形になっているわけでございます。
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○
二見委員 ではこの値段についてもう一点、別の点からお尋ねをしたいと思いますけれども、三井物産とブリジストン液化ガスが推進したアブダビのLNGのプロジェクトがありますね。これもことし日本に入ってまいります。この輸入価格は幾らですか。
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○橋本(利)政府
委員 いまの段階でまだ入ってきておりませんので、申し上げる段階にございません。
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○
二見委員 新聞報道によると、CIF価格で一ドル九十セントという報道がなされております。CIF価格で一ドル九十セントというどんぴしゃりの数字が、正しいかどうかわかりませんけれども、約二ドル弱ということではないのですか、もう少し大まかな幅を持たせた言い方をすれば。いかがですか。
-
○橋本(利)政府
委員 大体二ドル前後ではなかろうかと思います。
-
○
二見委員 そうすると、どう見てもアブダビの天然ガスと比較してもインドネシアの天然ガスというのはおかしいのですよ。大臣、これからまた細かい数字のやりとりを橋本さんとやりますけれども、その間に客観的に御判断をしておいていただきたいのであります。
昭和五十年の日本船舶輸送統計によりますと、アブダビからの石油のフレートというのは——これは石油です。両方ともまだ天然ガスを輸入した実績がありませんから、石油でもってフレートを一応便宜的に計算してみたわけです。そうするとアブダビからの日本へのフレートはトン当たり千五百円なんです。インドネシアからの日本への石油の輸送運賃というのがトン当たり千円なんです。ですから原油の場合に当てはめますと、フレートというのは三対二でアブダビからの方のが高いのです。これは距離が長いから高いのは当然だろうと思います。それをそのままLNGのフレート比率に適用したとすると、現在インドネシアからのフレー下というのは百万BTU当たり三十五セントだそうです。あるいは若干の変動はあると思いますけれども。もし三十五セントということになりますと、アブダビからのフレートは単純な比率計算でいきますと五十二セントということになります。そうするとインドネシアからのLNGというのは、まだ入ってこないから通関統計で計算のしようがありませんけれども、伝えられているところ、いままで国会答弁や何かである程度明らかになった輪郭でいくと、CIF価格で二ドル三十三セント程度だと言われておりますね、入ってくる値段は。そうすると、そこからフレート代を引きますと、インシュアランスは考えておりませんけれども、インドネシアから入ってくるのは一ドル九十八セントです。二ドル三十三セントからフレート代三十五セントと仮定いたしますと一ドル九十八セントです。アブダビは約二ドルですから、そこから五十二セントのフレート代を引きますと一ドル四十八セントであります。五十セント高いのです。同じような時期に、片っ方は民間が推進をしたプロジェクトです。片っ方は政府借款です。そして政府借款であったインドネシアの方のが百万BTU当たり五十セント高いのです。百万BTU当たりで五十セント高いということは、トンに直しますと二十六ドル三十一セント高いのです。日本は年間七百五十万トンを輸入することになりますから、二十六ドル三十一セント掛ける七百五十万トンというのは一億九千七百三十二万五千ドルなんです。一ドル二百八十円で計算いたしますと、五百五十二億五千八十万円もアブダビの天然ガスから比べても高い買物をしたことになるのです。
通産大臣、説明すればいろいろな立場で説明のしようもあるでしょうけれども、こうした事実関係だけずっと並べてきた場合、やはりインドネシアから輸入する天然ガスというものは価格形成の面で少しおかしいところがあるんじゃないでしょうか。これは私、多少高いというならわかるのですよ。しかし、アブダビから輸入する石油よりも五百五十二億五千八十万円も高いなんということになると、ちょっとこれはただごとじゃ済まされない値段だろうと思うのです。御感想いかがですか。
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○
田中国務大臣 ただいまは非常に精密な分析と計算をいただきましてありがとうございます。われわれもいろいろなことは聞いておりますけれども、いま先生がお話しのように積算をせられてお示しをいただきますと確かに感を同じゅういたしますが、その間にいろいろと経過もあったことであろうと存じまするし、それから運賃だけでない諸掛かりその他もあるかとも存じます。なおいろいろとお話も承り、同時にまたわれわれといたしましても十分検討をさせていただきとうございます。
-
○橋本(利)政府
委員 ただいまの大臣の御答弁に追加して申し上げたいと思います。
一つはやはり建設費の差があるんじゃなかろうかと思います。アブダビにつきましては、基本契約は四十七年の十二月でございまして、現地で工事を着工したのが翌年四十八年の三月であります。それからインドネシアの場合は、売買契約ができ上がりましたのは四十八年十二月、これは先ほどお答えしたとおりでございますが、工事につきましてはバダック地区は四十九年の二月、アルン地区は四十九年九月、こういうことになっておりまして、ちょうどその中間にオイルショックと申しますか、石油危機が発生いたしまして御承知のように諸資材に価格上昇の現象が見られておった。特にLNGプラントにつきましては、マイナス百六十二度にまで下げて液化する、それに対するパイプ、あるいはそれの輸送設備等の関係がございまして非常に膨大な投資になるわけでございます。そういったオイルショックをはさんで前後であったというところがかなり投資額に影響が出てきているかと思いますし、またオイルショックをはさみまして産油国における姿勢と申しますか、買い手市場から売り手市場に変わっておったということも影響しておるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
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○
二見委員 アブダビとインドネシアの間で建設費その他で全く同一条件だったとは私思いません。差はあっただろうと思います。しかし、差はあったにしろ、五百五十二億円というのは少しひど過ぎるのじゃないですか。日本がプルタミナにした円借款というものは五百六十億円なんです。五百五十二億円というのは、これは一年分の、高いところだけでもってペイしてしまう値段ですよ。そうでしょう。アブダビと比べて高い部分、アブダビよりも比較して高い部分で、一年間でもってペイしてしまう値段ですよ。幾ら建設費が上がったから、多少の事情があったからと言っても、この値段の違いはちょっと解せないと思うのですね。一体、日本がどういうような交渉をしたのか。こうなれば、私はいままでの交渉過程を明らかにしてもらう以外にないと思うのです。四月二十日に両角・ラディウス会談が行われた。一体、そこでどういうことが話し合われたのか。これは、私は全貌を明らかにしてもらう。こういう点で合意しましたという簡単な発表ではなくて、一体どういう点でどういうような突っ込んだ話し合いが行われたのか。事実上、両角さんが事務次官として接触をして会談をした、取りまとめをした。それがこのLNGのすべての基礎になっているわけですから、この問題は私は全面を明らかにしてもらう以外にないと思うのです。と同時に、先ほどは確認しなければおわかりにならないというお話でありましたけれども、私たちが聞いているところによりますと、昭和四十八年十二月の末にストウ当時のプルタミナの
総裁が日本に来た。ラディウス商業大臣が日本に来て、円借款についてのいろいろな要請をした。当局の方ではこれを確認されていないそうでありますけれども、もしそれが事実であるとするならば、一体そこでどういう話し合いが行われたのか。五百六十億円という円借款に対して、どういう根拠でもって五百六十億円の金を出したのか。そこら辺の一切合財のことを全部明らかにしてもらいたいと思うのです。もちろん、ここでいますぐ出せと言っても、資料をお持ちでないでしょうけれども、これは御提出していただけますか。
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○橋本(利)政府
委員 対外的な関係の問題でございますので、提出するということにもいろいろ問題があろうかと思います。外務当局とも相談をしてみたいと思います。
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○
二見委員 そうすると、これは向こう、プルタミナあるいはインドネシアの了解が得られれば出せるということですか。日本ではインドネシアのLNGをめぐっていろいろなうわさがあるのだ。その疑惑を晴らすためにも、いままでの交渉の過程を一切合財、全部明らかにして、われわれとしては、値段は高いけれども、何の疑惑もなかったのだということを国民に納得してもらいたいのだ。そのためには、いままでの交渉の過程一切合財を全部明らかにするぞという交渉をされますか。これはもしされるとすれば、外務省でおやりになるのですか、それとも通産省の方ですか。
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○鳩山国務大臣 通産当局ともよく相談いたしまして、また先方のインドネシア側とも相談をいたした上で決めたいと思います。
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○
二見委員 通産当局は外務当局と相談するというわけですよ。外務大臣の方は通産当局とも相談されるというわけです。これは御相談の上、もちろん両方で御相談されるわけでありましょうけれども、これはまず値段については——値段ばかりではなくて、そのほかあと二、三問題点があるわけですけれども、それはこれからまた順次お尋ねしますけれども、そうした問題については、私は積極的に明らかにしてもらいたいと思うのです。しかも円借款でしょう、これは日本の金でしょう。日本人のいわば税金で向こうへ行っているわけです。これについては、日本としては明らかにするだけのきちんとした態度をとって私はあたりまえだと思うのです。いつまでもすべて、こういうものを全部、国民の目に見えないところに置いてしまおう、外交問題だからということで、全部ふたをするということは私は間違いだと思う。可能な限りほとんどのものはオープンにしてしまう。そうでなかったならば、こうした疑惑というものはいつまでたっても解消しないと思う。何でもなくたって、おかしいじゃないかと言われるだけの話だ。これは私は、インドネシアに交渉して早急にこの交渉の過程を一切合財、全部明らかにしてもらいたいと思うのです。いかがでしょうか。
-
○
田中国務大臣 これからも日本といたしましては、諸外国との間に経済協力あるいはまた政府援助をしなければならない状態でございます。その間におきまして、あくまでも国民の皆様方が本当に信頼していただけるだけのりっぱな交渉を遂げなければならない、かように思うのでございます。さような意味におきまして、先生の御指摘のとおりにできる限り、それはもちろん相手方があることでございますから、外交折衝にゆだねなければならぬものもございましょうし、また外務省当局ともよく打ち合わせをいたしたいと存じます。
-
○
二見委員 ところで、LNGについてはもう一点またおかしな話がありまして、これは先ほどもお話がございましたけれども、五十一年六月に追加融資が行われましたね。三億二千二百万ドルなんですけれども、そのほかプラス五千万ドル、日本の市中銀行がシンジケートで五千万ドル背負うことになりますので、実額では三億七千二百万ドルの追加融資ということになると思います。これは昭和四十九年の十二月三日に売買契約ができた。その後、昭和五十年に——昭和四十九年の五月に八億九千八百万ドルの民間融資の契約ができた。その一年後の昭和五十年に四億何千万ドルかの追加融資があった。それを一年間両国の間で交渉された結果、三億二千二百万ドルに決まったわけでありますけれども、この追加融資の理由というのは何ですか。どういう理由で決まったのですか。
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○橋本(利)政府
委員 ただいま御指摘のように五十年の六月に、プルタミナからJILCOに対しまして四億八千二百万ドルの融資を要請してきております。その際の理由といたしましては、設計図と申しますか詳細設計を詰めていった、あるいはそのほか資材の高騰等もあって追加融資を要請するんだ、かようなことであったと聞いておるわけでございます。これを受けましてJILCOは銀行等の協力を得まして、プルタミナの要請の内容を厳重に審査したわけでございますが、その結果、五十年の九月に、その内容は妥当である、ただ工事内容の削減によって金額を圧縮する可能性もある、かような結論を出しておるわけでございます。
-
○
二見委員 海外経済協力基金においでいただいておりますのでお尋ねしたいと思いますけれども、この四十九年三月十六日の交換公文によると、円借款五百六十億円については国際入札だということになっております。これはどこが応札をして、どこが落としたのか、お教えをいただきたいと思います。
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○竹村参考人 どこの企業が応札をいたしまして、どこの企業が落札をしたかということにつきましては、当該企業とプルタミナのことでございますので、両当事者の合意がない限り、第三者でございます経済協力基金といたしましては公表することは御勘弁いただきたいと思います。
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○
二見委員 しかし、プルタミナが募集をして、それで入札したわけでしょう。それでプルタミナとどっかのメーカーと契約を結んだわけですね。そうすると、変な話だけれども、お金というのは基金の方で払うわけでしょう。どこどこの
会社にこれこれのこういう工事のために幾ら幾らという見積書がきて、要するに請求書みたいなのが回ってきて基金が払うわけでしょう。基金が払うのが基金のお金であれば私は何も言わないです。あなたの手持ちのお金であるならば、その五百六十億円をどこにどう使おうと一向に構いません。もとになる金は基金の金じゃないのでしょう。もともとのお金はあなたのポケットマネーでおやりになるなら私は何も文句はない。高かろうと安かろうと、どこが応札してどこが落とそうとそんなことは一向関係ない。しかし、基金は支払いの窓口であって、もともとの金は国民の税金でしょう。ただ、われわれとすれば、税金を払った者の立場からいけば、自分の金がどこへどう使ったのか明らかにしろという権利があるのじゃないですか。それはプルタミナの方の顔も立てなければならない、ほかの企業の方もあるだろうけれども、何よりも金主元の意向を尊重するのがあたりまえじゃありませんか、どうなんですか。もしどうしてもできないというならばどこが——あなたの立場で、いや私の方は窓口でございまして、それを公表するだけの権限はございませんと言えば、それは権限があるのは経済企画庁ですか、それともあるいは外務省ですか。どうですか。基金の方に伺っているわけなんですが、どこの許可が得られれば発表できるのですか。
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○竹村参考人 先ほども申し上げましたように、応札いたしました企業あるいは落札いたしました企業とプルタミナのことでございますので、両当事者の合意が得られませんと困難かと存じます。
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○
二見委員 そうすると、こちらは金は出しっ放し、どこでどう使おうとわれわれとしてはどうしようもない。基金の方としては書類が整備されていれば、書類上さえ整っておればいやおうなしに金が出ていってしまう、こういうことになりますね。それはどう使われようと書類の上で間違いがなければ、実態はともかく、間違いがなければいやおうなしに金が出ていく。その金がどう使われたかということについては国民はあずかり知らない、こういうことになりますね。
それじゃもう一つ伺いましょう。それではこの程度のことは御答弁いただけますか。募集するわけですからある程度の見積もり価格というものはあると思うのですよ。大体これはこの程度だろう。たとえばこのマイクにすれば一万ドルぐらいだとすればおよそのあれはあるわけですよ。交換公文で五百六十億円に該当するものというものは決められているわけですから、そうすると大体入札した価格は、あなたは入札には関係してないけれども、回ってきた書類を見ることによって、当初予定した金額と大幅な違いがあるか、あるいは大体予想していた金額と余り差はない、多少高い、多少低いということがあってもそれほどの差はなかった。この程度のことならば御答弁できますか。
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○竹村参考人 契約価格が当初予定いたしました価格と比べまして合理的であるという旨の確認は行っております。
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○
二見委員 そうすると橋本さん、あなたは先ほど三億何がしかの追加融資は費用が上がったからだと御答弁されましたけれども、政府借款の方はほぼ合理的な価格でおさまっているのです。民間借款の方だけ三億何千万ドルも見積もりが狂うというのはどういうことですか。円借款の五百六十億円に相当する部分については価格の高騰がなくて、それ以外のものについては価格の高騰があったということですか。この三億何千万ドルの追加融資というのは全く根拠がないのでしょう。多少の苦しいところはあるかもしれないけれども、三億何千万ドルというのは、本当はこれは余り根拠のない数字じゃないのですか。どうなんですか。
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○橋本(利)政府
委員 先ほど私がお答えいたしましたのは、JILCOからの貸し付けの対象になる設備につきまして、具体的には液化設備だとかタンクあるいはこういったすべての設備につきまして、詳細設計の詰めを行っていく。その詳細設計の詰めと、それから設備等の諸資材の価格の上昇といったものを踏まえまして、すでに民間融資の対象になっております八億九千八百万ドルでは資金が不足する、ただし四億八千万ドルを努力することによって、一部圧縮する可能性がある、かようなJILCO等の調査、審査結果であった、かようにお答えしたわけでございます。
-
○
二見委員 設計の詰めをやれば多少の差が出てくるのは私はわからないわけではないんですよ。だけど当初の民間契約が約九億ドルでしょう。昭和四十九年の五月十七日ですか、そのときには総合的には八億九千八百万ドル、約九億ドルです。その一年後に向こうで要求してきた追加額というのは四億八千万ドルでしょう。いいですか、設計を詰めた結果、五割以上も誤差が生じたなんてばかなことがありますか。しかも、政府借款の方は五百六十億円でおさまっている。こちらも三割も四割も狂っているなら私わかりますよ。片っ方狂ってないじゃないですか。民間の方だけ狂ったというのはどういうわけなんですか。輸銀を使った方だけ狂ったというのはどういうわけなんですか。説明がつかないでしょう、この問題は。向こうがそう言っているからそう言っているだけの話であって、三億七千二百万ドルというのは全く説明のつかない金額だと私は思うのです。これが五千万ドル足りなくなったとか、あるいは一億ドル足りなくなった、せいぜい背伸びしても一億ドルちょっと狂ったんだというなら私わかるんですよ。四億八千万ドルですよ、当初向こうから言ってきたのは。値切って三億七千万ドルだ。これは見積もりの狂いとすれば、よほどずさんな見積もりをやったんだ。そんなずさんな見積もりでもってこのプロジェクトを進めたこと自体にも問題が起こってくるのじゃないですか、そうしたらば。どうなんですか。
-
○橋本(利)政府
委員 先ほどJILCQがこの追加融資申請に対しまして、銀行等の協力を得て審査をいたしたというお答えをいたしたわけでございます。われわれといたしましても、率直に申し上げて審査能力と申しますか価格等についての能力がございませんので、当時の銀行の審査結果というものを信頼した、こういうことでございますが、これに関連いたしまして一言申し上げておきたいのでございますが、われわれといたしましても追加融資申請なるものが、当然のことながら当初予定しておらなかった、予想していなかった問題でございますので、日本側といたしましてもインドネシア側に対して、少なくともこれは折半で負担すべきであるということを強く主張してまいったわけでございます。その結果、一年にわたる交渉の結果一部事業費を削減いたしまして、四億六千二百万ドルということにいたしまして、その二分の一である二億三千一百万ドルを輸銀で負担する、調達する、その半分はインドネシア側で調達すべきであるという立場で交渉に当たっておったわけでございますが、御承知のようなインドネシアの財政事情等もございまして、一部は日本側のユーザーが自己調達して、インドネシア側の二分の一負担分を補完するという形をとったわけでございまして、その結果、追加必要額として決定されました四億六千二百万ドルに対しましてインドネシア側は一億四千万ドル。その不足分の九千万ドルをユーザー側が調達して二分の一、二分の一、いわゆる折半原則を貫いたという形で、われわれといたしましてはその追加融資段階におきましてもいろいろと配慮いたしたわけでございます。
-
○
二見委員 いずれにいたしましても、時間がありませんのでLNGに関する質問は私はこの程度で終わりますけれども、このほかLNGにまつわる輸送の問題も、日本が輸送権を放棄してしまった。それは当時、LNG輸送については、日本にはまだちょっと自信がなかったというようないろいろな背景はあるにしても、二十三年間にわたる長期の取引の中で、日本が輸送権を全く放棄してしまったということについても非常に疑問があります。しかも、四十八年四月二十日の話が決まった段階で、ラディウス・両角会談のときに、まだ具体的に進まないうちに、日本側からフレート三十セントというような、事実上、もうおれの方は輸送は全く考えてないんだという態度に最初から出ていることに、私は非常に不明朗なものを感ずるわけです。その辺についてもいろいろお伺いしたいわけでありますけれども、これはまた後日の機会に譲ります。
いままで申し上げた中でも、三億何千万ドルの追加融資についても、政府借款の方は合理的な価格で決まりながら、民間融資の方に関しては見積もりが大幅に狂ったという、その辺のいきさつについても私は非常に疑問を感じております。しかも、これはすべて海の向こうの話であって、それがおかしいのかおかしくないのか、正当に判断するだけの情報を与えられてないところにわれわれはいら立ちを感ずるし、ますます不愉快な思いをするわけであります。
先ほど外務大臣、通産大臣ともに、この問題についてはインドネシアと交渉して明らかにしたいという御答弁がございましたけれども、これは、私は、これからの経済借款のあるべき姿のためにもすべてを明らかにするのだ、日本はいつもオープンに、フェアな商売をやっているのだということを示すためにも、三億何千万ドルの追加融資に絡むいろいろないきさつについてもあわせてインドネシアと交渉した上で、全貌を私たちの前に明らかにしてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
-
○
田中国務大臣 今後の経済協力あるいは援助のためにも、私どもはそういう気持ちで進みたい、かように考えます。
-
○
二見委員 ところで、午前中は新韓碍子の話があり、これから、私の後にはソウルの地下鉄の問題も提起されるわけでありますけれども、こういう問題を考えながら、私はこう思うわけです。こうした一つ一つの問題をただ単に国会で追及するだけではこういう不愉快な問題はなくならないだろう。再びこういう忌まわしい問題が政治の場に持ち込まれないで済むように、やはりこちらにきちんとした制度、ルールをつくる必要があるだろうと思います。
それで、そうした再犯防止対策というか、腐敗防止対策という観点から、法務大臣にお尋ねしたいと思います。
腐敗防止のために、政府は刑法改正を今国会に提出するというお話でありましたけれども、刑法の一部改正はいつお出しになるのですか。また、それはどういう内容ですか。
-
○
福田(一)国務大臣 提出をいたすべく、ただいま与党との間に話し合いを進めておる段階でありまして、内容は、収賄罪の刑の引き上げ、こういうことでございます。
-
○
二見委員 今度の一部改正案では、あっせん第三者収賄は盛られてないようでありますけれども、あっせん第三者収賄についてはどういう理由で今度は改正案の中に盛り込まなかったのですか。
-
○
福田(一)国務大臣 刑法改正につきましては、もう四年前に大体刑法改正の草案ができておることはあなたも御存じのとおりであります。あっせん第三者収賄罪の問題につきましては、今回の刑法改正に当たっては、ロッキード問題の収賄罪を引き上げることによって、こういう問題に対する、一つの犯罪者に対する抑圧の手段とすることは必要である。また、同時に、取り調べに当たって時効の問題が絡んでおりましたので、これをやるということでありますが、刑法改正案の中にはいろいろの問題がございますが、ただいま御指摘になったことは今度の事件には直接関係はない。したがいまして、刑法改正案にはたくさんの問題があるので、さしあたり収賄罪の引き上げを行うということで処理をいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
-
○
二見委員 今度の事件に関係ないからこれを盛らなかったという考え方はおかしいのじゃないですか。あっせん第三者収賄というのは、たとえば
二見伸明という政治家が、私には職務権限がないけれども、国会議員だという一つの地位と権力があるということで、それを利用して他の公務員に不正行為を働かせる、その結果、賄賂は私が受け取るのじゃなくて、たとえば私の後援会とか第三者のところへ行く、こういう形が第三者収賄の具体的なケースではないですか。どうでしょうか。
-
○
福田(一)国務大臣 お説のとおりと理解しております。
-
○
二見委員 そうすると、これからの汚職というか腐敗というのは、このケースが多くなるのでしょう。いままで知らなかったならばやらないけれども、第三者収賄というのはこういうものだ、しかも今度の刑法改正で盛られてないぞということは、変な話ですが、逃げ道を教えたのと同じでしょう、そういう意図を持っている者にとってみれば。再発防止ということは、どういう角度から見ても不正行為が行えないようにすることでしょう。法定刑の引き上げも、私は実質的には公訴時効の延長という面で効き目が出てくると思いますけれども、こうした第三者収賄という形での不正行為は、これからの新しいケースとして考えられる問題でしょう。むしろ、ロッキード事件はこれに適応しなかったから盛らなかったというのじゃなくて、これから予想される一つの犯罪形態であるということを考えたならば入れるのがあたりまえでしょう。入れることについて、たとえばどこからか不当なる横やりが入ったとか、そういうことがあるのですか。なかったならば、私は今度の改正案の中に盛り込むのがあたりまえだと思うのです。
-
○安原政府
委員 御指摘のようなあっせん第三者収賄の罪が刑法改正草案、つまり法制審議会の答申の中に一つの新しい犯罪類型として設けられておることは事実でございますが、今回の緊急立法の必要性の判断をするに当たりまして、そういう規定がなかったからロッキード事件の捜査に支障を来したものがあるかという観点から見ますと、ただいま御指摘のあっせん第三者収賄の規定がなかったから捜査に支障を来したということはない、そういう判断に私ども立ちまして、そのような規定は刑法の全面改正にゆだねるべきだという考えに立っておるわけでありまして、それ以外に何ら理由はないわけであります。
と申しますのは、
二見委員御承知と思いますが、すでに刑法の中には第三者供賄という罪がございます。ところが、これはいまの複雑な構成要件でなくて、公務員が、自分が賄賂を取らずに、賄賂に当たるものを第三者に供与させるということでございまして、この規定の適用が昭和三十三年から五十年の間にたった七件でございます。七件が起訴されておるということでございまして、その第三者供賄という規定はあるにこしたことはございませんけれども、なくとも、そういうものは大体、本人が受け取ったという判断を裁判所でする裁判例が多うございまして、特に第三者供賄の罪の規定がないから不自由を来すということは、現にあります規定も余り活用されておらないということもございますので、この際は緊急立法という限度におきまして、その規定は置く必要はないという判断をわれわれとしてはしておるわけでございます。
-
○
二見委員 緊急立法だからやらない、これは刑法の全面改正にゆだねるということになると、これはまた大変な論議を呼びますし、この問題だけじゃなくて、刑法の全面改正それ自体に大きな議論を呼ぶわけです。私は、これは今国会に提出される刑法改正案にぜひとも盛り込んでもらいたいと思います。
ところで、法務大臣もう一度確認いたしますけれども、刑法改正案は間違いなく今国会には提出されるわけですね。というのは、もう三月も半ばを過ぎましたですからね。これはいつごろまでに提出されますか。
-
○
福田(一)国務大臣 なるべく速やかに提出すべく手続を進めておる段階でございます。
-
○
二見委員 そうすると、この刑法改正、自民党の法務部会でいろいろ議論された段階で、要するに、法定刑を引き上げただけでは結局腐敗防止には余り効果ないじゃないかという議論があったと聞いております。私もそのとおりだと思うのです。出てきたのが公民権停止の問題であります。
確かに現在の公選法を見ますと、贈収賄罪の場合、収賄罪の場合は刑法百九十七条により懲役三年以下で、受託収賄の場合は五年以下という規定になっていますね。そのとおり実刑になった場合には、執行猶予がつかなかった場合には、収賄罪の場合は公選法の十一条により最高三年の公民権停止、その刑の期間中ですね。受託収賄の場合には最高五年以内における刑の期間だけ公民権が停止される。もし執行猶予になった場合には公民権は停止されませんね。しかも、贈収賄罪の場合にはほとんどが執行猶予でしょう。執行猶予の方が多いということが統計上ありますね。ところが、選挙にかかわる犯罪というのは、公選法の二百五十二条でもって公選法違反で罰金刑に処せられた者は五年間の公民権停止でしょう。禁錮以上の刑に処せられた者は刑プラス五年でしょう。執行猶予の場合にはその期間内ということになりますね。この間は公民権が停止されているわけです。要するに選挙犯罪というのは、選挙の公共性というか、そうしたものに対する挑戦だ、破壊だということでもって、選挙犯罪に対しては公民権停止というものをかなり厳しくしているわけですね。政治家の、公務員の贈収賄罪も私は同じだと思うのです。これは国民に対する重大なる背信行為だろう。国民に対する重大なる背信行為を行った政治家、公務員に対して、公民権が選挙犯罪よりも軽いというのはおかしいんじゃないか。どうなんですか。私は公選法を改正して、贈収賄罪の場合には執行猶予がついても公民権を停止すべきだ。それも公選法が刑プラス五年、要するに刑プラスアルファーという形でいるわけですから、贈収賄罪についても刑プラスアルファーという形でもっての公民権の停止を公選法の改正を行うことによってやるべきだと思いますけれども、これは自治大臣は速やかにおやりになる決意ございますか。
-
○
小川国務大臣 お答えします。
刑法の改正をいたしまする場合に、これをより実効あらしめるために収賄罪で執行猶予中の者に対しても公民権を停止すべきではないか、こういう意見が自民党の党内で出ております。非常に明確な具体的な形で問題が提起されておるわけでございませんし、きわめて最近自民党の選挙調査会で検討を開始することになっておりますので、意見を交換しつつ自治省といたしましても検討をしてまいりたいと考えております。
-
○
二見委員 これで終わりますけれども、要するに自治大臣はそうした物の考え方について積極的にやるべきだという立場に立っているんですか。何かいろいろ検討して——検討した結果何もなかったんじゃ困るんでありまして、これは与党の方でもかなり積極的な御意見もあるそうでありますけれども、むしろ私は、刑法改正と同時に、あわせて今国会でこれをやるだけの決断を自治省に持ってもらいたい。それはいかがでしょうか。
-
○
小川国務大臣 国民の世論を背景に、政治をされいにすべし、こういう動機からなされまする提案あるいは提言というものは、この動機は十分理解できる、賛同できることでございまするから、さような気持ちで対処してまいりたいと存じております。ただ、法律改正の問題でありまするから、あらゆる角度からいろいろ御議論も承った上で対処してまいりたい、そう考えております。
-
○坪川
委員長 これにて
二見君の質疑は終了いたしました。
次に、
河村勝君。
-
○
河村委員 初めに、過般来問題になっております韓国の地下鉄、それから電化の問題について、車両の購入価格が高いかどうかという問題に関連する問題についてお尋ねをいたします。
この件は、政府が借款を韓国に供与して、その借款によって地下鉄の建設と、それから電化というプロジェクトをつくる、こういう約束であります。したがって、ただ金を出せばよろしいというものではなくて、その供与された借款によって地下鉄ができ上がり、電化が完成をする、そういうことについて日本側においても責任があるはずであります。したがって、この借款によって納入されるレールであるとか車両であるとか、こういう種類のものが法外に値段が高くなれば当然プロジェクトの遂行には支障を来すわけですね。だから、適正な値段によって、特にこの場合いわゆるタイドローンでありまして、ひもつきで日本のメーカーから韓国に納入されるというものであるだけに、より責任がある。そういう意味で適正な価格でこういうものが納められるということについて政府にも責任があるはずだと私は思う。この場合その責任官庁は、この種の問題は非常に複雑でありますが、多分企画
庁長官であろうと思いますが、まずその見解を伺いたい。
-
○倉成国務大臣 ソウル地下鉄のプロジェクトにつきましては、四十九年八月に完成し、五十一年二月に政府借款が貸し付けを終了いたしておりまして、ソウル市を含む首都圏の交通事情の改善という所期の目的の効果を上げ、韓国の民生の向上という融資目的を果たしたものと考えておる次第でございます。
経済企画庁は、基金の貸付業務に対しまして、事業計画、資金計画の認可を通じて指導監督を行い、またその執行状況について適宜報告を求めて、必要が生じた場合に具体的な指導をいたすことになっております。本件の地下鉄のプロジェクトにつきましては、車両価格について企画庁としては基金に検討を命じまして、基金はその線に沿って鋭意努力をいたしているところでございます。
-
○
河村委員 そうしますと、基金に調べさせておるということは、政府においてもそうした疑惑があればそれを徹底的に調査をして、それを国会に報告をする、こういう意図であるわけですか。
-
○倉成国務大臣 本件に関しましては、通常の基金のチェックというのはそこまで深く入るということはいたしていないわけでございますけれども、国会でも種々御議論がございますので、できるだけその疑問にお答えできるように努力をいたしているところでございます。
-
○
河村委員 もう本当は調べがついていないとおかしいのですね。いままでいろいろな論議がされましたけれども、この件のいろいろな特殊事情を勘定に入れても、大体適正価格と見られるものよりも当該車両の価格というものは少なくとも一千万円くらいは高いということは、もう常識的に結論が出ている問題なんです。だからもうわかっていなければならないはずだと私は思う。
そこで、経済協力基金から見えていますね。——この件は政府借款協定ができて、それに基づいて金が供与されている。したがって、この種のものは、一般的にこの借款協定の中に、この件のプロジェクトについている事業計画というものができて、その事業計画の中には、これは車両ばかりではありませんけれども、車両、レールあるいは信号機、電気機器、そうしたものはそれぞれ幾らであるか、これは予算的に幾らでつくるものであるか、幾らで買うか、そういうことが借款協定の中には含まれているはずである。だから、それに比べて、今回日本から納入された車両との間の差ですね、これが相当あるはずである。それはどうなっておるか、説明をしてもらいたい。
-
○大島参考人 お答えいたします。
御指摘のように、借款契約、ローンアグリーメントと申しておりますけれども、これの上では借款資金が電車とそれから機械設備、資材、それから用役——サービスでございます。それから内貨——韓国の中でウォンで使用されるものでございます。それから予備費、こういう項目に配分されているわけでございます。なお、その金額が記載されておりますのに加えまして、韓国政府の要請によりまして、ただいまのLAの規定に従いまして「上記項目に定める金額の変更ができる」、こういうことになっているわけでございます。
ところで、この協定に記載されました個々の価格でございますけれども、この金額を公表いたしますことは、金融機関としての性格を持っております基金の立場からいたしまして困難がございますので、せっかくの御質問ではございますが、御容赦いただきたいと思うわけでございます。
で、現実の調達は、協定で合意されました金額の範囲内で行われるわけでございまして、調達価格は、ソウルの地下鉄につきましては電車で六十両、三十五億二千八百万円、単価にいたしまして五千八百七十九万円、こういうことになっております。
-
○
河村委員 金融機関だという立場はわからないことはありませんけれども、しかし、これは公の政府対政府の借款協定ですね。ですから、私はそれ全体を公にしろと言っているのではありません。それは現在、こういう開発援助のようなものは国際競争的になっていますから、日本と他国との間のものを一般に公開するということは、これは差しさわりがあるということは私は承知をしております。しかし、その一部分であって、これだけ疑惑のある問題について——これはすでに済んだ問題ですね。これは事前に見せろというのであれば、契約以前にその見積もり単価を見せるということは私は金融機関としてやるべきでないことはわかる。しかし、すでにけりのついたことで、ほんの一部の、この借款計画の中にある地下鉄用の車両は幾ら、電化に伴う国鉄用の車両については幾ら、こういうものを表に出すことは、金融機関の立場から言っても、日本政府の対韓国に対する関係から言っても、別段支障がないはずだと私は思う。その点はどうお考えですか。
-
○大島参考人
河村委員の御質問、大変にごもっともなことかと思うのでございますけれども、やはり私どもが韓国と結んでおります協定は、これは公表をしないことを前提にして結ばれているわけでございます。それで個々の中身につきまして、支障のある分あるいはない分ということがあるかもしれませんけれども、やはり全体として公表が前提とされておりません分につきまして、基金だけの判断で、これは支障がない、これは支障があるというようなことでお答えいたしまして、それが先方の解釈と食い違った、こういうことになりますと、やはりこれは問題があろうかと思うわけでございまして、御質問まことにごもっともだとは思いますが、さような事情を御了承いただきまして御容赦いただきたい、かようにお願いする次第でございます。
-
○
河村委員 私はこれは実質的には問題のない事柄だと思います。これが対韓国との関係でおかしいと思われるのかどうか、これは外務大臣、企画
庁長官、いずれでもよろしゅうございます。基金だけでもって判断ができないというのであれば、政府で判断すべき事柄だと思う。それをどうお考えですか。
-
○鳩山国務大臣 本件は、やはり基金とそれから監督官庁の関係であろうと思います。外務省といたしましては、このような問題はなるべく国民の皆様方に理解をしてもらうという観点も大事なことだろうと思いますけれども、個別の取引関係のことになりますと、これはやはり取引関係者の問題であろう、こう考える次第でございます。
-
○倉成国務大臣 ただいまの
河村委員のお話でございますけれども、基金が当事者の主契約についていろいろ発表するということになりますと、やはり外国政府あるいは本邦企業の、基金に対する信頼、あるいは今後の海外協力の促進という面で支障が出る、そういう立場に立っておりますので、御了解をいただきたいと思うのでございます。
-
○
河村委員 ですから私は、非常に限定をして物を言っているんですね。だから、借款協定全部を出せということになれば、先ほど言ったようにいろいろな差しさわりがあるでしょうし、時期的にも早い時期では問題があろうと思う。しかし、すでに事柄が済んでしまって、他に与える影響はない。しかも単なる車両の見積もり単価、そういう全体に影響することの全くない部分一それについてだけこの際事実関係を、いろいろな疑惑があるわけですから、そういうものを明らかにするために発表をしてもらいたい、こう言っているわけですね。それでもいけませんか。いけないかいいか、それだけ返事を下されば結構です。——企画
庁長官が責任者でしょう。
-
○倉成国務大臣 ただいま基金からお答えしたと思いますけれども、昭和四十七年の四月十日に
海外経済協力基金と韓国政府との間に結ばれた地下鉄建設及び国鉄電化事業に対する貸付契約につきましては、すでにいろいろ新聞等で発表している部門、金額が二百七十二億四千万で金利が四・一二五%、償還期限は据え置き期間五年を含む二十年、事業実施者は地下鉄建設についてはソウル特別市であり、国鉄電化については韓国鉄道庁であり、貸付資金はこれらの事業の実施のためわが国から輸入する機材、資材及び役務並びに現地で調達される一部の物資、役務の購入に充てられることになっております。こういうことについてはもうすでに概要については発表いたしておるところでございまして、御質問の車両価格については貸付契約に基づいて行われた入札の結果、一両当たり六千三百九十万円ということになっておるわけでございます。この程度のことで御理解をいただきたいということでございます。
-
○
河村委員 六千三百九十万円なんて、そういうでたらめ言っちゃ困るんですね。それは一体何の数字ですか。六千三百九十万円なら、今度は、問題になっておる価格の方がはるかに安いということになるのですよ。どこの数字です。それは一体。間違いありませんか、本当に。
-
○大島参考人 価格の構成が複雑でございますが、六千三百九十万円というのはいわゆるC&F、韓国に対する海上運賃等を含めました最終的な価格が六千三百九十万円でございます。
-
○
河村委員 いま問題になっておる価格との対比には、これは何にもならないのです。どうしてもお答えにならないなら、私の方から言います。
地下鉄用の車両は一両当たり単価が四千五百七十万円です。それから電化用の地上の車両ですね、これが四千六百万円。これに対して購入価格は、地下鉄の方は先ほど基金の
理事が言われたように五千八百七十九万円ですね。それから電化関係の車両の方は五千八百六十二万円ですね。だから地下鉄の方で言いますと千三百万円の差額がある。それから電化関係の方では千二百六十二万円くらいの差がありますね。ですからこれでもって、その後多少の計画変更があったかもしれない。だけれども、それはわずかなものであるはずですから、少なくとも一千万円は借款協定で予定したものより高くなっている、そういうことなんです。これは返事はできないでしょう。しますか。
-
○大島参考人 御指摘になりました五千八百七十九万円という数字は、先ほど御答弁申し上げました六千三百九十万円から海上運賃、それからスペアパーツあるいは教育訓練のサービス費、こういったようなものを控除した金額でございます。それから御指摘になりました四千数百万円の数字につきましては、これは先ほど御答弁申し上げましたように、相手国政府との関係もいろいろございますので御答弁申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
-
○
河村委員 答弁なければそれで結構です。
この借款協定ができたのは一九七二年、昭和四十七年の四月一日でありますね。それでこの売買契約が結ばれたのが一九七三年の六月であります。ですから、一年半の時期的な差があります。ありますけれども、この時期は大きな変動のなかった時期ですね。石油ショック以前でありますから、その間ほとんど卸売物価等から言えばその差がゼロに近かった時期です。だから、普通でいけば当然大体このくらいの価格でいけるはずであったわけです。それがなぜ千二百万円から千三百万円ぐらい高くなったかというところに問題があるわけです。そうして車両だけがそうであって、他の信号、軌条その他の物はこの見積もりの範囲に、借款協定で予定したものの範囲におさまっているはずであります。そこにこの事件の問題性がございます。ですから、企画
庁長官、あなたは私の言ったことを調べてください。ここでもって協定によって幾らと言わなくてもよろしい。これは間違いのない数字ですから、なぜこういう結果ができたのかを、単に基金に調べさせるというのではなくて、やはりこの種のことは疑惑を明らかにして国民が安心できるようにするのが私は本当だと思う。ひとつやりますね、いかがです。
-
○大島参考人 先ほど答弁を控えさせていただいたわけでございますが、繰り返して申し上げますように、韓国政府との間の関係もございますので、具体的な数字につきましては答弁は御容赦いただきたいと思うわけでございますけれども、その間の一般的な事情につきましてやや申し上げてみたいと思うわけでございます。
ローンアグリーメントに記載されております当初の見積もり単価、これは韓国政府が提出いたしました事業計画書の計画をとりあえず収録したわけでございます。基金は審査の結果、韓国側の提示の見積もり金額が安いのではなかろうか、こういうように考えたわけでございます。借款契約の交渉の際に基金がこの点を指摘いたしまして、車両割り当て額の増額を主張した、こういう経緯があるわけでございます。しかし韓国側は、地下鉄工事の早期着工が急がれている、いういう事情がございまして、事業計画書の改定には時間がかかるものですから、何とか事業計画書の線でとりあえず了承してもらいたい、こういったようなことを強く申し出てきたわけでございます。暫定的に韓国側の主張をのんだ。しかし、当初基金が見積もりましたように、その見積もり金額に無理があった。そこで借款協定の手続に従いまして修正の手続をとりました。こういったような経緯があることだけお答えいたしておきたいと思います。
-
○
河村委員 その説明は一応聞いておきましょう。
しかし、これは企画
庁長官、重ねて本当の調べをやってください。いかがですか。
-
○倉成国務大臣 ただいま基金から御説明申し上げましたような報告を聞いておる次第でございます。
-
○
河村委員 それで終わりですか。それであとはもう調べが終わったということですか。
-
○倉成国務大臣 当初の事情からその中身が少し変わったということを基金から伺っておるわけでございまして、いまの御説明以上のことは申し上げるわけにはまいらないと思います。
-
○
河村委員 どうも大変残念であります。結局疑惑が残ってしまって、そうなるとあっちこっちから突っついてそれで事実関係を明らかにしなければならないという結果になってしまうのです。私はそういうことば決していいことだとは思わない。だからこういう部分的な、別段日韓関係をどうだということではなしに、この問題は単純に一つの車両の価格の問題だけなんですから、ですからそういう部分だけを取り上げて解明するということは私は決して国際関係を悪化させるとかなんとかいう問題じゃないと思うのです。だから、これは国際間の秘密ということを盾にとってそれで余りほったらかすというのはよろしくないと私は思うのです。
-
○倉成国務大臣 ただいま基金の説明の仕方が不十分であったかもしれません。しかし、数字のことは先ほど基金からお話ししましたように差し控えたい。しかし、説明が不十分であったとすれば何かもう少し御理解を深めるような説明の仕方がないかどうかということを検討いたしてみたいと思います。
-
○
河村委員 これ以上言っても仕方がないでしょうからきょうはこの程度で一応とどめておきます。それでこの問題は終わりまして、あと当面の問題を一、二伺いたいと思っております。
農林大臣お見えになっておりますので、当面する日ソ漁業交渉のことを少し伺いたいと思います。いま交渉のさなかでありますから、ですからお答えになることがこれからの折衝に支障を与えるようなことは御答弁いただかなくても結構でございます。ただ、全国民の非常に関心を持っておる問題であり、ことに直接中小零細漁民の多い北洋漁業でございますから、一般の心配は一方ならないものでありますので、ひとつ国民の声にこたえるという意味でこれからの方針あるいは経過、事情、そうしたものを聞かせていただきたい、そう思います。
いまいろいろな情報が乱れ飛んでおりまして、中にはソ連側の確かな筋からの報道だということで、二百海里専管水域内の魚を六〇%も削減する方針を日本政府に通告をしてきたというような報道すらあるのです。ソ連の態度が非常に強いということは承知しておりますが、一体そんなところまでいっているのかどうか、もしお話しできるのでしたらお尋ねをしたい。
-
○
鈴木国務大臣 昨日から東京におきまして日ソ漁業条約に基づく交渉が行われ、またモスクワにおきまして、ソ連二百海里設定に伴う暫定取り決めの交渉が並行して行われておるわけでございます。私どもは、日ソ漁業条約は現在生きておるわけでございますから、この日ソ漁業条約の付属書に明記されておりますところのサケ・マス並びにニシン、この魚種につきましては東京のこの合同
委員会において資源の科学的評価をし、その上に立って漁獲量並びに条件、方法等を協議して結論を出したい、こういう方向で努力をいたしておりますし、私はさようになるものと期待をいたしておるところでございます。
一方、モスクワにおける暫定取り決めの交渉、これは一九七七年間の漁獲量並びに漁業の方法、条件等を協議する取り決めをするものでございまして、サケ・マス、ニシンを除きますところのあらゆる魚種というものが対象になるわけではございますけれども、しかし、その中で商業的にも重要な魚種に関しまして漁獲量その他の交渉が行われる、こういうぐあいに理解をいたしておるところでございます。
ソ連側が二百海里内でどのような漁獲量を日本側に許容するかということはすべて今後の交渉にまつわけでございますけれども、私はイシコフ漁業大臣との会談におきまして、基本的な問題として、日ソ両国はいずれも世界の二大水産国である、遠洋漁業国でもある、この両国ができるだけ科学的な根拠のもとにおいて適正な漁獲量というものを設定する、できるだけ実績を尊重し合うということが、他の第三国に対する交渉の場合でもそういう立場をとるべきではないだろうかということを強調もいたしておるところでございます。
ただソ連側としては、いままでのアメリカ、カナダ、ノルウェー、EC等々との交渉におきまして相当の漁獲量の削減を強いられておるというような状況にもあるわけでございます。なおまた、一方、動物性たん白の面におきまして、一昨年大変な干ばつ等によるところの農作物の不作で家畜の飼料、穀物等が大変な収穫減になったということで畜産は非常に落ち込んでおる、それをカバーする、またアメリカその他で失った漁獲量を北西太平洋の漁場で補いたい、こういう気持ちが強く働いておるようでございまして、今後の交渉というものはきわめて厳しいものがある、このようには受けとめております。
しかしわが国の北大西洋におけるところの漁獲実績というものは長年にわたる伝統的な実績でございますし、また北洋に従事する日本の漁船というものは北海道初め中小零細な漁船が多く操業しておる、多数の漁民がこれによって生活をしておる、またその背後には多数の零細な加工業者等もそれによって生活をしておる、こういう状況でもございますので、この事情も十分訴えてございます。今後そういう立場に立ちまして、この伝統的な漁獲実績の確保、これにつきまして最大限の努力をしてまいりたい、また国民各層の御協力もいただきたい、こう念願しておるところでございます。
-
○
河村委員 私、非常に疑問を持っておりますのは、ソ連側の主張が、サケ・マス、ニシンは東京会議では取り扱わないというような主張をされたように聞いております。どうも一貫した論調が、日ソ漁業条約というものは、ソ連が二百海里宣言をやってしまったんだから、それによって効力を失ってしまって、二百海里宣言というのは有効なんだというような解釈のように思われる。われわれは常識的にはまだ日ソ漁業条約が生きておるわけですから、仮に廃棄通告をされても一年はあるんですから、本当の二百海里宣言の効力を発揮するのは一年後であって、それまでは日ソ漁業条約にも適用区域は、領海を除く日本海、オホーツク海、べーリング海を含む北西太平洋の全水域となっておるわけです。ですから、当然いままでのルールに従ってやれるものだというのが正当な解釈であろうと思っているのですが、どうもそこが非常に食い違っているようでありますが、その点は一体どういうことになっているんでしょうか。
-
○
鈴木国務大臣 この日ソ漁業条約は現在も厳として存在をし、機能しておるわけでございます。いま
河村先生がおっしゃるとおりでございまして、領海を除く北西太平洋の公海というものを対象とした日ソ漁業条約でございますわけでございますから、この東京の日ソ合同
委員会におきまして一九七七年の漁獲というものがこれによって取り決めをされる、これが筋でございます。国際法は国内法に優先するということにつきましてはソ連もこれを認めておるところでございまして、三月十五日から東京での開催にも同意をいたしました次第でございます。
-
○
河村委員 そうしますと、もうすでにその点についての両方の食い違いはなくなっているというふうに了解してよろしいんですか。
-
○
鈴木国務大臣 いろいろの雑音が飛び交っておるようでございますけれども、その点は私が申し上げたとおり、東京における会談によってサケ・マス及びニシンの今年度の漁獲の問題はここで決まるべきものだ、またそういう方向で両国の代表が協議を続けておるところでございます。
-
○
河村委員 そうしますと、先般の日ソ交換合意書簡の中で「日本国政府は、近く日本国の沿岸に二百カイリの漁業水域を設定する方針であるとの
鈴木農林大臣の発言が聴取された。」ということが書いてございますが、そうしますと、この宣言は、相互主義をとって、ソ連の二百海里宣言が有効となる時期に同時にこちら側も二百海里宣言をする、そういうふうに考えてよろしいのですか。
-
○
鈴木国務大臣 わが国の二百海里漁業専管水域の設定の問題、いつそれを設定するか、こういう問題がここに国民の関心を集めておると思うわけでございますが、私は海洋法会議等におきまして、海洋自由の原則に立って、できるだけ海を余り独占支配をするというようなことであってはいけないという日本の立場でやってまいったわけでございますが、その海洋法会議の結論を待たないで、アメリカ、カナダそしてソ連も二百海里を設定をした、またECその他もやっておる。こういうぐあいに、わが国の漁業にとりましても関係の深い国々が二百海里の設定をしてきておる。もう現実にこの二百海里時代というものが到来をしているという厳しい環境の中で、わが国の漁業を守り国益を守るためには、一日も早く、領海幅員十二海里の問題とあわせまして二百海里専管水域の設定ということを考える必要がある、このようにかねがね思っておったわけでございますが、ソ連との交渉その他を通じまして、やはり同じ土俵で今後漁業折衝というものをやるようでなければ、本当に日本の国益を守ることはできない、こういうことを身にして感じたわけでございます。かねて総理等とも話し合っておったことでございますので、あの会談で私は近くわが国も二百海里漁業専管水域を設定する方針であるということを表明をいたしまして、それを交換書簡に明記をしたわけでございます。
その設定に当たりましては、いろいろ考慮すべき問題点がございます。それは、一方は隣接しております近隣諸国との関係でございます。現在、日韓の間には日韓漁業協定があり、日中の間には日中漁業協定があり、この協定によりまして西日本の海域における漁業というのがきわめて安定的に、何らのトラブルなしに行って安全操業が確保されておる、こういう状況でございます。そこで、私といたしましては、まず日本が二百海里専管水域を設定するに当たりましては、事前にこれらの国々とよく協議、連絡をいたしまして、そして相互主義でこの専管水域の問題は考えた方がよろしい、こういうこともいろいろ慎重に考慮いたしておるところでございます。
それと、五月に統一草案に基づくところの海洋法会議が開かれますので、それを見届けまして、今年中にできるということであれば別問題でございますけれども、この今度の会期で実現の可能性がないということであれば、いつまでもわが国の二百海里専管水域の設定を延ばすわけにいかない状況にある、こういうぐあいに判断をいたしておるところであります。
-
○
河村委員 そういうことだと思いますが、私がお伺いしたがったポイントは、要するにソ連が二百海里を有効だと仮に主張してがんばれば、そうすればソ連の二百海里内の方はこちら側の漁業は制限をされる。一方、こっちは二百海里宣言をしなければ、十二海里以内はよろしいけれども、あとはソ連の自由に任されてしまう。だから、先ほど伺った二百海里の発効の時期というのは一体いつだということと関連をするわけでありますが、要するにソ連が二百海里だと言うならば、その時期にはこっちも同時に二百海里でなければならぬ、そういう相互関係においておやりになるということは、そう理解してよろしいのですね。
-
○
鈴木国務大臣 ソ連と二百海里を前提とした日ソ漁業協定の基本協定が発効いたします前に日本側も二百海里というものを設定する必要がある、このように考えておりますが、これは国会の御審議と御承認を得なければならない事項でございますので、国会との御相談もいたしましてこれを進めてまいりたいと、こう考えております。
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○
河村委員 そこで大きな問題が生ずるわけでございますが、いやおうなしに直面をしなければならない北方四島との関係ですね。これは最も常識的に考えれば、その部分を共同規制水域にするという以外にはなかろう、そう考えますが、そういう方針でお進みになりますか。
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○
鈴木国務大臣 御指摘のように、ソ連も二百海里、わが国も、固有の領土でございますから、それを前提とした二百海里、こういうことに相なるわけでございまして、この海域につきましてはその特殊事情に即応して相互の立場を損なわないような形で進めるべきものだ、こう考えております。
-
○
河村委員 それと、中国と韓国の関係ですね。事前に協議をするということでございますが、これはあれですか——いま質問はしない方がよろしいでしょうな、やめましょう。
農林大臣のお話で、ソ連の一方的な判断というものは、これは大体そうでなくなったというふうに理解をしてやや安心したところでありますが、しかし、何しろ先ほどのお話のように、ソ連の立場もかなり苦しいことも手伝って相当強硬なようでございますので、ひとつぜひとも国民的な期待を担ってがんばってほしいと思います。これはお願いだけをしておきます。
-
○
鈴木国務大臣 こういう機会を拝借して恐縮でございますが、二月二十六日の本
委員会におきまして、瀬野
委員の北方四島をめぐる領海十二海里問題についての御質問に対し御答弁を申し上げた中で、私はこの四島は日本固有の領土と考えておりますが、現実にはわが国の施政は及んでいない旨申し上げたつもりでございましたが、後刻会議録を調べましたところ、施政権は及んでいないというような発言をしたと記録されております。これは私の発言の誤りでございますし、同日の本
委員会におきまして外務大臣も同様の発言をされ、後に訂正をされたところでもありますので、北方四島にはわが国の施政は及んでいないというように訂正さしていただきたく、御了承賜りたいと存じます。
-
○
河村委員 時間も余りありませんが、当面総理がアメリカに行かれます。総理はきょうおいでにならないので直接お話ができませんが、外務大臣は一緒ですね。それと同時に、ことしは五月には先進国首脳会議がありますし、それから三月から四月にかけてはUNCTADの会議がある。それから四月の後半からはCIEC国際経済協力会議がある。そういう意味では、日本が南北問題を通じて抱えている懸案がここでもってはっきりした対応をしておかないと、日本の立場というのは非常におかしなものになるであろうということを懸念をしているわけです。
時間がありませんので、その中のわずかのポイントだけをお尋ねをいたしますが、当面一番大きな問題は、これはアメリカとの間でも話が出るでありましょうし、先進国首脳会議では当然出てくる開発途上国の対外債務ですね、公的の債務が二千五百億ドルぐらい、私的の債務が千億ドルぐらいになっておるというふうに聞いております。ほとんどみんなもう払えなくなって、これ以上ほっておけばどうにもならなくなる。そうなれば国際経済全体が動きがとれない状態になることが懸念される状態まで来ておりますね。そこで、これから日米首脳会議初め先進国首脳会議その他の経済会議に臨むに当たって、日本は一体どういう態度で臨むのか、それをはっきり決意をしていかないというと、これから総理がASEANに行くにしてもどこに行くにしても、とてもそれは通用しない時期になってきていると思う。これに対してどういう考えをお持ちですか、外務大臣。
-
○鳩山国務大臣 ただいまの累積債務の問題でございますが、御承知のようにこれはまことに大変大きな問題でございます。債務願につきましては多いところで二千五百億というような数字すら出ておるのでございますが、私ども、これはいままでの傾向から見まして二千億程度にはなっておるのではなかろうかというふうに考えております。しかし、この累積債務の問題をどうするかということはまことに大きな問題でございますので、このたび首脳会談におきましても南北問題の主要な大きな問題の一つとしてお話し合いがあるだろうと思っております。
現在のところ、特に後開発国と申しますかの主張といたしましては、公的債務をグラント化しろというような要求、またそうでなくても、最も困窮している、油によりまして影響を受けた国、MSACというふうに言っておりますが、そういった国に対する最低限公的債務の支払い条件を緩和する、IDAの条件に変えろ、このような主張、あるいは商業債務について最低限二十五年の繰り延べをしてもらいたい、このような要求が出ておりますし、また、手続的には自動的に救済が行われるようなシステムをやってほしいというような要求が出ておることは御承知と思います。このような開発途上国の要求に対しまして、先進国側といたしましては、この対処につきましていろいろ考えておる段階でございまして、これに対しましていまどのような対策で対処しようかというところの決意がまだつかないというのが率直なところでございます。
これにつきましていろいろな構想が出ておりますので、これらを踏まえて、いかにしたならば後進国の要望にもこたえられ、また、わが国といたしましても先進工業国の一員としてこの程度の責任は果たすべきである、そういう線をいずれ見出さなければならないわけでございますが、現在のところ、まだ確定的な案というものまでできておる段階でないのでございます。
以上で、この問題につきましてこれから真剣に取り組んでまいるということを申し上げたいと思います。
-
○
河村委員 ただ、具体的な中身はいろいろあるでしょうから、それは交渉事ですから先のことでよろしいけれども、少なくともこれは日本だけではなくて、先進国みんなが協力しなければできないことでありますが、しかし、短期債務を長期債務に切りかえるというぐらいのところまでは腹を決めて臨まなければならない、そうではないかと思いますが、いかがでございます。
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○鳩山国務大臣 あるいはこの問題は財政問題に非常に密接に結びつきますので、大蔵大臣の方が適切かと思うのでございます。大蔵大臣ともよく御相談をしなければいけませんが、現在、非常に常識的なことでありますが、債権の方から言いますと、公的債権と民間の債権とあるわけでございまして、民間の金融機関の方から言いますと、民間の債権について何とかしないとこれは金融的に大変な問題になりはしないかという問題がある。しかし、公的な債権の方が、これは国が関与しているものですから何とか措置がとりいいじゃないかというようなこともあるだろうと思います。これらにつきまして、これから大蔵大臣とも御研究を願いまして対処をしてまいりたい、こう思います。いろいろな構想が出ておりますが、たとえば一気にそういう措置をとるのがいいのかどうか、あるいは年々の返済に困った場合にどうするかとか、いろいろな赤字処理の方策はいろいろあると思いますので、とにかく日本とアメリカ合衆国、ヨーロッパ、これがやはりこれからも経済政策を調整してまいらなければいけませんので、これらの点につきましては各国の御意向もよく話し合いの上で決意をすべきであろう、こう考えております。
-
○
河村委員 もう一つ、これは大蔵大臣にお尋ねをした方がいいんだろうと思いますが、長期的な問題で、経済協力というものに対する政府の基本的な方針というものは従来ないのですね。今度
福田総理大臣は、しきりと、政府開発援助が対GNPO一二四%から〇・二八%に上がったと言って、大いにがんばったんだというふうに言っておられますが、それはそれなりに評価をしてもよろしいけれども、しかし、まだまだ先進国平均の〇・三六%まではかなり開きがあるわけです。いままで、日本が非常に景気がよくて財政事情のいいときでも、本当に努力したことはないんですね。景気のいいときは、ちょうど昭和四十九年の、
田中首相がインドネシアに行って反日運動を起こされたあのように、一年間に民間投資ばかりが四倍も五倍もふえて、政府開発援助の方はそうした財政事情のいいときでもちっともふえていない。今度ECその他から、日本は軍備には金をかけない、それから南北問題にはちっとも金を出さない、それでかせぎまくって、輸出ばかりして、われわれに迷惑をかけるというような非難を浴びて、それでやっと〇・〇四%上げるような気になったというような感じですね。日本にとって経済協力というのは一つの経済的安全保障ですから、だから財政が苦しかろうと——よかろうとというのはありませんが、苦しくともコンスタントに、とにかく先進国のレベルに達する援助は必ずするんだという態度をはっきり決めてかかりませんと、これからいろいろな国際会議に出ても、とても日本は私はもう相手にされなくなると思います。その辺の決意をこの辺で固めるべきだと思う。ことしの予算とは言いません。少なくとも来年度からは最低限度この平均の〇・三六%——なおもう一つつけ加えれば、その同じ政府開発援助の中でも、いままで日本の援助というのは贈与分が非常に少ないわけです。いわゆるグラントエレメントで言えば、加盟国平均が八八・三%に対して日本はわずかに六九・九%。だから同じ政府援助の中でも実に内容も悪いですね。だから、これをとにかく先進国レベルまでは少なくとも来年以降やるんだという決意で臨まないと、国際的に通用しない、私はそう思いますが、どうお考えですか。
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○坊国務大臣 お説のとおり、これからの日本経済というものは、やはりこの点は非常に大事なことであるということは痛感いたしております。
そこで、申し上げるまでもございませんけれども、主要先進国の開発途上国への政府開発援助の平均水準は対GNP比におきまして〇・三六%でありますが、日本の場合はまだ〇・二四%となっておるというような次第です。先進国並みの水準を目指して、引き上げるよう努力をしてまいりたい、かように考えております。
-
○
河村委員 この種の問題は、書いてもらったのを読むような心がけではとてもだめなんです。本当に考えてない証拠なんです。いままで本当に経済協力問題というのは、総理大臣がいなくなるとだれに質問していいかわからないのです。だれも責任を持ってやる者がない。きょうはもう時間がありませんから、その中身に入った議論ができませんけれども、同じ金を出すのでも、金を出せばそれでいいというようなことであって、同じ金を出してもそれをトレースしていって、それが本当にその国に役に立つかどうかというところまで、
一つの国の意思としてずっと追求していくという姿勢がまるっきりないのですよ。私は、いまの大蔵大臣の答弁の仕方がその象徴みたいなものだろうと思うのです。金を出すところがその調子じゃ、みんなそれは大抵だめになってしまうので、あなた本気にこの問題を考えておられるのですか。いかがです。
-
○坊国務大臣 真剣に考えております。
-
○
河村委員 だめですね、どうも真剣に考えているように思われない。
時間がなくなりましたので、最後に、
科学技術庁長官に一つだけ、例の原子力開発に伴う核燃料サイクルの問題です。
いよいよ十九日総理大臣が行かれます。この前、事前に原子力
委員長代理が行って地ならしをしようとして、どうもうまくいかないようであります。しかし、このぐらいわれわれにとって不満なことはないのでありまして、われわれは核拡散防止条約というものが米ソの核独占をもくろむ不平等条約であるということは承知の上で賛成し推進をした立場から言いますと、こういうものを推進して、これの主たる目的は原子力の平和利用のためですよね。日本はどこに原子炉を売ろうとしたわけでも何でもない。それにもかかわらず、いろんな巻き添えを食ってこういう状態にあるということになりますと、日本の原子力の平和利用というのはちょっと動きがとれなくなる危険性というのがあるのですね。ひとつきょうは総理大臣がお見えであったら、特にその決意を聞きたいと思ったのですが、外務大臣もよく聞いておいてください。これは本当に座り込んででも解決するというぐらいの覚悟で臨んでもらいたいと思うのですが、その辺をどういうつもりでおられるか、それを最後に伺います。
-
○宇野国務大臣 結論から申し上げますと、この月曜日に、私と通産大臣、外務大臣、官房長官並びに総理大臣が会いまして、私からも、この問題をめぐる外国の情勢、そしてわれわれの決意、そうしたことをお訴え申し上げまして、カーター大統領との会見では、こちらから進んでこの問題を持ち出す、こういうふうにしていただきました。
仰せのとおり、まさに民族の死活問題でございます。したがいまして、再処理問題に関しましては、先方は三年間凍結をしたいというふうな意向を
井上原子力
委員長代理に伝えたのでございますが、何といたしましてもそれではわが国の核燃料サイクルの確立ができません。プルトニウムを原料とする高速増殖炉は一九九〇年代の実用化を目指しておりますが、あと十八年あるから三年間待てと向こうは言うかもしれませんけれども、その間に次々と開発並びに技術の積み重ね、そしてまた試験もやっていかなくちゃなりませんから、ことしからホットランに入ります再処理工場で生産されたプルトニウムは十八年間要るわけであります。さような意味合いにおきましても、三年間待つということは、まさにわれわれの将来への死活問題である。特にNPTをすでに承認し参加をしているわが国といたしましては、第四条で、核兵器を持っておらない国の平和利用に支障を来さないということが書かれておるわけですから、これを特に米国に主張いたしたい。
第二番目には、今日の米国の政権は、二言目には日本に対しまして、世界の経済のロコモティブになってほしい、こういうことを要請をしておりますが、そのロコモティブから核燃料サイクルというエンジンをとってもらっちゃロコモティブになれないじゃないかということも強い主張点になるであろう、こういうふうに考えております。
-
-
-
○
大出委員 きょうは四回目の地下鉄に関する質問をさしていただきますので、きわどいところまで実は申し上げたり承ったりしたいのでありまして、ぜひひとつこれは逃げないで御答弁をいただきたいのであります。ただし、残念ながら日立の
社長さんあるいは御関係の方がおいでになっておりませんので、そこにお逃げになるということに結果的にはなるのかもしれませんけれども、私は、四十八年の当初から、国民的な大変大きな、日韓両国それぞれに大きな疑問を持ってきた問題でございまして、韓国国会でも調査
委員会等を設けた先例もございます。したがって、国民の皆さんに対する責任という意味で決着をつけたいのでありますが、大臣諸公にも御出席をいただきましたが、それぞれ御関係がある方々でございますので、そういう角度でひとつきょうは御答弁をいただきますようにお願いをいたしたいのであります。
そこで、まず最初に、会計検査院の方々に承りたいのでありますが、会計検査院は、このたびのこの経済協力にかかわります多額の資金の出入りにつきまして、恐らく検査をなさる責任があるのだからおやりになったのだと思うのでありますが、検査対象たり得る資料を入手することがおできになったのやら、あるいは検査対象たり得る資料が全くないということでお手上げになっておられるのやら、はっきりひとつお答えをいただきたいのでありますが、いかがでございましょう。
-
○東島会計検査院説明員 お答えいたします。
ただいま御質問の中にございましたように、二百七十二億という相当の多額の融資をしておりますので、私どもも非常に重大な関心を持って検査したわけでございますが、これは四十八年にも一度国会で問題になりましたし、われわれずっと関心を持って調べておりましたが、ただいま先生ちょっとお触れになりましたように、なかなか資料が入手できない。私ども
海外経済協力基金に対しましては検査権限がございまして、そちらで持っていらっしゃる資料については十分われわれも徴取いたしましたし、調査もいたしましたが、何分十分な資料がございませんので、できれば仕様の詳細とかあるいは原価計算書、そういうものについてもわれわれに見せていただきたいということをお願いしたわけでございますけれども、現在のところそれが参りませんで、私どもとしては的確な結論を得ないまま推移しているような状況でございます。
-
○
大出委員 それでは、ちょっとそこへおいでいただけませんか、時間ございませんので、検査院の方ひとつ。
いまのお話によりますと、どうも経済協力基金がお持ちの資料は見せてもらったんです。だが検査の対象たり得る資料ではないという実はお話なんでございまして、私どもに経済協力基金の皆さんは資料を前から何遍かお出しになりました。しかも、私が先般倉成
経済企画庁長官にお願いをし、田村運輸大臣並びに鳩山外務大臣等にも御協力をいただくお約束をいただいて資料を求めました。経済企画庁の方が私のところに届けておいでになりましたが、この中身は実は検査院の方にも私お見せいたしましたが、前のものと変わってないですね、五百万ふえているだけだ。物価なんだと思うのですよ。物価上昇も大分あったんだと思うのです。そうすると、これは前とひとつも変わってないですから、いままで経済協力基金がお出しになった地下鉄に関する資料あるいは電化計画に関する車両に関する資料、いずれも検査対象たり得ない資料、言ってしまえば物の役に立たない資料、こういうふうに御認識なんだと受け取ってよろしゅうございますか。
-
○東島会計検査院説明員 経済協力基金の方からお出しになった資料については、私どもも全部いただいております。これにつきましては、技術的要因で何千万円、それから輸出に伴う経費何千万円、そういう包括的な差額だけでございまして、私どもその各項目ごとにお知らせいただかないと的確な結論が出ないわけでございますので、私たちとしてもちょっとその資料では何とも御返事できないような状況でございます。
-
○
大出委員 もう一点検査院の方に承りたいのですが、地下鉄の車両の価格と電化計画の陸の上を走る車両の価格が違いますね、三十万くらい違いますか。この差というのは無線の日本のものを使ったとか外国のものを使ったとかいうようなことが入っているように思うのですけれども、この差というのは一体どこから出てくるのだとお考えでございますか。
-
○東島会計検査院説明員 まことに申しわけございませんですけれども、細かな資料をわれわれいただいておりませんので、そこまで的確にお答えできないのが残念でございます。
-
○
大出委員 もう一つ承りますが、金の方の流れというのがございますね。この金の流れというのは一応——一応という言いぐさはないのですが、お調べになった、心もとない資料でありましても、銀行が介在いたしますからね。そういう意味では、主契約者である三菱さんであるとか丸紅さんであるとかいうところに、大体、何回かに分かれておりますが、二百七十二億四千万円ということですけれども、車両だけではもちろんございません、ございませんが、車両だけで言うと大体百八億ないし九億でしょうけれども、こういう金は流れている、これは確認できますですな、商社に行っている。
-
○東島会計検査院説明員 いまの先生のお話のとおり、金の流れにつきましては、われわれ的確に、基金から輸出業者の口座に払い込まれたというところまでは確認してございます。
-
○
大出委員 もう一点承りますが、となると、これは検査ができないのですから、検査院の法律に基づく役割りは勤まらないことになる、果たしていないことになる、限界があるということになりましょうか、いかがでございますか。
-
○東島会計検査院説明員 私どもは、会計検査院法で定められております権限内でしか仕事ができないということになっておりますので、民間業者に対してまでもその帳簿を見せていただくとか、そういうことはなかなかいまの権限ではできないということになっております。
-
○
大出委員 もう一つ承りますが、皆さんが協力基金に対して仕様の詳細なり原価計算書なりを出してもらいたい、こういうふうにお話しになったはずですね。基金の方から、メーカーにいろいろ言ったけれどもメーカーに断られましたという回答を検査院になさったそうでございますが、本当でございますか。
-
○東島会計検査院説明員 御説のとおりでございます。
-
○
大出委員 そうなると、いかに会計検査院、熱心な方々がおいでになっても、動燃事業団のときなどは私が感心するくらいお調べになっておりましたが、手も足も出ない、検査をしていない、職責が果たせない、限界がある。
そこで、大蔵大臣に承りたいのですが、この莫大な金、二百七十二億四千万円という金はだれの金でございますか。大蔵大臣、予算をお組みになったりするのですから、お答えください。
-
○坊国務大臣 結局は政府資金、それから国民の金です。
-
○
大出委員 国民の金を二百七十二億四千万円投入をしておりながら、法律、規則で定められている会計検査院はその役割りを全く果たしていない。基金はメーカーに仕様の詳細、原価計算書等を要求したが断られたと検査院に回答をした。政府並びに国会を含めて、果たしてこれで国民に責任を負い得るわけなのかどうか。これだけ疑いがあるものを、関係ある大臣諸公はそこに並んでおられるが、一体だれが責任をどうとるんですか、お答えいただきたい。検査ができない、やってない、それでこれだけ疑惑がある。あなた方、それで腕組んで放任できるんですか。いかがでございますか。どなたでも結構ですからお答えください。
-
○倉成国務大臣 お答えしたいと思います。
会計検査院に対して基金は、その持てる資料すべてを提供して御協力を申し上げておるところでございます。ただ、
大出委員に御理解いただきたいと思いますのは、経済企画庁が、基金の貸付業務に対して、事業計画、資金計画、認可を通じて指導監督を行います。またその執行状況、適宜報告を求めておるわけでございます。また、個別事案がいろいろ出た場合には指導するということにしておるわけでございますけれども、元来……
-
○
大出委員 長い答弁要らないですよ。責任負えるか負えないかだけお答えください。
-
○倉成国務大臣 できるだけ会計検査院に対しては基金として御協力をいたしまして、疑惑の解明には御協力するつもりでございます。
-
○
大出委員 国民の金を二百七十二億四千万投入していて、疑惑ふんぷんたるものがあって、会計検査院は検査もできない。対象たり得る資料が出てこない。経済協力基金が持っているこの資料は、検査対象たり得る資料ではない、資料になってない、こういうことをさっきはっきり答えているんですよ。一体、だれがどこで、この国民的疑惑に責任を負うんですかと聞いているわけであって、お答えはできない、ない。それならこれは、われわれない知恵をしぼってもはっきりさせなければならぬことになる。
私はいろいろ調べてみましたが、どうやらこの車両に関する金の総額は、百八億ないし百九億ぐらいになる。その一割の十億八千万から九千万が実は抜けていると私は考えている。この金は一体、ちょうど一割だが、どこへ行ったんだ。旧来から言われているシステムにのっとって、とんでもないところへ行っている、私は実はこうはっきり言いたい、四回目ですから。
きょうは参考人ということで、三菱の田部
社長さんにお出かけをいただきましたり、日本車輌の天野
社長さんにお出かけをいただきましたり、大変恐縮でございます。証人ではございませんで、参考人でございますので、後ほどそういう意味で承りたいのでありますが、その前に確かめておきたいことがございます。
いま会計検査院の方々が、お手上げである、検査ができない、皆さんがお答えにならない、国民に責任の負いようがない、こういうことであった。私は、本当ならば皆さんがもっと努力をすべきだと思っているんです。関係が一々あるんですから。大変にこれは残念。だが、時間の関係もございますから、まず日本車輌の天野
社長さんに承りたいのでありますが、気楽にお答えいただきたいのであります。
天野さんが韓国においでになりましたが、これは最初のときだと思うのでありますけれども、いつでございましたのか。かつまた、李厚洛韓国情報部長にお会いになったり、金鍾泌、時の総理にお会いになったりなさっておりますけれども、その点をこれは日韓協力のあり方という意味でまず承っておきたいのであります。また、御同行なさいました方もおいでになると思うのでありますが、いかがでございましょうか。差し支えなければお答えいただきたいのでありますが。
-
○天野参考人 天野でございます。韓国には二度参りました。目的は、車両の技術供与、提携でございます。私が参りましたのは、四十八年二月と四十八年の七月でございます。四十八年の七月のときだったと思いますが、いま申されましたように、金鍾泌首相、李厚洛KCIA長官並びに朴大統領にお会いいたしました。目的は、車両の技術供与でございました。
-
○
大出委員 ちょっと年次に違いがございまして、私がここに持っております本によりますと、四十七年の八月なんですね、いま四十八年とおっしゃいましたが。ソウル地下鉄問題等起こりましたのが四十五年でございますから、ちょうど三年目になりますけれども、四十八年じゃなくて四十七年の八月ですね。(天野参考人「はい」と呼ぶ)で、いまお話しになったような方々にお会いになっておられる。一緒においでになった方おいでになると思うのでありますが、いかがでございましょうか。
-
○天野参考人 朴大統領のところへは、ちょうど叙勲の機会がございましたので、野田卯一先生と御一緒に参りました。
-
○
大出委員 ここにある本によりますと、李厚洛さんのところにも野田先生とおいでになったようになっておりまして、いまお言葉が出たから申し上げるのですが、野田さんが長い話をなさった後で
社長が招き入れられたと、こうなっておるわけであります。そして仁川の車両工場についてのお話が出て、戦前あれが日本車輌の工場であったというようなことで大変に親近感を増したという、三年越しの提携話も責任もって何とかするという御回答をいただいたという中身になっておる。
この後、時間がずれまして、漢江の水害でございましてね、十万円ずつお二人が寄付されたりしておられますけれども、結局金鍾泌さんにも同じような形で、招き入れられる形でお会いになっておられるわけであります。
で、私は、実はこれは天野さんにというんじゃなくて質問したんですけれども、この日韓経済協力のあり方に大変に私は気になるところがございまして、だから承ったわけでありますが、これは
田中通産大臣に承りたいのであります。野田卯一さんの話がいま出ましたが、決して御迷惑かけるつもりで申し上げておるのではないのでありますけれども、日韓協力
委員会というのがございますね。野田卯一先生は、ここの何を当時おやりになっておられたわけでございますか、役員として。
-
○
田中国務大臣 野田卯一君は、
委員として協力
委員会が訪韓いたしまする際によくおいでになりました。別に
理事とか幹事ではありません。
-
○
大出委員 私、ここに持っておりますこの資料というのは、この資料二なんですが、ここを見ますと、日韓協力
委員会のいろいろなことがたくさん書いてあります。この中で事務総長が、いま御答弁いただきました通産大臣をおやりになっておられます
田中龍夫さんでございます。経済部会
委員長という肩書きがございまして、ここに野田卯一さんの名前がございます。この協力
委員会の一番てっぺんの方に会長というのがございまして、これは岸信介前総理の名前が書いてございます。間違っておるとすれば、これは私の責任じゃございませんで、この本の責任でございますが、この本はそんな古い木じゃございませんで、一九七六年三月一日発行になっておりまして、杉浦康平さんとか
鈴木一誌さんとか、いろいろな方、日韓関係を記録する会なんていう方々がお書きになっておるわけであります。そう間違いないと思うのでありますが、これが間違いなければ経済部会
委員長さんをおやりになっておるのは野田さんだということになる。
これは事務総長ということになっておりますかな、
田中さんが事務総長になっておりますね。事務総長だから御存じだろうと思うのでありますが、この日韓協力
委員会というのは、間々
社長さん等連れて一緒においでになって、朴大統領を初め要路の方々お会いになって、さっき私がここで申し上げましたように、三年越しの懸案の処理について約束を快く全力を尽くしてやるというようなことを言ったとか、そういうことをおやりになる組織でございますか。
-
○
田中国務大臣 御案内のとおりに、韓国との間の善隣友好と申しますか、それでただいまの経済
委員長といいますものは固定いたしておるのではございませんで、参りますたびたびにおいでになる方が変わりますが、その間に、ただいまのお話のときには野田さんがおいでになったのであろう。そうしますと、たとえば
愛知さんがおいでになったときは政治部長、政治部
委員会、あるいは野田さんがおいでになったときは経済
委員会とかなんとかというふうに、おいでになった方の中で随時キー・ノート・スピーチをしていただいたりなんかいたします。
-
○
大出委員 ところで天野
社長さんに承りたいのですが、天野
社長さんのところの有価証券報告書を拝見いたしますと、百四十四期、四十八年十月から四十九年三月に輸出車両が六両ございます。それでこれが一億六千五百万円、それから百四十五期の四十九年四月から四十九年九月のところに三十三両ございます。これは両方とも計算をいたしますと、二千七百五十万という数字が出てまいります。百八十六両の車両のうちで三十九両受け持っておられるのが日本車輌さんでございますから、数字もぴたりこれは合うわけでございますけれども、これを御確認をいただきたいということが一つと、この二千七百五十万の内訳というのはどんなことになっておりますのか、概略お答え賜りたいのでございますが、いかがでございましょうか。
-
○天野参考人 いまの三十九両、間違いございません。六両は先行いたしまして試験その他のために製作したものでございます。なお、平均価格は二千七百五十万円、これは間違いございません。この内訳は、車体、台車並びに港までの横どり費用、梱包費用その他でございます。
-
○
大出委員 艤装も、じゃ当然入るわけでございますな。
-
○天野参考人 当然入っております。
-
○
大出委員 この二七五〇という数字の中には、組み立てたりなんかいたしますのも含めてでございましょうね。組み立てや何かいたしますね、台車を置いて車体を上に載せるわけですね。そこで、通常ならば、私も横浜の地下鉄なり東京なども調べてみましたが、台車にモーターなどをつけてやりますね。そこらの組み立てなども含めての価格でございましょう。いかがでございましょうか。
-
○天野参考人 含んでおります。
-
○
大出委員 そうしますと、もう一つ大きな点を承りたいのは、同じようにこの日本車輌の皆さんの有価証券報告書を私、ずっと拝見してまいりましたら、この中に、実はこの日本車輌さんが四八五系統ということで、つまりモハ四八五、国鉄の「やまばと」であるとか、山形から秋田の方に行く特急、あるいは「らいちょう」なんという北陸を走っている特急、デラックスです。これは。日本の車両で恐らく一番いいんじゃないかと思うのですが、大変いい車両ですが、これを同じこの四十八年の三月というときに、今回の韓国の契約は四十八年五月でございますが、二カ月前の四十八年三月というときに国鉄に納めておられます。これを見ますと、いま韓国のものは二千七百五十万、お認めいただきましたが、国鉄のものは二千六百九十八万になっている。ところがここには「無償支給品推定額」という項がございまして、日本車輌さんの方で国鉄からモーターであるとか、これは交直両用ですから整流器もございます。抵抗器もございます。あるいは制御装置もございますというふうなものを部品で受け取りましてそして組み立てる。その無償支給品の推定額が千六百八十万、とうなっておるわけですね。パーセンテージにいたしますと、日本車輌さんが国鉄の交直両用車であるモハ四八五系統の車両を同じ時期におつくりになってお納めになったのが契約内容でございますが、日本車輌の受け持ちが二千六百九十八万、国鉄等から無償支給品ということで組み立てるために持ってこられましたものを価格推定をすると、千六百八十万、比率にすると六二%対三八%になります。この点は四十七年九月契約も一緒でございまして、国鉄の技術者の方に来ていただきまして承りましたら同じようなパーセンテージでございました。まあ大きく言えば六四、細かく言えば六二対三八とか、多少の動きがある。車内灯だとか無線だとかいうものは、この場合に日本車輌さんの方で直接買ってくれと言ったというようなことを言っておりました。というのは、向こうから持ってくると運送費だけ高くつくなんという説明を国鉄さんはなさっておりましたが、これからいきますといまの二七五〇、六両と三十三両というのをお認めいただきましたが、この場合も当然無償支給品がなければならぬ。なぜならば、皆さんは電機関係の工場をお持ちでないから。それらは一どういうものだのたのかというところを概略お話しいただきたいのです。
-
○天野参考人 お答えします。
無償支給品は、先ほどおっしゃいましたような電機品、制御関係、連結器、整流器その他のものでございます。
-
○
大出委員 そうしますと、基金がお出しになっている資料の中に、
社長さん、三段式特殊ヒーターだとか、ドアの開閉装置だとか、断熱材の使用等、こう書いてあるのですが、このドアの開閉装置なんというものは、これはドアの数も台車を刻んでいくわけで決まっているわけですから、おたくでおやりになるはずであります。これも入らなければおかしいわけであります。ただ、三段式特殊ヒーターというのは、これは支給品なのかあるいはそうでないのか、あるいは断熱材の使用というと、車体の断熱材である限りは皆さんの方がお持ちになる筋合いだと思うのであります。そこらを含めまして、ちょっと御説明をいただきたい。
-
○天野参考人 いまの三段式ヒーターは日本車輌が買ったものでございます。断熱材は当然車体に付属しております。
-
○
大出委員 すると、日本車輌の二七五〇の方にヒーターの方は入っているわけですね、車両を日本車軸がお買いになったものであれば。
-
○天野参考人 車両価格に含まれております。
-
○
大出委員 そうですが。これは実はしまいまで聞かぬでもいいようになってしまいましてね。基金がしきりに三段式特殊ヒーター、ドア選択開閉装置、断熱材の使用なんというのは、これは価格上昇の別な要因であるがごとくおっしゃいましたが、いま承りますと、二七五〇という日本車輌さんの方の価格に含まれているなら、それではっきりするので議論の余地はない。それから陸送なんということをここに書いてあります。陸送運賃、港まで持っていく。これも日本車輌さんの方でお持ちで、二七五〇の中に入っているとさっき御説明ございました。車体、艤装、台車、陸送費、三段式ヒーター、ドア選択開閉装置、断熱材の使用、あとは新しい工具がかかっただろうとか設計の承認図面だとかいうのがありますけれども、この設計の承認図面だなんだというのは、恐らく日立さんかどこかがつくって皆さんのところに持っていって、こういう設計でやってくださいと言ったのだと思うのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
-
○天野参考人 そのとおりでございます。
-
○
大出委員 それじゃ、車両の製作時までの物価上昇を見込んだというのですが、天野さんのところでおつくりになって、でき上がって韓国に輸出をする時期がいつごろであるかということが見当がついているわけですから、そこらをお考えになって車両価格は話し合ってお決めになっているわけでございましょう。そう理解してよろしゅうございますか。
-
○天野参考人 そうでございます。
-
○
大出委員 それから、この保証期間が長いというわけですね。二カ年。国内一年。ここらのこともやはり皆さんでおつくりになって、後でアフターケアがあるとすれば、そこまで考えた価格でなければならぬわけですから、見積もりでそうお考えになっておられる、こう考えてよろしゅうございますね。
-
○天野参考人 そのとおりでございます。
-
○
大出委員 そうしますと、もう一つだけ残るのは、交直両用だからというので整流器だとか、これはパンタグラフから電流が入ってくる、モーターがある、そこで整流しなければなりません。この整流器なんというのも、これは恐らく支給品だろうと私は思うのでありますが、これは大変高いものでございますか。
-
○天野参考人 値段はちょっと判然としませんが、高いものだと思います。
-
○
大出委員 横の方からワンクッションございまして、明珍のかぶとを切るときみたいなもので、ちょっと一息入れないとぐあいが悪い。しかし、これは大体わかりまして、企業がお出しになっているもののほとんどは二千七百五十万という有価証券報告書にお載せになった価格に含まれている。二年間の保証の問題も全部そうなんでありまして、そうなると、二七五〇という数字が出てくればそれででき上がったのですから、問題はない、こういうことになる。となりますと、あと支給品というのは、さっきお話がございましたが、モーターであるとかあるいは制御装置であるとか整流器であるとか抵抗器であるとかいうふうなものが支給品だということになる。そうですね。そのようであります。そうすと、この辺で日立や——日立はきょうはおいでにならないんで残念でございますけれども、三菱商事の田部
社長さんの方から、さっき私、冒頭に申し上げましたように、きょうは決着をつけたいと思っておりまして、いろんな資料を用意しております。したがって、できればひとつこの際、韓国側調達庁と結ばれた契約の価格、これが大体ソウル六十両の地下鉄分についてまずどのくらいのものであったのか。それからまた一括日立さんが三菱商事さんとの間で契約をされているはずでありますが、そこのところをお答えいただきながら、その価格というのは一体どのくらいの価格であったのか、この辺をまず承りたいのでありますが、いかがでございましょうか。
-
○田部参考人 お答え申し上げます。
韓国政府と取り結びました契約価格、これにつきましては、先ほどからお話に出ておりますFOB価格は一両当たり五千八百七十九万円でございます。よろしゅうございますか。
-
○
大出委員 そうしますと、その後日立さんとこの契約をお結びになるわけでありますが、そちらの方の価格というのは大体どのぐらいのことでございましょうか。
-
○田部参考人 私ども商社といたしましては、商業信義ということがございますので、契約の内容をこういう公開の席でお話し申し上げるということは、商人といたしましてまことにはばかるところでございます。しかしながら、先ほどから大分疑惑の中心、こういうことになっておるようでございますので、この際、私ども日立さんからの仕入れ価格を申し上げます。けれども、そのために関係者にいろいろ支障が起きませんような御配慮をお願い申し上げたいと存じます。
そうしますと、いま申し上げました日立さんからの仕入れ価格を申し上げます。日立さんからの仕入れ価格は、FOB価格で一両当たり五千百五十万円でございます。
-
○
大出委員 田部さん、大変どうもありがとうございました。お話しの点は私どもできる限りの努力をいたします。もちろん力及ばぬ点もございましょうが、おっしゃっていただきましたので、その点につきましてはそのように考えさせていただきたいと存じます。
そこで、続いて承りたいのでございますが、韓国の調達庁との間で五千八百七十九万である、地下鉄一車両当たり。そうなりますと、ここで明らかにさせていただきたいのでありますが、契約額というのがございます。車体本体、つまり本体契約でなく、全体の契約額があるわけであります。これは六千三百九十四万くらいに私ども実は押さえておりました。端数がございますから、あるいは六千三百九十五万になる場合もあるかもしれません。この六千三百九十四万ないし六千三百九十五万円から部品、海上運賃、研修関係諸費、技術用役、こういうものを差し引くという説明が旧来から基金からなされておりました。これが私の手元の計算でまいりますと、大体五百十五、六万円になる。したがいまして、六千三百九十四、五万のものから五百十五、六万のものを引きますというと、大体旧来から出ております数字の、先ほどお答えいただきました五千八百七十九万になる。この五千八百七十九万を五千百五十万ということで日立との問で契約をお結びになった、こういうことになると思うのでありますが、そう理解してよろしゅうございましょうか。
-
○田部参考人 そのとおりでございます。
-
○
大出委員 ありがとうございました。ということになりますと、ざっくばらんなところを申し上げて恐縮なんでありますが、田部
社長さんの方の三菱商事における利益と申しましょうか口銭と申しましょうか、私、その辺よくわかりませんですけれども、つまり五千八百七十九万、これをひとつスタンドポイントにいたしまして、五千百五十万という契約ですから、その差額は七百二十九万ございます。この七百二十九万の差額、このうち恐らく銀行に関する諸掛かりであるとか、あるいは取引高税なんという税金もあるかもしれません、あるいは保険なんかもあるかもしれません、こういうふうなものを私が割り算、引き算をしていきました推計では、おおむね九十万くらいになるんではないかと思います。直接経費が。そうすると、七百二十九万の差額から直接経費九十万を引きますと、六百三十九万というのが商社連合としての口銭になるのではないか、そういうふうに考えるわけでありますけれども、いかがでございましょう。
-
○田部参考人 仰せのとおりでございます。
-
○
大出委員 ということになりますと、ここで一つ問題は、商社連合での、つまり六百三十九万という利益は、商社が四つございまして日本連合になっております。三菱さんと丸紅さんと三井さんと日商さんと四つでございますが、差し支えなければその間の割り振りと申しましょうか、もしどうしてもお答えいただきにくいんならば改めて別な角度から承りますが、いかがでございましょうか。
-
○田部参考人 お話しの点は、われわれ同業者との四社の協力で行いまして、したがいまして、四社に対するやりとり、そういうことでございますけれども、国会の席でのお話でございますから、先ほどと同様に私お話し申し上げます。
丸紅さん、三井さん、日商さん、そういう三社に私どもの方から一両当たりに三百六十二万四千円、こういう金額を合計三社にお払いいたしております。
-
○
大出委員 わかりました。恐縮でございます。政府側で私どもが取り上げている疑惑の解明をなさっていただけませんので、やむなく承りました。お許しをいただきたいと存じます。
ということになりますと、私はこの口銭というものは粗利益だろうと思うのであります。六百三十九万というのは一車両当たりの粗利益だろうと思うのでありますが、これが契約額の六千三百九十五万に対してはおおむね一割、先ほどお話しいただきました本体売買の価格である五千八百七十九万に対しては一〇・九、つまり一割九厘ということになるわけでございまして、私はこの辺は果たしてここまでの、つまり利益が妥当ということになるのかどうかわかりませんけれども、これはしかし大きいなという意味で実は多少の疑問も——素人でございますからお許しいただきたいのですが、諸掛かりが、それは韓国、ソウルあるいは東京でいろいろ人をお置きになってやっておられますから、あるのだろうと推測はいたしますけれども、それにしてもこの一〇%を超える利益というのは大変に大きいなという気がする。総体が部品から海上運送費まで何もかも入れて六千三百九十五万円なんですから、その一割は大きいなという気がする。
これは疑問として残させていただきまして、次に承りたいのでありますが、実は五千百五十万に至る過程に契約の、つまり当時はじいた単価の修正をなさっている、ここが実は私が一つ大きな疑問に考えているところなんです。先ほども
河村さんの質問でちょっと出てまいりましたが、途中で一たん出てきた価格を後で直している。その差が片や五百八十万、片やおおむね五百五十万ぐらいある。これは三十万ぐらい違うというのが旧来からあるのでありますけれども、そこらが私は非常に気になるわけでありまして、そういう経過がこの長い過程にあったと、私はある場所でそのことをよく知っておりますけれども、できればひとつお答えをいただきたいのであります。いかがでございましょうか。
-
○田部参考人 いま御質問の要点がよく了解できないのでございますが……。
-
○
大出委員 韓国はJARTS、海外鉄道技術協力協会に委嘱をいたしまして、これは契約が結ばれておりますが、コンサルタントを頼んだわけであります。それで見積もりを出した。そこらが基礎になりまして、先ほどちょっと
河村さんが触れましたが、地下鉄の場合には四千五百七十万という数字が出てきている。電化用の陸上を走る車両については四千六百万という数字が出てきている。三十万違うのであります。冒頭に会計検査院に私が質問いたしました。これがいまお話しのように五千百五十万という本体契約にはね上がった。だから四千五百七十万と五千百五十万ならば、その差は五百八十万ございます。それから電化用の方でまいりますと、四千六百万が五千百五十万とすれば五百五十万の差があります。この差の五百八十万と五百五十万というのを計算いたしますと、ちょうど十億八千万前後になる。たまたまこれはこの車両総額が百八億から百九億なんです。ちょうど一割なんですね。つまり途中で一割上げた。一割上げる必要はなかったんだと——一割とは申さなかったのですが、さっき
河村さんが上げる必要がないのになぜ上げたということを言われましたが、私が調べましても全く上げる必要はないという、そうい時期だった。にもかかわらず、なぜ一体これは上げたのか。上げた結果、ここで十億八千万、約一割に該当する金が浮いてしまうではないか、それは一体どこに行くんだという疑問が実は私に残る。ただきょうは日立さんがここにおいでになりませんから、大変恐縮でございますが、田部
社長さんに承りたいのでありますけれども、私、事実を申し上げておるのですけれども、なぜ一体こういうことになったのかという点、つまり契約を結ぶ相手方は、本体契約の方は日立さんでございますから、そこらの関連、これは当時田部さんがこちらの方をおやりになっているわけではないんで、御無理な質問かもしれませんけれども、もし聞かしていただければと思って質問いたしたわけでございますが、お答えいただけるならばお答えいただきたいのであります。
-
○田部参考人 私どもの方は本件が入札の段階から準備いたしまして、私どもの方は売る値段を算出するために、まず日本のFOB価格をメーカーの代表である日立さんからいただきまして、それに運賃、保険料その他を加算して、そしてCIFの金額を出してやったわけでございまして、もとになる日立さんからいただいたFOB価格がどういういきさつなのか、どういうことで途中で上がったのか、そういう点については、私どもも全く存じておりません。
-
○
大出委員 わかりました。私も妙な深追いはいたしません、きょうは日立さんがお見えになりませんから。恐らくとどのつまりがそこに話がいくと思っております。思っておりますが、いま私が申し上げたように、御存じないとおっしゃるのですから、そこでちょっとこれを配っていただけませんか。——それで実は私はいま田部さんがおっしゃることは、三菱という商社でございますから、日立ではない、その意味でわかります。わかりますが、質問者として引き下がるわけにまいらない。
そこで、これは
委員長にお願いしておきたいのですが、非常に際どいところでございますから、これは後で
理事会等で御相談をいただいて、日立さんにどこかでお出かけいただかぬと決着がつかない。そのことはいかがでございますか。
-
○坪川
委員長 いまの御要望については、また
理事会でそれぞれ協議したい、こう思っております。
-
○
大出委員 いま差し上げました数字が書いてありまする方は、私の疑問になる点だけ挙げてあります。韓国調達庁と三菱の契約は、いまお話ございました六千三百九十四万、これはもうちょっと上がるのかもしれません。これは私の計算でありますから……。それで部品、海上運賃、研修費、技術用役、これが五百十五、六万、五万と書きましたが、そうすると六千三百九十四万から五百十五万を引きますと五千八百七十九万、問題の数字が出てまいります。一両当たりであります。五千八百七十九万というのは、車体の本体契約であることを田部さんがお認めになりました。そこで、五千百五十万円、これが三菱さんと日立さんの契約の一両当たり単価でございます。そうなると、さっき私が指摘をいたしました五千八百七十九万から五千百五十万を引いて七百二十九万、ここから、直接経費九十万をお認めになりましたから、差し引き六百三十九万という商社連合の口銭がここに出てまいります。粗利益であります。これが一割を超える。ここに書いておきましたが、これは六十両で三億八千三百四十万になります。百八十六両で言うと十一億八千百五十四万になります。どうもちょっとこれは私としては納得しかねる数字であります。六番目に、三菱、日立の五千百五十万円、これも国鉄の四八五系の、さっき私が例に挙げましたが、二千六百九十八万という車両価格、日本車輌さんは韓国向けのものは二千七百五十万というふうにさっきお答えになりました。その中にすべてが含まれているということになると二六九八に対する、当時の国鉄の例からいけばモーターとかあるいは制御装置、整流器などなどというものは千六百八十万で済んでいる。そうなると、車体価格の方にほとんどが含まれているのだから、五千百五十万から二千七百五十万、つまり日本車輌さんの単価を引きますと二千四百万残りますが、この二千四百万というものは明らかに高過ぎる。二四〇〇、国鉄は一六八〇、なぜこういう高い数字が出てくるかというと、さっき私が、ここに書いてありませんが指摘いたしましたように、四千五百七十万、四千六百万という数字が途中にあったのが、ある時点で五千百五十万にはね上がったというところに基本的に高いという問題が出てぐる。つまり、先ほど来質問を進めててまいりましたが、私の推計からいけば大変に内輪に見て、いろいろなことを入れましても、やれ三段式のヒーターをどうのこうの言いますが、車体価格二七五〇に入っているとさっきちゃんとお答えでございます。基金の資料というのは、会計検査院おっしゃるとおり、全くこれは資料になっていない、あきれ果てたものでありますが、つまりここで明確に、私は最小限度十億八千万から九千万ぐらいの金がどこかにいっているんじゃないかと、大きな疑問を実は持つのであります。
そこで、田部さんに承りたいのでありますが、手紙が私のところに参っておりまして、二つだけ承りたいのですけれども、これは皆さんの
会社の中から来ている手紙であります。
三菱商事の日韓ロビーの総大将は藤野さんだと書いてある。そのふところ刀は内海常務だと書いてある。そして四十八年に地下鉄契約をrる前後に、三菱商事社内で、いわゆる日韓ロビーに絡む不正なうわさが流れており、それに関連した連中の人もなげな振る舞いには、皆がひんしゅくをしたものであるというところから始まるのですが、大変細かく書いてあります。この中に売報という、つまり社内では売報と呼んでいますという、売買約報告というものがある。この売買約報告には、販売価格から諸掛かりから注文価格から、委細詳細に書かれている。つまり利益その他一目瞭然。売報というのはコンピュータ処理されているので、これはなくなることはない。注文書であるとかあるいは請求書であるとか、みんなこの中で見ればわかる、こうなっているわけであります。これは一枚目の方だけ読みましたが、二枚目の方は御無礼をいたしますから読みませんが、いろいろ数字が書いてあります。
田部さんに承りたいのは、こういう売報と称するものが社内におありになるのかどうか。もしあるとすればお出しを願えるかどうか。
それからもう一つ承りたいのですが、いまお手元に差し上げましたもう一つの新聞の写しであります。これがどうも私、不可解でございまして、田部さんお見えの席ですから率直に承りたいのでありますが、私が括弧書きに枠をしてあります。つまり賄賂の問題。上段の方には「ワイロ工作」と写っておりますが、朝日新聞が連載をしておられます商社に関するいろいろな問題であります。
ここでは、田部さんが、どうも狂乱物価のときの国会に参考人で各商社の方を呼んだのは、人民裁判で行き過ぎだなんて、こう書いてありますけれども、それはともかくとして、「ワイロの問題?当該国のモラルに照らして、常識程度なのか、行き過ぎかということだろう。そういったことには一切手をふれないということでは、大きな範囲の市場から撤退せねばならないかもしれない。」とお述べになっている。この点について、
社長さんのお名前入りで、かつ写真入りでここに載っておりまして、私どもよく記者が来て話をすると、こういうことに書くわけでありますが、全体の脈絡その他をながめましたり人に聞いたりしまして、本心をお話しになった気がいたします。いい悪いは立場が違うので別であります。事実あるいはこうでなければ商売は契約がとれないのかもしれない。だがしかし、この問題は大変重要な問題でございますので、二点目として、ここにお話しになったのが御本心であればあるで結構でありますから、立場が違うわけでありますから、お述べをいただきたいと申し上げたいのでありますが、いかがでございますか。
-
○田部参考人 お答えいたします。
朝日新聞に出ました記事につきましては、私が述べたことをそのままに出ているわけではありません。したがいまして、「ワイロ」というような表現が冒頭に使ってありますけれども、それは事実と相違いたします。いかなる国といえども、その国の法律に触れるようなことは一切まかりならぬ、私どもの方も厳に戒めております。現にまた、そういう相手の国からも法律に触れるような要求はいままで参っておりません。
-
○
大出委員 「ワイロ」という言葉はともかくといたしまして、商法につきものであるという印象に受け取れるのでありまして、法律に触れないということであれば、ならばやむを得ぬということになるわけでありますが、いまのお話を私流に解釈いたしますと。
そこらのところを重ねて承りたいのと、もう一つ、先ほどお見せしたこの書物の中に「朴大統領と藤野」、いま会長になっておられると思いますが、三菱の藤野さん、「朴大統領と藤野の結びつきがもっとも威力を発揮したケースは、一九七四年八月十五日に第一次計画が完成したソウルの地下鉄建設の受注合戦であった。本来、丸紅が計画立案の段階から韓国側との相談にのり、導入車輌の発注先まで内定していた。」丸紅のだれということは申し上げませんが、私も何人かの方々に確かめてみました。そうのようでございます。丸紅の方の御回答によると。だからここまでは私なりに調べた限りではこういうことだろうと思うわけであります。
「それなのに三菱商事を加えた四社で日本連合が作られ、代表幹事に同商事がのし上ったのは、「朴大統領の御前会議で決った」」、ここにわざわざ(丸紅関係者)の証言という意味のことが書いてあります。「これには、三菱商事がやろうとしていた韓国国鉄電化計画が西独中心のヨーロッパ連合にとられ、朴大統領がその埋め合わせとしてやったことと関係者は指摘する。」こうなっているのです。
私は、丸紅関係者の方々、名前は申し上げられませんが、何人かに聞いてみますと、当時非常に残念だったと言う。もう発注先から何からみんな手配していたと言う。そうすると、最も威力を発揮したことに間違いない。
この本には、ほかの方にも、三菱さんは李厚洛さんが日本の大使のときに食い込んで、李厚洛さんは三菱大使と言われたほどだと書いてありまして、三菱さんと李厚洛の仲を取り持ったのは岸信介さんだと書いてある。「もちろん、出すべきものはちゃんと出しており、競争相手のある商社関係者は「三菱さんは大統領選挙で一〇〇万ドルを献金したので、うちはそれとの見合いで相応のカネを出した」とこれを裏付ける発言をしている。」などと書いてあり、「またある商社幹部は「三菱が大きなプラントをよく請け負うのは、全体の一割に当たるカネを韓国政府に出しているからだ」と証言している。」とここにある。これは私が言っているのではない。この本に書いてある。だから非常に符節が合い過ぎるので、私は疑問を感じましていまの質問になったわけでございまして、もう一遍、別にこの「ワイロ」という言葉にこだわらぬでもいいのであって、それは朴さんの選挙のときにということなのかどうかわかりませんけれども、別にその国の法に触れるようなことはとおっしゃいましたが、商法の常として何かやはりそういうことはあるというふうに見なければならぬのかどうか、重ねて承りたい。
また、いまのソウル地下鉄受注に関する、この背景になっている、つまり朴大統領の御前会議であるとかあるいは電化計画を西独中心の欧州に持っていかれた、その見返りにということだったのか、そこらをひとつ、せっかくの席ですから、先ほどの売報と一緒にお答えをいただきます。
-
○田部参考人 最初の御質問の賄賂に紛らわしき件、これは韓国にあるということではございません。われわれの取引相手の国の中には相手が仲介したとか、謝礼だとか、そういうことを場合によって要求されます。そういうことを指すのでありまして、日本で解釈するような賄賂ではございません。
それからもう一つは、私どもの現会長藤野が韓国の大統領と非常に親しい、そういうことでいまのようなお話が出たのだと存じますけれども、私どもの方の
会社は、会長も私も同様でありますけれども、いかなる国とも極力親善でやっていく、こういう方針をとっております。したがいまして、韓国とも非常に親しくやろう。しかし韓国だけでありません、いかなるほかの国とも同様な方針でやっております。
したがいまして、いまの、私どもの方がこの契約当事者に指定されたのは藤野が工作してだ、こういうようなお話でありますけれども、私が了解いたしますところでは、全然そういうことではございません。これは、先ほどお話しの韓国の産業線という電車がそれより少し前にヨーロッパのコンソーシアムに持っていかれた、そういうことに照らしまして、日本のメーカーがこれではいかぬというので技術の持っている特徴を生かして、しかも相手がもう問題にならぬくらいの非常に短い納期を要求したために、どうしても日本のメーカーが一致協力しなければできない、こういうことで日本のメーカーがまず協力の態勢をおつくりになったのでございます。その協力メーカーが、非常に納期が急ぐことでもあるしするから、かつて韓国に車両納入の実績があるところ、経験のあるところ、そういうところをたまたま指名いたしまして、それが現在の四社でございます。そういうことで、四社を指名されたのは韓国からではございませんで、日本のメーカーのコンソーシアムから指名されたのでございます。そして六十両は三菱商事、百二十何両は丸紅、こういうことに相なった次第でございます。(
大出委員「売報はどうですか」と呼ぶ)
売報は、社内でそれを使っております。使っておりますけれども、これはもう大分前に済んだことでございますので、ここに用意いたしておりません。
-
○坪川
委員長 大出君に申し上げますが、時間も経過しましたので……
-
○
大出委員 最後に一言だけ申し上げて終わりにいたします。
それぞれ立場がございますから、いまのようにお述べになることはそれでいいのでありますが、大臣諸公おいでになるのでありますが、お聞きになっておられて、大変にお話しいただきにくいところ、それぞれ関係の契約額その他まで表に田部
社長がお出しになったわけであります。私が指摘したのは、先ほどもちょっと
河村さんが触れておられましたが、これは大変大きな疑問であります。だからうわさが絶えない。うわさというのは、火のないところに煙は立たぬものであります。会計検査院が検査ができないと言って手を上げている。しかも国民の金が二百七十二億も入っているというものを政府は何にもしないということで事が済むか。これじゃ政府も国会も国民に責任が負いようがない。疑惑のままでほうり投げておくというばかなことはない。
だから、あなた方は一体本気で解明する気があるのかないのか。直接の担当は倉成さんだから、あんなわけのわからぬ、経済企画庁の名においてこんなものを持ってくるのは失礼千万な話、調べればこれだけ中身があるじゃないですか。だからそれを今後どうするのかということと、あわせて日韓問題調査特別
委員会か何かをこの国会につくらなければ、この疑惑のままでは国民は大きな政治不信を起こしっぱなしになってしまう。これは政党政派の問題じゃないですよ。ここのところを一体責任者として倉成さんはどう考えますか、はっきりしてください。疑惑を残したくないから
社長は答えたのでしょう。
-
○倉成国務大臣 お答えいたします。
ただいま三菱商事の
社長さんからいろいろお話がございまして、基金やあるいは基金の監督官庁の企画庁としては、特に基金は、金融機関として知り得たことをなかなか話すことはできなかったというわけですが、業者の方からのお話がございまして、ある程度事情がおわかりになったようでございます。マージンの問題であるとか、あるいは五千百五十万の問題……(
大出委員「政府はどうするのだ」と呼ぶ)したがいまして私ども、基金をして極力御要望にこたえるように努力しているところでございますけれども、やはり金融機関としての限界があるということは御理解いただきたいと思うわけでございます。今後ともできるだけの努力はしたい、会計検査院に対する資料の提供等は努力をいたす所存でございます。
-
○
大出委員 政府が何にもしないで私どもにだけ努力さしておいて、いまの答弁はないでしょう。三菱の
社長さんだって疑惑を残したくないからあえてお話しになったのでしょう。
私は時間がありませんから、田部三菱商事
社長さんにきょうお出かけいただきまして大変ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。天野
社長さんにも御礼申し上げまして、終わらしていただきます。
-
○坪川
委員長 これにて
大出君の質疑は終了いたしました。
正森成二君。
-
○正森
委員 それでは私からソウルの地下鉄の問題についてお伺いしたいと思います。先ほど、同僚の
大出委員が詳細な質問をいたしまして、各
社長さんから御協力をいただきましたので、重複を避けながら、なるべく新しいことについて伺いたいというように思っております。
日本車輌の天野さんに伺いますが、百八十六両についてあなたのところは三十九両お引き受けになりましたが、私どもの承知しているところではあなたのところを含めて五社でございますが、その他の割り振りはどういうような車両数でございましたか。
-
○天野参考人 お答えします。
川崎重工業三十九両、東急車輪並びに近畿車輌が各二十四両と聞いております。
-
○正森
委員 ということは、日立さんが六十両ということですね。
-
○天野参考人 そうだと思います。
-
○正森
委員 ちょっとお待ちください。ここにおたくの社内報だと思いますが、「にっしゃ」の五十号、昭和四十九年七月十五日発行があります。この中にいまおっしゃった数字が書いてございますが間違いありませんね。
〔
委員長退席、澁谷
委員長代理着席〕
そこで、次に伺いたいと思いますが、先ほどの
大出委員の質問に対しましてあなたは、二千七百五十万円というのは車体と台車と艤装費と港までの費用などを含んでおるのだ、こういうぐあいに言われました。そこで港までの費用について伺いたいのですが、それは港まで持っていくだけの費用ですか、それとも港から本船まで積み込む費用を含んでおりますか、お答え願いたいと思います。
-
○天野参考人 お答えします。
電車を船の中に固定するまでの費用を負担いたしましたが、ただし、船に積み込むクレーンの費用は負担しなかったと聞いております。
-
○正森
委員 それでは各
委員に資料一をお配りしてください。
そうしますと、三菱商事さんが輸出するのについて特に御負担になった項目は、海上運賃と保険料と組合賦課金でございますか。
-
○田部参考人 お答えいたします。
海上運賃と、それから海上保険料、それから韓国の取引税、それから日本の輸出保険料、そういうものでございます。
-
○正森
委員 ここに資料一を持ってまいりましたが、日本車輌の
社長、天野さんの御説明によりますと、ここの——ちょっと参考人に資料を早く渡してください。二番目の輸出手数料、荷役料金というのは、そうすると日本車輌側が負担したということになりますか。
-
○天野参考人 ちょっと言葉が適当かどうかわかりませんが、荷役料金というのは当方の負担だと思います。
-
-
○天野参考人 違います。
-
○正森
委員 そうすると、三菱商事さんは、輸出の保険料と、ここに書いてあります通関業者に支払う輸出手数料とクレーン・チャージと組合賦課金と韓国の取引税とおっしゃるのですか。そういうものを御負担になりましたか。
-
○田部参考人 さようでございます。
-
○正森
委員 それでは私から説明いたしますが、保険料というのは、私が調べましたところでは、FOB価格に一〇%アップした額に対して、百円につき五十銭の割合のようであります。そうしますと、仮に五千八百七十九万円という価格だとしますと、三十二万余になります。輸出手数料というのは容積トンという基本数字がございまして、今度の車両では長さ二十メートル、幅三・一八メートル、高さ四・五〇メートルですから、二百八十六・二になります。容積トン当たり三千八百円だそうですから、三千八百円に二百八十六・二を掛けると、約百八万円になります。それを船に積むのにクレーン・チャージというのが一両当り約六万円だそうです。それから組合賦課金というのは、いま申しました容積トン当たり三円で、これは原則として荷主が持つそうでございますが、これは
海外経済協力基金がいかにも大きな額のように言いましたが、わずか八百五十八・六円であります。
また、日本車輌さんに伺いますが、荷役料金というのはトン当たり六百八十七円、五十トン以上のものは一五〇%アップですから、これを計算すると、約四十九万円ぐらいになるという計算になります。こういう計算で、私が調査してまいりましたから、ほぼ間違いないと思いますが、いかがですか。もしそうでございましたら、その旨お答えいただくと同時に、韓国内の取引関係の税金というのが幾らであったのか御答弁願いたいと思います。
-
○天野参考人 四十九万円、詳細に存じませんが、ほぼ妥当な線だと存じます。
韓国内のことにつきましては、私どもはノータッチでございます。
-
○田部参考人 輸出諸掛かりのうちで、韓国の取引税は一%でございます。そのほかに輸出保険料、組合賦課金、それからパフォーマンスボンドの費用、その他の諸掛かりが一両当たりで二十九万五千円。先ほどの取引税、これが、CIFについてでございますので、六十万五千円、合計いたしまして九十万円でございます。
-
○正森
委員 そうしますと、私がここで調べました輸出手数料というようなのは、実際上は要らなかったのでございますか。
-
○田部参考人 輸出手数料とお話しでございますから、恐らく通関手数料のことだと存じます。(正森
委員「ええ」と呼ぶ)それでございましたら、私の方の関係ではございませんので、FOBが済むまではメーカーの負担でございます。
-
○正森
委員 私の調査ではメーカー負担になっておりますので、日本車輌さんに伺ったわけです。よく思い出してください。
-
○天野参考人 いまのお話のとおり、通関料は私どもの負担でございます。
-
○正森
委員 そこで私は伺いたいと思いますが、この港までの費用という中には、通関手数料及び荷役料金、そういうものが入るということが明らになりました。そうしますと、私の計算では、クレーン・チャージはお払いにならなかったというのですから、百九万円と荷役料金の四十九万円を足しますと約百六十万円、これは通常、あなたが日本車輌などで国内の業者に売り渡すときには、価格に含まれなくてもいい額のはずであります。ですから、二千七百五十万円の中には、国内では通常要らないこの百六十万円の額というのが含まれておりますから、国鉄の四八五系あるいはその他の価格と比較する場合には、二千七百五十万円から百六十万円を引いた額がまさに比較しなければならない額だと思いますが、いかがです。
-
○天野参考人 大体そのとおりでございます。
-
○正森
委員 そこで次に私は伺いたいと思いますが、ここで大きさを示しましたように、三・一八メートルというのは、国内の普通の車両は二・九メートルぐらいのが多うございますから、約三十センチぐらい幅が広いわけですね。そのことによって、あなたのところでどれぐらい価格が増加いたしましたか。
-
○天野参考人 幅が約三十センチ、長さは同じ、高さも高かったと思います。したがいまして、目方が約十トン近くふえております。その分の鋼材と溶接線、そういったものが増加していると思います。
-
○正森
委員 ちょっとお待ちください。
いずれにしましても、その増加分も含めて二千七百五十万円から百六十万円を引いた価格で賄うことができたわけですね。
-
○天野参考人 そうです。
-
○正森
委員 もう一つ伺います。交付品というのが相当な額を占めたと思いますが、あなたが韓国向きにつくられた車両は、交付品について国鉄とほぼ同じ規格のはずであったというように思いますが、いかがですか。
-
○天野参考人 四八五系の、有価証券報告書に報告してございますが、それよりは多少率としては交付材料の方が多いのじゃないか、そう思っております。
-
○正森
委員 それでは私から伺いますが、ここに「日立評論」という書類がございますが、その中に「車両用シリコーン油入り日立変圧器」というのが書いてあります。この説明書を見ますと「日本国有鉄道向け電車用主変圧器としてシリコーン油入り主変圧器の量産が開始されたが、同時に韓国首都圏電車にも採用された」というように書いてありますが、こういう交直両用にするための変圧器、整流器等については、国鉄でお使いになったのと同じものが使われたのではありませんか。ここに書いてあります。
-
○天野参考人 何分支給品でございますので、詳細わかりかねます。
-
○正森
委員 ちょっとお待ちください。
ここにあなたのところでおつくりになった車両が名古屋港から積み出される直前の写真があります。これを見て確かめてください。
-
○天野参考人 わかりました。間違いないと思います。
-
○正森
委員 これは写真でございますから、
委員長あるいは
委員の皆さんにはお配りできませんけれども、台車やあるいは車体の大写しのところもあります。これを国鉄の車両専門の技術者に見せましたら、これは国鉄の交直両用の車両と全く同種類のものであるというように御答弁になりましから、間違いないと思います。そうだといたしますと、二千七百五十万円から百六十万円を引きました二千五百九十万円という価格、そして
大出委員が御説明になりましたように、あなたのところの交直両用の交付品とおたくでおつくりになる比率というのはほぼ六一、二%対三八、九%ですから、その額で計算した合計がほぼ車両製造価格である、そして、それに船に積んで固定するまでの百六十万円を足したもの、これが商社に渡る前の価格であるはずである。その中には車両メーカーのマージンも含まれておるはずである。こういうようなことが理の当然に出てくるわけですが、それに相違ございませんか。
-
○天野参考人 大体そのとおりだと思います。
-
○正森
委員 そうなりますと、私と
大出委員がいままで三回にわたって主張してまいりましたことがいずれも本当であり、そして
海外経済協力基金があれに何百万円かかる、これに千万円かかると言っておった説明がみんなうそであるということが、実際に車両をおつくりになった方によってきわめて明瞭になったと私は思います。こういうようなことが行われて国民の税金が非常に不明朗に使われていることは、決して天下国家のためにあってはならないことであるというように私は考えざるを得ないと思うわけでございます。
そこで、三菱さんにお伺いいたしたいと思いますが、
海外経済協力基金から円をお受け取りになるためには一定の輸出入契約申告書というのをお出しにならなければならないというように思いますが、さようでございますか。
-
○田部参考人 仰せのとおりでございます。
-
○正森
委員 そこで、
海外経済協力基金に伺いたいと思いますが、その中には商社の利益という項目もあり、輸出者予想利益というのも届けさせるようになっているはずですが、いかがですか。
-
○大島参考人 さようでございます。
-
○正森
委員 次に、資料二を配ってください。
そこで伺いたいと思いますが、ここに「大韓民国円借款輸出入契約忠告書
海外経済協力基金業務部長殿」という見本の書かれている申告書があります。これを見ますと、輸出者予想利益ということで、FOB価格に対して純利益が幾らぐらいであるかということを届けなければならないようになっております。
そこで、三菱商事
社長さんに伺いたいと思いますが、あなたのところは予想利益を幾らと申告なさいましたか。そのときのFOB価格は幾らでしたか。
-
○田部参考人 お答えいたします。
協力基金に申請書を出します時点は、ちょうど韓国から信用状を早く入手する必要があった。そういうために、韓国への売り値段は早く決まっておりましたけれども、日本のメーカーすなわち日立さんからの幾らで買うか、こういうことがまだ決定を見ないときに早く申請書を出す必要がございましたので、売り価格の方が決まったそれだけを重点に記載いたしまして申請書を提出いたしました。したがいまして、その時点では買い価格の方について予想推測の金額を入れて出したわけであります。
-
○正森
委員 御苦労さまでございます。そのときの予想利益率は幾らでございましたか。
-
○田部参考人 時のそのあれをいまここで私よく見たのでありますけれども、二%と書いてございます。
-
○正森
委員 先ほど同僚の
河村委員の質問に対しても
大出委員の質問に対しましても、価格が修正されたということについては疑問の余地がなかったと思いますが、
海外経済協力基金に伺いたいと思いますが、まず最初に、この輸出入契約申告書が出されたのは何年何月であり、そしてその修正申告が行われたのは何年何月であるかお答え願いたいと思います。
-
○大島参考人 最初に出されましたのが四十八年の八月でありまして、修正申告は出されておりません。
〔澁谷
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○正森
委員 そういたしますと、
河村委員に対する答弁といま私に対するお答えとは違うように私にとっては思われますが、最初お出しになったものが終始申告書として出ておるということでございますか。
-
○大島参考人 輸出申告についての修正申告は出されておりません。
それから
河村委員に対してお返事いたしましたのは、韓国と基金との間のLAの金額に記載された金額、これについての御質問がありましたので、直接お答えはできないということを申しまして、なお韓国との間ではそれについての修正の規定があるのだということを申し上げましたわけで、関係はございません。
-
○正森
委員 そうすると、はっきりしてまいりましたが、輸出入の契約の申告書というのに基づいて
海外経済協力基金のお金が出るはずであります。
そこで、これは非常に公的な意味を持っておると思いますが、三菱商事
社長さんに伺いますが、そういうものに、売り値の方は決まっておったけれども国内のメーカーとの契約がまだ詰まっておらない段階だったので、売り値の方、恐らく五千八百七十九万円とかそういう価格が記載されたと思うのですが、それに対して買い値の方はわからなかったので、輸出者予想利益のところには二%ということで大体の額を出した。そうすると、二%を引いたものがメーカーとそれから三菱商事との契約ということに理の当然としてなってくると思うのですね。なぜ二%という数字をお出しになり、
大出委員の質問によっても、実際は一〇%をはるかに超える約七百三十万円の利益を計上することになったのですか。なぜそのときにも一〇%ないし一一%という数字をお挙げにならなかったのですか。
-
○田部参考人 この種の取引におきましては、商社の地位というものは、メーカーの代理人で、一定の手数料をもらって、そのほか商売のリスク、危険を一切負担しないやり方と、それから、FOBでメーカーから仕切りまして、それから先の危険は一切商社負担、こういう二種類の取引がございます。
この申請書を出しました時点におきましては、先ほどお話し申し上げましたように、メーカーとの条件、金額、そういう関係がまだ不確定でございましたので、リスクを全然負担しないようないわゆる委託取引になる可能性があったわけでありまして、そういう場合には、商社の手数料は、危険がないのでございますから、二%くらいが通例のレートでございます。しかし、その後の経過は、そういう委託的取引じゃなくてFOB以後は一切商社のリスクでやる、こういうことに相なったわけでございまして、したがいまして、仰せのとおりわれわれの金額といいますか、幅が二%よりも多くなったわけでございます。
-
○正森
委員 一般的な御説明としては理解できるわけですが、このソウル地下鉄の借款は、売り込みについて非常に努力が要って、車両を買っても相手が買ってくれないかもしれないというものではないわけですね。必ず売れる。むしろそういうプロジェクトをつくってただ車両を持っていくだけだということになれば、FOB価格が決まれば、それから先に商社が必要とされるのは海上運賃と保険料と取引税その他である。いまあなたがおっしゃった約九十万の負担である、それプラスあなたのところで必要とされる粗利益ということになれば、利益を全く予測できないで危険を負担しなければならないという要素は、借款関係についてはほとんど全く考えられないと思うのですね。そうであるのに、実際は一一%お取りになっているのに、なぜ二%と計上なさったのかということがわれわれにとっては非常に疑問であるわけです。
もっと率直に言いますと、この一一%と二%との間の九%のうちのある程度の部分は、非常に申し上げにくいことですが、こういう契約を進行させるために政界方面に渡さなければならない金ではなかったのか。しかも、私がいま明らかにいたしましたように、ただ商社のところへ参ったときの利益だけでなしに、そもそも日立さんのところまでの問でもすでに六百万円あるいは七百万円という価格に疑問があるということは、日本車輌の
社長さんのお答えによって明らかになってきたわけですから、そうしますと、二重に非常に問題があるというように言わなければならないのですね。
私の方から一方的に自分の考えを申しましたので、三菱の
社長さんから何かお答えがございましたら、どうぞ遠慮なくおっしゃってください。
-
○田部参考人 商社の取った利益が大き過ぎる、こういう御質問と承りましたので御説明申し上げます。
仕切り取引ということになりますと、いかなるリスク、危険が商社の方にあるか、まずこういうことを申し上げます。
私どもの方がメーカーから仕切って買った後に起こったあらゆる危険は全部商社の負担でございます。そういう意味で、天変地変、あるいはメーカーがつぶれるかもわかりません、そういうときの相手に対する履行義務は皆商社が負担するわけであります。そのほかに、まず事務的に必ず負担するべきものは、この契約をいたしますとパフォーマンスボンドというものを積まなければなりません。それは契約総額の五%をパフォーマンスボンドで積みます。それの費用もかかる。それから納期遅延ということが起きますと、一日について〇・一%というペナルティーを相手に取られる次第でございます。そのほかに、輸出保険を掛けましても、輸出保険は契約総額の八割までしか掛かりません。したがいまして、残りの二割は完全に危険にさらされておるわけでございます。
以上のようないろいろな危険が商社側にございますので、そういうものをカバーするという意味では、わりあいに高いと思われる利益を取らなければ商売として成り立たないわけでございます。
-
○正森
委員 初歩的な質問ですが、パフォーマンスボンドの五%というのは後に返ってくるのじゃありませんか。それはもう返ってこない額ですか。
-
○田部参考人 これは、もしも不履行ということが起こった場合のためにボンドを積むわけでございまして、完全に履行いたしますれば、もちろん全額回収できるわけでございます。
-
-
○田部参考人 本件の場合は全額回収いたしました。
-
○正森
委員 いまお聞きになったとおりであります。したがって私は、本件については、借款であり、国民の税金等が使用されているという関係から見て、過大な利益になったのではないか、さらに日立さんについてはまだまだたださなければならないことがあるという考えをぬぐい去ることができないわけであります。
そこで、もう一問だけ聞いておきます。
日本車輌の天野さんに伺いますが、あなたのところで、現在韓国向けにこれと同じ車両を二十四両つくっておりますね。
-
○天野参考人 まだ製作いたしておりませんで、八月か九月の完成予定でございます。
-
○正森
委員 八月か九月の完成だということでございますが、実際にはもう製作にかかっており、資材を買い入れて、現実におたくの工場ではつくりつつあるというのが現状ではありませんか。私は証拠に基づいて言っておりますから、なるべく正しく答えていただきたいと思います。
-
○天野参考人 設計図面があります電車は約十カ月で完成いたします。したがいまして、仰せのとおり着手しております。
-
○正森
委員 私どもの調査によれば、ソウル向けの地下鉄六両、国鉄電車九十両がすでに現在各社で製作されており、そのうち、ソウル関係は日立六両、国鉄関係は日立二十四両、日本車輌二十四両、その残りは部品で輸出して先方で組み立てるという計画を持っておるようであります。
そこで伺いたいと思いますが、ソウルの地下鉄に関連して、二号線についてはまだ政府借款は行われておりません。また、本件一号線についても、車両の増車分については政府借款は行われていないはずであります。それについて、私の言っているとおり間違いありませんか。
-
○倉成国務大臣 行われておりません。
-
○正森
委員 したがって、これは
海外経済協力基金のお金も使われないはずであります。そうしますと、この部分については、韓国側がかつて日韓定期閣僚会議でも要請したのが政府借款にならなかったのですが、そのときの金額は約百二億円だと言われております。韓国の現在の経済ではこれを一挙に払うことはできないはずですから、延べ払いで輸出入銀行の融資が要るということに恐らくはなるであろうかと思います。
そこで私は、通産省と大蔵省に聞きたいのですが、こういう件について輸出の承認、輸出入銀行にそういう書類を出すことについての許可というものが参っておりますか。
-
○坊国務大臣 さような例は聞いておりません。
-
○正森
委員 お聞きのとおりであります。政府借款もない、民間での延べ払いの許可もまだない。しかしながらメーカーはもう生産に入ってつくっておるという状況であります。これは必ずそういうことが行われるに違いないという確信を持って行っているものにほかなりません。私は、すでにいままで行われた百八十六両についても大きな疑問が提出されているときに、あるいはそれ以外の建設費についても疑惑が提出されているときに、再びこういう車両について、政府借款も決まっておらない、民間での延べ払いのそういう承認もまだ行われていないという段階で、すでに、どこがこういう注文を受け生産を命じたのかもわかりませんけれども、行われているということは国民にとって非常に重大な問題である。そうであればこそ一層、かつての百八十六両について疑惑がなかったかということをただすのでなければ、かつては
海外経済協力基金のお金、今度は輸出入銀行のお金が不当に使われるという疑惑を国民はぬぐい去ることができない、こういうように指摘せざるを得ないわけであります。これは国民のだれしもが考えることであるというように思うわけですね。この点ははっきりさせなければならないと思いますし、私どもは今後ともはっきりさせていきたいというように考えている次第であります。
そこで、時間がもう残り少なくなりましたので、法眼元外務次官においで願っておりますので、一言伺わせていただきたいと思います。
金大中事件について、あなたが外務次官のときに、レイナード氏の証言によれば、アメリカ側の要人と金大中事件についてお話しになり、そのときにはKCIAの犯行であるということが当然前提として話し合われたという旨のお話があるわけです。
そこで、その点について、あなたはそれが事実かどうか、もしお話し合われたとすればその相手はだれであったかについて簡単にお答え願いたいと思います。
-
○法眼参考人 私は、事件の起こったのがあの年の八月八日であったと記憶いたしますけれども、その後アメリカの要人と話したことはございません。私は念のために自分の手帳を見てみましたけれども、載っておりません。
-
○正森
委員 そういうお答えでございますから、あなたのおっしゃることを現在はそういうように伺っておきたいと思います。
そこで続いて伺いたいと思いますが、あなたは、昭和四十九年の七月十八日に東京の大手町の経団連会館で日韓問題シンポジウムというのが開かれ、そこでお話をなさったことがあると思いますが、御記憶ございますか。
-
○法眼参考人 私は対韓であちこちでおしゃべりをしておりますから、恐らくあったと思っております。
-
○正森
委員 ここにそのときのあなたのお話を載せました「新国策」という、
田中龍夫通産大臣もよく御存じの雑誌がございますが、そこに載っておるわけですね。そこで、これは恐らくお話しになったことをお載せになっていると思いますので、後でお手にとって見られたら結構ですが、申し上げますが、あなたはこの中でこう言っているのですね。「私はしたがって、事情はあるにせよ、当時の了解事項に基づいて、可及的速やかに外交的決着がついたということの意味を完成せしめることが、この際とくに大事ではないかと思うのであります。」少し後に「日韓関係の大事を希望する、その信じ方は具体的に現われないということになるのではなかろうかと憂うるものであります。私はすでにその時期は至れりと考えるものであります。私自身は、とくに金鍾泌国務総理がおいでになりまして、外交的決着をつけられたことを高く評価するものであります。この間もお目にかかったのでありますけれども、いかにしてこれを解決するかというその決着のときの条件を、ひとつなるべく早く実現を願いたいという、切なる私の希望を述べたいと思います。」こういうことを二度、三度おっしゃっておられるわけであります。
つまり、昭和四十九年八月当時のあなたのお考えでは、外交的決着をつけたときの条件、了解というものが実現をされていない、それについて速やかに決着をつけて実現をしてもらうということを切に願いたい、こう言っておるわけです。
そこで、あなたがここで言っておられる「決着」とか「了解」というものはどういうものであったのか、ここでお答え願いたいと思います。
-
○法眼参考人 私は当時の外務省の主管者といたしまして、外交的決着が一日も早く行われることを心から希望しておりました。その発言でございます。しこうして、恐らく御指摘の点は、四十八年、事件が起こった年の十一月二日に金鍾泌首相が見えまして、
田中総理との間でお話し合いなすった。そのときに、われわれ日本の方からは、金東雲という人の容疑があるということを言ったわけであります。これは調べますということになっておるわけです。その調べがまだ終わってなかったということを指しておるのだろうと思います。記憶がずいぶん薄れておりますけれども、ただいまそのお話を伺って、恐らくこれは、その時点で金東雲に対しての容疑はまだ調べておらなかった。しこうして、金鍾泌氏は十一月二日の
田中さんとの会談で、金東雲の容疑は調べます。こういうことを言っておるわけでありますから、そのことを指しておると私は思います。
-
○正森
委員 そのほかに、金大中氏が私人として自由であり、そして出国の自由もあるというようなことで、それが現在まだ国外に出られていないという点も含んでおったのではないのですか。
-
○法眼参考人 その点は私の記憶がはっきりいたしておりませんので、後刻ただいまの書類を拝見いたしまして、もう一度その全体のコンテクストにおいてお答えいたしたいと思います。
-
○正森
委員 それでは、そういう答弁ですから、よく考えていただきたいと思います。
最後に、まだもう少し時間がありますので、私の資料の三を配付していただきたいと思います。
この私の資料の三といいますのは、日本車輌の
社長さんと三菱商事の
社長さんの答弁を聞く前ですから、若干私の概算では数字に三十万円程度の誤差がありますが、ほぼ正確な数字であろうかと思います。それを見ますと、もちろん三菱さんなどの正当に受け取ってよろしいと思われるマージンも含んでおりますが、ともかく生産に要したのでない費用及び日本車輌さんなどの正当なマージンを除きまして約千五百万円前後の説明のつかないお金があります。もしマージンが五%程度といたしましても、千三百万円ぐらいの説明のつかない金があるわけであります。私はこういう点につきましてはやはり疑惑を晴らしていただく必要があると思います。
そこで、最後に伺いたいと思いますが、現在政府借款も輸銀の使用の承認の許可もないのに韓国向けの車両が相当数つくられているということが確認されました。三菱の田部
社長に伺いたいと思いますが、あなたの方でこの問題について日本車輌や日立に注文をなさったのですか、注文をなさるのについては韓国政府といかなる約束があり了解があってそういうリスクを冒されたのですか。最後におっしゃってください。
-
○田部参考人 いまのお話は新しい九十両のことだと了解いたします。それは大宇重工業というところから注文をもらいまして、信用状を二割、それから三カ月後に四割、そういうような条件で注文をもらっております。
-
-
○正森
委員 ちょっと待ってください。そんな、お答えになっただけで私が一言も言わないでやるというのはおかしいじゃないですか。
-
○坪川
委員長 いや、あなたがもう最後の質問として、答えられたのですから……(正森
委員「何を言っているのですか、そんな」と呼び、その他発言する者あり)それじゃ、どうぞ。正森君。
-
○正森
委員 いま御答弁がありましたように、大宇という名前が出てまいりましたけれども、私はこういうものは一私企業との取引でできるべきことではなしに、韓国政府調達庁とやるものについて、それが正式の許可がおりていないからそういうトンネル
会社というか、そういうものとやっておるということを指摘せざるを得ないと思います。こういうことが行われるのは日本国のためによろしくないと思います。
そこで、私は
委員長に、御答弁がちょっとおくれたりしましたので、最後に、本当に最後にお願いいたしますが、いまのような御答弁で、聞いておりますと、非常に莫大なマージンを受けておられる可能性がある、それが果たして本当に税務上申告されておるかどうかという疑いがあり、その金が別の税法上許されないような方面に使用されているのではないかという疑いがあり、あるいは韓国に逆流しているのではないかという疑いもあります。そうだとしますと、これは仮にの事実でございますが、そういう事実があれば、法律上法人税法の違反であり、外為法の違反であり、あるいは贈収賄事件の容疑事実にも発展し得る可能性のあるものであるというように考えますが、事実は別として、私が疑惑に思っているようなことがあれば、法律上そういう犯罪が成立する可能性があるかどうかについてだけ刑事
局長からお答え願って、私の質問を終わります。
-
○安原政府
委員 何しろ具体的な問題における犯罪の成否の問題でございますので、先ほど来、正森
委員の御質問を聞いて、事実につきましてのある程度の認識は持ちましたが、事実の確定しない、というのが私の率直な印象でございますので、この段階で犯罪の成否を述べることは控えさせていただきたいと思います。
-
○坪川
委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。
次に、
中川秀直君
-
○
中川(秀)
委員 私は、本日の集中審議において、行政改革のことについて若干のお伺いをしたいと思います。
福田内閣になりましてから、資源有限時代とおっしゃる総理のその新しい時代において、総理みずから行政改革の重要性を説かれておるわけでございますけれども、そういう新しい時代の行政改革は、従来の行革とは根本的に質も内容もあるいは決意も程度も全く違うものでなければならぬと思うわけであります。
まず、西村長官にお伺いをしたいと思いますが、長官は十四日の本
委員会分科会で、今回の行政改革では、総理指示の特殊法人、審議会、許認可、地方出先機関の整理統廃合といった四つの問題にとどまらず、補助金や地方機関委任事務の全面洗い直しを含む行政全般について成案をまとめるのだという言明をなさいました。新しい時代の行政のあるべき姿として、簡素な政府というわが党の主張と同じ目標で進むことを明らかにされました。本日は、これに関して若干の問題提起をして、さらに政府の御見解をお伺いしたいと思います。
まず、その前に、先日の分科会で大蔵省から御答弁いただけなかった点をお伺いいたします。それは昭和五十年度に行政管理庁において補助金の監察をして、その結果、問題がある、措置が必要である、そういう指摘を受けながら、二年たったこの五十二年度予算案でもなお措置をしないで検討続行となった十二件というのがある。先日の分科会で明らかにしていただきましたが、問題指摘から二年後のいまも措置できないその理由と内容をもうお調べいただいたと思いますが、御答弁を願いたいと思います。
-
○吉瀬政府
委員 御質問のように、十二件が残っております。十二件のうちの八件は、各省庁が似たような事業をやっているので統合という行管からの指摘があったわけでございますが、現実に各省庁がやっている仕事はほぼ似ているわけでございますが、やっていることは若干ずつ違っている、それによりまして直ちに統合という話し合いがまとまらなかったわけでございます。残りの四件でございますが、これにつきましてはやはり統合という指摘があるわけでございますが、たとえば農林関係の畑作の生産関係で麦と大豆等についてどうかとか、これは統合の余地はないわけではございませんけれども、対象が異なりますので直ちに統合というところまでいかない。ただこれは、私どもはこの行管からの指摘を受けまして、相互の関係で彼此流用できるような措置をするとか、今後、五十二年度に措置できませんでしたが、検討を続けていきたい、こう思っております。
-
○
中川(秀)
委員 補助金や地方自治体への機関委任事務等の整理といった問題は、中央、地方の事務の財源あるいは事務の再配分といった問題と同様に、今後の行政が相変わらずの中央集権的なものでいくか、それとも新しい時代を受けた地方分権的なものでいくかという問題の岐路、入り口の問題であります。二年も前に御指摘が同じ行政の枠内で出ながら、二年たってもまだ各省の意見がまとまらないから統合ができないんだというようなあいまいな御姿勢では、そういった新しい行政改革なんというのはできっこない。引き続き御努力をお願いしたいと思います。大蔵大臣、御見解いかがでございますか。
-
○坊国務大臣 御指摘の点は非常に重大なることでございまして、今後さらに努力を続けてまいりたいと思います。
-
○
中川(秀)
委員 次に、中央官庁の組織、特に官職についてお伺いをしたいと思います。
委員部の方、資料を……。
私どもの調査資料によりますと、中央官庁で
審議官あるいは参事官、いわば中二階だというような表現もございますが、そういったものがどの程度現在いるかということを調べてみたのでございますが、私たちの調査によると、これはもう内閣官房、法制局、国防会議、人事院、全部入れまして、現在六百九十四人ということになっています。これを昭和四十六年の九月一日の行政組織表で調べてみますと、これは五百八十七人ということになる。五年間で百七人ふえているということになります。これについて行官でもお調べになったようでありますが、行管の方はそんなにふえてはいないんだということでございますが、私たちの調査によると当然こういうふうになる。しかも、この
審議官やあるいは参事官というこういった官職は、臨時行政調査会の答申でも、局や部や課の膨張を戒めて具体的に削減対象を挙げて、総合企画立案調整事務と実施事務を分離することによって局、部、課を整理統合する、その総合企画立案調整事務、こういうようなものを充実させるために
審議官や参事官を設けるんだ。そういう意味で、この臨調答申でも局、部、課、こういった制度にかえて
審議官、参事官等の名称を有する専門官制度を導入せよと、こういうことになっておるわけです。三十一年の行革で行われた課の一割整理というときにもこうした
審議官や参事官がふえたいきさつがございますが、そのいきさつから言っても、
審議官や参事官がふえるならば中央省庁の部や課は当然減らなければいけないはずであります。
ところが、その方の数字はと調べてみますと、昭和四十六年、五年前の課の数は中央省庁で千百十一、私どもの調べた数字であります。ところが現在は千二百六十二というぐあいに、これまた百五十一ふえている。これは臨調答申で指摘をされたような専門官制度のあり方、局部課制にかえて置くという考え方からすると、全くそうなっていないということになるわけでございますが、これについて行管
庁長官、御見解はいかがでございましょうか。
-
○西村国務大臣 各省の行政の中心はやはり局、部、課、これがいま責任を持っておるところと私は思います。しこうして、
審議官とか参事官とかいうような制度をつくりますが、それはあくまでも
局長、部長あるいは課長というものの補佐的な役目をしておるのじゃないか。行政が複雑になっておりますると、一局でもいろいろな問題が起こりますし、一部でもいろいろ起こりますから、そういうように、責任体制をあくまでも助けるというふうな制度になってきたのではなかろうかと思っております。しかし、いろいろ調べてみますと、官の名がまだいろいろたくさんあるわけです。参事官以外にたくさんありましてやや複雑になっておる傾向がありまするが、それらは責任体制を助けるということで、やはり余り複雑にならないようにこの官の場合は気をつけなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
-
○
中川(秀)
委員 もう十三年も前に出た臨時行政調査会の答申で、こういった専門官制度というものは、行政機構を膨張させていくためにつくるのではないんだ、いま大臣おっしゃったように、有機的に、かつ固定的な局、部、課だけでない、企画立案といった業務をするために設けるんだ、したがって、そういうものができる部分は、局、部、課というものの膨張をむしろ抑制することができるんだ、そういう発想で、局部課制にかえて
審議官、参事官という答申になっておるわけですね。ところが実態は、五年間に両方とも百以上ずつふえているということでは、この答申の趣旨というものは全く生かされていなかったということになるわけでございます。その性格、性質も含めまして、行政管理庁において、今後こういった数の膨張ということがないように、幾ら行政ニーズがふえるといっても、簡素な政府という長官の今後の行革の理想からすれば、これはやはりもとることになるのでありまして、御注意を願いたい、こう思います。御見解、いかがでございましょうか。
-
○西村国務大臣 十分気をつけてやりたいと思っております。
-
○
中川(秀)
委員 しかも、いま大臣、ちょっとおっしゃりかけましたが、この
審議官や参事官の官職の設置根拠、法律で設置された
審議官もいる、政令の
審議官もいる、省令の参事官もいらっしゃる。こういうように設置根拠も非常にばらばらであります。また、この俸給の等級等も非常にばらばらである。ちなみに一例を申し上げますと、一般には
審議官の方が参事官よりは格は上であるということになっているのでありますが、防衛庁においては、参事官は法令で置くことになっておって、給与体系から言うと指定職。これは
局長クラスということで、参事官のうちのかなりの部分は現実に
局長でございます。ところが、
審議官の方は政令で設置根拠が決められておりまして、参事官よりは下ということになっている。同じ
審議官でも、外務
審議官あるいは通産
審議官ということになれば、もうこれは事実上次官と同等ということになるというぐあいでございます。また内閣
審議官ということになりますと、これはたとえば俸給でも行政職二級という方もいらっしゃる、本省へ行けばこれから課長という方もいらっしゃるというぐあいに、同じ
審議官でも、
局長クラスもいれば、本省の課長一歩手前という方もいらっしゃる。
審議官はおおむね指定職ですが、内閣
審議官はそうでない方がいらっしゃる。参事官はおおむね行政職の俸給表ですが、厚生省、科学技術庁、環境庁、経企庁、防衛庁、警察庁、建設省、運輸省、外務省といったところは指定職の参事官がいらっしゃるというぐあいに、名称もばらばらならば、設置根拠もばらばらだし、給与もばらばらである。こういった名称や位置づけ全般に全く不統一な状態にあるわけでございます。
ここで、ひとつお伺いをしたいと思いますが、国家公務員法によりますと職階制というのがございまして、国家公務員法の第二十九条でございますが「職階制は、法律でこれを定める。」「人事院は、職階制を立案し、官職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じて、分類整理しなければならない。」しかも「職階制においては、同一の内容の雇用条件を有する同一の職級に属する官職については、同一の資格要件」と「同一の幅の俸給が支給されるように、官職の分類整理がなされなければならない。」「一般職に属するすべての官職については、職階制によらない分類をすることができない。」こう書いてある。この
審議官、参事官というものも当然官職の部類に入るものだと理解をするのでございますが、職階制といま御指摘を申し上げました点はどういう絡みになってくるのか。簡単で結構なんでございます。こういったことは、この職階制の国家公務員法の規定の上から言っても当然統一整理すべきではないのか、
人事院総裁から御見解を賜りたいと思います。
-
○
藤井(貞)政府
委員 官職名その他の問題と職階制の関係についていろいろ御意見を賜ったわけでございます。われわれ人事院といたしましても、でき得れば
審議官あるいは参事官あるいは調査官というようなものにつきましては、職名自体がその職務の内容に大体対応いたしますように、各省に通じて大体均衡を保つということが適当であろうという考え方は従前から持っております。また、行政管理庁におきましても、あるいは予算当局であります大蔵省におきましても、大体そういう感じでもって対処をしておられるようでありまして、最近はそういう意味では大体整合性というか、均一性というか、そういう方向にだんだん向かっているようでございます。その点は私たちの立場といたしましても大変結構だというふうに考えておるわけでございますけれども、しかし御疑問がありますように、いまの段階で全部が完全に各省を通じて統一性を保っておるところにまではまだいっておらないということは事実でございます。しかし、だんだんそっちの方に向かって進んできておるということは、私は評価をしてもいいのではないかというふうに考えておるのであります。
御承知のように、行政の内容というものがだんだん複雑化してまいりますし、内容も大変進化をしてまいるというような状況でございます。しかし一面において、行政機構はなるべく膨大にならないように、あるいは人員は複雑にならないように、またふえないようにというような要請もございますので、そういう意味から、
審議官、調査官というようなものがふえてまいることは一つの趨勢としてやむを得ないところがあると思います。そういうことが出てまいります際に、私たちといたしましては、職務の複雑あるいは職務の内容というものを厳密に審査をいたしまして、それとの評価の上で
審議官というものはどういうふうに格づけをするか、あるいは調査官というものはどういう格づけをするかというような点は決めておるわけでございまして、そういう意味では職階制の精神にのっとって評価をやっておるというふうに考えておるわけでございます。だんだんその点複雑になってきておりますけれども、今後ともそういう態度でもってわれわれとしては厳密に各省を通じて均一性を保つような方向で対処をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
-
○
中川(秀)
委員 簡単にそういうものがふえてくるのはしようがないんだとかあるいは現実に一生懸命やっておるとおっしゃっても、先ほど御指摘をしたようなアンバランスがあるので、そういう一言のもとに、ふえてもしようがないというようなことは簡単におっしゃっていただきたくないわけでございますが、それはそれとして、時間がありませんから次へ進みます。
総定員法についてお伺いをいたします。総定員法、第一次は四年で五%、第二次は五年で五%、第三次は二年で二・四%、五十二年度から始まる第四次の定員削減で四年で三・二%というぐあいに、総定員法発足以来定員削減ということを政府において努力をしてきておるわけでございますけれども、これは結局、四十二年度末定員五十万六千五百七十一人という上限で抑えるという定員の抑制であって、新規増員がどんどん出てくるわけでございますから、正確には定員の凍結であって定員の削減ではないわけでございます。しかも、結局五十二年度は国立大学等の職員増のために、四十二年度末のいわゆる上限とした定員五十万六千五百七十一人を約七百人オーバーをしてしまう。このために国立学校設置法の改正、しかも附則の改正で、これはまあ別枠ということで事実上定員法の骨抜きをしてしまっている提案を政府においてしているわけでございます。
この総定員法、だんだん年間の定員削減のペースが落ちてまいりました。第一次は年平均一・二五、第二次は年平均一・七、第三次は年平均一・二、今度新年度から始まる第四次の定員削減計画は年平均〇・八%、新規需要もどんどんふえて、新しく削減するところはなくなってきた。新規増はいまお話ししましたようにもう総定員法に特例を設けてやらなきゃならないほどで、一部にはこれは骨抜きだという議論がありますが、私もこれは骨抜きでないと言い切れる自信はありません。そういうような状況で、総定員法の定員管理方式自体がもう限界に来ているのではないか、新しい手法がそろそろ必要なのではないか、こう私は考えるのでありますが、この点いかがでございましょうか。政府の御見解を聞きたいと思います。
-
○西村国務大臣 定員削減の問題ですが、一次から四次までやりましたが、やはり結果的には一万三千人ほどの減になっておるわけです。しかし、総定員法ができたときに決まらなかった国策、後に国策といってやらなければならぬものが出てくると、それはいま定員法を守ればできないということですが、いずれいつかのときには、あなたがおっしゃるようにやはり定員それ自身について考えなければならぬということは必ず来ると思います。さように私は思っておる次第でございます。
それから最前の
審議官それから参事官、調査官、いろいろありますが、非常に大事な御指示を受けたわけでございまして、これはわれわれの方もいまもやっておりますけれども、もっとやはり整合性のある組織にしなければならぬと思って、非常に大切な、大事な示唆を受けたわけで、十分私の方も取り組みたいと思っております。
-
○
中川(秀)
委員 長官に誤解していただきたくないのは、私が申し上げます総定員法にかわる新しい手法というのは、何も定員を多くしろということではないのであります。諸般の事情の中で総定員法が国会を通過をし、運用されてきたということはわかりますが、そういうものを越えて、もっと本当に簡素な政府という考え方で抜本的に、従来いる人はそのままにしておくんだということではなくて、本当に国民の側からの望ましい行政の姿に視点を添えて、本当の意味の定員管理、新しいそういう手法を編み出してもらいたいということでありまして、定員をふえていく分だけふやしなさいということではないということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
続いて、総定員法に関連して一つの問題提起がございます。ここで政府に確認をしておきたいのでございますが、わが国の公務員は中央、地方、五現業、政府企業すべて入れて、丸く言って約五百万人、こう言われております。働く国民約十人に一人というのが公務員である、こう言われているのであります。また、このうち国家公務員は、軍事関係、五現業を除いて五十万人ということでございます。五十万以上ございますが、五十万台ということでございます。このほかに加えて中央省庁だけでも膨大な定員外職員、つまり総定員法適用外のアルバイト、非常勤職員というのがいる。この非常勤職員の総数はいま何人いるのか、最新の総数を——これはたしか総理府において常に確認をしておくという統計義務があるということになっていると思いますが、最新の総数、こういう非常勤職員が何人いるのか、総務長官、おわかりでしたらちょっと御答弁を願いたいと思います。
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○
秋富政府
委員 一番新しい数字は昨年の七月一日現在でございますが、総数二十一万七千八百五人でございます。さらにその内訳でございますが、いわゆるパートタイマーと申しますか、時間給でいたしております者が十八万五千九百四十六人、それから日々雇用職員、これが三万一千八百五十九人でございます。
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○
中川(秀)
委員 いまの二十一万七千八百五人、これは中央省庁だけでございますね。五十万人の公務員に対して二十一万という非常勤職員がいる。しかもその八割余になる十八万人というものが、パートタイムではなくて六カ月以上の勤務の者で占められている、こういうことですか、
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○
秋富政府
委員 いま御指摘の十八万五千人と申しますのはパートタイマーでございまして、日々雇用職員の方、いわゆる大体八時間以内という勤務でいたしております者は三万一千八百五十九名でございます。
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○
中川(秀)
委員 それは、こういう解釈に従えばそうではないんじゃないですか。というのは、日日雇用で一日八時間以上勤務する人という分け方にすれば三万対そうでないパートタイム十八万ということになるのでしょうが、その日々雇用にしろあるいはパートタイムにしろ、毎日長期間、たとえば六カ月以上勤めているか、あるいは六カ月以内かという、そういう物差しで今度は計算をするならば、その二十一万の八割は六カ月以上勤務の方になるのではないですか。
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○
秋富政府
委員 私の方で非常勤職員につきまして統計をとっておりますが、これは大きく分けますとAとBという二つの分類でございまして、いま先生の御指摘の十五万といいますのはBの「イ」でございまして……(
中川(秀)
委員「六カ月以上ですね」と呼ぶ)六カ月以上でございます。ただこれは……(
中川(秀)
委員「Aの「イ」とBの「イ」を加えますと何人になりますか」と呼ぶ)これを加えますと約十七万でございます。(
中川(秀)
委員「だから八割ですね」と呼ぶ)そうでございます。
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○
中川(秀)
委員 いま人事
局長がお答えになったとおり、二十一万のうちの八割はもう六カ月以上勤めているという方ですね。ここに四十六年同じように人事局がお調べになったデータがございます。五年前です。そのときの四十六年にこの非常勤職員は何人いたかということを調べてみますと、十八万六千八百九人、つまり五年間で合計で三万一千人ふえているということになる。しかも、当方が調べたところでは、六カ月以上勤めている人たちのふえ方が、その三万一千人ふえているものの九割を占めている、こういうことになります。後で計算してください。間違いありません。
そして二、三指摘をしたいと思いますのは、第一に、こうした非常勤職員が、法の設置根拠として、後で人事院に御確認をいただきたいと思いますが、国家公務員法の附則による特例として、それを受けたかっこうで人事院規則に給与支払いの規定があるだけで、その運用についてもすべて任用権者である各省大臣に任せられている。総定員法の枠外として増加の歯どめがない、こういうことが第一。
第二に、給与も人事院規則やその他、その後いろいろな疑義が呈されたときにこたえられる通知というもので、こういった非常勤職員の給与は一般常勤職員並みとされて、三月、六月、十二月に出される期末手当、勤勉手当、有給休暇、通勤手当、祝日、休日勤務の割り増し給与も支払われているという実態がある。
第三に、法の上ではこの任用期間は会計年度内、つまり最大でも一年以内の雇用期間とされているが、また昭和三十六年の閣議決定でも、こういった非常勤職員の雇用期間が終了したら自動更新はしない、その者を引き続き勤務させないとしているけれども、実際は、私の調べたところでは、たとえば四月二日に採用して翌年三月三十一日まで雇用して、翌日の四月一日、一日あけて、また四月二日から三月三十一日というぐあいにもう一年、これを何回も続けていらっしゃる方がある。あるいは職場をかえて雇用するというように、事実上常勤化している等々、総定員法で幾ら定員を抑えても、この枠の外で各省が任意にふやせる非常勤職員というものが事実上常勤化して、既定部門の定員削減と反比例してふえているということになるわけであります。これでは総定員法の趣旨にも反するし、ただでさえ国民の間には、戦前に比して公務員の数が多いのではないか——それは行政ニーズがふえているからしようがないという御説明もあるだろうけれども、しかし、国民の側から見て、もっと簡素にできるのではないかといった感じがある、あるいは簡素な、行政コストの最小限度の行政を望む、そういう声が日に日に高まっている。そういう期待を大きく裏切っていることになりはしないですか。行政需要がふえていると言うかもしれないが、こういう非常勤職員の仕事というものは、統計計算だとかそういう部分が多いのです。しかし、コンピューター等も相当導入をされて、省力化も相当進んでいるはずです。いま私が挙げた非常勤職員の法の設置根拠、つまり人事院規則が主で、任用は各省大臣に任せられていて、定員法の枠外であること、あるいは一般職並みの給与であっても構わないということが、人事院の規則やいろいろな通知においてもあるということ、あるいは常勤防止の閣議決定や雇用一年以内という法の規定があるということ、これもイエス、ノーだけでいいですから、行管庁、人事院、私の言っていることに間違いがないかどうか、ちょっと御答弁願います。
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○辻政府
委員 行政機関の業務の中には、季節的、臨時的と申しますか、あるいは事業量の変動する業務があるわけでございまして、こういうような性格の業務を処理いたしますのには、定員内の職員を充てるのは適当でありませんので、ただいま御指摘のように、定員外の非常勤職員を雇用いたしておるわけでございます。つまり、業務なり職の性格に応じまして定員内職員、定員外職員があるわけでございまして、定員外職員が存在すること自体は差し支えないと考えておるわけでございます。
ただ、ただいまお話のございましたように、区別はきちんとする必要があることはもちろんでございますので、定員内職員と定員外職員と厳密に区分をいたしまして、三十六年の閣議決定「定員外職員の常勤化の防止について」によりまして、その区分を厳密にやるように措置をいたしている次第でございます。
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○
藤井(貞)政府
委員 任用、給与に関する制度につきましては、いま御指摘になりましたとおりのものが存在いたしております。
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○
中川(秀)
委員 総理府の人事局にお伺いいたします。
統計は六カ月以上という雇用の実態だけ調べておるので、これが一年になっているのか、あるいは一日だけ置いてまた雇用されているとかという、そういった実態はお調べになっているのですか。
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○
秋富政府
委員 三十六年の閣議決定によりまして、同一の会計年度内ということで、ただいま先生から御指摘のように三百六十四日以内ということでございまして、いま御指摘のような繰り返してというような問題は、私の方といたしましては、すべて一年以内で切れているというたてまえでございますので、調査いたしておりません。
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○
中川(秀)
委員 そんなことは、もうお役所におられる方は皆さん知っておられるということですね、そうでないということは。どうして調べないのか。これはしかるべき機会に、次の国会までに調べて報告をしていただきたい。大臣、いかがですか。
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○
藤田国務大臣 ただいまの御質問は大変重要な問題でございますから、関係省庁と相談の上で検討いたしたいと思います。
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○
中川(秀)
委員 時間がありませんから大蔵省にお伺いします。
先ほどお話ししましたように、非常勤職員の給与ですが、一般職並みということで現実にはいろいろな諸手当も出されている。私はそのこと自身が一概に全部悪いと言っているわけではありません。しかし、私の試算によりますと、この非常勤職員、たとえば五十一年度二十一万七千八百五人、こういった人件費は、一般職の基準内俸給月額、これの五十一年度の平均は十六万です。しかしこれは平均で、年齢層の高いものを全部平均していますから、中には行政職八等級の二号俸、高卒の女子職員なんかの給与ですね、そういうものから計算をしていくということになる方もいるし、年齢の高い方もいらっしゃる。これはぐんと低くして、俸給月額を平均十万としましょう。そうすると、二十一万七千八百五人掛ける十万掛ける十二九月、これは幾らになるか。この人件費は二千四百億円になる。予算書によりますと、全省庁の今年度予算の定員外職員、非常勤職員、この給与、手当で、一般会計で計上されている、予算書をひっくり返してきちんと出ているものを全部足してみると四十一億円、特別会計で計上されているものは合計で百六十四億円です。合計二百五億円、こういうことになります。とすると、二千四百億円からこの予算計上分二百億円を引いた金額、二千二百億ぐらいになりますが、こういった非常勤職員の人件費は、一体予算書のどこに出ているのか。大蔵省、私の計算あるいは一般会計、特別会計に計上されている数字、間違いありませんか。あるいはどこに出ているか、ちょっと教えてください。
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○吉瀬政府
委員 いまの
中川委員の御指摘の、すべての非常勤の職員が通年化しているかどうかという判断は、また実態的に調べなければいけないと思いますが、私どもの方で発令行為を要するものは非常勤職員手当とかあるいは
委員手当から出ておりますが、その他の庁費から出ているものがある。庁費の中の賃金というのは、特に立目していないということでわかりにくいわけでございますが、現在私どもの方で、一般会計、特別会計、それから庁費の中から私どもの積算根拠として賃金としてやっているものを集めますと、大体四百五十億円ほどになります。なお、この数字には補助職員とか五現業は入っていないというようなことで、
中川委員の御指摘もありましたので、さらに調べてみたいと思います。通年化した予算単価でいきますと、あるいは
中川委員の言うような御指摘になるかもしれませんが、実態につきましては、なお人事局とか人事院などと相談をしてみたいと思っています。
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○
中川(秀)
委員 もうこの問題は、三十六年に閣議決定されているぐらいで、いまごろまだ調べるなんと言っているようじゃ、本当に心細くなるのであります。
時間もありませんから急ぎますけれども、いま大蔵省から御答弁がありましたように、庁費という中に入っている。この庁費の細目を見ても、非常勤職員の人件費は出てこない。しかも、大蔵省に確認をいたしましたが、庁費の細目等については、大蔵省は各省の予算折衝の積算根拠としていろいろ伺うことはあっても、その流用やあるいはその内容についてまで精査する暇も事実上ない。つまり、そういった業務について、もう非常勤職員はこの部分はよそへ回しなさいとかいうようなことがあったとしても、大蔵省としては精査をしたりチェックする資料がない、こうおっしゃっている。私がいろいろ伺いますと、この予算書を見ても、恐らく庁費の目の細目である資料費とかあるいは事務処理費とか通信運搬費とか広報費とか、あるいはひどい場合は光熱水料費だとかあるいは各課につく事業費だとか——私の調べによりますと、ある外郭団体の役員は、おりてくる研究費や事業費の一部は、本省で自動的に五%から一割カットされてくるのだ、これを通称一割バックと言う、各省では一般的に行われている、これがそういった非常勤職員の人件費などに回るというのは常識ですよと、こう言っている人もいる。こうした実態はどこでだれが調べて目を光らせるのか、だれがチェックをするのか、その全貌について、これも次の国会までに一応御検討いただいて報告をしてもらいたい。
大臣、行管
庁長官あるいは大蔵大臣、以上お尋ねをしてきましたように、中央官庁の中でも、機構やその官職やあるいは定員、人件費の面で、若干の指摘にしかすぎないことでもまだいろいろ問題がある。これは重箱のすみのほんの一すみにしかすぎないと思います。いまお尋ねをしたことについて、まず行管
庁長官、御見解はいかがでございますか。だれがこういう問題をこれからチェックするのか。
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○西村国務大臣 行管だけではできることでありません。各省がやっておることでございますから、それを監査するのは私の方の役目でもございますので、政府全体として取り組まなければならぬと思っておる次第でございますから、いろいろ御指摘を受けましたから十分監査をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
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○
藤田国務大臣 ただいま行管
庁長官が申されたとおりでございますから、行管
庁長官の御指示のもとに、各省庁が協力をしてこの監査に当たらなければならぬ、かように思います。
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○
中川(秀)
委員 いまの両大臣の御発言、しかとお伺いしましたから、次の国会までにそういう御報告がいただけるというふうに理解をして、質問を終わります。
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○坪川
委員長 これにて
中川君の質疑は終了いたしました。
次回は、明十七日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会します。
午後七時四十四分散会
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