○田川
委員 後で私が全部具体的な事実と
資料を示して申し上げます。
それからもう一点、基本的なことをお伺いしたいのですけれ
ども、企業内で特定の政治団体あるいは宗教団体の機関紙を配布をした、あるいは持っておった、そういうものを持っているために不当な差別を企業の中で受けるということは、政治信条の自由を侵害されるような疑いが濃厚ではないかと思うのですけれ
ども、いかがでしょうか。これは法務省はまだ来てませんか。——これはいませんから、後で聞きましょう。
そこで私は、これから以下具体的な例を示して
政府に見解をただしたいと思うのですが、以下は私が数人の者に
調査させまして、私自身も
調査いたしました。具体的な事例を御紹介いたします。
その企業は、東急電鉄、東急車輪、日産、富士急電鉄、鹿島建設、こういう
会社が企業ぐるみで選挙をやったその実態でございます。私は、一党、特定の政党を指して申し上げているわけではございませんし、特定の候補者を指して申し上げているのではない。あくまで企業の問題として、また企業と労働組合との
関係について申し上げたいのでございます。
最初に東急の例、東急電鉄あるいはそれに連なる関連企業について申し上げたい。東急電鉄並びにその関連企業が、昨年の十二月の衆議院の総選挙に一体どれだけの人間を動員しているか。私
どもの調べたところによりますと、最高時、一番最高のときに一日六百人動員しているわけです。そして、その中の多くは特別休暇の名義で実際に選挙運動あるいは選挙の準備の活動をしております。そして、特別休暇という名称を与えておりますけれ
ども、調べてみますと、どうも後で年休をその分だけ差し引いたというようなことは見られません。また、給与はそのままであります。給与を差し引いたような形跡も見られない。さらに、四十七年の前回の衆議院の選挙におきましては、東急の場合は、ロッキード事件でいま裁判になっております佐藤孝行君のところに東急が二十数名の人を数カ月にわたって派遣をしております。これはもう
会社の出張です。そういうような実態でございますが、実は、これに参加をした、東急グループが推す候補者に動員をかけられた方々から私はじかに聞いた話でございますが、どういうやり方をやっているかというと、動員された一般の
社員は、一日大体八十軒から九十軒戸別訪問を命ぜられているわけです。それで、上級
社員、たとえば
部長とか重役になられる人たちは一日二軒か三軒ぐらい。そういうような、これは選挙前も選挙中も同じようなことが続けられているわけです。この中には、社命だからどうしてもやらなければならぬ、生活がかかっているからとにかくやらなければならぬということで、いやいややっている人もずいぶんあるわけです。なぜ下級
社員が一日八十軒も九十軒も回らなければならぬか、選挙前も選挙中もやらなければならぬかといいますと、回った人の話を聞きますと、われわれ下級
社員は、とにかく一軒一軒訪問するにも、二十分、三十分もいたらいろいろへまもやるようなことになるかもしれないということで、玄関先に入ってちょっあいさつをする
程度ですぐ帰ってこなければならぬ、ですから、一日八十軒、九十軒というノルマを与えて、できるだけ一軒の家に長くいないようにさせるための戸別訪問だ、こういうことのようですね。これは回った人の話を聞いたわけです。そういうたくさんの人が社命によってこういうような運動を一生懸命やらされているわけです。
また、日産自動車の場合を例にとって申し上げますと、日産自動車の場合は、県
会議員の場合、これは立候補した人から聞いたのですが、県
会議員の場合は、選挙中は一日大体三百人企業から動員をされる。組合から動員される。そうして、選挙の半年前ぐらいはもっとずっと少なくて、一日三十名から四十名、こういう人たちが実際に選挙の準備あるいは選挙運動あるいは組合活動、こういうことをやっていると私
どもに言っております。
富士急電鉄は選挙違反がずいぶん起きたようでございますが、富士急電鉄の場合は、選挙前は九つの町や村単位で大体十五名の
社員の専従を置いて、大体一日二千人ぐらい動員しているというんですね。これは朝日新聞にも当時の山梨版に書かれております。
そういうような人の動員というのは非常に莫大な量に上っているというのが最近の企業ぐるみ選挙の実態なんですね。これは人件費に直したらなかなか大変な人件費になるんですよ。こういう人件費が政治資金とみなされない。選挙の前は、これは明らかに政治資金と、いま
政府がおっしゃったような解釈からすれば、これは政治資金とみなされるのではないでしょうか。自治
大臣にお伺いしたい。