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新井委員 また、丹沢のつり橋の落下事故がございまして、中学生や教員の方三十九名が重軽傷を負った。これも私、いろいろ問い合わせしたのでございますが、結果的には溶接の不備でございますね。これはどうしてそういうようなことになったかと言いますと、そういうつり橋をつくる設計者がいて、それでその設計者が今度は図面を施工者に渡すわけですね。施工者は今度はそういう鎖をつくる工場に渡してやるわけですが、実際問題、工場でつくる場合はどんなものに使われるかということがわからないわけですね。したがいまして普通の溶接をやった。そうすれば強度、もつわけがないわけですね。そういうような事故が起こっておりますが、いま言ったことで間違いありませんか、いかがですか。――わからなければ結構ですよ。
そこで、私、
提言をしておきたいと思うわけでございますが、これは本当にいろいろなことを
考えなければいけませんけれども、いまのデータを全部発表しないとちょっとおわかりにくいと思いますが、たとえて言いますと、溶接をやる人で資格を持っておる人というのは非常に少ないわけですね。だから、溶接というのは大変なことでございまして、たとえて言いますと、溶接部の管理
一つにしましても、湿気のあるようなところに管理していたら溶接効かないです。あるいはまた夫婦げんかをして、そのときにいいかげんな溶接をやったら、またそれでも効かないくらい影響があるものである。これは専門家の話でございますね。ところが、もともと溶接のそういう資格もなければわからない人がたくさん従事をしてビルをつくっているわけでございますから、形だけひっつけばそれでいいというようなものじゃないわけですね。したがいまして、これはやはり明確にその方々に技術
指導をしてあげるとか教えてあげるとか、そういうようなことをきちっとしなければ解決しない問題があります。
あるいはまた、もう
一つの問題がありますが、たとえて言いますと、ゼネコンが非常に悪いということを言われているわけです。建設省は、公共事業に対して発注する場合に、これだけの費用だったら間違いなくいいものができるんだということで単価も決めて発注すると思います。しかしながら、それが、ゼネコンが受けてサブコンに行って、後ずっと孫請になってきますと、五〇%とか六〇%しかお金をもらわないわけでございますから、実際の仕事なんてきちっとできるわけありませんね。したがいまして、こういうところについてはこれだけの費用がかかるんだということについては明確にしなければいかぬ。こういうことで、やはりその仕事ができるような形にもしなければならぬということです。
あるいはいま建築士法がございますが、意匠設計と
構造設計とあるいは
設備設計というのがございますが、ほとんどが意匠設計でしょう。
構造はよそへ出すんでしょうが。そうしてその
構造でこれはこれだけの強度があります、間違いありませんと。ところが実際問題、それを見に行って、溶接がわかりませんから、柱がそのとおり入っていたらそれでいいということになるわけでしょう。したがいまして、アメリカではそういうことについては非常に厳しく、主事はいつでも立入検査はできるようになっておりますし、そういう専門の
分野については、第三者の、どう言うか検査
機関というものを設けまして、施主の方からお金を払って、うちのビルは間違いないか見てくれ、こういうようなことでやっているというのが
現状ですね。したがいまして、そういう問題については、水災
対策とひっくるめまして防災だとか震災だ上か言いますけれども、九八%のビルが震度が大したことなくてもつぶれるというように専門家が弊表している中にあって、これはもう早急に手直しするところは法改正をしなければいかぬ、こういうことでございます。
文部
大臣もせっかくいらっしゃっていただいて、もう時間がなくなっちゃって申しわけないのでございますが、いまの学校教育は、いままでのやり方というのは、びょうでばんと打つそういう溶接ではないことを基本にまだ教えておるわけです。しかし、だんだん一歩ずつ進みまして、いまはもうとにかく溶接ということに進んでおるわけでございまして、この
分野においては専門の工業高校あるいは大学、そういうところで理論的には教えますが、現実的にこれはこうだよということを教えている高校は非常に少ない。大阪大学の五十嵐教授ですか、ああいう先生のおられるところは徹底的に教えておるようでございますけれども、ほかはほとんど教えていないというような
現状でございます。したがいまして、これからのこの建物を背負う
一つの技術者の育成といたしまして、文部省といたしましてもそういうことで本当に力を注いでやっていただきたいということでございます。
時間がなくて、たくさん
提言をいたしましたが、最後に建設
大臣と文部
大臣に一言ずつ答弁をいただきまして、私の
質問を終わりたいと思います。