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武藤(山)
委員 私は、
福田さんが非常にりっぱな
財政家であり、
日本を憂えている政治家であることは十分認めておるのですよ。私は、そのために
福田さんの過去の経歴なども十分調べてみた。
昭和四十年のときに、国債が初めて発行されるときに、私は
福田さんと大蔵
委員会で、
福田さん、これは大変なことになる、このことについてあなたは将来
責任を持たなければならぬ、
日本を滅ぼす原因になりますよ、この
国債発行はと私は責めた、あなたが
大蔵大臣のときに。
議事録をここにきょう持ってきてあります。そのときに
福田さんは、
武藤君の言うこともしかと心にとめて、
日本の
財政を紊乱させるようなことは絶対しない、
責任を持ってやる、あなたはそう約束した。流通市場も早急に検討する、そういう国債問題の答弁。私、あなたの答弁が本気であるかどうかということをやはりアフターケアしてみたいと思って調べてみた。四十一年度、
福田大蔵大臣のときの
国債発行、このときはわずかだった。翌年の四十二、四十三年、水田
大蔵大臣になったら、途端に八千億円、六千四百億円、国債依存率が二八・二%、一〇・九%とはね上がってしまった。その次に
福田さんがまた
大蔵大臣に戻った四十四年、四十五年、四十六年は、国債が四千九百億、四千三百億とがくっと半分に減った。したがって国債依存率も一七・二、五・四、四・五と
福田さん努力した。
福田大蔵大臣の後、また水田さんが四十七年になったら一七%の
国債発行率になってしまった。この一事を見て、
福田さんという人は
財政を大事にする人である、
財政の紊乱は大変なことになるということを身をもって実行した
大蔵大臣だ。これは後世の歴史に残ります。
福田さんのとった態度はりっぱです。亡くなった水田さんが悪いというわけではありませんが、
大蔵大臣がかわったら途端に国債が二八・二%、一七%の率になってきている。
福田さんがことしも二九・九、二九・七のほんの〇・数%、重箱のすみをようじでつつくようなことに気を使ったのも、この依存率を少しでも減らしたいという
福田さんの心境がよく私はうかがえるのであります。だがしかし、だからといって、こういう苦しい
財政だから減税はできないという理論はいただけないのであります。この
赤字財政をどう再建するかというのは別な観点からまた徹底的にやらなければいけません。
大蔵官僚は怠慢ですよ。二年も前にすでにこういう時期はわかっておるのだ。私は、二年前にもうすでに本
会議でも、三木さん
総理大臣のときに、こういう方法でこうすれば
日本の
財政の赤字を解決する道筋はできるということを提言している、七項目にわたって。どれ一つとして大蔵省やろうとしない。この間、石橋書記長がここで提案をした、幾つかのたとえばの
税制改革案を出した。翌日大蔵省反撃。新聞で石橋書記長の
質問に一つ一つ反論してけちをつけている。この根性。これで一体
協調と
連帯がどこにあるのですか。こういうことでは
日本は官僚政治だ。大臣なんというのはいすに座って答弁しているだけで、実際の政治を動かしているのは全部官僚だ。これでは
日本を誤る。カーターのようにゼロから予算をやり直してみる、そのくらいの思い切った政治を
福田さんがやらなければ、
日本の
財政はそう簡単に片づきませんよ。まあ話を先へ進めますが、
福田さんが
日本経済の
名医で終わるか、最後は有終の美を飾れずに野たれ死にをするかは、私は、この
財政に対する
総理の見解にかかっていると思うのです。しかし、これ以上あなたと論議をしても、これは平行線です。
もう一つ、いまの
赤字財政を解決するために
政府は
財政の一応の
見通しを立てて、去年
国会に
財政収支試算を出しました。これはもう初年度から全然問題にならない。ことし九千億円もあの約束の数字と外れちゃっているわけですからね。たとえばケースIIの場合で見ても、公債金収入、五十二年度の
国債発行は七兆一千八百億円というわけだったのでしょう。それが八兆四千八百億ですか、これではもう全然、一兆円違っちゃっている。こんな紙っぺら何百万枚つくったって全然現実に合わないものじゃ、
国会を乗り切るための便法にすぎない。本気で、赤字国債を発行しない方法はこうだと納得できる案を
総理出してくださいよ。それを出してくれなければ、
赤字財政だから減税はできないのだ何だ言われたって説得性はないですよ。五年間なり六年間なり十年間でこういう方法で
日本の
財政は
均衡、健全
財政にします、それをきちっと一応見積もりを出して、それを
個人から取るのか法人から取るのか、中小企業にウエートをかけるのか大企業から取るのか。だれかが犠牲にならなければならぬのですよ。それを勇気を持って、大きいところは余裕がある、
個人から取るよりも法人の積み立ての中からいただく、そういう方向を選ぶべきじゃないですか。法人から取ると法人の利益がなくなっちゃう、月給が少なくなっちゃうぞなんておどかすけれども、そんなことはない。
総理大臣、この間の決算見てください。六カ月決算で住友銀行の利益は三百五十三億円じゃありませんか、半期で。このペースでいったら一年で一銀行で七百億もうかっちゃう。富士銀行が三百四十二億円、東京電力が三百三十七億円、関西電力が二百七億円、野村証券が、これは一年法人決算で五百三億円、パイオニアというのは二百三十五億円、熊谷組が二百十九億円。でかいところはみんなもうかっているじゃないですか、
総理。まだ
総理は依然としていまでも高貯蓄、高利潤、高
成長を夢見ているのですか。
資本主義の
高度成長は高貯蓄、高利潤、高
成長でしょう。新しい
社会、新しい産業に対して
総理、このキャッチフレーズに対偶するキャッチフレーズは何ですか。高貯蓄、高利潤、高
成長、それに対して低
成長の場合どうします。