○野村光雄君 私は、公明党・
国民会議を代表いたしまして、ただいま
趣旨説明がございました
日ソ漁業暫定協定につきまして、
福田総理並びに
関係大臣に
質問を行うものであります。
今回の
日ソ交渉は三カ月の長きにわたり、並み並みならぬ努力をなさった
関係者の努力に対しましては、その労苦を心から謝するものでございます。(
拍手)
しかし、
暫定協定の
内容並びに
交渉の経緯を見まするときに、きわめて多くの重大な問題が存在し、私は深い憂慮の念を禁じ得ないのであります。
総理も御存じのとおり、
わが国漁民は、あすの生活のめどもつかない中で、この長き間、
政府の
交渉をじっと待ち続けてきたのであります。しかし、
締結されました
協定の
内容を見ますと、不十分、不満足と言わざるを得ない、こういう状態であります。
私は先般、訪ソ団の一員といたしまして
モスクワに参り、イシコフ
漁業相を初め
ソ連側関係者と会談をいたしてまいりました。
ソ連側の非常に厳しい
態度を認識するとともに、
政府の二百海里
時代に対する対応のおくれと見通しの甘さというものを痛感して帰ってまいりました次第であります。
総理は、多くの
国民、中でも
漁業関係者の衝撃と
交渉の経緯につきまして、いかなる認識と反省を持ち合わせていらっしゃるのか、まず第一にお伺いをいたしたいのであります。(
拍手)
領土問題は、先ほど来の
政府の
説明によりますと、第一条と第八条におきまして、
北方領土に対する従来の
主張は貫くことができたと、かたくなに言い通されております。
政府は、今日まで再三、
ソ連の最高
会議の表現はよいが、閣僚
会議の表現は、
北方領土に対する
日本の
立場に
影響を及ぼすもので、これは認めることはできないと言い続けてきました。しかるに、第一条では明確に
ソ連の閣僚
会議決定を
日本政府は容認しているではございませんか。
北方領土に対する従来の
主張を貫くことができたとするその根拠について、明確なるお答えをいただきたいのであります。
また、第八条の中には「
相互の
関係における諸問題についても、いずれの
政府の
立場又は
見解を害するものとみなしてはならない。」とされておりますが、この表現で、どうして
領土問題に関する歯どめというものができたと言えるのでございましょうか。この解釈は、あくまでも
政府の一方的な願望であると言わざるを得ません。なぜなら、
ソ連側は、この八条の表現に対し、
北方領土は
解決済みという従来の
主張または
立場を害しないと解釈するに違いないからであります。
福田総理は、この一条、二条並びに八条の
内容について、一体どのように認識し、どのように解釈されているのか。
北方領土問題が後退していないという理由を明確に、この際、
国民の前に明らかにしていただきたいのであります。(
拍手)
次に、第二条によると、
日本の
地先沖合いでの
ソ連の
伝統的操業を継続する
権利を
維持することが合意されておりますけれども、このような重大な
規定を何ゆえ本
協定に盛り込まなければならなかったのか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。
また、「
地先沖合」の定義について、
政府の解釈を正確に示していただきたいのであります。「
地先沖合」についての
政府の従来の
見解を認めれば、第二条は、
日本の新しい
領海内における
ソ連側の
操業要求の根拠を提供することになると思いますが、この際、
政府の考え方をしかと承りたいのであります。
次に、
暫定協定の期限は、今年末までに本拠が
締結されることになっておりますけれども、定
協定の経緯から考え、
国民は大きな不安を均ているのであります。もし不成立になりますと、
漁業も
領土返還もさらに大幅後退を強いられるとになります。
政府は、本
協定に対する
締結は期限内にでき見通しがあるのか。もしできない場合、日
ソ漁業関係はいかなる
事態となるか、この点についてもお伺いをしておきたいのであります。
次に、ソ旧
協定について伺いたい。
第一、この
交渉において、
北方四島も含めた
日本側の
漁業水域二百海里を
ソ連側に公式に認めさせなければなりません。この見通しについてもあわせて伺いたいのであります。
第二に、日
ソ協定と同じく、
日本側にも、今度は当然、
海域内での裁判権並びに
主権行使を明確に盛り込まなければ、
北方領土問題はさらに後退することになります。
ソ日協定交渉に臨む
政府の基本的
方針と考えを、この際、
国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
また、この
交渉で、
日本側の
漁獲高について何らかの前進が期待されるかどうか、あわせて伺っておきたいのであります。
次に、今回の
日ソ交渉は、
漁業交渉とはいいながら、実質的に
領土問題を避けて通ることができないことを教えたのであります。この
交渉を避けて、
日ソ問題の
解決はあり得ません。このようなときこそ、
総理及び外相の訪ソによって、みずから平和条約
交渉を行うといった積極的な取り組み方を行うべきと考えるのでありますが、
政府の
見解を承りたいのであります。
また、
北方領土返還と日
ソ平和条約締結の具体的なスケジュール等を含めて、
総理はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、具体的に示していただきたいと思うのであります。
また、国会としても、この際、改めて
国民的要求である
北方領土返還に関する決議を行うべきと私はこの場で提案をいたす次第であります。(
拍手)
次に、
政府内には、対
ソ関係を
配慮して日中平和友好条約には慎重にすべきだという意見が多いようでありますけれども、
福田総理はどう考えておられるのか。また、日中友好条約
締結に対していかなるお考えを持っていらっしゃるのか、この際、明らかにしていただきたいのであります。
次に、
漁業関係者の補償問題について伺います。
このたびの
交渉は、
領土に終始し、
漁獲量の
交渉は時間不足に追い詰められ、過去の
実績と漁民の期待は裏切られ、大幅な
漁獲量の減少と大幅な
操業区域の制約を受けることになったのであります。北海道初め全国の
漁業関係者は、筆舌に尽くしがたい衝撃を受けている実態であります。
わが党は、この
救済対策に当たり、直ちに特別委員会の設置とともに、竹入委員長みずから
北洋の基地釧路市に飛ぶなど、現地の実情を視察し、十八項目にわたる
救済対策について去る十三日
福田総理に申し入れたところであります。
総理は、この申し入れ事項についてどのように対処なされたのか、
総理のとられた
措置について、この際、明らかにしていただきたいと思うのであります。
第二に、今回大幅な
漁獲量の制限を受け、休漁あるいは
減船、
関係業者の休業等、
救済対策の急を要する業者に国が直接補償すべきと考えるが、
政府の
対策を聞きたい。
また、これらに働く多くの労働者が失業の憂き目に遭い、あすへの生活に対し深刻な実情に置かれておりますけれども、
政府のこれまでとられた
措置と今後の
対策について伺っておきたいのであります。
さらに、サケ・マス漁の出漁おくれによる損害についても、当然補償されるよう、あわせてお答えをいただきたいのであります。
第三に、貝殻島
周辺のコンブ漁の見通しはいまだに不明確であり、零細なコンブ漁経営者の打撃は深刻をきわめております。
政府は、この
実績の
確保に全力を挙げるとともに、その見通しを早期に明確にすべきと考えるが、
対策を示していただきたいのであります。
第四に、
漁業再編成について伺いたい。
北洋水域から締め出される沖合い底びき
漁船等が再び
日本近海で
操業することは必然であり、
沿岸漁業者等の間で
漁場をめぐり混乱や競合を来すことが予測されておりますけれども、これら
漁業許可制度についても、早急に抜本的な再編成と
整備の実施をすべきと思いますけれども、
政府のこの
対策を示していただきたいと思うのであります。
第五に、
わが国の二百海里
漁業水域設定から除外される広大な西
日本海域での
ソ連漁船の
操業により混乱が予想されております。こうした
事態については未然に防止するための
措置を講ずべきと考えるが、
対策を聞いておきたい。
さらに、
わが国の
領海十二海里の実施並びに二百海里の実施に伴い、今後、海上保安庁における巡視警戒、救難救助、
漁業取り締まり等について十分な対応ができなければなりません。海上保安庁の体制を早急に
拡充強化を図ることが急務と考えるが、その
対策について伺いたいのであります。
次に、拿捕事件についてお尋ねをいたしたい。
去る五月十八日と二十五日と二十八日と、連続三日間にわたり、三隻、十七名の
乗組員が、いずれも国後島
周辺におきまして
ソ連監視船により拿捕、連行された事件の発生により、留守家族はもちろん、
関係漁民は非常に不安に駆られておりますけれども、
政府は、この事件の真相をどのように受けとめ、どのような
対策を講じられたのか、今後の
対策をも含めてお聞きいたしたいのであります。
最後に、魚価
対策についてお伺いいたします。
最近、大企業、商社等による魚の買い占めやいわゆる魚転がし等により、魚価の高騰が
国民生活を圧迫し、不安に陥れておりますけれども、
政府はいまだ有効的な
措置を講じられていないようでありますが、
政府は魚価の高騰をどう認識しているのか。私は、いまこそ
政府みずからの手で実態の調査と、買い占め売り惜しみ防止法を発動させるなど、直ちに魚価の安定と流通
対策に万全の
措置を講じられ、
国民の不安を一日も早く解消すべきと考えるのでありますが、その具体策について明らかにしていただきたいのであります。
以上をもって、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田赳夫君
登壇〕