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1977-04-19 第80回国会 衆議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月十九日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十四号   昭和五十二年四月十九日     午後一時開議  第一 証人等被害についての給付に関する法     律の一部を改正する法律案内閣提出、     参議院回付)  第二 海上保安官に協力援助した者等災害給     付に関する法律の一部を改正する法律案     (内閣提出参議院回付)  第三 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を     改正する法律案内閣提出)  第四 外国等による本邦外航船舶運航事業者に     対する不利益取扱いに対する特別措置     に関する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を   求めるの件  日程第一 証人等被害についての給付に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出、   参議院回付)  日程第二 海上保安官に協力援助した者等の災   害給付に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出参議院回付)  日程第三 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一   部を改正する法律案内閣提出)  雇用保険法等の一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第四 外国等による本邦外航船舶運航事業   者に対する不利益取扱いに対する特別措置   に関する法律案内閣提出)  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提   出)  沖繩弁護士資格者等に対する本邦弁護士資   格等付与に関する特別措置法の一部を改正   する法律案法務委員長提出)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部   を改正する法律案内閣提出)  中小企業事業活動機会確保のための大企   業者事業活動調整に関する法律案内閣   提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時四分開議
  2. 保利茂

    議長保利茂君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
  3. 保利茂

    議長保利茂君) お諮りいたします。  内閣から、日本放送協会経営委員会委員伊藤義郎君、田部長右衛門君、花村仁八郎君、村井八郎君及び横田信夫君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第一 証人等被害についての給付に関   する法律の一部を改正する法律案内閣提   出、参議院回付)  日程第二 海上保安官に協力援助した者等の   災害給付に関する法律の一部を改正する法   律案内閣提出参議院回付
  5. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第一、証人等被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案日程第二、海上保安官に協力援助した者等災害給付に関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  証人等被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案  海上保安官に協力援助した者等災害給付に関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  6. 保利茂

    議長保利茂君) 両案を一括して採決いたします。  両案の参議院修正同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも参議院修正同意するに決しました。      ————◇—————
  8. 瓦力

    瓦力君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、日程第三とともに、内閣提出雇用保険法等の一部を改正する法律案を追加して、両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  9. 保利茂

    議長保利茂君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  日程第三 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案内閣提出)  雇用保険法等の一部を改正する法律案内閣提出
  11. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第三、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案雇用保険法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。社会労働委員長橋本龍太郎君。     —————————————  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び同報告書  雇用保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔橋本龍太郎登壇
  12. 橋本龍太郎

    橋本龍太郎君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び雇用保険法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、戦傷病者戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、障害年金遺族年金等支給額を引き上げるとともに、支給範囲拡大等を行おうとするものであります。  改正の第一は、障害年金遺族年金等の額を恩給に準じて、昭和五十二年四月分及び同年八月分からそれぞれ増額するほか、障害年金受給者が死亡した場合に、その遺族支給される遺族年金等支給範囲を拡大し、また、遺族一時金にかえて、その支給要件に該当する遺族に対して新たに遺族年金支給すること、  第二は、未帰還者留守家族支給される留守家族手当月額遺族年金の増額に準じて、昭和五十二年四月分及び同年八月分からそれぞれ引き上げること、  第三は、満洲事変において公務上の傷病にかかり、これにより死亡した軍人の遺族に対して特別弔慰金支給するとともに、特別弔慰金を受けることのできる遺族範囲戦没者等生計関係のあった三親等内の親族にまで拡大すること、  第四は、昭和五十一年の遺族援護法改正により、遺族年金等を受ける権利を取得した戦没者等の妻及び戦没者父母等にそれぞれ特別給付金支給すること 等であります。  本案は、去る二月二十三日付託となり、三月十五日本院の承諾を得て、障害年金遺族年金等の額の引き上げ等の実施時期を二カ月繰り上げる旨の内閣修正が行われたものであり、四月十四日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、施行期日についての修正案提出され、採決の結果、本案修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  次に、雇用保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、景気変動産業構造変化等に伴って発生する失業の予防その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業を実施するとともに、雇用安定資金設置する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、  第一に、雇用保険事業の一環として新たに雇用安定事業を行うこととし、景気変動産業構造変化等に伴う休業または教育訓練等について、必要な助成及び援助を行うことができること、  第二に、雇用安定事業に要する費用を確保するため、雇用保険保険料率のうち事業主のみの負担に係る部分を、千分の〇・五引き上げること、  第三に、雇用安定事業を効果的に実施するため、労働保険特別会計雇用勘定雇用安定資金を置き、同勘定からの繰入金等をもってこれに充てるものとすること 等であります。  本案は、去る三月十一日付託となり、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。また、定年延長の促進に関する件について、全会一致決議を行いましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  13. 保利茂

    議長保利茂君) 両案を一括して採決いたします。  両案中、日程第三の委員長報告修正、他の一案の委員長報告は可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第四 外国等による本邦外航船舶運航事   業者に対する不利益取扱いに対する特別   措置に関する法律案内閣提出
  15. 保利茂

    議長保利茂君) 日程第四、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。運輸委員長大野明君。     —————————————  外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔大野明登壇
  16. 大野明

    大野明君 ただいま議題となりました外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取扱いに対する特別措置に関する法律案について、運輸委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益取り扱いに対処するための特別措置を定めることにより、本邦外航船舶運航事業の健全な発展に資することとしようとするものでありまして、その主な内容は、  第一に、運輸大臣は、本邦外航船舶運航事業者外国等国旗差別政策により不利益取り扱いをされ、その利益が著しく害されている場合において、その事態に対処するため必要があると認めるときは、当該相手国外航船舶運航事業者に対し、一定期間内にその事態が消滅しないときは対抗措置を命ずることがある旨を通告することができること。  第二に、運輸大臣は、その一定期間経過した後においても本邦外航船舶運航事業者利益が著しく害されている事態がなお消滅していないと認める場合には、その通告をした相手国外航船舶運航事業者に対し、その船舶について本邦の港への入港または本邦における貨物の積みおろしの制限または禁止を命ずることができること。  第三に、運輸大臣通告または命令をしようとする場合における関係行政機関の長との協議、通告または命令関係者への周知、対抗措置命令に違反した場合の罰則等所要規定を設けております。  本案は、三月二十五日本委員会付託となり、同三十日政府から提案理由説明を聴取し、四月八日及び十二日質疑を行い、十五日採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  19. 瓦力

    瓦力君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出文部省設置法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  20. 保利茂

    議長保利茂君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提出
  22. 保利茂

    議長保利茂君) 文部省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。内閣委員長正示啓次郎君。     —————————————  文部省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔正示啓次郎登壇
  23. 正示啓次郎

    ○正示啓次郎君 ただいま議題となりました文部省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、文部省付属機関として、国立婦人教育会館を埼玉県に、文化庁の付属機関として、国立国際美術館を吹田市にそれぞれ設置しようとするものであります。  本案は、二月十四日本委員会付託され、二月十八日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審査を行い、本日質疑を終了いたしましたところ、木野委員より、国立国際美術館設置に関する改正規定施行期日である「昭和五十二年四月一日」を「公布の日」に改めることとする修正案提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  24. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  26. 瓦力

    瓦力君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、法務委員長提出沖繩弁護士資格者等に対する本邦弁護士資格等付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、委員会審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  27. 保利茂

    議長保利茂君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  沖繩弁護士資格者等に対する本邦弁護士   資格等付与に関する特別措置法の一部を   改正する法律案法務委員長提出
  29. 保利茂

    議長保利茂君) 沖繩弁護士資格者等に対する本邦弁護士資格等付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長趣旨弁明を許します。法務委員長上村千一郎君。     —————————————  沖繩弁護士資格者等に対する本邦弁護士資格等付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔上村千一郎登壇
  30. 上村千一郎

    上村千一郎君 ただいま議題となりました沖繩弁護士資格者等に対する本邦弁護士資格等付与に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、沖繩県復帰後における社会情勢等にかんがみ、沖繩復帰に伴う弁護士法特例に関する暫定措置期間延長しようとするものであり、その内容は、沖繩復帰に伴う沖繩弁護士に関する暫定措置期間を五年間延長し、あわせて、沖繩弁護士は、延長に係る期間内にすべての事務を完了するよう努めるものとすることであります。  この法律案の起草にあたっては、各党の意見を十分に尊重しつつ慎重に検討した結果、本日成案を得ましたので、ここに全会一致をもって衆議院法務委員会提案として、この法律案提出した次第であります。  何とぞ、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  31. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ————◇—————
  33. 瓦力

    瓦力君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  34. 保利茂

    議長保利茂君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  小規模企業共済法の一部を改正する法律案内閣提出
  36. 保利茂

    議長保利茂君) 小規模企業共済法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。商工委員長野呂恭一君。     —————————————  小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔野呂恭一登壇
  37. 野呂恭一

    野呂恭一君 ただいま議題となりました小規模企業共済法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  小規模企業共済制度は、小規模企業経営者が毎月掛金を積み立て、廃業や死亡などの事態に備えるという相互扶助の精神に基づく制度として、昭和四十年に発足したものであります。  本改正案は、最近における経済事情変化に対応して、小規模企業共済契約掛金月額最低限度及び最高限度を引き上げるとともに、共済金支給事由を一部改善しようとするものでありまして、その主な内容は、  まず第一に、六十五歳以上で掛金納付期間が二十年以上である共済契約者共済金支給することとしている、いわゆる老齢給付について、その要件を緩和し、掛金納付期間が十五年以上になったときに共済金支給が受けられるように改めること、  第二に、掛金月額最低限度を五百円から千円に、最高限度を一万円から三万円に、それぞれ引き上げることなどであります。  本案は、去る三月八日当委員会付託され、同二十五日田中通商産業大臣より提案理由説明を聴取し、以後、日本社会党提案小規模企業共済法の一部を改正する法律案と並行して審査を行いました。  かくして、本日、本案に対する質疑を終了し、引き続き採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、小規模企業共済制度に対する国の助成の充実などを内容とする附帯決議が付せられましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  38. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  40. 瓦力

    瓦力君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  41. 保利茂

    議長保利茂君) 瓦力君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出
  43. 保利茂

    議長保利茂君) 沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。沖繩及び北方問題に関する特別委員長稲富稜人君。     —————————————  沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔稲富稜人君登壇
  44. 稲富稜人

    稲富稜人君 ただいま議題となりました沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、沖繩及び北方問題に関する特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、沖繩県復帰後における社会経済情勢変化等にかんがみ、内国消費税及び関税に関する特例期限延長等を行おうとするもので、その主な内容は、  まず、内国消費税については、沖繩県産酒類に対する酒税軽減措置揮発油税及び地方道路税軽減措置並びに料飲店用輸入ウイスキー類に対する酒税軽減措置期限を五年延長するとともに、砂糖消費税免除措置及び沖繩県産品に対する物品税免除措置免除または軽減措置に改めた上、その期限を五年延長することとしております。  次に、関税については、製造用原料品及び消費生活物資に係る減免措置期限を五年以内において所要延長等を行うとともに、発電用燃料油に係る免除措置及びいわゆる観光戻し税の制度について、その適用期限を五年延長することとしております。  本案は、二月十六日本委員会付託され、三月四日藤田沖繩開発庁長官より提案理由説明を聴取し、以後、沖繩県委員派遣を行い、現地において実情調査を行うなど、慎重に審査を進めてまいりましたが、本日質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  45. 保利茂

    議長保利茂君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 保利茂

    議長保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  47. 保利茂

    議長保利茂君) 内閣提出中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案について、趣旨説明を求めます。通商産業大臣田中龍夫君。     〔国務大臣田中龍夫登壇
  48. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  中小企業事業活動機会を適正に確保することは、中小企業基本法の制定以来、中小企業政策の重要な柱の一つとなっております。このため、すでに昭和三十九年、中小企業団体の組織に関する法律の一部改正により、中小企業と大企業との間に生ずるいわゆる事業分野をめぐる紛争について、これを当事者間の自主的努力基本として解決するための特殊契約制度が、商工組合の行う事業として創設されたところであります。  しかしながら、以来現在まで、この制度運用実績は乏しく、また、石油危機以降内外経済環境変化により、わが国の経済安定成長への移行を余儀なくされている中で、従前、中小企業が多く手がけてまいりました事業分野において、大企業の進出をめぐる紛争の発生が増大するに至りました。このような状況を背景といたしまして、時代の要請に合致した新しいルールをつくるという観点から、より実効の上がる法制を確立すべきであるとの要請が、国会における与野党一致決議を初めとして、各方面において高まることと相なった経緯は御高承のとおりであります。  政府といたしましては、このような情勢に対処し、中小企業と大企業事業分野調整のあり方について、中小企業政策審議会に検討をお願いいたしておりましたところ、昨年十二月、新規立法方向について各方面の意向を取りまとめた意見具申を受けたのでございます。  本法案は、この意見具申で示された方向に沿って、関係方面の御意見を十分聴取しつつ作成したものであります。  次に、本法案の概要について御説明いたします。  第一は、一定要件を備える中小企業団体申し出を受けて、主務大臣が大企業の進出に関し調査を行い、その結果を通知することといたしたことであります。これによりまして、中小企業団体が大企業の進出情報を早期に、かつ的確に入手し、適切な時点を選んで調整申し出を行うことが可能と相なるのであります。  第二は、中小企業団体調整申し出を受けて、主務大臣が、中小企業事業活動機会を適正に確保するために、学識経験者により構成される中小企業調整審議会の意見を尊重して、勧告により大企業者事業活動調整することとしたことであります。これにより、大企業の進出について、行政が積極的に対応し、迅速かつ的確に調整を行うことが可能と相なるのであります。  勧告によりまして大企業者事業活動調整する方法をとりましたのは、分野調整に際しましては、経済の効率化の達成や消費者利益の増進といった自由経済のメリットを可能な限り損なわないように配慮しつつ、多種多様な問題に対して機動的な調整を行う必要があり、そのためには、このような調整方法が妥当と考えられるためであります。  第三は、主務大臣が、調整申し出のありました案件に関し、大企業の進出が切迫している場合には、これを一時停止すべき旨の勧告を行い得ることとしたことであります。これにより、大企業の進出が既成事実化し、調整が難航することを防止することが可能となると考えられます。  以上が、中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案趣旨でございます。  慎重御審議のほどをお願いいたします。(拍手)      ————◇—————  中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  49. 保利茂

    議長保利茂君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。順次これを許します。中島源太郎君。     〔中島源太郎君登壇
  50. 中島源太郎

    ○中島源太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案につきまして、若干の質問を申し上げます。  申すまでもなく、わが国の中小企業は、事業所の数において約九九%、従業者の数において約七八%、生産、流通額において約五〇ないし六〇%を占め、国民経済の基盤を支えるきわめて重要な地位にあり、今後におきましてもこの重要な役割りは決して変わるものではないと考えるのであります。  しかしながら、中小企業を取り巻く現実の環境は、日に日に厳しさを増しておりまして、長期にわたる経済不況、発展途上国の追い上げなどによりまして、多くの中小企業が経営の危機にさらされておりますことは、最近における中小企業の倒産記録の更新に如実にあらわれているところであります。  その上、従来から中小企業が営々として事業を営み、その存立基盤としてまいりました事業分野に、大企業やそのダミーが進出して、既存の中小業者の存立をさえ危うくしている実情は、まことに憂慮にたえないところであります。  この大企業の進出事例は最近特に多くなっておりまして、たとえば庶民の生活に密着をいたしましたクリーニング、豆腐、もやし、葬祭業、さらには段ボール紙器、理化医ガラス等、枚挙にいとまない状態であります。  現在まで、このような業種における紛争事例は、ほとんどが解決済みと言われてはおりますが、結果的に、進出した大企業と併存という形で涙をのんで妥協せざるを得ないという現実は、中小企業者に大きな不安を残していると言わなければならないのであります。  政府は、これらの実態をどう把握し、どう対処しようとしているのか、これら進出企業の良識を欠いた企業行動をどう見るのか、また、中小企業庁ないしは通産省が中小企業の保護を考えるのにとどまらず、政府全体として大企業のモラル確立についてどのように指導を進めるのか、以上の点について、まず、総理のお考えをお伺いいたしたいのであります。  さて、中小企業事業分野に大企業などが進出いたしまして中小企業を侵害するという問題は、特に石油ショック以後、低成長期に入ったわが国の経済環境の中で、急激にクローズアップされてまいりました。  このような経済的、社会的環境の変化に伴う新たな事態に対処いたすべく、私どもは、中小企業を守るための政策の確立と立法措置がぜひとも緊急に必要であると考えてまいりましたが、今回、政府から提案されましたこの法律案で、果たして中小企業を守り得るかどうかという観点から、以下、法律案内容につきましてお尋ねいたします。  まず、大企業の進出計画につきまして、政府の手による事前調査の規定が入っておりますことは高く評価いたすものでありますが、中小企業団体から調査の申し出があったとき、機動的に対応できるような調査体制が果たしてできているのかどうか、その人員、機構、予算措置等、行政上の裏づけについてお伺いいたしたいと思うのであります。  次は、本法案の勧告措置についてであります。  本案では、大企業の進出が中小企業に打撃を与えると認めるときは、主務大臣が大企業に対し調整勧告をいたし、必要があれば一時停止勧告をすることとし、勧告に従わない場合はその旨を公表することといたしておりますが、この措置で勧告の実効を完全に確保できるというお考えなのかどうか、もし公表がペナルティーとしての効果を上げることができなかった場合にはどうするのかをまずお尋ねいたしたいのであります。  本案では業種指定の方法はとらず、ケース・バイ・ケースで、勧告などの措置によって調整を図ろうとするものでありますだけに、従来の行政指導による調整の実績に照らして、特にこの点を懸念するものであります。わが党といたしましては、勧告を聞き入れない場合には命令を発動し、なお従わないときには罰則を適用するという措置があってこそ、初めて中小企業を真に守り得ると考えるものでありますが、政府の御意見をただしたいのであります。(拍手)  次に、基本的な問題として、本法案では小売商業が適用除外となっておりますが、これは、小売商業関係者に大いなる不安をもたらすものではないかと思うのであります。従来からの中小企業分野に大企業が進出する事例は、実は地域的な小売商業の部門においてこそ圧倒的に多いのであります。さらに、デパート、大型スーパーにとどまらず、生協、農協の進出も看過できない問題でありますだけに、この小売商業を除外したのは、一体いかなる理由によるものか、御説明をお願いいたしたいと思います。  また、小売商業の分野は、大規模小売店舗法及び小売商業調整法の二法によって守り得るとのお考えであるとするならば、本法と大規模小売店舗法及び小売商業調整法の三法の運用の整合性をどのようにして保っていくお考えか、万一、その整合性を欠く場合は、あたら行政の複雑化を招くことになりはしないかと考えますが、政府の見解をお示し願いたいのであります。  特に、本法案において、大企業進出の既成事実化を防止するための事前調査の規定や、一時停止勧告の規定、さらには勧告違反に対する公表などの規定が設けられているのに対しまして、小売商業を守るべき小売商業調整法には、これらの規定が欠けておることになり、運用の強化のみをもっては対処し切れないと思われますので、整合性の面で商調法につきましても改正が必要であると考えるのでありますが、政府の見解を伺いたいと思います。  さらに、本法案において命令、罰則の規定を設けるといたしますれば、商調法も同じく改正すべきであると考えますが、重ねて政府の見解をお聞かせ願いたいと存じます。  なお、大規模小売店舗法につきましても、各県の条例によりまして個々に改定される実情に照らしまして、この際、しっかりと画一した基準を示しますためにも改正が必要であると考えますが、検討の用意がおありかどうか、この際あわせてお伺いいたしておきたいと思うのであります。  以上、本法案に関する質問を申し上げましたが、本法案により、大企業の進出問題を調整するだけで、中小企業が安定するわけでは決してありません。まして、中小企業分野に一線を画することは、一面から言えば過保護政策であり、かえって近代化をおくらせる結果になりはしないかという意見も確かに聞かれるところでありまして、中小企業が大企業に伍して堂々と対等に競争できるようにするための施策は、分野調整の前提として絶対に必要であると思うのであります。  この観点から、中小企業の高度化、近代化その他体質改善を進めて、これを一般消費者の利益に還元するための政策を特段に強化する必要がありますことを改ためて強調いたし、その政策について御説明を願いますとともに、最後に、中小企業基本法に示された諸般の施策を実態に即してきめ細かに推進しながら、今後とも過酷な生存競争にあえいでおられる中小企業の安定的発展を図るべきことを強く政府に要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  51. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えをいたします。  中小企業事業分野問題についての基本的な認識はどうかと、こういうお話でございますが、自由経済体制の国の社会におきましては、これは大企業中小企業、これらが調整がとれた形で相協力し、競争し合う、こういうことが大事であろう、こういうふうに思うのであります。  ところが、必ずしもそういううまい協調関係がとられておるという状態でもない事例が頻発するのであります。ことにこれから、高度成長時代は終わりまして、安定成長時代というような低い成長時代に入る、そういうような環境の中におきましては、これはやはり弱きを助け、強い者の行き過ぎを抑えるという配慮が特に必要になってくる、かように考える次第でございます。  さような見地から、今回新しい立法をお願いするということにいたしたわけでありますが、中島さんが御指摘になられたように、これはやはり法律もさることながら、企業家の倫理観、これが私は非常に大事だろう、こういうふうに思うのです。この企業家の協調と連帯の精神、もうエゴ的な行動はとらないという考え方が徹底いたしますれば、こういう問題は起こり得ないし、あるいはこんな問題ばかりじゃありません、買いだめ、売り惜しみだなんというようなああいう現象、公害のたれ流し、ああいうことも起こり得ないはずなんです。  私は、やはりこの際、わが国の企業、特に大企業におきまして倫理観を持ってもらいたい。そして、私が強調する「連帯と協調」の精神、これを経済社会の面におきましても浸透するようにさしていただきたいということを切に念願をいたしておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣田中龍夫登壇
  52. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  中小企業事業活動機会を適正に確保することは、かねてから中小企業政策の根本でございまするが、今回御提案いたしました法律案は、このような現状の認識に立ちまして、時代の要請に合致した新しいルールをつくることによって中小企業事業活動機会確保に万全を期する次第でございます。  事前調査規定を活用し得るために必要な予算及び人員の裏づけについてという御質問でございますが、中小企業調整官の新設及びこれを助けまするモニターの配置を行っておりまして、また、その活動に必要な予算の拡充等を行っておるところでございます。予算、定員の面の充実を図ってまいりたいと考えております。  次の御質問は、勧告、公表どまりの行政措置では実効を上げ得ないのではないかとの御指摘でございまするが、多種多様なこれらの問題に対しまして、機動的な調整を行いまするには、むしろ本法案におきまするような勧告、公表といったような方法が最もふさわしいのではないか、かように存じます。分野調整対策に遺漏なきを期するためには、命令、罰則規定を追加すべきではないかという御意見でございます。この点は、わが国の経済運営の基本に触れる問題でもございまするが、また、一般消費者の利益の保護等にも配慮をする必要もございますので、政府といたしましては、慎重な取り扱いを望みたいと考えております。  次は、分野法の対象から大企業の進出が最も多い小売業を除いたのは何ゆえかとの御質問でございまするが、これらの特性に応じまして、地域的調整を生かす形で大規模小売店舗法、あるいはまた商調法がある次第でございまして、すでに設けられておりまするところから、本法の対象としないで、むしろこれらの点は、大店舗法なり商調法にゆだねる方がよいのではないか、かように存じます。  次は、商調法と分野法の整合性をとるために改正が必要なのではないかとの御指摘でございます。さしあたり、同法の運用の改善などによりまして、小売業におきまする紛争の円満な解決の促進に努めてまいる所存でございまして、今後とも、小売商業のあり方につきましては総合的に検討してまいります。  最後に、本法に命令、罰則規定が導入された場合においては、この点について商調法の改正が必要ではないかという御意見でございまするが、商調法は、本来、中小小売商とそれ以外のものとの間に生じまする幅広い紛争に機動的に、弾力的に対処する法制でございます。命令、罰則を追加することにつきましては慎重に検討をいたしたい、かように存じます。  なおまた、これらの流通の面につきましても、今後、大店舗の進出に伴いまする紛争調整等の問題につきまして万全を期してまいる所存でございます。(拍手)     —————————————
  53. 保利茂

    議長保利茂君) 清水勇君。     〔清水勇君登壇
  54. 清水勇

    ○清水勇君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のあったいわゆる中小企業分野調整法案について、福田総理並びに田中通産大臣にその所信をただしたいと思います。  さて、私は、本法案がここに政府の手で上程されたことに無量の感を覚えるものであります。すなわち、わが党は、他党に先駆けて、三十九年の第四十六国会に中小企業者の事業分野確保に関する法律案提出して以来、終始一貫、今日までこれが成立に全力を尽くしてまいりました。しかしながら、大企業中心の立場に立つ自民党と歴代政府のかたくなな態度によって日の目を見ることができず、今日まで実に十三年の長い歳月を要したのであります。(拍手)  この間、低成長経済への移行という新しい事態を迎え、大企業がそれまで見向きもしなかった中小企業分野へ次々と参入し、深刻なトラブルを多発するに至りました。これに対し、通産当局は、行政指導や紛争調整を行いましたが、ほとんどその実効を上げ得なかったのであります。  かくて、危機に立つ中小企業者が団結し、中小企業分野法促進協議会が発足をいたしました。  わが党は、こうした新しい情勢と深刻化する不況を踏まえ、与野党各党のコンセンサスとして、第七十七国会商工委員会中小企業事業分野の確立に関する全会一致決議の実現を図り、政府が速やかに法的措置を講ずるよう促したことは御承知のとおりであります。  福田総理、私は初めに、本法案に関連して、あなたの政治姿勢を問わざるを得ません。  総理は、かねて保守本流を自負しておりますが、保守本流とは、すなわち財界本流を意味し、政策的には独占擁護、大企業本位の本質を自負するにほかなりません。それゆえ、政府案の基本的性格が、大企業者中小企業分野への参入を容認し、中小企業者との間の紛争が生じた場合、その調整に当たるという後ろ向きになっているのであります。  十余年にわたって求めてきた法的措置は、中小企業者の事業分野をいかに確保するかであります。この命題に背き、事を紛争処理に矮小化することは、断じて許されるものではありません。(拍手)  言うまでもなく、市場経済における寡占の弊害を除去するために独禁政策が展開をされております。ところで、独禁政策は、市場経済を自由競争に任せ、弊害があらわれたらこれを除去し、補正する性質のものであります。しかしながら、その実効を期するには、寡占構造ができないよう予防措置をとることが必要ではないか。また、いわゆるスケールメリットの限界がはっきり出ている今日、市場経済のあり方にメスを入れるときではないかと思うのであります。  分野法を考えるに当たって、こうした観点と同時に、中小企業者が地域に密着し、住民の需要を的確につかみ、商品の供給を通じて住民と一つの生活圏を形成してきたことを銘記すべきであります。  そこで、本来中小企業に任せることが適切な分野については、これを中小企業者に担当させ、その上に、適正な競争、近代化や技術の向上、消費者利益の増進など、必要な中小企業振興政策を強化すべきと考えますが、まず、こうした基本問題について明快に答えていただきたいのであります。  ところで、通産大臣、あなたは独禁法の改正強化に対してもそうですが、この分野法の制定について全く消極的であり、遺憾であります。あなたの所管する中小企業庁は、一口に言って、国民経済を健全にし、経済力の集中を防止するため、中小企業を健全に育成し、発展させることが目的であります。にもかかわらず、大企業に目を向けて、恐る恐る法案を持ち出すという態度は言語道断であります。身勝手な大企業の進出を規制するのが当然ではありませんか。しかるに、業種の指定や大企業の進出規制は、営業の自由を奪い、憲法違反にもなりかねないと主張してみたり、大企業に対して緩やかな法規制で臨みたいなど、なまぬるいことを言い続けてきたのですが、まさに主務大臣としての責任回避であります。現に、自民党内にさえ反発が出ているではありませんか。この際、改めて大臣の心境を聞かせていただきたいのであります。  次に、具体的内容について、問題点と私の考えを述べながら、お尋ねをしたいと思います。  その第一点は、大企業の進出を事前に有効にチェックするためには、業種指定をとることが正しい措置と考えます。ところが、政府は、業種指定を避け、かわりに中小企業団体申し出によって、相当数の中小企業の経営に悪影響を及ぼす大規模の事業の開始または計画について調査を行い、審議会に諮って調整勧告等を行うというだけであります。とうていこの程度で目的を果たすことはできません。  われわれはかねて、分野法は、国民経済中小企業分野として確保することが適切な業種を定め、大企業者の進出に必要な規制を加え、もって中小企業の存立基盤を擁護し、経済秩序を維持するものであるよう主張してまいりました。前にも触れたように、中小企業者は地域社会に根差し、国民生活の向上に努めております。そうしたところへ大企業が直接、あるいはダミーを使い、巨大な資本をつぎ込んで出てきたら、一体既存の中小企業はどうなるでありましょう。転廃業に追い込まれるもの、生活権を失う雇用労働者、そして経済の集中による弊害が生ずる等、火を見るよりも明らかで、国民経済の健全な発展を阻害することは明白であります。  まさしく、業種指定を行うことは、本法の大前提でなければなりません。政府案のごとく、単に事業開始の時期の繰り下げや規模縮小の調整勧告だけではとうてい役に立ちません。本法案をめぐり、政府が仏つくって魂入れずと非難をされるのは、けだし当然であります。この点、特に明快な答弁を要求するものであります。  第二点は、実効確保をどうするか。政府案は、大企業者が勧告に従わないときは公表すると言いますが、その程度で大企業者が言うことを聞くとでも思っているのでしょうか。  そこで、この際、具体的な提案を申し上げたい。  第一に、指定業種で現に事業を営んでいる者、新たに営もうとする者は、主務大臣に届け出を行わせること。第二に、一家の指定業種について、大企業者は新たに事業を営み、または設備の新増設、経営規模の拡張ができない旨の制限措置をとること。第三に、大企業者事業活動により相当部分の中小企業者が圧迫を受けると認めるときは、大企業者に圧迫の緩和措置をとるよう命令できること。そして第四に、大企業者が資本的、人的関係において制限措置がとられている分野に支配力を及ぼしてはならない規定を行い、これが違反行為の排除措置を命ずることができるよう、それぞれ明文化すべきであります。  以上の当然包含すべき重要規定政府案に全く欠落していることは、実効性を薄める以外の何物でもありません。  また、罰則について言えば、いま申し上げたような規制措置の実効を確保するためには、違反行為者に対し罰則をもって制裁すべきは当然であります。政府案はまさに申しわけ的規定であって、実効確保は期しがたいと思います。あわせて、明確にお答えいただきたいと思います。  第三点に、規制措置をとる業種の振興対策について伺いますが、通産大臣、分野確保の法的措置を講ずると、中小企業者は安閑とし、近代化など経営努力を怠り、消費者サービスの低下が考えられるという意見が通産内部にあると仄聞をいたします。とんでもない話であります。今日、中小企業者は、消費者へのサービス向上が企業の生き延びる道と受けとめて、必死に経営に当たっております。私は、むしろ大企業の進出で、独占的な市場支配が強化されていく結果こそが消費者の利益を損なうものと思うのであります。  さて、ここで強調したいことは、中小企業への指導と助成を強め、品質の向上、価格の安定、技術の改善、技術者の育成など、中小企業に対する必要な振興措置をとることが今日的な重要課題と考えますが、この点につき政府は具体的にいかなる計画を持っておられるか、お聞かせいただきたいのであります。  第四点。これも大事な問題でありますが、政府は小売業を適用除外にいたしていますが、全く納得がいきません。今日、スーパーなど大規模店の進出が地域の中小商業者をどれほど圧迫しているか。また、書籍業などを見ると、一部私鉄大手も加わって、郊外や地方中小都市に大店舗が進出し、伝統ある地方文化の向上に寄与してきた中小書店を著しく圧迫する事例は、枚挙にいとまがありません。  これらに対し、政府は現行の大規模小売店舗法、いわゆる大店法や小売商業調整法、いわゆる商調法で規制できるという考えですが、大臣、それで本当に有効な規制ができますか。私は、ノーと言わざるを得ませんが、もし確信がおありなら、それをお示し願いたいのであります。  御承知のように、商調法はまだスーパーなどが存在しない三十四年の制定ですし、大店法はまた四十八年のオイルショック以前に制定されたものであります。したがって、制度の立て方が今日の情勢に適合しないものが随所にあることは、大臣も知らぬはずはないと思います。それとも、分野法の制定に合わせ、この際、両法を改正強化して、小売商業の分野における大企業の進出を規制するという考えを持っておられるのか、その辺も明確にお答え願いたいのであります。  最後に、審議会のあり方と主務大臣の権限、地方自治体との関係についてお尋ねいたします。  さて、名称はともかくとして、審議会は当然のこととして中小企業者の意見が十分に反映できるよう、委員の人選、会議の運営が保障されなければなりません。また、主務大臣の権限のうち、都道府県知事に実質的にゆだねることが分野確保上よりベターと認められるものは、都道府県知事に委任するか、その判断を尊重することが妥当と考えますが、この二点についてはいかがでありましょう。  質問は以上でありますが、福田総理並びに田中通産大臣は、全国七百万の中小企業者が注視をしていることにかんがみ、これが切実な願望にこたえる所信を披瀝されるよう要求し、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  55. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) 清水さんから、私は大企業本位の保守本流である、こういうお話でございますが、私はしばしば言っているのです。国民本位である、日本本流であるというふうに申し上げておるのです。(拍手)その点は、しかと間違いないように御承知願います。  そういう清水さんの立場から、国会の決議政府案は無視して、分野確保から紛争調停というように後退しているじゃないか、そういうお話でありますが、この法案の名称は調整でございます。しかし、内容をよくお調べ願いますれば、これは中小企業分野確保するための調整である、かように御承知を願いたいのであります。しかも、この法案の作成に当たりましては、これは中小企業政策審議会、会長は有沢広巳さんです。あの公正な有沢さんが中心となってまとめた案を取り入れているということをもちましても、これは決して国会の決議から後退したものじゃない、国会の決議を現実に生かしたものである、こういうふうに御理解を願いたいのであります。  また、今回の立法では業種指定を外しているのはいかぬじゃないかというお話でございますが、何が中小企業に適した業種であるか、何が大企業に与えらるべき分野であるか、これを客観的に決めるということは非常にむずかしいと思うのです。よく御検討を願いたい、こういうふうに思います。  また、さらに、勧告だけでは足らぬじゃないか、これは罰則規定を必要とするのじゃあるまいか。私は、今日のようなこういう社会モラルの進んだ社会におきましては、勧告があり、それが公表されるというようなことになりますれば、これは相当の効果があると思うのです。しかし、それがあるかないか、これは国会におきましても十分御検討願いたいということをお願い申し上げます。(拍手)     〔国務大臣田中龍夫登壇
  56. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  通産大臣が本法案に消極的で、責任回避に終始しているじゃないかというようなことでございまするが、断じてさようなことはございません。(拍手)  中小企業事業活動機会確保は、中小企業政策の重要な柱の一つでございまして、大企業の進出による不当な利益の侵害から中小企業を守るという基本的な考え方は、毫も揺らいでおるわけではございません。  次に、本法案の実効を確保するために、まず業種指定、それから届け出制の問題大企業への命令規定等を導入すべきではないかという御意見でございまするが、業種指定には、ただいま総理からも申し上げたごとくに、客観的かつ公正な指定基準がなかなか得られがたい、かようなことで、審議会におきましてもこの点は検討をいたしたのでございまするが、採用しがたい、また、命令規定の導入はわが国経済の運営の基本に触れる問題もありまして、自由経済のメリットを損なうおそれも、懸念なしといたさないのでございます。「大企業者の責務」というこの規定を設けましたことは、大企業の行動について、中小企業への不当な進出を抑制いたしておる次第でございます。  次は、規制措置をとる業種について指導、助成を強化すべしとの御指摘でございます。調整を行いまするに際しましては、同時に、中小企業団体に近代化、合理化の方策を示し、指導を行い、これを推進したい考えでございます。  本法の適用除外に絡みまして、大店法、商調法を改正するかどうかという御質問でございまするが、本法案に整合いたしました商調法の改正の点につきましては、商調法自身幅広い活動が可能なために、当面運用の改善によりまして紛争の円満な解決の促進に努めてまいりたい、かように考えております。  また、審議会に中小企業者の意見を十分に反映させるための方策につきまして御指摘がございましたが、審議会のメンバーに中小企業界の代表の参加を求めることはもちろんのこと、具体的調整に当たりましては、関係中小企業者の生の声を審議会の審議に反映させることによりまして適切な運営に努めることができる、かように考えております。  最後に、都道府県知事への権限委任をしていないのは、広域的な案件がほとんど見込まれますためでもあり、このような案件の調整に当たりましては、地元の声は審議会に十分反映させることにいたしておる次第でございます。  以上、お答えをいたします。     —————————————
  57. 保利茂

    議長保利茂君) 長田武士君。     〔長田武士君登壇
  58. 長田武士

    ○長田武士君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。  中小企業事業分野への大企業の恣意的な進出は、いまに始まったものではございません。昭和四十八年の石油ショックによる狂乱物価と、それに引き続く世界的な不況の長期化により、日本経済は減速を余儀なくされております。特に、このような状況下において、大企業はみずからの事業分野の拡張を目指し、相次いで中小企業事業分野にまで進出してきたのであります。また、これからのわが国の経済の推移を考えても、こうした大企業の進出がますます中小企業の存立基盤を脅かすことは明らかであります。  したがって、大企業の無差別な進出に歯どめをかけ、中小企業事業分野との調整を図るための法制化は、緊急の課題となっております。  わが党は、第七十二国会以来、中小企業と大企業事業分野調整を目的とする法律案を国会に提出し、その推進を図ってまいりました。政府は、昨年十二月、ようやく中小企業政策審議会より意見具申を受け、今国会への法案提出に踏み切ったのでありますが、これは遅きに失したと言わざるを得ないのであります。  しかも、ただいま政府から提出された本法案内容は、多くの問題点を持っております。すなわち、分野調整に関する業種指定を見送り、また、大企業の進出計画を縮小、中止する必要がある場合でも勧告することにとどめ、その上さらに、本法案の適用から小売業を除いてしまったのであります。これでは、中小企業分野への大企業の進出に対し、これを抑え、調整する実効性の乏しいものと言わざるを得ないのであります。  そこで、まず総理に質問いたします。  総理は、かねてより助け合い、補い合うことをモットーとし、「協調と連帯」こそがこれからの社会に必要な行動原理であると述べられております。こうした観点から言えば、社会的に弱い立場にある中小企業が大企業の圧迫を受けないようにすることこそ、総理の所信にかなったものであると思いますが、この点について総理の基本的な考え方を明らかにしていただきたいのであります。  以下、具体的にお伺いをいたします。  その第一は、業種指定の問題であります。  私どもは、かねてより、大企業の進出によって中小企業者の経営が不安定となるおそれがある場合、事前に業種を指定すべきことを主張してまいりました。業種指定を行うことは、決していわゆる営業の自由に反するものではないはずであります。  そもそも、大企業中小企業を全く同一次元に位置づけて競争させることが、果たして公正な競争と言い得るのでありましょうか。資本、組織、技術開発などの総合的経営能力から判断しましても、大企業の優位性は否定し得ないものであります。したがって、同一業種の市場競争で、真に営業の自由を確保できるのは大企業のみであると言っても過言ではございません。  また、業種を指定することは、消費者の利益を侵害し、中小企業の近代化をおくらせるという見方もあります。しかし、日本経済の歴史の上から見ても、大企業の進出が、やがては市場の寡占化を進め、物価のつり上げと同時に、社会的不公正の原因をつくり出し、国民生活に多大な悪影響を及ぼしてきた事実こそ重視しなければなりません。  そこで、わが党としては、大企業の無謀な進出から中小企業事業分野を守るには、あらかじめ、大企業の進出を規制する業種を定めておくことが、事前チェックを行う上からもきわめて有効であると考えるものであります。  しかるに、本法案では、何ゆえに、この業種指定を見送ってしまったのか、その理由について、明確なる御答弁をいただきたいのであります。  第二には、政府は、業種指定にかわるものとして、事前調査規定を追加いたしました。  わが党といたしましても、この事前調査規定については、一応は評価するにやぶさかではありませんが、しかし、この調査規定は、中小企業団体が調査の申し出をし、それが相当の理由があるものと認められてから、初めて調査が行われるというように、きわめて消極的なものとなっております。したがって、大企業の進出を事前にチェックするという目的から見て、その実効性はきわめて乏しいものと言わざるを得ないのであります。  果たして政府は、本法案をもって、中小企業者の要求に沿った調査が十分できると考えておられるのかどうか、この点について総理のお考えを伺いたいのであります。  第三に、勧告措置についてお伺いをいたします。  政府案には、大企業の進出を調整する措置として、大企業に対し、事業開始時期の繰り下げ及び計画実施の一時停止などの勧告ができるとなっております。しかし、これらの勧告に大企業が従わなかったときは、その旨を公表するのみで、何らの改善命令、中止命令をも含んでいないのであります。したがって、この勧告規定のみでは、やり得といった事態を生じ、中小企業者を守ることができないばかりか、本法案の目的が空洞化してしまうおそれすらあるのであります。  総理は、これらの勧告、公表規定のみで、大企業の進出を抑えることができると考えておられるのかどうか。  わが党としては、本法案の効果をもたらすためには、大企業が勧告に従わない場合に、これに従うよう命令することができるとの規定を設けることが、ぜひとも必要であり、同時に、命令に従わない場合の罰則規定を設けるべきであると強く主張するものであります。(拍手)これに対する総理の見解をお伺いしたい。  第四には、小売業を本法案の適用除外としている点であります。  今日、小売業界における大企業の進出が著しく、大きな社会問題となっていることについて、総理はこうした現状を十分認識されておられるのかどうか。現行の大店法、商調法の運用では、小売業界の紛争を一向に解決し得ない状況にあることは、多くを論ずるまでもありません。それにもかかわらず、本法案では、何ゆえに小売業を適用除外されたのか、この点について、明解なる御答弁をいただきたいのであります。  また、地方自治体が独自で、大規模小売店規制の条例化を推進する動きが見られますが、こうした地方自治体の動きは、現行法が不備なためであります。政府は、この点について、どのような見解を持っているのか、伺いたいのであります。  以上、特に重要と考える問題点を指摘し、質問してまいりましたが、わが党は、本法案を実効性のあるものとするために、業種指定の導入を初め、命令、罰則規定の明文化とともに、小売業への適用等について規定するよう強く本法案修正を求めるものであります。(拍手)そこで、総理に、その修正の意思があるかどうか、お答えをいただきたいのであります。  最後に、中小企業の倒産は、年々増加の一途をたどり、三月度における倒産件数は、史上最悪の千七百件台を突破するという厳しい状況であります。政府は、かかる事態をいかに認識し、どう対処されようとしているのか、明快なる御答弁をいただきたいのであります。  いまや、国際経済とともに、わが国の経済は歴史的な転換期を迎え、いまこそ、高度経済成長時代における大企業の自由を放任した市場原理が生み出した社会的不公正を速やかに是正していかなければなりません。そして、政府みずからが責任を持って社会的に弱い立場の人たちを守る経済構造への改革を図ることこそ、当面の急務であることを強く訴えて、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  59. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) 中小企業を大企業から守るという考え方、これは私が言う「協調と連帯」という精神と同じものかということでございますが、私が言っておりますのは、大企業中小企業もおのおの相独立して存在し得るものではない、相寄り相補い合いまして共存共栄ということが初めて実現できるんだ、そういうことが法律がなくとも実現されるということが望ましいのです。しかし、やはり法的な一つのルールをつくっておいた方がよかろうということで、この紛争調整法を立案をいたした、こういうことでございます。  それから、小売業の分野におきまして大企業の進出に伴い著しい混乱が生じておるということを認識しておるのか、こういうお話でございまするが、これは最近、大型店舗が急速に進出をしておる。そして特に地方都市への進出が顕著である。そのため、また紛争がずいぶん出ておるということはよく承知しております。  政府といたしましても、この問題には、既存の大規模小売店舗法、小売商業調整特別措置法等の運用でまあまあこの調整に当たってきて、まずまずの成果を上げておるというふうに存じますが、この運用を強化するということによりまして対処し得るということで、小売業の分野を今回の法案から除外をする、こういうことにいたしたわけでありまして、先ほど申し上げました有沢審議会、これにおきましてもそのような見解でございます。  業種指定の問題、また勧告にかえて命令、罰則を付すべしという御見解、これにつきましては先ほどお答えしたとおりでございます。  それから最後に、いろいろの御意見を述べられました。その御意見を取り入れて政府法案修正をする用意があるか、こういうようなお話でございますが、これは中小企業政策審議会の十分な審議を得て、慎重審議決めたものでございますので、ぜひとも原案に御賛成を願いたい、十分の御審議を願いたい、かように存ずる次第でございます。  また、中小企業は現在きわめて厳しい環境に置かれておる、政府はこうした事態をどう認識し、どう対処するかというお話でございますが、中小企業対策は、予算上、行政上いろいろな政策をとっていることは皆さんが御承知のとおりでございます。しかし、何よりも大事なことは、いま停滞しておる景気を回復させることである、こういうふうに存じております。この景気回復のために全力を尽くす、これが最大の中小企業対策である、かような認識を持って景気の回復に邁進をしたい、かように存じております。(拍手)     〔国務大臣田中龍夫登壇
  60. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  ただいま総理からまことに詳細にお話がございましたので、私の所見を通産大臣といたして申し上げる次第でございます。  業種指定の問題につきましては、御案内のとおりに、中小企業政策審議会におきましてこれは十分にいろいろと検討を尽くしたのでございまするが、結局今回の場合におきましては、この答申に従いまして、業種指定をいたさない。それは、消費者の利益の侵害になるなどの弊害もいろいろと懸念されますので、ここに客観的な公正妥当な基準が見出しがたいという点から外した次第でございます。  次に、事前調査の要件が厳しく、中小企業者の要求に十分にこたえないではないかという問題でございまするが、既成事実化を防止いたしまするために、早い時期に問題に対処いたしまする道をこの事前調査ということで開いた次第でございます。  なお、この規定趣旨にかんがみまして、できる限り弾力的にまた中小企業者の申し出に応じる十分な配慮をもってこれを善処してまいりたい。  なお、大企業の進出抑制の実効を上げるために、命令、罰則の規定を設けるべきではないのか、勧告だけでは足りない、こういうことでございまするが、本勧告の中におきましては、従来と違いまして一時停止ということが強く出されておる次第でございまして、多種多様な問題に対して機動的な調整を行いまするためには、本法のようなソフトな方法が一番ふさわしいのではないか、かように考える次第でございます。  また、小売業を本法の適用から除外するというのは、ただいま総理からも申し上げましたが、つまりを申すならば、小売関係は大規模店舗法と商調法、これによりまして全部一応包括されておる次第でありまして、分野調整法におきましては製造業、卸業、サービス業、この分野におきまする法律でございますので、ここに小売を外したような次第でございます。  なおまた、大店法の対象外の大型の店につきまして、地方自治体の条例制定等のこともございまするが、地方の実態を踏まえました合理的な内容の問題につきましてはいろいろと問題もあり、流通の近代化政策の重要な一環でございますので、余りこれによりまして規制がばらばらにならないように、今度の分野調整法によりましても、今後かような問題を十分に配慮いたして善処してまいりたい、かように考えております。(拍手
  61. 保利茂

    議長保利茂君) 宮田早苗君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔宮田早苗君登壇
  62. 宮田早苗

    ○宮田早苗君 私は、民社党を代表して、本院に提案されました中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案に関し、数点の問題点を指摘し、政府の明快な御答弁をいただきたいと思います。  中小企業を取り巻く環境はきわめて厳しく、また、将来展望の持てない戦後最悪の局面にあります。中小企業分野調整法制定運動が中小企業諸団体の間からほうはいとして起こり、国会においても本格的に議論されるようになりましたのは、去る四十八年の石油ショック以後の成長の鈍化という厳しい経済情勢を背景にしているのであります。  私ども民社党は、中小企業がわが国経済、ひいては国際経済に寄与する最も重要な産業分野であることにかんがみ、昭和三十九年の国会に法案提案したのであります。しかし、歴代内閣と与党自民党の取り組むところとならず、今日まで実に十有余年の時をいたずらに費やしてきたのであります。  五十二年度予算はどうにか成立しましたが、政府が予算審議等で繰り返し強調しました景気回復の兆しは一向に見られません。福田内閣の最大の使命は何か。経済を軌道に乗せることであり、暗やみの経済運営に終止符を打つことであります。約七百万の中小企業経営者に指針を示してほしい、こう思うのであります。  総理並びに通産大臣、現下の実態をどうとらえ、中小企業施策をどう推進なさるのかをまずお伺いし、以下、法案内容について質問を続けます。  提案されました政府案に盛られております調査、調整勧告、停止勧告といった従来のような行政指導型では大企業の中小分野への進出の歯どめにならないという意見関係業界団体に根強いのであります。私どもも同様の主張であります。これに対し、政府案以上の強制力を持たせた場合、これが自由競争の原理原則に触れ、企業の活力を低下せしめるという指摘が一方にあります。  民社党は、経済政策の将来像を、自由競争の中にも計画性を取り入れるべきだという基本的な姿勢を党是としているのでありますが、本法の制定が中長期的な産業構造政策の中でどう位置づけられているのか、通産大臣の御所見を承りたいのであります。  この件に関し、行政指導型からもう一歩踏み込み、大企業の中小分野への進出を命令、罰則によって排除するより強制力のある法律とした場合、独占禁止法の運用という観点から公正取引委員会との関係が問題になると思うが、通産大臣の御意見を承りたいのであります。  中小企業分野法律によって確保することの是非がここ数年にわたって議論されてきたのでありますが、調整法の制定によって中小企業の経営近代化、あるいは技術開発に対する熱意が薄れるのではないかという見方が一方にあります。私は、中小企業は地域に密着をし、持ち前のバイタリティーで国民経済に大きく寄与してきた過去の実績から、これは単なる危惧にすぎないと思うのでありますが、従前にも増して、政府中小企業政策は国民のニーズの多様化に即したものでなければなりません。  長期にわたる構造不況で業種転換を迫られている業種、業界がある今日、政府はどう対応なさるか、お尋ねいたす次第であります。  オイルショック以後、多発しました大手と中小の紛争処理は、所管省庁の行政指導によって解決してきたわけですが、新法の制定に当たり、中小企業団体法にあります特殊契約条項は事実上空文化するのでありますが、通産省としては、将来同法の扱いをいかがするお考えか、お聞かせ願いたいのであります。  最後に、本法律案の過程で、大型店舗法、商調法の改正問題がクローズアップされてまいりましたが、大型店舗と中小商店の共存共栄を図る見地から、同二法を含め、流通問題の抜本的改革を図るため再検討すべき時期に来ていると思うが、通産大臣いかがでしょうか、お聞きいたします。  以上、私は、基本的な幾つかの問題に限定して質問してまいりましたが、今後商工委員会において個々の問題点を整理し、法律制定を渇望しておられます中小経営者のためにも本国会で決着をつけるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  63. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  わが国経済の展望はどうかという御質問でございます。申し上げるまでもございませんけれども、あの三年半前の石油ショックで世界経済が今日大混乱に陥っておるのであります。そういう中におきまして、わが国経済は、五十一年、昨年はとにかく先進諸国の中では一番高い成長を実現をいたしたわけであります。ところが、その成長が上半年に偏りまして、夏ごろから景気が停滞現象に入って、徐々に回復過程にはあるものの、その過程がきわめて緩やかな状態である。そういう中で、わが国におきましても世界経済と同様に、とにかく三年余りの不況の状態でありまするから、企業においては疲労を感ずる、あるいは金利の負担に耐えかねるというような状態が見られ、このままほうっておきますると、日本社会全体に無活力の状態を実現しはしないか、そういうようなことを心配いたして、政治の当面する最大の課題は、経済の回復を断行して、そして日本経済に活力ある展望を持っていただくということではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  幸いに、一昨日から新年度、五十二年度予算が実施できるような状態に入ってきたわけであります。そういう機会をとらえまして、昨日は日本銀行においては公定歩合の引き下げを行うという決断をいたし、また今朝、政府におきましては閣議におきまして、五十二年度公共事業費、これは約十兆円になりますが、その七割は上半年において契約を実行をする、その七割のさらに七割、五兆円であります、この五兆円は四月−六月期において契約を行う、こういうことを決定いたし、公共事業推進本部を設けまして、毎月毎月その実施状況をチェックするということを決定いたしたわけでありますが、この公共事業がかなり影響するところが多かろうと思います。これを補うに金融政策、つまり公定歩合の引き下げに伴いまして、これも政府がけさ決めたのでありまするが、貸出金利の引き下げもこれを進めるということになりますれば、これも企業の経営改善にあずかって力があるであろう、こういうふうに考えております。  五十二年度におきましては、六・七%成長ということを考えておるのでありまするが、六・七というようなきっちりした数字になるかならぬかわかりませんけれども、その程度の経済成長はぜひ実現をいたしたいし、また実現をできるし、もしこれを妨げるような要素がありますれば、それに対しましては有効なる手段をとる、こういうふうに考えております。(拍手)     〔国務大臣田中龍夫登壇
  64. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたします。  まず第一に、中小企業の位置づけの問題でございますが、今日の日本におきまして、御案内のとおりに企業数から申すならば九九%を占め、同時にまた、それに従事されます関係の人口数から申しましても、労働者諸君の数から言いましても、実に全国民の過半数を超えるのが中小企業関係でございますので、この問題は単なる経済問題だけではなく、社会関係といたしましてもとらえてまいらなければならない大問題でございます。  さて、ただいま先生のおっしゃいましたように、これらの中小企業の問題につきましての法制化の問題でございますが、やはりいろいろと近代化が進むにつれまして、従来の行政指導からさらに一歩踏み込みましたルールづくりを、この際、法制を整備することによって整えてまいりたい、かように存ずるのでございますが、かような意味におきまして、この事業分野調整問題に持っております基本的な姿勢というものは、やはりそこにはあくまでも、仰せられましたように大企業中小企業というものの一つの連帯性のもとにおきましてとらえてまいらなければならない、かような意味で、審議会におきましては、非常にこの分野調整の問題につきましては真剣な討議が重ねられまして、この結論を得たような次第でございます。  なお、御指摘の中の特殊契約制度の今後の取り扱いはどうするか、こういう御質問でございますが、紛争当事者の自主的な解決を基本といたしました紛争処理制度でありますこの特殊契約の制度は、これは本法案とは別個の制度でございますので、新法が制定されました後におきましても併存させる考えでございます。なお、これらの当事者間におきます紛争の自主的な処理ということは、やはり基本的には非常に重大な問題でありまして、本制度を残してまいりたい、かように存じております。  次は、本制度の設立の過程におきまして、大店法、商調法の改正問題がクローズアップされておりますが、大店舗と中小商店との共存共栄の見地から、同二法を含めまして、流通の問題の抜本的な改革のために再検討する時期も到来いたしているのではないか。なお、総合的に考えるべき問題がございますが、当省といたしましてはかようないろいろな観点から、関係者との意見調整を図りながら検討を続けてまいる所存でございます。  中小企業の近代化、合理化の推進の問題につきましては、この構成員たる中小企業者の講ずべきいろいろの今後の諸案件を通じまして、われわれといたしましては高い見地からこれが指導に当たってまいる、かように存じておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  65. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) 安田純治君。     〔安田純治君登壇
  66. 安田純治

    ○安田純治君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、中小企業事業活動機会確保のための大企業者事業活動調整に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。  すでに広く知られているように、三年以上にも及ぶ長期の不況、国民消費支出の低下に加えて、大企業の新たな市場拡大策としての相次ぐ中小企業事業分野への進出によって、広範な中小業者の経営は、二重、三重に苦しめられております。  この経営危機を打開し、中小企業の経営の安定と振興を図ることは、ひとり中小企業のためだけではなく、雇用の安定など、国民生活を守り、健全な日本経済の発展のためにも欠かせない重要な問題であります。  さらに、大企業や外国会社の横暴な進出、経済撹乱行為などを民主的に規制することは、独占禁止法の改正、強化と軌を一にするものであり、分野確保法律の制定はきわめて当然のことであります。  今回、政府が、中小企業事業機会を奪う大企業の横暴な進出に対して、一定の抑制措置をとろうとする本法案提出せざるを得なかったことは、分野法制定促進協議会に結集した中小企業団体を初め、広範な中小業者の運動の貴重な成果であります。  日本共産党・革新共同は、すでに昨年、独自に中小企業事業分野確保するための法律案提出し、また、ことしの三月には、本当に中小企業の経営を守るために効果のある法律の制定を要求して、政府に申し入れも行うなど、一貫して中小業者の皆さんとともに奮闘してまいりました。  しかし、今回提出政府案は、中小業者の皆さんの要求、私どもの主張からすれば、実効性について幾つかの重大な弱点を持ったものであります。  まず最初に、この法律案にあらわれた、福田内閣の政治姿勢について伺います。  そもそも、中小企業事業分野に大企業が相次いで進出している事態を規制する件については、昨年五月二十四日、本院商工委員会で、「政府は、可及的速やかに中小企業者の事業分野確保に関する法的措置を確立すべきである。」と、明確に事業分野確保の法の制定を、自民党を含めた五党一致で決議しておるのであります。にもかかわらず、政府は、事業活動調整法案提出してきました。これは国会の意思を踏みにじり、かつ、国民の要求に背を向ける福田内閣の政治姿勢を示すものにほかなりません。  なぜ、国会決議を尊重して分野確保法としなかったのか、国会の意思に背いた法案提出したことを反省するかどうか、さらにその姿勢を反省して必要な修正を行って、分野確保の実を上げ得るものとする意思があるかどうか、総理並びに自民党総裁としての明確な答弁を求めるものであります。  次に、法律案の主要な問題点について質問をいたします。  第一に、大企業への実効ある規制措置のほとんど欠如した骨抜き法となっている点であります。審議会の意見具申も、「実効の上がる法制を検討する必要がある」と述べているのであります。しかし、政府案では、大企業に対して勧告し、勧告に従わないものは公表するという程度でとどまっており、現行の大規模小売店舗法よりも緩やかなものであり、このような大企業に対する強制力のない政府案では、実効の上がる法制とは言えないことが明らかであります。  かつて、資本金三百四十億円の旭硝子が、理化医ガラス業界に進出しようとしたとき、通産省のあっせんで中小業者と二回も念書を取り交わしておきながら、それを無視して進出し、中小業者に回復しがたい損害を与えた事実は、政府も承知のことであります。  このような大企業の商業道徳をも無視した行為の数々の事例は、大企業に対する事業停止命令など、必要な命令を行うこと、命令に従わないものには罰則を科すなどの措置がどうしても必要なことを明白に示すものであります。命令、罰則条項を加えて、実際に効果のある法律とすべきであると思うが、その意思があるかどうか、通産大臣の見解を伺います。  第二に、商品、サービスを提供して国民生活に直接結びついている小売業の分野を、本法の適用から外している問題であります。  小売業の分野では、昭和四十八年、旧百貨店法を改悪して、許可制を届け出制とした大規模小売店舗法が制定されました。当時、共産党・革新共同だけが、大スー。八一などの進出を一層促進することになるとして反対の態度をとったのであります。その後の事態は、まさに私どもの指摘したとおり、大型店の進出ラッシュを招き、今日、中小小売業者のみならず、全国知事会も、大スーパーなどの横暴な進出を規制できるように法改正を要求するに至ったのであります。私どもは、すでに今国会でも、店舗面積千平米以上の大型店の新規進出と拡張に当たっては、都道府県知事の許可を必要とすることとした改正案提出しておるのであります。  そこで、あくまで私どもは、本法で小売業を適用除外とすることに反対するものであります。それとともに、大スー。八一などの横暴な進出を規制できるように、大規模小売店舗法を改正するかどうか、通産大臣の明快な答弁を求めるものであります。  さらに大企業は、小売業分野への進出に当たって、大型店舗だけでなく、中小型店舗による進出を強めております。この進出方式は、全国百五十万の中小小売業者の経営を一段と脅かしておるのであります。  したがって、小売商業調整特別措置法を厳格に運用して、中小小売業者事業機会確保する措置を講ずるべきであります。また、法改正の機運の高まりの中で、大スーパーなどの駆け込み進出の動きもすでにあらわれており、こうした動きに対して必要な行政指導を行うべきであると思うが、以上の諸点について関係大臣の責任ある答弁を求めるものであります。  第三に、中小企業事業分野として業種を指定することをやめている問題であります。これでは、大企業の進出後でなければ調整が行われないこととなり、命令規定のないこととあわせ、まさに実効性に乏しいものと言わなくてはなりません。  五十年度経済白書でさえ、わが国経済の実態について、大企業の支配が強まり、自由競争が機能しがたくなっていると分析しており、この立場からも、大企業の無制限的な進出に民主的な規制を加え、競争状態が正しく機能している中小企業分野を守ることが必要であります。こうして国民生活に密着した中小企業の経営を守ることこそ、国民経済的にいま切実に求められているのであります。  もし政府が、中小企業対策をこれまで以上に重視すると言うなら、業種指定を行うとともに、全国的に指定することが困難な場合でも、地域的に必要なものは都道府県知事が指定し、また、指定外業種でも、紛争が生じた場合は本法で規制を講ずることとすべきであります。このようにして、少なくとも長年にわたって地域経済を支えてきた地場産業や伝統的産業は、確実に保護すべきではないでしょうか。このような産業までも、外国会社や巨大企業に淘汰されることを放置するのかどうか。  以上の諸点について、関係大臣の責任ある答弁を求めるものであります。  最後に、総理に伺いたい。  今日、中小企業はわが国事業所数の九九・一九%、小売販売額の約八割、全従業員数の八〇%を占め、日本経済、国民生活にきわめて重要な役割りを担っているのであります。したがって、日本経済の健全な発展、雇用問題を含め、国民生活の安定、向上は、中小企業の経営の安定、振興と切り離しがたく結びついており、それゆえに、中小企業対策は、わが国政治の重要な柱の一つであります。ところが、自民党政府の過去の政治は、中小企業にはきわめて冷たい点で一貫しておるのであります。そのことは、国家予算一般会計に占める中小企業対策比がわずかに〇・六%という超低率のまま続いているという事実に、最も端的にあらわれていると思うのであります。  総理、あなたは「経済の福田」と呼ばれた人であります。日本経済の中での中小企業の役割りをもし正しく認識されておるならば、この実態について適正であると考えられるのかどうか、この際、抜本的に強化改善する意思はないのか、率直な見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  67. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) 今回の政府提案は、これは国会の決議を無視しておる提案ではないか、そういうような御所見でございますが、これは国会決議を尊重しておるのです。ただ、法案の名前が事業活動調整、こういうふうになっておるだけの話でありまして、中身をよくごらんくだされば、これは中小企業分野確保するものである、かように考えております。  したがいまして、いま安田さん、この提案政府修正するか、こういうようなお話でございますが、修正する意思はございません。十分御審議のほどをお願い申し上げます。  なお、中小企業の重要性というものにつきまして私がよく認識しておるかというようなお話でございますが、私は、中小企業という問題は、これはわが国経済の非常に大きな問題である、また、中小企業なくして日本経済がないというくらいな認識であります。  さようなことで、中小企業の問題につきましては、特に意を用いまして諸施策を推進しておる。五十二年度予算案をごらんになりましても、一般会計の予算、そういう問題だけじゃないのです。中小企業問題というのは、政府の支出、そういうものにはなじまない。やはりこれは金融と税なんです。金融面と税制面であれだけの対策をとっておるということにつきましては、篤と御理解を願いたいのであります。(拍手)     〔国務大臣田中龍夫登壇
  68. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  分野調整法という名前も本来の長い長い名前の略語でございまして、さようなことから申すならば、先ほども提案理由で申し上げましたように、本法律事業機会確保法でございますから、そういう点では、別に分野調整という略語を使いましたのに確保がないという御指摘は、お改めいただきたいと思います。  なお、本法案を実効の上がるものとするためには命令、罰則の規定をなぜ加えなかったかということは、先ほど来たびたび申し上げましたごとくに、この際はソフトな本法の制定の方がよろしい。  また、小売業を適用除外するならば大店法を改正することを約束するかどうかという御質問でございましたが、小売業の振興策と関連づけまして総合的に考えるべき問題であると存ずる次第でございまして、このような観点から、関係者との意見調整を図りながら、今後ともに検討、研究を続けてまいらなくてはならぬ、かように考えております。  商調法を厳格に運用して中小小売業の事業活動機会確保すべきではないかという御指摘でございまするが、政府といたしましては、大店法とあわせてこれらの活用を図り、中小小売商業の事業活動機会確保し、適正化を遂げていくつもりでございます。  また、大店法の改正絡みで駆け込み申請が行われないように行政指導をすべきではないかという御指摘がございましたが、当面、同法の改正絡みで駆け込み申請が行われるというような事態はないものと存じております。  なお、業種指定を導入して、主務大臣及び都道府県知事が分担して行うような形にすべきではないかということでございますが、指定すべき業種を的確に選別するための客観的にして公正妥当な基準が見出しがたいという問題がございまして、その結果、消費者の利益の侵害などの弊害も懸念せられまするので、これを採用することはいまの事態におきましては不適当と存ずる次第でございます。  以上、お答えいたします。(拍手)     —————————————
  69. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) 大成正雄君。     〔大成正雄君登壇
  70. 大成正雄

    ○大成正雄君 私は、ただいま提案されましたいわゆる分野法に関しまして、新自由クラブを代表して、総理並びに通産大臣に質問をいたします。  まず、総理に質問しますが、昭和三十八年、中小企業基本法制定以来、大企業中小企業との事業分野調整すべしとの声は、本院内外において引き続き叫ばれ続けてまいりました。今日、政府はようやく重い腰を上げましたが、分野法の制定を必要とする時代的背景や産業界の現状及び中小零細企業の現状についてどのように認識されておられますか、承りたいのであります。  次に、中小企業基本法の精神を、同法制定以来過去十四年間、政府はいかに具体的に施策に反映せしめてきたかについて承りたいと存じます。  基本法第三条は、「国の施策」としてその第七号に「中小企業者以外の者の事業活動調整等によって中小企業事業活動機会の適正な確保を図ること。」とし、さらに第五条では「法制上の措置等」として、かかる国の「施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」としております。さらに重ねて第十九条では「国は、中小企業者以外の者の事業活動による中小企業者の利益の不当な侵害を防止し、中小企業事業活動機会の適正な確保を図るため、紛争処理のための機構の整備等必要な施策を講ずるものとする。」とされております。  本法制定は第二次池田内閣のもとにおいてでありますが、先人の先見の明に感銘を深くするとともに、今日まで百貨店法の改正中小企業団体の組織に関する法律の一部改正による商工組合特別契約制度の創設以外は本法の精神が何ら生かされることなく、中小零細企業の苦しみをよそに放置されてきたことは、きわめて遺憾であると言わなければなりません。  本院においても、昭和三十九年の第四十六国会において社会党から、中小企業者の事業分野確保に関する法律案として立法化の提案がなされて以来、昨年までの間、社会、公明、民社、共産の各党から過去十三回にわたって同様の議員提案がなされてきたのであります。この間、最近の紛争事例を見るまでもなく、全国の中小企業や零細企業者は、高度成長の波に乗った大企業の圧迫を受けて、大変な苦しみをなめてきたのであります。  もとより、政府中小企業の育成振興に全く無為無策であったとは思いません。精いっぱいの努力をしてきたことを認めるにやぶさかではありませんが、事分野調整確保に関しては怠慢のそしりを免れないと思うのであります。このような政府の消極的な姿勢はどこにあったかの判断が重要であります。  何よりただいま提案されました法律の名称から受けるニュアンスは、大変な長文の法律であるということとともに、大企業者企業行動の本質が生み出す中小企業者に対する不当な侵害のあることを認めて、これを調整するといった感じであります。名は体をあらわすと言いますが、本法のたてまえは、第三条において、大企業者の責務を「配慮」の文字に託し、第四条においては、紛争が生じたときは、誠意をもって、自主的にこれを解決するよう努めなければならないとなっておるのであります。  過去幾多の紛争事例は、中小企業基本法の精神に照らして、すべてその非は大企業側にあったと思われるのであります。したがって、政府は、本法の骨子によって十分その目的を達成し得ると考えているのかどうか、承りたいのであります。  次に、本法の骨子とする調査、調整申し出、さらに調整勧告、公表といった規定の中で、勧告違反に命令、罰則規定がないことであります。同趣旨の大規模小売店舗法では、勧告、命令規定するとともに、同法第十八条によって罰金三百万円以下または五百万円以下の厳しい罰則が規定されております。本法になぜ命令、罰則規定がないのか。一方は届け出制、本法は当事者間の配慮を請い、話し合いに期待するのでは、中小企業基本法の本旨にもとると考えるが、政府はどう理解しておるのか、承りたいのであります。  次に、総理並びに通産大臣に承りたいことは、第十三条において、小売業その他を適用除外していることであります。  本法制定促進を求める業界団体は、当初から適用業種の指定を強く求めておったところであります。しかるに、本法は業種の指定を退け、第五条として「中小企業者の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある大規模な事業の開始又は事業の大規模な拡大の計画を有していると認めるときは、」として、事前調査の項目を挿入することによって十分対応できるとしております。  また、本法適用除外の条件として、他の法令によって中小企業事業活動機会を適正に確保する措置が講じられている場合は、と規定しておりますが、いま全国で最も紛争事例の絶えないのは小売業界であるにもかかわらず、政府は他の法律によって零細小売業の事業活動機会が適正に確保されていると言い切っておりますが、一体全体、政府の言う他の法律とは何を指しているのか、承りたいのであります。  いままでの答弁の内容では、大規模小売店舗法や小売商業調整特別措置法を指すものであると判断いたしますが、全くもって認識不足であります。  大店法の手続を踏んで、すでに通産大臣が認可した大型百貨店やスーパーが進出して、いざ営業開始となった事例の中には、商圏の拡大や地域商店街の近代化に貢献した事例もありますけれども、転廃業のやむなきに至った零細小売業の悲惨なケースは枚挙にいとまがないのでございます。また、地元商業活動調整協議会が同意の答申をして、いま現在において地元近隣の商店街や消費者から猛烈な反対運動が起こっているというところもあります。かかる事態は、大店法の欠陥がもたらしたものであると言わなければなりません。  さらに問題となっているのは、大店法の床規制値である三千平米ないし千五百平米すれすれ、あるいはそれ以下のいわゆる中型店の進出による地元商店街との紛争であります。まさに無政府状態となっておりますが、全国地方団体においては、自治権の発動によって規制条例を制定するのやむなきに至っておる事例がたくさんあります。  政府は、これに対して、かかる条例は直ちに違法とは言えないとして統一解釈を発表しておりますが、政府昭和三十四年立法の商調法を現代の流通秩序の中にどのように位置づけようとしているのか、承りたいのであります。  次に、同法第十五条第三号に言う中小小売商以外の者と中小小売商との間に生じた紛争について、都道府県知事はあっせんまたは調停を行うことができるとしておりますが、この規定を適用した事例は過去十八年間に何件あり、その成果はどうであったかを承りたいのであります。  一方、都道府県知事は、この法律規定に該当する紛争事例が全国に頻発しているにもかかわらず、今日等閑に付しているのは、一体いかなる理由によると判断しているかも承りたいのであります。  このたび、この分野法の立法に当たって小売業を適用除外したことの不備を指摘して、商調法や大店法を改正すべしとの声が各政党間に高まっておりますが、政府の考え方はどうなのか、また、いかに対処せんとしているかを承りたいのであります。  次に、ただいま指摘した商調法の運用に関連して、同法第二条によって購買会事業の員外利用を禁止することができるとしておりますが、最近、地元中小小売商が、生協や農協スーパーとも言うべき購買施設の大型化、近代化によって相当な悪影響を受けている事例が目立っておりますが、このことに関して通産大臣は今日いかなる措置をとってきたかを承りたいのであります。  最後に、この分野法の運用に当たっての行政組織の整備について承りたいと存じます。  中小企業基本法第二十六条は、さきに申し上げた同法第三条や第四条の施策を講ずるに当たって、国及び地方公共団体のこれに関する行政組織の整備を義務づけております。  政府は、昨年度半ばから、かかる紛争調整する担当官として、本省及び各通産局におのおの一人ずつの調整官を配置し、会議所、商工会等にモニターを委嘱しておりますが、全国都道府県のこれに関する行政組織はきわめて不備と言わなければなりません。また、会議所、商工会等の商業活動調整協議会も、何ら法的な裏づけもなく、単なる諮問機関とされておるのであります。  この際、分野法の制定を契機に、中央、地方の行政組織を強化する考えがあるかどうかを承って、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇
  71. 福田赳夫

    内閣総理大臣(福田赳夫君) 政府が今回本法律案提案をするということになりました基本認識についてというお話でございますが、先ほど中島源太郎さんにもお答えしたところでございますが、中小企業中小企業で独立して存在するわけにはいかないのです。また、大企業といえども大企業だけで存在するわけにはいかない。やはりこれらが相助け、相補い合って初めて存在し得る、存立し得る、かように考えるわけでありまして、やはり両者の関係は共存共栄、そういうところでなければならない、かように考える一わけでございます。  これからの経済を展望しますと、やはり減速経済、そういう時代になります。そういう時代になりますので、やはり力の弱い立場の人に対しまして配慮をしなければならぬ、こういうようなことから分野調整法という立法を御審議をお願いをするということになった次第でございます。  それから、中小企業基本法制定以来、政府は無為無策であったではないかというようなことでございますが、それは全面的にそうであったわけでもないんだ、分野調整分野を除きますればこれはもうかなり努力をしたという高い御評価でもありましたが、分野調整の問題につきましてはどうも無為無策である、そういうお話でございますが、そうでもないのです。これは行政措置としてずいぶん努力をいたしてきておるわけで、また効果も上げてきておることは、大成さんも御承知のとおりかと思うのでありますが、経済環境が変化してまいりましたので、先ほど申し上げましたような新しい立法を必要とする、こういう考え方をとるに至ったわけであります。  なお、小売商が本法律案の適用対象から除外されている、これは遺憾であるという御指摘でございます。これは、先ほどからるる申し上げておるとおりでございますが、大規模小売店舗法や小売商業調整特別措置法、この運用でかなり効果を上げてきておるわけであります。この運用を強化いたしますれば新しい立法の適用を必要としない、こういう見解であります。  しかし、そういう状態でずっと小売業の問題は見てまいりまするけれども、将来それで対処し切れないというようなことになりますれば、その際はその際の問題として考えていきたい、かように考える次第でございます。(拍手)     〔国務大臣田中龍夫登壇
  72. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  今日、分野法がかような爼上に上りまする大きな問題は、何と申しましても、高度成長の時代から低成長に転換いたしました中におきまして、大規模店舗がいろいろ進出してくるということに対しまして、中小企業をあくまでも守っていかなければならぬというのが本法を御提案申しまする理由でございまするが、その中におきましても、この問題につきましては多種多様な実態が対象でございますので、これを調整いたしますには、審議会の答申のような姿が一番ふさわしいのではないか、かように存ずるのでございます。  また、命令、罰則の規定がないことにつきましての御指摘でございましたが、先ほど来申し上げまするように、機動的な調整を行うためには、やはり本法案におけるような方法がふさわしい、かように存じておる次第でございます。  なお、商調法を現代の流通秩序の中にどのように位置づけようとしておるのかという御質問でございまするが、小売業におきまする調整問題は、御指摘の商調法と大規模小売店舗法との運用を適切に組み合わせることによりまして対処することができる、でありまするので、本法の対象は、あくまでも製造業、サービス業並びに卸業、こういうふうな対象を整えておる次第でございます。  商調法の運用実績並びに都道府県によりまする本法の活用の姿が低調ではないかというお尋ねでございますが、本法を背景といたしまして知事が行政指導いたしました事例は、この五カ年間に約四十二件ほどある次第でございまして、相当程度に活用されておる次第でございます。  また、適用除外との絡みで、商調法、大店舗法を改正すべきではないかという問題につきましては、安定成長下におきまする小売業のあり方の検討の一環といたしまして、今後も慎重に検討を続けてまいることにいたしたい、かように存じております。  また、購買会の問題にお触れになりましたが、購買会との問題につきましては、今後もいろいろとさらに検討いたしてまいりまするが、なお監督官庁によりまする厳格な運用によりましてこれを調整してまいりたい。  なおまた、本法の制定に伴いまする行政組織の強化という点に言及されましたが、分野調整対策の強化を図りまするための体制整備といたしましては、このために中小企業調整官の増員を行いたい。  以上のような考えを持っております。(拍手
  73. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  74. 三宅正一

    ○副議長(三宅正一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 福田  一君         文 部 大 臣 海部 俊樹君         厚 生 大 臣 渡辺美智雄君         通商産業大臣  田中 龍夫君         運 輸 大 臣 田村  元君        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         国 務 大 臣 藤田 正明君         中小企業庁長官 岸田 文武君